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1952-03-01 第13回国会 衆議院 大蔵委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月一日(土曜日)     午前十一時六分開議  出席委員    委員長 佐藤 重遠君    理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君    理事 佐久間 徹君 理事 内藤 友明君       有田 二郎君    川野 芳滿君       宮幡  靖君    宮原幸三郎君       武藤 嘉一君    宮腰 喜助君       前田榮之助君    高田 富之君       深澤 義守君    上林與市郎君       中野 四郎君  出席政府委員         大蔵事務官         (主税局長)  平田敬一郎君         大蔵事務官         (主税局税制課         長)      泉 美之松君         国税庁長官   高橋  衞君  委員外出席者         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 三月一日  委員松尾トシ子君及び久保田鶴松君辞任につき、  その補欠として前田榮之助君及び上林與市郎君  が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  二九号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  三〇号)  相続税法の一部を改正する法律案内閣提出第  三一号)  砂糖消費税法の一部を改正する法律案内閣提  出第三二号)  税制改正に関する件     —————————————
  2. 佐藤重遠

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  所得税法の一部を改正する法律案外三税法案一括議題といたしまして、前会に引続き質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許します。有田二郎君。
  3. 有田二郎

    有田(二)委員 一点だけお尋ねいたします。物品税証紙の問題でありますが、先般の予算委員会分科会説明を聞いたのですが、調査課長答弁では不十分でした。私は物品税証紙を出すことは、なるほど成績が上るかもしれませんが、大体取引高税と同じようなものになる。そのときの調査課長答弁では、ほかのものも出しておられたのですが、あとで訂正されております。物品税証紙の点と、それから納税貯蓄組合に六千六百三十八万円という補助金が出ておるのですが、この納税貯蓄組合補助金運営方法と、それから物品税証紙がどういうものにかかつておるか、それがどういうような成績が上つておるか、こういうものはなくていいものじやないか、やるならばこれは全部やるべきであつて、一部だけやるというのは妥当ではないと思いますが、御所見を承りたい。
  4. 平田敬一郎

    平田政府委員 物品税につきましては、たしか前々国会でありましたか、証紙制度をお認め願いまして、若干の品目につきまして実行いたしておる次第でございます。今実行いたしておりますのは、嗜好食料カバントランクあめサッカリンズルチン清涼飲料に限つて実行いたしておる次第でございますが、私はこの物品税の適正な施行を確保する意味におきまして、このような制度は、考え方としては、やはり一つのいい制度ではないか、ただ納税者手数なり、便利等に与える影響もありますので、いかなるものに実行するかにつきましては、深甚な注意を払わなくちやならぬということは、当委員会におきましても十分御要望を承りましたので、私どもとしましても、どのようなものに証紙を貼付すべきかという点につきましては、慎重な態度をもつて臨む考えでおるのでございます。従いまして今後これを拡張するような場合におきましては、もちろん当委員会等にもよくおはかりいたしましてきめたい。今のところこの実行いたしておりますものを、さらに拡張するつもりはございませんが、状況によつてはまたよく検討しまして、十分理由のあるものはよく御相談しまして、きめたいと考えておるのでございます。この制度はやはりまじめな業者にとりましては、手数はかかりますが、非常にいい制度でございます。アウトサイダーとかあるいは脱税を事とするような業者には痛いのでございますが、そういうことによりまして本制度が適正な実行にも役立ち、かつまじめな業者の利益もそれによつて間接に確保されるということになりますれば、私は若干手数はかかりましても、やはりこういう制度をある程度実行した方がいいのじやないかと、現在のところそういう考え方を持つております。
  5. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 前の国会におきまして、納税貯蓄組合法が制定されまして、それに基いて昨年以来これが設立を勧奨して参つた次第でありますが、ただいまのところ、昨年の十一月、ころの統計でございますが、約一万三千程度組合設立されておるわけであります。これは地方税にもずいぶん関係がありますので、地方公共団体と緊密な連絡をとりまして、それぞれこれが設立を勧奨して行きたいというふうに考えております。補助金につきましては、当初は大体組合員三十名程度以上のものに、最低二千円程度補助金を年間出すように計画いたしておりましたが、その後の実施状況等から考えまして、いかにも金額が少な過ぎるというふうな観点から、これを倍額程度に引上げたいと考えておる次第であります。
  6. 有田二郎

    有田(二)委員 納税組合の点はまことにけつこうなことで、議員提出法案として納税貯蓄組合をつくつておきながら、これに対する補助金がないというようなことは、まことに片手落ちで、当時あと考えるということで、この法案を通したのであります。この運営については、十分ひとつ国税庁の方で力を入れていただいて、貯蓄納税組合の振興に御尽力願いたいと思います。  それから主税局長から御答弁のありました点ですが、物品税証紙製造費は、二千百三十九万円に上つておるわけであります。今御答弁になりました商品のうち、一品々々例をあげて、どこへどういう証紙張つてどうしておるか、現実にやられておるもののうち、やられてないものがないかどうか伺いたい。規則できめて、証紙は張るべきだといつて証紙を印刷する予算として、ここで二千百三十九万円という多額の国費が使われておるわけですが、実績が上つているものは別でありますが、実績の上つていないものは、かえつて規定できめるために問題を起す。公文書偽造あるいはいろいろな犯罪が伴つて来るわけで、物品税脱税だけでなくて、いろいろな問題がここに招来されて来るわけです。ですから国税庁あるいは主税局側から見れば、あるいは便宜で正しいのかもしれないけれども現状日本段階でいつては、かえつてそこにいろいろな犯罪を招来するという危險性もなきにしもあらずです。私は証紙を張ることは絶対いけないとは申し上げないけれども現状証紙の中で有名無実のものがないか。全部張られておるのかどうか。この点を一品々々例をあげて御説明願いたいと思います。
  7. 平田敬一郎

    平田政府委員 最初に、先ほどの説明の補足を申し上げておきます。先ほど有田さんから、取引高税証紙類似ではないかというお尋ねでございますが、取引高税証紙は、御存じの通り金額はつきりしておりまして、取引金額に応じて一種の印紙で納めるといつた、証紙それ自体印紙類似のものであつたのでありますが、この証紙はそういうものではございませんで、納税をしたということを確認するための証明の書類ということで、金額表示はいたしておりません。従いまして業者が実存いたします際におきましても、比較的取引高税印紙に比べますと、扱いが簡單であるということは言い得るかと存じます。  それから今申し上げましたように、実行いたしておりますのは五品目に限つておるわけでございますが、やはりこういうものにつきましては——実行の詳細につきましては、あるいは国税庁からお話申し上げた方がいいかもしれませんが、反則物件と申しますか、証紙張つてないものを店頭等で見つけた場合におきましては、ただちに脱税調査がしやすく、それによりまして先ほど申しましたように適正な実行を確保できますのと、まじめな業者競争と申しますか、脱税品との競争上の立場を公正にしてやる、こういう意味合いにおきまして、私はこういう制度はあつた方がいいのではないか。著しく手数がかかりまして、非常にマイナスの方が多いというようなものにつきまして、やたらに拡張することはこれまたおもしろくない。そういう意味で何に張らせるかということは、はつきり大蔵省の告示で品目を限定しでやつております。限定して厳正に証紙を張らせるということにいたしまして、張つてないものを発見した場合におきましては、適当にこれを調査する。そういうことによつて初めてこういう制度が生きて来る。こういうふうに考えておる次第であります。今御指摘がございましたが、これだけの物品税の税目で上げております收入も、実は相当なものでございまして、清涼飲料税收入は約八億円、嗜好飲料が約十二億円、それからカバントランク類が一億八千万円、あめは御承知通りサッカリンズルチン等が約一億五千万円程度税額に対しまして、今御指摘になりました程度証紙製造費でございますので、そう経費倒れになつておるとも実は考えていない次第でございます。しかし今後そのような問題につきましては、さらによく検討いたしまして、今私が申し上げました趣旨を逸脱しないように注意いたしたいと思います。
  8. 有田二郎

    有田(二)委員 私は証紙に反対いたしておるのでは決してないので、たとえば映画館なり芝居の入場税の場合を見ましても、お客から入場税をとつておいて、これが納税されていないという例は枚挙にいとまなく、全国に幾多ある。そうするとこれは公金横領になり公金費消になり、非常に重い犯罪になつて来る。むしろ私はこういう映画館入場税というようなものは、地方税であるけれども、各都道府県が証紙のようなものを出して、それによつて一定税額が上れば、入場税なんかは下げて行く方が、私は正しいやり方ではないかと思う。現状ではたしか五割ですか十割ですか、率は忘れましたけれども一般入場者から税金をとつておいて、納める税金は話合いで少くしている。これは法律的にいうと、公金費消になり横領罪も成立し、いろいろなものが成立する。こういうような税のあり方というものは私はおもしろくないと思う。証紙そのものには私は決して反対をいたしておるのではない。今申しましたように、大体清涼飲料水には限られておるのでしようが、私たちは夏場になるとサイダーなりラムネなりを飲みますが、証紙を張られている例はあまり見たことがない。実際において行われない証紙を、そういうふうに張る制度をつくることによつて税金以外の犯罪を犯させるというようなことはいけないので、証紙をおやりになることはけつこうだが、よく大蔵委員会のわれわれと御相談願つて、そうして業者をして知らない間に破廉恥罪を犯させることのないような、税の運営方法が必要であると思います。これに対して御所見を承りたい。
  9. 平田敬一郎

    平田政府委員 有田さんの御意見趣旨はまつたく同感でございまして、なるべくそのようなことがないようなものを選んで、選んでやらせるものにつきましては少し厳正に実行させて、そうして目的を達成して行くということでなければこの目的は達しがたい。このような点はまつたく同感であります。ラムネの点につきましては国税庁の何でございますが、実行しておるのではないかと思います。その点はよく調べまして、よく実際に応ずるように検討して行きたいと思います。
  10. 宮幡靖

    宮幡委員 大体ただいま議題になつておる三税法改正につきましては、質問は尽きておるわけであります。新たに行政協定の調印が済んだという面で、税に関しまする事柄について将来もつと深くお尋ねをする機会もあるだろうと思いますが、さしあたつての大綱だけをごく事務的に伺つてみたい。行政協定の第十一條、第十二條あたりがおもに税に関係のあることのように思うのでありますが、その二條について考えてみましても、どうもこれに伴いますところの国内の何らかの立法措置、必ずしも法律とは言いませんが、政令なりあるいは省令なりというようなものを、相当用意する必要があるのではなかろうかと思います。そういう点につきまして、現在大蔵当局としてお考えになつておりまするところの構想は、どういう構想ですか。
  11. 平田敬一郎

    平田政府委員 行政協定に伴いまする立法措置は、課税に関しましては特に大部分が立法事項だと考えておる次第でありまして、十一條、十二條、十三條、十四條、十五條等に関連しまして、それぞれ税法特例に関する法律案でございますか、そういうものをなるべく早くとりまとめまして、国会に提出しまして御審議を煩わすことにいたす考えでございます。
  12. 宮幡靖

    宮幡委員 その点はつきりいたしましたが、これはなかなか準備手数も日数も要すると思いますので、急ぐこともどうかと思います。行政協定に伴います予備作業班というものが、作業を開始する段階になつておりますが、大よそのお見通しとしましては、いつごろならそれらの法律を当委員会審議する運びになりますか。これは違つてもやむを得ませんが、現在のお見通しとしてどの程度でありますか。
  13. 平田敬一郎

    平田政府委員 行政協定の中の課税に関する関係は、協定自体はつきりさせる必要があるという意味におきまして、あまり漠然とした條項ではなくて、これは協定でいろいろ話合いいたしました結果、相当具体的になつております。そこまで到達いたします間に、私ども専門家の間にたびたび先方とも実は御協議願つたようなわけでありまして、従いまして協定自体で大体内容が明らかになつております。今後予備作業班等で問題にすることは、比較的少くて、むしろそれをいかにして税法特例といたしまして、法文化するかという問題が残つております。これは主として主税局だけでできますので、今慎重に作成いたしまして、もちろん法制意見局の審査を経てでございますが、なるべく早く国会に提案して御審議をいただきたい。ただ今のところ、いつごろという日にちはちよつと申し上げることができないことを、御了承願いたいと思います。
  14. 宮幡靖

    宮幡委員 ただいま主税局長さんから御説明のありましたように、協定自身の中に税の関係は割合はつきり出ておる。従つてもつと大きな意味でいいますと、協定自身で何か省令でも設けてもらつたらやれるのではないかという感じもいたしますが、それは国会の権威にかけてぜひ法律審議をいたしたい。その準備があるということでありますから、この点については、なるべく早い機会にお見せを願うということでけつこうだと思います。  それでこまかい問題を一、二参考のために伺つておきますが、この十一條関係で、米国軍人及び軍属、それらの家族が消費する物資輸入関税免除をせられるために、これらの無税物資国内横流れをする。かつてOSS物資が銀座の店頭まで出た。一例をいえばチヨコレート、バナナということも言えるわけであります。そういうことでどうも関税免除を受ける特権者でない者に、横流れするというおそれが非常にあるのであります。もちろん行政協定の中にも、資格のない者に販売することを禁止するとはなつておるのでありますが、これらの点につきましては、ただいままで専門委員として、行政協定に伴う事務的のお話をいたした上におきまして、大体どんなふうなお見通しになつておりますか。どうしたらこの横流れが防止できるか。ひいてはこれらの横流れによりまして、国内産業を圧迫するというようなおそれはないか。これらの点につきまして従来お取扱いになり、あるいは交渉を続けました内容に現われました程度けつこうですから、明らかにしていただきたいと思います。
  15. 平田敬一郎

    平田政府委員 今お話趣旨はまつたくもつともでありまして、私どももそのようなことが懸念されますので、この協定の、特に今のこの十一條の中におきましても、第八項の規定を入れていただきまして、今後そういうような事実を日本政府において発見しました場合には、すぐ先方の適当な機関に連絡いたしまして、必要な措置をとつてもらいますし、また相互に資料交換等もいたしまして、でき得る限りそのようなことを防止するように、適切な措置を講じたい。そういうことに関するごく細目実行上の点につきましては、これはあるいは今後の具体的な協議にまつということに相なるかと思いますが、根本の趣旨といたしましては、両国政府がこのようなことにつきまして、誠意をもつて必要な措置をとらねばならぬという規定を、はつきりここに挿入していただいたような次第でありますので、そういう点はよく運営にあたりまして、注意して行くべきものだと考えております。
  16. 宮幡靖

    宮幡委員 ただいまの御答弁で第十一條の八項という御指摘がありまして、これには明らかに特権の濫用を防止するため必要な措置という言葉で出ておるわけであります。防止するため必要な措置と申しまするが、さてなかなか防止しにくかつた。これは占領下にあると独立いたしたとの違いがあるかもしれませんが、かつてOSS物資横流れを防遏する措置などというものにつきましては、はなはだ困難を感じた。特にコンヴアーテイーブル円関係もなくなりました関係で、さらに横流れというものについては十分の警戒をしなければならない。これはひとつ一段の御研究を願いまして、法律案なりあるいはその他の行政措置として拝見いたしますまでには、十分われわれ委員会の納得のできるように、ひとつ御検討をいただきたい。これは希望としてお願いをいたしておきます。  そこで同時に関連しまして、免税で輸入いたしましたものを再輸出できることになります。無税無課金で再輸出できる。このことは当然の理論でありまして、常識的に字を読んでいささかもふしぎに感じませんが、これがしばしば繰返されるということになりますと、税の面から見て何か日本国内に、自由貿易地帯というようなものが設定されたような形になる。あるいは無税で入りました物資と有税の物資と積み合せ、あるいは梱包がえ等をいたしまして輸出されるというようなことが——もちろんアメリカの軍人軍属等はおやりにならないでしようが、それらにまつわつてあるいは第三国人というようなものがいろいろ関係して、そこに糸をつなぎまして、この制度を利用するというおそれが絶無でないと私は思うのです。そこで免税品の再輸出というものは、その輸入せられました原形のままの再輸出を認めるのか、あるいは加工変形等をいたしまして、あるいは他の商品組合せ等をいたしましての再輸出を認めるのかどうか、この点につきまして現在主税局としてお考えになつている御構想を、明らかにしていただきたいと思います。
  17. 平田敬一郎

    平田政府委員 この規定は一旦軍の必要とか、あるいはPX必要等に応じまして、日本に持つて来てみたが、どうも日本では結局使いものにならなくて、元にもどす、こういう場合の規定と私は了解いたしております。従いまして御指摘のように加工するとかなんとかいうようなことは、まずあまり予想していないのでございます。そのような点につきまして、なお細目の点はよく考えてみたいと思いますが、そういう心配はまずなかろう。大体輸入品につきまして積みもどすについては、今の関税定率法におきましても、税金をとらないで積みもどしを認めるというような規定もございますし、その点につきましては、それほど弊害はなかろうと思う次第でございますが、御指摘のような点は今後実行します上においてよく注意いたしまして、適当な考え方をまとめて行きたいと思う次第でございます。
  18. 宮幡靖

    宮幡委員 行政協定條文やその他常識的に考えれば、ほとんど心配のないということが適当な言葉だと思います。それに対して私自身も疑問を持たぬわけでありますが、その物資PX、酒保というような関係に入ります物資でありますと、なかなかそういう対象に行かぬのであります。行政協定につきましても、国民の間においても多少の異論者もあるわけであります。そこで実施の面におきまして、これらがもし弊害を生み、先ほどの物資横流れとあわせ考えまして、この行政協定の結果として、国民が苦しむのではないかというような声が現われて参りますと、これはやはり行政上の大きな失敗になるであろう。そういう建前からただいま主税局長さんからも慎重に考える。こういうお話で、それで現状は満足でありますが、十分この点について留意せられまして、立法措置を講ぜられんことを、これまた要望いたしておくわけであります。  次に第十二條関係物品税免除ということが一つあります。これはほかにもいろいろな問題があると思いますが、ただいまは一々こういう問題を検討するのは、少し時期尚早であろうと思いますので、次の機会にまたお伺いいたします。ただ物品税免除すると單純に書いてあるのでありますが、御承知のように日本物品税消費者転嫁の税で、価格税込みでありますが、その物品税免除いたしましたときの価格表示はどうなるか、必ずしもマル公というのではありませんが、一般市価日本商品は百円だ、物品税を三割含んでおる、こういうようなことで、ごく算術的なわかりやすい勘定をすれば、三割引いたら七十円だというような処置で取扱うのか、どうしてこれはお取扱いになるのか、そういつた転嫁の税を差引くという方法は、どういうふうにおやりになるのか、お伺いいたします。
  19. 平田敬一郎

    平田政府委員 今の点は、公定価格があります場合におきましては、物品税込み物品税抜きはつきり価格表示してやりますので、おのずから政府で明らかにしなければならぬと思いますが、公定価格がない場合におきましては、税金免除するということをきめるだけで、あと当事者間の契約にまかされるということになるかと思います。幾ら税金を負けたのだから、必ずそれだけ割引して売らなければならぬとか、あるいは税金軽減額よりも若干高く売つておる場合には、不当だということには相ならないかと思うのでございまして、それはおのずから契約当事者間の契約によつて、きまるものではないかと思います。そのことはひとりこの問題だけではなく、たとえば学校の教育用品等には、物品税免除いたしております。そういうような問題と同じような法律関係に、相なつて行くのではないかと思う次第でございます。
  20. 宮幡靖

    宮幡委員 なおこの問題については、後日細目にわたつてお尋ねすることにいたしまして、この程度にとどめておきます。  そこで、ただいま審議が終ろうとしております所得税法改正のことについて、一点だけ確かめておきます。社会保險制度によります收入源泉徴收、これはとり過ぎになるという巷間の声が非常に多いのでありまして、とり過ぎにならない程度行政措置をしていただきたい、こう思うのでありますが、ただいまのお見通しとしまして、具体的にいえば五万円なり六万円なり、あるいは四万円になるというような考え方になるでしようが、どの程度が適当であるとお考えになつておりますか。それがいろいろな事情でかわりましても、それは主税局長がこの委員会におよその目安を示してやることが、いろいろな関係において国民安心感を与える、そういう意味で善処していただきたい。そのお見通しがありましたら、この際はつきりしていただきたいと思います。
  21. 平田敬一郎

    平田政府委員 医師の診療收入源泉課税の問題につきましては、先般の委員会におきましてもたびたび御審議を願いまして、お答えいたしたのでございますが、私どももできるだけとり過ぎがないような必要な措置を講ずる、こういう意味におきまして、その命令一定の額を限度といたしまして、それを越える場合にだけ源泉課税をするというふうに法文がなつておりますので、その命令をきめます際に、今お話のありましたような妥当な額をきめたいと、今具体的にその資料を集めさせておるのでございますが、その命令施行につきましては、別途に当委員会にお諮りいたしました上で決定するということで、御了承願いたいと存ずる次第でございます。
  22. 宮幡靖

    宮幡委員 これで終ります。
  23. 佐藤重遠

  24. 深澤義守

    深澤委員 主税局長にお伺いいたしますが、日本税制占領下に置かれまして、いわゆるシヤウプ勧告によつて非常な改正をやりました。それでシヤウプ勧告というものが金科玉條のごとく、非常にたつとばれたのでありますが、すでに占領状態も終るという段階になりましたので、もちろん、いい分はいいのでありますが、非常に悪い分はシヤウプ勧告にこだわる必要はないと考えます。そこでまず勤労控除の問題でありますが、勤労控除は従来二五%であつたものが一五%に引下げられた。これはシヤウプ勧告の強い要望によるところに、その根拠があると思うのでありますが、今日勤労者が税金を天引きに源泉徴收されるということは、その生活上に非常な苦痛を感ずるのであります。従つて従前のごとく勤労控除を一五%から二五%に復活させる用意があるかどうか。その点についてまず主税局長にお伺いしたいと思います。
  25. 平田敬一郎

    平田政府委員 今の問題はたしかすでにたびたびお答え申し上げた次第でございまして、農民の勤労控除の問題、その他あるいは勤労控除の一五%をすえ置くにしても、三万円がいいかどうかの問題、そういう問題につきましては将来よく研究しようということで、お答えしておるわけでございます。今すぐ引上げるということにつきましては、この際言明いたしかねることを御了承願いたいと思います。なおシヤウプ勧告は一〇%と勧告したのでございます。私ども日本の実情におきまして、一五%が妥当であるということで一五%にいたしまして、今実行いたしておる次第でございます。
  26. 深澤義守

    深澤委員 それから私は農村の所得税関係について、ちよつとお伺いしたいのでありますが、税務署は農村の所得を計算する場合に、すでに三等米の基準の価格をもつて計算をしているのであります。ところが全国の米価の検査の結果によりますと、特に昭和二十五年以降は四等米がその六割以上を占め、三等米はわずかに三割ないし四割にしかすぎない。そういたしますと、現実に農民は四等米の価格政府に売り渡しているにもかかわらず、三等米の価格で全部計算されているという結果になつているのでありますが、この点は農村の所得税計算の上において、私は不当なやり方であると考えております。これを実情に即して、四等米で検査を受けて政府に売り渡したならば、その四等米の値段で所得は計算すべきであると考えるが、この点はどういうぐあいに考えられておりますか。
  27. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 農村の所得の計算にあたりましては、ただいまお話のように三等米ときめておくわけじやございません。大体実績によりまして、平均米価をとつて、それに基いて所得の計算をいたしております。しこうしていつでも地方によりましては、相当災害があつたり、または特にいもちその他の病害等がありました場合には、等級が一般的に非常に低くなるというのが実例であり、また五等米というふうな等外の米も、相当できるというふうな場合があるのでございます。そういうふうな場合におきましては、特に自家用米等につきましては、さらに供出によるところの平均米価以下の米価でもつて、算定するというふうなこともいたしまして、その土地の実情に適合するようにいたしておる次第でございます。
  28. 深澤義守

    深澤委員 その保有米の中には、等外あるいはくず米等がたくさんあります。大体等外くず米等は、どこの農家でも保有米の中で大体二五%程度はあるのが通例であります。ところが政府はこの等外くず米のパーセンテージを、一〇%程度しか認めないというのが大体通例であります。農民が供出するものはいいものを出し、自分の食べるものは悪いものを食べるという形で、相当のくず米が農家の手元には残るのであります。その自家用米のくず米並びに等外米を、二五%くらい認められるのが私は当然であり、それが農村の実情に即するやり方であると考えますが、大体一〇%程度しか認めないという実情であります。この点私は実情に即して訂正すべきであると考えます。一体全国的にこのくず米、あるいは等外米が、農家保有米の中で何パーセントくらい含まれているのかということが、私は全国平均として一応つかまれていると思うのですが、それはどういうぐあいにつかまれておりますか。
  29. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 保有米の等級がいかがであるかということにつきましては、これは供出の場合におきましては、検査をいたしますのではつきり態勢がつかめるのでありますが、非常に困難な問題でありまして、勢いこれは推定によらざるを得ないのであります。推定といたしましては、先ほどお話いたしましたように、たとえば災害等がありました場合、特に病害等のあつた場合においては、自然保有米というものが質的に下るということは十分に推定できるのでありますが、しからざる場合におきましては、保有米であるから質の悪いものが非常に多くなる。というふうな推定もいたしかねるのであります。従つて保有米について、特に等外米であるとかくず米というものを多く見るということは、かえつて実情に即さない場合があるのじやないかというふうに考える次第であります。
  30. 深澤義守

    深澤委員 そういう国税庁長官考え方というものは、まつたく日本の農村の実情を無視し、農民の生活状態を知らないものであります。日本の農民が供出するためには、いいものを出し、自分の食うものはくず米でもよろしいというこの観念は、伝統的な日本の農民の精神であります。これをくみとらずして税制考えるということでは、決して農民に対して適正な課税はできない、こういうことを私は考えるのであります。  それからもう一つの問題といたしまして、農村課税の場合において、農家が養鶏をするということは、これは当然に農家に付随した仕事であります。ところが鶏三羽飼つてつても、一羽に対して四百円の所得と見る、こういうやり方をやつております。また裏の庭にかきの木が一本あれば、そのかきの木の所得が幾らあるという計算をする。これは隣近所でやつたりとつたり、あるいは子供が食べたりする。所得ではないのです。これは現にやつているのです。こういうふうな問題がありますので、私はその税務当局の最高責任者は、よろしく農村の実情をもつと十分つかんでもらいたいと思うわけです。  そこでもう一つ私が最後にお伺いしたいのは、先般会計検査院が予算の決算にあたりまして、各官庁の不正あるいは濫費を指摘しております。ところが驚くなかれ、大蔵省がその各官庁の費用の不正濫費の最高に達しております。大蔵当局だけでも、会計検査院が指摘しているところは、不正が三千五百六十一万円、濫費は実に十一億あると指摘されております。これは読売新聞の指摘するところによりますれば、氷山の一角にすぎないといつております。しかもその大蔵省の不正の中で、一番大きいのは税務署関係である。札幌国税局外三国税局、並びに日本橋税務署外四十税務署が、架空の経費計算をやつておるということで指摘されておるのであります。それから不正の行為については、神田の税務署外五十三税務署が、この不正の処理をしておるということが指摘されておるのであります。これは国税庁長官の重大なる責任であると私は思う。一般納税者に対してはまつたく強奪的な徴税をやつておき、税務署員並びにその税務署の関係者が、この税金を不正にあるいは濫費に使用するということは、まつたく日本の税務当局の権威を失墜するものであると、私は考えるのであります。この点について国税庁長官はどういう考えを持ち、どういう責任をとられるか、それをひとつお伺いしたい。
  31. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 農村の所得につきまして、鶏三羽、かきの木一本というようなことを非難されましたのは、実は三年くらい前の話でありまして、今日はそういうことはいたしておりません。(「三年くらい前じやない、今もやつておる」と呼ぶ者あり)いや、現在はやつておりません。     〔発言する者多し〕
  32. 佐藤重遠

    佐藤委員長 静粛に願います。
  33. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 なおただいま二十五年度の会計検査院の決算の検査報告に、税関係で、架空の支出をしたものというのが、千七百万円ばかり批難事項としてあがつておるのでありますが、これは私どもも非常に遺憾に存じておるところであります。会計の職員が非常にふなれであるというふうな関係上、正当費目で当然出し得るものを、一応他の費目で出して、そうしてあとから訂正しておるというふうなものであります。中味は、たとえば物品購入代を通信費等で出した、または自動車の使用料等を他の費目で出したというふうな種類のものが、ほとんど大部分を占めておるのでありまして、これは経費の支出そのものには、私ども何ら遺憾な点がないと思いますが、費目を誤つたという面におきまして、会計の職員が非常にふなれであるという関係からいたしまして、いかにも遺憾に存ずる点であります。将来はこういう点を漸次訓練いたして、なくするようにいたしたいと考えておるのであります。
  34. 佐藤重遠

    佐藤委員長 ほかに御質疑はございませんか。
  35. 奧村又十郎

    ○奧村委員 ただいま議題となつておりまする税法四案のうち、所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案、及び相続税法の一部を改正する法律案の主税法案につきましては、すでに質疑も尽されたと思われますので、この際右三税法案については質疑を打切り、ただちに討論に入られんことを望みます。
  36. 佐藤重遠

    佐藤委員長 ただいまの奥村君の動議のごとく決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 佐藤重遠

    佐藤委員長 御異議なきようですから、右税法三案につきましては、以上をもつて質疑を打切ることといたします。  これより、所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案相続税法の一部を改正する法律案の、税法三案を一括議題として討論に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。奧村又十郎君。
  38. 奧村又十郎

    ○奧村委員 私はただいま提案の税法法案について、自由党を代表して賛成の意を表するものであります。  われわれは、今国会に独立第一年度の予算審議したのでありますが、独立に伴うところの新たなる経費の計上、その他内政費の増額をいたしたのでありますが、一方税法上においては、調整あるいは減税を行いまして、結局約八百億円の税法上の減税を断行せんとしておりますことは、まことに適当な処置であると存じ、政府の努力に心から敬意を表するものであります。この法案に反対の諸君は、相もかわらず減税にあらずして増税であり、水増し課税だと称しておられるのでありますが、税の自然増收と税法上の減税とをごつちやにして申されることは、いやしくも国会議員の言論として、責任のあるお言葉ではなかろうと思うのであります。  なるほど法人税は、昨年度の当初予算と比べますと、今年度予算は約千億円の増收を見込んでおるのでありますが、そのうちの大部分は、特需あるいは輸出産業の発展と、生産活動の回復に伴う会社法人等の純益増加に伴うものでありまして、利益が増加して税收が自然増收されるということは、これは当然であります。むしろこれら会社法人にこれほどの純益を上げるに至らしめた、すなわち税源をここまで培養したわが党内閣の政策の成功こそ、認めらるべきであろうと思うのであります。なおしかもこの増收を見込める法人税に対して、この一月一日からこの上二割増徴をいたさんとしておるのであります。この法人税の大部分は、反対の諸君の認められるように、いわゆる資本家の利潤に課税されるものでありますが、われわれが率先この資本家に、また二割増徴を断行して、もつて大衆課税を軽減せんとしておるのであります。そこで野党諸君のいわゆる水増し課税とは何をさすのであるか、この委員会でも種々議論になつたのでありますが、おそらくただいま実施中の申告所得税の実施面について申しておられると思うのであります。そこでわれわれは最も正確な数字をもつて、これを検討してみようと思うのであります。  昭和二十四年度の申告所得税の当初予算が千九百億円でありました。二十五年度は同じく当初予算千五百億円であつた。今回の予算がわずかに千二十億円に減少しておるのであります。しかもこれを実際徴税面で見ますと、その徴收額は昭和二十四年度は予算よりも六百億円赤字を出して、千三百七十億円、昭和二十五年度は、九百億円余り当初予算と比べて厖大な減收となつておるのでありまして、今年度においてもなおまた相当減收は避けられまいと思うのであります。なぜかかる減收を来したか。個人が法人にかわつたり、あるいは合算課税を廃止したり、あるいは税率も引下げたり、控除も引上げたり、いろいろ影響もあるが、一方において課税の把握が十分にできていないという点も、おおうことはできないのであります。水増し課税どころか、課税漏れの多いことが問題であるのであります。これがために勤労所得にかかるところの源泉徴收所得とのつり合いがとれないのが、問題になつておるのであります。勤労者の政党と称する政党の方々は、むしろこの点を鋭く究明せらるべきであろうと思うのであります。むしろわれわれは税務行政の面において、この点を今後究明して是正をいたすべきだと思うのであります。  さてそこで、申告所得税の課税漏れが多いという点の理由の一つには、税法上まだ苛酷な、また実態に沿わない点が多いという理由もありますので、ここでわれわれはこの際源泉徴收分も含めて、なお七百億に達するところの軽減措置を行おうとするのでありまして、これはまことに適当な措置考えるのであります。そこでその具体的内容につきましては、基礎控除の引上げ、税率の引下げ等のほかに、譲渡所得についての十万円の控除を初めて認めたことであります。また相続の場合、いわゆるみなし所得の課税を廃止することと、退職所得に対する大幅な軽減措置であります。現行税制では、死亡の場合には、株式、山林、土地、家屋等は、死亡のときに時価で譲渡されたものとみなして、その譲渡所得に一旦所得税がかけられて、その残りの財産にまた相続税がかけられる、こういう二重な課税が行われているのであります。資産の売買の際の譲渡所得に課税するかどうかは、この委員会においても論議の的であつたのでありますが、英国では課税していない、米国でも、この相続の場合のみなし譲渡所得には、課税していないと承知しているのであります。税法に深い伝統のある英国や米国ですら、課税されていないのにかかわらず、日本の、しかも伝統的に長子の家督相続の習慣の強い日本において、このみなし譲渡所得税をかけるということは、いかに学者的理想を追つたとはいえ、あまりに現実無視であつたのであります。今からでもおそくはない。政府が一挙にここに改正せられるということは、まことにけつこうに考えるのであります。しかし過去二年間にわたつて相続せられた方方、特に山林等の所得者であつた方々が、現行税法によつて、一度の相続でもつて税を払うために、所有の山の立木をほとんどまつ裸に売り払つて納税させられた、そういう方々に対しては、今非常にお気の毒であつたと思うのでありまして、これらがまたこの国土の緑化政策に非常な支障となつておつたということを、心から痛感しておるのであります。われわれはこれらの問題のほかにも、かかる不公平、現実にそぐわない税法規定で苦しむ国民が、なお今後ともおられるということを考えるならば、国民に対してそれこそ恥死しなければならぬと思うのであります。  この意味において、この上税法改正の必要なきかを検討して来たのでありますが、勤労所得の控除限度の引上げ、少くとも今の三万円を六万円に当然引上げるべきであります。また株式、山林、その他不動産の譲渡所得を、なお一層実情に即して減税すべきであります。政府はこの方針に沿つて早急に立案し、国会に提案いたすべきであると考えるのであります。これを要望いたしまして、なおその他、法人税の分割納税規定、相続税の減税を含む規定、これらを含めまして、今回の改正案けしごく妥当であると考えまして、心から賛意を表する次第であります。
  39. 佐藤重遠

    佐藤委員長 内藤友明君。
  40. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 私は改進党を代表いたしまして、ただいまの三税法案に対しまして、一、二希望を付しまして賛意を表するものであります。ただ、ただいま奥村君が述べられましたことにつきましては、私どもはいろいろな異論があるのであります。と申しますのは、自由党内閣が資本経営を培養せられたから、その方の税金はよけい納められることになりましたので、すなわち農村でありますとか、中小企業とかいうものをほつたらかしであつたということが、今回のこういう状態になつているのであります。これは私は奥村君の意見には賛成できません。自由党内閣の端的な欠陥がここに現われておりますので、奥村君の説は、これは正直なところを申されたのでありますが、しかしそういう政策にはわれわれは同意しかねておるのであります。今回のこの三税法改正案は、実は私の方から見まするとまだ不十分なところがあるのであります。租税公平の原則にいまだしの感深いものがありますので、将来税法改正されますときに、この点は十分ひとつ織り込んでいただきたいということを希望申し上げます。具体的な内容につきましては、いろいろ質疑等で申し上げましたから、きようはこれを省いておきます。  それからもう一つは相続税の問題でありますが、特に私は農家の相続税につきまして、希望を申し上げたいのでありまして、これはひとつ免除していただきたい。と申しますのは、相続税は大体これは財産税の一種でありまして、富の集中独占を防ぐということが、この税の重要な目的でもあるのであります。シヤウプ勧告もまたこれをうたつておるのであります。ところが農家の資産は、大きいものでせいぜい百万か、百五十万、これが富の集中独占になろうとは、実は考えられないのでありまして、従つてこういう問題につきましては、私は特別な考慮を払う必要があろうと思うのであります。ことに農村では、農業経営上一子相続ということがきわめて大事なことなのでありまして、当事者がその趣旨に従いまして、何とか一括相続したいという希望でいろいろと相談いたしますが、税制の方からその希望意見に反した方向を促進しておるような傾きが、農村に実際多いのであります。これはよくございません。分割相続か一子相続かにつきましては、税制というものは、この問題につきましては、中立の立場におらなければならぬものではないかと考えるのでありまして、次男、三男の問題の解決は、おのずから一つの社会問題として解決すべきものでありますので、税制がそれに容喙するということは、これはいかがかと思うのであります。従つて将来相続税をいろいろと御研究なさるときには、こういう農村の実情をよく御考慮いただきまして、すみやかに免除していただきたい。他にもいろいろ希望がありますけれども、こういう私どもの希望を申し述べまして、一応この三案につきましては、賛成を表するものであります。
  41. 佐藤重遠

    佐藤委員長 前田榮之助君。
  42. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程になつております所得税法の一部を改正する法律案を含むところの三案につきまして、希望を付して賛成を表する次第であります。  この三案とも、提案の理由とされておるところは、負担の軽減とその合理化及び税務の簡素化をはかるという、すなわち負担の軽減と合理化をはかることであるのでありますが、なるほど現行三税法に比べますと、多少の軽減であり、あるいは合理化であるということは認めるのであります。そういう点から一応賛成するわけでございます。しかしながらなおこれでは不十分な点があることを、われわれはこの際指摘いたしまして、希望を付しておきたいと思うのであります。簡單に申し上げますと、大体この三案を通じて考えますことは、もう少し下に厚く上に薄くという合理化が、不十分であるという点であります。たとえば所得税につきましても扶養控除、基礎控除を引上げておる点、なおまた第十三條の税率の点につきましても、数字的には従来よりも減税になつて現われております。しかしながら今日の勤労大衆の生活の実態から申しますと、戦前の物価の点から考えましても、これではなお不十分であることが指摘されると思うのであります。たとえば扶養控除一万五千円が二万円となつておりますが、戦前の物価と今日の物価は大体三百五十倍だと思います。かりに三百倍といたしましても、二万円は六十六円にすぎないのでありまして、月額にすると五円五十銭であります。一人の扶養者を養うのに、月五円五十銭というような金額になるわけであります。それから基礎控除の五万円にいたしましても、戦前の百六十六円にすぎないことになるのであります。それから税率につきましても、八万円と申しますと、今日のわれわれ一般大衆の貧困な生活状態から申しますと、相当な金額に一応見えるのでありますが、これとても今の数字から申し上げますと、年收所得八万円は二百六十六円にすぎない。こういうような者に対して、八万円を越えるものに百分の二十五、二割五分の税率をもつてするということは、過重であると思うのであります。こういう点において、われわれはどうしてももう少し中産階級以下の税率を、引下げなければならぬと思うのであります。しかしながらこういうことをいたしまする政府側の考えといたしましては、今日の敗戦国といたしましてのいろいろ国家財政の困難ということも考えられましよう。その税源をどこに求めるかということも、もちろん考えなければなりませんが、それについてはわれわれは、あるいは三万円以上の高額所得者に対して、従来二百万円以上百分の五十五とあるものを、やはり高率累進課税という従来芦田内閣、片山内閣当時とつて参りましたところの、高率累進課税を課することになりますならば、それらの財源は易々たるものがあると思うのであります。こういう点において、税率全体について、われわれはもう少し下に厚く上に薄い税法改正を要望するわけでございます。  なおまた法人税につきましても、法人は大きい会社も小さい会社もいろいろあるのでありますが、中小の法人が今日の法人税に非常に苦しんでおるという事実は、われわれは認めなければならぬのでありまして、これらのものに対する税率の引下げ等は当然だと思うのであります。しかしながらこの税率を引下げるだけでなしに、われわれはいわゆる特需景気だとか、あるいはまた特別な利益を得ておるところの高額所得者、大会社等については、超過利得税等の税制をも設けて、これら下のものを薄くするために、相当な税金をとるべきだと考えるわけでございます。こういう点を全般的に当局もひとつ考えられ、議会においても相当考えるべきものであるという希望を付しまして、三案に賛成するものであります。
  43. 佐藤重遠

  44. 深澤義守

    深澤委員 私はただいま上程されております所得税改正法案外二法案に対しまして、日本共産党を代表して反対をするものであります。  吉田内閣の税制の背景には、特に今年度においては、われわれは十分指摘しなくちやならぬ問題があるのであります。それはサンフランシスコの調印に基く講和態勢の確立に努力をしているのでありますが、この税制もその一環であるということを、われわれは指摘しなければなりません。しかもその講和態勢の根本は、決して日本の独立と平和と安全の保障ではなくて、それは日本のアメリカヘの隷属であり、アメリカの軍事基地化であり、日本の再軍備であるということは、これは今国会を通じてわれわれは強く指摘しているところであります。従つてこの再軍備費用の捻出のためには、そしてアメリカの忠実なる軍事基地のためには、どうしてもこの財源を大衆課税に求めなければならない、ここにこの税制の根本があるということを、まずわれわれとしては指摘しなければなりません。そういうような観点から、本年度の税收がいかに税法上の減税々々と大わらわに宣伝をいたしましても、事実上予算の上から申しまして、七百七十四億の増税をやつていることは明らかであります。しかしこれだけではまだ足りない。そしていわゆる自然増收というものに期待をいたしているのでありますが、この自然増收というものは、決して自然に税がふえて来るのではなくて、結局所得の査定というものを上から天くだり的に押しつけて、そうして無理やりに強奪しているのが、今日の徴税の実態であるということは、これは納税者自身がよく知つているのであります。  そこでこまかく申し上げますれば、所得税中の勤労所得の問題でありますが、これは現在の物価の上昇に比較いたしまして、給与というものが非常に安いということは、これはもう明らかである。その上に天引き課税をするということは、これは勤労所得を納めている者全部の不平不満であります。この勤労所得税なるものは、われわれは根本的に撤廃すべきであるという主張を持つているのであります。少くとも占領が終りましていよいよ独立になるのだ、その独立後の税制においては、今平田主税局長はシヤウプは一〇%の勧告をしたが、政府日本の実情によつて一五%にした、こう言つておるのでありますが、それまでは二五%の勤労控除をやつておつた。シヤウプ勧告なんというものはこれは占領下税制であるから、こういうものは考えずに、よろしく元の二五%の勤労控除を復活すべきである。これが独立態勢の税制でなくちやいかぬ。それがやれないところに、結局日本の再軍備の税制があるということを、われわれは指摘せざるを得ない。  第二番目は申告納税でありますが、現在日本の農村においては、税務署のとつている方針は、農業に対しまして大体五割増し、六割増し、こういう標準をもつて農業関係の所得の申告を強要いたしております。さらに農民の方は、少くとも政府機関である農林省の統計調査事務所の調査というものを税務署は認めて、それに基いて所得の計算をすべきであるという、まことに妥当な主張をしておるにもかかわらず、税務当局はこの政府機関である農林省の統計調査事務所の数字を無視して、それを上まわるところの所得を農民に要求しておるということでありまして、これは農民自体これに対して非常に不満を持つているのであります。  さらに営業所得の関係におきましては、これは五割増し、六割増しどころじやない。十割増しあるいは二十割増しという苛酷な所得を見積りまして、これを現在押しつけておる。申告慫慂であるとかあるいは申告指導とかいうけれども、現在の納税者は、警察よりも税務署がこわいという状態になつております。その税務署に呼びつけられまして、指導されたり慫慂されたりするのでありますから、これは納税者から申しますれば、強要であります。そうして去年の七割増し、あるいは十割増しという申告を強要されておるというのが、今日の実情であります。決して今日重税の苦しみから、一般納税者はまだ抜け出ることはできないのであります。その一つの証拠は、政府が提出いたしました資料によりましても、昭和二十五年度においては差押えを強行された者が百二十九万八千人ある。そうして物品税の処分を受けた者は二千五百三十八人ある。二十六年度、これはまだ完結しておりませんが、今まででもすでに差押えを強行された者が二十九万五千人、物品税の処分を受けた者が三千四百四十四人という数字が出ておりますが、これをもつてしても、いかに納税者がこの重税のために苦しんでおるかということは、明らかであります。こういうような観点から申しまして、政府がいかに税法上の減税減税と叫んでも、税法上の減税というところにインチキがある。実際上は所得を多く見積ることによつて、重税を強奪しておるのが今日の状況であります。これは全日本納税者の声であります。現在の日本税制に対しては断じて承服しがたいのである。  そういう意味において、私は納税者を代表し、断固としてインチキきわまるところのこの税制改革に対しては反対である、こういうことを申し述べておきます。
  45. 佐藤重遠

  46. 上林與市郎

    ○上林委員 私は日本社会党第二十三控室を代表いたしまして、ただいま議題となつておりまする三税法案について、強い條件を付して賛成するものであります。  主税法案は、負担の軽減と合理化をはかるものであるという意味において、賛成するものでありますが、その意味においていまだ足らざるものがございますので、具体的に今後早急に改正すべき問題点を指摘いたしまして、賛成いたしたいと思います。  まず第一に、所得税法の一部を改正する法律案でありますが、この法律案につきまして早急に改正しなければならないと思われる点は、基礎控除は現行五万円でありますが、これを六万円に引上げる。扶養控除を三人まで三万円、四人から二万円に引上げる。勤労控除は所得三十万円まで二〇%とすること、但し農漁民、中小企業にも適用する。不具者、老年者、寡婦、勤労学生の税額控除はこれを六千円とする。こういう條件を付して所得税法の一部を改正する法律案に賛成するものであります。  第二に、法人税法の一部を改正する法律案につきましては、低級所得の中小企業の法人税率を引下げること。超過法人所得税を従前通りに復活すること。生活協同組合、中小企業協同組合、農業協同組合等に対する減免税措置を考慮されたい。こういう條件を付しまして一法人税法の一部を改正する法律案にも賛成いたします。  第三に、相続税法の一部を改正する法律案につきましては、税率の累進度を強める。これが非常に必要と存じますので、この條件を付して賛成するものであります。
  47. 佐藤重遠

    佐藤委員長 討論は終局いたしました。  これより右税法三案の採決に入ります。右三案に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  48. 佐藤重遠

    佐藤委員長 起立多数。よつて右三案はいずれも原案の通り可決いたしました。(拍手)  なお、ただいま採決いたしました税法三案に対する報告書の作成、提出手続等につきましては、すべて委員長に御一任願いたいと存じます。     —————————————
  49. 佐藤重遠

    佐藤委員長 次に本委員会の国政調査事項であります税制に関する件を議題として、質疑を行います。佐久間徹君。
  50. 佐久間徹

    ○佐久間委員 私はきわめて簡單に一点をお尋ねしたいと思うのであります。  その質問の要旨は、法人税法施行規則第二條改正して、石油と同じく可燃性天然ガスの採取をなす法人も、法人税を当分の間免除する意思がないのかどうか。その点をお尋ねしたいと思うのであります。  その理由といたしますところは、初め鉱業法におきましては、可燃性天然ガスは石油とみなすという規定がありまして、法人税法施行規則において、石油の採取をなす法人に対しましては、事業開始の年より三年の間法人税を免税する旨が規定せられておりました。従つて可燃性天然ガスを採取する法人につきましても、右の通り法人税を免除せらるることになつておりましたが、その後天然ガスの重要さを認識せられました結果、鉱業法が改正せられて、可燃性天然ガスは石油より独立して、一つの鉱物として規定せられるようになつたのであります。よつて法人税法施行規則においても、当然石油のほかに可燃性天然ガスをも、右免税とすべき旨を規定すべきものであると思うのであります。  第二点は、今や可燃性天然ガスは石炭、石油とともに重要な燃料であることは申すまでもありません。これはすでに世界的に認識せられるに至つておるのであります。わが国におきましても、この天然ガスの採取が今や相当盛んに行われるようになつて参りましたし、その埋蔵量もかなり多く算定せられる現況におきましては、特に国家的重要性を増しつつあると思うのであります。よつてこの点に関して、GHQの資源局の前の顧問であつたアツカーマン博士が、政府にたしか忠告を与えておつたように聞いておるのであります。日本のように燃料の非常に不足しているときに、唯一の地下資源であるこの燃料の資源を開発するために、相当の努力と、また政府においてもこの支援をいたさなければならないという忠告があつたように、記憶しておるのであります。この点に関しまして、政府はまだこの産業が研究中に属する初期のものでございますから、相当研究を要する部面も多々あろうかと思うのでございます。国家はこの事業の育成のために助成を必要とするということは、何人も疑うところではないと存じます。またこの天然ガスの利用につきましても、これはただ單に燃料ばかりでなく、肥料とかあるいはまた化学薬品等の原料ともなるということも、明らかなことと承知しているのであります。従いまして今後政府は直接これを補助をし育成するか、あるいはまた間接にこれらに対して援助を与えるか、すなわちそれは税法上何らかの特典を与えてこの助成をなすか、この点に関しまして、特に平田主税局長の見解を伺いたいと思うのであります。
  51. 平田敬一郎

    平田政府委員 ただいまの問題につきましては、私どもよく御趣旨を体しまして検討いたしまして、その上でこの次の機会にお答えさせていただきたいと存ずる次第でございます。
  52. 佐藤重遠

    佐藤委員長 それでは本日はこれにて散会いたします。  次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後零時二十五分散会