○平田
政府委員 お答え申し上げますが、会社の税金がはたして納まるかどうか、納まるにしても非常に無理があるので、なかなか問題がありはしないかという点でございますが、これは私
どももやはり今の経済は、まだ完全に常態化しておると申しますか、平常時の
段階にな
つて非常に円滑に行
つておるというふうには見ておらないのでございます。ただ最近の会社の成績は、御
承知の
通り非常によくなりまして過去二、三年前と比べますと、昨年から本年にかけまして、非常な好調を来しておることは、これは松尾さんのよく御
承知の
通りでございます。ただそれが一方におきましては生産がふえたのと、他方におきましては物価が上りまして、それによ
つて会社の利益が
相当増大して来た。ところが
仕事のヴオリユームがだんだんふえて来ておりますので、会社はやはりその次の仕入れ、あるいは設備の投資等に金繰りがうまく行かなくて、利益はあるがなかなか金繰りは苦しい。これは私率直に申しまして、最近の企業の実態を示す
一つの代表的な点じやないかと
考えるのでございます。そういう点は私
ども十分
承知いたしておるのでございますが、他面におきまして利益は相当よくな
つている、これはほんとうに偽りないところでございます。その点につきましては、先般資料として「会社の收益及び資本蓄積
状況調」という表をお手元にお配りいたしまして、二十四
年度以後の大体の傾向をごらん願います場合の参考にいたしておるのでございます。たとえば会社の利益
金額におきましても、償却前の利益は、
昭和二十四
年度におきましては、千百九十四億円
程度にすぎなか
つたものが、来
年度ば六千七百億円
程度に見込まれる。
昭和二十六
年度の補正
予算では六千七十億円ほど見込んでおるのでございますが、どうも最近の実績から行きますと、これよりもさらに上まわりそうな
状況であります。これは私
ども現実のものによ
つて調べました結果でありまして、全体の趨向といたしましては、やはりこれは正しい方向を物語
つておるものと
考えるのであります。その間償却等におきましても、二十四
年度においては減価償却額が百五十九億円
程度しかなか
つたのが、二十五
年度は五百五十九億、二十六
年度は千九十五億、二十七
年度は今のような状態で行きますと千三百六十六億円
程度減価償却がふえる、こういうことは可能じやないかと見ております。差引きまして利益も二十四
年度が千三十五億に対しまして、二十六
年度が四千九百六十四億、二十七
年度は五千九十一億、この
程度の償却とそれから経費に入ります損金を落しまして利益を見ることができる、このように見ておるのであります。ただ今申し上げましたように、何しろ
仕事が数量的にふえましたのと
——これは生産の増加がそれを物語るのでありますが、それから物価が上りました
ために
金額がかさみますので、それだけ会社はやはり運転
資金なりあるいは増産
資金を必要とするわけでありまして、そういう点からい
つて会社の金繰りがなかなか簡單でないということは、先ほど申し上げた
通りであります。これは率直に申しまして税金で一定のときに納むべき分を、会社が金繰りに困りますので、事前にほかの
資金に使
つておる。従いまして
納期になりました場合におきましては、税金を借りなければ納めにくいという会社がありますことは、これはその
通りでございますが、私
どもその点はこういう
税法の
建前並びに
納税の時期、それから運転
資金その他の金繰りの
状況等からいたしましてそのこと自体があるから、
納税がどうだというわけにはやはり行かないのではなかろうかというふうに
考えておる次第でございます。
それから会社の資本蓄積の
状況でございます。今その一例としまして減価償却の形における社内留保の額を申し上げたのでありますが、そのほかに昨
年度からたとえば価格変動準備金、それから退職積立金、それから貸倒れ準備金等の形におきまして、損金で一種の利益金の一部を積み立てておく
制度を認めたのであります。そういうものによりまして、二十七
年度は、約二百四十億円
程度準備金ができております。そのほかに大体利益の中から税金を納め、配当を拂いまして、なおかつ二千百億円
程度社内留保、本来いう積立金が増加できる。合せまして三千七百十億円
程度は来
年度といたしましても、現在のような企業の
状況が続いて行くものとしますれば、会社の社内留保と申しますか、広い
意味の資本蓄積と申しますか、そういうものができるのではないかと見ておる次第でございます。
それからもう
一つは、大きな会社と小さい会社と差をつけたらどうかという問題でございますが、この問題は前国会におきましてもたびたび問題になりまして、お答え申し上げたのでありますが、確かに大きな会社は最低非常にいい成績を收めておりますことはこれは事実であります。ただその前におきまして、大きな会社は特経会社に指定されたり、いろいろな制約等がありましたし、あるいは統制の影響をきつく受ける等のことがありまして、
昭和二十四
年度あたりまでは、大きな会社はあまり利益を上げておらなか
つた、ほとんど配当等もしてないのが大
部分でありました。それがやつと昨
年度あたりから相当好調になりまして、相当な利益を上げ、それから配当もしておるという現況であります。従いまして最近は法人税の中でも、大きな会社の拂う分が大分ふえて参りまして、先般も深澤さんに申し上げましたように、大体八割くらいが国税局の所管に属する中以上の比較的大きな法人の分で、二割弱がそれ以下の法人の分、こういう
状況に相な
つておる次第でございます。負担の税率に差をつけるという問題は、先ほど申しましたように前国会で大分御
説明申し上げたのでありますが、小法人の場合には、実は利益じやなくて重役、役員の給與として出せる
部分が大分多くなりますので、表面的に見ますと四二%の税率はいかにも高いようでありますが、個人の所得税に比べまして、全体を総合して計算するとそれほど高くない。むしろ四二%
程度に税率を持
つて行かないと、個人の事業が法人と同じになる。こういう傾向が今まで強いような状態でありましたので、この
程度のところにおきましては、差別をつける必要はなかろう、将来もしも法人税の税率等にさらに引上げの必要がある場合にどうするかという際におきましては、確かにそのような点もなお一段と
考えた上で、適正な
制度を
考えることに努めなければならない、このように
考えておる次第でございます。