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1952-06-10 第13回国会 衆議院 水産委員会 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月十日(火曜日)     午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 川村善八郎君    理事 小高 熹郎君 理事 林  好次君    理事 佐竹 新市君       石原 圓吉君    久野 忠治君       鈴木 善幸君    冨永格五郎君       二階堂 進君    平井 義一君       松田 鐵藏君    岡田 勢一君       水野彦治郎君  委員外出席者         参議院水産委員         長       木下 辰雄君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)      伊東 正義君         農林事務官         (水産庁漁政部         協同組合課長) 濱田  正君         専  門  員 杉浦 保吉君         専  門  員 徳久 三種君     ————————————— 六月九日  水産業協同組合法の一部を改正する法律案(参  議院提出参法第一〇号) 同日  両石漁港整備促進に関する請願鈴木善幸君紹  介)(第三五二九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  水産業協同組合法の一部を改正する法律案(参  議院提出参法第一〇号)  漁業損害補償に関する件  水産統計に関する件  水産資源保護に関する件     —————————————
  2. 川村善八郎

    川村委員長 これより水産委員会を開きます。  参議院提出水産業協同組合法の一部を改正する法律案を議題として審査に入ります。まず提案理由説明を求めます。参議院水産委員長木下辰雄君。
  3. 木下辰雄

    木下参議院水産委員長 ただいま議題とりました、水産業協同組合法の一部を改正する法律案提出理由を御説明申し上げます。  この法律案水産業協同組合連合会規模制限規定を廃止しようとするものであります。すなわち、現行法によれば連合会は、その地区が都道府県の区域を越えないこと、またはその所属員たる組合の数が三百を越えないことのいずれかに該当しなければならないことになつておりますが、今日の情勢におきましては、協同組合系統組織を十二分に強化して水産業の振興をはかることが、きわめて緊要なことであります。よつて水産業協同組合法による連合会規模制限を撤廃するために、必要な法的措置を講じたき所存であります。  何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  4. 川村善八郎

    川村委員長 本案について、御質疑があればこれを許します。
  5. 松田鐵藏

    松田委員 提案理由から行きまして、まことに妥当なものと思うのでありまするが、私どもが常に論議しておる焦点は、昔の中水時代と今日の状態、つまり戦争中または戦争以前の中水を見るときにおいて、今日講和会議が成立して、新しい民主化された漁民のための協同組合が、全国連合会をつくるというような事柄は、時の流れによつて中水時代とは、その趣を異にするものだろうという考え方を持つておるのであります。そういうような考え方から、もし中水時代のようなことがあつてはいけないというような考え方を持つと同時に、今日これからどのようなことができ上つても、ああいうようなだらしのない行き方はないものと信じておるものでありまするが、ただ私どもがそこに一番懸念する点は、ややもするとまた漁業者が、漁業者だけでもつてすべてものがやつて行けるものである、要するに今日農民が、農民団結さえあれば、農民だけの利益でさえあれば、その他の者はどうでもいいのだ。ひいて言うならば、北海道農民を基盤としておる農民党というものがある、この農民党というものが、あと国民はどのようなことがあろうと、われ関せず、農民団結によつて農民さえよければあとはどうでもよい、要するに全体主義的な考え方をもつて進んでおるのが、北海道の現在の例であります。また北海道において、農民方々の組織しておる団体というものは十四もある。十四もあるが、それはただ形だけの十四という連合会であるが、それが全部結集してしまう。そうして経済において、また政治において、すべてのものが農民を愚民化して今日やつておるような状態であると、こういうことから、私どもは非常におもんぱかつておるものであつて、これが最後の目的は、全国連合会をつくる目的だろうと私は考えておるのでありまするが、もしこうしたような方向によつて、この法律が通過した後において、この連合会経済を行つて行く、漁民のために経済を行りて行くと、こういうようなことであつたならば、はたしてどのような経過が生れるか、こういうことを一番おもんばかるのであります。しかもこれは漁民協同組合育成強化するために、あらゆる面から指導して行こうというお考えによつてなされる連合会であつたならば、われわれは非常にこれに対して賛意を表するのでありまするが、漁民経済を振興する上において、経済を担当して行こうというような目的があるとしたならば、われわれはここに相当考えてみなければならない点があるじやないかという考え方を持つておるのでありまするが、提案者においてはどのようなお考えを持つておられるのか、この点ざつくばらんにお話願えれば、たいへんけつこうだと存ずるのであります。
  6. 木下辰雄

    木下参議院水産委員長 お答えいたします。再々の都道府県会長会決議になつております、また両院に対して陳情請願が幾度も参つております。また代表者の詳細な説明も私ども承知いたしました。最近において開かれた都道府県会長会議代表者もお見えになりまして、いろいろと陳情を受けたのであります。そういうことから考えますると、すでに都道府県会長あたりでは、盛り上る意欲をこの際ぜひ満足したいというような考えから、この八十九條の撤廃を叫んでおられるということを、私ども深く感ずるのであります。この撤廃したあかつきにおいて、連合会が幾つできるか、または一つできるか、そういう点については、私は都道府県会長の自由の御裁量によつてできるだろう、かように信じております。その際指導に重点を置くか、あるいは漁業協同組合本来の使命である経済行為まで発展して行くかということも、私は会長会議決議によつてなされるだろう、かように考えております。申すまでもなく協同組合目的は、文化面においては指導、教育、経済面においては共同販売共同購買、これをもつて資本家に対抗して、零細漁民福利を増進するということが組合本来の目的でありますので、この目的を達成するために強く固まつて、まさに台頭せんとする資本主義経済独占行為に対抗しようというようなお考えではないか、かように私は想像いたしております。まだ会長連中のほんとの真意はどの辺にあるか。それを代弁するわけには行きませんけれども、私の想像ではかように思つております。
  7. 松田鐵藏

    松田委員 ただいまの御説明でほぼわかるのでありますが、協同組合連合会は、それは加入、脱退は自由であるはずであつて、その点は了承できるのであります。幾つ連合会をつくろうともこれはさしつかえないことになつておるのでありまするが、さて私ども、野党の方々はどのようにお考えになるかは存じませんが、自由党立場から申しまして、自由経済をもつてわれわれの経済面における政策としておる。そこで協同組合育成強化というものは、われわれ自由党考え方から行きましては、単協に対してあらゆる育成強化をして行くことが使命考えて、協同組合育成強化を叫んでおるのであります。ゆえに農林漁業特別融資などという、ああした——今日自由党でもつて最も悪い政策としては、金融統制をしておるということであります。この金融統制をしておるので、これはいかんともなしがたい、今までの占領政策であつたがために、いかに自由経済にして、国民利益を与えんとしても、占領政策の悲しさにこれができ得なかつたのか現在までの状態であつた。ゆえに自由経済を根源としておる自由党は、原始産業である漁業に対して、漁業協同組合育成強化をすることは、要するに国の金をでき得るだけ低利に、また長期に貸し与えて行かなかつたならば、援助をして行かなかつたならば、とうていこの原始産業は発展して行くものではないという観点から、農林漁業特別融資をすることに政策が決定して、現に行いつつあるのでありまするそこから行きまして、それは要するに単協を主体として、その単協育成強化が成立つて、初めて県の連合会なり全国連合会なり、こういうものに及ぶのであります。ところが今日において、単協状態はしからばいかん、経済状態はいかんというと、漁民はいまだまつたく食うこともでき得ないようなみじめな状態になつておる。単協育成強化がまだほんの緒についた状態である。この産業経済がいまだ確立していない以前に、ややもすれば県の連合会がその単協の権益まで侵して、現に特融の資金なども連合会単協とが競争して、同じ場所において相争つておるような状態も見受けられる。かようなことであつたならば、いつの日に漁業協同組合育成強化ができ得るかと、われわれは実にそれを心痛しておるものであります。また水産庁においても一体何の間違いか。どういう錯覚を起しておるのか存じませんが、この連合会に借金があるなしは別として、中金ともつながりがある。そんなような状態を見てか、連合会にどんどん特別融資のわくを与えて、金を与えておるような現状であります。われわれはそれを見るときにおいて、またぞろ全国連合会ができたならば、この連合会が一体何をやり、何を目的とするのか、この点が一番疑問な点であります。各県の連合会において、単協争つてまでも事業を行おうとしておるのに、その上にまた全国連合会ができて、一体この連合会は何をやるのか、その目的が私にはわからない。そういつた場合において、おそらく——私の一番杞憂している点は、すべての経済面、要するに施設の面だとか、こうした農林中金から特融によつて借り入れることができる施設などというものが、すべて全国連合会の手にゆだねられるようなことがあつたならば、産業に対する非常な打撃でないか、こういうように私は考えるのでありますが、この点一体どういうようにお考えになるか、提案者からでき得る範囲内の御説明があれば、たいへんけつこうだと存じます。
  8. 木下辰雄

    木下参議院水産委員長 松田委員のお考えは非常に適切な考えと私も存じます。しかし現在の再建整備進行、あるいは農林特融進行によりまして、単位組合も漸次強化して行く情勢にあるようであります。それから私、都道府県会長陳情を聞きましたが、これは聞くまでもないことでありますけれども、この特融によつて、でき得るだけ津々浦々にまで冷蔵庫の普及をして、そして今までロスしておつたところの魚を有利に冷蔵あるいは塩蔵して、それを中央冷蔵庫、都市の冷蔵庫につないで、消費者に対する出荷販売の調整、魚価変動の防止ということは、ぜひせねばならぬというようなことをしきりと言つております。また連合会は一体何をするかというようなことを私も十分問いましたが、その際において、これは高遠な理想かもしれませんけれども、現在単位組合で、ある場合においては非常に大漁である、ある場合においては漁がないというような、すなわち水産界特殊事情に対して、とつたものは冷蔵して、なるべく冷凍機関を通じて、市民にあまり変動ない価格で売るようにすることが、魚価の安定になるということは当然でありますが、そのためには系統組織を、十分活用する必要がある。また進んではアメリカあるいは南洋から油を輸入して、非常に大きなマージンをとつておるところの石油業者に対抗して、なるべく安い油その他の資材を漁民に提供したいということもしきりと言つておりました。これも必ずしも実行不可能の問題ではなかろうと思います。また輸出面においても、このごろ冷凍まぐろあたりは大分問題になつておりますけれども漁民みずからの手によつて供給するというようなことになれば、その間の利益が漁村に還元して、必ずしも資本家利益を壟断されることはなかろうというようなこともあります。また六大都市方面共同販売所を設置するということになれば、さらでだに手数料を上げたいという意向にある取引業者に対しても、非常な刺激となつて、公正な販売もできるだろう、いろいろこういう問題をとなえて、連合会の設立を非常に要望しております。またいろいろ政治方面のものと連絡する、あるいは運動するという場合において、各個別々では非常に弱い、だからなるべくならば一本か二本に集結する、そして自分らの意向を大蔵省なり何なりに反映させたいというようなことを申しました。これはもとより指導方面ですが、その指導経済と相まつて、現在の資本主義経済機構における漁民立場をなるべく強化したいという理想を抱いておるようであります。私もそういう理想はきわめて必要であつて、決して上から強要するわけじやないが、皆さんの盛り上る熱意のもとにおやりになるならば、けつこうであるということを、私どもも回答しておる次第であります。
  9. 松田鐵藏

    松田委員 私は提案者が御説明されるように、真に漁民の幸福を考えて行かれんとする目的に対してに同意なのであります。私どもが一番尊敬しておるのは、静岡県の佐野連合会長であります。あの人のやつておられることを、私はあの地方人々から承つておるのでありますが、まず静岡県の連合会が、たとえば冷蔵庫をつくつて、その漁民に対して非常な利益を与える。しかしここだけではいけないので、よその土地へもまた冷蔵庫をつくる。それを連合会がやつておる。しかしそれが大体軌道に乗つた場合においては、その単協にこれを渡してしまう。しかしてまたそれのない単協の所へ冷蔵庫をつくる。そうしてまたこの冷蔵庫があるために、その単協漁民が非常に利益になつて、その単協がどうにかこうにかやつて行けるとなれば、これまたそれに渡して開放してしまう。こういうような指導方法をやつておるということを承つておるのであります。こうした行き方は、まつたく漁民に対して幸福をもたらしておることであつて、非常にりつぱな行き方だと思います。私はあの人に会つたことは一回か二回よりありませんが、あの人の理想に対しては、まつたく敬意を表しておるのであります。ところが一方宮城県の連合会と来たならば、これはとんでもないものである。単協冷蔵庫をつくるというときに、何のために気仙沼へ連合会争つて冷蔵庫をつくらなければならないかという理由がわからない。連合会事業部というものがあつて、この事業によつて、ここに冷蔵庫をつくつて利益を得ようといろ、こういう行き方は実際わからない。しかも北海道東北地方が毎年々々漁業において争いがある。北海道漁民が目のかたきにして、自己の漁場を侵害されてひどい目にあつている相手方はどこかというと、宮城県。彼らの考え方というものは、まつたく侵略漁業そのものである。われわれは元はこういう密漁をしたのだ、これが日本漁業を進展させた理由なんだ、かように考えている。いまだにそう考えている。このたびの北洋出漁の場合においても、塩を五百俵も千俵も積んで——委員長はお知りにならぬかもしれませんが、その考え方というものはまつたく誤まつているのです。初めて国際漁場に出る日本漁民が、何のために塩の五百俵も千俵も必要があるか。そうしてあわよくば帰りに北千島へでも寄つて漁獲をして、塩蔵して、自分のところへ持つて行こうということが歴然としてわかつておる。何か昔の侵略漁業と同じようなことで、日本の国のあと漁民はどのように誹謗されようと、自分さえもうかればいいという考え方を持つておるようであります。私どもはそう解釈しておる。また連合会会長はあの通りなんだ。木下委員長もよく御存じのことだと思いますが、しかも今度東京市場に対して、またあそこでもりて販売場を設ける。八千四百万人の日本国民全部が一人々仕事を持つて行かなかつたならば、日本国民というものは生活に困ることだと思う。それが連合会の力によつて一つの権力を利用して——また既設業者もあるのに、それらに適当な出荷をして完全に見守つて行つたならば、お互いにりつぱな仕事ができると思う。それに対して、中央市場へ進出して、そうして市場を経営しようなどということは、われわれ自由党政策とはまつたく相反していることだと私は考える。全国連合会が幾つあるかは存じませんが、ああいう人々のいるうちは、全国連合会などということはまつたく危険なものでないかと私は思う。ああいう水産ボスをまず退治して、しかる後に情勢を見てやつて行くことが、真に漁民福利を増進することであろう、私はこういうように解釈しておるのであります。もしこれによつて経済を一番の使命としてやるならば、だれだつて欲なものであります。私自体が一番欲なものであつてボスの標本のような人間だ。自分のふところに入ることがあれば、これは何といつたつて、神様でない以上はやはりそつちの方へ傾きやすいのである。佐野会長のような人格者であれば、これは別だ。現にやつていることがあの通りりつぱなことをやつているのであるから、こういう人々のやることならば、私はまつたく賛成をするのでありますが、一方において、水産界において非常に有力な宮城県の会長のようなものがおつたならば、このごろ世の中に共産党が赤旗を振つておるところの誤つた哲学、誤つた議論に対しても、これに賛同する者がたくさんあり、しかしてあのメーデーのような問題を惹起するのである。これを一番心配しているのでありますが、提案者においてこの心配が絶対にないという御確信があるか。私はその確信かないんじやないかと考えますが、もしあるようでありましたならば、御説明を願えればたいへんけつこうです。
  10. 木下辰雄

    木下参議院水産委員長 松田さんの御心配、ごもつともと思います。なるべくそういう心配のないように、国会において監視をするようひとつお願いいたしたいと思います。
  11. 小高熹郎

    小高委員 ただいま問題となつておる水産業協同組合法の一部を改正する件でございますが、私はあらゆる角度から検討いたしますとき、すみやかに当委員会においてこの法案賛成決議をして、その促進をはかるべきであると思うのであります。その理由とするところは、かつての押えつけられた経済から、まつたく国際経済に自由な立場においわが国が活躍を許されている今日、古い時代感覚から新しい感覚に切りかえて行こうとするこの気分が、ほうはいとして全国に起つているのであります。その意味におきまして、過去の中水というものを、一応行きがかりとしてこれを論議せざるを得ないのでございますが、この過去の中水のあり方が、必ずしも今後全漁連をつくる場合に、そのにおいを引うつさなければならないということはないのでありまして、またそのにおいがうつつてはいけない。要は中水においというものが新しい全漁連にうつるか、うつらないかが重要問題でありまして、私はさようなことは断じてない無臭なものがここにできるならば、一刻も早くこの協同組合法の一部を改正いたしまして、全漁連をつくるべきであると考えております。あつものに懲りて、なますを吹くというたとえがありますが、さようなことのなきよう、そうして鋭敏なる世界の経済感覚を取入れて、欧米諸国において着々その実績を上げております連合会の活動を、もつとたくましくして行かなければならない。今こそ完全独立をしたのであるから、即時立ち上らなければならないというような気がいたします。経済行為が正しき意味において伴うのは当然のことでありまして、その人を得るならば、これは一刻も躊躇すべきでないと考えているのであります。先ほど松田委員からもいろいろ御意見がありましたが、もし意に満たないような人たちがあるとするならば、これはわが国水産業を生成発展せしめる意味において、この連合会一つ切瑳琢磨機関であるということにおいて、多数の円満なる理性がそこに入つておれば、少数のものに断じて引きずられるようなことはない、またあつてはならないかように考えておりますがゆえに、もはやこの問題は議論の域を脱して、すみやかに結成すべきであるという強い促進論を私は提出いたすのでございますが、委員長においてしかるべくおとりはからいを願いたいと思います。希望意見として出します。
  12. 石原圓吉

    石原(圓)委員 まだ十分提案者説明も聞かないのでありまして、慎重審議すべきものと考えるのであります。つきましては、今度この法案が成立しまして、参議院通りに衆議院も同調してやる場合には、これはすみやかにおおよそ全国的な連合会ができるものと察してよいと思うのでありますが、そういう場合に、これを構成する方針といいますか、心構えといいますか、そういう点に対して、何か参考になるような提案者の方に御意見がありましたら、承りたいのであります。  なおまた、この全国的な連合会ができると同時に、全国の各地にできておる施設のうち、ある一部のものをこれへすみやかに合併しようというような心構えでおるというようなものは、あるのかないのか。私ども考え方では、まつたくそういうようなものにはかかり合いなく、ほんとうに公正無私な立場でこの連合ができなければならぬと思うのでありますが、そういう点について、何か心当りとかまた御意見のあるところをお聞かせ願えればけつこうと思います。
  13. 木下辰雄

    木下参議院水産委員長 先ほど小高委員から中水くさいものは絶対困るというお話がありました。私は中水会長をしておりましたが、中水時代まつたく自主性がなかつた。あの時分戦争のために政府の命に従つてつたのでありまして、今日とはまつたく事情が違う。中水の前の全漁連時分には、皆さんの盛り上つた意欲でできましたけれども、これとてもやはり官庁の力の非常に強い時代でありまして、今とはまつたく違いますから、私は中水においなんということはおそらく今後は絶対なかろうと思います。  それから今連合会構成云々お話がありましたが、石原さんも小高さんも会長でありまして、あなた方が集まつておやりになるので、私ども局外者であるのでありますから、これはむしろ私どもからあなた方にお聞きしたい。私はこれに対して何らの考えもありません。すべて会長会議の総意によつて、最もりつぱな人会長にされておやりになつたらいい。  それから既設機関をこれに収容する意思はないかというお話がございましたが、これも局外者の私から何とも申し上げられません。やはり都道府県会長会議において、しかるべくごく自由な立場においておやりになつたらよかろうと私は考えます。私は過去の人間でありますから、将来のことについては何にも考えておりません。その点十分御了承願いたいと思います。
  14. 石原圓吉

    石原(圓)委員 既設のものを、これができたらそれへまつ先に買収させろとか、併合させろとかいうものがあるかないかということを御存じはないかということを尋ねたのでございまして、あなたの御意見をお尋ねしたのではないのであります。その点は非常にはつきりさせておかねばならぬ点であろうと考えますし、私もそういう点について多少耳寄りのことを聞いたものでありますから、お尋ねをしたわけであります。  なお小高委員及び木下委員長より申されたような中水時代のことでありますが、これは私も実は木下中水会長のもとに副会長をやつておりました。その当時戦争の関係上、相当中水を引締めて行くという方向になりまして、そうしてその案が役員会で決定しまして、実行に移ろうとするところに、ある事情のもとに中水に職員の一つの争議のようなものが起つて、それが動機となつて閉鎖されたのでありますが、中水自体がそういう閉鎖されなければならぬという原因及び現状でなかつたということは、われわれはあくまでも確信して、ああいうことになつたことは、中水のみならず日本水産団体のため非常な不幸であつた考えておる次第であります。ことにまた、農業団体全国的なものが厳然としてここに存在して、しかも非常に充実した経営をしておる。その点からいえば、われわれ水産団体は非常な乗り遅れでありまして、このことはいかにも残念に思うのであります。過去を追究する必要はないのでありますけれども中水が閉鎖機関になつたといういきさつについて、ちよつと私の認識をここで御参考に申し述べておく次第であります。
  15. 川村善八郎

    川村委員長 他に提出者に対して御質疑ありませんか。
  16. 松田鐵藏

    松田委員 これは水産庁に関連するので、まず水産庁に聞いて、それから提案者にお聞きしたいと思います。  大体全国でどこどこの連合会冷蔵庫なりその他の施設に対して出願をしておるか、それを出そうとする段階に進んでおるか、この点をお尋ねいたします。
  17. 濱田正

    ○濱田説明員 連合会で出ておりますのは、北海道、青森、宮城、熊本、高知、徳島、香川、大分、島根、たしかそれだけです。
  18. 松田鐵藏

    松田委員 さてここなんでありますが、北海道漁業連合会は、北海道全土において七つの冷蔵庫を持つておる。これをまず漁民に開放せよという、これを単協に開放しないうちは絶対に冷蔵庫をつくつちやいけない、しかして冷蔵庫をつくるなら東京につくれ、そうして各単協が凍結した、魚価維持対策のためにやつたものを、ここへ販売所を設けるようなことがあつてはいけない。東京の冷蔵庫は高いからそれを調節するために保存する機関を設ける、そういうような考え方でなかつたならば、漁業協同組合連合会使命は達せられるものではない。こういう意見から、北海道の道漁連に対してわれわれは強く要望しておるのであります。先ほど私が一例をとつた宮城県のごときは、漁民の敵である。しかもその他において、協同組合が弱体であつていかんともなしがたいところであつたならば、静岡県のごとく連合会でもつてつてやることが最も正しい方法である上、われわれは考える。ややもすればそういうことなくして、中金と今までの連合会会長その他のものが悪因縁がある。それを水産庁は知つているか知らないかは知らないけれども、どうもそこに、中金が金を貸すのだからというので、書類さえ整えばそれを対象として考えておる点がたくさん見受けられる。こういう例が現実の問題として現われている以上は、全国連合会に対して相当考えなければならないというのが第一点。  それから、先ほど申し上げたように、八千万の国民みんなおのおの仕事をやつて行かなければならない。そういうような方法でやらなかつたならば失業者がふえて来る。これは大きな問題である。そうした理想、そうした政策と異なつたやり方を宮城県の漁連がやる、青森県の漁連がやる。こういうような経済行為を許したならば、必ずやこういうことができて来るのじやないかという心配がある。それから油の輸入というようなことも言われておる。油を輸入するのにはタンカーがいる。今タンカー船一そうつくるとしても、十七億なり十八億の金がかかる。この金をどこから持つて来るか。協同組合は今までは借金だらけだつた。こういう借金だらけの組合が、漁業権証券によつてようやく生気をとりもどさんとしておる。しからば十八億の金はどの人々がどこから持つて来るかは存じませんが、これをやつたときには漁民が安い油を買うことができると言うけれども、一方においては企業を圧迫するものだ。われわれ自由党の所属代議士として、政権を現在あずかつておるものとして、こういう点は相当考えて行かなければならぬと考える。またこの内容はもつともつとこれから調査しなければならない点がある。また先ほど私が申し上げたように、おのおの自分利益になることにはどうしてもくみしやすい。こういう点からいつて、もう少しわれわれは研究が必要だと思う。こういうように考えておるのであります。  またもう一つは、漁民漁民のために漁民の代表を選挙によつて出せ、政治において出せ。これは漁民に呼びかける最もいい方法である。昨日私は、自由党のわれわれの幹事長の選挙区である長野県へ行つてみた。ところがこの幹事長の選挙区へ行つてみてびつくりした。選挙を堕落させる方法を講じておる。それはやれ後援会だとか何だとかいつて金をどんどんばらまいていることである。われわれは、自由党はこんなことではいけないと思うから、委員会において責任ある言葉でもつて申上げている。後援会というようなものをつくつて、隣り近所一軒置きなく判を押さしたならば、選挙権の最も正しい行使はできない。自由であるべき選挙が一つのわくにはめられて強制されておると同様に考える。かようなことでは選挙権の正しい行使はでき得ない。漁民漁民代表者のみを出して、はたして日本政治ができるかというのである。ややもすれば、最後には必ず漁民漁民の代表ということになると思う。そういうような立場政治的な指導をされたならば、個人の自由を束縛することになると思う。こういう点相当考えて行かなければならぬ。漁民が自己の利益のために自己の代表を出すことは理の当然であります。しかしそれを強要するがごときことがあつたならば、国民の自由の意思を破壊するものである。こういうことも考えて行かなければならないと信ずるものであります。こうした点から考えて、私は決して悪いとは思わぬ。しかし運営の方法については相当問題があるのではないかと思う。まず自由党政策の面からいつて、本来の使命である経済を行うことについては、相当つつ込んで、政調会、総務会においてももつともつと研究してみなければならぬと存ずるものでありますがゆえに、委員長においては、きようだだちにこれを採決するようなことなく、もつと慎重審議をしていただくようにおとりはからい願いたいと存ずるのであります。
  19. 小高熹郎

    小高委員 本問題はすでに全国各府県の漁連会長会議において大体意見が一致しておるのであります。十分内容の検討をして慎重を期すのはけつこうでありますが、他の農業団体のごとき事例から見ましても、遅きに失しておるので、われわれは何日かの期間をおきまして十分慎重を期する意味において内容の検討をいたしまするが、本旨としてはすみやかに促進すべきである、かように思いますので、すみやかにその結果が現われますよう、特に御努力を願うことを重ねて申し上げます。
  20. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 本問題に対しましては、今まで活溌に質疑応答がかわされておりますし、問題の焦点はおのずからきまつておるのであります。各党においてそれぞれ党議をまとめまして本案に対する結論を出す必要があると思いますので、本日はこの程度に審議をとどめまして、各党において党議をまとめた後、再度審議を進められるよう委員長においておとりはからいをお願いいたします。
  21. 川村善八郎

    川村委員長 先ほど小高君並びに松田君から御意見があり、さらにただいま鈴木君からの御意もありますように、自由党としては自由党立場でまとめて行かなければならぬし、同様他党も党の意見をまとめなければならないと思いますので、本日本案に対する質疑はこれで終了することにいたしまして、すみやかに各党の御意見をまとめるようにおとりはからいを願う次第であります。     —————————————
  22. 小高熹郎

    小高委員 水産庁当局にお尋ねいたしたいのでありますが、それは九十九里の演習による災害補償の問題でございます。ごく最近、九十九里の漁民が全部蹶起いたしまして、今までの演習方法では、とうていわれわれは生業がおぼつかなくなつて来た、でき得るならば、演習を終戦後、数箇年間同一箇所でやつておるのであるから、他の箇所に方向がえをしてもらいたいというような、演習そのものに対する忌避ではございませんで、場所をかえてやつてみてもらえないかというような申出が出ておるのであります。この気分が濃厚に現われまする原因といたしましては、従来たまに大漁がありまして、この大漁はいい機会だ、もう一箇月も二箇月も待つてつたのだからといつて、出漁すると、ただちにさしとめを食うということで、非常に苦しんでおります。大漁などというのは一年に何回もあるものではございませんから、その大漁のあつたときは、便宜現地に委員会のようなものを設けて、その委員会が急遽、夜、夜中でも協議をして、何時間待つてやろうじやないかとか、何日間演習を休もうじやないか、そういうことが行えるとするならば、かかる強烈な運動及び声は起らなかつたと思うのでありますが、遺憾ながらさようなことが今までできませんために、場所がえをしてもらいたいというような希望が出ておるのであります。これは昨日も県に大挙漁民が押しかけまして、中央にもそれぞれの機関に運動を試みたやに承つておるのでありまするが、これらの点に対して、水産庁当局はいかように現在お考えになつておるか、その方針を承りたいのであります。
  23. 伊東正義

    ○伊東説明員 お答えいたします。九十九里の片貝の演習場の問題でありますが、これは今までの海上演習が延長になりまして、向うと交渉をいたしました段階におきましては、実はまだ向うから要求の提示がございません。と申しますのは、海軍、空軍関係は全部リストが出まして、大体話合いの見通しがついておるのでありますが、陸軍関係、これは高射砲関係を含めてでございますが、陸軍関係につきましては、まだ駐留軍の方からこことここでやりたいという全部のリストは出ておりません。実は今回北海道の分だけを出して来て、サインしてほしいからという話があつたのであります。われわれの方としましては、演習の全貌がわからぬうちは御返事ができぬということで、まだ陸軍関係につきましては、交渉の内容に入つておりません。入つてはおりませんが、おそらく——これは予想でございますが、向うからリストを出しました際に、片貝を抜いて出して来るということは、今の空気では予想されません。実はお話のありましたように、きのう片貝から代表の方がお見えになりまして、小高委員のおつしやいましたように、演習地をかえてくれというお話を承つたのであります。きのうも代表の方に申し上げまして、われわれとしては、まだ向うから要求が出ておらぬので、出た場合には、十分どういうことでやつて行くかということは考えますが、その前に水産庁といたしましても、私どもまだ片貝にも参つておりませんので、担当者と今週中にでも現場に参りまして、演習の状態、それから漁業者方々の経営の状況等もよくお話を聞いて、そういうお話を聞いた上で、向うから話がありました場合には交渉に当りましようということを、お話してわかれたのであります。今週中に現場へ参つてみようと思うのでありますが、今申し上げましたように、まだ向うから正式に、片貝をやるという要求が来ていないのであります。おそらく相当強い要求が出て来るのじやなかろうか。その場合におきましては、われわれも国内的に十分関係の方々と御相談して、どういう形になりますか、なるべく漁業者の経営が、そうあまりこの演習によつてひどい打撃を受けないような便法を、何とか考えたいというふうに今考えております。
  24. 小高熹郎

    小高委員 ただいま伊東漁政部長の御答弁で、大体水産庁意向が、この問題を解決すべく努力するやに見えておりますので、この点たいへん意を強うするものでありますが、従来までの漁民のあり方は、演習による補償金をもらいたい、この増額運動、あるいは補償金をどの程度見てくれるかという、これの一方にかかつてつたのが、最近は場所がえをしてもらいたいという声は、これはすでにもはや、立つか立たないか、生きるか死ぬかの境まで追い込まれて、ほんとうに血の叫びであると私は見ておるのであります。さような意味におきまして、近く片貝へ水産庁当局が出張されて、つぶさに実情を聴取して、これが解決をはかるというようなことを承つたのでありますが、近くと言わないで、明日でも、至急事情の許す限りにおいて出張されまして、この実情を調査の上、それぞれの関係方面とも折衝を願いまして、何とかこれを片づけませんと、このままにしておきますと、だんだん騒ぎが大きくなつで来ますので、この点特に重ねて強調いたして、その結果の現われるよう特に希望いたすのであります。以上をもつて打切ります。
  25. 石原圓吉

    石原(圓)委員 ただいま小高君の御発言の演習関係の問題でありますが、これは劈頭に私ども意見を申出ておいたのでありまして、このことは方法によりまして大いに先方に理解を求める道はあると思うのでありまして、この問題も外務省の軟弱なことが原因と、なつておるのであります。あくまでも外務省に対して、強く水産庁より当るべきであるという感を持つておるのであります。どうかそういう方向で十二分の御努力を願いたいのであります。  それから問題はかわるのでありますが、ここで申し上げるのもどうかと思うのでありますが、関係の深い漁政部長及び協同組合課長がおられますから、一応申し述べておきたいと思うのであります。それは農林統計の行政機構に伴うところの問題であります。御承知のように、農林水産の統計が今日まで不備なため、進駐軍のいる当時から、数字的なことの正確を期することができなくて、非常な損をしておるわけであります。ことに水産の関係は一層その点がはなはだしい、こう考えておるのでありまして、水産関係の統計こそ、非常な事務の充実をはかつて行かねばならぬと思うのであります。もし農林統計の機構を縮小するということになれば、一層その打撃を水産関係は受けると思うのであります。あるいは部を局にすべきである。私どもは農林統計の機構を、農林省内に統計局なるものを置いて、そして水産庁には課を設け、もしくは部を設けて充実した統計をやつて行かなければならぬ、こういう考えを持つておるのでありますが、現在ではどういうことになつておるのであるか、またどういう方針をとつておられるのか、一応御説明ができるならば、願いたい。直接御担当でない関係ならば、今日ただいまそのお答えはいただかなくてもいいのでありますが、ぜひとも統計事務を充実する——少くも農林省の方は縮小しても、水産庁は拡充するという考え方で、ぜひごの機構改革のときに努力をして行かねばならぬ、こう考えますので、一応意見を述べて、そして御方針のあるところを承りたい、こういう考えを持つております。
  26. 伊東正義

    ○伊東説明員 統計が行政をやる上の根本であるという御意見につきましては、われわれ全然同感でございます。現在やつております統計でございますが、副漁獲高調査につきましては、一応水産庁の手を離れまして、御承知の統計調査部の水産統計課におきまして、各地で標本をアト・ランダムにとつているのでありますが、それによつて一応の漁獲高の統計をつくつております。それからそのほかに、従来司令部がありましたときには、毎月々々月報を出す関係がありまして、これにつきましては、統計調査部の方法では非常に時間が遅れますので、県の水産課に照会いたしまして、県が調べました数字を一応統計として司令部に出していたことがございます。それからもう一つ、農林省が直接やつていますことで、全国に六十九箇所現在ございますが、ここで企業体の経営調査をやつております。これはいわゆる統計としてではなくて、事例調査という形で経営の調査をやつております。たとえばさんまでありますとか、あるいはかつお、まぐろとか、そういう企業体をとりまして、その企業体の調査でありますとか、あるいは購買品の価格でありますとか、あるいは販売品の価格というようなものを、その調査員を使つて調査をやつております。今度は機構改革があるのでございますが、特にこの機構改革におきまして、水産関係の統計が減るというふうなことは、われわれはないというふうに考えております。統計調査部が農林調査部と一緒になりまして統計監になるということはございますが、水産統計課がどうなるかというようなことは全然ございません。さつき申上げました水産庁にあります地方の経営体の調査をしてもらう人も従来通りございます。それから県におりました人につきましては、これは司令部に出す数字はなくなつたのでございますが、やはり油の消費の問題でありますとか、あるいは網等の資材については、こちらで数字をある程度のものは持つておらなければならぬという考え方からいたしまして、そういう重要なものにつきまましては、従来通り報告してもらいたい、こういうような形で進んでおります。
  27. 石原圓吉

    石原(圓)委員 一応了承いたします。ただ私らの知つておる範図では、農林省の統計部を監にする。監ということは何だか要領を得ないような感じがするのでありますが、およそそういう行政機構において、統計事務のようなことを監というような名目をつけてやる例があるかないか、これを調べなければならぬと思つておるのでありますが、それはそれとして、水産庁が独自の考え方を持つて行かなければならぬのじやないか。今日行き詰まつておる金融を解決するにも、その数字、統計が完備しておらないために、単位組合でもその他非常な難儀をし、時間を使い、経費を使うことは御承知の通りであります。農林省内とは申しますが、水産庁なるものは、御承知のように非常に複雑であり、また拡大性を持つておるがために、農林部内より切り離して、水産常任委員会ができておるということも、ここに非常な種々雑多な複雑性があり、かつまた将来の拡大性があるから、水産常任委員会が独立して、他の一省と同等の立場中央政治をやつておるというこの点から申しましても、最も大切な基礎となる統計の問題は、一層力を入れて、ここに機構のいかんにかかわらず、拡充することに御努力を願いたいと思うのであります。これを特に希望として申し入れておきます。     —————————————
  28. 林好次

    ○林(好)委員 ちよつと漁政部長さんにお伺いしたいと思います。水産庁といたしましては、最近の最も重要な仕事は、戦時中、戦後非常に漁場が荒廃いたしまして、その資源の回復をはかる、すなわち資源の保存ということに最も重点を置いておられるようでありますが、これは当然のことであります。しかしこの沿岸魚族が非常に荒廃いたしましたものを回復いたしますのには、まず水質汚濁ということを防止しなければ、何としても沿岸魚族及び遡河漁業の資源保存はできないというように私は常に考えているものであります。しかし水産庁が資源保護法を出されましたときに各省からいろいろ反対がありまして、水質汚濁の関係は一応骨抜きになりました。しかしながら次の国会には必ずあれを改正するということになつておりまして、水産常任委員長にもその要求を前回私は申し上げたわけであります。しかしその後そのままに相なつているわけであります。しかし先般も農林大臣が北海道に行かれまして、石狩川の鮭鱒の孵化の稚魚の壮行会に参られまして、そのときの農林大臣のお話、また知事に対する要求は、全道の有力なる保護河川におきましては、鮭鱒の孵化事業を全部やらなければいかぬ。従つてその計画をすみやかに立てて農林省に提供せいという命令が知事に出ております。農林大臣もこの沿岸魚族の保存及び遡河漁業の資源の保存ということに対しましては、十分関心を持つておられるわけでありますけれども、ただいまも申し上げましたように、沿岸魚族及び遡河漁業の資源の維持培養をいたしますのには、何としても水質汚濁の防止をやらなければ、いかなることがあつても資源の保存はできない、このように考えているわけでありますが、現在水産庁におきましては、水質汚濁の関係におきましてどのような考え方を持つておられるか、どの程度の関心を持つておられるか、明快な漁政部長の御意見を伺いたいと考えるわけであります。
  29. 伊東正義

    ○伊東説明員 お答えいたします。水質汚濁の問題は、水産の従来から大きな問題でありまして、結局今お話のありましたように、まだ解決を見ておりません。これは私も十数年前水産に入りましたときに、水質汚濁の問題をやらされたのでありますが、結局成果を見ませんで、御承知のように今日まで及んでおります。それで資源保護法との関連でございますが、これはわれわれといたしましては、実は安定本部の方から、あれはたしか厚生省と思いましたかに、水質汚濁の問題につきましては勧告が出ております。そうしてわれわれといたしましては、水産プロパーで行くというよりも、むしろ関係のある、特に厚生省とも関係があるのでありますが、そういうところと共同で、この問題を具体的に取上げた方が適当じやなかろうかという見地で、これは調整二課がおもにやつておりますが、厚生省等ともこの問題の打合せをやつております。しかしまだはつきり法律の形になつて、こういうものを今度提案いたしますという段階には至つておりません。これは何とか解決せねばならぬ問題でありまして、一部の大きな強い反対がありますので、今日まで延びておることは御承知の通りであります。
  30. 林好次

    ○林(好)委員 漁政部長さんの御答弁によりまして、大体了承いたしましたが、この水質汚濁防止の関係は強い政治の圧力がありまして、非常に困難な問題であるということは、私も十分に了承いたしておるわけであります。しかしながらこれは水産資源の維持培養から申しましても、また国民保健衛生上の見地から参りましても、何としてもこの保護河川にあのような汚水を流すということは、日本の文化国家として許されないことでありますので、どうしても急速に各省と緊密な連絡をとられまして、そうして完全な水質汚濁の防止ができるような措置の講ぜられますように、希望いたします。
  31. 川村善八郎

    川村委員長 本日の委員会はこの程度にとどめまして、明日午前十時より日、米、加漁業條約審議のため、外務委員会連合審査会がありますから、万障お繰合せの上、御出席のほどお願いいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時十三分散会