○渡辺
証人 人身売買防止の対策の一つのように思われますが、いわゆる雇い人を入れた場合に、従業婦を入れた場合に、届出をせしめるという問題でございますが、そういうことにいたしますれば、どの
方面からどういう女が雇われて来たか、あるいはだまされて来ておりはせぬかというような事情も、届出のあ
つた都度
調査いたしておりますれば相当明瞭になりまするし、防止対策にもおそらくなろうかと思います。但し現在のところ
規定の上で、この届出義務を負わしていないのでございます。そういう
関係で、事実
指導行為として任意に、いわゆる強制的な
意味でなしに、
指導の
意味で
警察に連絡をとらすというようなことも、必ずしも不可能じやないかと思うのでありますが、現在のところでは条例にそういう
規定がまだ存在しておりません。今後の対策としまして、その点につきましてはひ
とつ研究してみたいと思います。これは単にそういう届出等の問題ばかりではなしに、今後売春を防ぐとか、
人身売買を防ぐとかいう大きな角度から、現在のところでは——余分な
証言でありますが、宿屋あるいは普通の客席に公然と婦女のはべるような料理店とかいうものと
警察とは何ら
関係ないことにな
つておりまして、それは府県知事——
東京都知事なら
東京都知事に届出ればそれが自由にでき、その数が現在非常に多い。宿屋などにおきましても、特飲街のことを盛んに問題にしておりますが、悪質な旅館等におきましては、相当婦女を宿屋に入れて密淫売をや
つておるところも
ちよい
ちよいありますし、そういうものも一般的に予防して風俗
警察の徹底を期するという建前から行きますと、そういう届出制度なんかは一つの
法律措置として非常にけつこうなことじやないかと思いますが、これは大きな問題でありまして、今後の防止対策として研究すべき問題だと思います。
それから
警察の力のみをも
つてしてはできぬ、だからほ
つておるという
意味ではないのでありまして、これを撲滅することがはたして実際問題として
社会の
実情に即するかどうか、こういう問題になりますと、私
警察官としましてそういう政治的な問題は発言することははなはだ失礼でありますが、これは相当な大きな問題であろう。私
どもとしましては、限られた
警察官で、売春とか
人身売買ばかりでなしに、相当な治安捜査、一般の悪質犯とか、その他の予防というものに努めておりますので、それのみに
警察官を集中するというわけにも参りません。少数の
警察官で
取締りをや
つておるわけでありますが、いくら取締
つても不可能だという
意味よりも、はたしてこれをなくすることが現実の
社会として適当であるかどうかということになりますと、相当大きな政治的な問題でありますので、そこまで私
証言できませんが、できるだけ悪質な者から重点的にまず具体的に
取締りを強化して行くという方針をと
つております。