○田渕
委員 私はこういう記憶があります。
昭和十七年の春ごろでありますが、私が三重県におりますときに、三重県に海軍の航空隊ができたのであります。私の
ちようど住宅の前であります。そこに大きな墓地があ
つた。その当時横暴というか、人道を無視したようなあのむちやな海軍のやり方においてすら、そこにある墓地を飛行場として土地収用する前に、その墓地を片づけることがまず先決問題と
なつた。そこで墓場の石をどこそこの位置に丁重に移すことが第一、第二は墓場の下に埋
つている遺骨を日中に掘るのはお日さまに当
つても
つたいない。そこで夜これを扱えというので、夜中の十二時から三時ごろまでの間に数人の人夫をして扱わしてお
つたのを供養に行
つたことがあ
つて覚えております。あれだけ人間の殺し合いをする当時の軍ですら、またあの当時頭に上
つてしま
つてお
つた陸軍、海軍の暴虐な連中ですら、民間の墓地を飛行場の基地に土地収用するときには、あれだけ丁重なことをいたしておるのであります。国家のために海底に遺骨と
なつた、その遺骨の
場所が、艦あるいは船であ
つても、これを墓地化しなければならぬ。墓地というような観念で行くならば、私はこういう事態が起きなか
つたと思うのであります。つまりこれに関与した当時の中国財務局長は、私として見るならば、こういう観念がなか
つたのであります。今
舟山次官が
証言されたような御観念がわれわれには見受けられなか
つた。これは一罰百戒の目的で、中国財務局長に対しては責任を追究しなければならぬ、こういうような義憤も起きて来たのであります。たとえばこの問題は、
陸奥が爆破された。
火薬を使わしたことはもちろん悪いことであり、それでなくとも大量の
火薬を与えた
山口県も
山口県なら、一回も見に行かなか
つた中国財務局も、あなた方の下僚としてはなはだ遺憾な点があるのであります。
陸奥の艦尾についているスクリューが一箇四トンもあるそうです。四箇で十六トン、これは金額にすれば何百万円、あるいは何千万円、解撤して
物件を揚げたものが、五千万円のやみで流したともいわれ、あるいは一億円以上にも流されたという
調査が上
つて来ておるのであります。かような
搭載物件でない、スクリューが、現に日立の因島工場で
処置されたということが、警察の調べで上
つて来ておるのであります。そうしますと、あなたの下僚である中国財務局長の責任は、われわれはもちろん追究して行くのでありますけれ
ども、この国有財産の解撤すべからざるスクリューをこういうふうに売
つたことに対して、もちろん請負人の
西日本海事に対しては、あなた方の御精神として、中国財務局に命じ、あるいは大蔵省直接でもよろしい、国家としてこれに損害賠償を要求する。今刑事
事件にな
つておりますから、いずれこれも
はつきりいたしましよう。そういうような場合には、国有財産の
処理違反の問題に対して、どういうふうな
措置をと
つて行かれるのか、御
方針があれば、承
つておきたいのであります。