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1952-07-29 第13回国会 衆議院 水産委員会 第51号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年七月二十九日(火曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 川村 善八郎君    理事 小高 熹郎君 理事田口 長治郎君    理事 林  好次君       石原 圓吉君    川端 佳夫君       冨永格五郎君    二階堂 進君       平井 義一君    松田 鐵藏君       小松 勇次君    水野彦治郎君       井之口政雄君  出席政府委員         電波監理長官  長谷 愼一君         水産庁長官   塩見友之助君  委員外出席者         総理府事務官         (電波監理総局         施設監督部海上         課長)     秋山  擴君         外務事務官         (経済局次長) 小田部謙一君         大蔵事務官         (主計官)   大村 筆雄君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)      伊東 正義君         農 林 技 官         (水産庁生産部         漁船課長)   高木  淳君         通商産業事務官         (通商振興局農         水産課長)   森 日出哉君         参  考  人         (日本鰹鮪漁業         協同組合連合会         会長)     横山登志丸君         参  考  人         (静岡漁業無        線協同組合長) 久保田太郎吉君         参  考  人         (漁業経営者連         盟専務理事)  吉田  隆君         専  門  員 徳久 三種君 七月二十六日  委員佐藤親弘辞任につき、その補欠として今  村長太郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十九日  委員木村榮辞任につき、その補欠として井之  口政雄君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  漁船用無線に関する件  水産貿易に関する件  水産行政に関する説明聽取     —————————————
  2. 川村善八郎

    川村委員長 これより水産委員会を開きます。  塩見水産庁長官より中央漁業調整審議会に関する件等について発言を求められております。これを許します。塩見長官
  3. 塩見友之助

    塩見政府委員 休会前の国会でいろいろと資料その他についての御要望がありましたものを今お手元にお配りしてあります。それについてちよつと御説明申し上げます。  第一は、漁業信用基金制度要綱の問題でございますが、これはここにもありますように、七月二十二日に閣議決定をしております。これは漁業金融において受入れ態勢を整備して、それで漁業金融の疎通をはかるための制度でございまして、前から折に触れて御説明はしてありますが、大きな点は、大体府県単位でもつて原則としては協同組合等によつて構成する基金という特別の法人をつくりましてこれは財団法人等によるものと違つてある程度経済的な行為もできるような意味で活動の範囲を広めたい、こういうふうに考えているわけでございます。  あと、これにつきまして大きい問題となりますのは、備考に書いてあります運転資金等におきましては、でき得るならば日本銀行の再割のできるような手形として運営して参りたいと思つております。これは現在の漁手に比べまして保険の関係及びこの基金関係で、たとえば基金の三倍まで貸すというような運用をした場合には八三・三%までの保証があるわけでございますから、そういう意味では非常に安定したものとして、日本銀行等においてそういう取扱いをしやすいものと考えております。日銀等とは現在こまかく打合せ中でございますが、まだ決定を見てはおりません。それからまた設備資金等につきましては、預金部その他の政府資金等も相当出してもらうという考え方をとつておりますが、具体的な問題については、今後の大蔵省との折衝にまつような状態になつております。あと残された問題として大きい問題は、この設備合理化資金につきまして利子補給をやつて参りたいということでございますが、これは決定に至るまでには大蔵省の方との折衝は終つておりません。大蔵省の方といたしましては、それは予算の際に折衝したいということを申しておりますし、水産について特にそういうふうな形態をとることを非常に反対いたしております。これはこの基金の運営についてかなり決定的な重要性を持つ問題でございますが、残された問題として考えて参らなければならないわけであります。またこれに関連しての各種の租税の軽減、免除等につきましては、法律を審議する際に大蔵省と具体的に打合せをすることになつておりまして、租税に関してはこまかい問題がたくさんございますが、この閣議決定ではそういう点に触れておりません。この二つの問題が大きい問題として残るであろうと考えられるのでございます。  その次にはさんま漁業取締規則改正がお配りしてございますが、これはここにありますように解禁日本州においては九月二十日、北海道においては八月七日、終漁日本州においては十二月十五日、北海道においては十日二十五日というふうにいたしました。これは昨年いろいろとその関係業界間で問題が多かつたわけでございますが、本年度は業界の内部でも大体意見が一致しましたし、資源的に見て今のところ支障のあるというほどの変更ではないものでございますので、大体それによつて改正をいたしたわけでございます。  次は中央漁業調整審議会委員でございますが、これは資源保護法関係がございます、学識経験者五名をふやすような形になつておるわけでございます。なお漁業調整の問題も、第一回目の場合においては漁業権漁業が非常に重要性が高かつたわけでございますが、現在及び今後の問題を考えますと、入会調整の問題に相当な比重がかかつて来ておるわけです。漁業免許関係は、御承知通り大きい問題はかなり処理されておりますから、そういう関係からいくらか人の変更がありまして、留任された方は全体で六人、学識経験者の方は、国際漁業関係もありますし、また資源保護関係も非情に大きく出て参りますので、この表にございますように増加してあるわけでございます。なおこれにつきましては漁業法百十三條にございますように農林省において予定者として御本人の承諾を得るような手続を現在進めておることでありまして、承諾を得ました上は農林大臣からの申出によつて内閣総理大臣が命ずることになつておりますが、まだ予定中でございますのでお含みおきを願いたいと思います。  その次にございますのは小型機船底びき網漁業整理特別措置法によりますところの船舶の隻数、合計総トン数合計馬力数最高限度を、昭和三十一年四月一日においてのその数量というふうなものをきめなければならないので、これは中央漁業調整審議会の答申を待ちまして、決定したものでございます。  それからその次にございますのは、母船式鮭鱒漁業船団操業状況について国会においても非常に関心を持たれて、その出漁にいろいろ御協力を願つた北洋鮭鱒漁業でございますが、ここに書いてございますように、当初予定しました海区における操業は六月一ぱい、七月の初めまでやつたわけでございまするが、大体においてあの漁場としましての調査は済みましたので、なお国際関係等もそれほど危険性はない、こういうふうに判定されましたので、なおそれに接続するところの西方の海面において同じく操業を現在続けております。その結果、漁区を広げました。またその魚族の方も広がつた漁場の方へ移動しております。そういう関係がありまして、漁獲高の方は大体当初の予定を突破するというふうなところまで参るかと存じまするし、また魚価の点も当初予定しておりましたものよりも、いくらか高目に維持されておりまするので、非常に危惧はしておりましたが、これは採算的に見て赤を出すようなことは、特に故障のあつたものについて以外はないように、大体考えてよろしいのではないかと思われます。またこれによつて来年の出漁について、関係漁民の意気が沮喪するというようなおそれもないような形で帰つて参ると思いますので、その点につきましては、皆さんとともに御同慶に存ずるわけでございまして、大体最近までの状態をまとめましてお配りした  わけでございます。その次の北洋捕鯨の問題は、ここに書いてありますように、バイカル丸母船といたしまして、キヤツチヤー四はいというふうな形で、現在北洋参つて操業をしてあります。大体の状態はここに書いてありますような状態でございます。  そうして最後に、日本漁船の被拿捕状況をつけ加えてございます。独立後一時非常に拿捕が少くて、非常に安定をしておつたわけでございますけれども、最近北洋においてもございまするし、また以西においても四件ほど——前に一件ほどございましたが、最近出現して来ておるわけでございまして、これについては、監視船による連絡その他いろいろなとり得る措置をとつて、現在事故が起らないように努力はしておりまするが、なお先般国会決定をしていただいたところの船舶乗組員補償法律につきましては、これは予算裏打ちがないので、まだ実行に至つておりませんが、できるだけ早く補正なり何なりの機会において裏打ちをするようにわれわれの方としては一努力して、そういう面における措置の万全を期したい、こう考えておるわけでございます。  簡単でございますが、大体お配りしました資料について御説明をいたしました。
  4. 川村善八郎

    川村委員長 ただいま塩見水産庁長官発言に対しての質疑は次回の委員会に譲りたいと思います。     —————————————
  5. 川村善八郎

    川村委員長 次に漁船用無線に関する件について調査を進めます。  この際お諮りいたします。本件について、日本鰹鮪漁業協同組合連合会会長横山登志丸君、漁業経営者連盟専務理事吉田隆君及び静岡漁業無線協同組合長久保田太郎吉君の二君を参考人に選定し、漁業用電波の切りかえによる損失補償の問題について、それぞれ実情を承りたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 川村善八郎

    川村委員長 御異議なしと認め、そのように決定いたします。  この際政府委員並びに説明員出席者を御報告申し上げます。政府委員として塩見水産庁長官長谷電波監理長官説明員として伊東漁政部長高木漁船課長秋山海上課長、以上であります。  それでは横山君から御発言を願います。
  7. 横山登志丸

    横山参考人 近く行われますところの漁業用無電周波数の切りかえにあたりまして、われわれ免許人はその趣旨には沿うようにいたしたい、こういう熱意を持つているのでありまするが、この措置について多大の負担ががかる、こういうふうにわれわれは見ているのであります。漁業用無電は年々電波監理総局の方の側から検査を受けているのでありますが、何分他の運航船と違いまして、漁船はきわめて少い経費経営をやつておりますために、この無電機は比較的精度の低いものであります。今回の切りかえにおきまして、周波の切りかえ、いわゆる変更、同時に漁業用に使う周波の数を増していただきたい。この数の増加につきましては、従来から見ますと、非常に便利になるということはわれわれの感謝するところでありますが、先ほど言いましたように、無電機精度がこの周波の増加切りかえに必ずしもマツチしていない。これにつきましては水晶片という部分品のとりかえで大部分間に合う、こういう見方もあるのでありますが、何分無電機精度の弱いところのものを大部分が持つておりますので、十分にこの効果をあげるには、どうしても他の部分変更しまたはとりかえをしなければならぬ必要が起つて参つたのであります。従来の検査のように、来年までは使える、あるいはさ来年まではこれで間に合うというようなかすかすのところでも検査は通してもらつて、そうしてどうやら検査をパスしているというふうな程度のものが相当あるのであります。しかし今回は、御承知通り、この秋からすつかりこれをかえてしまつて、そうして二月一日からはもう陸上局から新しい周波通信が始まるといたしますと、多少漁船の方には時間の余裕があるようになつておりますけれども、事実は船同士通信よりも、むしろ陸上局との間に頻繁な通信をすることが通例であるのであります。二月に入りましたならばどうしても漁船はすべてそれに応ずるようにしなければならないということに相なるのであります。そうしますと、今後数年間使えるものが、今この短期間に実用にはできないことになるのであります。この実態を漁船関係の方は、水産庁でお調べになるし、海岸局の方は全国無線漁連で調べたのでありますが、それらを集計いたしますと五億以上になるという見積りになるのであります。われわれ業者、いわゆる免許人といたしましては、今回初めて、こういうような補償問題にぶつかりまして、電波法にいわれているところの「処分によつて通常生ずべき損失」ということの解釈がどこまでの限度であるかということははつきりしないのであります。ただこういうような変更がなければ続けて行けるものが、このために改造またはとりかえをしなければならぬことの事実をそのまま率直にここへぶちまけまして、その金額がこういうふうになります、こういうようなことで、先般われわれかつおまぐろ業者たちの団体の入つております全国漁業無線協同組合連合会、これは私が会長になつておりますが、この名において各方面に陳情いたしている次第であります。その点ひとつ御了承の上で、漁業者損失ができるだけ少いように、陳情は全額補償していただくようになつておりますが、どうかこの趣旨に沿うように御配慮をお願いいたしたいと思います。
  8. 川村善八郎

    川村委員長 次に久保田太郎吉君の御発言を願います。
  9. 久保田太郎吉

    久保田参考人 私は静岡県の漁業無線協同組合長をやつております久保田でございます。本県実情を一応御参考に申し上げてみたいと思います。  静岡県で無線装置をしている漁船は二百二十五隻ございます。その船の有する無線電信電話の台数が二百八十五台あるわけでございます。この電信は主の電信が二百台、副が六十台、電話級が二十五台というようになつております。われわれ漁民は終戦後食糧事情の緊迫している際、蛋白質給源の捕獲に細心の努力拂つてつて参つたのでございます。その間占領軍の指令によつて二十一年の八月周波の切りかえをさせられ、また翌二十二年の十二月に一部改正されました。次の二十三年三月には大島におけるローラン発信所の設置によりましてまた一部改造をされ、今日に至つたわけなのでございます。今度の漁業用無線周波の切りかえに関しまして、先ほど連合会会長横山さんの言われるように、われわれそれに協力しようということで、各メーカーその他と切りかえの仕事についていろいろ協議をしてみましたところが、一波長切りかえる費用が七千円から九千円くらいかかるとメーカーあるいは技術者の方から言われるのでございます。そうしますと、本県としては百四十台くらいのものが十波長かえることになりますと一千二百八十万くらいかかる。また二百台のものが五波長くらいで検査が通れるということであれば、これが九百万くらい。電話級の二十五台が三波長として四百八十万かかる。今度の電波周波というものは非常に微妙なものでありまして、前の電波は大体において一万分の幾らとかの微妙な度合検査が通つたものを使つていたけれども、今度はそれが非常に細密な度合になるということで、今まで使用しておる機器ではとうてい使い切れないというものが二十隻くらいあるのじやないか。そうするとその費用が三十万くらいかかるのじやないか、要するに本県だけでも三千四百十万の金がいるのだ。しかし今日漁業者経済ではこういう切りかえの全経費をなかなか負い得ない。これに対して電波法によりまして国家でいろいろ補償してくださるということについて、何とかこの全額補償していただきたい。この意味合いにおいて、去る十四日に衆議院の水産常任委員会の方へ、委員長さんはお留守でしたが、本県漁連会長佐野寅雄さんと同道して書面によつて陳情いたしたような次第であります。以上申し上げます。
  10. 川村善八郎

    川村委員長 次に吉田君の御発言を願います。
  11. 吉田隆

    吉田参考人 漁業経営者連盟専務理事吉田隆であります。貴重な時間をいただいておりますので、重複を避けて要点だけ御参考に申し上げたいと存じます。  なぜこの問題が起きたかといいますと、従来漁船にいただいておりました波長は十九あつたわけであります。それが今旅は三十七もらつてたいへんふえたのであります。その点はまことにありがたいのでありますが、十九あつた上にそれだけのものがふえたのでなくて、十九が全然なくなつて三十七になつたということであります。そこで従来使つておりました受信機を、今度の波に合うようにつくり直しをするためには経費がかかる。その経費はわれわれ業者から見るとたいへんたくさんかかる。しかし電波庁の方の見込みといたしましては、これは水晶発振子さえとりかえればいいのだというようであります。長谷官も九九%は発振水晶片をとりかえただけでいいのだということを参議院でも明言されておるのであります。それに私はあるいは放言ではないかと存ずる次第であります。そういうように電波を十分活用させ、国際電波法の條約にもとらない通信をするためには、機器を優良なものにしなければならない。そればかりではありません。漁業経営上にも、また乗組員の生命並びに船体等財産確保のためにも、これは当然やらなければならないことであります。この仕事に折ふしこういう事態が生じて、それは好むと好まざるとにかかわらずやらなければ通信ができないということになるのであります。それならそういう状態範疇に入ります漁船はどれくらいあるかと申しますと、数においては三千九百、そのうちで最も多いのが五十トンから百トンまでの間であります。つまり遠海のかつおまぐろ並びに以東底びきというような業態、地方別にいたしますと、北海道、東北、関東、九州、こういうところに集約されおります漁業者がその範疇に入るわけでございます。そうして従来使つておりましたものは、御承知と思いますが、オートダインの優良な設備をしております船もございますけれども漁船無線設備が貧弱であるということを横山会長からおつしやいましたが、それは巷間業者が言つておりますオートダイン式を使つているわけであります。これは今度もらいました波長を使うためには、この方式ではとても間に合わないという実情であります。常識的に申しますと、家庭のラジオが、十数年前のが現在四つも五つも出ております波長を分離するためには、古い機械では役に立たぬのと同じ状態なのであります。それではオートダインをどれくらい漁船が使つておるかと申しますと、漁船全部にすえつけております。無線機械は四千四百ほどありますそのうちの千二百十五というものが、オートダインを使つておるのであります。言いかえれば、四千四百のうちの千二百というものが、大体とりかえをしなければならぬという実情になつておるわけであります。  それで要点に入りますと、大蔵省電波庁と御折衝の結果、大体七千万円ぐらいのものを補償し得るであろうと承つております。まだ御交渉の途中であるということを承つておりますが、大体その線が出ておると承つております、それで水産庁並び横山会長が主管しておられます連合会で計算いたしたものを見ますと、これに附帶した工費を入れて五億何千万円ということになつております。しかしそれは法律的にいつて、全部それが入るか入らないかということは問題であろうとは存じますが、われわれが最も良心的に見て、電波切りかえのために水晶片をとりかえるばかりでなく、そのほかにコイルを巻きかえたり、それからオートダインを取りかえたりするものを計算いたしてみますと、大体三億ぐらいのものになるのであります。その点でここに問題が残つておりますので、どうかそういう機器事情をよく御検討の上で、どうぞこの法律がよく遵守されて、漁業経営の上にも合理化された利用がなされるように御措置を願いたいと存じます。  要約いたしますと、結局このとりかえ工費並びに改装工費については、検査の結果、これを使う使わないがきめられるわけでございます。それで自然その予算が少いと検査が厳密に過ぎたり、あるいはそれがゆえにパワーの足りない部分改造をよけいにやらなければならぬというような事実が起きると思いますので、この七千万円と三億ないし五億の差をもつとよく検討して、適当なところへ持つてつていただきたいということが一つ。それから補償範囲をよく実情に合うように、欲を申しますと、言葉は悪うございましようが、範囲を広めてやつていただきたい。それからもう一つは、二月までにこれをやらなければならなぬということにならますと、漁期にぶつかる漁業がたくさんございます。それでこの期間の延長をお願いいたしたい。最後にもし補償が非常に少いということでありますれば、それについて改造に要します基金というものについての金融措置を、何らかの方法で講じていただきたい。この四点を切にお願いする次第であります。
  12. 川村善八郎

    川村委員長 ただいま横山久保田吉田三君の参考人から漁業用電波の切りかえによる損失補償の問題についてそれぞれ御発言を願いましたが、この際右に関して長谷電波監理長官の御発言をお願いいたします。
  13. 長谷愼一

    長谷政府委員 ただいま参考人の方から、今回行われようといたしております漁業用無線電波の切りかえについて、いろいろ実情をお述べになりましたが、やや私どもの考えておりますところと二、三違つているような点もございますので、この際担当いたしております私どもとしての考えなり、ただいまとつております措置の模様を申し上げてみたいと思うのであります。  先ほど来お話のございましたごとく、漁業無線日本電波利用のはげしい一つの部門でございます。かねがね当委員会におかれましても、漁業無線のことにつきまして深い関心を寄せておられることも存じ上げておりますし、われわれといたしましても、水産日本としての活躍を十二分にやつていただくためには、漁業無線が十二分に活用できるということが必要な要素であるということを考えまして、かねがね漁業無線ができるだけ高能率に使えるようにということに意を用いて来たのでございます。たとえば先ほど来お話のございましたごとく、従来実際に漁船に使われております電波の数は、専用として割当てておりますのが十五波、それから共用で割当てておりますのが二波、それから現在いろいろな事情から使用中止になつているものが一、二ございますが、そういつた状態でございます。ところがこれを用いております船の数は、お話の出ましたごとく、三千数百隻に及んでおりますために、一隻あたりの一日平均の通信時間というものは六分ないし七分というような非常な短時間でございます。従つてこれをぜひ波の数をふやしてくれ、こういう御要望が戰前から非常に熾烈なものがございまして、私どもも一波でも多く漁業無線に使つていただくようにしたい、こういうつもりで努力いたして来たのでございます。御承知のごとく、電波混信ということがございまして、やたらにどんどんふやして行きましても、よそからの混信を受けたり、あるいはよそに混信を及ぼしたりいたしまして、用をなさない結果になります。これは単に国内だけではなしに国際的にも、電波獲得量にはとりきめなり、交渉を十分遂げましてお互いに混信のない波を探し合つて使うことは御承知通りでございます。幸い国際会議におきまして世界中の電波の再編成をやろうということに一九四七年の国際会議できまりまして、その後いかにこの再編成をすべきかということで、たびたび長い期間にわたる国際会議が持たれたのであります。私どもといたしましては、先ほど来申し上げたような漁業無線重要性を考えまして、この際こそ斯界の要望にこたえ得るだけの電波を獲得したい。こういうことで不肖私も二箇年半ヨーロツパに駐在いたしまして、この国際会議電波の獲得に努めたのであります。幸い漁業無線に対しましては、従来の十七波に対して三十七波獲得することができ、全体といたしまして日本として問題になりました電波範囲では約三割強の増加ということになりましたけれども、特に漁業無線は他に例のない比率をもつて倍加されたのであります。しかし漁業無線に使える適当な波というのは、これはわれわれ電波波長で区別いたしておりますが、ある範囲に限られております。あまり長いものでも、あまり短いものでも不適当でございます。また現在漁業無線に使われております機械は、それぞれ能力がございまして、ある範囲しか電波が出ない。こういうことになつておりますので、その範囲の中から、新しい三十七波を探し出さなければならぬわけであります。言葉をかえますと、今まで十間の幅のところに十七人並んでおつたのを、その中に三十七人いかに配置するかということになるわけであります。その間隔等を適宜に配置するためには、どうしても全部の方が一応席を立つて並びかえていただけなければならぬ、こういう結果になつたのでございます。また国際間に新たに日本だけが相当な数の電波をとるためには、たとえて申し上げますと、東亜においては朝鮮から中国、フイリピン、インドネシヤ、それからアメリカ合衆国、そういう方面との関連も十二分に考えて行われなければならないのは当然でありまして、そういう観点から電波を二倍半に増加するために全面的に一応電波の切りかえを行わなければならないということに相なつたわけであります。以前には、こういう電波の増加等に伴つて電波の切りかえをいたします場合には、特に政府が補償するという制度はございませんでした。しかし二年前の電波法が新たに制定されましたときに、政府が免許人の意思に反して電波の切りかえ、電力の切下げ等のことを行つた場合には、それによつて生ずる通常の損失補償しなければならない、こういう規定があるのであります。今回の全面的な切りかえ、しかも電波の数が増して、従来よりも電波の効用が増加して行くという場合にも、はたしてこの損失補償の問題がまつ正面から適用できるかということにも多少の議論はあつたのでありますけれども、私どもといたしましては、法の許す限り補償ということはしてあげよう、すべきではないか、こういう観点からただいま大蔵当局といろいろこの補償の問題につきまして交渉し、計数の整理等を行つておるのでございます。先ほど来いろいろお話がございましたけれども、今回の処置は高い性能の機械を新たに要求するとか、あるいは高能率のものにかえていただくように要請するということではなしに、ただ今までAという電波を使つてつたのをBに切りかえていただく、こういうことだけであります。しかも私どもといたしましては、毎年定期的に全部の漁船機器にわたつて検査をいたしておりますから、私どもといたしましては、個々にどの船がどんな機能の機械を積んでおるか、あるいはその機械は何年ぐらい年数のたつたものであるか、すべての記録を保持してございます。そういう記録から一々丹念に検査いたしまして、可能である限り現在の機械改造するようなことをせずに、電波の切りかえだけを行えるようにという考え方で、今回の切りかえを行う計画を立てております。その結果から申し上げますと、三千数百のうち数十隻程度のものは現在持つておる機械の性能上からいつて、あるいは改造を必要とするのではないか。もしも四つなり五つなりの電波を割当てることができるのを、改造のために相当の費用を要するから当分三つでがまんする。——たとえ三つでがまんされましても従来の通信時間よりはずつとふえるのでございますが、ある程度そういう措置をしていただければ、その改造さえも私どもはいらないと思つております。先ほどお話になりました九九%ということは、私どもは実際の調査から申しまして確信を持つて申し上げたことでございまするし、また現在も申し上げ得る数字でございます。お話のように漁業無線、特に用いられております機械は、相当條件が悪いもとで使われますから、ほかの状態で使われる場合に比しますと、機械の壽命が短いと存じます。従つてこの際これをとりかえたいという御希望のあるところもあると存じられますけれども、これは遺憾ながら補償の対象になることはちよつとむずかしいのではないかと考えておるわけであります。先ほど来申し上げておりますように、現在持つておられる機械で出し得る能力の範囲内での切りかえを行う、そのために必要な経費を計算いたしまして個々にわたつて調査の上で補償をいたしたい、こういうふうに考えております。  なお御参考に申し上げますと、昨年北海道周辺におきまして、進駐軍との関係でやむを得ず電波の切りかえを行つた例がございます。その際も各免許人の方々の御要求に応じまして補償をいたしておりますが、これは現在まで全部完結しております。  これで一応御説明を終えまして、なお御質問に応じてお答え申し上げます。
  14. 川村善八郎

    川村委員長 この際漁業用無線に関する件について、参考人並びに政府委員及び説明員に御質問があればこれを許します。
  15. 田口長治郎

    ○田口委員 従来漁業用無電周波数が非常に少かつたために十分なる機能を発揮することができなかつた、こういうことで非常に困つてつたのでございますが、ただいまのお話によりまして、長谷電波監理長官その他の御努力によつて電波の再編成に際しまして漁業用周波数を署しく増していただいた、このことにつきましては、全国漁民が将来漁業経営上あるいは生命保全上利するところが非常に大きいのでありまして、私はこの機会を利用しまして、長官に厚くお礼を申し上げたいと存ずるのであります。ただしかし、ただいまの参考人及び長官の話を聞いておりますと、この周波数切りかえに対する設備のとりかえあるいは改造、こういう点において著しく見解が相違しておるように想像できるのでありますが、この問題につきましては、電波監理総局としてはすでに予算の形式で大蔵省とも折衝をしておられる、こういうような話でございます。今大蔵省電波監理総局折衝をしておりますところの予算の内容について、一応承りたいと思うのであります。  なおこの予算大蔵省に提出されるにつきまして、漁業の主管庁でありますところの水産庁といかなる打合せのもとに、また水産庁が了解を與えたことによつていかなる数字で大蔵省折衝しておられるのでございますか。あわせてその点もまずお伺いいたしたいと思います。
  16. 長谷愼一

    長谷政府委員 ただいまの御質問につきましてお答え申し上げます。確かに先刻来参考人の方がお話になつておる点と私どもの考えておるのと食い違いがあるのでございます。私どもといたしましては、お話にございましたごとく、ちようど漁期にぶつかるようなこともございますし、できるだけ今回の電波の切りかえによつて船が休むというようなことが少いように、短期間で済むようにということで、しかもたとい国家の補償があるにいたしましても、時間的にも無形の損害をこうむられるわけでございますから、そういうことがないようにということで計画いたしました結果、現在持つておられる機械改造等をいたさずに切りかえができるようにつとめてはかつたわけでございます。それがそういう考え方でなしに、いろいろ老朽になつているものもこの際一緒にとりかえよう、こういう考え方で行きますならば、相当違つた数字も出て来るのではないかと思つておる次第でございます。なお私どもといたしましては、いろいろ漁業界の方々からのお話を伺つておりますと、相当多数のものがこの際大改造をやる、とりかえをおやりになるということでありますが、そういたしますと、おそらくそのために船は一週間なり十日なり休まざるを得ないということになるのではないか、そういうことは私どもとしては最も避くべきことの一つである、こういう観点から、極力それを避けた考え方をとつておるのでございます。  なおこの際、申し上げるのをちよつと落しましたので、つけ加えさしていただきます。私どもといたしましては、この切りかえの期間を四月末までにやつていただくということで進んでおるのでございますが、いろいろ漁期等の関係で二月末までにやつてしまいたい、こういう御希望の方、あるいは十二月から始めていただくと都合がいいという気持で私どもおるのでありますが、やはり船が出て行く関係から、九月のうちから切りかえてしまいたい、こういう御希望の方もおありのようであります。これらにつきましても、私どもといたしましては、できるだけ御不便のないようにいたしたい、こういうつもりで進めておるのでございます。今申し上げたような考え方で、電波の切りかえに必要な通常生ずべき損失というものはどういうものかということを審査いたしますと、まず水晶発振子と申しまして電波を正確に出すために必要な部品がございます。これはまつたく新しいものととりかえなければいけないのでありますが、その費用、それからそれをとりかえましてあと機械の調整等をやるための軽微な工事、これは部品のとりかえもほとんどいらないと思いますが、そういう工事、それからもしも船のおられる漁港に適当な技術者がおられなければ、もよりの所から技術者がそこまで行つて工事をやるための旅費、そういうものがどうしても必要なものでありますから、そういうものを全部加えて考えている次第でございます。大体以上お答えいたします。
  17. 田口長治郎

    ○田口委員 ただいま私のお尋ねいたしました点は、電波監理総局から大蔵省予算を提出しておられるこの予算の内容、いわゆる基礎の問題と、それからその予算を提出されるにつきまして、漁業の主管庁である水産庁といかなる折衝をされたか、言いかえますと官庁同士の思想の統一をどんなふうにされたか、この二つの点をお伺いしたのでございます。
  18. 長谷愼一

    長谷政府委員 失礼いたしました。ただいまの点の返答を漏らしました。水産庁の方からは——実はこの周波数の切りかえ問題は最近に起つたのではございませんで、もう三年前に大体その構想というものがわかり、昨年の八月から約三箇月にわたつて最後的な国際会議が行われまして、細目協定が結ばれたのでございます。従つてこれは二、三年前からその大体の全貌がわかり、二、三年前に一つのプランとしてできたものの数字が、そのままかわらずに昨年の国際会議決定になつたのでございます。従いまして漁業無線といたされてどのような電波の切りかえが行われるかということは、相当前から大体おわかりであつたと思うのであります。もつとも私どもといたしまして、正式にいろいろ各方面に申し上げる段階になりましたのは、具体的な処置あるいはただいまお話になつておりますところの補償問題等のことを綿密に調査いたしますために、正式にお話し申し上げましたのは今年になつてからでございますけれども、大体お話は各方面の方にわかつていただいておつたと存ずるのでございます。従いまして水産庁関係の方からもたびたび私の方に御連絡があり、今回の補償問題につきましても、さてどちらが主管としてやるかというようなことにつきましても御連絡があつて、これは電波法に基く補償でありますし、電波監理委員会が行おうとする電波の切りかえのいかんによつて、ずいぶん左右される問題であるから私どもの方で一切処置をいたしましよう、こういうことでお話ができて今日までに至つておるわけであります。なお私どもといたしましては、先刻来いろいろお話になつております参考人の方々の御事情も、いろいろお話は聞いておりましたが、遺憾ながら先ほど述べられたような数字を具体的にあげられて陳情してくだすつたのは先週の土曜日であります。このときには、もうすでに一箇月以上も前から大蔵省と私どもの方が折衝をしておつた後でございますので、直接補償の対象となるのは電波の切りかえによつて直接生ずる、先ほど来申し上げたようなことだけを補償の対象としていただいて、それ以上何らかの理由でいろいろ機械のとりかえとか改造等を必要とされるならば、これは別途助成金とか補償というようなことで考えていただくよりいたし方がないのではないか。遺憾ながら電波監理委員会としてはそういう権限もただいま持つておりませんし、補償ということだけであるならばできるだけ御迷惑のかからないように努めよう、こういうことで目下大蔵省折衝を進めておるような状態でございます。
  19. 田口長治郎

    ○田口委員 どうも私の質問に対しまして、話が少しそれると思うのでございます。重ねて申し上げますが、電波監理総局から原案として大蔵省に提出してありますところの予算要求書に、この補償金としていかなる金額を計上してありますか、その点を聞かせていただきたいのであります。
  20. 長谷愼一

    長谷政府委員 ただいま折衝中で、算出根拠等からいろいろ話をいたしておりますので、最後的な数字はまだ未定でございますが、大体一億前後の金額を目当にして進めておる状態でございます。
  21. 川村善八郎

    川村委員長 ただいま大蔵省大村主計官が出席されました。
  22. 田口長治郎

    ○田口委員 ただいま参考人からいろいろ御意見を承りますと、今回の電波改造に関する経費が約五億七千万円必要である。しかるに電波監理総局では、大蔵省に対して一億程度の金額を要求中である、こういうようなお話でございますが、物事には、大体一つのことについては似たような数字が出て、少し両方の見解が違うということが多いのでございますが、この問題に関する限り一方では六分の一である、一方では六倍である、こういうような非常な見解の相違があるように思います。私ら電波につきましては知識がないのでありますけれども、常識的に考えてかくのごときことはあり得ないように想像するのでございます。この際、水産庁で長い期間研究されたというような今の長官の話もありますが、この問題に対しまして、水産庁としてはいかなる基礎のもとに、いかなる金額によつて電波監理総局と御相談になりましたか。そしてその結果どういうことに結末がついて、電波監理総局から一億程度の金額を大蔵省に要求することになつたか、その点の事情を少し詳細に承りたいと思うのであります。いずれにしましても、漁業の主管庁である水産庁とは、当然十分に御協議の上でこの問題を決定せられたと思うのでございますが、その点について水産庁の係官から一応の御説明をお伺いいたしたいと思います。
  23. 高木淳

    高木説明員 今長谷長官からお話がありましたように、周波数の切りかえの、どの波がどのようになるかということが現実的に現われて参りましたのがごく最近でございますので、今年になりましてから私の方で、各漁船それぞれから資料を集めたわけでございます。三千数百ある中で大体三千近く集まつたものから広げて考えたわけでございます。現在使つております無線機が、この周波数の切りかえがなければそのまま使えることは、先ほど来話が出ておるのでありますが、このたびのこの改正によりまして、先まどから話が出ております石のとりかえ、それからさらにその調整が簡單に行けそうなお話に伺つておりますところに、無線を扱つております通信士並びにそれをこれから引受けてやろうとする人たちの見解、これらを加えまして計算いたしますと、以上のような数になつたわけでございます。それで電波監理総局の方に、この補償金の問題について前から御相談いたしますときに、まだ基礎が出ておらなかつたのでありますが、最近出て参りますと事は大きいので、電波監理総局ともお話しておつたわけでございます。ともかく機械全体から申しますと、これまで使えたものが使えなくなつたということに大きな響きが残つておるように思います。
  24. 松田鐵藏

    ○松田委員 この電波法というものは第七国会において法律になつたのでありますが、水産委員会と監理委員会との間で一番問題になつたのは七十一條であります。この七十一條の問題は、お互いに見解の相違もありましたし、いろいろと議論になつて、調整がとれて七十一條という條文になつたのであります。そこで先ほどからいろいろとお伺いしておりましたが、今まで電波監理総局が国際的に確保された波数に対しては、水産業界としてまつたく喜びにたえないのでありまして、その御努力を感謝するものであります。しかし今田口委員からもいろいろとお話があり、また水産庁からの御意見も拜聽いたしましたが、私は水産庁は正しい計数をもつて五億七千四百万円というような数字が上つたと思つておるのであります。これはただいま課長からお話があつた。そこでこういう問題にどうも納得の行かない点がたくさんある。片一方は一億以内であり、片一方は六億にもなる、ここに水産庁の意見が正しいのか、または電波監理総局の方の計算が正しいのか、どうも委員会でその話をしておつたところでとうてい納得の行かない点がたくさんある。この詳細な問題をまず論議して、計数をはつきり出して、水産庁電波監理総局との話合いがはつきりしなければ議論の余地がないと思う。そればかりでなく、先ほど九月、二月、四月に切りかえて行きたいというような話をされておりましたが、予算は一体決定しているのかどうか。明年の三月三十一日でなかつたならば二十八年度の予算というものは決定しない。それだのにあたかも決定しておるがごとき言葉を聞くのは一体どういうことか、ぼくらはまつたく意外に思うのでありますが、二十七年度の予算決定されておるのかどうか、決定されていなくて、二十八年度予算において決定すべく今大蔵省に提案しておるというのであつたならば、もつともつと時間の余裕があるはずだ。当委員会に対しても水産庁の見解と電波監理総局の見解とをもつと明らかにして、陳情者の意見をよく考え合せて行かなかつたならば、何ぼ論議してみたところで話にならぬ。われわれは、先ほど田口委員の言われるように、この問題に対してはまつたくのしろうとであるけれども、第七十一條の問題は水産関係として重大な問題であるから、大きな政治的な解決によつてこれがなされたものであります。この点を十分に考えてやつて行かなかつたならば、漁業の伸展、漁獲の擴大、また生命財産を保護する上において一大欠陷を生ずるのでありますが、こういう点に対してどういう考え方を持つておられるか、またこれから折衝の余地があるのかないのか、予算決定しておるのかどうか、この点を承りたいと思います。
  25. 長谷愼一

    長谷政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします。ただいま大蔵省といろいろお打合せをしている経費は、本年度補正予算あるいは予備金支出、いずれかによつて処置していただこうということで進めております。なお私どもは、一億円だから補償の要求をいたしたい、五億円あるいは六億円になるならば、電波監理委員会としては御遠慮しようという気持は全然ないのでありまして、実際に合理的に通常生ずべき補償の額が幾らになるかということを計数からはじいて行き、その結果一億円前後になつて来ているということでございまして、決して初めから金額の頭を押えてどうのこうのということではございません。
  26. 松田鐵藏

    ○松田委員 大体今年度において補正予算で組まれる理由がない。明二十八年度において予算の要求がなされるのであつて、この見解は大体あいまいだ。であるから二十八年度の予算としてこういう問題を七十一條によつて正しく解決するよう御努力あらんことをお願いする。それに対しては先ほど申したように、水産庁の意見では、この法律によつて示される範囲内のことを考えて計算を出している。しからば電波監理委員会として、水産庁に対しその誤つている点を指摘して、よく調整をしていただかなかつたならば、われわれここで議論するということは何にもならない。両官庁においてここのところをよく納得の行くところに持つてつて、正しい意見をわれわれにお知らせ願いたい。そういうことのために、政治的に考え、非常な議論に上つて七十一條というものを決定したものであります。今日あることを予想するから、われわれはこの問題を議論したのであつて、この法律ができている以上は、業者水産庁とあなたの方との計算をよくされて、それから予算を組んでいただくことが最も至当なことだと思うのであります。私はこれ以上議論するつもりはない。もしその計算が誤つているのであつたら、これは明年度の補正予算に出せばいいのである。しかし今日六億も出るのが一億円よりないというような話を、われわれ当委員会においてまつたくわけのわからぬ者が聞かされていたのでは、いつまでたつてもわれわれは審議のしようがない話でありまして、第七十一條を基本としてすべての問題を解決していただきたいのでありますから、委員長においてもきようはこの程度でこの議論は打切つてもらつて水産庁電波監理委員会と正しい打合せをしていただくように、特段の御配慮をしていただきたいと思います。
  27. 田口長治郎

    ○田口委員 松田委員からお話がありましたように、まつた水産委員会としても審査の方法なり考えようがないのでありまして、これはひとつ役所同士で思想の統一をはつきりとやつていただきたいのであります。ここに大蔵省からもおいでになつておりますが、大蔵省に対しましては、電波監理委員会水産庁との思想の統一ができた後においてまたあらためて質問したいと思うのであります。  電波監理長官に一言申し上げますが、今回のこの問題につきましては、單に最小限度検査が通過すればいいという観点でなしに、漁業の性能だけは十分に発揮ができるようにというような観点から、再考慮をお願いしたいのであります。漁業に関する責務は水産庁にあるのでございまして、水産庁と十分な打合せがなければ、結局電波監理委員会が要求された金額によつて、すべての改造あるいはとりかえというようなものを電波監理委員会自身が全責任を持つてやるというようなところまで行くと思いますから、その点もう一回よく水産庁とお打合せの上、万遺憾なきようにお願いをいたします。
  28. 松田鐵藏

    ○松田委員 大蔵省の大村主計官がおいでになつておるから、私どもの意見を申し上げますが、どうも大蔵省は削ればいいのだという考え方を始終持つている。これは大体不都合だ。別の予算をとるということでもつてやる場合は別でありますけれども、どうしてもこれは認めなければならないものだとはつきり法律決定されている問題をやる場合においては、大蔵省はこれに灯して、いい加減ななたを入れることのないように、国民の血税であること賢くわれわれもわかるのであるが、もつともつと大きい角度から法律が制定されてあることをよく御理解くださつて、大村主計官はそういうことはないと思いますが、大蔵省の今までのように、すべてのものを削ればいいなどということのないように、念のためにお願い申し上げておきます。
  29. 川村善八郎

    川村委員長 本件に関して委員長より特に水産庁長官長谷電波監理長官、大村主計官に申し入れておきます漁業無線電波切りかえによる損失補償についての根本的な考え方や金額等についても、電波監理委員会水産庁参考人たる漁業者の代表の意見が相当に食い違いがあるようであります。そこで各委員からも御発言があつたように、官庁同士がまだ統一した意見になつておらないようでありますから、どうか三者よく御相談して、責任を十分完遂するようにしていただくとともに、漁業者損失なからしめるよう、補償金額等についても十分勘案されんことをお願いいたす次第であります。     —————————————
  30. 川村善八郎

    川村委員長 次に水産貿易に関する件について調査を進めます。  この際石原委員より発言を求められておりますのでこれを許します。本問題について外務省経済局次長小田部謙一君、通産省森農水産課長が御出席されております。石原君。
  31. 石原圓吉

    ○石原(圓)委員 質疑の前に御参考に御報告を申し上げておきます。水産議員連盟におきましては、一昨二十六旧と二十八日の二日間連続して連盟会議を開きまして、二つの決議をいたしたのであります。その一つは、極東貿易に関係ある日、米、英、仏、加の五カ国は、七月末華府で極東貿易国際会議を開催することとなり、既に去る七月二十四日通商産業省通商局次長松尾泰一郎氏外二名は出発した。  本会議は極東の貿易に関係ある主要諸国の輸出統制方針に関し密接な協力を確保する方法、特に中共貿易緩和について討議するのであるが、中共並びに東南亜細亜の地域は、古来より我が国の昆布、するめ、ふかひれ、乾あわび、乾海鼠、寒天、罐詰其他水産物の大市場である、然もこれらの地域の民衆は、我が国の水産物を生活の必要品としてその輸入を渇望してやまざるものである。然るに政府は同会議に中共向禁輸緩和品目として、繊維、機械染料、紙、亜鉛引鉄板、毛及び同製品の六品目を提示して交渉するようであるが、右とはその性格を異にしてはいるが、数百年に亘る日支貿易の大宗たる水産物についても政府は速かに中共向水産物の輸出振興に最善の方途を講じて、国家百年の大針を謬らざらんことを強く茲に要望するものである。  もう一つは、表題もつけ加えて申し上げます。「水産議員連盟に「国際水産部会」を設置するの件 昭和二十七年七月二十八日 水産議員連盟理事長石原円吉  わが水産業界は、対日平和條約、日米加三国漁業條約締結の経過及びその一発効後に於ける政府の外交措置に対し、遺憾とする点が尠くない。  従つて、本連盟は今後政府を鞭達するため先ず彼我の国民手を握つて懇談し、談笑裡に関係国民相互の意志の疎通を図り政府の外交折衝の基盤を作るべきだと信ずる。  よつて本連盟に国際水産部会を設置し、本邦並び関係国の政界、業界の有志を以て組織し、事業としては(イ)本部会自らする国民外交、(ロ)個人若しくは団体のする国民外交の斡旋援助をすることとしたい。尚具体案は本部会に於いて検討する。右決議する。」  なおこのほか国際水産部会におきましては、対米貿易を主とする事項北洋漁業を主とする事項、対ソ関係を主とする事項、中共貿易を主とする事項、対韓国関係を主とする事項、支那東海岸関係を主とする事項、東南アジア関係を主とする事項、拿捕抑留関係を主とする事項、公海水産資源関係を主とする事項、捕鯨を主とする事項、ラツコ、おつとせいを主とする事項、同際金融を主とする事項、一般国際條約に関する事項、日本海、黄海に関する事項、国際水産経済に関する事項、右の各項に対して、参衆両院の議員である理事の諸君のうちよりそれぞれ部会長を選んで、この問題を専門に研究し、次の国会において十分これに対する論議を盡し、法制化する予定であります。  右御報告を申し上げておきます。  なおこの際お尋ねをすることは、外務省並びに通産省、水産庁より適宜御説明を願います。決して御遠慮のないようにお願いをいたします。  さしあたり中共貿易に対する既往における政府の措置、これに対する通産省並びに水産庁の御説明をお願いたします。
  32. 小田部謙一

    ○小田部説明員 ワシントンにおきます極東貿易に関連する会議と申しますのは、時差の関係上きようの午後から向うで始まることになりますが、これは主として中共貿易を、おもなる大きい国の間で一体どういうふうな方法で統制するかというような問題を論議する会議でございますから、この会議においてはその他の東南アジアにおける貿易というものは、議題の範囲外になつております。それからここに載せてあります繊維とか、機械、染料紙、亜鉛引鉄板、そういうものが新聞に出ております四品目とか、五品目とか言つているものでありまして、これはただ例示的なものでございますから、日本側としてはこれに限らず、この会議におきましては、一般に日本と西欧とが同じレベルに立つて中共貿易を統制するなら統制するということを議論することになつております。ですから、現在のところ水産物に関しましては、これは通産省の農水産課長に今も確かめたのでございますが、寒天だけが統制されておりますが、その他は自由になつておるそうであります。それで寒天にしましても、西欧諸国並みにしようということで交渉する方針でございます。大体以上の通りでございます。
  33. 森日出哉

    ○森説明員 通産省として私がお答えいたします。ただいま小田部次長からお話がありましたように、先ほど石原先生が仰せになりましたいろいろな塩干水産物につきましては、全然禁品目になつておりません。それで御承知通り戦前から、対韓満支と申しますか、そういう地区に多量の塩干水産物が輸出されておりましたのに比べまして、戰後はまつたくこの貿易のルートは断ち切られまして、そのためにわが国の漁業が非常な影響を受けているということでございます。これは現在全然禁制品目になつておりませんので、中国側で買う希望がありましたならば、またわれわれが出す余裕もございますので、なるべく多量にこういう海産物を中国向けに出したいと思つております。それから戦後に出ました若干の統計を申し上げますと、香港貿易を除きまして、対中共向けに出た塩干物の量は非常に少いのであります。こんぶが昭和二十五年に二万七千九百三十ポンド、それから昭和二十六年にこんぶが百七十一万八千四十五ポンド、それからなまこが四百三十八ピクルと非常に少いのであります。それから二十七年度に入りましてから、こんぶが二万ピクルのオツフアーを見ております。こういうふうに数量が少くて問題にならないのであります。この原因はどこにあるかと申しますと、むしろ禁制品目にこれらは入つておりませんので、出すことは自由になつておりますが、現在むずかしい点は決済の問題が一つある。対中共向けの決済はバーター貿易をとつておることは御承知通りでありますが、バツク・ツー・バツクと申しまして、同時に信用状を開設するか、あるいはエスクロ・バーターと申しまして輸入先行の立場をとるか、そういう立場をとつております。それで決済の面からいつて非常にむずかしい。もう一つは、中共政府のバーター貿易管理暫行便法などを見ますと、中共側が輸入する場合に、海産物は、たとえばこんぶの例をとつてみますと、甲乙丙の丙類に入つておりますので、こちらから丙類の品物を売りますと、中共側からもやはり丙類の品物しか輸入できない。従いましてわが国にあまり必要でないというものが輸入対象となつております。こういうわけで決済の面と商品別のバーターの不つり合いの面、こういう面で非常に貿易がぎごちないものになつておりはしないかということを考えるのであります。この問題につきまして、私たちは海産物その他水産物一般について、できるだけ多量のものを輸出したいということで、いろいろな問題の所在を確かめて、これを切り開いて行きたいと思います。その前提といたしまして、やはり中共側との全面的な国交調整とかあるいは経済協定という問題が根本的に解決されませんと、なかなかこれはむずかしい問題ではないかと思います。それから寒天につきましても小田部次長から御説明があつたのでありますが、これはこの前水産委員会でお答え申し上げたと思いますが、まつたく技術的な理由に基いて輸出が阻害されておりますが、これについても早急に問題を解決できる段階になると思います。
  34. 松田鐵藏

    ○松田委員 委員長に申し上げますが、本日は外務大臣、通産大臣、それから農林大臣、この三大臣を当委員会にお呼びして、いろいろと質問する予定であつたと思うのであります。今何とかいう次長が来たり、森君が来たりして、いろいろと内容を説明されおりますが、大体これの基本的問題は、今森君が言われたように、日本の国の政策である。政策を論議してどのように通商しなければならないかということは政府の責任である。政府の責任であるものに対して大臣が来て答弁されなかつたならば、いかにここで論議したところで話がまとまるものではない。国策がどういうふうに行くか行かないか、これが一番の観点であろうと思う。大体吉田内閣などというものは、中共貿易をいやがつておる。これが誤りである。思想は思想であつて貿易は貿易なんだ。戦争に使われるものを禁止することは当然だけれども日本であり余つているものを今日まで貿易のできないような立場にしておくことが、自由党内閣の責任なんだ。われわれはみずからそれを反省しなければならぬ。それを係官が来て、その内容を説明したところで、そんなことはもうぼくらわかつている。であるからわれわれの責任である中共貿易をどうするかということが基本にならなかつたならば、こんなものをいかに論議したところでしようがない。(「改進党だ」と呼ぶ者あり)改進党だなんてやれる、ものではない。自由党でなかつたならばやれないことははつきりしておるが、何のためにその三大臣を呼ばないか。この点明日の委員会にはぜひとも三大臣を呼んで、吉田内閣の責任を追究しなければ、われわれ水産委員会の責任は全うされないことを委員長に強く要望しておきます。
  35. 川村善八郎

    川村委員長 松田君にお答え申し上げます。松田君の発言と私は同様な意見を持つておりますので、昨日農林大臣、通産大臣、外務大臣、の三大臣を本委員会に招致すべし、もし口頭でその旨が通じなければ、大した齟齬を来ますから書面をもつて通告をせよと専門員室に申入れをしておいたのでありますけれども、事務当局は遺憾ながらちよつと齟齬を来したようでありますから、明日の委員会には付ぜひ出席するようその手続をとります。
  36. 石原圓吉

    ○石原(圓)委員 私の第一回は、中共貿易に対する中共における政府の措置いかんということをお尋ねしたのでありますけれども、それには当てはまらない御説明であつたのであります。そこで端的にひとつお尋ねすることは、蒋介石政権を吉田内閣が認めて協定をした。このことはいわゆる中共、毛澤東政権に対してどういう影響を與えておるか、その点が中共との貿易にどういう影響があるかということを、外務省の経済局次長より御説明を願います。
  37. 小田部謙一

    ○小田部説明員 蒋介石政権を認めて中共を認めないから、中共貿易に対する影響があるのではないか、こういう問題は私たち経済局の所管でございませんから、お答えはちよつと差控えたいと思います。
  38. 石原圓吉

    ○石原(圓)委員 これが大臣が出席せねばならね一つの要素であります。少くも経済局次長が御出席になつて説明ができないことは、これは事務的の立場から当然でありましよう。われわれはそういうことをお尋ねするのではなくして、蒋介石政権を認めた吉田内閣が、中共に対してどういう感じを與えたか。そしてそれによつて中共との交易がどうなるか。どうせねばいかぬか、またどういう考えを持つておるか。こういうことをただしたいのが本日の重要なる質疑であります。この問題は與党、野党にかかわらない問題であります。われわれ水産委員会にあつては與党も野党もないのでありまして、あくまでも正しき道を有利に争わなければならぬのでありますから、委員長におかれまして、明日は必ず外務大臣、通産大臣、農林大臣の出席を求められるよう強く要望をいたしまして、本日は中途半端でありますけれども、この程度で私の質問を打切り、次の委員会でまつ先に発言をすることをお認めを願いたいのであります。
  39. 川村善八郎

    川村委員長 委員長から通産省森農水産課長に一言お伺いします。先ほど課長の言われるには、決済において相当に困難があるということで、水産物等の中共との貿易ができないということを申されおりましたが、われわれの考えでは、政府の政策等に大きな関係がある、こう解釈しておるのでありますが、その点についての課長の意見はどうであるか。もつと率直に申し上げると、政府の政策が中共貿易をできないようにしておるというわれわれの考え方であるが、森農水産課長は、バーターの関係や決済の関係でできないのだということであるが、どの点ひとつ見解を明らかにしていただきたいと思います。
  40. 森日出哉

    ○森説明員 やはり日本政府の政策、根本的な対中共の調整の問題、それから経済協定の問題が解決しなければ問題は解決しないと私は考えております。
  41. 石原圓吉

    ○石原(圓)委員 もうこの問題は打切つてよろしいと思いますが、いかがでしようか。
  42. 川村善八郎

    川村委員長 水産物の貿易に関する問題については、明日農林大臣、外務大臣、通産大臣を招致いたしまして、十分議論したいと思いますから、本日はこの程度にとどめます。     —————————————
  43. 川村善八郎

    川村委員長 次にただいまの情報によりますと、参議院では水産委員会を廃止するということが明らかになつて、本会議において議決されたそうであります。本委員会でも態度を決定いたしまして闘わざるを得ない、かように委員長として考えますので、この問題について各委員の御発言を願いたいのであります。
  44. 石原圓吉

    ○石原(圓)委員 ちよつとついででありますけれども発言を許していただきたいと思います。  本日の毎日新聞の都内版の記事でありますが、これによりますと、「防潜網の撤廃を陳情、東京湾漁業者二万名が生活の脅威という題で、その内容は、東京湾の入口の冨津崎と神奈川県の旗山崎の間を遮断しており、そのために漁民二万名が生活の脅威を受けておる、こういうことでありますが、これに対して水産庁は、どの程度に御調査等をなさつておるでしようか。これは重大な問題でありまして、一応われわれも現地調査第の必要があるように感ずるのでありまして、その点をお尋ねします。  なお委員長より、水産委員会を抹殺するような決議が参議院であつたという御発言であります。これはどうも意外なことでありますが、これに対してはただちに対策を講じなければならぬと思うのでありまして、一応この委員会を閉じて、そうしてわれわれだけ残つて、協議をするような方法をとられんことを希望いたします。
  45. 伊東正義

    伊東説明員 防潜網の点だけを申し上げます。防潜網の点につきましては、この前の委員会のときもちよつと御説明したのでありますが、先週の土曜日に協定のできましたのは演習場だけでありまして、海軍と空軍であります。陸軍はまだ残つておりまして、そのほかに海軍関係で佐世保の防潜網でありますとか、東京湾の防潜網、それから東京湾の碇泊禁止の問題、そういう制限関係がまだ残つております。向うからは案として出て来ておりまして、それに対しまして今われわれは交渉をやつております。防潜網を置いたから幾らくらいの被害があるかという調査は、まだわれわれの方では十分ついておりませんが、被害があるだろうということは想像されますので、できればこれを撤廃してもらうのが一番いいのであります。そういう方針で交渉はいたしますが、最悪の場合でも何とか補償ということは考えなければいけないのではないかということを今考えております。
  46. 石原圓吉

    ○石原(圓)委員 この点は同僚委員が、たとい二、三時間の短時間でもいいから、時間をさいて現地を調査することをぜひこの際実行に移したいと思うのであります。この点ぜひ御賛同を得て全員一致決定されんことを希望いたします。
  47. 川村善八郎

    川村委員長 ただいまの石原君の御意見でありますが、調査事項については明日本委員会で議決をすることになつておりますので、その際この問題をお諮りして決定することにいたします。
  48. 冨永格五郎

    ○冨永委員 ただいま委員長から参議院の水産委員会の廃止の問題について御提議がございましたが、実はけさ新聞で農林水産委員会とするということの記事を拝見いたしましたのであります。従つて私はこれに関して水産庁並びに専門員室において、今までどの程度の情報がとられておつたかということについて、いろいろ委員会が始まつてからではありましたけれども聞いて参りましたが、何らそういう事前の情報はなかつたようであります。従つて専門員を参議院の方に聞きまわらしたところが、議院運営ですでにこれが取上げられて決定したとかいうことであります。従つて今日あるいは参議院の本会議にかかるもののように考えますが、しかしわれわれ衆議院においては、委員長におかれましてもぜひこの問題は否決するよう御努力願いたいと思います。  先ほど松田委員から吉田内閣が中共貿易云々という発言がありましたが、しかしこれはどちらかといろと、松田委員、案外中共貿易に関して認識不足ではないかとも考えられるのであります。実は二十四年度には四億円、二十五年度には十九億円というように、大体五倍にはね上つている事実もあり、相当に増加いたしておるのであります。だからといつて吉田内閣が中共貿易を促進しているとは考えません。従つて明日の委員会において大臣に出席を求めて、われわれは追求いたすべきは追究いたさなければならぬと思います。中共貿易に対する現在程度の政府の考え方では、とうてい日本水産貿易、少くとも北海道水産関係業者は成り立たないことは明らかであります。特に東南地方における漁業の大宗を占めているするめ等のごときは、今日非常な困難な状況に追い詰められていることは、ひとえにかかつて現政府の中共貿易に対する熱意が少いからであることを、私は認めるにやぶさかでないのでありまして、ことに戦後二分の一に減らされた日本が、たつた一つ公海漁業の原則にのつとつて手足を伸ばすことによつて、初めて日本の窮状を救い得る見通しに立つわれわれ水産委員会においては、日本水産業が今後日本産業にきわめて重要なものであることが考えられる際に、水産委員会を廃止するがごとき、おそらく誤聞だろうと思いますが、こういうことが新聞に出るがごときは、私どもは絶対反対を主張するものでありまして、委員長におかれましても適当な処置をとられ、党に厳重な申入れをせられんことを希望いたします。
  49. 川村善八郎

    川村委員長 まず水産長官より御発言を願います。
  50. 塩見友之助

    塩見政府委員 参議院の水産委員会の問題については、ただいま冨永委員からお話のございました通り、私どもは全然関知しておりません。唐突に新聞で拝見したような次第であります。
  51. 松田鐵藏

    ○松田委員 参議院の議運において、水産委員会を廃し、農水委員会にすべしという議論が起きた。これは私の持論である。それは、最も正しい水産行政を行うのならばそうなければならないと私は信じおる。われわれは一つ委員会に所属されておるが、水産のみを研究している場合においては、まつたくかたくなな一つの型にとらわれる点が多い。しかしお互いがよく国の行政というものを見なければならないのであつて、農水というものはまつたく表裏一体のものであるという点から、この農林、水産委員会が一緒になるということに対して私はまつたく賛成なんです。しかし結論から言うならば、あしたの本会議では否決されるでありましよう。この点はお互いがよく考えなければならぬ。委員会に所属されておる所属議員も、場合によつては三人か五人しか出て来ない。そして満足な熱心な議論をやらない。私は前には水産委員会と決算委員会と二つ持つてつたが、二つ、三つの委員会に所属されておつては、とうてい満足な委員会の運営はでき得るものではない。それを考えたがゆえに水産委員会のみに今日所属されておるのであります。われわれの研究そのものもまつたくまだ幼稚なものであるが、委員会に出席せずに、人の言うた速記ばかりを見てとやかく言われるような委員であるならば、かえつてない方がいい。それよりも水産委員会と農林委員会と合同して大きな委員会をつくつて、そこにおいて自由闊達に水産問題を論議すればよい。ややもすれば党の総務会なんかにおいても、水産水産ばかりの立場においてむちやを押すがごとき議論がときどきある。ぼくのような人格者であればそういうことはありませんけれども、かような点からいつても、大委員会をもつて水産長官にもごまかされないように、農林大臣にもごまかされないように、大きな政治力をもつて委員会の運営をし、政策を練磨することが最も適切なことだと私は考えておるのであります。かような点からいつて水産委員会と農林委員会と合同するというようなことは私の持論でありますけれども、これに対して反対するがごとき各委員の御意見はぼくにはわからないのであります。明日衆議院においても満場一致これに賛成あらんことを特に水産委員各位に対して私は意見を申し上げておく次第であります。
  52. 川端佳夫

    ○川端委員 ただいま参議院における水産委員会の廃止問題が議題になりました。学識経験の豊富な松田委員からこのようなお話を聞こうとは、私は思わなかつた。今の御議論を伺つておりますと、水産委員会は農林委員会と一緒になつて、農林省関係一つ委員会で考えて行く形が当然の形であるというお話がありました。それは農林委員会のことも勉強しなければならぬというような趣旨お話がありましたが、私ごときは松田委員ほどの学識経験はございませんけれども、ここに来て国政の審議をいたし、少くともここで水産問題を討議し審議するにあたつては、商工問題についても、社会問題についても、また農政関係の問題はもちろん十分に知悉した上において、この関連において水産問題をいかに専門的に検討して行くかという態度でわれわれは委員会に臨んでいるのである。学校の課業であれば修身もやらなければならぬ、国史もやらなければならぬ、あるいは算数もやらなければいかぬというようなことで、一つの教室で次々と学んで行くことも当然でありましようけれども、この国会委員会における審議はそういうものではない。しかもここで水産委員会の問題を論議するという今の松田委員の御論旨から行けば、常任委員会全体の根本問題に触れるものでありまして、私は今の御議論に対してはまつたく正反対の感じを持つておるのであります。もう少しわれわれ個々にプライドを持つて、もう少し高い見識の上に立つて、この専門的な問題を検討して参りたいと考えておるがゆえに、水産委員会の存在価値云云に至つてはわれわれ自身まつたく自己を否定するものだという感じを持つておりますからまつこうから反対をいたすものであります。
  53. 小高熹郎

    ○小高委員 この問題は議論の余地はないのであります。われわれはさきに水産省設置を強く要望して参りました。たまたま先般も、水産庁が少しく基礎がゆれ出しはしないかというとき、われわれは満場一致これに対して水産庁を厳然と存置すべし、でき得るならば省に昇格すべしという意見を堅持して来たのであります。そういう観点から見ましても、われわれ大多数の意見は——松田君の意見も、おそらく真剣なものとは私ども了承しておらないのでございまして、全部の意見が議論の要なし、この委員会を存置せずして、水産行政を強化せずして、水産日本経済力の実をあげ、国富を大いに増強することはできないということから考えて、もはや議論の余地はないのでございますから、委員長におかれてはひとつ決をとつていただきまして、この参議院案に対して、当委員会の立場をはつきりきめておいていただきたいことを希望いたします。
  54. 林好次

    ○林(好)委員 ただいまの松田委員お話については、私は本気で言われたものとは受取つておりません。ことに北海道の重要な水産物の生産地から水産議員として出ておられる松田委員が、おそらく本気になつて水産常任委員を廃止するのだ、このようなことを考えておられるのではないと思います。また参議院において突如として水産常任委員会を廃止するというその理由は、仄聞するところによりますと、委員長になり手がないから水産常任委員は廃止する。このようなことはまつたく理由にならないと思うのであります。日本水産というものは、私から申し上げる必要はありませんが、まことに重要な産業であります。一応松田委員の言われるように、やはり農水林というものは切り離すことはできない。しかしながらこれは官庁において縦横の連絡を十分にとつて総合的な行政お行えばよいのであつて、われわれ国会におきましては、水産は重要な産業でありますから、専門の水産常任委員によつて、われわれ水産人として見識を持つて水産の全般問題について正しい政治を行わなければならぬという見解から、私は水産常任委員会を廃止することに対しましては絶対に反対でありますし、また党に帰りましても、この事情をよく話をいたしまして、もし参議院がそのようなことを決議して本会議に送付に相なりました場合におきましては、改進党としては反対をする意思をここにはつきり表明いたしておきます。
  55. 井之口政雄

    ○井之口委員 水産委員会の廃止の問題が、今議せられておりますが、これはおそらく今までの水産委員会の運営の点に対するいろいろな不満が昂じて来ておる、そうしてこれが廃止ということになつておるのだろうと思う。水産委員会それ自体の廃止ということは無意味でありまして、むしろ水産委員会は今までよりももつとなすべき仕事がたくさんある。たとえば水産方面においては、中華人民共和国と接しておりますし、ソ同盟とも接しております。そういう方面からしまして、中日並びに日ソとの漁業業協定というふうな問題、また貿易というふうなことも、今の政府においてはいろいろな破綻を生じておるというのが、水産委員の諸君にようやくわかりかかつて来た。そううい方向が打出されて行くということは喜ばしいことである。そういうふうなするべき仕事水産委員会にたくさん残つております。のみならず、先ほどからも問題になつております富津の岬から潜防網が張られて、二方からの漁民の生活が脅かされるという事実が起つておる。これを農林委員会に持つてつてかけたところで、そういう問題が本気になつてみんなによつて取上げられるという性質でもない。こういう点から見ましても、水産委員会水産委員会として、むしろ今までより以上に、なすべき仕事を各自が自覚して、強力にこれをやるということが必要だと思うのであります。そういう点から水産委員会は置く。しかしながらその運営の点においては、この委員会利用して、いろいろな利権あさりのようなことに堕しないように、国家の全般的観点をもつと高く評価し、水産委員が小さな観点に陷らないように、今アメリカの占領維持の問題をわれわれは大きく取上げなければならぬ時代に来ておるのであります。国民全体はアメリカ軍の撤退を要求しておる。たとえば富津の場合にいたしましても、これに単に賠償するという手段がとられましても、日本租税をもつて賠償するのでありますから、そういうようなことは根本的な解決にはならぬのであります。水産委員会においては、こういう本質的な問題をもつと強力に、全国民的な広い立場に立つて解決をはかるという観点に、全委員が立つことが望ましいことであります。そういう意味から、水産委員会は存続することが正しいと思う次第であります。
  56. 田口長治郎

    ○田口委員 参議院における水産委員会の存続の問題につましては、昨日私が事務局案としてそういうものが出ておる、こういうことを承つたわけでございますが、この委員会におきまして、この問題に対して松田委員の言論が、ややほかの者と方向を違えておるような印象を受けておりますし、また速記にも残つておりますから、松田委員の言論を、私が受取りました点を申し上げるのでございますが、松田委員は従来、ことに参議院におきまして、委員会の出席が非常に少く、一人か二人か三人かという状態で、委員自体が委員会をなおざりにしておる、かくのごとき委員会は議論が起る、委員がもう少し精励するように、こういう意味で申されたのでありまして、松田委員はこの問題が出たら総務会において自分はまつ先に反対するというような御意向からいたしましても、先生は委員の精励を希望されておる発言をされたように、私は受取つたのでございます。この点は今本人がおられませんけれども、本人のためにここで明白にしておきたいと思うのであります。  大体農林水産の問題は、原始産業であるがゆえに一緒になつておりますけれども、根本的にこれを考えてみますと、陸の農業と海の漁業とまつたく違つた立場にあるのでございましてかかる意味におきまして、農林省で水産行政をやつておることは間違いである。ぜひ水産省を設置してもらいたい、こういう意味で全国の漁業者は多数の署名運動をしておる。先般の行政整理におきましても、あるいは吉田総理の言明におきましても、時期来らば水産省を設置する、今は行政整理の時期であるからしばらく猶予を願いたい、こういうお話であり、またわれわれも当時の行政管理庁長官でありますところの本多前国務大臣から、さような話を聞いておるのであります。かかる観点からいたしまして、私は陸の原始産業の行政と、海の原始産業の行政というものは全然別個である。こういう意味からいたしまして、水産委員会を廃止するということに対しましては一蹴すべきもので、衆議院といたしましては、全力を盡してこれを排撃する方向に進めなければならぬと思うのであります。まだ参議院の問題がはつきりと正体をつかめないのでございますから、手の打ちようもございませんが、とりあえず参議院の水産委員会と衆議院の水産委員会の合同協議会をお開きになりまして、参議院のこの問題に対する成行きを明らかにされて、これに対する対策を衆議院のみならず、参議院のみならず、参議院の水産委員会とともにはかることにお進み願いたいと思うのであります。
  57. 川村善八郎

    川村委員長 参議院における水産委員会の廃止議決問題については、ただいま本委員会において與野党各委員より反対の意思が表示されましたので、委員長といたしましては、政府当局並びに各党にこれを呼びかけ、必ず本委員会が存置されるよう努力する覚悟であります。  本日はこの程度にとどめ、明日は午前十時より委員会を開きます。散会いたします。     午後零時五十一分散会