○松尾
委員 ただいま東京の中央から
進駐軍にもつといなかの方へ行
つてもらうというので、横浜という話が出ましたが、私横浜選出ですから、一言言わしていただきたいと思います。
今外務省の方の
お話ですと、行き先がないために
ちよつと手間取るという
お話ですが、これは接收解除の問題に関連があるので、ここで例をあげて
お話いたしますと、実は横浜の商業復興をはかるのに、電話がなくて非常に困
つたのです。それで
進駐軍がたくさんと
つているのだから、それを解除しろという
お話をしましたところ、ではしてやるという話に
なつた。ところで、してやるのは、いらないからではなくて、強い要望にこたえてやるのだから、これにかわる設備をしろ、こういうきつい命令があつた。ところが今の
お話のように、金がないから御返事ができない。けれ
ども電話を早くよこせ、こういうことで二日二晩夜明かしをして電通局と
司令部とやつたわけです。そして、遂に庶民の声にこたえて、では電通の方で五千万円だけ金を出してくれれば、これを二月一日から返そう、こういう
お話にまとまりましたので、二月一日から二千本だけ
進駐軍から
使つていた電話を返してもらつた。それでは五千万円電通から何かやりくりして出そうということにな
つたのですが、話がきまつたらわずか二週間のうちに、突貫工事で
向うでやらせてしまつた。そういうことがありますから、いわゆる平和復興
関係費ですか、あの出し方がどんどんお出しになられる自信があれば突貫工事でできるのです。私の聞くにところによりますと、三箇月か四箇月で
施設をつく
つて、みんながそれほど要望するなら、移動してやろうという声が横浜ではあつたわけです。この声はかなり
司令部の高いところの声ですが、私はその人からじかに聞いたということはここでは言えませんが、方々にそういう声がありますから、要は
政府がその
施設をする金を出して、どんどん突貫工事でや
つてやればどいてくれるということだけを、お含み願いたいと思います。
もう
一つ横浜の市民は、今のまま接收しておかれれば金はいらないけれ
ども、接收解除をしてもらつたあかつきには、相当の
政府の
財源を移動費に使わなければならない。しかも旧陸海空軍の
施設をGHQが直接接收をしたのと違いまして、
政府がGHQの肩がわりにな
つて接收をしたのだから、十二分に元の通り商売のできるように、
補償してもらわなければならないけれ
ども、当
つてみるところによると、そんな
財源がないから、ただ明渡しをするだけだとすると、とても商売にならないので、差引勘定いずれが得かということを、もう一回
考え直さなければならないということを
言つておる人があるのです。結局接收をあのままにしていただいて、国家
財源の消費が狭まるるのだつたら、その点は
考え直さなければならいであろう。ただどけどけと
言つて金は損するし、どいてもらつたあとは商売にならぬというようなことがあ
つてはいけないという
考えで、愼重に
考えて来ておる人があるのです。東京もそうでしようけれ
ども、横浜は三分の一
ちよつと接收されておるものですから、ごらんの通り経済復興は非常におそくな
つていて、みんな金詰まりに悩んでいて、むしろ東京の陰に隠れたいなかというかつこうにな
つてしま
つておるのです。世界にも聞えの高い横浜港を持
つておりながら、実に大きな犠牲があるのでありまして、元通り商売がやれるような
補償ができない。
政府がか
つてに代行して接收していながら、その
補償をしないということになるならば、これはやはり
考えなければならない。知事や市長は公選のものですから、選挙運動で大いにこの解除を唱えておるけれ
ども、
責任はとらないというかつこうでは困る。同時に先ほど言いましたように、
司令部としては、どけというなら、
日本政府が
予算が通
つて金を出してくれるならば、突貫工事でどいてやるという
考えがありますから、外務省の方としてはその辺をよくお
考えに
なつた上で、どんどんどいてもらうようにした方がいいとお思いに
なつたら、金を出すようにして移動先をおきめにな
つてもらいたい。またできないというなら、やめるならやめるというように腹をきめていただかないと、経済復興がもつと遅れて、せつかく立てた計画もこわれて行きますから、市民としてもあるいは
国民としても、どういう方向に進んでいいかわからないので、なおさら困るという現状ではないかと思うのです。どうぞそのおつもりでひとつ御検討を願いたいと思います。