○石井説明員
まぐろカン詰や
水産物の
輸出は、御
案内のごとく全部が国産品でございますので、いわゆる
外貨のかせぎ率が最もよろしいわけでありまして、たとえば綿花等を
輸入いたしまして、わずか二〇%、三〇%程度の加工費その他をかせぐと違いまして、全額が
外貨収入と相なる。従いまして、
まぐろカン詰等の約一千万ドルに上りまする
輸出は、綿製品の五千万ドル見当につつかうわけでございます。従いまして通商省といたしましては、これらの
輸出を大いに伸張させるという見地から、種々の
対策を講じておるのでございますが、油づけ
カン詰の
輸出がやや伸びますると、
関税が上
つて参る。そこで塩づけが昨年約七十万箱出ておるのであります。従来百四十万箱までの油づけ
カン詰が出てお
つたのでありますが、これが昨年一月に行われました
関税引上げのために、全然皆無にひとしいような状態になりまして、かわりまして塩づけ
カン詰が約七十万箱ほど出たのでございます。
冷凍まぐろがまた油づけ
カン詰の
輸出減少の身がわりといたしまして、数量が相当伸びておるのでありますけれども、これに対しまして、さらに
関税問題も起
つて参るというような、いわゆる因果
関係と申しますか、関連
関係に悩んでおるわけでございます。このような問題が起りまする根因にはいろいろございますが、従来ダンピングの傾向が非常に強か
つた。これは
水産金融といいますものが、一般の運転資金でございましても、六箇月、八箇月というような非常に長期資金を要しまする
関係上、なかなか銀行筋の通常金融に乗らない。そこでどうしてもLCを早くとりまして、LCづきの
貿易手形の融資を受けるということに相なるわけであります。そうしますと、バイヤーから買いたたかれる。それから銀行といたしましても、長期の金でございますので
業者の採算はどうしても不利にな
つて参るというような、非常に弱いポジシヨンにあ
つたと思うのでおります。そこで先ほど来御
意見もございましたように、あるいはチエツク・プライス等を設けまして、自主的に価格を押えるまた数量的にも、各種の
交渉を通じて得られました数量的な限界を引くというようなことも必要でございますが、いかにいたしましても、
水産業者の資金的な基礎を強くしてやり、
輸出金融を円滑にしてやりまして、売りたたくあるいは買いたたかれるというようなことのないようにやるのが、一番だと
考えておるわけでございまして、今回の国会におきまして、
輸出信用保険法を
改正いたしまして、ドル地域向けの
輸出前貸し金融
並びに見込み生産金融のための
政府保険の制度を設けたのでございます。
輸出前貸し保険と申しますのは、
輸出品の
輸出契約ができておるけれども、まだ信用状が参
つていない、この段階におきまして、銀行が金を貸しました場合に、その
輸出が不能になりまして回収できない場合に、七五%を保険金として
政府が支払おうという制度でございます。それからもう一つの方の見込み生産金融でございますが、これはもつぱら農
水産物、雑貨等の生産に適用する意図をも
つてつくられた制度でございまして、これは御
承知のように、
水産物等は集荷の時期がある。従いまして現実の
輸出の引合い等が行われませんでも、魚をとれる時期になりますれば、魚はとらねばならぬ。ところが契約等に結びついておりませんから、かつ処分される時期が将来に延びますので、金融がつかない。この結果を見きわめますために、見込み生産の品目に載
つておりますものにつきましては、過去の実績あるいは将来の市況等を
見通しまして、通商産業省におきまして資金の所要の認定書を出す。これを持
つて参りますれば銀行が——丙種信用保険と申しておりますが、これにつけまして金を貸す。もし不幸にいたしまして、
海外から引合いがなく、あるいは価格等の
関係で
輸出ができないということに相なりますれば、その差損を
政府が保険するというようなことにな
つておるのでございます。これは要しまするに、弱い
輸出業者ないしは製造
業者の資金的地位を強くいたそうという趣旨でございまして、これにはもちろん保険料を徴しまして、長期的な見地から見ますれば十分に商業的ベースに乘
つておる仕組みにいたしておるのでございます。趣旨は、ハヴアナ憲章等がございましていわゆる
政府が
輸出のために特別な奨励金を出すということは、これは認められないことでございますので、どこまでも保険料は附加保険料をとりまして、そうしてそれを全体としてプールいたしますれば、保険料を払いましてもコマーシヤル・ベースに立つということ々
考えつつ、この保険制度を運用いたしておるのでございます。
輸出銀行の融資の
関係という
お話がございましたけれども、
輸出銀行は御
案内のごとく、設備に伴いまする長期資金の供給を対象といたしておりまする
関係上、現在の同銀行の業務の範囲では、このような運転資金の融通はいたしかねることに相なるのでございます。従いましてその欠陷を補うためにただいま申し上げましたような丙種の
輸出信用保険制度をも
つて補完いたしておるというように、御了承願いたいと思います。なおこの保険制度におきましては、丁種保険の制度をさらに施行いたしておるのであります。これはドル地域向けの本邦生産品の
輸出のために、販路拡張の
宣伝、広告、あるいは
日本品の委託販売というような活動をいたす必要があるのでありますが、従来の
輸出商社あるいはメーカーの力をも
つていたしましては、なかなかその全部を自力ではいたしかねるのであります。この点は先ほど
二階堂委員からの
お話もございましたけれども、それを補いまするために、
業者が
輸出の計画を定めまして、その計画に一定の販売、広告、
宣伝というような費用を積算いたしまして、
政府と契約をいたすのであります。たとえば昔からよくありましたかにの
カン詰でありますが芸者ブランドという有名なしるしがございました。これは今はないのでございますけれども、この銘柄を売り込むために、これだけの広告を
アメリカでいたす。広告費も実は非常に高いのでございまして、これらの費用を自力ではとうていやり得ませんので、もしその後の
輸出が、販売利益で費用が全部カバーできないという場合には、五〇%を保険金として
政府が支払う。このような保険制度を設けまして、この地域向けの
輸出の伸張をはか
つておるわけでございます。
御質問の要旨は、
水産物の
輸出をどう
考えるかという
お話でございますが大体ドル地域向けでございまして、その持
つておる意味は非常に強いのでございますから、ただいま申し上げましたような助長政策をと
つておる次第でございます。