○深澤
委員 私は
川野委員の
密造問題に関連いたしまして二、三
質問をいたしたいと思います。酒造家を代表する御
意見によつて
密造を
取締れという御
意見は、まことに利害
関係からいつてごもつともだと思います。また税法の建前からいつても、一応
法律がある以上は
密造を
取締ることももつともだと思います。しかしながら私は
密造問題はもはや税制問題ではない。社会問題であると考えます。最近における農村の窮乏状態、農村における失
業者の状態は何かしら收入を求めなくちやならぬということによつて、結局
密造という問題が出て来るのであります。従つて根本的には農村に対する政策、あるいは農村の失
業者をどうするかという問題でありまして、この問題が解決されない限り、いかに
国税庁長官を責められても、
国税庁長官をやめろと言われても、問題は解決しない。これはこの問題が解決されない限りは、浜の真砂は盡きるとも、おそらく
密造は盡きないという結果になるのではないかと思う。そこで私がお伺いしたいのは農村において特に農民生活の上から申しまして、酒は活動の原動力といわれてもさしつかえないほど重要なものであります。特に寒冷
地帶の農村におきましては、女の方々までが酒を用いるということは常識であります。従つて今日の
実情といたしましては、どこの農村へ行つても、どぶろくの製造ということは公然の事実であります。これを
取締ろうといたしましても、莫大な
経費と莫大な
人員を要しまして、徒労に帰することは明らかであります。そこで私は根本問題の解決といたしまして、
昭和二年以来私はそういう主張をして参
つたのでありますが、農民の自家用の酒を公然と認めるべきである。私はこういう主張を持つておるのであります。今ここで
密造問題が問題に
なつて参りましたので、
国税庁長官に特にお伺いしたいのは、少くとも農家の活動の源泉力である、農家自体がどうしても必要とする酒に対しては、必ずしも米ということではないのでありまして、いもでももろこしでもしようちゆうはできますから、そういう
意味において農家にアルコール分を持たせることは、日本の農業の促進の上においても必要であると私は考えますので、農家一戸に対して一石五斗くらいの年間の公然たる酒の製造を認めたらどうか。その方がむしろ根本的な解決策になるのではないかというふうに考えるのですが、これに対する見解はどうでありますか。