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1952-04-17 第13回国会 衆議院 人事委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月十七日(木曜日)     午前十一時十五分開議  出席委員    委員長 田中不破三君    理事 田中伊三次君 理事 藤枝 泉介君    理事 淵上房太郎君 理事 松澤 兼人君       伊藤 郷一君    今村 忠助君       大野 伴睦君    小澤佐重喜君       藤井 平治君    本間 俊一君       渡邊 良夫君    三宅 正一君   出席政府委員         内閣官房長官 菅野 義丸君         総理府事務官         (大臣官房審議         室長事務代理) 増子 正宏君         人事院事務官         (事務総局法制         局長)     岡部 史郎君         総理府事務官         (地方自治庁公         務員課長)   佐久間 彊君  委員外出席者         専  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 本日の会議に付した事件  公務員等懲戒免除等に関する法律案内閣提  出第一五四号)     —————————————
  2. 田中不破三

    田中委員長 これより人事委員会を開会いたします。   ただいまより公務員等懲戒免除等に関する法律案内閣提出第一五四号を議題として質疑を継続いたします。藤枝泉介君。
  3. 藤枝泉介

    藤枝委員 この前の委員会に私出席いたしたために、同僚の委員の方から質問があつたと思うのでありますので、あるいは重複するかも存じませんが、その点をお許し願いたいと思います。  まず第一にお伺いいたしたいのは、この公務員等懲戒免除等に関する法律案におきまして、予想される講和発効の記念として、こうした免除を受けまする大体の数が、国定公務員及び地方公務員におきましてどの程度でありますか、ひとつまずお教え願いたいと思う。
  4. 菅野義丸

    菅野政府委員 これは正式に調査をいたしませんと、正確な数字はわからないのでございまして、ことに地方公務員の分につきましては、政府といたしましてまだその数を調べておらないのでございます。国家公務員一般職の者につきまして調べたところによりますと、昭和二十五年に懲戒処分を受けました者の数は、全部で四千三百十三人という数字になり、昭和二十六年に懲戒処分を受けました者の総数は、五千五百五人という数字になるのでございます。これはほんの一例でございまして、二十五年と二十六年の国家公務員一般職の数でございます。従いましてこれだけの者が懲戒免除になるという意味ではございませんで、最近昭和二十年に懲戒処分免除をやりましたのですが、その後に懲戒処分を受けました者につきましては、やはりその効果が及ぶわけでございます。  そのほかにこの法律によりまして出納職員予算執行職員弁償責任に基く債務減免というようなこともございまするし、それが国家公務員ばかりでなく、地方公務員にも及びますので、その数は相当な数に上ると思うのでございますが、遺憾ながらその数はまとまつておらないような実情であります。
  5. 藤枝泉介

    藤枝委員 それでは数の点はおわかりになり次第、なお委員会で御発表を願いたいと思います。  次にこれはこの前の委員会で御質問があつたようでありますが、この第二條最後の方の「まだ懲戒処分を受けていない国家公務員等に対して懲戒を行わないことができる。」という條文でありますが、もちろんこの立法趣旨は十分わかるのでありますが、言葉そのものから考えますると、まだ今後何か懲戒は全然しないのだというふうにもとれる。そのようなばかな話はないと思うのでありますが、現実の問題としてこの第二條後段規定を適用するのは、一体どういうものを適用されるわけでありますか。具体的に申しますと、すでに懲戒事案はある。しかしまだ調査中あるいは手続中であつて現実懲戒処分を受けていないというものが、まずあると思います。もう一つ、まだ懲戒事案は発覚していないけれども、ある時期以前にすでにそういう懲戒に該当するような行為があつた公務員があると思うのであります。それから全然まだそういう懲戒事案になるような行為をしていない公務員がありますが、これは別問題だと思います。そのある特定の時期以前に、すでに懲戒を受けるような事実があつたけれども、まだ発覚していないというものにも、この後段規定が及ぶかどうか、特に「政令で定めるところにより、」とありますので、その政令の定め方などの大綱をお示しの上で、今の私の質問にお答え願いたいと思うのであります。
  6. 菅野義丸

    菅野政府委員 ただいまの御質疑につきまして、この書き方の点は御説のように、多少誤解を招きやすいような書き方になつておりますが、趣旨国家公務員等につきましては政令で、あるいは地方公務員につきましては、それぞれの條例で定めるのでありまして、その定め方によるのでございますが、政府が今考えておりますところを申し上げますと、一定の日を限りまして、その日以前に行われた行為に重点を置きまして、その行為が現在調査中で、調査が完了すれば、あるいは懲戒処分になる可能性が非常に多いというようなものにつきましても、その行為一定の日以前に行われたものであ  る限りにおきましては、この懲戒を行わないというつもりでございます。まれ第二の例としてお示しになりました、ある行為一定日時の前に行われたものでありますが、その事実の発覚がこの法律による政令の定める日以後にあつたというような場合につきましても、やはりその問題になる行為が指定された日以前に行われたものである以上は、この懲戒処分を行わないことができる。この後段規定によりまして懲戒を行わないつもりでございます。しかしながらあくまでその一定日時以前のことでありまして、それ以後の行為についてこの法律をただちに適用するというようなことは全然考えておらない次第でございます。
  7. 藤枝泉介

    藤枝委員 ただいまのお答えで了解したのでありますが、政令にはある日を限りまして、その以前の行為についてすべて懲戒免除規定を適用するというような意味政令を掲げるおつもりでございますか。
  8. 菅野義丸

    菅野政府委員 御質問通りでございますが、大体政令には一定公務員等職名の範囲をきめまして、そうしてその職名の者で、ある一定の日以前の行為について懲戒処分を受けた者に対しましては、将来に向つてその懲戒免除し、またはまだ懲戒処分を受けていない者に対して、懲戒を行わないというような意味政令にいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  9. 藤枝泉介

    藤枝委員 その政令に関連してでありますが、第三條の地方公共団体職員につきましては、公共団体條例できめるということをいわれておるのでありますが、この條例地方でばらばらにななりましても、いかがかと思うのでありまして、何か政府の方で地方公共団体に対しまして、條例模範例とでも申しますか、一定の指示を與えられるおつもりでありますか、その点をお伺いいたします。
  10. 佐久間彊

    佐久間政府委員 地方に対しましては地方自治庁といたしまして、第二條国家公務員の場合の政令との均衡考えまして、地方実情を加味いたしました上で、一つモデル條例の案のようなものをつくりまして、それを示して参考に供したいというふうにただま考えまして、研究をいたしております。
  11. 藤枝泉介

    藤枝委員 その点で、これは希望でありますが、モデル條例を示されましても、つくられるものは地方公共団体の独自の考え方でつくられるというりくつは、そうだろうと思うのでありますが、こういつた問題が地方でばらばらなにることは、非常にどうかと思われるのでありまして、強制するわけにはいかぬだろうと思いますし、また事実モデル條例が示されましたら、それに従われるだろうと思いますが、その点は各地方公共団体の間で不均衡のないように、自治庁としてもよほど御努力を願いたいと思う次第でございます。  それから次に第四條の出納職員等債務減免の問題でありますが、提案理由の御説明の中にもありましたように、従来は大体すべて免除をしておつたのでありますが、提案理由の第四としてあげられたところには、「これは恒久的な制度として考えますると、その影響するところ大であり、必ずしも妥当とは申されぬ点もありますので、本案では、弁償責任の一部免除の場合を含め、「減免することができる」といたしました。」と言われておるのでありますが、この影響するところ大であり、必ずしも妥当とは申されないのでというこの意味は、どのような点をお考えになりまして、免除ばかりでなく、一部の免除、いわゆる減免の減の方を入れられましたか、その理由をお伺いいたしたいのであります。
  12. 菅野義丸

    菅野政府委員 この免除減免にいたしましたのは、最近、ことに終戰後の著しい特徴でございますが、金額の非常に多い賠償責任に基く債務の事例が、かなりあるのであります。しかも地方公共団体等におきまして、相当金額に上る賠償責任を、全部免除いたすというようなことは、その小さい公共団体財政等に多少影響もありまするし、また実際上賠償責任に基く債務を拂う能力がある場合がありまして、制度として考えます場合におきましては、必ずしも全部免除というように画一的にきめておくのはいかがかと思いまして、減免といたしたのでありますが、これは従来からの例にもありますように、原則としては免除が大部分であつて減額ということはごく例外的なものになると思います。ただ法律といたしまして免除だけという制度にいたしておくことはいかがかと思いまして、こういうふうにきめたのでありますことに故意債務履行を怠つておるような、つまり実際に債務履行能力があるにかかわらず、故意に滞納しておるというようなものもございますし、これを全部一定の日に免除してしまうことは、いかがかというふうにも考えられますので、恒久的の法律としては減免といたしたような次第でございます。
  13. 藤枝泉介

    藤枝委員 今のお話大体御趣旨はわかるのでありますが、そうしますところの政令書き方などは、どういうことになるのでありましようか、一定のある金額でも限つて、これ以上の金額については何割を減額にするというような考え方でありますか、それとも弁償責任を負わされた個々のその事案を具体的に勘案いたしまして、免除したりあるいは減額したりするというふうにいたすのでありますか、その点をお伺いしたいと思います。
  14. 増子正宏

    増子政府委員 ただいま御質問の点につきましては、目下いろいろ研究いたしておるのでございますが、大体はお話のありましたように金額を限りまして、この弁償債務幾ら幾らまでは全部免除、あるいは幾ら以上幾らまでは何割免除というように一応考えておる次第でございます。
  15. 藤枝泉介

    藤枝委員 この後段にあります本人犯罪行為による賠償責任免除されないことはわかるのでありますが、いわゆる賠償責任を負つた原因本人の過失の程度、そういつたものは全然考慮に入れられないおつもりでありますか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  16. 増子正宏

    増子政府委員 その点をこまかに区わけいたしますのは、非常に困難ではないかと考えております。
  17. 藤枝泉介

    藤枝委員 そうすると今御答弁のありましたように、ほんとうに金額的に形式的にきめるということでございますね。
  18. 増子正宏

    増子政府委員 大体そのように考えております。
  19. 藤枝泉介

    藤枝委員 地方自治庁の方にお伺いしますが、今官房長官お話にありましたように、地方公共団体が非常に多額の賠償をさせなければならぬような事態があることは私も知つておるのでありますが、これは先ほどの懲戒免除と同様に、やはり国の方針と歩調を合せておやりになるようなおつもりでありますか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  20. 佐久間彊

    佐久間政府委員 そうでございます。
  21. 藤枝泉介

    藤枝委員 それから金額の点でございますが、この前は多分昭和二十一年だと思いますが、その当時の貨幣価値と最近の貨幣価値とは相当に違つておるのでありますが、そういう点は特に考慮をされるようなことはございませんのですか。
  22. 増子正宏

    増子政府委員 御指摘の点も十分検討しなければならぬと思つております。
  23. 藤枝泉介

    藤枝委員 検討されるということはどういうことになるのでしようか。たとえば物価指数何かで、多少スライドするというようなことが考えられるのでありましようか、その点をひとつ……。
  24. 増子正宏

    増子政府委員 実はそのスライドの点も研究いたしておるのでございますが、まだその点結論が出ておりませんので、ここで申し上げられないのであります。
  25. 藤枝泉介

    藤枝委員 それから最後に第七條資格回復の問題でありますが、ここに示された立法趣旨はわかりますが、「又はそれらの資格以外の他の法令で定める資格を失つている者」とありますが、資格回復するというのは、どういうものを予想されておるのでありますか、その点をお尋ねいたしたいと思います。
  26. 菅野義丸

    菅野政府委員 第七條資格回復は、提案理由の御説明にも申しました通り懲戒処分によりまして一定職種につくことができる資格を失つておる人たちに対して、その資格回復するという趣旨でございまして、前段の方はここに書いてある通りでございますが、「又は」以下は、たとえば国家公務員懲戒処分によりまして免職になりますると、ほかの法令でもつて、たとえば司法書士などには公務員として懲戒処分を受けた者はなれないというようなことをきめておる法令がございますが、そういうふうに国家公務員それ自体になる資格回復するばかりでなく、他の法令でもつて国家公務員免職なつたために、ある一定職種につけないというきめがある場合に、その資格回復するという意味でございます。
  27. 藤枝泉介

    藤枝委員 その御趣旨は十分わかるのでありますが、実は恩給法の第五十一條には「公務員左ノ各号ノ一二該当スルトキハ其引続キタル在職ニ付恩給受クルノ資格失フ」という言葉を使つておるのであります。そういたしますと、国家公務員なり地方公務員なり弁護士なり、その他のそうしたものになれないというその資格回復するのだという趣旨だと思うのですが、この條文そのものだけを見ますと、恩給法第五十一條恩給を受くるの資格を失うというその資格までも入るようにとれるのであります。さきの提案理由説明でありましたか、その他でありましたか、要するに懲戒免職になつて恩給を受けなかつた者は、その恩給までは復活しないのだ。第六條の既成の効果は変更されることはないのだという意味で、恩給は復活しないという御趣旨であると思うのですが、第七條のこの文句恩給法の第五十一條文句とを比べますと、何か恩給を受ける資格まで復活するようにも読めるのですが、その点ひとつ十分御闡明にならないと、他日に問題を残すのではないかと思うのですが、その点について御意見承りたいと思います。
  28. 菅野義丸

    菅野政府委員 まことにごもつともな御質問でありまするが、ここに書いてありますように「又はそれらの資格以外の」という文句でございますが、「それらの資格」というのは、その「又は」という文字の前に出ております「競争試験若しくは選考を受ける資格」であるとか、あるいは「国家公務員となる資格」とか、「地方公務員となる資格」とか、こういうものをさしておるのでございまして、「それらの資格以外の他の法令で定める資格」という、このあとの方の資格というのは、やはりそれらの資格に類似した、あるいはそれに準じたものというふうな意味で立案いたしたのでございます。ただ卒然とこの文句を読まれた人は、あるいは恩給法の五十一條のような資格まで含められるかのごとき感がいたすのでございますが、趣旨はまつたくそういう考えがないのでございまして、恩給であるとか、退職年金というような、過去の一定行為の集積によつて一定の金を受ける資格が生れて来たものを、それらの法律によつてつておるその事実に対して、これを及ぼすというような気持はないのであります。あくまでこれはある一定職種になる資格という意味で書いたつもりでございまするが、御質問のごとく多少これは明確を失しておると思いまするので、この機会に立法者趣旨を十分申し上げて、将来の誤解のないようにいたす次第でございます。
  29. 田中不破三

    田中委員長 ほかに御質問はありませんか——本日はこの程度にとどめ、次会は明後十九日土曜日午前十時半より開会することといたします。  本日はこれにて散会いたします。     午前十一時三十九分散会