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1952-07-26 第13回国会 衆議院 水産委員会 第50号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年七月二十六日(土曜日)     午前十一時二十二分開議  出席委員    委員長代理理事 小高 熹郎君    理事 田口長治郎君 理事 永田  節君       石原 圓吉君    川端 佳夫君       久野 忠治君    鈴木 善幸君       冨永格五郎君    二階堂 進君       平井 義一君    松田 鐵藏君       小松 勇次君    水野彦治郎君  委員外出席者         外務事務官         (国際協力局次         長)      甲斐文比古君         外務事務官   高橋正太郎君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)      伊東 正義君         専  門  員 徳久 三種君 七月八日  委員今村長太郎君辞任につき、その補欠として  佐藤親弘君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 七月二十五日  漁船無電周波数切替による改造費補償に関す  る陳情書  (第二八二九号)  瀬戸内海の水産開発に関する陳情書  (第二八三〇号)  第二次漁港整備計画に関する陳情書  (第二八三一号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  漁業損害補償に関する件     ―――――――――――――
  2. 小高熹郎

    小高委員長代理 これより水産委員会を開きます。  本日は委員長に御都合がありまして、私が委員長の職務を行います。  これより漁業損害補償に関する件について調査を進めます。日本アメリカ合衆国との行政協定に基き、駐留軍演習による水面提供につきましては、わが国漁業に多大の影響を有するものであります。そこで本日は、この提供区域等について外務当局より御説明を願いたいと思います。  先般日本アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定二條により、在日合衆国軍に提供する施設及び区域、この件が論議されたのでございまするが、外務省当局よりこの区域がどの程度に定められておるか、まずお伺いしたいのであります。  この際ちよつと委員各位に申し上げます。本日御出席説明員は、外務省国際協力局次長甲斐文比古君、同局第三課高橋正太郎君、水産庁漁政部長伊東正義君、この三氏が説明員として出席されております。まず甲斐外務省国際協力局次長より、御説明を求めたいと思います。
  3. 甲斐文比古

    甲斐説明員 日米合同委員会におきましては、先ほど来行政協定二條に基き合衆国軍の用に供すべき施設及び区域決定につきまして種々折衝して参りましたが、このほどようやく成案を得ましたので、一昨日の次官会議、昨日閣議決定を終えまして、本日午前九時半に外務省において施設及び区域に関する協定を締結いたしました。この協定は、本文と覚書が二つ、それから附表が四つございます。このうちただいま御質問のありましたいわゆる海上演習場というものは、附表の第二に網羅されておるわけでございます。この附表の第二をごらんいただきますとわかりますように、このたびきめました演習区域は、海軍関係が十四箇所、それから空軍関係が十二箇所になつております。このほかに陸軍の使用いたします水上演習場がございますが、現在交渉継続中でございまして、まだ合意に達しないので、今回の協定には含まれておりません。陸軍の使います演習場は約十五箇所と予想されております。  この交渉にあたりましては、特に漁業水産業に非常な影響がありますので、農林省水産庁漁政部長日本側委員長をやつていただきして、アメリカ側との間に毎日熱心な討議をやつていただきました。その結果全然影響がないとは言えませんが、漁業に及ぼす影響最小限度に食いとめるように非常な努力を拂つていただきまして、今回の協定なつたわけでございます。  地域につきましては、お手元に差上げましたプリントでおわかりになると思いますが、ただその区域名前が、エープルとかベーカーとかチヤーリーとかすこぶるなじみの薄い名前なつておりますが、これは一番うしろに図面がついておりますので、これでごらんくださいますと、その場所がどこであるかということが一目瞭然おわかりになると思います。
  4. 小高熹郎

    小高委員長代理 ただいま甲斐外務省国際協力局次長の御説明によりますと、説明書うしろについておるというようなことでありまするが、本件に関しては、伊東水産岸漁政部長分科会委員長として鋭意衝に当られたそうでありまするが、これは図も付してありまするが、さらに言葉においてその環境等の御説明を願いたいのであります。
  5. 伊東正義

    伊東説明員 私から若干今までの事情を御説明いたします。  ここに附表海軍及び空軍練習区域新旧対照表という両方をお配りしたのでありますが、その説明に入ります前に、今も御説明がありましたように、海軍空軍のほかに残つております問題といたしましては、陸軍関係、それから海軍でございましても、東京湾防潜網でありますとか、あるいは佐世保の防潜網の問題、横須賀の軍港の問題、こういう大分難物がまだ残つておりまして、いろいろな方面から見まして相当漁業影響がありそうな地域が残つております。たとえば陸軍で申し上げますと、一番問題になるのは、九十九里浜片貝の問題でありますとか、あるいは九州方面の築城とか芦屋でありますとか、あるいは北海道の門別とかいうような地域が、まだ双方の話合いがつきませんで残つております。これにつきましては今後も交渉継続いたしまして、できるだけ早い機会に解決いたしたい、かようなぐあいに考えております。  お手元新旧対照表を差上げてありますので、今までどんな時間に演習をやつてつたとか、あるいはそれがどうなつたかということを、ごらん願えばおわかりと思いますが、従来の補償を出しておりました地域は、海軍関係空軍関係の中でもわずかでございます。実際に爆撃をやるとか、あるいは上陸演習をやるというようなところについては、もちろん補償を出していたのでありますが、補償を出しておりました大部分地域は、まだ問題として残つておりますところの陸軍関係がおもであります。陸軍関係といいますのは、御承知のように、陸上から高射砲等を撃ちますので、非常に接岸しました漁場等に入れぬというようなことで、補償を出しましたのは大部分陸軍関係でございます。海軍空軍関係だけで行きますと、先ほど甲斐次長の御説明がありましたように、もちろん被害はあるのでありますが、補償を出しますものの中のごくわずかのものになろうか患います。われわれが交渉いたしました場合も、補償をもらいますよりも、できるだけやめてもらうということがけつこうなのでありまして、態度といたしましてはそうもうことで交渉いたしました。また場合によりましては、区域を縮小してもらいますとか、区域統合をはかつてもらう。あるいはどうしてもできぬ場合は別の地域に移転してもらいますとか、あるいは時間を短縮してもらうというような、いろいろな話合いをしました結果が、ここに載せておりますような時間やなんかになつたわけなのでございます。  それで、従来とかわりましたといいますか、廃止になりましたり、場所がかわりましたのは、この海軍関係に書いておりますところでは、九州の相ノ浦は廃止なつております。それから潜水艦碇泊区域である相模湾土佐湾あるいは訓練機雷敷設区域というのが最後に出ておりますが、これらは漁業制限は全然ございません。たとえば相模湾土佐湾には向う潜水艦がよく碇泊するというので、日本漁業者の人々その他一般の航行の関係者が驚かぬようにという意味で向う言つて来たのでありまして、われわれとしましては、こういう地域につきましては全然漁業制限するというようなことは考えておりません。ここに常時危険区域と書いてありますチヤーリーとかフオツクス、ジヨージというような所につきましては、従来も補償をいたしておりましたので、こういう地域につきましては、やはり今後もある程度制限をしまして、補償を出して行くということに相なろうかと思います。それから次の鳥島のハウもそういう地域だろうかと思います。またずつとあとの方に書いてありますオーボー、茅ケ崎の上陸演習場、この辺の所は従来も漁業制限をいたしておりましたので、今後もやはり漁業制限があるかもしれぬというように考えられます。ただエーブル、べーカーその他ドツグというような地区につきましては、漁業制限というような事態はあまりないのではなかろうかという予想を持つております。たとえばエーブルというような所は、大きな戦艦等艦砲射撃をするという話合いなつておるのでありますが、従来はまだ一回もこの地域につきましては漁業制限はいたしておりません。今後もこういう所はそう大した制限はないのではなかろうかという気がいたしております。  それから空軍関係について見ますと、空軍関係につきましては、中部本州米子北部本州というような所につきましては、区域統合をはかりましたり、あるいは区域を一応沖合いの方へ移動してもらうというようなことをやつてもらつております。それから表の二番目に大野原島というのがあります。これは三宅島のそばなのでありまして、毎日ものすごい爆撃をするそうでありますが、これは非常によい漁場でありますから、ずつと南方のイナンバという所に爆撃の移動をしてもらつております。それから大村湾爆撃とか米子湾の美保の爆撃廃止してもらうということになつておりますから、空軍関係爆撃をやつておりますのは、大野原のかわりましたイナンバであります。それから対地射撃といいまして、これも漁業制限になりますが、芦屋鳥島——これは海軍の方と同じでありますが、それから日本海の竹島、三沢、水戸というような所が爆撃なり対地射撃をやつております。こういう所につきましては従来も補償を出しておりましたが、やはり相当漁業制限になると考えられます。その他は大体空中戦争訓練内容なつておりますので、その他の地区につきましては、漁業制限というようなことをしないでもやつて行けるのではなかろうかと考えております。簡単でありますが、海軍関係空軍関係の大体の御説明を終ります。残つておりますのは陸軍海軍立入制限禁止とか、あるいは防潜網関係と申しましたが、瀬戸内の姫島は国連軍が使用しておりますので、その関係はまだ将来の問題として残つております。     〔小高委員長代理退席石原委員長代理着席
  6. 小高熹郎

    小高委員 ただいま甲斐外務省国際局次長並びに伊東漁政部長から、日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定二條に依り在日合衆国軍に提供する施設及び区域その他について御説明がございましたが、少しく私ども水産委員としてふに落ちない点がございますので、お尋ねいたしたいと思います。  一例をとつてお尋ねしまするならば、千葉県の九十九里地帶は、ここ数年来この種の演習の対象となつておつたのでありまするが、今回閣議決定されましたこの指定区域に入つておるか入つておらないか、これをまず第一点にお尋ねいたしたいと思います。
  7. 甲斐文比古

    甲斐説明員 ただいま御質問のありました片貝でございますが、九十九里浜でも片貝はこの協定には含まれておりません。実はこの問題につきましては、第一にこれは陸軍の使います演習場でありますので、このあたりは含まれておらないわけであります。第二にはまだ現在交渉継続中でございまして、双方妥結するに至らないために協定を結ぶ段階に至つておらないのであります。
  8. 小高熹郎

    小高委員 海軍関係でなく陸軍関係であるからこの協約には入つておらないということはわかつたのでありますが、そういたしますと、現在使用はされているが、まだ基礎的に決定しておらない。ところで九十九里一帯漁民が、ただいま非常にこの演習のために災害を受けまして、窮乏その極に達してどん底の生活をしている。昨年も一昨年もこれに対しまして補償金は交付されましたが、それはほんとうにすずめの涙ほどのもので、ただお見舞金を出したにすぎないというような状態でありまして、最近は、願わくは場所がえをしてもらいたいというので、この点について強硬な意見が開陳されているのであります。まだ決定しておらないとするならば、私の仄聞するところによりますと、青森県等に場所がえの適当な箇所もあるやに聞いておりまするが、それができるかできないか。その見通しと、あるいはそれらに対して折衝でなさつたことがあるかどうか。その点をお尋ねいたしたいのであります。
  9. 甲斐文比古

    甲斐説明員 片貝につきましては、水産庁はもとより外務省におきましても、たびたび地元からその他関係者の方から強烈なる陳情を受けておりまして、現地のお困りの事情重々承知をいたしております。それで私どもといたしましても、できれば他の地域にかえてもらいたいということを軍側にも申入れをしてございます。ただ御承知のように、軍の立場から申しますと、あそこが最も演習場としては適当であるということ、それから関東地区に他にかわるものがない。ただいまお話がありました三沢の問題でありますが、ちよつと関東東海に所在している部隊では遠過ぎるというようないろいろな難点はあるようでありますが、私どもとしては、強く何とかこれは実現をはかりたいと必要な努力を続けております。ただ今申し上げましたように、見通しを申し上げる段階には至つておらない、非常に困難が予想される、交渉の前途は非常に困難であるということを申し上げたいと思います。
  10. 小高熹郎

    小高委員 交渉が困難だつたということは一応わかるのでありまするが、四年も五年も同一箇所でもつてやらなくともいいではないかというような声も、民間の声として相当ありますので、この点につきましては、願わくは場所がえができ得るように、ひとつ外務省当局においても最善の御努力を願いたいことを特に強く希望いたしておきます。  次に、きようは長崎県及び大村湾等の問題について、同僚の田淵君からも意見があるのでございますが、きようは所用のためにここに見えられませんので、それはあとまわしといたしまして、当面手近な問題の東京湾に関する漁業制限に関する事柄でお尋ねいたしたいと思つております。昨年度におきましては、富津防潜網による被害補償がほんのわずかばかり、問題にならぬ程度でありますが来るのは来たのでありますが、これが先般決定されました日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約に基き駐留する合衆国軍隊水面を使用させるための漁船操業制限等に関する法律、この法律に当てはまるかどうかの問題でございますが、先般の委員会におきましても、間接被害というような当初漁政部長からの御説明でありましたが、これは間接被害でなくて、あくまでも直接被害なんだ、直接被害として本法に抵触するのが妥当であるということを強く主張しておいたのでありますが、その後水産庁漁政部長は、本件に対してどういうふうに解釈を進められているか、お尋ねいたしたいのであります。
  11. 伊東正義

    伊東説明員 防潜網の問題につきましては、この前の、今お述べになりました法律を御審議願いますときにいろいろ問題になりまして、その法律で面接ということはこれはかなり問題になるのではなかろうかというので、これは大蔵省主計局長——私が聞きましたのは政調会でのお話でございますが、何とか、あの法律でまつすぐは行けなくても別途の方法で、そういう被害が出た場合には見舞金あるいは補償金と申しますか、何とかこういう形で損害を償つて行くということをやりたいということを言つておられましたので、われわれとしましても防潜網の場合につきましては、漁船操業制限に関しますところの法律では直接は行きがたいという解釈はとつておりますが、それにいたしましても、何とか別途同じような考え方でその損失補償をやつて行きたい。これは大蔵当局ともそういうような話合いをいたしました。
  12. 小高熹郎

    小高委員 ただいまの説明によりますと、漁業操業制限等に関する法律には当てはまらないと思うが、別途の方法でこれを研究しているというような意向に承つたのでありますが、しからばわれわれの主張するところは、国内法でもつて厳然とこれらの補償をしなければならぬ、かように考えているのでありますが、国内法を制定するごとに対して研究した事実があるかどうか、その点をお尋ねいたしたいのであります。
  13. 伊東正義

    伊東説明員 そのときに今の国内法の問題が出たのでありまして、これにつきましては法務府も出席いたしておりまして、何とか早い機会法律をつくろうじやないか。それでこれは御承知行政協定の二五條で、全部日本側が見るという考え方でやりましたのがこの前御審議願いました漁業操業制限法律なんでございます。それで防潜網の問題あるいは区域を提供いたしましたことによつて区域外被害が生じたというような問題等につきましては、単に二十五條で全部日本側補償するということでなくて、これはかなり駐留軍の方にも負担をしてもらつていいじやないかという問題がございまして、全般的な関係があるので、そういう間接被害につきましては法務府、大蔵省等でも検討して、国内立法をしようじやないかという話になつたわけであります。まだ具体案はつくつておりませんが、われわれとしましても、そういう被害につきましては何とか早い機会立法処置を講じたいと考えます。
  14. 小高熹郎

    小高委員 ただいま伊東政部長の御説明で、国内立法をしてこの種のものを必ず補償するという方針に進んでいるということが明確にわかりまして、その点私ども大いに同感の意を表するのであります。ところで東京湾防潜網その他の海底施設に対しまして、最近漁業の一部操業を停止するというような空気がさるやに伝えられまして、これに対して千葉県及び神奈川県の漁業者が非常に狼狽いたしますとともに、もしこうやられたならば、われわれは何で生きて行くのだと言つて、悲痛な叫びが起つて参りますとともに、先般来数回にわたりまして、この問題に対する解決をどうしたらいいかという協議をしたのでございますが、私の手元請願書が出て参りましたので、一応この請願書を朗読いたしますから、これによつて適当な御解釈願つて、御答弁を願いたいのであります。      請願要旨  一、東京湾南部施設したる軍事施設を速かに撤去して頂きたい。  一、被害を受けたる漁民最低生活完全補償をして頂きたい。     請願書   吾々東京湾南部海区を主たる漁場とする零細なる漁業者は、終戰後米軍による特種施設即ち富津岬第一、第二海堡間の封鎖及び浦賀水道地区聴音器敷設等により極端なる漁業制約をうけ、生産面資材面において著しい損害を被り、ために漁業経営は破綻の寸前に追込まれて居るのであります。   然しながら吾々漁民国家再建のため、忍び難きを忍んでひたすら講和発効の日に希望を掛け、日夜を問わず生産に邁進し来つたのであります。幸い去る四月二十七日待望の講和発効の日を迎へましたので、吾々は関係官庁及政府に対し従来被つた損害に対する賠償を要求すると共に、速かに施設の撤回を要請したのであります。   其の後行政協定進捗状態を洩れ聞けば協定は、吾々に何等利する処なくかえつて浦賀水道地区操業禁止命令が近く発せられるやに聞き及んだのであります。  同地区別図に示すとおり内湾南部海区の最良漁場であつてその面積約一七平方浬に及ぶ漁場であつて此処を主たる漁場として生計を営む関係業者千葉県四、二九○人(一、四三○隻)神奈川県一、二四○人(六二○隻)計五、五三○人(二、○五○隻)に達しその家族を合すれば実に一二、五○○人に及ぶものがこの漁場よりの生産により生活を営んで居るのであります。   かかる膨大なる漁民を擁する漁場を今後操業禁止地区に指定されたときは、漁民生活は何によつて営まれるのであろうか、国家補償等の方策を考慮されているやに聞くが、吾々は決して微々たる補償金を欲するものではないのである。すみやかに施設を撤去して本来の姿の漁場を吾々に返して戴きたいと要求するものである。   民主国家の建設は一にかかつて国内産業の進展にあるということは大臣諸公の常に口にする処であるが吾々は北は防潜網施設、又南は聽音器施設により生業を奪われんとしているのである、言い換えれば内湾南部海区の漁業は潰滅せんとしているのである。   上述の如く最悪の状態におかれている、この地区漁民のため政府におかれては吾々の要望する左記事項を速やかに実現されんことを強く請願する。     記 (一) 防潜網施設並びに漁撈禁止区域撤去 (二) 漁撈禁止区域が万一己むを得ない措置であるとすれば   一、本区域可能最少限に縮小してもらいたい   二、本施設を妨害しない程度操業を許可せられたい即ち   (1) 打瀬網漁業たこ壺漁業施設個所の附近まで操業させて貰いたい   (2) 一本釣漁業操業させて貰いたい但し錨を用いるものは(1)と同様に措置せられたい   (3) 延縄、流網(小晒)其の他の網漁業は本施設を妨害しない程度操業させて貰いたい   三、防潜網施設並びに漁撈禁止区域設定によつて被る漁業者損失は全額完全補償されたい   四、右施設並びに区域設定により他業への転換を余儀なくせられた漁業者に対して長期低利融資の途を講ぜられたい   昭和二十七年七月二十四日    神奈川県       田浦漁業協同組合       横須賀漁業協同組合       安浦漁業協同組合       走水大津漁業協同組合       鴨居漁業協同組合       浦賀久比浜漁業協同組合       久里浜漁業協同組合       野比漁業協同組合       長沢津久井漁業協同組合    千葉県       青堀漁業協同組合       青堀南部漁業協同組合       新井漁業協同組合       富津漁業協同組合       下洲漁業協同組合       大貫漁業協同組合       佐貫漁業協同組合       湊漁業協同組合       竹岡漁業協同組合       萩生漁業協同組合       金谷漁業協同組合       内房総海区漁業調整委員       会会長  笹生林之助   右代表者    千葉県君津郡大貫町若瀬八七一     東京湾南部軍事施設被害対策     委員会々長  山口卯之松  以上の連署をもつて、これに対する請願を提出して来たのでございます。この内容をつぶさに私も調査いたしたのでありますが、漁民申分は、実に忍びがたきを忍んで今日まで来たが、とうていやりきれないのだ、何とか撤回してもらいたいというのが、胸一ぱい希望でありまして、もしそれができない場合は、当然補償さるべきものであるから、見舞金や天井から目薬程度のものではなく、われわれが転業する場合、あるいは転業しないで縮小された海面において生活をするならば、生きて行ける措置を講じてもらいたいという、実に血の叫びであると私は了承しておるのであります。かような請願を見るにつけましても、ようやく完全独立した今日の日本において、完全補償をするか、さもなければ転業資金を出すか、それができなければやめてくれということは、これは当然の要求であろうと思うのでございます。これに対して外務省当局並びに水産庁当局代表の御両氏から、それぞれ御意見を伺いたいのであります。
  15. 甲斐文比古

    甲斐説明員 東京湾の入口の防潜網のことにつきましては、ただいま請願書にございました操業停止ということについては、いまだ正式に向うからの申入れがあつたわけではございません。さつそく海上演習場分科委員会におきまして、伊東委員長からこの問題を取上げていただきたいと思つております。なおやむを得ない場合の補償という問題につきましては、水産庁はもとより、外務省といたしましても、完全補償をやりたいというのが政府の、少くとも外務省水産庁の一致した見解でございます。ただこの実現につきましては、予算措置その他の問題がございますので、この席で確約申し上げることはできませんが、そういう方針で将来とも努力して行きたいと思つております。
  16. 伊東正義

    伊東説明員 今の防潜網操業禁止区域の問題でございますが、防潜網は従来ずつとやつておるのでありますが、禁止区域につきましては、こういうことを伺うから言つて来ております。これはまだ防潜網と一緒に話合いをいたしておりますので、きまつておらぬのでありますが、富津の南、観音崎の南の地域に今も投錨制限の水路部の告示がいつでしたか出ております。これは今までそう大した問題がなかつたのでありますが、今度向うから言つて来ております。あの地域に投錨してもらうことは困る。航行してもらうことはさしつかえないが、投錨は困る。浚渫することも困る。それで浚渫の中には打瀬網が入るかということを聞いたのでありますが、これは水中聴音機等を入れておつたりする関係から、あそこで打瀬網や底びき網をやつてもらうことは困るという返事なのであります。われわれといたしましては、そうなりますと相当広い区域でありまして、関係業者も非常で多いことでありますから、その辺のところを何とかもつと緩和してもらえぬかという交渉を今いたしております。これは先ほど私が申し述べましたように、陸軍関係海軍関係防潜網とか東京湾の投錨制限とか、佐世保の問題でありますとか、こういう問題は交渉中で今残つております。今やつておる次第であります。われわれの態度としましては、なるべくそういう制限は緩和してもらいたいという態度で今話合いをいたしております。ほかの点につきましては今甲斐さんからお話がありました点と同じ態度でわれわれ努力したいと思います。
  17. 小高熹郎

    小高委員 外務省の甲斐国際協力局次長及び伊東水産庁漁政部長の答弁によりまして、政府におきましても、この種のものに対して最善の努力を拂うという意思がよくわかつて来たのであります。ことに甲斐次長からのお話によりまして、完全補償をするという意思であるというようなことを聞きまして、実は安堵いたしたのでありますが、願わくは先ほども申し上げました通り、第一はあくまでも撤去してもらいたいという方針で進んでもらいたい。それがいろいろ国土防衛上、国際法上やむを得ない問題が生じて参つた場合には、完全補償をすべしというこの二項をあくまでも強く主張いたしまして、時間の関係等もありますので、私の質問を打切つておきます。     〔石原委員長代理退席、小高委員長代理着席〕
  18. 水野彦治郎

    ○水野委員 ちよつと伺います。演習に際しまして十五日前に予告すると言つておりますが、この予告の方法は県庁へ予告するのか、当該関係漁業協同組合へ通知いたすのであるか、これをはつきり御説明願いたい。
  19. 伊東正義

    伊東説明員 今のところはここに十五日とありますのは、駐留軍から日本側言つて来ますのは十五日前、こういうことなんであります。それの流し方は当然外務省の方へ参りますので、外務省の方からもちろん農林省の方へもございますが、県なり警察の方へ御連絡願う、これは従来通りでございます。その先は地方によつて大分違いまして、末端の市役所なり村役場から漁民に行く場合もありますし、協同組合へまつすぐに行きます場合もございますし、ところによつて具体的な適当の方法で予告をするというような方法でやつております。
  20. 石原圓吉

    石原(圓)委員 先刻来の質問の問題はこれは非常に重大でありまして、かつて私は、この損害の賠償なるものは、そのとき限りでやつてはいけない。漁場を荒らし魚族を散乱せしめ、演習があると当分は漁獲ができない。また爆発物の沈下等の被害、種々の悪影響があるから、これが補償される賠償方法でなければいけないということを強く要求をしたのでありますが、その点に対しては、大体どういう方向に御協定ができておるでありましようか。また今後の方針等も承つておきたいのであります。
  21. 甲斐文比古

    甲斐説明員 補償の問題につきましては、利にアメリカ側との協定はいたしません。これは純然たる国内問題でございまして、水産庁が中心になりまして、関係各庁と予算措置、立法措置その他について準備を進めて参つておるわけでございます。
  22. 伊東正義

    伊東説明員 その損害補償の問題でございますが、特に問題になりますのは、間接被害と申しては何でありますが、今石原委員のおつしやいましたような問題を、私ども間接被害言つておるのでありますが、そういうものの補償につきましては、御承知の通り行政協定の十八條で、駐留軍側もある程度の負担をするということが私考えられると思います。その点は先ほども答弁しましたが、主計局長も自由党の政調会に参りまして、私どもこの前の法律を御審議願つたとき説明したのでありますが、いろいろ質問がありまして、主計局長からそのとき答弁したのでありますが、そういうようないろいろな被害について、日本側が幾ら持ち、向う側に幾ら持つてもらうというような話合いがまだついておらぬ。それでそれにつきましては、また日本国内法としての立法も必要なものがあるので、また別途の問題として考えたい。これは大蔵省としても考えるという説明をされたのであります。われわれはその御説明の趣旨で、そういうような被害について、どういうふうにするかということは、大蔵省と相談してやつて行きたい、こう思つております。
  23. 石原圓吉

    石原(圓)委員 その間接被害につきましては、重大であると思うのであります。これをわが国のみが負担する場合には、米軍は都合のいい場所はほとんど永久的に、無期限に使うというようなかつてな行動をとるおそれがあると思う。あくまでも米軍にも相当の負担をせしめるようにという方向へ、ぜひとも強く運んでもらいたいと思うのであります。なおこの海軍の方は大体協定がついたが、陸軍側が遅れておるということは、これは原則としては海陸両方とも同時にとりきめをすべきものでないのか、遅れておるという方面ほど、協定が困難であるから遅れるもの、遅れる所ほど、わが国の漁民が不利益であるということに考えられるのでありますが、その点はどうお考えになつておりますか。
  24. 甲斐文比古

    甲斐説明員 お話陸軍が使用いたします演習場協定が遅れておるという理由は、陸軍演習は主として射撃でございますが、その射程を広く遠くされますと、それだけ漁業被害が大きい、何とかしてその射程を狭くさせようという交渉のために、主としてそういう理由のために遅れておるわけでございます。
  25. 石原圓吉

    石原(圓)委員 この問題の質問はこの程度に私はとめたいと思うのでありますが、他にこれ以外の質問をすることはさしつかえありませんか。
  26. 小高熹郎

    小高委員長代理 よろしゆうございます。
  27. 石原圓吉

    石原(圓)委員 大体国際協力局次長の御出席の場合でありますから、私のお尋ねすることも多少の関連を持つと思うのであります。むしろより以上に国際協力局においても、関心を持つてもらいたい、そう考えるのであります。それは本月の末にワシントンにおきまして、日本、イギリス、フランス、アメリカ、カナダ、この五箇国の中共貿易緩和に関する極東貿易会議があるので、日本代表はすでに出発したそうだが、新聞の伝うるところによりますと、亜鉛鉄板、羊毛製品、紙、紡績機、染料の五品目の制限緩和が問題となつておるようであります。しかるにわが国の最も重要な水産物、ことに北海道の重要産物のするめ、こんぶ、その他ほしあわび、海参等の重要な従来の支那貿易の対象物に対しては、この新聞によれば、今回の交渉の対象になつていないようでありますが、おそらくこんな非常識なことはなかろうと私は思うのであつて、新聞が落したと心得るのでありまするが、水産物の支那貿易なるものは、最近においては中共と直接の取引ができないから広東、シンガポール等イギリス領までわざわざ全部日本の水産物を持つてつて、あそこから支那全体に配給をするというような非常な迂遠なことをやつて、莫大の荷づくり費、運賃等を支拂い、またその中間商人なるものは、大方イギリス人及び広東やシンガポールにおる華僑であります。こういうことをやつてつて生産者たる日本の水産物加工業者等が採算上そろばんが持てるはずはないのであります。これはもし今回のこの協定に脱落するということになれば、外務省水産庁も大きな手落ちであると私はいわなければならぬと思うのであります。現在どういうことになつておりましようか、一応御説明をお願いいたします。
  28. 冨永格五郎

    ○冨永委員 関連です。ただいま石原委員から中共貿易に関する北海道関係の水産物についての質問がございましたが、北海道におけるこの問題に対する関心は、きわめて大きなものがあるのであります。幸いにただいま石原君からの質問があつたので、私もこれに関連してお尋ねを申し上げておきたいと思うのでありますが、ただいま石原君のお述べになりました通り、水産物を無視していられるがごとき感じを與えますことは、国民にとつて非常に大きなマイナスであり、しかも北海道の業漁大宗について、まつたく無関心であるかのごとき感さえいたすわけであります。しかも石原委員がお述べになりました広東、香港、シンガポール貿易は、それによつてあるいは費用を損失すれば、ある程度出し得るという道さえ現在非常に困難なように承つておりまして、加えて香港貿易のごときも、御承知の通りほとんど英領であるにかかわらず、英国関係等からと推測いたしますが、今日杜絶しておるような状況であります。従つてこれら数億の生産をあげられておる北海道の海産物、特にするめのごときは非常な暴落を来しております。しかも生いか等におきましても大体昨年の半値、たとえば一貫目三十七、八円のものが、今二十円から十七、八円、ときによつては、私がこの間視察いたしましたときには、わずかなものさえ買手がないといつたような、ほとんど悲惨といつてもいいくらいな状況下にあつたのであります。だからといつてこれを国内消費にし得る見通しは今日のところ全然ないのであります。ただ一にかかつて中共貿易促進にのみ依存しておる実情でございますから、当然当局は、外務省においても農林省においても、十分御承知の上の現在の交渉状況と思いますが、その点に関する交渉の経過並びに所見を伺いたいと思います。
  29. 甲斐文比古

    甲斐説明員 お尋ねの件でございますが、はなはだ遺憾ながら私どもの方はこの問題を扱つておりません。この問題は実は外務省の国際経済局が主管いたしておりまして、全然私どもあずかつておりませんので、はなはだ遺憾ながら何とも御答弁いたしかねますから御了承願います。
  30. 伊東正義

    伊東説明員 私もちよつと今知らないのですが、調べて次の機会にしていただきたいと思います。
  31. 石原圓吉

    石原(圓)委員 ただいまのところ国際経済局の主管であるそうであります。また水産庁においても私の質問にお答えができないようであります。国際協力局次長は私は追究はいたしません。しかし協力局という名目のもとからも、外国との貿易を協力してよくするということは、一つの担当事務ではなかろうけれども、今後御関心を持つて大いに御協力を願いたいと思うのであります。北海道のこんぶ、するめは、少くも今日までは神戸を中心として取引をされておるようであります。ところが北海道から神戸へ運ぶだけの運送費、梱包費等が莫大でありまして、このことが要するに重要物産のこんぶとするめの生産者の大なる損失なつております。このものが北海道の函館等から直接香港もしくはあの方面——中共との現状において、たとえば南京や上海やその方面へ面接輸送することができぬとしても、香港、シンガポール、いわゆる南方の方面へ運ぶといたしましても、神戸へ持つて来て、神戸からまた持つて行くというのを、この協定によりまして、直接函館方面から持つてつたならば、約半額の運送費、梱包費が助かると思うのであります。このために助かるところの漁業者生産者は莫大であります。ひとり、こんぶ、するめのみならず、その他の六十の製品の海参、あわび、それから寒天、そういうようなものを考えましたならば、今日世界のどの国との水産貿易が一番大きいかと申すならば、道さえ確立すれば中共ほど大きい得意はないのであります。この大きな中共の得意を閑却されておるように私らに見えることは非常に遺憾であります。少くも亜鉛その他の五品目のうちへこのものを加えて、今から、協定するための専門家の派遣をして、そうして同時に、これが協定をやることを急速に実現を期していただきたいと思うのであります。もしそれがお係が違うとかということになれば、また明日にもこの委員会を開いて、経済局長の出席を求めるとか、または水産長官等も御出席を求めて、そうしてこの実現を期さなければならぬところの緊急な重大な問題であると私は考えるのであります。これを逸して、水産物だけの中共との協定をやろうと申しましても、これには御承知のように以西底びきのような意見の反するような問題がありまして、単独には絶対できないと私は思う。よつてこの機会に参加して解決をすることが最も必要である、こう考えまするから、十分お考えを願つて、そうしてもし実現しないということになれば、外務委員会水産委員会等をさらに開いて、この問題の促進を期さなければならぬと私は考えるのであります。一応御意見のあるところを承つておきます。
  32. 甲斐文比古

    甲斐説明員 先ほど申し上げましたように、私はこの問題に関しては全然あずかり知つておりませんので、あるいは水産物もこの五品目以外に加わつておるのじやないか、これは想像でございまして、全然関係しておりません者の言葉としてお聞き願いたいのでありますが、もしそうでなければ、これを加えるかどうかというような問題につきましては、私からも国際経済局長に個人的に、きようこういう御要望があつたということは申し伝えることにいたします。
  33. 石原圓吉

    石原(圓)委員 この問題はまつたく重大であります。一ときも捨てておけぬ問題であると思いますから、われわれ議員側も別個に緊急なる処置をとるべく努力をしたいと思いまするが、どうか外務当局、水産当局においても、即時これが打開実現について努力せられんことを、切に要望をいたします。
  34. 小高熹郎

    小高委員長代理 本日の委員会はこの程度にとどめ、次会は公報をもつて御通知いたします。  これにて散会いたします。     午後零時二十八分散会