○冨永
委員 ただいまの
石原委員の
質問に対して、大体極東
貿易、国際会議の内容、また中共
貿易に関する現状、見通し等につきまして、
本間政務次官から詳細に
説明をいただきましたので、大体了承いたした次第でござい
ますが、補足的になり
ますけれ
ども、特にこの方面に輸出している
北海道の海産物の事情と、われわれの立場からさらに申し上げて御
意見を承りたいと思い
ます。
昭和二十五年度における香港市場は、アジア地域第一の輸出市場でありまして、総輸出額の一三%を占めており
ます。輸出商品の大宗をなすものはするめ、ほし貝柱を初めとする水産製品で、大体八〇%を占めておるのでござい
ますが、しかし香港、マレー、シンガポール等は、それぞれやはり、さき
お話に相なりました朝鮮事変等の関連性が大きく取上げられると思い
ますので、この方面を進めて行くということには非常に困難性があろうと思い
ます。しかしながらアジア諸地域における総輸出金額は、大体十九億二千万円にもな
つておる実情であり、かたがた函館の税関でことしの上半期の
調査実績を聞いてみ
ますと、大体するめは十四万ピクルほど輸出されておる
状態であり
ます。これは必ずしも中共、香港とは限らないので、アジア諸地域における
貿易輸出量でござい
ます。
従つてただいま
お話の中共、香港というふうにのみ限定され
ますと、今のような朝鮮事変という問題が取上げられて、今のところ急には困難であろうと思い
ますけれ
ども、しかしアジア諸国といい
ますとその他各地があり
ます。もちろん水産者も
貿易業者もその方面の開拓には努力しており
ますが、しかし少くも吉田内閣として、また通産省として、この方面に何とか
貿易の促進になる施策を
はつきりお示しになり、あるいはその方面にいかなる手を打つお考えであるか。現在どういうふうにそれの促進に御努力を願
つておるかという点について、非常に水産者側は遺憾の意を表明せざるを得ないような実情にある。極端に申し上げ
ますと、どうも何にもや
つていてくれないのではないかというような、水産地においては怨嗟の声さえ放たれておるという実情でござい
ます。というのは昨年の産物が今日非常に多く
北海道には滞貨しておるのであり
ます。一例を申し上げ
ますと、昨年一貫目三十七、八円したいかが、今日十七、八円、もちろん今夏いかではござい
ますが、しかしそれでもなおやはり今申し上げたような事情でござい
ます。
従つて先ほど
石原委員の
お話の中にもありましたが、もし輸出が全然不可能ならば、日本
内地でこれをさばいて、と申しましても、その点についてはこれまた非常に大きな困難な事情、たとえば
輸送、金融というような問題が関連いたしまして、そう簡單に解決できない。もしそれができないということになるのであれば、今日函館、あるいは函館を中心とする
北海道東南方面に
漁業いたしており
ますいかつり舟千数百そうの
漁業者、乗組員等は、ま
つたく大きな社会問題化するような状況下にある次第でござい
ます。これはなるほどあるいは通産省の問題から若干離れているかとも考え
ますが、先ほど
石原委員からも運賃問題を取上げて申し述べられましたが、もちろんわれわれは所管の運輸省
関係にもいろいろ是正方を要望いたしており
ますが、価格が現在の数倍であ
つたときの運賃価格をいまだに堅持しておるということにな
つており
ますために、下手すると、するめの価格と運賃と同じになるという危険さえあるような状況でござい
ますので、これはひ
とつ貿易という面からい
つても、通産省でもとくと御考慮願いたいと思い
ます。
しかし今政務次官にお尋ね申し上げている問題は、アジア諸国における
水産貿易を促進させる見通しはないか、もしあるとすればいかなるお考えでおられるか、御所見を承りたいということでござい
ますので、お答えを願いたいと思い
ます。