○
平田政府委員 これは最近の
実績と、それから
成行き状況の二つから判断したのであります。最近
調査課あるいは
査察部で、大
法人につきましても
相当手きびしく実は調べておりますが、調べた結果、
更正決定と申しますか、
申告に対しましてふえる分が大
法人の場合は比較的少い。と申しますのは、これは二十五年の
税制改正後の、非常にいい結果が現われていると私は思うのでございますが、株式を公開しています
一般の
会社でございますと、やはり
責任者が
納税に対しまして非常な
責任を感ずるようにな
つて来ております。これは二十五
年度の
改正で、たとえば
申告書におきましても、代印は認めない。
会社の
名前で判を押しまして、
会社の
名前で
申告するようなことは認めないで、必ず
取締役社長か、あるいは
社長と
経理担当の
最高責任者、この二人が自署捺印しなければならぬという制度を、実は二十五
年度の
改正に
シャウプ勧告に基いて入れたのでございます。従いまして、うつかりしたことをやりますと、
責任がすぐそういう
経理担当者とか
社長の
責任になる。そうしますとおのずから
申告につきまして非常に注意を拂うようになりまして、いいかげんな
申告はしないという
傾向に、この一、二年非常な勢いでな
つて参りました。それで
会社の方も、つまらぬことで問題を起しまして
責任を問われては困るというので、
税務につきましては
相当研究をいたしまして、全体として見ますと正しい
申告をするということに、
一般的には努力しております。
もちろん例外がないわけではございません。それと税が
大分前と比べまして合理化されまして、再評価もいたしましたし、
課税標準の
計算にいたしましてもいろいろ合理的な措置を講じましたし、
税率も下
つており、
超過所得税もなくなりましたし、
法人税も若干引上げましたので、今後問題はどうな
つて来るか問題ですが、しかし四二%、
地方税を入れましても五〇%の
税率になる。そういうことになりますと、つまらぬことで問題を起すよりも、なるべく正しくや
つておこうじやないかというのが、
大体大会社の場合の最近の
一般的風潮にな
つて来ておりまして、これは私ども非常に好ましい
傾向だと思
つているのでございますが、そういうことの現われでございましよう。決して
調査の手をゆるめているわけではございません。むしろ大
法人をそんなに調べるよりも、もつとほかに調べたらどうかという意見も部内にはあるくらいですが、よく調べまして、正しい
結論を正すように努力いたしておる。それにもかかわらず最近の
実績は、
更正決定によ
つてふえます分が三%とか五%とか、その
程度に実はとどま
つている。これは決して
調査が粗漏であり、いいかげんなことをや
つているからというわけではなくて、先ほど私が申し上げましたような
事情が、一番大きな
理由じやないかというように考えているのでございます。それと
統制等がなくなりましたので、何と申しますか、いいかげんにするという
会社の立場がよほど少くな
つて参りまして、
税金はいいかげんなことをや
つて、
あとで
責任を問われてはつまらぬという考えもございますし、非常に実はよくな
つております。これに対しまして、
中小の
同族会社の場合は、これは
高田さんよく御
承知でしようが、
自分が支配している
自分の
会社でございます。これは最近やはり徐々によくな
つておりますが、なかなか理想的なところまで現在も至
つておりません。調べてみますと、やはり
相当差が出て来るのがございまして、それを調べた結果におきましても、二百万円以下の
法人の場合におきましては、大きな
法人に比べまして、
更正決定による増加が比較的多い。そういう点を見まして、こういうふうな
見方をしているのでございます。
もちろんこれは将来の理想としましては、ひとり大
法人のみならず、
中小法人も大
法人のような結果になることを期待いたしておりますし、またそう遠くない将来におきまして、そういう方向に行き得るのじやないか、また行かせなくちやならぬというので努めておりますが、遺憾ながらまだ現状はそこまで至
つていない。そういう点を考えまして、若干の差をつけている次第でございます。決して大
法人の
調査をゆるやかにする、小
法人はきつく調べるという趣旨で、見込んだものではございませんことを、御了承願いたいと存じます。