○有田(二)
委員 国税庁は税金を
決定し、徴收して行く仕事をや
つておるのでありまして、
従つてこれに対する超過勤務手当なり、あるいは旅費なり、あるいはその他のいろいろの諸雑費にいたしましても、十分とまでは行かないまでも、かなりな予算が必要である。他の官庁の予算と違
つて、かりに一億円入れることによ
つて二十億の税收が、そう無理でなく正当に入
つて来るということになると、これは十九億の利益になるのであります。
国税庁も
一つの商売でありまして、わずかな金をかけることによ
つて、より以上の税金が無理がなく入
つて来るということであるならば、これは他の官庁と違つた観点において、予算の組み方としなければならぬ、かように
考えるのであります。これからはぜひとも予算の面について本
委員会の各
委員の御協力を得て、予算の面においても十分とまでは行かないまでも、かなりの点まで他の官庁と違つた予算がとられなければならぬ、かように
考えるのであります。その点将来も御協力が願いたいのであります。
さらに査察課の問題でありますが、先般も
予算委員会で、
大蔵大臣と査察官の問題について論議し、また先般
国税庁長官がアメリカからお帰りにな
つたので、アメリカの
状態も
伺つたのでありますが、ただいまアメリカでは査察官の汚職事件が非常に多いのでありまして、
国税局長は
日本と違
つて民間から選ばれてお
つて、その方々の汚職がアメリカでは今非常な問題にな
つておる。それと比較して今日の
日本の
状態は、アメリカのそれよりは多少いいんじやないかとすら
考えるのでありますが、ただアンバランスの点が
考えられる。たとえば高松の関税局の査察課に、かりにある一定の査察課員の数がある。それと
東京あるいは大阪あたりと比べてみますと、査察課員になると、どうしても仕事をしなければならぬ。仕事をしなければならぬから、仕事をこしらえてやる。しかし四国あたりの事件は非常に小さいのでありまして、
東京、大阪あたりに比べますと雲泥の差がある。
従つてアンバランスのものになる。そういう点から
国税庁において
全国の査察課をにらみ合せ、人員の配置について人間が
よけいいるために、必要以上の摘発をするということで、
全国的なアンバランスの
状態ができて来るということをよくお
考え願
つて、今度の機構改革については、この点を事務
当局として十分御検討を願いたいと思うのであります。
さらにまた査察課員の訓練でありますが、由来主税局から
国税庁にかわりました過去終戦後の
状態は、まことに下剋上であります。官庁上部からの指令よりも組合の指令の方が、一時非常に力があつたという時代がありましたが、最近においてはあなた方の御努力によ
つて、下剋上の
状態は漸次なくな
つて参りました。上司の命令が徹底する、特に
東京国税局に例をとりましても、税務署長にある程度人事に関しての
意見を聞くというようなことにまで、吉武総務部長が来られてからかわ
つて来まして、署長の命令が徹底するように
なつた。一時課長が何だ、署長が何だという空気が各税務署にありまして、そのためにおもしろくない事態を生じたことは遺憾であります。その点は最近のやり方が非常によくな
つて参りまして、そういう点で漸次下剋上がなくな
つて来た。しかし査察課の中ではまだ下剋上の空気が非常に多い。法案をたてにして、われわれは
法律によ
つてやるのだ、課長が何だ、部長が何だ、
局長が何だというような空気が非常に濃厚であります。これらの運営については、
国税庁長官として一番気を使
つておられる点であろうと思います。査察官のあり方というものは、今日の検察庁の検事のあり方と同じでなければならぬ。上司の命令をよく部下が聞いて、そうして一定の
国税庁長官の方針にのつと
つて、査察官の運営がなされなければならぬと思うのであります。最近の
一つの例として、
東京においてある会社が査察された。これは間税出身の査察課員でありますが、お前ら、小菅へ二、三日行
つておれ、あるいは今晩全部お前たちを返さないというような、脅迫的言辞を弄して調べるという向きが多い。
一般に法人税出身の査察官はそこまでひどい調べ方をしないのでありますが、間税出身の査察課員というものは調べ方が非常にひどい。大阪の例をとりましても、大阪ではよく、これから検察庁へ連れて行く、お前はこれから検察庁へ電話をすれば、すぐひつぱり込まれるというような
方法によ
つて、すみやかに税
決定をやろうというやり方が多いのであります。これらの査察課員に対する
国税庁長官の御方針を承りたいと思います。