○岡谷
証人 話の前提となりまする点が、先ほど
委員長に申し上げたより
ちよつと食い違いがあるので、私の見解として申し上げます。油の冷却器、かようなものは
艦体の一部であると
考えております。で、当然これは
引揚げてはならない物件であると
考えております。鉄類これも同様に
引揚げることはできない物件でありますが、事実はそのような物件が
引揚げられております。鉄類にいたしましても五百トン余り揚
つておる。
引揚げを
禁止されておる、揚げてならない物件が揚げられたということは、これは明白な事実であります。先ほど私が申し上げましたのは、窃盗罪といたしましては、そのことについて、
引揚げてならない物件であるということに関する認識が必要であります。その認識を、窃盗の犯意があるのだと認定するためには、いろいろな支障が出て来たわけであります。そのさしつかえの
事情として、先ほど来私があげましたように、油冷却器が
引揚げられておりますその
現場を
——被疑者に言わせますと、われわれが油冷却器を
引揚げておる
現場を、県の係の方もよくごらんにな
つておられる、見ておられながら、何らこれはいけないではないかということも言わなか
つた、だからわれわれはこれは揚げていいものだというふうに
考えた、県の方でも許してもら
つたものたと思
つておりました、こういうふうになるわけであります。それから鉄につきましても、同じことが
一つには言えます。鉄を揚げておる
現場を見ながら、別段の注意がなか
つたというようなことがありますし、そのほかに、ただいま申し上げましたように、売却
許可書に堂々と
非鉄金属何トン、鉄何トンというふうに書いて
許可の申請をした、売却の申請をした、それに対して、県はそのままそれを承認して、売却してよろしいという売却の
許可を與えてくれた、これも県の方で鉄類の
引揚げを容認されたものと
解釈しておりました、こういう被疑者側の弁解になるわけであります。その弁解をくつがえすに足るだけの証拠がないということになるわけでございます。