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1952-03-05 第13回国会 衆議院 水産委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月五日(水曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 川村善八郎君    理事 小高 熹郎君 理事 田口長治郎君    理事 永田  節君 理事 林  好次君       川端 佳夫君    鈴木 善幸君       田渕 光一君    冨永格五郎君       原 健三郎君    小松 勇次君       水野彦治郎君    木村  榮君  出席政府委員         海上保安庁長官 柳澤 米吉君         海上保安官         (警備救難部         長)      松野 清秀君  委員外出席者         農林事務官         (水産庁次長) 永野 正二君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)      伊東 正義君         農林事務官         (水産庁漁政部         協同組合課長) 濱田  正君         参  考  人         (農林中央金庫         理事長)    湯河 元威君         参  考  人         (農林中央金庫         理事)     小野 三郎君         参  考  人         (日本開発銀行         理事)     中山 素平君         参  考  人         (日本開発銀行         営業第二部営業         課長)     川崎 一臣君         専  門  員 杉浦 保吉君         専  門  員 徳久 三種君     ――――――――――――― 三月三日  委員井之口政雄辞任につき、その補欠として  木村榮君が議長指名委員に選任された。 同月四日  委員木村榮辞任につき、その補欠として渡部  義通君が議長指名委員に選任された。 同月五日  委員渡部義通辞任につき、その補欠として木  村榮君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月三日  網代漁港拡張に関する請願(畠山鶴吉君紹介)  (第一一七二号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 同月四日  だ捕抑留漁船船員及び留守家族の身分、生活保  障に関する陳情書外一件  (第七七五号)  漁業改良普及事業に対する国費助成陳情書  (第七七六号)  漁獲物鮮度保持に関する研究機関拡充陳情書  (第七七七号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  委員派遣承認申請に関する件  水産金融に関する件  漁業取締に関する件  公海漁業に関する件     ―――――――――――――
  2. 川村善八郎

    川村委員長 これより水産委員会を開きます。  水産金融に関する件を議題とし、調査を進めます。  この際お諮りいたします。農林中央金庫理事長湯河元城君、同理事小野三郎君、日本開発銀行理事中山素平君、同営業第二部営業課長川崎一臣君の四君を参考人に選定し、水産業に対する金融実情を承りたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 川村善八郎

    川村委員長 御異議なしと認め、さよう決します。  まづ小高委員より発言を求められております。これを許します。小高君。
  4. 小高熹郎

    小高委員 昨日の本会議において、ルース台風による復旧資金特別措置法案が成立いたしたのでございますが、この法案検討いたしまするに、臨時措置として十五億の政府資金融資として貸し出すということに相なつておるのでありますが、この十五億の貸出金の利子の問題についてお尋ねいたしたいのです。四分の利子補給ということに相なつておりますが、これはやはり農林中金が扱うのではなかろうかと思いまして、湯河理事長さんにお尋ねいたしたいのであります。畜産振興を目指して畜産資金が約二十四億融資されることを聞いております。その場合は元の利子が一割何分何厘であつて利子補給が五分であつて、差引き幾ら最終使用者が支払うということに聞いておりますが、本法案の内容を見ますると、元の利子幾らであるか、利子補給が四分ということははつきりしておりますが、その点画然としていない。農林中金においてはどの程度に元の利子をお出しになるか。それがわかれば四分はカかつておりますから、これを最終に使用するものが負担する額がわかつて来るわけであります。まずその点を伺いたいのであります。
  5. 湯河元威

    湯河参考人 ルース台風の災害の復旧のための資金につきましては、政府から御指示もありまして、農林中央金庫もさようでございますが、それぞれ各地金融機関がお扱いになると思つております。農林中央金庫といたしましては、長期資金の場合は農林債券をもつて資金を調達することにしておりますが、ただいま一割一分にお願いをしております。そういたしますれば四分の利子補給だから七分で使えるということになります。
  6. 小高熹郎

    小高委員 農林中金ばかりでなく、各地金融機関で扱うということになつておりますが、各地金融機関とは市中銀行を指しておるのか、あるいは漁信連等を指しておりますか、この点をお尋ねいたしたいのであります。
  7. 湯河元威

    湯河参考人 法案を起草された政府の方でどう考えておるか、そこまでは伺つておりませんが、おそらく地方銀行その他の金融機関、かように存じておりまして、漁信連がお扱いになることはちよつとむずかしいのではないかと思います。
  8. 小高熹郎

    小高委員 この種のものに対しては、漁信連が扱うことが妥当であると私は思うのでありますが、それはさらに御研究を願うことといたしまして、ことさらにその点についてはこれ以上お答えは求めませんが、その際四分の利子補給最終窓口へ出すか、元へ出すかというこの限界の問題であります。私はこの種のものは、政府資金を出す際に、大元へこの利子補給の四分をいたしまして、末端でこれを取扱わない方が事務の操作の方からもたいへん簡素化してよいと思うのでありますが、この点いかがにお考えになつておるか、お尋ねいたしたいのであります。
  9. 湯河元威

    湯河参考人 御質問政府資金というお言葉でございますが、必ずしも政府資金でもないのであります。金融機関資金でございます。それでただいまの利子補給末端にすべきか、つまりお借り受けになる方に利子補給が行くべきか、あるいは金融機関の方で利子補給の分を差引きまして、金利の低いものとしてお扱いするか、これはいろいろの御事情もございましようが、なるべく便宜に従いまして、間違いのないように政府の方とお打合せをいたしまして、御趣旨に沿うようにしたいと思つておりますが、まだ御相談が済んでおりません。
  10. 小高熹郎

    小高委員 ルース台風による融資は、必ずしも政府資金ではなくて、一般融資的なようにも考えられるというお話でございますが、そうなりますと、ますますめんどうになるのでありますが、末端利子補給をするということは、今までの私ども研究から参りますと、相当めんどうになりまして、事務の煩雑のために遅延をし、あるいは問題を起したりすることがないとけ限りませんので、政府と十分御協議の上、相なるべく末端でなく、元へ四分の利子をして、そうして事務の簡便をおはかりしていただくように、御協議を願いたいことを特に強く要望いたしておきます。  いま一点、湯河理事長お尋ねいたしたいのは、今全国漁民が鶴首待望しているところの漁業権証券資金化に関する問題でございますが、三月早々これが資金化をするというのであります。すでに三月になつたのでありますが、どの程度に進捗しておるか。この資金化が遅延いたしますと、せつかくの法の趣旨も生かされない。同時に、すでにその資金がなければ定置漁業等においては漁期に間に合わない。時期遅れのようなことでは困るという強い要望各地から出ておるのでありますが、これはどの程度促進化が進んでおるか、お尋ねいたしたいのであります。
  11. 湯河元威

    湯河参考人 漁業権証券資金化につきましては、当委員会におかれましても非常に御熱心な御主張がありまして、われわれもたびたびその御様子を承つております。また関係の漁村の方方、政府当局ともいろいろお打合わせをして進めていたのでございます。仰せ通り漁業権証券は逐次交付されることになつておりまするが、御承知の五十五億の政府買上げにつきましては、政府手続が済んでおられません。それにつきましてはつなぎというふうな意味で、われわれの方で若干の扱いをいたしております。なおその以外のものを、約十九億でございましたか、これは資金化計画もそれぞれ各地方で御検討になつておられます。それにつきまして、何か担保をしてでも融資はできないかというお話でありますが、それにつきましては資金事情とにらみ合せまして、可能な限りわれわれの方において資金化をお扱いしようという気持をもちまして、地方と御連絡をいたしております。逐次こちらにお話が来ておりまして、証券それ自身をほんとうに担保にとつてお貸しするというふうな手続は進んでおりませんでも、あるいはつなぎであるとか見返りであるとか、漁業権証券関係資金は十億円内外もう出ていることかと思つております。正式の買上げ償還はまだ始まつておりません。私ども今具体的に、どれほど漁業権証券関係で御融資が進んでいるかということを記憶しておりません。われわれの方もせいぜい資金事情の許す限り、これが資金化の問題に御協力申し上げたい所存でございます。
  12. 小高熹郎

    小高委員 そういたしますと、農林中金理事長の方には、大蔵省の方から五十五億の買上げの時期がいつごろであるかということについて、相談なりお話が今まで全然ございませんでしたかどうか、ごく最近の事情をお伺いしたいのであります。もし相談がないとするならば、これは当委員会において、われわれも大いに努力せねばならぬと思いますので、その点をお尋ねしておきます。
  13. 湯河元威

    湯河参考人 五十五億の買上げにつきましては、時期をなるべく早くお願いしたいということで、機会あるごとにわれわれの方からも御催促申上げておりまするが、いつやるということにつきまして、的確なお示しをまだいただいておりませんものですから、もし当委員会皆様方から督促的な御措置がありますれば、非常に仕合せだと思います。
  14. 小高熹郎

    小高委員 そういたしますと、その買上げが延びることになりますと、そこにつなぎ資金という問題が生じて来るのであり、これが早ければ、つなぎ資金は必要がないということになつて、これは重要ポイントであろうと思うのであります。私は事務がもつと早く進んでいるかと思つたのでありまするが、五月まで待てというのが、三月になつてこの状態はまことに遺憾のきわみでありまして、これは当委員会において十分協議の結果、すみやかにこの結末を案出しなければならない。農林中金責任ではない。むしろ政府責任であるかのごとく了承いたしましたので、私もその行動を起しますることにつきまして、農林中金も一体となつて、この買上げ促進化に御協力願いたいのであります。きようは参考人としておいでになりましたので、私どもはこれを問い詰めてどうこうといつて礼を失してもいけませんので、この程度にいたしておきたいと思つております。  さらに開発銀行理事中山さんにお尋ねいたしたいのでありまするが、開発銀行冷蔵庫製氷等資金をお出しになつておるのでありますが、ごく最近どの程度の貸出しわく決定したか、そしてこれに対する見通し等をお聞かせ願えればたいへん仕合せだと思います。
  15. 中山素平

    中山参考人 今お尋ねの点について直接お答えいたします前に、開発銀行の全体の融資の状況がこれと関連を持つておりますので、一応お話したいと思います。二十六年度開発銀行が使用できます資金は、御承知通り見返り資金から百億円、それから一般会計から七十億円、これだけの出資政府の方からいたしておりまして、そのほかに復興金融金庫が二十六年度で回収いたしました元本、並びに利息のうちで、所定の政府の納付を終りました超過分がただちに開発銀行の新資金として、この一月十六日に開発銀行復金の債権、債務を承継いたしましてから使えることになりました。これはまだはつきりいたしませんが、二十六年度中に大体百十億円くらいになると思います。そういたしますと、両方合せまして二百八十億円というものが開発銀行資金源でございます。明年度は御承知のように、見返り資金の先細りから大きな期待はできませんので、今予定いたしておりますのが、大体四十億円の借入金と、一般会計から八十億というような出資予定されておりまして、二十六年度に比べますと、非常に小さな資金になるのでございますが、私どもの方といたしましては、二十六年度資金のうちで、若干はやはり二十七年度べ繰越さなければならないということになりますので、大体先ほど二百八十億円のうちで二百四十億円ぐらいが二十六年度中に貸付の消化が、全部が実行までには参りませんが、そういう予定になつております。  それではそのうちでお尋ね冷蔵庫関係がどのくらいになるかという点でございますが、御承知通り開発銀行融資計画は、政府の方で融資計画をおきめになつておりまして、その中で今一番国家といたしまして重点を置いております電気、これは私どもの方では、九電力会社以外の分を扱つております。それから石炭、鉄鋼といつたような事業に大体重点が置かれて参ります。農林水産関係は、二十六年度におきましては、水産物高度利用といたしまして冷蔵庫、南氷洋の捕鯨の関係のキャツチャー・ボート、この二つが入つております。今までに申込を受けましたのが、冷蔵庫関係では、二十六年で金額にいたしまして十億七千百万円、これは各業者の方々が開発銀行窓口最初にお申込みになつたときに申し受けた金額でございます。そのうちでただいままでに貸付調査をいたしましたのが三件で九千万円でございます。それから調査が終りまして、ただいま融資金額とか、あるいは担保関係その他の融資條件を交渉いたしております案件が五件で、金額はまだはつきりいたしておりませんが、一億一千万から大体一億四千万ぐらいになるかと思います。それから他の十七件、これが現在調査中でございまして、三月の中旬くらいまでにはほとんど調査終つて、月末までに融資決定があるはずでございます。従いまして件数あるいは金額としては、開発銀行の全体の融資の規模から見れば、比較的小さいということが言えるかもしれませんが、これは最初政府の方で開発銀行融資計画というものをおきめになりましたときに、先ほど申し上げましたように、重点基礎産業に置かれているという結果でございまして、私どもとしても多少皆様には申訳ないのでありますが、さような結果になつております。
  16. 川村善八郎

    川村委員長 この際委員各位にお願いいたします。農林中央金庫湯河理事長は、午前中に重要な要件がありますので、ぜひ十二時前に帰らせていただきたいという申出がありますので、どうぞ委員各位におきましては、湯河理事長に御質問を先にしていただくことをお願いいたします。それでは鈴木君。
  17. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 湯河理事長にお伺いいたします。農林漁業資金融通特別会計資金融資についてでありますが、昭和二十六年度水産関係特融製氷冷凍工場が主でありましたが、大体水産庁で第一次分として決定いたしましたのが、十億四千万円程度、それから第二次分として決定を見ておりますのが、二億あまりかと承知いたしておるのであります。この十二億あまり漁業協同組合並びに同連合会製氷冷凍工場その他に対する融資は、漁業団体要望しております総額からいいますと、非常に大きな査定を受けた内輪の数字でございます。これ水産庁が二十七年度特融の中に設定されました十二億という一応のわくに目途を置きまして、漁業権証券資金化とにらみ合せて、非常に強くしぼつた結果の数字がなお十二億あまりということになつておるようであります。しかも水産庁では、三千万以上のまとまつた大きな融資につきましてはこれを最高三千万円を限度として二十六年度融資し、残余特融資金は、これを二十七年度資金に繰延べるという措置をとりまして、できるだけ全国漁業団体特融の第一年度資金を均霑させたいという方針で進んだように承知いたしておるのであります。そこでこの工事を進めます上から、どうしても資金は二十六年度、二十七年度の両年度にかりにまたがりましても、工事関係からどうしても継続して進めなければならないというような事情が当然起つて参りますから、つなぎ融資という問題が起るわけであります。おそらく農林当局からも、理事長の方へこの特融の両年度にわたるもののつなぎ資金について、特別な御配慮を煩わすために、当局から御相談があつたと思うのでありまするが、このつなぎ資金に対する中金当局の御方針を、一応承つておきたいと思うのであります。
  18. 湯河元威

    湯河参考人 ただいま御質問の御事情は、お仕事をなさる方から言うとまことにごもつともなことと存ぜられます。政府のをでもいろいろお考え中のようでございまして、実は私はまだ承つておらないのでございますが、あるいは部内の者が承つておるかも存じません。これはよく私の方の事情を申し上げますれば、結局資金の配分の問題になるのですが、お仕事をお進めになるせつかくの大事な場合であると存じますので、政府の方の御相談もいずれ私の方にもあろうかと存じます。十分その御必要なところは、こちらもよく検討いたしまして、御協力を申し上げたい、かように考えております。
  19. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 ただいま理事長から御答弁があつたのでありますが、どのケースつなぎ資金をどう見てもらいたい、こういう私の趣旨ではないのでありまして、先ほど申し上げましたように、全国漁業協同組合系統団体から要請のありました特融融資申請量というものは、相当多額に上つております。しかも特融の百二十億のわく内における水産関係資金わくは、十億余りということに限定をされておりました結果、やむを得ずこれを両年度にまたがつて一つの八千万なら八千万という製氷冷凍工場に対する特融融資額を二年にわけて融資をする。そうしてできるだけ多く各組合にその恩典を与えよう、こういう趣旨政府は全体を扱つてつておるのであります。そこでその際、政府はその前提條件といたしまして、両年度にまたがつて融資する分について、二十六年度融資残余の額、つまり二十七年度において出す分については、必ず政府責任を持つて農林中金と折衝してつなぎ資金を見るという、その約束のもとに両年度にまたがるようた融資の方式をここにつくり出して、そうして業界に納得さした形において融資額決定をいたしておるのであります。そこでこの問題が、今理事長がこれから御検討なさるとか、まだお聞きになつてないとかいうような程度政府との間の御連絡であるといたしますならば、これは数十箇所において高度利用の施設の工事を進めております組合当事者としては、非常に重大な問題になつて来るわけでありますが、この点はいずれ政府に対しましても、私どもから十分折衝の経過もただしますると同時に、政府協力いたしまして中金当局の格段の御配慮と御協力を、私ども要請してやまないものであります。事態はそういうようなことになつておりまして、一つ融資に対するつなぎを見るか見ないかという問題でなく、全部がそのような取扱いになつて、そうしてあの漁業権証券資金化ともにらみ合せて融資額決定したという事情に相なつておりますので、特にこの点につきましては、理事長の御高配を煩わしたいと思うのであります。  もう一点は、先ほど私が申し上げました中で、第二次分の、水産庁決定いたしました二億余りのものがございます。これは、水産庁におきましては、土地改良あるいは奥地林道開発あるいは潅漑用水力発電、そういう方面におけるところの資金需要がどうも少いようであつて年度末において余裕が出るのではないか、ところが水産物高度利用に対する資金需要は非常に全国的に要望が強い。そこで、二億や三億はこれらの土地改良その他から、あとで省議においてこれを流用する道があるのではないかという前提のもとに、二億余りの第二次分というものを、これは事務的でありますが、決定をいたしておるのであります。この第二次分というのは、実体的には第一次分と何らかわりはないのでありまして、ただ申請をいたしましたものが、調査の資料が不足を告げたとか、あるいは現地に行つて調査をしなければならぬとかいうような、事務的な審査の都合でそれが遅れたために第二次分になつたということであつて、本質的には第一次分と何らかわりがないケースであります。ただ事務的には第一次、第二次と区分されておるのでありますが、その第二次分につきまして、土地改良その他のわくが余つた場合にこれを使わしてもらうという予定で、庁議で一応決定を見ておつたものでありますが、この年度末に至りまして、どうも土地改良その他の資金もそう余つて来そうにないというようなことから、この一応庁議決定いたしましたところの第二次分をどう取扱うかということが、今水産庁としては非常に大きな責任問題になつて来ておるわけであります。そこで結局水産庁といたしましては、これは二十六年度決定したのであるが、資金わくがないから、二十七年度特融わく決定したならば最優先的にこれを出すのだ、ただそれまでの間二、三箇月の時間的なずれがあるから、その間どうしてもここに、先ほどもお願いいたしましたところの中金プロパー資金からつなぎを見ていただかなければならぬ、こういうような問題が、これまたどうしても起つて来るのであります。この問題につきましても、先ほどの両年度にまたがつて融資をするケースとは別でありますけれども、やはり二十六年度決定分に対して、特融の二十六年度わくがすでにないという特殊事情から、二十七年度わくをこれは食つている形になりますが、その資金が出るまでの間のつなぎ資金として、中金当局の特別な御配慮がなければならぬと思うのでありますが、これに対して理事長はいかなる御措置をいただけるか、この点をお伺いしたいのであります。
  20. 湯河元威

    湯河参考人 先ほど申し上げましたことにつきまして、政府の方のお話をあるいはわれわれの部内で承つおるかもしれないので、私がぼんやりしておるのかもしれません。ここはよく政府ともお打合せをいたします。それから二十六年度にまた一部を出すというお話がかたくできておるものでありますれば、つなぎと申しましても、今日の段階においてはきわめてわずかなことだろうと思います。そうして二十七年度特融資金をできるだけ早く政府からお出しいただきますれば、金融機関の負担も比較的少くて済むのではないかと存じます。二十六年度に一部をお出しなつたものの残りを、二十七年度におまわしになつたという第一の問題につきましては、政府の方からいずれよく御相談もございましようし、われわれの方でも資金面の許す限り、できるだけ考えて参りたいと思つております。  それから第二に仰せになりました二億円何がしかの追加の問題につきましては、実は私具体的によく承知しておりませんが、土地改良その他の資金は今日一ぱいになつておりますが、他に若干残つておるものもあるかと存じます。けれどもそれを水産の方にお充てになるかどうかは、これはやはり政府資金でございますので、政府当局においていろいろ御検討中のようおります。まだ私も具体的に伺つておりませんが、かようなものにつきまして、いずれそれは二十七年度の御計画の中でごらんになろうと思いますが、これを事前に、つなぎと申すほどにもなりませんが、これを私の方でお扱いするかどうかということにつきましては、私の方としてもともとと研究しなければならぬと思つております。実情におきましては、ただいま承りましたように、地方皆様方とされては、大丈夫出るのだというつもりで、それぞれ勢い込んでおられたことだと思います。しかし前に仰せの部分と比べますと、事情は少し違つております。そういうつなぎ——つなぎと申してよいかどうかと思いますが、さようなものを出すときになりますと、中金としてもちようど資金の忙しい最中になつて参りますので、われわれの方でどの程度できますか、またお引受けしてよいかどうかということにつきましては、十分研究いたしたい、かように考えます。
  21. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 第二点の問題については、私の説明が不十分であつたためかと思うのでありますが、これは第一次分と本質的に何らかわりのないケースであります。ただその違いといたしますのは、第一次分につきましては幾らか二十六年度で出ておる。つまり三千万円以内は出ておつて残余の分は二十七年度にまわる。こういうのでありますが、第二のケースは二十六年ですでに決定はしておるが、これに三千万円以内の額もつかなかつたというだけであります。そこで二十六年度のうちから資金がつくかつかぬかの違いでありまして、政府として決定しておることには間違いがないのであります。このことは、ただ業界がさように承知しておるのでなくて、水産庁当局からはつきり言明されておる。これは年度末において必ず他の方面に余裕が出て来て金がつきますと、もう第一次分の十億四千万のケースと何らかわりはない。こういうぐあいにしばしば言明されておるのであります。その当時第一次、第二次と区別されることが、将来今理事長さんからおつしやつたような、何か差別待遇をそこに生じて来はせぬかということで、実は第二次にまわつたグループは、この第一次、第二次の仕分けをすることに非常に反対したのであります。ところが、これはただ事務的に第一回の審査の場合に、一切の審査材料がそろつてそのままパスしたものと、審査の資料が不足を告げて、もう少し調査を要するために遅れたものだというだけの違いであつて事務的な区別で、本質的には何らかわらない。二十六年度決定分には相違ない、こういうことになつておりまして、これは業界側がかつてにそう思い込んでおるという問題ではなくて、役所としてはすでに二十六年度決定である。これをどうするかという問題が、ただいま私が理事長さんにお願いした点でありますが、この点は役所としても、重大な責任があると私は思つておりまして、おそらくそのしわ寄せは湯河理事長の方にまわつて行くと思いますので、ぜひこの際この国会を通じて、この点についても十分考慮するという、理事長のあたたかい御言明を得ることによつて、これら業界の諸君が非常に安心することと私は思うのであります。そういう事情でありますので、もう一ぺん理事長の御懇篤なる御答弁を煩わしたいと思うのであります。
  22. 湯河元威

    湯河参考人 承りますと、まことに政府もお困りでいらつしやると思う。しかし政府当局もいらつしやいますので、政府の方の御見解もおありかと思います。農林漁業資金融通特別会計資金扱いにつきましては、実はいろいろお急ぎの事情もございまして、政府の方で御内定的な御指示が往々にしておありじやないかと思うのであります。金融機関といたしましては、やはりお仕事をお預かりしております立場からいたしまして、自分としてもはつきりした気持をもつて御処置をして行かなければならぬ。かように存じておりますので、二十七年度資金決定は、どうしても二十七年度にならなければできない。それを二十六年度分のうちのはみ出す分、これは決定済みだという意味において、政府からわれわれの方にお話もなさりにくい立場であろうと、かように存ずるのであります。御事情は、そういうふうにお話が先に行つておられまして、それをお受取りになりました地方の方として、ある部分は第一次分としてもうすぐ行く、あるいはそれについてはつなぎと申しますか、中金で、できる限りにおいては御協力申し上ぐべきことだと存じます。第二次と申します分につきましては、やはり第一次と同じようにはちよつと考えられません。私の方といたしましては、二十七年度のそれぞれ予定がある。これを確定的に資金の御通達等のないうちに、私の方で手をつけるということにつきましては、大きな躊躇がございます。しかしこの点は、政府の方にもいろいろお考えもございましようし、ここで私から先んじたお答えもできません。よく御事情を承りまして、政府の方とも——政府わくの問題もまだ確定的におきめになつていらつしやるわけでもないかと承知しております。二億がだめになつたから、それを中金で自己負担しろということにつきましては、よろしゆうございますということを申しますよりも、むしろそういうふうにせつば詰つていらつしやる水産関係のものを、全体の百二十億のわくの中でどうするかという問題等の検討が残つております。それこれよく御事情を承りましたので、政府とも打合せをし、また金庫の内部においても相談をして参りたい。ここらでごかんべんをいただきたいと思います。
  23. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 私の説明が下手であろうと思うのでありますが、そこで漁政部長並びに濱田課長もお見えになつておりますから、この点を役所の方から私どももよく拝聴いたしたいし、理事長さんにもよくその事情を聞いていただきたいと思いますので、この際濱田課長あるいは漁政部長から御説明を煩わしたいと思います。
  24. 濱田正

    ○濱田説明員 ただいまの鈴木委員の御説の通り、農地とか山林とかで、ある程度中金審査状況から見て使い切れないというか、多少余裕の出て来るという皮算用をいたしまして、実は二十六年度の追加というか二次というか、その辺は言葉の問題でありますが、決定したわけであります。それでいよいよこれえお出す以上は、われわれといたしましても、いいかげんに出すと言つたつて、さて金ということになると、それはわしは知らぬということになるといけませんので、その点ははつきり確かめてやらないと話にならないということで、いまだもつて農林金融課が親元ですが、どの程度ほかの局から余裕が出て来るかという検討をやりつつありまして、今のところまだ確定的にどの程度出るというところまで参つておりません。これは鈴木委員のおつしやつたように、文字の問題ではなくて、実体はやはりわくが足りなかつたという問題だけでありますので、早急にこれを決定して通知して行きたい、こういうふうに考えます。  それからもう一つつなぎの問題でありますが、これは中金と折衝しましたときも、つなぎの問題についてはきわめて同情的に考えていただいておつたのです。私ども出していただくことと考えておつたのです。しかしこれは一般的につなぎを出せ出せと言つたところで、一つ一つ事情によつて工事の進捗状況が違いますから、私の方では一般的には中金の方に頼んでおるのでありますが、問題はどの組合幾ら出すかという具体的の問題、つまり工事の進捗状況でありますので、その都度その都度個別の問題をさげて中金事務当局に行つて折衝しておる次第であります。
  25. 林好次

    ○林(好)委員 中金湯河理事長にお伺いいたしたいと思います。この特融貸付の保証の考え方、これは大体において協同組合あるいはまた信連の保証によつて貸付をするという方針だと私は考えておるわけでありますが、なおそのほかに保証がなければ貸付ができないというような考え方をお持ちになつておるかどうかということをまずお伺いいたします。
  26. 湯河元威

    湯河参考人 農林漁業資金融通特別会計資金につきましては、政府の定めるところによりまして担保をとる、特別の場合には個人保証をとることもありますが、普通の資金の融通のように、組合にお貸しするのに信連の保証をとるというふうな意味の保証というものは特にございません。それは私どもの方でいたしておりません。
  27. 林好次

    ○林(好)委員 実は水産の方面ではないのですが、北海道の農村の小水力発電貸付に対して、つまり農協の単協にお貸し付けになるのですが、これは単協の役員の個人保証だけではいけないので、さらに自治体の町村の保証をせよというような御要求があつたのであります。もちろん町村が保証してもよいわけでありますが、御承知のように、自治体はやりいろいろな利害関係もあり、また自治体の議決を経なければ保証ができないということで、借入れが非常に遅れるというようなことも、実際に現地にあるわけですが、町村自治体で保証をしなければ貸付ができないという考え方は、少し無理ではないかという考えを私は持つておるのですが、この点はいかがでありましようか。
  28. 湯河元威

    湯河参考人 それは事業主体が償還について自信をお持ちいただけないという場合に、ぜひその現地において、そのお仕事が必要だということで、よく御理解がつけば自治体の保証をしていただくということをやつた例もございます。これは何とかしてせつかくのお仕事がうまくできますようにするために、無理がしてあるわけでございます。そういう必要がございませんところには、もとよりそういうことはしてございません。それで自治体の保証になりますと、仰せのように議会の議決がいることはまことに御迷惑だと思いますので、全体として、その地方開発のためにぜひいるという場合には、そういうふうにお願いをしてでも政府のこの貴重な金がお役に立つようにおはからいしたいという気持を持つております。
  29. 林好次

    ○林(好)委員 よくお説はわかりましたが、そういう煩わしいことをしないで、協同組合つて貧弱な協同組合でなく、りつぱな協同組合もありますし、協同組合の役員が全部個人保証をしても、なおかつ町村に保証をしろということはあまり深刻ではないかと私は考えるのですが、なるべく今後そういうことのないように御配慮願いたいと思います。
  30. 湯河元威

    湯河参考人 ただいまの御注意の点はよくわかりますが、これは農林中央金庫自己の資金ではございませんで、政府の御委託を受けておりますものでございますので、それで償還の確実なために、必要であるかどうかということにつきましては、逐一政府当局とも打合せをしております。ただいまのことがなるべく簡単に、確実に運べば、それに越したことはございません。よく政府とお打合せをしたいと思います。
  31. 小高熹郎

    小高委員 湯河参考人お尋ねしたいのであります。先ほど来の同僚委員からの質疑応答を承つておりますと、どうも上手に答弁されて、さつぱり要領を得ないきらいがありますので、はなはだ遺憾に思うのでありますが、私はこの根本問題に立ち入りまして、しからば現農林中金が、全国の農漁村から受けているところの預貯金の額がどのくらいであるか、政府資金がどのくらいであるか、その政府資金と預貯金を合しましたる計数と、貸出し数字がどの程度のバランスになつておるか、その余裕いかんということです。ただいま鈴木委員からも言われたように、当然出すべきことになつておるではないか。しかるに何ゆえにこれが出せないのだ、融通がきかぬのだというようなことに、せんじ詰めると話がなるのでございますが、その比較を一応伺いたいと思います。概算でよろしうございますから、健全財政でやるやいなやという点をお尋ねしたいのでございます。
  32. 湯河元威

    湯河参考人 中金の計数につきましての概算は申し上げていいのでありますが、少し具体的になるならば小野理事に助けてもらいたいと思います。  預貯金の額はときによりまして大きな動きがございます。今日は約三百六、七十億くらいになつておるかと思います。これは一月ごろ大体四百七十億ぐらいに上りましたもが、今どんどん払いもどされているのでございます。非常に動いております。それから政府の百二十億は、貸出しが必ずしも全部その資金で出ておりませんために、政府から来ていただいておりますものが八、九十億になつておるわけでございます。この以外に、中金といたしましては農林債券を百億足らず出しております。貸付の面にまわつておりますのが四百数十億になつておるのであります。それで、ただいまつなぎ資金の点につきまして、私決して言いのがれをするわけではございませんが、先ほど鈴木委員の御指摘の点は、実は二十六年度政府資金から御融資が始まつて、そうして二十七年度政府資金に当然つながるものだが、それが途中でとぎれて仕事がどうにもならぬというものは、ぜひ何とか考えなければならぬと思います。その負担は軽い。二十六年度でうやむやになつておるが、これはいずれ政府の方でおきめになるので、そうなりますれば第一次の方と同じになりますから、さようなときに中金はどんどん金を出したらいいじやないかというお言葉でございますが、私の方といたしましては、実は地方の御必要がございますればできるだけ応じて参りたい。ところでただいま申しましたように、資金事情がこれから先非常に切迫して参ります。と申しますのは、貯金の払いもどしという形式が、肥料を買い取るとかあるいは税金を払うとかいうので、毎年三月、四月、五月というふうに急にふえて参ります。そのときに今つなぎの御要請が出ておりますので、そこのところ非常た慎重に考えております。これがもし秋口の資金のふえて参るときでございますればこんなにまで申し上げないで、私たちとしても適当に考えて参りますと申し上げていいのでございますが、これから春先六月くらいまで、麦の生産が終つてそれが資金化されますまでの間、農家、地方は非常に金が忙しいので、中金としては間もなく貯金も最低限まで下つてしまいますので、それから先は、われわれとしては資金調達はもつぱら日本銀行の借入金によつて参らなければならないときでございます。そのときにつなぎ資金をたやすい気持でお扱いするということが苦しいのでございます。しかし御事情先ほど承りましたようなことでございまして、政府の御当局でもいろいろそこに御苦心がおありのことと思います。われわれとしても、やはりこれを対岸の火災視するつもりはございません。御一緒にともども調節をはかつて参りたいという気持でございます。数字が足りませんところは、なお申し上げることにいたします。
  33. 小高熹郎

    小高委員 時間の都合もありますので結論を出したいと思つております。今湯河理事長の答弁を伺いますと、きわめて真撃な態度であつて、これに対してわれわれは、熱意を持つておらないどころか、大いに持つておるのだという態度をうかがい知ることができて、非常に欣快に思つておるのでありまするが、先ほど大ざつぱに数字を伺いましたところ、ただいまのところでは余裕がありそうである。そこで当然出すべきものは出してやつたらどうだ。それにつきまして、金融でございますから、これは慎庁審議する、調査するということは当然のことでありまするが、ややもいたしますると、中金事務が少しスローモーシヨンに陥つてやしないか、もうちよつと何とか促進できないのかというのは、全国漁民の声でございまして、その点たいへんお耳ざわりかもしれままんが、出せないものはしかたがないが、調査の結果出せそうである、どうしようかというようなものがあてたら、どんどんその答えを出していただきたい。これを全国漁民を代表して農林中金当局に強く要黒いたす次第でございます。
  34. 川村善八郎

    川村委員長 参考人農林中央金庫理事長湯河元威君、同理事小野三郎君に対しましての質疑はこの程度にとどめ、お引取りを願いたいと思います。御両氏におきましては、御多忙中ありがとうございました。小高君。
  35. 小高熹郎

    小高委員 開発銀行中山理事にちよつとお尋ねをいたしたいのであります。先ほど私の質問に対して、昭和二十六年度は二百八十億の資金源があつたが、昭和二十七年度は借入金が四十億、政府資金が八十億というふうに申されておりますが、この四十億の借入れはどういうふうな性格のものであるか、また復金は回収一方で貸出しを中止しておるのでありますが、復金が年年回収いたしております数十億の資金は、開発銀行に入るやにうわさされておるのでありますが、これはどういう形態で開発銀行に繰入れておるのか、その点をお尋ねいたしたいのであります。
  36. 中山素平

    中山参考人 先ほどの私のお答えが少し不十分でございましたので申訳ございません。先ほど私の申しましたのは、二十七年度資金源として一般会計から八十億の出資、それから借入金の四十億と申しましたのは、見返り資金から借り入れる。そのように政府資金が二十六年度に比べまして減りますので、二十六年度の二百八十億の資金の中で四十億程度繰越さなければならぬというので、二十七年度資金源の一部を申し上げただけであります。そのほかに今お尋ねがございました復興金融金庫の承継債権の回収は、二十七年度におきましては約八十億と予定いたしております。従いまして政府から出ます百二十億と復金の回収が八十億、それが開発銀行資金として使えるわけであります。そのほかにももちろん利息の収入もございますし、開発銀行が本年度出しました資金の回収もございますので、今申し上げた二百億よりは多少上まわると思います。実はまだその開発銀行の利息収入、その他有価証券の利息、つまり利益を政府にどういうふうに納めるかということが固まつておりませんので、そういつた利息収入の中で、新資金にどの程度使えるかということがちよつと見当がつきませんので、今はつきりしております百二十億の政府からの出資復金の回収金の八十億、大体二百億が資金源として考えられる、そう申し上げた次第であります。
  37. 小高熹郎

    小高委員 いま一点は冷蔵庫資金の問題であります。先ほどお話では十七件残つているということでありますが、政府が大よそ定めました数字にはよほど余裕があるようであります。これは現在の漁業経営の上において、単位漁業協同組合を中心とする冷蔵庫の設置と、会社組織によるところの冷蔵庫の設置とが両々相まつて、漁村経営の安定、漁民経済の安定という意味においてどうしても必要なのでございまして、この開発銀行資金源につきましても、私非常に冷蔵庫関係が少いのを遺憾に思うのであります。これが増額については、われわれも大いに努力をいたしますが、開発銀行側としてもこれに協力を願いたいということと、あと残つている十七件を、本年度中にすみやかにひとつ特に奮発して解決をしてもらいたいということを強く要望いたしまして、意見を打切つておきます。
  38. 川村善八郎

    川村委員長 永田委員
  39. 永田節

    ○永田委員 開発銀行中山さんに伺います。ただいまの小高委員質問に関連するのですが、中金資金から申しまして、水産高度利用の約三億というものは、約七分五厘という貧弱な数字が出て参るのでございます。この議論は別といたしまして、この貸出しにあたりまして、今日の過程においてなお十七件の調査が未了になつているということは、一体どこにそんな理由があるのか、ひとり開発銀行のみならず、中金も同様でありますが、われわれから見ますと、調査の過程においてたまたま誠意の欠けるところがあるのではないか。またそもそも見返り資金高度利用というものは、魚価維持対策というのが目的でございます。それを見返り資金によつて対策を講ずるということから出発したのであります。中には債務の履行にも芳ばしくないような、財政状態のものがなきにしもあらずですが、日本の水産行政の面から行きまして、若干の危険はありましても、その企業体の将来性を考えまして、ぜひ融資をしなければならないというふうに思われるところも地域的にはあるのです。ところがあなた方の方では、事務的に地方の銀行に信用の調査を御依頼に相なつておる御様子ですが、地方の銀行も戦争中整理統合され、合同いたしまして一つなつた銀行が多い。従いまして、一つなつた銀行の業務というものには、おのずから横暴というか、独占的な気風が現われて来て、地方によつては銀行が政治的に活躍しておるところもある。たまたまさような銀行の窓口を通じて調査の内容が開銀にもたらされて、それを資料にして、あなたの方では審査をなされるというところに非常な危険があるのではないかと思います。従いまして、この辺は単なる文書のみによる御調査ではなくて、もう一歩進んで水産庁方面の事務当局の御意向も十二分に参考にされて、所期の目的を達するように御協力願いたい、こう思うのであります。これについて開発銀行の方の御方針を承りたいと思うのでありますが、単に銀行屋としての開発銀行、銀行中の開発銀行ということなら、われわれとしてはまたわれわれの考えがあります。
  40. 中山素平

    中山参考人 お尋ねにの点いろいろございますが、まず最初開発銀行融資の中で、冷蔵庫関係資金が少いではないかという点でございますが、確かに御説の通りだと思います。これは先ほど御意見が、ございましたように、確かに冷蔵庫関係は、組合と単独企業と両方が並行して建設をお進めになるということが御必要であろうと思います。しかしながら政府資金の方に制約がございますものですから、農林漁業資金特別会計の方で、やはり組合関係冷蔵庫資金が出る、それから私どもの方から単独企業の資金が出る、この両方を合せてお考になると、全体の資金というものについての比重も、そう低くないのではないかというふうに考えられます。  それから審査の遅れておる点でございますが、確かに他の企業に比べて少し遅れております。遅れておりますのは、今申し上げたように、資金量が非常に少いところから、私どもの方でも、どういう地方のどういう施設に金を出したらよいかということの判断にいろいろ迷いまして、実は水産庁の方に御意見を承りまして、水産庁の方では、非常に少い資金だから一番的確な地域、的確な施設に金が向くようにどういう御意見を持つておるかということを伺つてつたのが、十一月になつてから水産庁からいわゆる格付が出て参りましたので、それに基いて私どもの方としては、役所の御意見を尊重して、そのうち今お尋ねがございましたように、一番順位の高いものから調査を始めて参る、ですから調査にかかりましたのが他の企業に比べて若干時期が遅れております。しかしながら先ほど申し上げましたように、この三月一ぱいには全部決定をいたします。ただ資金が全部出るかどうかはわかりませんが、貸付の承諾あるいはいかぬという決定は三月中にいたします。  もう一つお尋ねの、開発銀行審査につきまして、地方銀行だけの意見できめているのじやないかというようなお尋ねでございましたが、これは多少事情が違つておりまして、私どもの方としましては、審査開発銀行が自力でやつております。ただほかの産業の調査もそうでございますが、お取引の銀行とか、あるいは仕人先とか、いろいろなところに業者の方の信用状態を聞きに参ります。そういうことで、地方銀行の御意見も伺いますけれども、それだけできめていることは絶対にございませんで、開発銀行責任において審査いたしておりますから、今御心配になつているような向きはないのじやないか。従つて水産庁の御意見も十分に聞いておりますし、他の各方面の意見を聞いた上で私、ども責任においてきめております。
  41. 永田節

    ○永田委員 貸出し資金関係上制約を受けている、従つて全体的に考えて、三億の水産関係融資というものは必ずしも低くはないという御説明がございましたが、私はここにふしぎな点が一つあるのです。会社の名前は記憶しておりませんが、多分日冷じやないかと思います。冷蔵建設に対して融資をなさつておられますが、その額はどのくらいにな」つておりますか。先ほども私が申し上げましたように、三億というものをわれわれは委員会でもくろみました。その原因は、資本企業による業者の援護ではなくて、実に必要に迫つた沿岸漁民の魚価維持対策ということに発しているのであります。そこで日冷にお出しなつたということを承りまして——日冷といえばすでに今日日本でも代表的な製氷会社であります。この会社に、しかも早期に貸し出しておられると承つておりますが、どの程度金額であるか承りたいのと、話はかわりますが、極洋捕鯨で極洋並びに日水、大洋というものにそれぞれ二億あるいは一億六千万、一億五千万、合計五億一千万の金が出ておりますが、これはどういうふうな関係で金が出せるのですか、その理由を承りたい。と同時に、この三社に——もちろんその企業のシステムが違う関係もありますが、三社に対して五億一千万、一方沿岸漁民に対しては全国で三億ということは、あなたの御説の、必ずしも全体的に低くはないということは訂正なさる必要があるのではないかと思います。  もう一つは、あなたの方で責任を持つて単独に調査をなさつているという御意向でございまするが、そうあることを信じております。またそうなくてはならないと思います。現にある関係県である事実を聞いておりますが、これは委員会質問するようなことでもありません。あなたの方の一つのあやまちだと思つておりますので、後日その業者がいずれあなたの方に参ると思います。これはあくまでも慎重に、真剣に、開発銀行もわれわれと一体になつて、日本の水産の将来のために貢献するという理想のもとにやつていただきたいと思います。
  42. 中山素平

    中山参考人 どうも私の答弁がまずいものでございますから、誤解をお与えしたと思うのであります。先ほど申し上げました全体の政府資金の中で、量としてはそう低くないのではないかということは、私は開発銀行資金だけを申し上げておるのではありませんで、農林漁業資金融通特別会計資金も含んでおります。その関係から、冷蔵庫資金というものはそんなに低くないということであります。  それから個々の取引先と申しますか、それにつきまして、ここで申し上げることはひとつごかんべん願いたいと思います。  それから今お尋ねのような案件につきましては、どうぞ御遠慮なく銀行の方へお訪ねくだされば私どもよくお話を伺いたいと思います。ただ申し上げておきますが、南氷洋の関係の捕鯨の方の資金は、確かに業者の数は少うございます。それから金額にしても多うございます。しかしこれは私の方が二十六年度出します融資計画の中で、政府の方で南氷洋捕鯨の方のキヤツチヤー・ボートの建造資金というものは、はつきりと候補に上つておりまして、私の方としては、当然に取上げるべきものであるというふうに格付をされております。従いましてこういつたものを取上げて参りますと、事業の規模がかなり大きいものでございますから、現在の市中の金融の状況その他から見まして、開発銀行が負担しなければならぬという資金が結果的に多くなつて参ります。その場合に私どもとしては、なるべく市中から借り得るものは市中で借りてもらつて、どうしても借り得ない部分だけを開発銀行が負担するという建前になつております。
  43. 川村善八郎

    川村委員長 時間の関係上、参考人日本開発銀行理事中山素平君、同営業第二部営業課長川崎一臣君の御両氏に対する質疑はこの程度にとどめ、お引取りを願うことにいたしたいと思います。御両氏には、お忙しいところまことにありがとうございました。     —————————————
  44. 川村善八郎

    川村委員長 次に漁業取締りに関する件を議題とし、質疑を許します。  この場合皆様に御報告申し上げます。海上保安庁長官柳澤米吉君、警備救難部長松野溝秀君の御両氏が出席されております。  田口君より質疑の通告があります。これを許します。田口君。
  45. 田口長治郎

    ○田口委員 きようは漁業取締りに関しまして、海上保安庁の長官にいろいろお伺いいたしたいことがあるのでございますけれども、時間がたいへんおそくなりましたから、ごく簡単にお伺いをいたしたいのであります。  その第一点は、東支那海の以西底びき網の取締り問題でございますが、長官も御承知通り、昨今は台湾政府及び朝鮮関係はほとんどないのでありますけれども、中共関係におきまして非常に活発に拿捕事件が起つております。今年の一月末現在におきまして約六十九隻、二月十日になりましてさらに十四隻ばかり拿捕されたり、あるいは拿捕されたらしい船があるというような状態でございまして、おそらくこの損害は二十億円程度に達しておると思うのであります。     〔委員長退席、小高委員長代理着席〕 また八百名以上抑留されました船員のうち、ただいま四百五十人程度つて来ておると思うのであります。なお、三百五十人か、あるいは四百人近くの者が先方に抑留されておる。これは日本人の生命財産から申しましても、あるいは日本の産業という点から考えましても、きわめて重大なる問題でありまして、これが取締りの任に当られる水産庁といたしましても、あるいは海上保安庁といたしましても、日夜相当努力をしておられると考えるのでありますけれども、なおかくのごときような実情である。私は過去のことは、いろいろな事情もありますから、なかなか取締りにくいという点もよく承知しておるのでありますが、近く平和條約もいよいよ発効をいたしまして、問題のマッカーサー・ラインも撤廃される。その後におきまして、なおかくのごとき状態を繰返しておりましては、日本の漁業、ことに以西底びきはほとんど壊滅状態に陥つてしまうのではないか。こういうような観点からいたしまして、何とか安心して仕事のできるような道を講じなければならない。私らの考え方から申しますと、日米安全保障は決して陸上の問題ばかりでなしに、陸の延長でありますところの漁船あるいは商船にまで当然及ばなければならぬ。こういうような考えを持つておるのでありますが、行政協定その他が米軍の駐留というような一点に限られておりますために、その方に依存することができないという実情にあるのでございます。このマツカーサー・ラインの撤廃後におきまして、海上保安庁といたしましては、東支那海の警備、日本漁船の保護をいかなる方法で、今までのような状態を繰返さないような処置をお講じになる所存であるか。詳細に御説明を願いたいと思うのであります。
  46. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 ただいま御質問の東支那海方面の問題は、非常に大きな問題でございまして、水産庁当局及びわれわれの方といたしましても、常に心を砕いておる問題でございます。現在の状況は、皆様承知通りに、海上保安庁の船舶は基地から百マイルの制限を受けておる。この制限のために、現地その他を遊戈することが困難な状態になつております。但し難波船その他があつた緊急の場合に、外へ出ることはできるという状態になつております。この問題が現在におきまして、一番大きな差障となつておるわけであります。従つて本件に関しましては、現在のところ米海軍及び水産丘の監視船をもつてこれに当られるというかつこうでございます。海上保安庁といたしましても、この拿捕船関係につきまして、無電その他によりまして、緊急事態が起きたときには参加して行くということでございますとともに、常に漁船の位置を刻々無電によつて調べて、その状況を聴取しておる次第でございます。今後海上保安庁として、いかなる処置をこれに対してとるかという御質問でございますが、この点につきましては、まず講和條約が発効いたしまするならば、ただいま申しました百マイルの制限というものがなくなると考えております。従いまして、海上保安庁の船舶がこれら漁船の保護に当ることが可能ということになつておる状態であります。現在海上保安庁といたしましては、この拿捕問題のほか、密出入国その他の問題が主として九州方面にありますから、巡視船の約三〇%はこの地方にさかれている状態であります。これらの船舶をもつて、はたして海上保安庁の各般の業務が安全に行われるかという問題につきましては、はなはだ恐縮でございますが、いまだ完全にこれを行う設備ができてございません。しかしながら海上保安庁といたしましても、現在において巡視船が大体百隻を数える程度に増強されて来ております。従つて相当の力は出て来たというふうに自信を持つておるわけでございます。なお二十七年度におきまして約五、六十ばいの船の増強を考えております。この増強により船舶が多くなりますれば、この方面に相当にさき得るのではないかというふうに考えておるわけであります。しからばそれら船舶がどういうふうにこれらの取締りを行うかという点について、われわれとしてまず第一に考えられますことは、これらの漁船に対して、常にその付近を巡視警戒するということが最も大切なことではないかというふうに考えるわけでございます。従つてわれわれといたしましては、できるだけの船舶をさきまして、講和発効後においてはこの付近の巡視警戒を行いたい、かように考えている次第でございます。
  47. 田口長治郎

    ○田口委員 ただいまの御答弁によりますと、海上保安庁では現有勢力が百そう程度になつておる、こういうようなお話でございますが、まずこの百そうのうちで遠洋に航海できる船舶が何そうで、沿岸だけにとまらなければならぬ性能の船が何そうであるかという点と、それから二十七年度において六十隻の新船を建造される計画になつておるように承知をしておるのでございますが、私はこの六十隻はもちろん全部が遠洋航海に耐え得る船だというふうに考えるのですが、現有勢力の遠洋航海のできる船及びこの六十隻、これだけが遠洋の取締りができるものといたしまして、九州の西海方面に遠洋航海のできる船舶をどの程度におまわしになれば、この問題をある程度取締りができるか、どういうふうにその点をお考えになつておるのですか。あるいは現在の漁業の状況そのままではいかないから、集団操業をさせるとかなんとか、いろいろな漁業法法のくふうをさせることによつて、この程度の船舶を配置すれば、大体成算があるのではないかというお見通しがあると思いますが、それらの点について、いま少しつつ込んだ御意見を承りたいと思います。
  48. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 現在の海上保安庁の船舶は、本年の一月一日現在におきまして、巡視船と称するものが八十三隻ございます。本年度末に入りますと九十二隻ということになるわけであります。その他港内艇、これは小さい船でありますが、これが一月一日現在におきまして百七十二隻、年度末に入りまして二百十一隻ということになります。このうち御質問にあります遠洋を航海でき得る船舶は二百七十トン型が二十隻ございます。四百五十トン型が二十二隻、七百トン型が三隻というのが年度末の現状に相なると思うのであります。そのほか使うといたしますれば、百八十トン型の船舶が十四隻、これが大体遠洋に使い得るものと考えられるのであります。なお使い得れば使い得るという百トン型のものが二十八隻ございます。これらの船舶を全国に配置しているわけでありますが、このうち大体先ほど申し上げた三〇%が九州方面にいる状態でございます。なお二十七年度において操業されます船舶は、大体において二百七十トン型以上の船舶ということに相なります。近く海上保安庁法の改正をお諮りいたしまして、これらの船舶につきましては、特にこういう取締りに十分役立つような訓練をいたして行きたいと考えておるわけであります。  なおこの点につきまして、どういう計画をもつて巡視警戒を行うかというお話でございますが、御承知通り水産庁当局とも打合せいたしておりますが、魚群のいる位置というものは、地区地区によつて大体の見当がついておりまして、ある地区には大体多くの漁船が出るのではないかという予想がつき得るのではないかと考えております。従いまして、主としてその魚群のいる位置の近所を巡視警戒するという方法を具体的にとりたいと考えております。
  49. 田口長治郎

    ○田口委員 昨今の中共の拿捕船は、今まで日本漁船をとりましたその漁船を使いまして、みずから漁業をしながら日本の漁船に接近いたしまして、それ専門の船と一緒になつて、五そうの船を三そう、四そうあるいは五そうで包囲いたしまして、そうして機関銃を持ち、あるいは小銃を撃つて威嚇しながら拿捕する、こういう実情のようでございますが、ただいま長官のお話によりますと、講和條約が発効いたしました後におきましては、その方面の取締りに十分役立つような船員の訓練をしておるということでございました。お話の中には多分いわゆる武器という問題も含まつておると考えるのでございますけれども、講和発効後日本がほんとうに独立いたしました後におきまして、この遠洋に出動のできる船の装備を、どの程度にお考えになつておるのでございますか。はつきりした御説明ができないといたしますれば、大体今拿捕している船の能力、この能力に対抗できるような装備を考えておられるか、この点についておさしつかえのない範囲において御答弁をわずらわしたいと思うのであります。
  50. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 現在の東支那海における拿捕の状況については、御説の通り当方の拿捕された船舶も利用し、あるいは中共方面で有しております米国製のさんちやく網の船、これを利用いたしまして拿捕に向つておるように聞いております。これらに対する海上保安庁の考え方というものは、海上保安庁は武器を持たれるかどうかというお話でございますが、海上保安庁としては、武器と称するものは持たないだろうと思います。しかしながら海上保安庁の巡視船が海賊あるいは密貿易その他の船舶に会いましたときに停船命令、あるいはその他をなし得るような設備はいたしたい、かように考えておるわけでございます。東支那海に参りましても、いたずらに事を構えるということは毛頭考えておりません。わが国の漁業を安心して行い得るということを目標にして、これに対して遺漏のないようにいたしたいと考えておる次第でございます。     〔小高委員長代理退席、委員長着席〕
  51. 田口長治郎

    ○田口委員 ただいままでの長官からの御答弁によりまして、海上保安庁の二十七年場度からの性能というような点もはつきりいたしましたし、また長官の、この方面に対してできるだけの努力をしなければならない、こういうような熱意も十分了承できるのでございますが、事は非常に重大な問題であります。またあまりつつ込んで質問をすることもいかがと思いますから、私はこの問題はこの程度にとどめたいと思うのでございますが、この事業の重要性にかんがみまして、船舶数だけではなかなか取締りの徹底が期せられない、こういうふうにも考えますから、取締りの方法について、ひとつ水産庁とよくお打合せくださいまして、技術的に間違いがないような操業の方法をとらして、その上で全力を打込んでいただいて、少くとも講和発効後においては、今までのような不祥事を繰返さないような処置をぜひとつていただきたい、こういうことを強くお願いをいたす次第でございます。  第二に、これは非常に小さな問題でございますが、先般次長さんまでに私的にお話しておつたのでございますが、有明海においては、御承知通り干満の差が非常にはげしい。そのはげしいことを利用した漁業だけが発達しておるのでございますから、潮時にわずかの時間しか仕事をしない漁業が非常に多いのでございます。しかも小漁船でございますから、一人乗りあるいは二人乗りぐらいの漁業が多いのでございますが、その漁船に対しまして海上保安庁の警備船が非常に長時間、別に何ということのない調べをやられている、仕事も何もできないということを各地の漁業者が言つているのでございます。これは多分あなたの方の出張所の三角の警備船ではないかしらと思うのでございますが、各業者の話を聞きましても、何といつて特に調査をしなければなら恥いようなそういう調査もなかつたようでございます。また非常に短期間に漁業しなければならない特殊の海区でもありますし、有明海全体の漁業者が非常に困つている問題でございますから、長官の方からよくお調べくださいまして、一日も早くこの問題について適当なる処置をしていただきたい、こういうことを要請いたす次第であります。今まで私の調べたところでは、まとまつた調査資料というものが何もなしに、ただ船に一時間あるいは一時間半ぶらぶらしているというような形跡が非常に多いのでございますから、別に報告も来ていないかと思いますけれども、本庁の方から積極的にひとつお調べを願いたいと思います。
  52. 永田節

    ○永田委員 私の海上保安庁に対する質問も、同僚田口委員質問で大体尽きているのです。承りますと、海上保安庁の職務に対する熱意と、特にまた水産に対する御理解、御協力につきましては、われわれ委員会も感謝にたえないのであります。将来の日本の水産は、漁師水産から海洋水産にと大飛躍をする時代が参ります。従いましてこれにふさわしいところの漁業家の生命、財産を守るという一つの職務遂行に対して、さらに一層の御検討と、これに必要な予算の獲得という点について御努力をお願い申し上げたいと思います。実はこの前本委員会に海上保安庁と外務省を呼んでということを委員長にお願いしてあつたのですが、本日外務省からはどなたもお見えになつておりません。遺憾に思うのですが、次期委員会には必ず外務省の責任者を本委員会に呼ばれんことを委員長にお願い申し上げます。
  53. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 柳澤長官にお尋ねいたします。今年の北洋漁業の出漁は、国際漁業へのわが国の第一歩であります。そこで日米加三国漁業協定のとりきめを厳重に遵守いたしまして、再び国際信義を毀損するような事態の起らないように、また、あの国際漁場へ参ります途中には、千島その他ソ連の領域下にございまして、さけ、ますその他の漁業の性格上、カムチャツカ海域にもしばしば漁船が接近する参れもある漁場でございます。そういうような濃霧の非常にはげしい特殊な海域でございまする関係から、ソ連との無用の紛議をかもしたり、いろいろな外交上めんどうな事態が起らないように、今年の北洋漁業の出漁というものは、政府といたしましても、また業界といたしましても、慎重にこれに対処しなければならぬと考えておるわけであります。このかに漁業並びにさけ、ますの母船式漁業の出漁に対しまして、海上保安庁当局は、これら漁船団の警戒あるいは保護、あるいは漁業條約を厳重に遵守させるための取締りというふうなものを、水産庁との協力関係においていかように準備を進め、これに対していかなる御計画で警戒、保護の任務を果そうとなさつておられますか、その御計画のほどを承つておきたいと思います。
  54. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 北方におきます問題につきましては、お話にもありましたように、ソ連との関係というものも非常に微妙な関係にあるのでございまして、現在におきましては、海上保安庁といたしましては、お説にありました通り、いたずらに紛争を起さないという趣旨で終始考えておるわけでございます。講和條約発効後、あるいは漁業協定その他の問題が解決いたしました後は、だんだんそういう問題が起きて来ると思いますが、これらに対しまして海上保安庁といたしましては、先ほども申し上げました通り、今回二十七年度におきまして増強される船舶の一部は、やはり北方にも置くというような考え方を持つておるわけであります。これらのものの実際の警備の具体的方策というものにつきましては、目下水産庁相談をいたしておるわけでございますが、これらは出漁時期、あるいは船舶の数というものが主体になつて来るのでありまして、これにマッチするようにやりたいと考えております。
  55. 川端佳夫

    ○川端委員 漁業取締りの問題に関連して海上保安庁にちようどいい機会ですから、伺いたいと思います。愛媛県と高知県の問題になつております宿毛湾の入会の紛争にからまりまして、保安庁の出張所の取締りの状況についてお伺いいたしたいのであります。あの入会では非常に紛争をいたしておりまして、高知県にある出張所の方が、愛媛県側の漁船を不当に拿捕しているということであります。この前資料は持つて来ておつたのですが、今日は持つて来ていないのでお目にかけられませんが、具体的にあるのです。あなたの方のお手元にあるいは御報告があるのではないかと思いますが、この紛争も実は非常にわれわれが事情を見ますと、根拠のない、感情的な争いでありまして、そうしてその間にちやんと両県の間において協定も結ばれておつた。それが今年の十二月末まで有効である。そういう協定下にあつての紛争であつた。ところが保安庁の取締りとのは高知県に一方的に加担をしまして、愛媛県の取締りを非常に厳重にやつておるわけです。そうしてその数も相当あります。しかもここで私がとりわけ申し上げたいのは、先月末にこれが妥結を見たのです。やはりその通りだ、協定もあるし、従来の通りにやろうという話になつたにもかかわらず、まだつかまつてそのままになつておるようでありますが、これに対して私の方へも陳情が盛んに来るので、この点お調べの上ぜひ善処を願いたいと思います。これはいい機会でありますから、ちよつとお願いをいたしておきます。
  56. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 その件につきましては、まだ詳細な報告を受けておりませんですが、入会の問題につきましては、海上保安庁といたしましては、法の定むるところに従つて行えというふうに強く指令しております。特に先般起りました新潟方面の問題とか、その他相当な問題がございまして、各地に起つておりますので、十分注意をしておりますが、もし一方的の問題があるということになりますと、これは重大な問題でございますので、さつそく取調べまして、その事情を聴取すると同時に、公平な処置をやるように連絡いたしたいと思います。
  57. 川端佳夫

    ○川端委員 これも地方の一地域でありますけれども、相当大きな問題になつておりますから、その結果を御報告願います。
  58. 木村榮

    木村(榮)委員 二、三点伺いたいのです。一つは今まで海上保安庁が連合軍の要請と申しましようか、そういつたものに基いて漁業制限区域、立入禁止区域とかいうものがあつたわけですが、あれは行政協定が発効いたしますと、取扱いはどのようになるのですか。
  59. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 大体これをきめますのは、外務省方面においてその位置をきめておりますが、それをきめる前に関係官庁、つまり水産庁なり、われわれの方に連絡がありまして、それによつて定められますと、その告示はやはりわれわれの方の告示として水路部で製作しまして、告示するというかつこうになるのであります。
  60. 木村榮

    木村(榮)委員 そうしますと、この問題は大分前から私たち問題にしておつたのですが、そういつた場合の漁民がこうむる損害は、やはり防衛分担金といつたようなものから出すのではなく、水産庁関係の方から出て来るようになるのですね。海上保安庁の責任において別個にやるのですから、行政協定とは無関係ということになるわけですね。
  61. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 この問題につきましては、行政協定の細則において、そういう場合の金をどちらで出すかということはきまるのではないかと思います。まだそういうこまかい点については私たち聞いておりません。手続としては、やはり今まではどちらかといえば占領下にありまして、物のきめ方その他について連絡の少かつたこともあり、今後はこちらと相当相談して行くかつこうになると思います。
  62. 木村榮

    木村(榮)委員 もう一つ聞きたいのですが、それはポツダム政令三〇六号が廃止になつて、いわゆるマッカーサー・ラインの廃止ということになつて来ますと、日本側としては漁業協定を結んでいないような所で、これは公海だというわけで出て行くわけであります。それとまたさつきお話がありましたように、行政協定に伴う海上のいろいろな問題もあると思いますので、そういつたものが両方からみ合つて、今までのような形における海上保安庁の取締りに大きな変化を来すのではないかと思うのであります。いわゆる公海と称て日本から出て行く船団、特にこれは以西なんかでは、将来大きな問題が浮び上つて来ると思うのでありますが、そういつた場合の海上保安庁としての取締りというものに対して、相当具体的に検討され、今後の見通しというものはあるのですか。
  63. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 以西底びきその他に関しましては、先ほど御答弁申し上げました通りの処置をとりたいというふうに考えております。繰返しますれば、航行の制限、現在基地から百マイルというものは、講和発効後におきましては撤廃されまして、巡視船が出て行けるようになつておりますが、巡視船の許す範囲というものをこの條項に入れて行くようにいたしたいと考えております。
  64. 木村榮

    木村(榮)委員 そうしますと、結局こういうことになるのですね、マッカーサー・ラインがなくなつたのだから、特に以西なんかにおいては、東支那海なんかでは、こつちが沿岸三海里か六海里まではがんばつて行ける、こう解釈するわけですが、そうしますと、漁船団も行けば海上保安庁の巡視艇もまた行く。そこで今のような状況の中において考えますと、相当そこで争いが起つて来る危険性があると思います。そうなつて来ますと、さつきの御答弁にもあつたように、相当の設備をしなければならぬ、こういうことであつたのですが、そうすると向うの武装力に対して、日本の海上保安庁もそれ相当の武器を搭載して戦わなければならぬ。これは当然そうなつて来ると思うのであります。そういう点の御準備を、さつきの御答弁にあつたように、大型船の建造とか何とかということにからみ合つてお進めになつておると思うのです。これは何もお隠しにならなくても当然そうなるのですから、もしその点の御説明ができれば御説明願いたい。
  65. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 われわれの考え方といたしましては、国際法に従いまして日本の漁船の保護ということをやりたいと思つております。先ほども御答弁申し上げましたように、いたずらに紛争を起すことは絶対に避けたいというふうに考えております。これは想像をだんだんやつて行きますとどこまでも想像が行きますので、われわれといたしましては、どこまでも平和的に、国際法に基いた処置によつてつて行きたいというふうに考えております。
  66. 小松勇次

    ○小松委員 ただいま問題になつておりまする支那東海におけるところの日本漁船がひんぴんとして拿捕されるという問題は、これはひとり日本漁業の問題だけでなくして、私は国交関係の上から重大な問題だと思つておるのであります。従つてこの問題を根本的に解決するためには、いろいろ国際的の友好関係を結ぶということが根本であろうと思うが、今回の場合は、さしあたり現段階においてはそれは困難であります。そこでこれらの漁船を保護するという上から考えました場合に、いろいろお話があつて、巡視船を百そうも増強するということでありますが、私はただ巡視船を増強しただけでは、実際の保護はできないと思う。現在の拿捕されておる船の状態を伺いますと、マ・ライン内においても拿捕されておるというような現状であります。しかもまた中共においては武器を持ち、機関銃等を用いて、そうして人命にも損傷を与えておるというような実情を伺いますると、これを保護するのには、どうしても巡視船に対しては、それに対抗するだけの用意を持たなければならないと私は思う。今回つくる巡視船は、一体どのくらいのトン数の船であつて、どういう装備をするか。先ほど木村君からも質問があつたが、これを完備しなければ漁師は安心して操業に携われぬと思う。その点をいま少し詳しくお伺いしたいと思います。
  67. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 海上保安庁といたしましては、まず今までのデータを見ましても、まだ監視船が拿捕された、あるいはその他のことはなかつたように記憶しております。今後巡視船がたとい何ら無防禦で出かけましても、この巡視船が漁船団を監視し、これによつて漁船団を保護して行くということに相なりますると、拿捕に来ました船舶におきましても相当に脅威を感ずるというふうに考えられます。なおこれについてもし不法な行為が起るというような場合には、ただちに無線連絡その他によりまして状況がわかります。また同時にその拿捕の状況というものがいかに不法であるかということも、はつきり認識ができる状態にあると思う。これらの問題を、力によつて解決するという解決の仕方も一つの行き方だろうと思うのでありますが、同時に一方におきましては、国際裁判その他によつて、はつきりこれは不法であつたということがわかるような処置をとることも一つの方法ではないかというふうに考えております。従いまして海上保安庁といたしましては、はなはだ消極的で恐れ入るのでございますが、できるだけそういう紛争を起さない方法によつて、できるだけの保護をして行けば一番いいのではないかというふうに考えられる。しかしながら海上保安庁といたしましても、やはり先ほど申し上げました通り、近来は非常に速力の早いいろいろの密航船その他ができておりますので、これらを逮捕するという場合、向うの方がほとんど速力が早いというような場合がある。これらに対しまして、停船命令を行い得るような措置はやつておいた方がいいのではないかというふうに考えております。これらの停船命令を行い得るようなものがあれば、これも幾分か役に立つのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  68. 小松勇次

    ○小松委員 なるべく平和的にこの問題を解決することに努力するというお話は当然でありまするけれども、今のお話の中に、さような事件が起つた場合には、すぐ無線電信をもつて連絡をとるというお言葉があつたのでありますが、その無線電信はどこへ連絡をするのか、あるいはアメリカ海軍等に連絡をとつて、アメリカ海軍がただちに出動をして適当な措置を講じてくれるのであるか、これをひとつ伺いたい。
  69. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 無線その他で連絡すると申し上げましたのは、基地その他もつと大きな系統がありますと同時に、日本政府すなわちわれわれのところ、あるいは関係官庁に対しまして、その拿捕の状況その他を明確に早く知らせるということであります。     —————————————
  70. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 この際、委員各位委員長からお諮りを願いたいと思います。昨四日午前十時半ごろ北海道の南部から三陸方面にかけまして、津波を伴いましたところの非常に大きな地震が発生いたしました。二十年前とほとんど時間を同じういたしまして、あの三陸の津波というような惨害が再びここに発生いたしましたことは、まことに罹災者各位の心事を考えますと、御同情にたえないと同時に、この寒空を迎えまして、この復旧がいかに迅速に適切に行われなければならない問題であるかを考えました場合に、私どもはこの災害復旧対策につきまして、すみやかに万全の対策を確立しなければならないと思うのであります。新聞紙の報ずるところによりましても、その震源地は襟裳岬の東方七十キロというようなことを報じておりますが、その関係から、北海道の釧路から日高方面にかけ、また三陸一帯にかけて、沿岸の漁業施設あるいは漁船その他漁村に対するところの被害はきわめて甚大なように報ぜられているのであります。つきましては本委員会といたしまして、すみやかにその被害の実情調査し、これに対する適切なる対策を確立いたしますために、本委員会から若干名の委員をもつて調査班を派遣し、そしてすみやかに現地の漁業関係罹災者諸君を慰問いたしますと同時に、被害の状況をすみやかに調査いたしまして、そして本委員会として災害対策をすみやかに確立いたしたいと存ずるものであります。この件を委員長から各位にお諮り願いたいと思うのであります。
  71. 川村善八郎

    川村委員長 この際お諮りいたします。  ただいま鈴木委員より十勝沖震源地による地震、津波等の被害が甚大である。かような点から、本委員会において慰問並びに調査を進めて適当な措置をとりたいという御意見がありましたが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 川村善八郎

    川村委員長 御異議なしと認めまして、議長の手元にそれぞれ手続をいたしましてその意を尽したいと思います。  午前の会議はこの程度にとどめ、午後二時より北洋漁業に関する件について、永野水産庁次長に出席を求め、調査を進めたいと思います。  午後二時まで休憩いたします。     午後零時五十三分休憩      ————◇—————     午後二時二十六分開議
  73. 川村善八郎

    川村委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  公海漁業に関する件を議題とし、質疑を許します。鈴木善幸君。
  74. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 北洋漁業の問題につきまして、特に私は沿岸、中堅漁業者と最も関係の深い、沿岸漁業と不可分の関係にございます、さけ、ます母船式流し網漁業につきまして、永野次長にお尋ねをいたしたいと思うのであります。  まず、いろいろお尋ねをいたします前提といたしまして、永野次長にお伺いしておきたいのは、長官は国会の方にしばしば出席されまして、水産委員会の北洋漁業に対する各委員の意見、特に去る二月十八日の水産議員連盟の決定、並びにそれをもととする当水産委員会決定になりました北洋漁業の方針につきまして、塩見長官はつぶさに委員側の意見を承知いたしておるのでありますが、永野次長は御出席がありませんので、当委員会方針を御承知でありますかどうか、まずこの点をお伺いいたしておきたいと思うのであります。
  75. 永野正二

    ○永野説明員 最初におわびを申し上げておきたいと存じますが、私、現在韓国との漁業交渉の関係その他で、どうしても時間を前もつて占められております関係で、当委員会へ出席ができませんでしたことを、まことに申訳ないと思つております。  ただいまお述べの、本水産委員会におきまして、北洋漁業の出漁の許可の問題につきましていろいろご意見がございましたことは、私承知をいたしております。私ども水産庁といたしまして、業界とこの問題についていろいろ折衝をいたしますに際して、私のいたしております仕事は、長官をお助けいたしましていろいろ仕事に当つておりますので、その際には逐一長官に御報告を申し上げ、長官からの御指示によつてつておる次第でありますので、その点を御了承願いたいと思います。
  76. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 ただいまの御答弁で、北洋出漁許可の問題に対する本委員会の意向も十分御承知であり、かつ当局としてこの問題に関して業界といろいろ御折衝あるいは指導をなさる場合に、絶えず長官と緊密な御連絡をとつており、また長官に報告もいたし、長官の指示もその都度受けておるという御答弁であつたわけでありますが、そういたしますと永野さんは二月二十三日付の、いわゆる五社と称する北海道北洋出漁組合、北洋出漁協同組合及び日魯、日本水産、大洋漁業、この五社の覚書案なるものを御承知でございますかどうか。この覚書案には、右の五社は政府方針に従い、北洋さけ、ます母船式漁業出漁態勢について協議を続けて来たが云々、こういうぐあいに前書きしてございまして、明らかにこの覚書案は政府方針に従つておるやにうたつておるのでありますが、この覚書の案を永野さんは御承知でございますかどうか、この点をお伺いいたします。
  77. 永野正二

    ○永野説明員 ただいまお述べになりました覚書の案は、当業者の方から私どもの方に案といたしまして届いております。私どもが今年の北洋漁業の出漁にとつております方針と申しますのは、先月の二十六日に塩見長官の談話として発表いたしてございますので、それが私ども方針であります。またその後繰返し長官がこの委員会におきましてお話をしておるのが私ども方針である、こういうふうに御承知おきを願いたいと思います。
  78. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 そこで今までお尋ねいたし、永野さんからはつきり御答弁がありましたことを前提といたしまして、これから具体的にお尋ねをいたして参りたいと思うのであります。先日の日本水産、日魯、大洋漁業の社長さん並びにその代理として専務さんが出ておりますが、この三社の代表者から本委員会参考人として意見を徴しました際に、政府当局と申しますから、おそらく長官はお忙しかつたと思うので、永野さんが政府側を代表して御指導に当つておると思うのでありますが、政府から本年のさけ、ます北洋漁業の出漁は、試験操業であるから共同出願にしてもらいたい、一本にまとまつてもらいたい、こういう当局の強い御希望が表明されておるということであつたのであります。これに対して業者側のほんとうの希望なり業界の望むところは何かということを、つつ込んでお尋ねしたのに対して、業界側としては責任態勢の明確な——三船団出すのであれば船団ごとの許可にしてもらいたい。五社が集まつての共同申請という形は、責任の所在も往々にして不明確になつて、国際漁場における重要な本年の操業がうまく行かない心配があるということを言つておるのであります。業者側の要望はそこにある。しかるに当局は今日でもあくまで共同申請を業界に対して強く要請しておられるのか、この点をはつきりお伺いしたいと思います。
  79. 永野正二

    ○永野説明員 水産庁といたしましては、先ほど申し上げました水産庁長官の談話でもつて方針を発表しております通り、本年の特殊な国際環境にかんがみまして、本年の北洋漁業につきましては、業者の協調ある出漁態勢が必要であると存じております。その意味で共同の仕事として出願をしてもらうことを希望するということは申し上げております。
  80. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 かにのように一船団しか本年北洋に送れない、こういうように一船団でありまして、そして希望者が相当あるという場合についての共同出願、これに対する共同許可というようなことも、これは委員会としては別な意見が方針として表明されておりますが、そういうこともあり得るのであります。しかしさけ、ます流し網につきましてすでに当局から発表されておりますように、三船団、しこうして独航船は五十隻以内、なお調査船として十二隻以内、こういうぐあいになつておりますれば、必ずしもこれらの三船団が共同申請をしなければならないというような理論的根拠は一つも発見することはできない、私どもはかように考えており、また業界側も責任態勢を明確にして、国際漁場に対して秩序ある操業をしたいということを言つておるのでありますが、これに対して永野さんはいかような御見解を持つておりますか。またはつきり申し上げますが、塩見長官は、さけ、ます漁業に関する限りは、当局としてはほとんど水産委員会の意見と方針を同じゆうしております、こういうことを私の質問に対して言つておる。ところが先ほどの御答弁によりますと、永野さんは長官の輔佐役として、この問題についてはその都度長官の指示を受け、その結果を長官に報告し、きわめて緊密な関係においてこれを推進しておるということを言つておられるのでありますが、そこに若干食い違いがあるように思うのでありますが、その点をはつきりしていただきたいと思います。
  81. 永野正二

    ○永野説明員 おことわり申し上げておきたいのでございますが、本委員会におきまして長官から言われた詳細を速記録でまだ私調べておりません。従いましてどの点でどう違うかということが、ただいまのところはつきりいたしませんので、そういう点はまた後ほどよく調べましてお答えを申し上げることにいたします。
  82. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 長官がここでこう言明したという点につきましては、速記録を御調査になればわかることと思います。ただ私がお尋ねいたしましたのは、かに漁業は一船団を送るというのに、さけ、ます漁業の場合は三船団を送る、こういうようになつておる際に、一船団しかやらないかにに対して数社から希望があつた場合には、共同申請に対して共同許可ということも、これはあり得ることであります。しかしながらさけ、ます流し網は三船団であり、キャツチャーは五十隻以内、調査船は十二隻以内、こういうような形に、すでにこのことは塩見長官から本委員会を通じて天下に発表しておる。そういう場合に、何ゆえに五社の共同申請でなければならぬとか、一体になつて来なければならぬとか、そういうような行政上不可欠の要件として、そういうことを当局が指導の形において業界に強要される理論的根拠があるか、行政上の必要な要件がどこにあるか、その点を私はお尋ねいたしたいのであります。
  83. 永野正二

    ○永野説明員 水産庁といたしましては、あくまでも長官が談話でもつて発表いたしました線で、業界の協調ある出漁態勢というものを希望いたしておるのでございまして、これが具体的な方法といたしまして、業界で異議なければ全体が共同責任で出漁していただくということが適当ではないかと思つておりますが、これを強要したということはないかと存じます。
  84. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 この点は先日も参考人の御意見を伺つた中に、当局からそういう強い御方針として自分たちに対して要請があつたんだからと、こういうことを言うております。もとよりあなた方には業界に対して命令する法的な根拠は何ものもお持ちになつておらぬ。従つてそういうような表現においてなされるのでありますけれども、業界側がそれを非常に強く受けるのは、これは人情の自然であります。そのことは永野さんはよく御承知と思いますが、それはそれといたしまして、私の塩見長官に対する質問に対しまして、さけ、ますの漁業につきましては、いろいろただいままでお話申し上げました関係から、本年度のやり方としては必ずしも一本にならぬでもいいんじやないか、こういうふうに私は考えておりますということを、はつきりと塩見長官がこの委員会において表明いたしておるのであります。私ども先ほど前段に念を押してあるのでありますが、長官とあなたとはほんとうに不離一体となつて、この国家的な重要な国際漁業の出漁問題を誤りなく指導なさつておる、こういうことを私は承つて非常に意を強ういたしておつたのでありますが、今までの御説明によりますと、長官の当委員会におけるところの責任ある言明と、あなたが指導なさつておる方向とはまつたく違う。これはもし塩見長官があなたに指示しておる通りあなたはやつておるのだということでありますれば、塩見長官は本委員会においては、委員質問をそらすためにいいかげんなことを言うてごまかしておるという結果になります。また塩見長官が本委員会において言明したところが、ほんとうに政府としての方針であるならば、あなたに同様のことを指示しておるに違いない。それを違つたことをやつておるとするならば、あなたは塩見長官の意見を一つも尊重していない、命令に従つていない、こういう結果になるのでありますが、その点はいかがでありますか。
  85. 永野正二

    ○永野説明員 私は長官をお助けする立場といたしまして、長官の御指示には絶対に服従をいたしております。それで長官がこの席上でどう申しましたか、その点と私が業界と折衝しておる点のどこに食い違いがあるかという点は、もう一ぺん私は帰りまして長官と相談いたしました上で、そういう食い違いがあるかどうかを確かめて参りたいと思います。
  86. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 これは私は速記を見ながらお話しているのでありますから、お調べになりますればはつきり裏打ちされることであります。しかも今お尋ね申し上げていることはこまかな数字なのではありません。基本的な方針であります。北洋出漁に対する政府の許可に対する基本的な方針であつて、この基本においてすでにこのような食い違いがある。長官は必ずしも一本でなくてもよろしい、こういうことを言つておる。ところがあなたはあくまで一本になることを政府としては希望する。そういう形で進めておられる。ここに食い違いが一つございます。それから……。
  87. 永野正二

    ○永野説明員 その点私はつきりさせておきたいと思います。私決してあくまでも一本にしなければということを申し上げておりませんので、それは水産庁として長官が談話で発表いたしました線を水産庁の一人として希望を申し上げるという程度でございますので、誤解のないようにお願いいたしたいと思います。
  88. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 しかし長官が二月二十三日の当委員会において、このような言明を委員会を通じてなさつているのでありまして、長官談として発表されたのはすでにもつと以前のことであります。そういうようないきさつから、いろいろ行政の大本は動かなくとも、いろいろな諸情勢から、そこに情勢とのひとつの調整という問題が当然行われて来るのであります。その場合に委員会としては、そういう当局のこの問題に対するところの新しい御方針、見解を承りながら国会としてはこの問題を審議して参つておる。ところが次長はずつと前に発表された談話の線をあくまで堅持されて、そうして長官が当委員会においてこのような方針で進んでおります。こうしたいと思つておりますといつて発表なさつているところと、大分ずれのある行き方で推し進めになつおりますれば、われわれがいかに国会でこの問題を審議いたしましても、国会と政府側とが非常にそこにずれを生じて来る、こういうことに相なりますので、その点は先ほど一番最初に永野さんがおつしやつたように、いつもこの問題については長官の指示も受け、そうして業界との協議があつた場合はその都度報告をしている、こういうことでありますならば、そのような食い違いは万々あるまいと私ども思うのでありまして、これは明らかなる長官と次長との間における行き方の食い違いがここにけつきり現われているじやないか。この点を私ども非常に危惧いたしておるのでありますが、その点が絶対にない。いずれ結果においてそれははつきりするであろうというようなことでありまするがどうか、その点を重ねてお伺いしたい。
  89. 永野正二

    ○永野説明員 まだこの問題はいろいろわれわれとしても研究しなければならぬ問題も残つておりますし、折衝の過程でございますが、結果におきましてはお話のようなことにもなろうかと考えております。
  90. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 次にお尋ねをいたしたいのは、この沿岸漁業者側の各県の業者から、それぞれ最初希望が出た。また北海道からも出ているのです。それに対して申請書を全部一応却下したというか、受理しないでまあ一本になつていらつしやい、こういうような御方針であつたのであります。この一本になつて来いということは、当局が北洋出漁の許可方針を立てるにあたつた業界側の意見を聞き、あるいは行政を民主的に進めるための業界に対していろいろな諮問をする、協議をするという、そういう協議の相手方として一本になつて来た方が都合がいいと、こういうような意味合いでありまするか。それとも一本になつたものを、何か独航船の許可にあたつて、その団体に一本に許可を与えようとするお考えからそういうことになされたのか。もつと端的にお伺いいたしますが、当局協議し諮問する相手方として一本になつた方が都合がいいという御趣旨であつたのか。それとも独航船の選定は一本になつたその団体のみから選ぼうというお考えであるのでありますか。なお注釈的に申し上げますが、協同組合といいあるいは任意組合といい、あくまで今日は加入脱退自由の組合であります。そこで幹部のやり方がまずかつたりいろいろな負担金やいろいろな運動費の関係がきつかつたりすれば、適格性と実績を有するようなまじめな業者であつても、組合に参加しない場合があり得るのであります。そういうことも考慮に入れまして、一本になつて来いという趣旨は、どういう点から一本になつて来いという御指導であつたのか。この点を承つておきたいと思うのであります。
  91. 永野正二

    ○永野説明員 本年の困難な條件のもとにおきまして、最もこの北洋漁業の出漁について問題なく業界の協調が得られるための相談の形として、一本になつて来られることを希望いたしたのであります。
  92. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 そういたしますと、今の御答弁によると協議団体、政府がいろいろ相談をして行く相手の団体として一本になつて来た方がよろしいと、こういうことに了解してよろしゆうございますか。
  93. 永野正二

    ○永野説明員 はい。
  94. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 その点よくわかつたのでありますが、ところがこの二十三日の覚書によりますと、これはもとより五社側がつくつたと申しますか、先日の参考人の当委員会における御意見では、北海道北洋出漁組合と北洋漁業協同組合、この二社側から案として三社に提示された案だと聞いております。従いまして、永野さんはあとで政府としてこの覚書なる案を御承知になつたのであつて、この作成には無関係だろうとは私承知いたすのでありますが、この中に独航船は、第四項でありますが、独航船は特別のものを除いて会社と組合との協議のもとに組合側の適格船を選定すると、こういうぐあいに明らかにこの母船を出すと予想される三社と組合との協議のもとに組合側の所属適格船を選定する、こういうぐあいに覚書には書いてあります。永野さんはただいまの言明によつて、これらの団体は円満にやつて行くための政府との相談の相手方、協議機関であると御承知で進めているが、何ぞはからん、一本になつたか二本になつたかわかりませんが、これらの団体は当局からこう一本になれとかまとまれとか言われた以上、まとまつたんだから、われわれの中から独航船は全部所属船から選ばれるのだ、こういう錯覚が出て来るのであります。この点に対して当局はいかなる御見解を持つておりますか、お伺いしたいと思います。
  95. 永野正二

    ○永野説明員 独航船の選定につきましては、各委員からの御質問に応じまして塩見長官から水産庁方針を申し上げてあるかと思いますので、それによつて承知をいただきたいと思います。
  96. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 ただいまの独航船の選抜方法については、この点だけは永野さんは速記録をちやんとお調べになつて来ておられるように思うのであります。なるほどただいま永野さんからお話がありましたように、長官は私の質問に対しまして、独航船の選考は実績と適格性とに基いて、あくまで農林大臣並びにそれを補佐する水産庁長官の責任において、都道府県を通じて公正に、ガラス張りの中で真に漁民が納得するように選抜をしたい、あくまでこれは行政官庁の責任において行うということを言明をいたしております。でありますから今の永野さんの御答弁はそれを裏書きしたものだと私は受取つておりますが、さよう了承してよろしゆうございますか。
  97. 永野正二

    ○永野説明員 委員会におきまして、塩見長官からお答えした通りというふうにお願いいたします。
  98. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 それではどうもはつきりしないのでありますが、塩見長官がどのように答弁しているかちよつとおつしやつていただきたいと思います。
  99. 永野正二

    ○永野説明員 ここで私から逐次表現をいたしまして、また食い違いの問題が生ずると困りますので、その点は長官がお答えした通りどもは今後も仕事をやつて行く、こういうふうに御承知を願います。
  100. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 ただいまの実際に業界を指導される永野さんの御答弁を額面通り私は了承いたしまして、今後の成り行きを静かに注視いたすことにいたします。  そこで独航船の選考につきまして、非常に北洋出漁を希望するところの関係漁民が非常に多数であり、おそらく数百隻に及ぶところの漁船が北洋への出漁を渇望いたしている。従いましてこの行政上におけるところの取扱いというものは、全漁民の非常な注目を浴びている重要な問題である。そういう意味で、私は声を大にしてこの際くどくとしてお尋ねをいたしているのであります。独航船の選考にあたつて、私ども仄聞いたしておりますのに、北海道側と内地側との五十隻の割振りで結論を得ないために、どうもこの独航船の選抜というものが足踏み状態に置かれているということを仄聞をいたしているのでありますが、これは業界と接触なさつております永野さんからお伺いすれば、その辺の事情がよくわかると思うのでありますが、どういう事情に相なつておりますかお尋ねしたい。
  101. 永野正二

    ○永野説明員 現在までこの関係業者の意見を最も公正に代表しているとまあ考えております二つの、北海道の組合と関東、東北、北陸の組合におきまして、その組合の意見がどうであるかということを御相談しておられるように承知いたしております。その相談がまとまれば、その報告を私どもは受けるという予定になつております。
  102. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 出漁の時期も非常に切迫いたしておりますし、この独航船の選抜が一日も早く公正に行われれば、業界も非常に安心するのであります。またたくさんの漁業者が多大の運動資金を使い、経費を浪費し、時間を空費して右往左往しておる。これを見ておりますと、私ども非常に残念に思うのであります。一日も早くこの五十隻の独航船の選定を行われることが必要である、こう考えるのであります。そこで今、かつてに北海道側と内地側の二つの組合がやつているのだから、その結論が出て来たら聞いてやるのだというような考え方でほんとうに進んでおられるのでありますか。もつと行政が親切であり、業界と一体になつてこの重大な問題をスムーズに進めようという親心がありますならば、誤つておるような方向に対しては是正を加え、当局方針に乗らしめて、早く結論が出るようにすることが親切な行き方だろうと思うのであります。塩見長官は本委員会におきまして、独航船の選考については、委員会から要望されたところの意見、その線に沿うて進める、こういうことを言つております。その委員会の意見というものは、津軽海峡で線を引くような、そういう方針ではないのであります。日本本土から千八百海里ないし二千海里を隔たつたところのあの国際漁場に出漁する船について、津軽海峡ということは、科学的にも、理論的にも何らの根拠がございません。北海道の漁船であれ青森県の漁船であれ、あるいは岩手県の漁船であれ、出漁を希望する各船が適格性を持ち、そしてそれに乗つているところの船長なり漁撈長なりが、北洋の漁場で操業したところの——これは何もアリユーシヤシのあの漁場に対する実績でなくても、もとよりいいのであります。そんな実績を持つたものはないでしよう。あの濃霧の北海で流し網をしたという経験者であれば十分であります。そういう意味で、その希望するところの各船が適格性を持ち、船長なり漁撈長がそういう経験があるかどうかを、一隻々々について審査を厳正にやる。そしてその條件を具備したものは北海道に何隻、青森県に何隻、岩手県に何隻、宮城県に何隻、これが五十隻よりも当然オーバーするでありましようが、オーバーした場合には、その基準以上の適格條件を具備したものの数をこの五十隻で按分比例でしぼつて来れば、これはみんなが納得するような数字が出て来るのであります。これが委員会決定であり、川村委員長のもとにおいて本委員会決定したところの方針であります。そこで私は、津軽海峡に線を引いて、北海旭が何隻だとか内地側が幾らだとか、こういうことでもみ合つておるということを聞いて、まつたく不可解千万である。そういうことで、今日この大事な出漁を前にして独航船の選定が遅れておるということは、まことに遺憾千万でありますと同時に、このように誤つた方向に行つておる業界を、次長は何ゆえによく指導して、そして政府方針に乗るように、すみやかに独航船の選定を全漁民が納得するような形でお進めにならないのか、この点を私は次長によくお伺いしたいと思うのであります。
  103. 永野正二

    ○永野説明員 繰返して申し上げますが、長官がこの委員会で、お話をしておりましたような方針に従いまして、できるだけすみやかに各府県当局とも連絡をとりまして、水産庁として責任のある決定をいたしたい、こう考えております。
  104. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 永野さんとは私は二十年近い知巳であります。こういうような場所でお互いに質問する者、質問される者の側に立つてやりますと、どうも話合いがかたくなるようでありますけれども、お互いに、国家を憂え、日本の水産を憂うる立場から、この際虚心坦懐に、この問題をどうしたらいいかということでお話合いを願つた方が望ましいと思うのであります。声は大きいのでありますけれども、私はそういう意味合いでお伺いをしておるのでありますから、この際もつとざつくばらんにお話合いを進めていただきたい、こう希望をいたすのであります。  もう一つ、北洋の漁業を五社で共同申請をする、こういうようなことが一部で行われておるようでありますが、この共同申請に対して共同許可というものがなされたといたしますならば、はたしてその経営の内容はどういうような形になるのでありますか。事業の経済が全部プール計算といいますか、一つの企業体のような形で、一切の損益計算がこの三社の間で、しかも独航船をも含めた形で行われるのであるか。また独航船はその際チャーターの形で行われるのでありまするか。一体になつて来い、しかも五社が共同申請をするように、こういうような当局の御指導の通りに行つたとするならば、この企業の経済、経理、こういうようなものはどういう形になるのでありますか。その点をもう少し御説明を願いたいと思うのであります。
  105. 永野正二

    ○永野説明員 水産庁といたしましては、本年の出漁が、非常に困難な国際情勢のもとに問題なく行われる、そのための要件につきましては、強く主張もいたし、その方針をかたくとることでございますけれども事業の経営的な内容につきましては、これは今後当業者の方で十分責任をもつて考えいただけること、こういうふうに考えております。
  106. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 どのような形で許可されるかということは、これはお互いに一緒になつてやりますところの、経済を異にする法人なり個人なり、そういう人たちにとつては、それが一緒になつてやる仕事の性格に直接影響のあることは明らかであります。私どもは、指定遠洋漁業の許可の漁業法の精神に基きまして、母船式漁業は——もとよりあの当時の司令部その他との関係、いろいろな面から指定遠洋漁業からははずしてありますが、指定遠洋漁業と同じような性質で取扱うべき漁業であります。また母船式漁業取締規則の中におきましても、これははつきりしておるのでありまするが、このような漁業の許可をいたします場合には、あくまでも適格性あるいは実績というようなものによつて優先順位をきめまして、それによつて許可を与える。もしも同じような條件で、いずれとも優先の順位を定めがたい場合には、くじ引きをもつてこれを定めるというようなことさえ、漁業法にはうたつておるのであります。これは指定遠洋漁業に対する許可の基本的な考え方がそういうことに相なつておるのでありまして、ここに希望者が非常に多い、あるいはそれぞれ一船団ずつ許可してもいいけれども、かにの方がこういう関係になつておるから、この方も一緒に共同出願、共同許可の方式をとつた方がいいとかいうような、行政上の単なるその場の体面をつくろつたり、立場をよくするための便宜主義から、そのような漁業法の根本精神をゆがめらるべきではないという見解に私どもは立つておる。あくまでそれは適格性と実績を基礎としたところの、いずれが優先的に許可さるべきか、三船団以上の出願があるならば、それをはつきりと実績と適格性とに基いて許可を与える。これが漁業法の精神であろうかと思うのでありまして、それらを全部一緒になつてやるというようなことは、往々にしてそこに不在地主的と申しますか、一つの特権的のものを生み出し、これが今後のわが国の漁業の民主的な発展の上に、大きな禍根を残すものであると私は思うのであります。そういうような観点から、水産庁は今後、北洋のみに限りません、国際漁業に対しての指定遠洋漁業及び指定遠洋漁業に準ずるこれらの漁業の許可について、あくまで漁業法の精神によつて許可をすべきものであると私ども考える。これが立法の衝に当りました国会側として、この点を強く堅持いたしておるのでありますが、当局は、今回のような、一緒になつて来い、共同申請をせよというような方針を、漁業法と照していかように考えておりますか、お伺いしたいと思います。
  107. 永野正二

    ○永野説明員 漁業の許可にあたりまして、漁業法の精神に基きまして、適格性及び実績を基礎にして許可して参るということは、もちろん根本的な原則であるかと思います。ただ本年の北洋の出漁につきましては、国際的な関係その他を考慮いたしまして、関係漁業者の完全なる操業上の連絡がとれるような態勢を強く希望せざるを得ないという、本年に限つての特殊な事情があることを申し添えておきます。
  108. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 その点については、かにについては別でありますが、さけ、ますに関する限りにおきましては、先ほども申し上げましたように、長官の当委員会における言明とは食い違いがあります。必ずしも一本でなくてもよろしい、こういうことを長官は言つておる。またこの委員会が、三船団、五十隻、それについて、三船団に対して、母船と選抜されたところの独航船とが一体になつたものに対してそれぞれ許可を与えるということについても、委員会方針と意見を同じゆうしておるということを言うておるのでありまして、また先日の参考人の御意見を伺いましても、かえつて一船団ずつ許可してもらつて、そうして責任態勢を明確にすることが、本年の北洋漁業の秩序ある試験操業の精神に合致する、こういうことを業界側も言うておるのであります。これらの長官の言明、または業界側の要望につきましても、永野次長の考えとは、いささか意見の違いがあるようであります、もとよりそれは当委員会決定方針とはまつたく違う、このことをはつきりいたしておきたいと思うのであります。  私は最後に申し上げたいのでありますが、永野次長は水産局育ちの、ほんとうに水産行政に理解のある方であります。そういう意味合いにおきまして、当委員会とは密接に御連絡をいただいて、相ともに手を携えてわが国の水産業の発展のために、漁業の振興のためにやつて行きますならば、水産庁の行啓、もつともつと円滑に進むでありましようし、当委員会との間も非常にぴつたり呼吸が合つて、業績が上るだろうと私どもは思うのであります。こういう意味合いで、永野次長が、できるだけ時間をさかれて、国会側と委員会において、あるいは懇談会において意見を十分交換され、委員会の意見も十分腹に入れられまして、これらの水産行政を推進されるように、今後とも特段の御善処を希望いたしまして、私の質疑を終りたいと思うのであります。
  109. 川端佳夫

    ○川端委員 先ほど鈴木委員から、各関係事項についていろいろ次長の意見をただされたわけでありまして、私も、多少重複をいたす点もございますが、なるべく重複を避けて、少し伺いたいと思うのであります。  先ほどからの質疑応答を伺つておりましても、今度の問題について、水産庁自身が積極的にこれを指導して行こうというような熱意の点を、われわれは多少懸念せざるを得ない点が見受けられるのであります。この問題は非常に業界注視の的でありますから、われわれ委員会としてもいろいろ公式にあるいは非公式に寄りまして、この原則的な問題についての検討も重ねて参り、その都度政府側にも申入れをいたして参つておるわけであります。  まず具体的に伺いたいのは、委員会から申入れをいたしましたあの原則的な話、これは具体的に申し上げる必要もないほど次長のところへは行つていると思いますが、委員会の申入れというのを御承知でございましようか。
  110. 永野正二

    ○永野説明員 二月十八日の日付におまして、水産議員連盟緊、急協議会よりの申入れはいただいております。それから水産委員会の決議として御要望になりました点は承知いたしております。
  111. 川端佳夫

    ○川端委員 しからばお伺いをいたしきますが、このかに工船並びにさけ、ます流し網の取扱いの問題について、この委員会から申入れをいたしました点について、次長はこれに異論がございますか、この点をどういうふうにお取扱いになりますか。
  112. 永野正二

    ○永野説明員 委員会お話を尊重して、できるだけ早く実績と適格性に基いて府県別に選ぶということは、毛頭異存がございません。ただこの実績と適格性に基いて選ぶ過程におきまして、いろいろな資料を総合し、各府県とも無理なくこれを決定いたさなければなりませんので、まことに申訳ないことでありますが、その点につきまして若干遅れておりますことを御了承願いたいと思います。
  113. 川端佳夫

    ○川端委員 私も私的な会見によりまして、次長の方からも、各府県に対して実績社と適格船の実態等を通牒をもつてお調べになつておるかに伺つてつたのでありますが、そういうこともなさいましたか。その結果実情はどういうふうになつておりますか、参考にお伺いいたします。
  114. 永野正二

    ○永野説明員 その点はただいま各県を通じまして資料をとりそろえ中でありまして、まだ結論的なデータがそろつておりません。
  115. 川端佳夫

    ○川端委員 委員会からの申入れの原則的な方向、これを参酌いたして、ただいま並行的に水産庁の創意によつて適格船、実績社、こういうような実態を調査して、これを対象に取扱わんとする意図のようにわれわれは承つてつたのでありまするが、今のように業者の団体を対象にして、これは正式な諮問機関あるかどうか、われわれははつきりわからないのでありまするが、こういう団体の御意見を優先的に参酌されて、この問題を推し進めて行かれるのか、あるいは基礎的なこういう資料をもつて、そこからもう一ぺん再検討されて方式をおきめになるのか、この点をお伺いいたします。
  116. 永野正二

    ○永野説明員 私の方といたしましては、基礎的な資料をそろえました上で方針をきめたいと思つております。その方針をきめる際は、業界でどういうことを考えておられるか、その御意見は十分承つておきたいと思つております。
  117. 川端佳夫

    ○川端委員 それでは現在ブロック代表というような業界の方々が集まりまして、意見の交換をいたしておりまするが、これはあくまで水産庁の許可の際の単なる参考であつて、そうしてここで話合いをされた点についても、これが決定的な決議的な効力を持たない、こういうふうなお取扱いになる態度でございますか。
  118. 永野正二

    ○永野説明員 独航船の選定につきましては、長官がお答え申しましたように、水産庁責任をもつて選定をいたしたいと考えております。
  119. 川端佳夫

    ○川端委員 そうすると先ほどお話が出ておりましたが、独航船の問題につきましても、北海道と内地との振合いの問題等も結論が出ない。この問題は時期的にも非常に解決を急がれておる問題でありますが、これをいつまでにきめたいという見通しと、その見通しにマッチさすような方法は、もうそろそろ強力に考えられなければならない。これはあなたの方の責任において考えらるべき許可でありますので、その方法をもう少しはつきりとここでお示し願いたいと思いますが、いかがでございますか。
  120. 永野正二

    ○永野説明員 私の方の資料の整備の状況を見まして、この問題は、時期を失しないようになるべく急いできめたいという希望を持つておりますけれども、それの決定の日にちを何日あるいは何日あとというふうにこの席上で申し上げることは、ちよつとごかんべん願いたいと思います。
  121. 川端佳夫

    ○川端委員 それでは一応見すえをつけられまして、いつごろまでにやりたいというお考えはもちろん持つておられるのだろうと思う、またそれがなくて漫然とやつているわけもないと思いますけれども、その間の指導的な熱意がわれわれには比較的薄く感ぜられて心配をいたしておる。こういう点をわれわれはもう少し掘り下げて伺いたいのでありまするが、われわれ前にかに工船は一企業一社、こういう原則論を妥当としてここで御注意を申し上げたのであります。この一企業一社の問題をめぐりまして、水産庁当局の態度は、共同申請の共同許可という形をとつておられておるようでありますが、その間に日水、大洋、日替の三社の間で足並みがそろわないで、三社が一体となつてやろうという見通しがつかないのだ、こういう話をしばしば聞いておるので、われわれはそうだと断定いたしておるのでありまするが、これは共同許可のあかつきを見られるのでありましようか、そういう見通しでありますか伺いたいと思います。
  122. 永野正二

    ○永野説明員 この問題につきましては、補助者であります私ども、ちよつとお答えをする力を持つておりませんので、大臣あるいは長官からお答えをいたすことにいたしたいと思います。
  123. 川端佳夫

    ○川端委員 重要な問題でありまするから、あるいは永野さんからここで言質をとるわけにも参りません。そこであなたがお世話をもつばらなさつておられる立場から、三社が共同歩調がとれなかつた場合には、農林省あたりで試験船か何か出してやられるという腹案がおありなんじやございませんか。そういうことはなかなかむずかしいと思いますが、そこまで手を用いて、そうしてなお三社を一緒にしてやりたい。あの手この手を用いて、そうしてどこまでも一緒にしてやらしたいのだというふうな態度が強いようにうかがわれる。しかもその間に三つを一緒にしてやるということについて、非常に猜疑心を持たれているのでありまするが、あなたの方では、どこまでも三社を一つにしなければいけないという技術的な、事務的な何か根拠がおありなんでしようか。お伺いいたします。
  124. 永野正二

    ○永野説明員 事務的な技術的な根拠というお尋ねでございますが、その問題につきましての最終的な決定をされます大臣あるいはこれを補佐される長官のお答えにお願いしたいと思います。
  125. 川端佳夫

    ○川端委員 それではかに工船の問題についても、世間からは非常に注視を浴びておりまするから、この間よく誤解を招かないような方法をとつていただきたい。水産委員会は、申入れの点で御承知おきを願つておるように、公正にやりたいという観点から審議をして参つておるわけであります。この点を十分にお含みを願いたいと思うのであります。  続いてさけ、ますの関係でありまするが、これは鈴木委員からもいろいろお話がございました。私も聞いておりまして、もうこれと重複するような点を極力避けたいと思いますが、先ほどこれもまた共同形態をとらして行こうというようなお考えについて、この経済的な負担あるいは損益の相互の関連の問題について、先ほど鈴木委員が伺つたのでございましたが、これについても確たる方法というのもおありじやない。しかしこの問題はさておきまして、こうしてこの国際漁場へ出て行くのでありまするが、この国際漁場へ初めて出て行く大きな責任を持つておるこの船団が、どういう統率のもとに、おかしい話でありますが、指揮権というようなものがどこかにできて、そうしてこの漁業の違反その他についての責任体というものをあるいは別にお考えになつて行かれるのかどうか、この点を伺いたいのであります。
  126. 永野正二

    ○永野説明員 われわれといたしましては、その漁業の許可申請におきまして、そういう指揮命令の系統のはつきりしておること、違反に対しはつきりした責任のとれる体制というような條件を、十分審査をいたしました上で許可をしたい、こういうことでございます。
  127. 川端佳夫

    ○川端委員 それでは構成分子について十分検討しようという御趣旨のようでありまして、これは最も肝要な点でありますが、われわれはこの構成分子について、個々に厳密なる検討を加えてもらいたいという意見を持つてつておるわけであります。今次長は個々について従来の実績、行状からして十分なる検討を加え、そうして世上の妥当であるという線のもののみを集めてもつて構成しよう、こういう点は厳重に考えるのだというお話でございましようか、これをもう一ぺん再確認しておきたい。
  128. 永野正二

    ○永野説明員 許可申請検討いたしまして、命令系統の責任のある体制、それから操業上違反に対してどういう責任体制がとられているかという許可申請の内容の検討をいたします。こういうことであります。
  129. 川端佳夫

    ○川端委員 一つ具体的こお伺いいたたいのでありますが、北海道に何団体、東北北陸に何団体、こういうふうににまずできているようでありますが、この団体も一つのグルッペとしてお認めになつてお取扱いをする御方針でありますか。
  130. 永野正二

    ○永野説明員 許可の主体につきましては、許可申請申請書を十分検討いたしまして、法律的な問題、それから漁業上のいろいろな問題、そういう問題を審査いたした上で決定いたしたい。こう思うのであります。
  131. 川端佳夫

    ○川端委員 ちよつと私の先ほど質問と少し方向をかえて——別に避けるつもりでもないのでありますが、内容をよく検討される、要するに適格船、適格社を集めて、そこからそれを三つにわけて行くという方法をおとりになることが——委員会の申入れの趣旨からしても、そういう適格船、適格社を集めて三つに区分すること、最初から三つの頭をつくつておいてそこへ入れるのではないのだ、こういうふうにわれわれは解釈をしたいと思いますが、どこまでもそういう方法でおやりになりますか。
  132. 永野正二

    ○永野説明員 ちよつとお尋ねに対してどうお答えをしていいかわからないのでありますが、もう一ぺん具体的にお願いいたします。
  133. 川端佳夫

    ○川端委員 少し言葉を省きましたが、要するにいろいろな団体があり会社がある。ところがこれに独航船を配置する場合に、独航船の実態をまずお集めになつて見きわめをつけられて、その独航船を区分をされまして、五十ぱい以内で三つの団体にわけられまして、適船をおわけになつて、その団体が自由に母船をつくるような方法にお運びになりますか、母船に独航船をくつつけるような形になるか、こういうことを伺いたいのであります。
  134. 永野正二

    ○永野説明員 その点は、先ほども申し上げたのでございますが、ほんとうに今度出漁なさろうという方が、どういう形でものをお考えになるか、その点もまだはつきりきまつておらないようでございますので、そういう申請者の側の御意見がはつきりきまつた上で、私どもとしては処置いたしたい、こう思うのであります。
  135. 川端佳夫

    ○川端委員 よろしゆうございます。
  136. 川村善八郎

    川村委員長 田口君。
  137. 田口長治郎

    ○田口委員 ただいままで水産庁当局委員側ときわめて熱心なる御研究を拝聴したのでございますが、これはいずれも最も世間で注目しております北洋漁業の重大問題でありますから、多少でも間違いがないように国として進もう、こういう熱意にほかならない次第でございます。今まで論議された事柄によりまして、大体この独航船の選考につきましては、水産庁が全責任を持つて各府県から適格船を選別する。それに実績と申しますか、あるいは北洋漁場に経験のある乗組員と申しますか、そういうようなものを加味して今年出漁させようとする隻数に圧縮をする、こういうような方向で目下作業中であるような、そういうふうに私は印象を受けたのであります。質疑応答をいろいろ承つておりますと、まだ政府といたしましては、長官が本委員会におきまして発言されました、その速記録等の精査もしておられないようでありますし、またそういう点から申しますと、長官との打合せがはたして十分にできておるかどうか、こういう多少疑問に考える点もあります。またただいままでの質疑応答で、なお許可の方法その他につきましては、十分研究しなければならない問題も残つておるように考えますから、事柄自体がきわめて重要でございますし、また漁期関係考えますと、なるべく早くしなければならない。こういう点から考えまして、委員長におかれましては、なるべく早い機会におきまして、もう一度お互いに研究をする機会をおつくりになることを提言したいと思うのであります。
  138. 川村善八郎

    川村委員長 ただいま田口委員からの御発言でありますが、最も妥当な御意見だと思つております。従つて委員会で速記をとつて議論したのでは、水産庁あまり大事をとり過ぎているような感もありますので、ごく近い機会に、水産庁並びに議員団と十分話合つて、できるだけ早い機会に出漁態勢を整うべく、また許可の問題についても解決するようにいたしたい、かように考えております。  本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもつてお知らせ申し上げます。  これにて散会いたします。     午後三時四十二分散会