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1952-01-30 第13回国会 衆議院 行政監察特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年一月三十日(水曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 内藤  隆君    理事 大泉 寛三君 理事 鍛冶 良作君    理事 高木 松吉君 理事 田渕 光一君    理事 福田 喜東君 理事 小松 勇次君    理事 佐竹 新市君       天野 公義君    志田 義信君       篠田 弘作君    椎熊 三郎君       藤田 義光君    井上 良二君       竹村奈良一君    山口 武秀君       浦口 鉄男君  委員外出席者         証     人         (前山九運輸株         式会社門司支店         長)      田中 俊彦君         証     人         (桝谷組海事工         業所代表者)  桝谷喜代一君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  国有財産管理処分関係事件(第四港湾建設部関  係事件)     ―――――――――――――
  2. 内藤隆

    内藤委員長 これより会議を開きます。  国有財産管理処分関係事件中、第四港湾建設部事件について調査を進めます。ただいまお見えになつておられる証人田中俊彦君ですね。――あらかじめ文書をもつて承知の通り、証人として証言を求めることに決定いたしましたので、さよう御了承願います。  これより国有財産管理処分関係事件中、第四港湾建設部事件について証言を求めることになりますが、証言を求める前に証人に一言申上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて、黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることになつておるのであります。一応このことを御承知なつていただきたいと思います。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。     〔証人田中俊彦朗読〕    宣言書   良心に従つて、真実を述べ何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います
  3. 内藤隆

    内藤委員長 それでは宣誓書署名捺印してください。     〔証人宣誓書署名捺印
  4. 内藤隆

    内藤委員長 これより証言を求めることになりますが、証言は、証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際には、その都度委員長許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておるときはそのままでよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。  証人田中俊彦君は山九運輸門司支店長を勤めておりますか。
  5. 田中俊彦

    田中証人 お返事いたします。私は昭和二十五年の二月から昭和二十六年の二月の末日まで門司支店長を在職いたしまして、それ以後病気静養いたしまして、二十六年の七月に黒崎支店長を命ぜられまして、現在黒崎支店長の職にあります。
  6. 内藤隆

    内藤委員長 山九運輸というのはどういう仕事をしておりますか。
  7. 田中俊彦

    田中証人 私の方は大正七年に創立いたしまして以来、海陸運輸仲立業物品販売その他これに付随する事項土木建築こういう仕事をいたしております。
  8. 内藤隆

    内藤委員長 運輸という名前だが、土木建築までやつているのですか。
  9. 田中俊彦

    田中証人 さようでございます。
  10. 内藤隆

    内藤委員長 福岡SPBとはどんな関係にありますか。
  11. 田中俊彦

    田中証人 SPBが創立いたしましたのは、現在日時は承知いたしませんが、昭和二十年、終戰後進駐軍が進駐いたしましてから、特殊の人夫供給作業をするところの会社福岡県として必要になりましたときに、私の方の会社がこの仕事を県から委嘱せられまして、進駐軍関係仕事福岡地区においていたしましたことがそもそもの発端であります。これにつきましては、私は当時外地におりまして、その詳細は承知いたしません。爾来福岡地区並びに小倉地区において進駐軍関係仕事の下命を受けておりました。ところが調達庁が創立されまして、それ以来進駐軍関係仕事契約いたしましてやつて参りました。こういうわけであります。
  12. 内藤隆

    内藤委員長 今の証言の中で県からと言うが、何か特別に県があなたの会社を保護しておつたのですか。
  13. 田中俊彦

    田中証人 私は話に聞くだけでございますが、福岡県が当時占領軍の要員に対して非常に困りましたときに、私の方は北九州においてそういう労務供給作業を長年にわたつてつておりましたので、そういう実力をお認めになつたと思うのですが、県の方から私の方の会社本社にそういう仕事についてやつてくれという御委嘱があつたように承つております。
  14. 内藤隆

    内藤委員長 そのときにはあなたの山九一社でしたか他にまだ……。
  15. 田中俊彦

    田中証人 その点は私承知いたしません。
  16. 内藤隆

    内藤委員長 門司港湾協議会という会がありますね。
  17. 田中俊彦

    田中証人 協議会――港湾協議会という名前は私知りません。
  18. 内藤隆

    内藤委員長 あなたの山九運輸もそのメンバーなつていないのですか。
  19. 田中俊彦

  20. 内藤隆

    内藤委員長 「議」はないのですか。
  21. 田中俊彦

    田中証人 「議」はないのです。
  22. 内藤隆

    内藤委員長 あなたは「議」がないとおつしやるが、公式の文書なんか見ると「議」が入つております。ともかくその「議」のあるなしにかかわらず、門司り港湾――あなたのおつしやる協会でもいいですが、そういう団体を御存じですか。
  23. 田中俊彦

    田中証人 港湾協会本社もその一員でございますから、門司支店としてもその下部組織回送協会一員として――回送協会港湾協会メンバーとして入つていた、そのように思いました。
  24. 内藤隆

    内藤委員長 そのメンバーなつておると記憶しておるわけですね。
  25. 田中俊彦

    田中証人 さようでございます。
  26. 内藤隆

    内藤委員長 第五号起重機船の四建ですね、第四港湾を四建と略していますが、その移管について門司港湾協議会はどういう運動をしておつたか、あなたの今おつしやる会は……。
  27. 田中俊彦

    田中証人 シケンというのは四建ですね。
  28. 内藤隆

    内藤委員長 四建です。
  29. 田中俊彦

    田中証人 そのことは一切知りません
  30. 内藤隆

    内藤委員長 運動したようなことは知らない。
  31. 田中俊彦

    田中証人 はい。
  32. 内藤隆

    内藤委員長 第五号起重機船について、あなたの会社と四建との間に賃貸契約ができておりますね。
  33. 田中俊彦

    田中証人 第五号起重機と申しますと……。
  34. 内藤隆

    内藤委員長 起重機船ですね、第五号起重機船……。
  35. 田中俊彦

    田中証人 五号起重機という名前かどうか知りませんが、第四港湾建設部に所属しておつた起重機船使用いたしたことがあります。
  36. 内藤隆

    内藤委員長 ありますね。それは第五号起重機船なつておりますが、あなたは名前はわからぬが、ともかくも四建との間に契約したことは間違いないですな。
  37. 田中俊彦

    田中証人 はい。
  38. 内藤隆

    内藤委員長 その契約の際に何か請書等が入つていると思いますが、それを説明してくれませんか。資料を見てようございますよ。
  39. 田中俊彦

    田中証人 この起重機は、使用願を私の方から運輸省第四港湾建設部にお願いをいたしまして許可をいただいたのでありますが、その條件は、一時使用期間昭和二十五年九月十八日より昭和二十五年十月七日まで、用途は占領軍用務、一時使用場所関門港内、そういう條件使用願を出しまして、そうして許可をいただいたわけであります
  40. 内藤隆

    内藤委員長 その際あなたの方から請書を出しておるでしよう。その請書を読んでください。
  41. 田中俊彦

    田中証人 請書を読みます。    請書  貴部所管の五十屯吊起重機船一隻を、左記條項確実に履行することを誓約の上借受けます。     記  一、貸借期間 昭和二十五年九月十八日から昭和二十五年十月七日まで  二、使用料 一時間につき金三千二百四十円也但し本船修理手入等のため休役した期間使用料は無償とする。  三、本船運転に要する作業賃及び運転材料はすべて貴部負担のこと。 四、受渡場所 若松港内貴部御指定の場所とする。但し本船の回航はすべて貴部においてこれを行い、その費用借受人において負担するものとする。  五、本船管理についてはすべて貴部係員指示に従うものとする。  六、本船使用期間中貴部作業員の故意又は重大な過失によらない傷病若しくは死亡に対してはすべて借受人負担において、責任をもつて一切を処理するものとする。  七、本船使用期間中に生じた各部の破損滅失及び海難その他の事故により、本船を毀損喪失したときは、借受人において、遅滞なく原形に復旧、又は新造の責に任ずるものとする。  八、本船使用期間中に惹起した他との一切の紛議に対しては、すべて借受人においてその責に任ずるものとする。  九、本船使用期間中正当な理由なく借受條件及貴部の御指示に違背したときは、貴部の御措置に対して損害賠償請求又は異議の申立等は一切なさないものとする。  十、本船貸借につき、前各項の外に疑義を生じたときは双方協議の上これを決定するものとする。  昭和二十五年九月十七日  山九運輸株式会社門司支店長田中俊彦運輸省第四港湾建設部御中 以上です。
  42. 内藤隆

    内藤委員長 この契約の際の請書支店長、これはあなたが調印しましたか
  43. 田中俊彦

    田中証人 私が調印いたしました。
  44. 内藤隆

    内藤委員長 福岡SPBとの港湾サービス契約單価契約を見ると、日本サルヴエージの五十トンづり起重機船が対象になつているが、日本サルヴエージは五十トン起重機船を持つておりましたか。
  45. 田中俊彦

    田中証人 御返事いたします。この調達庁と私の方との契約に基いたところの單価査定をいたしましたその当時に、日サル起重機船を持つてつたかどうかということにつきましては、私は現在承知いたしません。但しこの單価契約は日サル原価計算に基いたところの書類によつて福岡物価庁にその原価計算を申請いたしまして、公定価格をつくつていただいたものだと思つております。
  46. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、日本サルが五十トンの起重機船を持つてつたかどうかあなたは知らないとおつしやるのですね。
  47. 田中俊彦

    田中証人 これをつくりました当時に持つてつたかどうかということは知りません。
  48. 内藤隆

    内藤委員長 それからもう一つ、原価計算から割り出した單価ですね。それは日本サルがつくつたのですか。
  49. 田中俊彦

    田中証人 日サルがつくつたのだと思います。
  50. 内藤隆

    内藤委員長 それから七月及び八月中桝谷組起重機船が作業しておるようですが、これは何トンの船でしたか。
  51. 田中俊彦

    田中証人 私の方ではそれが四十トンであるか五十トンであるかということは、当時あまり問題にならなかつたと思います。それで、はたしてこれが公称何トンであるかということ、はつきり承知いたしませんでした。
  52. 内藤隆

    内藤委員長 契約の際に何トンでもよかつたのですか。別に五十トンでなければならないということではなかつたのですね。
  53. 田中俊彦

    田中証人 普通の重量品と申しますと、たいがい二十トンか二十五トン、これが四十トンであるか、五十トンであるか、あるいは六十トンであるか、かりに五十トンと申しましても、少し機械がいたんでおる、あるいは修繕前であるとかいうことによつて、二十五トンしかつれない場合もありますし、また公称三十五トンでありましても、その機械設備いかんでは四十トンも五十トンもつれる場合がありますので、四十トンか五十トンかということは――普通五十トンクレーンと通称いたしますと、大体重量品は――あの近辺で使つております起重機はみなわれわれは同じように考えております。
  54. 内藤隆

    内藤委員長 その能力、トン数のごときはあえて問題にしないのですね。
  55. 田中俊彦

    田中証人 あまり問題にいたしません
  56. 内藤隆

    内藤委員長 桝谷組は当時二十五トンの起重機船しか持つていなかつたという事実を知つておりますか。
  57. 田中俊彦

    田中証人 知りまりせん。
  58. 内藤隆

    内藤委員長 近藤海事会社はどういう会社ですか。
  59. 田中俊彦

    田中証人 私は知りません。
  60. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、近藤海事に三十七トン程度の起重機船があつたということも知らないのですね。
  61. 田中俊彦

    田中証人 近藤海事そのものを知りませんから、起重機を持つておるかいなか全然承知いたしません。
  62. 内藤隆

    内藤委員長 この契約により、七月中に桝谷組五十トン所属船作業料として八十八万七千四十円をSPBから受取つているが、その單価を見ると、西日本重工業の五十万トン起重機船と同一になつておるようですが、この点どうですか。
  63. 田中俊彦

    田中証人 西日本重工桝谷組と七月中二隻使用いたしまして、その單価が同じになつております。このことは私の方で仕事を始めましたときの状況を御説明しないとわかりにくいかと思いますが、この起重機船を使うことが必要となりましたとぎに、私の方は調達庁と一年間のハーバーサービス契約をいたしておりましたので、ウワーク・オーダーに従つて作業を開始いたしまして、これに対する代金支拂いがどこでどのようにいただけるものか、私の方には当時わからなかつたわけです。それでとりあえず起重機船の延時間のレシートをもらいました。そうして延時間かける單価幾らということでもつて請求いたしましたために、桝谷組の分も西日本重工の分も同様の單価によつてわれわれは請求した、こういうことになつております。
  64. 内藤隆

    内藤委員長 その單価はあなたの方で請求したのですか。
  65. 田中俊彦

    田中証人 私の方が請求いたしました
  66. 内藤隆

    内藤委員長 その単価の標準は、日本サルのいわゆる算定した単価行つたんですか。
  67. 田中俊彦

    田中証人 西日本重工の提出いたしました請求書によつて計算いたしました
  68. 内藤隆

    内藤委員長 そういう同率單価を適用するについて、SPBと何か話合いがなかつたですか。
  69. 田中俊彦

    田中証人 SPBにその当時の状況を私の方から説明いたしまして、こういう單価を適用してもらいたい、こういうふうにお願いいたしましたわけで、いろいろ実情を調べられて、それではこの單価でよかろう、こういうふうに両者協議の上査定を受けたわけであります。決定していただきました。
  70. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、SPB技術部長の算定した單価じやないですな、それは。
  71. 田中俊彦

    田中証人 はあ、一応私の方から西日本重工の提出いたしました請求書に基いて、これだけ西日本重工請求している、これだけ本人たちがほしいと言つているから認めていただきたい。このように私の方から申しました。
  72. 内藤隆

    内藤委員長 そのとりきめをした場合のSPB係員は何という人ですか。
  73. 田中俊彦

    田中証人 係員はたくさんいたわけで、どの分をどのように査定を受けたかということは、係が何人もおりますので、どの方からこの分の査定を受けたということは確言できません。ただ係の方の名前はあげることができます。
  74. 内藤隆

    内藤委員長 この同率單価の場合の係官はだれでした。
  75. 田中俊彦

    田中証人 SPBの機構は、こういう單価査定いたします場合は技術部積算課というところでいたしますので、その当時の積算課長高村という課長でございました。
  76. 内藤隆

    内藤委員長 高村何という人です。現在おりますか。
  77. 田中俊彦

    田中証人 現在どこかに転勤されていると思います。
  78. 内藤隆

    内藤委員長 下の名はわかりませんか
  79. 田中俊彦

    田中証人 名前はちよつと……。
  80. 内藤隆

    内藤委員長 九月中には桝谷組、四建、西日本重工の三隻の五十トンクレーンが就役し、SPBのそれぞれの作業費をもらつておりますが、これもSPB話合いの上でもらつたでしようか。
  81. 田中俊彦

    田中証人 九月分は、西日本桝谷及び第四港湾建設部の三隻の起重機船使用いたしまして、これの料金査定については、SPB査定を受けまして、そして料金受取つたわけであります。
  82. 内藤隆

    内藤委員長 その査定を受けるときのSPB係官名前記憶ありませんか。
  83. 田中俊彦

    田中証人 やはり今申し上げました高村課長並びにその部下の方々です。
  84. 内藤隆

    内藤委員長 SPBから受取つた作業費は、大体こちらの調べたものを言いますから、あなたのところと間違つていないかひとつよく照し合してください。十二日から十四日までの間に五十七万七千五百円、それから十五日から二十八日まで二百三十五万七千六百八円、これは桝谷組所属船の方へ受取つておるわけですね。それから十八日から二十七日までに百九十七万八千三百五十円、これは四建分として受取つておるわけです。合計四百九十一万三千四百五十八円を受取つておることになつておりますが、これは間違いなく受取りましたか。
  85. 田中俊彦

    田中証人 ただいま二件だけおつしやいましたが、ちよつと今数字を照し合せるひまがなかつたのですから…。
  86. 内藤隆

    内藤委員長 それじやあなたの手控えの数字ちよつと読んでみてください
  87. 田中俊彦

    田中証人 九月は五十七万七千五百円、それから二百三十五万七千六百八円、この分は桝谷組所属クレーン代金でございます。それから西日本重工クレーンが二百四十万九千四百四十円、それから第四港湾建設部の分が百九十七万八千三百五十円、以上三件でございます。合計七百三十二万二千八百九十八円。
  88. 内藤隆

    内藤委員長 これは、受取つたことは間違いありませんな。
  89. 田中俊彦

    田中証人 はい、受取りました。
  90. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、このうち桝谷組支拂つたのは幾らになりますか
  91. 田中俊彦

    田中証人 桝谷組には今の二百九十三万五千百八円、それは今の二件を合せたところの金額でございます。それと第四港湾建設部百九十七万八千三百五十円、この両件を合せたところのもので、これが私どもの請求額でございますが、支拂つた方は、四百四十六万六千七百八十円、これだけを桝谷組に九月分として支拂つております。
  92. 内藤隆

    内藤委員長 この四建の資料によると、九月分の使用料山九運輸請求したところ、六十九万九千八百四十円を持参したと言つておるが、それは四建からいつ、どういう形式で請求があつたか、また四建へ右代金を持参して行つたのはだれか、それから四建ではだれに会つてそれを渡したか、御記憶があつたらひとつ述べてください。
  93. 田中俊彦

    田中証人 当初第四港湾建設部クレーン占領軍使用いたしまして、私の方がこれの請求調達方に対してすることになりましてから、第四港湾建設部では、乗組員の給料支拂い、それに要しますところの石炭代支拂い、その他いろいろ部分品管理、小修繕、こういうものの一々の管理は非常に困難であり、かつ占領單に出しつぱなしで、占領軍使用にもつばらまかしておるような状況のために、自分の方で直接管理することが非常にむずかしい、それで桝谷組に依頼して――桝谷組は当時自分のところのクレーン占領軍に貸しており、その他こういう関係の専門の会社でございますから、いろいろの設備も持つておる、こういう関係桝谷組に裸で出したい、乗組員も何もかも一切先方まかせにしたい、こういうようなことで、桝谷組の方から乗組員も提供し、その他石炭の買入れ、部分品購入等も、一切桝谷組と四建と私の方と三者話合いの上で――さいぜん読み上げましたところの契約は、九月の十八日から十月の七日までは私の方と直接契約したことになつておつたのですが、桝谷組の本来の自分クレーンと一緒に提供してもらうことが、私の方としては、非常に整理も簡便であり、かつは監督も行き届く。それから支拂い関係にしましても、調達庁から金を入手する前に、やはり乗組員の手当とか石炭代というものは支拂いをつけて行かなければならぬ。これに対しては、私の方も現金をもつて一々先行支拂いをするわけに行きかねますので、二箇月あるいは二箇月半の手形でもつて前渡しをしてやる、こういう必要を感じましたために、当初申し上げました契約を一応破棄いたしまして、私の方は、桝谷組から全部二はい提供してもらつてそうして、私の方と四建と契約しておりましたところの借賃と申しますか使用賃は、桝谷組と四建との間において決済してもらいたいということで、四建の方もその点について支障がないということでございましたので、当初にさかのぼつて桝谷組と結局契約の代替と申しますか、振りかわりと申しますか、桝谷組契約することに変更いたしましたのであります。そのために、今申しましたように、四建の分と桝谷の方とを合したところの四百四十六万六千七百八十円というものを桝谷組支拂つたわけであります。
  94. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、最初はあなたの方と四建とが契約しておつた、その契約を破棄したわけですか。
  95. 田中俊彦

    田中証人 破棄したとか何とかいう覚書もかわしませず、この点はすこぶるルーズでございますが、口頭によつて――桝谷組と四建とはおのずからそこに別個の契約ができるものだ、そこで私の方は、これはひとつ当初にさかのぼつて契約を破棄いたしまして、桝谷組契約してもらい、私の方は桝谷組契約するということで、口頭でお互いに了解いたしまして、結局事実上この契約を破棄した、こういうことになつております。
  96. 内藤隆

    内藤委員長 すると、第四港湾建設部桝谷組は新たに契約しましたか。
  97. 田中俊彦

    田中証人 しておるはずでございます。
  98. 内藤隆

    内藤委員長 あなたの方は、第四港湾建設部とはもはや契約を破棄した以上は、何の関係もないわけですな。
  99. 田中俊彦

    田中証人 結果的には直接の契約はなくなつたと私は確信いたします。
  100. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、四建からあなたの方へ請求が来たわけではないですね。
  101. 田中俊彦

    田中証人 さようでございます。
  102. 内藤隆

    内藤委員長 勢いだれが四建へ代金を持つて行つたかもわかりませんね。
  103. 田中俊彦

    田中証人 私はその点一切関知いたしません。
  104. 内藤隆

    内藤委員長 そのとき諸経費として四十八万一千六百四十二円を差引いたそうですが、その諸経費とは一体どういうものでしようか。
  105. 田中俊彦

    田中証人 請求額は、四建に対しまして四百九十一万三千四百五十八円と、こうなるように思うのでございますが、それに対して四百四十六万ですから、約四十五万ばかり諸経費として私の方の手元に残る勘定になります。
  106. 内藤隆

    内藤委員長 それはどういう性質のものですか。
  107. 田中俊彦

    田中証人 調達庁と当初いろいろな契約をいたしまして、ハーバーサービスにつきましては、第三者提供のものは一割以下の手数料を諸経費としてその契約者に出す、こういう契約なつておりましたので、当時桝谷租請求額四百四十六万に一割の四十四万六千、それを加算いたしましたところのものを請求いたしました。その一割の四十四万は、私の方の整理に要するところの人件費、あるいはまた占領軍とその実際に作業いたしておる現場との間の連絡の人件費、あるいは交通費、それからさいぜんは手形と申しましたが、また現金の立てかえ拂いもときにはやらなければいけない、その金利とか、いろいろなことを加味されまして、ものによつて違いますけれども、大体大ざつぱに言つて一割――と言うのは、これはやはり原価に基いて、旅費が幾らかかる、あるいは交通費が何パーセンということが一応計算されておるのですが、その一〇%、これをいただきまして、そういう経費に充当したわけであります。
  108. 内藤隆

    内藤委員長 こちらの方の計算によると、その残額二十一万八千百九十八円というものがどうなつているか、ちよつと疑問なのですが、だれが一体預かつておるか、わかりませんか。
  109. 田中俊彦

    田中証人 二十一万というのは、ちよつと何の数字かわかりませんが……。
  110. 内藤隆

    内藤委員長 こうなんです。山九運輸株式会社に対し、運転材料費乗組員給與等支拂い方について請求したところ、本船使用料二百十六時間分六十九万九千八百四十円、一時間当りが三千二百四十円の割で、(別紙(五)参照本船運転に要した諸経費四十八万一千六百四十二円を(別紙(六)参照債権者支拂わしめ残額二十一万八千百九十八円は本船の自然消粍に対する修理費分担金として保管せしめた、こういうことになつているのですが、その間の記憶はありませんか。
  111. 田中俊彦

    田中証人 御返事いたします。こまかいその数字につきましては、私今ここではつきりどのようになつているかということが申し上げにくいのでございますが、とにかくこの起重機船桝谷西日本、四建の分、これのいかんにかかわらず、大体一割を私の方の諸経費引当てに加算していただいて、査定をしていただきましたので、当然私の方の所得と申しますか、これは結局営業費引当てになるわけでございますが、その分を差引いて下拂いした、こういうことになつておりますので、そのうちの今のこまかい数字については、はつきりいたしません。
  112. 内藤隆

    内藤委員長 これは山九名義で、ある銀行へ預けてありますが、そういうことの記憶はありませんか。
  113. 田中俊彦

    田中証人 いいえ。この諸経費は、これは簡単に申しますならば、たとえば私の方の給料の一部に充当されておるわけでございます。あるいは出張するときの旅費とか何とかいうような、いろいろな諸経費に充当されているわけですから、別個にこれをどこに保管するというような性質のものではございません。
  114. 内藤隆

    内藤委員長 それから四建に持つて行つた作業費は、これは九月十八日から九月二十七日までの作業費だとこちらの方で思つているが、その間のことはどうですか。
  115. 田中俊彦

    田中証人 御返事いたします。第四港湾建設の分として、九月十八日から九月二十七日まで就航いたしておりますから、この分の代金を私の方が桝谷組に対して支拂いをした、こうなつております。
  116. 内藤隆

    内藤委員長 そうするとさいぜんの証言では、桝谷組と円建との直接になつておるから、あなたの方ではわからないというわけですね。
  117. 田中俊彦

    田中証人 さようでございます。四建と桝谷組の間の受渡し関係は、私の方はわかりません。
  118. 内藤隆

    内藤委員長 桝谷組は十一月の半ばごろ、この起重機船の船底修理のため、宇部港に航行したそうですが、わざわざ宇部港までひつぱつて行かなくても、関門港附近では修理できなかつたものでしようか。
  119. 田中俊彦

    田中証人 御返事いたします。当時私は占領軍作業だけで、そのほかの仕事にも忙殺されておりましたので、占領軍使用期間が切れた以後、四建と桝谷組の間にどのような貸借関係があり、あるいはまたその後起重機の修理関係についてどのような申合せがあるかというようなことにつきましては、一切知りません。後日に至つて、あの船が宇部と関門港の間において沈没したという話を、世間話的に桝谷から聞きましただけで、私といたしましては、公式にこうだからこうだと申し上げるようなことは、一切知りませんわけです。
  120. 内藤隆

    内藤委員長 結局巷間伝えるところでは、沈没船の引揚げに使用したというようなこともあるのですが、そういうことはわからないのですか。
  121. 田中俊彦

    田中証人 そういううわさは私は聞きません。
  122. 内藤隆

    内藤委員長 西日本重工業との清算がついているのに、未拂い金が七万二千二百六十円あるというが、これは一体どういうことなんですか。
  123. 田中俊彦

    田中証人 御返事いたします。私は二十六年の三月に病気で寝込みまして、そうして西日本山九の間、あるいはその他のあれにかかわらず、代金決済の件がどのように行われ、どのように残つており、あるいは拂済みになつておるかということは、一々わかりませんのですけれども、西日本の分につきましては、その後門司の支店で西日本話合いをして、十万ばかりうちの方がまだ拂い足りない、そういうようなことを言つて西日本の方から請求に来ておる、これに対してとりあえず半額を渡した、あとまだ少し残つておるというような話を、前に聞いたような気がするのでございますが、現在それが決済済みになつておるか、まだそのままになつておるかということにつきましては、爾後の門司支店長が処理いたします関係上、現在どうなつておるかということは私は知りません。
  124. 内藤隆

    内藤委員長 西日本重工業では、作業費は全部收納済みだと言つておるけれども、まだ未拂いがこれだけあるというようなことになつておるので、そこに一つの疑問が持たれておるわけですが、知らないのですか。
  125. 田中俊彦

    田中証人 私は今それがどのように決済になつておるか、その代金の決済面がどういうようになつておるかということは、現在の状態は、私は知りません。
  126. 内藤隆

    内藤委員長 それでは高木君。
  127. 高木松吉

    ○高木(松)委員 まず第一に、福岡特調とあなたの方との起重機船使用に対しての契約の内容が明かかになつていない。どういう契約の内容なのか。
  128. 田中俊彦

    田中証人 昭和二十五年一月のたしか六日であつた記憶するのでございますが、当時私は同じ会社の小倉支店長の職におりました。それで主として小倉管内において占領軍関係仕事をいたしておりましたために、私は、その一年間――昭和二十五年の四月から二十六年の三月まで、昭和二十五年度の関門港におけるところのステヴエドアリングの見積りをしてくれ、こういう呼出しを受けまして、そうして入札いたしまして、私の方が一年分の仕事を引受けることに決定いたしました。それは船内作業すなわち本船の積みおろし作業についての入札でございました。但しこれの落札者が、その他の港湾サービスもあわせてやる、こういう前もつて條件によりまして、ステヴエドアー、船内積みおろし作業の契約をいたしますと同時に、港湾サービス仕事も付随して一年間私の方が引受けることに決定したわけです。ところが、これは小倉支店当時にいたしましたことですが、実際の作業は関門港において起るので、たまたま私が二月の初めに門司支店長に小倉の支店長から転勤いたしまして、いろいろ当初から携わつてつた関係上、まあ小倉支店よりも門司支店の方で契約した方が適当であろう、こういうようなことで、そのまま小倉の支店でやりましたことを、調達庁御了解のもとに門司の支店でお引受けする、こういうことになりまして、私の方が一年間のスデヴエドアーとハーバ・サービスと、この両方を受持つことになりましたわけです。
  129. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そのあつた経過はわかりますが、その契約の内容が問題なので、契約の内容を聞かしてほしいのです。
  130. 田中俊彦

    田中証人 契約の内容と申しますと……。
  131. 高木松吉

    ○高木(松)委員 契約を結びましたとあなたは言つているのでしよう。そうしたらその契約を結んだ内容があるはずです。軍に契約を結びましたという表現では、われわれには内容はわからぬ。そこであなたにその結んだ契約の内容をお尋ねする。主として起重機を中心にしての問題をはつきりさせてもらいたい。
  132. 田中俊彦

    田中証人 そのときの契約の内容は、昭和二十五年度一年間にわたつて関門港に入出する船の貨物の積みおろし作業をやる、但しこれは占領軍の発給のPD作業として命令せられるところのものをやる。主として作業は関門港に入出するところの船の荷物の積みおろしでございます。そしてそれをやる者が港湾サービスをあわせて引受けてもらいたい、こういうことで、あわせてお引受けいたしました。その内容は私の方が持つておりますはしけ、小蒸気その他の荷役施設、こういうものを使用する場合がおもでございますが、そのほかに現在御質問を受けましたところの起重機船とか、あるいは岸壁に本船をつけあらけするところのその際の引きボート、それから船舶に対するところの給水、それからブイの使用、それから水先案内の手配並びにこれが仕事の監督、そのほか普通に行われるところの港湾における船舶が必要とするいろいろな器具、施設の提供、こういうものについて一切取扱いをする、こういうことが今のハーバーサービスの内容になつております。
  133. 高木松吉

    ○高木(松)委員 その契約書はお持ちになつていますか。
  134. 田中俊彦

    田中証人 現在持つておりません。
  135. 高木松吉

    ○高木(松)委員 会社にありますか。
  136. 田中俊彦

    田中証人 会社にはございます。
  137. 高木松吉

    ○高木(松)委員 その契約は随意契約かどうですか。
  138. 田中俊彦

    田中証人 二十五年の一月に、私の方とそのほか三社が見積り合せをしたと記憶しております。あるいはほかに四位おつたかもしれませんが、これはマル公に対する何パーセントでもつてお引受けするか、こういう入札の方法でございまして、それぞれ入札の結果、私の方が一番最低でおるということでお引受けすることになつたわけでございます。
  139. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そうすると、今の話によるとこの起重機使用に対しても見積りをしているのですね。
  140. 田中俊彦

    田中証人 今の見積りと申し上げましたのは、先ほどから御説明いたしますように、船舶の積みおろし作業について、たとえば当時関門港の石炭が一トン当り幾らであるという公定価格がありまして、それに対してその当時の実際に行われておるところの相場が五割であるとか、六割であるとか、あるいはそれの八割であるとかいうようなことを勘案いたしまして、マル公一ぱいもらわなくても、われわれは仕事ができるということで、パーセント入札をしたわけでございます。ですから、今の起重機その他の港湾サービスに属するところの仕事については、パーセント入札はいたさなかつたのであります。
  141. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そこであなたが契約している特調との契約の内容の仕事、あなたの会社が直接やつている仕事は何と何があるのですか。それからいま一つ、直接でない分、たとえば桝谷組を介するとか、西日本を介するとか、その他下請ですね。その間の事情を全部話していただきたい。
  142. 田中俊彦

    田中証人 直接私の方が仕事いたしますのは、たとえば九月について申し上げますと、今ここに資料は持ちませんが、船舶の積みおろし作業というもの、これは沖荷役と沿岸作業とにわかれておりますが、こういう作業を直接いたしました。それから起重機使用されておりますが、との分は私の方に今施設がございませんもので、西日本その他のところの分を私の方が借りたということになつております。それから水先案内はやはり水先案内組合がこれをいたしまして、私の方は水先案内を平生やつているわけではございません。その他引舟につきましては四千二百六十六円という仕事をいたしております。こういうのは詳細ちよつとわかりませんが、私の方の引舟を提供したり、あるいは私の方の舟が忙しいときにはよそから借りて、そうして使用する。こういうことになつておるのでございます。
  143. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それではそこで聞くのですが、あなたの方の会社で直接自分がやつているんじやなく、ほとんどこの二つの契約でやつている仕事というものは、下請にまかしてやつているというように聞き取つてよろしいか。
  144. 田中俊彦

    田中証人 私の方の施設がなくて第三者の分を使用するという場合においては、ただいまお説のように下請にさせておるということになります。
  145. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そういうことを聞いているんじやない。要するに大体においてこの二つの契約によつて課せられたあなたの義務、それを下請の者たちにやらして、そのあなたの受けている義務を履行しているという形は、言いかえればあなたのところは、口銭だけとつて下請にやらしている形じやないか。調べればすぐわかるのだ、その点を聞いている。
  146. 田中俊彦

    田中証人 私の方の引舟並びにはしけを使用するところの仕事を行う場合においては、ただいま申されましたこととは違いまして、私の方の直営作業でございます。私の方の力の及ばないところのものたとえば関門港におけるブイの使用、岸壁の使用、上屋の使用、それから専門に関門港において本船を岸壁つけあらけに使用しておるところの引ボートとか、そういうものの作業は私の方が取扱いをした、この仕事についての整理関係の取扱いをした。こういうことになつております。
  147. 高木松吉

    ○高木(松)委員 どうも証人はその点はつきり証言しないが、私の聞きたいことは、それならこういうふうに聞きましよう。あなたの方で特調との契約をして、そうして特調から受けた代金、この代金の何割のものを自分のところでやり、他は下請にまかしたという、その数字の点でひとつお尋ねいたしましよう。概算でよろしい。
  148. 田中俊彦

    田中証人 何割やつたかということはちよつとわかりません。わかりませんが、一言私が申し上げたいことは、一年間のPDに基くステヴエドアー並びにハーバーサービス山九がやるのだ、こういうふうに契約され、そのPDに基いて占領軍のワーク・オーダーが私の方あてに発行されるわけであります。私の方はのPD指名業者として契約をいたしております以上、欲するといなとにかかわらず、PDを実施するところの、ことにワーク・オーダーをもらいましたら、そのワーク・オーダーに従つてやらなければならぬ義務があるのでございまして、かりに道具を持つてつても、あるいは持つてなおらくても、あるいは道具をどこのものを使おうが、あるいはまた水先案内のごとき、私の方とは直接関係がなく、指揮も監督もほとんどする必要がない、ただ電話で何時に占領軍が来てくれといつておるぞという簡単な要務連絡だけで済む場合においても、一応契約の建前上、またワーク・オーダーをもらつた責任の建前上、私の方がやつた、こういうことになつておるわけであります。
  149. 高木松吉

    ○高木(松)委員 さようなことを証人から聞こうとしておるのではない。証人は何で抗弁らしいことをお話になるのか、私は疑問である。要するにあなたの会社で特調との間に契約を結んで、その契約に基いて仕事をなさつたのでしよう。その仕事のでき上つた、いわゆる特調から支拂金の何割直接自分のところでやつて、何割くらいは下請にまかしたかという、その点だけ私は聞いておるのであつて、あなたの方が契約に基いてなすべき義務を負つておるところへ義務の履行を迫られたことなど、私は今聞いておるのではない
  150. 田中俊彦

    田中証人 およそ何割ということは、今ここで私どうしても数字ははつきりしないのですけれども、金額から申しますと、ステヴエドアリングは百パーセント私の方で直接やつた。下請でなくてやつた仕事でございます。ハーバーサービスにおいては、実際的にはその中のほとんどが今の下請の形をとつております。
  151. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それで先ほど四建との契約を破棄した、口頭で破棄したとあなたはお話になりましたね。その破棄した時期はいつですか。何月何日ですか。
  152. 田中俊彦

    田中証人 一応九月の仕事は九月の十八日から二十七日までやつたのでございますが、その二十七日の仕事が終つた前後だと思います。
  153. 高木松吉

    ○高木(松)委員 破棄した後は、あなたの方と四建との間の使用契約を破棄して、その後桝谷組と四建との契約ができたのだろう、こう言つたのですね。
  154. 田中俊彦

    田中証人 私の方と三者話合いの上で、当初にさかのぼつて私の方は桝谷契約する、四建と桝谷との間は当初にさかのぼつて別個に契約をする、このように申したわけでございます。
  155. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そうはつきりしてないから私は聞いたのだが、そこで使用料として四建からあなたの方に請求して来た六十九万九千八百四十円ですね。これはどういう意味ですか。元来桝谷組請求するのがほんとうだろうと思うが、あなたのところへ請求して来たというのはどういうわけですか。
  156. 田中俊彦

    田中証人 今申し上げましたように、九月十八日からほとんど九月いつぱい、二十七日まで当初の契約に基いて仕事をずつとやつておりまして、後になつていろいろな関係から話合いの上、当初にさかのぼつてつたということでございますので、四建の方から一時間につき三千二百四十円、こういう使用料請求して来たのだと思うのでございますが、その点は詳細当時のことを記憶がはつきりありませんので、はたして六十九万を何月何日に持つて来たかということについてははつきりいたしません。ただ十八日から二十七日について一時間当り三千二百四十円、これは対して実際働いたところの時間をかけたものがあるいは持つて来たその数字かとも思うのでございますが、はつきりいたしません。
  157. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そこでいよいよ私の聞きたいところが出て来たのだが、桝谷組から提供された第五号起重機を一時間使用すると、幾ら特調からあなたつ方で受取つてつたのですか。
  158. 田中俊彦

    田中証人 一時間について八千二百五十円の使用料でございます。
  159. 高木松吉

    ○高木(松)委員 この八千二百五十円の使用料というものの内容はどういうものなんですか。逆に、この八千二百五十円の使用料の中に、四建に拂うべきいわゆる使用料が幾ら入つておるわけですか。
  160. 田中俊彦

    田中証人 当初福岡物価庁にマル公価格をきめてもらうために申請いたしました起重機使用料というものは―大体起重機という言葉でもつて代表されておりますけれども、起重機船並びにそれに付随する引ボート、これの合計額でもつて起重機船、こういうふうにうたつてあるわけでございます。それで第四港湾建設と私の方と当初契約いたしましたところの使用料は、起重機船そのものについては三千二百四十円、それからそのほかのボート、これは三千二百四十円と八千二百五十円の差額、すなわち約五千円ばかりに相当するところのものが引ボート賃、そういうことでもつて起重機船の一時間当りの單価が算定されておるわけでございます。それで当時の実情を申しますならば、起重機船、すなわちその重重物を上げるところの浮きクレーンは四建のものでありますが、これに付随して作業をいたしますときに使用いたしますところの引ボートは別個の計算なつておるのでございます。
  161. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そこで先ほど委員長に答えたのは、九月分の使用料六十九万九千八百四十円を四建に持つてつて、あなたの方が四十八万一千六百四十二円を持つてつた、こういうのですね。それで残る二十一万八千百九十八円を向うへ残して支拂つて来た、こういうのだが、これとこの問題とが合うわけですね。そこで三千二百四十円の使用料は何の使用料なんですか。これは起重機船使用料なんですか。
  162. 田中俊彦

    田中証人 私の方は第四港湾建設に起重機船使用させてもらいたいという手続をいたしまして、それで先ほど申し上げたような契約をいたしたわけでございまして、一時使用料がこれに充当されるものであるか、それから何であるかということは、私の方では承知いたしません。ただ官庁の方へこれは一時間当り三千二百四十円というように使用願を出しました。その一時使用料の値段は先方から示されたわけであります。それが何に充当されるものかとか何とかということは、官庁のおさしずの値段でございますから、私の方としてはわからないわけでございます。
  163. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それなんです。使用料というものは、その船を持つて来て使用する対価なんですね、あなたは使用料と言つておるが……。ところがさいぜんからいろいろ聞いておると、使用料にあらずして、使用料以外の、その船を動かしたり何かするための一つの金らしい。われわれがあなたの使つている使用料という言葉を聞くときは、物を借りるということになれば、それ自体人間もつかない、何もしないものを借りるという観念なんだ。ところが、あなたが先ほど言つたようなことで、四十八万一千六百四十二円という金を差引いて、使用料の中から持つてつた、こういうのでしよう。その内容をぼくは聞きたい。だからあなたの言うようなりくつじやない。事実を聞くのだ。その金は何の金です。使用料として三千二百四十円拂えば、四建の方でそれをとつておくへきにかかわらず、あなたじやない、桝谷組に返したのだろうが、事実上はあなたの側から行つてつて来たという。これの法律上の問題は別として、とにかくもどして来た金は何か聞きたい。
  164. 田中俊彦

    田中証人 どうももとして来たとか、持つて来たとかいう言葉は、私には何のことであるかはつきりしないわけでありますけれども……。
  165. 高木松吉

    ○高木(松)委員 何のことかわからないで答えられちや困る。わかるように言いましよう。とにかく先ほど委員長の答えに、九月分の使用料山九運輸請求したところ、六十九万九千八百四十円を四建に持参した、あなたの方から持つて行つた、こういうのでしよう。ところがその使用料の中から諸経費と称して四十八万千六百四十二円を差引いてあなたの方が持つて来て、その残額二十一万八千百九十八円だけを第四建に置いて来た、こう言うが、使用料を拂つたのなら、向うへ持つてつて置いてくればいいので、何も諸経費使用料の中から持つて帰る必要はないだろう。その間の事情がはつきりしないためにわれわれは疑惑を持つのだから、その疑惑を解いてほしい、こういうのだ、今度はわかるだろう。
  166. 田中俊彦

    田中証人 御返事いたします。六十九万何がしという金を四建に使用料として出したという事実はございません。まして四十八万を差引いて持つてつたということ自体が、今おつしやられたそのことは、事実が私の方にはないわけでございます。
  167. 内藤隆

    内藤委員長 高木君、それはこうなんだ。山九と四建とは契約を破棄しておつて、直接にいわゆる桝谷組とやつたのでありますから、自分承知しない、こういうことです。そうでしよう。
  168. 田中俊彦

    田中証人 そうでございます。
  169. 高木松吉

    ○高木(松)委員 わかりました。そうすると先ほどからのあれをあとで書画で明らかにしてもらいたい。この起重機使用を含む特調との契約の全文、これが一つ。それからあなたの方で特調との請負契約を締結した、その最初から最後までの間に何を請負い、何をして特調に対して幾ら請求して、幾らもらつたか、その金額です。そうしてその仕事の内容が、あなたの会社で直接おやりになつたものと、下請に請負わさせたものがおるとの証言ですから、それを区別して、金額を表示して明細に報告してもらいたい。この二点を私は証人に要求したいと思います。  それから最後に念を押しておきます。ただいまのお話で明らかになつたのだが、四建から九月分の使用料証人会社に六十九万九千八百四十円を請求して来た事実がないとのお話ですが、その点は間違いありませんか。
  170. 田中俊彦

    田中証人 ただいまの書類については至急調べて提出いたします。  なお九月分の請求を特つて来たかどうかということにつきまして、先ほど申し上げましたように、仕事を始めて後にいろいろな点からそのように切りかわつたわけでございますから、一応使用料に相当するところのものの請求を私の方に、口頭でして来たか、あるいは各書面でした来たかということにつきましては、はつきりいたしません。向うから請求して来たかどうかについてははつきりしております。ただそれに対する代金の決済については、先ほど申し上げましたように、桝谷の方との交渉になつたわけであります。一応向うから持つて来たかどうかについては、現在ここで私は、そうであるこうということをはつきり申し上げることはできません。
  171. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それはあなたが帰つてから調査してはつきりしてもらいたい
  172. 田中俊彦

    田中証人 かしこまりました。
  173. 高木松吉

    ○高木(松)委員 この点についてははつきりできるでしよう。あなたの会社が六十九万九千八百四十円を四建に持つてつて、四十八万一千六百四十二円の諸経費を差引いて、二十一万八千百九十八円を置いて来たという事実はありませんね。
  174. 田中俊彦

    田中証人 お答えいたします。先ほど申し上げましたように、私の方からの事実はないと私は確信いたしております。
  175. 内藤隆

    内藤委員長 ちよつと証人に尋ねますが、昭和二十五年度の船内積みおろし作業は、PDによる作業であるとさいぜんあなたは証言されましたね。これに付随して契約したサービス契約もPDによる作業と解釈してよいですか。
  176. 田中俊彦

    田中証人 御返事いたします。PDによるところの作業と解釈していただきたいと思います。
  177. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 簡単に証人にお尋ねいたしますが、証人山九に入社されたのはいつごろですか。
  178. 田中俊彦

    田中証人 昭和九年の十二月の五日でございます。
  179. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 それ以前にどこにおられましたか。
  180. 田中俊彦

    田中証人 昭和九年の三月に九州帝大法文学部を卒業いたしまして、爾来自宅におつて職業を持ちません、十二月五日に至りまして山九に入社いたしました。
  181. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 この際、山九運輸会社の重役並びに門司、小倉各支店の支店長の経歴書を出してもらいたいということを要求いたします。
  182. 内藤隆

    内藤委員長 書類をもつて本店、支店の幹部の氏名、資本金、会社の経営、そういつたものを書類で出してください。
  183. 田中俊彦

    田中証人 承知いたしました。
  184. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 今の話で大体のところあとで書面で出してもらいますが、どういう人が重役になつて、資本金幾らだ、それを簡單にお伺いしたい。
  185. 田中俊彦

    田中証人 申し上げます。私の方は神戸の中村汽船の傍系会社でございます。社長は中村汽船社長中村勇一、これは山九の社長でございます。専務は岡崎真一、常務が四人おりまして、名前を申しますなら安藤直明、松永猛雄、――非常に順序は違いますが、久保田鼎造、後藤利孝、そのほかに取締役が湯藤實則、中村健治、中村公三、館正直、岩井伝三郎、射場介一、監査役竹内正三、重役は以上でございます。あるいは一人くらい落ちているかもしれません。資本金は千四百万円でございます。
  186. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 今聞いたら長くなりますから、その人たちの前歴をあとで書面で出してください。
  187. 田中俊彦

    田中証人 はい。
  188. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 さつき第五号起重機ということは知らなかつたと言われるが、とにかく第四建で所管しておつた起重機ですな。あれについて門司港湾協議会が運動したという事実を知らなかつたと言われたが、一体四建へ所管になつて、そうしてあなたのところの作業でこれを使うということになるまでに、相当の経緯があるだろうと思う。その経緯をひとつ詳しく述べていただきたい。
  189. 田中俊彦

    田中証人 昭和二十五年の二月の初めに門司支店長に転任いたしました。その以前は、終戰後上海から引揚げまして、小倉支店に三年半ばかり勤務しておりまして、もつぱら別の関係仕事をいたしておりましたものですから、こういう起重機関係の詳細につきましては、起重機に限らず、関門、洞海湾地区におけるところの海運関係の施設については、私は非常に知識がございません、ただいまお尋ねの起重機がそもそもどういうものであるかとか、それにどこがからんだ話であるかというようなことにつきましては、一切知りません。
  190. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 この契約をするときにはあなたが直接やつたんでしよう。この契約をやるときに、第四建設の持つておる起重機を使おうという目星をつけて、それで見積りを出したのでしよう。何も知らずにそんなことが言えるわけがない。何かこうやれば使えるという見通しがあつたからこそ出したんのではないか。それを聞きたい。
  191. 田中俊彦

    田中証人 お返事いたします。結果から申しますと、私の方がいろいろなことを承知した上で下請を使つたことに見えるのでございますが、事実は門司港に西日本重工所属の起重機船がある。第四港湾建設が一つ持つておる。桝谷が一つ持つておる。こういうようなことは公知の事実であり、かつ占領軍においてそれを承知いたしまして、そうして具体的にこれを使用いたします場合におきましては、私の方にワーク・オーダーが出はたいしますけれども、実際的には占領軍が四建の責任者を呼び出す、あるいは西日本重工の責任者を呼び出して、お前のところの起重機を持つて来いというようなことで、そうして使用いたしまして、これの調達庁関係の手続、取扱い、こういうようなことを結果的に私の方がいたしましたということになつておりますので、お尋ねのように第四港湾建設の起重機がどういうものであり、どうであるかというようりなことは、実際には非常に知らなかつたわけでございます。
  192. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 先ほども聞かれたが、あなたの方から調達庁へ出されたいわゆる原価計算のときには日本サルヴエージ起重機ということはうたつてある。だからこれは元日本サルヴエージにあつたということは御承知だろうと思う。その日本サルヴエージにあつたものが第四建へ来て、そしてあなたの方で使われたというこのいきさつを聞きたい。
  193. 田中俊彦

    田中証人 起重機船使用単価がどの程度のものであるかということで、一応の福岡物価庁單価を出すために、日本ザルヴエージの原価計算が参考になつたということでございまして、今の契約起重機使用する作業について、起重機使用料が幾らであるかという單価を一応物価庁の協定価格に出す。そのことのために日サル起重機原価計算が一応問題になつたので、あとは一応の標準が立つた。それでこれと同等の起重機船使用した場合にはこの單価使用して行くということのために、一応日サル原価計算が出たように私は思います。
  194. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると、日本サルヴエージ原価計算で出した起重機は、第四建設局が所管している起重機と同一のものであるということを知らなかつたのか。
  195. 田中俊彦

    田中証人 同一のものであつたかどうかということは、私は知りませんでした。
  196. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それが今言われることからすると、あなたの方から第四建に対して起重機を使わしてもらいたいというので、使用願を出して、そして許可を得たわけですね。ところが今のあなたの話を聞くと、進駐軍で使つてそのあとでただこつちでやつたというなら、そんなことは言えないはずだが、やはりこれからこれを使つて仕事をしようというので、あなたの方で使用願を出したのでしよう。
  197. 田中俊彦

    田中証人 代金をいかに請求しいかに支拂うか、それをはつきりするために契約書をつくりましたわけで、私がさいぜん申しましたことは、仕事のしかかりにおいて、どのような手続で仕事が行われものであるかということを申し上げたのであります。今の書類は日付はいつになつているか知りませんが、契約は、一応仕事をする、これについて幾ら拂い、幾ら請求したらいいかということのために、後日に使用し始めてからつくつたものであります。
  198. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 一応そう聞いておきます。それから先ほど高木委員からも言われてはつきりしないのだが、この使用料の三千二百四十円は向うから言うて来たそうだが、向うからどういう形で起重機が来るのですか。起重機だけは持つて来て、人間はこつちので動かすのだろうと思うが、その点はどうですか。
  199. 田中俊彦

    田中証人 四建の方にも起重機使用いたすところの人員は、あるいはおられたかとも思うのでございますが、主として占領軍使用いたしますときには、この九月のときは桝谷組の人間が乗つて――一番初めは乗つてつたかどうか、そこのところはどのようにかわつて行つたか、私も知りませんが、仕事に非常に困難して、桝谷組の人間とかえられて、桝谷組の人間がこれに乗せられて占領軍仕事をした、このように覚えております。
  200. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすれば俗にいうチャーター料だね。そう見ていいですね。この使用料というのは賃貸料、われわれの法律の言葉でいう場合には、さようなことに解釈してよろしいでしような。
  201. 田中俊彦

    田中証人 一時使用願、このように出しましたので、官庁の方でこの使用料金をチヤーター料として算定されたものか、その起重機の、たとえば修理代として計算せられたものであるか、あるいはそのほかのあれで算出せられたものか、この点につきましては、ここに一時使用使用料、こうなつておりますので、私からどのようにこれを解釈するということは申し上げられないと思うのでございます。
  202. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それだから私は先に聞いておる。人間でも乗つて来ておつたか、そうでなかつたか、それを聞いておる。人間が乗つて来ておれば人件費が入つておる、そうじやないのでしよう。もちろんその中には損耗費も入つておる、いろいろありましよう。俗に言う賃貸料であることは間違いなかろう、こう思うのだが、あなたはなぜそういうようなことをわからぬと言うか。使用料というのはそういうことだ。
  203. 田中俊彦

    田中証人 お話の通りに使用料――一時間につき何ぼ、こうなつておりますので、これは要するに使用する料金……。
  204. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 その次はあなたの方の原価計算だが、あなたの方の原価計算は、トン数、能力その他を計算して出されるものと心得るのですが、そうじやなくて、ただ目の子計算で出されたのか。いやしくも原価計算という以上は、トン数、能力、作業率等を基礎にしなかつたら出ぬものと思うのだが、先ほどのあなたの証言によると、みな一つかみにやつておると思うのだが、それはどうです。
  205. 田中俊彦

    田中証人 一例を申し上げたいと思うのですが、ここに西日本重工原価計算表が出ておりませんのでわかりかねるのでありますけれども、大体原価計算は仰せの通りに船員の給料、それから保險料、それから燃料費、修繕費消耗費、雑費、そういうもので大体幾らかかる、ところがこれを何時間使うかということによりまして――これは特殊船でありますものですから、一箇月に一回使う場合もあれば、仕事の輻湊いたしました場合には、何日も引続き使う、そういうことになりますと一時間当りの單価が安くなります。ところが一箇月に一回か二回しか重量品の扱いがなかつたという場合におきましては、非常にこれが高いものにつくわけでございまして、はつきりした原価に基くところの、これが妥当な値段であるということは、請求する方もまた受ける方も困難でございます。そのために大体一箇月当り二百時間使うものとして、たとえばトン当りは幾らになる。これはその所有者あるいは取扱者の見込みによつて、非常に開きがある種類のものでございます。大体ここに当時申請いたしました原価計算の書類を持つておりませんので、どのようなことを基準にして割出したかわかりませんが、大体一時間当りが三千何がしというような値段が出ております。
  206. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 どうもあなたは私の言うことを先入主を持つて聞いておる。なぜ私の言うことに率直に答えない。いやしくも船を使つてそれに賃料を拂う以上は、仕事の能率がほんとうだろう。消耗費であるとか破損費は幾ら、そんなことを言つておるが、これだけの船を使えばこれだけの仕事をする。それに対してこれだけの金は拂わなければならぬ、これが根本である。仕事がもとだろうと思う。そうすれば小さい船と大きい船とは仕事の能率が違うから、賃料が違うはずだが、それはどうだ、そのことを聞いておる。
  207. 田中俊彦

    田中証人 お尋ねの意味がよくわからなかつたのでありますが、ただいまお尋ねの、仕事の能率に応じて單価がきまると申されるのですけれども、結局起重機船そのものの経費がどれだけかかるかによつて、その仕事に対するところの値段がきまるものだと思います。
  208. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そういうことを言うならもつと法律的に聞くが、あなたはその船を頼んで来て賃料を拂うときに、消耗費ばかり拂つているつもりか、仕事してくれるから金を拂つているつもりなのか、どつちか。
  209. 田中俊彦

    田中証人 それは仕事してくれるから拂う。
  210. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それから仕事の量が根本じやないか。その仕事のために経費がいればそれに加算して拂う。そんなことは言わぬでもわかることだ。私の言つているのはそれです。仕事するから拂うのだろうと聞いている。そうじやないと言えまい。間違ないね……。それじや重ねて聞くが、二十五トンの船と五十トンの船と仕事の量は同じであるかどうか。
  211. 田中俊彦

    田中証人 二十五トンの船と五十トンの船とは、かりに一箇の荷物が三十トンとか四十トンとかいう重量のものである場合においては、非常に違つて来ると思うのでございますが、十五トンであるとかあるいは二十トンであるとか、どちらもつれるという場合におきましては、大体においてそう大して経費はかわらないと思います。
  212. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私は経費を聞いておるのではない、仕事の量を聞いておる。金を拂うのは仕事の量で拂う、経費はきまつている、小さい船も大きい船も大して違うわけはない。仕事の量を聞いておる。あなたは二十トンの船のチヤーター料も五十トンの船のチヤーター料も同じに拂つているのか。そんなばかななことが世の中にあるまい、それを聞いておるのだ。
  213. 田中俊彦

    田中証人 それは二十トンの船と五十トンの船は明らかに値段は違うと思います。
  214. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 しからば二十五トンの船を使つて五十トンの原価計算をもつて請求したというのはどういうわけですか。
  215. 田中俊彦

    田中証人 二十五トンの船というのはどの船のお話でございますか。
  216. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 先ほど聞いたところによると、桝谷組の二十五トンの船に対して、あなたは西日本重工と同じに五十トンの船で請求を出したと言つている。
  217. 田中俊彦

    田中証人 それは公称何トンの船であるかということは、普通の船のトン数と起重機船とはすこぶる観念が違うように私どもは……。(「そんなばかなことがあるか」その他発言する者あり)
  218. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなたが請求した先は調達庁だね。調達庁へその金を請求しましたね。
  219. 田中俊彦

    田中証人 請求しました。
  220. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 調達庁は官庁だ。調達庁の金は国民の膏血をしぼつた税金から出ているということを知つておりますか――知つておるかどうか。
  221. 田中俊彦

    田中証人 調達庁のお支拂いの金は、国費によつて支拂いになるように承知いたしております。
  222. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 その金から、二十五トンの船を使いながら五十トンの原価計算で金をとつた。それはどうだ。さようなことは許せることかどう思う。
  223. 田中俊彦

    田中証人 二十五トンとおつしやることが私にははつきりいたしませんのですけれども、とにかく桝谷組の船も西日本の船も能力はかわらないように当時われわれは考えておりました。
  224. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 また元へもどるが、それじやトン数は知つてなかつたのです。
  225. 田中俊彦

    田中証人 トン数は正確に何トンつれるかということは、当時調べておりません。
  226. 内藤隆

    内藤委員長 証人に言うが、もう少しまじめに答えぬといかぬ。
  227. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 証人はこの点に対して責任を感じておるか感じておらぬか。
  228. 田中俊彦

    田中証人 現在そのようにおつしやいますと私は答弁の仕方がないのでございますが、桝谷組クレーンは二十五トンであるということは、今聞きましたわけで、当時はみな同じように五十トン・クレーン承知いたしておりました。
  229. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そういうことは間違いありませんか。
  230. 田中俊彦

    田中証人 間違いございません。
  231. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 今日はどうです。
  232. 田中俊彦

    田中証人 今日もはつきりいたしません。
  233. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると、あなたはトン数なんかどうでもいい、とられるだけとつたんだな。そう言うよりほかない。
  234. 田中俊彦

    田中証人 大体起重機船というような観念で処理いたしておりますから、はたして五十トン・クレーンというものが四十トンであるか、あるいは四十五トンであるかというようなことにつきましては、詳細私の方は問題にいたしませんでした。
  235. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 君の方も問題にしておらなければ、調達庁も問題にしておらなかつた。どうだ。
  236. 田中俊彦

    田中証人 調達庁の方で問題にされたかどうかはつきりいたしませんが、とにかく桝谷組にしましても、西日本にいたしましても、あるいはどの分にいたしましても、この起重機に幾ら経費がかかるかということによつて計算が出ておりますもので、公称何トンのものであるかということにつきましては、われわれといたしまて大きく考えなかつたというふうに私は申し上げたいわけでございます。
  237. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなたは、トン数なんか考えないんだと言うが、さようなことで通る世界があることが、われわれふしぎでならない。商人と商人の間だつたら、さようなことは通りますか、しかるに特調なるがゆえに通つておる。ここにわれわれはこれを調べなければならぬ根本がある。国家の金だから、ただとつてもいいという考えを持つていると見るよりほかにない。そんなことが世界で通るものか。これ以上あなたに追究してもしようがない。いかにあなた方が、つかみどりで金をとつておるかという事実を明らかにするだけの話だ。
  238. 田中俊彦

    田中証人 今追究を受けました五十トンという名称の問題でございますが、あくまでも私どもの立場をはつきりいたしたいと思いますことは、公称が五十トンあるいは四十トンと名称があろうとも、とにかく重量品をつるところの起重機船は、同じ程度の能力を持つておるという観念で、乗組員、保險料あるいはこれに要する燃料その他修繕諸掛、こういうものを基準にして、これの單価を算出いたしておりますから、五十トン、三十トン、あるいは四十トンの経費はそう違わないものだというように確信するのであります
  239. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなた方そういうことで通ると思つてここに来ておることがふしぎだ。どこまでもそう強弁せられるならば、いずれまた明らかにするときがあるでしよう。  もう一つ、先ほど高木委員から聞かれたが、あなたが特調との契約は入札でやつたというのは、荷揚げの請負契約だろうね。
  240. 田中俊彦

    田中証人 荷揚げだけでなく、沿岸作業と本船の積みおろしの作業であります。
  241. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると先ほどから聞いておる港湾サービスというのは、また契約は別ですね。
  242. 田中俊彦

    田中証人 くどいようでありますけれども御説明させていただきますと、本船の積みおろしの仕事のことをステヴエドアリングといいます。それから沿岸の荷物の積みおろし、岸壁から本船に直接行く場合の作業、積みおろし業務関係は二通りになつております。それからその他の、たとえば本船に給水するとか、バイラーを出すとか、あるいは船の運航に要するボートの使用とか、そういうのをハーバーサービスといいます。それからこの両方が一つのPDにまとめられておるわけであります。
  243. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私の聞くのは最初に入札でやつた荷揚げ等の契約とここでいう港湾サービス契約と二つの契約をされたのだろう、こういうことを聞いているのです。
  244. 田中俊彦

    田中証人 二つの契約をいたしております。
  245. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると、あなたが先ほどから入札でやつたというのは、最初の荷揚げの請負契約であつたと思うが……。
  246. 田中俊彦

    田中証人 入札は最初の積みおろし作業に対する入札でございます。
  247. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 しからばあとの港湾サービス契約も、入札でやりましたか、随意契約でやりましたか。
  248. 田中俊彦

    田中証人 これは積みおろし作業をやる人があわせてハーバーサービスもやることにする、こういうことでございましたので、あわせてすることになつたわけであります。
  249. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そういうことを聞いておるのではない。随意契約であつたか、入札であつたかということなんだ。随意契約なんだろう。
  250. 田中俊彦

    田中証人 その意味では、ハーバーサービスは入札でなかつたということになります。
  251. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それをはつきり言わないから迷惑するのだ。随意契約、そんなことはわかり切つておる。  それから四建との契約に移りますが、四建との船の一時使用契約は、何年何月何日に結んだのですか。
  252. 田中俊彦

    田中証人 日付は昭和二十五年九月十七日に申請いたしまして、請書も同日になつております。だけれども、実際これをつくりましたのは、九月の十八日以降二十七日までの間にやつたのだと記憶しております。
  253. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 二十七日までの間。間違いないですか。
  254. 田中俊彦

    田中証人 間違いないです。
  255. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 金を拂つたのはいつです。特調から金を受取つて、これで桝谷組に対して拂つたかどこへ拂つたかしらぬが、それはいつですか。
  256. 田中俊彦

    田中証人 今ここに資料を持つておりませんからわかりませんが、九月分を受取つたのは十一月の終りか、あるいは十二月に入つてからではないかと思います。というのは、七月分の作業賃が入りましたのは、たしか十一月に入つたと思いますので、それ以後になりまするから、あるいは十二月にかかつたのではないかと思います。支拂いにつきましては、八月九日以後十月、十一月、十二月というふうにずつと桝谷組に対して拂つてつたように思います。
  257. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私の聞くのは、これはなるほどここに日付は二十五年九月十七日となつておるが、実際はこういうものに判を押したのはいつだつたということを聞いておるのです。そんなあいまいなことではいけない。あなたに覚えがあるはずだ。
  258. 田中俊彦

    田中証人 申し上げます。日にちははつきりいたしません。九月の十七日の日付になつておりますけれども、使用いたし始めてから後に、代金決済のおれをはつきりするためにつくりましたので、九月の十八日以降二十七日までの間にこれを作成して、お互いにとりかわした、私の方からお願い書を出し請書を出した、このように思います。
  259. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 要するに計算のときにこういうものがなくては困るというのでつくつた、こう聞いてよろしいのですね。
  260. 田中俊彦

    田中証人 御返事いたします。そういうことをはつきりするために、こういうものをつくりました。
  261. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そこで聞きたいのだが、それならばこの契約ができたときは、もう計算が済んだわけだ、計算するためにやつたのだから。そうであるにもかかわらず、あなたはこの契約をさかのぼつて破棄して、そうして桝谷組と直接やらせることにした、こう言われることが合点が行かない、それは一体どういうことなんです。
  262. 田中俊彦

    田中証人 ちよつと恐れ入りますが、もう一度お尋ねください。
  263. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 こういうものは形式上そろえなければならぬのでつくつた書類なんだ、今あなたの言葉を聞いても、計算するときにこういう基礎がなければいけないから、そこで計算のためにつくつた、だからこれをつくつたときは計算が済んだときなんだ、そうでしよう。
  264. 田中俊彦

    田中証人 申し上げます。今おつしやられたことは全然事実と違つております。一時間一体幾らお拂いするものであるかということについてお聞きして、そうしてここにこういう書類を作成いたしましたわけで、決してお金を拂うときにつくつたんでもなければ、拂つた後につくつたんでもございません。
  265. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 いずれにしても計算するためにやつたのでしよう。その計算するためにやつたにもかかわらず、これをまた取消して、さらにまた桝谷組契約し直してくださいということは、観念上出て来ない、さような事実は一体あるのかね。
  266. 田中俊彦

    田中証人 申し上げましたことは事実を申し上げましたので、結局第四港湾建設には一時間につき作業賃幾らお拂いしたらいいかということについてこれを作成いたしました。そうして後に至りまして、いろいろ第四港湾建設と直接やるよりも、桝谷組契約していただいて、そうして私の方は桝谷組に拂う、そうすることがお互いにいいのだということでもつて、三者で話をしまして、後にかわりましたわけでございます。
  267. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなたそう言われるが、そうするとあなたはだれとだれとで話をしましたか。
  268. 田中俊彦

    田中証人 御返事いたします。私と第四港湾は近藤という、技官ですか、運輸事務官ですか……。
  269. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 何部の何課です。
  270. 田中俊彦

    田中証人 下関の第四港湾建設部の、何課でございましたか、ちよつと記憶ございません。それと桝谷組の社長と、三者で話しました。
  271. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなたが大事のことを言うておつて、相手方を覚えがないといつて、そんなばかなことはあるかね。
  272. 田中俊彦

    田中証人 下関の第四港湾建設部の近藤事務官でございます。
  273. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そこで桝谷組と第四建設と、また契約をとりかわしましたか。
  274. 田中俊彦

    田中証人 契約をとかりわしているはずでございます。
  275. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 はずじやいけない、そんな重大なことを……。あるならば、あなたの方からひとつ請求して、とつてみてもらいたい。
  276. 田中俊彦

    田中証人 その件につきましては、私先ほども申し上げたのでございますが、桝谷と第四港湾建設の契約はどのようになつているかということにつきましては知りませんもので、その契約書をとりかわしているものが、お互いの口頭の了解事項に基くものかということにつきましては知りません。ただそれについて調べて報告せよということでありましたら、事実につきまして、後刻調べまして御報告いたします。
  277. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなた、あるはずだと言つたから、知つているだろう、あるなら出してみろというのだ。そんなものはあるはずはないじやないか。それじやもう一つ聞きますが、先ほどからの質問で、あなたの方からは第四建設へ一時使用料支拂つた事実がない、また従つて第四建設からあなたの方で受取るべきもどしをもらつた事実もない、こういうことは明瞭になりましたが、桝谷組から第四建設へ行つておりますかどうですか。
  278. 田中俊彦

    田中証人 桝谷組と第四港湾建設の交渉につきましては知りません。
  279. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 いくらあなたが契約を変更したなどと言つても、そんな事実がないのだが、かりにあつたにしたところが一応あなたの方が借りたのですよ。それであなたのところの義務を桝谷組に引継がしたわけです。桝谷組が拂わなかつたら、あなたのところに必ず来るにきまつている。拂つたかどうかわからぬ。そんなことを知らぬでは済まない。その事実はどうか。
  280. 田中俊彦

    田中証人 桝谷組から四建に支拂いをする、こういうふうに三者申合せいたしましたから、その後第四港湾建設から、桝谷があのときの申合せに違背して支拂いをしない、だからお前の方は拂えいといようなことを聞いておりませんから、私は今日に至るまで桝谷組と四建の間は契約に基いて支拂われておるものだと考えております。
  281. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 ほんとうですか、ほんとうにあなたは拂つておると信じておるのか。
  282. 田中俊彦

    田中証人 それは今申しますように、当初の契約を履行せよというようなことを言われませんし、またはつきり桝谷組との間に決済をする、このように官の方で申されておつたわけですから、私はそのように考えております。
  283. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あるいはそういう話があつたかもしれないが、支拂つておらぬ事実は明瞭になつておる。しかるにこれが支拂つたことに表向き出ておる。その出ておるのは、先ほどから質問した六十九万九千八百四十円を、あなたの方へ請求している。そしてあなたのところから持つて来て、それで四十八万一千何百円を差引いて、残りの二十一万八千何百円かこつちに残つておる。ところがその事実はないことが明瞭になつておる。従つて桝谷組からは入つておるという事実は、こつちで調査したところありません。あなたはそれをあると信じられる何か根拠があるならば、聞かしてもらいたい。
  284. 田中俊彦

    田中証人 今申し上げますように、はたして拂つておるという根拠も、拂つていないという根拠も、私は持つておりません。
  285. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それならば私はさらに進んで聞きます。当初この委員会の事務局が調べに行つたときには、さようなものがなかつた。そんな賃貸料などという一時使用料などというようなものは、全然どこからも出て来なんだ。それがどうもだんだん調べてみると、沈没してその責任がどこえ行くということになつたら、それは賃料をとつて貸しておつたということにしてもらいたい、こういうことで、あなたの方と特調と第四建設と相談の上で、こういう賃料が出て来たという事実が、明瞭になつておるのだ。あなたはそういうことを言つておられるが、これはどうですか。
  286. 田中俊彦

    田中証人 今おつしやられたことは全然事実と違います。私はお調べをいただきました当時、その場に居合せませんし、またどのようなお調べを受けたかも全然知りません。今回呼出しを受けましたので、どういう事情だろうかということを聞きましただけでございます。それで当時こういう申合せはあつたとかなかつたとかということについて、どのように私の方の門司の支店の者が御返答申し上げたかどうかということにつきましては、私承知いたしません。(「報告はあつただろう」と呼び者あり)いや、お調べに見えたということは聞きました。けれどもどのようにそれに対してお返事をしたかということは聞いておりません。
  287. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 いずれにしても、ほんとうに拂つておるものか。現在四建の方であなたの方へ六十九万九千八百四十円を請求して、そしてあなたの方から持つて来た、ところがそういうことはないのでしよう。そのうち、さらにあなたの方へ四十八万千何百円もとして行つた、それもないのでしよう。さようなない事実を言うわけがないじやないか。この一事をもつて見ても、いかにこれがからくりであるかということは明瞭だ。そのからくりをあなたが知らぬわけはないと思うから、私はだんだん聞いておるのだが、実際知らないのですか。
  288. 田中俊彦

    田中証人 申し上げます。私は今の大十九万とか四十何万を持つてつたというような事実につきましては、今ここでお聞きするのが初めてでございまして、どのようなわけでそのようなことが問題になつておるのか、またそういう御不審を受けるのか、私はわからないわけなんです。
  289. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それではもう一ぺん重ねて聞かしてあげましよう。これは金なんか入つておらぬ。ところが金が入つておらぬということになると、ただで山九へ貸して、そうして桝谷組へ転貸ししておつた。それで沈没した。こうなると、たいへんな責任が起る。それで賃料をとつて貸しておつた、こういうことにしようということになつて、こういうものが出て来た。それだからつじつまが合わない。あなたの方は拂つておらないのがほんとうです。それを拂つておるということにからくりがある。これをあなたに明瞭にしてあげます。
  290. 田中俊彦

    田中証人 この三千二百四十円で契約いたしましたのは、作業を始めた当時にやりましたことでありまして、後に沈没したから、これをどうするとか、あとになつてこの書類をつくつたり、あるいは代金を授受したような形式にしてみたりというような事実は、私の承知する限りではございません。当初これをつくりまして、結局うちと四建と直接に、決済するよりも、桝谷を通じてやる方が一番いいというわけで、そのようになつたわけでございますから、今の六十九万あるいは四十何万というようなお話につきましては、全然了解できないところでございます。
  291. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなたはそう言われるが、いやしくも官庁が堂々と判を押して契約しておきながら、それを口頭で取消したなんて、そんなことは通るものではございません。要するにあなたの方からも拂わぬでいいことになつている。桝谷組からはもちろん拂わない。これは明瞭である。そこでわれわれが聞きたいのは、かような国家の大事な宝をそうかつてほうだいにただでそこら中に貸してやる。それには何かのからくりがあるに違いない、これはどうです、あなたここですつぱり言うたら。
  292. 田中俊彦

    田中証人 申し上げます。今の六十九万とかなんとかいうようなお話は、全然わかりませんわけで、からくりがあると申されるそのことが、私にはわからないわけなのです。何のためにそのように言われなければならぬのか。ただ成行きによつて契約がかわつたり、あるいは作為を加えたようにごらんになるかもしれませんが、とにかくそのときどきに従つて、われわれはこうすることが一番いいのだということでやつて来たわけでございますから、決して事前に何らかの目的のために……。
  293. 内藤隆

    内藤委員長 ちよつと……こういう弁明を聞いたつてしようがない。
  294. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 もう一つ、あなたの方で破棄したと言うならば、四建にあなたの方との契約書は公文書として残つておりましような。
  295. 田中俊彦

    田中証人 それは当初申し上げましたように、こうしてつくつたけれども、こうすることが一番いいということで、口頭でお互いに打合せをいたしました。それで事実的にはこれは一応つくつたけれども、なかつたというぐあいに、結果的にはなるわけでございます。それで覚書もかわさなければ、契約書もございませんし、またこれは返上になつておりますが、ただ口頭をもつて申合せをいたしましたわけなのです。
  296. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 これはますますたいへんなことを聞く。契約しなかつたのか。
  297. 田中俊彦

    田中証人 申し上げます。初めこうして契約をいたしました。それが結局桝谷組に肩がわりしたものですから、第四港湾建設と山九との間には契約は当初からなかつたということになります。
  298. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると、先ほど読んでおつたのは、やろうとした契約の案文なのだね。
  299. 田中俊彦

    田中証人 申し上げます。初め契約いたしまして、後に当初にさかのぼつてこうふうにしようということになつたわけですから、初めは契約したわけなのです。しかし事実的にこの契約はなかつたことになるわけでございます。
  300. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それはあたた判を押して渡したのか、向うからも何か承知したというものをもらつたのですか、廃棄せぬ前に。
  301. 田中俊彦

    田中証人 お渡しいたしました。
  302. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 向かうから判をもらつか。
  303. 田中俊彦

    田中証人 向かうからは判をいただきません。これは私の方から一方的に使用願を出し、また願いについてこのように誓約いたしますという請書なつていますから、ただ一方的に私の方から判をついて差上げる形式になつております。ですから先方からは、よし承知したと、事実でもつて御承認いただいたような形になつておるわけです。
  304. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 現在は、向うへ持つて行つた書類はどうなつていますか。
  305. 田中俊彦

    田中証人 これは私の方の控えですが、先方にもこのような書類はあるはずです。
  306. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あれば、いやしくも官庁がそういうものをとつた以上は、かつてに破棄になるものでない、そこを聞いておるのです。
  307. 田中俊彦

    田中証人 官庁方面の、いろいろな書類を処理なさることはわれわれはわかりませんが、結局こうすることが一番いいということで、口頭で申合せたときに、第四港湾の係りのお方も御承認をいただいておるから、事実的にはそれでさしつかえないのだと私どもは解釈いたしまして、そのまま、申し上げたような取扱い方をやつて来たわけであります。
  308. 内藤隆

    内藤委員長 さいぜんから証人は、一番いいとか、便宜だとか言うが、一番いいというのは、何が一番いいのですか。
  309. 田中俊彦

    田中証人 一番いいと申し上げましたのは、私どももそうすることが一番いいと考えましたし、第四港湾建設でも、そうしてもらえばよい、このようにおつしやつたことを申し上げたわけでございます。
  310. 内藤隆

    内藤委員長 だから、私どもが一番いいというのは何です。もつと具体的に、どういうわけで一番いいのか…。
  311. 田中俊彦

    田中証人 それはこの起重機船と申しますのは、起重機とそれからそれに付随するところの曳船、これによつて一つの道具が成り立つておるわけでございます。それで起重機船は第四港湾建設所属のものである。ところがボートは別個のものである。ということは、桝谷組のボートを使用しておるわけです。それで結局これを引受けたところの單価が、調達庁に対する私どもの請求額なつておりますから、これを一時間当り幾らと、切り離さず、ボート料は幾ら、起重機船は幾らということになつていなくて、一時間当り幾ら、こうなつておりますが、これをひつくるめて一緒に桝谷組に拂つて、そして起重機船に対するものは桝谷からこれをお拂いするということが、一番いいじやないかと私どもは考えたわけでございます。
  312. 内藤隆

    内藤委員長 桝谷組というのは、あなたの下請でしよう。
  313. 田中俊彦

    田中証人 そうです。
  314. 内藤隆

    内藤委員長 そうすれば一番いいも何もない。君の方で責任を持つてやる方が一番いいことになる。
  315. 高木松吉

    ○高木(松)委員 証人にはつきり言つておくが、おそらく私ども国民が、この問題に疑問を生じた点は、あなたもきのうの証人も通じて、何を疑問にしておるかというと、先ほど鍛冶委員の言うように、国家の金をごまかしてとつた事実があるかないかということが一つの問題です。それからいま一つの問題は、無償では貸し渡しのできない四建の第五起重機を、無償で貸しておるのじやないかという一つの疑い、この起重機船を、不法にも宇部の方に回航して、そうして沈没して、国家が数億の損害を受けておる。その責任があなたの下請の桝谷組というような、まつたく資力のないものが責任を負うようにつくつて山九はその責任をのがれておるのじやないかというようなことが疑いの重点です。その疑いの重点であるところへ来ると、あなた方の陳述がまつたくあいまいで、しかもそういう国民的疑いが真実であるようにとられるのです。午前中はこの程度でひとつ打切つて、午後からこれを継続しておやり願いたいことを、委員長に申し入れいたします。
  316. 内藤隆

    内藤委員長 ちよつと聞きますが、この証人をさらに午後引継げというのですか。あとまだ一人おるのですが、どうです。大体においてわかりましたからどうです。――ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  317. 内藤隆

    内藤委員長 速記を始めてください。それでは田中証人に対する尋問は、午後また引続いて行うことにいたしたいと思います。午後は二時より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後一時十六分休憩     ―――――――――――――     午後二時十九分開議
  318. 内藤隆

    内藤委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  引続き田中証人より証言を求むることにいたします。お諮りいたしますが、もう一名証人があるのでありまして、相当時間がかかるかもしれませんから、なるべく質問は簡單に、答弁もまた簡單にひとつお願いいたします。
  319. 小松勇次

    ○小松委員 山九運輸が四建から五十トン起重機を借りる契約をいたしまして、その期間が二十五年六月十八日から二十五年十月七日ということになつておりますが、この間その使用料としてお支拂いになつた総額はどのくらいでありますか、おわかりになりますか。
  320. 田中俊彦

    田中証人 お答えいたします。私の方から四建には直接お拂いをいたしておりませんが、四建の分として桝谷に拂つた金額は出るわけでございます。それを申し上げますと、九月分は百七十九万八千五百円を桝谷に対して拂つております。
  321. 小松勇次

    ○小松委員 これはいつからいつまでですか。
  322. 田中俊彦

    田中証人 これは九月十八日から九月二十七日に対する分であります。
  323. 小松勇次

    ○小松委員 あなたの方で四建へ直接拂わないで桝谷支拂つたのであると言うのですが、この四建とあなたの方との賃貸契約があるはずですね。その賃貸契約によりますると、一時間につき三千二百四十円支拂う、こういうようなことになつておるんではないですか、これは破棄したのですか、この点をはつきり聞きたい。
  324. 内藤隆

    内藤委員長 小松委員に申し上げますが、それは何回も破棄したと明瞭に言つております。
  325. 小松勇次

    ○小松委員 そうすると重複するかしれませんが、いつこれを破棄したのですか。
  326. 田中俊彦

    田中証人 九月十八日から二十七日の間に使用いたしまして、これに対する支拂い関係をどうするかということになりましたのですから、日にちはつきりいたしませんが、とにかくその前後に桝谷組、四建と打合せの上に、桝谷組から山九に対して請求し、山九桝谷に拂う。そうして四建は桝谷から使用料を受領するということに打合せいたしましたので、日にちはつきりいたしませんが、その前後に今の打合せをし、結局事実的に当初に契約いたしましたその契約が破棄になつた、こういうことに私は証言いたします。
  327. 小松勇次

    ○小松委員 そういたしますと、その破棄と同時に、あなたの方で福岡特調との契約も破棄されたのですか。
  328. 田中俊彦

    田中証人 調達庁との間の契約は一年契約なつておりまして、たといどこのクレーンを、だれが私の方に対してその代価を請求しようとも、私の方は特調に対して、簡単に申しますならば代理請求と申しますか、その取扱いをいたすわけでございますから、調達庁と私の方は契約は破棄になつておりません。
  329. 小松勇次

    ○小松委員 そうすると、特別調達庁とあなたの方との契約はそのまま存続しておるが、あなたの方と桝谷との請負い契約はここで破棄された。そうすると、その後においては桝谷が直接特調と別に何か契約を結ばれておつたのですか。やはりあなたの方で代行してそのまま仕事をしておつたのですか。
  330. 田中俊彦

    田中証人 四建と私の方との契約を破棄いたしましたわけで、それが四建の名前桝谷にいわばかわつたわけでございますから、四建の仕事桝谷仕事にかわつたわけなのであります。それで私の方と桝谷との関係は、やはり調達庁仕事をいたします上の下請け関係になるわけであります。で調達庁から山九、それから四建と、こうなつておりましたものが、調達庁山九桝谷と、こうなつて、起重機に関する限り桝谷と四建ということになるわけであります。
  331. 小松勇次

    ○小松委員 それでは伺いますが、山九桝谷との契約は、どんなことになつておつたのですか。このとき契約書があるのですか。
  332. 田中俊彦

    田中証人 非常に仕事が多岐にわたつておりますので、桝谷山九桝谷西日本桝谷とどこと、お互い業者同士におきましては一時間に幾らという申合せでございまして、はつきり契約書をとりかわすというようなことはいたしておりません。
  333. 小松勇次

    ○小松委員 それでは全然契約書がなくして、口頭でのとりきめなんですな。
  334. 田中俊彦

    田中証人 さようでございます。
  335. 小松勇次

    ○小松委員 そうするとこの内容はどういうぐあいになつておるのですか。
  336. 田中俊彦

    田中証人 桝谷自分で持つたクレーンと、それから四建のクレーンと両方を扱つておりますもので、これに対しまして引ボート、それから起重機船、これを加味したところの、それの一そろいになつたところの器具と申しますか、その施設につき、一時間に対して幾らこういう計算なつておるのであります。
  337. 小松勇次

    ○小松委員 それは幾らですか。
  338. 田中俊彦

    田中証人 そのときどきによつてつて来ておるのですが、一時間につき八千二百五十円の一割引、と申しますのは、原価に対して一割加算いたしましたところのものが八千二百五十円になつておるわけです。それで八千二百五十円を一・一で割りましたものが、桝谷の一時間当りの起重機船單価なつております。
  339. 小松勇次

    ○小松委員 二十五年の九月十八日から二十七日までの間に、西日本重工、四建、桝谷、この三つが五十トンの起重機船を使つて作業をしておるように、私どものこの調書では思われるのでありますが、これはおのおのみな三つの会社が五十トンの起重機船を持つて作業しておつたのですか。
  340. 田中俊彦

    田中証人 西日本、それから桝谷組もそれぞれ一基ずつ所有いたしておりまして、そのほかに四建の分があり、それを桝谷が使つたということになりますから、結局起重機船は三つで、それぞれ持つておるわけでございます。
  341. 小松勇次

    ○小松委員 これは事実三つあるのですか。
  342. 田中俊彦

    田中証人 ございます。
  343. 小松勇次

    ○小松委員 五十トンの起重機船ですよ。
  344. 田中俊彦

    田中証人 五十トンとなつておりますけれども、午前中問題になりましたように、桝谷の分はその能力は二十五トンであるとおつしやつておるので――私は、二十五トンということは、きよう聞きましたが、結局この能力ははたして何トンであるかということは承知いたしませんが、とにかく通称五十トン、四十トン、こういうふうになつて、はたしてどの分が五十トンほんとうに能力があるかないかということにつきましては、詳しく知りません。
  345. 小松勇次

    ○小松委員 どの分が五十トンの能力じやないのですよ。私のまず伺うのは、機械は五十トンの起重機船であつたかどうかというのです。
  346. 田中俊彦

    田中証人 当時は、起重機船といえば五十トン・クレーン、このように解釈いたしておりまして、通称五十トン、五十トンと言つておりました。
  347. 小松勇次

    ○小松委員 それでは二十五トンの起重機船はどういう名称があるのですか。
  348. 田中俊彦

    田中証人 二十五トン起重機ということは、当時申しませんでした。
  349. 小松勇次

    ○小松委員 申さなかつたかもしれぬけれども、二十五トンの起重機船使用しておつたでしよう。そうしてこの仕事を進めておつたのじやないですか。
  350. 田中俊彦

    田中証人 当時皆五十トン起重機ということで使つておりました。
  351. 小松勇次

    ○小松委員 五十トンの能力のないものを五十トンの起重機船として使つてその料金を拂うというところに、私どもは疑義がある。
  352. 内藤隆

    内藤委員長 それは何トントンということは問題ないというんです。ただ起重機船という名称だけが問題になつておつた
  353. 小松勇次

    ○小松委員 それがはつきりしておればいいです。
  354. 竹村奈良一

    ○竹村委員 一つだけ聞いておきたいのですが、あなたと、調達庁の栗本氏との関係は、ただの官庁とあなたとの関係だけ以外にいろいろ交渉があるかどうか、全然そういう事実はないのか、その点を……。
  355. 田中俊彦

    田中証人 栗本部長は調達庁契約部長でございますし、私は業者の責任者でありますので、ただその相手方の契約の責任者である、そういうことを承知いたしておるだけでございます。
  356. 竹村奈良一

    ○竹村委員 もう一点聞いておきたいのですが、先ほどから各委員の質問で、たとえば契約をする場合において、あなたは入札であつたとか、あるいはまたそうでなかつたような、はつきりしないのでございますが、この契約というのは、入札で契約をされたのか、この点をはつきりしておきたい。
  357. 田中俊彦

    田中証人 二十五年度の契約では、たしか二十五年一月の六日に、見積りの説明ないしは入札があつた記憶するのですが、そうして私の方と、今はつきりしませんが、ほかに三社だつたと思うのですが、それと一緒にパーセンテージの入札をいたしまして、そうして私の方がこの仕事を引受けることになつたわけであります。
  358. 内藤隆

    内藤委員長 ちよつと竹村委員に申しますが、その点は午前中に相当明瞭になつていると思います。それは、船の積みおろしは入札でやつた港湾サービスの方は随意契約であつたということになつておるわけです。  他に御発言がなければ、田中証人に対する尋問はこれにて一応終了いたしました。桝谷証人証言の結果再び尋問の必要を生ずるかもしれませんので、しばく元の控室にてお待ちを願います。     ―――――――――――――
  359. 内藤隆

    内藤委員長 それでは次に桝谷証人より証言を求めることにいたします。  ただいまお見えになつておられる証人桝谷喜代一君ですね。
  360. 桝谷喜代一

    桝谷証人 そうです。
  361. 内藤隆

    内藤委員長 あらじめ文書をもつて承知の通り、証人として証言を求むることに決定いたしましたので、さよう御承知を願います。  ただいまより国有財産管理処分関係事件中、第四港湾建設部関係事件について証言を求めることになりますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求むる場合には、その前に宣誓をさせなければならなぬことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて、黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られて、おりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由なくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知なつておいていただきたいと思います。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書朗読をしてください。     〔証人桝谷喜一君朗読〕    宣誓書   良心に従つて、真実を述べ何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。
  362. 内藤隆

    内藤委員長 宣誓書署名捺印を願います。     〔証人宣誓書署名捺印
  363. 内藤隆

    内藤委員長 これより証言を求めることになりますが、証言は、証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際には、その都度委員長許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は起立をしてお答えを願います。  証人桝谷組海事工業所のどういう役をしておりますか。
  364. 桝谷喜代一

    桝谷証人 代表者であります。
  365. 内藤隆

    内藤委員長 社長ですか。
  366. 桝谷喜代一

    桝谷証人 海事工業所でありますから、所長という名目になつております。
  367. 内藤隆

    内藤委員長 その桝谷組の事業内容を御説明願います。
  368. 桝谷喜代一

    桝谷証人 私は三十年からこの事業に携わつでおります。そして大東亜戦争当時に職工五十名ほどを連れて香港、台湾の方に参りまして、終戦の前の年の十二月にこちらへ單独で帰つて参りました。最後に半年ほど召集を受けまして、帰りまして昭和二十二年一月一日、現在のところに桝谷組海事工業所といろ事務所をつくりまして、現在は起重機、曳船、交通船、十数隻をもちまして平戸方面に出張所を持ち、沈船引揚げ並びに解体、曳航、こういう作業を主としてやつております。現在海軍の方に交通船一隻と、陸軍に二隻貸しております。そのほかは救助の引揚げ作業をやつております。
  369. 内藤隆

    内藤委員長 それは個人経営ですか。
  370. 桝谷喜代一

    桝谷証人 個人経営でありますが、幹部が全部機材、資材を持ち寄つて今日に至つたわけであります。
  371. 内藤隆

    内藤委員長 大体資本額は。
  372. 桝谷喜代一

    桝谷証人 資本というようなことはありませんが……。
  373. 内藤隆

    内藤委員長 資材を持ち寄つただけですね。
  374. 桝谷喜代一

    桝谷証人 そうでございます。
  375. 内藤隆

    内藤委員長 見積りはどのくらいになりますか。
  376. 桝谷喜代一

    桝谷証人 全部で現在のところ五、六百万円以上あるように思つております。
  377. 内藤隆

    内藤委員長 山九運輸福岡特別調達局との港湾サービス契約はどういうものか御存じですか。
  378. 桝谷喜代一

    桝谷証人 港湾サービスとかいうようなことはあとで聞いたのでありますが、私の方は山九指示を受けて作業をやつたような状態でありまして、仕事に実際に当るのは桝谷組というようなことになつておりまして、調達局とか何とかいうことは一切知らないわけであります。
  379. 内藤隆

    内藤委員長 調達局関係山九がやつてつて、あなたの方は山九の下請をしているから知らないというのですか。
  380. 桝谷喜代一

    桝谷証人 はあ。
  381. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると四建との―四建というのは第四港湾建設部ですが、この四建との賃貸契約等についても詳細知らないのですか。
  382. 桝谷喜代一

    桝谷証人 当時の作業ほ非常に困難でありまして、四建の方から山九と一時契約を結んで作業をやつておりまして、四建の契約に対しまして……。
  383. 内藤隆

    内藤委員長 四建とあなたの方で直接契約を給んだわけですね。
  384. 桝谷喜代一

    桝谷証人 それは約二十日ほど後に私の方と契約を結んだのであります。
  385. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、二十日以前は契約なしでやつてつたのですか。
  386. 桝谷喜代一

    桝谷証人 それは四建直接で作業をやつてつたわけです。
  387. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、四建とあなたの方は何か契約がありますか。
  388. 桝谷喜代一

    桝谷証人 あります。
  389. 内藤隆

    内藤委員長 その契約書をお持ちですか。
  390. 桝谷喜代一

    桝谷証人 持つております。出してあるわけでありますが、お見せいたしますか。
  391. 内藤隆

    内藤委員長 相当長いものでありますか。
  392. 桝谷喜代一

    桝谷証人 いいえ、簡単であります。
  393. 内藤隆

    内藤委員長 読んでください。
  394. 桝谷喜代一

    桝谷証人 大体一時使用許可申請といたしまして、その後に契約したのであります。一時使用許可請書も読みますか。契約書だけでよいですか。
  395. 内藤隆

    内藤委員長 契約書だけでよいです。
  396. 桝谷喜代一

    桝谷証人 これは請書なつております。    請書   貴部所管の五〇屯吊起重機船を左記條項確実に履行することを誓約の上借受けます。     記  一、借受期間 昭和二十五年十月八日から占領軍使用終了の日まで。  二、使用料 使用期間中一書夜につき金三〇、〇〇〇円也    但し右使用料の外に本船管理のため乗組の貴部係員一名に対する俸給、諸手当として一日につき金一、〇〇〇円也の借受人において負担する。  三、受渡場所 運輸省第四港湾建設部下関機械工場構内貴部御指定の場所とし、双方責任者立合の上受渡しをするものとする。  四 本船運輸に要する作業員及び運転材料はすべて借受人負担とする。  五 本船管理についてはすべて貴部係員指示に従うものとす。  六、借受期間中豊部船員の故意又は重大な過失によらない傷病若しくは死亡に対してはすべて借受人負担において責任を以て一切を処理するものとする。  七、借受期間中に生じた各部の破損、滅失及び海難その他の事故による本船の毀損喪失に対しては貴部の御指示により、借受人に於て遅滞なく原形に復旧、又は新造の責に任ずるものとする。  八、借受期間中に惹起した他との一切の紛議に対してはすべて借受人においてその責に任ずるものとする。  九、借受期間中正当な理由なく借受條件及び貴部の御指示に違背したときは貴部の御措置に対して損害賠償請求又は異議の申立等一切なさないものとする。  十、木船の貸借につき疑義を生じたときは双方協議の上これを決定するものとする。      門司市西海岸通り二丁目        桝谷組海事工業所        代表者 桝谷喜代一  運輸省第四建設部長殿 以上であります。
  397. 内藤隆

    内藤委員長 その契約請求書山九運輸は知つておりますか。
  398. 桝谷喜代一

    桝谷証人 知つておると思います。
  399. 内藤隆

    内藤委員長 知つていなければならないはずですからね。
  400. 桝谷喜代一

    桝谷証人 はあ、そう思います。
  401. 内藤隆

    内藤委員長 そしてその中に、今聞きますると、五〇トン起重機船ということを明瞭に書いてありますな。
  402. 桝谷喜代一

    桝谷証人 はあ。
  403. 内藤隆

    内藤委員長 その契約により桝谷組が七月及び八月に作業をしておるが、それはその契約通りの五十トンの船に間違いないのですな。
  404. 桝谷喜代一

    桝谷証人 七月、八月は、これは私らの同業者の近藤海事工業所というのから借受けまして、そして作業をやつたのであります。
  405. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると七月、八月の作業をやつた船は近藤海事の船なんですか。
  406. 桝谷喜代一

    桝谷証人 ええ起重機です。起重機を裸で私の方は使用したわけです。
  407. 内藤隆

    内藤委員長 それから山九運輸からもらつた七月及び八月分の作業費は幾らでありましたか。――書類を見てようございます。
  408. 桝谷喜代一

    桝谷証人 七月分は八十万六千四百円、八月分が三十万六百九十円であります。
  409. 内藤隆

    内藤委員長 その作業費山九との間における契約條件、すなわち單価はどうなつておるのです。
  410. 桝谷喜代一

    桝谷証人 契約はこのとき結んでおりませんですが、物価庁に出した日本サルヴエージ單価が一万円ちよつと越しておりましたので、私どもの方も、まあ一万円ほどくれれば貸しでもよかろうというようなことから話が出たわけであります。それで契約も何も結んでおりません。
  411. 内藤隆

    内藤委員長 山九とあなたの方は契約がない。契約がないが、單価日サル單価つたのですか。
  412. 桝谷喜代一

    桝谷証人 物価庁は、起重機日本サルヴエージの方から代表して、單価明細とか何とか出ておつたのを基準としまして、起重機から曳船、燃料、石炭全部持ちまして一時間に対して一万円。
  413. 内藤隆

    内藤委員長 一時間一万円の割でやつておるわけですな。近藤海事の三十七トン船で作業をして、そして五十トン船の作業費をもらつたということがわかつておるのですが、それはだれとだれの話合いでさような了解ができたのですか。
  414. 桝谷喜代一

    桝谷証人 七月は、山九の方からお話がありまして、そのときは橋梁材料、こうう資材の積みおろしを主として扱つたのであります。八月はジープ、トラック、こういうものの搭載に使用したのでありまして、その当時まではまだこれをつれるものということで持つて来たわけであります。九月に入りまして初めて五十トン起重機ということになりました。この五十トン起重機は、私の方は三十五トンとか三十七トンという名前はついておりますが、近藤海事が拂下げを受けましたときは四十五トンの補強をやつておりました関係と、私どもが進駐軍の戦車をつぐつたときは、向うの軍が立会いのもとでやつて、これならよかろうということで五十トンという名目が出たことと思います。軍の塔載作業――戰車は一般の起重機では絶対つれないのであります。要するに、ドツクで使つている起重機、あるいは元軍が使つた起重機でなければ絶対搭載作業はできないわけであります。
  415. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、五十トン起重機でつる戰車はどれくらいあるのですか。
  416. 桝谷喜代一

    桝谷証人 戰車は大体三十トンから四十五トン、五十トンくらいの戰車だつたと思います。しかしこの重量はどのくらいあるか、私は英語はわかりませんし、また向うも話しませんが、大体これでつつたならよかろうということで、兵隊さんが立会いでつつたわけであります。
  417. 内藤隆

    内藤委員長 その五十トン船の作業費を、――実際には三十七トンのものもあつたのですが、計算はすべて五十トンのいわゆる標準で作業費計算しているようですが、それは一体だれとだれでやつたのですか。
  418. 桝谷喜代一

    桝谷証人 あの近藤組の起重機は、二十四年だつたと思いますが、各業者によつて入札されたのでありますが、その当時この起重機はサルヴエージ用に向かない起重機でありました。軍がつくつたので、要するに四十トンから八十トンぐらい積む船に戰車とか、大砲とか、ボイラー、こういうものを積むためにつくつたもので、サルヴエージには向かないためにだれも希望者がなくて、私と近藤さんと二名で入札して、近藤さんに落札したのであります。近藤さんが買いまして、自分の方で使おうとするためには補強をしなければならないというので、相当補強している関係で、四十トン、五十トンまで行けると私は確信を持つてつたのであります。
  419. 内藤隆

    内藤委員長 それはいわゆる五十トン船の單価作業費計算した、こういうわけですね。
  420. 桝谷喜代一

    桝谷証人 そうであります。
  421. 内藤隆

    内藤委員長 それから、九月五日から十一日まではどこの船でどういう作業をしておられましたか。
  422. 桝谷喜代一

    桝谷証人 九月に入りまして、戰車、その他整備機械とか重量物が相当入りましたので、要するにあそこに六ぱい起重機を持つて来て使用したわけであります。一つは四建、一つは近藤、一つは日米サルヴエージ、一つは軍の百五十トン起重機、一つは西日本重工業、一つは廣瀬サルヴエージ、この六ぱいが非常に協力してこれをやつたのでありまして、門司の岸壁の西側の方の岸壁には四千トン級を七はいつなぎ、東側の方には三ばいつないだので、各起重機一ぱいで、二はいくらいの船を担当したり、かつまた一ぱいの船に二はいの起重機が一緒について作業をやつたりしておつたわけであります。それで作業をやつておりましたときに、軍の方の命令がありまして、四建が各方面から持つて参りましたが、九月は、結局山九と四建との話になりましたということは、どこへ金が下りるか当時わからなかつたわけであります。そうして話を承ると、山九は、あれの方へ金がおりるからおれの方の指示に従わなければいけないという、そういうことが濃厚になりましたので、四建の五十トン起重機山九と四建が直接お話したと思います
  423. 内藤隆

    内藤委員長 九月十二日から九月二十四日までは、單価八千二百五十円の船が作業しておつたのですな。
  424. 桝谷喜代一

    桝谷証人 はい。
  425. 内藤隆

    内藤委員長 二十五日からは單価六千七百十円の船で作業しておるようですが、これは船は違うのですか。
  426. 桝谷喜代一

    桝谷証人 そうじやありません。これは一時間の使用料が八千幾らでありまして、待機が六千なんぼと思います。待機とは――実際に作業した場合は八千なんぼであるが、軍から拘束されてそこにつないでおる場合は六千なんぼと思います。
  427. 内藤隆

    内藤委員長 あなたの今の御証言ですが、私の方の調べでは、みな單価が違つておるようですね。
  428. 桝谷喜代一

    桝谷証人 私の方は八千五百円、待機の時間が六千なんぼと一時間外が千なんぼという計算でいただいておると思います。
  429. 内藤隆

    内藤委員長 数字は少し違つておるようですな。それはあとで……。  そうすると、起重機船はどういうものだつたのですか。
  430. 桝谷喜代一

    桝谷証人 起重機は四建、近藤、これは私どもの所属に入つておる。九月は山九の所属になつておる。十月八日から四建は私どもの方に肩がわり契約を結んだわけであります。
  431. 内藤隆

    内藤委員長 九月十八日から十月七日までの間は、四建と山九運輸との契約によつて、第五号起重機船は作業しておつたようですが、この分の作業費を幾ら山九からもらい受けましたか。
  432. 桝谷喜代一

    桝谷証人 五百十七万三千五百円と記憶しております。
  433. 内藤隆

    内藤委員長 山九運輸は、九月十八日から九月二十八日までの分として、百九十七万八千三百五十円をSPBから受取つておるようですね。
  434. 桝谷喜代一

    桝谷証人 九月十八日から九月二十七日までであります。それが百七十九万八千五百円であります。
  435. 内藤隆

    内藤委員長 それは間違いありませんか。
  436. 桝谷喜代一

    桝谷証人 ありません。
  437. 内藤隆

    内藤委員長 十月八日から山九運輸にかわつて桝谷組が四建から一晝夜三万円で借りて、これを山九に提供することに変更されたことがあなたの証言でわかりたが、これはどういう事情でこうなつたのですか。
  438. 桝谷喜代一

    桝谷証人 四港済が約二十日ばかり軍の命令によつて出したわけでありますが、四港湾は大体船の搭載とか何とかいうことが非常にふなれなためと思うことが一つあります。四建は大体護岸工事でありますが、ああいう大きな五十トン級の操作になれないのと、潮が非常に早くありますところの作業等になれておらない。ただコンクリをこしらえて海の中に沈めるだけの技術しか持つておらないために、その作業に困難だろうと思つたのであります。結局四建の方では、従業員がいつも固定しておらないために作業が困難で、はつきり言うと、できないので私の方に肩がわりしたのだと思います。その当時は、私の気持としては四建は困つて仕事ができない、自分の方ではコンクリートばかりつくつておるのと人間が常備しておらない。戰車とか兵器をつないで、破損でもしたときには責任まで問われるという関係から、熟練工のおる桝谷組の方へこれは何した方がいいだろうというので、私の方へ移つたのではないかと思います。はつきり申しますと、四建の側から私の方に頼むという言葉があつたのではないかというように記憶します。
  439. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、山九運輸は実際においてそういう仕事をする資格はない。そこで実際の経験なりまた経験者を持つておる桝谷組に頼んだ方がいいということが四建できまつたわけですね。
  440. 桝谷喜代一

    桝谷証人 まあ私の方に肩がわりしたのは、そこに原因があつたと思います。
  441. 内藤隆

    内藤委員長 山九は四建とそういう契約をしても、その力がなかつたということをお認めになりますね。
  442. 桝谷喜代一

    桝谷証人 力がないというと語弊がございますが、起重機にいつも定員が乘つておらない、今までつないでおらない、起重機を使つた経験が一度もない。要するに八千トンという船の高いところへ大きな四十トン、五十トンの戰車を積むのになれていないという関係のために非常に作業がやりにくい、あるいは晝夜兼行をするだけの人員もおらないということから、私のところへ、早く言えば、頼みに来たのではないかという気持がするわけです。決して私の方から頭を下げて頼みに行つたのではないというふうに、今でも私は確信を持つております。
  443. 内藤隆

    内藤委員長 あなたの組と山九との間に契約があるように聞きましたが、それは何か書類でもありますか。
  444. 桝谷喜代一

    桝谷証人 山九と四建との関係は、直接は私はつきりしておりませんが、契約書はあつたように思うのですが、私の関係でありませんから、そこまではつきりわかりません。
  445. 内藤隆

    内藤委員長 桝谷組山九運輸との間には、契約はないのですね。
  446. 桝谷喜代一

    桝谷証人 ないのです。
  447. 内藤隆

    内藤委員長 口頭だけでやつておる。
  448. 桝谷喜代一

    桝谷証人 ただ取下げたならば、とにかく工程の一割はとるかもしれない、あるいはもう少しとるかもしれないから、まかしておけというので、また作業は晝夜兼行で非常に多忙なために、山九の方に私の方はまかせ切りのような状態であつたと思います。
  449. 内藤隆

    内藤委員長 桝谷組が五号起重機船の借用により四建に支拂うことを要する金額は幾らになりますか。十月八日から十一月十日までの分をちよつと説明してくれませんか。
  450. 桝谷喜代一

    桝谷証人 四十九万であります。それから四建の全体のことを申し上げますと、九月分として九月十八日から九月二十七日まで、これが七十万六千三百二十円のうち六十九万九千八百四十円、これは完了したと思いますが、あとから誤差が出まして、もう少し残つております。十月二日から十月七日まで、これが二十二万六千八百円、それから十月の八日から十月の三十一日まで三十一万五千円、十一月分として、十一月一日から十一月十日まで十七万五千円、そのほかに起重機を軍の使用地まで持つて来た曳船料が六万九千四百七十円であります。
  451. 内藤隆

    内藤委員長 それはもう確かに支拂われたわけですね。
  452. 桝谷喜代一

    桝谷証人 そこでまだ七十九万二千七百五十円という金が残つております。
  453. 内藤隆

    内藤委員長 どういう理由で残つておるのですか。
  454. 桝谷喜代一

    桝谷証人 これは私の方が使用いたしまして、四建の起重機を沈没させましたために、非常に経済的に困難になつた関係もあると思います。
  455. 内藤隆

    内藤委員長 ただいま申された九月の十八日から九月二十八日までの間の七十万六千三百二十円というものは、これはいつかに拂われましたか。
  456. 桝谷喜代一

    桝谷証人 十月から翌年の二月の間に拂つております。
  457. 内藤隆

    内藤委員長 それから七十九万幾らというものをまだ拂つていないのは、起重機船を沈没させた関係上、あなたの桝谷組の経済的な関係で拂つてない、こういうわけですな。
  458. 桝谷喜代一

    桝谷証人 はい。これは大体九月分の山九関係は六十九万九千八百四十円で、私の方はもう済んだと思つておりましたが、時間の一時間、二時間の差がありまして、七十九万二千七百五十円というものがまだ残つておりますが、あとは桝谷組の方の肩がわりした支拂いが、全額残つておるということは、十二月になるまで計算がなかなかできなかつた関係支拂えなかつた。十一月二十六日機雷に触れまして沈没させた関係で、非常に経済的に困難になりました関係で、まだ拂つておりません。
  459. 内藤隆

    内藤委員長 第五号起重機船を宇部に回航した事実はありますか。
  460. 桝谷喜代一

    桝谷証人 あります。
  461. 内藤隆

    内藤委員長 それは何のためにやつたのです。
  462. 桝谷喜代一

    桝谷証人 十月の十日に大体仕事が終りまして、あと進駐軍の方と連絡をとりましたら、四、五日は船が入つて来ないというので、その付近に待機してつないでおりましたが、この船はあるいは都合によつては朝鮮に持つて行くという関係もありましたので、手入れとか修理の関係で宇部へ持つて行つたわけなのであります。
  463. 内藤隆

    内藤委員長 修理は関門でやれませんか。
  464. 桝谷喜代一

    桝谷証人 関門でやれないことはありませんが、船底の方の――あの船は非常に古い関係で、表の方からあかが入つている関係もありまして、宇部へ持つてつて、私の方の根拠地がありますので、そこへ持つてつてガスの溶接をやる、船を一応すえてみなければわからぬという関係で、宇部へ持つて行つたわけであります。
  465. 内藤隆

    内藤委員長 單にそれだけの理由ですか。
  466. 桝谷喜代一

    桝谷証人 そうです。簡單な理由であります。
  467. 内藤隆

    内藤委員長 單に修理するだけの理由で宇部へまわしたのですか。
  468. 桝谷喜代一

    桝谷証人 はい。
  469. 内藤隆

    内藤委員長 宇部へまわすにつきまして、四建と相談でもしましたか。
  470. 桝谷喜代一

    桝谷証人 四建には連絡をやつておりません。ということは、軍の関係に使つておるという頭がしみ込んでおつた関係で、四建には連絡をとりませんが、司令部の方には、口頭で宇部の方に持つてつて修理をするからというふうな簡單な話で持つて行つたわけであります。
  471. 内藤隆

    内藤委員長 司令部の方は口頭ですか。文書ではないのですね。
  472. 桝谷喜代一

    桝谷証人 文書をやつてもなかなか受付けませんし、証明なんか書いてくれと言つても、なかなかアメリカの方では書いてくれませんから……。
  473. 内藤隆

    内藤委員長 しかしそれは四建から借りたのだから、一応常識的に見て、四建へ一応相談をすべきではありませんか。
  474. 桝谷喜代一

    桝谷証人 今になつてみると、事故が起きたから四建に相談しなければいけなかつたと思いますが、結局私の方の独断で持つて行つたわけであります。
  475. 内藤隆

    内藤委員長 四建に相談なく、独断で持つて行つたというわけですね。
  476. 桝谷喜代一

    桝谷証人 そろそろです。
  477. 内藤隆

    内藤委員長 その修理した工場はどこですか。
  478. 桝谷喜代一

    桝谷証人 それは私の方の根拠地が宇部にありますので……。
  479. 内藤隆

    内藤委員長 宇部に桝谷組の本店があるのですか。
  480. 桝谷喜代一

    桝谷証人 出張所ではないが、あそこで仕事させるために工員が二三十人おりまして、宿舎を建つてつてつたわけであります。
  481. 内藤隆

    内藤委員長 修理工場は……
  482. 桝谷喜代一

    桝谷証人 修理工場はございませんが、私の方は大体サルベージでありますから、ガス工、鍛冶工、木工というものをみな使つておりますので、私の方の手でやるために持つて行つたわけであります。
  483. 内藤隆

    内藤委員長 桝谷組設備があるから持つて行つたというのですね。初めにその修理に当つた責任者はだれです。
  484. 桝谷喜代一

    桝谷証人 責任者はあそこにおつた責任者の山下榮という者であります。
  485. 内藤隆

    内藤委員長 修理の費用はどれくらいかかりましたか。
  486. 桝谷喜代一

    桝谷証人 費用といいましても、ガス、カーバイト、それから手入れその他がおもでありましたから、どのぐらいだという計算ちよつといたしておりませんが……
  487. 内藤隆

    内藤委員長 大体でいいです。何十万かかつたか、何百万かかつたか…。
  488. 桝谷喜代一

    桝谷証人 そういう大きな修繕ならなんですが、費用をかけましたら四、五万程度ではないかと思います。
  489. 内藤隆

    内藤委員長 そんな簡單なものなら、持つて行かなくても関門でやれるでしよう。
  490. 桝谷喜代一

    桝谷証人 船底が、水から下のところが非常に作業の困難なところでありまして、一応あそこに砂つ原があるので、砂つ原にすえてみようというのが一つの目的であります。
  491. 内藤隆

    内藤委員長 そこで四建にも無断で、それから單に司令部の口頭了解をもつて宇部へ回航した。そこで触雷沈没したというわけですね。
  492. 桝谷喜代一

    桝谷証人 帰りであります。
  493. 内藤隆

    内藤委員長 修理が終つての帰りに触雷沈没したのですね。
  494. 桝谷喜代一

    桝谷証人 はい。
  495. 内藤隆

    内藤委員長 原因は触雷ですが、そこは航行禁止区域でなかつたのですか。
  496. 桝谷喜代一

    桝谷証人 その年にあの附近一帯で四隻くらいは機雷に触れてやられていると思います。そうして沈没しあるいは人命をなくしておりますので、特に船長には海運局に寄らせまして航路の指示を受けさしておりましたが、どういう関係でありますか、朝八時半ごろあそこを引出しまして触雷でやられたということが十二時ごろ私の耳に入つているわけです。
  497. 内藤隆

    内藤委員長 そこは航行禁止区域でなかつたのですか。
  498. 桝谷喜代一

    桝谷証人 今海難審判をやつておりますが、沈んだ地帯は航路区域より三百メーター未掃海区域に入つております。
  499. 内藤隆

    内藤委員長 未掃海区域というのは、航行禁止区域ですね。
  500. 桝谷喜代一

    桝谷証人 そうです。
  501. 内藤隆

    内藤委員長 その状況ちよつと話してください。
  502. 桝谷喜代一

    桝谷証人 私は事務所におりました関係上船に乘つておるわけではありませんが、海難報告がございますが、それによりますと八時三十分あそこを引出しまして、触雷したのは十一時二分であります。
  503. 内藤隆

    内藤委員長 それで人命等の被害はどうでしよう。
  504. 桝谷喜代一

    桝谷証人 人命は九名どかり乗つておりましたが、約二名ばかりは無事でおりますが、あとは長いのは半年以上のけがをやつております。
  505. 内藤隆

    内藤委員長 死亡者はありませんか。
  506. 桝谷喜代一

    桝谷証人 死亡者はありません。
  507. 内藤隆

    内藤委員長 その乗組員の中に四建の職員はいませんでしたか。
  508. 桝谷喜代一

    桝谷証人 これは大体四建から契約に基きまして一名を乗せるといつてありましたが、その職員がはたして四建の職員か何か私は存じませんが、まあ四建をやめられた人が乗つてつたと思いますが、結局基準法とか何とかいう関係がありまして、肩がわりしまして、私の方の作業員になつたわけであります。
  509. 内藤隆

    内藤委員長 請書の中には船の管理のために四建の職員が一名乗船することになつているわけですね。
  510. 桝谷喜代一

    桝谷証人 そうです。
  511. 内藤隆

    内藤委員長 それは一日に千円の割で手当を拂うことになつている。そうすると請書の通りに実行されていなかつたのですな。
  512. 桝谷喜代一

    桝谷証人 結局月末の二十五日の給料支拂い日のときになりまして、基準法とか何とかの関係がありまして、作業員に金が行き渡らなければなりませんが、私の方の職員に入れてくれというような話があつたと思いまして、私どもの方に来たと思います。
  513. 内藤隆

    内藤委員長 四建の職員であつたけれども、基準法等の関係において都合が悪いから、桝谷組の職員にせい、こういうことで……。
  514. 桝谷喜代一

    桝谷証人 いいえ、職員ということではございませんと思います。ただ前に四建におつた方がやめられた人を当番に載せておつたと思います。
  515. 内藤隆

    内藤委員長 結局責任ある四建の職員は乗船していなかつたということですな。
  516. 桝谷喜代一

    桝谷証人 そうです。
  517. 内藤隆

    内藤委員長 大体航行禁止区域ですな。未掃海の区域へ船を乗り入れたということは、桝谷組乗組員の過失ではないですか。
  518. 桝谷喜代一

    桝谷証人 まず船を沈めましたのは桝谷組の責任であります。
  519. 内藤隆

    内藤委員長 どうです。そういう地点へ船を航行さしたということは、あなたの組のいわゆる組員の過失ですな。
  520. 桝谷喜代一

    桝谷証人 そうです。
  521. 内藤隆

    内藤委員長 それは認められますね。
  522. 桝谷喜代一

    桝谷証人 はい。しかしこれは船長も免状を持つております関係上、非常に船長に信頼しておりましたが、あるいは未掃海区域と知つて航行したのか、潮のために押し流されたかどちらかということはまだ判定がついておりませんが、いずれにいたしましても、船を沈めたというのは桝谷組の責任であります。
  523. 内藤隆

    内藤委員長 責任だけは大いに持たなければいけないね。それを不可抗力なんということを言つておりますが、四建はこれを不可抗力と認めたのですか。
  524. 桝谷喜代一

    桝谷証人 いいえ、不可抗力となかなか認めていただけません。またそういうことを桝谷が言うということは、結局卑劣な根情になると思いますが、幾分か機雷という観念がありましたものですから、何とかこれはよい方法はないかというような頭は持つておりました。
  525. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると桝谷組としては、不可抗力と主張した覚えはないのですな。
  526. 桝谷喜代一

    桝谷証人 不可抗力と主張することはできないと思います。
  527. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると四建もまたこれを不可抗力とは認めていないのですな。
  528. 桝谷喜代一

    桝谷証人 認めておりません。
  529. 内藤隆

    内藤委員長 その触雷沈没した船の引揚げについて、どういう処置を講じられましたか。
  530. 桝谷喜代一

    桝谷証人 さつそく海運局に報告し、各所にみな連絡をとりまして、係長に連絡に行きましたところが、未掃海区域であぶないから機雷を掃海をしてもらえ。そのために第七管区、吉見に掃海隊がございますから、そこに嘆願書を出せというので、一月の初旬、嘆願書を出したと思います。それで私の方は一月に機雷掃海の嘆願書を出しましたところが、吉見の方の掃海隊から所属は四建の方であるから四建の方から出したらよかろうというので、多分四建の方からも出したと思います。
  531. 内藤隆

    内藤委員長 所属は四建であることは間違いないですな。
  532. 桝谷喜代一

    桝谷証人 はい。
  533. 内藤隆

    内藤委員長 しかしながらそれを借受けた者はあなたなんでしよう。
  534. 桝谷喜代一

    桝谷証人 桝谷組です。
  535. 内藤隆

    内藤委員長 しかもその請書には「借受け期間中に生じた各部の破損、滅失及び海難その他の事故による本船の毀損喪失に対しては貴部の指示により借受入において遅滞なく原形に復旧または新造の責に任ずる」と書面に明記しておる。その責任を一体どういうふうにあなたはとられますか。
  536. 桝谷喜代一

    桝谷証人 それは機雷掃海が翌年の七月に完了したわけです。それによつて急速引揚げの計画を立てまして、許可申請をしまして、十月の初旬ごろに許可書が手に入りまして、作業に着手いたしましたが、結局台風その他資金の関係で引揚げが困難になりましたので、中止状態になつたわけであります。
  537. 内藤隆

    内藤委員長 現在でも困難ですか。
  538. 桝谷喜代一

    桝谷証人 私はこういう問題が起きましたために、非常に金融関係、信用状態もなくなりまして、現在の状況では引揚げるところの資力も何もありませんので、いかような処分を受けましてもこれはいたし方がございません。あるいは全財産をなげうつてでも御処置をくださいますればけつこうだという覚悟は持つております。
  539. 内藤隆

    内藤委員長 あなたの全財産はどれほどありますか。
  540. 桝谷喜代一

    桝谷証人 五、六百万円以上あると思います。
  541. 内藤隆

    内藤委員長 五、六百万円以上の全財産を投げ出してもよいと、こういうわけですな。
  542. 桝谷喜代一

    桝谷証人 はい。
  543. 内藤隆

    内藤委員長 そういうあなたの何と言いますか、国家に対するまじめなお考えがあるにかかわらず、この引揚げ修理を運輸省がやることになりまして、千二百万円の改造費をとつておりますね。
  544. 桝谷喜代一

    桝谷証人 はい。
  545. 内藤隆

    内藤委員長 証人は一体こういう相談を四建に何かやりましたか。
  546. 桝谷喜代一

    桝谷証人 私は前申し上げました通り、この起重機を私の方から頼んで参りますれば、あそこの部長あるいは次長さんの方にお願いしなければならぬと思いますが、結局部長、次長にも会つたことはございません。ただ来られました連絡員の技官主任さんと契約を結んだ関係で、そういう予算面のことはあとで最近聞いただけでありまして、予算面をどうするとか、そういうことは一つも関係はありませんし、またわれわれみたような業者に予算面のお話はそういうことはないと私は思います。
  547. 内藤隆

    内藤委員長 そうするとももろんこれは不可抗力ではない、桝谷組乗組員の過失であつたということをあなたはここで率直に認められた。
  548. 桝谷喜代一

    桝谷証人 はい。
  549. 内藤隆

    内藤委員長 しかもあなたには全財産が五、六百万円ある、しかるに何らあなたにそういういわゆる請求というか、責任を負わすことをせず、運輸省が單独で千二百万円の改造費を要求しておるということになるわけですな。
  550. 桝谷喜代一

    桝谷証人 はい。
  551. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると四建が自発的にその予算をとつたのですな。
  552. 桝谷喜代一

    桝谷証人 引揚げに対するところの指令はたびたびは強硬にありました。
  553. 内藤隆

    内藤委員長 あつたがそれを実現しないのでしよう。
  554. 桝谷喜代一

    桝谷証人 そうです。
  555. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、あなたの方ではねつからそれを実現しないから、結局四建が自発的に予算をとつたということになるのですな。
  556. 桝谷喜代一

    桝谷証人 その点はわかりません。
  557. 内藤隆

    内藤委員長 国有財産を利用して、さんざん仕事をして、そのあげく過失によつて沈没させまして、おまけに引揚げ修理の費用を国費をもつてやらせるような――一体この四建の行動は、どうもわれわれ合点が参らない。私は証人が四建にいろいろ相談をしてさような行動をしたと思つておりましたが、ただいまの証言によるとさようなことはない一ぺんも……。
  558. 桝谷喜代一

    桝谷証人 その点は一ぺんもやつたことはありません。
  559. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると四建が国有財産をさようなことで沈没さして、おまけにさんざんあなた方民間にもうけさして、なお沈んだその引揚げの経費を、いわゆる国費をもつて出させるということなんですな。
  560. 桝谷喜代一

    桝谷証人 はい。
  561. 内藤隆

    内藤委員長 どうです。あなたは非常にこう尋問していると率直なようであるが、こういう国の宝、国有財産をさような過失によつてつたということ、その責任者としてあなたは今どういう心境ですか。
  562. 桝谷喜代一

    桝谷証人 まことに申訳ないと思つております。
  563. 内藤隆

    内藤委員長 申訳がないと思うだけですか。何か積極的にどうです。
  564. 桝谷喜代一

    桝谷証人 私どもも引揚げは専門でありますが、資金面がまわつて、ありさえすれば引揚げるのに何ら心配はございません。けれども現在今私の方で引揚げましても、どの程度お役所の方が加えてくれるか、その点がはつきりいたしませんので、引揚げましたがあとは資金は続かない、結局修理はどの程度までやつて来るかわからないということで、私ども非常に相済まぬとは思つておりますが、何しているわけです。
  565. 内藤隆

    内藤委員長 私財を全部投げ出してそうして自分の過失に対する責任を償うという何か考えでもありますか。
  566. 桝谷喜代一

    桝谷証人 それはお役所の方で、桝谷、これだけ損害がいつておる、お前の方は差押えを執行すると言われたつて、私の方は何とも申しません。
  567. 内藤隆

    内藤委員長 他に……。
  568. 竹村奈良一

    ○竹村委員 この起重機を宇部に回航されるときに、司令部との話合いでやつた、こういう証言でございますが、この起重機というものは大体四建との話合いであなたの方が使つておられるわけですか。それとも四建には相談せず、司令部との話合いだけで宇部に回航されたのか。こういう例は従来の仕事の過程において常にこういうことが行われておりましたのかどうか、承りたいと思います。
  569. 桝谷喜代一

    桝谷証人 軍の仕事は今度が初めてでありまして、軍が使つても使わなくても、軍の命令によつて許可なければほかの作業に使うことができかいのであります。三菱のごときドツクを持つておりましても、結局ドツクの作業が支障を来すから、自分の方へ一日でも二日でも返してくれと言つても、軍の方では決して返さない状態にあつたのでありまして、何事に使つて、金はもらつてももらわなくても、軍の命令がなければ船を動かすことはできないのでありました。
  570. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そういたしますと、軍の仕事をしている場合におきましては、金は国家の方から拂つておるわけでございますが、それに対する仕事の監督とかいうものは全部司令部の方がやり、そして日本の政府の役人がそれに立会い得るというようなことは全然ないわけですか。
  571. 桝谷喜代一

    桝谷証人 当時船がいつ入つて来るかわからないような状況下にありまして、みな兵隊は各船に一名ずつ、あるいは二名ずつ乘船はいたしておりませんですが、監督官がつきまして、その指揮官によつて証明をいただいて、それによつて金をいただきます。日本のお役所の方からはだれも監督にはお見えになつておりませんでした。
  572. 竹村奈良一

    ○竹村委員 もう一点聞いておきたいのですが、先ほど委員長の質問に対して、大体この起重機を使つて仕事をやつた面でございますが、その中にはたとえば戰車あるいはジープ、トラック、大砲等を積むためにそれを使つてその仕事をやつた、こうおつしやつておるのでありますが、これは向うの船から入つて来たものをおろすためにやられたのですか。あるいはまたこちらからその船に積む仕事をやられたのですか。どちらでございますか。
  573. 桝谷喜代一

    桝谷証人 船が戰車あるいは弾薬、橋梁資料、あらゆる資料を積んで入つて来ますれば、入港時間が確定いたしませんので、各起重機仕事があつてもなくてもみな待機を命ぜられておりましたが、入つて参りましたときは、岸壁に横づけいたしまして、それによつて起重機は配分を受けまして、戰車を一時岸壁におろします。中デッキあるいは船底に戦車あるいは弾薬、橋梁資材、あらゆるものが混雑して積んでありますので、一応は岸壁に上げる。あるいは一応はしけに積んで、約二マイルくらい向うの広場に持つて参ります。あるいは岸壁に上げられるものは岸壁に上げます。そして待機をしておりますと、今度は中甲板へ戰車、橋梁資材をのつけますと、弾薬が出て来る弾薬が出て来ますと、自分の船で……。
  574. 内藤隆

    内藤委員長 ちよつと注意しますが、進駐軍等の機密に関することになりますとなんだから、なるべく問題の要点に触れて説明してください。
  575. 桝谷喜代一

    桝谷証人 それは積みます。あるいはおろします。双方であります。
  576. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 証人に二、三お尋ねいたしたいと思います。この四建のみならず、財務部との間の――これは事務局で調べたものでは一切契約なつておりますが、この間における契約というものは事実上契約ではなくして、請書だということになつておりますが、この請書というのは、あなた方の言われる四建なり財務部なりとの特別の話合いなり要求なりでこういう請書になつたのですか。一体官庁と契約を結ぶ場合にはこういう請書の形でやつておりますか。
  577. 桝谷喜代一

    桝谷証人 この場合は作業しておりまして、あとから一時使用の申請書を、請書を持つて来て判を押せというので判を押したのであります。
  578. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 つまり請書というのは、事実上作業している、事実上契約に基いていろいろな行為をやつている。そういう場合、いろいろな事故が発生する、あるいはまた問題が起つた場合のことを考えまして、契約があつたら、一ぺん判を押したらどうにも動きがとれぬから、その内容をいかようにもかえられるように請書というような形で事実上契約にかわる行為をやつている、こういうような感じがいたしますが、証人はどういう感じがいたしますか。
  579. 桝谷喜代一

    桝谷証人 これによりまして、契約と私は同じと思います。
  580. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 契約の内容と同じだというのですか。
  581. 桝谷喜代一

    桝谷証人 はい。
  582. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 しかし事実上いろいろな行為をやつておる、いろいろな作業をやつておる。しかも請書というものは、四建なりその他の役所の命令に基きまして、こういうものを出せといつて、さしずがあつて、そういう請書を出したのではないですか。
  583. 桝谷喜代一

    桝谷証人 はい、そうでございます。
  584. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 そこで問題となつて来るのは、この十月八日から山九運輸桝谷組がかわつた。一晝夜三万円で借りて山九に提供したということに変更されておりますが、われわれが見てはなはだ奇怪に思うのは、これは事実あなたのところよりか山九の方が大きいでしよう。
  585. 桝谷喜代一

    桝谷証人 はい。それは親会社でございますから、現在も下請をやつておりますし、私の方は十分の一あるいは二十分の一であるわけであります。
  586. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 こういうふうな請書の形でいろいろからくりをやつておるのに、証人は何か奇異に感ずることはないですか。おかしいというようなことはないですか。
  587. 桝谷喜代一

    桝谷証人 單価問題は山九と四建で一時間三千二百何ぼとかいう單価をきめましたので、私の方はそれから一時間に対して人件費とかなんとか引きまして三万円という案が出たと思うのであります。この三万円も、当時軍の方におきましては、軍が拘束してどこへもやりませんから、二十四時間もらえるものと思つて、三万円ならよかろう、こう思つておりましたが、事実最後の計算になりますと、最後はもらつても、これは高いとか、時間がこうだとか、そういうふうに非常に賃金を削られたわけであります。
  588. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 私の聞きたいのはそういうことでなくして、これはあなたさつき答弁されておつたのですが、山九ちようど親会社で、あなたのところが子会社みたような、下請の関係でやつておる。それを親会社契約を結んでおつて、あなたが下請をしておつたのをまつたく切りかえて、子会社といいますか、子が親にかわつて仕事をしたようなやり方をしておる。それ自身今まであなたが陳述された以外に何か裏にからくりがあると思うのですが……。
  589. 桝谷喜代一

    桝谷証人 四建に渡したときには、乗組員あるいは石炭あるいは油は四建で出したのでありますが、私の方に肩がわりしたのは、向うができないために裸で私の方が借りたのであります。それで肩がわりの状態になつたわけであります。
  590. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 船の沈没はいつですか。
  591. 桝谷喜代一

    桝谷証人 十一月二十六日であります。
  592. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 一体こういう請書とか契約といいますか、こういうものは沈没後に四建との間にいろいろ話合い行つたのじやないですか。
  593. 桝谷喜代一

    桝谷証人 そんなことはありません。
  594. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 しかし作業をやつておるときは、請書契約もその作業をやる瞬間にはなかつたでしよう。
  595. 桝谷喜代一

    桝谷証人 向うの担当者が参りまして、われわれの方の事務員と一緒に契約をやつたことは間違いありません。
  596. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 契約をやつて仕事を始めましたか心
  597. 桝谷喜代一

    桝谷証人 いえ、前にやつております。
  598. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 前にやつておるでしよう。
  599. 桝谷喜代一

    桝谷証人 そうです。肩がわりしましたときも軍の方の作業でありますから……。
  600. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 ちよつと日にちにおいて食い違いがありはしませんか。
  601. 桝谷喜代一

    桝谷証人 私の方の作業をやつて、四、五日ぐらい後に、この処理ができたと思います。
  602. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 四、五日ぐらいじやないでしよう。
  603. 桝谷喜代一

    桝谷証人 いえ、そのくらいです。
  604. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 つまり山九との契約であつたのを、表面にあなたが罪を買つて出たようなことはありませんか。
  605. 桝谷喜代一

    桝谷証人 そんなことはありません。
  606. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 ないですか。
  607. 桝谷喜代一

    桝谷証人 はい。
  608. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 ないと言われれば……。  それから沈没当時の乗組員中に、四建の職員は、あなたはいないと言われたのですが、これはその中に四建の職員が一名乗船することになつておつて、その職員にあなたのところで月給を拂え、こういうことであつたのですが、それは職員のだれが乗れということを、具体的に向うから指名して来たのですか。
  609. 桝谷喜代一

    桝谷証人 いえ、指名しておりません。大体四建に長くつないでおつたところ、前に四建におられた人でやめられた人が当番に乘つておられて、それを引続いて私どもの方に肩がわりしたわけであります。
  610. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 四建の職員にあなたの方が金を拂つたのは、はなはだ奇怪なことですね。
  611. 桝谷喜代一

    桝谷証人 そうであります。
  612. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 今までに四建の職員に金を拂つてくれという例は、ほかにありませんか。
  613. 桝谷喜代一

    桝谷証人 ありません。今度が初めてのことであります。
  614. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 あなたはそのときに、基準法の関係と言われたが、基準法とどういう関係があるのですか。
  615. 桝谷喜代一

    桝谷証人 要するに、この乗られた方が四建に籍がありますれば問題はありませんが、もし籍がないとすれば、籍を入れるためには、そういう問題が出て来るのではないかと私は申し上げたのです。
  616. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 どういう問題が出て来ますか。
  617. 桝谷喜代一

    桝谷証人 要するに四建の籍のない者に私の方で賃金を拂つたとすれば、私どもの所属にないと、基準法にひつかかるわけであります。
  618. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 基準法にそんな條文はないでしよう。
  619. 桝谷喜代一

    桝谷証人 籍のない者を……。
  620. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 籍のない者を雇つた場合に賃金を支拂われる根拠はどこにあるということは書いてありますか。
  621. 桝谷喜代一

    桝谷証人 私どもの方は、もし向うに籍がなければ、私の方に入れてもらつて……。
  622. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 基準法とは関係がなさそうだ。
  623. 桝谷喜代一

    桝谷証人 そうでございますね。
  624. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 そこで、こういうところに、あなたが何か含んでいるところはありませんか。
  625. 桝谷喜代一

    桝谷証人 いえ、そういうところは一つもございません。
  626. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 基準法とは関係ないと思いますが……。
  627. 桝谷喜代一

    桝谷証人 しかし四建の方に籍がない者を私どもの方で使うとすれば、私どもの方に籍を移さなければ……。
  628. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 俸給支拂いはどこでやつてもいいでしよう。
  629. 桝谷喜代一

    桝谷証人 そういうわけには行かぬと思います。
  630. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 それは基準法のことであなたの方に言つた人がだれかおるのですか、基準法の関係だとあなたの方に言つた人があるのですか。
  631. 桝谷喜代一

    桝谷証人 それは私が頭で出したわけであります。
  632. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 あなたの発明ですか。
  633. 桝谷喜代一

    桝谷証人 そうではないのですけれども……。
  634. 田渕光一

    ○田渕委員 先ほど証人委員長の質問に対しましてのお答えに、三十年間の経歴、戰時中は五十名から使つてつたというようなわけで、二十年の一月一日に現在の事務所を持つておる。しかも十数隻の起重機を持つておるというようなお話でありましたが、私は起重機を十数隻も持つておれば、私財は五百万や六百万じやないということが想像できるのであります。今月市井に小さい一戸を買い求めましても、三十万、五十万はするのであります。ことに起重機あるいはまた曳航船とすれば、トン幾らということから、一隻少くとも何百万、何千万と思うのでありますが、十数隻を持つておるのは、現在もあなたは船籍を持つておられるのでありますか。
  635. 桝谷喜代一

    桝谷証人 起重機は一ぱいでありますが、起重機及び曳船、工作船もそれだけ持つておるという意味であります。
  636. 田渕光一

    ○田渕委員 その価格が五、六百万円でありますか。
  637. 桝谷喜代一

    桝谷証人 サルヴエェージで今使つておる船は、私どもは五、六百万以上と申し上げたのでありますが、サルヴエージであとを引継ぐということになりますれば、相当の金額になりますが、分散しておりましたならば、サルヴエージの使つた工作船、こまいサルヴエージでありますが、私はそれくらいにしか売れないと信ずる次第であります。
  638. 田渕光一

    ○田渕委員 スクラップに処分すればともかくも、少くともこの第五号起重機の修理回復費だけでも国家に対して千二百万円の予算を要求して、これをとつておるのであります。大体十数隻持つておられるという、たとい曳航船にしろ、起重機にしろ、あるいはまた何にしろ、スクラップで見て五、六百万に見るのと、現在使用しておつて間に合うものをかりに新造するものとの中間です。私は五百万や六百万じやないと思いますが、要はあなたが四建との契約の第七項において、「借受期間中に生じた各部の破損、滅失及び海難その他の事故による本船の毀損、喪失に対しては貴部の御指示により借受人において遅滞なく原形に復旧、」元のようにして返すという契約を入れておる。これを四建がしなかつたということが、第一疑問であることと、同時にそれだけ追究しなくちやならぬものを、この本日証人に尋問する事項の十八項の千二百万円を四建が国家、国会を欺いて予算を組んだということにおいては、どうしても四建が許されない問題が起きて来たのであります。これは四建に追求するといたしましても、少くとも四建からあなたに対してあなたの資産状態の調査もしくはあなたが先ほど当委員会で、まことに相すまぬ、責任を感じておる。私財をなげうつても弁償したいと思つておるという御誠意を披握されたのでありますが、私はあなたの述べられた五百万ないし六百万といろ今日の資産評価というものは、非常にあなたが過小評価されておるのではないかと思うのであります。こういうような点について、ほんとうに率直におつしやつていただきたい。
  639. 桝谷喜代一

    桝谷証人 録船は一ぱいしかございません。あとはみな木造船であります。そうして委員会の方から資産報告を出せというので、資産報告を出しております。それは多分二十五年度だろうと思つておりますが、これによりますと、船名もあがつておりますが、單価問題というものは、その見よう見ようによつて違うだろうと私は思うのであります。ただそれを弁償するために隠すとか何とかいうのじやなくして、あるだけの船の船名あるいはトン数が皆書いてありますから、それによつて評価されまして適材適所に行けば、まだ以上に行くかもしれない。適材適所に行かなければまだ下るかもしれない、こういう気持があるわけであります。
  640. 田渕光一

    ○田渕委員 それに対して四建に出された資産評価というものに対しては、いわゆる財産の評価鑑定人というものが携わつて公正なあなたの資産の評価というものを出されておりますか。それともあなたは先ほど申された五、六百万円しか――もうまつたちようちんに何だ、しかたがない、なるようにしてぐれろ、四建に対してはさじを投げてしまつたのか、それを率直に伺いたいと思います。
  641. 桝谷喜代一

    桝谷証人 この資産目録というものは、税務署に出したものと思うのでありますが、全部書いてあります。値段は見よう見ようによつては、あるいは高く、あるいは低くなるかもしれませんが、これは良心的に私は申し上げております。それから四建に対して私は勝手なようなことを申したように受取つて言われておりますが、私も引揚げることについては、資金の運転がつきますれば、私として引揚げるところの任務もあります。また私はその技術も持つておりますが、何分にもこういう状態でありますので、今まで延び延びになつたわけであります。
  642. 田渕光一

    ○田渕委員 そこで四建が千二百万円の予算を要求してとつておるということは、あなたと話合いの上で、とうてい今日の桝谷組がやれない、四建の方で、ひとつあなたの方でも、いろいろこういうぐあいにからくりがあつたのだから、何とか予算はとれればとつてくれということに、あなたは謀議というまでもなく、下打合せでもありましたか。先ほどは全然この四建の行動に対しては、証人も不存だと明瞭に言われております。四建が独自でやつたのか、四建が独自にやる必要はないと思う。あなたとの契約がある。しかもこの契約というものは、一方的、片務的なものである。あなたにだけ判を押させて出した。あなたに出さないで、あなたの請書でやつている。非常にあなたとしては不利な立場に立つている。これは一応官庁側の常套手段であり、いわゆる旧官僚の扱うところの責任のがれの手段であります。この契約書のことを私は四建を呼ぶときには聞きたいと思うのでありますが、これに対してまつたく四建の行動というものは、先ほど証言された通り、あなたが何ら関知しないのに、かつてに千二百万円というものを組んでとつて自分らで償おうとしたというふうに再確認なさいますかどうか。
  643. 桝谷喜代一

    桝谷証人 私は御存じの通りあそこの偉い人の部長あるいは次長というものに沈船後にお会いしただけであつて、その当時は会つておりません。さすれば私はそういう話を受ける資格もなければ、そういう話を承つたことも絶対にありません。
  644. 田渕光一

    ○田渕委員 そこでさらにあなたの御心境を伺いますが、先ほど委員長も言われた通り、国有財産をほんとうにただみたいな価格で厖大に使つて、相当もうけて、しかもこれを当時の監督官であるといつてもよろしいその四建の了解なく、かつて自分の独断において門司から宇部へ回航した。軍の了解を得たとはいえ、とにかく軍のものではない。四建のものであり、国有財産でおる。それをかつてに持つて来て直して、なおかつ能率を上げようとしたことは事実である。そしてここに沈没せしめたというのは、あなたは責任は十分自分にあると言いまするが、なぜ四建が千二百万円も改造費として国会を欺いで予算を要求したか。運輸省を欺き、あるいは国会の予算委員会を欺き、大蔵省を欺いてこれをとつたということに対して、あなたは何と思いますか。
  645. 桝谷喜代一

    桝谷証人 私は役所の予算関係とかなんとかいうことは存じません。
  646. 田渕光一

    ○田渕委員 あなたも国家の国民であります。あなたも納税された一人である。われわれも納税者の一人である。お互いの血税である。当然四建の責任においてなさなければならぬものを、四建があなたに何ら相談なくして、こういうことを国会に要求して、国会がこれを承認して、ほんとうに国民の膏血である税金をとつたということに対して、役所のやることであるから、おれは知らぬということで、あなたは国民の義務というものはそれで済むと思いますか。あなたがもし自分の金をこういうふうにされたと思うならば、どうお考えになりますか、それを伺いたい。
  647. 桝谷喜代一

    桝谷証人 予算とかそういうようなことは私にはわかりません。
  648. 田渕光一

    ○田渕委員 予算とかそういう問題ではありません。少くとも四建が監督してやらなければならぬものを、四建の首切つた者、あるいは四建の縁故のある者をあなたの船に乗せて、基準法その他の面をのがれさせて、日に千円手当をやつている。一応これで四建としては監督官を乗せておつたという責任がのがれられる。そうしてあなたの方は了解なく、この船をかつてに修理を加えるために持つて行くうちに、禁止区域に入つて触雷してやられた。そうすると、自分がやるべきなのに、なぜこんなことを四建が千二万円も要求したのかという憤慨の心が起きませんか、それを伺いたい。
  649. 桝谷喜代一

    桝谷証人 直接関係がないように思いますが、まあ事実われわれが納めた税金をそういうふうにとつたといえば、やはり私も国民の一人としてそう考えます。
  650. 田渕光一

    ○田渕委員 税金をとつたということは、国費というものはわれわれの税金ですよ。国会の金というものは、決して代議士のポケット・マネーを出すものでなし、桝谷さんのポケット・マネーでもありません。国家の予算というものは、いわゆる国税庁が税務署を使つて国民から取上げたものである。その税金が、千二百万円も、あなたが知らぬうちに組まれたということに対して、あなたは義憤の念が起きぬかと言うのです。これをお聞きするのです。予算とかそんなことはよろしい。少くとも国家が拂うべきものでもなければ、すべきものでもない。それを四建は、責任を負つて、全力を注いで、あなたの財産に対して仮処分をするなり、名義変更の禁止処分をするなりしてやればいいものを、それに全力を盡さずして、国家から千二百万円もの金をとつておる。この責任は、われわれどこまでも追及いたします。こういうことを許しておつたのでは、税金を拂う者はばかばかしくなつて、納税義務の観念がなくなつてしまいます。これに対して予算とかいうようなものではありません。あなたも税金を拂つておる。われわれも歳費のうちから税金を拂つておる。こういうものがやみからやみに葬られておるということに対して、あなたは義憤を感じませんかと聞いておる。
  651. 桝谷喜代一

    桝谷証人 感じます。
  652. 田渕光一

    ○田渕委員 まあ感じるといえばそれでよろしい。感じるということになつて来ると、私は伺いたい。こういうことを四種がやつておるということは、今日聞いたならば、まつたく四建はけしからぬです。私の全責任にあるのであります、私のものを提供して、私がかつてにやつたのだから、私のものをとつてくれと言うけれども、四建がこんなことをしておるということを聞いてびつくりしましたと、こう委員長の質問に対して答えなければならぬものを、それに対していかにもあなたがすましているということによつて、四建とあなたとの間において何かあやしいことがありはせぬかと疑われる。私はこの問題に対して証人としてもつと率直であつてほしいと思う。さすがに桝谷さんだと言われるように、堂々たることを言つてくれてほしい。まあここらで大体の真相もつかめたし、四建の悪いこともはつきりわかりました。これまでろくでもない証人ばかりを調べておつたが、あなたにおいて初めてこれがはつきりして来た。なぜあなたが感じているなら、先ほど委員長の質問に対して、そこまでもつと自発的に言えなかつたのでありますか、その心境を伺いたい。     〔委員長退席、高木(松)委員長代理着席〕 お考えになつているのなら、もう一つ申し上げます。あなたもサルベージ、しかも三十年の経験を持ち、荒波の中でいわゆる潜水夫を使う荒い仕事の親分である。われわれも代議士になつておるけれども、炭鉱をやつている事業家である。お互いに仕事と国家というものの関連性を絶えず考え、たとい一銭の金でも国費を安く上げるようにして行かなければならぬことにおいては、われわれ国会だけではありません。民間人のあなた方自身が官僚を監督してくれなければならぬ。しかるに往々にして出先の官僚とあなた方と――あなたとは言いませんが、民間人と結託して、国費を濫費しておるということにおいて、われわれは予算の執行面あるいは徴税機構の改革、会計検査院の監督、当院の決算委員会の委員の調査法等について、大いに改革しなければならぬ点があることは、専売公社を調べて見ても、配炭公団を見ても、みなそうである。ずつと考査特別委員会から行政監察委員会を通じて調べる官僚にろくな官僚は出て来ない。精神の腐つた、まことに外国へこのまま通じたら紙のごとく薄い劣等国民が、日本の官僚の中からばかり出て来る。われわれはこれに対して徹底的にやらなければならぬ。その制度、機構、どこに欠陥があるかということを私はここに見出さんがために聞いておる。あなたに損害賠償をさせようとするならば、運輸省をたたけば、運輸省はただちにあなたに対して民事訴訟を起すでありましよう。そしてあなたを破産、禁治産にするでありましよう。こういうものに結論をつけないで、われわれがあなた方八千三百何十万人かの国民の代表者としてだまつているならば、あなた方は安閑として税金を拂つて行けますかどうですか。ここへ来たら、桝谷さんどうか率直に言つてください。われわれはかえるところはかえて行くので、あなた方はここで別にどうこうというのではないのだから……。
  653. 桝谷喜代一

    桝谷証人 そういうことがわかりますれば、それはあなたの申された通りであります。
  654. 田渕光一

    ○田渕委員 いろいろ私はあなたにまことに申し過ぎたかもわかりませんが、率直に言つて、四建のとつた態度というものはけしからぬ。こういうことは国家の予算として請求すべきものではないということをさらに再確認なさいますか。
  655. 桝谷喜代一

    桝谷証人 いたします。
  656. 田渕光一

    ○田渕委員 よろしい。
  657. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 さつきおつしやつた中で明瞭でないところがありますのでお尋ねいたします。あなたの方で九月から五十トン起重機がいるようになつたのは、非常に重い荷物を揚げおろししなければならぬ、こういうことでしたね。
  658. 桝谷喜代一

    桝谷証人 そうでございます。
  659. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 九月からですね。
  660. 桝谷喜代一

    桝谷証人 はあ、そうでございます。
  661. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 その前には近藤海事の船でやつておられたのでございますね。
  662. 桝谷喜代一

    桝谷証人 はい。
  663. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうするとそこで初めて近藤海事の船では仕事ができない。ほんとうに五十トンの力のあるものでなければならぬ、こういうことがわかつたわけですね。
  664. 桝谷喜代一

    桝谷証人 いやそうではありません。申し上げました通り、私どもは近藤組の起重機も使つておりますれば、四建のも使つております。それから米軍の百五十トン、廣瀬の五十トン、日本サルヴエージの五十トン、とにかく船がたくさん入るので全部招集したわけでございます。
  665. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 四建のは九月に入つて初めて使うようになつたのですね。
  666. 桝谷喜代一

    桝谷証人 はい。
  667. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 五十トンであるからでないだろう。何でも起重機がほしいから、それを使うことになつたのですね。
  668. 桝谷喜代一

    桝谷証人 そうです。あの付近では起重機があつても船の積みおろしとか搭載とかに絶対使えないのであります。そういうものは柱が非常に短いのであります。四建のは、昔旧軍隊がつくつた、要するに搭載のできるものを全部召集した。ところが四建、近藤、日米、廣瀬、日本サルヴエージ桝谷しかなかつたのです。六台を全部使つたわけであります。
  669. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 さつき聞いた中で、九月の五日から九月十一日まではどこの船でどんな作業をしたか、こういう話のときに、これは全部四建と山九、こういうお話だつたと思いますが。
  670. 桝谷喜代一

    桝谷証人 そうでございます。四建と山九契約いたしまして、十月の七日まで四建直営でやつたわけなのです。
  671. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 四建のこの五十トン起重機を使つたのは、あの表から見ても、九月十八日からじやないですか。
  672. 桝谷喜代一

    桝谷証人 ええ、そうです。九月十八日……。
  673. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 その前さつき聞いたのに、四建と山九との直接の話でやつた、こう言われた、それで聞くのだが、その前にも四建の何か使つてつたのですか。
  674. 桝谷喜代一

    桝谷証人 いいえ、使いません。日にちの間違いであります。九月十八日から四建を使つております。
  675. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そこで船を、山九と四建との契約に基いて、十八日からいつまで使いましたか。
  676. 桝谷喜代一

    桝谷証人 十月の七日まででございます。
  677. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 九月の十八日から十月の七日までその契約に基いて使つてつた
  678. 桝谷喜代一

    桝谷証人 そうでございます。
  679. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 山九が借りたものをさらにあなたがまた借りて、あなたの方で使用しておつた、こういうことでございますね。
  680. 桝谷喜代一

    桝谷証人 その理由はありますが、そうでございます。
  681. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そこでそれだけやつてみて初めてわかつて、今度は直接あなたの方でやればいいというので、十月八日からあなたの方が直接責任者になつて四建と契約をし直してやつた、こういうことなのですね。
  682. 桝谷喜代一

    桝谷証人 そうでございます。
  683. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると十八日から十月七日までのいわゆるこの起重機使用料は、山九から四建へ拂うべきものと思うが、拂つておりましたか、どうですか。
  684. 桝谷喜代一

    桝谷証人 建前としては山九から四建に拂うのが建前でありますが、起重機は曳船がついておりませんから、その曳船は私の方のものを使つた関係で、山九としてもなかなか金が下らないので、約手とか、そういうものを発行する関係上、とりあえず桝谷の方でやつてもらつて拂わそうというのが私の方に肩がわりになつた一つの原因であろうと思います。
  685. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 肩がわりは八日からでしよう。
  686. 桝谷喜代一

    桝谷証人 金額の取下げも最後は私の方の名目に入つたわけです。
  687. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 八日にあなたの方で契約したでしよう、日はさかのぼつたかしらぬが、とにかく八日からあなたの方は直接責任になつたのでありましよう。その前は山九の責任なのでしよう。そうすれば山九から拂うべきものでしようが、それをさらになくして前からにしたのですか。
  688. 桝谷喜代一

    桝谷証人 そうです。
  689. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 最初からですね。
  690. 桝谷喜代一

    桝谷証人 そうです。
  691. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると條件はどういうのですか、十月八日からきめた一貫夜三万円という料金支拂うことにしたのですか、それとも山九がさきにきめた一時間三千何百円ですか、それで拂うことになつたのですか、どつちですか。
  692. 桝谷喜代一

    桝谷証人 山九がきめた三千二百四十円というのは、四建が石炭を持ち、作業員全部を載せて作業するために三千二百四十円というものが出て来たわけであります。私の方に肩がわりしたということは、四建の職工はこの作業に熟練していないためと、そういう搭載が完全にできないということ、人員が足らぬという関係から、それは桝谷の方へ肩がわりしろ、私の方に肩がわりすれば作業員、石炭一切持つために、私の方の單価は一書夜三万円、要するに進駐軍が一晝夜分くれますれば三万円拂いますが、結局時間でくれれば一千何百万円という單価になります。四建は起重機を持つて作業員あるいは石炭、油、器具を持つて参りまして、曳船は私の方が出した関係で、最後十二月末ごろになりまして、桝谷の方でもう一ぺんめんどうだが取下げをして、四建の方に拂つてくれということから、そういう関係になつたわけであります。
  693. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そこで私の聞くのは、あなたの方で一晝夜三万円ときめた。それから山九の方では一時間三千二百四十円ときめた、その金で拂つたのですか。
  694. 桝谷喜代一

    桝谷証人 九月十八日から十月七日までは三千二百四十円、十月八日から十一月十日まで、これは一書夜三万円の割であります。結局二十四時間で割つた一千三百五十円であります。この單価で拂うことになつております。
  695. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そこで九月十八日から十月七日までの賃料に対して、あなたの方で、先ほど証言を聞いておると、六十九万九千八百円、これは直接四建へ拂つたのですか。
  696. 桝谷喜代一

    桝谷証人 そうです。分割して拂つております。
  697. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それは間違いなく拂つておりますか。
  698. 桝谷喜代一

    桝谷証人 はい、拂つております。
  699. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 領収書でもありますか。
  700. 桝谷喜代一

    桝谷証人 六十九万九千八百円、その領収書は海事にあると思います。
  701. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それは至急ここへ出してもらいたい。
  702. 桝谷喜代一

    桝谷証人 はい。
  703. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それから次は、それじや十月八日から十一月十日までとさつき言われたが、これは十月分は四十九万円、十一月は十七万五千円とかさつき聞きましたが、これはあなたの方から四建へ拂うべき計算になつたのだろうと思うが、これは拂われたのですか、拂われないのですか。
  704. 桝谷喜代一

    桝谷証人 今申しました山九関係で、六十九万九千八百四十円はお拂いしましたが、あとの分はそういう事故のためにまだ拂つておりません。
  705. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると、あなたが四建へ拂われた使用料というものは、それじや六十九万九千八百四十円だけですね。
  706. 桝谷喜代一

    桝谷証人 はい、そうであります。
  707. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 これは間違いなく拂つておりますか。
  708. 桝谷喜代一

    桝谷証人 はい。
  709. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 この六十九万九千八百四十円というものが全部四建へ納まつておりますか。
  710. 桝谷喜代一

    桝谷証人 おります。
  711. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そのうちから山九は諸経費だといつて四十八万千何百円というものをとつて行つたということを言つておるそうだが、そういう事実は御承知ないですか。
  712. 桝谷喜代一

    桝谷証人 大体山九の方では、私どもの取下げの計算をするときには大体一割といつておりましたが、まあ親会社だからもう少しとつてもいいだろうというような気持はありました。けれども調べてみますと、請求金額の一割しかとつていないということがあとで事実わかつたのはわかつたわけでありますが、この四十八万何ぼとかいうことは私は一切知りません。
  713. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 その一割というそうを聞きたいのですが、一割とるのはよろしいとして、一割をとるときにはあなたのところへ拂うべき――要するにこれは調達庁からの請負ですから、調達庁から金をもらつて、そのもらつた金から一割引いてあなたのところへ渡すのでしよう。そこであなたのとつた中から、あなたには四建へ使用料を拂う、  こういうことになるのでしよう。
  714. 桝谷喜代一

    桝谷証人 はい、そうであります。
  715. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうしてみれば四建へ行つたものから山九が手数料をもらうということはあり得べからざることのように思うのですが……。
  716. 桝谷喜代一

    桝谷証人 それは三千二百四十円ときまりますれば、軍の証明によつて、時間によつて計算するのでありますから、その金額の差異はないように私は思うのでありますが……。
  717. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうではないのです。山九受取るべき手数料を、あなたの方から四建へ拂われたところの使用料から受取るべきものでなかろうと思うのです。そんなばかなことはなかろうというのです。
  718. 桝谷喜代一

    桝谷証人 それは引いております。
  719. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると、あなたの持つて行つた六十九万九千八百四十円の中から引いておることを知つておるのですか。
  720. 桝谷喜代一

    桝谷証人 はい。これを含めまして七千五百円いただきましたから、その七千五百円から三千二百円の契約の金だけ一時間に対してやつたわけであります。だから山九と四建が三千二百五十円ということになりますと、私どもの曳船では三千何ぼで、七千五百円になるわけです。そうしてその向うの契約が三千二百円なら三千二百円の時間にかけたものを結局向うに拂えばいいわけです。それで調達庁からとるのは、要するに四建ではなくして、起重機一日の七千五百円なら七千五百円ときめたものに一割のサービス料をつけれものを山九が取下げしたのだろうと私は思うのであります。
  721. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私の言うのは、あなたが四建へ持つて行つた六十九万九千何百円の中から、そういう諸経費として四十何万円引かれた、そういう事実を知つておられるか。知つておるとすれば、それはどういう金なのか、それを聞たい。
  722. 桝谷喜代一

    桝谷証人 四十何万円ということは実は私はよく存じません。
  723. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それでは六十九万九千八百四十円全部四建の会計に入つておりますか。
  724. 桝谷喜代一

    桝谷証人 それは向うの方からとりに来たので、私の方からその会計に入つておるかおらぬか、私の方ではわかりません。
  725. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それはだれに渡したのですか。四建の……。
  726. 桝谷喜代一

    桝谷証人 いつも連絡に参ります近藤技官、それから西林という主任さんと二人がいつも連絡員でありますから、多分近藤さんと思います。
  727. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そのときに領収書をもらつたのは、それは確かに四建のいわゆる公文書としての領収書ですか。
  728. 桝谷喜代一

    桝谷証人 いや、公文書ではないと思います。
  729. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それでは何ですか。
  730. 桝谷喜代一

    桝谷証人 それは会計の方でありますれば、公文書ではなく、最後の精算のときには公文書がいただけるか何か知りませんが、私の方はとりあえず金を渡したといということがわかりさえすれば、会計の方でいいだろうと思うのであります。公文書はいずれあとから来るだろうと思つておりますが、今までのは公文書ではございません。
  731. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 どんなものですか。
  732. 桝谷喜代一

    桝谷証人 私の方の領収書かなにかのように記憶するものであります。
  733. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 間違いないのですね。
  734. 桝谷喜代一

    桝谷証人 公文書は来ません。私の方で領収書かメモか何か、それはよく記憶いたしませんが、公文書でないということははつきり申し上げます。
  735. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 確かにあるなら必ず出してもらわなければ困る。
  736. 桝谷喜代一

    桝谷証人 はい。
  737. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 次に宇部へ引いて行かれたことを聞きたいのですが、これを修理に出すために宇部まで持つて行くのには相当金もかかりましようが、今聞けばちよつとあかが出るので、それを埋めるということですが、そんなことで宇部まで持つて行かなければならぬとはなかろう。幾らも関門にあろう。
  738. 桝谷喜代一

    桝谷証人 置いておきましても、曳船と超重機の費用は、金はいただきませんでも、費用のかかる点はかわりはないのであります。
  739. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 契約には場所はきまつてつたでしよう。これは関門港湾内において使うという制限はなかつたのですか。どこへ持つてつてもよかつたのですか。
  740. 桝谷喜代一

    桝谷証人 請書には関門港と書いてあります。
  741. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすれば関門港以外に出れば契約違反になるのだ、契約違反を犯してまでも持つて行かなければならぬ、それほどの重大なことであつたのですか、どうもわれわれはさようなことは信ぜられない。
  742. 桝谷喜代一

    桝谷証人 今から考えると、まことに相済まぬこととは存じますが、結局これは向うから命令が出まして、済むまでは軍の命によつて一つも動かすことができないことになつておつたのであります。たとえば現在申し上げますが、その年の十二月の当時は桝谷の方はもうけた、もうけたとおつしやいますが、軍と直接の請負契約になりますと、一箇月百八十時間というものを補償してくれるわけです。使つても使わぬでも百三十万か百五十万の金を起重機と曳船に出して軍は拘束するのであります。私の方の契約は、使わぬときは一銭も金をいただかぬ。使つたときにはいただく。軍と日本との契約はそれだけ違うものかと私どもは思つておりますが、昭和二十五年の十二月から、現在まだ続行して、一箇月百数十億円の金を、仕事をしなくてももらつております。但し一箇月仕事をしましても、三十時間あるいは四十時間作業をしましても、要するに一時間約七千五百円で百八十時間の金を軍から民間の業者の起重機に取下げております。
  743. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私の聞くのは、そういう契約違反をしてまでも宇部港へ持つて行かなければならぬ理由があつたのか。軍にあかがあるから調べてみるというようなことでは、できそうもないということなんです。なぜそんなに契約違反してまでも持つて行かなければならなかつたかを明白にしてもらいたい。
  744. 桝谷喜代一

    桝谷証人 今になりますとまことに相すみませんが、そのときの気持は軽い気持で、まず借りてはおりますが、まあ自分のような気持があつたように記憶いたすわけであります。まことに申訳ないと思います。
  745. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると、その点においてすでにあなたの方で契約違反をされたわけだ。それからさらに今度は、機雷のために掃海できておらぬ区域、言いかえれば航行禁止区域へ入れたということも重大なる過失である。契約違反をして、行くべからざるところへ持つてつて、そうして入るべからざるところへ過失で入れた。これはもう問題ない。あなたは先ほど認められたが、文句も何もない。あなたのところに責任があると思うが、その当時はさように考えられましたか。それともそうじやなかつたのですか。
  746. 桝谷喜代一

    桝谷証人 その当時も責任を感じていました。しかし幸い宇部港方面に船は入つておりませんで、関門港となつておりますが、砂津方面には作業にたびたび出たのであります。
  747. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなたはそれだけ考えておるなら、船を沈めたときは、どうも申訳ございません、私の力の及ぶ限りこれを引揚げます、請書に書いてある通りなのでありますから、元の通り復帰します、こう言われそうなものだが、そう言われたのですか。それとも何かはかに話がありましたか。
  748. 桝谷喜代一

    桝谷証人 四建に対しては、重々お詫びをたびたび申し上げております。
  749. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 その結果どういうことになつたのですか。
  750. 桝谷喜代一

    桝谷証人 それで、とりあえず掃海が済んだならば、桝谷組の方で引揚げるということで翌年の七月掃海を完了しまして、引揚げ場所に約十一箇月日に参りまして、それからとりあえず作業にかかりましたが、どうも作業が難工事のために、資金その他の関係で苦しくなりましたので、たびたび御相談には参りましたが、それは結局、私の方は引揚げだけでこらえてくださるなら話はしやすいが、修繕までするというとは、なかなか今の状況ではできぬから、何とかいい方法はないかということを申し上げたことはあります。
  751. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 その結果どういう話だつたのですか。
  752. 桝谷喜代一

    桝谷証人 向うの方では、引揚げ引揚げといつても、契約書通りにやつてもらわなければいけないというわけで、とにかくえらい人には一度も会つていないのでありまして、下の人といつも会つているのでありますから、引揚げて契約書通りやれ、われわれの方はやれぬということを一、二度申し出たことはございます。
  753. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あとは……。
  754. 桝谷喜代一

    桝谷証人 その間にこういう御調査が参わましたので、御調査が済んでからまたお話をしようと思つているのです。
  755. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 もつと重大なことがある。あなたは、どうしてもできぬ、何かひとつ力を貸してもらいたいということを言つたでしよう。
  756. 桝谷喜代一

    桝谷証人 そんなことは言いません。
  757. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それじや、四建の方でこの引揚げのために一千二百万円というものを本省へ要求して金をとつて、これに金をつぎ込んでいるはずだが、この事実は御承知ないですか。
  758. 桝谷喜代一

    桝谷証人 そういうこの沈船の後に、何もこのために四建が金を使うことはないと思います。
  759. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると、この一千二百万円とつたのは、あなたのほかにだれか引揚げなり何なり作業をやつている者がありますか。
  760. 桝谷喜代一

    桝谷証人 ありません。
  761. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それでは千二百万円は一文も使われておらぬと考えてよろしいのですか。
  762. 桝谷喜代一

    桝谷証人 それは引揚げに対しまして、何も四建として金をまだ使つておらないはずです。
  763. 田渕光一

    ○田渕委員 もう一度伺いますが、そうすると先ほど鍛冶委員からお話がありました通りで、その後、始末書か何かとられたようなことはありませんか。
  764. 桝谷喜代一

    桝谷証人 始末書も何もとられておりません。
  765. 田渕光一

    ○田渕委員 ますます四建のけしからぬことがわかつて来た。そこで、これはいずれ四建をお呼び出しになりましようが一本員は二月一日からしばらくの間北海道の調査に参りますので、この点を特に御追究願うことを委員長に引継ぎを願つておきたいのであります。  先ほど委員長から七、八項目で九月分の作業費、その他についてお聞きがありましたが、さらにもう一つ伺いたいことは、九月分の作業費の中に、日本サルヴエージに幾ら、広瀬サルヴエージに幾ら、近藤サルヴエージに幾ら拂つておるということはおわかりでしようか。
  766. 桝谷喜代一

    桝谷証人 日本サルヴエージ関係山九関係は、私は存じません。近藤に対する支拂いは、私の方で支拂うわけであります。山九関係ありません。西日本重工山九から直接あちらの方に拂うわけでありますから、これも私は今幾ら拂つたか存じません。広瀬サルヴエージの分は、これは朝鮮に行く途中こちらに引きとめられて作業をいたしまして、広瀬サルヴエージの起重機も軍の起重機でありまして、作業員は全部広瀬から行つてつた関係で、作業に関しましては山九の金銭の取引は関係ないと思います。
  767. 田渕光一

    ○田渕委員 そうすると、近藤サルサエージには幾ら拂われた書類になつておりましようか。
  768. 桝谷喜代一

    桝谷証人 私の方で拂いましたのは――近藤さんと私は同業者で、お互いに道具の貸し借りをやにておりますが、計算面において、私の方の例といたしましたら、ねずみ勘定といいまして、お前何ぼ、おれ何ぼという計算が多いのでありますが、万数千万円は拂つていると思います。
  769. 田渕光一

    ○田渕委員 それから先ほどの鍛冶委員の御質問に関連することでありますが、四建の資料によると、これは午前中の証人に聞いて要領を得なかつたのでありますが、九月分の使用料山九運輸請求したところ、六十九万九千八百四十円、約十万円の金を持参したと言つておるのであります。ところが実際は、その計算の基礎となるものが、二百十六時間の單価でやつているのであります。ところが事実は、二百十八時間と、このほかに百九時間といういわゆる時間超過を拂つているのでありますが、これは御存じでおりましようか。
  770. 桝谷喜代一

    桝谷証人 六十九万九千八百四十円が、前申し上げました時間のずれがありまして、私の方では清算は済んだものと思つておりましたが、あとの清算になりますと、七十万六千三百二十円、要するに六千四百八十円というずれが出ておるのであります。これはまだ支拂つておらないわけであります。今時間外のことを申されましたが、この清算はまだ未計算なつております。
  771. 田渕光一

    ○田渕委員 桝谷さんの方では未計算なつているか知りませんが、現在とつてつてしまつているのです。この金を特調と山九との間においてごちやごちやにやみからやみに葬つたようにわれわれは思うのであります。こういうような経理面のことは詳しく調べるでありましようが、いずれにしても本員の最も納得いかないのは、この問題に関しまして、私はただいまこの証言台へ立つてくださいました桝谷証人が最も信を履ける証人である、人格も尊重でき、またその性質、事業の形態からいつて最もはつきりしておられるし、私は非常にこの証言に、私個人といたしましては信を置くのであります。しかしながら、どう申しましても、四建というものがけしからぬわけで、これはどういう証人を呼んでおられるかわかりませんが、まず私はこれがポイントだと思う。これを徹底的にやつて告発するという線に持つて行かなければ、目的を達しないと思うのです。どうかくれぐれもこの四建の追究に対しましては、厳重にひとつお調べ願いたい。幸いに本員がもしも立会えて出席できる機会があるならば、国民各位が納得するまで聞きます。やるべきものは告発手続もとりましよう。けれども、どうかくれぐれもお願いいたしておくことは、この四建がまつたくけしからぬことをやつておると思うのであります。また桝谷証人は非常に責任を感じられておりますが、いずれにいたしましても、それの損害はなるたけ軽い方がいいというのは人の人情であります。私は、これだけの事業をされ、これだけのサルベージを持つておられます桝谷さんとして、五百万や六百万の資産とは思いませんので、今日の価格で言つておられるのか、あるいは昭和二十年当時の価格で言つておられるのか存じませんけれども、あなたにお願いすることは、最善の方法をもつてこれを八千三百万の国民におわびをする、これがわれわれ国民としての義務であるという御心境になられて、善処せられんことを切に私はお願いいたしておきます。
  772. 大泉寛三

    ○大泉委員 証人ちよつとお尋ねいたします。山九運輸から借用を肩がわりするときに証人は保険をつけようとは思わなかつたのか。また四建の方でそれをつけてくれとは言わなかつたのか。
  773. 桝谷喜代一

    桝谷証人 保険をつけてくれという話はありましたが、自発的にかけた保険は四百万円でありました。
  774. 大泉寛三

    ○大泉委員 損害賠償に対する責任を負うというような計算からそれはやつたのですか。またもしそれが沈没した場合にはそれだけで損害は済むと思つたのですか。
  775. 桝谷喜代一

    桝谷証人 私どもは従来のサルヴエージといたしまして、おそらくサルヴエェージは船を助けるのが目的でありまして、沈めたことはないと申し上げていいほど船を大事に扱い、その波に乗ることを訓練しておりますので、四百万円ありますれば――この起重機というものはめつたに沈むものではありません。いまだかつて沈んだということを聞いておりませんが、この起重機をいためた場合、引綱が切れたり、しけのときに沖にのし上げたりするということを推定するならば、四百万円で幾分の修理をした程度で補いがつくであろう、こういう頭が一つありましたのと、当時この船が私どもの作業、要するに拂い下げの価格が四百万円程度で、またサルヴエージ業者はこの船はだめだという考えから、だれも引取手がなかつたということを考えますと、幾分か單価が違つても、四百万円つければわれわれは損は行かない。店から負担する必要はない。出すこともいらんだろうという計算から四百万円入れたのであります。
  776. 大泉寛三

    ○大泉委員 それでは四百万円で損害は補いがつく、こう考えられたのですか。それじや四百万円をどういうふうに処置されましたか。
  777. 桝谷喜代一

    桝谷証人 機雷のために一銭もいただくことはできませんでした。その保険は機雷のために下らないのです。それはあとから聞きますと、機雷は何とかという特殊な保険があつたということでありますが、保険組合において、機雷にかかつたりした保険は、終戦直後は見舞金か何かあつたりあるいは金も下つたと思いますが、一年後には保険組合によりまして情報が入つております。機雷を受けた保険は拂わないということで、現金は一銭もいただけなかつたのであります。
  778. 井上良二

    ○井上(良)委員 ちよつと二、三点伺つておきたいのですが、さいぜんから委員長及びその他の委員の方から質問をしております重点は、この五号起重機船を沈没せしめた問題は、その沈没さした場合における四建との話合いの問題であります。この場合あなたの方は沈没さしてまことに相済まぬ、できるだけ誠意をもつて善後処置をしたい。しかし実際船の引揚げその他の準備をしてかかつてみたが、引揚げてもあとの修理に莫大な経費がかかるのでできない。こういうことで、四建では一応契約書通りやつてもらわなければ困ると言うし、あなたの方は引揚げだけしかできない。こういうことで話が切れておるように今伺つたのですが、そういたしますと、あなたの方に引揚げてもらわなくてもいい、これは四建の責任において処置する、こういうことになりましたか、その点が明らかでございませんが……。
  779. 桝谷喜代一

    桝谷証人 大体二十五年の十一月二十六日に沈没いたしまして、機雷掃海をして作業ができるようになりましたのは、約八箇月の日数を経まして、それから許可申請しまして一箇月半の日数を経て、九月の末から十月一日ごろ作業にかかつたのであります。非常にどべが深いところで、真横にひつくり返りまして、約半分ばかり埋まつておりまして、損傷程度がわからないのと、相当作業が困難である。作業にかかつたものの、現在は資金が続かないというために、また技官の方に一応何とか話してみてくれ、私の方で引揚げるだけでこらえてくれるというなら引揚げるが、保険はとれないし、傷は大きいし、どうも困つておるが、あなたの方で何とかならぬか、はつきり言つてくれ、契約書をたてについて言われたならば、どうも私どもはかかりにくい。同じ倒れるならばあなたの方から裁判してくださつても、その期間だけ現在おるところの八十名が命つなぎできる。私は資材を差押えされようが、とられようが、あしたから手を上げようが、そんなことは何もがまんいたしますから何分の話を進めてくださることを願いますということを申しております。四建の方から調査がありましたので、とりあえずこれが済むまで待つていただいて、私は救助見込みがあるとかどうとかいうよりも、要するに第三者として、日本サルヴエージか大きなサルヴエージに鑑定していただきまして、この救助費が何ぼかかるか、それによつてお打合せ願えればけつこうですということを申し上げたわけであります。
  780. 井上良二

    ○井上(良)委員 今あなたが話をした相手方というのはだれですか。どういう地位にある人ですか。
  781. 桝谷喜代一

    桝谷証人 それは沈没の後に初めて会いましたところのあそこの工場長であります。要するに四建の課長であります。
  782. 井上良二

    ○井上(良)委員 四建の一工場長にそういう重大な作業の打切りといいますか、引揚げ不能になつて、あなたみずからの会社の運命をかけてもいいほどのあなたは腹をくくられて善後処置の相談をされたのでしよう。それを今あなたの話を承りますと、何十年来の業界におけるしにせをもつて今日の地位を築かれ、この大問題にぶつかつて会社がのるかそるかというときに、あなたに一工場長にこんな大問題を相談をして、それで話が片づくとお考えになつておりますか。四建の部長であるとかあるいはまた上級機関の責任者であるとかいうものに相談をされて、善後処置を講ぜられるのが当然じやなかつたでしようか。これはあなたの会社の運命に関する大問題です。またさいぜんからの質問であなたが御答弁されておる点は、一切を投げ出してもいいという腹をきめられておるのです。それほどあなたの会社の運命に関する大問題を、四建の一工場長に話をして、それで話が解決するとあなたはお考えになつたのですか、それがちよつとわれわれ了解がでません。一工場長がそんな大きな権限をお持ちになつておりますか、契約書を変更したりあるいは契約にないようなことをあなたと話をとりきめて、それで話がつくとお考えになつておりますか、この点どうです。
  783. 桝谷喜代一

    桝谷証人 これはたびたびそういう引揚げのために契約を追究されますので、工場長にそのお話をしますれば、多分部長かだれか呼び出してくれるだろうと思つてそういう話をしたわけであります。
  784. 井上良二

    ○井上(良)委員 工場長はそういう現場の実際のことはよくわかりますから、一応報告されるのが義務でありましよう。しかしながらあなた自身としては、進んでみずから四建の事務所を訪問をされて、実はかくのごとき大事態が超りました、いろいろ工場長にも相談をしておりますがということで、喜後処置について当然相談をされたはずだと思いますが、それをしなかつたのですか。
  785. 桝谷喜代一

    桝谷証人 工場長に話をして、上司の方から、桝谷がかわいそうだからこういうふうにしてやるという話がありますれば、私は偉い人に会いますが、そういう話がなくて、ただ契約書一本で押されますから、結局私も行かなかつたわけであります。
  786. 井上良二

    ○井上(良)委員 問題はそこが非常に大事なところで、この沈没船問題はあなたみずから全財産を投げ出してもやむを得ないという大問題になつておるのです。会社がのるかそるかという大問題になつておるときに、一工場長の意見だけによつてあなたは善後処置をきめられる。いわば相手方が何とか言つて来るだろうから、じつとそれまで待つていよう、そういうのんきな気持であなたの会社はおられましたか、私はどうもそこがおかしいと思うのです。それほど重大な問題になり、会社としても大きな責任問題になり、また契約通りやつてもらわなければ困ると相手方が言つておる以上は、進んであなたは責任者たる建設部長に直接面会をされて、実はかくのごとき事態になつております。いろいろ工場長にも報告しておりますが、なかなか工場長の責任では話がつきません。何とかここはひとつ善後処置をお考え願えませんでしようかと、あなたが東京まで出て来ることはたいへんでございましようが、ともかく管轄地の責任者に対して話をして行くのが当然の処置じやないですか。
  787. 桝谷喜代一

    桝谷証人 今仰せのことはごもつともでありますが、そのときの状況というものは、結局その点で上司の人には全然会わなかつたわけであります。
  788. 井上良二

    ○井上(良)委員 この五号起重機船というのは、現在の価格にすると一体どのくらいの見積り価格になりますか、おわかりになりませんか。
  789. 桝谷喜代一

    桝谷証人 単価問題につきましては、これは私の考えといたしまして、昭和二十四年のときに日本サルヴエージがあれを四百万円でもまあいらないというようなことを申しました。それから査定いたしましたら、何ぼかということは、使い道にもよりますが、はつきり申し上げられぬと思います。
  790. 井上良二

    ○井上(良)委員 新造船でつくつた場合どれくらいかかりますか。
  791. 桝谷喜代一

    桝谷証人 新造船なら今ああいうのはつくらぬと思いますが……。
  792. 井上良二

    ○井上(良)委員 かりにつくつたとしたら。
  793. 桝谷喜代一

    桝谷証人 つくつたとしましたら……。その方面はわかりませんです。
  794. 井上良二

    ○井上(良)委員 あなたは専門にこういう仕事を長いことおやりになつておつたのでしよう。
  795. 桝谷喜代一

    桝谷証人 はい、そうです。
  796. 井上良二

    ○井上(良)委員 そうすると、こういうものが今かりにあつたからいいが、ないとして新しくこしらえるという場合に、大体どのくらいかかるということはおよそおわかりでございましよう。あなたはその方の専門家だから……。
  797. 桝谷喜代一

    桝谷証人 船を浮かしたり起したりするのは専門でありますが、つくることは全然関係はないのです。査定せよといえば査定しますが、その点はちよつとはつきりわかりかねます。
  798. 井上良二

    ○井上(良)委員 それで伺いますが、そういうことが予定されないのに、どういうわけで引揚げまたは修理に莫大な金をかけようとするのですか。かりにこれが五、六百万円の船価であるといたしました場合に、この引揚げ及び修理に五、六百万円以上の金がかかるなら、これはそろばんをとつてみて、新造した方がいいということが起つて来ます。そこで私が伺いたいのは、ただいまこの引揚げの準備をし出した、その引揚げに対してどれくらいの予算をもつて引揚げようとしたのですか。これは予算がなかつたら計画立ちませんから……。
  799. 桝谷喜代一

    桝谷証人 そうです。最初四百万から六百万くらいの予算――私の方の実費でやると四百万くらいの予定を持つておりました。
  800. 井上良二

    ○井上(良)委員 そうなつて来ると、それは引揚げだけでございますか、修繕は別ですか。
  801. 桝谷喜代一

    桝谷証人 引揚げだけであります。
  802. 井上良二

    ○井上(良)委員 そこで問題は、引揚げた上の修繕費にはどれくらいかかる予定ですか。
  803. 桝谷喜代一

    桝谷証人 引揚げてみなければわかりませんが、船体の損傷程度にもよりますが、一千万円くらいまではかからぬかもしれませんが、はつきりしたことは損傷程度を見なければわからぬと思います。
  804. 井上良二

    ○井上(良)委員 そこで問題は、あなたの方では五、六百万円くらいの予算をもつてこれを引揚げてみよう、自分にも引揚げるだけの責任があるということで、準備にかかつて仕事を始めた。なかなか難事業だというところへ、衆議院の方からこの問題について監査が参つた。そこで事業を一時中止というか、見合しておこう、こういうことになつたというのですが、その見合しておこうと言うたのはだれですか、引揚げ後の修繕その他もこの問題が解決してからまた話を進めよう、こういうことを言うたのはたれです。
  805. 桝谷喜代一

    桝谷証人 中止をいたしたのは私個人の考えでいたしたわけであります。それから今後の処置とかいうことは、前の部長がかわられまして、今度新しい部長がおいでになりまして、その方から呼ばれまして、お前は一体どうする気持かと申されましたから、はつきりそういうことを申し上げてやつたわけであります。
  806. 井上良二

    ○井上(良)委員 ちよつとそこがあやしいですが、あやしいというと失礼でございますが、あなたはさいぜん私の質問に対して、この沈没船の処置に関しては工場長に相談をして、上の方にはだれにも相談をしてない、こういうお話でございましたね。
  807. 桝谷喜代一

    桝谷証人 はい。
  808. 井上良二

    ○井上(良)委員 ところが今度問題が起つて、それから今度あなたの方が部長に呼ばれたのでございますか。
  809. 桝谷喜代一

    桝谷証人 そうです。部長は前の部長でなく、かわられた部長で、前の引継ぎのために、とにかくお前の方の気持はどういう気持であるかということを聞かれましたから、そういう点をお話申し上げただけであります。
  810. 井上良二

    ○井上(良)委員 その場合あなたが今申しましたように、引揚げはやるが修繕はできないということを申されたのですか。
  811. 桝谷喜代一

    桝谷証人 いや、できないとははつきり申し上げませんですが、結局金の運転が悪い、金のまわりが惡うございますから、何とかひとつあなたの方で線を出していただきますればまだ幸いであります、横着言うようだが、たとえばそのあとは桝谷の方こらえてやる、こうするということをいただきますれば、作業するのにも思い切つて経済を考えて作業ができますが、あくまでも請書でつかれますならば、今この線をつかれて桝谷がつぶれるだけなら、同じものだつたら裁判してもらつた方が仕合せのように思います。はつきりはそういう横着な言葉では申しませんが、申した次第であります。
  812. 井上良二

    ○井上(良)委員 そうしたら部長はどう申しました。
  813. 桝谷喜代一

    桝谷証人 部長は引継いだばかりで何だから、やはり請書通り、この契約通りでやらにやいかんと申しまして、相当日数もたつておりますから、私がサルヴエージで私自身が沈没させたのでありまして、私が勝手なことを申し上げてもいけませんから、第三者の日本で一番大きいサルヴエージのお方に一ぺん調査をしていただいて、どの程度いたんで、どの程度どうなつているか調査報告書が出ましたら、その後どうなつているか、大体何ぼかかるものか判定していただいて、それから私の決心を定めさせていただきますとこういうことを申し上げました。
  814. 井上良二

    ○井上(良)委員 あなたはこの引揚げについてそういう専門家と相談をされて、およそこの引揚げにどのくらいの費用がかかるというようなことについて見積らしたことはありますか。
  815. 桝谷喜代一

    桝谷証人 まだありません。
  816. 井上良二

    ○井上(良)委員 あなたの方の個人的な予想で大体まずこのくらいかかるという見積り額をきめておつたわけでございますか。
  817. 桝谷喜代一

    桝谷証人 そうでございます。
  818. 井上良二

    ○井上(良)委員 そうするとあなたの方でこの引揚げに今日まで使つておる金はどれくらいですか。
  819. 桝谷喜代一

    桝谷証人 機材、防水材料等に現金で購入したものは二十七、八万、三十万足らず。それから作業にかかつた間の船はただだとしますれば別個でございますが、かかつたとすれば全部で七、八十万くらいはかけておるだろうと思います。
  820. 井上良二

    ○井上(良)委員 そうするとそのままで今中止しているわけでございますね。
  821. 桝谷喜代一

    桝谷証人 台風に災いされまして、私の方の持つた所有の起重機船あるいは工作船等が相当被害をこうむりまして、関係作業に携わることが遅れたわけでございます。
  822. 井上良二

    ○井上(良)委員 この台風というのはいつです。
  823. 桝谷喜代一

    桝谷証人 十月の十四日か十七日かと思うのでありますが。
  824. 井上良二

    ○井上(良)委員 ルース台風のことでありますか。
  825. 桝谷喜代一

    桝谷証人 そうでございます。
  826. 井上良二

    ○井上(良)委員 そうするとそれからこつちどないしておられますか。
  827. 桝谷喜代一

    桝谷証人 その後は着手をいたしません。
  828. 井上良二

    ○井上(良)委員 その後は全然仕事していないのでありますか。
  829. 桝谷喜代一

    桝谷証人 はい。
  830. 井上良二

    ○井上(良)委員 仕事してない、後に今の新部長が来たのですか。
  831. 桝谷喜代一

    桝谷証人 新部長は二十日ほど前だろうと思います。
  832. 井上良二

    ○井上(良)委員 台風の。
  833. 桝谷喜代一

    桝谷証人 そうじやない最近でございます。
  834. 井上良二

    ○井上(良)委員 あなたの万では台風でその引揚げに要した船舶の被害のために作業が全然困難になつて中止している、こういうことでございますね。
  835. 桝谷喜代一

    桝谷証人 はい。
  836. 井上良二

    ○井上(良)委員 そうするとあなたはさいぜんいろいろ引揚げ作業を行い、かつ引揚げ後における処置等について折衝を開始した、その引揚げ作業中及び引揚げ後の処置等について折衝中に衆議院の行政監察委員会からの調査があつたので、一時工事は中止しておるというのとは違いますね。
  837. 桝谷喜代一

    桝谷証人 大体一括するとそういうことであります。
  838. 井上良二

    ○井上(良)委員 一括するとじやないでしよう、これは非常に大事なことであります。あなたが誠意をもつて引揚げ作業をやつておるのに対して、衆議院の行政監察委員会がこの問題に疑惑がありとして調査に乗り出したから、一時この問題の調査が終るまでいろいろな話はあとまわしにしようということで中絶されておりますというのが、さいぜんのあなたの証言です。ところが今私が問いただしておるところによると、あなたの今のお話では、ルース台風によつていわゆる引揚げに要するいろいろな作業が実際損傷を受けたために困難になつて中止しておる、だから衆議院の行政監察委員会が行きます前にもうすでに作業は中止されておるでしよう。
  839. 桝谷喜代一

    桝谷証人 まず十月十七日の台風にやられまして、それからあとの機材の装備を全然中止しておつたということでなくて、まあどう申し上げたらいいでしようか、はつきり中止したのでもなく着手し終つたのでもないという状態であります。
  840. 井上良二

    ○井上(良)委員 あなた衆議院の調査が始まつたから中止しておこう、話の結論はあとまわしにしようということになつたというんですが、それはいつそういうことをお聞きになりましたか。
  841. 桝谷喜代一

    桝谷証人 一番初めに参りましたのは十一月ごろと思います。
  842. 井上良二

    ○井上(良)委員 それはどこからお聞きになりました。
  843. 桝谷喜代一

    桝谷証人 書類が参りました。
  844. 井上良二

    ○井上(良)委員 それは、どこからどういう名前で来たのですか。その書類をお持ちでございますか。
  845. 桝谷喜代一

    桝谷証人 衆議院行政監察委員長篠田弘作殿としてありますが。
  846. 井上良二

    ○井上(良)委員 それはいつからいつになつておりますか。
  847. 桝谷喜代一

    桝谷証人 私の方が出したのは十一月八日になつておりますから、十一月の八日の日に私の方は委員長さんあてに出しております。
  848. 井上良二

    ○井上(良)委員 私は、委員長あてに返事をしておるかどうかでなしに、あなたの方と四建との間にこういうことについての調査が始まり出したから一時話の結論をつけるのは延ばしておこう、結論のつかまぬままになつておるのでしよう。
  849. 桝谷喜代一

    桝谷証人 そうです。四建とは話はしてない。
  850. 井上良二

    ○井上(良)委員 話はしない。あなた自身がかつてにそうきめたわけですか。
  851. 桝谷喜代一

    桝谷証人 そういうことに……。
  852. 井上良二

    ○井上(良)委員 そうなるとやつかいになつて来ますぞ。あなた自身は、さつきからいろいろ御質票ございました通り、正規の請書によつて、はつきりした條件のもとに使わなければならぬものを、あなたの御都合によつてその船をよそにまわしておつて、事故を起して、そうして実際その事故を償うことができ得ない結果この問題が起つておるわけでしよう。そうすればあなたの方は、あくまであなた自身がここで御答弁をされ、証言をされておりますように、桝谷組をやめてこの問題を解決しなければならぬという、あなたの純情的な至情が発露されなければなりませんぞ。四建との間で、あなたの方がこういうことで衆議院が調べ出したから、どういうことになるかわからぬから、まあ一応話のつくまで待とうということになつておるのなら別だ。自分自身のかつてな考え方でこの問題の結論をつけぬでおくということは、一体どういうことです。
  853. 桝谷喜代一

    桝谷証人 やはり金のまわりの悪いためが一番原因しておるのでございます。
  854. 井上良二

    ○井上(良)委員 私はこれ以上申し上げませんが、金のまわりがいいとか悪いとかいうことではないのです。あなたのところが六百万円からの引揚げ予算をもつて引揚げようとする計画を立ててるじやありませんか、あなたみずからが引揚げようという腹をもつてかかつた仕事なんです。途中で二、三の船が故障を生じたからということで一時中止をされた形になつている。その場合少くともあなたが四、五百万円から五、六百万の経費をもつて引揚げようとしてかかつた仕事を、あなたみずからの所有船がそういう損傷を受けたから、必ずどこかの船を借りて来て引揚げる誠意を示さなければならないではないか、この借りる金もない、引揚げるための経費ももう資金的にどうにもならないということにあなたの会社なつておるとは考えられぬじやないか、あなたみずから四、五百万円から五、六百万円の経費をもつて引揚げる予算を組んだ、そういう一つの見積りでかかつた。そうして今のお話によると、大体百万円使つておるのか、使つていないのですよ。そうしたらまだ大分金があるじやないか、大分金があるのに何で一体自分の船がいたんだ場合は同業の船を借りるなり、もうけるためにはあらゆる起重機を借りて来て仕事をしないのか、あなたが置いておけば置いておくほど引揚げは困難になつて来ます。早ければ早いほど都合がいいのですよ。そういう事実はあなた方みずから専門家でありましようから、よくおわかりでございましようが、当然あなたの方がそれだけの予算をもつでかかろうとした仕事でありますから、やはりあなたみずから最善の努力を盡くされて、ここまでやりましたけれども、これ以上はどうもできませんというなら、われわれもその誠意は認めます。ところがあなたの方のは私がさいぜんからいろいろ聞いておる点からいうならば、まつたくずさんじやないか、五、六百万円の予算でかかつた仕事を、まだ百万円使つてない現状において、何で他の船を借りて来てやらないか、どういうわけで中止しなければならぬのですか。
  855. 桝谷喜代一

    桝谷証人 四百万円、五百万円の予算を組みましたことは、結局ほかの利潤を上げたものからこちらにひつぱり出すために作業にかかつたのでありますけれども、船が半分浮いたときに私どもの金がまわらないとなれば、結局作業の中止をしなければならぬ状況になるわけであります。予算を組んだからといつてその金を置いてあるのじやありませんで、あれこれやり繰りしたら、あるいは都合によつては船の一ぱいも売つてやろうという気構えが当時あつたためにかかつたのでありますが、途中でそういう障害を受けたならばますます両手を上げるよりしかたがない。現在もそういう状況であります。
  856. 井上良二

    ○井上(良)委員 もう一点で終りますが、そういたしますとあなたの方では何とか引揚げなければ自分の責任がのがれられぬから、いろいろやり繰り算段して引揚げてみよう、ところが意外に難事業である、これ以上金をつぎ込んだらうちの会社がつぶれてしまう、こういう危機に立つたので作業を一時手控えたのと違いますか、それがほんとうでしよう。
  857. 桝谷喜代一

    桝谷証人 やはり今私が申し上げた通りであります。
  858. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 時間も迫りましたので、今までの証人の陳述で最後に疑問と思うことを一、二点お願いして、それから最後に委員長に一つお願いしておきたいことがあります。  第一点は支拂い関係でございますが、桝谷組と四建との支拂い関係につきまして、十月八日から、山九運輸にかわつて桝谷組が四建から一昼夜三万円で借りた。ところがその場合におきまして、福岡SPBは九月分の四建起重機船に対し、多額の金を山九に拂つておるわけでございますが、そのときに一割の手数料名義でピンをはねておる、ところがこの請書によつて契約内容がかわつて来た場合において、あなたのところが主になつ山九に提供した場合にはこういうピンをはねた事実があるかないか。
  859. 桝谷喜代一

    桝谷証人 あれは親会社でありますから、口銭の点は幾らとつたということはあまりよくわかりませんが、作業しつつ目サルと交渉するうちに、大体山九は一割は公認だということで一割を引いた残りは桝谷に全部やろういうことになりました、あるいは四建にしても一割引いたものを全部やろうということになりましたので、全般的に山九にまかしたわけでありますが、山九にまかせるということは、山九が受けた金は進駐軍の証明によつてこの金をもらう、時間の証明によつて單価をかけたものでありますから、一割引いたものが参りますから、要するに三千二百四十円という單価にその時間をかけたならば、四建の方にもとつてありますから、その点計算間違いはあるかしりませんが、はつきりしておるわけであります。
  860. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 そういう場合に契約の主体は桝谷組なつてしまつて山九にこれを提供することに変更されたのですが、今度はあなたのところから山九に対して親会社が子会社に入れかわつたような形になりますが、この場合は手数料をとるのですか、とらぬのですか。
  861. 桝谷喜代一

    桝谷証人 要するにこの起重機は一箇月――。
  862. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 とるのかとらぬのか。
  863. 桝谷喜代一

    桝谷証人 やはり一割とるのです。
  864. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 あなたがとるのですか。
  865. 桝谷喜代一

    桝谷証人 向うがとるのです。
  866. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 それはおかしいではありませんか。
  867. 桝谷喜代一

    桝谷証人 それは一割とるのはあたりまえと思つております。
  868. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 請書によつてこういうふうなピッチャーの交替みたいなことをやつてつて、やはり手数料は山九にとられる、それは少しもおかしくないのですか。しかも山九のときと單価はいずれが高いかというと、桝谷組が一晝夜三万円で借りておつて、前よりも安くなつておる、それを山九に提供されたことに変更されておる。しかもこれはピンといつては言葉が悪いかもしれませんが、手数料名義のものは山九にとられる、これを請書の名義で四建との契約なつておる。しかも前の田中支店長証言の場合とあなたの証言とこういう請書によつてこういう内容をやつたことにつきましては、日時において大分食い違いがあることがおそらく速記によつてわかつて参りましよう。ここに何らかのからくりがあるということは想像に難くない、その点私は奇異に感じますが、あなたは何とも感ぜられませんか。
  869. 桝谷喜代一

    桝谷証人 今申し上げたのは、山九に四建が出した場合は石炭、油、人件費におきまして三千二百四十円であります。ところが四建にしましては、そういう人員とか熟練工がおらないために桝谷組に持つて来たのでありますから、私の方では結局裸で持つて来たわけであります。石炭、油、人件費一切の費用はこの桝谷組が拂うとしますれば、一時間千二百五十円という、要するに三千二百四十円から諸種の費用を引いたところの千二百五十円という單価が出たわけでありますから、これによつて支拂いまするから、何も私はふしぎでないと確信するのであります。
  870. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 石炭、油、人件費、こういうものは常雇い制度の場合もありますし、石炭、油、人件費というものは山九に付属しておるものでなければ桝谷組のところに常時付属しておるものであります。これはいつでもどういうふうにでもやりくりできるのでありますから、それは表面の口実に過ぎぬように私には考えられるのであります。その点はどうですか。
  871. 桝谷喜代一

    桝谷証人 その点は私は山九石炭とか油とかいうものは、全然この使用に出しておりません。もし出したとすると、單価の差引計算をやります。それ以外の費用は、山九は進駐軍に連絡して証明をとつてもらつて調達庁というところに行つて計算をして金を取下げるのが役目であつて、おそらくそれ以外のことは、山九としてはときどき連絡員が連絡に来るか、現場を見るくらいでありまして、それ以外の石炭面、油面には一つもタツチいたしておりません。
  872. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 船が沈没した場合におきまして、あなたは四建の工場長―課長と言われますが、その人と自分が一切の責任をとつておるということをさつき言われましたが、沈没したときは、四種の部長なり最高責任者とあなたは会つていない、呼び出しも受けていないと言われましたが、あなたは会いに行つた事実はないのですか。
  873. 桝谷喜代一

    桝谷証人 はあ、部長、次長のところまでは私は会いに行かずして、絶えず連絡の方と連絡をとつて指示を受けて、呼び出されれば行くというような状態でありました。
  874. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 あなたのところが船を使つておるときに、こういう沈没の事故が起つた場合、――これはあした四建の責任者を呼び出すときに、あなたの証言として聞いておきたいと思いますが、向うから呼び出しもない、あなたも行かな心いということは、これは非常に常識では考えられないことである。しかもこの五十トン起重機というものは非常な高価なものである。こういうことについて、ただ四建の工場長とあなたが全責任をとると言た事実からして、私どもは、これはあなたが作業を継続して行く上において、結局現場の課長からにらまれると困るという観念があなたの頭に浮かんだとか、あるいはその他の事情が伏在しておつたということを想像するに非常な余地があるわけだが、この点はあなたはそういうことはきわめて普通である、少しもふしぎでないと思われますか。
  875. 桝谷喜代一

    桝谷証人 大体私が部長あるいは次長のところまでお断りに行くのが実際私どもとしての建前ではありますが、借用したときに部長、次長に会つておらない関係で、いつも来られる部下である連絡員の近藤さんと主任さんと絶えず連絡をとつておりますから、それで事故があつたときにも、その連絡員と主任さんに報告しまして、その後連絡をとつておりましたが、機雷掃海の済むまでには、今の工場長兼課長でありますが、これに二、三回会つたきりでありまして、まず機雷の掃海が完了して作業に着手するようになりましてまた御報告に来ましようということでわかれておりましたが、部長、次長からは一度も呼ばれたことはございませんが、昨年の十二月ごろと思いますが、次長が一度来いというので次長のところに行きましてお話したことが一回あつたわけであります。
  876. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 それじや行つたんじやないですか。
  877. 桝谷喜代一

    桝谷証人 その当時来てくれと言われましたから行きました。
  878. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 結局公式の部長なり次長なりの呼出しもなかつた。あなたもそこに行かなかつた。そうしてすべての交渉は四建の工場長を通じてやつた、こういうことでよろしゆうございますか。
  879. 桝谷喜代一

    桝谷証人 はい、よろしゆうございます。
  880. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 きわめて私的に、プライヴエートにあなたは会いに行つたことがあるのですか、ないのですか。
  881. 桝谷喜代一

    桝谷証人 ありません。
  882. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 あなたがさつき次長のところに行つたというのはどういうわけですか。
  883. 桝谷喜代一

    桝谷証人 それは今年でしたか、部長が来られる前ですから一月の中ころと思いますが、次長が呼ばれましたから……。
  884. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 行つたんですね。
  885. 桝谷喜代一

    桝谷証人 連絡がありましたから行きました。
  886. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 そうすると、一切の沈没前後におけるところの交渉というものは、四建の工場長を通じてあなたのところに話があつたんですな。
  887. 桝谷喜代一

    桝谷証人 工場長、連絡員であります。
  888. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 四建との通常の事務の交渉折衝の場合と同じようにしていろいろな交渉があつた、こういうことですね。
  889. 桝谷喜代一

    桝谷証人 はい、そうです。
  890. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 これは官庁と民間の業者との契約でございまするが、これは国家との間の契約につきましては、いろいろな財政法その他に規定がある。しかるにこういう請書の形で、しかも日にちについて、いつやつて、いつから作業しておるかわからぬ、いつからどういうことをしたか、どういうことをやつておるかわからぬというような、はなはだ非民主的な、成規の規定をくぐつた請書というようなもので、しかも内容は契約である、しかも請書であるから民間業者だけが判を押しておつて、官庁はそれをただ預かつておると申しますか、承知しておると申しますか、これを手元に控えておる。そしてこの内容をいつでもかえられる、こういうことを、四建なり財務部なりがこういう形式でやつておるということは、一体許されることかどうか。国家と官庁なり、あるいはまた国家と民間なりの契約の場合において、ちやんと書式もあるし、やり方もちやんときまつておる。こういうことはあす四建なり財務部なりの官庁間の責任者を呼び出して尋問する場合に、私はこういうことについて特に重点を置いて事務当局の人に調べさしていただきたい。これは委員長にお願いいたします。
  891. 高木松吉

    ○高木(松)委員長代理 ちよつと証人に尋ねるが、四建の宇部の修理工場という、あなたの持つていた船を修理しようとして持つて行つた工場は現在もありますか。
  892. 桝谷喜代一

    桝谷証人 当時完了しまして、あとにまた同業者に貸しましたが、位置が狂つておるかもしれませんがある予定です。
  893. 高木松吉

    ○高木(松)委員長代理 当時工員宿舎に常住した者がおつたかどうか。
  894. 桝谷喜代一

    桝谷証人 現在……。
  895. 高木松吉

    ○高木(松)委員長代理 いやその当時……。
  896. 桝谷喜代一

    桝谷証人 おりました。
  897. 高木松吉

    ○高木(松)委員長代理 何という人だ。
  898. 桝谷喜代一

    桝谷証人 山下営。
  899. 竹村奈良一

    ○竹村委員 時間がないから一点だけ。先ほどの福田委員の質問に関連するわけですが、聞いておりますと、たとえば契約の場合に四建と山九がまず九月十七日に契約しておつた。ところが今度は四建とあなたの桝谷組とが十月の七日から使用するように契約した。しかもそれも請書の形で契約した、こう言うておられるのですが、そのときに今の福田委員の質問に対して、その後四建とあなたの方が契約しても、代金受取つた場合に一割の手数料を山九に納めておる、これは当然だ、こういうように答えられておるのでありますが、そこで私の考えることは、どうも山九とあなたの方とは特別に仕事の面において非常に密接な関係にあると常識から考えられる。それならばあなたの方と四建とが直接契約した場合において、そのうちから自分受取るべき金の中から一割の手数料を山九に納めるという理由は、常識から考えて成り立たないが、それを当然納めるべきだ、こう言つておられることから考えて、山九とは最も密接な関係にあるのだと考えるのですが、これは特に密接な関係にあるわけでございますか。その辺の事情を伺つておきたい。
  900. 桝谷喜代一

    桝谷証人 山九仕事は現在も引続いております。しかも私どもは、七千五百円の請求金額に対して一割というものは、調達庁から出されたと思うのであつて、私どもの金額に対しては一つも傷はつかないわけであります。その出した金に一割をかけたものとすれば、これは政府が認めた一割の口銭だろうと私は思いましたので、そのことを申し上げました。山九と私の方は特別に密接な関係がまだございます、現在作業を下請しております。
  901. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そうしますともう一点だけ伺つておきたいのですが、この宇部に回航される場合に、四建との了解ではなしに、軍との了解のもとに回航した。しかもそのときに、私の質問に対しましては、こういう作業船を働かす場合においては、軍が指令しなくてはどうもならないものだ。一応軍が使つているどいうよりも、むしろ軍の下請をやつておる場合には、軍の許可なくしてはどうもできぬものだ、こういうお話であつたのでありますか、そういたしますと、この請書なるものを見ますと、少くとも九月十七日から十月七日まで山九が四建と契約しておつて、口を合せてまた十月の八日から請書の形で契約がかえられておるとすると、その間にそういう仕事の上記おいて、契約者の相手をかえてもいいという事情が軍の中に起つてつたかどうか。その場合においても、軍に対してあなたが了解してもらいに行つたか、この点はどうであつたか。
  902. 桝谷喜代一

    桝谷証人 軍の方には全然関係はございませんが、ただ仕事に支障を来さぬということが一番大切であつたと思います。私は当時起重機の――現在は進駐軍の通訳は二十数名おられしますが、その当時は五名しかおらなかつたので、私は起重機の運営について非常に協力いたしまして、たびたびタバコとかその他いただいたのでありますが、そういう金銭的とか何とかいうことは進駐軍には関係ありません。但し仕事の面については相当責任がある関係上、四建としまして、前も申し上げました通りに、早くいえばこの仕事が、人員の交替、要するに毎日人間がかわつて来るので作業ができない、困難であるという建前から、私どもの方にかわつたものと確信するのであります。
  903. 竹村奈良一

    ○竹村委員 これは私の推察で聞くのでありますから、実際どうかわかりませんが、先ほどからの委員の質問等に対するあなたの答弁、あるいはその他発言されておる内容から聞きますと、はたして十月七日にこの請書ができたものかどうかということについて、私は非常に疑問を持つておるわけです。請書の日付は確かに十月七日になつておりますけれども、実質上はこれを沈没した後においてできたのではないかしらんという感じを受ける、これは私の感じです。しかし実際は九月十七日から十月七日まで片一方が契約しておるのに、もう待つてましたというように十月八日からずつと今度軍の仕事の終了までというような契約ができておるのは、私はどうもおかしいと思う。一番初めに山九というものが契約する場合においても、おそらく軍の仕事が終了するまでという契約請書ででなければ、私は納得できないと思うのですが、わずか一箇月足らずのうちにすぐ契約書が変更されるというところに、私は大きな疑問を持つのでありますけれども、これは実際に十月七日に契約されたのですか、あるいはまたその後に契約されたのですか、この点を聞きたい。
  904. 桝谷喜代一

    桝谷証人 十月七日の日にそういう話が――まあ前からありましたと思いますが、切りかえは十月の八日でありましたが、單価問題とかそういう問題が二、三日延びた関係で、この書類は一週間前後くらい後に私の方に持つて来たことは、これは確信いたします。
  905. 竹村奈良一

    ○竹村委員 私はこれ以上証人に対して質問をいたしたくないのでありますが、一つ委員長にお願いしておきたい。というのは私が先ほど申しましたように、この契約書の変更についてはまだ釈然といたしません。従いましてこれについていろいろな調査を委員長にしていただきたいと思う。それからもう一つは、大体先ほど福田委員も指摘されましたけれども、こういう請書なるものの契約方式というものは、国家と結ぶ関係において非常に私は違法じやないかと思うので、これについての関係官を呼んでもらいたいことと、もう一つは特調から出ている金、これははたして支出できるものであるかどうか、私は非常に疑問を持つておるわけです。なぜならば先ほどの証人からの話を聞きますと、これは少くとも戰車や弾丸やその他を朝鮮へ送るところの積みおろしに使用されたものである。その金をはたして特別調達庁のあの費用から出せるものかどうか、これは非常に私は疑問を持つておりますので、できるならば特別調達庁の責任者である調達庁の長官等をぜひお呼び願つで、そういう点をはつきりさしておきたいと思います。これは委員長に特にお願いしておきたいと思います。
  906. 高木松吉

    ○高木(松)委員長代理 他に発言はございませんか。――発言がなければ、桝谷証人の尋問はこれで終ります。証人御苦労さんでした。  次回は明後日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時二十七分散会