○石原(圓)
委員 取締りの問題で長時間を費した
あとでありますが、御当局の御答弁はどうも核心にふれないように思うのであります。第一
瀬戸内海なるものは、毛利氏の時代から海賊の巣である。伊勢湾もその
通りであ
つて、われわれも先祖は海賊であ
つたかと思うておるのであります。そういう海賊の伝統的な血をも
つて今日
密漁をや
つておる。そのものを普通の
取締りでや
つても効果は上らない。私はこの点には体験と
意見を持
つておる。われわれは三重県でありますが、すでに国の
取締船も保安庁の船も信用ができない。それで今年快速優秀な
取締船を建造して、四月に進水式を終えて活動しておるのであります。しかもその建造費の大部分を
漁業証券によ
つて漁民が負担せなければならぬような
状態にな
つておるのであります。また私の県の海にや
つて来る
密漁船が、
密漁をや
つておる時分には、
取締船は影を見せない。
密漁取締りの船は一年や半年ではわからぬが、二年目になると、どの
漁業がどの沖合いで何月の何日ごろにやるということはわかるのであります。そうしたらそのころ厳重な
取締りをしたならば、それで成果は上るのであります。しかるに、こわいのかあるいはなまけておるのか、実際に
取締りをしなければならぬときにはその船がおらぬ。そういうことが非常に信望を失うのです。土地の
漁民がみずから建造費の大部分を負担して、今、ころ優秀な快速船をつくるという
状態であります。従
つてこの
取締りの効果をあげるには、利害
関係ある土地の
漁業協同組合の役職員を乗込ましめる——私の県でも小学校の生徒が手拭の先に石ころを旬んだり、竹やり、弓矢をつく
つたりして、愛知県の
密漁船と闘
つたものであります。そのとき放火、殺人未遂というようなこともありまして、三十六人の
漁師が三箇月未決であ
つたことがある。執行猶予で一人も実罪は科せられなか
つたのでありますが、それはいかに
密漁が深刻であるかということを語るのであります。いかに高級で優遇をいたしましても、今までの
状態では効果は上るまい。どうしても利害
関係の深いその土地々々の
漁業者の代表を乗り込ませることが、私は最も必要であると思います。これは御研究の材料として申し上げておきます。
そこでお尋ねしたいのは、今回日、米、加
漁業協定によりまして、西経百七十五度の線に日本とアメリカ、カナダとの
漁業の境界ができたわけであります。この方面に今かに工
船等が出漁せんとし、またさけ、ますの
漁業者は出ておるが、これに対し保安庁及び政府は、どういう
取締りをやらんとしておるのかという問題であります。
公海漁業がだんだんと圧迫を受けますと、自然と
資本漁業が
沿岸にや
つて来まして、私の県のごときも、
資本漁業のために定置
漁業が
資本的に圧迫を受けておるのであります。この
関係は非常に微妙なものがあります。この
取締りを徹底すると同時に、公海の安全を期するための保護もや
つてやらなければいかぬと、私は思うのであります。ただ
取締るだけではいかぬのであ
つて、
漁業者がたとい
資本漁業の船であろうと、
漁業者の安全は保障してやらなければならぬ。支那海などにおいて拿捕された船の船員に対しては、その補償をしなければならぬというような法律も、今つくらなければならぬようなことにな
つておる。かように
取締船、保安庁の任務は重大でありますが、今日まで一体どういう計画で、何馬力の速力の船を何ぞう建造せんとして、それが予算の
関係でどれだけよりできないのかということを、われわれ
水産常任委員に知らしめておくことは、保安庁が船をつく
つて取締りを充実する予算の上に必要なのであります。でありますから、そういう点を明細に、早い目にわれわれにお知らせを願うように希望いたしておきます。この点についてはただいま御答弁は願えませんから、なるべく早い期間に種々の資料をお届けくださるように希望をいたしておきます。
次に
公海漁業の問題に移ります。
公海漁業の日、米、加の
漁業協定は、御
承知のように日、米、加の協定ができて、そうして不日批准の交換をされんとするのでありますが、来る六日に
公海漁業に関して、外務
委員会と
水産委員会との連合審査会をやることは、
水産庁長官は御
承知と思います。それにつきまして、われわれの知らんとするところがちつとも知れていない。たとえば台湾との
漁業協定の経過、朝鮮との協定の経過、みなそれぞれお並べに
なつたように聞いておりますが、内容はわからないのであります。ことに最も心配することは、カナダ等に、百七十五度線の以内へ鯨をとりに来るな、と
つてもら
つたら困るというような
意見があるということでありますが、こういう重大なことを、外務省に引きずられて、
水産庁は煙幕の中へ入れて、われわれの耳に達しないような
態度をと
つておるのではないかということを心配するのであります。いつも言うことでありますが、外務省はいろいろの協定、条約を結ばぬならぬから、水産だけに強い主張はできにくい。そのために、まあま
あということで
水産庁が押えられておるおそれがある。現にこの間の輸出まぐろの税金の問題でも、まあ何とかなるからやかましく言わずにおいてくれという、外務省の
意見が
水産庁の方に尊重されておるといううわさもあるのであります。こういうことは非常に
漁民にと
つては重大であります。そう秘密外交をやる必要はないので、あくまでも正々堂々と、ガラス張りの外交をやらなければならぬと思う。それに
水産庁が引きずられて、外務省の煙幕のうちに入れられるというようなことがあればたいへんだと思うのであります。よ
つてそれらの点は、来る六日の
公海漁業連合審査会の私の発言に必要な点が多くありますから、その心構え、またその経過につきまして、一応
長官の
お話を十分承りたいのであります。
なおこの際
委員長に要望をいたします。この
海上取締りのことでも、対外的な
公海漁業のことでも非常に重大でありまするが、どうもわが党以外の
委員諸君の御出席が皆無か、あるいはあ
つてもごく少いようであります。これは
全国挙党一致で解決をせぬならぬ問題でありまして、その出席が少いことはどういう経過でありましようか、承ることができればけつこうであると思うのであります。なお引続き
質問がありますが、一応これで
長官の御
意見を承ります。