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1951-12-13 第13回国会 衆議院 水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十二月十三日(木曜日)     午前十一時二十四分開議  出席委員    委員長 川村善八郎君    理事 鈴木 善幸君 理事 松田 鐵藏君    理事 林  好次君       石原 圓吉君    小高 熹郎君       川端 佳夫君    田口長治郎君       田渕 光一君    福田 喜東君       水野彦治郎君    佐竹 新市君       木村  榮君  委員外出席者         農林事務官         (水産庁漁政部         長)     松任谷健太郎君         專  門  員 杉浦 保吉君         專  門  員 徳久 三種君     ————————————— 十二月十二日  冨永格五郎委員長辞任につき、川村善八郎君  が議長の指名で委員長に補欠選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十七年度水産庁関係予算に関し説明聽取  の件     —————————————
  2. 川村善八郎

    川村委員長 これより水産委員会を開きます。  この際一言あいさつを申し上げます。今般私が当水産委員会委員長の重責を汚すことになつたのでありますが、もとより浅学非才の者であり、議事にもふなれな者でありますが、委員各位の御協力があり、さらに専門員方々並びに関係官庁方々の御協力、御指導、御鞭撻を得まして、私も粉骨砕身本委員会の使命を達成すべく努力いたす所存でありますので、何とぞよろしくお願いいたす次第であります。まことに簡単でありますが、一言あいさつを申し述べる次第であります。  次に現下水産業における重要問題1いたしまして、漁業制度改革に伴う諸施策濫獲漁業防止策水産業協同組合再建整備等々解決を要する問題が多々あるのでありますが、目下政府においては明年度予算を検討中でありますので、この機会にこれら対策裏づけとなるべき予算措置について、まず当局方針を承りたいと存じます。お手元に差上げた資料は先般委員各位に御提示申し上げまして、一応御説明申し上げたような次第でありまするけれども、その後の経過並びに各省との折衝の間に重要な問題が解決されておらないような点だけを、特にこの際松任谷部長から御説明を願いたいのであります。
  3. 田渕光一

    田渕委員 審議に入ります前に……。実は第十二臨時国会末期、すなわち会期を日延べいたしました十一月二十八日に、参議院の本会議修正されました水産資源法の問題であります。会期が再延長になりまして、十一月三十日に参議院修正されました水産資源法衆議院に回付されて参つたのであります。当日定員法あるいは補正予算等重要案件がありまするために、とうてい時間的余裕がなかつたのでありまするが、この修正案衆議院でのむか、あるいは三分の二で否決して参議院修正を否決するか、重大な問題になつたのであります。ところが自由党政務調査会長吉武君と、幹事長の増田君と、それから国会対策委員長の代理である石田博英議院運営委員長とが、責任をもつて参議院修正衆議院の要望通り修正するということを、参議院自由党並び参議院の各派に了解を得まして——ともあれ十時二十分から開く本会議において、定員法並び補正予算を通したあとに、これを三分の二で否決するという時間的余裕がとうていないから、この際涙をのんで党の幹部の言質を信用して、次の第十三通常国会において修正するということで余裕を與えたのであります。ところがいよいよ第十三回通常国会が開かれまして、一応十二月十五日をもつて衆議院参議院とも自然休会に入りたいという申合せになつたのであります。そういたしますと参議院の方では、少くとも本日衆議院から送り込んで来る法案が全部まとまるならば十五日で自然休会に入りたい、しかしながらもしも衆議院審議が遅れて、十五日を経過するにおいては、十五日で自然休会に入ることは、参議院としては了解しかねるということを、昨日参議院議長から私は伺つたのであります。これを党にはかりましたところが、昨日の議院運営委員会で、当時の責任者である、今回の議院運営委員長になられました石田博英君から、水産資源法案の問題をあすの水産委員会にかけて、あすの本会議緊急上程をするかどうかという、御親切なる御忠告があつたのであります。ただちに專門委員室連絡をとりまして、当時在席の石原委員に申しまして、その手続をとつていただくようにお願いいたしたのであります。これから議院運営委員会が開かれるにつきまして、本日の委員会審議を終らして、本会議緊急上程をするかどうかという、時日の問題の見通しを、これから開かれる議院運営委員会に報告しなければならないのであります。ところが御承知通り修正に対するオーケーをとり、ここで審議をして、本日の三時、四時までの本会議に上程する、どうこうするという時間がまたないのであります。かような意味におきまして、休会明け、すなわち昭和二十七年一月二十一日にわが自由党党大会、翌二十二日に開会式、二十三日に首相の施政演説という順序になつておりますから、少くともこの間約一箇月の猶余があります。この一箇月の猶余の間に、十分修正案オーケーをとるべき準備をして、休会明け劈頭に、この水産資源保護法衆議院修正案を出すように、委員長においておとりはからい願いたいのであります。  それからもう一つ、かねて石原委員努力をされております真珠法案の問題でありますが、これとてもあるいは本日審議が終り、緊急上程できるかどうかということは非常にむずかしい問題であります。かような問題もありますので、本日内閣委員会でやつておりますところのポツダム勅令、あるいは財閥の解体、あるいはまた新聞用紙割当、あるいは貞明皇后がなくなられましたために、宮内庁の一部を面すとかいう緊急な法案だけを、内閣委員会で上げてしまうならば、本日の本会議緊急上程をして、十五日に自然休会に入るのでありますが、万一それができないとなるならば、あるいは月曜、火曜という余裕がありますから、もしこの月曜、火曜の余裕があつてできるものならば、この際一気呵成に通すのが至当ではないかと思うのであります。かような点を委員長において、委員各位にお諮りの上、善処されることをお願い申し上げます。
  4. 石原圓吉

    石原(圓)委員 水産資源法案の一部修正につきましては、ただいま田淵委員の申される通り経過であります。この問題は今度提案するまでには、参議院水産委員との同調を必要とする点もありますので、提案する以上は、また再び修正等の通らないようにする必要を感ずるのでありまして、そのために休会明けの一月の開会劈頭に上程されるように本委員会においてはその成案並びにオーケーを求める点について善処することを委員長に特に希望するものであります。  なおこの問題は一応本日散会後水産委員長の参與する政調会で一応お諮りおきのおとりはからいを希望するものであります。  真珠法案につきましては、私はぜひとも年内衆議院は可決確定すること一切に希望するものであります。これは御承知のように予算はできておりますけれども、この法案が通過せない限りは予算の利用ができない。母貝生産に必要なる年度内に支出し得べき季節的な重大な予算の運用ができないということは、母貝生産をする零細漁民何万の利害関係にかかわるのみならず、将来の真珠養殖の増産を妨げて、外貨獲得の大なる支障を起すものでありますから、どうか委員長はこの点に対して特にお考えくださつて、ぜひこの年内成案を得るように特段の御配慮あらんことを希望するものであります。
  5. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 水産資源保護法の第四條の前国会おける参議院修正に関連いたしまして、田淵委員及び石原委員より御発言がありましたが、この第四條の再修正の問題につきまして、委員各位の御了解を得るように委員長からおとりはからい願いたいと思うのであります。それはこの第四條に関連いたしまして、港則法、あるいは埋立て等を規整いたしております公有水面埋立法、あるいは河川法、あるいは鉱業法、あるいは採石法等こういう水に関連する法律がたくさんあるわけであります。これらの法律水産資源保存の観点から適正な改正を加える必要もあるわけであります。そこで水産資源保護法の第四條の修正と関連いたしまして、広く水に関する諸法令を再検討いたしまして、総合的な水産資源維持対策確立をはかりたい、こういう広い意味において問題を取上げることに、委員各位の御了承を得るように委員長からお諮りを願いたいと思います。
  6. 川村善八郎

    川村委員長 ただいま田淵君、石原君、鈴木君より御発言になりましたことは、本委員会に課せられました重要な問題であります。従つて委員長におきましては後刻皆さんと打合せをいたし、さらに参議院水産委員とも緊密なる連絡をとつて善処いたしたいと思います。  では部長より御説明を願います。
  7. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 ただいま委員長からお話がございました通り、お手元にお配り申し上げました昭和二十六年度予算額及び二十七年度概算要求額対照表という表がございますが、本年度要求額と比べまして前年度がどの程度であるかという点を、補正予算を含めまして実は御参考に供したのであります。二十七年度予算要求の問題につきましては、項目別にかつて委員会で御説明申し上げた次第でございますので、その後の経過につきまして御説明申し上げたいと思うのであります。御承知通り昭和二十七年度予算編成の問題といたしまして、水産庁といたしましては、大体水産施策重点というものを定めまして、四つの重点にわけて考えたのでございます。第一点は、水産資源維持培養中心とする問題でございまして、五ポイント計画に盛られましたような濫獲漁業の阻止の態勢についての減船整理中心とする問題。それから第二番は、増殖施設を積極的に行つて水産資源維持培養をはかろうとする積極的な予算面。それからさらに漁業取締り指導強化といつたような問題と、科学的調査研究促進といつたような点を中心にして、水産資源維持培養をはかるという政策裏打ちとしての予算を考えたのでございます。それから第二点は、漁業経営の安定の問題を中心にいたしまして、協同組合育成強化施策でございますとか、あるいは魚価安定の方策の問題でございますとか、それから漁業災害補償制度確立の問題でございますとか、漁業資材対策の問題、漁港漁船といつたような基礎施設の改善、整備技術エクステンシヨン制度確立といつたような各般漁業安定施策に対応する予算要求を考えたのでございます。  それから第三の重点といたしましては、制度改革完遂といつたような見地からいたしまして、海区漁業調整委員会育成強化関係、それから漁業協同化多角化促進関係、それから漁業権証券資金化態勢といつたような行政施策に対態する予算裏打ちというようなことで、予算要求をしたのでございます。  それから第四点は、漁業協定体制確立、これはすでに御承知通り講和條約の締結を前提といたしまして、海外漁業対策委員会をどう考えるかといつたようなこと、それから海外水産事情調査というものを極力遂行して行かなければならないという意味国際関係漁業政策水産施策に対応しまして、具体的な施設についての予算裏づけ要求するというようなことであつたのでございます。  以上、第一点は水産資源維持培養関係、第二点は漁業経営の安定の関係、第三は制度改革完遂関係、第四は漁業協定体制確立関係といつたような四点を骨子といたしまして、これに基いてそれぞれ予算を作成したのでございますが、当初要求につきましては、一般会計が大体八十五億程度になつたのでございます。それから漁船保険等特別会計につきましては七億八千万円程度予算概算ができ上つたのでございます。これを内部でいろいろ審査をいたしまして、省議にかけ、内容をコンクリートにしまして大蔵省に出しました予算概算が、お手元にお示し申し上げましたような一般会計が三十九億八千五百七十六万九千円、それから漁船保険中心とする特別会計が七億六千八百五十三万五千円というふうな額になつて大蔵省に提出した次第でございます。大蔵省に提出しましたこの予算につきましては、九月の初旬に数日にわたりまして大蔵省当局に対して説明いたして、その後もしばしば具体的な問題についての折衝なり説明を重ねて参つたのでございまするが、御承知通り、対外的、あるいは対内的な国内事情に基きまして、大蔵省ではいまだ正式に査定の発表をするに至つていないのでございます。そこで水産庁といたしましては、前に申し述べましたような趣旨通りまするように、極力機会をとらえては大蔵省説明を重ねているのでございますが、正式に大蔵省予算査定があるのは、年内ではなかなかむずかしかろうといつたような情勢であるようでございます。  なお公共事業の問題につきましては、目下経済安定本部中心といたしまして、査定案を作成中でございまして、大体漁港、船だまり等の公共事業費関係といたしましては、本土分が二十三億程度北海道関係分が十二、三億程度というような額で要求いたしておるのでございまして、それが公共事業費全体の総わくの決定の範囲内において、漁港関係公共事業費の額がどの程度に決定いたしますかは、まだ今後の折衝努力にかかつておるのでございます。  以上が大体現在までの経過でございまして、その経過を通じまして、水産庁といたしまして極力重点中の重点として説明を加え、計上努力しておりますものは、第一番が五ポイント計画中心とする小型底びきの漁業整備関係予算でござしまして、これは補正予算で二億四百万円ほどとれておるのでございまするが、来年度も引続き五箇年の当初の計画通り減船整理裏打ち予算計上されますように、努力いたしたいと考えておるのでございます。それからそれに関連いたしまして、まき網の漁業整備関係でございまするとか、建網の漁業整備関係でございますとかいつたような予算もこれに含められるものとして考えておるのでございます。含められると申しますのは、資源枯渇防止見地からいたしまして、並行して努力して参りたいと考えておるのでございます。  その次に重点的に考えておりますのは、沖合い漁業並びに沿岸小型漁業取締り関係予算でございます。これとても補正予算によりまして、沖合い漁業につきましては用船二隻、それから小型漁業取締りにつきましては新進船一隻と用船三隻というふうに認められておるのでございますが、取締り態勢確立といつたような意味合いをもちまして、やはり年次計画をもつて、せめて五箇年くらいに小型沿岸漁業取締り関係については十五隻程度を持つて参りたいということを考えておりますし、沖合い漁業につきましても将来は十隻程度取締船を持つてつて行きたいというふうに考えておるわけでございまして、その計画従つて年度取締船要求行つているのでございます。大体沖合いについては二隻新造、二隻用船というような要求を出しておりますし、小型取締りについては二隻くらいは新造を持ちたいということで予算要求しておるのでございます。  第三番目は水産増殖関係でございます。この点はいろいろと資源維持積極面を示す予算といたしまして施策上にも最重点的にやつて行かなければならぬと考えておるのでございまして、二十六年度予算を全面的に一応組みかえ、調査費事業費にわけて、計画的に浅海増殖関係を進めて参ろうということを考えて予算を組んでおるのでございます。  第四番目は、水産資源維持基本計画と申しますか、この表にも最初のページのまん中へんに出ておりますように、とにかく科学調査の現在までの結論と行政面とをマツチさせて、行政科学調査基礎に立つて施策し得るような関係を考慮するという意味合いですべての資料を一応整えて、それを行政面に具体的に移すといつたような関係予算としてこの予算計上いたしたわけでございまして、何らかこの形が通りますように予算裏づけを行いたいと思つておるのでございます。  第五番目の問題といたしましては、災害補償中心とする漁船保險と申しますか、漁船補償制度確立の問題、さらに一般漁業災害補償制度の問題を中心にした予算計上重点として考えておるのでございまして、ルース台風その他で問題になりました金融の裏打ち施設と申しますか、利子補給なり、あるいは国、県の融資保証といつたような制度確立のための裏打ち予算計上を一面考えますと同時に、社会保險的漁船中心とする補償制度確立に努めたいということで、重点的に予算を組んでおるのでございます。  次に第六番目に問題になるのは、漁業制度改革完遂のための予算でございまして、これは一応切りかえは完成いたしましたが、漁業制度改革というものが本格的にはこれから始まるものであるということで、委員会関係あるいは協同組合の方の関係漁業権証券資金化関係といつたような予算内容といたし、沿岸、内水面制度改革予算重点的に打立てて行きたいと考えておるのでございます。  最後遠洋漁業取締りの問題と漁業協定体制確立というものを重点に考えまして、国際漁場における漁業秩序維持のためには、どうしても相当大型の取締船を持たなければならぬということでございますし、また先ほど申し述べましたように、漁業協定体制維持するために委員会関係あるいは海外事情の判定ということができますように予算計上したのであります。  以上の七点と、さらに水産業改良普及事業、イクステンシヨンの関係重点に加えまして、大蔵省当局には、この点だけはどうしても最後まで水産庁としても努力したいから予算計上については考えてほしいということを申し入れてあるのでございます。  その他の事項につきましても、大蔵省査定があればもちろん復活を考えるということで言いまして、その中でも労働組合関係の問題であるとか、漁船乘組員の養成の問題、魚価安定の関係予算とかいうものについては、初めに重点的に説明したものに劣らず考えておるのでございますが、予算的にはただいま申しました七、八項目の問題がなかなかむずかしいようでございますし、重点施策とにらみ合せて、なかなかむずかしい予算だけに、予算としては重点的に考えて参りたいと思つておる次第であります。
  8. 川村善八郎

    川村委員長 ただいま松任谷魚政部長より昭和二十七年度水産関係予算要求の大綱について、並びにその経過の他大蔵省等査定に処する問題の報告がありましたが、これに対して質疑を許します。なお皆さんにお諮りいたしておきますが、もうまさに十二時でありますし時間もありませんので、ごくかいつまんで要点だけを御質問を願いたいと思います。
  9. 石原圓吉

    石原(圓)委員 今度新しくできました水産資源保護法案は画期的なものであつて、現漁民の長らく待望していたものがここに実現したわけであります。この法律によつて日本水産漁業維持経営ができて行くという建前であり、御承知のように勧告五ポイントの重要な問題で、ことに国際的に重要性を持つておるものであります。これは議員提案であつて、しかも議員にあつては、水産庁内の一つの課ではいけない、部制にしなければいけない、また水産省設置のあかつきには当然局として、大いに力を入れねばならぬと考えておるわけであります。しかるにこの予算面を見ると、わずかに基本計画を立てる僅少なる予算しか計上してない。このことははなはだ不満にたえないものであります。水産庁みずから、政府みずから提案をしたものならば、それに伴つた予算が必ず計上しておられたと思う。われわれ議員側から議会提案であるから、提案のその本質政府は軽く見ているのではないか。これをこのまま置くということは、せつかくできた有意義なる法律が死物になる。よつて政府はただちにこの法律本質に伴うところの予算計上しなければならぬはずなのであります。その点をどう考えているのか。時間的な関係で本予算に織り込むことができなかつたから補正予算において考慮するという考え方を持つていると思うものでございますが、その点に対する当局方針を一応承つておきたいのであります。
  10. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 石原委員お話通り水産資源維持法成立の問題は、水産行政といたしまして国内的、国際的に非常に重要なことだと思うわけであります。御承知通り水産資源維持決内容といたしますところは、水産資源維持中心として、漁政各般にわたる施策を含んでいるのでありまして、たとえて申しますと遡河魚族保護の問題でありますとか、保護水面の設定の問題でありますとか、あるいは水産資源維持のための減船整理関係というふうにいろいろの施策を含んでいるのであります。従いまして、予算的には法案成立いたします場合に予算裏づけがあるからといつたような場合におきましては、二十六年度におきましても、ここにお手元に御配付いたしました項目の中で、たとえば水産増殖予算の問題、あるいは遡河性鮭鱒孵化事業の問題、あるいは水産資源維持基本計画の問題、あるいは水産科学技術研究助長の問題、あるいは水産研究所充実の問題、各般にわたつてすべて関連をいたして、これが総合されて水産資源維持法の裏打の予算であるというふうに御説明申し上げて来たのであります。従いまして二十七年度におきましてもこの法案成立機会といたしまして、ただいま申しましたような各般にわたる予算は総合的に計上されまして説明をされて、総合的に水産資源維持法趣旨従つて実施に移されるというぐあいに考えている次第でございまして、その意味におきましてこの一つ一つ項目水産資源維持法の遂行に支障のないように二十七年度予算計上を確保して参りたい、かように考えているのであります。
  11. 石原圓吉

    石原(圓)委員 はなはだなまぬるい御答弁で遺憾であります。これは画期的な法律ができたのであるから、いかにこの法律議員提案であつても、それを執行するところの官庁が大きな心構えを持たなければ、まずこの第一歩の出発点のときに食い違いをしておつたならば、これはその活用に非常な支障を起すと思うのであります。であるからただいまの説明にいろいろありましたけれども、これは前年度より継続的のものへ幾らか割増しをした程度で、これらのものでこれをやろうというようなことはもつてのほかであります。でありますから次年度予算は絶対しんぼうはできない。あくまでも当初予算及び補正予算において、画期的な予算計上することを強く要望をいたしておきます。
  12. 小高熹郎

    小高委員 私は漁港予算についてお尋ねをしたいのであります。昨年度と本年度と比較し、あるいは二十七年度をおもんぱかります際に、当然物価の値上りその他の環境から、漁港予算はある程度増額されなければならない、かように信じておるのでございまして、それについて水産庁当局は、その予算を獲得すべくそれぞれ資料を提出されておることとは思うのでありますが、その成り行きがどの程度になつておるか、水産庁要求額の目的が達せられるかどうか、まずその径路についてお尋ねいたしたいのでございます。
  13. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 漁港関係は御承知通り公共事業費関係になつておるわけでございまして、公共事業費の全体のわくがどの程度になるかということにつきましては、二十六年度と二十七年度と比較して考えて参りますると、全体の河川、砂防、山林、土地改良あるいは開拓、水産、道路、港湾その他全部をくるめまして二十六年度実施予算額一般の分を合計いたしますと六百七億二千四百八十六万九千円ということになつておるのでございまするが、二十七年度の大体のわくが七百五十一億一千三百四十六万二千円という程度に今のところ公共事業費安定本部査定が行われておるのでございます。漁港、船だまり関係予算は、従いまして当初私どもが要求いたしましたのは、北海道を除く本土分関係といたしまして、漁港修築関係が、これは継続と新規を含めまして二百六十七港で、それに作業船の整備費、あるいは地盤沈下対策、あるいは漁港の事業調査といつたような費用を加えまして、四十三億三千八百万円ほどを要求したのでございます。それに対しまして安定本部査定は、ただいま申しましたような公共事業全体のわくの一部といたしまして、漁港本土分として十二億六千九百四十万円ほどを査定して参つて来たのでございます。漁港重要性から申しまして、また昨年、本年の関係から申しまして、この程度予算ではなかなかやつて行けぬというようなことでございますので、当初の要求を多少縮少いたしまして、その全体の関連も考え、漁港修築の箇所数はかえないで、その他の関係を多少考慮いたしまして、二十三億一千三百四十一万円ほどを改訂要求として要求いたしまして、現在その努力をしておるような次第でございます。  なお北海道関係については、これと同様な趣旨をもつて、当初の要求が新規並びに継続を含めて五十六港、それに作業船の整備漁港事業の調査といつた経費をも加えて、要求は十三億七千百五十八万円という程度要求したのでありますが、安本の査定が五億二千八百万円ということになつておりまして、一応本十分と同じような考慮をして、改訂としては八億八千五百六十万円という計画をもつて、これが極力貫徹されますように努力をしているような状態になつております。
  14. 小高熹郎

    小高委員 公共事業費の国の総額が決定しないから、これに対してはいまだ明快なる答弁をする限りではないという点は了承いたしました。これはこのまま捨てておきますと、どうもたいへん不遇の位置に置かれるのではないかという気持がいたしますので、これは委員長要求いたしますが、明後日あたり、安本の小澤建設交通局長と大蔵省の主計局長を当委員会へ招致して、この問題について真剣に取組みたいと思いますので、特におとりはからいを願いたいのであります。  いま一つお尋ねいたしたいのは、浅海増殖に対する経費は、先ほどの部長説明によりますと、漠然とした数字でありますが、東京湾及び豊前海その他二箇所ほどこれに対する要求が出ておるそうでありますが、その具体的な規模、数字をお尋ねいたしたいのであります。
  15. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 ただいま小高委員からお話のございました通り浅海増殖関係については、極力これを計画的に、ちようど農地改良といつた様式をもつて浅海の増殖施設を充実して参りたいということで、重点的に取上げる地域として、さしあたり東京湾、三河湾、豊前海、有明海、この四箇所を選定いたしたのでございます。これは当初からの計画を申し上げますと、大体五箇年間で浅海増殖の卒業をこの四箇所について完成して行きたい、それにはまず耕耘をやることが必要であり、それから海底面の整地をやることが必要である、場合によりますと、客土をやりまして底質をかえて行くことが必要であるというようなことから、それぞれの耕耘関係、海底面の整地関係、客土関係という事業を中心にいたしまして、機械の補助と申しますとトラクターでございますとか、深部耕耘機でございますとか、そういつたものの補助をはかる事業費といたしまして、さらに補助金と融資による分と自己負担による分とをわけまして、具体的な計画を立ててみたのでございまして、この四箇所の総額が大体三億二千三百万円ほどに初年度は相なるのでございまして、この事業費のうち補助金といたしましては、融資、自己負担額を除いた一億四千二百万円程度計上することにいたしたいと考えて予算を組んだ次第でございます。
  16. 木村榮

    ○木村(榮)委員 さつきの石原委員の御質問に関連するわけですが、昨年ごろから、全国的にそうだと思いますが、特に中国山脈の両側、瀬戸内海の温海にかけてパルプ工場がどんどんできた。そこでその汚水をめぐる魚族の死滅問題が大きな問題になつているわけであります。ところが水産庁の方には予算が一銭もないと見えて、専門家がやつて来て調査もしなければ、地元の方から要望しても一向見ようともしないといつたような状況らしい。そこで最近では安本の方から専門家が出かけて調査をして、これは重大問題だというので、岡山県あるいは鳥取県、島根県、山口県などでは、県知事が盛んに安本の方と連絡をとつてつているという状況なんですが、一体ああいつた予算はないのですか、それともあれは安本のやることなのですか、その点を承つておきたい。
  17. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 水産庁関係と安本の関係を御説明申し上げますと、御承知通り水質汚毒防止法という法案を、単独法で、厚生省を中心に通産省あるいは農林省が入つて提出したいということで、安本のそういつた関係委員会中心にして研究がなされ、相談が進められて来たのでございまするが、水質汚毒防止法という法案はなかなか関連産業の影響の点が多くて、成立に至らない状況でございますので、水産資源保護法といつたふうな水産資源中心にした一つ法律でもつて、一応水質汚毒の部面も考えて、資源維持態勢確立しようということになつたのでございます。従いまして安本がいろいろと調査をするという部面は、そういつた関係においてやつておられるのではなかろうかと考えるのであります。それからまた水産庁といたしましては、工場汚水によりまして水産資源が壊滅するというような問題につきましては、最も関心のある問題でございますので、県から連絡のある場合におきましては、極力係官をして調査をさせ、なお現在の試験場なりあるいは水産庁直轄の水産研究所といつたようなものを中心にしまして、水質汚毒の程度の問題、それからこれが水産資源に及ぼす影響といつたようなことを調査し、研究を進めて参つているのでございますが、お話通り予算といたしましては十分ございませんので、なかなか手がまわりかねるという状態でございます。私どもといたしましては、そういつた重要な部分が手が拔けて参るということではたいへんだと思いますので、二十七年度予算要求におきましては、極力そういう調査費計上されますように考えているのでございます。先ほど御説明申し上げました水産増殖に必要な経費の中には、保護水面設定の調査費用でございまするとか、あるいは漁業資源保護対策調査費でございますとか、干拓埋立等の対策調査費でございますとかといつたふうな環境改善の調査費計上を考えております。
  18. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 木村委員の御発言に関連いたしまして、私からも当局に要望したいのでありますが、木村君がただいま御発言になりましたことは、きわめて重大な問題であります。この内水面におきますところの工場排水でございますとか、あるいは適当な繁殖場をこわすところの砂利の採集でありますとか、あるいは今後強力に推進されますところの電源開発等に関連いたしまして、内水面の魚族の資源の維持ということが、非常に圧迫を受ける危険が予想いたされるわけであります。従いまして先般国会において成立いたしました水産資源保護法におきましても、第四條及び第十八條におきまして、河川法あるいは工場排水の問題あるいは鉱業法等との関係、そういう点を規制をいたしておるのであります。今後各河川におきまして、木村君の御指摘になりましたような問題は、非常にたくさん深刻な問題として発生する状況にございまするので、当局におきましては、この水産資源保護法の各條項をもう一ぺん再検討され、よくその法の精神を理解されまして、それに必要な所要の経費を二十七年度において要求されるように特に強く希望いたしたいのであります。
  19. 川村善八郎

    川村委員長 皆さんにお諮り申し上げます。予算中心にただいま問題となつております事柄については、非常に重要な問題でございますので、いずれまた他の機会に本委員会において十分取上げたいと存じておりますので、本日はこの程度で……。
  20. 木村榮

    ○木村(榮)委員 もう一点だけ……。
  21. 川村善八郎

    川村委員長 それでは簡単に願います。
  22. 木村榮

    ○木村(榮)委員 今の問題はただいま委員長からも御発言があつたように、あとでよく調査してやるということでけつこうだと思います。ただ参考までに申し上げますと、この間、私の方の県で調査した安本の方の談話を見ますと、非常に有害で、まつたく魚族が死滅してしまうので、この対策は県の敗政では困難だという話だから、国が、特に水産庁あたりが何か適当な対策を議会と相談して立てられるであろうといつたふうなことを言つておるわけであります。こういう点もございますから、特に今委員長からも御発言があつたように、この国会におきまして、十分御研究を願いたいと思います。  もう一つの問題は、さつき御説明があつた中に、漁業協同組合保護育成といつたふうなことがございましたが、これに関連いたしますと、どうしても調査指導といつたふうなことが非常に大事だと思います。これは私は最近の特徴的なのを一つお話申し上げて、ぜひ調査報告を当委員会へ出してもらつて、そういつたふうなことを参考にして、この保護育成ということにわれわれも協力したいと考えております。この場所は、長崎県の五島の三井楽町というところで、すでに新聞も相当報道いたしておりますから、水産庁も御承知だと思いますが、この三井楽町の漁業協同組合と大洋漁業とが、漁業権をめぐる大騒動が起つて、毎日千五、六百名ぐらいの漁民が長崎県庁に交代で押しかけておるそうでございます。ところがこの漁場は東洋一のぶりの定置漁場であつて、私どもの調査によれば、昨年度は四億円の水揚げをやつております。ここへ大洋漁業が割込んで、そうしてまつたく混乱させて、横取りしようということで大騒動をやつておる。最近の情報によれば、漁業調整委員を一人二百万円も使つて買収した。この運動費は一億円を確保しておるから、自由党の連中が束になつて来てもこたえぬということを、大洋漁業の重役が豪語しておるそうでございます。うそかどうか知りませんが、こういうことが常識化している。こういうところで盛んに松任谷部長保護だとか、育成だとかいうようなことを言われますけれども、水産庁というものは農林省の中にあつても特に雨天だというので、水産委員会というものは別にこしらえている。この委員会へもう少し適当なことを報告して、私たちの審議に供してもらいたい。委員会には自由党の猛者連もいらつしやるわけだから、こういう問題は徹底的にやつつけるために御協力願いたいといつたような調査資料くらいは出すべきだと思う。われわれの貧弱な調査でももつと深いことを知つているわけです。だからこういう問題をほんとうに的確に指導してこそ、やれ新しい漁業制度確立するんだというような御講釈が成り立つのである。ここで御講釈を聞いても、末端に起つている現象は別の現象が出て来ておりますから、そういう点を自由党委員方々偽もお願いを申し上げたいわけですが、大洋は何といいますか、ひど過ぎると思いますから、そんな小さな漁場を荒らして小さな漁民をいじめなくても、大洋さんはもつと遠洋漁業ができるのですから、もつと襟度を開いてやるように、大洋を指導するというようなことで、この委員会は大洋問題というものをひとつ取上げていただきたい。このことをお願いいたしたいと思います。
  23. 川村善八郎

    川村委員長 ただいま木村君から発言になりしましたことにつきましては、調査の必要もありましようし、さらに資本漁業沿岸漁業との対立は各所に起きておるのであります。その他いろいろな漁業上の相剋摩擦の問題がありますので、これらは十分調査しなければならぬと思つておりますので、本委員会が終つてから打合せをいたしまして、今後国会に取上げる問題を吟味して、本委員会でさらに審議いたしたいと思います。
  24. 田口長治郎

    ○田口委員 ただいまお話がありました問題が、たまたま長崎県の三井楽に関連した問題でございます。しかもお話は大分事実と相反したことが多い。私は四、五日前まで長崎におりましたが、長崎地方を見ておりますと、日本共産党という名前でそこここにビラを張つて、大洋から二千万円長崎県知事に渡してある。そうして知事が三井楽の漁民を圧迫しているというような宣伝ビラをそこここに張つているのでございますが、この問題につきましていろいろ私らも国会議員の立場から調査をいたしてみますと、全然さような点はないのでありまして、これは知事にも、また大洋漁業の方にも強くいろいろつつ込んで見ますけれども、何もさようなことはございません。もしあのビラに二百万円あるいは二十万円ということを書いてありますれば、あるいはさようなことがあつたかもしれないというように、世間の人の気持を引くことができると思うのでございますけれども、二千万円を贈つているというようなことで長崎市民にいたしましても、長崎県民にいたしましても、頭から笑つておる、こういうような実情でございます。  それから漁業権自体の問題につきましては、非常に混乱している思うのでございます。少し時期が遅れておる。この時期が遅れたことは、許可の七〇%が漁業の官爵ということに賛成しておるかどうか、そこに疑問がありまして、県といたしましてはその点を十分に調査しておる。しかしその点がだんだんはつきりいたしましたから、漁業権の免許は組合にやる、こういうことに県としてもきまつておるのでございまして、ただいまの話は、どうも事実と非常に反した点がありますから、一言真相を申し上げておきたいと思います。
  25. 川村善八郎

    川村委員長 ただいまの田口君の発言と木村君の発言とは相当の食い違いがありますが、その真偽のほどは、いずれ本委員会調査をいたしまして結論を出したいと考えております。本日はこの程度にとどめまして、次会の開会日は公法をもつてお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十一分散会