○鈴木(善)
委員 共産党の
木村君から反対の意思を表明されたのでありますが、その反対の
理由につきましては本
委員会で
木村君の意のあるところを聽取することができなか
つたことを遺憾とするものであります。
私は自由党を代表いたしまして本案に対し賛意を表するものであります。そもそも本
法案は、
漁業における最も重要な生産手段の
一つであり、かつ
漁業者にと
つて最も大きな財産でありますところの
漁船について、これを保護するために、国として従来に比して
損害に対する手厚い
補償の
措置を講じまして、
漁業者が安んじて
漁業に従事し、かつまたこの
制度を設けることによりまして、
漁船担保金融等の金融面につきましても大きな効果が上る、こういうようなことを本旨といたしておるのであります。また
保險料等につきましても、比較的小型の零細なる生産
漁民の
漁船につきましては
保險料の半額を国が
負担し、社会保障的な
制度をこの
漁船保險の中に取入れまして、今後
漁船の損失
補償について国としても社会保障の見地から手厚い保護を加えて行こう、こういうのであります。また
保險組合の
事務費等につきましても、財政の許す限りこれを国として
負担をして行くということでありまして、いろいろ従来の
漁船保險法に比較いたしまして画期的な改善を加えておるわけであります。
もとよりこの
法案を私どもが
松田委員長を中心として論議いたしましたとき、私どもはもつと理想的な、もつと整備されたところの
法案を実は
考えてお
つたのであります。その
一つは
漁船の代船建造等を容易ならしむるために満期
保險にしたい、これも私どもの
一つの大きな主張であ
つた。
ちようど養老
保險におきまするように年々
漁業者がかけて参りますところの
保險料によ
つて、木船でありますれば七年あるいは八年という船齢に達して代船を建造しなければならぬ時期になりましたならば、代船建造費が
保險の給付によ
つて、浮んで来る、こういうことにいたしますれば、
漁業者の福利は非常に増進されるのであります。将来私どもはこの
漁船損害補償制度をさらに前進させまして、
内容を充実いたしまして、満期
保險をぜひこの中に取入れて参りたいと思うのであります。また先ほど
木村委員、
松田委員から
お話がありましたところの、
政令による二十トン以内というのも、これは今日の
漁業の実情に照しましてもとより不満足であります。少くとも今日沿岸
漁業として活動しておりますところの
漁船は四、五十トンというのでありまして、
登簿船が二十トンにな
つておるということは、これは非常に古い
漁船のわけ方でありまして、私どもは
登簿船、不
登簿船の限界を今日二十トンに置いておる。そのこと自体が
漁業の推歩せる今日の実情に適当でない、こう
考えておるのでありますが、そういう意味合いからいたしまして、この岡が
保険料を半額
負担する対象になりますところの指定
漁船は、これは将来
政令によりまして、国の財政とにらみ合せて、漸進的にこれを四十トン、五十トンあるいは八十トンという線に引上げて行くべきものと
考えておるのであります。また保険
組合の
事務費を
国庫で質損するところの道を開いておりますが、私どもは当初これを半分国で
補助するということで折衝いたしたのでありますが、財政の
関係から三分の一ということにならざるを得なか
つた。この点についてもまことに不十分ではありますが、そういう道が今回開かれたのであります。本
法案を将来さらにいろいろ
内容的に整備し、充実するという点はございます。私どもの理想とするところから見ますと、いまだしの感はございますけれども、今日のわが国の財政の
現況から見まして、この程度の
内容をも
つて本
法案が成立できるということは、前の
漁船保險法に比較いたしまして、これは非常な前進であり、進歩であり、また
漁業君の福利はこれによ
つて非常に増進されるものと私どもは確信して疑わないものであります。そういう意味合いから、私は自由党を代表いたしまして、この
法案に賛意を表するものであります。
ただ一言
政府にこの際要望しておきたい点に、この
法律の運用にあたりまして、この中に
地域組合と
業態組合の二つがございます。現在都道府県を單位としたところの
地域組合が、
保險組合の中心的な組織とな
つておるのでありますが、この中には、かつお、まぐろ
漁船あるいは底びき
漁船その他この新しい
損害補償法案によ
つて義務加入をするところの指定
漁船、こういうようなものが入りまして、そうして危険の分散をやる、これが相互に社会保障的に共同しまして、
損害の
補償に任じて行こう、こういうようなことでございまするが、この中からかつお、まぐろであるとかあるいは底びきとかいうぐあいに、業態別に
組合がわかれて設立せられるということになりますと、
地域組合はきわめて弱体なものに相なるのであります。そういうぐあいに、現在わが国の
保險組合の都道府県を中心として
地域的に結集されておりますところの組織が、
業態組合を濫立認可することによ
つてくずれて行く、そうして
保險組合そのものの力が弱化する、分散するということは、決して
保險制度の趣宵に沿うゆえんでないと思う、こう私ども
考えるものであります。つきましては、
地域組合が、この
義務加入ルあ他の
小型漁船の
加入によ
つて内容が整備し、充実し、また国の
保險組合に対する
事務費等の助成が十分手厚く行われるようになりまして、業態別
組合がわかれて
行つても、
地域組合が十分や
つて行けるような経済
内容になるまでは、業態別
組合を濫立せしめるような指導は行うべきではない。当局としては、業態別
組合と
地域組合の
経営の成り立つように十分配慮してやるべきものであると私は
考えるのであります。この点を強く運用上において
政府に注意をしていただくよう要望いたしまして、本
法案に賛意を表するものであります。