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1952-02-12 第13回国会 衆議院 行政監察特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月十二日(火曜日)     午後一時四十一分開議  出席委員    委員長 内藤  隆君    理事 大泉 寛三君 理事 鍛冶 良作君    理事 高木 松吉君 理事 田渕 光一君    理事 小松 勇次君 理事 佐竹 新市君       天野 公義君    志田 義信君       篠田 弘作君    柳澤 義男君       大森 玉木君    藤田 義光君       竹村奈良一君    浦口 鉄男君  委員外出席者         証     人         (元財団法人聖         十字学園理事         長)      渡辺 敬吉君         証     人         (元財団法人聖         十字学園園長) 磯川 義隆君     ————————————— 本日の会議に付した事件  委員会報告書に関する件  国有財産管理処分関係事件聖十字学園事件)  証人出頭要求に関する件     —————————————
  2. 内藤隆

    内藤委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。一月中の調査経過報告書につきましては、委員長において、お手元に配付してあるような簡単なる調査報告書を作成の上、議長に提出いたしましたので、御了承願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 内藤隆

    内藤委員長 御異議がなければ、さよう決しました。     —————————————
  4. 内藤隆

    内藤委員長 次にお諮りいたします。国有財産管理処分関係事件中、聖十字学園事件につきましては、事務局における基礎調査も完了いたし、理事会におきまして協議の結果、本委員会において証人を喚問して調査を行うことに意見の一致を見ましたので、この際国有財産管理処分関係事件中、聖十字学園事件について、委員会において本調査に着手いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 内藤隆

    内藤委員長 御異議なきものと認めます。それではさよう決定いたしました。     —————————————
  6. 内藤隆

    内藤委員長 なお本事件に関しましては、理事諸君の御了承を得まして、本日は元聖十字学園理事長渡辺敬吉君、元聖十字学園長磯川義隆君。二月十三日に日本通運株式会社東京支社総務部長古谷良平君、東京民生局長畑市次郎君、厚生省児童局長高田正巳君。二月十五日に関東財務局長井上義海君、以上六名の諸君にそれぞれ本委員会出頭を求める手続をいたしておいたのでありますが、以上の諸君を本委員会証人として決定いたすに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 内藤隆

    内藤委員長 御異議なきものと認めます。それでは証人として決定いたしました。  なお証人出頭日時等に変更の必要を生じたときの処置につきましては、委員長に御一任を願います。     —————————————
  8. 内藤隆

    内藤委員長 これより国有財産管理処分関係事件中、聖十字学園事件について調査を進めます。  ただいまお見えになつておられる証人渡辺敬吉君ですね。
  9. 渡辺敬吉

    渡辺証人 さようでございます。
  10. 内藤隆

    内藤委員長 あらかじめ文書をもつて承知の通り、本日正式の証人として証言を求めることに決定いたしましたから、さよう御了承ください。  これより国有財産管理処分関係事件中、聖十字学園事件につき証言を求めることになりますか、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて、黙祕すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。     〔証人渡辺敬吉朗読〕    宣誓書  良心に従つて、真実を述べ何事も  かくさず、又何事もつけ加えない  ことを誓います。
  11. 内藤隆

    内藤委員長 それでは宣誓書署名捺印してください。     〔証人宣誓書署名捺印
  12. 内藤隆

    内藤委員長 これより証言を求めることになりますが、証言は、証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際には、その都度委員長許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。  証人渡辺敬吉さんの略歴を述べてください。
  13. 渡辺敬吉

    渡辺証人 明治三十六年十一月十二日に生れまして、満十五才にして三井物産木材部北海道釧路の店へ入りました。三井物産を二十才のときにやめまして、その後三井物産木材部東京の総代理店でありますところの長谷川萬治商店というのを、長谷川萬治氏と共同で、独立いたしまして、材木問屋をやりました。昭和五年に独立いたしまして、渡辺材木店を創立いたしました。その後ずつと木材製材木工の業に従事しております。途中昭和十四年から約三年間、北支方面で大体外国材の輸入を業としておりました。戦争が始まりましてから、昭和十七年に海軍より海洋いかだの業と伐木、製材木工起業を下命されて、南方ボルネオ、ジヤワ、セレベスの方にいて、終戦直前に帰つて参りました。その後、終戦前は海軍の命によつて深川の木場に経営しておりました事業工場が全部焼失いたしましたので、秋田県土崎、秋田県本荘、山形県酒田に事業地を疎開いたしまして、約一千名ほどの従業員を使つて始めましたが、起業後わずか二箇月にて終戦になりました。終戦後は新橋に店を設けまして、秋田山形に所有しておりました木材並びに建築いたしました建物をこわして、それを東京で売ることを業としておりました。当時新橋疎開跡地に、都の許可を得まして、新橋新生マーケットというのを建設いたしました。延べ約二千六百坪であります。その後それが二回の火災にあいまして、三分の二を焼失して、三分の一は現在同マーケツトを経営しております方に譲り渡しまして、自分保険金約八百万円を受領して、一部は負債に充当し、大部分は日本橋堀留にあります焼けビルを借りまして、それを修理してインドネシア会館を設立いたしました。ラーデン、スワントさんその他インドネシア方々と一緒でありました。その後同ビルデイングは、大部分を貸ビルにいたしまして、その収益その他によりまして、新橋あるいは綿糸町、国立その他に木材旅館料理店その他の業を継続しておりました。たまたまその当時から交際を始めました聖十字学園の……。
  14. 内藤隆

    内藤委員長 その点はあとで聞きましよう。
  15. 渡辺敬吉

    渡辺証人 その後神田聖十字学園の、先ほど委員長理事長と申されましたが、理事長ではございません。これは聖十字学園定款をごらんになるとよくわかります。一般でいう理事長でなく、代表権発言権もない理事長であります。その後聖十字学園とわかれまして、現在国立国立ホテルという旅館業をただいま営んでおります。
  16. 内藤隆

    内藤委員長 あなたのただいまの大体の略歴を聞いておりますと、木材業なり、旅館業なり、あるいはマーケツト等をおやりになつた、いわば商人ですな。
  17. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そうです。
  18. 内藤隆

    内藤委員長 その商人がいつからこの学園関係を持ちましたか。
  19. 渡辺敬吉

    渡辺証人 日にちは確実に覚えておりませんが、まだ財団法人にならない聖十字学園の磯川氏とは、二十二年の七月と記憶しております。
  20. 内藤隆

    内藤委員長 二十二年七月聖十字学園の磯川学園長交際した、その交際動機は何でした。
  21. 渡辺敬吉

    渡辺証人 私がインドネシア方々インドネシア会館をつくりまして、将来南方に発展する基礎を固めようと思うて仕事を始めておりましたときに、磯川氏が、自分オランダ代表団関係を持つものである。オランダ代表団が、渡辺インドネシアを糾合して、何か政治的な活動をしておるのじやないかというような疑いを持つておる。であるから、そういうことは現在ジャワにおける戦況から、非常に渡辺君、君自体不利な状態になるかもしれないから、この際インドネシアとの協力はやめて、どうだ、オランダの連中と仲よくしないかというような話しかけがきつかけでございました。
  22. 内藤隆

    内藤委員長 そういう話しかけをするまでに、だれかそれを紹介した者がいるのですか。
  23. 渡辺敬吉

    渡辺証人 ありません。直接自分で乗り込んで来ました。
  24. 内藤隆

    内藤委員長 この磯川という者が、直接自分から乗り込んで来た、足を運んで来たわけですな。
  25. 渡辺敬吉

    渡辺証人 さようでございます。
  26. 内藤隆

    内藤委員長 そのときに何か金銭上の話でもなかつたですか。
  27. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そのときはございません。
  28. 内藤隆

    内藤委員長 たとえば聖十字学園というものの基礎をつくるために資金がいる、そういうものでも出したらどうかという話はなかつたか。
  29. 渡辺敬吉

    渡辺証人 その後二、三回お目にかかつてからその話が出ました。
  30. 内藤隆

    内藤委員長 当時の聖十字学園役員というものは、どういう人たちがおられましたか。
  31. 渡辺敬吉

    渡辺証人 財団法人でない個人の当時ですか。
  32. 内藤隆

    内藤委員長 そうです。
  33. 渡辺敬吉

    渡辺証人 記憶しておりません。
  34. 内藤隆

    内藤委員長 しかし二、三面会つておるうちに、その財団にならない前に、学園の経営上資金がいるという場合に、資金の相談があつたでしよう。その場合にあなたはその学園役員なる者の話を聞かなかつたのですか。
  35. 渡辺敬吉

    渡辺証人 個人で経営しておつたようです。財団法人にするときに、いろいろな人の名前を持つて参りました。
  36. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると賀陽宮その他を役員に、総裁というか、会長というか、園長というか、仰いだようなことは、財団法人になつてからですか。
  37. 渡辺敬吉

    渡辺証人 なるときの準備工作記憶しております。
  38. 内藤隆

    内藤委員長 財団法人にするための準備工作として、さような人たちをかついだと、こう思つておるわけですな。
  39. 渡辺敬吉

    渡辺証人 さようでございます。
  40. 内藤隆

    内藤委員長 厚生省東京衛生試験所跡払下げについて、東京都、厚生省に対して相当に運動したと思うが、どういうような運動をやりましたか。
  41. 渡辺敬吉

    渡辺証人 自分はほとんどそれにタツチしておりません。
  42. 内藤隆

    内藤委員長 関係はないのですか。
  43. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そうです。私が向うへ何も運動したことはありません。
  44. 内藤隆

    内藤委員長 この磯川学園長がやつたことを記憶しておりますか。
  45. 渡辺敬吉

    渡辺証人 はい。
  46. 内藤隆

    内藤委員長 どんなふうな運動をやつたのですか。
  47. 渡辺敬吉

    渡辺証人 行つて来るとすぐ私に、大体行つて来た話をいたします。当時一番先の動機の話は、非常に上野その他に浮浪者が多い、都がこれをどつかへ収容せなければいかぬ、何とかいい場所がないものかというようなことから、そんな必要なものであつたならば、ちよつと東京中探してみて、何かお上の財産で修理すれば収容できるようなものを探して、そうして案を立てたらどうかということを私は申し上げました。それでそんならどこか歩こうかというので、磯川さんはダツトサンを持つておられまして、その車で歩いた結果、神田衛生試験所と、王子の方に何か昔の紡績会社の焼け跡かなんかありまして、その二つを候補にしましたけれども、一方はだめで衛生試験所の方がどうも借りられそうだ。払下げでなく借りられそうだというのです。
  48. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、そういう献策をしたのはあなたですな。
  49. 渡辺敬吉

    渡辺証人 案はやはり磯川さんですが、いろいろなそれに……。
  50. 内藤隆

    内藤委員長 助言をした程度ですか。
  51. 渡辺敬吉

    渡辺証人 さようでございます。
  52. 内藤隆

    内藤委員長 あなたはその磯川君とともに財務局なんかに出頭したことはありませんか。
  53. 渡辺敬吉

    渡辺証人 一度契約のときに判こを持つて行きまして、契約内容を見ませんが、判こを渡して押してもらつたことがただ一回あります。
  54. 内藤隆

    内藤委員長 だれに会いましたか。
  55. 渡辺敬吉

    渡辺証人 名前記憶がありません。
  56. 内藤隆

    内藤委員長 局長にまさか直接ではなかろうと思うが……。
  57. 渡辺敬吉

    渡辺証人 主任か係りの人かわかりませんが、苗川さんという方の苗字一つだけ記憶しております。その他四五人係がおられました。しかし私、端の方におりまして、判こをお渡しして、ついてもらつてつたわけであります。
  58. 内藤隆

    内藤委員長 そうするとその判こを持つて行つたときは、すでにそれは申請書じやないのですな。
  59. 渡辺敬吉

    渡辺証人 申請書でなく、最初払下げ決定のときでございます。その申請のときは知りません。
  60. 内藤隆

    内藤委員長 最初申請でなく、最初申請が決定したときに行つたわけですか。
  61. 渡辺敬吉

    渡辺証人 払下げが決定してお金を持つて行つたわけであります。
  62. 内藤隆

  63. 渡辺敬吉

    渡辺証人 ええ。
  64. 内藤隆

    内藤委員長 それは何年何月何日でした。
  65. 渡辺敬吉

    渡辺証人 記憶いたしませんが、二十四年の三月ころじやなかつたでしようか。
  66. 内藤隆

    内藤委員長 当事務局調べでは二十三年三月二十日付をもつて申請書を出している。ところが財務局はこの申請書をすぐ受理しなかつた。その間約三月ほどかかつておるが、何かその間に理由があつたと思うが、あなた聞き及んでおりませんか。
  67. 渡辺敬吉

    渡辺証人 その内容はわかりません。
  68. 内藤隆

    内藤委員長 わからない。
  69. 渡辺敬吉

    渡辺証人 はあ。
  70. 内藤隆

    内藤委員長 払下代金支払い能力などについて財務局からの調査を受けたこともその間ありませんか。
  71. 渡辺敬吉

    渡辺証人 こちらから磯川さんが行つて分割払いをお願いして決定してから私は参りました。
  72. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、あなたは払下代金支払い能力の点について財務局から調査をしたのかどうかもわからない。
  73. 渡辺敬吉

    渡辺証人 知りません。
  74. 内藤隆

    内藤委員長 昭和二十三年の六月ころから焼跡の片づけやいろいろな建物建築等をしておるね。
  75. 渡辺敬吉

    渡辺証人 はあ。
  76. 内藤隆

    内藤委員長 それは一体どういうものをつくりましたか。
  77. 渡辺敬吉

    渡辺証人 一番先に現在事務所になつているところ、それから収容所になつておるところを作業事務所として第一につくりました。それから作業に必要な資材を入れるための倉庫をつくりました。それから外食券の食堂にかかつた記憶しておりますが、そのころ表の売店街建築を始めました。始めたのが八月ころで上棟式をしたのが九月二日と記憶しております。
  78. 内藤隆

    内藤委員長 さような建築物資金等はどういうふうにして工面されましたか。
  79. 渡辺敬吉

    渡辺証人 自分が立てかえました。
  80. 内藤隆

    内藤委員長 磯川なる者は出さなかつたので、あなたが全部出したというわけですね。
  81. 渡辺敬吉

    渡辺証人 さようでございます。
  82. 内藤隆

    内藤委員長 その金額はどれほどですか。
  83. 渡辺敬吉

    渡辺証人 建築の方が約六、七百万円と記憶しておりますが、その他は聖十字の磯川氏に立てかえた人件費であるとか、事務所費であるとか、交通費であるとか、あるいは印刷代とかいうような雑費のように記憶しております。
  84. 内藤隆

    内藤委員長 雑費はどれくらいですか。
  85. 渡辺敬吉

    渡辺証人 三百五十万くらい、記憶は正確でないかもしれません。
  86. 内藤隆

    内藤委員長 建築物には六、七百万円をあなたの私財を出した、それからなお人件費雑費として三百五十万円程度を支出しておる、こういうわけですな。
  87. 渡辺敬吉

    渡辺証人 はあ。
  88. 内藤隆

    内藤委員長 その建築売買契約の締結の前のようであるが、どうです、かかつたのは……。
  89. 渡辺敬吉

    渡辺証人 それは整地だけでございます。整地売買契約のある程度借りようというときからかかつておりました。整地と言いましても、普通のすぐ建築できるような整地の意味ではありません。あの中が平均高さ五、六尺、附近の人たち焼跡残土を放り込んだその整地でありまして、建築するまでにはずいぶん長い間残土を片づけるのにかかりました。
  90. 内藤隆

    内藤委員長 それは財務局と連絡の上やつたんですか、あるいはあなた方独断でやつたんですか。
  91. 渡辺敬吉

    渡辺証人 最初は都と——私は役所行つたんではございませんが、東京都と打合せて、厚生省了解を得て、財務局手続をすれば払下げになりますというような話が決定してからでございます。契約はできておりませんでした。
  92. 内藤隆

    内藤委員長 内面に聞くと、払下げになるというようなことを聞いたのでやつたんですな。
  93. 渡辺敬吉

    渡辺証人 さようでございます。
  94. 内藤隆

    内藤委員長 そうするとどこにも相談せずにあなた方独断でやつたわけですね。
  95. 渡辺敬吉

    渡辺証人 独断ではありません。了解の上です。
  96. 内藤隆

    内藤委員長 多く了解を与えたのはだれでした。
  97. 渡辺敬吉

    渡辺証人 磯川さんであります。磯川さんはその都度役所に行きまして、そういうことを私に報告して、かかつた
  98. 内藤隆

    内藤委員長 あなた自身は直接さようなことはない……。
  99. 渡辺敬吉

    渡辺証人 ございません。
  100. 内藤隆

    内藤委員長 そうするとその了解というのはだれとだれがやつたかも知らないね。
  101. 渡辺敬吉

    渡辺証人 知りません。話は聞いておりますが……。
  102. 内藤隆

    内藤委員長 それでは話だけでもいいから……。
  103. 渡辺敬吉

    渡辺証人 東京都は、係の名前は知りませんが、児童福祉係とかいう、それから浮浪児を扱つておるもの、当時の局長は上平と申しましたが、そういう名前の方でした。その方は一度来られまして、私はあいさつだけで直接言葉をかわしませんでしたが、厚生省の方は、記憶しておる名前は大橋さんという若い方でございました。それからもう二、三人来られたようです。磯川さんは厚生省の偉い方と大分会つておるようです。それから契約が成り立つ前に厚生省大蔵省の方は始終現場に来ておられたようです。それから私は聖十字学園事務所にも二、三来たように記憶しております。
  104. 内藤隆

    内藤委員長 その大蔵省関係の人の名前くらい記憶はありませんか。
  105. 渡辺敬吉

    渡辺証人 先ほどの苗川さん以外は全然記憶はありません。
  106. 内藤隆

    内藤委員長 東京都の簡易旅館組合との間に簡易宿泊所に関して契約しておられるようですな。その内容を御存じですか。
  107. 渡辺敬吉

    渡辺証人 全然知りません。
  108. 内藤隆

    内藤委員長 関係は全然ないわけですな。
  109. 渡辺敬吉

    渡辺証人 ございません。
  110. 内藤隆

    内藤委員長 それから浴場組合と太陽の湯に関しての契約もあるようですが、その内容はどうです。
  111. 渡辺敬吉

    渡辺証人 内容の箇條的なことは記憶しておりませんが、その契約のときは私が立ち会いました。
  112. 内藤隆

    内藤委員長 大体でようございますから、どういう契約つたね。
  113. 渡辺敬吉

    渡辺証人 建築費浴場組合に出していただきまして、但しその浴場の二階は、浴場が使わないで学園が使う。それで家賃が一万円だつたと思います。
  114. 内藤隆

    内藤委員長 その契約のときには、あなたは代表者理事長という名義でやつておられるのですね。
  115. 渡辺敬吉

    渡辺証人 それが実に露骨なんですが、なぜ磯川氏と私がわかれたかというと、一生懸命何千万円の金でも寄付してやろうというのでございますから、理事長というものは一般代表権のあるものだとばかり信じておつた……。
  116. 内藤隆

    内藤委員長 ちよつと待つてください。その点はあと行つて聞きましよう。あなたの一身上については重要かもしれぬが、とにかく契約書には代表者磯義隆代表者理事長渡辺敬吉というものを甲として、契約が結ばれている。
  117. 渡辺敬吉

    渡辺証人 代表者でなかつたことがあとでわかりましたから、それは否定いたします。
  118. 内藤隆

    内藤委員長 丸福株式会社というものと契約を結んでおりますが、それはどういう……。
  119. 渡辺敬吉

    渡辺証人 全然関係はありません。
  120. 内藤隆

    内藤委員長 サンボウタイプ工場というものとの契約はどうですか。
  121. 渡辺敬吉

    渡辺証人 それも関係はございません。
  122. 内藤隆

    内藤委員長 日本通運株式会社秋葉原支店契約しておりますが、これはどうですか。
  123. 渡辺敬吉

    渡辺証人 私はそれも直接関係ないのですが、私の名前が必要だからと判こをもらいに来たので、判を貸してやりました。ですけれどもその後マル通とは私は会いました。
  124. 内藤隆

    内藤委員長 必要だから判こを貸せと言つて来たので貸した、内容は知らない、こういうわけですか。その契約内容は知らないというのですか。
  125. 渡辺敬吉

    渡辺証人 全部知らないわけじやありません。今相当記憶しておりますが、交渉の段階は私は知らなかつたのです。
  126. 内藤隆

    内藤委員長 しかしながら契約をするときには……。
  127. 渡辺敬吉

    渡辺証人 参りました。
  128. 内藤隆

    内藤委員長 捺印するために判こを持つて来いというので判こを持つて行つた、こういうわけですか。
  129. 渡辺敬吉

    渡辺証人 さようでございます。
  130. 内藤隆

    内藤委員長 大体のことでよろしゆうございますか、あなたの記憶のある程度に基いて、契約内容をお話しください。
  131. 渡辺敬吉

    渡辺証人 坪数も忘れましたが、金額も実際記憶しておりませんが、四百万円くらいだと思つております。
  132. 内藤隆

    内藤委員長 事務局調べでは、三百五十万円ですが……。
  133. 渡辺敬吉

    渡辺証人 三百五十万円は最初受取つた金でございます。その次に受取るべき金があつたわけであります。それの合計されたのが売つた金額になると思います。
  134. 内藤隆

    内藤委員長 その程度しか知りませんか。
  135. 渡辺敬吉

    渡辺証人 はい。
  136. 内藤隆

    内藤委員長 あなたも商人だから、自分判こを持つて行つてそこへ調印する場合には、相当内容を検討しなければならぬと思う。
  137. 渡辺敬吉

    渡辺証人 最近は非常に私はその点だらしがないし、今までもほとんど聖十字学園理事というものは、どなたでも、みな判こをあの人にまかしております。
  138. 内藤隆

    内藤委員長 自分判こをまかしておく……。
  139. 渡辺敬吉

    渡辺証人 鈴木さんにしても、馬場さんにしてもどなたでもあの人に判こをまかして、あの人がごしやごしや判こを持つてつたのです。
  140. 内藤隆

    内藤委員長 それはどういう事情ですか。
  141. 渡辺敬吉

    渡辺証人 大体あとから定款を見てはずかしいと思いましたが、理事長発言権もなかつたりするような定款ができ上つていたのです。それを知らないで判こを押しているので、自分の間抜けさがはずかしいような気がします。
  142. 内藤隆

    内藤委員長 それはどんな認めですか。
  143. 渡辺敬吉

    渡辺証人 私は実印ばかり預けておきました。
  144. 内藤隆

    内藤委員長 実印を預けておいた……。
  145. 渡辺敬吉

    渡辺証人 はい。
  146. 内藤隆

    内藤委員長 ちよつと常識では判断できませんね。あなたは相当の資産を持つておられる。その人が実印を他人に預けて、それで何にも知らなかつたということは、ちよつと合点が参らぬ話です。
  147. 渡辺敬吉

    渡辺証人 まだ大きな失策があつて、二、三千万円損しております。
  148. 内藤隆

    内藤委員長 それはいいでしよう。あなたと磯川との間に契約ができておりますね。その内容をひとつ説明してください。
  149. 渡辺敬吉

    渡辺証人 磯川氏が、最初聖十字学園を応援してくれ、神田にこういう場所がある、金がいる、こういう條件でどうだろう、という話を持ちかけられたのが第一の契約であります。その当時磯川氏が私に言うたのは、今後社会事業には政府の補助金というものはなくなる。であるから、利益の上る仕事をしながら、その利潤によつて社会事業をして行くのがいいと言われた。それならぼくは商人だから、失礼だが私が今後上げて行く利益の一割を聖十字学園に上げましようという約束が、個人契約の第一でございました。それでその内容をごらんくださいますとわかりますが、私の過去の経験のいろいろな商売が盛られております。それで一部で社会事業をしていいと、こう信じて私契約したわけであります。その後財団法人になりましても、それでいいということであつた。でありますから、大蔵省手続をした書類の中に、明らかに営利事業がうんと書いてあります。それで認可になつているのです。
  150. 内藤隆

    内藤委員長 営利事業を経営して、その利潤をもつて社会事業をやつていい、こう聞かされたというのですね。
  151. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そう磯川さんに聞かされて、それで契約しました。
  152. 内藤隆

    内藤委員長 この内容を見ますと、これはあなたと磯川という人との利潤分配契約だ。
  153. 渡辺敬吉

    渡辺証人 分配と同時に、社会事業の寄付の行為です。
  154. 内藤隆

    内藤委員長 そういうこともうたつてありますが、大体わけ前の契約なんだ。
  155. 渡辺敬吉

    渡辺証人 大体私は商人ですから、もうけて彼を応援してやろうということだけで、もうけを度外視しての仕事はしません。
  156. 内藤隆

    内藤委員長 そうだろう。だからあなたの立場においては、この契約なるものは、要するにもうけをどういうふうにわけるかという、その山わけ——と言つては少し語弊があるかもしれないが、そのわけ方をこれは契約してあるものなんだ。
  157. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そうきまつたわけでもありません。やはり社会事業に寄付することは事実です。
  158. 内藤隆

    内藤委員長 それは多少寄付しなければ、根本をなさぬから……。結局あなたは、今おつしやつたごとく、商人だからまずもうけということを先に考える、これは間違いないかね。
  159. 渡辺敬吉

    渡辺証人 間違いありません。
  160. 内藤隆

    内藤委員長 そういう立場から見ると、太陽寮というのは、これは社会事業として見れますが、簡易宿泊所、母子寮、太陽の湯、外食券食堂など、これはすべて営利を目的としているものなんだ。証人はどうでしよう、これを社会事業と認められますか。
  161. 渡辺敬吉

    渡辺証人 その入つた金を、磯川氏は営利でない、やはり社会事業に使つているのじやございませんか。これは役所へ年度々々に報告されているはずでございますが、あの程度の金を各部担当の社会事業の連中からもらつて、全然利益のあがらない面に、磯川氏は出しているのじやないでしようか。これはやはり報告があるはずでございます。
  162. 内藤隆

    内藤委員長 いずれ磯川も証人として喚問してありますから聞きますが、あなた自身はどうでしよう。こういう事業を、社会事業なりとあなたは考えておられますか。
  163. 渡辺敬吉

    渡辺証人 私の最初の考え方は、それよりももつと利益を上げようというような考え方ですから、磯川さんの考え方は、ちよつとまだ小さいじやないでしようかね。
  164. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、あなたは最初から営利を目的としておつたので、社会事業は目的じやなかつたと……。
  165. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そうじやありません。
  166. 内藤隆

    内藤委員長 そうじやない……。
  167. 渡辺敬吉

    渡辺証人 はい。初めから社会事業利益を寄付しようという気持でありましたことは間違いありません。
  168. 内藤隆

    内藤委員長 さいぜんの話とまた少し食い違つております。それでは利益があがらない場合にはどうするかね。
  169. 渡辺敬吉

    渡辺証人 利益があがらない場合は、これは事業は失敗です。
  170. 内藤隆

    内藤委員長 しかしあなたは採算がとれなければ資金を出すまい。
  171. 渡辺敬吉

    渡辺証人 採算がとれなくても……。
  172. 内藤隆

    内藤委員長 さいぜんあなたは述べているじやないか。
  173. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そんなことはありません。
  174. 内藤隆

    内藤委員長 採算のとれぬことはやらぬとさつき言つた
  175. 渡辺敬吉

    渡辺証人 社会事業は採算がとれぬと委員長はおつしやるのじやございませんか。
  176. 内藤隆

    内藤委員長 そうじやない。私の聞いているのは、あなたは初めから社会事業のごときは問題じやなかつた……。
  177. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そんなことはありません。
  178. 内藤隆

    内藤委員長 それじや社会事業を……。
  179. 渡辺敬吉

    渡辺証人 私の言つているのは、商売でもうけて、磯川氏のやる社会事業にそのもうけの中の十分の一を寄付しようということなんです。
  180. 内藤隆

    内藤委員長 それは目的じやない。もうからぬ場合に、自分の身銭を切つて自分の私財をなげうつてやるなら、これは社会事業としてわれわれは認める。しかしながら……。
  181. 渡辺敬吉

    渡辺証人 それは見解じやないですか。
  182. 内藤隆

    内藤委員長 これを見解と言うのは少し奇怪だ。
  183. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そういう私の解釈は、要するに考え方が違つておるかもしれないが……。
  184. 内藤隆

    内藤委員長 だからその点もう一ぺん考え方を述べなさい。
  185. 渡辺敬吉

    渡辺証人 私は何べん申し上げてもその通りです。
  186. 内藤隆

    内藤委員長 もう一ぺん述べなさい。どういう意味で社会事業をやつたか……。
  187. 渡辺敬吉

    渡辺証人 私は磯川さんがどうしても社会事業をやりたい、寄付してもらいたいというので、それで私は初めから自分の営業の利益から、その一部だけを寄付しようというのです。
  188. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、君は磯川の、この聖十字学園なるものを利用してもうけおうというのですか。
  189. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そうじやない。
  190. 内藤隆

    内藤委員長 そうじやないか。
  191. 渡辺敬吉

    渡辺証人 契約書通りの……。
  192. 内藤隆

    内藤委員長 もうけても、一部分しか出さぬじやないか。
  193. 渡辺敬吉

    渡辺証人 契約書を見ていただいても……。
  194. 内藤隆

    内藤委員長 契約書には何とでも書くだろう。
  195. 渡辺敬吉

    渡辺証人 太陽の家以外のいろいろな事業利益を差上げることになつております。太陽の家を利用して、それでもうけようというのじやございません。ほかのあれで私のいろいろな事業をそこに書いてありますから……。しかしその後磯川氏とわかれてしまいましたけれども、最初契約書をごらんくださるとよくわかります。太陽の家を利用して私がもうけて寄付しようというのではございません。ほかの私の外部の仕事から寄付しようと書いておりますから……。
  196. 内藤隆

    内藤委員長 証人が磯川とわかれたのは、どういう原因ですか。
  197. 渡辺敬吉

    渡辺証人 実は先ほど申し上げました通り、理事長で相当発言権があると思つてつた。ところが定款あとで見ますと、その定款には評議員というものがあつて、評議員から理事も選ばれるというのであるが、評議員もつくらなければ、理事もかつてにでき上る。それから私には代表権も何もない、理事長だということになつているが、はずかしい話ですが、定款をおそまきながら見まして、いやけがさしてわかれまして、立てかえ金をどういうことで清算するか……。これは磯川氏が、財団法人が認可になりましてから、どちらかというと、私をじやまもの扱いにするというような態度であつたわけです。それで私はおもしろくないからやめましよう……。
  198. 内藤隆

    内藤委員長 自分実印まで君は預けているじやないか。
  199. 渡辺敬吉

    渡辺証人 それでやめました。
  200. 内藤隆

    内藤委員長 何かもつと裏にあるだろう。
  201. 渡辺敬吉

    渡辺証人 ありません。
  202. 内藤隆

    内藤委員長 率直に述べたらどうか。
  203. 渡辺敬吉

    渡辺証人 何もありません。どうぞ御調査願います。
  204. 内藤隆

    内藤委員長 もうけが少いからいやけがさしたのじやないか。
  205. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そうじやございません。
  206. 内藤隆

    内藤委員長 それでは高木松吉君。
  207. 高木松吉

    ○高木(松)委員 うんと聞きたいことがありますが、一番重要な点です。一体あなたがこの契約をして諸多の仕事に手をつけるということは、先ほどからたびたび言つているように、利益を得て、要するにその利益の十分の一の範囲において、磯川のやつている仕事に寄付しようというもくろみだつたのですか。
  208. 渡辺敬吉

    渡辺証人 さようでございます。
  209. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それは間違いないのですか。
  210. 渡辺敬吉

    渡辺証人 間違いございません。
  211. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そうすると目的は、磯川と一緒この地所の上にいろいろなものを経営して利益を得て、その得た利益の十分の一をやるというのだから、真の目的はこういう慈善事業を口実にして利益を得る。しかし口実にする手前として十分の一ぐらい、百万円もうけたら十万円ぐらいは寄付しなければならぬ、こういうふうにわれわれに受取れるのですが、その点はどう考えられますか。
  212. 渡辺敬吉

    渡辺証人 よくそれは契約を……。
  213. 高木松吉

    ○高木(松)委員 契約はいい。
  214. 渡辺敬吉

    渡辺証人 違います。ただいまの質問は間違つております。
  215. 内藤隆

    内藤委員長 証人。——証人
  216. 渡辺敬吉

    渡辺証人 いや質問に対して……。
  217. 内藤隆

    内藤委員長 答えるときには委員長許可を得なければならぬ。
  218. 渡辺敬吉

    渡辺証人 はい。
  219. 高木松吉

    ○高木(松)委員 要するにどういう心境でこの契約ができたかという前提なんだ、君は事業家で商人なんで、金もうけをすることでなければおれはやらない、こういうことをはつきりさいぜん言つているから、さてこの契約をするときの心境は、この仕事によつて金をもうけて、そうしてもうけた金のうちの十分の一を慈善事業という名目で寄付しよう、こういう考えでこの契約ができたか、どうかという点を聞いておるのですが、この点どうですか。
  220. 渡辺敬吉

    渡辺証人 答えます。ただいまの質問は根本から間違つておられます。それは太陽の家、要するに神田の今回の問題の家で利益をあげて、そして十分の一を寄付しようというような御質問ですね。
  221. 高木松吉

    ○高木(松)委員 いや、そうじやない……。
  222. 渡辺敬吉

    渡辺証人 私の十分の一は、太陽の家の事業ではございません。私個人が各所で経営しておるその利潤を寄付しようと書いてあるのです。
  223. 高木松吉

    ○高木(松)委員 書いてあるのを聞いておるのではないのです。
  224. 渡辺敬吉

    渡辺証人 太陽の家に関係はございません。
  225. 高木松吉

    ○高木(松)委員 太陽の家のことを聞いているのじやない。契約をつくる前提となつたあなたの心境を聞いている。
  226. 渡辺敬吉

    渡辺証人 私は各所で、秋田あるいは錦糸町あるいは国立あるいは新橋で経営しております、先ほどのインドネシア会館、それらのあげた利益を寄付して社会事業を応援しようというのです。
  227. 高木松吉

    ○高木(松)委員 わかりました。それならそれでいい。それでは元にもどつてお尋ねするが、あなたの先ほどのお話によると厚生省東京衛生試験所跡というのは何坪あるのですか。
  228. 渡辺敬吉

    渡辺証人 三千二百坪と聞いております。
  229. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そこで建物をつくつたというのですね。あなたの直接間接に関係してつくられた個々の建物、いわゆる直接自分の手を下してつくつたもの、またはあなたが金を磯川に渡してつくつたもの、その建物はどういう建物で幾つあつて、何坪あるか話してください。
  230. 渡辺敬吉

    渡辺証人 私の関係いたしましたのは、現在聖十字学園事務所と家出人の収容所と、倉庫と、外食券食堂と、表の商店街、合せて延坪八百坪ぐらいになりましようか。
  231. 高木松吉

    ○高木(松)委員 この八百坪の坪数で何棟になつておりますか。
  232. 渡辺敬吉

    渡辺証人 二十二、三棟と記憶しております。
  233. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そのうち直接慈善事業に使用しておるものと、営利の目的で使用しておるものとにわけて、何坪はどこで使つておる、何坪はどこで使つておるというふうに、こまかく建てわけて述べてもらえませんか。
  234. 渡辺敬吉

    渡辺証人 学園事務所と家出人の収容所が約百二十坪ぐらいと思います。それが一棟です。外食券食堂は一棟で六十五坪と記憶しております。それから倉庫、それから学園従業員の寝ている……。
  235. 高木松吉

    ○高木(松)委員 倉庫は何坪ですか。
  236. 渡辺敬吉

    渡辺証人 倉庫は一棟で、これは現在こわしてございませんが、当時一棟で七十坪ぐらいと記憶しております。それから従業員の宿舎が一棟で、二十坪ぐらいだつたと思います。太陽の家は私が工事したのではございません。その残りの現在商店街になつておりますところが、十棟ぐらいで、三百坪くらいですね。
  237. 高木松吉

    ○高木(松)委員 まだ残つているじやないですか。考え出せばわかる。
  238. 渡辺敬吉

    渡辺証人 完成しない間に私が手を引いたものですから……。北側の一部にもう少しあるのです。
  239. 高木松吉

    ○高木(松)委員 その北側の一部にあるのは何ですか。
  240. 渡辺敬吉

    渡辺証人 やはり商店街です。
  241. 高木松吉

    ○高木(松)委員 これは何坪ぐらいですか。
  242. 渡辺敬吉

    渡辺証人 四十坪ぐらいあるのではないでしようか。
  243. 高木松吉

    ○高木(松)委員 この計画は今述べられたうち、大体北側を抜かしてはあなた自身がこれは仕事をなさつたのですか。
  244. 渡辺敬吉

    渡辺証人 はあ、そうです。
  245. 高木松吉

    ○高木(松)委員 全部を……。
  246. 渡辺敬吉

    渡辺証人 はあ。
  247. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そうするとこの仕事をなさるときに磯川と一緒に計画は立てられませんでしたか。
  248. 渡辺敬吉

    渡辺証人 計画を立てまして建築許可を得で始めたのです。
  249. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そうするとこの計画許可をとるときに、先ほどあなたが言つたのだから大体わかつておるが、要は営利の目的に大半使つて、その得た利益でひとつ慈善事業をやろうという相談が成り立つたのかどうか。この点はどうです。
  250. 渡辺敬吉

    渡辺証人 それは先ほど申し上げました通り、一部の表の売店街と思つておりますが、利潤をあげて学園の費用に充当することはありました。それでは足りないので、私の他の事業からの利益からやろうというのが初めの考え方であります。
  251. 高木松吉

    ○高木(松)委員 私よく調べてないから念を押しておくのですが、この地所の払下げを受けましたね。受けて登記済みになつた前にこういう建物をお建てになつたのですか。
  252. 渡辺敬吉

    渡辺証人 払下げが決定して、一部の分割払いの代金を払いましてからです。
  253. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そこでお尋ねするのですが、払下げは、慈善事業をこの地所においてなすということを條件にして払い下げられている地所じやないのですか。
  254. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そうでありますが、また売店街も初めから払下げの條項に記載されて許可をとつてあります。
  255. 高木松吉

    ○高木(松)委員 この払下げ條件の中に、「拾ヶ年間公益事業(保護、公益授産)施設の用に使用する。」こうはつきり書いてあるのだが、あなたの今お話になつているのと少し払下げ條件が異なつているようだが、その点はどうです。
  256. 渡辺敬吉

    渡辺証人 それは私も初め気がつきませんでしたが、マル通契約するときに、マル通の顧問弁護士からそれを指摘されました。それでそのときに磯川さんにそのことを話しましたら、大蔵省行つて来られて、これは例文であるからさしつかえないのだ。了解はつけてある、さしつかえない。こうたびたび磯川さんが言つたのマル通も安心されたのでございます。
  257. 高木松吉

    ○高木(松)委員 磯川君が大蔵省行つて、これは例文だから拘束力がないのだということを言われたとあなたはおつしやるのだが、磯川君は大蔵省のだれと交渉してさようなことを承知してあなたにお知らせになつたのですか。
  258. 渡辺敬吉

    渡辺証人 相手は知りません。
  259. 高木松吉

    ○高木(松)委員 しかしこういう條項が挿入されていることを知れば相当重大な問題です。あなたもとにかく六、七百万円の金及び三百五十万の雑費等を出しているのですし、利益を得て一部分を寄付するというような一つのもくろみの上にある以上は、この條項によつてあなたの仕事が完成できなくなつたとしたら重大な問題だから、これは相当研究されたろうと思うのですが、どうです。
  260. 渡辺敬吉

    渡辺証人 研究しませんでした。それで私もあとマル通から指摘されて心配でありましたものですから、磯川さんにそれをよく話しました。そうしましたら磯川さんが、私が先ほど申し上げました例文であるという以外に、なお社会事業も政府の補助がないので、こういう大きな計画で建てたのだけれども、それが完成されないようなときは、その一部を処分して残余を完成することはちつともさしつかえないのだということを私に言うておりました。
  261. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それは磯川から聞いたわけですね。
  262. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そうです。
  263. 高木松吉

    ○高木(松)委員 当時磯川を信用しておつたときですな。
  264. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そのころは信用しません。その前からわかれることにきめておりました。
  265. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そこで私は疑問を持つのです。あなたが、通常人の常識でありますれば、そこまで行つたときには、その條項について自分から直接研究してはつきりしたものをつかむということが、普通の常識のように思うが、あなたはそう考えなかつたですか。
  266. 渡辺敬吉

    渡辺証人 考えましたが、その前から、先ほど申し上げました通り、私の身分が、代表権発言権もない理事長でありますことと、それから磯川氏が私を必要としないというような態度がありましたので、早くお互いに清算をしてやめようということの申合せがありましたものですから、私はしいて深入りをしないで、ただマル通からこうした注意のあつたときに磯川氏にさつそく注意したのであります。
  267. 高木松吉

    ○高木(松)委員 最後に一点尋ねたいのだが、この建物建築される場合に、あなたは他の営利でやつておる建物と同様に利益を得ておつたのですか。
  268. 渡辺敬吉

    渡辺証人 もう一度言つてください。
  269. 高木松吉

    ○高木(松)委員 とにかく建物を建てられましたね、建物をあなたは建てておる。さいぜんからお話になつておるが、その建てた建物は、他に請負をさせたのか、あなたが直接やつたのか、その結果としてあなたは利潤を得ておりますか。
  270. 渡辺敬吉

    渡辺証人 その建物は私が直営でつくりました。完成しないうちに聖十字学園と私は手を切りまして、立てかえ金の清算の一部として聖十字学園から私は建物をもらいました。五百三十万円ほどに評価してもらいました。それで私は学園と縁か切れたものですから、その建物を四百七十五万円で、六十万円ほど損をして売つて私は足を洗いました。
  271. 高木松吉

    ○高木(松)委員 これは証人に尋ねるのではありませんが、委員長からこの証人に、この建物がどういうふうになつてできて、坪幾らとか、そういうこまかいことを書面で提出するように要求していただきたいと思います。そうすればはつきりわかると思います。
  272. 内藤隆

    内藤委員長 ただいまの高木委員の要求、わかりましたか。
  273. 渡辺敬吉

    渡辺証人 よくわかりました。
  274. 内藤隆

    内藤委員長 それではひとつ詳細に書いて事務当局まで委員長あてに出してください。
  275. 渡辺敬吉

    渡辺証人 事務当局の方へ私の資料をみなお預けしてありますから、お返し願いたいと思います。
  276. 内藤隆

    内藤委員長 それを見なければわかりませんか。
  277. 渡辺敬吉

    渡辺証人 わかりません。
  278. 内藤隆

    内藤委員長 それじや返しますから、それを見て詳細に知らしてください。
  279. 大泉寛三

    ○大泉委員 二、三お尋ねいたします。証人は自己の事業利益の中から一割を社会事業に寄付した、こういうお話でありますが、それはこの事業内容、輪郭を大体知つてつて一割の計算が出て来たのか。自分の営業にはもうかるものもあり、もうからないものもある。あるいは社会事業に必要な経費があるために、とうていこれは引合わない——。たとえばこの事業費が五百万円かかる、あなたの利益の一割、五千万円もうけてその一割五百万円といえばこれは合いますけれども、この計算は大体どういう内容から、あなたがいわゆる一割を寄付することになつたのであるか。
  280. 渡辺敬吉

    渡辺証人 ただいまの御質問は、一割の方は私の外部の仕事でございます。太陽の家とは関係ございません。それから太陽の家に関してはすべて太陽の家の経費に充当するようになつておりました。
  281. 大泉寛三

    ○大泉委員 今の答弁ではちよつとわからない。しからばいわゆる法人財産の目録中に渡邊敬吉さんの寄付金として一千八百五十五万二千八百五十円ということになつているが、これはどういう財物によつて寄付の名称になつているか。
  282. 渡辺敬吉

    渡辺証人 どういうあれでその数字ができ上つているか。今言われた点ちよつと記憶しませんが、何という項目になつておりましようか。
  283. 大泉寛三

    ○大泉委員 法人の財産目録にあなたの寄付分として一千八百五十五万二千八百五十円とある。
  284. 渡辺敬吉

    渡辺証人 その内容をお聞かせ願えませんか。
  285. 大泉寛三

    ○大泉委員 いや、財団法人財産目録の中に渡辺敬吉さんの寄付金ととして一千八百五十五万二千八百五十円とあるのは、これは一つの金をそつくり持つて行つて寄付したのか、あるいは財物を提供したのか。
  286. 渡辺敬吉

    渡辺証人 現金を持つて行つたのでございませんで、当日その書類をつくりましたころは、要するに逐次私が経費を出してやつたり家をつくつてつたりした累計と、なおその後つくつてやろう、出してやろうという想定のものと記憶しております。
  287. 大泉寛三

    ○大泉委員 おかしいね。しかしその寄付金は、昭和二十三年六月に学園理事会において受入れ方を決議した、こういうことが決議録に載つているのですがね。
  288. 渡辺敬吉

    渡辺証人 その内容を聞かせ願いたい。
  289. 大泉寛三

    ○大泉委員 内容と言うが、あなたからもらつた、あなたから出された金を理事会が受入れた、これが理事会の議決になつて議決録に載つている、こういう話なんです。これはあなたはよく知つておられるのでしよう。
  290. 渡辺敬吉

    渡辺証人 大体その筋はわかりますが、内容が何と何を出して、合計してそうなつたかということは記憶しておりません。建築費と経費とそれから現金とでございます。
  291. 大泉寛三

    ○大泉委員 とにかく出したことは出したのですね。
  292. 渡辺敬吉

    渡辺証人 それまでは出しませんでした。一千五十万か一千百万しか出していなかつたと思う。それまで理事会の記録に載つているとすると、なおそれから先出すという想定のものだと記憶しております。
  293. 大泉寛三

    ○大泉委員 あとで出しても、出すということにあなたの方で了承の上にこれは理事会が決定したのですね。
  294. 渡辺敬吉

    渡辺証人 はい。
  295. 大泉寛三

    ○大泉委員 それなら昭和二十四年五月になつて、磯川氏との契約のうちに、これはあなたの立てかえ金である、こういう契約内容になつている。これはどういうわけで変化したのですか。
  296. 渡辺敬吉

    渡辺証人 先ほど申し上げました通り、そういう気持で私が仕事をやりましたのですが、理事長という字だけでありまして、一般でいう代表権もなければ発言権もない。自由にたくさんの判こを持つてつて理事会もやる、書類もつくつておられるような者と一緒には歩くことができないから、磯川君わかれたい、わかれようということで、全部それを出しきらぬうちにわかれる了解がついて、別な第二の私対聖十字学園契約ができたのであります。
  297. 大泉寛三

    ○大泉委員 しかし法人の財物に一旦決定したものを、今度はあなたと磯川氏との間にわかれ話が起きて、それはおれが寄付したのじやない、立てかえたのだからよこせという契約が成り立つということはおかしい。つまり当人同士の契約で、結局法人の基本財産というものをかつてにあなた方二人が処理しよう、こういうふうな考え方からこれはやつたんですか。けんかしてわかれるのも、あるいは話合いでわかれるのも、わかれるのは当事者のあれでけつこうだが、しかし財産の処分についてこういうことをやるというのはどう思いますか。
  298. 渡辺敬吉

    渡辺証人 先ほども一部申し上げましたが、聖十字学園の、要するに寄付行為とか理事会とかいうものは、磯川さん一人でやつておりました。実際おはずかしいのですが、財団法人のそういう性格というものを私はほんとうに知りませんでした。そのためにまかせ放しにしておきまして、そういうわかれ話が出ましたときも、磯川さんは財団法人代表者として調印して、立てかえ分の清算として物は持つて行く。あとまだ六百万円ほどの貸しがあります。金は一銭も返してくれません。それも返す返すと言うて返さない。また返すというような契約も、ちやんと財団法人代表者がつくれば私はそれでいいんだ、こういうような何で、法的なことに対して無知であつたことを明らかに申し上げておきます。
  299. 大泉寛三

    ○大泉委員 あなたが法人に対して出すときには、理事会がどういう決定をしたか明確な記憶がないと言つていながら、とにかく磯川氏との契約にだけははつきり立てかえ金という一つの立場に立つているとすると、立てかえ金だからどうしてもあなたが請求する。一方は払うと言う。出すときには出したのだが、出さないのだからわからないと言う。理事会で法人のものになつてしまう。今度立てかえ金の場合には、それがどうも双方とも明確になつているということはどうもふに落ちない。これはあと委員長から先ほどの書類によつてまた明確になりましようから……。  それでは一つ、ところをかえて私はお尋ねしますが、この千八百五十万円の財産を法人が受入れるということになると、少くともこういう財産は、あなたがさつき委員長の、建築されたその資金はどこからくめんして来られたかというような質問に対して、明確な答弁がなかつたけれども、当時においてはたいてい日本国民はいわゆるガラス張りの財産にされたというような状態にあつたときに、あなたは財産税納付のときに財産申告したわけですね。税務署あるいは国税庁に財産申告したわけですね。
  300. 渡辺敬吉

    渡辺証人 財産申告をやりました。
  301. 大泉寛三

    ○大泉委員 そのときにどれくらいの申告をなされたか。これはあなたの個人の立場でありますから、答えられないといえばそれまでだが、大体答弁ができる範囲内でひとつ……。
  302. 渡辺敬吉

    渡辺証人 実は私の事業は会社が新橋の方は合資会社新生社、やはり個人会社でございます。それからセントラル・ビルインドネシア会館というのもまた合資会社でありますが、まあ同族会社でございます。そのほか合資会社丸和商会、秋田の本荘で製材木工をやつております。現在は東京へ移転しております。それから錦糸町の駅前に錦糸会館という旅館をやつております。また堀留のビルの地下室で飲食店をやつております。新橋には貸事務所並びに自分事務所を持つております。それから上つた収益を財団法人聖十字学園にかけたことは、財産申告よりよほどあとのことであります。それらの各所から上つた金を、一割じやない、磯川さんにせかれるものですから、みんな出してやつてそこまでやつたのであります。
  303. 大泉寛三

    ○大泉委員 今お尋ねしているのは、財産の目録でなくて、財産申告された額をお聞きしたいのであります。自分が投資されている会社とか、あるいはみずからの営業は、財産評価を総括して申告するのですから、総体の額をお聞きしているのです。
  304. 渡辺敬吉

    渡辺証人 個人といたしましては、幾ばくでもなかつたよう記憶しております。百万円ぐらいの財産つたと思いますが、はつきりしておりません。
  305. 大泉寛三

    ○大泉委員 どうもあまりしつこいようでありますが、私のふに落ちないのは、一割を寄付しようというあなたの御意見——ここに財産目録の中に千八百五十五万と出ている、しからば相当これは莫大な財産をお持ちになつておられるから、一割ということもなるほどと聞ける。あるいは千八百五十五万ということが、一体どういうわけで一割を出さねばならないのか、こういう疑問があるので、財産申告当時のあなたの個人財産を聞いたのでありますが、百万円とすると、なんぼ一年、二年たつた後においても、これはあまり開きがあり過ぎるじやないかと私は思う。この点どうお考えになりますか。
  306. 渡辺敬吉

    渡辺証人 先ほど申し上げました通り、百万円は私個人であります。磯川氏に出しました金の出どころは、一割出せばそんな金額になりませんが、磯川氏が建設を急ぐために、各私の関係会社の代表社員が私になつておるものですから、ある程度自由になつたので、その会社の金も、新橋の新生社、マーケツトでもその金を出して、あそこへつぎ込む。セントラルビルの貸部屋は、権利金が一部屋十坪ぐらいで二十万ないし三十万入つて来る。その一割といえば二万円か三万円でありますが、磯川氏から急がれたり助けてくれと言われるものですから、二十万、五十万、百万と、各所にある私の会社の事業資金を、みなあそこへかけてやつたのであります。そういう筋合いでございまして、百万円の財産を出したということじやございません。
  307. 大泉寛三

    ○大泉委員 個人財産は百万円の申告であるということはよくわかるが、しかし自分で出資しておるあらゆる法人にしても、とにかく出資評価はみなされる。あるいは個人の営業は全部自分財産として評価される。出資額は出資額で評価される。だから個人財産の中にみな包蔵されている。株式の評価が、その当時額面以上倍とか、あるいは額面以下というような評価がみなある。それを含んであるから、他の法人の企業は全部はあなたの財産じやないけれども、出資額だけはあなたのものだ。それで私は合算したところの財産は幾らかと聞いている。その会社から上つて来る利益を、自分が主宰しているから、そこから出すんだ、そういう乱暴な意見はあるものではない。たとい代表社員であろうとも、法人である以上は、やはりその法人の正しい一つの計算から成り立つて、あなたが利益を受ける。ほんとうは配当だ。配当以外は利益じやないわけです。こういうことをかつてにここで述べられると、私どもはますますあなたの立場がわからなくなつてしまう、この学園に対する寄付という観念が怪しまれる。私はこれぐらいにしてやめておきます。
  308. 小松勇次

    ○小松委員 あなたは聖十字学園理事長ではないというようなお話が先ほどございましたが……。
  309. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そうです。一般理事長というと、代表権があるものと思つてつたのでありますが、しかるに聖十字学園理事長は、代表権もなければ発言権もない。
  310. 小松勇次

    ○小松委員 理事長であることには間違いありませんね。
  311. 渡辺敬吉

    渡辺証人 理事長じやありません。
  312. 小松勇次

    ○小松委員 それでは、あなたはどういう役目を……。
  313. 渡辺敬吉

    渡辺証人 役など何もしていないのであります。御質問になる理事長というのは、代表権のある理事長という御質問じやないのでございましようか。そうでない理事長でしたら、そういう辞令は磯川氏からいただいていたことは事実であります。そういうふうな目にあつた……。
  314. 小松勇次

    ○小松委員 私が言う理事長とは、財団法人聖十字学園の寄付行為に規定されてある理事長でありまするかいなやということです。
  315. 渡辺敬吉

    渡辺証人 それは法的によくわかりませんから、お答えいたしかねます。
  316. 小松勇次

    ○小松委員 聖十字学園の寄付行為——あなたは定款を御存じないのですか。
  317. 渡辺敬吉

    渡辺証人 先ほども申し上げておはずかしい次第ですが、理事長というのはどこでも代表権がある。ところがそれを読んでいただくとわかりますが、理事長理事でもない、理事長というような、代表権も何もない、ただ園長を補佐すると書いてある。
  318. 小松勇次

    ○小松委員 あなたは、この寄付行為の條文は御存じなんですか。
  319. 渡辺敬吉

    渡辺証人 條文は私読んでいなかつたのです。いろいろな問題が起つて、磯川氏とわかれようという話が出たときに、それを読んで気がついた。
  320. 小松勇次

    ○小松委員 私どもの手元にありますあなたの方の聖十字学園定款の寄付行為によりますると、第十三條にこういうことがある。園長は本財団法人を代表し、園務を統轄する。その次に、理事長園長を補佐し、常務を掌理し、園長事故あるときはその職務を代理するとある……。
  321. 渡辺敬吉

    渡辺証人 代理も何もしませんでした。
  322. 小松勇次

    ○小松委員 こういう規定がある。だからその資格はあるんでしよう。
  323. 渡辺敬吉

    渡辺証人 それに疑問を生じたのでやめた。
  324. 小松勇次

    ○小松委員 どういう疑問を生じた。
  325. 渡辺敬吉

    渡辺証人 世間に通らない、そういうことは。
  326. 小松勇次

    ○小松委員 世間で通らぬというのはどういうことですか。
  327. 渡辺敬吉

    渡辺証人 理事長といいますと、みな事業の運営の相談にあずかつたり、あるいは代表権があるのが普通なんですけれども、やめさせることも磯川さんの自由であり、そういう怪しい立場の理事長なんというのはおそらくないとほかの方から注意されまして、それでいや気がさしました。
  328. 小松勇次

    ○小松委員 しかしこの規定には、あなたは園長の職務を代理することもできるというりつぱな規定があるのですね。
  329. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そういう理事長はほかにないそうです。
  330. 小松勇次

    ○小松委員 そういう理事長がない……。こういう規定があるが、あることは承知なんでしよう。
  331. 渡辺敬吉

    渡辺証人 あとから見たのです。それでいやになつてやめたのです。そんな理事長は日本中ないそうです。
  332. 小松勇次

    ○小松委員 こういうあなたが職務権限を持てる規定はあるが、あなたにそういうことを、仕事をさせなかつたからあなたはいやになつておやめになつたのですか。
  333. 渡辺敬吉

    渡辺証人 仕事のしようがありませんじやないでしようか。その規定では代表権がないのですから、理事長で………。
  334. 小松勇次

    ○小松委員 ないことはないのでしよう。
  335. 渡辺敬吉

    渡辺証人 ないのです。私は弁護士に相談したのです。
  336. 内藤隆

    内藤委員長 ないというのは弁護士の解釈ですか。
  337. 渡辺敬吉

    渡辺証人 さように弁護士から意見を聞きました。
  338. 内藤隆

    内藤委員長 何という弁護士ですか。
  339. 渡辺敬吉

    渡辺証人 及川武夫さんとそれから大野米八さんと二人です。
  340. 内藤隆

    内藤委員長 その二人の弁護士が、これでは理事長としての何ら権限がない……。
  341. 渡辺敬吉

    渡辺証人 いや学園代表者としての何ら権限がない。それは、君が一生懸命に金を出して、それでかつてなことを磯川さんやその他の人がやる。君はただ金を出すだけで何ら発言権も実行力もないじやないか、こう言うのです。
  342. 内藤隆

    内藤委員長 それは金を出してからですな。磯川という者に押されて、そうしてだんだん自分の立場が悪くなつて来たので、理事長ではなかつたというような、理事長の権限がないということを今考えておるのでしよう。初めはやはり一方は園長、一方は理事長としてタイアップしてやろうという話があつたのでしよう。
  343. 渡辺敬吉

    渡辺証人 第一回の契約を見ていただきますと、大体私にまかせるということだつたのです。それが財団法人になりましてから非常につらく当るのです。それで定款を見たのです。そうしたところがほんとうにロボツトなのです。
  344. 小松勇次

    ○小松委員 それであなたは理事長であることには間違いがない。
  345. 渡辺敬吉

    渡辺証人 一般的にいう理事長ではありません。
  346. 小松勇次

    ○小松委員 だからますます同じことを聞かなければならない。理事長ではないのですか。
  347. 渡辺敬吉

    渡辺証人 ないのです。要するに世間一般のいう理事長ではない。
  348. 小松勇次

    ○小松委員 世間一般ではないのです。この学園理事長ではないのですか。
  349. 渡辺敬吉

    渡辺証人 ないのです。私は代表権のある理事長と思つてつたから初め金を出していたが、全然権限がない理事長ですからやめたのです。
  350. 小松勇次

    ○小松委員 理事長という肩書は持つてつたのでしよう。権限はお持ちなかつたけれども……。
  351. 渡辺敬吉

    渡辺証人 理事長という字だけいただいております。
  352. 小松勇次

    ○小松委員 それじやあなたは理事長じやないですか。
  353. 渡辺敬吉

    渡辺証人 向うがかつてにくつつけた……。
  354. 小松勇次

    ○小松委員 あなた理事長たることを承諾したのでしよう。
  355. 渡辺敬吉

    渡辺証人 代表権があると思いまして……。
  356. 小松勇次

    ○小松委員 ちやんとできておるのですから、あなたが理事長でないということは間違いですね。理事長であることは事実です。そこで伺いますが、あなたは自分は権限がない、一切ここの仕事代表権自分にあるものと思つてつたのが、なかつた。そこで磯川とわかれたというのですが、磯川さんとわかれるのにはそれだけの事情ですか。
  357. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そのほか、社会事業家というものは非常にりつぱな、尊敬できるものと私信じておつき合いを始めたのです。しかるに、あの方の努力される点は非常に賞讃に値しますが、そのやつて行かれる過程が、私ども商人の立場から見まして非常に危険な思い切つたようなことをなさる、しかし結末は何とかつける方です。ですが私どもはそういうあぶないことをする社会事業家、危険な橋を渡つて結末さえよければいいというて、また人助けになる、人助けのためにはもう相当借金をしてもいいのだ、いろいろなことをしてもいいのだというような感じを受けました。それでわかれたくなりました。
  358. 小松勇次

    ○小松委員 あなたは国の財産払下げを受けますときに、財務局と売買の契約に調印をなすつておりますか。
  359. 渡辺敬吉

    渡辺証人 しております。
  360. 小松勇次

    ○小松委員 そうすると契約内容はあなたは御存じですね。
  361. 渡辺敬吉

    渡辺証人 あとから知りました。そのときは判こを持つて来いというので、判こだけ押しました。契約内容をはつきり何したのはマル通から注意を受けてから。それまでは私はそういう契約書を持つておりませんでしたし、判こを押して帰つて来て……。
  362. 小松勇次

    ○小松委員 どこで……。
  363. 渡辺敬吉

    渡辺証人 大蔵省行つて判こをお渡して押した。
  364. 小松勇次

    ○小松委員 そのときは契約書の條文は見なかつたのですか。
  365. 渡辺敬吉

    渡辺証人 見なかつたのです。
  366. 小松勇次

    ○小松委員 それでは最初二十四年三月十五日にあなたは契約しておる。その後においてまたあらためて契約が更改されておりますね。
  367. 渡辺敬吉

    渡辺証人 話は聞いておりますが、内容は一切知りません。私やつておりません。
  368. 小松勇次

    ○小松委員 更改されたのも御存じありませんか。
  369. 渡辺敬吉

    渡辺証人 知りません。関係しておりません。
  370. 小松勇次

    ○小松委員 その判はその都度磯川さんに託して契約書に押してもらつたのですか。
  371. 渡辺敬吉

    渡辺証人 現在のような状態になりまして、更改の契約にもし私の判が押してありましたら、それは偽造です。
  372. 小松勇次

    ○小松委員 更改契約に……。
  373. 渡辺敬吉

    渡辺証人 ええ。
  374. 小松勇次

    ○小松委員 二十六年二月二十八日に更改契約に……。
  375. 渡辺敬吉

    渡辺証人 私今更改契約というのを字をちよつと……。第一回に大蔵省契約いたしました。今は聖十字学園大蔵省と分割しまして、——要するに聖十字学園といろいろそこに占有しておる人たちと分割して更改した契約ができておる。私はそう解釈しておりますが、違いますか。
  376. 小松勇次

    ○小松委員 大蔵省売買契約をあらためてしたときに、あなたの方であなたの判を押しておるかどうか。二十六年十二月二十八日です。
  377. 渡辺敬吉

    渡辺証人 私の判が押してありましたら、それは問題です。私は押した覚えはありません。
  378. 小松勇次

    ○小松委員 そうすると重ねてお伺いいたしますが、あなたはいつこの法人から手を引くようになられたのですか。
  379. 渡辺敬吉

    渡辺証人 マル通契約する二、三箇月前にその了解をつけて、契約ができたのがいつでしたか、その日は忘れましたが、どこか控えがあるはずです。その契約が出る二、三箇月前に話合いができた。
  380. 小松勇次

    ○小松委員 どこと話合いができたのか。マル通ですか。
  381. 渡辺敬吉

    渡辺証人 磯川氏と私の方の弁護人と話をつけて、お互いにわかれるということを……。
  382. 小松勇次

    ○小松委員 その日ははつきりいたしませんか。
  383. 渡辺敬吉

    渡辺証人 しません。
  384. 小松勇次

    ○小松委員 およそどのくらい……。二十六年ですか。
  385. 渡辺敬吉

    渡辺証人 去年じやありません。一昨年じやないでしようか、二十五年か二十四年か、見当つきません。去年ではありません。
  386. 小松勇次

    ○小松委員 それではその前ですか。
  387. 渡辺敬吉

    渡辺証人 ちよつと待つてください。二十四年じやないでしようか。二十四年二、三月ごろではないでしようか。
  388. 小松勇次

    ○小松委員 二十四年のは一番最初です。
  389. 渡辺敬吉

    渡辺証人 いや二十五年です。
  390. 小松勇次

    ○小松委員 一年たつてからですね。
  391. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そうです。
  392. 小松勇次

    ○小松委員 そうすると、二十六年に更改契約にあなたの判こを押しておる。これは偽造ですか。あるいはあなたの判こを盗用したのですか。このときは判こを預けてなかつたのですか。いつ判こをとりもどしたのですか。
  393. 渡辺敬吉

    渡辺証人 実は私の判は幾つもあります。店で使いますのと、実印なんかは向うに預けるということはめつたにありませんが、押すときはその場で返してもらいます。そのほかに私の判があります。今持つておるのもありますが、更改契約に私は判を押した覚えはありません。
  394. 小松勇次

    ○小松委員 先ほど委員長があなたにお尋ねのときに、あなたは実印も磯川に預けてあるというようなお答えはなかつたですか。
  395. 渡辺敬吉

    渡辺証人 預けたことがある……。
  396. 小松勇次

    ○小松委員 預けつぱなしじやなかつたのですか。
  397. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そうじやありません。
  398. 小松勇次

    ○小松委員 そうすると、この二十六年の更改契約にあなたの判が押してあるが、これはあなた押した覚えはないですか。
  399. 渡辺敬吉

    渡辺証人 やめてからですから、押しても効力はないと思います。
  400. 小松勇次

    ○小松委員 これは磯川によく尋ねます。
  401. 内藤隆

    内藤委員長 それはもし押した記憶がなければ、偽造に違いない。そこでさいぜんのあなたの証言中に、磯川という者に対して。非常に危険なことをやる男だ。だから、そういう者と手を切らなくちやならぬということを考えた。こういう証言があつたが、どんな危険なことをやつたか、実例を二、三あげてみてください。
  402. 渡辺敬吉

    渡辺証人 第一に、あとでは茶番のように思いましたが、磯川氏の言うことを聞かないと、土足で部屋の中へ入つて来たり、あるいはまた自分はかつて神兵隊に関係しておつて、重要な役割で、自分が手を下したのではないが、相当なにらみをきかしたことがあるというようなことを足を踏み鳴らし、声を大にしてちよちよいやるのです。
  403. 内藤隆

    内藤委員長 それは恐喝じやないですか。
  404. 渡辺敬吉

    渡辺証人 恐喝じやありません。私はそんなことに驚きませんから……。
  405. 内藤隆

    内藤委員長 驚かぬからといつて、あなたの家へ土足で入つて来て、おれは神兵隊の関係者だと、もうその行為はすでに脅迫、恐喝の行為だ。
  406. 渡辺敬吉

    渡辺証人 家中おかしくてアハハハと笑うものですから、すぐ退却して行つてしまう。
  407. 内藤隆

    内藤委員長 その点はおかしいね。あなたのもうけでもいいですよ。もうけからでも社会事業を助けたいというあなたなんだ。その気持は証人といえども神のごとき気持でなければならない。そうでしよう。そういう大切な人のところへ土足で踏み込み、おれは神兵隊の残党だと言うて脅迫されて、それが茶番たということは、何かけつをつかまえられておるのでしよう。そういうことをされるような、社会事業に名をかりておつたというようなけつをつかまえられておるに違いない。どうです、その点は。
  408. 渡辺敬吉

    渡辺証人 けつをつかまえられているといつて、私はいろいろ金を出してやつたり、工事をするものですから、隠退蔵物資をどこかに隠しておるのだろうということを本人かたれか知りませんが、経済局か何ですか、ああいうふうな係のところへ通報したらしいです。それで私のところへ大挙して調査に来られたことがありますが、磯川さんだとは申しません。やはり金がほしくなると、二、三べんそういうことをやられました。でも私自身は恐喝とは思つておりません。
  409. 内藤隆

    内藤委員長 その他何か大蔵省厚生省に対して奇怪な行動でもなかつたですか。
  410. 渡辺敬吉

    渡辺証人 それは私は全然関係がありませんでしたから、向うへ行つてからの態度とか主張とかいうことは知つておりません。
  411. 小松勇次

    ○小松委員 最初売買の契約財務局となさつて、その次に二十六年の二月にまた更改契約された。そのときは、今あなたのお話では、知らなかつたというのですが、更改契約をしなければならなくなつた事情はあなたお聞きになつておらなかつたですか。
  412. 渡辺敬吉

    渡辺証人 各地域に磯川さんと契約をして、また一部私が磯川氏から引取つた立てかえ金の代償としていただいた土地、建物の中に住居しておられる方、それから磯川氏が個々に契約されておられる方々が、大蔵省に直接その部分だけを払い下げてもらいたい、聖十字学園と切り離してもらいたいというような団体的な希望、交渉があつた結果のように聞いております。
  413. 小松勇次

    ○小松委員 それではあなたは、それぞれの社会事業の施設に使用するために、その土地なり建物払下げを受けたものを、社会事業団体に使用せずして一部分のものにこれを売却する、こういうことは社会事業団体としてなしていい仕事とお考えになりますか。
  414. 渡辺敬吉

    渡辺証人 それは先ほど申し上げました通り、大蔵省了解がつくという磯川さんのお言葉でありまして——それは私が言つたんじやございませんよ。ただ考え方でございましよう。
  415. 小松勇次

    ○小松委員 ええ。
  416. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そうは思いませんが、そういうことはいけないと思いますから、先ほどマル通のときに磯川氏に忠告して、返事を聞いた結果そういうふうな気持に私もなつたわけです。
  417. 小松勇次

    ○小松委員 それは磯川から相談を受けなかつたですか。
  418. 渡辺敬吉

    渡辺証人 何のことですか。
  419. 小松勇次

    ○小松委員 その土地を日通にこれだけを売るとか、あるいはこことここだけを分譲するというような相談は受けなかつたですか。
  420. 渡辺敬吉

    渡辺証人 相談はありません。こういうふうにするという話を受けて、それについて日通の顧問弁護士の今野さんという方から忠告があつて、初めてその情報が私はわかつた。それで磯川さんに注意をしたのであります。
  421. 小松勇次

    ○小松委員 しかしそのときにあなたは社会事業団体の一員として、こういうことをなすことは、社会事業の目的に反するとお考えにならなかつたかということです。
  422. 渡辺敬吉

    渡辺証人 考えて磯川さんにちやんと言いました。
  423. 小松勇次

    ○小松委員 磯川は聞かなかつたのですか。
  424. 渡辺敬吉

    渡辺証人 聞きません。それはこういう例文だから、大蔵省の方は了解がつくはずだ。どうせこういう大きなものはまとめ切れないから、大蔵省と一部を直接取引さして、自分は小さくなつて完成させる。これは例文だから、社会事業を完成させるために、一部を大蔵省と直接取引さして、相手方に払い下げることはできる、こうおつしやつておりました。
  425. 小松勇次

    ○小松委員 なお伺うのですが、磯川とあなたとの関係者で下村とかいう人がありますか。
  426. 渡辺敬吉

    渡辺証人 それは私のところのごく一部の事業をしただけであります。
  427. 小松勇次

    ○小松委員 このお三人でまだ払下げの決定しない前にいろいろな契約をなさつたことがありますか。
  428. 渡辺敬吉

    渡辺証人 あります。
  429. 小松勇次

    ○小松委員 どういう契約をなさつたのですか。
  430. 渡辺敬吉

    渡辺証人 大体私の太陽の家以外の事業、あの場所以外で私が経営している事業によつて太陽の家を保管する。しかし太陽の家の利益はその事業に使つて——将来個人経営の場合ですね。もし将来その事業をやめるというときには、その持分をお互いに同一にわける、こういうふうに記憶しております。
  431. 小松勇次

    ○小松委員 そのほかありませんか
  432. 渡辺敬吉

    渡辺証人 記憶しておりません。
  433. 小松勇次

    ○小松委員 私が知つている範囲ですけれども、こういうこともあるようですね。あなたの契約文の八條に、太陽の家の敷地及び残存施設の払下げが他の社会事業団体に継承された場合は、その団体に半分を寄付し、半分はその団体より補償を受けた上磯川に寄付すること。九條には、民間事業家または他の官公庁において払下げを受ける場合は、渡邊及び下村の寄付行為、立てかえ金、借入れ金は補償を受ける、こういう覚えはありませんか。
  434. 渡辺敬吉

    渡辺証人 いや、思い出しました。
  435. 小松勇次

    ○小松委員 思い出して、詳しいことを言つてください。
  436. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そこに書いてありますように、あれの払下げがまだ決定していないときのお互いの申合せ、契約であつたと思います。たとえば自分の方へ払い下げられるかどうかということが未知数であつたものですから、そんなふうなことをあらかじめ予約したように記憶しております。
  437. 小松勇次

    ○小松委員 なおあなたが思い出すように申し上げますが、十條にこういうことがあるのです。「前條の補償実現の場合は厚生省及び東京都民生局及び聖十字学園社会事業資金としてその一部を寄付するものとす。寄付金額の決定は渡辺の寄付行為以内とす。」こんなことがあるのですが、これはどういうことですか、具体的にひとつ説明してくれませんか。
  438. 渡辺敬吉

    渡辺証人 どうもそれは、払下げ前に払い下げて事業を始めたらどうしよう、こうしようというような仮定の問題で、結局その契約というものは、全然お互いに何ら効力なくおしまいになつたのでございます。それはなぜかといいますと、払い下げるという事実は、財団法人でなければ払い下げないということになつたのです。そのためにその契約書なり約束というものは何らそれはもうお互いに効力のないもので終つてしまう。
  439. 小松勇次

    ○小松委員 効力のないもので終つたのでしようけれども、この契約をとりかわすときのあなた方の気持を私は聞きたいのです。
  440. 渡辺敬吉

    渡辺証人 はつきりいたしません。
  441. 小松勇次

    ○小松委員 はつきりいたしませんか。
  442. 内藤隆

    内藤委員長 はつきりしないというのはどういうのですか。
  443. 渡辺敬吉

    渡辺証人 記憶を呼び起せません。
  444. 内藤隆

    内藤委員長 二人してどういう気持であつたか。一方のことは知らなくてもあなた自身、どういう気持だつたのですか。
  445. 渡辺敬吉

    渡辺証人 先ほど申し上げました通り、聖十字学園に私の太陽の家以外の事業から寄付する、それからあそこで経営されて上るものは、それはあそこで使う、こういう気持であります。ただそれが個人経営でやつて行くという想定であつたのです。個人経営でありますから、将来何年、何十年続くか、あるいはまた欲が出たり何かした場合に、あるいはまた役所の方からそれを堅実な社会事業にでもしろとか、いろんな條件が出た場合に、そんならかけた金はどうしようとか、あるいはちやんとした社会事業団体に行つたときにはどうしようということを磯川氏が書いて、私は調印したのです。
  446. 小松勇次

    ○小松委員 これは私が悪く解釈するのかもしれませんが、この條文を見ますると、もし払下げ申請の目的が達成しなかつた場合のことをあなた方が想定して、そしてその補償金の分配方法を相談したのじやないでしようか。
  447. 渡辺敬吉

    渡辺証人 ちよつと意味がわかりません。
  448. 小松勇次

    ○小松委員 万が一この申請してある土地が払下げにならなかつた場合のことを考えて、そしてもしほかの人に払下げになつたら、ほかの人から補償金をとろう、その補償金をどういうぐあいにわけようとあなた方は相談したのじやないのですか。
  449. 渡辺敬吉

    渡辺証人 いえ、私が出した金と私が出そうという金ですね。たとえば太陽の家自体に、土地に手をつけていなくても、磯川氏が私のセントラル・ビルの部屋へ参つて、いろいろなそういつた運動をしておられたのです。そのために部屋も提供し、電気もつけ、人間も手伝わせ、また磯川氏の連れて来た人たちに対して給料を立てかえておつたのです。そういう意味でございまして、よその方に払下げが決定したものをそこに因縁つけて金をとろうという気持は、金でも出そうという者にはできません。
  450. 小松勇次

    ○小松委員 そういう気持はもちろん社会事業に携わろうという人にはなかつただろうと思いますけれどもしかもまだ払下げになるかならないかわからない先に、こういうような契約を取結んであるということは、どうもあなたの今おつしやることを、そのまま私は納得しかねるのです。了解しかねる。それでは伺いますが、あなたはこの聖十字学園に出資金なり寄付金なりを、総額でどのくらいしておるのですか。
  451. 渡辺敬吉

    渡辺証人 千五十万ぐらいでおしまいにしたと記憶しております。
  452. 小松勇次

    ○小松委員 この金はあなたが他の仕事の収入をもつてこれに寄付したのですか。
  453. 渡辺敬吉

    渡辺証人 さようでございます。
  454. 小松勇次

    ○小松委員 あなたは先ほどおれは商人だ、もうけるためにやるのだ、こういうお話もありましたな。
  455. 渡辺敬吉

    渡辺証人 いや、それはほかの事業であつて、太陽の家の磯川氏の事業に対しては、その事業で得た利益を寄付しようということでありまして、社会事業から金をとろうという気持はございません。
  456. 小松勇次

    ○小松委員 それでは千五十万円という金は寄付してそのままになつているわけですな。
  457. 渡辺敬吉

    渡辺証人 寄付でなく——磯川氏は先ほど申し上げましたように、私を理事長でない理事長などというので、私はいやになつたのです。それでたもとをわかとうということになつて、その当時私が寄付した金は磯川氏が返すということになつてつた。返すからやめてくれということで、それで土地の一部——聖十字学園の磯川氏からもらつた土地を一坪八千円の割と、それから一時私が立てかえて建てた家——坪幾らか記憶しておりませんが、合計で五百何十万円かに評価しまして、差引五百五、六十万円というものは結局返すというのですけれども、一銭も返していただいておりません。
  458. 小松勇次

    ○小松委員 それでは五百何十万円というものはあなたはまだ……。
  459. 渡辺敬吉

    渡辺証人 まだいただいておりません。
  460. 小松勇次

    ○小松委員 返還を受けて、まだ残りが五百万円ばかりあるわけですか。
  461. 渡辺敬吉

    渡辺証人 さようでございます。
  462. 小松勇次

    ○小松委員 それを磯川はいつまでに返すというのですか。
  463. 渡辺敬吉

    渡辺証人 社会事業としてやつております外食券食堂と太陽の家と、それから宿泊所、それらから月々磯川さんのところに金が入る、その中から半分だけ、約三万五千円だけずつ返そう、こういうことでございました。但し一ぺんに何百万円か金がまとまつたときには、五百何十万円をまけてくれ、二百万円なり三百万円なり、そのときの話合いにしようじやないかという條項を入れてある。しかし一応の基本的なことは、月々上る金の中から三万五千円ずつ返すということでありました。
  464. 大森玉木

    ○大森委員 ちよつと関連して証人にお尋ねいたしますが、あなたは、聞いておると弁護士にも相談なさつて、なかなかうまくのがれるような答弁をいたしておると思うのであります。しかし今お話になられました寄付はした、さつきからお話を聞いておると、ほかの事業からもうけて寄付したのである。しかし磯川君と仲が悪くなつたから寄付金は取返す。寄付というものはどういう意味のものでありましようか。寄付金というものは私どもの観念からいたしますると、あなたの事業に金を上げますぞというのが寄付金でなければならぬ。しかるにけんかができたから寄付金をとりもどすということは、たとえて言えば、お宮に何千、何百円の寄付行為の札をあげた、しかしこのお宮が気に食わぬからおれは寄付を取消すぞというのと何らかわることがないと私は考えるが、あなたの寄付行為はこういう観念によつて寄付行為をしておられるのか。私はもう一言つけ加えて申し上げますと、先ほどから決してこの事業によつてもうけた金を寄付するというのじやなく、ほかからもうけた金によつて寄付いたすのであるということを、何回となく繰返してここで証言いたされた。しかしながら今の言葉から判断いたしますならば、そうではなく、すべて今の目的の事業ができれば出してやる、それ以上にもうけて寄付するのだ。その寄付金は、仲間の社会事業によつてあなたがもうけておとりになる寄付金であるように私は考えるのであるが、この点はいかがでありましようか。
  465. 渡辺敬吉

    渡辺証人 寄付をするという気持が初めにあつたことは間違いございません。ですが、いろいろ磯川氏と、口論とでもいいましようか、議論した結果、やめよう、磯川氏とたもとをわかとうというときに、磯川氏の方から、今までの立てかえの、寄付にすべき金は返すというものですから、それでいただいたのです。
  466. 大森玉木

    ○大森委員 どうも返すということが——寄付であるならば返す必要はない。その点をはつきりしなければ、あなたのあいまいな——何か弁護士さんに習つて来て、うまく逃げようとしているのだが、その点がはつきりしない。いかにけんかしたからといつて、一体寄付したものを返すというりくつはない。そうでしよう。もらつたものを返すというりくつがどこにあるか、そんなことは常識でありましよう。私どもは、もらつたものはもらつたものといたします。だから、この点から考えてみるときに、あなたと磯川君との間において、先ほど小松君から質問があつたように、この三人の人たち契約書を書いている。これは効力を発生しなかつたと言うが、こういうような契約書によつて何か内輪でやつた。だからこの金というものは、立てかえなんだ。寄付じやないのだ。立てかえなんだということであればわかる。今あなたの言つておられるのは、寄付金だ。けんかしたからもどすのだ。こういうことでは、私はどうしてもそれを了解することができない。もう少しあなたははつきりと——ここは衆議院の行政監察委員会です。あなたはあまり人をなめたようなことを言いなさんな。そういうことでなく、ここは正しいことを言わなくちやいかぬ。ただ先ほど弁護士に習つて来たからというようなことで、それだけを言つてここを通つて行こうということは、少しあまく見過ぎているのではないか。どこから想像しても、今のあなたの寄付金というものは、私は寄付でないと思う。これはどうしても何かの契約があつて出しておつた立てかえ金であつた。だから当然とるのであるということであれば、先ほどから言つている証言は全部うそである。あなたは宣誓したでしよう。宣誓した以上は、うそをついておつたということになれば、これはいわゆる偽証罪であります。あなたの言つておることはみなうそだ。この点をはつきりしなければ私どもは承服できないのです。もう一応お尋ねいたします。
  467. 渡辺敬吉

    渡辺証人 書類をごらん願うとよくわかるのですが、寄付行為とおつしやるのは、理事会の決議でちやんとそうなつて判こを押してあるじやないかというようなことで、寄付行為だ、こうおつしやるのは、皆様の方からいただいたお言葉でございます。私が磯川氏と第二回目の契約をつくつてわかれるときに、その文句を読んでいただくとわかりますが、立てかえ金を清算するということで結末をつけたわけです。
  468. 大森玉木

    ○大森委員 それじや全然話にならない。
  469. 竹村奈良一

    ○竹村委員 私は一点だけ伺つておきたいのですが、あなたは昭和二十四年から、二十五年、二十六年、この間にあなた個人のいわゆる所得総額を税務署にどれだけ申告されましたか。
  470. 渡辺敬吉

    渡辺証人 二十四年と五年は仕事を休んでおりましたから、申告しません。二十六年は私の女房の名前で営業を始めたものですから、その名前で大体二十二、三万納めております。
  471. 竹村奈良一

    ○竹村委員 二十二年、三年はどうですか。
  472. 渡辺敬吉

    渡辺証人 それは源泉課税だけであります。私個人が会社に帳面つけたのは、源泉課税だつた記憶しております。
  473. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それでは一千五十万円を、大森さんの質問から行くと、あなたは貸したと私は見るのですが、その貸した金はどこから出たのですか。
  474. 渡辺敬吉

    渡辺証人 いろいろ自分関係している会社の金を流用したのです。
  475. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そういたしますと、いろいろ関係した会社からあなたに上つて来て、それを貸した。それで所得はないのですか。
  476. 渡辺敬吉

    渡辺証人 会社の金を流用しておりますから、個人としてはないわけです。
  477. 竹村奈良一

    ○竹村委員 少くとも千五十万円という厖大な金——現在ではそう大したことはないが、二十二年、二十三年といえば、相当厖大な金だと私は思うのです。会社から流用したとおつしやいますが、そうすると、あなたの流用した会社の帳面ははつきり出せますか。そこから出した会社の明細を出せますか。
  478. 渡辺敬吉

    渡辺証人 出せるつもりです。帳面はあります。
  479. 竹村奈良一

    ○竹村委員 委員長にひとつお願いいたしますが、この点をはつきり証人から書類で報告させてもらいたいと思います。
  480. 内藤隆

    内藤委員長 わかりましたか。
  481. 渡辺敬吉

    渡辺証人 承知いたしました。
  482. 田渕光一

    ○田渕委員 先ほど証人は、小松委員から一体幾らくらい寄付したのだと言われて、一千五十万円寄付したということをはつきり仰せられた。しからばその寄付というものは、どういう性質のものかということを、大森委員からお話があつたが、それがはつきりしない。ところであなたと磯川間の契約において、はつきりこう書いておる。第一條にも、建設に当り、乙から多額の立てかえ金を受けたのだということを磯川も承認して契約に判をついておる。あなたもここにおいて、立てかえだということを承知の上で契約を結んでおる。寄付というのは、大森委員の質問にあつた通り、返すべき性質のものじやない。立てかえ金と寄付は、はつきり区別がついております。小松委員に対して、一千五十万円の寄付をいたしておると言いながら、そのうちから五百何万かとつて、まだ五百何万か残つておる、こういう先ほどの答弁というものは、一体寄付ですか、立てかえ金ですか、それをはつきりしていただきたい。
  483. 渡辺敬吉

    渡辺証人 初め寄付をするつもりでおつたのですけれども、当時一ぺんに金を持つて行つたのではありません。一つの工事費その日その日出してやつて行つて、そうしてそれだけの額になつたのであります。その途中でわかれようということになりましたので、磯川氏は、もう寄付はもらう必要はない、立てかえ金として清算しようということでできたのでございます。
  484. 田渕光一

    ○田渕委員 しかし先ほど小松委員の、あなたは幾ら寄付されたのですかという質問に対して、よそからもうけて来た金で寄付をしたのだ。それは総額幾らですか。一千五十万円寄付したのだとおつしやつた。その点はつきり言つたでしよう。二分か三分か前の話です。
  485. 渡辺敬吉

    渡辺証人 私どもは実際言うと、初めとにかく寄付するつもりでおつて、そうしていろいろ工事費を立てかえておつたのですが、磯川氏が、やめてくれというから、やめよう。磯川氏が、その金を返すというから、いただきましよう。立てかえ金として整理をしたのです。
  486. 田渕光一

    ○田渕委員 それじや寄付じやない、立てかえ金だ。
  487. 渡辺敬吉

    渡辺証人 その契約書通り立てかえ金になつた
  488. 田渕光一

    ○田渕委員 最初から寄付ですか、立てかえ金ですか、それをはつきり伺いたい。
  489. 渡辺敬吉

    渡辺証人 寄付するつもりはあつたのですが、それが予定の金まで来ない間に、立てかえで清算したのです。途中でやめたのです。
  490. 田渕光一

    ○田渕委員 証人に言いますが、寄付であるのか立てかえ金であるのかという定義を私ははつきり聞いておる。あなたは小松委員に千五十万円の寄付をしておるという大きなたんかを切つた
  491. 渡辺敬吉

    渡辺証人 寄付をするつもりで、立てかえ金で清算したのです。定義というやかましいことを言われてもわからない。
  492. 田渕光一

    ○田渕委員 やかましいことじやないのです。自分のふところから出して返つて来ない、きれいさつぱり上げてしまうのが寄付です。先ほど大森委員からお話のあつたように、この気持であつたかということを伺うのです。
  493. 渡辺敬吉

    渡辺証人 寄付して聖十字学園を応援しようという気持は初めは間違いございません。けれども財団法人になつてからどうも定款を見たり、それから磯川さんの会報なんか気に入らぬものですから、その寄付してやろうという気持を持つてつたのをやめました。そのときに磯川氏は今まで出してもらつた金は立てかえ金として清算しようというので弁護士立会いででき上つたのです。
  494. 田渕光一

    ○田渕委員 どうもこれはたれが聞いても納得せぬ。寄付であるのか立てかえ金であるのか、最初は寄付するつもりであつたが、寄付じやないのですね。寄付じやなければないとはつきり願いたい。寄付ならば大森委員の言うように、返せとけんかしても取返しのつかぬものです。小松委員に対して千五十万円の寄付をしておると言つたのは実際は失言なんでしよう。
  495. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そうしてください。
  496. 田渕光一

    ○田渕委員 そうでなければ小松委員が承知しますまい。寄付で一千五十万円出したとおつしやつていながら寄付じやない。
  497. 渡辺敬吉

    渡辺証人 出したときは寄付しようという気持に間違いございません。
  498. 田渕光一

    ○田渕委員 渡辺さん、ここはそんななまやさしいことではだめですよ。われわれ代議士はあなたの口先ぐらいのことでごまかされない。われわれは別に警察官でも検事局でもないのですけれども、どういう点からこうなつたかということを伺いたいから聞くのです。  もう一つ伺いますが、さつきあなたは財団法人でなければ払下げを受けられないという証言をしましたね、しかと間違いありませんね。
  499. 渡辺敬吉

    渡辺証人 間違いありません。
  500. 田渕光一

    ○田渕委員 そんならばなぜマル通と一部を直接取引させましたか、マル通財団法人じやない。
  501. 渡辺敬吉

    渡辺証人 私がやつたのじやありません。
  502. 田渕光一

    ○田渕委員 君がやらぬと言うても、こう言うておる。直接関係がないけれども、判を借りに来たから貸してやつたのだ、よく内容は知つておる。実際は三百五十万だが、あなたは四百万円と言つておる。
  503. 渡辺敬吉

    渡辺証人 これは大蔵省と直接やつたのじやありませんか。お間違いじやありませんか。
  504. 田渕光一

    ○田渕委員 間違いじやないのです。
  505. 渡辺敬吉

    渡辺証人 先ほどあちらの方から質問を受けましたが、更改契約のときに私は全然関係しませんが、マル通大蔵省が直接やつたのです。
  506. 田渕光一

    ○田渕委員 関東財務局財団法人だから安くこれを払い下げた。それをあなたの方で全部金ができないから一部を直接マル通秋葉原支店に持たせてやつている。あなたが内容を知らずに判を持たせることはない。さつきから委員長の質問に対してもすこぶるずるい答弁をしている。少くとも財団法人聖十字学園の四角い判なり財団法人理事長なら理事長のまるい判なり備わつているでしよう。
  507. 渡辺敬吉

    渡辺証人 見たこともありません。また理事長の判を使つたこともありません。
  508. 田渕光一

    ○田渕委員 内容は知つてつたけれども、判は貸しただけだというが、判を貸しただけということでもつて理事長の責任は済むものではありませんね。そうでございましよう。理事長の判を押して行く以上は少くともあなたが決裁を与えている。一応それを借りに来たから貸してやつたということだけでは、とてもこの責任はのがれられませんよ。少くともマル通が四百万円持つて行つたということを記憶しておる、ところがそれは財務局マル通が直接やつたのだ。要するにあなたは財団法人という名目で申請しておいて、そうして安く下げてくれればもうかる。もうかつたものの一割は寄付する、九割は自分が取得する、こういうようなことが予測されているから、一千五十万円は立てかえた。寄付じやない。財団法人に寄付行為をやつておるのだ、社会事業をやつておるのだと逃げておるけれども、実はそうじやない。私は商人だからもうかることじやないとやりませんとはつきり言つたじやないか。払下げを受けたものでも、元を取返して、あとのものはマル通に直接やらしても損はないからやらして、そうして責任を追究されれば判を借りに来たから貸してやつた、そういうことでは会社の社長は勤まるものでもなければ、財団法人理事長が勤まるものでもありません。そんなことは私常識からわかります。マル通に一部を直接取引をさせたということは、あなたは直接関係はないけれども、判を借りに来ましたから貸してやりました、その内容も相当知つております、こうさつき証言している、速記録を調べればよくわかる。この点はどうなんですか。
  509. 渡辺敬吉

    渡辺証人 御質問が間違つております。
  510. 田渕光一

    ○田渕委員 どこの質問が間違つている。
  511. 渡辺敬吉

    渡辺証人 大蔵省マル通と直接契約するために私が判こを押したとおつしやいましたね。そういうことはしておりません。
  512. 田渕光一

    ○田渕委員 私があなたに聞くのは、日本通運秋葉原支店とどういう契約をしたかということを先ほど委員長がお聞きになつた。それに対して、直接関係はないが、判を借りに来ましたから貸してやりました、その内容も相当知つております、約四百万円と記憶しておりますと言つておる。
  513. 渡辺敬吉

    渡辺証人 時間がずれておる。二つの契約があるのです。最初聖十字学園マル通へ売つたマル通大蔵省聖十字学園が橋渡しして契約させたのじやございません。
  514. 田渕光一

    ○田渕委員 第一回の納付金三百五十万円は日通の社員が東京の関東財務局長へ持つて行つておるじやないですか。
  515. 渡辺敬吉

    渡辺証人 それは持つて行つたかもしれませんが、マル通大蔵省がやつれのじやなく、マル通が磯川氏を信じ切れないから、金が途中ででもなくなつてはいかぬというので、大蔵省へ磯川氏と一緒に持つて行つたのじやございませんか、私は知らぬが……。
  516. 田渕光一

    ○田渕委員 あなたは知らぬ存ぜぬで逃げようと思つてもこの場合は逃げられぬ。少くとも三百五十万円——あなたは四百万円と記憶しておる金を、はつきりと大蔵省財務局から払い下げられることがわからなければ、マル通が持つて行くことはないでしよう。マル通も株式会社ですから……。
  517. 渡辺敬吉

    渡辺証人 要するに用途を変更する場合、十年間のこういう箇條書きがあるんだがという注意を受けたのです。それですから磯川氏に話した。磯川氏もそれをマル通から聞いておつたが、マル通にはこれは例文であるから許されると言つて、それで聖十字学園マル通へ売つた。それから二十五年二月かにマル通大蔵省と直接の契約にかえたのは、その後ずつとあとです。そこをお間違いないようにしていただきたい。
  518. 田渕光一

    ○田渕委員 この関東財務局への払下げ申請財団法人聖十字学園申請をしておいて、そうしてあなたは四百万円と言うが、実際は第一回の納付金は三百五十万円払つた。日通に財務局は払い下げることはない。あなたの方で申請しておるから、あなたの方へ払下げる。そうでしよう。
  519. 渡辺敬吉

    渡辺証人 しかし聖十字学園として領収証をいただいて来ておるはずですが……。
  520. 田渕光一

    ○田渕委員 そこで私が聞きたい。それじやマル通が持つて行つた、あなたが四百万円と記憶しておるかもしれぬが三百五十万円、どつちでもよろしいが、その金は大蔵省の関東財務局マル通が払い込んだけれども、領収証は聖十字学園でもらつておる、こういうのですか。
  521. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そう思います。私が行つたのじやございません。
  522. 田渕光一

    ○田渕委員 知らぬことをなぜ言つた
  523. 渡辺敬吉

    渡辺証人 間違いありません。マル通とそのとき契約したということは記憶しておりません。マル通契約したのはその更改契約、二十五年二月とおつしやいましたが、そのとき初めてやつたはずであります。私はその後関係しておりません。
  524. 田渕光一

    ○田渕委員 先ほど委員長が、日本通運秋葉原支店とどういう契約をしたかという質問に対して、はつきりおつしやつたのですよ。
  525. 渡辺敬吉

    渡辺証人 聖十字学園マル通へ売つたのでございまして、マル通を連れて行つてマル通大蔵省とさせたものじやございません。
  526. 田渕光一

    ○田渕委員 どうもあなたのその答弁では、私は納得できない。財団法人でなければ、大蔵省は払い下ぐべきものじやありません。実際またマル通に払い下げたのなら、これは国有財産でありますから、たとえば競争入札をさせなければならぬ。それをあなたの方へ払い下げたというのは、財団法人であるから、社会事業をやつているからという美名のもとに、大蔵省はよそよりも安くあなたの方へ指名入札をしたものだ。それはよくわかるでしよう。財団法人であり、社会事業をやるのだからというので、国有財産をあなたの方へ払い下げたのだ。それをなぜマル通に三百五十万円で売らねばならぬ事情が起きたのですか。
  527. 渡辺敬吉

    渡辺証人 私は自分の金を出した範囲のことは、詳しく知つておりますが、やはり金がないから磯川君が売つたのです。
  528. 田渕光一

    ○田渕委員 磯川君がやつた、磯川君がやつたと言つても、逃げられないぞ。あなたはこれに判を押している。契約内容はよく知つておりますと、委員長にさつき証言しているのですよ。財団法人聖十字学園というものの理事長であなたが申請をしてもらつたものを、なぜマル通へ売つたかというのだ。磯川がどうしたか知らぬが、あなたが判を押しているのじやないか。
  529. 渡辺敬吉

    渡辺証人 それは、先ほど申し上げました通り、こういう大蔵省の條文があるがということを、マル通から忠告がありましたので、磯川氏に話したら、磯川氏は大蔵省と話合いをして来て、これは例文であるから、——こういう大きなものではとても大き過ぎて資金がまとまらない、完全にまとめるために一部を処分して、それによつて大蔵省の決裁も得たい、事業も完成させたい、これは例文であるからさしつかえない。これは私一人じやありません、磯川氏から聞いた人は、三名も四名も証人がおります。
  530. 田渕光一

    ○田渕委員 あなたは言いのがれをしようとしても、そんな……。十四、五の子供じやあるまいし……。理事長の判を磯川氏にまかせておいて、それでべたべた判を押しただけならともかくも、あなたは契約内容もよく知つておる。坪数は知らないけれども、四百万という、はつきりした記憶を持つておる、率直に言えば大体こうじやないのですか。まず最初財団法人聖十字学園という美名のもとに申請をして、財務局をたぶらかして、受けると決定して来たら、払い込む金がないから、まずこのうちのうるさいものだけをマル通に払わせる、そしてあとこつそりやつてしまつた、こういうのじやないのですか。私たちの言う方が、あなたにぴんと来るでしよう。
  531. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そんな気持があれば、千五十万円立てかえて、金を出しません。初めから完全に払つてしまいます。
  532. 田渕光一

    ○田渕委員 先ほどの小松委員に対するお答えでは、寄付金と言つているが、それに対しては数回立てかえであると言つておる、そうすると立てかえということにもう一ぺんもどつて来るのですが、立てかえをしてもうけることにおいて、その得たもののうちから、さらに十分の一社会事業に寄付すると、こう言う。それでは立たぬからして、他の事業へ千五十万円の寄付をしておる。千五十万円の金は寄付じやない、立てかえだ、立てかえということに、はつきりなつて来たのですが、あなたがこのときになぜそれじやマル通に三百五十万円出させないで、自分で立てかえてやらなかつたマル通へ売る方が——これは全部じやない、たとえば十の一つなら一つだけを、三百五十万円であなたはマル通へやつた払下げの見積りの大部分のものは自分のところへ残しておいて、マル通の要求する一部を三百五十万円でやつたということを、あなたは知つてつたのでしよう。——そうでしよう。たとえば十のものを払下げするのに、財団法人聖十字学園ということで申請をしておる。そして契約ができたら、金を払い込まない、そしてちよつぴり、その十分の一か二十分の一か知らぬが、マル通に三百五十万円で売つてつてあとの大部分を君らがうまくもうけたということになつておる、そのくらいの商才のあることは、あなたの答弁から、われわれはわかつておる。どうです、その点は。率直に、私たちは別にあなたを——ここは警察でも検事局でもないということを、数回申し上げておる、どこにこういう欠陥が起きたかということを聞きたいから、あなたは国会に対して、国家再建のために、証言で協力すればいいのです。しかしどこまでもそう主張するなら、われわれは偽証罪として告発せざるを得なくなつて来る。
  533. 渡辺敬吉

    渡辺証人 幾度も申し上げておりますように、言いまわしは下手かもしれませんが、うそはちつとも申し上げておりません。
  534. 田渕光一

    ○田渕委員 それでは、その三百五十万円の金をマル通に持つて行かして、金はマル通から出させた、受取りはあなたの方でもらつた、それは一体払下げしたもののどのくらいの部分マル通にやつたか。
  535. 渡辺敬吉

    渡辺証人 三分の一ぐらいと記憶いたしております。千坪ぐらいです。
  536. 田渕光一

    ○田渕委員 三分の一をつまりマル通に三百五十万円ないしあなたの記憶する四百万円でやつた。そうでなくて、あなたの方では三の分一でもよろしい、数字はあとで出て来ます。われわれはこれから事務局の方で調べるからわかつて参ります。三分の一か五分の一かあるいは二分の一かわかりますが、少くともあなたの方で申請したが、磯川もあなたも金がないからマル通に売却するという予約をした。マル通に頼み込んだ。その証拠はたくさんあがつている。あなたの方で何とかこういうものを払い下げてもらいたいが、金がないからマル通に頼みに行つた。あなたが行つたか磯川が行つたか知らぬが……。
  537. 渡辺敬吉

    渡辺証人 私も二度ばかり行きました。
  538. 田渕光一

    ○田渕委員 あなたも行つているでしよう、そうするとマル通は必要な土地だから、それならば払いましよう。しかしあなたのおつしやつたような場合に、マル通じや信じられないから、私の方で一緒に行つて金を払い込みましようと、金を払い込んで、あなたの方の聖十字学園は領収証をもらつた。その土地そのものは聖十字学園にやつた財務局では思つているでしよう。あなたは大蔵省々々々と言われるが、関東財務局である。関東財務局では、三百五十万円なりをマル通から出さしても、領収証を聖十字学園に出しておる以上は、あなたの方に払い下げたと思つている。そう思いませんか。そう思つておるでしよう。そうすると財団法人聖十字学園という美名のもとに払い下げて、契約の成立せぬうちにマル通に売つてつたということになります。横流ししたということになります。
  539. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そんなことはありません。払下げ受けて契約書ができた後において——それは調べてみれば……。
  540. 田渕光一

    ○田渕委員 あなたはそんな白々しいことを言つてもだめだ。契約が成立せぬうちに……。
  541. 渡辺敬吉

    渡辺証人 私が大蔵省判こつて行つて押して来たときの契約書の日付とマル通契約の日付をもしおわかりでしたら……。
  542. 田渕光一

    ○田渕委員 あなたは大蔵省々々々と言われるが、大蔵省は四谷にある。大蔵省財務局と思うか、そうでないでしよう。大手町のあすこの財務局でしよう。
  543. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そうです。
  544. 田渕光一

    ○田渕委員 あれは関東財務局です。ここの財務局行つて、大体正式の契約ができないうちにマル通に話をつけた。こういうものを払下げてもらうようになつたけれども、これを君の方にわけてやるから三百五十万円払つてくれ。あなたの言う三分の一でも四分の一でもいいが、申請して来るから金を払つてくれ、君の方の名では何だから、おれの方の名義でやるから金を払つてくれと、一応あなたの方のかわりにマル通に払わして、そうして受取りはあなたのところに来た、そうでしよう。それに間違いないでしよう。
  545. 渡辺敬吉

    渡辺証人 先ほども申し上げました通り、私は自分がやめなければ、たとえば自分のいろいろなものを整理したり、持つているものを片づけても、磯川氏に払つてあげますということを前前から言つてつたし、払うだけの予算は組んでおつた。わかれたから、私はやらないから、磯川氏はマル通とやつてくれということであつて、私は現在でも出せないということはありません。出せるだけの能力は……。
  546. 田渕光一

    ○田渕委員 出せる能力はあるでしよう。さつきから言うておられるから……。私は財産的とかあるいはそういう何を言うじやない。あなたがこれを出すよりマル通に出させた方が自分の懐は痛まない……。
  547. 渡辺敬吉

    渡辺証人 私はそのときはやめたのでございますから……。
  548. 田渕光一

    ○田渕委員 やめてないじやないか。あなたは二人でマル通行つたいうことを先ほどから言つておるじやないか。
  549. 渡辺敬吉

    渡辺証人 やめるという條件のもとに、マル通契約書の中に私をやめさせると書いてある。磯川氏と私が契約に当つてマル通契約まではいてくれ、マル通契約があれした後は私をやめさせるとちやんと書いてある。それで私はお手伝いしておつた
  550. 田渕光一

    ○田渕委員 どうもわれわれにはあなたの言うことが納得できない。私にはわからない。私は割合に物がわかる、あなたが正直に言つてくれればわかるのであるが、わからぬから聞くのです。わかるようにしてくれぬから、こつちはなおいろいろ言うて行かなければならぬ。少くとも財務局申請したのは聖十字学園という学園だ。財団法人社会事業団体、こういつて君らは大いばりで財務局行つて財務局はその当時よろしい、それがために国有財産であるところの物を一般競争入札にしないで、あなたの方に指名払下げをした。払下げ契約が成立せぬ前に、あなたと磯川氏二人でマル通行つて、三百五十万円出してくれと何回も懇請しておる。あなたはさつき言つた、私も二回行きましたと言つておる、そうでしよう。契約が成立せぬ前に、あなたと磯川の二人がマル通行つて頼む一方財務局へも行つた。そうして金を出したのはマル通であるが、あなたの方の名義で契約をして払い込んだから、マル通の名義にはなりません。そこであなたの名義になつたから、今度は財団法人からマル通に払い下げた。人のふんどしですもうをとるということはこのことだ。わからなければはつきり言うてあげる。
  551. 渡辺敬吉

    渡辺証人 私もマル通のような立場で莫大な金がなくなつておるのでございますから、実際私がその金でもとつたように言われるのは非常に心苦しいのでございます。
  552. 田渕光一

    ○田渕委員 よそごとのように言いなさんな。あなたは少くとも聖十字学園理事長ですよ。君の名前財務局申請しておるじやないか。
  553. 渡辺敬吉

    渡辺証人 それが先ほど申し上げました通り、権限がないのにただおどらされて判こを押しただけなんです。
  554. 田渕光一

    ○田渕委員 そういうことではこの委員会は通らぬ。子供じやあるまいし、白痴じやあるまいし、権限のない者がなぜ引受けた。
  555. 渡辺敬吉

    渡辺証人 理事長という、ただその字だけなんです。定款をよく読んでください、わかりますから……。何の権限もない、理事長という字だけのものなんです。そういうことがわかつたから、私はやめたんです。
  556. 田渕光一

    ○田渕委員 そんな契約書を読むとか、内容じやないよ。君らはもともと聖十字学園をつくるときからインチキにこしらえておる。だからわれわれの見たところでは抜け道をたくさんつくつておる。
  557. 渡辺敬吉

    渡辺証人 私は実際知らない、人を信じて判こを押しただけなんです。
  558. 田渕光一

    ○田渕委員 判こを押すだけなら、なぜ権限がない者が一千万円の金を立てかえた。聖十字学園の動きは相当のものだ。終戦直後で仕事は独占である、国有財産は払い下げがある、甘みがあるからということで、先ほど証言された通り、私は商人でございます、もうけなければやりません、もうけがないものはやりませんとはつきり言つておる。あなたは小松委員に対しては寄付をしておると言つておるが、その寄付は寄付じやない。聖十字学園はりつぱな看板だ。こんなことで国有財産が処分されて、やみからやみへ葬つて済むとあなたは思いますか。
  559. 渡辺敬吉

    渡辺証人 私も実際ひつかかつておるのでございますから……。
  560. 田渕光一

    ○田渕委員 ひつかかつたんじやない、君はもうけておるじやないか。
  561. 渡辺敬吉

    渡辺証人 もうけておりません。どうしてもうけておるのですか。
  562. 田渕光一

    ○田渕委員 結局ここが要点なんだ。ほんとうのことを言うと、あなたは詐欺なんだよ。財務局をだましてやつておるのだ。君は聖十字学園という名前財務局をだましてやつておる。そして国有財産をただみたいに払い下げてもらつて、その三分の一と称しておるが、これはわれわれもすぐ調べよう。その金をマル通に払わして初めて財務局契約をした。そこで契約ができて君のものになつたから、これをまずマル通に払い下げた。からくりもここまで来れば詐欺以上だ。どうです、率直に言つたら……。
  563. 渡辺敬吉

    渡辺証人 私も磯川氏にひつかかつて、こういつた何百万円を……。
  564. 田渕光一

    ○田渕委員 君が磯川氏をひつかけておる。われわれから言えば磯川はひつかけておらぬ。そうじやないか、払い下げたものの十分の一しかやらぬということは……。
  565. 渡辺敬吉

    渡辺証人 それはほかの事業のことですと先ほど申しました。
  566. 田渕光一

    ○田渕委員 君は顧問の弁護士なんかと相談しても、ここは代議士が多勢いるところだ。ことに何百万票みなとつて来ているんだ。君の口先くらいでごまかされると思うているか、あまりなめてはいけない。それではひとつ結論を出そう。先ほど同僚小松委員に対して千五十万円は寄付であつたと言つたことはうそであつたとはつきり言うかどうか。
  567. 渡辺敬吉

    渡辺証人 申し上げます。
  568. 内藤隆

    内藤委員長 はつきりうそであるならばうそであると、ここに聞えないから……。
  569. 渡辺敬吉

    渡辺証人 申し上げます。
  570. 内藤隆

    内藤委員長 申し上げないというのは証言を拒否するのか。
  571. 渡辺敬吉

    渡辺証人 うそかということでしよう。それでうそでないということで、——寄付するという気持でそれまではずつと千五十万円を出して来たのでございます。ですけれども、磯川氏が私を忌避して、お互いにやめようということになつて、磯川氏が、それじや今までの金は返そうということで、それではここで整理しようということで、第二の契約をしたのです。まだ何百万という金は実際もらつてないのです。
  572. 田渕光一

    ○田渕委員 私の聞かんとするところは、あなたの弁明じやない。小松委員に対して、はつきりと千五十万円寄付いたしておると言つたのは、うそかどうかということです。
  573. 渡辺敬吉

    渡辺証人 うそじやありません。ほんとうに寄付したのであり、寄付しようという気持で出してやつたけれども、磯川氏が返すと言うから……。
  574. 田渕光一

    ○田渕委員 それじや今立てかえ金だとぼくに言つたのはうそですか。
  575. 渡辺敬吉

    渡辺証人 立てかえ金で請求した。
  576. 田渕光一

    ○田渕委員 それじや寄付じやないじやないか。
  577. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そうなつてしまつた
  578. 田渕光一

    ○田渕委員 それじや最初から寄付じやないでしよう。
  579. 渡辺敬吉

    渡辺証人 寄付するつもりだつたのですが……。
  580. 内藤隆

    内藤委員長 そんなつもりじやいかぬ。現実の問題で言いなさい。それを立てかえ金で整理すると、寄付じやなくなるでしよう。
  581. 渡辺敬吉

    渡辺証人 寄付じやなくなつたのです。
  582. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると寄付する意思は全然なかつたんじやないか。
  583. 渡辺敬吉

    渡辺証人 全然あつたのです。
  584. 内藤隆

    内藤委員長 それはおかしいじやないか。
  585. 渡辺敬吉

    渡辺証人 あつたのですけれども、そうなつたのです。これは個人がお互いに金をやつたり貸したり……。
  586. 内藤隆

    内藤委員長 社会事業の美名にかくれておるんだぞ、君たちは。よく考えなさい。そういうあいまいなことじやいかぬ。
  587. 渡辺敬吉

    渡辺証人 私も実際あの学園にひつかかつておる一人でございますからね。
  588. 内藤隆

    内藤委員長 ひつかかつておるかどうか、これから当委員会においてわかる。だれがひつかけたかもわかる。どうです、田淵委員が質問しておる要点は、寄付かどうかということです。
  589. 渡辺敬吉

    渡辺証人 寄付でなくなりました。
  590. 田渕光一

    ○田渕委員 寄付でなくなりましたということは、ただいまの瞬間だ。かつて何年か前に千五十万円という大金を出しておるのは、寄付であつたのか、それとももうかるからというので立かえる意思で出したのか、はつきり聞きたい。
  591. 内藤隆

    内藤委員長 良心に従つて真実を述べなさい。
  592. 渡辺敬吉

    渡辺証人 寄付しようという気持でやつて来たのです。それでも金を返すからやめてくれ、わかれようというから、それじや弁護士が立てかえ金ということにして整理してわかれたらよかろうというので契約書をつくつてくれたのです。
  593. 田渕光一

    ○田渕委員 どこまでもあなたが逃げようとすれば、夜明かしでもしてわれわれは追究する。寄付をするつもりでやつたということは、金を出す前の心理状態だ。聖十字学園から渡辺さん寄付を頼みますと言い、あなたも寄付してよかろう、これはいい。すでに千五十万円という金を出してしまつた。これは寄付だとあなたはさつき言つた。本員に対しては立てかえ金だと言う。それでは、今日では寄付の気持であつたらしいが、そのときは、ほんとうに寄付する気持であつたか、立てかえに出しておいて、磯川をおどらせればうんともうかろう、もうかれば一割くらいは聖十字学園に寄付してやればいい、こういう気持でやつたのですか。
  594. 渡辺敬吉

    渡辺証人 違います。
  595. 田渕光一

    ○田渕委員 それなら寄付であつたのか。
  596. 渡辺敬吉

    渡辺証人 どこまでも寄付しようという気持だつたということには間違いありません。
  597. 田渕光一

    ○田渕委員 金を出すときから寄付でありましたか。
  598. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そういうつもりでやつておりました。
  599. 田渕光一

    ○田渕委員 これはこれ以上やつても押問答ですが、少くとも寄付というものは、先ほど大森委員が言つた通りで、お寺へ寄付したものを、宗旨がかわつたからといつて返してくれと言われますか。出した金が寄付の金だつたならば、あなたはとりもどしておらぬと思う。立てかえ金だからとりもどした。およそ日本中の常識で、寄付をした金を、ごてごてしたから返せというものが、どこの世界にあるか。寄付をしたものを取返そうというようなことは、本員は五十二にもなるが、聞いたことがない。そのときの心理状態を聞くのです。一千五十万の金を出したのは、聖十字学園へ寄付するという精神でやつたのか、それとも、これをすればもうかるという立てかえの意思でやつたのか。
  600. 渡辺敬吉

    渡辺証人 あとの方ではありません。
  601. 田渕光一

    ○田渕委員 それでは、けんかをしたからといつて、なぜ社会常識で判断のできないように金をとりもどしたか。寄付金をとりもどしたのは君をもつてナンバー・ワンとする、なぜ取返したか。
  602. 渡辺敬吉

    渡辺証人 代表権のない理事長にさせられていたものですから……。
  603. 田渕光一

    ○田渕委員 代表だとか、理事だとか、評議員を言うのじやない。君は少くとも聖十字学園理事長の判を預つておる優秀なる地位を得て、仕事は磯川にやらせながら、しかし自分の金を持つてつて、あいつらをおどらして自分がもうけて、そのうちの一割を聖十字学園へ寄付したと言つている。
  604. 渡辺敬吉

    渡辺証人 先ほど申しました一割というのは貸与の意味でなく、それ以外の私の事業から一割寄付しようというのです。
  605. 田渕光一

    ○田渕委員 寄付するつもりが寄付しておらぬじやないか、どこに寄付しているんだ。君は今焦げつきで五百何方立てかえになつていると言うけれども、これも寄付ではない。一千五十万円という先ほどの寄付ということは、全然最初から寄付という意思ではなかつた、立てかえであつたということに私は断定するのですが、どうです。まだわからなければ、わかるまでもつと追究する。寄付じやないでしよう。立てかえ金として最初から出したんでしよう。
  606. 渡辺敬吉

    渡辺証人 違います。寄付するつもりで最初からやつておりました。
  607. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 君が寄付するつもりであつたことはわかつた。そこまではわかつた。そこで、つもりだつたが、寄付したのかせぬのか。
  608. 渡辺敬吉

    渡辺証人 しないのです。
  609. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 立てかえ金でとつたのですね。
  610. 渡辺敬吉

    渡辺証人 いただいたのです。
  611. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 つもりであつたけれども、寄付しなかつたのですね。
  612. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そうです。
  613. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 この財団法人申請願を出したのはどこですか。
  614. 渡辺敬吉

    渡辺証人 私は自分で全然タツチしておりません。
  615. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 東京都を通じて厚生省へ出しておる。財団法人を設立するときには、寄付行為というものがいることを知つておるのですか。
  616. 渡辺敬吉

    渡辺証人 知りません。
  617. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 財団法人というのはどういうものです、それも知らないのですか。
  618. 渡辺敬吉

    渡辺証人 知りません。
  619. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それでよく君は理事長になつたね。
  620. 渡辺敬吉

    渡辺証人 理事長じやないのです。
  621. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 ないと言つたつて、りつぱに寄付行為にちやんと理事長渡辺敬吉と書いてあるじやないですか。これだけのものを寄付しましたとちやんと書いてある。これは官庁へ出した公文書だよ。そこで私は聞くのです。君が寄付しないと言つたつて、寄付しないものを公文書でしたといつて書いたらいかなる犯罪になるか考えてみたまえ。
  622. 渡辺敬吉

    渡辺証人 それは全部磯川さんがつくつて、私は判を押すだけだつたのです。ほんとうにそうなんです。
  623. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 いずれにしても判を押して出したのですね。
  624. 渡辺敬吉

    渡辺証人 それは私だけでなく、馬場にしても鈴木さん——参議院の方にしたつて判こを預けておくだけです。
  625. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 人のことを聞いているのではない。寄付せないものを寄付したといつて判を押して、これを公文書にしたのだ。これは何だい。
  626. 渡辺敬吉

    渡辺証人 寄付するつもりでとにかく金をそれだけ差上げたんですけれども、それを磯川さんが返してくださると言いましたから、いただきましようと言つてもらつたんです。そのかわりやめてくださいというのです。
  627. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 今のことを言つているのではない。寄付せないにかかわらず、どうして寄付したといつて東京都を通じて厚生省に出して認可を得たか。それによつて君は官庁をごまかしたのだね。
  628. 渡辺敬吉

    渡辺証人 それは寄付することに段取りをきめて、寄付する当てがあつて、きちつと磯川氏に話して——書類の内容は私タツチしておりませんが、自分の気持としてはやる予定だつたのです。
  629. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 寄付するつもりだつたが、あなたは寄付せなかつた。そこまではわかつた。そこで寄付せないにもかかわらず、寄付しましたといつてこの寄付行為を東京都を通じて厚生省に出した。これは厚生省を欺いたものである。間違いありませんね。
  630. 渡辺敬吉

    渡辺証人 その書類を出すときと、磯川さんからあとで出した金をもらつたときの日というものは、一年も二年もずれているのです。そのときに、出さないものを出したといつて書いたものではございません。
  631. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 寄付するつもりだつたということはわかつている。寄付したですかと言うとせないと言う。せないならば、どうしてこういうものを出したかと言つているのです。
  632. 渡辺敬吉

    渡辺証人 立てかえ金として返してくれたけれども、そのときは出していたのです。
  633. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 寄付したのかね。
  634. 渡辺敬吉

    渡辺証人 返すようにお互いに話合いがついたから、寄付でなくなりました。
  635. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 しからば寄付せないものを寄付したといつて出したのは——これはどうです。これは公文書変造、うそを書いて出したものである。
  636. 渡辺敬吉

    渡辺証人 その後そういう書類を磯川氏が全部訂正されて、直つておるではございませんでしようか。
  637. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 寄付したものが直るわけはないじやないか。寄付したということは、財団法人財産を出してしまつたということだ。それがもどるわけはない。せないからもどつて来たのだ。そうしてみると、この財団法人というものはうそのものだね。事実上の財団法人じやないね。
  638. 渡辺敬吉

    渡辺証人 大体評議員も何もないのです。
  639. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 財団法人じやないのですね。
  640. 渡辺敬吉

    渡辺証人 私がつくつたんではなく、何も知らないのです。
  641. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 財団法人にあらざるものを、財団法人として世間へ流布しておるのはいかなる目的でやつたか。財団法人なら財団法人の目的に向つて仕事をしなければならぬ。あなたの言う通り、こんなものはいいかげんなものだ、いいかげんのものをつくつて財団法人に何の目的があつて見せかけたか。
  642. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そういう法律的なことははつきり説明できません。
  643. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 うそのことをやつたんだね。そうするとそういう説明のできぬものの名前で、大なる国有財産払下げを受けるとはどういうわけです。財団法人にあらざれば国有財産払下げはできないものであろう、これはどうか。
  644. 渡辺敬吉

    渡辺証人 財団法人になつて払下げを受ける……。
  645. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 財団法人でなかつた払下げはなかろう。これは間違いない。
  646. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そう言つております。
  647. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 しからば君の言う通りだ。いいかげんなものを財団法人と称して、国有財産払下げを受けた。これは間違いのない事実だ、これを君は何と考えるか。
  648. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そうだとすれば悪いと思います。
  649. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そんないいからかんのことじやなくて、心から言うてみたまえ、人間であれば……。
  650. 渡辺敬吉

    渡辺証人 私も実際どつちかと言えば知らなくて、それで神田のあれで利益をあげて、それから一割やろうというような気持でなかつたのです。またそういうことも書いてないはずです。ひとつよくごらん願いたい。
  651. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私はそんなことを聞いておるのではない。寄付しておらなければ財団法人じやない。その財団法人でないものを、君の言葉をかりれば、いいからかんのものを、財団法人と称して国有財産払下げを受けた。これを君は今日何と考えるか、これを聞いておる。
  652. 渡辺敬吉

    渡辺証人 磯川氏は私に契約した金を返す。その寄付は私にかわつて何か役所に届けるなり、金を持つて行くなり、別な方法を考えるのが当然であつて、今私がこうして皆さんから喚問を受けるような欠点が生じたということについて磯川氏と争います。
  653. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 人のことを言うておるのではない。君のことを聞いておるのだ。君は寄付して理事長になつた。寄付をしなければ理事長になれない。そして財団法人をつくつた。ところが寄付しておらぬ。理事長もうそである。財団法人もうそである。そうして君の言葉をかりれば、いいからかんのものであつた。しかるにこれが真実の財団法人でありますと言つて国有財産払下げを受けた。間違いないだろう、その点……。それを今日何と考えるかというのです。
  654. 渡辺敬吉

    渡辺証人 財団法人許可書も磯川氏が持つておりましたし、それで私はりつぱなものだと思つて判こも押してやつたのです。
  655. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 今君はいいからかんのものだと言つておるじやないか。りつぱなものじやないじやないか。そのときはそうであつたが、君自身の今の考えを聞いておる。
  656. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そういうふうに質問されましても、順序正しく法的に返事することは私はできません。
  657. 内藤隆

    内藤委員長 現在はどう思つておるのだ、今そこで、こういういいからかんなことをやつたことを君はどう思うておるか、こういうことなんです。
  658. 渡辺敬吉

    渡辺証人 やつたそのことは磯川氏がやつたので、自分は事務的なことは一つもやらない。よくないことです。そうして責任を負えと言われれば、金もさんざんとられ、それから返すというものも返されぬで、なお罪人になつてもこれはしようがない。
  659. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私の言うのは、いいからかんのことを言わずに、ほんとうに心から悪かつたと思わぬかということを聞いておる。
  660. 渡辺敬吉

    渡辺証人 私はそんなこと一切タツチしてない。理事長なんていいからかんのものです。
  661. 大森玉木

    ○大森委員 一言だけ…。どこまで証人に尋ねても、証人は何か非常にあたりまえのような、常識的なことのように考えておられるようだが、初めは寄付したのだ、こう言うておる。今になつてまた、私も五百万円ばかり損害をしておるのに、なぜ私をこういうふうにいじめるのだというようなことを言つている。そこにどうも矛盾がある。しかしこれはどろを吐きなさい。二千二百坪というものの払下げを受けた。それはその当時わずか千八百円くらいで受けた。もう現在は一万円する。その当時でも七、八千円はした。だから、この寄付行為によつて一千五十万円というものを出したことは、おそらくこの売買によつて返すという内約があなたとあつたからだ、ということが、私には鏡に見るように考えられる。大体こういう内約があつてつたことだろうということは、ちようど鏡に映つている。おそらくここにおる人の常識からいうと、そういうことははつきりと映つたように思う。しかるにあなたはいつまでも言を左右にして、そうじやないと言われる。あなたは、これはそうであつたとしても大したことはないと思つているようですが、そういうことは良心的に考えて恥じ入らなければならないことです。いわゆる国家の財産を欺いてとろうとしたというがごときことは、これは死刑に値するものである。良心的に考えてみるならば死刑に値するものである。だからあなたが、私が悪かつたということであつたならば、これは恕すべき点がある。そこをはつきりしなさい。私は決して無理にしいるのではありません。もはやこうなつて来たときにおいて、あなたの言われるところのどこを信ずればわれわれがなるほどと考えられるのだ。あなたは寄付したのである。しかしながらあとからけんかして、それはもどすということになつた。それだからもらつたんだ。まだ五百万円損しておるのだ。それはどうなるのだ。寄付であるかどうか。こういう、どこをつかまえていいか、少しもつかまえどころのない証言をしておる。これは行政監察委員会をごまかすものだ。あとで速記録を調べれば大体わかると思いますけれども、あなたの言うたことは必ず一貫しておりません。だれかの質問については違つたことを答えておる。これは偽証であります。だから真に自分行つたことをはつきり言いなさい。うそで必ず通るものではありません。私は今日までいろいろな問題に携わつておるが、こういう不明朗な証言というものは初めて聞くのであります。あなたの私財を出されたこともよくわかります。あなたの今日の位置も何もかもよくわかる。しかしながら、その裏面に、何か約束があつたということは、私どもははつきりとこれを判断することができる。けれどもあなたの口から出ない以上は、判断ではしようがない。しかしもしあなたに良心があるならば、もう少し赤裸々に、そういう約束であつた、案はそのために私は千五十万円というものを立てかえたのであるということを、どろを吐いた方がこの問題が早く解決つくのではないか、こう考えるので、なお証人にこの点率直に申しなさいということをもう一言要求いたします。
  662. 渡辺敬吉

    渡辺証人 ただいまの御質問でありますが、そういう内約や計画は絶対にございませんでした。
  663. 大森玉木

    ○大森委員 内約がないということであるならば、一体千五十万円というものはなぜとつたのです。寄付したのだろう。寄付したものを、内約がなかつたらどうして取返す。そんな寄付というものがあるかどうか、常識で判断しなさい。あなたは常識で自分の言うことを恥じ入らなければならない。何も内約のないのに、一体寄付したものを取返すという方法がどこにある。私は今日まで六十年、こうしておるけれども、そんなことを聞いたことは今初めてだ。そういううそをついて通るというがごときことは、これはけしからぬ。そうでしよう。あなたは、何の内約もなかつた、ただ寄付したんだ、けんかしてわかれた、だから寄付した金をよこせ、まだ五百万円損だということは、どこから出る。一千五十万円さえ出したのだろう。一千五十万円出して——一千五十万円とつてまだ五百万円損しておるのだとあなたはさつきから言うておるけれども、損じやない。寄付したものをまた一千五十万円取返した。そういう寄付というものが一体あるかどうか。それには内約というものがあつたから、あなたは損したということが言えるのだ。私がこの仕事をして、入れば必ず返すのだ、しかしながらその仕事が途中からおじやんになつた。けんかしたために五百万円損したということを、あなたはつきりそこまで言わぬけれども、あなたの口からどろを吐いている。それならば、なぜ一体五百万円損したということが言えるのだ。この点が最も重要なポイントなんだ。これよりほかない。一体そういうごまかしでこのまま終るなんということはけしからぬ。そうなると速記録を調べて、気の毒であつても、やはり偽証は偽証とせなければならない。だからこの点もう一応聞きたい。
  664. 渡辺敬吉

    渡辺証人 御質問でありますが、あの太陽の家に関しまして、おそらく数百人の人がいろいろと関係しおると思います。どうぞ渡辺敬吉が、いかなる気持でもつてあそこで仕事をし、いかなる状態でもつてわかれて、そうして怒つたか、けんかしたか、笑つたか、これを全部お調べくだされば、私の仕事のいいところと、だらしなかつたところと、ばかげたところがみんなわかると思いますから、ぜひお願いいたします。
  665. 小松勇次

    ○小松委員 関連して一点だけをお伺いいたします。先ほどの私のお尋ねの途中で、いろいろ関連して皆さんからお尋ねがあつたのですが、大分わかつたようなわからないような点がたくさんあるので、重ねてお伺いします。あなたが磯川さんと手をわかつようになつたのは二十五年とおつしやいましたね。
  666. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そこに契約書がありますから、それを見ていただけませんか、間違つても何ですから。
  667. 内藤隆

    内藤委員長 記憶はないのだね。
  668. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そこの契約書に……。二十四年の五月だそうであります。
  669. 小松勇次

    ○小松委員 そうすると、これは土地の払下げを受けてその翌年になるわけですね。払下げは二十四年でしよう。
  670. 渡辺敬吉

    渡辺証人 二十四年の三月十五日かと記憶いたしておりますが……。
  671. 小松勇次

    ○小松委員 五月ではないですか。
  672. 渡辺敬吉

    渡辺証人 三月です。
  673. 小松勇次

    ○小松委員 いずれにしてもその翌年ですね。
  674. 渡辺敬吉

    渡辺証人 いや、同じ年です。二十四年の、私のやつが五月でしたらば、大蔵省の方は三月ごろではなかつたでしようか。
  675. 小松勇次

    ○小松委員 二十四年五月でしよう。しかしそれはいずれでもよろしいが、そこでその一年の間には社会事業というものは何もしておらなかつたでしよう。
  676. 渡辺敬吉

    渡辺証人 だれがですか。
  677. 小松勇次

    ○小松委員 聖十字学園というのが……。
  678. 渡辺敬吉

    渡辺証人 たくさんやつておりました。簡易宿泊所、それから家出人の収容——私は直接仕事をしておりませんよ。磯川さんのやつておることを話しておるのですが、家出人の収容、それから浴場、これは特に浮浪者を安く入れておつたのです。それから外食券食堂、これも勉強をしてやつてつたのです。
  679. 小松勇次

    ○小松委員 ふろ屋の話が出ましたが、浮浪者を特に割引して安く入れておつたのですか。
  680. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そうです。五円の半値です。
  681. 小松勇次

    ○小松委員 事実ですか、間違いありませんね。
  682. 渡辺敬吉

    渡辺証人 間違いありません。
  683. 小松勇次

    ○小松委員 それはそれといたしまして、あなたの寄付が千五十万円、これはどこまでも寄付なんですね。さつき私はこれを聞いておつたのです。
  684. 渡辺敬吉

    渡辺証人 先ほど申し上げました通り寄付しようという気持で、それで工事しておつて、結局磯川氏がやめてくれと言うから、それを立てかえ金として整理して、寄付しようというものを返すと約束したわけです。初めは寄付しようという気持に間違いないのでございます。
  685. 小松勇次

    ○小松委員 あなたがこの立てかえ金——寄付を返還を受けたのは、金で受けたのですか、物で受けたのですか。
  686. 渡辺敬吉

    渡辺証人 一部、物で受けたわけです。
  687. 小松勇次

    ○小松委員 どのくらいの価額の物ですか。
  688. 渡辺敬吉

    渡辺証人 磯川さんが、三千坪九百十五万円——建物は焼けた残骸の建物で、幾らで評価しておるか記憶しておりませんが、たとえば土地が、先ほどそちらの方で二千円か千八百円というふうにおつしやいましたが、それを私は八千円で受取つた。これで私がわけ前をとつたとか暴利をとつたとか言えるでしようか。私は八千円で受取つております。
  689. 小松勇次

    ○小松委員 そのほかに何か特権を受けたことはありませんか。
  690. 渡辺敬吉

    渡辺証人 何もございません。その当時上棟したばかりの建物をやはり評価して受取つた
  691. 小松勇次

    ○小松委員 それはどんな建物ですか。
  692. 渡辺敬吉

    渡辺証人 木造二階建の屋根をふいた程度であります。
  693. 小松勇次

    ○小松委員 なお太陽の家の二階を無償で使うようになつておりませんか。
  694. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そうです。そのほかに、湯屋の裏の方の土地も無償で使うようになつております。——それは無償で使うようにというのではなく、あの中に不法に占拠しておつた住民がたくさんおつたのです。それを磯川さんが都へ話してどこかへ移転してくれと言つたが、その人たちが立ちのかない。それで私が学園から無償で使つていいという所へ、実はわざわざ個人のふところから金を出して、その人たちをそこに移転させて収容したのであります。現在でもおります。私はそのくらいにしておる。それで磯川氏の事業並びにほかの事業に対して順調に行くように、私自身その点においても、返してもらつた金以上に金を出しておるのです。私がそれで個人的に利益をあげておるということはございません。
  695. 小松勇次

    ○小松委員 先ほど、あなた方、磯川と下村とあなたと三人の契約があつたというときに、この下村という人はあなたの事務員だつたとおつしやいましたね。
  696. 渡辺敬吉

    渡辺証人 事務員で、何もそこに権利のあるように書いてなく、立会人というふうに書いてあるのじやないですか。お互いの権利関係のない者で、事務員で書類をつくつてつたのでしよう。
  697. 小松勇次

    ○小松委員 この人は何か、太陽の家の後援会長かなんかしていたのじやないですか。
  698. 渡辺敬吉

    渡辺証人 その当時私のところにいて、太陽の家の仕事ちよつと手伝わしたのです。まだ財団法人になる前……。
  699. 小松勇次

    ○小松委員 今は……。
  700. 渡辺敬吉

    渡辺証人 その当時ちよつとやつてすぐやめました。
  701. 高木松吉

    ○高木(松)委員 最後に二、三点、あなたが寄付行為をしたとかしないとか別として、書類に判こを押しておることは事実なのです。そこであなた自身の当時の考え方——こういう形でないと国有財産払下げができないから、どつちから話しかけたかわからぬが、磯川と君とが合意の上において、こういうからくりをして国有財産払下げを受けたとしか思えないのだが、その点はどうだな、ほんとうのところ。
  702. 渡辺敬吉

    渡辺証人 事務的なことは私先ほど申し上げましたように一切……。
  703. 高木松吉

    ○高木(松)委員 事務的なことではない。その気持は……。
  704. 渡辺敬吉

    渡辺証人 気持は、とにかく私は金を出す方であつたのですから、寄付しようということで、その役所手続とか。
  705. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そんなことは聞いておりません。あなたの心境を聞いておる。そのときの心構えを聞いておる。
  706. 渡辺敬吉

    渡辺証人 寄付をして、磯川氏を応援してやろうと思つておりました。
  707. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それはそれでわかりました。そこであなたは磯川氏を慈善事業家と考えていたのでしよう。
  708. 渡辺敬吉

    渡辺証人 初めは……。
  709. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そうすると、慈善事業家が慈善事業をやることにあなたが——寄付の問題はどうでもいいが、金を出てやるという心構えなら、自分が代表になつているとかいないとか、そういう問題があろうがあるまいが、磯川君の事業を応援すればいいわけだね。金で……。しかるに君が主宰する権限を握らなければ、磯川君と衝突してやめるということは、逆に見ると、君自身と磯川君が最初からこれで一もうけしようというたくらみの上に、君自身も知らないような手段で財団法人をつくつて、そうして大蔵省申請してこれの払下げを受けた、その途中において、金かないから今度はマル通の支店から金を出させて、大半の金を払わせておるというようなこの事実、君の口から出たこの事実、それ自体をもつて当時の君の腹を推察すると、どうしてもこれは君とそれから磯川君と二人で、こういう手段をもつて一もうけしようとたくらんだと考えるよりほかに道はないか、そうじやないのか。
  710. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そうじやございません。
  711. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そうでないとすればまつたく不可解なんだ。
  712. 渡辺敬吉

    渡辺証人 まつたくそうでありません。
  713. 高木松吉

    ○高木(松)委員 君の言うように、そうでないという断定をつけるには——本日君の口から出た証言を合理的に判断して、どうしてもそういう結論に到達しない。われわれは君の口から出た一切の証言を総合して、そうしてその当時の君と磯川君の腹の中を探つてみると、合理的に判断して、二人で一もうけしようと思つた結論が、何人の頭の中にも浮んで来るのだが、君自身それをそう考えておらなかつたのか。
  714. 渡辺敬吉

    渡辺証人 おりません。
  715. 篠田弘作

    ○篠田委員 私はおそく来て前のことはよくわからないが、さつきから金を出した、金を出したという話を盛んにしておるし、一千五十万円もの金を出した。あなたはその金をどこから持つて来ましたか。
  716. 渡辺敬吉

    渡辺証人 先ほど申しました。
  717. 篠田弘作

    ○篠田委員 それは関係会社ということを言つたそうですね。その関係会社というものの名前を聞きたいのです。
  718. 渡辺敬吉

    渡辺証人 合資会社新生社、合資会社丸和商会……。
  719. 篠田弘作

    ○篠田委員 金額を同時に言つてください。
  720. 渡辺敬吉

    渡辺証人 記憶していませんので、あとで報告いたします、それからセントラル・ビルディング、それから錦糸会館、これは旅館です。
  721. 高木松吉

    ○高木(松)委員 あなたはそれをあとで書面で報告されるならば、それでけつこうだが、あなたは取返した金の中からそこへもどしていますか。あなたは寄付を集めて来たのでしよう。寄付を集めて来て寄付したのでしよう。もともとあなたの金じやありませんね。あなたは寄付を五百万円なら五百万円取返したら、寄付者にもどさなければならぬが、それをもとしていますか。
  722. 渡辺敬吉

    渡辺証人 金でとつたのではありません。品物でとつて、それを長い間に磯川氏からもらつたものを処分して、またその金はやはり返すところへ返しております。
  723. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それで今の一千万円というものは、君の契約面を見ると、自分利益の中から一割出すと言つているのだから、今の各会社から出して来たのはおそらく一割見当でしようね。
  724. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そうじやありません。磯川さんから頼まれて——その会社は、先ほど申しました通り、会社ではありますが、個人経営同然のものでありますから、ある程度私が代表社員で一時流用したということで、一割の利益の正確な計算をしてから出したのではありません。それではあの仕事は速度の点で、あれだけにまとまつて来ません。
  725. 高木松吉

    ○高木(松)委員 大体において利益の十分の一を見当にして出して来たのですか。
  726. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そうじやありません。
  727. 高木松吉

    ○高木(松)委員 根こそぎ持つて来たのですか。
  728. 渡辺敬吉

    渡辺証人 根こそぎ持つて来たのです。
  729. 高木松吉

    ○高木(松)委員 これも法律的に重大な問題が伏在しているね。会社の金を根こそぎ持つて来て、こんな寄付行為に入れてしまつて、そうしてあなたの言うことを聞くと、利益を目的としないのだ、寄付して慈善事業をやるのだ。ここらも私としてはあなたの当時の心構えが疑問になる。もうけるのだというのならそれでもいい。もうけてそこに埋めるのだというならいいが、もうけない寄付行為で、この仕事で慈善事業をやると言つてつて、そうして洗いざらい会社の金を持つて来た。ここに法律上の手続をとつたかとらないかわからないが、持つて来てぶち込んだという事実が明らかになつたら、なおさらあなたはその当時これをもつて一もうけしようということでやつたとしか思われぬが、その点はどうなのです。
  730. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そうじやありません。やはり寄付をしようという気持でやつておりました。しかしそれ以外にまだ財産があります。
  731. 内藤隆

    内藤委員長 証人証言を聞いておりますと、だんだんどろを吐いて来ていることは間違いない。ことにただいまの根こそぎ自分関係会社の財産を持つて来て、そこへたたき込むということは……。
  732. 渡辺敬吉

    渡辺証人 ちよつと根こそぎという言葉を取消さしていただきます。
  733. 内藤隆

    内藤委員長 自分で言つたじやないか。
  734. 渡辺敬吉

    渡辺証人 話のはずみで言つたので、根こそぎじやありません。
  735. 内藤隆

    内藤委員長 大部分つて行つたのだろう。そうすると自分関係会社の資本金までつぎ込んで、慈善事業社会事業に出したということは、常識では判断できぬことだ。ここで君が虚偽の陳述をしていることは間違いない。この点でいずれこれは理事会に諮つて諸君の判断を願いたいと思う。
  736. 田渕光一

    ○田渕委員 最後にもう一ぺん念を押しておきます。あなたは先ほどからうまいこと逃げるが、日通の秋葉原支店から東京の本社の方へちやんと経理の報告が来ている。磯川が何と言おうと、あとマル通のだれが来て何と言おうと、関東財務局の小松が来て何と言おうと、ここではつきりしている。これをここで読んであなたの参考にするが、これでもあなたは知らぬと言うか。結局こういうことになつている。これでマル通について、あなたがさつきから言つたことは皆うそだということが、わかる。「聖十字学園土地購入経過について」というので、マル通の支店から本店へ報告が来ておる。それによると「昭和二十四年二月、財団法人聖十字学園理事長磯川義隆氏は、大蔵省財務局より元東京衛生試験所焼け跡土地三千二百二十二坪の払下げを受けることになり、その一部を当店で買つてくれと話を受け、たまたま車庫の敷地を物色のときでもありましたので、その一部千百十二坪を学園より分譲してもらうことに相談したのであります。」さつきあなたが言うた通り二回行つておる、それは間違いありませんね。「三日末日に至り、学園大蔵省払下げ代金三百五十万円の第一回納付期間が到来し、その資金納付金を履行しなければ払下げを受けることができなくなるので、ぜひ三百五十万円を都合してもらいたいとの再三の交渉を受けたのです。」これも事実ですね。そこで「右物件は、学園に所有権移転登記をなした上支払うべきでありますので、いかにすべきや、今野弁護士に相談し、さらに学園の顧問弁護士及川、大野、両氏」及川、大野弁護士という人はありますね。
  737. 渡辺敬吉

    渡辺証人 私の顧問弁護士であります。
  738. 田渕光一

    ○田渕委員 「及川、大野両氏と法の関係調べ、第一回の納付金をすれば学園に移転登記ができるようだし、相手が大蔵省であるから、後日紛争もあるまいとのことで、弁護士双方で売買契約を作成してもらい、契約書に双方捺印して、磯川学園長に同行、大蔵省に三百五十万円を当社員が持参の上支払いして納付済みの領収書を受けたのです。よつて当社は車庫建設の計画をなし、土地整理を始めて、工事費六十五万円余を要したのであります。しかるところ学園は移転登記する様子もなく、他に土地を分割売りをして四十五軒の商店に讓渡をしたのであります。しかも第二回の納付金二百八十二万五千円の納期が来ても支払わず、そのため学園事業に不審ありとて大蔵省及び会計検査院の調べるところとなり、第二回目以後の分納払下代金未払いのため払下契約を取消されるやに至つたのでありました。当店も大蔵省より買受け土地の調査をされ、一切の書類を提出し、学園との契約破棄をされると重大な事態に立ち至るのを憂慮し、」マル通の支店では君らの詐欺にかかつたらえらいことになると気づいた。そうして「大蔵省に事情を具申嘆願して払下げを受けるようにいたして、現在の土地と、さらに二百坪増加して、大蔵省と新たに讓渡契約をすることにいたしました。しかしながら右土地は、学園に三百五十万円を支払いしてあるので、土地払下代金の一部に充当を認めてもらうべく、再三再四陳情したのですが、学園の支払代金の肩がわりの書類変更はできないと申され、それでは学園と省の契約を破棄して払込金の返済を願いましたが、省は学園より多大の損害をこうむつたことにより賠償の費用に充当してしまうということになると言われました。しかしながら学園に対し損害をこうむつた第一回の払込金三百五十万円にその他の費用は学園が使用している土地、建物大蔵省より払下げがきまるので、物件移転登記の際仮処分して訴訟することにきめてあります。」と言つてマル通はこれで仮処分している。こういうようなことをあなたがうんうんと聞いておるようだが、これは事実でしよう。
  739. 渡辺敬吉

    渡辺証人 全然私は知りません、いないのですから……。
  740. 田渕光一

    ○田渕委員 それではマル通が振りかえ出金伝票で三百五十万円出しておつてマル通の人間がついて行つて大蔵省に払い込んだ。りつぱに大蔵省は受取りを出しております。
  741. 渡辺敬吉

    渡辺証人 そのときのことは知つておりますが、その以後の状態がどういう状態で仮処分したか、私は全然いないのでございますから、そういうことは知らないのでございます。私は首になつちやつて……。
  742. 田渕光一

    ○田渕委員 それで大蔵省はこういう受領書を出している。「受領書、一金三百五十万円也、但し国東第七十四号契約による第一回納付金(予納分)、右受領しました。昭和二十四年四月二十五日、歳入歳出外現金出納官吏大蔵事務官飯塚俊吾、財団法人聖十字学園代表者磯義隆殿、代表者渡辺敬吉殿」という領収書です。マル通に金を払わして、さつき言つた通り領収書は君らがとつている。しかしその土地をやらないで、マル通が大きな問題になつて、訴訟を起している。重ねそれぞれの詐欺行為をやつておる。あなたがさつきから言つている通り、寄付をする意思があつたというが金を出さない。出してもらつたら寄付金だ。それが事実は立てかえ金であつたから、磯川から五百何万円というものをとりかえした。しかも篠田委員の質問に対して、会社から持つて来る、自分の経営している会社であろうとも、もうかるから出せと言うから出したのであつて、これが社会事業に寄付するのであつたら、おそらく出さなかつたろう、どうだね。
  743. 渡辺敬吉

    渡辺証人 寄付するつもりで始めたのでございます。
  744. 田渕光一

    ○田渕委員 そんなことは君が大野とか、及川とかいう弁護士の入れ知恵を言うているつもりでも、そんなことでここは通るものじやございません。とにかくここまでずうずうしければ、われわれは理事会を開いて、この人間が詐欺をやり、公文書の偽造をやり、あらゆる虚偽の陳述をしたということにおいて、私はほんとうに告発の動議を出す。こういう人間に対しまして、放任して置けば、世の中のまじめに働くものは、——聖十字学園社会事業団体、慈善事業団体に名をかりて、国有財産の処分をして受領をしたということは、これはまつたく死刑だ。それでもてんてんとして恥じなく、うるさい行政監察委員会を知らぬ存ぜぬ一点張りで通つて来たと君が弁護士に報告してみたところで、われわれは考える余地がある。どうだね、ほんとうに真から済まぬというのか、それともどこまでも知らぬ存ぜぬで、ここまで数時間、国権の最高機関、国会の代議士を欺いて通ると思うか。ばかも休み休み言わないと、ほんとうに承知できない。
  745. 渡辺敬吉

    渡辺証人 今まで申し上げた通りでありまして、自分の今まで申し上げたことは間違いございませんから、どうぞそれで……。
  746. 田渕光一

    ○田渕委員 最後に言つておきたい。君がそういう名前聖十字学園というような美名を書いてあらゆる詐欺行為をすることは、君らの社会では通るかもしれないが、われわれは国家大衆八千三百万の税金の保護をしてやらなければならぬ。われわれも税金を払つておる、その国有財産を、君らのような聖十字学園なんというパンパンよりも精神の腐つたものが、機構は社会事業団体という機構さえあれば、その内容は腐つてつても、それに払い下げるという制度をかえなければならぬ、ことにこれをやつたことについて大蔵省がどんなことをやつておるか、これからわれわれは大蔵省調べなければならぬ。磯川に聞いても、渡辺がやつたことだから知りませんといつて逃げるにきまつている、これが常套手段だ、君らの精神ははつきりわかつている。もうけがなければやらぬ、わしは商人だ、あきんどだ、もうけがないことはやりませんと言つておる。それだけりつぱなことを言つて、これだけのりつぱな結果を出して当行政監察委員会を知らぬ存ぜぬで通つて来ましたといつて、弁護士と相談していたら、とんだ間違いだ、それだけははつきり言つておく。こういう記録が渡辺家の名誉になるか。国権の最高機関の代議士にこれだけの時間を食わせて、しかもこれは速記にとられておる。これは渡辺家の名誉のものではない。こういうようなことを君の子供の世に、君の子供が大学を出て読んでみろ、泣くだろう、こういう腐つた父であつたのだろうかということを考えるだろう、少しは考えてみたまえ。そんなことでわれわれは断じて承知できません。次の理事会において適当な処置をとることを委員長に要望しておきます。
  747. 内藤隆

    内藤委員長 ただいま田淵委員の御要求はいずれ近々の理事会においてお諮りしようと思います。
  748. 竹村奈良一

    ○竹村委員 私、委員長ちよつとお願いしておきたいのですが、先ほど私の質問した本人の税金の問題については、二十二年、二十三年は個人の所得税を払つていない。二十四年、二十五年は、これは休んだから払つていない。二十六年は妻の名義で総所得二十二万何千円という申告をしておる、こう言つておるのですが、先ほどのその他の問題については、会社から出した、いわゆる寄付金であるか、寄付金でないか、一千五十万円の金が出ておる。それは書類で報告すると言つておりますけれども、もう一つ委員長にお願いしておきたいのは、その関係した会社の法人税はどれくらい出しておるか、あるいは源泉所得税はどれだけ出しておるか、その後個人の所得税をどれだけ出しておるか、こういう記録をおとりよせ願いたい。なぜかと申しますと、財団法人の名に隠れて、一千五十万円を出すだけの人が税金を全然払つていないという今日の現状から考えて、明らかにこれは私は大きな問題があると思う。つまりこれは財団法人の名においていろいろな事業を行い、そうしてまたそれをやるべく初めから財団法人というものを立てて、そうしてさつきいう磯川なんかと共謀したことは、明らかにこのことだけでも立証できると思います。ぜひ委員長からそういう記録をおとりよせ願いたいと思います。
  749. 内藤隆

    内藤委員長 ただいま竹村委員の要求、証人わかりましたね。
  750. 渡辺敬吉

    渡辺証人 わかりました。
  751. 内藤隆

    内藤委員長 それから一言申しておきますが、他の委員からもそれと同様な要求がございましたので、事務局をして書類をとりよせたいと考えております。さよう御了承願います。他に御発言がなければ渡辺証人に対する尋問は終了いたしました。御退出ください。     —————————————
  752. 内藤隆

    内藤委員長 この際お諮りいたします。ほかに元聖十字学園園長磯川義隆君も出頭しておりまするが、本日はこの程度にいたしまして、磯川君には明後日十四日午後一時より出頭を求め、証言を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  753. 内藤隆

    内藤委員長 御異議なきものと認めます。さように決しました。  磯川君に申し上げまするが、本日は時間も大分おそくなりましたので、明後日十四日午後一時より出頭を求めることに決定いたしましたので、さように御了承願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時五十九分散会