○久米
政府委員 行政協定の
実施に伴う
たばこ専売法等の
臨時特例に関する
法律案の
内容を、御
説明申し上げます。
この
法律の主たる部分は、第三條の
輸入等の
特例、第四條の
讓渡等の制限の
特例の二箇條でございますが、その前に第一條に
目的があり、第二條に用語の定義がございます。この第二條の用語の定義のうちで、第一項から第七項までに掲げました用語の定義は、
行政協定の
実施に伴う
関税法等の
臨時特例に関する
法律案における定義と、全然同一でございます。第八項製造ただこの定義、第九項製造たばこ用巻紙の定義、第十項塩の定義、これらは現在の専売
関係の法規における定義に照応した
規定に相な
つております。
なお次に実体
規定といたしまして
輸入等の
特例第三條があります。現在の
たばこ専売法または塩専売法におきましては、
輸入の
関係は、
日本専売公社が自分でやるが、そうでないほかの人の場合には、公社の委託または許可を受けなければならない。委託または許可を受けないで普通の人が
輸入するということは、禁止をされているわけでございます。その
一般的な禁止に対しまして、ここに掲げておりまするような四つの場合には、専売公社の委託または許可を受けないで、
輸入ができるという
特例を
規定したわけでございます。
まずその第一号は、合衆国軍隊が軍用で
輸入する場合で、その軍用に供するために
輸入することについて、合衆国軍隊の権限ある官憲により証明がなされた場合でございます。第二号は、PX等の軍人用販売
機関等に合衆国軍隊の構成員、軍属、その家族、契約者等の用に供するために
輸入する場合で、これも第一号の場合と同様に、合衆国軍隊の権限ある官憲により証明された場合という限定がついております。この一号と二号は、その一定の資格を持
つた人が一定の
目的で
輸入する場合には、法文上はその数量についての制限はない、それに必要なだけの
輸入ができるということに相な
つております。
次に第三号、これはいわゆる
日本に入国する場合の携帯
輸入の場合の
規定でございまして、この場合には、軍隊の構成員、軍属あるいは家族等がその私の用に供するために、携帯
輸入して来るという場合でありまして、この場合には数量の制限をつけております。その数量の制限のつけ方は、携帯
輸入して入
つて来る場合の成年者一人につき——というのは未成年者は排除する意味でありまして、成年者一人につき、二百本以上の紙巻タバコもしくは二百グラム以内の刻みとかパイプとかいうふうなタバコ、あるいは相当量の塩、そういうふうなものは携帯
輸入ができるということに
規定いたしました。
それから第四号は、合衆国の軍事郵便局を通じて郵送される場合でありまして、軍隊の構成員、軍属、家族等の私用に供するために郵送されて来る。この郵送につきましては、特にタバコだけに限定して
規定してございます。たとえばクリスマスのプレゼントでありまするとか、あるいはある人の誕生日に、アメリカにある家族から軍事郵便で送
つて来るとか、あるいは特殊の嗜好を持
つた人が、本国からタバコを取寄せるというふうな場合が想像されるわけでありまして、この場合には「二百本以内の紙巻たばこ又は二百グラム以内のその他の製造たばこ」——ここに二百グラム以内「の」という字が落ちておりましたので、正誤でも
つて訂正してございます。それを軍事郵便局を通じて郵送される場合、この四つの場合に、
日本専売公社の委託または許可を受けないで、
輸入ができるということでございます。
なおその第二項の方には、
関税法等の
臨時特例との
関係を
規定いたしておりまするが、
関税法の方の
臨時特例の
法律の第六條第四号または第六号の
規定これは
関税の
免除に関する
規定でございますが、この場合には、こちらの
法律の三條の三号あるいは四号で数量の制限がございますから、この制限を越えない部分について
関税を
免除する、そういう
規定に相な
つております。
それから次に、第四條の
讓渡等の制限の
特例でございます。これは現在の
たばこ専売法六十六條におきまして、公社の売り渡さないタバコを所有したり所持したり、あるいは讓り渡しあるいは讓り受けというふうなことをしてはならないという禁止
規定がございます。條約
発効後におきましては、アメリカの軍隊の構成員であ
つても、軍属であ
つても、ひとしくこの
たばこ専売法六十六條の禁止
規定の適用を受けるわけでございますが、特にこの際一考を要することは、第三條の
輸入等の
特例でも
つて輸入された製造タバコは、そういうふうな
特例によ
つて輸入し得る資格を持
つた特定の仲間の間では、たとえば軍人、軍属の仲間同士、あるいは家族同士という間では、
一般的な禁止にかかわらず、讓り渡したり、讓り受けしてもよろしいということを
規定したわけでございまして、もし
日本人に讓り渡したという事態が起りましたら、そのときは現在の
たばこ専売法六十六條違反で、三年以下の懲役、三十万円以下の罰金というふうな罰則の
規定が、アメリカの軍人にもかかるというふうな
法律構成に相なるわけであります。
一般的な禁止に対して特定の資格を持
つた人たち同士の間の讓り渡し、讓り受けを、ここで特に認めたという條文に相な
つております。大体以上の通りで、ございまして、第四條につきましては、たとえばアメリカの軍人、軍属が、特定の方法で
輸入したタバコを
日本人に
讓渡してはいけないというふうに書くことも、
一つの方法かとも思いますが、そのこと自体はすでに現行法で
規定がございますので、ここでは、こういう特定の場合だけは讓り渡し、讓り受けができるということを
規定いたしまして、あとの禁止は現行法に讓
つてあるわけでございます。