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1952-03-15 第13回国会 衆議院 水産委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月十五日(土曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 川村 善八郎君    理事 小高 熹郎君 理事 田口長治郎君    理事 永田  節君       石原 圓吉君    川端 佳夫君       久野 忠治君    鈴木 善幸君       冨永格五郎君    二階堂 進君       松田 鐵藏君    小松 勇次君       井之口政雄君  出席政府委員         通商産業事務官         (通商振興局         長)      井上 尚一君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  細田 吉藏君  委員外出席者         農林事務官         (大臣官房経済         課長)     玉置 康雄君         農林事務官         (水産庁生産部         水産課長)   藤波 良雄君         通商産業事務官         (通商振興局農         水産課長)   森 日出哉君         日本国有鉄道副         参事      岩岡 明蔵君         参  考  人         (日魯漁業株式         会社相談役)  平塚常次郎君         専  門  員 杉浦 保吉君     ————————————— 三月十五日  委員木村榮君辞任につき、その補欠として井之  口政雄君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 三月十四日  漁船保険制度改革に関する請願冨永格五郎君  紹介)(第一五〇〇号)  水産煉製品鮮度保持のため研究機関の拡充に関  する請願(上林山榮吉君紹介)(第一五〇一  号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  輸出まぐろに関する件  水産物運賃に関する件     —————————————
  2. 川村善八郎

    川村委員長 これより水産委員会を開きます。  水産物運賃に関する件を議題とし、調査を進めます。  政府委員として運輸省国有鉄道部長細田百蔵君、説明員として日本国有鉄道営業局貨物課岩岡明蔵君、農林省大臣官房経済課長玉置康雄君が出席されております。富永君より質疑の通告があります。これを許します。冨永君。
  3. 冨永格五郎

    冨永委員 水産庁からまだ長官も部長も御出席なつておらないようですが、しかし直接担当しておられる方々がお見えのようですから、おそらく委員長におかれて会議を開かれたものと存じますが、私はこの場合、本日議順なつておりまする運賃問題に関して御質疑を申し上げたいと思います。運輸省から細田鉄道部長さんがお見えなつており、また農林省からは玉置経済課長がお見えなつておりますので、主としてお二方に御質問をいたしたいと思います。  昨年の十月水産庁から、水産物貨物運賃に関しまして、運賃引上げ措置が近く講ぜられるようであるが、水産物はこれを除外されることを望むという書類運輸省に提出されてあるように承つております。本委員会におきましても、しばしば運輸省並び水産庁当局に、水産物貨物運賃引上げ国民食糧の面から見てきわめて重要であることが痛切に叫ばれておる事実等につきまして、例証をあげて資料を提出して善処を要望しておりましたが、今までは運輸省からも、水産庁からも、近いうちに必ず善処するという御答弁であつたのでありましたが、まだその報告に接しておりませんが、今日のところ、どういう状態に置かれておるか、まず運輸省水産庁から、所管関係につきましてそれぞれお聞かせを願いたい。
  4. 細田吉藏

    細田政府委員 お答え申し上げます。水産物運賃につきましては、かねがねいろいろ問題がありますことは、私からあらためて申し上げるまでもないかと思います。昨年十一月貨物運賃の全面的な改訂を見たのでございますが、その節にも水産物に関して、国民経済と申しますか、国民生活といつたような点から非常に強い御要望がありましたことを、私どもはよく承知しておるのであります。ただ貨物運賃は、もとより凡百の貨物全体の一つの体系の問題がございますので、なかなか簡単にあるものを上げ、あるものを下げるという、個々別々な改訂をいたすことは非常に困難な事情にあるのであります。従いまして、これを品目別にどうするかということにつきましては、相当研究を要し、あらゆる角度からこれを見て決定をしなければならぬかと思います。もちろん水産物に限りませず、どの物資につきましても、運賃を下げてくれという要求はあるわけでございます。その問具体的に妥当な線を見出すことは非常にむずかしい、こういうことも私があらためて申し上げるまでもないかと思います。そこで前前から運輸省並び国有鉄道といたしまして、これをどう持つて行くかという点について検討いたしておつたのでございますが、ごく最近に至りまして、貨物等級をどうするかという点を根本的に御検討願うという考え方から、貨物等級審議会というものを設置いたすことになりました。これは運輸省とも考えましたが、日本国有鉄道の方の機関として、総裁の諮問機関として設置をいたすことになりまして、二月二十七日付で一応規定を制定いたしたような次第でございます。この貨物等級審議会委員並びに幹事というものがございまして、これに国会の両院の代表方々関係官庁関係の各荷主団体代表方々、その他学識経験のある方々委員幹事なつていただくということになつておるのでございます。ただいま国会関係委員の方以外につきましては、各方面と御折衝いたしました結果、ほぼ決定を見ておるのでございます。国会関係委員の方をおきめ願いますれば、今月中にも発足をいたしたいと考えております。この委員会におきまして等級全般にわたりまして十分御検討願い、なるべく早い時期に結論に到達いたしたい、かように考えておる次第であります。
  5. 冨永格五郎

    冨永委員 ただいま細田部長の御説明によりますと、私どもはこの会計年度にはおそらく実現を見ることであろうと期待いたしておつた次第でございますが、その考え方としての貨物等級審議会規定をおつくりになつたことはきわめてけつこうであり、私どもも大賛成でございます。しかしながらそれをおきめになつたのが二月二十七日であり、今もう三月も半ばになろうとするときに、委員の人達をどうこうということは、おそらく今月中にはものになるものとも考えられないのでございまして、この点きわめて急いでおるという水産物食料品事情から見て、遺憾の意を表明せざるを得ないのでございます。  さらに部長にお尋ね申したいと思いますが、もちろん今の審議会の人選が終つてから、審議会の構成ができて、そこで詳細な検討をしていただくものと考えますが、しかしながらすでに昨年農林省水産庁として、その水産物に関する貨物運賃のきめ方に対して意思表示をいたしている。それに対して鉄道部長としての御所見を承りたいと思うのであります。あるいはお手元にそれについての書類をお持ちになつておらないかもしれませんから、ここで一応読んでお聞かせします。  一、米麦、其の他主食類運賃に準   ずる措置を考慮されたい。  二、生鮮食料については優先輸送を前提とし、現在の列車指定による運賃割増制度を廃して、普通料金を適用されたい。  三、遠距離輸送による特別運賃割引七五一粁以上を、五〇一粁以上と改訂されたい。  四、貨物積載重量対象とする、減屯扱制を採られたい。  五、貨物運賃等級を最高三級とし、以下順次等級引下げを行われたい。  六、その他生鮮食料貨物輸送数量運賃収入とのバランスを考慮されたい。これらの農林省並び水産庁としての要望に対して、細田部長さんの御意目を承つておきたいと思います。
  6. 細田吉藏

    細田政府委員 ただいまのお話でございますが、水産物貨物運賃につきましてのこの書面、これに類似しましたようなものが——類似しましたと言つては非常に失礼でありますけれども、いろいろ等級引下げ割引、そういつたようなものが各方面から出ておりますので、いずれか一つを取上げるということになりますと、全般にこの問題が波及いたして参るわけでございまして、どれかを一つだけ取上げてやるというわけに参らないので、非常にやかましい問題でございますから、審議会をつくつて方面の御意見をお尋ねいたして決定いたしたい、かように考えておるわけでございます。たいへんおそくなつておる点について、おしかりを受けまして申訳ないと思つておりますが、会もいよいよできましたので、なるべく早く考えたいと思つております。  なおただいまおあげになりました項目のうちの、生鮮食料品優先輸送あるいは列車指定というような問題につきましては、これは私が申し上げるまでもなく、よく御存じ通りだと思いますけれども、ほかの貨物にはない特別な措置をとつておるわけでございまして、列車指定制度もほかの物資と違いまして、鮮魚列車いわゆる市場列車というものは、一応おもな水揚地からおもな消費地への列車は、代表的な鉄道で最もスピードの高い列車として設定をいたしておるわけでございまして、この指定料金は、必ずこれを出さなければその汽車につかないという形をとつておりませんので、指定料金をお出し願わなければ、普通料金であればこの列車へつくことを確保するというお約束まではいたしておりませんけれども、大部分のものは、指定をわざわざなさらなくてもその列車についておる。ほかのものはつける余地はないというかつこうになつておるわけでありますから、この点は、現在におきましても、かなり国有鉄道といたしましてサービスをいたしておるのではないかと思います。なおこの点につきましても、今後いろいろ運賃等級の問題とあわせて考えなければならぬかと思います。  それから割引でございまするが、割引につきましては、現在鮮魚冷凍魚につきましては五百一キロ以上五分、するめにつきましては七百五十一キロ以上一割五分、塩辛につきましては同じく七百五十一キロ以上一割の割引をいたしておるわけでございます。この距離をさらに短縮してくれないかというお話でございますが、この点につきましては、国有鉄道の方でさらに検討を加えたいと思いますが、この決定を見ますまでにも、すでに冨永先生もよく御存じ通り、いろいろの紆余曲折がございまして、この五百一キロとか七百五十一キロというものがきまつたように承知いたしております。今後の検討に待ちたいと考えておる次第でございます。  なお積載重量対象とする減トン扱い制度をつくるというお話でございますが、これも今回の等級審議会の基本的な問題の一つでございまして、これはたとえば農林関係におきましても、わら工品でございますとか、そのほかいわゆる容積に比較いたしまして重量の軽いものにつきまして、昔ありましたような減トン制を設けてくれという要望が非常に熾烈にございます。戦時中従事員もふなれになりましたので、運賃制度簡易化しようということで重量減トン制をやめました。それは等級で操作するという運賃の建前からいたしますと、例外的と申しますか邪道だと思うのでありますが、簡易化という見地からそういうことをやつたのでございまして、昔のように減トン制を復活するかどうかということにつきましては、今後単に水産物のみに限りませず、いわゆる軽量品につきまして全面的な大きな問題になつておりますので、検討していただき、また国有鉄道といたしましても検討するということになろうかと思います。  なおつけ加えてちよつと申しますと、ただいま申しました鮮魚冷凍魚の五百一キロ以上七級の五%引きというのは、七百五十一キロでありましたのを御要望切なるものがございましたので、五百一キロに落したわけでございます。これはそのほかのものについての御意見だと思いますけれども、これについても今後十分検討いたしたいと思います。
  7. 冨永格五郎

    冨永委員 大体細田部長さんの御意見は了解いたしましたが、しかしながら毎度申し上げております通りに、終戦後、ことに講和条約発効後の日本としては、少くも食糧生活の安定を確保することがきわめて重大であります。もちろん自由党の政策としても、供出後の米の統制を撤廃する、あるいはおそらく近い将来に統制を撤廃をいたさなければならないような時期があるものとわれわれは確信いたしておりますが、それをはつきり実現させて、そして国民に何ら食糧生活に不安を与えないようにするには、やはり水産物生産確保が第一でなければならぬと思います。部長さんの今の御意見によると、これに類したものの陳情がたくさんあるということですが、なるほど等級運賃引上げないでくれ、あるいは下げてくれ、こういう趣旨の要望はたくさんあろうと思います。しかしながら等級運賃引上げないでくれ、引下げてくれということは、そうあつちにもこつちにも例があるものではない。水産物という一つのものである以上、これに類するという言葉は当らないと私は考えるのであります。  なお水産物一般に関しましても、ただいま部長さんの御意見では、等級審議会で御検討になるように承つたのでありますが、しかしながらやはり審議会で、運輸省代表して細田部長さんとしては御意見をお述べになられるものと思いますので、特に深くこの点御留意を願いたいと思うのであります。私ども水産関係いたしております者といたしましても、必ずしも他の生活必需品とにらみ合せて、水産物だけを特に優位に扱えと申し上げておるのではありません。水産物と一口に申しましても、やはり貫当り幾ら、十貫当り幾らと、それぞれ量も多少があり、価格の高低もあります。従いましてそれに相当する価格に是正してもらいたい。もちろん運賃単独会計である以上、そうむやみに引下げをしてもらつても、今度運営上当を得ないということがあろうと思います。しかしながら運輸省の運営に関しては、私どもはもちろん干渉する余地もなければ、干渉する筋合いでもありませんが、しかし多く経費がかかるから多く運賃をかけなければならないという考え方にも、相当検討を要するものがあろうと思います。さらに繰返して申し上げますが、私の申し上げるのは、水産物全部を引下げてくれと必ずしも申し上げておるのではありません。ある程度水産物で上げなければならないもののあることはやむを得ないとしても、その内容におきましてそれぞれ他と勘案していただかなければならぬと思うのであります。問題はあるいは小さくなるとお考えになるかもしれませんが、たとえば北海道におけるするめ、塩辛等のごときは、その生産額も非常に多いし、またするめのごときは金額も非常に大きなものでもありますので、相当強く取上げられなければならないものと思うのであります。一貫扱いのときと十貫扱いのときと相当大きくかわりましても、さらにこれを引下げする御意向もなければ、また現在引下げなつておらないという実情でございます。御承知通り、本日あたりの新聞を見ましても、船舶その他による海峡運賃——海峡運賃という言葉はちよつと違いますが、海上の輸送運賃相当引下げなつておるということも勘案されまして、ぜひひとつこういう問題はお取上げ願いたいと思うのです。  なおさらにお伺い申し上げます問題は、北海道本州をつなぐ津軽海峡の海峡運賃でございます。これも今までにしばしば申し上げましたから、繰返して言うこともどうかと思いますし、これは公的ばかりでなく、私的にも部長さんの所に行つていろいろ申し上げておりますから、とくと御了承おき願つておると思いますが、あそこの運賃が御承知通り一般運賃の何倍もとられておる関係上、たとえば北海道開拓として百数十億の金をつぎ込まれても、その大半をあそこの運賃で吸い取られてしまうということになりましては、いくら国北海道開拓を叫んでも、その資金を運賃にかけてしまうということになつて、北海道の将来性は考えられないとさえ、極端に言えば申し上げられるかと思うのであります。海峡運賃引下げに関して、運輸省はいかなるお考えで今のところいられるか、また将来こういう見通しを持つという、お見通しを承りたいと思います。特にするめ、塩辛等に関する海峡運賃につきましては、特段の考慮を願わなければならないと思いますが、これに関して部長さんは今のところどういうお見通しを持つておられるか、お伺い申し上げます。
  8. 細田吉藏

    細田政府委員 最初にまずお断り申し上げておきたいと思いますが、先ほど私申し上げました鮮魚冷凍魚、それからするめ、塩辛割引につきましては、実は三月三十一日で打切りになつておりますが、これは等級審議会の御結論相当遅れると思いますので、暫定的にしばらく延長いたすことにいたしております。なおさらにこれを距離を短かくするとか、あるいは割引率を増加するということにつきましては、ただいまのところ一応現状のままで延長させていただきたいというふうに考えておりまして、前に申しました全面的な検討の節にお願いをいたしたい、かように考えております。  それから鮮魚と申しますか、水産物もいろいろ種類によつて負担力のあるものもあり、ないものもあるというお話、ごもつともでございまして、この点につきましては皆様方のお骨折りあるいは御意見で、在来は魚の種類わけは実際現場取扱いといたしまして困難ではないかということから、種類わけをしなかつたのでございますが、先般来鮮魚冷凍魚ともに甲、乙、丙というふうにわけたわけでございます。まあ一段長い間やつておりました鉄道運賃等級から見ますと飛躍をいたしたものと思います。これをさらにわけるかどうかというような点につきましては、現場の実際の取扱いと魚の種類というようなものとどの程度調整できるか、まあ種類わけに全部わければよろしいのかと思いますけれども、取扱上はそう複雑になりましても困るのではないかという点もございまするので、今後十分考えなければならぬと思つております。  それから北海道本州間の問題でございますが、ただいま海運賃値下げ云々というお話がございましたのですが、これは少しく問題が別の角度ではないかと思つております。と申しますのは、海運賃鉄道運賃に比較いたしまして高位にある、本来海運によらなければならぬものも鉄道に来るという形になつておりますので、海陸輸送分野の調整という見地から、鉄道運賃を上げるということでなくて、海運賃を安くして行くという方向に向わなければならぬのではないか、こういう見地からだと思います。  なお青函間の問題につきましては、すでに御承知と思いますが、たしか昭和十五、六年ごろだつたかと思いますが、私も当時関係いたしておりましたが、青函航路二百四十キロを四百五十キロに、約倍の延長をした。このことが非常に前国会でも大分問題になつたようでありますが、これも御説明申し上げるまでもございませんが、運賃を並算する、鉄道運賃航路運賃と並算するという、海と鉄道通算制にいたしたわけでありまして、通算いたしますれば距離が通しになりまして、遠距離になるわけでありますので、運賃がそれだけ割安になるということで、これをいろいろ勘案いたしまして四百五十キロ程度にしたらどうかということでかえたわけでございます。ただ国政策として、北海道から本州へ来るものを、さらに水産物に限らないと思いますけれども運賃上の措置で何か考えなければいかぬ。北海道の開発、開拓というような点から、これをさらに根本的な問題として、青函を上げたとか上げないとかいうことでなく考えなければいかぬじやないかという点につきましては、これは非常に大きな問題でございまして、私どもはちよつと公式なお答えを申し上げることはできないと思います。御意見は大きく政策的にどう取上げて行くかということについては、十分検討の要があろうかと考えております。  なお先ほど申し上げました諸割引も、これは北海道対象にして考えられておるものでありまして、一応の考え方としましては、そういう方向でこの七百五十一キロ、五百一キロという割引はできておる。根本問題として北海道本土間の運賃をどうするかということは、ただいま申し上げたような次第でございます。なお諸外国のいろいろな運賃の最近の傾向をうかがつてみますと、非常にコスト主義と申しますか、原価主義で、実際の経費のよけいかかるものは高くするというような傾向が、かなり第一次大戦後多いようであります。そういたしますと、魚あたりは比較的コストは高いということになるわけであります。私はこの主義がわが国においてはそのように強調されることはいかがかと考えておりますが、これらの点もおそらく今回の審議会で十分御検討願つて、諸外国の例との比較を御検討願おう、こう思つておりますが、コスト主義だけで行くということは私はとつてはならないのだというふうに考えております。
  9. 冨永格五郎

    冨永委員 ただいまの御答弁大体わかりましたが、先般来私ども部長さんに陳情いたしておりました、三月末で特別措置の期限が切れるという点でございますが、これが延長をお認めになるということでございまして、この点はこの機会にお礼を申し上げておきます。  そこ結論的に、さていよいよ会計年度がわりから等級が改正になるからと期待したものは、ことしのものでないというにおいがはつきりいたしたのでありますが、そういたしますと、私どもの現在承知いたします数量が大体十五万俵くらいあるじやないかと聞いておりますが、するめの輸送について、何が運輸省で特別にこれを措置くださいますようなことを、お考え願えないものかどうか。これは御承知通り現在三千百二十円程度のものであります。これに運賃をかけて消費地に持つて行きますと、本年いかつり漁業に着漁する場合に、ほとんど採算原価を割つて引合わないということになる。大宗漁業であるだけに重大な関心を持たざるを得ないのでございます。昨年の暮れ金融措置その他で非常な損失を見ない程度に納まつておりますが、そうした点における強化の手段方法を誤るならば、やはりその轍をふまなければならないと思惟されますが、何か運輸省において特別な措置を講ぜられるような方法がないかどうか、こういう点につきまして、即答ができなければ御検討願いたいと思いますが、特にお尋ね申し上げたいと思います。
  10. 細田吉藏

    細田政府委員 北海道のするめの輸送、これは非常に量的にも多うございますし、大衆の需要をまかなうものでございまして、この重要性については私ども申し上げるまでもございません。ただいまの御質問の中の輸送の問題と運賃、こうなるわけでありますが、輸送の点につきましては、実は青森函館の間を通る貨物が非常に多かつたものでございますから、一部戦争中にも実施いたしておつたのでありますが、中継輸送国有鉄道の手でやることについても研究を進めておつたのでございます。また一部は実施いたしております。ただ最近は一般経済界状況等が原因かと思いますが、大分輸送需要減つて参つて、御不自由かおかけすることが全然ないとは申し上げませんが、相当改善されてよくなつておるような次第であります。なお食糧品輸送でございますので、楽になつたと申しましてもいろいろ問題はあろうかと思いますが、その点は具体的な問題といたしまして善処いたしたいと考えます。  なお運賃の問題は、先ほどお話が出ました七百五十一キロをどうするかという具体的な問題でございますので、さらに帰りまして十分検討いたし、国有鉄道の方へも、ここに岩岡君も見えておりますが、私からも申し伝えまして、具体的の問題は研究いたしたいと思います。
  11. 冨永格五郎

    冨永委員 ほかの委員からまた御質問があろうかと思いますが、私から部長さんに対するお尋ねは、大体以上で終りたいと思います。ただいままで申し上げました通り、特に水産物に関しましては、国民食糧確保という見地から重大な御関心をお持ちになり、御検討を願いたいことを申し添えておきます。  さらに農林省玉置経済課長さんにお尋ねいたしますが、大体今までの質疑答弁によりまして、水産物に対する運輸省運賃に関するお考えを承つたのでありますが、直接担当していただいておりまする玉置課長さんにおかれましては、今後どういうふうにお扱いなつていただかれるかという見当について、農林省としての御所見を承りたいと思います。
  12. 玉置康雄

    玉置説明員 昨年十一月に貨物運賃が上げられまして、現在は全般的に一律にお上げになりましたので、私どもといたしましても、どうにもしようがなかつたのでありますが、その後等級の改正も行われるということを聞きまして、私どもの方で、以来貨物輸送トン数、価格の中で運賃の占める率というものにつきまして、ずつと調査いたしておるのでございます。ただその後等級審議会の方がまだ成立されておりませんので、直接運輸省、国鉄等と交渉する機会はないのでありますが、今後は、農林省として、等級審議会の方には官房長が委員、私が幹事として出ておりますので、その審議会を通じまして交渉して行きたいと思つておりますが、その方向といたしましては、ただいま冨永議員がおつしやいましたことは私どもはまつたく同感でございまして、国民生活必需品につきましては、できるだけ等級を下げていただくように交渉したいと思つております。その生活必需品である水産物の中で、特に大衆的な魚類につきましては、最も優先的に考え運輸省、国鉄の方と交渉して行きたいと思つております。
  13. 冨永格五郎

    冨永委員 輸出まぐろに関する件について参考人が見えておられます。私の質問は省内のことでございますから、また次の機会にいたしまして、玉置課長におかれましては、どうぞ当委員会と連絡をとられまして、御善処くださらんことをお願いいたしまして、私の質問を打切ります。
  14. 川村善八郎

    川村委員長 水産物運賃に関する件はこの程度といたします。     —————————————
  15. 川村善八郎

    川村委員長 次に輸出まぐろに関する件を議題とし調査を進めます。  この際お諮りいたします。米国向け輸出まぐろの関税問題につきましては、さきに本委員会におきまして、直接本問題に利害関係を有する業界の方方より御意見を聴取し、調査を進めて参りましたが、先般業界代表として渡米し、本問題について米国の関係者多数の方々と直接お会いになつて来られました、日魯漁業株式会社相談役平塚常次郎君を参考人に選定し、本問題につきその実情を承りたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 川村善八郎

    川村委員長 御異議なしと認め、さよう決します。それではまず平塚常次郎君より御意見を承りたいと存じます。
  17. 平塚常次郎

    ○平塚参考人 アメリカにおけるまぐろの関税問題が起きまして、先般業界の者がいろいろ協議いたしまして、これに関係を有する全国の業者が東京に集まりまして、まぐろ関税対策協議会を設立いたしたのでありますが、早急にこの問題を打開しなければならぬ必要がありまして、協議の結果、代表者としてアメリカに交渉に行つてもらいたいという交渉を受けましたので、不肖私が代表者として一月二十七日に日本を立つてアメリカに行つたのであります。  昨年の一月、突如としてまぐろの油漬カン詰に対して、従来二割二分五厘であつた税金が四割五分に上つたのであります。また昨年の暮に冷凍まぐろに対して一ポンド三セント——これは時価から換算しますると、ちようど二割の税金に該当するのでありますが、これは議院を通過してしまつたのであります。それで私はあちらに参りましたときに、ちようどカン詰の課税の公聴会が二十七日に開かれておつたのであります。これは油づけのカン詰に四割五分課税されたために、日本の生産者は輸出が不可能になつた結果、油を入れない塩水づけのカン詰を輸出したのであります。それに対して、これは一割二分五厘の税であつたのでありますが、それを二割五分に上げるということであるのであります。公聴会が開かれておつた関係で、急速にこの運動をしなければならぬと思いまして、私はその公聴会の委員長である上院のジヨージという方——この方は財政委員長であつて上院の大物であるのであります。在外事務所の武内所長の紹介によりまして、この方にまずもつてつて日本の立場をいろいろと説明したのでありますが、まことによく親切に私の意見を聞いていただいたのであります。それからさらにスパークマンという上院の議員——この方は先般ダレスと一緒に日本に来られたのでありまして、まぐろのことは日本に滞在中ダレスからさんざん聞かされて、よくわかつているからということを申されておりましたが、自分はまぐろの関税を上げることには反対だという意思をはつきり表明しております。さらにコナリーという外交委員長にもお会いするつもりで行つたのですが、ちようど公聴会の時間と時間がかち合つたために、二度行きましたが、まぐろのことは十分わかつておるので、来週にひとつ会おうじやないかということになりまして、この方には会うことができませんでしたけれども、祕書官にいろいろ参考書類を提出して、尽力方をお願いしておいたのであります。そのほかに下院の有力者のマコーマックという方にもお会いしていろいろとお願いしたのであります。非常に複雑な問題でありまして、カン詰に対しては、議会の問題でなく、向うの国内法に大統領の権限で五割まで自由に上げ下げすることができるという法律がありまして、これは政治的に大統領に頼んで食いとめる以外にないのであります。そこでちようど取引の関係で先般日本に来られた大きな機械会社の社長の手を経て、マコーマックという人にいろいろ運動して来たのであります。  公聴会の模様をちよつと申し述べたいと思いますが、ここでただいま申し上げた方のほかに、スミスという有力な上院の議員、こういう大物がこの公聴会に全部出席して論議されておるのであります。  傍聴の結果を申し上げますと、公聴会に参加しているものは、まぐろに関係を持つておる業者、いわゆる漁撈をやつておる者、あるいはカン詰をつくつておる者の代表者が五十人くらいワシントンに集まつて、盛んに税をかけろとか、また日本のまぐろを輸入することを商売としている関係者は、盛んに反対しておりました。そして業者がめいめい哀訴嘆願するの黙つて議長が聞いておつて、あとで非常に大きな発言をしておつたのであります。日本のまぐろに関税をかけるということは非常に無理じやないか。日本が困るじやないか。日本はドルを獲得するためにアメリカの支払い勘定に向ける必要があつてアメリカに持つて来ておるのに、重税を課してこれを輸入させないというようなことは望ましいことじやないじやないか。そういうものはアジアで売れないものじやないか。アメリカ以外に持つて来ることができないのじやないか。そういうものに課税をするということは穏当でない。議長がそういう意見を述べておるのであります。私どもは反対すべく弁護士を雇い、あるいは日本との取引先の有力な方に大勢出席してもらつて論議を尽したのであります。公聴会は四日と五日間、冷凍まぐろとカン詰めとおのおの別に公聴会を開いて幕をとじたのであります。  私は政治家に話す場合には、日本はアメリカと非常な友交関係を継続しており、ダレス氏がしばしば日本に来られ、日本の吉田総理大臣といろいろの協定をやつて、どうしてもアジアにおいては日本を援助せなければならぬということを言われており、また日本の各国民もそれに同調しておる。一方においてわずかばかりのものの輸出に対して重税を課するというようなことは、両国の親善関係を一部分でも破壊することになるのじやないか。しかもアメリカにおいてはカリフォルニア一州の問題であつて、全米の国民には直接の関係がないじやないか。反対に日本は全国的に関係があるので、日本の水産業者がほとんど全部このまぐろに対しての大きな関心を持つておる。日本としてはそれだけ大きな問題である。もしこれが不幸にして重税を課せられるような場合になりますると、輸出ができないというようになつて、業者が非常に困る。従つて反米思想をあおるような結果に陥ることをわれわれは杞憂しているものである。中共に貿易をやろうと思つても、共産主義の国とはやつてもらいたくないというアメリカの希望通り日本政府は中共に対してもソ連に対しても、共産主義の国家とは取引しないということを吉田総理大臣は声明しておる。そういう際であるから、なおさらわれわれはこの関税問題を食いとめなければならぬと思つて、私は選ばれて日本から来たというようなことを、いろいろ申し述べたのであります。  議会の方面に対してはその程度であるのでありますが、国務省の次官補にも会つております。また国防省の関係の人にも会いました。通産省の関係の人にも会いました。お手元に配付してあります名簿でごらんくださればいいのでありますが、少くも日本関係のある官庁にはそれぞれお話を申し述べたのであります。  元来こういう問題がなぜ起きたかということを少しく申し述べてみたいと思うのでありますが、一昨年日本のまぐろカン詰が、過去にない大量のものをアメリカに輸出したのであります。百四十万箱のカン誌を輸出した。これに刺激を受けまして向うの生産者が非常に騒ぎ出して、日本から大量に来られると、われわれの商売に非常に影響するからということで、われわれの知らぬ間に運動して、そしていわゆる大統領の権限で二割五分の関税を四割五分に引上げたのであります。ところが、カン詰に重税が課せられたためにカン詰の輸出が不能になつた、その結果として今度は冷凍まぐろを昨年は一万六千たる輸出した。これも過去の実績がそれほど大きなものがなかつたのでありまして、これにもおびえてしまつて、カン詰を封ずると冷凍で攻めて来るというので、冷凍の方の関税に対しては、太平洋のまぐろ漁業組合というものがありまして、これが相当大きな組織のもとに活動して来たのであります。そして議会の問題となつて、下院を通過したのであります。これを上院で食いとめるということであるのでありますが、向うの言い分を聞きますと、日本は無統制に濫売もするし、数も無限に持つて来るというので、非常に自分たちのまぐろの商売の妨害になるからということが動機となつて、カン詰の関税の問題を起したのであります。幸いにして国務省には、先般日米加漁業条約を締結しましたときのアメリカの代表、過去において日本の水産部長を長くやつておられたへリングトンが国務省におりますので、ヘリングトンと親交の間柄でありますから、関税の問題について何回も会つて私はいろいろ相談をしたのであります。結局この問題を起したものは、一つは漁業組合が結束して運動を起した。もう一つはカン詰の生産者、しかもそれはロスアンゼルスに大きな生産者が二軒あるのであります。一つはヴアン・キヤムプと言いまして、有名な大きな会社であります。もう一つはフレンチ・サーデインという、これも何百万箱というまぐろのカン詰をつくつておる。この二つの関係者がワシントンにおいて運動した結果であるのであります。そこでこれを食いとめるということは、政治的になかなか困難でありますが、結局この二つの団体と申しますか、関係者に了解をさせる以外に方法はないと私は考えまして、ヘリングトンの好意によりまして、さきにツナ・ボート・アソシエーションの専務理事をしておるチヤップマンという人、これは前には国務省におられた方でありますが、この方と私は非常な長時間いろいろ懇談をしたのであります。無統制に持つて来たと申しながら、アメリカの生産高の二割くらいのものを持つて来たからといつて、アメリカの市場を撹乱したと日本は思つていないのだ、そういうことはひとつ了解してもらわなければならぬ、しかしこういう問題を起した以上は、われわれは過去のように無統制に決してやる意思はない。濫売もしなければ、あなた方の商売にじやまにならぬようにする。現に原料においては、アメリカの原料が足りなくて、南米からも日本からも冷凍を持つて来て、カン詰にしておるじやないか。そのために漁業者のとつた魚が余るというようなことになつておらぬじやないか。もちろんこれはアメリカの市場の関係が悪いときにはじやまになるだろうけれども、幸いにして売れ行きがいいのであるから、どんどん日本から持つて来て足りなくて、南米からもとつておるのに、あなた方のどこにどう妨害になるか、ぼくは了解に苦しむ、というような話をしますると、無制限に来られたときは非常に心配だから、関税をかけておかなければならぬというようなことを申しておりますので、それは無制限に決して持つて来ない。要するにアメリカのマーケット次第だ。売れ行きの悪いときには日本は手控える。売れ行きのいいときには持つて来たつて、あなた方にじやまにならぬじやないか。また関税をかけても日本コストが安いから入る、こういう見方をしておるのですが、それは誤つたお考えです。ヘリングトンが一番よく日本のことを知つておるでしようが、日本は昔のまぐろをとつておつた時代と今日とでは全然趣きを異にしておる。漁船も大型の漁船をつくり、またいろいろの戦後の法律ができて、労働賃金も上つており、また税金も高いし、とうていアメリカの輸入税に対してはたえられるものではないということを話しました結果、そういう話をするなら、もう二年くらい前に来て話をしてもらえれば、関税問題などを起さなかつたのだというようなことを言うておりました。一昨年、昨年と日本が輸出したことが、ただ将来無制限に来るということの不安があつて、運動を起した程度であるのでありまして、あまり根底の深いものではないのであります。それからもう一方の運動をしておる有力なヴアン・キヤムプ、フレンチ・サーデインの社長と副社長と私はいろいろ懇談したのであります。日本が油づけに課税されたため塩水づけのものを持つて来た。これはわれわれがカン詰の販売上非常に支障を起こすものである。こういうものを大量に持つて来られるということは非常な脅威だ、こう言う。これは脅威なわけでありまして、油は入つておりませんし、税金が低いですから、非常に価格が安い。日本はつくれば幾らでも持つて行けるのでありますから、これまでわれわれが大量につくつている油づけのカン詰に、安いみばの悪い、そうしてある年限を経過すると内容的にも変化をするようなまぐろのカン詰をアメリカへ持つて来られては、自分たちが長年宣伝もするし、努力をして大量に売られるようになつた油づけのカン詰に影響する。まぐろのカン詰というものは今までよかつたけれども、どうも品質も変化するし、みばも悪いというようなものは、それだけ油づけの方に影響する。何とかして塩水づけのまぐろをつくらないという方法はないかと言うから、それはある。大体日本もこういうものをつくつてまでも持つて来る意思はなかつたんだけれども、あまりに一方的に税金が高くなつたものであるから、やむを得ずこれは持つて来ている。もし油づけのカン詰の関税が引下がるのであれば、われわれはブラインと申しおります塩水づけのカン詰を一箱もつくらぬということは、対内的にまとめることができる。それは非常におもしろい問題である。ほんとうにそれだけの統制力をあなたは持つておるか。それはぼくが立つ前にいろいろ協議会で協議した結果、これは全権を委任されて来ておるんだから、必ず一方の税金が下るならば、あなた方のいやがるブラインのカン詰は輸出しない。しかしながら関税が下るということは、早急に行くものでもないから、少くとも五二年、五三年、すなわち今年と来年、この期間内において、あなた方がアメリカの国民としてアメリカの政府を動かして——大統領の権限で下げられる問題であるから、その方の運動をしてもらいたい。もしそれが成功するならば、われわれはあなた方のいやがるブラインは一箱も持つて来ない、私はこういう返事をしたのでありますが、それに対して、一体君たちはどのくらいの数量を希望しておるかと言いますから、私はカン詰に対してはアメリカの生産高の大体一割五分くらい——本年と来年二箇年間はあなた方の生産高の一割五分——割五分ということは、約百万箱に該当するのでありますが、それ以上は手控えよう。どんなにあなた方が今ブラインの入ることが困ると言われても、われわれはそのカン詰持つて来る以外に方法がないのであるから、二箇年間はあなた方も忍んでもらわなければならぬ。もし油づけのカン詰の関税が下るならば、将来一箱も持つて来ない。数量においては、アメリカの売れ行きによつて、あなたの方が大量の生産をして、それが楽に売れた場合に、日本のカン詰が多く入つたからといつて、市場を撹乱するようなことはないじやないか。もちろん将来輸出に対しては、責任のある、信用のある商社に限つて、だれにでも売るというようなことはしない。しかし日本にも独占禁止法があるんだから、ある程度の自治的統制はできるけれども、完全な統制はできない。一部分流れて来ることがあつても、それはあまり気にとめないでもらいたい。今までのようなことをやつてもらつては困る。それでは一体どういうことをあなた方気に入らないのかと言うと、五百万も七百万も売つておる先に持つて来て、三百箱でも五百箱でも、だれにでも買いにやれば日本は売つておつた。それは小売屋が日本から直接買うようなことをやられると、非常にわれわれの妨害になると言うから、もうそういうようなことは絶対しない。アメリカに店舗があり、日本において相当信用のある輸出業者にこれを取扱わせる。さらにカン詰は買取り会社をつくつて、その買取り会社が輸出業者を使つてアメリカに輸出することになるんだから、あなた方の心配するようなことにはならない、こういうことを私は強く主張した結果、わかつた。しかしながら今関税を上げろという運動をしておるのに、自分の商売に影響するから、油づけのカン詰の税金を下げろという運動はやりかねる、非常にやりにくいというのです。いろいろ話した結果、それではこういう方法をとろうということに意見が一致した。私は日本に帰つて日本のまぐろカン詰対策協議会の代表者高碕達之助君の名において、日本代表とアメリカのカン詰業者の代表会議をした結果を文書にして、油づけの関税を下げるならば、ブラインは一箱もつくらぬということが、両者の間に意見の一致を見たという書類日本の政府に提出して、日本の政府が、これをワシントンの政府に送つてもらいたい。その結果として必ずワシントンからわれわれの方に交渉があると思われる。交渉があつた場合、これは非常にいい協定であるのだから、そこで税金を下げるということに到達するのではないか、こういうことで話合いをして、私はわかれて日本に帰つて来たのであります。帰る早々業界の関係者に報告をし、ただいま申し上げたようなことを文書にして、先般外務、農林、通産省あてに出して、その許可を得おります。そうしてなるべく早くアメリカ政府にこれを伝達してもらいたいというふうにいたしたのであります。  公聴会の結果、一つは大統領の権限、一つは上院がこれを、下院を通過したものを通すか、あるいは食いとめるかということに対しましての見通しは、私は冷凍はおそらく無税だろうと思います。しかしながら制限を加えようという意思が非常に濃厚である。つまり無税のものに対しては、ある程度の分量をきめて、それ以上来たものに課税するという制限の方法であります。クオーターという言葉を使つております。どうもアメリカの国民の運動を押えつけるわけには行かない。しからばといつて日本を非常に窮地に陥れることも困るというので、おそらく上院はこの問題を長くひつぱるか、あるいは今のクオーター制を採用して解決するかという、二つの問題がまだはつきりいたしません。私の見通しとしては、ただいま申し上げたように、冷凍箱に対してはクオーターを採用し、一定数量以上のものに課税されるということで解決されるのではないか。カン詰の方は定率が二割五分であつて、今一割二分五厘ですが、これが最悪の場合に定率まで税金が上る可能性がある。うまく行けばすえ置きになるかもしれぬのでありますが、これは私は確信を持つておりません。業者に対しては一方一割二分五厘税金が上つても、生産コストにそれほど大きな影響がないだろうから、とにかく百万箱までつくつて輸出するようにしなければいかぬ。冷凍の方は大体において一万二千トンということを向うに申し入れてあるのでありますが、これくらいの数量で押えておきませんと、再び関税の問題が起きるのであります。日本として、水産物の輸出としては非常に大きな問題であります。ゆえに一千四、五百万ドルの輸出ができるかできないかの大きな問題でありますので、そこまでこぎ着けたことは、ある程度まで私は成功したものと思われるのであります。しかしこれはこのまま安心してはいかぬから、さらに人を派遣して、そうして将来たえず向うの業者と接触を重ねて、再びかような関税の問題の運動を起さないようにしなければならぬと思いまして、目下いろいろ協議を重ねております。  また輸出の一種の制限でありますが、独占禁止法がありますので、国民に対して制限をするということはいろいろ困難であると思いますが、関係者の大部分が自治的統制を行えばそれで私はよろしいと思つておるのでありますが、ただ業者だけでこれを自治酌統制ということは、やはり困難が伴うのでありまして、先般来通産省と農林省関係官に、役所の方でも法的に考えて輸出の制限もし、業者が非常に多いのでありますが、多くできた場合には翌年に持ち越されて行けばよいじやないか、いわゆる生産過剰のものは、翌年度の輸出にして日本にストックして置く、そうして向うとの公約をして来た冷凍は一万二千トン、カン詰は百万箱くらいで輸出をとめるように、これは官庁も業者に協力してやつていただきたい、こういうことを目下交渉中であります。群の方もいろいろそれに対して研究されておるようでありますから、私はせつかくそこまで行つたものを、また無統制にして再び彼らに刺激を与えないようにしてもらいたいということを言つたのであります。ちようど往復一月でそれだけの運動をして、私は帰つたのであります。  大体以上をもちまして、私の御報告にかえたいと思います。
  18. 川村善八郎

    川村委員長 ただいま輸出まぐろに関する件について、参考人より御意見を聴取いたしましたが、参考人並びに政府当局に対し御質疑があれば、これを許します。  まず参考人に対し御質疑を願います。
  19. 二階堂進

    ○二階堂委員 先ほどの平塚さんの御報告にもありました通り、まぐろ輸出の関税引上げの問題は、その及ぼす影響がきわめて甚大でありまして、私どもも先日の委員会におきまして、この問題を取上げて、国内的にもまた国際的にもよつて来たつた原因を深く検討をいたして、これが解決に根本的な施策を講じなければ一大事になろうかと考えて、そのことを申述べたのでありますが、先般平塚さんが民間の代表としてアメリカに渡られまして、政府当局、議会、あるいはまた業者等と親しく懇談されまして、わが国の実情あるいは今後の措置等について、真剣に御努力を払つて来られたことに対しましては、深く敬意を表するものであります。しかしながら、問題は根本的に解決されたわけではないのでありまして、アメリカの関税委員会においても、まだこの制限の対策について研究中であるように伺つております。国内的には、申し上げるまでもなく、数万に上るまぐろ漁業に従事しておる漁民大衆がおります。なおまたカン詰の業者並びに冷凍輸出の業者、こうしたこのまぐろに深い関係を持つておる団体の方もおられるわけでありまするが、かりに今平塚さんのお一話の通りに、ある程度の明るい見通しで、この問題が解決されたといたしましても、まぐろ漁業に従事しておる漁民、あるいはカン詰業者、あるいは冷凍輸出業者等の受ける影響というものは、きわめて大きなものがあるのであります。そこで私どもはアメリカの事情は別といたしましても、かような結果が大体予想されるに至つておるものと考えてさしつかえないと思うのでありまするが、本日の新聞にもあります通り、あるいはまた今平塚さんの御報告の通り、大体の見通しといたしましては、おちつくところは冷凍輸出が一万トンそこそこ、カン詰が百万箱といつたような、わが国の自主的な制限におちつくのではなかろうか、かように考えられるのであります。こうなつて参りますと、わが日本の水産界といたしましても、非常なある程度の犠牲をこうむらなければならないのであります。大体従来日本のまぐろの水揚高から考えまして、最低の輸出可能量というものは、四万トンないし六万トンではないかと考えております。そういたしますと、冷凍大体一万トンの輸出を可能とし、かつまたカン詰が百万箱と申しますと、大体二千五百万トンぐらいになるのではないかと思つておりまするが、そういたしますと、どうしても日本のまぐろ業者が立つて行く上においては、四万トンないし六万トンのものを国外に持つて行かなければ、日本のまぐろ業が立つて行かない、あるいはカン詰業者も立つて行かないし、冷凍輸出業者も立つて行かないというような窮地に陥ることは、火を見るよりも明らかなわけであります。かようなことを考えてみますときに、今日発表になつておりまするような数量を、大体一万二千トンぐらいのものを冷凍まぐろの輸出の自主的な制限高とするといつたようなことを、数字をもつて一応御発表になつたのは、先般アメリカに渡られて、諸般の事情等を深く考えられての措置とは考えまするが、この点は非常にまずかつたのではないかと、私は遺憾の意を表せざるを得ないのであります。しかしながら大局的な立場に立つて、一応そういうような措置考えられたといたしましても、今後国内におけるところのまぐろ業者の今後の立ち行く道を、一体どういうふうにお考えなつておるか。たとえば水産業者がまぐろをとつて参りますと、輸出の制限を受けておりまする関係から、カン詰の業者、あるいは冷凍まぐろの輸出業者というものと三社との間にも、いろいろな問題が、私は起つて来るのではないかと考えるわけであります。あるいはまた輸出面に、ある程度の自主的制限を加えておきながら、生産者の方においては魚を自由にとらして、漁獲高をふやして行くというような措置が続けられて行きまするならば、当然その結果は、まぐろ漁獲に従事しておる漁民の方に、非常な負担のしわ寄せがやつて来るといつたようなことも考えられるのであります。こういつたような国内におけるまぐろをとつておる水産業者、カン詰業者、あるいは冷凍輸出業者との関係の調整を、どういうふうにとつて行かれるようなお考えで、こういうような数字を、向うに行つておきめになつたのか。これらの点について、平塚さんの御意見を承りたい。
  20. 平塚常次郎

    ○平塚参考人 ごもつともな御質問ですが、過去二箇年の実績というものから行くと、今の数量にちようど該当するのであります。一昨年カン詰が百四十万、去年は六十万箱出て行つた、二箇年に二百万、これは自由にやつてもそれ以上できなかつた。それより行かなかつた。冷凍もそうです。一昨年は一万トン行かなかつた。昨年は一万六千トン行つておる。この二箇年の平均ではやはり一万二千トンに達していない。ただマッカーサー・ラインが解けて、まぐろの漁場が拡大される。従つてまぐろを大量にとれるように私はなると思つておるが、関税を食いとめるために、過去の実績だけはとつたのであります。将来のことにつきましては、要するにアメリカのまぐろのカン詰の売行きが非常によくて、どんどん向うが売行きがいいというと、アメリカの今の領土の沖合いでとつておるまぐろというものは、昨年七百万箱よりできていない。さらに南米と日本からの冷凍によつてできたものが二百万箱ある。これが売行きがいいから日本からも買い、南米からも買つておる。売行きがいい場合には私は条件をつけておる、それは制限をすべきものじやない、売れるのなら何ぼでも日本から持つて来ても、あなた方のじやまにならぬじやないか、あなた方が今おとりになつておるのは、これ以上伸びないじやないか、結局日本のまぐろとアメリカのまぐろに依存する時代が必らず来ると私は言うておる。またアメリカのまぐろに関係する雑誌を見ますと、まぐろのカン誌の将来というものは、おそらく二千万箱に達する時代が来るだろうという非常に参考になる雑誌を私は見ておる。そういうようなかりに将来二千万箱までこの商売が伸びるとするならば、そのまぐろは一体どこから持つて来るか。南米ももちろん今盛んにとつておりますけれども日本の方がはるかに多い。ですからとこ二年間しんぼうして、一応この関税を引下げないというと、これは百万箱のカン詰も行かなくなるおそれもある。先ほども申しましたように、ブライン、いわゆる塩水づけのカン詰を継続的に多く持つて行けば、四割五分の税金は必らずかかる。油づけは四割五分で、塩水づけが今一割二分五厘で、定率が二割五分です。向うの説明だと、コストは同じだ、油が入つてないだけの問題じやないか、だから同率で行くのがほんとうじやないかということを、向うが盛んに主張しておりました。ですからここで向うに安心を与えまして、とにかく税金を引下げなければ、将来日本のまぐろが発展しようと思つても、発展の仕方がない。ただいま四万トンか六万トン、これは私はそんなものじやない、もつと将来どつさり行くと見ておるのでありますが、今の協定から行きますと、百万箱のカン詰は、原料として二万四千トンに該当しております。ですから冷凍が一万二千トンというと、三万六千トンのまぐろは本年、来年と楽に行けるということであります。将来に対してはそんなことではない、もつと大量に私は行くものと想像しておる。向うの売れ行きを——方々の家庭へ行きましても、まぐろのカン詰を持つてない家庭はない。どうしてこのまぐろがそんなに売れたかというと、アメリカの物価はそれほど上つておりませんけれども、肉が非常に戦前より高くなつておる。どの家庭でも肉が思う存分食えないのです。従つて魚にかえている。ところが向うの家庭を見ますと、金持でも今日女中を使つておらぬ。どんな家庭でも生の魚を処理することはしないのです。海岸の家庭は別といたしましても、都会の家庭では、生の魚を買つて処理するということは、女中がいないためにおつくうだ。それで手取早い魚のカン詰——というと大量にあるものは、まぐろのカン詰だけです。もうサモンは非常に減つております。結局まぐろが安くてうまくて重宝だということで、まぐろが消費されまするから、まぐろの将来というものは非常に大きいと私は見て帰つたのであります。ただここで関税を引下げるために、そういう暫定的の協定をしたのでありまして、それも今年と来年だけだぞということを私は強く向うに主張して帰つたのであります。現実の問題とすると、昨年、一昨年のまぐろの輸出というものの数が減つておらぬということを重ねて申し上げておきます。
  21. 二階堂進

    ○二階堂委員 非常に明るいお見通しを持つておられるようであります。私も一昨々年参りまして、非常に向うの人が魚のカン詰を要求しておるという実情を見て参りましたので、このカン詰の輸出あるいはまた向うの需要が高まつて来るということについては、ある程度私も同感の意を表するのでありますが、当面いたしておりまする関税を引下げるために、暫定的にこういう措置をとらなければならぬということになつたのだということであります。この点は私どもも一面将来を考えて、当然のことと思いますが、また一面先ほど申し上げましたような、日本国内における事情等も深く考えて行かなければならないきわめて大きな問題が潜在しておるように考えましたので、その点をお伺いしたわけであります。  なおもう一点私お伺いいたしたいことは、対米まぐろの冷凍輸出が約一万二千トンというような御意見を持つておられると思うのでありますが、こうなりますると、一体輸出をされる場合に、たくさんの業者もあることと存じますが、この数量をどういうような方法でもつてこれらの会社に割当てられるお考えであるか。これらの問題も、これは国内における輸出業者と、あるいはまたアメリカ等の会社が日本にも支社を持つておると思いますが、こういうような会社との間にある程度の競争も考えられると思うのでありまするが、こういつたある程度の輸出制限のわくをもつて輸出するということになりますと、これらのわくの割当をどういうふうに持つて行くべきであるか。あるいはまたアメリカの会社が一万トンくらいの要求を申し込んで来た場合に、わずか二千トンくらいのものしかなかつたというような最悪の場合が考えられると思うのでありますが、こういつた事態になつた場合にどうすべきかということも、当然私どもの方としては考えて行かなければならぬことと思うのであります。こういう点について平塚さんはどういうような御意見を持つておられるか、伺いたいと思います。
  22. 平塚常次郎

    ○平塚参考人 これは今日本に冷凍協会というものがありまして、その冷凍協会の方で部会を開いて毎日協議しておりますが、なかなか割当が困難であります。そこで完全に法律的に制限するということは現在できないので、ある程度まで大きな生産者が協議をして、大体の割当の案がおそらく出て来ると思う。しかしながら、それは完全なものじやない。それ以上必ずふえると思うのです。私はその場合には、翌年の分としてストックする以外にないのじやないか。完全な統制ができぬならば、独占禁止法でも改正になれば、これはきわめて簡単なことであるけれども、この独占禁止法が改正されない限りは、大体の割当をやつて、そうしてしまいに数がふえたら、それは一時ストックしておいたらいいじやないか。年度がかわつたらすぐ出せる。それから冷凍の方も、それでは幾らでもあるかというと、去年はカン詰を六十万箱つくらないから冷凍が多く行つた。今度はカン詰を多くつくるということになれば、冷凍とまぐろの争奪戦が起きる。現実にそんなに大量にないのです。マッカーサー・ラインが解けるといつても、これは資本漁業でないとなかなか行けないのです。それでそんなに生産過剰にはならない。それから冷凍のまぐろは向うはとんぼまぐろです。とんぼ以外に向うは買わない。とんぼというものは、昔からそんなにとれない。それでカン詰の方でとんぼがほしくても、今手に入らない。冷凍の方がとんぼを盛んにかき集めるものですから、まぐろが急に余るということは、そうも考えられない。将来は必ず出ます。今アメリカに輸出する冷凍まぐろというものは、とんぼまぐろなんです。ところがとんぼまぐろは、御存じの方はすぐわかると思いますが、これはそんなにない。しかしながら、私も将来伸びるというものは、マッカーサー・ラインが解けてもつと南に行くと、とんぼはとれませんが、きわだがとれる。きわだのまぐろはまだ向うから引合つていない。これは将来とんぼがとれなくなれば、きわだが行くということになるのが当然であり、私どももそう指導して行かなければならぬと思うのであります。それまでにいろいろの問題が解決するのじやないか。だから今年、来年はこの程度で押えて行く。しかしながら関税が下つて売れ行きが非常にいいと、数はもつとふやしても文句を言わないと思う。要するに売れ行き次第なんです。どうも去年のあの上げ方なんかを見ると、われわれが何にも知なぬうちにぱつと上げてしまうのですから、あれをやられたら一箱もつくれません。ですから刺戟を与えないようにして、日本の過去の実績だけは少くとも獲得したというので、業者は大体納得しているのです。それで一年がまんしたまえ、将来性はあるのだからということで一応納得して、今毎日カン詰の方も——カン詰でもそうです、割当なぞきつくできないのです。法的の強制力はないのですから。それで法的でなくても、自分の商売だから、お互いに損をしてまで競争することはないから、ある程度自主的統制をやり、また役所は法的にある程度まで援助できることはやつてもらいたいということであるので、六万トンとか、八万トンとか言いますが、そんなことはない。われわれは将来に対しましてはもつとどつさり考えておる。今とにかく二箇年の実績だけを獲得したのでありまして、原料の関係をいろいろ考慮すると、漁業者が困るようなことにはならぬと私は思います。
  23. 石原圓吉

    ○石原(圓)委員 詳細の御説明でよくわかりましたが、そこで平塚さんの御予定通りに万一行かぬ場合には、金融の関係でカン詰業者が保有できる。それを売りくずすというようなことが起らないものか。もしそういうことになれば、せつかく努力してもしんぼうし切れなくて、ひそかに売りくずすということになることを非常に恐れるわけでありますが、ことに現在においては、とんぼに税を課せられるものと見て、カン詰業者は買い取つておる。御承知のように、とんぼはまぐろのうちの一番下等であるということになつておるのでありますから、きわだその他の本まぐろで腹がふくれる限りには、とんぼは内地の人々はそうたくさん食べない、そういう情勢になつておる関係上本年も先年よりは相当まぐろの水揚げ価格が安い。従つて漁獲は振わないというような情勢にあるのでありますが、この問題を解決するには、あくまでも価格を維持して投売りをしない。たとえば近い将来に生糸の価格を調整するために、政府はその法律をつくつた。これは輸出に対しては、まぐろの輸出も生糸の輸出も外貨獲得の上にはかわりはないのでありますから、そういう点も大いに考慮を要すると思うのであります。  もう一つ考えるべきことは、いわゆるアメリカのカン詰業者との間に価格を維持でき得る方法というようなものについて、何か御参考になるようなお話があれば承りたいと思うのであります。
  24. 平塚常次郎

    ○平塚参考人 価格は、カン詰の方はカン詰買取り会社をつくつて、いわゆる生産者の共販をつくりたいのだけれども、これはできませんし、第三者の資本をもつて買取り会社をつくる。今の見通しから言うと、八割五分くらいまではその会社が取扱うことができる。そうすると向うと競争するという必要はないのですけれども、売行きが今現実はいいのですから、安く売られたりするから小さな商人に売らないでくれということまで、向うのニューヨークの輸入業者も全部言つているが、今度こういう統制でやるのだからそれは心配するな。それからつくる方の技術においても、日本は手詰めであるし向うは機械詰めなので、日本の物は非常に外見がいいのです。それに今塩水づけですから向うと比較するものがないし、これは安いから非常に売行きがいい。今どんどん注文があつて日本には物がないのです。昨年より二ドルも上つているのですが、原料がない関係からさつぱりできないのです。これからシーズンですからだんだんできると思うのです。だから物がよくて安く売る必要はない。将来、油づけは向うの物はかなわない。それで向うの連中は、日本の油づけは手詰だし、われわれの物より品質がいいから、一ドルぐらい高く売れということをあべこべに言うておる。そう言つても、それはりくつはそうだが、あれだけあなた方は広告して宣伝して、そののれんは大した数あるので、日本のものは幾らいいといつても、あなた方のものと競争して高く売るということは不可能である。ただあなた方の値段をくずさなければいいだろう。値段だけは絶対にくずしてもらつては困る。われわれは物がよくて同じ値段で売るのなら決してあなた方の心配するようなことはないというので、売行きがいいというと、すべての商人がそうでありますが、売ることにはあまり心配をしておらぬのです。今暫定的に塩水づけをつくるということは、これは競争品じやないですから楽に売れます。ただ百億できるかできないかということを心配している。とんぼまぐろは手に入らない、かつおでもつくるより仕方がない。きわだは手に入らない。結局かつおに伸びて行くので、ぼくはかつおは国内で消費して、なるべくきわだでもそういう原料でカン詰にしてもらいたいということを希望しておるが、百億というと二万四千トンいるから、百億はよほど努力しなければできないじやないかということは、冷凍と競争して冷凍にかなわない。冷凍の方は無税になるとなおさら冷凍に競争されて、とんぼをとられてしまう。およそあれだけたくさんあるカン詰業者が原料難にならないように、水産関係の人はひとつ援助をしてもらわなければならぬと、私はこう考える。南の方に発展性があるけれども、それは資本漁業として発展するので、沿岸漁業は、大きな二百トンくらいの漁船をつくらなければ、まぐろカン詰は手に入らない時代が来ると思う。皆さん業者で気がついているのだから、私は二年後には南方のまぐろを原料にしなければ、日本のカン詰が幾ら売れても大量にできない、それは原料次第である。資本家の方は伸びます。南の方は母船を持つて行くなり冷蔵船をやるならば、この原料は無限大になることと思う。アメリカの売行き次第であるが、さしあたつて今現在ある六十幾つの工場というものは現に原料難です。とつたのを余つて困るというような業者の方に、漁師の方に迷惑のかかるようなことは考える必要は私はないと思う。
  25. 石原圓吉

    ○石原(圓)委員 ことし原料が少いのは、まぐろの出漁を準備して、沖へ出、る出ばなをくじかれたというような形でありまして、要するに関税を——アメリカが税を引上げるという声が大きくあり過ぎた、そのことがまぐろ漁業者に非常な萎縮的な悪影響を与えて、どの県にもまぐろ出漁の船の数が前年より非常に少いのでありまして、これはまずたいへんな不利益であつた。それでありまするから、ただいまお話のあるように、向うが急に人気がよくて、二割も二割半も高く買うというようなことは早く知らしめて、そうしてまたカン詰業者が、やはりそれだけ高く漁業者から買つてやらなければ漁業の方の高がふえない、こういうことになりますので、その点はむろんカン詰業者がアメリカの値上りだけよけいもうけておくというような考え方は絶対にないとは信じまするけれども、そこに利益を均霑するということの今後の政策が必要だと思うのであります。それからまたかつおが非常にとんぼやきわだにかわつて行くということになれば、これは日本の内地へ持つて来て、カン詰につくる方がいいか、南方のどこかヘカン詰工場をつくつて、鮮度の落ちないようにしてやつて行く方法考えなければならぬ。そういう意見でありまするが、はたしてとんぼがなくてもこのかつおが代用品として相当アメリカの方で需要があるものでしようか、その点はいかがでしようか。
  26. 平塚常次郎

    ○平塚参考人 今かつおも相当売れております。しかし向うはやはりとんぼがほしいのです。とんぼでなければきわだの方がいいのです。どちらかというと南米はみなきわだです。さしあたりの問題はきわだが手に入らないと、工場はとんぼが漁でも悪ければ、かつおでもとるよりしようがないだろうと思う。だからあなた方が少しあつせんしてやられるならば、南の方はきわだが多い。アメリカのすくのはきわだです。とんぼが一番いいけれども、南に行けばみなきわだだ。私の心配しておるのは、百万箱もどんどん注文があつても受入れられないことです。漁師の方はいいんです。競争さして売るのだから何ぼとつても何も心配ないのです。それからカン詰の方は相当マージンがあると思います。一割二分五厘の税金が二割五分になつてもマージンはあるが、冷凍の方は競争で買うのだから、去年あたりから輸出してもだれももうけていない。日水なんか九千万円損をした、だめなんだ。とことんまでカン詰と競争なんです。カン詰の方は、今ブラインは税金が安いからほくほくなんです。カン詰は注文があつても物がない。二ドルも上つた、えらい上り方ですよ。私がニューヨークにおつたときも、みながこんな関税の反対運動しておる間に二ドルも上つて、商売して損したと輸入業者はくどいておりましたよ。ですからまぐろの将来性はあります。漁師がとつたものを余すなんという心配もないし、両方が競争して買うから、結局漁師が一番歩がいいでしよう。
  27. 小高熹郎

    ○小高委員 ちよつと平塚さんに簡単にお伺いします。私ちよつとおそくなりまして、途中からお話を承つたのでありますが、アメリカのまぐろの関税が上りましたことの動機について、われわれは、通商条約が完全に締結できて、しかる後まぐろの輸出という問題になれば、輸出の直前におのおの正当な政治的折衝ありまして、取引の成立がきまつて参りますので、そういうことになればアメリカ側を刺激しなかつたかとも思われるのでありますが、急遽四五%の税率を課するに至りましたところの直接の動機は何でありますか、あなたの御存じの範囲内において御説明願いたいと思う点が一つ。それからアメリカの輿論を刺激いたしました、この輿論の中にも生産業者の輿論と消費者の輿論というものがあろうと思うのであります。その消費者の輿論というものは、一銭でも安いものを歓迎するんじやないか。アメリカの全国民が金満家であるとは考えられない。中にはルンペンもある、貧乏人もある。そこでさような消費団体と何らかの御交渉を持たれたことがございますか、おありとすれば、その経過もひとつ参考までに承りたいと思います。
  28. 平塚常次郎

    ○平塚参考人 関税のその問題の起きた経過は、さつきここで三十分ばかり詳しく説明しておりますから、あとで速記録を読んでいただきたいと思います。今度はぼくは一月二十九日に着いたのですが、公聴会は二十七日から開かれた。それまでいろいろ手を打つて日本のまぐろを扱つておる人は商売ですから反対したが、行つて見ると、消費者の団体には運動をやつていない。そこまで手が伸びなかつた。これは消費者の声が一番いいのです。だからぼくは、政治家に向つても、この問題はカリフォルニアだけの問題で、全米においては何も関心を持つておらない問題じやないか、むしろ消費者は安い日本のカン詰が来る方を喜んでおる。消費者の団体の運動がない間に、生産者だけで、カリフォルニアだけで問題になつたんじやないか、これはよくない、こう私たちは強く主張したのです。つまり漁業者の団体、ツナ、ボート・アソシエーシヨンに先般チヤツプマンがものすごい高級をもらつて雇われ、それが一人でやつておる。バン・キヤツプとフレンチ・サーディンという二百万、三百万という大きな二つの会社が三十万ドルも使つて今度はやつたのです。われわれは一万ドルくらいの金を持つて行つて対抗も何もできない。それで将来これは継続しなければならぬ。弁護士だけは雇つていますが、あとは消費団体に働きかけなければいかぬと思う。関税を上げようとかかつておる者は金を使つておる。みな金を使つてやらなければ太刀打ちできない。これは同じように、ヨーロッパからのチーズに税金をかける問題があるのです。チーズはアメリカの生産高の一割輸入しておるが、ヨーロッパのチーズはうまい。これに関税をかけようということで業者が政治家を使つてつたのです。これはよほど金を使つたのです。全米の新聞に出ておつた。これはとうく食いとめになつたが、これは消費団体が全部で反対した。方々の家庭に行つても、食堂に行つても、まぐろのカン詰と言うと、必ずこれですかと言つて日本のまぐろのカン詰を持つて来るくらい行き渡つておるのです。そうして、どうして日本のまぐろは安いのですか、われわれけ喜んでおるのですが、とみな言つておる。だから将来運動するときには、消費団体にもう少し手をつけなきやだめです。それには金なんです。金がなければどうにもならぬ。
  29. 川村善八郎

    川村委員長 これにて輸出まぐろの関税問題についての参考人よりの実情聴取の件は終了いたします。参考人には御多用中のところ、長時間にわたつてお引きとめし、本問題につき、それぞれその実情を明らかにされ、本委員会としても、今後本件調査の上によき参考となりました。たいへん御苦労さまでございました。これにてお引取りを願います。  なお政府当局に御質疑があれば、これを許します。政府当局からは、通商産業省通商振興局長井上尚一君、農水産課長日出哉君の両人が出席されております。
  30. 川端佳夫

    ○川端委員 政府当局にこの問題に関連して伺うのでありまするが、先ほどから平塚氏のお話を伺つた中に、一部の業者の関税引上げ運動が奏効いたしまして、こういう結果になつておるんだというような結論的なお話があつたわけですが、水産委員会では、ここのところを重要な問題として、北洋出漁の問題がこの問題に関連をいたして論議をされて参つておるのであります。要するに関税の引上げの問題、こういうようなことの緩和策にも、今度かに工船を断念することによつて、ひいては向うの漁民の感情までもやわらげなきやならぬじやないかこういうふうなことでもつて、渦般日本政府は、かに工船の出漁の断念を一応決意したといういきさつになつておるのでありますが、これはアメリカの一部の生産業者の、先ほど具体的にお話があつたような猛烈な運動が奏功いたしたのであつて、消費者その他はもちろん、政府当局も必ずしもこういう大方針ではなかつたようなお話であるが、今後の交渉によつて関税が暖和される見込みがあるのかどうか。かに工船の中止を感情をやわらげる方法にも使いたいということで、大きな犠牲を払う決意をいたしたのでありますが、この結果はたしてわれわれが期待するように、交渉の余地があり、そして関税問題に曙光を見ることができるのかどうか。政府当局の見通しを伺いたいと思うのであります。
  31. 井上尚一

    ○井上(尚)政府委員 その点は御指摘の通りでございますが、私たちといたしましては、必ず成功するという見通しで努力いたしたいというふうに思つております。
  32. 川端佳夫

    ○川端委員 通産当局は、直接こういう関係の、あるいはもつと具体的な、先ほど水産庁お話を裏づけるような、必ずあるのじやないかというような淡い見込みじやなくして、何か交渉の途中に、あるいは今の折衝の過程からいつて、具体的に動きがあればもう少し伺いたい。かに工船断念ということは大きな問題でありますから、この断念の理由の裏づけにわれわれはいろいろなことを考えている。あるいは大きく国交再開にあたつて、親善を前提にして各方面の友好関係を都合よく運ばなければならぬというような、大きな国交の友好関係を拡大したいというような考え方もあるけれども、かに工船を断念するのはわが水産業界にとつて相当大きな問題でありますから、もう少し具体的な折衝過程等を伺いたいと思うのであります。
  33. 井上尚一

    ○井上(尚)政府委員 かに工船の問題は私どもの所管外でありまするが、今般のまぐろ関税問題についてのわれわれとしまして考え見通しにつきましてお答えを申したいと思います。  先ほど平塚代表の方からるるお話がございました。最近業界の総意としまして、対米輸出まぐろ対策協議会長名をもちまして、政府当局へこういつた内容の建議と申しますか、意見の具申があつたのであります。この要旨は、油づけのカン詰に対しましては今日四五%の関税でありますが、これを引下げるということを条件として、わが方としましては塩水づけカン詰の輸出抑制の措置を講ずることが賢明である。これを逆に申しますれば、塩水づけのカン詰の輸出の抑制という方法をわが方として講じますならば、先方アメリカ側としまして、油づけカン話につきましての関税引下げについて十分なる用意がある。そういう内容の話合い、交渉が、先般平塚代表がアメリカヘおいでになりました当時、向うの業界代表者との間にあつたということは、先ほどいろいろ申された通りでありますが、この内容の建議を受取りまして、われわれ通産省といたしましても、慎重協議を加えました結果、結局こういう業界の意向に沿つて日本政府としまして米国政府に対して交渉をやることがきわめて適当であるという結論に達しましたので、通産省から公文書をもつて外務省に対しまして、わが方としましては、油づけカン詰の関税引下げを条件として塩水づけまぐろカン詰の対米輸出の抑制措置を講じてもいいという内容をもつて、外務省を通じて米囲政府に交渉することを依頼したのであります。きわめて近日中に、外務省の方からワシントンの在外事務所を通じて米国政府当局に正式の申入れがある予定でございまするが、東京においては、総司令部の外交局には外務省の方からこれと同趣旨の内容の申入れが行われているわけであります。これはもちろん先方の意向、今後の交渉の結果を見なければ、はつきりしたことはもちろんわからないのでありまするが、われわれ通産省といたしましては、大体こういう方向に話がまとまるものという希望的な見通しを持つておるようなわけであります。  なお冷凍まぐろの課税の件につきましても、先刻るるお話がありました通り、今日米国の上院の外務委員会で、先般の公聴会の意見陳述を参考としつつ、なおいろいろ調査を続けつつあります。大体今日までわれわれ通産省としましての各方面からの情報を総合しての見通しにつきましては、これ以下については課税しない、これ以上については課税を行うという一定数量の限度を設けることによりまして、一応今般の冷凍まぐろについての課税問題の解決を見るのではないかと考えておるわけであります。なおこの一定数量と申します限界につきましても、これはもちろん今後の情勢によつてきまることではありまするが、大体われわれの一応の見通しとしましては、一万トンないし一万二千トンの程度におちつくのではないかという観測を持つておるようなわけであります。
  34. 二階堂進

    ○二階堂委員 先ほど平塚さんはカン詰輸出及び冷凍まぐろの輸出について、非常に楽観的な意見をお述べになつたのでありますが、アメリカの需要が非常にふえたということは、御承知通りこ朝鮮事変以来非常に需要がふえたということにも起因している思うのであります。将来この需要がさらにふえて、また日本のまぐろあるいはカン詰がたくさん要求されるという事態になれば、この上ない幸いと思うのでありますが、一体通産当局とされましても、平塚さんと同様な見通しをもつて当面のまぐろ対策を考えておられるのか。最悪の場合、税率が引上げられるとかあるいは数量の割当があるといつたようなことも考えられるわけであります。こういたしますと、事はまた非常に重大になつて来ると思うのでありますが、通産省の当局とされまして、この辺どういうふうな見通しをつけているか、この点が一点であります。
  35. 井上尚一

    ○井上(尚)政府委員 通産省としまして、今回の問題についての今日の見通しはどうであるかという意味の二階堂委員からの御質問であります。われわれとしましては、今冷凍まぐろにつきましては、ただいま申しました通り見通しでありまするし、またカン詰につきましても、先ほど申しました通り、油づけカン詰の課税の引下げを条件としましてといいますか、そういう先方の方法と相まつて、わが国の方からの塩水づけのカン詰の輸出の抑制の方法を講ずる。この場合におきまして、油づけカン詰の数量見通しとしましては、大体百万籍程度はどうしても確保したい。まあそういうような程度で、この際当面の関税引上げなりをわが方としては是が非でも食いとめる方法を講じたい。そして同時に、あわせてカン詰につきましての現行税率の引下げによりまして、わが国の方から、対米向けの冷凍まぐろないしはまぐろカン詰両方通じましての安定した輸出の基盤をここにつくるというふうに、われわれとしては持つて行きたいと考えております。
  36. 川村善八郎

    川村委員長 水産庁より説明員として水産課長藤波良雄君が出席されております。二階堂君。
  37. 二階堂進

    ○二階堂委員 従来このまぐろは、ほとんどアメリカの市場に依存しておつたと考えるのでありますが、この市場の問題でありまするが、ヨーロッパ方面から、最近新聞を見ますと、フランスあたりからも引合いが来ているような話も伺うのでありますが、将来のヨーロッパあるいはポンド地域等に対する市場の見通し等についてどういうような考えを持つておられるか、その点をお伺いいたしたい。またそういう地域に対する輸出振興対策というものについて、何かお考えがあるかどうか。
  38. 井上尚一

    ○井上(尚)政府委員 現実の問題としまして、冷凍まぐろ、まぐろカン詰を通じまして、アメリカ以外から具体的な引合いが来ているかどうか、またそういう点についての見通しはどうかという御質問でございますが、この点につきましては、われわれとしては、今日まで具体的なそういう情報にはいまだ接しておらないのでございますが、今後そういう方向に輸出振興について方法を講ずる用意があるかという点につきましては、言うまでもなく今日のわが国の貿易の事情から申しまして、いわゆるポンド問題がすでに十分御承知通りの状況でございまするが、そういう点にもかんがみまして、今後ダラー・ドライヴと申しますか、ドル地域向けないしはドル決済条件による輸出を一層促進いたして参ることがどうしても必要であるということは申すまでもないところであります。こういう点につきましてのいろいろな方法考えられ得るかと思いますが、現にすでに実施をしております方法としましては、いわゆる優先外貨という方法がありますが、この優先外貨すなわち一定の輸出につきまして、貿易業者ないしは関係業者に対する報奨として一定の外貨の使用を認め許すこの優先外貨は、ドル地域についてはポンド地域に比べましてはるかに有利な計算の方法、言いかえれば、報奨の計算の方法がドル地域についてははるかに有利になつているわけであります。  それからなおまた今後実施しようとしている方法について申しますれば、まず、第一に金融の問題でございますが、今国会にすでに衆議院の方に提案になつています方法としまして、輸出信用保険法の改正という問題があります。これの要点を簡単に申し上げますと、輸出契約が成立する、あるいは輸出契約の成立の見込みが確実であるという場合に、その輸出契約の履行に要する生産、集荷、加工に要する資金の融通を、銀行が貿易業者または生産業者に対して行うという場合に、二箇月なら二箇月の満期になりまして代金の決済がないという場合には、あらかじめ政府、通産省が各銀行と締結しました輸出信用保険契約に基きまして、満期になつて代金の決済がないというだけの理由でもつて、その融資しました金額の七割五分を政府が保険金としてその銀行に支払うという方法であります。こういう方法によつて、銀行は輸出契約に伴う資金の融通について、かなり積極的にかつ円滑な融資が期待できるものとわれわれは考えているわけであります。なお同時にこの場合におきまして、銀行に対しましては政府は保険金をすでに支払います関係上、銀行が貸付先からその資金を回収するにつきましては、半年なりあるいは長い場合には一箇年なりの猶予期間を設ける予定でございますが、そういうような方法によつて、万一輸出ができないという場合に、よつてつて生ずる貿易業者その他の関係業者の損失の回収につきまして、償却の期間を与えようという考えであります。これが輸出金融保険のきわめて簡単な内容でありますが、その制度はドル地域及びドル決済条件の輸出というものに限つてこれを実施しようという予定であります。こういう方法によりまして、ドル地域に対する輸出の促進にかなり寄与することが期待されるわけであります。それからもう一つの問題としまして、新市場に対して商品の輸出を促進する方法として、広告宣伝費用の保険というものも、今申しました輸出信用保険の改正の内容として考えているわけであります。これがある地域にある商品につきまして宣伝広告をやるが、実際輸出をやりまして、その宣伝費、広告費の回収が十分できないという場合に、その生じた損失の半分を保険の方法でもつてカバーするというやり方であります。そういうような広告宣伝費用の保険につきましても、同様にドル地域向けないしはドル決済条件の輸出にこれを限つて実施をしようという考えであります。そういう方法によりまして、今後ドル地域に対して、ことに新市場方面に対する輸出の促進ということにかなり毒するものとわれわれとしては考えておるわけであります。  なおもう一つつけ加えて申しますが、ドル地域に対します輸出の増進方法の一環といたしまして、本年わが国からの海外の見本市博覧会に参加の問題でありますが、これの計画としましては北米の各地、すなわち五月のサンフランシスコ、六月のカナダのトロント、八月のシカゴ、九月のシャトル、十月のニューヨーク以外に、年末から来年にまたがりまして、アルゼンチン方面でフェヤーをやる、あるいはメキシコ、その他中米でもそういうようなフエヤーをやつてみたいというようなことを考えておるわけであります。そういうわが国商品の宣伝、紹介ということを中心といたしましての海外博覧会ないしは見本市の開催につきましても、ドル地域向けに集中的に重点を置いて実施したい、かように考えております。
  39. 川村善八郎

    川村委員長 時間がありませんので簡単に願います。
  40. 二階堂進

    ○二階堂委員 たいへん遅くなりますが、もう一、二点お伺いしたいと思います。一万二千トンばかりのまぐろの輸出が考えられているということであります。先ほども平塚さんにちよつと質問したのでありますが、これらの分割の方法について、通産省当局としては、一般の割当のわくをどういうふうにきめるか、あるいはまた自由なわくをそのほかにお持ちになる考えであるかどうか。こういつた問題も先ほどちよつと質問したのでありますが、相当むずかしい問題が起つて来ると思うのであります。これらについてどういうふうな対策を持つておられるかということが一つと、それからまぐろ業に従事している水産業者とカン詰業者、あるいは冷凍まぐろの輸出業者、三者の間においても、いろいろ混み入つた問題が起つて来ると思いますが、将来恒久的なまぐろ輸出の対策を考える場合には、この三者を一環とした総合的な輸出対策が、当然政府においても考えらるべきものと私は考えるものでありますが、こういつた三者をひつくるめた総合的な対策をどういうふうにお考えなつているか。たとえば買取り機関といつたようなものを設け、買い取つたものを冷蔵庫に入れて保存しておく。そうしてまた市場等の需給関係をにらみ合して、適当な方法で輸出を振興して行くといつたような対策は、当然政府として考えらるべきと思いますが、これに対していかようにお考えなつているか、この点を承りたいと思います。なおこの点は生産者の立場にある水産庁との話合いも当然起つて来ると思うのでありますが、生産者の立場においてどういうふうに考えているか、この点をあわせてお尋ねいたしたい。
  41. 井上尚一

    ○井上(尚)政府委員 二階堂委員の御質問に対しましてお答えを申し上げます。  まず第一は、今後対米輸出のまぐろカン詰が百万箱というふうにきまり、あるいは冷凍まぐろが一万トンないし一万二千トンという数量にかりにわくがきまりました場合に、各業者に対するそのわくの配分はどういうふうな方法でやるかという御質問であります。これは実は非常にむずかしい問題でありますが、結論から申しますと、どういう基準が最も合理的かつ妥当であるかという点につきまして、今なお水産庁方面と協議中でございます。その問題点は、まず第一に、割当の対象を生産業者にするか輸出業者にするかという問題があります。それから割当の基準としまして実績によるか、あるいは自由競争の余地をこれにどういうように加えるか、言いかえれば、割当の何パーセントを実績によつて割当て、何パーセントを新規の競争によつて割当てるかというように、割当てに方法がいろいろあります。またその実績と申しましても、いつからいつまでの実績を基準として考えるのが最も妥当であるかというようなことがあります。従来こういう例としましては、ごく最近の先例としまして、スターリング地域に対する鉄鋼ないしは繊維製品の輸出の制限をやつたのでありますが、この鉄鋼ないしは繊維製品につきまして、大体割当の総わくをきめまして、鉄鋼につきましては生産業者に割当をやり、繊維製品につきましては輸出業者に割当をやり、そうしてその九〇%は実績により、一〇%は新規の今後の競争によつてこれがかわるような、大体そういう基準方法で、現に実施期に入りましたわけであります。まぐろの場合にはもちろん業界の事情が違い、商品の性質も違いますので、どういう割当の基準ないしは方法が最も妥当かつ合理的、公平であるかという点については、今後関係当局の方とも十分協議を尽したいと考えております。  なお第二の問題につきまして、この輸出まぐろ関係の三つの業界をまとめる機関としまして、今日関税の問題を契機としまして対米輸出まぐろ対策協議会がつくられましたわけでありますが、この関係業界は相互にきわめて密接な関連を有し、かつこの相互間の利害関係も非常に微妙でございますので、今般生れました協議会を、こういうまぐろ問題全般につきまして、民間の総意を正確かつ公平に代表する機関としまして、政府の行政運営面の上にこれを十分反映して参りますことが最も適当であろうと考えて、この協議会の育成強化については、農林省の方とも十分協議を尽しまして、そういう方向に今後持つて参りたいと考えております。
  42. 藤波良雄

    ○藤波説明員 ただいま振興局長から御説明通りに、今度の問題をきつかけにしまして、それと将来アメリカの側の事情がどうなるか、そういうことを照し合して考えまして、輸出業者、冷凍業者、まぐろをとる方の漁民、そういうものを一括して、そこらから二階堂委員の御指摘のような方法考えられる、そういうふうに考えております。
  43. 石原圓吉

    ○石原(圓)委員 局長さんにちよつとお尋ねしたいのですが、輸出カン詰に対する融資の問題であります。開発銀行で融資をさすということについて、通産省はどういう御方針でありますか。それともう一つは、水産物のみならず、輸入物資に対してドルを現在払つおるわけでありますが、だんだんとドルをやめて邦貨で輸入物資の代金を払うという傾向のように考えられるのであります。この二つの点に対する御方針はどんなものでしようか。
  44. 井上尚一

    ○井上(尚)政府委員 まぐろの輸出の問題に関連して、輸資の方法として開発銀行を使う考えはあるかという御質問でございますが、開発銀行は御承知通りに設備の増強ということを目的としました長期金融機関でございますので、今般のまぐろ関係の事業に開発銀行を通じて融資をするということは、実は私どもとしましては、今日までそういう問題としては聞いておらないのでございます。このまぐろ輸出の金融につきましては、われわれ通産省としまして今日考えております方法は、先刻二階堂委員に対しましてお答え申しましたように、輸出信用保険制度の一環としましての輸出金融保険の実施によつて、かなりの効果が期待されるのではないかと考えております。言いかえますれば、この輸出金融保険と申しますのは、輸出契約が成立するということがまず原則でございますが、農水産物のように生産、加工、集荷の時期と、実際具体的に輸出契約の成立します時期との間に、習慣といいますか、商慣習、あるいは商品の性質上、当然時間的のギャップがあるという場合には、輸出契約の成立ということを条件とするということでは、農水産物に対しましての輸出金融の円滑を期しがたいわけでありますので、これの例外としまして、輸出契約の成立の見込みが確実でありますような場合には、農水産物についてそういう場合の生産、加工、集荷に要する資金の融通をやる。そしてその融資しました銀行と政府があらかじめ包括的な保険契約を締結しておつて、満期になつて銀行へ代金の決済がないという場合には、政府から遅滞なく融資金額の七割五分に相当する金額を保険金として払う。そして銀行は融資先に対しましてはただちに取付、回収はやりませんで、何箇月には何パーセント、何箇月には何パーセントというふうに区切つて、すなわち全体的の回収には大体半年ないし一年くらいの時間を費してそれの回収をやつて行くという仕組みであります。そういうふうな輸出信用保険の対象としましてまぐろ輸出金融をこの際考えるということによつて、初めて金融の面においてかなりの円滑な融資が期待できるのではないか。また貸付の相手の方でも、万一輸出契約の履行が不能になり、困難になつて、その融資の返済ができないという場合にも、半年ないし一箇年という、言いかえれば一種の取立猶予というような仕組みがここに入つて参ります関係上、金融の面において相当の効果が期待できるのではないか、かような法案を現に衆議院の方に上程中でございます。  それから第二は、輸出の場合にドルでなくて邦貨でこれを払う云々という御質問でございましたが、私の承知します範囲内におきましては、今日まではそういうことはちよつと聞いておらないのであります。
  45. 石原圓吉

    ○石原(圓)委員 今の輸出カン詰でありますが、私の言葉が足りなかつたのであります。輸出カン詰をつくるところの工場及び保蔵設備等は、開発銀行も幾らか融通をしておるわけであります。従つてこれへいわゆる輸出の融資もつけたならば、非常にその工場の内容、経営振りがわかつて、円滑な融資ができるのではなかろうかという点から、カン詰等水産物にも、輸出までの融資を開発銀行ででき得るように道をあけることを希望いたすわけであります。その点をひとつ御努力願いたいと思います。  それから数日前の新聞にいわゆるクーポン制の輸入自動車はことしの六月ごろから全部邦貨で支払つて買える、こういうことがありましたので、あれはむろん通産省が大いに努力の結果ああなることと思いまして、われわれはそういう道をあけて、一日も早く一般の輸入物資を邦貨で支払いができるようにすることが利益であると考えますので、その点をお尋ねしたわけであります。
  46. 井上尚一

    ○井上(尚)政府委員 第一点につきましては私も多少誤解しておつた点がございますが、いわゆる開発銀行の融資の対象といいますか、その機能の範囲を、もう少し輸出金融という面にまで拡大するという方向考えてはどうであろうかという御意見のようであります。これは開発銀行の性質上非常に困難かと存じますが、そういう方向研究はもちろんしてみたいと考えます。なお輸出関係につきましては、ほかに輸出銀行——これは今般日本輸出入銀行というふうに改正になる予定でございますが、これは主としてプラント輸出、言いかえれば長期の設備の輸出の場合の金融でございます。この輸出入銀行の分野と今の開発銀行の機能の分野、これの両方の分野の関係ということにもそれは触れて来るかと存じますが、なお十分研究したいと思います。  それから第二の問題、これは外国自動車は従来OAS——オーバーシーズ・オートモーテイヴ・サービスがありまして、これが買い取ります場合はもちろん邦貨で払うわけであります。そしてそのOASに入りました車を、従来は指定輸入自動車等配売規則というのがございまして、これは原則として外国人でなければ買えないという建前でございまして、例外として日本人にも売つていいという場合はきわめて限られておりました。たとえば試験研究用とかいうふうなぐあいにきわめて特定な場合に限つて日本人もこれを買い得るということを考えておつたわけであります。今般いわゆるこの省令の根拠となつております物資調整法の廃止の問題にも関連しまして、その自動車についての規則の扱い方をどうするかということが問題になつておりますが、こういう問題と、それからもう一つ——これは非常に事務的で恐縮ですが、いわゆるユースト・カーと申しまして、こちらで外国の軍人、軍属その他の外国人の使つています車を日本人が譲り受ける場合があります、その場合の支払いの方法としまして、従来の厳格な条件を緩和しまして、外貨のみならず邦貨をもつてもこれを買い得るというふうに、決済の方法を緩和したという問題であります。扱いとしては大体そういうふうにやりたいと考えております。
  47. 井之口政雄

    ○井之口委員 さつき平塚さんのいろいろなお話を承つておりますと、アメリカにおいても日本のまぐろに対するいろいろな需要は、一般大衆に対して大きな点があるし、かつ日本のものは品質もよくまた価も安くて、正常に行けばこれが当然アメリカとの貿易において大きな繁栄を遂げて来なければならないという結論なつたようであります。しかるにこれに対して関税をかけ、のみならずその関税をかけるというので、あるいはこちらから輸出を実質的に制限する、または北洋漁業の方を見合わすとかいうようになつて、しりつぼみになつて、こちらの方から向うを刺激すまい刺激すまいというやり方でこの貿易の振興をはかろうとしている、これが通産省の方針のようにも承るのであります。しかしそういうことをやつて一体これができるものかどうか、わずか一、二の業者の独専的な横暴な処置によつて関税が引上げられ、日本輸出まぐろに対する制限が加えられるのに、こつちで自粛して引いたつて、それは向うで喜ぶだけだ。また北洋漁業をこちらで制限して一年見合せたつて、向うは痛痒も何にも感じはせぬ。ところが今度日本も、講和条約並びにいろいろな諸条件を諦結して独立したという建前になつているのだからして、当然自分らとして商売のことは独立国としての商売を堂々とやつて、そうして向うがほしいものならば向うはそれを買うのが当然なのである。とりわけこの条約は和解と信頼の条約だといわれている。それだのに、こうしたまつたく必要なものを日本から買うということでさえも制限して行くというふうなやり方をアメリカがするとすれば、将来の日米間の貿易というのはほとんど暗黒の状態になるとわれわれには考えられるのであります。これを打開する道は、当然日本としては、独立を確保しつつ貿易の関係を維持して行かなければならぬ、それだから、向うが日本のまぐろの輸出に対して制限を加えて来るならば、日本としてもこれに対する報復的な関税処置をとるというふうな方針をとつて進むべきではなかろうかと思うのでありますが、そういう方向に対する見通しがあり得るでしようか、どうでしようか。
  48. 井上尚一

    ○井上(尚)政府委員 お答えを申し上げます。言うまでもなく貿易は相手国との取引でありまして、こちらの、主張一本やりでもなかなか通らない場合が多いわけでございます。従来各国と貿易協定、支払い協定を締結するという場合も同様でありまして、結局いわば両方の主張を通じまして、その間、妥協と申しますか、最も妥当な点にその妥協点を見出すということにならざるを得ないわけであります。米国は米国としましてまぐろに関する関係業者もあることでもございまするので、わが方の主張をなるべく多く織り込むように通しつつ、そうかといつて、あまりこちらが一方的にがんばることによつて、向うが抜打ち的にきわめて不利な対策を講ぜられたのでは、結局角をためて牛を殺すといいますか、そういうような結果にもなりかねないわけであります。そういう点は貿易協定なんかの場合の非常に微妙なむずかしい点ではありますが、今度の数量の調整につきましても、アメリカとわが国との貿易のまぐろに関しては、この辺で妥協の手を打つことが、長い目で見て大局的に考えて一応妥当であろうというふうに考えておるわけであります。  なお向うが関税を課するという場合に、わが国としてこれに対する報復的な関税ということをこの際講ずるのがいいではないかという御意見でございますが、これも場合によりけりでありまして、言うまでもなく、現在の日本の貿易構造から申しまして、重要なる原料食糧の非常に大きな部分をアメリカから輸入しておるわけでありますから、こういう点にも十分……。その商品の具体的な性質に応じまして、種類に応じまして、場合によつてはそういう方法も必要であろうかと存じまするが、これは結局相互の互譲妥協によりまして、なるべく日本としましての、輸入輸出を通じましての貿易の規模を拡大して行きたい、そういう方向でわれわれとしては全力を尽したいと考えております。
  49. 川村善八郎

    川村委員長 井之口君、簡単に要をついて御質問を願います。
  50. 井之口政雄

    ○井之口委員 あまり簡単々々と言うても、今質問が始まつたばかりじやないですか。  それでは簡単に要領よく質問したいと思いますが、ただいま互譲妥協によつてこの関税の問題を妥結させたいというお考えのようでありましたが、さて、互譲妥協といいましても、日本からばかり妥協をやつていても互譲妥協ではない。アメリカからも互譲させなければならぬと思うのでありますが、今日のアメリカとの貿易は、御存じ通りほとんどドル不足である。片方においてはポンドは多くなつて来ようけれども、ドルは不足で、そのドルを稼ぐのに一番日本に適当しているところの漁産物を向うに輸出するということでさえも、こういうふうに制限せられるようなことになつて来ますと、アメリカとの貿易はもうほとんど見込みがないというふうにわれわれには考えられるのであります。のみならず、対日援助を受けておるものの、中国並びにソ同盟方面への輸出品に対しては非常に大きな制限をこうむつており、ほとんど自転車とせとものぐらいしか輸出できはせぬ。こういうふうな状態で、一方においては大きな義務を負担させられて、何らこつちの品物を買つてもくれぬというようでありましたならば、将来日本とアメリカとは日米経済状態を仲よくやつて行こう、互譲妥協によつてつて行こうとしてもやれないと思うのであります。そこで今お尋ねしたいのは、講和条約がいよいよ発効して例の和解と信頼の状態が成立したとかりにいたしまするならば、関税の点も、こつちからの報復関税のことも場合によつては当然設置可能であるというふうに言われたようでありますが、政府としてそれだけの決心を持つているのかどうか。またこういう具体的な問題になりましても、まぐろの輸出に対する向うの関税の引上げに対して、こつちからも向うからの輸入品に対して、適当なる品物を選んで、これでひとつ報復してやろうというような計画もなければならぬと思うのでありますが、そういう計画がありましたならばちよつと知らしていただきたいと思うのであります。  なおもう一つその次に水産庁にもちよつと聞いておきますが、これは全然関係がないのじやないか。この今の関税の引上げは向うが独自的にやつて来る。それだのに北洋の方への漁業を、日本から今年の分を見合せるということは、まつたく無意味なことと思うのでありますが、先ほどの平塚さんのお話もお聞きになつたろうと思います。ここはひとつ強硬に出て、なお向うでとつたものをどうしてもアメリカが入れないという場合には、あるいはその他の方面へこれを輸出するとか何とかいう方法も、水産庁の方においては考えられないのかどうか、その点の御見解を承りたいと思います。
  51. 井上尚一

    ○井上(尚)政府委員 井之口委員が今まさにおつしやつたような意見日本にあつて、日米経済協力の上に好ましからざる影響が生ずるであろうということを懸念して、米国内においても今般のまぐろ課税に対する反対論が非常に有力なわけであります。先ほど平塚代表の方から公聴会における議長の発言を申されましたか、その議長の反対の理由としては、まさに今井之口委員からおつたやつたように、米国の貿易に依存しなければ成り立つて行かないという日本の経済事情から考えて、今度の課税について米国内においてもかなり反対論が強いわけであります。  次に第二の報復の問題につきましては、今具体的には全然そういつた考えは持つていないのであります。
  52. 藤波良雄

    ○藤波説明員 北洋問題との関係につきましては、私何も存じておりませんから……。
  53. 二階堂進

    ○二階堂委員 このまぐろの関税引上げ等の、アメリカの対日貿易の傾向は、これは非常に大きな問題であることは先ほど申し上げた通りでありますが、最近また陶器等の輸入についても関税の引上げをしようといつたような動きがあるやに私どもは推察いたしておるのであります。しかしながらアメリカは政治的にも日本の経済的自立ということを真剣に考えておつてくれることと私は考えておりますし、また今までの政策においてもその通り政策をとつて来たことは疑う余地がないのであります。必ずアメリカが公正なる態度をもつて、これらのまぐろの問題等についても解決をしてくれる態度を示してくれることを衷心から希望いたしておるわけであります。同時にまた今後輸出振興につきましても、通産省あるいは水産庁、民間の業者等と密接な関連性をおとりになりまして、これらの大きな問題に万全の対策を立てて行かれるように衷心希望いたす次第であります。
  54. 川村善八郎

    川村委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもつてお知らせいたします。  散会いたします。     午後一時二十四分散会