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1952-05-15 第13回国会 衆議院 水産委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月十五日(木曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 川村善八郎君    理事 小高 熹郎君 理事田口 長治郎君    理事 永田  節君 理事 佐竹 新市君       石原 圓吉君    川端 佳夫君       田渕 光一君    冨永格五郎君       平井 義一君    松田 鐵藏君       小松 勇次君    井之口政雄君  出席政府委員         総理府事務官         (特別調達庁管         理部長)    長岡 伊八君         水産庁長官   塩見友之助君         海上保安官         (警備救難部         長)      松野 清秀君  委員外出席者         議     員 坪内 八郎君         農林事務官         (水産庁次長) 永野 正二君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)      伊東 正義君         農林事務官         (水産庁漁政部         漁業調整第一課         長)      尾中  悟君         専  門  員 杉浦 保吉君         専  門  員 徳久 三種君     ————————————— 五月十三日  委員木村榮辞任につき、その補欠として高田  富之君が議長指名委員に選任された。 同月十四日  委員高田富之辞任につき、その補欠として今  野武雄君が議長指名委員に選任された。 同月十五日  委員今野武雄辞任につき、その補欠として井  之口政雄君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 五月十三日  だ捕漁船、船主及び船員に対する国家補償等に  関する請願田口長治郎君外二名紹介)(第二  六四七号)  雄島村に漁港築設の請願奧村又十郎紹介)  (第二六七〇号)  漁港修築費予算増額に関する請願田口長治郎  君紹介)(第二七一四号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員及び小委員長の選任  日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約  に基き駐留する合衆国軍隊水面使用させる  ための漁船操業制限等に関する法律案内閣  提出第二〇五号)  公海漁業に関する件  漁業取締に関する件     —————————————
  2. 川村善八郎

    川村委員長 これより水産委員会を開きます。  委員長として一身上の弁明をいたしたいと思いますので、暫時委員長の席を小高理事に譲りまして、委員の席より発言をいたしたいと思います。     〔委員長退席小高委員長代理着席
  3. 小高熹郎

  4. 川村善八郎

    川村委員 私は水産常任委員会委員長をいたしまして、委員会の円満なる運営をはかることを常に念願しておつたのであります。今回、去る四月二十二日及び五月十日の水産委員会におきまして、永田委員発言につきまして私静かに考えてみますに、去る四月二十二日の委員会におきまして、時間の関係から石原委員発言を遠慮してもらうためにとりました処置に対して、永田委員はこんなばかな会議があるかと言われた、そのばかという言葉を誤聞いたしましたことにその原因を考える次第でありまして、永田委員初め各委員諸君に御迷惑を相かけましたことをまことに遺憾と存じ、かつ申訳なく思つておる次第であります。あしからず御了承の上、この上とも委員会の円滑な運営に御協力願いたいと存ずる次第であります。
  5. 小高熹郎

  6. 永田節

    永田委員 委員長が事実を究明せられ、悪いところは悪いと虚心坦懐に陳謝されたことに対し敬意を表します。四月二十二日及び五月十日、当委員会における私の発言は、多少憤激した点もありましたが、決して私心があつて申し上げたのではないのでありまして、一に議員全体の体面を保持するためにいたしました発言でありますから、その点御了承を願いたいと思います。委員長が陳謝せられました以上、私もまた委員会の円滑なる運営に協力いたしたいと思います。
  7. 松田鐵藏

    松田委員 ただいま委員長委員長の席を離れて発言を求められ、四月二十二日、五月十日の問題に対して、最もりつぱなる態度をもつて、ここに委員会運営のために、またお互いに私心なく将来の委員会運営するために、委員長は率直にその非を認められて先ほどの発言があつたのでありまして、私ども委員が力なくして今日までの事態を惹起したことは、私ども委員といたしましてもまつたくその責任を負うところでありますが、委員長かくりつぱな態度をもつて発言になり、また永田委員においても率直に自分の意思を表明されて、委員長に協力することをただいま発言されたのでありまして、当委員会が今後かようなことのないようになつたことは、非常に私どもとして喜ぶ次第であります。われわれ今までの問題に対して力なかつたことを委員長にもおわびを申し上げると同時に、永田君に対してもおわびを申し上げる次第でありまして、どうか委員長においては今後ともに委員会の正しい運営のために御尽力を願い、われわれもまたそれに協力することを惜しまないのでありまして、たいへんりつぱな態度思つて、私はここに謝意を表する次第であります。(拍手)     〔小高委員長代理退席委員長着席
  8. 川村善八郎

    川村委員長 これより日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約に基き駐留する合衆国軍隊水面使用させるための漁船操業制限等に関する法律案を議題とし、質疑を許します。小高君より発言を求められておりますので、この際これを許します。小高君。  なお本日の政府委員出席者を御報告いたします。政府委員として水産庁長官塩見友之助君。漁政部長伊東正義君。調達庁管理部長長岡伊八君の五名が出席されております。
  9. 小高熹郎

    小高委員 祖国日本完全独立をいたしましてから、これらの演習による漁業上の災害補償について、どういうような方途を講ずべきかということについて、われわれもかねがね苦慮いたしておつたのでありますが、今回政府提出による日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約に基き駐留する合衆国軍隊水面使用させるための漁船操業制限等に関する法律案、この成案を得まして、私どもも大いに意を強うしておるのでございますが、差向きこの法律案の対象となる数が全国のどのくらいになつておるか、まず第一に数、それから第二に、区画の問題でございまするが、その区画をどういうような姿でとりきめるか、この点をまずお伺いいたしたいのであります。
  10. 伊東正義

    伊東説明員 お答えいたします。この法律によりまして内閣総理大臣期間なり水面区域を定めて向うへ提供するということが書いてありますが、現在までに現在までといいますか、従来駐留軍が使つておりました演習区域は、全国で四十二箇所ございまして、陸軍海軍空軍三軍で使つております。それでこれにつきまして目下合同委員会のサブ・コミテイーに、海上演習委員会がございまして、私が実はその日本側委員長のようなかつこうになりまして、向うと交渉いたしております。それでその数につきまして向う側から実は要望が今出ております。海軍空軍からは具体的に、自分の方は現在使つていた地域についてこういう希望があるというような希望を全面的に出して来ております。陸軍関係は、まだ向う希望は出しておりません。それで将来この法律の適用を受ける区域幾らになるかということは、今のところは実はまだわかつておらぬわけで、交渉中でございます。それで現在ありますのは先ほど申し述べました四十二箇所でございます。  きめ方でございますが、これは今出し上げました合同委員会が最後の決定をするということに相なつております。で、合同委員会の下のサブ・コミティーで、先ほど申し上げましたように一地区地区につきまして、この地区はどうする、やめるとか継続するとか、あるいは継続する場合にはどういう期間にどういう演習をするというようなことを、目下話合つておるのであります。でありまして、そのとりきめによりまして数が幾つになるかということがきまるわけでございまして、現在のところはまだ確定いたしておりません。きめ方は今申し上げたような方式できめまして、それが結局この法律によりますと、合同委員会できまつた数を総理大臣農林大臣意見をまた聞いて定めるというようなかつこうになるかと思つております。
  11. 小高熹郎

    小高委員 きめ方はわかつたので承りまするが、区画の問題をさつきお尋ねしたのでありますが、区画のきめ方が、海のことでありますから、考えようによるとこの程度でもよろしい、また見方によつてはその三倍にもなるというので、共通した海面制限するのでありますから、この基礎的の解釈が漠然としておるものを、はつきりとしたものにして行かなくちやならぬ、そこに悩みがあると思うのでありますが、それらの区画はどういうような見方において決定するか、この区画によつてこの法案に盛り込まれておるところの、もし異議申立てがあるならばしてもよろしいという、これと関連して来ると思うのでありますから、その点を相なるべくはつきりわかりのいいように御説明願いたいのであります。
  12. 伊東正義

    伊東説明員 お答えいたします。今の点は区画のきめ方の問題でございますが、これは陸から離れました遠くの演習地域の場合と、たとえば片貝とか水戸でありますとか、こういう接岸地帯とは非常に問題が違つて来るだろうと思うのでありますが、大体きめ方は、緯度経度で何度というようなきめ方をいたしております。これは官報に告示いたしますとか、あるいはラジオで示すとかいうような方法で、漁業者にわかるようにしたいと思うのであります。ただ、これは御承知と思うのでありますが、茨城の東の海面の太平洋の演習地域は大きくなつたのであります。こういう所は緯度経度で示しまして、その上にその地域の周辺にブイでも置くというようなやり方でもやれば一番いいと思うのですが、非常に遠い公海で、さらに広い水面になりますと、なかなかそういう目標物を置くことも困難かと思いますので、まだそのやり方はきめておりませんが、そういう所は別にしまして、片貝とか水戸とかあるいは九州の蘆屋とか大村とかいうような、非常に陸に近い、沿岸漁業者に非常に関係するような所は、緯度経度で示しますほかに、何かブイを置きますとか何とかして、その区画はつきりするようにしたいというふうなことは考えております。これは今後向うに話しまして、なるべく接岸地帯の所ははつきりするような方法をとりたいというふうに考えております。
  13. 小高熹郎

    小高委員 大体緯度経度で明らかにするということはわかつたのでありまするが、先般閣議において大わくを九十二億ときめました。このわくのうちに、農業もあるいは通産省関係も含まれることと思われるのでありますが、せんだつての私の質問に対して、漁政部長は約十億程度と見ておるというようなことでございましたが、その後は折衝経過いかが相なつておりまするか、この数字がものをいいますので、一応お尋ねいたしたいと思います。
  14. 伊東正義

    伊東説明員 先般報告した数字でございますが、あの数字は、こういう前提でございます。演習区域が従来通りであり、演習期間なり内容も従来通りであるという仮定の上に立ちまして、それから今までずつと補償をやりました方式の中で、実は大蔵省なり何なりに話合いをしましたときに、また査定された節があるとして、私どもとしましては、そういう査定をせぬ方式で、農林省希望しておるような方式でやれば幾らになるかということで計算してみますと、この前申し上げましたように、漁業権漁業も含めまして大体十億くらいの数字が、魚価平均三百円と計算して出て来たのであります。  この前申し上げました数字は、非常に仮定がたくさんあるわけで、ございまして、九十二億の中に水産幾ら農業幾らということにつきましては、まだきまつておりません。この前申し上げましたように、九十二億は、決して水産幾ら農業幾らと下からこまかく積み上つてきまつたのではないというふうにわれわれは考えております。
  15. 小高熹郎

    小高委員 せつかく法律はできましても、あとでめんどうな問題が起きてもいけませんので、最初から明らかにしておきたいと思うのでありまするが、大蔵省の案によるところの査定は、失業保険法等の精神を取入れて、それを何割見込んで採算する、こういうことを聞いておるのでありまするが、大蔵省査定計算基準と、農林省水産庁側の起算の基準、それがどういうように食い違つて、対立まで行かなくとも、どの程度なつておるかというその傾向を御説明願いたいと思います。
  16. 伊東正義

    伊東説明員 お答えいたします。従来やつておりました算定の方式は、その年の所得が従来の二〇%以下で、もうほとんど漁業もできぬというような地区につきまして、平均魚価をとりまして、それに平年の漁獲数量をかけまして、その四二%が所得であるという考え方、この四二%というのは、安本の計算からとつて来ているのでありますが、四二%が所得であるという考え方農林省考えていたわけなのであります。それを大蔵省等といろいろ折衝の過程におきまして、御質問にありましたように、失業保険等思想が入りまして、それの六割ということに従来なつておつたのであります。われわれとしましては、その六割という思想はもうやめてほしい、所得の四二%というところで計算をやつたらいいのではないかというような考えで算出しているのがさつき申し上げたような数字であります。これにつきましては、まだ今後大蔵省折衝の余地があろうと思つております。それからもう一つ。ある程度操業ができる地区につきましては、今申し上げました魚価に平年の漁獲数量をかけまして、その四二%にさらに八〇%というものをかけて来まして—これは演習地のある場合を予想したのでありますが、それから引きますものが—魚価とその演習をやつたために減つた魚獲数量をかけまして、その三八%—四二%は所得でございますが、演習等をやりました関係で、経費が相当かかつて四二%の所得はないだろうというので三八%をかけて、その平年から出したものからまた演習をやつた土地のものを引くというふうなやり方でやつておるのでありますが、この三八%というものとそれから八〇%という数字につきましては、これまた大蔵省と交渉しなければならぬ。農林省としましては、この八〇%をかけるというのはやめて、平年の四二%から、演習をやりました結果漁獲高減つたというものが三八%1これは所得が四二%ない、三八%くらいしかないだろうというので、ずつと落しまして、その差額がよけい出るような算式をやつているのであります。これもやはり大蔵省ともう一回折衝しなければならぬ数字なつております。
  17. 小高熹郎

    小高委員 この費がなかなかめんどうなので、水産庁は、せつかく大蔵省折衝なさいまして、簡潔にわかりやすい基礎計算を案出されることを特に希望しておきます。  特別調達庁の方がおいででございますから、この際一言だけお尋ねいたしたいのでございます。今年度の予算八千五百二十七億五千三百万円のうち、防衛支出金として六百五十億円ございますが、このうちの九十二億がこの法案によるところの補償使用されるということなのであります。この法案では、もし希望した数字がもらえない、あるいは査定された数字実情とが違うとかという場合に異議申立てをすることができるという、これは終戦後わが国にできました法案としては、ほんとうに同情あるものと思つておるのでありますが、この種のものが、必ず希望が出るかもしれないのでございまして、その際に、六百五十億から九十二億を差引きました残りを向うへ渡してしまうのか、あるいは渡すのはしばらく延期されるとか、あるいはあとまわしになつて、一応その見通しを見てからするのであるか。もし差額を解決してしまうとするならば、あとから訴訟等による希望が出た場合に、その希望額はどういうような国の予算で解決するのか、この点を一点伺いたいのであります。
  18. 長岡伊八

    長岡政府委員 ただいまの御質問に対しましては、あるいは将来大蔵当局から詳細御説明申し上げた方が適切かと存じておりますが、われわれの承知いたしております範囲において申し上げたいと思います。防衛分担金六百五十億から九十二億を引きましたあと金額一億五千五百万ドルは、これはアメリカ側に全部渡されるものと存じます。従いまして、本法案による補償金その他陸上のものを加えますと、九十二億これに予定されておる関係に相なるのであります。従いまして、足りない場合にはどうなるかという御質問でありますが、ちよつと速記を……。
  19. 川村善八郎

    川村委員長 速記を止めて。     〔速記中止
  20. 川村善八郎

    川村委員長 速記を始めて。
  21. 長岡伊八

    長岡政府委員 従いまして、本法によりまして、もし不服があれば申立てができるということになつている。一応の基準を定めまして、関係者と協議いたしまして、話が折り合わないでこれが訴訟になりましたときには、法律に基きまして国の債務ということになります。これはいかようにしても払わなければならぬことに相なる、さように考えております。
  22. 小高熹郎

    小高委員 了承しました。
  23. 川村善八郎

  24. 田口長治郎

    田口委員 伊東漁政部長にお伺いいたします。先ほど現存しておる演習地全国に四十二箇所、こういうようなお話でございましたが、地図か何かに記入をしていただきまして、コンクリートなつ部分、あるいはコンクリートにならないで懸案になつ部分、あるいはこの区域はいつからいつまで使用禁止するのだ、あるいは何時から何時まで使用するのだ、こういうことの明示をお願いできませんかどうか、この点をひとつお伺いいたします。
  25. 伊東正義

    伊東説明員 お答えいたします。今の全国四十二箇所という地図は、早急に準備いたしまして皆さんのお手元へ配りたいと思います。こくあらましの地図でございますが……。  それからもう一つ確定したものは、ここは確定したとか、あるいはそこはどういう演習をどういう期間にやるということがわかつたらというお話でございますが、実は今の段階ではまだ全部が確定はいたしておりません。先ほど申し上げましたように、海軍空軍だけこうやりたいという希望が出ておりますが、陸軍は出ておりません。今われわれといたしましては、その海軍空軍から出ました意見につきまして、各種の意見を述べておるというような段階でございます。これはきまり次第また何かの機会に御連絡いたしたいと思いますが、大体区域を申し上げますと、海軍空軍につきましては、従来よりも新しい所を使用するという要求は出ておりません。むしろ場所減つた所がございます。従来やつた所をやめるというような所もございます。陸軍が出ますと、向うの言つております全貌がわかるのでありますが、海軍空軍の中におきましては、従来よりは数が減つたというようにお考えなつていいんじやなかろうかと思います。しかしまだこれは確定ではございません。  それからもう一つ、今まではこの演習のほかに、どこのキヤンプの場合は風紀上ぐあいが悪いから入つちやいかぬとか、あるいはどこのキヤンプの前で海水浴をするから立入りしちやいかぬというような、立入り禁止区域全国にかなりあつたのでございます。これにつきましても、ほとんどそういうものはやめる。これは大部分保証したのでありますが、そういうことは大部分はやめるということになつております。それから今まで中央でとりきめた以外の演習は絶対にやらぬというようなことも、今までの話合いの中では明瞭になつております。
  26. 田口長治郎

    田口委員 詳細な資料はあとで御提出願うといたしまして、ただいままでの話で、大体従来からの演習場所よりも多少は減ずる、こういうような大体の見通しをつけてさしつかえございませんでしようか。といいますのは、従来の補償金と比べまして、今回お考えなつている金額は相当大きいように考えるのでございますが、これは要するに演習区域の面積あるいは数というようなことによつて、従来よりもよくなつているか、悪くなつているか、こういう判断をしなければならないと思うのでございますが、今までのお話によりまして、多少従来よりも減る見込みだ、こういうように解釈できるのでございますが、その点いかがでございますか。それが一点でございます。  それから第二点は、この法律標題通り合衆国軍隊水面使用させる、この目的でございますが、朝鮮事変が継続しております間は、おそらく国連軍もやはり日本を通過をするか、あるいは一時日本に帰つて来るか、そういうような問題があると思いますが、この国連軍によるいろいろな漁業損害、こういうものは、この法律では全然包含されていない、こういうふうに考えるのでございますが、これによる損害というものは、予想する必要がないのであるか。あるいはもしあるとすれば、このほかから何か道がつけられるものであるか。その点が第二点でございます。  それから第三点は、本法の第二条を読んでみますと、「規定による制限又は禁止により」こういうような文字で表現されてあるようでありますが、長崎県の大村湾なんかのように、爆撃があるために、漁業はできるけれども、危険でやれない。あるいは毎日爆弾を海中に落しているために、その付近に魚族がおらなくなる、こういうようなことで、いわゆる使用のために魚がとれなくなつたのではなしに、水面使用はしていないけれども、自然にそういうような結果をもたらした、こういう状態の所は、この第二条で包含するようにも解釈できますし、包含されないようにも解釈されますが、この点いかなる御解釈でおられますか。  それからもう一つは、防潜網なんかを湾の入品に張りましたために、魚の湾内に入つて来るものが非常に少くなつて来る。それがために湾内一帯漁業が非常に衰微した、こういうような実情も、当然本法に適用さるべきものと考えるのでございますが、法文上からいたしますと、はつきり明示されていないように解釈できるのでありますが、この点について水産庁としていかなる解釈でございますか。  以上三点につきまして、御意見をお伺いしたいと思います。
  27. 伊東正義

    伊東説明員 最初の御質問は、区域期間等につきまして相当ゆるくなるというふうに考えていいかという御質問でございますが、先ほど申しましたように、陸軍につきましてはまだ向う意見が出ておりませんのでわかりませんが、海軍空軍につきましては、従来よりも若干ゆるくなるのではなかろうか。たとえば空軍等につきましても、なるべく陸から離れたところでやつてほしいという希望を出したのでありますが、ほとんど全部向うはそれを了解しております。そういうようなこともありますので、海軍空軍については、従来よりも若干ゆるくなるだろうというように解釈しております。  先ほど申しました金額の問題でございますが、これは従来の区域のままで、たとえば海水浴やその他の関係で立入り禁止もあるというような従来のままの姿で計算しまして、算式農林省希望する算式をとりましたので、金額がふえております。ですから、金額から行きますと何か強くなつたような感じは受けるのでありますが、実体はそういうことはございません。  それから第二点の国連軍の問題でございますが、これはわれわれやつておりますサブ・コミティーでは、一応米軍だけやつておりまして、実は国連軍は取扱つておりません。国連軍が使つておりますのは、瀬戸内海の姫小島演習区域なつております。現在これにつきましては、おそらく別途外務省国連軍の方の話合いになろうかと思つおります。これはわれわれは新聞を通じて聞くだけでございますが、そういうものについても当然何らか補償の道を考えるということに、われわれは外務省とは話し合つております。  それから大村湾より防潜網の話が出たのでありますが、大村湾につきましては、実は空軍爆撃演習をやつております。これも従来から爆撃をやります場合に、ある程度区域を明示して提供するというような形になつております。将来もこれが続くとすれば、そういう形になろうかと思うのでありますが、その区域外の、向うへ提供しました区域外で漁業をする場合に、爆撃のために魚が減つた。それでなかなかとれなくなつたという問題、あるいは防潜網があつたので魚が入つて来なかつたという問題につきましては、実はこの法律で直接行くのはなかなかむずかしいのじやなかろうか。それにつきましては、別途調達庁の方とも御相談申し上げて、何とかこの法律以外でも考えたいというふうにわれわれは今考えております。
  28. 田口長治郎

    田口委員 大村湾なんかの爆撃及び防潜網に対する被害が、この法律から除外されているような御答弁でございますが、これは今までも再三御説明申し上げましたが、あの佐世保湾に網目が一尺四方のものを口に一面に引張りまして、そうしてそれを長い間海中につけておるのでありますから、海藻だとか何だとかがほとんど網目をなさないような状態でついておる。そういうような状態で湾の品を締めておりまして—ああいう湾内というものは外海から魚が春に来る、そして秋までおる。その間に内海の漁業というものは成り立つのでありますが、外海から内海に入る魚が非常に少くなつてしまつた。こういうことで多数の漁業者が困つております。願わくば、これもやはり合衆国軍隊駐留軍のために起る漁業の人なる被害でございますから、何とかこの法案の中にそういうものも完全に包含されるような道を講じていただきたいと思うのでありますが、そういうような所だけを別にいたしまして、その他の分だけをこの法律で適用する、こういうことでは非常に困る問題が起ると思うのでございます。その点を重ねて本文に包含するような研究をしてみられる御意思があるかどうか。あるいはもしこれに包含されぬとすれば、いかなる方法でこれと同じような待遇が、そういう地域において受けることができるか。それの具体的のお考えをもう一回お伺いいたしたいと思います。
  29. 伊東正義

    伊東説明員 今の防潜網の問題でございますが、これはまだ佐世保のところまではわれわれの交渉は行つていないのでありますが、実は東京湾でこういう問題がございました。防潜網につきましては、防潜網がございますために漁船がずつとえらい遠まわりをして漁場に行かねばならぬという問題もございます。そういう問題については、実は今までは千葉県の富津でございますが、補償を払つたことがございます。これは補償を払うよりは防潜網のある所を船を通してもらつた方がいいのではないかというので、実はこれは最近の交渉で、防潜網の一部をあけまして、漁船が通れるような措置を講じたのでございます。今おつしやいました、防潜網があるために湾内に魚が入つて来ないという問題でございますが、これは実は東京湾でも同じ問題がございまして、私どもは今防潜網のある所は相当部分あけてほしいというような交渉を、東京湾でやつたことがございます。佐世保の問題でございますが、まだ佐世保のところまで交渉の段階は行つておりませんが、湾内を全部防衛、演習区域といいますか、そういうことに提供するという形をとれば、これはそこで操業できないという形が出て参りまして、この法律で相当行けるのではないかという感じがするのでありますが、これを演習区域として提供せぬ場合については、この法律では直接行きがたいのではないか。この法律で適用しますのには、その湾内全部を区域に提供するということになりますれば行けるのでありますが、そうせぬ場合につきましては、これは別途調達庁と御相談でもして、何とか見舞金といいますか、何かそういう措置を考えたいと思つておりますが、これはまだ調達庁と十分連絡はいたしておりません。
  30. 田口長治郎

    田口委員 東京湾の防潜網のために船を遠くまわして往復する、そういう問題でありませんで、私がただいま申し上げておりまする点は、ひようたんの口を完全に防潜網で仕切つてしまう、そのためにひようたんに魚が入つて来ない。しかもこのひようたんの周囲には多数の漁業者がおつて、ひようたん内の漁獲によつて生活しておつた、それが魚が行かなくなつ漁業ができなくなつた。こういう実情でございまして、おそらく各演習区域のうちで最も被害が大きいところは、そういうようないわゆる口に網を張つて魚が人らなくなつた、こういう区域が最も広汎で、しかも被害が大きいのではないか。こういうことを考える次第でございまして、さような、いわゆる米軍のために大きな損害をこうむつておるこういうような水産被害を除外いたしまして、そうしてこういうような法律をつくるということは、非常に片手落ちであり、また法律としておかしいのじやないか、こういうふうにも考えられる次第でございます。ほかに見舞金だとか何とかいうお話でございますけれども、当然そういうところは法の適用によつて保護を受ける、こういうような道を国としては考えなければならぬ。こういうふうに考える次第でございますが、今ここでとつさにお考えをきめていただくわけにも行きませんですから、事情がそういうふうで、おそらく被害中の被害、こういうふうに考える次第でございますから、当然法律をもつてそういう地域漁業者も保護してもらわなければならぬ。こういうふうに考えますから、その線に沿うた御研究をひとつぜひお願いいたしまして、後日でよろしゆうございますから、またこの委員会において御答弁を願いたいと思います。これで私の質問を終ります。
  31. 川村善八郎

  32. 石原圓吉

    石原(圓)委員 この法律を拝見しますると、ただ単に水面使用するということのみに限られておるようでありまするが、演習中に実弾射撃等の影響を受けて、後日にもあるいは機雷の爆発であるとか、その他科学的な関係から海水が汚濁するとか、そういう関係で演場を荒廃せしめ、または磯焼けを起し、その使用をしたあとは数年も魚族が集まらないとか、漁業ができないとかいうようなことは、どういう方法でこれを処置されるか。その点のお考えを承りたいのであります。
  33. 長岡伊八

    長岡政府委員 ただいまの御質問に対しまして、あるいは適切な御答弁にならぬかと思いますが、実は従来の准駐軍の行為によりまして日本人が受けました損害につきましては、進駐軍は一切その責に任じておりません。従いまして今日まで厚生省が取扱つて、あまりにお気の毒だというので見舞金制度が設けられておつたのであります。ところが講和条約発効になりまして、御承知の行政協定十八条に基きまして、駐留軍の公務上の行為に基きまして日本人が損害を受けました場合には、その行為が駐留軍の責に帰すべき事由がありまする場合には、これを補償することに民事特例が設けられたのであります。従いまして駐留軍の責に帰することの得ない場合も起るのでありますが、この場合につきましては、いわゆる損害という点から考えまして、同様な補償をすることが妥当であろうという場合が生じて参りまするので、この点につきましては、見舞金制度を考えたい。かように考えておる次第でございます。前段の問題の、駐留軍の行為に基きまして行います補償につきましては、これは法律にさよう規定されたのであります。この補償金あとの分担金の問題につきましては、これは別途きまるもの、かように考えておる次第であります。
  34. 石原圓吉

    石原(圓)委員 ただいまの答弁を調達庁にいたさしめるということは不当であります。調達庁というものは、過去のことを実例のように御説明なさるにとどまるのであり、調達庁そのものは今後の存在がどうなるかわからない、そういう役所をたよりにして今後の漁業損害をきめるというようなことは、われわれは考えていないのであります。どうして水産庁がこれに対する説明をしないのか、はなはだけしからぬ。使用水面というだけのことであつて、その以外のよつて生ずる諸種の影響というものは、これは水産庁でなければわからない、調達庁がわかるはずがない。それを答弁を逃げて、そうして調達庁へ転嫁するというような、さような卑劣なことではいけません。この問題は単に海の表面を使用するというのみにとどまるので、もしそれによつて生ずる損害はどうするのかということをこの法律に入れておかなければ法律にはならない。もし駐留軍がよつて生ずる損害を負担せないならば、政府が負担して、そうして漁村及び漁業者に迷惑をかけない、損失をかけないということが明らかにならなければ、この法律法律という価値がないのであります。もう一応水産庁の御説明を願います。
  35. 伊東正義

    伊東説明員 お答えいたします。調達庁の問題が出たのでありますが、実はこの法律の体系自身が、どういう水面向うに提供して、それからどういう期間にやるかというようなことは、内閣総理大臣農林大臣意見を聞いてきめる、それから補償内閣総理大臣がするというようなかつこうになつておるのであります。実は漁業権漁業につきましては、これは国会を通つたのでありますが、土地等の使用等に関する特別措置法という法律がございまして、これはやはり漁業権漁業につきましての収用とかあるいは使用制限でありますとか、補償内閣総理大臣なつておりますので、それと符節を合せまして、こちらも内閣総理大臣農林大臣意見を聞きまして提供をするというような思想でございます。今石原委員のおしかりを受けたのでありますが、全部調達庁にこの問題を一任するという考えはわれわれは全然持つておりません。この補償の問題等につきましても、やはり原案等につきましては、農林省があくまで原案等をつくつて調達庁と相談してやつて行くというやり方でやつて行きたいと思いますので、その点は御了承願いたいと思います。  それで今お話のありました水面区域以外の問題でございますが、これは今調達庁からも御説明があつたのでありますが、領海の中の問題でありますれば、先ほど御説明がありました民事特例法とかそういう法律案が通つておりますので、そういう法律でもやつぱり救つて行けるということになるのであります。公海の問題につきましては、若干まだ問題があるのでございますが、公海の問題とそれから今水質汚濁の問題が出たのでありますが、これにつきましてはまだもう少し別途の方法で何とか考えたいというふうに、今のところはわれわれ考えおります。
  36. 石原圓吉

    石原(圓)委員 安全保障条約そのものの性格は、沿岸であろうが公海であろうが、日本の領海であろうが、国際的に相互に安全なる方法をもつて漁業ができ得るということが根本の精神でなければならぬのであります。そういう場合においては、日本水産庁といたしましては、日本水産がどうしたら安全にでき得るということに根拠を置かなければならぬのであつて、その場合に、この条約に遠慮して、沿岸漁業なら何とかするが、公海ならば控え目にするというような弱腰ではいけないのであります。そうなれば三国漁業協定の成立ということも無意味になります。であるから、あくまでもよつて生ずるところの損害は予定して、それに対する処置をきめるということが法律の精神でなきやならぬ。その法律にないことを、いかに総理大臣であつても、農林大臣でも取扱いはできないので、根本は、われわれ立法者がつくるところの法律が基本にならなければならぬ。欧州戦争及び太平洋戦争のときに、たくさんの機雷のために多くの漁船漁業者が被害を受けておる。最近また瀬戸内海にはそういうことがときどき起るというようなことは予想できるのであります。またその一地方で、磯焼けがして、海底が荒れて魚も集まらなければ、海藻も繁殖しないというような実例もあるのでありますから、これに対する法律が同時にこれに加わらなければいかぬのでありまして、私はそれに対して繰返し申しておきたい。これは政府提案でありますから、そういう点をこれに差し加えて、さらに再提出されんことを希望して、一応これは撤回することを希望するものであります。
  37. 川村善八郎

    川村委員長 井之口君。
  38. 井之口政雄

    ○井之口委員 ただいま石原委員から、この法案の撤回を要求されたようでありますが、まつたく正論であると思うのであります。そこでこの法案がもし出ないといたしましたならば、合衆国の軍隊水面を提供するの必要もなくなり、漁民は従来使用されていたものも返してもらうようになり、非常にいい結果に立ち至ると思うのでありますが、その結果何か少しでも悪いような形になることがあるのでございましようかどうでございますか。これが出なかつたならば、むしろこの水面は取上げられずに済むのであるか、この点をひとつ御説明願います。
  39. 伊東正義

    伊東説明員 お答えいたします。今の法律が出なければ区域を提供せんでいいじやないかという御質問でございますが、これは行政協定と、それに基く交換公文がありまして、講和発効後ん十日以内に話をつけるという問題について、話がつかぬものはずつと継続して駐留軍は使えるという交換公文があるのでございます。日本とアメリカこの間でそういうものができておりますので、この法律を出さぬと水面を提供せぬでもいいんじやないかという御質問でありますが、それは全然さようにはなつておりません。
  40. 井之口政雄

    ○井之口委員 それなら結局その交換文書とおつしやいましたが、その交換文書が一切を、日本の権限を、漁民の利益を躁潤しているという結果に立ち至るのでありますが、そうした文書なり安全保障条約なりも、これは永久のものではない。これはやはり抽象的に規定されてあれば、それを施行するととろの細則がきまつて来なければ効力を発生しない。当然これはいろいろな法律に見られる現象であります。でありますからしてこうしたものがつくられないとすれば、そうした今までのとりきめそのものが無効になつて来て、実際上漁民の生活が保護されて行く結果に現実になつて来るのではないでしようか。その点をもう一ぺん突つ込んで聞いておきたいと思います。
  41. 伊東正義

    伊東説明員 先ほどお答えしましたようにわれわれは考えております。それでもしも何でしたら今の問題は外務省からお答えするのがいいのかもしれませんが、われわれが今向う話合いをしております。段階におきましては、そういう了解でこれはやつております。
  42. 井之口政雄

    ○井之口委員 それはこの法案をつくろうとつくるまいと、結局において実行されるんだというふうになるのでありますが、結局これはつくらぬでもいいじやありませんか。その方針なら、ぜひともこれはつくるものであるならば、国会にかける必要も何もないということに結論はなるのじやないでしようか、どうですか。
  43. 伊東正義

    伊東説明員 われわれとしましては、これはどの区域を提供するかというようなことは、法的にこれははつきりしておくのが必要である。それからもう一つ補償の問題もあるいはまた考えようによりましては、法律なしに補償するということも、これは従来やつてつたのでできないことはないのでありますが、その点は補償等の問題につきましては、ちやんと法律的な措置をやつてはつきりしておいてやつた方がいいのじやないか。これはその方が漁民のためだ。それから増額の請求でありますとか、そういうような救済手段等も従来なかつたのでありますが、そういうものも法律はつきりして置くことがかえつて漁業者のためだと考えて、ここに提案した次第であります。
  44. 井之口政雄

    ○井之口委員 従来受けたいろいろな損害に対してこうしたものをつくるということは、これはけつこうでありますが、しかしこの法案の第一条はこれから禁止することができるという点にあるのでありまして、水面が取上げられるという点がこれの中心になつておるわけであります。しかるに今おつしやるようなことでありましたならば、われわれ委員がこれに反対したところで、どうしたところで無意味である。自由党の委員の方々でさえも、こんな法案はできない方がいいということを望むと主張していらつしやるのです。これはまつたく無意味であつて、全然これはわれわれは議するところの必要のないものでなければならぬと思うのですが、どうでしよう。絶対多数を擁せられるところの自由党において、これは漁民のためにならないのだというふうな所論があるとすれば、これは実行可能なものでなければならぬと思うが、もしそれができないとすれば、何ら日本の議会というものは意味をなさないと思いますがどうでしよう。たとえば両条約の締結によつて必然にもう行政協定というものが発動している。委員会に審議することもなしに国会に賛否を問うこともなくしてあれは成立した。そういうふうに、もうただ報告というくらいのところでどんどん出されるということを、今の御説明は意味するのじやなかろうかと思うのですが、どうでしよう。
  45. 伊東正義

    伊東説明員 若干見解の相違があるのかしれませんで、われわれはこれは第一条だけがその法律の趣旨でございませんで、補償の問題、救済の問題とか、この法案全部が私はこれは大切だというふうに考えておりますので、何か意見の相違になるかと思いますが、その点御了解願います。
  46. 井之口政雄

    ○井之口委員 それじや要するにこの問題の根本は、やはりこの両条約と締結して、そうしてこれに基く行政協定ができている。すでに縛りつけられている。もうどうにもこうにも日本の漁民というものが自分日本の国において安心して漁業ができないということは、もうアメリカの支配によつて厳重に規定されたということを意味するのだと思うのであります。われわれはむしろ、いかにして日本の独立というものを完成して行かなければならぬかという建前から、ものことを見なければならぬと思いますが、このこまかな点につきましてはいろいろあとに残すとしまして、今までこの制限を受けている箇所、それから面積、それから被害漁民の数、それから今まで払つたような補償額、それからそれによつて直接受けなくても、たとえば先ほど田口委員からお話がありましたように、防潜網を引いて、そのために非常に大きな地域が被害をこうむるというふうな点もたくさんあるだろうと思いますが、そういうふうなものの現実の実情、こういうふうな点を一つ調査によつて出していただきたいと思うておるわけであります。なおこの防潜網については、東京湾に潜航艇が入つて来るはずがないじやないか。潜航艇が入つて来るはずがないのに防潜網を引いて、そこにのりが一ぱいくつついて魚でさえも、海水でさえも通ることはできないというふうにふさがれておるということは、まつたく道理に反することだと思うのですが、何のためにこういう防潜網というものを今日でも維持しているのでありましようか。
  47. 伊東正義

    伊東説明員 先ほどの数字とか何かは、これはまた資料で御説明申し上げます。簡単に申しますと、演習場所は四十二箇所ございました。そのほかに立入り禁止等はわかつておるものは九箇所ばかりあつたのでございますが、その後だんだんわれわれの方にわからぬものもありまして、これは数十箇所あつたであろうと思われますが、これはそういう意味の立入り禁止は大分減つております。演習の箇所は四十二箇所ございました。しかしこれは全部補償を払つておりません。演習の箇所になつておりましても、演習を全然しない箇所もありましたので、むしろ補償した箇所はもつと少くなつております。それからこれはまた補償でございますが、過去の分は四億一千万円ばかり二十六年度までに払つております。二十六年度の分はそれで終りというふうなことで、二十六年度に二億八千八百万、二十五年に一億二千四百万でしたかを払つてございます。その他の点につきましてはひとつ資料等を差上げます。それから防潜網の問題でございますが、これは私がどうも答弁いたす問題でもなさそうでありまするが、これはほんとうの軍事上の問題でございますから、それはひとつごかんべんをお願いしたいと思います。
  48. 川村善八郎

    川村委員長 小松君。
  49. 小松勇次

    ○小松委員 私はこの法案として最も重要なことは、この漁業経営上生じた損失の補償にあると思います。そこでこの補償方法は、これは法文だけでは無制限補償されるようにちよつととれるのでありまするが、損害があつた場合には、いくらでも補償するということにとれるのでありまするが、この損害の算定方法等については、どういう基準をお持ちになつておるか。それが私は根本の問題として伺いたいと思うのです。
  50. 伊東正義

    伊東説明員 お答えいたします。これは「通常生ずべき損失」と書いてありまして、これは土地収用法等の思想と同じような思想で書いております。これは過去にやりました実例でございますが、その年の漁獲と平年の漁獲量とを出しまして、それの四二%が大体所得になるというようなことで、農林省としましては大蔵省へ話したのでありますが、大蔵省との交渉の過程においては、その六割というふうな算定方式で過去のものはやつたのでございます。そこで今後の問題でございますが、これは通常生ずべき損失は漁場によりこれはいろいろ具体的に違つて来るわけでございまして、ほんとうから申しますならば、算式というものはなくて、その場その場で具体的な例をつかまえてきめるのがほんとうだと思うのでありますが、一応われわれの希望としまして、大体どのくらいの金になるだろうかというものさしをやります場合には、先ほど申し上げましたような、粗収入の四二%くらいが所得になる。そのくらいのものはどうしても補償しなければならぬじやないかというような方式計算をやりましたのが、この前申し上げました約十億くらいになるのであります。われわれとしましては、算定の方式としては何かと聞かれれば、そういうような農林省希望方式でやつて行きたいというふうに考えるのでありますが、これはまだ大蔵省、調達庁等とも十分協議が遂げておりませんので、算式の問題につきまして、今後協議を遂げてやつて行きたいというふうに考えております。
  51. 小松勇次

    ○小松委員 その算出の方法等については、十分御研究を願いたいのでありますが、今までのように、平年の所得額は非常に問題があると思うのです。こういう点を十分御考慮を願いたいことを希望申し上げておきます。
  52. 二階堂進

    ○二階堂委員 ただいま損害補償の算定の問題で小松委員から質問がありましたが、実は二十五年度、二十六年度の損害に対する補償の問題で、水産庁の要求せられた額と、大蔵省が失業保険法の第十七条でありますか、これを適用いたして算定いたした額とは、相当の差があつたことを私どもは認めて、過般の委員会におきましてずいぶんこれを論議いたしたのであります。もちろんこれから先の補償等につきましては、新しい算定方式がここへ出て来ておりますが、これをもつて一応損害は要求されることになると思うのでありますが、ただいま漁政部長からの御意見を承りますと、今後大蔵省当局ともよく打合せをしてみたいというような御意見であります。二十五年度、二十六年度の算定につきましては、大蔵省当局が、私どもの立場から言わしむれば、非常に独断的な算定をしておる。と申しますのは、演習等のために出漁ができなかつた。そこで大蔵省はこの算定を失業保険法の第十七条に求めた。ところが大蔵省の当局としましては、演習のために漁携ができなかつた、従つて失業者とみなすというような考え方だろうと思つておりますが、しかしその考え方は一応もつともな考え方といたしましても、必ずしもその間に失業していない。大蔵省の当局は、出漁していない漁民に失業手当を、といつたような考え方で補助をするのであるから、きわめて漁民に対しては好意的な考えを持つているというような意見を述べておつたのでありますが、私どもは、かような考え方に対しましては根本的に反対をいたして参つたのであります。今後新しい算定方式大蔵省と打合せをされて、そうして今後起るであろう被害に対して十分の要求をされることはもちろんでありますが、大蔵省が従来のような考え方でもつて損害補償考えようということであれば、いつも漁民は非常なる犠牲になるということを、私ども考えざるを得ないのであります。そこで今後のこの算定につきましては、水産庁とされましては、大蔵省に十分な腹を持つて打合せをしていただきたい。私は二十五年度、二十六年度の算定の大蔵省当局との打合せ等の経験にかんがみまして、十分そういう過去の経験をも御考慮くださいまして、遺漏なま措置をとつていただきたいということの希望を申し上げておきます。
  53. 川村善八郎

    川村委員長 本案に関する質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  54. 川村善八郎

    川村委員長 次に公海漁業に関する件について調査を進めます。本件に関して冨永委員並びに松田委員より発言を求められております。まず冨永委員より発言を許します。
  55. 冨永格五郎

    ○冨永委員 北洋漁業は、関係官民の皆様の絶大な御尽力によりまして、御承知の通り去る五月一日根拠地函館から各船団出航いたしましたが、おそらく今ごろはそれぞれ漁撈に携つておるものとわれわれは期待いたしております。北海道の新聞でちよつと見たのですが、「不法拿捕には対策」という見出しで、第三天洋丸にて矢田共同特派員十一日発として、北洋船団の栃内監督官は、懸念されるソ連監視船による拿捕問題について次のように語つた。「現在ソ連は領域内に数そうの武装監視船を配置している模様だが、もし監視船に一そうでも不法拿捕されれば、全独航船を一時安全海域に引揚げさせ、適当な措置を講ずる。」というような記事が出ております。もちろん現地においてはこういうふうにお考えなつておらるることと思うのでありますが、しかしソ連監視船による不法拿捕関係でございますから、あるいは水産庁では必ずしもはつきりとした御答弁が困難かとも思いますが、事情の許す限りこうした場合において水産庁ではどのように考えておられるかという御所見を承りたいと思います。
  56. 永野正二

    ○永野説明員 本年の母船式さけ、ます漁場につきまして、ただいまお話がございましたような、ソ連側の出方がどうであるかが非常な問題であるわけであります。従いまして、われわれといたしましては、本年の漁場はとりあえずソ連側とアメリカ領土のアリューシャン列島の中間の線を西の限界といたしまして操業区域を許可したような次第であります。この操業区域内であれば、当時の事情といたしましても、また現在の状況下におきましても、ソ連の方の拿捕の危険はおそらく非常に少いと考えているわけであります。またアメリカ領土寄りの公海におきまして、非武装のわが国の漁船を拿捕するというようなことは、国際法上から考えまして非常な不法行為だとわれわれは考えております。ただ今年の出漁船の現実の措置でございますが、これはわが国の漁船及び漁民の生命財産を保護いたしますために機宜の、万全の措置をとるべきことはもちろんでございます。その意味で、本年の漁船はいずれも通信の設備につきましては特に留意いたしまして、そういう危急の情勢に対し、監督官より適宜の措置を各漁船に対して迅速にできるように準備をして参つたわけであります。ただいまお述べになりましたのは、おそらく監督官が現地におきましてその見解を発表したことだと思いますが、こういう事故が起りました場合には、中央におきましても、外務省当局とも相談をいたしまして、それに対策を立てることはもちろんでございますが、現実に拿捕の事故が起らないように、現場において農林省の監督官以下みんなが責任を持ちまして万全の措置をいたしたいということで、出航前私どもは指示をいたしたような次第でございます。
  57. 冨永格五郎

    ○冨永委員 ただいまの御答弁を承りまして了承いたしました。この記事を一応拝見しますと、すでに出漁前に今御答弁に相なりましたような事柄を考慮に入れて、それぞれの手配をなさつていただいたものと了承いたしておりましたが、何か心配した杞憂の問題に近いようなことが起り得る可能性が出て来たかのようにも感じられましたので、一応今お尋ね申し上げましたが、そういう事実はないが、いろいろ万全の措置を講じているのだというようにお伺いいたしておきます。  さらに、さきに三国漁業条約の調印に伴いまして、政府は独立後の公海漁業の基本方針を定めまして、漁業要領を決定いたしております。基本的には公海自由の原則をとりつつありますが、一方資源保護の立場から、太平洋沿岸諸国を刺激しないように、自主的措置によつて操業の規制を行うという御趣旨は、私どももまつたく同感であり、賛成するものでございます。われわれもあの会議に参画いたしておりましたが、しかしその方法等につきましても、また考え方につきましても、これはやはり程度問題であつて、自主的措置も度を越えるということになると、私どもとしても遺憾の意を表さざるを得ないと思うのであります。母船式漁業取締規則を改正して、操業区域を四十六度以北としたことはよいのですが、本年度における船団の操業区域を東経百七十度、西経百七十七度の経線と、北緯五十度と同五十五度の緯線に囲まれる海面内に限られたことは、私どもとしても、もちろんそれが先ほど申し上げましたような理由のもとにおいて行われたということは考えられますが、あまり遠慮し過ぎるという感じがするのであります。三国漁業条約におきましては、西経百七十五度をもつて日本のさけ、ます漁業の自主的漁場として決定しているのであります。わずか二度の遠慮ではありますが、しかしこれは精神的には非常に退嬰的な、卑屈な気分をもたらすものと考えるのでありますが、あの線をとりきめますためにも、当時出席せられました方々は幾多の困難に当面してきめたのでありますが、漁業条約でとりきめたことは、その通りぎりぎりの線まで操業せしめるべきである。その当時の感覚からいつても、今日もなおさように私は考えているのであります。御精神はわかるけれども、何か遠慮しなければならぬ直接の理由があつたのかどうか。何も求めてみずから遠慮することはない、こう考えるのであります。また私どもが最近入手いたしております情報によりますと、現在におけるアメリカの漁業関係または漁業に関連する政治方面では、三国漁業条約でも日本漁業の規制、取締りは不十分であるというような考え方からして、何らかの方策を講じようとする意向であるということも実は聞いておるのであります。最近起つた例を申し上げますと、生及びまぐろの関税問題でございますが、これもこの委員会でしばしば繰返した問題で、結論的に申し上げますと、九日発ワシントン共同通信の電報によりますと、米国の上院歳入委員会は生及び冷凍まぐろのポンド当り三セントの課税をするという法案を可決しているのでありまして、これは上院の本会議を通過すれば成立することになりますが、もちろんそれには業者も政府もいろいろ対策を講じているように承知いたしております。しかし情勢判断からしますと、同法案の成立は免ないのではないか、あるいは課税するのではないかというふうに考えられるような状態に今のところあるのですが、こういうふうに米国は、冷静に自己の立場を強く主張して実行に移している場合に、われわれはせつかくかち得た操業区域を、みずから好んでこれを内輪にするというような考え方については、この場合よく承つておきたいと考えるのでございます。また御答弁をいただいてから質問いたしたいと思います。
  58. 永野正二

    ○永野説明員 本年の母船式さけ、ます漁業操業区域につきましては、これは不在限りの羅としてわれわれは考えておるのでございます。その意味におきまして、ただいま御指摘のございましたような、現在の日、米、加の三国の漁業条約にきめられておりますところの西経百七十五度まで操業ができるということは、来年以降におきましては、当然われわれとしてそういう考え方のもとにこの操業区域をきめて参らなければならないと存じております。ただ本年の操業区域をきめました当時には、いわゆる日、米、加三国冬約というものは、何か三国の漁業会議という形で一応原案ができておつたというにすぎない状態でございまして、これに対して政府が正式に調印をし、さらに国会が批准をするという手続が残つておりました。そういう諸般の国際情勢を考えまして、一応本年の操業区域の限度として西経百七十七度という線をきめたわけでございます。さよう御承知をお願いしたいと思います。
  59. 冨永格五郎

    ○冨永委員 結局その問題は、取上げて議論しましても、あるいは意見の相違になるかもしれないと思います。ただ私どもが当時出席いたしておりました感覚から見て、今日現実的に現われている事実等から考えて御質問をいたした次第でございます。  なおもう一つお伺いいたしたいと思いますのは、今度の北洋におけるさけ、ます漁業の再開につきましては、先ほども申し上げました通り関係官民各位の絶大な御援助をいただきまして、おかげさまで函館が根拠地となり、五月一日函館から一襲に三船団五十隻の独航船を出動さしていただきましたことは、函館市民はもちろん、われわれ選挙区の者といたしましても、衷心より皆様にこの機会にお礼申し上げる次第でございます。もちろん北海道の者といたしまして、私はこのさけ、ます漁業が、先ほど新聞記事にありましたような事故が何らなく、しかも大団円をもつてぜひ終始さしていただきたいと念願する一人でございますが、ただこの場合一応御当局に伺つておきたいと思います問題は、御承知の通り、函館は過去数十年間北洋漁業の根拠地として厖大な設備を有しております。冷蔵、冷凍、加工、カン諸等の工場もたくさんありますし、最近においては北洋沿漁だけの同業組合も結成して待機いたしているのでありますが、最近母船式、独航船とも、いろいろな意味合いにおいてお集まりになつて、それぞれの立場から検討せられているように承つておりますが、この場合水産庁はこの漁獲物に対して、根拠地としての遊休されている厖大な施設を活用されることを御考慮に入れてくださつているものと考えておりますが、その点について一応お伺いいたしておきたいと思います。
  60. 永野正二

    ○永野説明員 本年の母船式さけ、ます漁業の漁獲物製品等は、これは漁業者の立場から言うならば、もつと有利に販売することが望ましいことでございます。また消費者の立場から申すならば、中間経費最も少く、安く品に入ることが望ましいことだと存じます。こういう考え方で、最も合理的な線で本年の漁獲物の販売が、同業者の自主的な協議によつてきめられることと私どもは期待しているわけでございます。その際函館のように、過去において特に北洋漁業の製品について、これが取扱いのための施設及び経験を持つておりますような土地にこれを陸揚げするというようなことは、それの販売を合理的にするという意味で、十分同業者の方でお考えなつておるようでございます。
  61. 冨永格五郎

    ○冨永委員 これは少しこまかい問題になりますが、この条文の中で、今度の北洋漁業は、母船式漁業取締規則第二条の漁業の許可の条文から、一本として一枚の許可証であると思うのですが、同規則第六条の許可証の備えつけの条文を見ますと、許可証は母船に備えつけておくように義務づけられておりますが、今度のように三艘母船がある場合には、一枚の許可証はどの母船に備えつけるかということが一応問題になりますが、しかしこれはおそらく条文が不備なんで、許可証またはその写しというように、この条文を直す必要があるのではないかと思います。またその末尾の方に使用承認の申請がありますから、あるいはこの条文は全然いらないのではないかとも思うのですが、その点について一応お伺いしたいと思います。
  62. 永野正二

    ○永野説明員 ただいま御指摘いただきました母船式取締規則の第六条の規定は、本年のように一個の許可によりまして数隻の母船が出漁いたします場合には、なるほど検討の余地がある条文であると私も考えております。現行の条文を前提にいたします限り、母船のうちのいずれか一つに備えつけておいていただく。それでこの規則の趣旨を満足しておるものと考えます。ほかの母船には許可証の写しが備えてあるというふうに、私どもとしては指導をいたしたいと考えておりますが、規則の解釈としては、母船のうちのいずれか一つに許可証が備えつけてあればよろしい、こういうように解釈しております。
  63. 冨永格五郎

    ○冨永委員 今の問題ですが、これは解釈の相違でなくして、条文の書き方ですから、どこまでもこれは明文にはつきりと、許可証またはその写しとしておくか、あるいは使用承認書の関係があるから、この条文をやめるかということを、一応私の意見として申し上げておきます。  それから今年度は共同出願、共同許可という方針を強く推し進めてやつてつたのですが、この共同出願、共同許可という問題は、漁業者としても、第一次のテストーケースというような関係で、漁業のあり方として、これを規範として将来これがいいという確実な問題になれば、ぜひこういう線を進めて行かなければならないと思うので、伺つておきたいと思うのですが、この母船式取締規則第三条の許可の申請の条文によりますと、母船式漁業の許可を受けようとする場合には、事業に関する各共同者の出資額及び権利義務の関係を記載した書面等を備えて農林大臣に許可申請をすることになつておりますから、今度の各共同者といえば、大洋、日水、日魯、北海道、内地の漁業組合、こう考えるのですが、これらの出資額及び権利義務等の関係につきまして、一応御説明を願つておきたいと思います。
  64. 永野正二

    ○永野説明員 本年のさけ、ます漁業の許可につきましては、出漁いたします母船及び独航船の各関係者が共同して申請をして来られたのでございまして、それに対して共同の許可を与えたわけでございますが、その際の出資額及び権利義務の関係につきましては、三月の下旬におきまして、関係の方々の御協議によりまして、一つの書面ができておりまして、母船のだれが責任を持つか、独航船についてだれが責任を持つか、それから漁獲物の販売等についてどういうふうな形でやるか、それから出資の割合はどうやつてきめるか、それによつて損益の分担をどういうふうにしてきめるかというような関係につきまして、協定をされたものがございます。それが現在の許可の申請書につけてございますので、これによりまして、共同申請者の間の権利義務の関係は明らかになつておるわけでございます。
  65. 川村善八郎

  66. 松田鐵藏

    松田委員 公海漁業の大綱に対しては、ただいま冨永委員から質疑があり、大体その内容を了承したものでありますが、去る三月二十九日、石原委員からの質問に、永野次長ははつきりと答えられておるのでありまするが、この中で、まず第一点は、石原委員の御質問のうちに、北海道北洋出漁組合及び北洋漁業組合、この二つの組合は水産庁において認可をした組合であるかどうか、また将来この実績を継続して行くものであるかどうかという質問に対して、水産庁が認可をした組合ではない、また将来の点につきましては、単なる申請の上に名前がついておるだけであつて、将来その肩書を持つことになつて、その肩書がものをいうものでないと考えておるという御答弁をされおる。これはわれわれの考えおつた実績という問題が、水産庁では、漁業法の建前から、すべての漁業が解放されて、新しく漁業者が適格性を持つたものにのみ許可をするという方針であつたがために、かように御解釈なつて御答弁されておるものと私は考えておるのであります。この点につきましては、明年の出漁という問題は、この二つの組合は実績者であるからこれを許可するということはとらないというように、私ども解釈してさしつかえないかどうか。また適格性を持つておるものがあつたならば、水産庁考えられる五十そうのものが、かりに百そう、二百そうとなつた場合には、その範囲内において適格船に対して許可をするという考え方を政府は持つておると私は解釈しておるのですが、この点はどういうように御解釈なつておるか、これをまずお答え願いたい。
  67. 永野正二

    ○永野説明員 明年の母船式さけ、ます漁業の許可をどういう形でいたしますかということにつきましては、本年の操業による漁場価値及び国際関係等につきまして判断の資料を得た上で、明年度のその仕事のスケールをきめまして、そのスケールに応じて、日本全体として最も適当な形で許可をやつて参るということだけが、現状において言えることでございます。
  68. 松田鐵藏

    松田委員 そこで同じく石原委員の御質問の中に、本年北海道二十五隻、その他二十五隻、合計五十隻のものが適格として出漁するのであるが、もしそれが出そろわない場合においてはどういう方法をとるかという御質問に対して、水産庁永野次長は、本年五十隻の独航船が最大限だと考えておるので、適格性を欠くもの、また脱落する船に対しては、これはやむを得ないから、予備船を代替とする以外には、しない方針である、たとえば不足になつて、もやむを得ないという意味をお答えになつておるのでありますが、たまたま五月一日はなばなしく函館を出港するにあたつて、官民一同の歓送によつて出漁したものの中に、宮城県の六隻がこれから脱落した、こういうことが報告されており、長官も委員長も出席されて、よく認められておるのであります。さて五十隻の適格船というものに対しては、たとえば無電であるとか、方探設備であるとか、また船の性格、あらゆるものが整備されたので、ここに適格船として許可されたのでありますが、何のためにこの六隻が一日の出漁に間に合わなかつたかという問題が、今後残される大きな問題になるのではないかと私は考えるのであります。しかも内容については今ここにとやこや議論する必要はありませんが、はなはだしくわれわれが心配する点は、本年初めて公海に出漁する有意義なる出漁に対して、水産庁当局の指導と、あらゆる日本国民の注目の的になつておる、もみにもんだこの北洋漁業の出漁の中に、塩五百俵も積んだ船がある。これは一体どういうことであるか。北洋に流し網漁業を営んで、母船にこれを売り渡すのに、塩の五百俵というものが何のために必要であるか。これが砂糖なら、まだ出漁者が食うということもあるけれども、塩の五百俵というものは食糧にもならないのである。これを一番警戒したのが水産庁当局であり、またわれわれ委員会としてもこれを警戒したのであります。それが現実の問題で、これを発見されて、船から下した。ところがまたそれを積んで行つた。こういうことが正しく報告されておるのであります。これが一番警戒すべき問題であつて水産庁当局も頭を悩ましておつたことだろうと私は考えておるのであります。あえてこうした漁船が宮城県にあつたということであつたならば、今まで宮城県の漁業法違反という問題が摘発されて、われわれもまことに困つておるような次第であります。それがいつまでもかような精神をもつて、しかも今一大関心をもつて国民の目にさらされておる北洋漁業の問題が、かような思想によつて、もし一朝にして誤つた行動—北千島に寄るとか、またわが北海道の沿岸に寄るとか、そうしてどこへ陸揚げするかわからぬけれども、ただ塩を持つて来る。宮城県に陸揚げするものでないと思う。必ずそれは船に塩魚を満載して持つて来ることだろうと思うのであります。こうしたことが、出漁する前にもはや計画されておる。これが適格船であるかどうか。かようなことをわれわれは確報をもつて聞かされておるのでありますが、かようなものに対して、水産庁はどのように監督される意思があるかどうか。私がさきに第一として明年の許可方針という問題に触れたのは、この問題があるがゆえであります。かような漁民がもしあつたとしたならば現実にあるのであります。これらは明年の、いな、今年の取締りの上においても、国際関係を惹起する問題であり、しかして明年の許可という問題に対して、大きな問題ができ上ることだと思うのであります。こういう点に対して、水産庁はどのようにお考えなさつておるか、御意見を承りたいと存じます。
  69. 永野正二

    ○永野説明員 五十隻の独航船が、漁期までに準備万端整えて、出発地である港の函館へ集結するようにということは、私どもといたしましては、同業者に対して万全の指導をいたしたつもりでありますが、残念ながら、ただいま御指摘の六隻の船が、五月一日までに函館に来ることが間に合わなかつた。また一隻の船は日本海において軽い事故を起しまして、これもまた間に合わなかつたということは事実でございます。しかしながら、すでに五月一日当時それらの船は根拠地を出ておりまして、諸般の準備も完了するという見通しがつきましたので、この点につきましては、特にわれわれ水産庁当局が函館に残りまして、その確認をいたしたのでありますが、二、三日遅れればその準備が聞に合つて函館へ参るという確認ができたので、これをこの五十隻の中に加えて、二、三あとから追つかけて漁場へやることにいたしたい。そのために水産庁の監視船も特に残しまして、これが五十隻の中に加わつて仕事ができるように配慮をいたしたわけでございます。これはそのための準備万端をそれまでに整えまして、二日のところで間に合わないという漁業者に対して、こういう措置をいたしたことはやむを得ないことであつたと考えます。また塩の問題につきまして、御指摘の通り、相当大量の塩を独航船が持つて参つたものがあつたのであります。この点につきましても、私どもは事前に、独航船において塩魚を意識的に加工するということはせないということを、十分指導して参つたつもりでございますが、現実の船にはそういうものが若干あつたのでございます。それにつきまして、私ども函館におきまして、出航前一隻々々独航船を検査いたしまして、独航船の上に若干の塩を置きますことは、たとえばしけの場合、母船と独航船の連絡がしばらくとれないということもありますので、その間魚を保存するために必要な最小限度の塩を残しまして、あとは母船の方へ積みかえるという措置を、一ぱい一ぱい独航船を検査してやつたわけでございます。なお母船の方がすでに出航しておつたというような事情のために、何俵の塩を積んでおるかということを確認して、その上で出帆させたものもあるかと思いますが、これらにつきましては、漁場におきましてまた必要な限度の塩を母船から供給するというような問題もございますので、そのいう際に独航船として塩を幾ら消費をしたかということをはつきり監督官の方でつかめるような措置がいたしてございますので、そういう不当な塩の使用をしないように、十分措置をしたい、こう考えております。
  70. 松田鐵藏

    松田委員 この問題は後刻に譲つておきたいと思います。いずれまた詳細な調査をわれわれもいたしまして、水産庁当局に御協力を申し上げたいと思うのであります。  次に三社側であります。三社側において網の問題を—何の理由かは存じませんが、三社側と、それから北洋漁業協同組合、また北海道の組合、これが責任者も北海道に残つておる、また内地にも残つておる。こうしたすべてのものが、責任者が残つておるのに、出漁するその日の朝まで、北洋で使う網を漁船に積み込ませることを拒否したという理由はどういう考え方でありますか。みずからの母船に、とつた角を全部収容しなければならない。また収容することが建前であつて、先ほど冨永委員の言われたように、共同出願の形によつて許可されておる。この漁網を、あすの朝出帆するのに、今晩でなければ積み込むことができない。またはなはだしいのは、明日出帆する間ぎわでなければ積み込ませられない。それまでごたくさしたという考え方なんです。これが資本主義の最も悪い方法だと思う。何のためにさようなことをしなければならないか。かような母船をもつて北洋に進出するなどという考え方を、いまだに改めないものに対しては、断固として明年の許可はすべきでないと私は考えておる。漁民と資本側と母船側と、もつともつと融和して、すべてのものがやつて行けることだろうと思う。それができ得ない感情の対立などというものから、やがて北洋においてどのような事態が起きるかどうかということ。また帰つて来たならば、必ず—北海道ではこういう言葉がある。切り上げにはまさかりでもつて別らせろ、あんばい棒でもつて別れろというのであります。いまだにさような考え方でもつて資本家と漁民とが対立するようなことがあつたならば、昔の封建時代の漁民そのままであり、資本家そのままであるのであります。ひのき舞台に上つて、そうしてはななばなしく人々に送られて行かなければならないこの北洋出漁に対して、かような不祥事を出したということは、私どもとしてはまつたく心外にたえない。かような資本家、かような漁民であつては、いつまでたつたら日本の漁民の民主化ができるか、資本の民主化ができるかということに対して、私どもは非常な危惧の念を持つておるものであります。来年の北洋漁業出漁問題に対しては、私はきようの速記を台といたしまして論議することを、今から警告を発しておきます。
  71. 永野正二

    ○永野説明員 本年の出漁にあたりまして、関係の母船で働く関係、及び独航船衝く関係、いろいろな利害関係がございますので、諸般の問題について両者の間で御協議が行われたわけでございますが、ただいま御指摘のように、これがまとまります過程におきましては、いろいろな問題があつたようでございます。またこの話がまとまりますまでには、非常に難渋をいたしたことも事実でございますが、ただいま御指摘の網の問題につきましては、これは一応母船側が現実に発注し、指導をいたしました独航船用の網を独航船に引渡すに際して、その決済方法をどうするかというような相談が継続中であつたので、そういう向きの発言もあつたかと思いますが、実際問題といたしましては、出航前に全部問題は、円満に解決いたしたというふうに承知をしております。
  72. 川村善八郎

  73. 石原圓吉

    石原(圓)委員 この独航船その他かに工船の問題につきまして、私が以前に杞憂をいたしまして当局へ質問したことは、ただいま松田委員より繰返し述べられたことによつて立証されるのであります。私は、その漁業が国際的であるから、政府は事前において最も懐重にやらなければならない、国内的のものならば、後日の弊害ということも国内的に是正ができるけれども、国際的であるから非常に大切な処置をとらなければならぬという考えからお尋ねをした次第であります。はたして三隻か、六隻か七隻の脱落船ができた。こういうことは、われわれは非常に心配をいたした問題でありまして、これをだれの責任に帰すべきか、こういうことを追究すれば、それは出漁組合全体としての責任であろうと思うのであります。しかしその組合は、政府が設立を認めてないとこういうことであれば、どこを責めていいのかということになるのではないか。そういうようなことを追究しますると、すでに独航船の組織—組織内容はわれわれは知らないのであるが、はなはだ不確かなようにも聞えるのであります。また母船と独航船との契約と申しまするか、とりきめと申しますか、そういうことも、どこまでが確かなのかわからないのであります。そういう意味合いで、ただすことはたくさんあるのでありますけれども、本年は試みに出漁をさしたのであつて、これは今後の実績としないという当局の言明によつて、われわれは追究はしないのであります。願わくは国際的の問題でありますから、関係各国に不安の念を与えられぬように、また今後に悪影響を与えないように、政府は今出ておる母船、独航船を十分監督して、保護を与えて、そうして事なくもどることを私は切に希望するものであります。そうしてそれが今年の冬の問題に大いに参考となつて、この冬には最も適切な方法で出漁ができるようにということを念願するものでありまして、これはまた政府当局へその準備を強く要求するものであります。すでにただいま出ておる母船、独航船と同様の適格性を持つておる船、及び乗組員は、全国に無数にあります。これらのものは、非常にこの五十隻の中へ加わつて出漁がしたがつたのであります。現に私の県にも二そうほどその強い要望はあつたのでありまするけれども、それは本年の冬に残して、要求はしなかつたのであります。他県にもそういう適格性を持つものは多数あろうと思うのであります。普遍的の公海に対しての今回のあり方は、最も妥当な公平な処置でもつて、何ら間然するところなく準備を遂げて出漁をするように、今より今年の冬の出漁の用意に対して希望を申し述べております。なお本案はいずれ外務委員会が主務委員会として論議すべきことと思うのでありまするが、わが水産常任委員会は、ぜひとも合同審議の形においてこの審議に参加するように委員長においてすみやかにその処置をとられんことを希望いたします。
  74. 川村善八郎

    川村委員長 承知しました。公海漁業に関する件につきましての質疑はこの程度にとどめます。
  75. 川村善八郎

    川村委員長 次に漁業取締りに関する件について、川端委員より質疑の通告があります。これを許します。政府委員として海上保安庁警備救難部長松野清秀君が出席されております。川端君。
  76. 川端佳夫

    ○川端委員 私は瀬戸内海におけるダイナマイト密漁の問題について、この際政府当局のしつかりとした対策をただしておきたいと思うのであります。かねてより重大なる問題であり、そして瀬戸内海においては非常な深刻な問題となつておるために、以前本会議場におきましても緊急質問が行われたほどであります。特に瀬戸内海でも、伊予灘海区というのが瀬戸内海の中心部を占めております。この地区が最もひどい現象を呈しておるわけでありまするが、ここはたまたま保安庁の取締りの盲点にもなつておるような所でございます。従つてここの地区におきましては、日にち毎日相当の、ダイナマイトの爆発が聞こえ、そうしてこの地区では、その密漁業者の跳梁いたしておることは非常にひどいものでございます。これに対する対策については、地元漁民から相当の声が起つているにかかわらず、まだ具体的な方法が講ぜられていないのと同様であります。たとえば水産庁の取締船にいたしましても、これは数が少ないことも大きな原因ではございましようけれども、この程度ではなかなかあの辺の密漁等を取締り、かつ漁業の指導はされておらないにひとしい状態、また海上保安庁の関係におきましても、漁民は逆上をいたしまして、逆に保安庁の船が参りましても、買収されるのじやないか、それで来ないのじやないかといつたようなことまでも言つておるようなわけであります。今あの辺の警備船は、広島が根拠地になつておりまする関係上、愛媛県側から広島の方へ連絡いたしますると、電話で三時間かかる、そうして向うから船がやつて来るのに約三時間、そうすると現場を発見しまして連絡をし、措置を講ぜられるまでに六時間かかるということになればナンセンスだ、こういうような状態なのであります。これについて水産庁におきましては、今回取締船が新たに新造されました、そうして近くこれが活動を開始するはずでありまするが、この扱いについても、瀬戸内海のこの深刻なる現状に対しての対策に用いられてしかるべしだと思うのでありますが、このための御用意、あわせて水産庁関係では、これにもつと重点を置いて、いま少し力を入れてもらいたい。これに対する御用意を伺いたいと同時に、保安庁に対しましては、今松山に海上保安部がございまするが、ここには別に警備船もないわけであります。近く七月に機構改革もございまするようでありまして、何かこの機会に対策を講じていただけるものと期待をいたしておりまするが、この際具体的にどういう方法でもつてこの対策に乗り出していただけるか、はつきりと御答弁を伺つておきたいと思うのであります。
  77. 尾中悟

    ○尾中説明員 瀬戸内海におきましてダイナマイトを用いて密漁をやつておるという事態は、終戦以降相当の事例がございまして、ことに最近広島県におきましては、漁民が激昂いたしまして、密漁船をつかまえて来て、船を焼きはらつたというような不詳事件もあつたような次第になつております。水産庁といたしましては、ただいま神戸には瀬戸内海の漁業調整事務局がありまして、ここが中心になつて、ただいま取締船といたしましては、新造船が一ぱい、用船によります取締船が三ばい、合計いたしまして四はいの取締船を配属いたしまして、従来からこのダイナマイトの密漁、それから二そうびき等による小型の底びきの取締り等に重点を指向いたしまして、取締りに当つておるわけでございますが、残念ながらなかなか現場が確認できないというようなことで、思うように実績が上つておらないわけでございますが、新造船も一ぱい増強されたような事態にもなつておりますし、今後海上保安庁、関係各県、さらに海区漁業調整委員会、または漁民大衆との連絡も緊密にいたしまして、こういつた違反漁業が行われないように、さらに取締りを強化して参りたいと思う次第であります。
  78. 松野清秀

    ○松野(清)政府委員 先般倉橋島におきまするような遺憾な事件も発生いたしましたし、海上保安庁といたしましては、ダイナマイト密漁の取締りには重点的に努力いたして参つておる次第でありまするが、なおただいま川端委員がおつしやいました通り、伊豫灘方面の取締りは、これは広島配属の巡視船が当つておりまして、現在松山の海上保安部には船艇は配置していないのでありまするが、しかし伊豫灘方面に非常に密漁が盛んだというような事情もありますので、ただちにというわけには参りませんが、何とか七月一日以後松山の海上保安部に巡視船を常置するようにいたしまして、その取締りを強化いたしまするとともに、あわせて御要望に沿つて参りたい、かように考えまして、目下準備いたしておる次第でございます。
  79. 川端佳夫

    ○川端委員 もう一点。この密漁に対する取締りの罰則に関する問題でありますが、これがダイナマイトの密漁こういう濫獲といいますか、こういうものに対する取締りと同時に、これに対する罰則というものが非常に軽いのではないか、あいまいなのでないかというふうに感ずるのでありますが、この点についてのお考えはどういうふうに思つておられますか。地元におきましては、非常にこれに大きな刺激を受け、先ほどもお話のように、逆上をいたしておる箇所が幾つもあります。従つてひどいのになると、つかまえたらこれをみんな死刑にしようじやないかというふうなべらぼうな話さえも起るのでありますが、これもその漁民の心情から行けば、あるいはそんなようなことも言いたくなるのじやないかと考えられる場面が幾つもあります。この取締りの罰則について、もう少し御研究があるかどうか、お考えを伺いたい。
  80. 尾中悟

    ○尾中説明員 爆発物を使用いたしまして漁獲してはならないという規定は、漁業法の六十八条に規定されておるわけでございまして、この規定に違反いたしまして操業するという場合には、漁業法の中で最高の罰則でございます三年以下の懲役または二十万円以下の罰金ということになつております。漁業法の中ではほかの条項違反の場合も多々あるわけでございますが、最高の罰則でもつて臨んでおるわけでございまして、今ただちにこの規定についてさらに改正するということは考えておりません。
  81. 川村善八郎

    川村委員長 この際漁業取締りの問題につきまして、議員坪内八郎君より委員外発言を求められておりますが、これを許すに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 川村善八郎

    川村委員長 異議なしと認めまして発言を許します。坪内八郎君。
  83. 坪内八郎

    ○坪内八郎君 委員各位のお許しをいただきまして、簡単に、幸い海上保安庁より警備救難部長がお見えでございますので、お尋ねいたしたいと思うのであります。私は長崎県の第一区の選出議員でございますが、私が申すまでもなく、長崎県は水産県をもつて生命といたしておるのであります。従つて遠洋漁業その他の漁業に従事しておる者が県民の大多数でございまして、それによつてほとんど生活しておるということは申すまでもないことでございます。最近御承知と思いますが、東支那海が非常に不安のために操業ができない。これに対して、海上保安庁の警備船をそちらの方にまわしてくれないかというような強い要望がございまして、毎日私どもかくのごとく電報をもらつておるような状態でございますが、こういう点について、場海上保安庁の警備関係の皆様におかれましては、実情を知つておるのかどうか、あるいは知つておるならば、それに対してどういうような手を打つておるのかどうか、それから今後そういうようなことにつきまして、警備上船をまわすというようなことが可能であるのかできないのか、そういうような諸点について御意見を承つて、これに対する対策をひとつ早急に研究してほしいということが、私の質問申し上げるおもなる点でございますが、この点についてひとつ所見を承つておきたい。
  84. 松野清秀

    ○松野(清)政府委員 御承知のように、講和発効前におきましては、海上保安庁の巡視船は、これは基地を中心としまして百マイル以内に行動を制限されておりましたので、従来は出していなかつたのでありまするが、しかし講和発効後におきましては、百マイルの制限はなくなりましたので、もちろん海上保安庁といたしましても、公海における正当な漁業操業に当る漁船の保護ということには、当然努力しなければならない問題と考えまして、目下その具体的なやり方につきまして水産庁外務省、私の方で目下協議中でありまして、近く具体的なやり方を決定いたしまして、巡視船を出すことにしよう、かように考えておる次第でございます。
  85. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 水産庁の方としましては、あの方面への監視船を六隻持つております。過去においてはマッカーサー・ラインの遵守ということに、主眼を置いておつたわけでございまするけれども、現在では、現定の遵守はもちろんのことでありまするけれども漁船の保護というふうな点にも重点を置きまして、できるだけの能力をあげて、漁業者希望もほぼ満足できるように、漁業者意見を十分聞きまして、そうしてその範囲で現在運航しておる、こういう状態でありまするが、隻数が十分ではございませんので、海上保安庁の方にも同様の方向でやつていただくように協議中でございます。
  86. 坪内八郎

    ○坪内八郎君 そこで簡単に海上保安庁の警備救難部長にお尋ねいたしますが、そういつた東支那海で正常な操業ができないというような事情は、水産庁からの連絡であなたの方は十分知つておられるのであるかどうかということをまずお尋ねいたします。
  87. 松野清秀

    ○松野(清)政府委員 常にこの問題につきましては、水産庁と緊密に連絡をとつておりますので、そういう点につきましてはよく承知いたしております。
  88. 坪内八郎

    ○坪内八郎君 東支那海における正常な操業が、そういつた事情において正当に操業ができないというような点について十分知つておられる、海上保安庁の警備救難部におきましては、そういうことについてまだ研究中で、打合せの結果、そういう手を打とうということにしておるというような御答弁でございますが、わが国の講和発効後、そういつた関係における処置というものは、すみやかになされなければならないと考えておりますが、すでに講和発効後一箇月近くになるのに、そういつた点で手が打つておられないということについては、われわれとしてはまことに遺憾とするところであります。従つてそれらの点について、あなたの方でそういう手が早急に打てなかつたというのは、そういつた船が足りないのか、あるいは警備乗組員が足りないのか、その点は一体どうなつておるかということが第一点、それから近く予算も通過いたしましたが、海上警備隊というものも今度できまして、六千名ばかり要員を養成することになつて、船はアメリカから借入れて、そういう警備上の対策をやるのだというようなことに海上保安庁では相なつておりますが、そういう関係のものも東支那海の警備に当るものであるかどうか、この二点をお尋ねいたしたい。
  89. 松野清秀

    ○松野(清)政府委員 海上保安庁としましては、講和発効後におきまして、不必要に関係国を刺激したくないということが一つつたのであります。幸いにして中共関係におきましては、三月のたしか二十七日の事件を最後として起つていないのであります。むろん具体的な問題について、今水産庁外務省と協議を進めておりますことは、先ほど申し上げた通りでありますが、しかしこの協議が決定しなくても、もしそういうような拿捕事件が発生すれば、すみやかに巡視船を出す、かように考えておる次第であります。たとえば、ソ連関係におきましては、すでに講和発効後三件ほど拿捕事件が起つておりますので、目下進めております関係官庁との協議とは別に、すでに宗谷海峡方面へは巡視船を出しまして、これに当つて行こう、こういう状態であります。なお警備隊の船につきましては、これはおそらく整備されるのがこの秋になるのではないかと考えられますが、これが整備されたあかつきにおいて、これをそういう拿捕事件の防止に使うかどうかという問題につきましては、今後研究さるべき問題だと、私はかように考えております。さしあたつては巡視船のみについて対策を立てておるという状況でございます。
  90. 坪内八郎

    ○坪内八郎君 それでは簡単に最後にもう一点お尋ねいたしますが、講和発効後におきましてもそういう拿捕事件が事件あつたということにつきましては、私ども関係の議員あるいは私どもの県といたしましては、重大な支障を起すのであつて、生活上にも支障を起す、ひいては憲法に保障されておるところのわれわれの生活権の擁護というような問題を考え合わせまして、重大な問題でありますので、慎重を期していただきたいと思うのであります。そこで水産庁長官の話によると、大体監視船が六隻あるというようなお話でありますが、いろいろそういつた話を総合いたしまして、結局現在のところ、海上保安庁の船も水産庁の監視船も、東支那海には監視に当つていないのかどうかということ、国際的な微妙な問題があることはわれわれ百も承知でありますが、その点をお尋ねいたしたいと思いますが、一隻もそういう監視に当つていない、あるいは警備に当つていないというような実情であれば、それに対してはどういうような措置をとればいいのか、話合いなんかやつてつても、これは毎日操業しなくちやならぬというような現実の問題にぶつかりますので、そういうなまぬるいやり方では、私どもは安心して公海に出て操業するということは非常に不安であります。従つて国民の食生活上重大な影響を及ぼすことにもなりますので、その点をお尋ねいたす次第であります。そこで一隻も海上保安庁からも水産庁からも、そういつた警備あるいは監視船が出ていないのか出ておるのか、その点あらためてお尋ねいたしたいと思います。
  91. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 先ほどお答え申し上げたのですけれども、お聞きとりにくかつたのかもわかりませんけれども水産庁の船は平和回復後まわつております。先ほども申し上げました通りに、業界の方の希望も十分聞きまして、ずつとまわり続けておるのであります。現在運航しておりますことは先ほどお答えした通りであります。
  92. 松野清秀

    ○松野(清)政府委員 海上保安庁におきましては、今申し上げましたように、ソ連関係におきましては、講和後におきましてすでに事件も発生したということで出しておりますが、東支那海方面へは現在出しておりません。しかしこれは今進んでおります協議の結果をまちまして、いずれは出すようにしたいと考えております。
  93. 坪内八郎

    ○坪内八郎君 事情は十分、水産庁あるいは海上保安庁でも御承知の通りでございますので、いろいろと諸般の事情もございましようけれども、そういう警備船をすみやかにひとつ東支那海にもまわしてほしいというのが私の要望でございますので、その点もひとつ十分努力して、適切な考慮を払つていただきたい、かように強く要望いたすものであります。どうもありがとうございました。     —————————————
  94. 川村善八郎

    川村委員長 次に小高君より漁業資材としての合成繊維漁網綱の普及に関する件につきまして発言を求められております。これを許します。小高委員
  95. 小高熹郎

    小高委員 漁業資材としての合成繊維は最近価格の面において、あるいはこれが購入融資の面において、わが国水産界の重要関心事となつておるのでありますが、当委員会においては、小委員会を組織しまして、漁業用資材としての合成繊維普及に関する立法化をはかりたいと思いますが、委員長において適当におとりはからいくださることを希望いたします。
  96. 川村善八郎

    川村委員長 ただいま小高委員より御発言がありました合成繊維漁網綱の普及に関する小委員会を設置いたしまして、立法化したいという御意見でありますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 川村善八郎

    川村委員長異議なしと認め小委員会をつくることに決したいと思います。つきましては、小委員及び小委員長等の選任につきましては、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 川村善八郎

    川村委員長 御異議なしと認めまして、さつそく御指名申し上げます。    小高熹郎君  松田 鐵藏君    冨永格五郎君  田口長治郎君    川端 佳夫君  二階堂 進君    永田  節君  石原圃吉君    小松 勇次君  佐竹 新市君   以上十名、小委員長小高委員。     —————————————
  99. 川村善八郎

    川村委員長 次に小松勇次君。
  100. 小松勇次

    ○小松委員 私はこの際水産庁長官にお尋ねしたいのであります。水産業の振興のために二十六年度の予算には特に海藻高度利用工業化試験委託費というものが二千七百余万円新たに設けられたことは御承知のことと思いますが、このことにつきましては、われわれも大いに新しいもくろみであり、これに賛意を表して、その成績のいかんについて多大の期待を寄せておるものでありますが、この委託費が交付されて以来、約一年を経過しておると思います。それで今日は、その成績に相当見るべきものがあるだろうと私は思つております。この委託いたしました成績が明らかになつておるのかどうかそれをひとつ……。
  101. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 先般関係の権威者にも集まつていただきまして、それで昨年度委託した各社の方から試験の成績結果等を聴取いたしまして、大体明らかになつております。
  102. 小松勇次

    ○小松委員 それはわれわれにも御発表願えますか。
  103. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 できます。
  104. 小松勇次

    ○小松委員 この二十六年度の委託費は、一会社に予算の大半を交付したというような現案われわれは見せつけられておるのであります。もちろんこの委託費というものは、試験の成績の結果、その工場においてこれだけの機械が不足しておる、この機械を補えば試験成績と同様のものが工業化することができるというようなことから、必要な不足機械を貸与するということが目的であつたろうと思いまするが、中には今申し上げた通り、その工場を全部やりかえてしまうような状態の場所もあります。ほとんど新規に機械設備をしなければならぬと私は承知しております。けれどもこういう内容問題は、私はここで問いたくはないのでありまするが、こういうようなことを現実覧おりますわれわれとしては、この二十七年度の予算には、海藻類の高度利用というような委託費は計上しておりませんけれども、それと同じような水産業実用化試験費補助金というものを計上しておる。これは同一意義のものだと思う。そこで本二十七年度の予算における三千万円のこれらの費用の交付方法は、もう御決定になつておるか、その点を伺います。
  105. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 今お話のあつた三千万は、今お話があつたような使途と、それから説明上は先ほど小高委員から御提案がありましたところの、合成繊維に対する研究等にも一部向けるというようなことになつておることは、大蔵省話合いがついておるわけであります。それのうちの本年度の使途につきましては、先ほど申し上げまするところの前年度の成績、結果等を見まして、現在調査研究部の方で、本年度の助成のあり方につきまして検討中でございまして、まだ決定はいたしておりません。
  106. 小松勇次

    ○小松委員 交付方法がまだ決定しておらないのですな。
  107. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 交付方法は、大体こういう助成金については一つの形式がありまするから、それは交付規程等において、そう大きい変化はないと思いまするが、どういう研究に補助をして行くかというふうな具体的な問題について、まだ決定を見ておらないわけであります。
  108. 小松勇次

    ○小松委員 その交付規程ができておりましたならば、ひとつ委員会へちようだいしたいと思います。  それから交付するにあたりましては、水産庁の調査研究部だけでこれを取扱つておるのですか。その間において何か審議機関というようなものが、前年はあつたようでありまするが、今回もそういう委員会を設けているのかどうか。
  109. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 その点については、まだ具体的なその個々にどう助成するかというふうなことで審議機関をつくるかどうかということについては、まだはつきりとしたことをきめておりません。現在はこの間発表のありましたところの前年度の成績を検討して、それで今役所の方で原案を考えておるというふうな状態であります。
  110. 小松勇次

    ○小松委員 私はその委員会というようなものがあるように聞いておるのですが、今度は設けないのですな。
  111. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 いや、まだはつきりと設けないとかどうとかということはきまつておりません。
  112. 小松勇次

    ○小松委員 そこで私は特に水産庁長官に御考慮を願つておきたいことは、この審議会の委員関係しておる会社が、多額にこの委託費を受けておるということで、世間では非常な疑惑を持つております。こういう点は十分に公正なる方法をとつていただかなければならぬ。そこで今回のこれらの問題については、どういうぐあいに交付するかというようなこともわれわれは鏡面はあまり関係したくはないのですけれども、一応その方法等がはつきりいたしましたならば、われわれに察しを願つて、その上で御発表を願うようにしていただきたいことを希望申し上げておきます。以上で終ります。
  113. 川村善八郎

    川村委員長 委員長より特に小松君の発言に付言いたします。昨年も同様な問題で非常に議論になりましたので、でき得るだけやはり交付する場合のいろいろな事情、その他機関等の問題を明示して、いわゆるガラス張りの中でおきめになつた方がいいじやないかと思いますので、一言申しておきます。
  114. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 そういうふうなお話もあつたように承つておりましたので、それで前年度の成績というものをしつかり検討した上で、やはり一番目的にかなつたような方向へ使つて行くというふうな点について、今年度は特に御注意を十分尊重しまして、私の方では原案をつくつて進めて参りたいと思います。
  115. 小松勇次

    ○小松委員 それは近々に決定するのですか。
  116. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 できるだけ早くやるつもりでおりますけれども、その後の結果をまだ係の方から聞いておりません。
  117. 小松勇次

    ○小松委員 要は昨年の成績をまずわれわれに御発表願つていただきたいと思つております。その上でまたひとつ、われわれも意見がありますから、その意見を参考にして御決定を願いたい。そのことを重ねて申し上、げておきたいのであります。
  118. 川村善八郎

    川村委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもつてお知らせをいたします。  散会をいたします。     午後一時七分散会