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1952-06-27 第13回国会 衆議院 水産委員会 第48号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月二十七日(金曜日)     午後二時十五分開議  出席委員    委員長 川村善八郎君    理事 小高 熹郎君 理事 田口長治郎君    理事 永田  節君       石原 圓吉君    鈴木 善幸君       冨永格五郎君    二階堂 進君       平井 義一君    松田 鐵藏君       岡田 勢一君    小松 勇次君       木村  榮君  出席政府委員         水産庁長官   塩見友之助君  委員外出席者         外務事務官   山本 良雄君         農林事務官         (水産庁生産部         水産課長)   藤波 良雄君         通商産業事務官         (通商振興局農         水産課長)   森 日出哉君         専  門  員 杉浦 保吉君         専  門  員 徳久 三種君     ————————————— 六月二十六日  江の浦漁港修築に関する請願(田口長治郎君紹  介)(第三九六三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  輸出まぐろに関する件     —————————————
  2. 川村善八郎

    川村委員長 これより水産委員会を開きます。  本日の委員会政府委員水産庁長官塩見友之助君、説明員水産課長藤波良雄君、同じく外務省経済局第三課山本良雄君、同じく通産省通商振興局農水産課長森日出哉君が出席されております。  まず輸入まぐろに関する件について調査を進めます。先般来米国においてとられつつあつたまぐろに対する輸入関税課税及びその引上げ問題につきましては、去る二十四日米国上院においてまぐろ輸入関税法案否決された旨の報道に接したのでありまして、この際米国の好意ある取扱いを強く希望いたしておりました当委員会といたしましては、米国に対して感謝の意を表すべきであると本日の委員打合会において協議をいたしたのでありますが、これについてお諮りをいたします。決議文伝達方につきましては、委員長より議長に申入れをすることにいたしまして、まず決議文について協議を願います。
  3. 石原圓吉

    石原(圓)委員 私は今回アメリカにおけるまぐろ関税に対して、まことに日本に対する好意ある措置がとられたので、この際決議案を提出して御決議を願いたいと思うのであります。その案文を朗読いたします。   まぐろ関税に関する感謝決議案   米国政府並びに国会の深甚なる理解と好意とにより、まぐろ関税法案上院において不成立となつたことは、確固たる日米経済協力の現われであつて業界はもちろんわが日本国民のひとしく感謝にたえないところである。   独立後における日本経済自立達成の根本は貿易振興にあり、特に水産物の対米輸出の確保はその最も重要なるものの一つである。   今後はさらに一層まぐろ輸出調整に意を用い、両国利害均衡保持に万全を期し以て今回の措置にこたえんとするものである。   ここに衆議院水産常任委員会は特に決議を行い、米国政府並びに国会に対し深甚なる感謝の意を表するものである。   右決議する。 以上が案であります。
  4. 川村善八郎

    川村委員長 お諮りいたします。ただいま石原君の発議による決議案に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 川村善八郎

    川村委員長 御異議なしと認めます。それではただいまの決議米国政府及び国会に対する伝達方につきましては、委員長より議長に申出を行うことといたします。  ちよつと速記をとめて。     〔速記中止
  6. 川村善八郎

    川村委員長 それでは速記を初めて。木村君。
  7. 木村榮

    木村(榮)委員 外務省の方がお見えになつておるようでありますから承つておきたいと思うのですが、これは新聞外国電報によつて関税の問題が上院において否決されたということになつていますが、アメリカ議会制度はよくは存じませんが、これは他の方法でこれがまた逆なことになるような危険性はないのですか、外務省の方に承つておきたい。
  8. 山本良雄

    山本説明員 今回の一ポンド当り三セント、すなわちトン当り六十ドルの課税を新たに輸入まぐろ課税せんとする法案は、御承知通り二十四日米国上院会議で四十三対三十二票をもつて否決された次第であります。従つて法案に関する限り、一応の結着を見たものである。と申し上げるのは、新しい法案が提出されない限り、今回の法案というものはこれで結着を見たということであるのであります。
  9. 木村榮

    木村(榮)委員 私は反対しました関係上一応申し述べておきますが、今石原委員がお読みになつ感謝決議案の問題について、大体石原委員らの方々が考えられること自体に対して、私ども必ずしも反対ではございませんが、感謝という点についてはいささか疑義がある。と言いますのは、下院も御承知のように反対決議行つた上院においても四十何対三十何というように相当な反対がある。だからそういう状態を見ますと、必ずしも日本まぐろの問題その他漁業協定の問題について全幅的に日本立場を考えてこれをアメリカが応援しようというところまではまだ立ち至つていないと考えますので、私は上院において今度決定されましたような線に沿うて今後やつていただくような要請決議といつたようなものならば賛成をいたしますが、感謝にはまだ早いという感じをいたしますので、私は反対いたします。
  10. 石原圓吉

    石原(圓)委員 この際一応趣旨弁明をいたしておきたいと思います。  このまぐろ関税問題は、御承知通り昨年一月一日からアメリカ合衆国輸入するまぐろ油づけカン詰に対する輸入税二二、五%でありましたものを大幅に引上げ、これを倍額の四五%といたし、さらにまた今回は生及び冷凍まぐろに対しても、ポンド当り三セントの輸入税を新たに課する法案が昨秋十月にアメリカ合衆国下院を通過せしめたのであります。  このことは、わが国水産貿易を根底から不可能に陥らしめ、これに関連する日本の全漁業者を初め関係業者を犠牲に供し、ひいては日本産業経済界全般にわたり深刻なる衝撃を与えることとなるのは火を見るより明かでありまして、日米国交親善の上からもまことに遺憾なことであります。  申すまでもなく、このまぐろの対米輸出は、生糸に次ぐわが国米貿易の重要なる輸出品として、昭和二十五年にまぐろカン詰並びに生及び冷凍品輸出高は約六十五億円であり、日本国際貸借に占めるドル貨獲得から見ましてもきわめて有利であります。しかるにアメリカにおけるカン詰製造者は、かえつて日本まぐろ輸入を希望しておるにもかかわらず、アメリカにおける全消費量のわずか二%にも満たない日本からの輸入量を、アメリカ合衆国の一部漁業者政治的運動によつて日本まぐろを締め出そうとすることは、アメリカ合衆国独立後の日本経済再建協力している雄大な理想に相反するものといわねばなりません。従つて私は、日本の全漁業者を代表し、かつこれらの日本側利益業者を代表し、当委員会において、このアメリカにおけるまぐろ関税引上法案に対し、極力反対する意見をしばしば述べ、当局の適当な措置を要求して来たのであります。  さらにまた私は水産議員連盟を代表して、アメリカ合衆国政府当局者並びに米国議会要路者に対し、数次にわたり、同法案による影響日本漁業者並びに水産輸出業者に及ぼす苦痛の甚大なることを訴え、かつ日米間における円満な貿易に支障を来すことを憂い、その善処方を書簡及び電報をもつて懇請いたして参つたのであります。  なお時あたかも同僚委員の前水産委員長冨永君と鈴木君が渡米されていましたので、アメリカにおいて政界、官界、業界諸氏に直接この点についての交渉方を依頼し、両君の活溌なる活動があつたのであります。その間わが国水産関係者においても、対米輸出まぐろ対策協議会を設置して、数名の代表者アメリカに派遣し、上院でのまぐろ関税法案審議延期方を懇請するなど、日本政界を初めとし、官民一致して、これが阻止に努力を続けて来たのでありますが、遂に本年五月九日上院歳入委員会において八対五をもつて可決されたので、私は同月十六日に水産議員連盟臨時総会を開催し、その決議のもとに代表してバークレー上院議長トルーマン大統領アチソン国務長官ダレス諸氏に打電して、まぐろ関税につき善処方を懇請したのであります。  なおこれとともに、わが国まぐろ関係業者とも数次にわたり懇談いたしまして、日本まぐろ輸出に関して自粛態勢の整備を期し、対米信用促進をはかつて来たのであります。幸い本月二十四日午後、アメリカ上院会議において、まぐろ関税法案は四十三対三十二をもつて否決されたことは、賢明なるアメリカ上院議員の高遇な識見からして当然なことであると私は思うのであります。これはとりもなおさずわが国業者誠心誠意アメリカ国民に反映し、アメリカ上院がこれにこたえられたものであると信ずるものであります。私はアメリカ上院におけるこのまぐろ関税法案否決のニュースが日本の全国津々浦々に伝わつて行つたときに、日本漁業者はいかばかり喜んだかということが、目に見えるようであります。どうかわが国民はもちろんのこと、全漁業者並びに水産輸出業者等に対しましては、今後ますます日本経済の提携を緊密にし、国際信用を高め、日米両国間の親善に大いに役立ち得るように努力して、アメリカ上院の理解ある措置に報いてもらいたいことを、私は強く要望するものであります。  私は終りに臨みまして、今回アメリカ上院においてこのまぐろ関税法案否決に至るまでには、トルーマン大統領バークレー大統領並びにアチソン国務長官、トム・コナリー上院外交委員長ダレス国務省顧問及びヘリントン国務長官補佐官諸氏の理解ある尽力に対し深甚なる感謝の意を表して、私の弁明を終り、委員各位の賛同を仰ぐ次第であります。  以上が私の説明したいところの大要であります。     —————————————
  11. 川村善八郎

    川村委員長 次に本日午前十時より開きました件につきまして御報告いたしておきます。  第一は、このたびのまぐろ関税の問題に対し、米国政府への感謝の意を表する件につきましては、本水産委員会において感謝決議文を決定して、米国政府及び国会等に対して打電することにいたしました。このことはただいまの委員会決議文が上程されまして、決議なつて、それぞれ決議を了することに相なつたのであります。  第二は、行政機構改革の件でございますが、参議院内閣委員会において水産庁水産局とし、内局にするよう衆議院案を修正するとの動きがあつたので、当委員会の態度といたしましては、与野党一丸なつて、もし参議院で修正可決して衆議院に回付になつた場合には、否決して衆議院原案を堅持することにいたしたのであります。  第三点は、農漁村電化促進法案でありますが、これは専門委員室法制局が、関係官をまじえて研究中でありましたが、本日中に成案ができることでありますので、農林委員会話合つた結果、この法案水産委員会審議されたいとのことでありますので、明日議案を提出し、本委員会に付託してもらい、審議を進める運びとなつたのであります。  以上三点につきまして、簡単でありますが、打合せ会の結果を御報告申し上げておきます。     —————————————
  12. 川村善八郎

    川村委員長 次に、小高君。
  13. 小高熹郎

    小高委員 この際水産庁長官にお尋ねしたいのでございますが、今回のダイナ台風による水産関係被害が意外にも甚大でございまして、これに対して緊急なるところの救済措置を講じなければならないと思うのでございます。本委員会におきましては、さきにルース台風被害による特別措置を講じ、また十勝沖の大震災の災害に対する特別措置も講じたのでございますが、今回だタイナ台風に対しても同様なる措置をすみやかに講じたいと思うのでございます。これにつきまして水産庁当局に入りました被害状況は、ただいまのところどの程度に相なつておるか、お尋ねいたしたいのでございます。
  14. 塩見友之助

    塩見政府委員 今調査中でございまして、ただいま手元に持つて来ておらないのでございますが、さつそくできるだけ早くまとめまして、御報告いたします。
  15. 小高熹郎

    小高委員 水産庁長官の御答弁で、まだ調査中で資料が手元に届いておらないというようなことでございまするが、これはすみやかに措置を講じなくちやならないので、当委員会におきましても、この救済法につきまして、特に同僚諸君の御協力を得まして、結末の現われまするよう委員長に希望しておきます。
  16. 川村善八郎

    川村委員長 ただいま小高君の御意見でありますが、もちろん本委員会では、かつてルース台風並びに十勝沖震災の損害の場合も法案を制定して取上げておりますので、ぜひ小高君の意見に沿うように努力いたしたいと考えております。
  17. 二階堂進

    二階堂委員 私はこの際水産貿易の問題につきまして、一、二政府当局質問をいたしたいのであります。先ほど石原委員感謝決議趣旨弁明をされました中にも十分尽されておるのでありますが、この重大な問題がわれわれの期待するような解決を見ましたことはまことに感謝にたえないのでありまして、事がここまでになります間におきましては、もちろん私ども水産常任委員会といたしましても、政府当局を鞭撻し、あるいはまた業界の方にも強くこれを訴えまして、わが水産業界外務省及び水産庁協力を得て、一致してこれが解決に当つた結果であることは論をまつまでもありませんが、同時にまた先ほど石原委員のお言葉の中にもありましたごとく、アメリカ政府日本経済自立を強く考え、日米経済協力を強く推進して行くことが、自由国家群の陣営を強化し、ひいては世界に平和をもたらす唯一の道であるとかたく信じたことにほかならないと考えるのであります。しかし問題は一応これで解決したものの、さらに貿易の問題は、単に水産のみに限らず、あらゆる貿易の問題がいろいろな形で今後も起つて来るだろうということを考えるのであります。このまぐろ等の問題も将来にまだ問題が残されておることを私どもは考えなければならないのでありますが、アメリカもことしは選挙をひかえております。おそらく私は今度の選挙の結果、共和党が政権を握るのではなかろうかと考えるわけであります。共和党は、御承知のごとく外交政策におきまして、歴史的に見てみましても、保護関税政策を堅持して来た政党であります。従つてアメリカにおける国内の産業を、いろいろな面から保護して行こうと考えることは当然なことと考えるのであります。こういう見地から考えてみましても、私どもは今後この問題につきましては、さらに積極的な努力をいたさなければならないと思うのでありまするが、今後の貿易対策といたしまして、まず第一にわが方といたしましても、今回技術的ないろいろな制限等をやつたような措置を、今後も当然やらなければならないと考えております。輸出品に対するところの品質の改良であるとか、あるいはまたそれをつくる生産設備合理化であるとか、あるいは価格等の問題であるとか、いろいろなこれらの問題について技術的な制限等を、わが方としても加えて行かなければならないと思うのであります。そうすることによつて貿易界における国際信用を高めることは、当然考えて行かなければならないと思うのであります。しかしながら先ほど申し上げましたように、さらにまたアメリカに対しても、業界に対し、政府に対しまして、いろいろな手をもつてわが水産業の実態をよく認識させ、さらに貿易促進をはかつていただくような措置を講じていただかなければならないと考えるのであります。今回の措置はわれわれが考えている通りになりましたが、今日わが方といたしましても、まぐろ等輸出に対する価格の問題がいろいろ新聞にも出ております。あるいは三百ドルをもつて一応まぐろ輸出価格とするとか、あるいは二百七、八十ドルをもつてするとかいつたような問題も出ておるようでありますが、この価格の問題について、通産省はどのような考えをもつてこの輸出振興対策に資しようとしておるのか。あるいはまた最近になりまして、カナダ等通つてアメリカにも相当なものが流れて行きつつあるように承つておるのでありますが、この三角貿易等の事情につきまして、どういうふうになつておるか、このことにつきまして、通産省当局の御意見を承つておきたいと思います。
  18. 森日出哉

    森説明員 お答え申し上げます。水産の御質問でございますが、今回アメリカ議会におきまして三セントの課税というものが否決されたのでありますが、今後の見通しにつきましては、また同一の問題が繰返されないとも限らないというふうに私ども見通しをつけております。それで第一の方法といたしまして、現在の業界がとつております。自粛態勢は、今後もあくまで堅持する。別な言葉で申しますと、現在とつておりますカン詰百万ケース、それから冷凍一万二千トンというこの自粛態勢は、今後も必ず堅持して行くということに対しまして、通産省側といたしましても、貿易管理令によつて十分な裏づけをして行きたいと思います。御参考のために、現在まで出ました数字を申し上げますと、冷凍の方は、六月二十七日現在におきまして八千四百十七トン出ております。それからカン詰の方は、五月末までに三十二万九千ケース、六月二十六日まででその後二万五千ケースが出ております。おわかりになります通り冷凍の方が多少出過ぎておるわけでありますが、これは御承知通り、現在シーズンでございまして、この程度出るのはやむを得ないと思つております。  それから次の問題でありますが、やはりチェックプライスの問題ですが、価格の規正ということは、現在の価格が合理的であるかどうかということにつきましては、さらに検討を要するごとと思うのでありますが、価格のチエツクをするという方針もやはり堅持いたしまして、これは貿易管理令によつて裏づけをして行きたいと思います。三百ドルという価格をきめましたのは、アメリカカン詰会社におきまして三百五十ドルくらいの値段を出しておりまして、それから漁業家の方で大体四百ドルくらいの値段を出している。おちつくところは三百七、八十ドルになりはしないか。それからCIFのチャージとコンミツシヨンを引きますと、大体三百ドルくらいが妥当じやないかというふうに考えているわけであります。ただその後アメリカの魚価が次第に下りつつあるという情報には接しております。なお七月に入りますと、アメリカの漁獲が始まりますので、この時期に入りましたときに、アメリカの魚の値段と見合いまして、さらに合理的な価格をきめたいと思います。  それから第三番目の三角貿易でございますが、これがしばしば新聞に出ましたのですが、具体的問題になつているようなことはないと思うのであります。この問題はカン詰について起つたのでございますが、その原因を申し上げますと、アメリカ向けチェックプライスが不当に高過ぎた、これが第一の原因でありまして、それでほかの地域へ出さなかつた。それから第二といたしまして、油づけのカン詰関税がかかつてつて出しにくいということをこの前平塚ミツシヨンアメリカに申出をしてありますので、油づけのカン詰はなるべく自粛して出したくないという立場を、輸出業者カン詰業者もとつておりまして、それで油づけのカン詰アメリカへ出しませんので、それがカナダに出まして、それからアメリカに送られるというような危険が生じたのではないかと思うのです。これは実際に出ておりませんけれども、こういうルートもある、こういう計圃もあつたというふうに御了解願いたいと思います。それからもう一つ原因は、御承知通りカン詰生産者別の割当がありますので、生産者が自分の持つているわくを使いたくない、なるべくよその地域に出したい、そういうような理由があつたと思うのであります。こういうふうに大体三つの理由でこの三角貿易が起つたと思うのでありますが、この対策といたしまして、このたび価格を改めまして、アメリカに対するチエツク・プライスが高過ぎたということを訂正して、相当に価格を下げております。それからもう一つ最終揚げ地証明を求めまして、これによつて三角貿易ではないという証明をとろう、そういうような方法をとつております。これで大体合理的にこの問題は解決すると思つておりますが、事実問題といたしましてこういう計画はあつたのでありますが、こういう計画にいたしましては、カン詰業界の方で自粛いたしまして、要するにカン詰会社エキスポーターとの間の契約を自主的にキャンセルした、そういうことでこの問題を解決しております。でありますからカン詰については具体的に問題は起つておらない、そういうふうに御了解願いたいと思います。
  19. 二階堂進

    二階堂委員 もう一点。この輸出アメリカ市場だけに今後やはり依存して行くという、これは大きな市場ではありますが、当然この市場の問題も、もつと大きく考えて行かなければならない事態になるかと考えるのでありまするが、ポンド地域へ向けてのカン諸等輸出見通しとか、あるいは現状と申しますか、そういうものについての大体の現状はどうなつておるかという点を、もう一点承つておきたいと思うのです。同時にまたかんてん等も、アメリカには従来相当出ておつたのでありますが、最近は人工かんてんと申しますか、そういうものがアメリカ等でもできておりまして、非常にかんてんアメリカ向け輸出が減少して来ておる。従つてかんてん業者等が非常な窮地に追い込まれておることは御承知通りでありますが、このかんてんが、またアジア方面にも相当出ておつたと思うのであります。最近はこれが禁止されておるかのごとく承つておるのでありますが、この禁止されておる根拠がどこにあるか。私はこのかんてん等は—もちろん戦時物資等は、バトル法やいろいろほかの影響があつて禁止されておるものもあるのでありますが、かんてんは決してそういう種類に入るものではないと私は考えておるものであります。こういうものがどういうわけで禁止されておるのかということについても、一応御意見を承つておきたいと思います。
  20. 森日出哉

    森説明員 第一の御質問でございますが、御承知通り現在問題になつておりますびんちようまぐろと申しますのは、日本人の嗜好にも合いませんし、それからまたアメリカ以外の地域人たち嗜好にも合わないわけであります。それで昨年ドイツ側通商協定交渉をいたしましたときにも、これを戦争中にドイツ側に送つた実例もありますので、何とかドイツ側に買つてもらおうということを計画したわけでありますが、第一にドイツといたしましては、イタリーとかスペインとの協定があつて買えない。それからドイツ人嗜好といたしまして、こういう魚類よりもやはり豚肉を好む、こういう二つの理由で、遂にドイツ側も買わなかつたのであります。そのほかの地域にも極力販路を拡大しようと思つておるのでありますが、どうもまぐろ類というのは、アメリカ以外に販路がない。そういう点でまつた買手独占なつておる商品でありまして、こういう点が日本産業としては非常に弱い点ではないかと思つております。それからスターリング地域に対しましては、カン詰類—これはまぐろカン詰ではありません。みかんのカン詰、それからいわしのカン詰というのが出ております。又スターリング地域にもやはりまぐろ類カン詰はあまり出てないわけであります。  それからかんてんの問題でありますが、かんてんが現在貿易管理令の別表の品目に入れられております理由は、価格維持という目的だけであつたわけでありますが、それがたまたままだ総司令部がありましたころに、これを化学品、ケミカルというふうに解釈されたわけであります。それで化学品であるがゆえに対中共向け輸出を禁止されておつたわけでありまして、その規制方法がそのまま講和後も引継がれたわけでありまして、別に戦略物資であるとか何とかいうものではないと思つております。私も何とかこのかんてんを合法的に中共と申しますか、中国あるいは香港地区輸出ができますように、いろいろ努力をしておるわけであります。
  21. 永田節

    永田委員 関連です。びんちようまぐろアメリカ以外の国には嗜好に適しないというふうな御説を承つたのでありますが、ごもつともな御意見だと思います。今日東南アジア方面の魚類による蛋白の補給源というものは、日本の比ではない、相当逼迫しておる、特にマレー半島におきまして魚類は皆無というふうな状態に置かれておるのであります。してみれば必ずしもびんちようでなくても、サーデインにしろ、あれば買つてくれると思うのです。いわんやびんちようならば買わないこともなかろうと私は考えられます。そこでこの方面に対してはどういうふうな手を打つておられるのか、また中共との貿易ですけれども、この中共との貿易は、一体今の政府はやるのかやらないのか、やればどういうふうに悪いのか、やつてさしつかえないと私は思う。現に日本のあらゆる戦争資材ともいうべきものは、やはりユニオンジヤツクによつて、香港経由で相当な物資が入つておる、そうするとイギリス政府に向つて利益を与えておるというふうなことになつて来るわけなのですが、これを直接中共貿易を開いて行くということについては、たいへん躊躇なさつておられるようですが、どういう点がお気に召さなくて躊躇されるのか、それもひとつ承りたい。
  22. 森日出哉

    森説明員 最初の問題についてお答えいたします。この東南アジア地区に対するカン詰類の販路拡大については、いろいろ手を打つております。それで現在のところ、どうもまぐろ類はちよつと可能性について疑いを持つておりますが、今永田先生のお説の通りだといたしますと、マレー半島、東南アジアについても、十分今後対策を考慮いたしたいと思います。  第二の中共貿易の問題でございますが、この問題は、私として全般的にお答えする立場でないものでございますから、御了承願います。
  23. 永田節

    永田委員 先ほど委員長の御報告の中に、参議院において行政機構の改革に伴いまして、水産庁水産局にするという案が出ておられるという御報告を承つたのでありますが、これはまつた参議院野党の政府に対する報復手段であろうと考えられるのであります。これについてだれを相手にして申していいのかわかりませんが、一応速記をとじて、懇談に移してもらいたいと思います。
  24. 川村善八郎

    川村委員長 速記を中止して……。     〔速記中止
  25. 川村善八郎

    川村委員長 速記を始めてください。永田君。     〔委員長退席、小高委員長代理着席〕
  26. 永田節

    永田委員 水産庁長官にお伺いいたしますが、今日以後の水産問題の最も大きな問題といたしまして、かねてから私が取上げておりますところの漁船の代船建造に伴う融資の方法でありますが、幸いに長官も絶大なる御理解と御協力をいただきまして、着々とその準備が進められつつあるということを承りまして、欣快にたえないのでありまするが、先般本委員会におきましても、つぶさに長官より御説明をいただきまして、大いにその意を強くいたしたのでございまするが、何しろ御承知のように、会期も切迫いたしておりますし、かつまたこの問題も各地方でそれぞれ話題に上つておりまする関係上、この会期中に何らかの、せつかく御努力をいただきました長官の御交渉の内容の、今日の状態を承ることができれば、まことに幸甚と考える次第でございます。
  27. 塩見友之助

    塩見政府委員 永田委員の御質問にお答えいたします。過般水産金融の問題につきましては、当面最もむずかしいと思われますところの、貸倒れに対する補償というふうなものをどういう形でやるか、そうしてその水産の内部の金を相互融通するというふうなこと以上に、水産外の資金というふうなものを、政府資金ももちろん、農業その他で蓄積されました資金も含めまして、どういうように導入して来るかという点に、第一に問題があると考えておりましたので、その点について、信用保証の制度を水産についてまず第一着手として、ほかの産業に先がけてつくりたい、こういうふうなお話をいたしておきました。その点につきまして、先般永田委員の御質問に対して私が答えまして、二点問題の点があると申しておきましたが、その一点は、水産についてのみ各種の設備改良の資金について特殊な立法措置をやり、特殊な基金制度をつくるというふうなことについて、大蔵省に問題があつたわけですけれども、その問題は、水産の特殊に逼迫した状態、その産業的に見た軍要性、ことにこれからマッカーサー・ラインを越えて広く漁業をやらなければならないので、特に各種の設備改良をやらなければならない。国際競争の点もあるということも認めまして、その点については、われわれの考えておりますところの、水産についてだけ特殊にそういうふうな法案を準備し、そういうような基金をつくるということに賛意を表して参りました。  なおそれと関連いたしまして、その信用保証の再保険というふうなものも、現在中小企業の信用保証の再保険制度が一般的にはございますけれども、それでは水産の要請に応じ得ない。一件当りの単価にしても、その他あらゆる点について、応じ得ないというので、水産について別に特殊な金融制度をつくる。それでその再保険の特別会計も、別に設定するというふうなことについても同意を得ました。しかしながらこれは非常に大事な問題でございまするが、その各種の設備改良資金、ことにその遠くの海へ出るために必要な電探、無電、それから前に小高委員からもいろいろと御要望のありましたところの合成繊維の漁網綱であるとか、それから永田委員からもお話のたびたびありましたディーゼル化の問題とか、それに伴つた船型の改良とかいうふうな資金につきましては、これはどうしでも低利で融資してもらいたいという点からいつて、財政的なその利子補給をほしいわけでございまするが、それについては予算等の関係もありまするので、まだ大蔵省が同意をするまでに至つておらぬわけでございます。理由はいろいろとありましようけれども、中小企業の一般のものに比べて、特に水産関係が、そういう点で恩典をこうむるという説明がつきにくいというふうな意味のことを言うわけです。ある部分は、農業等については、そういうふうなものを大蔵省が認めておるわけです。それで農民は零細な経営だから認め、こういうふうな設備改良をやるのは、かなり企業的な漁業者であるから認めないというふうなことも申しておりまするが、私はそういうことを言うのならば、開発銀行のような、最も大きな企業家が利用するようなものについては低利で出しておつて、中小の最も今経済的に苦しいそういうところに出さないという理由はないというふうな点で、説得に努めておるわけですけれども、これは予算の問題に関連いたしますので、予算と同時にきめるほかないと、こういう状態で、大蔵省の方はまだ留保をしておるような状態でございます。
  28. 永田節

    永田委員 長官の御説明をいただきまして、質問に伴います応答のたびごとに、その内容がますます躍進して参つておりますることにつきましては、長官がこの事業に対しまして絶大なる御理解をしていただいておるものであろうと感謝にたえません。まずくすると、水産局ということになれば、長官というのもおそらく最後だろう。最後のお仕事としても、さらに全力をあげられまして、すみやかにこの問題の解決に御努力を願いたいとお願い申し上げる次第であります。  続いて水産庁長官に御質問申し上げますが、浅海干潟の増殖に関する予算であります。もちろん本年度も予算は、調査その他で、今日まで、浅海増殖の時期でありながら、いまだにその予算の配分ができないというふうな状態にあるように承つておりまするが、地方によりますと、この浅海干潟の予算というものの使い方、つまりこの地方の受入れ態勢が、国会の要望と若干ずれを生じておるのではなかろうかと思われるところもあるように承つております。御承知のように、この浅海増殖の事業というものは、やはり沿岸大衆漁民をある程度指導するという面に当局の主力を注いでいただかないと、われわれの所期の目的を達することができないというふうな結果に相ならぬともはかりがたいのであります。そこで指導の面におきましては、ただ単に浅海増殖の指導というのみに限りませんで、浅海事業の発展とともに、科学的に、あるいはいろいろな面からますます指導というものの強化をはからなければならないと思うのでありまするが、この点については、水産庁も将来大いに御留意をお願い申し上げたいと思うのであります。  引続いて、来年度の予算でありまするが、来年度の予算の編成も着々と御準備ができつつあることと存じますが、来年度はさらにどのようなお考えのもとに予算の編成に当つておられるか。なかんづく、これは地方ごとによりまして異にいたしておりまするが、台風の多い地方におきましては、台風によつてのりしび等の流失というものが考えられまするので、これらに対しましては、あらかじめ国の費用によりまして、この波よけをつくるというふうなことを、先般私長官に申入れをしておるのでありまするが、そのことにつきましても、長官は一応調査をすることをお約束くださつたのでありますが、その後調査の経過はどういうふうになつておられるのでありましようか、お伺い申し上げたいと思います。
  29. 塩見友之助

    塩見政府委員 ただいまの永田委員からの浅海増殖についての御質問でございますが、これは仰せの通りに、浅海増殖等につきましては、特に各種の技術の指導というふうなものが非常にやりやすいし、またその効果も非常に高いものだ、こう考えておりまして、もし各種の技術指導というふうなものについて、政府の方で、特に府県等に人を設置したり、その他力を入れるというふうなことになれば、まず第一着手として、これに重点を置いてやる必要があろうかと存じます。また来年度の予算の点につきましては、現在検討中でございまして、その計数等にわたつてお答えできるところまで至つておりませんけれども、この種の事業につきましては、水産庁としましては、従来に比べまして、格段の予算を要求したい、こう考えております。  なおのりしび等の養殖事業の被害防止のために効果がある波殺しの問題でございますが、これは土木的な見地とそれからその増殖の方からの見地とありまして、場所々々によりましては、私は十分採算が立つのではないかと思いますけれども、工事の種類によつて大分かわりまして、石床を築いて行くということになれば、深さによつて相当な経費がかかる、あるいはくい打ちで行けば相当経費が安くて済むのではないか、あるいはまたトラクターによつてある程度砂を盛り上げるというふうなことをやつたらどうか、これは現在でもあるからという、こういう意見もございますが、これは土木技術者の意見としましては、そういうものはすぐ波でこわされてしまうから効果はあるまいというふうな問題等がございます。いずれにせよ、この問題については、試験的にどこかでやつてみるというふうなことによつて、その見当をつけるという必要があるのではないか、こう考えておりますが、着想としましては、非常におもしろい着想だ、こう考えて今検討中でございます。
  30. 石原圓吉

    石原(圓)委員 先刻問題になりました行政機構改革のうち、水産庁の問題であります。これに対しては、今朝十時水産議員連盟の臨時総会を開きまして、種々論議の結果、以下のような決議をいたしたのであります。  農林省設置法案水産庁の取扱については飽くまで衆議院議決の通り各党々議を以て支持せられんことを強く要請する右決議する  こういう決議をいたしました。これはさきの衆議院決議のときには、共産党を除く他の党はみな支持しておるわけでありますから、各党べ向けてこの決議書を差出したわけであります。その他両院の議長及び幹事長、総務会長その他の機関にもそれぞれ配付したわけであります。よつて委員長においては、この趣旨を党幹部へ徹底するように至急おとりはからいあらんことを要望するものであります。これは水産議員連盟決議に基いて、ここに報告を兼ねて要求する次第であります。  なおこの際に、水産庁長官に希望として申し上げて、お答えを願つておきたいのは、真珠養殖事業法に関係するところの母貝増産の奨励金の問題であります。これは真珠養殖事業法をつくるにあたりまして、真珠養殖と母貝の増産とが両々相まつてこの事業は完成するのである。よつて真珠の養殖事業よりは母貝の増産を早くすべしであるという結論に達しました。これはむろん議員立法であります。そうして母貝の増産は季節的に急ぐから、補正予算で六百幾十万円をとつたことは御承知通りであります。それから通常予算で五百幾十万円をとつて、合計千二百幾十万円というものを予算の上ではとりまして、そうして水産庁関係課においては、地方の組合長等を集めて、その助成金の交付をするということを申し入れて、それぞれの準備をしております。そうして組合側にあつては、一応予定した予算のもとに、もう時期が遅れますから、このごろ盛んに投石、つきいそ等の母貝増産の施設をしておるわけであります。それにかかわらず、いまだその支出がないということで、非常に困つてしまつたのであります。よつて私は、この際通常予算の分のみならず、補正予算の分も同時に合せて至急施設をしていただきたい、こういう強い要望を申し上げる次第であります。これに対して御意見を承つておきたいと思います。
  31. 塩見友之助

    塩見政府委員 真珠母貝の増産施設の問題につきましては、検査料収入との関係もありまして、大蔵省の方にも一、二意見がありますので、母貝増産に支障のないように処置すべく、大蔵省とも今折衝を続けております。
  32. 石原圓吉

    石原(圓)委員 もう近く、少くも本月中か来月早々に支出ができるものでありますか。大蔵省との折衝と申しますけれども、すでに予算はできているのであつて、ただ手続上の問題と私は心得るのであります。ぜひとも今月中か来月早々——入梅期が終ればこの問題は能率の上らないことになるのでありまして、季節的に非常に急ぐ問題でありますから、さらにお尋ねする次第であります。
  33. 塩見友之助

    塩見政府委員 御趣旨に沿つて、漁期にはずれないように出すように努力いたします。     〔小高委員長代理退席、委員長着   席〕
  34. 永田節

    永田委員 機構改革に関連する問題で、水産庁をそのまま存置させるということについて、先ほど石原委員から議員連盟の決議をお読みに相なつたのでありますが、なるほどこれは水産委員としては一応ごもつともなことであります。この委員会でかようなことを申し上げる筋合いじやないのですが、われわれ自由党議員といたしましては、決議をするというふうなことでなく、党の意向をにらみ合せて行動しなければならないというふうに一応考えるのでございます。そこでにわかに水産庁をそのまま残すということに賛成するという意思を決定するということも、私はしばらく延期する必要があろうと思います。従つてわれわれは与党であり、与党の議員としては、党に対する責任上、しばらく自重しなければならぬというふうに考えるのであります。また事実考えてみまして、現在のような水産庁の機構で、幸いにしてのらりくらりした、ぼやつとした長官がおられるというならば、国会側も楽なんですけれども、今日の塩見長官のような大物が長官になつておれば、なかなか国会の意向が通りやしないで、従横無尽に振りまわされるというのが起り得べき状態である。これを局に直すということだと局長程度で済むのですが、局長ならば十分国会の方でもこなして行けるだろうと思う。業者の方では、水産庁であろうが局であろうが、何らかわるところがないのでありまして、局になると個人的企業会社が困るくらいのものであつて、予算措置というようなことについては、内容にはさらに変化がないものであると私は考えるのであります。そこで水産議員連盟決議というものは、あくまでも水産議員連盟決議としてわれわれ水産委員会は了承し、自由党出身の各委員は、あらためて自由党の方針とにらみ合せて行動したいということを、私は保留しておきたいと思います。
  35. 川村善八郎

    川村委員長 本日はこの程度にとどめ、次の開会の日時は公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時三十二分散会