○奧村
委員 私はただいま提案の
税法三
法案について、自由党を代表して賛成の意を表するものであります。
われわれは、今
国会に独立第一年度の
予算を
審議したのでありますが、独立に伴うところの新たなる経費の計上、その他内政費の増額をいたしたのでありますが、一方
税法上においては、調整あるいは減税を行いまして、結局約八百億円の
税法上の減税を断行せんとしておりますことは、まことに適当な処置であると存じ、
政府の努力に心から敬意を表するものであります。この
法案に反対の諸君は、相もかわらず減税にあらずして増税であり、水増し
課税だと称しておられるのでありますが、税の自然増收と
税法上の減税とをごつちやにして申されることは、いやしくも
国会議員の言論として、責任のあるお
言葉ではなかろうと思うのであります。
なるほど法人税は、昨年度の当初
予算と比べますと、今年度
予算は約千億円の増收を見込んでおるのでありますが、そのうちの大部分は、特需あるいは
輸出産業の発展と、生産活動の回復に伴う会社法人等の純益増加に伴うものでありまして、利益が増加して税收が自然増收されるということは、これは当然であります。むしろこれら会社法人にこれほどの純益を上げるに至らしめた、すなわち税源をここまで培養したわが党内閣の政策の成功こそ、認めらるべきであろうと思うのであります。なおしかもこの増收を見込める法人税に対して、この一月一日からこの上二割増徴をいたさんとしておるのであります。この法人税の大部分は、反対の諸君の認められるように、いわゆる資本家の利潤に
課税されるものでありますが、われわれが率先この資本家に、また二割増徴を断行して、も
つて大衆
課税を軽減せんとしておるのであります。そこで野党諸君のいわゆる水増し
課税とは何をさすのであるか、この
委員会でも種々議論に
なつたのでありますが、おそらくただいま
実施中の申告所得税の
実施面について申しておられると思うのであります。そこでわれわれは最も正確な数字をも
つて、これを検討してみようと思うのであります。
昭和二十四年度の申告所得税の当初
予算が千九百億円でありました。二十五年度は同じく当初
予算千五百億円であつた。今回の
予算がわずかに千二十億円に減少しておるのであります。しかもこれを実際徴税面で見ますと、その徴收額は昭和二十四年度は
予算よりも六百億円赤字を出して、千三百七十億円、昭和二十五年度は、九百億円余り当初
予算と比べて厖大な減收とな
つておるのでありまして、今年度においてもなおまた相当減收は避けられまいと思うのであります。なぜかかる減收を来したか。個人が法人にかわつたり、あるいは合算
課税を廃止したり、あるいは税率も引下げたり、控除も引上げたり、いろいろ影響もあるが、一方において
課税の把握が十分にできていないという点も、おおうことはできないのであります。水増し
課税どころか、
課税漏れの多いことが問題であるのであります。これがために勤労所得にかかるところの
源泉徴收所得とのつり合いがとれないのが、問題にな
つておるのであります。勤労者の政党と称する政党の方々は、むしろこの点を鋭く究明せらるべきであろうと思うのであります。むしろわれわれは税務
行政の面において、この点を今後究明して是正をいたすべきだと思うのであります。
さてそこで、申告所得税の
課税漏れが多いという点の理由の一つには、
税法上まだ苛酷な、また実態に沿わない点が多いという理由もありますので、ここでわれわれはこの際
源泉徴收分も含めて、なお七百億に達するところの軽減
措置を行おうとするのでありまして、これはまことに適当な
措置と
考えるのであります。そこでその具体的
内容につきましては、基礎控除の引上げ、税率の引下げ等のほかに、譲渡所得についての十万円の控除を初めて認めたことであります。また相続の場合、いわゆるみなし所得の
課税を廃止することと、退職所得に対する大幅な軽減
措置であります。現行
税制では、死亡の場合には、株式、山林、土地、家屋等は、死亡のときに時価で譲渡されたものとみなして、その譲渡所得に一旦所得税がかけられて、その残りの財産にまた相続税がかけられる、こういう二重な
課税が行われているのであります。資産の売買の際の譲渡所得に
課税するかどうかは、この
委員会においても論議の的であつたのでありますが、英国では
課税していない、米国でも、この相続の場合のみなし譲渡所得には、
課税していないと
承知しているのであります。
税法に深い伝統のある英国や米国ですら、
課税されていないのにかかわらず、
日本の、しかも伝統的に長子の家督相続の習慣の強い
日本において、このみなし譲渡所得税をかけるということは、いかに学者的理想を追つたとはいえ、あまりに現実無視であつたのであります。今からでもおそくはない。
政府が一挙にここに
改正せられるということは、まことに
けつこうに
考えるのであります。しかし過去二年間にわた
つて相続せられた方方、特に山林等の所得者であつた方々が、現行
税法によ
つて、一度の相続でも
つて税を払うために、所有の山の立木をほとんどまつ裸に売り払
つて納税させられた、そういう方々に対しては、今非常にお気の毒であつたと思うのでありまして、これらがまたこの国土の緑化政策に非常な支障とな
つておつたということを、心から痛感しておるのであります。われわれはこれらの問題のほかにも、かかる不公平、現実にそぐわない
税法規定で苦しむ
国民が、なお今後ともおられるということを
考えるならば、
国民に対してそれこそ恥死しなければならぬと思うのであります。
この
意味において、この上
税法改正の必要なきかを検討して来たのでありますが、勤労所得の控除限度の引上げ、少くとも今の三万円を六万円に当然引上げるべきであります。また株式、山林、その他不動産の譲渡所得を、なお一層実情に即して減税すべきであります。
政府はこの方針に沿
つて早急に立案し、
国会に提案いたすべきであると
考えるのであります。これを要望いたしまして、なおその他、法人税の分割
納税の
規定、相続税の減税を含む
規定、これらを含めまして、今回の
改正案けしごく妥当であると
考えまして、心から賛意を表する次第であります。