運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-04-19 第13回国会 衆議院 大蔵委員会 第53号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月十九日(土曜日)     午前十一時四十七分開議  出席委員    委員長 佐藤 重遠君    理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君    理事 佐久間 徹君    門脇勝太郎君       清水 逸平君    島村 一郎君       苫米地英俊君    夏堀源三郎君       三宅 則義君    宮幡  靖君       高田 富之君    久保田鶴松君  出席政府委員         大蔵政務次官  西村 直己君         大蔵事務官         (理財局次長) 酒井 俊彦君  委員外出席者         大蔵事務官         (理財局為替政         策課長)    稻益  繁君         大蔵事務官         (管財局閉鎖機         関課長)    堀口 定義君         通商産業事務         官         (通商振興局経         理部長)    石井由太郎君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 本日の会議に付した事件  設備輸出為替損失補償法案内閣提出第一二八  号)  閉鎖機関令の一部を改正する法律案内閣提出  第一四三号)  国有財産法第十三條の規定に基き、国会議決  を求めるの件(内閣提出議決第一号)     —————————————
  2. 佐藤重遠

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  去る十五日本委員会に付託されました国有財産法第十三條の規定に基き、国会議決を求めるの件を議題といたします。まず政府当局より、提案趣旨説明を聴取いたします。西村大蔵政務次官。     —————————————
  3. 西村直己

    西村(直)政府委員 ただいま議題となりました国有財産法第十三條の規定に基き、国会議決を求めるの件につきまして、御説明申し上げます。  現千代田グランド皇居外苑の一角にありまして、皇居外苑公共福祉用財産といたしました際、普通財産として残されていたものでありますが、これを外苑の一環として整備運営することが適当であると考えられますので、ここに国会議決を経るために提案した次第であります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御承認あらんことをお願いいたします。
  4. 佐藤重遠

    佐藤委員長 本案に対する質疑次会に譲ることといたします。     —————————————
  5. 佐藤重遠

    佐藤委員長 次に、設備輸出為替損失補償法案、及び閉鎖機関令の一部を改正する法律案の両案を一括議題として、質疑に入ります。質疑は通告順によつてこれを許可いたします。小山君。
  6. 小山長規

    小山委員 閉鎖機関令の一部改正についてお尋ねをいたします。今度の提案理由説明を見ますと、清算の結了したものは、民法及び商法一般法に基いて清算を行うようにしたい、それからその他のものについては、政府清算人を任命して特殊な清算をするのである、こういうふうなことでありますが、この商法及び民法によつて清算をする部分については、これは当然株主発言権というものは、法律によつて出て来るのでありますけれども、このその他の政府清算人を任命する特殊清算人の場合には、株主発言権というものは全然ないことになろうかと思いますが、これはどういうおつもりでありますか。株主もこの清算過程において発言機会があるようなふうに、たとえばここに書いてありますように、政令で定める場合に、そうような規定を置くような御意向はないのでありますか。その点をひとつ伺つておきたいのであります。
  7. 堀口定義

    堀口説明員 お答えいたします。ただいまの御質問で、清算過程において株主等発言機会を与えたらどうかということでありますが、当初閉鎖機関制度を確立いたしました当時には、御存じのように一千八十八もの機関がありまして、これを急速に国民経済上から動かすようにし、かつ清算をして行こうということでありますから、一々それについて債権者総会なり株主総会を開いておつたのでは、なかなか進まないという面もありましたし、それから当初閉鎖機関の指定された根本的な理由というものが、前にも申し上げましたように、戦時中国戦爭経済に寄与したというような色彩の強いことが理由になつて、閉鎖されたものでありますから、それの清算につきまして、株主とかあるいは債権者発言を制約しようという意図があつたわけであります。もちろんその清算やり方等につきましては、必ずしも民、商法清算に関する規定にそう違つたところはないわけでありまして、むしろ債権者なり株主なりに有利な規定が、ある程度通常清算の場合以上に置かれておるわけであります。今後の問題といたしましては、もうそういう株主等発言権を認めたらどうかという意見もございますでしようが、現在すでに閉鎖機関も八、九割の清算が済んでおりますので、必ずしも株主意見を聞いてくれというような要望もあまり聞いておりません。もちろん一、二そういう問題がありますが、そういう声を聞きまする閉鎖機関というのは、主として在外活動関係機関が多いようでございます。これにつきましてはその発言を尊重して、清算すべき国内関係清算はほとんど終了しておりますので、そういう発言を尊重するとすれば、将来残つた財産なりあるいは外交折衝に関する、いろいろの点についての御意見ということになると思います。この点につきましては、この機関の性質上、必ずしもそういう御意見を尊重することができるかどうか疑問がありますし、すでに閉鎖機関全体がそういう段階にありますので、いまさらそういう規定を置くことなく、もしさしつかえないものは、もう全面的に指定を解除して、通常の民、商法による清算に持つて行けば、株主総会なり何なりで十分その意向をもつて清算して行けるようになるのではないかというふうに考えております。
  8. 小山長規

    小山委員 いわゆる在外資産を伴う閉鎖機関でありますが、たとえば朝鮮銀行とか台湾銀行とか、その他在外資産を伴う閉鎖機関がたくさんあるのでありますが、これの内地における資産はどういうふうに処分されておるのでありますか。たとえば滿鉄などは滿鉄ビルとか、あるいは朝鮮銀行にしても台湾銀行にしても、内地にいろいろな不動産を持つているはずであります。それから内地債権を持つているはずでありますが、これはどういうふうに今までもすでに処分されたのかどうか。すでに現金化されておるのか。今後それらのものが処分されるものとするならば、やはり株主発言権相当尊重すべきものではないかと思うのでありますが、それをひとつ伺つておきたい。
  9. 堀口定義

    堀口説明員 お答えいたします。清算制度といたしましては、従来も御説明いたしましたように、外交関係のない機関において清算を進める関係上、内外地店舗を截然と区別いたしまして、国内店舗資産を処理してその負債に充当するということでありますから、さつき例にあげられましたような満鉄ビルというようなものでありますれば、清算人といたしましては、これをなるべく有利に処分いたしまして、それによつて本邦内の店舗にかかる負債を辨債して行くわけであります。そういうことでありますから、現在まで在外関係のある閉鎖機関につきましても、国内にあるいろいろの資産については相当処理されておりますし、それから債権も取立てております。一方債務も支拂われております。ただ外国における店舖勘定じりがわからぬものですから、それに対して外国における負債が非常にあると思われるものについては、まず一般債務辨済もちろん辨済には優先順位がありまして、税だとかあるいは担保付債権とか、あるいは退職資金であるとか、そういうものを順次に優先順位従つて辨済して、一般的な契約関係に基く債務というようなもの、そういう一般的な債務拂つた後に、さらに残りがある場合には、それをそのまま留保いたしまして、それ以上に清算を進めない。社債の辨済及び株主に対する残餘財産の分配ということは一応行わないで、そこでストップしておく。そうして講和條発効以後において起る国際問題に対処しなければならぬというふうに、機関令制度はなつておるわけであります。
  10. 小山長規

    小山委員 私が伺いたいのは、この法律案改正は、講和條発効後に起る問題を処理するためにやられるはずである。従つてたとえば満鉄ビルにしましても、これはまだ処理してないと思います。朝鮮銀行東京支店建物にしても、台湾銀行建物にしても、あれは処分してないと私は思つておりますが、これは処分してあるのでしようか。それはお答えがなかつたのでありますが、そういうような場合に、株主として見れば、株主の信頼できる清算人を推したいという希望相当強いと思う。商売のことも何にも知らぬ役人が出て来て、ただ事務的な処理をするというのでは危険というか、どうも信頼しがたい。従つて株主の間からせめて清算人を選定したいという希望は、私はあるのはあたりまえだと思うのでありますが、その点も御答辯もなければ御配慮もないようでありますが、どういうふうにお考えでしようか。
  11. 堀口定義

    堀口説明員 株主の持つてきたい清算人を持つて行くべきじやないか、あるいはその意見を尊重しなければいかぬということは、もつともなことでありまして、今度の改正におきましても、なるべく閉鎖機関制度自体を早く終結しようという意図もありまするし、そういう御意見もありますので、なるべく閉鎖機関というものからはずし得るものは、一般の民、商法清算に持つて行きまして、それが十全に取入れられるようにと考えておるわけであります。そこで最小限度やむを得ず政府が見なくちやならぬと思われるものは、やはり在外関係等がありまして、たとい株主等の御意見を尊重しても、それだけでやつて行けない、やむを得ないというものだけが残るということになるのであります。その場合における株主というものは、相当外地におります。それから外地法人が持つておりますので、たとい株式総会というものを招集してみても、それが商法上という権限があるかということは、相当疑問があるわけであります。そこでやむを得ずどうしても政府が見なくちやならぬものが若干残るのじやないか。それについてはもちろん株主総会というものではないとしても、なるべく株主等の御意見はお聞きして、政府がやはり見てゆかなくちやならぬのじやないかというふうに考えております。
  12. 小山長規

    小山委員 私が再々尋ねていることもお答え願いたい。内地財産不動産は一体処分してあるのかないのかということです。
  13. 堀口定義

    堀口説明員 それは清算促進するために、内地資産はどんどん処理し、それから債権は取立てております。そういう個々の、これはどこへ賣つてくれとか、どういうふうにしてくれというようなことで、株主あたりから希望があつたということは、今まであまりありません。清算人といたしましては、なるべくすみやかに、なるべく高く、一般的にはなるべく有利に処理する、そうして債権を辨債したあと、なるべく多くの在外財産が残るようにということを、相当責任をもつて考えておるわけでございます。でありますから、日本内地にある店舗にかかる資産、たとえば満鉄のようなもの、満鉄につきましてはもう処分が済んでおります。そういうことでどんどん処分を進めております。
  14. 小山長規

    小山委員 満鉄ビル処分したのでありますか。それからたとえば台湾銀行朝鮮銀行あたり建物が丸の内にありますが、あれはもうすでに処分してあるのですか。
  15. 堀口定義

    堀口説明員 満鉄ビルは最近処分が済みました。それから台湾銀行処分が済んでおります。
  16. 小山長規

    小山委員 それでは制度のことでお伺いしたいのでありますが、いずれにしても、そういうふうな財産の未処分のものもまだ幾らかございましようから、この清算入というのも役人だろうと思いますが、必ずしも役人一人としないで、二人にしたつて一向さしつかえないように思うのであります。  株主の側が発言機会を得たいということは、株主の側からもその清算人を出したいということだろうと思うのでありますけれども、なぜ清算人は一人にしなければならぬか。清算人というものは必ず一人でなければならぬというものでもなかろうと思うのでありますけれども、その点はどうなんでありますか。
  17. 堀口定義

    堀口説明員 ただいまの御質問の点でありますが、もちろん民、商法による清算の場合には、一つ法人について一人の清算人を置くのが普通でありまするから、そういう考え方はあるわけであります。ただ閉鎖機関が、たまたま従来の歴史もありまして、千幾つというような大量な機関を指定されて、清算して行くというかつこうになりますために、それを一括してやる場合には、やはり経費の点においても相当節約にもなるし、特に政府の方の監督という面から見ればなおさらこれは経理その他の面においても便利である、そういういろいろの点から、従来閉鎖機関整理委員会というものがやつてつた。今度委員会が解散せられましても、清算人一つ一つ機関についてきめていかぬということはありませんのですが、やはり経費関係、それから監督の面から、なるべくならばまとめておきたいというふうに考えたわけであります。
  18. 小山長規

    小山委員 特殊法人たる閉鎖機関については、清算手続だろうと思いますが、別に政令で定めると書いてあります。それはどんな内容をこの政令で定めようとされるのでありますか。
  19. 堀口定義

    堀口説明員 この点につきましては、特にまだ案文までの準備はいたしておりませんけれども、大体公団清算令というようなものがありまして、公団等についてはそれによつてつておけるわけであります。要するに政府出資等が非常に多く、特別な法令によつて設立されたようなものについては、民法及び商法等によつて清算ができないものでありますから、なるべく簡易なそういう清算令というようなものをつくりまして、もちろんその内容としては民、商法と著しくかけ離れるということはないと思いますが、その程度の政令を準備いたしたいというふうに考えております。
  20. 小山長規

    小山委員 どうもまだこの点若干いろいろな面に質疑がありますので、なお研究の上、さらに質問を続行することにしまして、きようはこれで一応質問を留保いたします。
  21. 佐藤重遠

  22. 宮幡靖

    宮幡委員 設備輸出為替損失補償法案について、二、三お伺いいたします。  まず討論ではありませんので、先にほめてしまうこともどうかと思いますが、趣旨としてはまことにけつこうだろうと思います。まあしかし、むしろおそ過ぎたというようなきらいもあります。日本貿易政策というものはどうもぐらぐらしておりまして、一定不変というわけには行かない。これは国際事情に支配され、いわゆる占領下にありました過程においては、決して難ずべきではないと思うのであります。それにいたしましても、もはや相当見通しを立てまして、国の経済維持と、貿易依存日本経済を運営して行く上におきましては、基本的な方策を立て、これに関連いたしまする一連の諸施策を、ともに講ぜらるべきであろうと信じておるわけであります。そこで巷間伝うるところでは、この法律によつて為替損失補償を適用せんとする地域は、ポンド地域に一応限定するというようなことが伝わつております。これも政令で定める範囲でありましようが、どういうふうな構想になつておりますか。まずそれをお伺いいたします。
  23. 酒井俊彦

    酒井政府委員 お答えいたします。この法律案成立後に適用いたします地域につきましては、別段限定をするという気持はないのでありますが、事実問題といたしまして、法律趣旨にございますように、第三條でございますが、国際収支上有利な地域輸入市場を開拓し、あるいは有利な地域輸入市場を転換するということがございます。ただいまのわが国貿易から申しますと、国際収支上どうしても自然に放置いたしますれば、ポンドオープン地域には大いに輸出が伸び、その反面非常に重要な原料食糧輸入するドル地域に対しましては、通常貿易といたしましては、将来ともなかなか均衡を維持するのに苦しい。そこでそういうドル地域から入れておりますような重要な原料とか、あるいはその他の材料、食糧等ポンド地域から入れまして、ドルとポンがおのおのなるべく均衡いたすようにして参りたい、そういう意味におきまして、この法律を適用いたしまして、損失補償をいたしますものも、主として今申し上げましたポンド地域などが多かろうということになると思います。
  24. 宮幡靖

    宮幡委員 その点よくわかりましたが、そういたしますと、まず具体的な例でお伺いしますが、例のタイ国のごときは、これはオープンアカウント地域だろうと思いますが、為替相場がかなりはげしく月に二、三回も変動するというような事実があるのでありますが、こういうことにつきましては、あるいは国際的な道義感から申しまして、こういう現象がなくなるであろうとは思つておるのでありますが、現状におきましてはきわめて端的に変更する。特に香港中継貿易が起きて以来のタイ国為替変動の状況などというものは、正常なものではないのでありますが、これらの地域に適用せられる御用意があるかどうか。
  25. 酒井俊彦

    酒井政府委員 ただいまの御質問でありますが、日本タイの間ではオープン協定によりまして、ドル建ですべてを決済いたしております。従いまして、タイが最近ポンド相場等を動かしておりますけれども、わが国との取引におきましては、すべてドル建でございますので、その間に為替変動による損失というものは、わが国においてはこうむつておらない現状であります。
  26. 宮幡靖

    宮幡委員 それはその通りです。しかしながらそういうふうに考えて、タイ国あたりがドルでものを買わなくなつたという事実も否定できない。そうすると、やはりオープンアカウント清算ポンドで考えるというような時代もあるし、建値を盛んに発表しておるのでありますから、これらが例のポンド勘定に伴う輸出制限、あるいは輸入促進等の問題とあわせて、ひいては日英支排協定の改訂というようなことに、重大な関連があるわけであります。この法律の第一條には、「本邦経済維持及び発展に寄与する重要物資輸入確保に貢献する設備輸出促進を図ることを目的とする。」となつておりますが、一体この目的は実際問題として、この種のプランと輸出の実際はどうなつておりますか。実際の例によつて通産振興局経理部長に、もしたくさんあるようでしたら後日資料でもけつこうですが、わかればひとつ具体的な事例をあげてお話していただきたい。
  27. 酒井俊彦

    酒井政府委員 ただいまの最後の御質問は通産省の方からお答えをいただきますが、お話にありました最近のタイとの問題、その他オープン地域との問題でありますが、もちろんこの法律は審査の結果適当なものは適用いたします。それからオープン決済しりを今はドルでやつておるが、将来ポンドで考えなければならぬ事態も起るのではないかというお話でございますが、われわれは現在のオープン協定を通じまして、協定通りドルでもらうということを考えております。もし万一そういう事態が起りましても、私どもはそういうことはしないつもりでおりますが、ポンドしりをもらうといたしましても、個々輸出業者はすべてドル建でやつておりますから、その決済を全体としてどういう通貨で清算するかということとは別問題でありまして、個々業者としては、そういう事態が万一起りましても、それによつて損失をこうむることはないというふうに考えております。
  28. 石井由太郎

    石井説明員 この設備輸出等為替損失補償制限しておりまする、政府補償目的に適合するような設備輸出というものが、どの程度あるのかという御質問でございます。昭和二十六年度中におきましてのプラント輸出輸出契約実績は、約六千四百万ドルに及んでおるのであります。しかしながらその一番大きな部分は船舶でございまして、四千四百万ドル、爾餘の二千万ドル餘りのものが、あるいは車両、発電設備ないしは繊維の機械類、このような内容と相なつております。従いまして従来の契約等実績から考えますると、設備輸出がただちに本邦重要物資輸入確保に貢献するような経済開発に役立つというものは、従来比較的少かつたのでございますけれども、この少い原因といたしましては、あるいは本邦機械類の割高でございますとか、ないしは本邦機械類が相手方にまだよく認識されておらないというような事情も、あずかつて力あるわけでありまして、政府は今回のような施設を講じまして、積極的に本邦産業に必要な重要物資輸入に役立つような機械を、輸出する方向に力を入れますれば、今後相当伸びるのではないかと考えております。例といたしましては、従来すでに乙種信用保險対象となつておりますゴアにおける鉄鉱石開発がございます。その後の見通しといたしましても、あるいはフイリピン方面ズングーン方面におきまして、鉱山等開発に必要な機械類が逐次出て参る傾向にございます。また輸出銀行の機能といたしまして、金融的にもこの方面に対する力こぶを入れるというようなことになりましたことは、御承知の通りであります。
  29. 宮幡靖

    宮幡委員 今ちようど石井通産振興局経理部長からお話がありましたが、私どもお尋ねしようと思つていたことなのです。それは輸出信用保険として、為替変動損失を保険するということはできないものでありますかどうか。新しく法律をつくつてやるということも、輸出信用保険の中で取上ける特段の処置は、しろうとが考えるとできそうですが、考えたことがあるか、またできないか、それらの点について詳細に御説明をいただきたい。
  30. 石井由太郎

    石井説明員 この法案をごらんいただきますればすぐわかります通りに、海外に信用を授与いたしまして、設備等輸出いたしました場合、信用を与えます方の側はいろいろと危險にさらされるわけでございます。あるいは戦争もございましようし、内乱もございましよう。また為替上の諸制限輸出禁止あるいは輸入禁止といつたような諸制限もありましようし、さらには信用を受けました受信者破産とか、支拂い不能といつたような諸多の危險にさらされておるわけでありますが、これらの諾危險を網羅いたしまして、コマーシャルベース担保しております制度が、輸出信用保險乙種保險でございます。これに対しましてさらにもう一つ危險として、外貨建で契約いたしました外貨のレートが、対円の関係で円が切上げられまして、少い金を受取らねばならぬというのが、いわゆる為替差損になるわけでございますが、前段申し上げました危險と、この為替切下げ危險とをどういうように考えるか。またそれを考えました場合に、コマーシャルベース独立採算制信用保險でカバーできるのかどうかということが、問題の焦点になつたと思うのであります。戦争内乱輸出入の諾制限あるいは破産、支拂い不能といつたような事項に対しまして、現在乙種保險として基本的に二分の料率をもつて担保いたしておるのであります。年率二分の料率担保しておるのでございますが、このほかにたとえば一分分増しをいたすことによつて、これらの危險保險制度の中に取入れることができるかどうかという点は、十分檢討いたしたのでございますけれども、非常に長期にわたりまして、しかも日本政府みずからが、現在の為替管理法等におきますると為替切上げ切下げをいたすということに相なつておる関係もございまして、コマーシャルベースによる危險担保という線よりも、むしろ政府行政措置といたしましてとりました為替切上げ切下げの始末というふうに考える方が、より自然的ではないかというような意見が強うございまして、設備輸出為替損失補償につきましては、信用保險対象からこれを除外して、別個の補償制度といたした次第でございます。
  31. 宮幡靖

    宮幡委員 その点はごもつともだと思います。現在の為替管理制度から行きますと、どうも別途法律のとどかぬところは、行政措置を講ずるということが妥当であろうと信じておるものであります。そこでこの法律を全部ながめまして、言つていいことか悪いことか知りませんが、やはりボンドの実勢低下ということが、この法律の裏にほの見えるような感じがするわけであります。そこで納付金制度をもちまして、為替利益は納付せしめるという規定がありますが、これらはほとんど空文であろうと思います。こんな事態が起るくらいなら、こんな法律をつくらなくてもいいということになろうと思いますが、しからばポンド実勢低下——英国の金保有にしましても、正確な数字は記憶しておりませんが、昨年の今ごろは大体三十七億ドルくらいの金準備があつたはすですが、現在では十七、八億ドルに下つております。これは事実でありましよう。しかしてポンド為替相場の実勢は、対目的に考えてみましても、現在の相場よりも落ちておるということは、一般に認められておるところでありますので、この輸出為替損失補償というようなものは、ひたすらポンド地域に対する為替不安の関係を考慮に入れて出されておる。こういうことが日本人的には言えるわけです。かわつてこれを主としてポンド圏の英国の立場から考えますと、貿易勘定といいますか、あるいは通商勘定の上において、かなり刺激を与えるものだと私どもは考えておるのでありますが、その点について理財局においてはどんなお気持でいらつしやいますか。
  32. 酒井俊彦

    酒井政府委員 ただいまの御意見でありますが、いろいろ巷間ではポンドの実勢について問題にされております。これ事実であろうと思いますが、そういうふうな懸念から、なかなか設備輸出——特にこういう設備輸出になりますと、三年先、五年先に代金を受取るということになりますので、その間にどういうことが起るかもわからないというような懸念から、やはりなかなか輸出がしにくいというような点もございますので、この法律を提案いたしたわけでございます。もつともそれでは現在ポンド切下げがあるかどうかというふうなことになりますと、これは私どもにはわかりません。わかりませんが、私個人の感じでは、最近の英国政府のとつておる各般の政策から見まして、当分の間そういう手段に訴える機会はないのではないかというふうな感じを持つております。ただこれは私個人の感じでありまして、はたしてそうなるかどうかは疑問であり、確かではございませんが、先ほど申し上げましたように、一般的に五年先までの間にポンドなりその他の通貨なりについて、切下げがないということは保証しがたい。そういう若干の不安もあります場合に、代金の決済が非常に長いものを輸出することはなかなか困難であります。そういう不安を除きますために、この法案を提案いたしたわけであります。
  33. 宮幡靖

    宮幡委員 その点はいわく言いがたい点でありましようから、参考に伺つた程度であります。五年先の見通しという言葉があつたのですが、これから考えてみましても、一体各国の通貨制度といいますか、あるいは為替管理と申しますか、これは五年先までこのままだという予想もつかぬわけであります。現在バード・カレンシーとしまして道具があるわけでありますが、今為替管理をやつております日本現状から見ましても、たしかベルギーでありましたか、ベルギー・フランと言いますか、あれを適格通貨に入れたというようなことが、これはアフリカのコンゴあたりまで及ぶおけでありますが、こんな事情もありまして、なかなか五年先は世界の貨幣制度と申しますか、通貨制度と申しますか、そういう意味において、為替相場と同じく見通しはないわけであります。そこで今この問題は、英国をいたく刺戟するようにならないということの一つの有力な理由があるならば、非常によいのでありますが、漠然と長い期間であるから為替相場変動も予測できない、こういうことだけでは、どうも何か滿足されないような感じがするのであります。きようは外国為替管理委員会の方も御出席がないのでありますから、その点については深くお尋ねをいたしません。そこでごく事務的なことをさらに一つ伺いますが、本法案の第二條に用語の意義が掲げてあります。そのうちに基準外国為替相場、裁定外国為替相場とあります。これは外国為替及び外国貿易管理法の七條の一項と二項によるものだ、こう規定づけてあるのであります。この法律を運用する上において、この用語の意義はわかるのでありますが、七條の一項と二項で為替損失の発生と予定損失の時期、あるいは契約時期というような限られました時期におきまして、ほんとうにそのときの相場を把握することに支障がないでありましようか。その見通しについてお話を伺いたい。
  34. 酒井俊彦

    酒井政府委員 第二條の第三号に掲げております基準為替相場でございますが、これは一ドル三百六十円とするというわが国の通貨価値の基準でございます。それから裁定相場と申しますのは、ドルポンドとの間の公定レート、これを一ドル三百六十円で換算いたしまして、その計算から現在千八円とポンドの相場を出しておる、こういう意味でございまして、これはもちろん米英間の為替レートが動きましたならば、第二項の為替相場がかわつて来るのは当然でございます。ただ基準外国為替相場はこれは、わが国といたしましても通貨の価値を軽々にかえるということは、とるべき策ではないのでありまして、三百六十円の為替相場というものは日本のいわば経済の一番大きな柱として、これはどこまでも維持して行くということだろうかと思つております。
  35. 宮幡靖

    宮幡委員 ただいまのは為替相場の用語の意義でありますから、これにたくさんりくつをつけべきでもなかろうと思いますし、外国為替及び外国貿易管理法の七條の一項、二項という明確なる規定もあるのでありますから、そのことにただちに議論をさしはさむべきでもなかろうと思いますが、どうもこの法律の上では英米のクロス・レートというようなものができないと、実際の運営においてはきわめてわかりやすいことでありながら、かなり混乱が起るということを私どもは予想しておるのであります。これは予想する方が悪いといえばそれまででありますが、この点についても将来十分なる御檢討をいただきたいと思うのであります。ただいまはこれに対して結論を得たいとも考えておりません。次にこの法律を一覧いたしますと、啓発その他の運営に対する大蔵大臣の権限は、かなり明白になつておるのであります。けれどもかんじんな貿易を担当いたしております通産大臣の規定につきましては、明確な規定がないのでありますが、運営上通産大臣の規定が何らなくとも、あるいは政令にまかせる等の委任立法でやつて行くとしても、これは支障がないものかどうか。これは大蔵、通産両当局から御意見を伺いたい。
  36. 酒井俊彦

    酒井政府委員 この法律案に通商産業大臣の権限が書いてないということでございますが、この法律は要するに為替相場が動いた場合に、その損失補償をどうするかという單純なる為替上の問題でございますので、大蔵大臣の権限といたしております。ただ実際問題といたしましてその運営にあたりましては、一体どういう契約にこれを適用したらよいかというようなことは、もちろん通商産業省としても非常な御関心のあるところでございまして、この法律の終りの方に書いてございますが、大体日本輸出入銀行がその具体的な窓口といいますか、事務の取扱いをいたしまして、その輸出入銀行がいろいろ審査をいたします場合に、もちろん通産省からも関係の係官に御出席を願いまして、大蔵省からも出まして、協議の上で檢討して参りたい、そういうふうに考えております。
  37. 宮幡靖

    宮幡委員 御説明では、輸出入銀行へ事務委託のようなことになりますので、その間には会議関係官が出ましておやりになるということも、了解できるのでありますが、しかし第三條などをごらんになりますと、通産大臣がやはり表向きに関与する。いわゆる行政府は通商産業省であり、大蔵省である。いわゆる共管というセクシヨナリズムの言葉を申すのではありませんが、第三條などは明らかに通商産業省の問題でありまして、これらがやはり事務委託を受けました輸出入銀行の会議でだけしか、意見が述べられないなどということでは、將来重要物資輸入確保するためのプラント輸出設備輸出ということを、ほんとうにつかまえて行くことは困難じやないかと思う。私は大蔵委員でもあり、予算委員でもあり、大蔵省と非常に仲よしでありますので、決して大蔵省を非難しようとするものではありませんが、法律全般を通じましては、大蔵省偏重のきらいがある。これは他日の機会におきまして大蔵大臣の所見も伺いますが、第三條の趣旨なんかから行きましたら、通商産業大臣が本法運営上直接関与すべきものである。もしこれに伴うところの政令等の必要があるならば、これは大蔵省、通産省、また細目の省令等を出す場合においても、共管的な省令が出て行くことが適当であろう。もつと深く申しますならば、外国為替管理委員長も、また同様にこれに参加すべきものであろうと思つております。ただいまのところでは、ただちに何とか條正しようなどという考えを持つておるものではありませんが、為替取引ということは、貿易を承認して発生するものである。この法律の立て方が、その貿易の担当の大臣がこれに参画しておらないなどということは、日本法律としては私どもはあまり尊重したくない。この点はまた次の機会にお尋ねいたしますが、どういう運営を実際においてなさるのか。單に輸出入銀行に事務を委託するのだということだけでは、どうも十分でないような氣持がいたすのであります。御研究願いまして、適切なる運営の方策についてお知らせをいただきたい。もしこれがただいまのような六千四百万ドルくらい、それも船だけだ、あとの機械なんか二千万ドルくらいしかない、そんな微々たるものならば、第一條に書いてある本邦経済維持、発展というような題目は不必要で、むしろ、こんな国際的にあるいは悪い刺激を与えるではないかという心配もある法律なんか、おやめになつたらよかろう、かように思うのであります。これが大きな額になりまして、將来三年、五年間にわたりまして、日本プラント輸出によつて開発地域開発され、その資源を日本の貧弱なる経済に利用いたしまして、さらに再輸出をする、それによつて貿易依存日本の経済を維持し、かつ日本経済の正常なる運営をいたそうという面から考えますと、どうもこの法律に対しましては、ただ為替管理だけだ、こういう一点だけで片づけられることは、国会の審議の上に、決して満足の意を表することができないものであると考えております。本日は時間も過ぎましたので、質問はこの程度にいたして、次の機会に継続することにいたします。
  38. 酒井俊彦

    酒井政府委員 ただいまお話がございましたが、先ほども申し上げましたように、輸出入銀行に委任するから、よいではないか、こういうことではございませんので、実態的にはもちろん通産省の御意見も十分尊重する——というよりも、むしろ通産省の意見に従うということが必要なんでございまして、そのために両者密接な協議の上で、どういうものに適用して行くかということをきめるつもりでございます。ただ国を代表して契約者としてだれを名義人に出すかということになりますと、為替相場変動による損失補償であるという点から、大蔵大臣としておいた方が妥当であるということでございまして、通産省との間の連絡はもちろん、個々のケースにつきましても、全面的に緊密に連絡をとつて行くつもりでございます。それからなお先ほど、これが英国等に対して悪い印象を与えないだろうかというお尋ねもあつたのでございますが、私どもといたしましては、これはポンドに限らず、三年先、四年先と長い契約をいたしますので、その間に今どう考えているというよりも、どういうことが起るかもしらぬ、その間ずつと現在のレートが動かないという保証もございませんので、そういう点をやはり業者に対してある安心感を与えた方が、より設備輸出が確実になり、また伸びるであろうというような考えでやつておりますので、これはポンド切下げがあるであろうとか、実勢が弱いからとかいうことでやつておりませんので、おそらく英国側から見ましても、ポンド切下げを予想しているのではないかというような観測は、それほど受けないのではないかというふうに、私どもとしては考えております。
  39. 石井由太郎

    石井説明員 をだいま宮幡委員の御質問の中に、輸出の振興、貿易の調整といつたことを一手にやる権限のあります通産省がありながら、第三條のごときものの決定が大蔵大臣によつて行われるということになりますと、一体的運営に欠くるところがあるではないかという御質問でございましたが、本法につきましては、重点をどこに置くかということによつて、いろいろ考えようがあると思うのであります。つまり為替のレート切上げ切下げの始末として考えるのか、やはり設備輸出促進、あるいは輸入促進といつたことに重点を置くのかということによつてきまるわけであります。法文の目的には、設備輸出促進をはかるということにはなつておりますが、大体権限的に申しますれば、為替レートを決定する権限のあります大蔵大臣が、それをある時点において切上げ切下げをやつた場合の長期外貨債権を持つておりますものの始末という点に重点を置き、しかもその重点を置きますのは、本邦の経済の維持とか発展とか、あるいはプラント輸出促進というようなものに関連のあつたものだけに限ろうというところから参りまして、こうなつたわけでありますが、実行上につきましては、ただ三條関係のみでなく、第七條の関係におきましては、輸出信用保險法によりまして保險金の支拂いを受けましたものは、その部分に限りまして、為替損失補償対象から除外するわけでありまして、事務的にもきわめて密接不離な関係があるわけであります。そのようなところもございますので、法文上並びに政令等の上では、通産大臣の権限とか所管とかいうようなことはございませんけれども、実行上には、ただいま大蔵省から御説明のありましたように、あるいは輸出入銀行の運用を通じまして、あるいは事実上の事務連絡によりまして、円満なる運営を期したいと考えている次第であります。
  40. 宮幡靖

    宮幡委員 時間の関係でやめようと思いましたが、今の石井経理部長答辯で、七條をひつぱつて説明になるならば、なお私は質問したい。輸出信用保險は、私の記憶違いかもしれませんが、おそらく大蔵大臣、通産大臣共管のように覚えているのですが、それが間違いでなかつたら、七條の精神を持つて来るならば、この運営につきましても共管だという精神を出すべきだと私は思う。共管だということが記憶遠いならば、これは取消しますが、共管であつたとすれば、七條の精神なら、さらにそうならなければならぬということを私は強く言うわけであります。
  41. 石井由太郎

    石井説明員 輸出信用保險法の運用は、これは通産省専管でございまして、信用保險の特別会計の関係で、大蔵省が片つ方足を入れておるという関係になつております。
  42. 宮幡靖

    宮幡委員 その程度でけつこうです。
  43. 小山長規

    小山委員 今の宮幡委員の問題に関連してでありますが、第三條でありますけれども、「政府は、」この問題は政府が「契約を締結することができる。」というふうに一番最後にかかるのでありましようけれども、その途中で考慮の対象になるのは「設備輸出重要物資輸入市場を、国際收支上有利な地域に開拓し、又は国際收支上より有利な地域へ転換することに役立つと認められる場合」これはだれが認めるのかということであります。政府が認めるのでありましようが、政府の中で主としてだれが認めるのか。この問題は、ただいまの説明によれば大蔵大臣のでもあり、ただそれに通産大臣がちよつと口を出すという程度のように聞えたのでありますが、これはやはり私は「有利な地域へ転換することに役立つと認められる場合」というのは、そういうことは大蔵大臣よりも通産大臣が知つておるはずでありますから、「認められる場合」という方は通産大臣が主たる関係者であり、そしてその次の政府は「締結することができる。」という方は、今の最後の大蔵省設置法の改正によつて、これは大蔵大臣がやるんだ、こういうふうにやるべきものではないかと思うのでありますが、その点はどういうことに相なつておるのでありますか。
  44. 酒井俊彦

    酒井政府委員 第三條の「政府」、これは一番初めにお話がありましたように、「契約を締結することができる。」にかかるわけでございます。もちろんどういう場合に適用するかというその「認められる場合」というその認め方につきましては、主として通産省の御意見をいれまして、両者協議の上で決して行くということになつております。
  45. 小山長規

    小山委員 その点はひとつ明らかになりましたので、それはそれといたしまして、その次に補償料をきめる場合に、外国為替相場変動の見込みというのが、補償料をきめる場合の基準に入つておるのでありますが、これはどういうふうに見込みをされるのか。あるいはまたその補償料というのは、個個の契約とごとに一つ一つ為替相場変動の見込みがかわつて来るのかどうか。その点も伺つておきたい。
  46. 酒井俊彦

    酒井政府委員 この見込みははなはだむずかしいのでございますが、まあ現在のところ考えておりますのは、大体二%くらいと考えております。これは個々の契約についてかえるわけでございませんので、いかなる契約にも一括して同じ率を適用して行くというふうに考えております。
  47. 小山長規

    小山委員 これはお答えしにくいかと思いますが、その二%と相場の変動を見込まれたのは、どういうところから出たのか。
  48. 酒井俊彦

    酒井政府委員 ただいま二%と申し上げましたのは、為替相場変動の見込みだけでなく、補償料率のことでございますが、この為替相場変動の見込みが非常に高いというときには、たとえばある通貨がもうすぐ切下げでもありそうだというようなときになりますと、やはり国としてはそれだけ危険を感ずるわけでございます。そういう一般的な情勢を考え、また一方に設備輸出者の方の負担も考え、まあ適当なところをきめて行きたい。そのときの情勢で相場変動の見込みが大きいか少いかということで、若干率はかえて行かなくちやいかぬと思いますが、しからばその見込みをどうして行くかというようなことになりますと、これは算術式に的確な方式できめるということは、ちよつとむずかしいかと思つております。
  49. 小山長規

    小山委員 それから法の運用で、ひとつ第四條関係で伺つておきたいのでありますが、今の問題と関連するのでありますけれども、たとえばポンドの実勢が非常に悪くなつた。そうしてまたはここ数箇月以内に切下げが行われるのではないかというように、見込まれる状態になつたときに、この補償料の外国為替相場変動の見込みというのを、急に上げられるのかどうか。それを上げない場合に政府の責任はあるのかないのか。その点はいかがでありますか。もう少し詳しく申し上げますと、法律では外国為替相場変動の見込みということを、補償料の中に入れなければならないということになつている。ところがあと数箇月でもう外国からの電報その他によると、為替相場変動がありそうだというときには、それを見越して補償料の引上げをするのかどうか。あるいはまたそれがわかつているにかかわらず、たとえば輸出関係で今それをやると非常に微妙な関係にあつて、あるいは為替相場変動をそこで政府が見込むということは、輸出促進上困るであろうというような勘案も、行われるであろうと思うのでありますが、これをしかし法律にはこう書いてあるのだから、それを見込まなかつたということは、理財局長の責任ということになるかもしれない。その点のところはどういうふうに運用されて行くのでありますか。
  50. 酒井俊彦

    酒井政府委員 外国からの電報その他で、切下げ必至というような事態になりますと、そういうときに一体そこまで輸出を続けたがいいかどうかということの方がむしろ問題になるのでありまして、もう目先に必ず切下げがあるというような場合については、補償料率の変更というよりも、そういう輸出はしばらく見合せるというようなことにもなるのじやないかと思います。もちろんそれがただ漠然たる傾向であり、しかも相当強い、大幅であるというようなことが考えられます場合には、これはある程度補償料率というものを考えざるを得ないような事態が、万一起るかもしれませんが、しかしこれはそうそう頻繁に補償料をかえるということも、実際問題としては不可能だと思つております。
  51. 小山長規

    小山委員 実はそれを私が申し上げましたのは、補償料率を引上げるということは、為替相場変動政府がそろそろ見たぞという意思表示になろうと思うのであります。だからそういうふうなときには最後まで、ともかくもはつきりするところまで補償料率をかえないのが、あるいは逐次危険に応じてかえて行くのが、どういうふうに運用されて行くおつもりであるか、これを伺つておるのであります。
  52. 酒井俊彦

    酒井政府委員 お尋ねの点でありますが、一応は相当長期にわたつてそういう場があり得ることも考えて、補償料率をきめておりますので、従つてそのときどき危険性が増減するということで、補償料を軽々にかえるべきではないと思います。
  53. 佐藤重遠

    佐藤委員長 次会は明後二十一日午後一時より開会の上、質疑を続行することとし、本日はこれにて散会いたします。午後零時四十九分散会