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1952-01-29 第13回国会 衆議院 行政監察特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年一月二十九日(火曜日)     午前十一時三十六分開議  出席委員    委員長 内藤  隆君    理事 大泉 寛三君 理事 鍛冶 良作君    理事 高木 松吉君 理事 田渕 光一君    理事 福田 喜東君 理事 小松 勇次君    理事 佐竹 新市君       天野 公義君    押谷 富三君       川本 末治君    菅家 喜六君       志田 義信君    篠田 弘作君       野村專太郎君    大森 玉木君       椎熊 三郎君    藤田 義光君       竹村奈良一君    山口 武秀君       久保田鶴松君    高倉 定助君       浦口 鉄男君  委員外出席者         証     人         (北九州財務局         長)      川戸 定吉君         証     人         (福岡特別調達         局契約部長)  栗本 秀顯君     ————————————— 本日の会議に付した事件  国有財産管理処分関係事件(第四港湾建設部事  件)     —————————————
  2. 内藤隆

    内藤委員長 会議を開きます。  これより国有財産管理処分関係事件中第四港湾建設部事件について調査を進めます。  ただいまお見えになつておられる証人川戸定吉君ですね。
  3. 川戸定吉

    川戸証人 そうです。
  4. 内藤隆

    内藤委員長 あらかじめ文書をもつて承知通り証人として証言を求むることに決定いたしましたのでさよう御承知ください。  これより国有財産管理処分関係事件中第四港湾建設部事件について証言を求めることになりますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務知つた事実であつて、黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることになつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  なお証人が公務員として知り得た事実が職務上の秘密に関するものなるときは、その旨申出を願いたいと存じます。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。     〔証人川戸定吉朗読〕     宣誓書  良心に従つて、真実を述べ何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。
  5. 内藤隆

    内藤委員長 それでは宣誓書署名捺印してください。     〔証人宣誓書署名捺印
  6. 内藤隆

    内藤委員長 これより証言を求めることになりますが、証言は、証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際には、その都度委員長許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。証人はいつから北九州財務局長になられましたか。簡單に述べてください。
  7. 川戸定吉

    川戸証人 昭和二十五年四月の十五日でございます。
  8. 内藤隆

    内藤委員長 第五号起重機船とはどういう船ですか。またどういう経過財務局所管なつたかお述べ願います。
  9. 川戸定吉

    川戸証人 五十トン揚げる能力のある起重機船でありまして、それ自体には、機関がついていない、推進するプロペラはないわけであります。ひつぱつて行つて、それによつて大きなものを揚げる、そういう船でございます。そしてこれは戦時中曉部隊に属しておりましたもので、終戦国有財産管理機関である大蔵省が引継いだのであります。
  10. 内藤隆

    内藤委員長 大蔵省が引継いで、北九州財務局所管なつたわけでございますね。
  11. 川戸定吉

    川戸証人 はあ、そうでございます。
  12. 内藤隆

    内藤委員長 財務局はこの起重機船日本サルヴエージ株式会社門司支店預託しているが、その預託ということは一体どんなことか、その目的あるいはその條件等について、詳細に述べてください。
  13. 川戸定吉

    川戸証人 国有財産法上、大蔵大臣またその委任を受けました財務局長が、国有財産なつ普通財産管理して行くのでありますが、預託といいますのは、その管理の一形態であると考えます。預託する場合には、いろいろ條件を付することがございます。一般預託管理、つまり預託する場合、大蔵省あるいは財務局自体管理をいたせばよろしいのでありますが、それだけの人員等がない、また経験がないというような場合におきましては、管理を委託するわけであります。委託する場合には、大体におきまして本来は委託費を払うわけでありますが、事情によりまして払わない場合もあるわけでございます。委託されました方はそれを善良なる管理者注意をもつて管理をしていただきまして、返還を命じた場合に、原状のままで返していただくということに相なるわけでございます。
  14. 内藤隆

    内藤委員長 大体預託目的はわかりましたが、條件等は何かありましよう。
  15. 川戸定吉

    川戸証人 いろいろの場合において多少異なると思いますが、今度の五号起重機の場合におきましては、書類もございますので、ちよつと見てよろしゆうございますか。
  16. 内藤隆

    内藤委員長 よろしゆうございます。
  17. 川戸定吉

    川戸証人 この場合につけております預託條件としましては「本物件正式処理決定までは貴社において」——これは日本サルヴエージに対して言つておるわけですが「貴社において善良なる管理者注意をもつてこれが保管を行い、官において返還要求した場合は、ただちに無條件において返還すること、しかして預託期間中に貴社が本物件に対して取つた有益費その他は貴社負担とし、これに対して民法上の請求をしないこと、それから預託期間中、本物件損害を與えた場合は、貴社負担をもつてただちにこれを復旧すること」以上であります。
  18. 内藤隆

    内藤委員長 この起重機船を運輸省第四港湾建設部に一時貸付けしているが、その理由並びに條件等について述べてください。
  19. 川戸定吉

    川戸証人 第五号起重機船は、財務局管理になりましてから、第一回九州地方船舶及び海運機材処理専門委員会というのが当時ございまして、それによつて関門港運株式会社に一時使用の認可をしておつたのであります。ところが関門港運株式会社が二十三年の四月十二日に制限会社になりまして、その後二十三年十二月十日に閉鎖機関になつたのであります。それで閉鎖機関としては将来必要でありませんので、これを関門港運株式会社返還して来たのであります。それを財務局自体管理して行くことはむずかしいものですから、どちらかに貸付をしようということを考えまして、その当時いろいろ物色したわけでありますが、当時の状況としましては、相当大きな起重機船でもありますし、常に稼働させる需要がなかつたのかと思うのでありますが、これが貸付希望する会社もなかつたわけであります。そこでいつまでもほうつておくわけに行きませんので、関門地方で最も信用のある日本サルヴエージ会社預託することになつたわけであります。二十四年の一月十九日に預託の決裁をいたしました。現物はその以前の十二月十七日に預託をしております。
  20. 内藤隆

    内藤委員長 その條件等はどうですか。
  21. 川戸定吉

    川戸証人 それは先ほど預託條件を申し上げました通りであります。
  22. 内藤隆

    内藤委員長 ただいまの御答弁は、日本サルヴエージ預託した條件と同じように聞えますが、第四港湾建設部に貸し付けた條件ですか。
  23. 川戸定吉

    川戸証人 日本サヴエージに、今申し上げましたように預託をしておきましたところ、第四港湾建設部からこれを所管がえしてくれという希望が起つたのであります。それで所管がえすべく協議を一応いたしまして、本省に稟申したのでありますが、本省予算関係その他でただちに所管がえはいけない、無償で貸し付けるということになりまして、無償貸付をいたしたのであります。それが昭和二十四年九月三十日であります。貸付條件を申し上げます。「使用目的港湾工事用貸付料無償とする、その他の條項、1、借受人許可を受けないで貸付物件を前項による目的以外の用途に供することはできない。2、借受人借受に関する権利を他人に譲渡することは  できない。3、借受人借受物により、他に障害を及ぼすおそれあるときはその障害を予防し、また障害を及ぼしたときは、その障害を除去して原状に復せしめる義務に任じ、これによりて生じた一切の損害に対して政府に賠償の請求をなさないこと。4、借受物に対し保存、利用、改良その他の行為をなすため支出すべき経費は、借受人負担とし、これによりてその価格が増加することがあつて借受人はその増加額に対して政府に何らの請求をなさざること。5、借受物不可抗力その他破損の場合は借受人は修理の義務に任じ、経費政府請求することができない。6、政府において必要があるときは契約解除をする。この場合借受人政府の指定する期間内に返還義務任ずる。これが費用及び契約解除による損害等につき政府請求することができない。」以上であります。
  24. 内藤隆

    内藤委員長 そういう條件貸付けたのですね。その貸付期限経過後に、第四港湾建設部から、山九運輸株式会社桝谷組に、一時貸付行つておるようですが、これはどういうことですか。
  25. 川戸定吉

    川戸証人 貸付行つてつたといいますことは、私どもは当時知らなかつたので、今度いろいろ問題が起りまして、調べた結果承知したことであります。
  26. 内藤隆

    内藤委員長 さような事実を発見したわけですね。こういう場合に、一時間幾らとか、一書夜幾らとかの使用料を定めて貸しておりますが、この使用料性質を説明してもらいたいと思います。
  27. 川戸定吉

    川戸証人 大蔵省なり財務局が、普通財産を貸し付けます場合には、使用料をとつておりますが、これはそれを使用して利益を受けますから、それに対する対価として支払うわけでありまして、普通の使用料と全然性質は異なるものではないと思います。
  28. 内藤隆

    内藤委員長 一般使用料と別に性質はかわつていないということですね。それから占領軍仕事が終つたので、桝谷組修繕と称してこの起重機宇部港に回航し、その帰途航行禁止区域に立入つて触雷、沈没しましたね。第四港湾建設部はこれを不可抗力として本省に上申し、引揚げ修繕費一千二百余万円を受けたのでありますが、証人はこれらの事実を知つておりますか。
  29. 川戸定吉

    川戸証人 ただいまおつしやられましたような事実も、これも問題が起り  ましてからいろいろ聞いて知つたわけであります。
  30. 内藤隆

    内藤委員長 問題が起つてからお知りになつたわけですね。
  31. 川戸定吉

    川戸証人 そうです。ただ、沈没しましてから私の方へ、沈没したからという報告がありまして、それからまた私の方から、どういう処置をするつもりかということを問い合せしました。それに対して、今本省予算要求中である。そういうことはございました。
  32. 内藤隆

    内藤委員長 その沈没した当時は、あなたはどういう立場におられましたか。
  33. 川戸定吉

    川戸証人 財務局長をしておりました。
  34. 内藤隆

    内藤委員長 これに対して財務局は、そういう報告を單に受取つたという程度で、その処理等はどうしました。
  35. 川戸定吉

    川戸証人 沈没したという報告を受けまして、それに対してどういうように処置せられるかという照会を出しまして、四建側も、これは引揚げ可能だと考えておりましたし、復旧して使うのが一番よいと考えましたので、その処理について、時々どうなつておるかを催促し、その報告受取つたわけであります。復旧して使うということが、一番経済的ではないかと考えて、その処置をするようにしたのであります。
  36. 内藤隆

    内藤委員長 どうです。その後の処理の方針は……。
  37. 川戸定吉

    川戸証人 現在におきましても、引揚げが可能でありますならば、それが一番よろしいのではないかと考えております。
  38. 内藤隆

    内藤委員長 あなたは引揚げ可能とと思つておられますか。
  39. 川戸定吉

    川戸証人 私は技術的にはしろうとでございますから、四建側引揚げ可能だという意見を言つて来ておりますので、そう考えております。
  40. 内藤隆

    内藤委員長 あなた自身はそういう知識がないからわからないけれども、そういう報告によつて引揚げ可能と考えている……。
  41. 川戸定吉

    川戸証人 そうです。
  42. 内藤隆

    内藤委員長 他に御質疑はありませんか。
  43. 福田喜東

    福田(喜)委員 局長に二、三お尋ねしたいことがありますが、まず第一に、日本港湾株式会社に引継いだときには、財務局は立会つたわけですか。
  44. 川戸定吉

    川戸証人 日本港湾株式会社といいますのは、どのような会社ですか。
  45. 福田喜東

    福田(喜)委員 いや、船を引継いだとあなたは言われたのでしよう。日本港湾というのじやございませんか。
  46. 川戸定吉

    川戸証人 関門港運です。その関門港運には、軍から財務局所管移つて、その配分が、当時の船舶処理委員会できまつた通りに、そこへ貸し付けたわけであります。
  47. 福田喜東

    福田(喜)委員 暁部隊からこれを引継いだときというのは、終戦直後ですか。日時の関係をはつきりしていただきたい。
  48. 川戸定吉

    川戸証人 多分そうだと思いますが、当時私その衝でなかつたものですから、はつきりお答えすることはできませんが、必要がございましたら、調べてお答えいたします。
  49. 福田喜東

    福田(喜)委員 曉部隊から引継ぐには、当時そういう部隊財産とか、それから軍の財産国有に移るといつた場合に、訓令か何か出ておるかどうかということが第一点。それから当時北九州財務局というものがあつたかどうか、北九州財務局はいつからできたのか、この二点を承りたい。
  50. 川戸定吉

    川戸証人 引継ぎにつきましては、本省から通牒で訓令があつたと思います。それから財務局はいろいろ名称が変更になつておりますので、当時は熊本財務局であつたのであります。その後福岡財務局になり、福岡財務部になり、北九州財務局になつております。
  51. 福田喜東

    福田(喜)委員 財務局が船の所管を受けたときというのは、その訓令に基いていつか、いつそういう所管がえになつたかはつきりわかりませんか。
  52. 川戸定吉

    川戸証人 ただいま資料を持つておりませんので、わかりません。
  53. 福田喜東

    福田(喜)委員 あなたはさつき船につきましては、使用希望者はなかつた、こういうことを言われましたが、その点間違いありませんか、どうでしよう。
  54. 川戸定吉

    川戸証人 それはつまり関門港運が返して来まして、日本サルヴエージ預託する当時のお話であります。
  55. 福田喜東

    福田(喜)委員 その当時はなかつたのですか。
  56. 川戸定吉

    川戸証人 そういうように私は聞いております。
  57. 福田喜東

    福田(喜)委員 希望者があつたから四建等が、特定業者に貸し付けるよりも、四建に一括というか、四建に預託してくれということを申請して来たのですか。
  58. 川戸定吉

    川戸証人 それは関門港運から四建に移る場合のことでございますか。
  59. 福田喜東

    福田(喜)委員 その前後にあつたのですか。
  60. 川戸定吉

    川戸証人 日本サルヴェージ預託する当時はなかつたと思います。
  61. 福田喜東

    福田(喜)委員 その事実はうそじやありませんか。希望者が非常に多い。それを特定会社に専属的に又貸ししてやることは、はなはだ不公平があるから、こういうものの使用専門官庁である四建が、おれのところに専門預託させてくれといつたような申出がその真相ではないのですか。
  62. 川戸定吉

    川戸証人 私はそのように聞いておりません。
  63. 内藤隆

    内藤委員長 その点は重要だから、もつと明瞭に願います。
  64. 川戸定吉

    川戸証人 私はそのように聞いておりませんので、当時の係官なりあるいは書類を見ましたら……。
  65. 福田喜東

    福田(喜)委員 あなたはその当時おらなかつたのですか。
  66. 川戸定吉

    川戸証人 私はおりませんでした。
  67. 福田喜東

    福田(喜)委員 当時の局長はだれですか。
  68. 川戸定吉

    川戸証人 辻畑という人であります。
  69. 福田喜東

    福田(喜)委員 そのときは北九州財務局というのはあつたのですね。
  70. 川戸定吉

    川戸証人 局そのものはありましたけれども名称がその当時と今とはかわつております。
  71. 福田喜東

    福田(喜)委員 関門津株式会社より引継いだときには船の破損状態はどういう状態でございましたか。
  72. 川戸定吉

    川戸証人 関門港津からサルヴエージに引継いだときでありますか。
  73. 福田喜東

    福田(喜)委員 財務局関門港運株式会社より引継いだときは、財務局立ち会つておりますか。
  74. 川戸定吉

    川戸証人 関門港運から日本サルヴエージに引継いだときは立ち会つております。
  75. 福田喜東

    福田(喜)委員 船の破損状況はどういう状況でございましたか。
  76. 川戸定吉

    川戸証人 破損はそうございませんでした。
  77. 福田喜東

    福田(喜)委員 そうございませんでしたというのは、つまり普通運行し得る状態にあつたのですね。
  78. 川戸定吉

    川戸証人 はい、もちろんであります。
  79. 福田喜東

    福田(喜)委員 四建に一時貸付が決定したとき、日本サルヴエージには電話で通知したと言いますが、そのときの係官はだれですか。
  80. 川戸定吉

    川戸証人 係官の名前は今覚えておりませんが、調査して御返事することにいたします。
  81. 福田喜東

    福田(喜)委員 一体こういう重大なことを電話で通知するなんていうことは、普通官庁で常識であり得ることですか。それを電話で通知するなんてことをやつて、いささかもあなたはふしぎとも思いませんか。
  82. 川戸定吉

    川戸証人 それは文書でいたすべきものと存じます。ただその当時どうしましたのですか、電話でやつたということを聞いております。
  83. 福田喜東

    福田(喜)委員 これは普通ではないですね。
  84. 川戸定吉

    川戸証人 なるべくそれは文書でやつた方が……。
  85. 福田喜東

    福田(喜)委員 なるべくですか。それをやるのが普通じやないですか。
  86. 川戸定吉

    川戸証人 文書でやるのが普通だと思います。
  87. 福田喜東

    福田(喜)委員 そのときの係官を調べてください。  それから引継ぎには立ち会つたのですね。
  88. 川戸定吉

    川戸証人 関門港運から日サルへ引継いだときは立ち会つております。
  89. 福田喜東

    福田(喜)委員 そのときの関係者局長、課長を全部調べていただきたい。
  90. 川戸定吉

    川戸証人 その立ち会つた人は現在でもわかつております。
  91. 福田喜東

    福田(喜)委員 だれですか。
  92. 川戸定吉

    川戸証人 佐野昇一という者であります。引継ぎ書類に署名してあります。
  93. 福田喜東

    福田(喜)委員 それは関門港運株式会社より引継いだときは、財務局立ち会つたけれども、四建のときにはどつちが立ち会つたのですか。両方とも立ち会つたのですか。
  94. 川戸定吉

    川戸証人 いや、日サルから四建に引継いだときは立ち会つておりません。それは日サルと四建の係官立ち会つております。これも書類が残つております。
  95. 福田喜東

    福田(喜)委員 それには立ち会つておらないのですか。
  96. 川戸定吉

    川戸証人 財務局の職員は立ち会つておりません。
  97. 福田喜東

    福田(喜)委員 なぜ立ち会わないのですか。
  98. 川戸定吉

    川戸証人 これは当時のことで、私、覚えておりませんが……。
  99. 福田喜東

    福田(喜)委員 あなたが局長つたのですね。
  100. 川戸定吉

    川戸証人 いや、違います。
  101. 福田喜東

    福田(喜)委員 なぜ立ち会わなかつたのですか。
  102. 川戸定吉

    川戸証人 その事情承知しておりませんので……。
  103. 福田喜東

    福田(喜)委員 それでは、その立ち会わなかつたというのは、ただ文書引継ぎだけにしたというわけになりましようが一体、そういう立ち会わないということは慣例ですか、あるいはまたそのとき特別の事情があつて立ち会わなかつた、こういうのでしようか。
  104. 川戸定吉

    川戸証人 おそらく私、今考えますのに、片方が同じ官庁でありますので、あるいはそのとき、ほかに用事でもありましたのか、あるいは係官が都合つかなかつたのかしまして、官庁でありますから、おそらく信用しまして立ち会わなかつたと思います。普通でありますれば、もちろん立ち会うのが当然であると思います。
  105. 福田喜東

    福田(喜)委員 官庁同士だから相手を信用するなどというのは、逃げ口上であります。役所同士だからこそ、こういう不正が行われるということを考えなければならぬ。なぜならば、役人同士が黙つて目をつぶつてしまえばよいので、お目こぼしを受けた業者は非常に巨利を博するということになる。これこそいわゆる国有財産処分の盲点ともいうべきものじやないですか。立ち会わなかつたことを非常に軽微に考えておられますが、一体役所同士であつても、財産引継ぎには立ち会うのが当然である。ことに、この起重機船というものは、無償使用という立場からも、船の状態を調査し、後に四建に移管がえになるときの価格査定にも、これは影響するわけでございますが、この品について局長の御意見はどうですか。
  106. 川戸定吉

    川戸証人 立ち会いませんでしたのは、はなはだ遺憾だつたと思いますが、その後ただちに引継ぎ報告が参つております。その報告によりますと、日サル財務局から預託を受けた当時の原姿のままで引継ぎを受けたことになつております。それで四建の方からいろいろどうなつているとか、がたがたになつておるとかいうようなことは何も報告がなかつたように聞いております。
  107. 福田喜東

    福田(喜)委員 四建では二百七十万円の修繕費を要すると本省に上申しておりますが、これでも何もなかつたとあなたはおつしやつておりますが、それと矛盾しませんか。
  108. 川戸定吉

    川戸証人 どういう理由でその経費要求されましたのか、私どもにはわかりませんが……。
  109. 福田喜東

    福田(喜)委員 経費要求修繕に要するからやつたのでしよう。
  110. 川戸定吉

    川戸証人 引継ぎをしたという書類におきましては、そういうことは何ら載つておらないのであります。
  111. 福田喜東

    福田(喜)委員 載つておらないから、おれは知らぬということですか。それだつたら、局長は勤まらぬじやないですか。文書でやつたけれども、載つておらぬからおれは知らぬということであつた簡單なことです。国有財産管理処分に関してそういうことで、あなたはやつて来ておられるのですか。
  112. 川戸定吉

    川戸証人 先ほど申し上げましたような事情で、立ち会わなかつたのははなはだ遺憾でありまして、そういう点は手落ちであつたと思います。
  113. 福田喜東

    福田(喜)委員 これは四建に一時貸付をしておるが、先ほど委員長はその理由條件等について述べよと言われたのでございますが、その中に無料ということと、他人に譲渡すべからず、又貸ししてはいかぬという條項があるわけですか。
  114. 川戸定吉

    川戸証人 それはあります。
  115. 福田喜東

    福田(喜)委員 四建はそれに違反してやつているわけですね。
  116. 川戸定吉

    川戸証人 そうでございます。
  117. 福田喜東

    福田(喜)委員 あなたは契約條項に対して、四建に対して何も注意しなかつたのですか。
  118. 川戸定吉

    川戸証人 それを知らなかつたわけであります。
  119. 福田喜東

    福田(喜)委員 今度は桝谷組の話に移ります。占領軍仕事終つて桝谷組修繕と称してこの起重機船宇部港に回航、その帰途航行禁止区域に立ち入つて雷沈没をした。四建はこれを不可抗力として本省に上申して、引揚げ修繕費千二百万円を受取るのでございますが、その場合におきまして、補償責任の問題、これは財務局はどういうふうにお考えになりますか。この事件一般に対する四建とあなたの財務局との責任問題はどういうふうにお考えですか。その処置方法について御意見を承りたい。
  120. 川戸定吉

    川戸証人 四建が貸付條件に従いまして復旧して、あるいは継続使用なり、あるいは返還なりをして来るべきものと考えます。
  121. 福田喜東

    福田(喜)委員 財務局としては契約に基くところの責任はございませんか。
  122. 川戸定吉

    川戸証人 契約に基く責任はないと存じます。
  123. 福田喜東

    福田(喜)委員 監督責任はないわけですね。契約のしつぱなしで、それについていささかも責任がない、こういうわけですか。
  124. 川戸定吉

    川戸証人 いえ、その点は……。
  125. 福田喜東

    福田(喜)委員 それは何のために契約したのですか。そういうことははなはだわれわれ国会としては承服しがたいわけですが、あなたはそういうことを平気で言われますか。
  126. 川戸定吉

    川戸証人 もちろん貸し付けた財産国有財産でございますから、その保全については……。
  127. 福田喜東

    福田(喜)委員 だつた責任があるじやないですか。
  128. 川戸定吉

    川戸証人 はあ、監督上の責任はあると思います。
  129. 福田喜東

    福田(喜)委員 契約上の責任もございましよう。それに対して処置を講ぜられたわけですか。
  130. 川戸定吉

    川戸証人 その点は何度も四建に書類等で出しまして、四建が復旧可能だという意見を言つておりますので、私どもも復旧するのが一番よいと考えてその方向へ進んでおつたわけであります。
  131. 福田喜東

    福田(喜)委員 もつと明瞭に語尾をはつきりわかるように言つてください。
  132. 川戸定吉

    川戸証人 沈没を引揚げまして、それを復旧して使用するようにいたしますのが最も経済的でございますし、また四建側もそういう可能だということの意見でございましたので、そうすることが一番適当であろうということで、四建側に早く復旧するように申し入れておつたわけでございます。
  133. 福田喜東

    福田(喜)委員 書類でやつたわけですか。
  134. 川戸定吉

    川戸証人 はあ、それは両三度にわたつてつておりました。
  135. 福田喜東

    福田(喜)委員 書類はございますね。
  136. 川戸定吉

    川戸証人 ございます。
  137. 福田喜東

    福田(喜)委員 四建側はそういうことを一つもやつていないわけですね。
  138. 川戸定吉

    川戸証人 それは四建側からいろいろその都度御返事がございます。それは初めのときは、ちようどあの地域が掃海区域外になつて、ちよつとはずれておりますので、その掃海をしてからでないとできないという御返事があつたわけであります。それからまたその後の照会に対しましては、ちようど掃海ができたので、いついつごろまでに準備に着手し、引上げ完了ができるという報告が参つております。そのときに引上げに着手したならば連絡するということであつたのでございますが、その後何ら連絡もございませんでしたので、また照会いたしましたところ、ちようど引上げの作業中にルース台風ですか、ございまして、作業が進まなくなつたという、これは一等最後のは口頭でございますが、そういう報告が参つております。
  139. 福田喜東

    福田(喜)委員 一体これを桝谷組に貸したのは貸付期間経過後にであつて、そのままにしておいたわけで、これに対して何らの措置を講じなかつた。これに対するところの財務局責任一体どうなるのですか。
  140. 川戸定吉

    川戸証人 ちようど期限が切れました後のことだつたのでございますが、これは先ほども申し上げましたように、四建に所管がえをするということで進んでおりましたもので、期限の更新について手続が疎漏になつてつたためでありまして、その後期限の更新をさかのぼつていたしております。
  141. 福田喜東

    福田(喜)委員 疎漏になつてつたのでさかのぼつていたしておる、その間にこういう事件が起つておる、これに対してあたかも貸付を継続せるがごとく扱つて桝谷組に貸したということについてもいささかも文句を言わない、しかもこういう事件が起つたときのその処置もはなはだ怠慢と申しますか、無責任であります。あなたの説明では、まことにこれは当然のことで、契約期間中に何か事故が起つたような措置、こういうようなやり方でありますが、この点について、一体こういうやり方があなたのところでは普通になつておるのですか。
  142. 川戸定吉

    川戸証人 決してそういうことじやございません。ことに使用料などがある問題につきましては、その都度更新しておりまして、決してそのようなことはございません。
  143. 福田喜東

    福田(喜)委員 ございませんと言つたつて事実はそうじやありませんか。どういうわけですか、事実はそうでないというわけは。一体一時使用ができるのに、わざわざこういう預託の形式にしたのはどういうわけですか。
  144. 川戸定吉

    川戸証人 四建に無償貸付をしたことですか。
  145. 福田喜東

    福田(喜)委員 そうです。
  146. 川戸定吉

    川戸証人 官庁間の場合、これは特別会計の場合は別でありますが、一般会計の場合は、左のポケットから右のポケットに移すようなものでありますから、無償買付にするやり方でやつておりまして、この点につきましても本省の認可を受けてやつております。
  147. 福田喜東

    福田(喜)委員 日本サルヴエージに対しても預託という形式で、国有財産無償使用をさせて莫大な利益を與えておる。しかもこれは日本サルヴエージに修理させて受取るべきものである。大体この船は、事実を調査してみますと、サルヴエージから返されたときはほとんど再起不可能のような状態で返されておるが、それについてはあなたのところは何も文句を言つておりません。これははなはだ奇異に感じますが、これはどうですか。今あなたの話では、預託は国家の官庁相互間のやり方である、こういうふうに受取れるのですが、日サルに対して預託という形式でやつておりますが、これは一体どういうわけですか。
  148. 川戸定吉

    川戸証人 これは先ほど委員長の御質問がありましたときに御説明いたしましたのですが、預託というのは管理の一形態でございまして、財務局の職員が管理しますのは、自信がありませんししますので、これを他に預つてもらつたわけであります。
  149. 福田喜東

    福田(喜)委員 そんなことはわかつておるのです。私が聞いておるのは、昭和二十年十二月十五日大蔵省訓令第十二号で一時使用ができるのに、わざわざ預託しているのはどういうわけですか。
  150. 川戸定吉

    川戸証人 それは当時一時使用希望者を見つけたのでありますが、希望者がなかつたために預託の形式をとりました。
  151. 福田喜東

    福田(喜)委員 それは希望者はあつても、何か特別の関係があつてそういうことをやつたんじやないですか。この船は、元来垂涎万丈の船であつて、こういう船はなかなかない。借り手がいろいろあつても難くせをつけて貸さぬで、日サルだけに預託ということでやつた。しかもこういう希望者が多いばかりに運輸省の本来の筋のところに預託するということにあとからなつております。当時においては使用希望者は非常に多かつたんじやないですか。われわれもほかの方面からいろいろ聞いておる。なかつたと言うことは、あとに証拠が残らぬからそういうことを言われるのであつて、当時においては、この起重機船関門付近には借り受けの希望者が多かつたけれども、なかなかむずかしくて借れなかつたというのが実情じやないですか。
  152. 川戸定吉

    川戸証人 私たち責任者ではなかつたのでありますが、当時の書類を見、また担当官に聞きました事情は、私が先ほど申し上げましたように、一時使用希望者がなかつたと聞いております。
  153. 福田喜東

    福田(喜)委員 それを日サルにさういうぐあいに出しまして、しかもこれは一時使用でなくて預託で出してしまつた。そうしてこの船をがたがたにしてしまつて返されておる。これについていささかも奇異の感を財務当局は感じていない、ふしぎに思つていない、これは私は一種の背任行為だと思う。こういうことについてあたりまえだと思われるかどうか、私は局長自身の御意見を承つてみたい。
  154. 川戸定吉

    川戸証人 もちろん先ほど申しましたように、引継ぎにつきまして立ち会わなかつたの財務局側の手落ちだと存じておりますが、四建と日サル引継ぎましたその引継書には、先ほど申しましたようにそういうがたがたになつておるとか、そういうような事情もなく、日サルが引受けた現状のままで……。
  155. 福田喜東

    福田(喜)委員 それは立ち会わなかつたからです。そういうところに拔け穴をつくつてあると私は思います。そこが私は問題の山だと思いますよ。故意か過失か知らんけれども立ち会わなかつたところにこの問題の重点があると思いますが、あなたはどうお考えですか。
  156. 川戸定吉

    川戸証人 立ち会わなかつた点は非常に遺憾だと思います。ただ何度も申し上げましたように、報告した来た引継書自体にはそういう事情が何も書いてありませんし、元のままで引継いだということになつておりますし、また四建側もそういう事情なつたことは一つも私の方に申しておりません。
  157. 福田喜東

    福田(喜)委員 一応その程度にしておきます。
  158. 高木松吉

    ○高木(松)委員 ちよつと私はほかへ行つていたので、あるいは重複するかもしれないですが、とにかくこの問題は、国民一般が相当関心を持つているのだから明瞭にしたいと思います。われわれだけ承知したのではいかぬのである。そこで、あなたは財務局局長であるから、国有財産の保管ということが重大な問題だという認識は持つておられましようね。
  159. 川戸定吉

    川戸証人 もちろん持つております。
  160. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そうすると、きようここへ出て来られたのは、この第五起重機の問題で来たということもおわかりですね。
  161. 川戸定吉

    川戸証人 はあ、そうです。
  162. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それではこまかいことを部分的に聞かずに、この起重機があなたの方の保管の手に入つてから今日までの経過を、初めから詳細に秩序正しく述べてもらいたい。
  163. 川戸定吉

    川戸証人 終戰になりまして、曉部隊から……。
  164. 高木松吉

    ○高木(松)委員 あなたはその書類を持つておるでしようから、何年何月何日、こういうことでこうなつたと、——たとえば預託契約とか、預託契約した先においてどうなつたとか、いろいろこまかく事実を全部あなたの方で調べてあるでしようから、その責任があなたにあるはずだから、その責任に基いて、調べたものを書面及び記憶によつて組織的に最初から最後まで順次説明してもらいたいと思います。
  165. 川戸定吉

    川戸証人 承知しました。終戰によりましてこの船が大蔵省所管になつたのでありますが、昭和二十一年の三月二十六日に、第一回九州地方船舶及び海運機材処理専門委員会において関門港運株式会社に配分が決定になつたのであります。従いまして、大蔵省としまして一時使用の認可をいたしたわけであります。関門港運株式会社は、関門港の沈船の引揚げ、重量荷役等にこれを使つてつたのであります。そうしまして、二十三年の四月十二日に関門港運制限会社に指定されたのであります。そして昭和二十三年九月一日に——その以前から関門港運返還を準備中でありましたが、二十三年九月一日に米軍が使用することになりまして、九月一日に、仁川に向けて曳航されて行つたのであります。それから同じく昭和二十三年の十二月十日にこの関門港運株式会社閉鎖機関に指定されたのであります。朝鮮から帰つて来た日にちがちよつと今すぐにわかりませんが、その当時帰つて来たものと思います。十二月十七日に関門港運から福岡財務局にこの船を返還して来たわけであります。それで福岡財務局から日本サルヴエージ門司支店に、現物の預託だけをその十七日に行つたわけでありまして、書類上の決済は翌年二十四年の一月十九日にしております。そうしておりますとき、その三月三十一日に、運輸省第四港湾建設部から所管がえの下協議があつたのでありますが、四月十三日に大体意見をきめまして、運輸省四建に所管がえすることに本省に協議をなしたのであります。同時に、四建に対して、所管がえについて当局が異存がないから、本省大蔵省と交渉してくれ、自分の方から本省に出してやるからという書類を出したのであります。その後本省がいろいろ審議をしておつたのでありますが、七月四日に、本省係官から、予算上の観点等から所管がえはただちにはできないの、一時使用から無償貸付の形にすべきであるという事前連絡があつたのであります。それで八月の十一日に無償貸付の上申書を本省に出しております。それに対して返事が参りました日付はちよつと今すぐ出て参りませんが、九月三十日に四建に対して国有財産無償貸付通知をしております。その貸付通知書に対しまして、その條件を全部受諾するという四建側書類が十月二十九日付で私の方に提出になつております。そうして、日サルと四建との現物引継ぎはその年の十二月二十一日に行つております。その引継いだという報告書類の受付を二十三日に私の方がしております。それから、昭和二十五年の十一月二十六日になりまして、山口県の本山岬沖において触雷沈没したわけであります。その沈没の報告が十一月三十日に四建から私の手元に参つております。それで私の方は一応報告があつたということで、十二月六日本省に連絡報告を出しております。それから翌年二十六年の一月二十四日になりまして、門司港湾司令部のキング大佐という司令官から、この起重機船をくず化処分するというようなうわさがあるけれども、これは引揚げて、経済的に使うべきじやないかという文書が参つております。それで私の方も四建に対しまして、どういう処理をするつもりか、その処理方針について照会をいたしたわけであります。四建側から二月五日になりまして、復旧費の予算を今本省に依頼しておる、それから掃海区域外であるのと、その当時冬で悪天候でありますので、すぐに着手ができないかということで、沈没の調査状況報告して参つております。それから先ほど申し上げました港湾司令官からの照会に対しまして、財務局側としましても、くず化する意思はなく、それを引揚げ使用する方針であるということを答えております。その後七月二十一日になりまして、四建側にその後の状況処理方針を照会しております。これに対しまして、八月一日に四建から六月十日から七月十一日にかけて掃海をして完了した、作業着手の準備をしておる、八月末ごろまでに完了する予定である、引揚げ着手したらば連絡するから、こういう報告があつたわけであります。その後報告がないのでありますが、十二月十七日になりまして、私の方から早急引揚げ処理をするように、さらに申入れをしておるわけであります。これに対しまして、ちようど引揚げ準備中のところ、台風によつて作業船等が破損して、今年度中つまり二十七年三月までには作業完成が困難ではないかという、口頭の報告が参つております。大体の経過は以上のようでございます。
  166. 高木松吉

    ○高木(松)委員 書面における経過はわかりました。その書面によるような船の動きですね、少くとも船の行つた先とかいう、事実上船の動いたものに対して、あなたの方は書面だけで了承されておつて、事実上船がどこへ行つたかというようなことは調べてないのですか。
  167. 川戸定吉

    川戸証人 その点は調べてございません。
  168. 高木松吉

    ○高木(松)委員 調べる必要はないと考えていますか。
  169. 川戸定吉

    川戸証人 それは特殊なものにつきましては必要があると存じますが……。
  170. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そこで日本サルヴエージ預託をしまして——どうですか、預託をしたのでしよう。
  171. 川戸定吉

    川戸証人 はあ。
  172. 高木松吉

    ○高木(松)委員 これは書面で今はつきりしませんが、いつからいつまで預託をして、預託をしたところに事実上その船があつたですかないですか、その点をはつきりしてもらいたい。
  173. 川戸定吉

    川戸証人 預託の期限はございません。二十三年の十二月十七日から現物の預託をしておるわけであります。それから日サルが、ただ保管のままであつたか、どういうように動かしておつたかということは、遺憾ながら私の方にわかつておりません。
  174. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そこで預託の初めはわかつたのですが、終りはいつですか。
  175. 川戸定吉

    川戸証人 終りは四建に引継いだときでございますから、二十四年九月三十日で、書類上はそうでありますが、実際の引継ぎは二十四年十二月二十一日になつております。
  176. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そうすると書面の上で引継いだときに日サルから四建にただちに書面と同じようにこの船は動かされておりましたか。
  177. 川戸定吉

    川戸証人 そういうように信じておりますが……。
  178. 高木松吉

    ○高木(松)委員 いや、信ずるにあらずして、事実をどう見ていたか、あんたの主観の問題ではない、引渡しがあつたのかないのか、四建と日サルとの間に、あなたの方の書面で、当然四建に引渡すときに、日サルが引渡していたかいないかを聞くのです。
  179. 川戸定吉

    川戸証人 それは現物に当つておりませんので、承知しておりません。
  180. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そこで私が聞きたいのは、そういうことをはつきり立ち会つて完全にしてないことに対して、財務局としての責任があると思うか思わないか。
  181. 川戸定吉

    川戸証人 それは責任はあると存じます。
  182. 高木松吉

    ○高木(松)委員 これは事実上二箇月以上日サルが引渡すべきものを四建に引渡していないで使つてつたという事実がある。それから預託です。先ほどからあなたのお話を聞いておると、関門港運から引取つて、ただちにその日に日サルへ引渡しをしておるわけですね。そうすると、どこでもこの船を預かるところがないから日サルに預けたと言つておるが、同日に引渡すというようなことが——しばらく持つてつたけれども方法がつかない。そうして行つたというのならば、あなたの話は受取れますが、その点はどうも同日に引渡したということは受取れないが、どうですか。
  183. 川戸定吉

    川戸証人 財務局の職員が現場へ行つて常時乗船をしておりまして、監視をしておればそういうことも考えられるのですが、そういう人員がございませんので、これを一時明けておくということになりますと、部品を盗まれたり、いろいろしますので、現物だけの授受をすぐにしてもらつたのではないかと私は考えます。
  184. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そこでその預託が問題になるのですが、とにかく日サルというのは個人の会社でしよう。ここへ預託するというのは、どういう内容なんですか。預託以外の方法はないのですか。
  185. 川戸定吉

    川戸証人 財務局の職員が管理をしますればよろしいのですが、先ほど申しましたように、それだけの人員もなし、経験者もおりませんので、預託をしたのであります。
  186. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それは実際いうと、預託以外の方法として大蔵省訓令の第十三号により、一時使用をなし得る法的根拠があつたことはお認めになるでしよう。
  187. 川戸定吉

    川戸証人 それはございます。
  188. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そうすると一時使用させずに、預託をどうしてもしなければならないような実情にあつたでしようか。
  189. 川戸定吉

    川戸証人 その当時私おりませんでしたが、当時の係官に聞きましたところでは、一時使用希望者がなかつたというように聞いております。
  190. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それから預託期間中に、訓令預託制度が廃止されたということを知つておりますか。
  191. 川戸定吉

    川戸証人 その点は存じません。ただ預託というのは管理の一つの形態でございますので、預託という言葉は法律でも規則でも用いておりませんが、管理の一つのやり方であろうと考えております。
  192. 高木松吉

    ○高木(松)委員 預託期間中に、こういうようなやり方ではいかぬからこうせいということが、新しい二十四年度の訓令第四号で出たことは承知しておりませんか。
  193. 川戸定吉

    川戸証人 承知しておりません。
  194. 高木松吉

    ○高木(松)委員 こういうことがわからないと、実際国家財産を君らに管理させておくことは危険ですね。法規に基く取扱いをしないから、そこに疑問が起きるのだし、この問題であなたの頭に入れてもらいたいことは、この起重機というものは、使用すれば相当の対価を受けることのできるものである。それを規約に基いてやらずに、特定の人たちに利益を與えたり、しかも規約を無視し、契約を無視して、転々とこの起重機を引渡して使用せしめておるようなことをただ認めておる。そして国家の財産管理責任にあるあなた方が放任していたというところに国民的疑惑が起きて何だのだが、この点に対してあなたどうお考えですか。
  195. 川戸定吉

    川戸証人 いろいろ人員の点なり、あるいは経費の点で制約がございますので、すべての貸付につきまして全部常時当つておるということができませんので、こんな一つの結果になつたと思うのでありますが、その点はたいへん遺憾であつたとおわびをいたします。
  196. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それはその点も一つの原因かもしらぬが、あなた方いわゆる国家の役人として、国家の財産を預かるその責任感に欠けたところがあつたのではないか、その点です。
  197. 川戸定吉

    川戸証人 それは公務員としまして、国家の財産を預かつております以上、十分責任を持つてこれに当つておるつもりでありますが、ただいまのような遺憾の点がありましたことは認めざるを得ないと存じます。
  198. 高木松吉

    ○高木(松)委員 あなたに特に最後に言つておきたいことは、国民の声として、先ほど私が申し上げたように、使用すれば、相当の対価の支払わるべき性質のものに対して、その対価を受けざる契約をし、それが契約の相手方にその起重機があるならいいけれども、それが転々としていわゆる民間の会社などに使用されていた事実を認めると、そうすると、あなた方の責任感がはつきりしてないから、そういうような結果を生むのじやないかと、国民は疑惑を持つ。その点を解明してもらいたいと思う。
  199. 川戸定吉

    川戸証人 先ほど申し上げましたように、公務員といたしまして、ことに大蔵省の職員としまして、財産を預かつております以上、常に十分の責任を感じておるわけでありまして、最善を盡してやつておるつもりであります。この事件につきまして管理上遺憾の点がありましたことは、重々おわびをいたしたいと思います。
  200. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 大体わかりましたが、こまかく聞きたいと思いますが、この預託は、あなたの今のお言葉によると、財産管理の一方法だといわれるが、預託をすれば向うは使用していいことになるのですね。
  201. 川戸定吉

    川戸証人 つまり直接に財務局の職員が管理することは適当でない、あるいはできない場合に預かつてもらうわけでありますが、その場合に、本来ならば使用料を出して預かつてもらうべきであります。ですが、この問題につきましては、当時その予算的の処置がなかつたのと、また他方におきまして一時使用希望者もございませんでしたし、日サルも一時使用希望いたさなかつたものですから、これを無償で預かつてもらつた。従いまして、当時のやり方としましては、無償で預かつてもらつた場合には、預かつた方がこれを利用して行くことは黙認をしておつたのであります。
  202. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうしますと、先ほどのあなたのお話を聞くと損害を生じた場合は復旧するといわれるが、自然の消耗というものは莫大なものであると思うが、これはあなたはそうお考えになりませんか。
  203. 川戸定吉

    川戸証人 期間が長くなりますと、自然の消耗も莫大になるかと思いますが、鋼船でもございますし、この場合はそう消耗があるということは考えておりません。
  204. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 短いか長いか知らぬが、無償で向うで使つていいということになれば、自然の消耗があることは当然なんだ。そうすると結局預託というものは、もう方法がないものだから、向うで預かつて使用不能になつたら返すかこわすかするということにしか考えられぬが、それはどうです。そうは思いませんか。
  205. 川戸定吉

    川戸証人 それは当時の暫定的処置として預託をしたのであろうと存じまして、これがずつと使われて、使用不能になつたら返すということではなかつたと思います。
  206. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そこで、あなたはそうおつしやるが、今度は第四港湾建設部に行つたときに、たいへんいたんでおる、これを直さなければならぬ、こういうことが財務局へ来ておる事実があるのですが、あなたは先ほどそういうことはないと言つたが、これはどうです。
  207. 川戸定吉

    川戸証人 その点はございません。
  208. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 どうにもならぬから、あなたの方で金を出してくれないなら私の方で出します、運輸省の予算で出しますと、こういう報告があつたということは、こちらで調べてあるのですよ。
  209. 川戸定吉

    川戸証人 その点は私聞いておりません。
  210. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなたはそのときおられなかつたからかしらぬが、実際ないとあなた断言されるならば、こちらの調べている事実とたいへん違うのですが、実際ありませんか。
  211. 川戸定吉

    川戸証人 その点は聞いておりませんので、申し上げることはできません。
  212. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 これは調べてもらいましよう。そういうふうに、いたんでどうにもならぬものであつたら、これはだれが金を負担すべきものか、サルヴエージから引取つて使用不能になつておる、こういうことになつて直さなければならぬということになると、だれが負担すべきものか。
  213. 川戸定吉

    川戸証人 それは通常の減耗以外の損耗であると思いますから、これは預託者が負担すべきものだと思います。
  214. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 サルヴエージがね。
  215. 川戸定吉

    川戸証人 はい。
  216. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 事実は二百七十万円運輸省——国家の金が出ているのですよ。あなた知らぬと言われるが、負担すべき者に負担させずに、そういうものに国家の金が出ているということに対して、あなた方はどう思いますか。知らぬでは納まらぬ、もう一ぺんはつきりしてもらいましよう。
  217. 川戸定吉

    川戸証人 その点は業者負担において直すべきものだと存じますが、その当時財務局としましては、そういう事実を知らなかつたし、また運輸省が金を出したということも知らなかつたように私は聞いております。
  218. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 これは公文書でありますよ。二十四年五月二十日付の第四港湾建設部長から運輸大臣、会計課長あてのもので、二百七十万円の收入印紙を使つて国家のお金が出ておる。
  219. 川戸定吉

    川戸証人 財務局側にはそれはわかつておりませんでしたように聞いております。
  220. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなたの話を聞いておると、どこかよそのことのように聞えるね。あなたの方の管理のものじやないですか。すべてそう言われると、何かよそのことでやつているのをあなたが聞き及んでおるようにしか聞えないのです。
  221. 川戸定吉

    川戸証人 当時のことでそういう事実があつたかどうかというふうにお尋ねだつたから、そういうように申し上げたので決してよそのことではございません。
  222. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それから借手はないとあなたはおつしやつたが、あなたはそれを断言できますか。借手はなかつたのでやむを得ず預託したとおつしやいましたが……。
  223. 川戸定吉

    川戸証人 その当時私はおりませんので、その当時の事実を聞いたことを申し上げたのです。
  224. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 当時は海上保安庁の発足したときで、サルベーヴエの需要があり、こういうものが非常に必要であつた。諸所からも希望者がはなはだあつたはずだ。それをあなたの方で特に日本サルヴエージにやられたという調査ができておる。この点をもう一ぺん確かめて責任ある答弁をこちらにしてもらいたいと思います。
  225. 川戸定吉

    川戸証人 調べて、……書面でよろしゆうございますか。
  226. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 よろしゆうございます。それは重大なことですから……。  その次は第四港湾建設部に一任使用させたときですが、先ほどあなたのおつしやつたように、いろいろの條件がついておりますね。そのうち特に重大なのは又貸ししていかぬということなんです。そういう條件がある以上、あなたは管理者としてはたして條件通りつておるものかいなやということを常に監視すべき責任があるようにわれわれは思うが、あなた方はそういうことは考えておりませんか。
  227. 川戸定吉

    川戸証人 その点はもちろん監視すべき責任があると存じますが、相手方が官庁でありましたので、その点は調査をしてなかつたわけでございます。
  228. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 ところが実際は又貸しがまた又貸しになつておる。これは小さいものと違つて公海の上を歩くものなんです。さようなものはすぐわかりそうなものだが、あなた方の方でわからなかつたと言われれば何だか、こういうことはわかつたらだれがその責任を負うか、そういうことをやつた者はどういう責任を負う、国家の宝である、その宝をさようなことをしておれば、これはだれか責任を負わなければならぬと思うが、だれに今日責任を負わしたらいいと思いますか。
  229. 川戸定吉

    川戸証人 私の方と四建との間ではそういう又貸しを禁止しておるわけですから、その條項に違反したわけですから、その点は四建に責任がある、こう思います。
  230. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 今日これだけここで問題になつて、あなたお調べになつたら、その責任をどうしてとります。今どういう手段をとつております。四建にあるなら四建に責任を負わせるようなことを何かおやりになりましたか。
  231. 川戸定吉

    川戸証人 それは再三申し上げましたように、四建がこれを引揚げまして、使用可能なようにしてもらえるように交渉を続けて参つたわけであります。
  232. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それはあとのことです。又貸ししておつたという事実がわかつたらその責任をだれにい負わせるかと言うのです。財務局が負うべきか、四建が負うべきか。
  233. 川戸定吉

    川戸証人 又貸しは條件によつて禁止されているわけでありますから、條件に違反しましたならば貸付を取消すべきであると思うのであります。ただ取消しましても、事実これがそのままになつておりまして、実際上の効用を発揮しないわけでありますから、私の方といたしましては、四建側引揚げてもらつてその後の処置をいたしたいと考えておるのであります。
  234. 内藤隆

    内藤委員長 鍛冶委員の聞いておるのは引揚げ責任じやない。又貸しをしたその責任を聞いておる。
  235. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 又貸しをすればおそらくはただでは貸しておりません。金をとつておりますよ。あなたの方からただで借りに行つて、又貸しして金をとつておる。その間にいろいろな損害が起る。あなた方としてもそういうことをさせておつたからいかぬのでしよう。そういうことをした責任はだれが負う。いわんや金をとつたに至つては、その金はどこに行つたか、たれがもうけたか。そういうことをどうするか。今日どうしたらよいと思つておられるか。何もあなたは考えておらぬのですか。
  236. 川戸定吉

    川戸証人 又貸しした事実をこちらが発見しなかつたということは、監督財務局側の責任があると存じます。
  237. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 四建には責任はないのですか。
  238. 川戸定吉

    川戸証人 四建は契約條項に違反しておりますから、四建としても責任があると思います。
  239. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 今何かそれに対して責任をとるような手続をせられましたか。しておらぬのですか。これは国家の宝なんだから、責任ある者は責任あるようにやられなければ、あなた方の方の管理責任を果しておらぬと思うから言うのですが、やつておられないならば、この点もとくと考えて国民の前に明白に処理をしてもらいたい。これを申し上げておきます。  その次は沈没船だ。これは貸すべからざる者に貸して、しかも先ほどの説明を聞くと、行くべからざるところに行つておる。使用條件に違反して又  貸しにまた又貸しして、その又借りした者が行くべからざるところに行き、使用すべからざるものに使用して、そして沈没した。その責任はまことに重大なりと思うが、あなた方はどう思いますか。
  240. 川戸定吉

    川戸証人 貸付上の責任財務局側にもあると思いますが、又貸ししたことによる責任は四建側にあると存じます。
  241. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 條件違反をして、使用すべからざるところに使用して沈没した。そうすればその沈没したるものを元にもどす責任はどこにありますか。
  242. 川戸定吉

    川戸証人 それは四建側にあると思います。
  243. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 しかるに千何百万円の金をかけて引揚げるといつて予算要求しておるそうだが、どこに要求しておるのですか。どういう金を要求しておるのですか。
  244. 川戸定吉

    川戸証人 その点は私の方は存じておりません。四建側で……。
  245. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなたは、要求したという報告を受けたというのだろう。どこへ要求したのか。
  246. 川戸定吉

    川戸証人 それは四建が本省要求しておるのです。
  247. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 本省とは国家の金だね。
  248. 川戸定吉

    川戸証人 そうです。
  249. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そういう條件違反をし  て、又貸しに又貸しをして、そうして使用すべからざるところに使用して、沈没させても、その責任は負わずに、今度は国家の金で揚げてやるのですか。
  250. 川戸定吉

    川戸証人 四建側から報告を受けましたけれども、これを又貸ししておるという事実は一つも私ども報告を受けておりません。ただいろいろ聞きましたので、そういうことを知つたわけであります。
  251. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 国家の金を要求したことは、はなはだ不都合だとわれわれは思うが、それよりもあなたに聞くのは、あなたが保管の責任者ですね。保管の責任者が沈没したという事実を聞いたら、どこで、どういう原因で沈没したか調べましたか。
  252. 川戸定吉

    川戸証人 それを調べまして、四建側からただいまのような報告があつたわけであります。
  253. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 書類報告を受けたのですか、事実を調べたのですか。
  254. 川戸定吉

    川戸証人 書類報告を受けたのです。
  255. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 書類報告と事実と違つてつたらどうします。だれが責任を負うのですか。あなた方だまされたのかしらぬが、だまされましたで済みますか。それでは済まぬと思うが、どう思いますか。
  256. 川戸定吉

    川戸証人 確かにその点はそう存じます。
  257. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 今日この通り明白になつたら、相かわらず国家の金でこれを引揚げるべきものと思つておりますか。それとも何か方法を考えておりますか。
  258. 川戸定吉

    川戸証人 その点は、沈没せしめた、つまり転貸人がこれを復旧すべきものだと考えます。
  259. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そのような手続をしましたか。
  260. 川戸定吉

    川戸証人 私の方からはとつておりません。
  261. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 だれがとる。あなたが管理人だ。あなたがやらなければだれもやる者はないと思うが、だれがやる。
  262. 川戸定吉

    川戸証人 転貸した責任は四建側にございますから、四建側に復旧せしめるように私の方からしなければいけない点でありますが、それはやつておりませんでした。
  263. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 これからやりますか。やる気はありますか。
  264. 川戸定吉

    川戸証人 やろうと思つております。
  265. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうですが。やつてもらわなければはなはだ困る。かようなことをして、国家の財産條件違反をして沈めて、そうしてさらにまた国家の金でこれを揚げさせる。これはどうもたいへんなことだと思う。まつたくどろぼうにひとしい。われわれは別にあなたを追究しようと思うのではないのですが、あなた方の言うことを先ほどから聞いておると、よそのことのように聞えてならない。おれが管理人であるという考えを持つて、そうしてこのことを十分にやつてもらいたい。これを申し上げるために、これだけ申し上げたのですから、そのつもりでひとつ天下の納得の行くような処置をやつてもらいたい。
  266. 内藤隆

    内藤委員長 大泉君。
  267. 大泉寛三

    ○大泉委員 国家の財物を民間に貸し付ける場合には、それに相当する保険料をたいてい織り込んで貸すものでありますが、これに対する保険料などはどういうような條件になつておりますか、証人に伺います。
  268. 川戸定吉

    川戸証人 一般使用料には保険料は織り込んでございません。それで一般に貸し付けます場合には、相手方が借受けてから保險を締結させるように現在やらしております。この場合には、四建に無償貸付をしましたので、四建は役所でありますので、一般に役所に貸した場合には、保險は付しておりません。
  269. 大泉寛三

    ○大泉委員 借受人の方で国家に対する保証の立場において、やはり保險はされるようになつているのじやありませんか。
  270. 川戸定吉

    川戸証人 官庁でない場合、つまり相手方が民間であります場合には、保險を付させるようにさしております。
  271. 大泉寛三

    ○大泉委員 それでは別な方面でちよつと伺いたいのですが、北九州地方の国有財産を預かるあなたとして、これに関する処分あるいは処理経過等について五、六点お伺いしたい。  それはまず三光企業株式会社昭和二十三年九月、建物一千百七十六坪を百九万九千二百円で売り渡しておるのに、今日まで売払い代金は未回収になつておるのは、どういうわけであるか、伺いたい。
  272. 川戸定吉

    川戸証人 ただいま詳しく記憶しておりませんが、代金を徴収すべくいろいろ努力はしておりましたのですが、会社の業態が思わしくなくなつたために、現在滯つておる問題であります。目下こういうものにつきまして、極力特別に徴収の努力をしております。
  273. 大泉寛三

    ○大泉委員 その次に、長崎県南高来郡大正村に、昭和二十三年四月、建物六百九十坪を百三万五千八百四十円で売り渡しておるのに、今日まで代金が未回収になつておるのは、これまたどういうわけか。
  274. 川戸定吉

    川戸証人 この問題は詳しく記憶いたしておりませんので、調査いたしまして、後刻申し上げたいと思います。
  275. 大泉寛三

    ○大泉委員 あとで書面でもけつこうでございます。それからその三は、熊谷工業株式会社昭和二十三年六月、売り渡した船舶の代金の五十四万三千九百四十三円の未回收の理由はどういうわけですか。
  276. 川戸定吉

    川戸証人 この熊谷工業といいますのは、多分大阪にある会社であつたかと記憶します。これも何度も督促をいたしまして、先般納めると言つておりましたが、その期限も切れてなお納めないものでありますが、先ほど申しましたように、こういうものにつきまして今極力整理すべく努力をしております。
  277. 大泉寛三

    ○大泉委員 その四は、昭和二十五年八月、八幡製鉄株式会社に、大村市所在の元第二十一海軍航空廠の鉄くず二千七百九十五トンを随意契約で一千百十五万五千四百三十八円で売り渡しておる。これは二十五年一月に改正された鉄くずの旧統制価格によつて処分しておるが、当時のマル公の改訂が決定しておるのに、何ゆえに元の統制価格によつて計算したのであるか、これによつて国家はどれくらいの収入減を来しておるかということを伺いたい。
  278. 川戸定吉

    川戸証人 この具体的な問題につきましては十分記憶しておらないのでありますが、当時スクラップの処分につきまして、軍が急速にやるように指示をしておつたような事情がございまして、おそらく価格改訂の前に実際上の処分が済んでおつたものではないかと考えます。但しちよつと記憶違いがあるかと存じますが、調査して御報告させていただきたいと思います。
  279. 内藤隆

    内藤委員長 今の発言中、軍がという言葉があつたが、軍とは何ですか。
  280. 川戸定吉

    川戸証人 占領軍であります。
  281. 大泉寛三

    ○大泉委員 それからもう二つばかり……。二十三年九月に、財団法人佐世保済美高等女学校に元海軍工廠の建物二千五十六坪を随意契約によつて九十一万八千百二十五円で売り渡した。その事件が今会計検査院で問題になつているが、どういう内容の事件であるか、それをお尋ねしたい。
  282. 川戸定吉

    川戸証人 お答え申し上げます。佐世保済美女学校に売渡しをいたしたのでありますが、佐世保済美女学校がこれを他に転売したのではなかつたかと考えております。これも恐縮でありますが、調査の上御報告さしていただきます。
  283. 大泉寛三

    ○大泉委員 あとで書面で詳しく承ります。総括的に一つ承りたい。北九州の財務局ではかような未回収の売掛代金が現在幾らあるか、またこれに対して処理方針はどういうお考えであるか、または契約はしておるものの、金がまだ三年も四年も滯つておるというのだから、これに対して解約の意思があるかどうか。
  284. 川戸定吉

    川戸証人 滞納になつております金額につきましては、ただいま十分記憶しておりませんが、一億数千ありはしないかと存じます。そのうち大きいものといたしまして、これは旧海軍が持つておりました志免炭鉱というものがございますが、これを終戦国有鉄道が使つております。これに対する機械、鉱業権、家屋等の使用料が一億二、三千はありはしないかと存じます。そうしますとあるいは多少記憶違いがあるかと存じますが、五、六千の滞納があるかと存じます。これらにつきましては極力ただいま特別に処置を講じまして回収をはかつております。いろいろの不行届きで当時にとつておけばとれたものが、最近事業が不振になつたりその他で回収の見込みがなくなつたというものも若干あるかと思いますが、現物が残つておりますものは契約解除してもちろん現物をもどさせる処置をとる考えでおります。
  285. 内藤隆

    内藤委員長 ちよつと聞きますが、ただいま大泉委員の述べられました五件につきましてのあなたの答弁は、大体において知らぬ、あるいは調査をしていない、記憶がないという答弁なんです。しかるに最後にあなたは、今これらについて特別の処置をとらしておるとおつしやつたが、そこに一つの大きな矛盾がありはしませんか。
  286. 川戸定吉

    川戸証人 件数も大分ございますので、一つ一つの具体的問題につきましては、記憶がないのでそのように申し上げたのであります。
  287. 内藤隆

    内藤委員長 おそらく当委員会において表面に出たものだけでも相当の金額なんです。これはまだ相当表面に出ないものを考えるとあなた方のやつておる国有財産に対する処分、処理の怠慢さが十分にうかがい得ると思う。特別の処置というのはどういうのです。
  288. 川戸定吉

    川戸証人 最近貸し付けますものにつきましては、金を納める相手方の信用その他に留意し、それからまたそうでない場合におきましても、金を現実に見て、ある場合には一緒に銀行に行つて納めさせる。ともかく今後出ますような問題につきましては、絶無を期するようにやつております。一方今までの滯納の者につきまして、個々に実情を調査して、その滯納者にあたつていついつ納められるか、幾らずつ納められるか、またそのときになつて督促をし、極力回収をはかるようにしておるわけであります。
  289. 小松勇次

    ○小松委員 いろいろ皆さんからお尋ねがありまして、大分よくわかつてつたのでありまするが、どうも私にはわからない点が二、三あるのであります。その一つは預託ということなんです。あなたのところで預託という取扱いをされたということは、これはやはり大蔵省の何か規定の中に預託の取扱いはできるような規定があるのでありますか。そういうよりどころがあつてそういう預託の方法をとられたのであるか、まずこれを伺いたい。     〔委員長退席、高木(松)委員長代理   着席〕
  290. 川戸定吉

    川戸証人 現在におきましては預託をされます場合には、御承知の保管料を払つております。でありますから、しばらく前の当時に、そういう預託の制度につきまして、本省から指示がありましたかどうか、当時私おりませんでしたので存じておりません。
  291. 小松勇次

    ○小松委員 どうもあなたのお話を承りますというと、先ほどもどなたか申されたように人ごとのように私には聞えるのです。あなたは二十五年の四月十五日に北九州財務局長に御就任になつたということであるから、この問題が始まつた当時の二十三年ごろには、そこにおられなかつたのでありましようけれども、今日はあなたが責任者であります。ゆえに今日その責任者としてあなたにはつきりしたことを私どもは伺いたいのであります。よそごとのような御証言は愼しんでもらいたいたい。この預託ということについて、他にもこういう例があるのでありますか、これはあなたの方だけでこういうような特別な取扱いをされたのであるか、他の財務局等においてもこういうような取扱いをしておるかどうか。
  292. 川戸定吉

    川戸証人 他の財務局にも例があると私は存じます。ただそれが本省の通牒によつたのかどうかということは存じておりません。現在におきましては、こういう無料で預託するということはほとんどないと私は思つております。ただたとえば佐世保工廠の中に佐世保船舶工業が一時使用しておる建物、機械等がございますが、一時使用をしていない機械、建物もあるわけでございます。そういう賠償指定工場のような場合におきましては、その工場が三〇%以上稼動しております場合には、総司令部の指令によりまして、その会社管理すべきことになつております。ですから、そういう場合には無償貸付無償預託の場合がありますが、普通の場合にはございません。
  293. 小松勇次

    ○小松委員 それではこの日本サルヴエージ会社預託したということは、きわめて妥当な取扱い方法であつたか、どうであつたか。あなたは今日どう思いますか。
  294. 川戸定吉

    川戸証人 非常に妥当であつたということはもちろんないのでございまして、ただその当時の状況といたしまして、一時使用希望者がなかつた。これを財務局の職員が経験なしに管理して行くことができませんでしたために、預託のやり方をとつたので、やむを得なかつたやり方であつたじやないかと考えております。
  295. 小松勇次

    ○小松委員 当時の事情からやむを得なかつたであろうという証言であります。また当時一時使用申出者もなかつたということでありまするが、その点は先ほど鍛冶君からもお話があつたごとく、はたして一時使用の希聖者がなかつたかということについて私どもは大きな疑問を持つ、なぜならば、すでにあなたの方で二十三年の十二月に預託した、その翌年ただちに門司港湾  協議会会長の門司市長はこの陳情書をあなたの財務局長に提出して、そうしてこれを門司港湾のためにいろいろ使用したいということをお願いしておる。こういうことから見ても、私どもは今のあなたの御証言は全部うのみにはいたしかねるのであります。こういう点はよくあなたお帰りになりましたら当時の実情をお調べ願いたいと思います。この起重機をもし保管者に保管料を払うという場合には、一体どのくらいの保管料を払うことになるのですか。
  296. 川戸定吉

    川戸証人 保管料の点はすぐ申し上げますが、ただいまお話の市長からですか、陳情書は承知しております。それは先ほどのお話にちよつと私落したかと思うのでありますが、一時使用貸付希望者を探し、それからなお売払い、つまり買い受ける人の希望者を探したわけでありますが、資金その他の都合でそういうものが現われなかつた。ただ門司市からの陳情は、そういうものが売り払われてよその港湾等に持つて行かれる場合を考えまして、あの付近に存置されるように四建に所管がえをしてくれというように陳情をされたのではないかと私は解釈をしたわけであります。  それからただいま保管料を払つたらどのくらいかというお尋ねでありますが、こういう船でありますから、海員免状を持つた人が一人必要だと思います。それからなおこれを補助する水夫その他が二、三人必要ではないかと思います。そういう者の俸給等を見ますと、大体二万円くらいはその当時で必要ではなかつたかと考えます。それからなお維持して行くにつきまして、油であるとかいうようないろいろ資材が必要ではないかと思いますが、そういうものが大体一万円、おそらく月に三万円程度で、保管料としてはそのくらいではなかつたか、こういうふうに考えます。
  297. 小松勇次

    ○小松委員 そうすると、あなたの方でこれを預託したということについては、この保管料を支払うだけの予算がなかつたから、それで使用を認めることを條件として預託したのですか。
  298. 川戸定吉

    川戸証人 使用條件にしたわけではございませんが、使用は黙認をしたのであります。
  299. 小松勇次

    ○小松委員 あなたの方では保管料というものは出道がなかつたのですか。
  300. 川戸定吉

    川戸証人 当時の予算のことでございますから、私はそういうように当時の係官から聞いたのであります。
  301. 小松勇次

    ○小松委員 そうですか。あなたは当時のことを知らないならしようがない。それではこの起重機船を賃貸するとしたならば、一体一日どのくらいの賃貸料をとるのですか。今のは月三万円くらいの使用料であるが、当時一日起重機船を貸したらどのくらいの賃貸料をとりますか。
  302. 川戸定吉

    川戸証人 この財産貸付の賃貸料については、大蔵省から要領を示されておるわけであります。それの大体のやり方を申し上げますと、昭和十六年を基準とした船価の出し方があるわけであります。昭和十六年を基準にしまして、何年には指数が幾らである、何年には指数が幾らであるという基準が本省から示されるわけであります。そういう基準によつて算出いたしますと、当時この船価が五百四十万円見当になります。そうして使用料を出す場合におきましても、その要領によりますと、十五分の一をとります。それが年間の使用料になりまして、今の場合におきますと、三十八万円程度になります。三十八万円を月にいたしますと、大体三万一千円くらいになります。それで財務局使用料をとりましたら大体月額そういう程度になります。
  303. 小松勇次

    ○小松委員 月使用料をとるとすれば三万円くらいの程度が大蔵省の基準であるとのお話でありまするが、実際この起重機船に対してこれを使用しておる人の賃貸料は月三万円どころではない、一日に三万円じやないですか。一日三万円、一日で一月ぶりの保管料が生まれて来る。一日に三万円ずつの賃貸料を払つておる。もしかりに一年のうち二百日この船が稼動するとすれば、六百万円の利得を得ておるわけです。こういうような点から考えてみましても、これは日本サルヴエージ会社預託の名前をもつて無償使用さしておるということはいよいよもつて不可解です。あなたはその後にこの地位に御就任になつてからこういう点をふしぎに思わなかつたですか。
  304. 川戸定吉

    川戸証人 一日三万円で貸しておるという事実は私ども知らなかつたわけであります。それで私の方の大蔵省の通牒による計算をいたしましたところをただいま申し上げたわけでありまして、そういうような相違があるということは、実はあとで知つたわけであります。
  305. 小松勇次

    ○小松委員 それではあなた承知しておるのですな。
  306. 川戸定吉

    川戸証人 先日そういうことを聞きまして、承知しております。
  307. 小松勇次

    ○小松委員 どこで聞いたのです。
  308. 川戸定吉

    川戸証人 これは私先年末——ついこの間でありますが、私の方の係官が四建に行きまして、いろいろ事情を調査いたしましてそういうことを承知したのであります。
  309. 小松勇次

    ○小松委員 二百日と計算してみて、国家が六百万円もの損害をしておる。それから一時使用を許された第四港湾建設部、これがまた又貸しをしておる。又貸しは許されない。あなたはこの又貸しをしておるということをいつお知りになりましたか。
  310. 川戸定吉

    川戸証人 それはこの行政監察特別委員会の専門員が来られまして、調査をされておりましたときに、それを聞いたように覚えております。去年の十月ころではなかつたかと思います。
  311. 小松勇次

    ○小松委員 あなたは財務局長さんに御就任なされたのが二十五年四月十七日、又貸ししておるときはあなたが御就任後に又貸しをしておる。こういうことをうわさにもあなたは聞かなかつたのですか。こちらの専門員が行つて初めてこれを知つたというようなことはあなたはその監督者としてそれで責任を果せるのか、任務を全うしておるのであるか。どうお考えです。職務怠慢ではないですか。
  312. 川戸定吉

    川戸証人 まことに申訳ありませんでしたが、事実知らなかつたわけであります。
  313. 小松勇次

    ○小松委員 それは知つてつて知らないとおつしやるのではないですか。知らないということはないわけです。
  314. 川戸定吉

    川戸証人 そういうことは私全然知りませんでした。
  315. 小松勇次

    ○小松委員 それではあなたは職責を果しておらぬことになる、そう断定してもよろしいのですな。
  316. 川戸定吉

    川戸証人 その点はまことに申訳なかつたと思つております。
  317. 小松勇次

    ○小松委員 申訳ないじや済まぬですよ。それであなたは職責を果しておると言われるのか、私どもは果してない、こう言いたい。それでさしつかえないかと私は聞くのです。どうです。
  318. 川戸定吉

    川戸証人 確かにおつしやられる通り十分職責を果していなかつたわけであります。
  319. 小松勇次

    ○小松委員 さかのぼつて伺いますが、日本サルヴエージ会社はただ使つてつた。そうして今度はその後において、第四港湾建設部へ一時貸しするときに、あなた方はサルヴエージ会社から返還を受けるときに、だれが立ち会つたのですか。
  320. 川戸定吉

    川戸証人 財務局の職員は立ち会いませんでした。ただあとから報告を書面で受けております。
  321. 小松勇次

    ○小松委員 どこから報告を受けたのですか。
  322. 川戸定吉

    川戸証人 日本サルヴエージから受けております。
  323. 小松勇次

    ○小松委員 その報告はどういう報告つたのですか。
  324. 川戸定吉

    川戸証人 二十四年十二月二十一日付のサルウエージの門司支店長から当時の福岡財務部長あてに報告書を受けております。   第五号起重機船受渡の件  陳者第五号起重機船に関しては色々と御世話になりました。本日門司港工事事務所工事課長中田氏外立会の元に正式に受渡を完了して別紙の通り受渡書を手交し一部を御送りしますから御受取下さい。  敬具別紙として   受渡証   一、第五号起重機船二五〇屯五〇屯   捲一隻   但別紙属具備品共   右門司港田之浦市有船溜に於て昭和二十四年一月十八日付福岡財務局より預託を受けた当時の現姿の儘で受渡を完了した。    昭和二十四年十二月二十一日     受領者 運輸省門司工事      事務所長       運輸技官 菱田 英三  引渡者 日本サルヴエージ株式会社     門司支店長  上田 数馬  こうなつております。それに別紙がついております。
  325. 小松勇次

    ○小松委員 そうすると、何ですか、何ら損傷をしておらないで、元のままで受渡したということなんですな、それは。
  326. 川戸定吉

    川戸証人 そうでございます。
  327. 小松勇次

    ○小松委員 あなた方は、その後においてこれが非常に損傷をしておつて、修理に莫大な費用を要するというようなことは聞かなかつたのですか。
  328. 川戸定吉

    川戸証人 この問題が起りましてから、そういうことがあつたことを聞きました。
  329. 小松勇次

    ○小松委員 この問題というのはいつですか。
  330. 川戸定吉

    川戸証人 この調査が始まりまして、私ども問題を知りました。ですから、去年の十月ごろでございます。
  331. 小松勇次

    ○小松委員 そうすると、損傷しておつたものに対しては、ちやんと元の通り復旧するという復旧費は、この日本サルヴエージ会社負担しなければならぬわけですね。日本サルヴエージ会社でこれを負担したのですか、どこが負担したのです。重ねて私はその点を伺いたい。     〔高木(松)委員長代理退席、委員長着席〕
  332. 川戸定吉

    川戸証人 もし通常の減耗以上の損傷をしておりますれば、日本サルヴエージ会社側の負担において補充すべきものと考えます。ただこの報告書にはそういうことが書いてございませんし、四建の方からもそういう事実の報告はありませんでした。
  333. 小松勇次

    ○小松委員 あなた方は書面の報告だけでもつて、それを信じておられからとんだこんな間違いが起るのです。実際に立ち会つてないんだもの。ここにこういう大きな問題が生じて来たのです。私ども聞く範囲では、事務局で調査した報告によりますと、日本サルヴエージ会社で今度引渡すときにはがたがたになつてつた。大修理を要したということである。それをこの行政監察委員会が調査に乗出して初めてその責任者のあなたが知つたというようなことは言語道断です。そういうことをしておるから、又貸しのごときものもかつてに行われる。そうして船が沈没するというようなこんな結果になつておる。もとはみんな役人の怠慢、無責任から起つておると私はいわなければならぬ。十分御注意を願いたい。
  334. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 今あなたは一日三万円で貸すという事実を知つたと言われるが、それならもつとわれわれは聞かなければならぬが、だれがその金をとつていたか。
  335. 川戸定吉

    川戸証人 その点は運輸省四建がとつてつたものと私ども聞いた当時は考えたのですが、それがその後には、入つておらない、納入になつておらないということも、これは新聞紙でありましたか、承知いたしました。
  336. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 まことに重大なことだが、あなたの保管をしておるものを又貸して金をとつておる者がいるということがわかつたのでしよう。それをあなたは、ようなことを聞いた、そんなことではいかぬ、それを私は言う。一体そんなことは容赦になることですか。とにかくとつておることは事実でしよう。とつてつたら、だれかがその金を横領しているに違いない。そんなことをあなたは調べないですか。まつたくよそ事のように聞えてならないのだが、あなたの責任です。だれがどうしてとつておるか。四建がとつたという名前にして、しかも国家の予算には入つておらぬのですよ。そうすれば、だれかが横領しておるに違いない。あなた方が調べたなら、なぜそこまで調べないか。これはあなたの責任としてひとつ調べてもらいましよう。そしてここに報告してもらいましよう。これは重大なことです。
  337. 大森玉木

    ○大森委員 私はごく簡單に一言だけ伺います。今この起重機を、報告によつて知つたということでありますが、報告とは、すなわち今読んでおられた書類でありましようが、起重機というものは、これは機械でありますか、永久こわれないものであるか、どういうものでありましようか、形体は何でありますか。機械といたしまするならば、機械はあるいは時間的にどうなるかというようなことは、あなたは局長でいらつしやるから、それだけの常識のない方ではないと私は思う。しからば、何百万円という大金であります。この何百万円の大金のものを、ただ書類によつて受取りまして、それであなた責任が済むのですか。なぜそこに立会つて、ここがこうなつておる、君の報告はこう書いてあるけれどもこうである。あるいはそれも五円か十円の品物ならば、これは問題ではないでしよう。しかしながら、つくつた当時で五、百数十万円と今おつしやつたのでありますが、今日でございますと、何億円のものである。その何億の品物を受取るのに、向うの、使つてつた人の報告によつて受取つたとは何事であるか。これはあなた方が立会いのできざるところのものがあると私は思う。あなた方立会つてこれはこうである、ああであると責めることのできない問題があるのではないか。これが私の考え方であるけれども、おそらくあなた方の部下においても、これを知らなかつたということは断じてない、知つておると思う。今日新聞等にもよく出て、私驚いておるのは、官吏の紊乱である。あるいはこの間新聞で、何でも終戰後六万八千件とかいうことであつた。新聞ではこれを評して何と言つているか、これは九牛の一毛であり、氷山の一角である。もはやあなた方もその氷山の一角の方へ入つておるのではないか。実にどうも驚くべき問題である。これはあなた方よく反省してお答えなさい。もしもそれで妥当だつたというならば、あなたは無能であるということを私は断言してはばからぬ。数億円の品物をただ報告書のみによつて受取つたということは何事であるか。国家の碌をはんでおつて、しかも数億円の品物を、報告書でこれこれである、これこれであるということを先ほど説明しておられたが、それであなたは職責が済んだと考えておられるかどうか、この点を承りたい。あまりこまかいことを聞いたところでしようがないから、簡単にこれだけ聞いておきます。
  338. 川戸定吉

    川戸証人 引継ぎにつきまして、立合いをいたしませんでしたのは、御注意もございましたように、われわれの手落ちで遺憾に考えております。
  339. 竹村奈良一

    ○竹村委員 あなたの管内で大体現在まで預託された件数は、全体でどれだけあるか。そしてまた現在預託中のものは何件あるか。大体の件数を聞かしていただきたい。
  340. 川戸定吉

    川戸証人 ここに資料を持つておりませんので、調査した上御回答いたしたいと思います。
  341. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それではもう一つ伺つておきたいのですが、件数は別として、他の国有財産預託しておるものがあるかないか。これを……。
  342. 川戸定吉

    川戸証人 それは終戦当時に軍があつちこつち運んで、また工場等へ持ち込んで、そのままになつたものがあるのであります。そういうものについて預託が起つたものも一つの例でありますが、そういうものは逐次処理をして行つておりますから、今日はほとんど私は残つていないと考えております。ただ先ほど申しましたような、佐世保船舶工業株式会社のような例はございますが、それは調査して御回答いたします。
  343. 竹村奈良一

    ○竹村委員 現在は預託したものはほとんどないと考えるけれども、しかし従来はあつた、こういうことですが、そこで私聞きたいのは、大体無償預託するという場合があつた。またその預託をする場合において、先ほどからあなたの話を聞いておりますと、その都度本省に申請して、本省から預託してもいいという認可をもらつて無償預託しいてる、こういうお話でございますが、無償預託する場合に、必ず本省の認可を受けておられるものであるかどうか、この点をお聞きしたい。
  344. 川戸定吉

    川戸証人 預託します場合には、本省の認可を受けておりません。先ほど申し上げましたのは、無償貸付をする場合に、本省に伺つておるわけであります。
  345. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それでは、本件をサルヴエージ預託された場合、これは本省から認可を受けられたのですか。
  346. 川戸定吉

    川戸証人 本省の認可を受けていないと、私は書類では見ております。
  347. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それでは無償預託する場合に、本省の認可を受けずして、財務局長の権限でおやりになつたのですか。
  348. 川戸定吉

    川戸証人 そうでございます。
  349. 竹村奈良一

    ○竹村委員 その権限は、大体法律上どういうところでその権限を與えられているのですか。
  350. 川戸定吉

    川戸証人 それは先ほども申しましたように、管理の一つの形態でございまして、国有財産管理するのは大蔵省従つてまた財務局責任でもございますので、財務局として処理したわけであります。
  351. 竹村奈良一

    ○竹村委員 その処理できる法律的な根拠ですが、それを教えてもらいたい。
  352. 川戸定吉

    川戸証人 預託ということ自体につきましては、法律でも規則でもうたつてないわけでありまして、ただ管理をする一つの形態であると私は考えております。
  353. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それではお聞きいたしますけれども、あなた方は国の行政官として、一体そういう法律や何かにないのに、国有財産をかつてにやれるというような、そんな広大な、無限的な権限というものは、常にこれは慣行として、いわゆる官吏の権限の中にはあるのですか。
  354. 川戸定吉

    川戸証人 管理自体については、法律でも取扱規程でもあるわけでありまして、私が申しておりますように、その一つのやり方として当時やつてつたのであります。
  355. 竹村奈良一

    ○竹村委員 ちよつと私おかしいと思うのですが、たとえば国家の財産を、これは有料で貸す場合においては、あるいはその権限においてそれを処分するというような形があるかもわかりませんけれども、しかし無償で国の財産をかつてに貸すのに、そういう権限は私はないと思うのですが、どうです。
  356. 川戸定吉

    川戸証人 それは貸すのではありませんでして、保管をしてもらうという建前であると私は思います。
  357. 竹村奈良一

    ○竹村委員 預託というのは保管ですか。私は保管と違うと思うんですが、どうですか。
  358. 川戸定吉

    川戸証人 保管をしてもらうという建前だと私は存じております。ただ無償でありますので、使用を黙認をしておるという形であると思います。
  359. 竹村奈良一

    ○竹村委員 一体保管をしてもらうという場合は、保管料を出さなくてはならぬと思うし、それから預託をするということは、預けて託すと私は解釈するのですが、従つてそれはその人が使用している。そこから私は使用料というものが当然生れて来るわけだと思うが、それを無償としておる。しかもそれは保管をさせたような考え方だ、それはあなた独断の考え方ですか、それとも国有財産管理する大蔵省全体の、そういう慣行があるのですか。
  360. 川戸定吉

    川戸証人 預託と、財務局あるいは大蔵省で言つております場合には、ただいま私が申し上げましたような考え方に使つておるように私は存じております。
  361. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それでは私は納得いたしませんが、再びその議事録等を見てもう一ぺんいろいろな点で委員長に申し入れてお尋ねしたいと思いますが、それでは押し問答はやめて、もう一つ、先ほどどなたかの質問に対しまして、たとえば第四港湾建設部預託する場合には、本省の認可を受けた、こういうことをはつきり言つておられる。私は最初から聞いておりましたが、これは議事録を調べてみればはつきり出ておる。その場合認可を受けた、こう言つておられますが、そうすると、そういう国の、いわゆる第四港湾建設部に貸す場合には、認可を受けて、そうして日本サルヴエージに貸す場合には認可を受けられなかつた。この関係一体どうですか。
  362. 内藤隆

    内藤委員長 質問が徹底しないですか。
  363. 川戸定吉

    川戸証人 お答えします。国有財産法無償貸付といつております場合は、公共団体に対しまして——記憶が少し違うかと思いますが、公共的に使うものを貸付する場合に、無償貸付の規定があるわけであります。それ以外に無償貸付の規定がないわけであります。ただ官庁間の場合には、ことに一般会計間におきましては、片方から入れ片方から出すというようなことですから、無償に便宜取扱うということで、本省の認可を得たのではないかというふうに考えております。
  364. 竹村奈良一

    ○竹村委員 どうも私は納得行かぬのですが、あなたの話を聞いておりますと、公共団体、すなわち国のものが国のものに貸すのだから、これは無償で貸してもいい、しかもその無償で貸すときには、わざわざ本省の認可を受けた。しかし個人の日本サルヴエージに貸すときには、本省の認可を得なかつた。これはどうも逆じやないかと私は考えるのですけれども、あなたとしては国と国との間で貸借する場合に、本省の認可を要して、個人に貸す場合には、あなたの権限といつていいか、何といつていいか、あなたに私はそういう権限はないと思うんですが、そういう形で本省の認可を得ずして貸した。これはあなたとしてはどういうふうに考えられますか。処理上ほんとうにそれでいいと考えられますか。それは間違つている、悪いと考えられますか。この点を伺つておきたい。
  365. 川戸定吉

    川戸証人 御指摘のように矛盾いたしておるように考えます。ただ先ほども申しましたように預託というのは、一時使用希望者もなくて、預かつてもらうというような建前でやりましたために、管理上の一つの形態として無償で預かつてもらつておる。こういうことではないかと考えます。
  366. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そのことを押し問答してもしようがない。それではもう一つ聞くのですが、この預託された場合に、先ほどお読みになつ契約をしておられる。その契約の中には少くとも使用を認めておられる。但し保管料は出さぬかわりに使用を認めておられる、そうしてその使用した場合に、破損した場合には、その預託を受けたものがこれを弁償する。返還請求された際は、完全に元の通りにして返す、こういう契約をしておられる。そういたしますと、先ほどからあなたは保管を頼んでおるという形式だということを言うておられますが、これは明らかに脱法行為だ、少くともほんとうの保管を頼むのであつたならば、保管者に対して保管料を払つて、それに対して、保管料をもらつた以上は、それを完全に返還する義務を課する、こういう契約書でなければならぬ、ところがそうでない契約をして、それは保管を頼んだ形式にして、国の財産をただ使わしておるのだと明らかに言つておられる、明らかにこれは脱法行為で、国はあなたにそういう権限を與えていない。それをあなたはやつておられる。  それはそれとして、もう一つ承つておきたいのは、大体契約されておる以上、契約というものを取結んだ当事者であるあなたの方では、この契約を、ほんとうに守つておるかどうかということを監視する義務があると思う。單に紙の上で契約書を結んだから、あとは野となれ山となれでは、その契約を結んだことにはならない。少くとも契約書を結んだ以上は、その契約をしたものをほんとうに実行しておるかどうかという、実行せしめる責任がある。これに対して、あなたは、先ほどから聞いておりますと、どうもそのことについての処置、監視というようなものは、全然やつておらない。たとえば又貸しされておるのを、こちらの調査によつて初めて知つたというようなことでは、今後国の財産というものを、いろいろな形において一時貸す。——これは預託だけではございません。たとえば金をとつて貸しておつても、それに対してあなた方は書類の上で契約をした。これに対しての監督というよりも、この契約したことを実行せしめる、実行しておるということを、どういう機関であなたは見ておられるか。これはもう全然放擲されておるのかどうか。その点をお聞きいたします。
  367. 川戸定吉

    川戸証人 最近におきましては、なるべく貸付状況等を調査して、使用料はもちろんでありますが、状況の調査もなるべく許す限りにおいてやるようにしております。
  368. 竹村奈良一

    ○竹村委員 今、最近においてはと、こう言われましたが、そうすると、最近以前のもの、その前のものについては、ほおつてつたのですか。
  369. 川戸定吉

    川戸証人 人員等経費の問題とからみ合うわけでございまして、今ではかなりに財産の処分も進んでおりますが、当時はまだそこまで手が伸びなかつたというのが実情であるわけでございます。
  370. 高木松吉

    ○高木(松)委員 最後に一言聞いておきたいのは、今証人の陳述によると、大体無償貸付と、あなたのいう預託とは、実態上何らかわるものはないと思う。そうすると、預託制度というものは、許すべき性質のものではない。違法な行為であると私どもは思うが、無償貸付をする方法として、世間からのがれようとする言葉にしか聞えないので、預託なんというような法律的な言葉はないはずだし、もし法律的にそれを実質解釈して行けば、無償貸付であることは間違いないね。暗黙に許すも、たとえば明示して許すも、預託には法律上の違いはないのだから、無償貸付の形で、実質も形式も、預託などという言葉は何を意味するかわれわれにはわからない。そういうふうに解釈してよろしいか。
  371. 川戸定吉

    川戸証人 考え方といたしましては、先ほど私申し上げましたように、一時使用希望がないから預つてもらうのだ、但し予算的な関係その他で保管料が出せないので、使用することは黙認する。こういうことで……。
  372. 高木松吉

    ○高木(松)委員 あなたの言うことは、まことにここまで来てもなおわれわれの前を何か変なぐあいに通ろうとしておるようだが、使用を許していたら、これは無償貸付じやないか、どうなんです、これは……。違うのかね。暗黙に認めるも、表示して認めるも、法律的には何らかわりはないわけでしよう。それを強弁するというのは、財務局なり、大蔵省が将来また預託というようなあいまいな言葉で、国民の納得しないことをやろうとするんじやないか。私はそこで預託制度というものは、無償貸付であるから、無償貸付の手続をとらない限り、管理方法としてかくのごときことは許すべきものではないと解釈しているが、あなたはどう思うか、これを聞いておる。
  373. 川戸定吉

    川戸証人 ……。
  374. 内藤隆

    内藤委員長 そう考えないで、率直に述べたら……。
  375. 川戸定吉

    川戸証人 私の今まで考えておりましたところでは、つまり私何も強弁して言うわけではございませんが、片方は事業上どうしてもそれが必要で、使用料を出してまで貸付をしてもらつて貸付を受けるという場合であり、片方は、自分はそう貸付料を出してまで使う意思はないのだ、ただ必要の場合には使うことを黙認してもらうのだということの差異がありはしないかと考えます。
  376. 高木松吉

    ○高木(松)委員 あなたは管理方法の一つの形として、預託を主張して、その預託の内容は無償にて使用することを認める。こういうものがあなたのいう預託であり、管理である、こう言うからわれわれは疑問を起すのです。もしその当時その解釈を正当なりとあなたは考えておつても、今ここへ来て、かような預託方法をもつて管理することが、管理の方法としての範囲を逸脱しておると思わないか思うか、どうですか。
  377. 川戸定吉

    川戸証人 その点おつしやられますと、疑問に思うわけでありますが……。
  378. 高木松吉

    ○高木(松)委員 疑問くらいですか、はつきりするんじやありませんか。それは少くとも、法律上相手方がどういう誘因であろうとも、直接には使用を認めている以上、使用し得る権限を相手に付與している以上、無償貸付であることは間違いない。無償貸付をやつていながら、預託という言葉で、管理の一つの形態である、管理方法であると言いのがれるところに、そこに不正なり混乱なりが出て来て、こういう問題を引起すもとをつくるんじやないか。そこで、その管理方法は無償貸付であるから、無償貸付の手続をとるにあらずんば、さようなことはできないのだということをはつきりとあなた方の頭に置くようになりさえすれば、こういう問題は起きないものと私どもは思う。その点どうです。
  379. 川戸定吉

    川戸証人 その点確かにおつしやられますように考えられるわけでございます。この点本省にもひとつ解釈を聞きまして、またお答えをいたしたいと思います。
  380. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それじや私裏から聞きます。無償貸付は、先ほどのあなたの話を聞きますと、官庁間でなかつたらできない、しかも本省の認可ですか、承認がいる、こういうことですね。これは間違いありませんか。
  381. 川戸定吉

    川戸証人 はあ。
  382. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 しからば民間へは無償貸付はできないわけですね。
  383. 川戸定吉

    川戸証人 そうでございます。
  384. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そういうことですね。それがわかればあなたはわかつて来ると思う。そこで今のこの場合の預託というものは、もちろん保管料も払わぬかわりに、向うから使用料もとらない。そうして使用を認めてやる。これは一体無償貸與じやないのか。これをしも無償貸與にあらずとあなたは言えますか。
  385. 川戸定吉

    川戸証人 実質的には、おつしやるように、確かに無償貸與でございます。
  386. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 実質的にそうなる。そうすればやるべからざることを、民間に無償貸與するのに、預託という言葉をかりたのではないですか、どうです。脱法行為じやないですか。これはあなたがやつたんじやないから、私はあなたに財務局長として聞いておる。あなたがやつたのではなくて、前の局長がやつたのだから……、どうです。われわれに言われたらそうだと答えられませんか。実質上において、無償貸與、民間に対しては無償貸與はできない。それで預託という言葉を使つた。どうです、間違いないと思う。
  387. 川戸定吉

    川戸証人 脱法的にやつたと私ども考えないのでございますが、それは私申し上げましたように、使う希望の人がないものですから、預つてもらう。また保管料も出せないので、この使用を認めたということが、考え方ではないか、こういうように考えております。
  388. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなたは今実質上無償貸與ですと言うのだろう。実質上無償貸與のものは、民間に無償貸與できないのじやないか、それをやつたのじやないか、あなたがやつたのじやないのだから、あなたを別にとがめるわけではないのだが、あなたがそう言われるから、われわれは聞く。実質的無償貸與であることは認めるわけでしよう。そうすれば、民間に対してはやるべからざることをやつたのでしよう。そこで預託という言葉を使つた。この点は率直に認められませんか、あなたは……。
  389. 川戸定吉

    川戸証人 たしかに無償貸與であります。
  390. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうでしよう。そこでそうなると、今度は聞かねばならぬが、そのときの責任者はだれですか。預託をやつた責任者は。
  391. 川戸定吉

    川戸証人 当時は福岡財務局でございますから、局長は福井榮治郎という人でございます。
  392. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 今何しておりますか。
  393. 川戸定吉

    川戸証人 今は税務協会に入つて大阪におられます。
  394. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 官吏をやめてですか。
  395. 川戸定吉

    川戸証人 はあ。
  396. 内藤隆

    内藤委員長 それでは委員長から特に申しますが、その預託をした当時の、四建に一時貸付けた当時の関係官の職並びに氏名を、責任をもつて書類報告してください。
  397. 川戸定吉

    川戸証人 預託したときと、それから四建に無償貸付をしたとき……
  398. 内藤隆

    内藤委員長 そうです。委員各位の尋問その他を通じまして、ここへいろいろ問題が現われて参りましたが、要するに財務局日本サルヴエージに対して預託したという、ただいま鍛冶委員が言われましたそういういわゆる脱法的な形式で、国有財産無償貸與をさせ、その営利会社に莫大な利益を與えた。また日本サルヴエージ会社に修理させた上受取るべき破損したものを、破損のままで受取つてつたり、あるいはまた四建は三百万円の修繕費を国費をもつてかけて平然としておる。要するに国有財産なるがゆえに大蔵官吏の諸君はそういうばかげたことができるのかどうか、この点国民は非常に大きな疑惑と関心とを持つておる。最後にあなたは、責任者として財務局長としての感想はどうですか。
  399. 川戸定吉

    川戸証人 財務局としましては監督上その他責任を十分に果してないように考えますので、たいへん遺憾に存ずる次第であります。
  400. 内藤隆

    内藤委員長 他に御発言がなければ川戸証人に対する尋問はこれにて終了いたしました。証人には長時間御苦労でありました。  午後は二時半より再開することといたし、暫時休憩いたします。     午後二時十一分休憩      ————◇—————     午後三時五分開議
  401. 内藤隆

    内藤委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  国有財産管理処分関係事件中第四港湾建設部関係事件について調査を進めます。ただいまお見えになつておられる証人は栗本秀顯君ですね。
  402. 栗本秀顯

    ○栗本証人 はい、そうです。
  403. 内藤隆

    内藤委員長 あらかじめ文書をもつて承知通り証人として証言を求むることに決定いたしたので、さよう御了承願いたい。  これより国有財産管理処分関係中、第四港湾建設部関係事件について証言を求めることになりますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務知つた事実であつて、黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  なお証人が公務員として知り得た事実が職務上の秘密に関するものであるときは、その旨を申出願いたいと思います。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。     〔証人栗本秀顧君朗読〕     宣誓書  良心に従つて、真実を述べ何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。
  404. 内藤隆

    内藤委員長 それでは宣誓書署名捺印してください。     〔証人宣誓書署名捺印
  405. 内藤隆

    内藤委員長 これより証言を求めることになりますが、証言は、証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際には、その都度委員長許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。  証人はいつから現職におありになりますか。簡単に。
  406. 栗本秀顯

    ○栗本証人 福岡特別調達局契約部長といたしまして、昭和二十四年七月一日より職務をとつております。
  407. 内藤隆

    内藤委員長 それで現在に至つたわけですな。
  408. 栗本秀顯

    ○栗本証人 はい。
  409. 内藤隆

    内藤委員長 昭和二十五年七月の十二日、山九運輸株式会社との間に締結した港湾サービス契約の内容を説明してください。
  410. 栗本秀顯

    ○栗本証人 資料を持つて参りましたが、それによつてお答えしてよろしゆうございますか。
  411. 内藤隆

    内藤委員長 よろしゆうございます。
  412. 栗本秀顯

    ○栗本証人 昭和二十五年七月十二日付で、本件に関する役務概算契約書を締結いたしましたが、その内容を概略申し上げます。この契約山九運輸株式会社福岡特別調達局契約部長たる栗本秀顯との間に締結された契約であります。そしてこの契約目的とする役務の種目は、港湾サービスであります。役務の提供期間は、昭和二十五年四月一日より昭和二十六年三月三十一日までの一箇年であります。契約金額は概算で一百万円であります。役務提供者は山九産業運輸株式会社門司支店であります。この役務を遂行いたしますために、この契約書に單価表が添付されております。これは役務の内容であります。それが六項目に区分されております。第一項は十トンの走行移動起重機使用の件であります。第二項が五十トン起重機船使用に関するものであります。第三項が曳船の使用であります。第四項が水先案内であります。第五項が繋船料に関するもの、第六項が船舶給水に関するもの、この六項目であります。そうしてこれにおのおの單価が付せられております。本件に関する五十トンの起重機船使用に関しまして、その内容を申し上げます。第二項に五十トン起重機船使用料一時間につき八千四百八十一円也、註をAとBにわけます。A、この單価は燃料費、罐水費、曳船使用料、乗組員給與及び付属使用料を含むものとす、B、港外作業をなす場合は本表の二割増しとす、こうなつております。これが、最初の概算契約をもつて五十トン・クレーンの使用料を定めました概要であります。
  413. 内藤隆

    内藤委員長 その契約は更改されておりますか。
  414. 栗本秀顯

    ○栗本証人 その後二回更改されております。
  415. 内藤隆

    内藤委員長 あなたの就任されたのは二十四年七月一日で、そのサービス契約のできたのは二十五年四月一日でしたね。
  416. 栗本秀顯

    ○栗本証人 七月十二日にこの契約書を作成したのであります。
  417. 内藤隆

    内藤委員長 それは、あなた契約部長としておやりになつたわけですな。
  418. 栗本秀顯

    ○栗本証人 さようでございます。
  419. 内藤隆

    内藤委員長 ちよつとお聞きしますが、更改したときに單価の更改もあつたのですか。
  420. 栗本秀顯

    ○栗本証人 單価の更改でございます。
  421. 内藤隆

    内藤委員長 單価の更改を主たる目的としてやつた
  422. 栗本秀顯

    ○栗本証人 はあ。
  423. 内藤隆

    内藤委員長 その内容はどうです。
  424. 栗本秀顯

    ○栗本証人 單価更改の第一回が昭和二十五年十月十日付でなされております。そしてこの更改契約におきまして更改された單価は、七月一日に遡及するとなつております。更改されました單価を申し上げますと、それがABCとわかれておりましてそのA、西日本重工業株式会社下関造船所所属五十トン浮起重機一時間九千三百五十円、それからスチーム供給用ランチ船一時間三千八百五十円、計一万三千二百円、それに註が一、二とついております。それで註の一、起重機船の蒸汽供給が十分なし得なかつたため、別にスチーム供給用ランチ船を使用したものである。二、時間外または荒天割増二〇%増、それがAでございます。次にBでありますが、B、日本サルベージ株式会社所属五十トン浮起重機船一時間当り八千四百八十一円、時間外または荒天割増二〇%増、それからC項があるのでありますが、これは十トン・クレーンでありまして、本件と関係がないと思いますので省かせていただきます。それが第一回の更改契約であります。  それから第二回目の更改契約昭和二十五年十二月十五日付で締結されております。この更改された單価は九月分より適用する、こうなつております。そしてこの際は、先ほど第一回で申し上げましたABC、それに次のD項を挿入する、こういうことでD項が挿入されております。そのD項が、起重機船使用料(諸経費一〇%を含む)それから一、二、三、四、五と條件がついております。その一、一基当り月間使用時間二百四十時間までは、一時間当り單価八千二百五十円也とする。二、一基当り月間使用時間二百四十時間を超過する場合は、超過時間に対し、一時間当り單価六千七百十円也とする。三、晝間は六時から十八時までとし、夜間に対しては本單価表の二割増とする。四、時間は一時間をもつて單位とし、端数は一時間に切り上げるものとする。五、待機料は木表單価の八〇%とする。以上申し上げました二回にわたつて單価の更改がなされております。
  425. 内藤隆

    内藤委員長 今あなたがお読みになつた中に五十トン起重機船というのが出て来ますが、それは一体どこの船ですか。
  426. 栗本秀顯

    ○栗本証人 七月十二日に締結されました最初の概算契約に、八千四百八十一円と單価を記入してございますが、これはどこの船ということを契約面ではうたつておりませんですが、この單価を算出する基礎といたしましては、日本サルベージ所属の船を考えまして積算されたものであります。
  427. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、日本サルベージに五十トン起重機船があることがわかつて、それを基準として算定したわけですね。
  428. 栗本秀顯

    ○栗本証人 さようでございます。
  429. 内藤隆

    内藤委員長 あなたは当委員会に出頭しろという案内を受けまして、そして技術部長あるいは促進監督部長等と問題について何か検討を加えて来られましたか。
  430. 栗本秀顯

    ○栗本証人 一応は加えました。
  431. 内藤隆

    内藤委員長 その加えたのはどういう部長ですか。技術部長あるいは促進監督部長の両名ですか。
  432. 栗本秀顯

    ○栗本証人 さようでございます。
  433. 内藤隆

    内藤委員長 そうしてあなたと三名が検討を加えて来た、こういうわけですね。
  434. 栗本秀顯

    ○栗本証人 はい。
  435. 内藤隆

    内藤委員長 そこで、技術部長は何をやるのですか。
  436. 栗本秀顯

    ○栗本証人 技術部長は、一般的に申し上げますと、工事とかあるいは需品とか、入札をいたします場合に政府の予定価格をまずつくらなくてはならない、その積算をいたしますのが技術部でございます。そうして契約部はその技術部の予定価格によつて入札をし、落札者を決定するわけでございます。
  437. 内藤隆

    内藤委員長 それから促進監督部長は……。
  438. 栗本秀顯

    ○栗本証人 促進監督部長というのは、現場におきましてその業務を促進すると同時に、これを監督する役目のものであります。
  439. 内藤隆

    内藤委員長 あなたの方の特調局には、何か横割りシステムというようなものがあるということを聞いておりますが、それはどういうことですか。
  440. 栗本秀顯

    ○栗本証人 私の局では、経理、契約、技術、促進監督、管財と五つの部がございます。管財と申しますのは、不動産並びに解除物件を保管する役目であります。経理部は終戰処理費の経理をやつておる。契約部は、ただいま申し上げました技術部の予定価格もしくは積算に基きまして、入札をして業者を決定する。そうして今度は促進監督部は、その契約をした條項に基きまして、現地において仕事を促進し、そうしてまた現地についてその仕事が適正に行われているかどうかを監督する役目であります。
  441. 内藤隆

    内藤委員長 さような部長級の横の関係をいわゆる横割りシステムと言つておるのですか。
  442. 栗本秀顯

    ○栗本証人 さようでございます。
  443. 内藤隆

    内藤委員長 そうしてお互いに牽制し合つているというわけですね。
  444. 栗本秀顯

    ○栗本証人 さようでございます。つまり契約部長は契約のことしか権限もなく、またほかのことに容喙する権利はない。技術部長は技術に関する権限を持つが、促進監督の面には触れられない、こういうことであります。
  445. 内藤隆

    内藤委員長 しかし、それは一般官庁にもあることですが、特別に横割りシステムがあるということは、どういうことですか。
  446. 栗本秀顯

    ○栗本証人 それは責任がはつきりする点にあります。
  447. 内藤隆

    内藤委員長 特調から山九運輸に支払つた使用料について知つておいでになる範囲の御説明を願います。たとえば二十五年七月分として桝谷組に支払つた八十八万七千余円は何トン起重機船に払つたのですか。
  448. 栗本秀顯

    ○栗本証人 これには桝谷組起重機となつております。しかし事実は、桝谷組が近藤海事から借りた起重機船でございます。
  449. 内藤隆

    内藤委員長 單価一時間一万三千二百円は、西日本重工の單価であるのに、なぜ桝谷組にその計算で支払つたのですか。
  450. 栗本秀顯

    ○栗本証人 本件につきましてはまことに申訳ない次第であります。これは七月に西重工業と近藤海事の分、二つの起重機使用したのであります。それに対しまして業者よりの請求書が西重工業一本で請求されておつたのであります。当然こちらでチエツクをいたしまして、近藤海事分に対しては八千四百八十一円のあの第一回の更改契約における低い方の單価を適用すべきであつたのでございます。それを不注意にもチエツク漏れをいたしまして、西重工業一本の單価で支払つた。これが調査の結果わかりましたので、この差額三十一万余円を返納せしむべく目下手続中であります。明らかに間違えております。
  451. 内藤隆

    内藤委員長 ただいまの証言中、近藤海事ということでありましたが、これは若松にあるのですが、ここには五十トンのやつはないはずですがね。
  452. 栗本秀顯

    ○栗本証人 はい、そうです。これは私の方は五十トン・クレーンというので契約をいたしまして、契約の当時は実際に五十トンあるかどうかということを検討してはなかつたのであります。これは能力三十七トンの起重機であるということが、調査の結果わかつたのであります。
  453. 内藤隆

    内藤委員長 そういう、五十トンというものはないにかかわらず、粗漏にもそれでやつた、こういうわけですな。
  454. 栗本秀顯

    ○栗本証人 さようでございます。ただ軍が使います場合に、これは五十トンとして使えるかどうか調査するのであります。軍が認めまして、五十トンクレーンとして使つたものでありますから、私の方もそうだと思つてつたわけでございます。
  455. 内藤隆

    内藤委員長 まことにずさんなことなんですな。  八月分として桝谷組に支払つた作業費三十三万七百五十九円の單価ですね、一時間八千四百八十一円となつておるが、これはどういうのですか。
  456. 栗本秀顯

    ○栗本証人 やはり近藤海事でございます。桝谷組自体のものというのは、本件役務には使用しておりません。
  457. 内藤隆

    内藤委員長 要するに桝谷組には二十五トンしかないのですからね。そうして五十トンのものを持つておるのは、西日本、四建、それから日本サルヴエージ、これだけになつておるわけですね。これもさようなずさんなことにおいてやつたわけですな。
  458. 栗本秀顯

    ○栗本証人 さようでございます。
  459. 内藤隆

    内藤委員長 それから九月分の支払い中、桝谷組に対し、九月五日から九月十一日分を追加払いとして四十六万二千円を支払つておりますが、これはどういう作業ですか。
  460. 栗本秀顯

    ○栗本証人 これは十二月分でございます。
  461. 内藤隆

    内藤委員長 その作業は九月で、払つたのは十二月じやないのですか。
  462. 栗本秀顯

    ○栗本証人 作業は九月で、十二月に支払つたものと存じます。
  463. 内藤隆

    内藤委員長 これもやはり五十トンとして支払つたのですか。
  464. 栗本秀顯

    ○栗本証人 同様でございます。
  465. 内藤隆

    内藤委員長 間違いありませんな。
  466. 栗本秀顯

    ○栗本証人 はあ。
  467. 内藤隆

    内藤委員長 それから桝谷組に対し、九月十二日から十四日までの作業費といたしまして、五十七万七千五百円を支払つておりますが、これはどういうのですか。
  468. 栗本秀顯

    ○栗本証人 ちよつとこちらの表で申し上げます。九月分といたしまして、桝谷組関係として、近藤海事の使用分が二百六十六万八千二百八十円、それから円建の使用の付帯費といたしまして百九万二千百八十円、九月分で桝谷関係でこれだけを支払つております。
  469. 内藤隆

    内藤委員長 桝谷組に対し、九月十五日から二十八日までの作業費として、二百三十五万七千六百八円を支払つておりますね。
  470. 栗本秀顯

    ○栗本証人 私の方の記録によりますと、九月分といたしまして二百九十三万五千百八円支払つていることになつております。
  471. 内藤隆

    内藤委員長 桝谷組海事工業所に特調から払い下げた金額は、ここにあなたの方から出ておる明細書がありますが、それによると数字がたいへん食い違つているようですが……。要するにあなたの方で九月分として払つておるのは、四百九十一万三千四百五十八円あるのです。
  472. 栗本秀顯

    ○栗本証人 さきに御報告を申し上げました四百九十一万三千四百五十八円、これにはまず水先案内料とかいろいろなものが含まれておる数字でございまして、御報告申し上げましたときに、五十トン起重機船明細書とございますが、誤りであります。
  473. 内藤隆

    内藤委員長 どうです。これは單価がきまつておるのです。時間もわかつておりますし、單価もわかつてつて誤りだということは、ちよつと想像ができないのですが……。
  474. 栗本秀顯

    ○栗本証人 申訳ございません。先ほど御説明申し上げましたのは誤りであります。特調よりの支払いは四百九十一万三千四百五十八円であります。
  475. 内藤隆

    内藤委員長 どうです。その数字はこちらにも十分資料があつて調査しておるのですから、誤りであるということをあなた方はここで承認されたのですな。
  476. 栗本秀顯

    ○栗本証人 今時間を申し上げます。九月分二百四十時間かける單価の八千二百五十円、それから二百四十時間以上の分、それが百五時間かける六千七百十円、それから夜間の分、百十二時間かける千六百五十円、夜間の超過勤務、同じ夜間の分で四十九時間を千三百円十二円で支払つております。
  477. 内藤隆

    内藤委員長 要するにそれを桝谷組に支払つたことは間違いありませんね。
  478. 栗本秀顯

    ○栗本証人 これは私の方は山九との契約でございますので、山九に支払つております。
  479. 内藤隆

    内藤委員長 それで、これもやはり五十トンを標準として割出した数字なんですね。
  480. 栗本秀顯

    ○栗本証人 はい。
  481. 内藤隆

    内藤委員長 それから四建分として桝谷組に九月の十八日から二十七日までの作業費百九十七万八千三百五十円を支払つておるが、これも間違いありませんか。
  482. 栗本秀顯

    ○栗本証人 その通りでございます。
  483. 内藤隆

    内藤委員長 それからこのほか西日本重工業に九月十五日より九月三十日までの作業費二百四十万九千四百四十円を支払つておるが、これも間違いありませんか。
  484. 栗本秀顯

    ○栗本証人 その通りでございます。
  485. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、九月には三艘の五十トン起重機船が就役していたということになるのですね。
  486. 栗本秀顯

    ○栗本証人 さようでございます。
  487. 内藤隆

    内藤委員長 それでは一体この三艘というのはどこの船でしようか。
  488. 栗本秀顯

    ○栗本証人 近藤海事とそれから西日本重工業、それから第四港湾建設部の船、この三艘であります。
  489. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、この近藤組の起重機船というのはほんとうに五十トンあつたのですか。
  490. 栗本秀顯

    ○栗本証人 これは後に海運局へ参りまして調べたのでありますが、それによりますと公称三十トン、能力が三十七トンということがわかつたのであります。
  491. 内藤隆

    内藤委員長 こちらの調べでは、近藤組に三十七トン程度の起重機船があるということはわかるけれども、五十トンの起重機船は絶対にない。ないものと契約した形にしてあるのですね。この契約締結当時の関係者一体だれだれですか、詳細に名前を言つてください。
  492. 栗本秀顯

    ○栗本証人 契約部長の私とそれから役務契約課長の伊吹山四郎、責任者は部長と課長であります。
  493. 内藤隆

    内藤委員長 それではもう一つ最後に聞きますが、国有財産である四建の起重機船に対して、民間の船と同様の作業費を支払つておる理由を述べてください。
  494. 栗本秀顯

    ○栗本証人 お答えいたします。仕事が行われておりましたときには、四建の船ということを知らなかつたわけでございます。これは軍が業者に命じて仕事をやらせて、そのあとになつて特調に対してあの金を支払え、こういう命令がありましたので、支払いにあたりまして、その船の原価計算をして契約を更改し、金を支払つたわけであります。
  495. 内藤隆

    内藤委員長 そういうことが理由で民間と同様な作業費を支払つた、こういうわけですね。
  496. 栗本秀顯

    ○栗本証人 はい。私は技術部長じやございませんので、技術的にその原価計算のことは説明できませんが、技術部におきましては、原価計算上この契約の單価が適正であるということで金を支払つたわけであります。
  497. 内藤隆

    内藤委員長 ほかに何かありませんか。
  498. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 どうもたいへんふに落ちぬ今のお答えです。契約なしに仕事をさせるのですか。あなたのさつきの話を聞くと、單価をきめて、契約を締結して、それからやるという話ですが、それはどういうことですか。
  499. 栗本秀顯

    ○栗本証人 軍の仕事は、軍から命令がございまして、そうして契約を結んでそれから仕事に着手するのが常道でございます。しかしながら間々軍が直按業者に命じまして、そうしてあとでこれを支払え、こういう命令もたまに出るのであります。そうしますと、仕事の事後の契約になる。
  500. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると、この四建の起重機はそういう特別の場合だつた。こう聞いていいのですか。
  501. 栗本秀顯

    ○栗本証人 さようでございます。
  502. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうしますと、軍で使つておる、そういうときには、あなた方は單価の計算も何にもなしにただやるのですか。実際使つておるか使つておらぬのかもわからずに、軍の命令だからといつて金を払うのですか。使つておるといつたら、どういうものを使つて、はたして單価も正当であるかどうかということを調べますが、どつちですか。
  503. 栗本秀顯

    ○栗本証人 仕事をいたしましたときは、もちろんその現物を確認した上で積算し、支払うのが当然であります。ただこの場合におきましては仕事終つておるのであります。しかし今の起重機船はあるわけでございますから、これは現物を確認した上で積算をするわけであります。これはちよつと技術部門に属しますが、起重機船は五十トン・クレーンだという先入主のもとに……。
  504. 内藤隆

    内藤委員長 もつと明瞭に。
  505. 栗本秀顯

    ○栗本証人 技術部におきましては、現物を確認した上で單価を決定するはずでございます。
  506. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 一体この契約はいつやつたか。
  507. 栗本秀顯

    ○栗本証人 十二月十五日でございます。もう仕事が終りましたあとでございます。
  508. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 さつき言つた七月十二日は……。
  509. 栗本秀顯

    ○栗本証人 それは四建のは関係ございません。四建は九月、十月、十一月であります。
  510. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 なるほど、あなたの方でそれじや四建の保管している船だということを知らなかつたかどうか知らぬが、契約面では日本サルヴエージ船というものを書いてありますね。
  511. 栗本秀顯

    ○栗本証人 最初の契約ですね。
  512. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 ええ。
  513. 栗本秀顯

    ○栗本証人 はい。
  514. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 日本サルヴエージの船と今言うが、四建の船じやないですか。
  515. 栗本秀顯

    ○栗本証人 契約当制は存じませんでした。
  516. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 日本サルヴエージの持つてつた起重機を使うということに予想しておつたのだね。
  517. 栗本秀顯

    ○栗本証人 さようでございます。
  518. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうしてこれを見ると、十月十日にあなたは契約しておりますね。
  519. 栗本秀顯

    ○栗本証人 さようでございます。
  520. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 今言うのと違う。使つたのは十二月に日本サルヴエージ契約したということと、今言うことと違うじやないか。
  521. 栗本秀顯

    ○栗本証人 十月に契約を更改しましたときに、日本サルヴエージというものが現われておりますが、そのときは日本サルヴエージの五十トン・クレーンが四建のクレーンだということは存じませんでした。
  522. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 日本サルヴエージが持つておると思つていたんですか。
  523. 栗本秀顯

    ○栗本証人 さようでございます。
  524. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 日本サルヴエージのものだと思つていたのですか。
  525. 栗本秀顯

    ○栗本証人 さようでございます。
  526. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 十二月に払つたときはどこのものだと思つておりましたか。
  527. 栗本秀顯

    ○栗本証人 それは十月分からのものですね。十月から使つてございますが、それから四建というもののクレーンを使つたということが……。
  528. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 わかつた。払つたときにはわかつたのだね。
  529. 栗本秀顯

    ○栗本証人 わかりました。
  530. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 しからば四建はどこからそういうものを手に入れたかということを知らなかつたか。
  531. 栗本秀顯

    ○栗本証人 日本サルヴエージがですか。
  532. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 いや四建に払うときに、四建のものだということがわかつたならば、四建がどうして起重機を持つたかということを考えなかつたか。
  533. 栗本秀顯

    ○栗本証人 四建がどうして五十トン・クレーレンを持つておるかということですか。
  534. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうだ。
  535. 栗本秀顯

    ○栗本証人 わかりません。
  536. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 日本サルヴエージが元持つてつたということはわかつてつたの
  537. 栗本秀顯

    ○栗本証人 わかつておりません。
  538. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 同じ船だよ、わからないのかね。
  539. 栗本秀顯

    ○栗本証人 わかつておりません。契約部長は存じません。
  540. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 だれが知つてつた
  541. 栗本秀顯

    ○栗本証人 それは確かめてございません。
  542. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そんなことは、同じ船なんだ、日本サルヴエージとここに書いて予想してやつておる。そして同じものだからこそ、同じ單価を払つておる。それが四建に行つているので、おかしいとは考えないの。
  543. 栗本秀顯

    ○栗本証人 考えませんでした。
  544. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなたは、先ほどから聞いておると、ずいぶんずさんな金の払い方をしておることがわかつて、間違いでございました、知らずにやりました、こう言つておるが、この第一番に、七月分として桝谷組の船賃料に払つたこの三十何万は間違いとか言いましたね。
  545. 栗本秀顯

    ○栗本証人 さようでございます。
  546. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 これはいつわかりました、そういう間違いであるということは。
  547. 栗本秀顯

    ○栗本証人 それは今度、最近にわかりました。
  548. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 こちらの調査が始まつてわかつたのですか。
  549. 栗本秀顯

    ○栗本証人 さようでございます。私が調査いたしましたについてわかりました。従つて返納の手続を今とつております。
  550. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなた払われた、どこの金を払つたのですか。
  551. 栗本秀顯

    ○栗本証人 終戰処理費でございます。
  552. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 国費だね。
  553. 栗本秀顯

    ○栗本証人 さようでございます。
  554. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 担当者であるあなたが、こちらから調べたので初めて調べられた。こちらで調べにかからなかつたら、そのままほうつておくつもりであつたのか。
  555. 栗本秀顯

    ○栗本証人 そういうわけではございませんが、間違いをしでかしてまことに申訳ありません。
  556. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 国費ですよ。あなた官吏だね。
  557. 栗本秀顯

    ○栗本証人 さようでございます。
  558. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 官吏がさようなことをして、間違いをして相済みませんで通るかね。一体どう思います。
  559. 栗本秀顯

    ○栗本証人 相済まぬと思つております。
  560. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 またあとでやるが、われわれの調べでは二十五トンといつておるが、先ほど聞かれて、あなたのは公称三十七トンと言つておるが……、
  561. 栗本秀顯

    ○栗本証人 さようでございます。
  562. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 さようなものを五十トンの金で払うということは、どういう間違いだ。
  563. 栗本秀顯

    ○栗本証人 これは技術の問題になりますが、三十七トンとして原価計算をしたわけでございます。
  564. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 五十トンとして払つたと言わなかつたか。
  565. 栗本秀顯

    ○栗本証人 契約は五十トン・クレーンになつておりますが、その支払いに当りまして、原価計算をいたしております。
  566. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなた、この支払いを單価から計算してみると、五十トンのものじやないか。そういうことを言うて間違いじやありませんか。計算してみればわかるが、五十トンの金ですよ。
  567. 栗本秀顯

    ○栗本証人 技術の問題で、私ども説明がなかなか完全にできませんですが、三十七トンとして見ているわけでございます。能力三十七トン。三十七トンの起重機も五十トンの起重機も、原価計算ではあまり差がないということを考えておるようであります。
  568. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると、大差ないから五十トンで払つてつたのか。
  569. 栗本秀顯

    ○栗本証人 大差と申しますと、それは原価計算の問題でございますから、ちよつと確信を持つてお答えができませんが。
  570. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 ここで計算してみますと、單価から行くと五十トンとして払つているのだ。これはどういう意味だ。払つているのが払つておらぬのか。われわれ計算してみれば五十トンで払つてあるが、それをあなたはどう思う。
  571. 栗本秀顯

    ○栗本証人 契約上の五十トン・クレーンの單価、八千二百五十円で払つております。
  572. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 五十トン分としてでしよう。
  573. 栗本秀顯

    ○栗本証人 はい。
  574. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすれば実際においてこつちは二十五トン。あなたは三十七トンよりないものを五十トンとして払つたのだね。
  575. 栗本秀顯

    ○栗本証人 この八千二百五十円という單価は、原価計算をお調べくださいまして、原価計算を見た上でないと御説明ができにくいのであります。
  576. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなたは原価計算と言われるが、一体あなた、原価計算は何から出て来るのか。トン当り幾らと出て来るじやないか。
  577. 栗本秀顯

    ○栗本証人 トン当りではないと思います。
  578. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 何です。
  579. 栗本秀顯

    ○栗本証人 同じ五十トンといつても、船によりまして、原価計算上は單価が違つて来ると思います。償却費であるとか、あるいは諸経費であるとか、そういうものが所属会社のクレーンによつてつて来ると思います。これは私が思うだけでございまして、技術的の説明ではございません。
  580. 内藤隆

    内藤委員長 それではこういうことになるのですな。あなたは思うだけで、技術的のことは技術部長でなければ説明できぬ、こういうのですな。
  581. 栗本秀顯

    ○栗本証人 さようでございます。
  582. 内藤隆

    内藤委員長 それでは説明があつてもなくても同じことだ。
  583. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それでどういうのだね。そうすると、これは間違いであるかないか、まだわからないのか。
  584. 栗本秀顯

    ○栗本証人 私は適正であると考えております。
  585. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 今でも……。
  586. 栗本秀顯

    ○栗本証人 はい。
  587. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなたは十二月に金を払うときに四建の起重機であるということがわかつた。その四建の起重機国有財産であるということは、御承知でありませんか。
  588. 栗本秀顯

    ○栗本証人 払うときにわかりました。
  589. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 国有財産が四建に来るときには、どうして来るものかぐらいは、あなたも官吏だからわかりそうなものですが、それはわかつてつたか。
  590. 栗本秀顯

    ○栗本証人 存じません。
  591. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それでは国有財産であるということがわかつておるのに、山九運輸もしくは桝谷運輸がどうして使つておるかということに対しては、考え及ばなかつたのですか。
  592. 栗本秀顯

    ○栗本証人 そのときは、桝谷が第四港湾建設部から貸下げを受けておるものを使用しておると考えておりました。
  593. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 貸下げというのはどういうことですか、賃料を払つて借りておるという意味ですか。
  594. 栗本秀顯

    ○栗本証人 さようでございます。
  595. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなたは山九々々と言われるが、山九運輸というのは何をやつておるんだ。
  596. 栗本秀顯

    ○栗本証人 運輸をやつております。
  597. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなたの方では山九に払つた、こう言われるのだね。
  598. 栗本秀顯

    ○栗本証人 さようでございます。
  599. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 ところがみな桝谷運輸、桝谷運輸となつておりますね。請求書はみな桝谷運輸から出ておりますね。
  600. 栗本秀顯

    ○栗本証人 桝谷から山九へ出しておるわけでございます。私の方の支払いは山九一本でございます。契約の相手方でございます。
  601. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それはそうだが、仕事は桝谷運輸がやつておることはわかつてますね。
  602. 栗本秀顯

    ○栗本証人 わかつてます。
  603. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると、仕事は桝谷運輸でやるが、金の受取りは山九でやる……。
  604. 栗本秀顯

    ○栗本証人 さようでございます。元請でございます。
  605. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 山九というのは仕事をせずに、ただ金を受取るだけの会社か。
  606. 栗本秀顯

    ○栗本証人 先ほども申し上げましたように、この港湾サービスの中には六つの種類の仕事がございます。調達要求書は一本に対しまして一業者ということになつておりますので、山九があの六つの仕事を全部自分でやれるということは——山九ばかりではありません。どの業者もでございますが、六つの仕事を自分で全部できるというものはないのでございます。それで特調といたしましては、資力もあり、誠実に仕事をなし得る大きな業者を選び、それを契約の相手といたしまして、その会社ができない部分の仕事もあわせて請負わす、こういう方針でおつたのであります。
  607. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それでは山九は、なるほど船の方は桝谷運輸でやらしたかしらぬが、ほかにみずから何か仕事をしておるものがありますか。
  608. 栗本秀顯

    ○栗本証人 この港湾役務というのは、給水であるとか、山九自体がやるような仕事がないのでございます。しかしそうしますと、一つの要求書に対して給水はどこ、岸壁はどこと全部業者をかえなければならぬわけでございます。ところが国の方針が一調達要求書に対して一業者を選ぶということでございますので、仕事の種類が海に関するものでございますので、山九さんであるとか、そうした船の関係会社を選びまして、港湾荷役は最初入札したわけであります。そうして山九というものを選んだ、趣旨はそういうわけであります。
  609. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなたはさつき能力のあるものを選んだ、しかしどんな能力のあるものでも全部持てぬから、船の方だけはやつたと言われるが、今聞けば何もやつていない、山九は一つもやつてない。
  610. 栗本秀顯

    ○栗本証人 能力というのは会社の信用状態、あるいは資力の点、そういうことをも思つたわけであります。
  611. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 山九というのはどういう人がやつて、どれだけの資本の会社ですか。
  612. 栗本秀顯

    ○栗本証人 今調査表を持つておりませんので……。
  613. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 全然知らぬですか。どういう人が山九という会社をこしらえたか知らないのですか。
  614. 栗本秀顯

    ○栗本証人 門司支店は知つております。
  615. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 どういう人々がつくつておる会社ですか。
  616. 栗本秀顯

    ○栗本証人 支店長は田中と申します。
  617. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 元何をしておつた人ですか。
  618. 栗本秀顯

    ○栗本証人 元は存じません。
  619. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 事実山九というのは、俗にいうトンネル会社でしよう。何もやらぬ会社でしよう。あなた方と特別な関係があるがゆえに、そういう元請となつておるものとわれわれの方で調査しておるが、その点はどうですか。
  620. 栗本秀顯

    ○栗本証人 私の方では入札に際しまして、業者を選定しますときには調査をいたしております。そうして調査の結果を調査表に表わして、それによりまして契約部は業者を選定しておるようなわけであります。ですから仕事につきまして、この会社は資格があるかないかということを判定しておるのであります。
  621. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それなら知つておるでしよう、どういう者がやつてつて、どれだけの資本金だということは、あなたは調査してやつておるのだからわかるはずです、今わからぬというのですが……。
  622. 栗本秀顯

    ○栗本証人 今調査表を持つてないので、こまかいことはわからぬと申したのです。
  623. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 どういう人々がやつてつて、どういう点で信用があるのか、大体のことを言つてください。
  624. 内藤隆

    内藤委員長 栗本君に聞きますが、契約部長として、あなたはそれを知らぬということはまことに無責任な話です、調査表が出た上で指名入札をしてきめるのでしよう。その場合にあなたはそれを詳細に検討して、これを見ておるに違いない、それを知らぬと言われる。
  625. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなたはそういうことでそこの証人台におれますか、みなさつきから聞いておるのに、一体答弁は何だ、ほとんど計算しておらぬ、向うから請求書の出るものをただ盲で金を払つてつておる。原価計算したと言うけれども、聞けば原価計算しておらぬ、船一そうこれだけだといえば、三十トンよりないものを五十トンの金を払つておる。そうして山九というトンネル会社に一手に引受けさせてもうけさせておる。そのトンネル会社は、われわれは調べてみぬでもわかつておる、どういうものがやつておるか想像がつく。そういうものからかつて要求書が出る、それをあなたは盲で金を支払う。あなたの仕事つたらさような支払いができますか、どうですか。
  626. 栗本秀顯

    ○栗本証人 ただいまトンネル会社の山九運輸を特に選んで契約をしたように、私の方には聞き取れたのでありますが、この山九運輸が契約の相手方となりましたことについては、これは入札の結果こうなりましたのであります。
  627. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 入札の結果だろうが、その入札資格、選んだ事情をわれわれは聞いておる。それをあなたは言わないから、さつきからその事情を聞いておる。山九というのはどうしてそういう信用があるのか、あるからあなたは入札資格としたんでしよう。
  628. 栗本秀顯

    ○栗本証人 さようでございます。今調査表を持つておりませんので、精細なことはわからないと申し上げておるのでございます。
  629. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それでは四建は、国有財産を無料で預かつておるということを知つておりましたか。
  630. 栗本秀顯

    ○栗本証人 知つております。
  631. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そのことをいつ知りましたか。
  632. 栗本秀顯

    ○栗本証人 支払いにあたりまして知りました。
  633. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 支払いにあたつて知つた。そうすると、四建が国家のものを無料で借り取つて、山九なり桝谷組にどうして貸したものだと思いますか。
  634. 栗本秀顯

    ○栗本証人 借料は無料でございます。しかし修繕費とか、その他の所要の品物代として四建に納めておることになつております。
  635. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなたそこまで言うならもう一つ聞くが、国家の物を個人が無料で借れるものであるかどうか、あなたも官吏だが御承知でありますか。
  636. 栗本秀顯

    ○栗本証人 もちろん無料ということはいけないと思います。
  637. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それならばどうして借りたんですか、そういうことはあり得ることですか。  それからもう一つ、そういうものであるにもかかわらず、あなた方は支払いのときにわかつたら、どうして一時間何千円という金を払うのですか。国家のものを無料で借りて来ておるということがわかつたならば、あなたも官吏じやないですか、わかつたならば黙つて払えるわけはないと思う。
  638. 栗本秀顯

    ○栗本証人 借料は無料でありますが、費用は払つておるわけであります。従つてこちらはその支払つた費用だけは認めたわけであります。
  639. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 一時間八千四百何十円という費用がかかりますか。
  640. 栗本秀顯

    ○栗本証人 ちよつと申し上げます。私どもの払つております金は、起重機の借料ではございません。起重機運営費を払つておるのでございます。
  641. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 もちろんその通り起重機というものの運営費だね。
  642. 栗本秀顯

    ○栗本証人 さようでございます。
  643. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それなら起重機というもので仕事をするんだろう。それじや起重機に払つたんだろう。起重機はただだが、あとの人夫賃とか油賃とかに一時間八千何百円がかかるか。起重機仕事をするから、八千何百円払うんだろう。
  644. 栗本秀顯

    ○栗本証人 起重機自体国有財産で、借料はゼロでありますが、それを運営するためにいろいろな費用がいるわけであります。その費用を払つておるわけであります。
  645. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 もしさうだつたら、起重機を抜きにして、一時間八千何百円という大金がかかりますか。
  646. 栗本秀顯

    ○栗本証人 かかります。
  647. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 人夫賃と諸経費で……。
  648. 栗本秀顯

    ○栗本証人 はあ、曳船もいりますし、かかります。
  649. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 一日何万円……。
  650. 栗本秀顯

    ○栗本証人 そこで原価計算の問題になると思います。
  651. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなたは責任をもつてそういうことが言えますか。起重機使用料を抜きにした費用であるということを、責任をもつて言えますか。
  652. 栗本秀顯

    ○栗本証人 言えます。
  653. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 起重機はただだね。
  654. 栗本秀顯

    ○栗本証人 さようでございます。四建の分はそうでございます。
  655. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 間違いないね。
  656. 栗本秀顯

    ○栗本証人 さようでございます。
  657. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それならばもう一ぺん聞きます。  西日本からもあなたのところで借りておりますね。ほかからも借りておりますね。それなら四建の方は特別に安いのですか、同じですか。
  658. 栗本秀顯

    ○栗本証人 十二月十五日の契約では一本であります。
  659. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 同じですね。
  660. 栗本秀顯

    ○栗本証人 はい。
  661. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると、西日本は起重機をただでやはり提供しておつたのですか。——一体そういうことを言うて通るかね。
  662. 栗本秀顯

    ○栗本証人 たとえば西日本重工業の何でございますが……。
  663. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなた、そういうことをつつぱるならば、われわれには考えがありますよ。起重機はただであるといつて起重機使用料は払わぬということは確かに言えますか。本日聞く要点はそこにある。それをあなたはそう言い切るならば、われわれは考えがある。そうしてほかの方の有料のものと比べて、ただだつたと、そういうことが言い得るのか、とくと考えて返事してください。あなたがそういうことでつつぱるなら……。
  664. 内藤隆

    内藤委員長 委員長からちよつと注意しますが、鍛冶委員の質問の際、これは速記録を調べればわかるが、あなたははつきりと断言しておる。そうしてさらに鍛冶委員からつかれれば答弁ができない。ここは国会ですよ。よくお考えになつて答えられたい。
  665. 栗本秀顯

    ○栗本証人 この單価の問題は、どうか契約部長でなく、担当者を呼んでお聞きを願いたいと思います。
  666. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなたは契約するときに、原価計算しなければ契約できないでしよう。原価計算はもらつたでしよう。そうしてこれで正当だといつて契約をやつたのでしよう。
  667. 栗本秀顯

    ○栗本証人 單価はもらいました。
  668. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そのときには一トン幾ら、一時間幾らときまつておるんでしよう。それを無料だつたと思つた、国家のものだから。これは無料なんだ。だからこれだけの値段になるんだと確かに思いましたか。——答えないならば、前の答えをもつてわれわれは承知するよりほかありませんが、よろしいですか。
  669. 栗本秀顯

    ○栗本証人 この点は技術にも関係いたしますので、なお一応取調べましてからお答えいたします。
  670. 内藤隆

    内藤委員長 技術にも関係すると言うが、鍛冶委員のただいまの要点は、契約部長として、あなたは單価を技術部長から受取つておるんじやないですか。
  671. 栗本秀顯

    ○栗本証人 受取つております。
  672. 内藤隆

    内藤委員長 それが正当なものかどうかという判断を、今ここで下せばいいのです。
  673. 栗本秀顯

    ○栗本証人 八千二百五十円の單価でございますね。契約部長はそれが正当な單価と思つて契約いたしました。
  674. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうじやない。四建の物は国家の物だ。国家の物はただなんだ。だからただでそれを使つていいんだ。ただそれに付属した費用だと言うから私は言つておるんで、間違いないかと私は念のために聞いておるのです。
  675. 栗本秀顯

    ○栗本証人 私はそのように了解をいたしております。
  676. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それではよろしい。まずあなたに申し上げますが、あなたが先ほどから言われるのを聞くと、あなたは何かよその見て来たことを言うておるようです。私は先ほどからも言うように、あなたが自分の商売をしておつたら、そういう支払い方ができますか。こいつは無料で来ておるのだということがわかつたら、あたりまえの賃料を払いますか。まことにこれは嘆わしきことであると申し上げるよりほかにない。これ以上あなたを相手にしたつてしようがない。
  677. 志田義信

    ○志田委員 関連して証人にちよつとお尋ねしたいと思うのです。先ほど証人から不当支払金の返還を命じておるというお話がありましたが、その不当支払金の返還額はどのくらいで、どういう方法で命じておるのか、承りたいと思います。
  678. 栗本秀顯

    ○栗本証人 その額は三十一万七千百六十円八十銭でございます。そうしてこれは最近に発見いたしましたので、私出発にあたりまして、私の方の局長に対しまして、これは誤払いであるから、返納告知書を出しまして、金を回収してもらいたいということを申し残して来たわけであります。
  679. 志田義信

    ○志田委員 その返納に対しましては、期間をくつつけございますか。
  680. 栗本秀顯

    ○栗本証人 私そう申して出て来たわけでございますので、まだそこまで承知いたしません。
  681. 志田義信

    ○志田委員 この三十一万七千百十六円八十銭というものは、不当な支払いの全部の金でしようね。
  682. 栗本秀顯

    ○栗本証人 さようであります。
  683. 志田義信

    ○志田委員 利子はどういたしましたか。その期間は相当な期間だと思うのですが、その期間にこの金が不当に支払われておるのでありますから、国の損害返還させるのは当然だと思います。同時に元本だけでなくて、利子に対して当然支払いを要求しなければならぬものだと思いますが、その点は考慮なさつて支払いを命ぜられておりますか。
  684. 栗本秀顯

    ○栗本証人 よく研究をいたしまして、善処いたしたいと存じます。
  685. 志田義信

    ○志田委員 私は今ここで善処を聞いておるのじやないのでありまして、あなたが部下にそういう命令をして来たときに、そういうことが払込みを命令する中に入つておるかどうかということを聞いておるのです。
  686. 栗本秀顯

    ○栗本証人 まだ返納告知書は、私が出発するまでには出ておらないのであります。そういう方針だけをきめてこつちに出て来たわけでございますので、こまかいことにつきましては、今しかとお答えを申し上げられないのであります。
  687. 志田義信

    ○志田委員 どうもさつきから聞いておりますと、私はあなたは能力ある官吏だと思つて聞いておると、だんだん能力のない人じやないかという気もしまして、もし能力のない人であるならば、あえて尋ねることもないのでありますが、少くともあなたは契約部長という立場にある。しかもその契約にあたつては、あとからなりとも不当な支払金があることを十分知られている。そしてその金額も出ておるのに、利子が考えられないというのは非常にふしぎに思う。
  688. 栗本秀顯

    ○栗本証人 それはもちろん考えるのでございます。利子はいらないと申し上げておるのじやございません。ただそうしたかと言われますので、実は出発までに手続が終つておりませんのでと先ほどのように申し上げたわけであります。
  689. 志田義信

    ○志田委員 そうすると、三十一万七千百十六円八十銭に対する不当支払金の利子は、どのくらいになりますか。
  690. 栗本秀顯

    ○栗本証人 そこまで計算をいたしておりません。
  691. 志田義信

    ○志田委員 日歩どのくらいで利子をつけるつもりでおります。
  692. 栗本秀顯

    ○栗本証人 返納を命じますのは、私の方では契約部長ではなくて、経理部長でございます。
  693. 志田義信

    ○志田委員 経理部長だから、自分の方の所管ではないというのですか。
  694. 栗本秀顯

    ○栗本証人 所管ではないのですが、支出官たる経理部長の方で手続をいたすことになつておるのでございます。
  695. 志田義信

    ○志田委員 支出担当官は経理部長でしようけれども、あなたは三十一万七千百十六円八十銭というものが、不当支払いであるということを認められたのでございますね。そうすれば、支出担当官がその不当支払金を要求することは、所管としてやつてちつともさしつかえないことだと思いますが、あなた自身がそれに対して、この不当支払金の元本及び利子を返させるというようなことは、考えないのですか。
  696. 栗本秀顯

    ○栗本証人 いや、考えております。
  697. 志田義信

    ○志田委員 どういうふうに考えておりますか。ただ考えておるだけではいけないですね。
  698. 栗本秀顯

    ○栗本証人 ですから今回出発にあたりまして、返納手続をしてくれるように、頼んで出て来たわけでございます。
  699. 志田義信

    ○志田委員 先ほどから聞いておりますと、鍛冶委員の質問に対しまして、あなたはどうもわれわれとクレーンの考え方が違うように思うのであります。クレーンに付属する経費だということを言つておるのですが、そういう付属する経費に不当支払金を出しているということになるのですか。
  700. 栗本秀顯

    ○栗本証人 單価の適用を間違えたのでございます。
  701. 志田義信

    ○志田委員 あなたは先ほど以来、船の支払いは原価計算をしているのだ、そうして技術部長が單価をきめるのであつて、自分は單価のことについて知らないのだ、こういうことを言つているが、今になつて単価を間違えたということを容認なされているのは、どういうことなんでしようか、それをひとつ伺いたい。
  702. 栗本秀顯

    ○栗本証人 支払いは西日本重工業に対して適用すべき單価を、桝谷関係の近藤海事に支払つた、それが間違いだというのであります。
  703. 志田義信

    ○志田委員 それでは公称五十トン、能力三十七トンということによつて間違つたという考え方はないのでございますね。払い先が間違つてつたということだけなんでございますね。
  704. 栗本秀顯

    ○栗本証人 さようでございます。それは七月の分でございます。
  705. 志田義信

    ○志田委員 払い先の間違いですね。單価については間違いは全然ないと思つておるのでありますね。
  706. 栗本秀顯

    ○栗本証人 はい、そうでございます。
  707. 志田義信

    ○志田委員 この單価の間違いであつたというのは何ですか。
  708. 栗本秀顯

    ○栗本証人 それは七月分は近藤海事の船を使つたわけでございますが、これは契約上単価が安いのでございます。それを高い方の西日本重工業の方の單価を適用して支払つておりますので、過払いになつたわけでございます。
  709. 志田義信

    ○志田委員 それは單価の間違いなんですか。
  710. 栗本秀顯

    ○栗本証人 單価の適用を間違えたのです。
  711. 志田義信

    ○志田委員 單価の適用を間違えたというのは、單価の間違いでしよう。
  712. 栗本秀顯

    ○栗本証人 それは結局そうです。
  713. 志田義信

    ○志田委員 単価の間違いなんですね。
  714. 栗本秀顯

    ○栗本証人 はい。
  715. 志田義信

    ○志田委員 ではわかりました。
  716. 竹村奈良一

    ○竹村委員 ちよつとお尋ねいたします。あなたは調達局契約部長でありますが、その契約部長として行うところの職務上の権限、それは一体どういうものですか。
  717. 栗本秀顯

    ○栗本証人 契約部長は、軍から仕事を命ぜられましたときに、業者を選定いたしまして、入札なり、あるいは場合によつては随意契約なりによつて業者を決定するわけです。そうして契約をして行く……。
  718. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それでは今おつしやつた権限の通り、たとえば業者を選定する、あるいは請負わせる、あるいはそれに発注する、そういう契約をする権限を持つている。それの仕事をやつておられるそういたしますと、必然的に契約の相手あるいは契約する仕事の内容というものは、軍から命ぜられてからされるとするならば、その請負わす相手、当事者に対するところの調査、こういうものは、あなたがおやりにならぬでも別の機関でやらして、そしてあなたはそれに間違いないという判定をやる。そういうことを考えた上で契約をされるのですか、その点を……。
  719. 栗本秀顯

    ○栗本証人 さようでございます。
  720. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そうしますと、もう一つ聞きたいのですが、先ほどの話では、たとえば進駐軍の方からいろいろの仕事を先にある業者にどんどんやらしている、そうして仕事をしまつてから契約をした、こういうことを言つておられるのですが、そういうことがたびたびあるのですか、あるいはたまにあるのですか。
  721. 栗本秀顯

    ○栗本証人 しよつ中あるわけではございません。しかしときどきございます。
  722. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そういたしますと、先ほどお尋ねいたしましたあなたの権限、たとえば軍から命ぜられたならば、あなたの権限において適当であるかどうかということを調査して——あなたがされるのでなくても、どこかの側でそれを十分調査して、そしてあなたが契約する、こういう権限をあなたは持つておられる。ところが今聞きますと、たびたびあつた、たびたび軍がかつて契約者に仕事をやらしておいて、そしてあなたにまた契約させる。そういうことになると、あなたの権限は有名無実ですね。そういうことになるでしよう。だれかほかのものが、進駐軍が仕事をやらしてしまつて、その仕事をしたあとから、ともかく金を払うんだから、契約者のあなたの権限であなたが調査して、これならば大丈夫という確信はあなたは持つてないのでしよう。この点どうです。
  723. 栗本秀顯

    ○栗本証人 ときには軍が特命する場合がございます、業者に対しまして……。しかしながら私の方でも、業者については調査をいたしているのでございますが、その調査をして、有資格者であるという業者に対しまして軍が特命した場合は、これは有資格者でございますからいいのでございます。しかし私の方で資格がないと判定しているものに対しまして軍が特命いたしました場合、これは軍に対してそれは契約ができないということを申します。
  724. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そういたしますと、現在問題になつておりますこれの契約は、先ほど言われたように、一応軍が命じて山九運輸に朝鮮事変後やらした。それはあとから契約した。それは資格者であるとあなたは断定されてかかつたのですか。
  725. 栗本秀顯

    ○栗本証人 さようでございますね。
  726. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そういたしますと、この資格者であると断定されている。従つてそれにはそれ相当の調査をされている。そういたしますと、先ほどからの各委員の質問にあなたが答えられている答えとは、ちよつと違つて来るんですがね。というのは、あなたは調査はあまり私技術者でないからわからぬとか何とか言つて、たとえばこれは国有財産のやつを無償で借りて、そうしてそれで仕事をして、それでまたあなたの方から金をもらつているというようなことについて、それは無償で借りているかどうか知らなかつたと言つておられるのですが、それは知つておられたんですね。
  727. 栗本秀顯

    ○栗本証人 その点につきましては、なおよく調査いたしましてから申し上げます。(笑声)
  728. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それは調査する問題じやないんです。あなたが調査済みだから、軍が契約者にどんどん仕事をやらせた。やらしたけれども、あなたは今私のお尋ねに対しては、軍がどんどん先に立つて仕事をやつて、そのあとから私に契約せいと言つた。ところがその契約の相手は、私の方は前々から調査して、有資格者であつて、それでいいと思うたから契約したんだ、こう言われたんでしよう。それはあなた考える必要はないでしよう。
  729. 栗本秀顯

    ○栗本証人 そのことならその通りでございます。有資格者といたしておりますので、それと契約したわけでございます。
  730. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それでは三十七トンか五トンのやつを、約五十トンで契約されたということを知つてされたのですか。
  731. 栗本秀顯

    ○栗本証人 支払いをいたしますときはわかりました。
  732. 竹村奈良一

    ○竹村委員 その支払いを、たとえば五十トンのクレーンを使うということで、それの能力に応じて契約された。そして五十トンぶりを払つておられたが、事実は三十七トンしかなかつたとあとでわかつたと言われますけれども、あとでわかるというようなことで、さつき私にお答えになりましたように、軍がかつて仕事をやらしても、それはあらかじめ前々から調査して有資格者と断定したから契約したと言つておられる。少くとも有資格者であつて契約してもさしつかえないものだとあなたは信じておられる。進駐軍がどんどんかつてにやつても、そういうふうに信じておられるのでしよう。その調査は、たとえば有資格者だと国が断定するような優秀な信用あるものであつたなら、おそらく五十トンで約束したものなら五十トンの船を使うはずだ。それを三十七トンの船を使つているということなら、あなたはほんとうに真剣に調査したというならわかつているはずだし、もしそういう不正のことをやるものを、あなたが有資格者と認めたということを言つておられるのだつたら、おかしいですよ。それは調査してないことになる。ぼくはそう思うんですがね。あなた十分調査されましたか。まあそういう契約の問題はいろいろありますが、もう一つは、たとえば進駐軍がかつて仕事をやらした、そうしてこれだけやりましたと言つて来た場合に、やらなくてもそれだけやつて来たと思つて、あなたはだまつて契約しますか。
  733. 栗本秀顯

    ○栗本証人 それはそんなことはございません。
  734. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それではどれだけ仕事をしたということは、どうしてわかるんですか。たとえばこれはもう済んでしまつたことなんですが、済んでしまつたことを、それだけやつたということがわかりますか。どういう形でわかりますか。
  735. 栗本秀顯

    ○栗本証人 それは普通の場合に仕事をいたしますときには、促進監督部がチエツクをいたしているのであります。どれだけの仕事をしているかですね。
  736. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そのときに三十七トンか五十トンかわからなかつたのですか。
  737. 栗本秀顯

    ○栗本証人 それは仕事が済んでしまつておりまして……。
  738. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それだからぼくが言つているように、仕事が済んでいるから、言うて来たときにあなたは金を払えと言つたという……。
  739. 栗本秀顯

    ○栗本証人 この場合はですよ。
  740. 竹村奈良一

    ○竹村委員 この問題ですよ。五十トンの契約で払つたのでしよう。それをあなたは済んでしまつたから払つたと言つたのでしよう。あなたは今仕事が済んでしまつたから、三十七トンであつたが、契約したから五十トンでやつたと思うて金を払つたんでしよう。ところが事実は三十七トンであつた。そのときはわからなかつたとあなたは言つておる。払うときはわからなくて金を払つておるのだから、結局わからぬで払つたのでしよう。わかつてつたのですか、わからぬで払つたのですか。
  741. 栗本秀顯

    ○栗本証人 金を払つたときはわかつてつたのです。
  742. 竹村奈良一

    ○竹村委員 金を払つたときわかつてつたら、なぜ五十トンの金を払つたのです。
  743. 栗本秀顯

    ○栗本証人 これはまた積算の問題になつて来るわけでありますが——三十七トンの原価計算の問題になつて来ますが……。
  744. 竹村奈良一

    ○竹村委員 あなたの主張は、三十七トンであつても五十トンであつても、そんなものは関係ない、同じだ、こういう考え方ですか。
  745. 栗本秀顯

    ○栗本証人 八千二百五十円という單価は、これは相当押えている單価なんです。西重のときは——七月、八月のときは、先ほど申し上げたように、九千三百五十円が單価なんであります。ところが九月からは作業量も多くなつて来ましたので計算をしまして、一番安い單価でもつてほかの起重機も押えたわけであります。
  746. 竹村奈良一

    ○竹村委員 もう長々と質問をするのはいやになつたからやめますが、もう一つかわつたことを聞きたい。あなたは二十四年の七月一日に調達局契約部長に就任をされたわけでありますが、その前はどこで何をやつておられましたか。
  747. 栗本秀顯

    ○栗本証人 京都の契約部長でありました。
  748. 竹村奈良一

    ○竹村委員 その前は。
  749. 栗本秀顯

    ○栗本証人 その前は終戦連絡事務局……。
  750. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そこでは何をやつておられたのですか。
  751. 栗本秀顯

    ○栗本証人 総務課長をやつておりました。
  752. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それでは、たとえば先ほどから申しましたように、進駐軍がどんどん仕事をやらして、あとで契約して金を払えというようなことが京都においてもありましたか、なかつたですか。
  753. 栗本秀顯

    ○栗本証人 それはございました。
  754. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それでは特別調達庁では、全部そうとは言いませんが、たびたびこういうようなことがやられているということは事実ですね。
  755. 栗本秀顯

    ○栗本証人 たびたびとは申されませんが、その例はございます。
  756. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そうすると、あなたの考えからひとつ伺うのですが、先ほど言つたように、仕事をどんどんやらしてしまい、あるいは特定の人間から物をどんどん買つてしまつて、そうして大体これだけ払えというようなことであなたが契約されて、あなたの契約に基いてどんどん金が支出されているということになりますと、実際から考えると、もう特別調達庁の会計というのは、ほんとうにこれは驚くべきというよりも、むしろわれわれ日本人として実に涙のこぼれるほど情ないことですが、これはあなたの権限から考えると間違いではないですか。先ほどいわゆる契約部長というものは、向うから命ぜられたものを自分たちが調査して、その結果契約して行く、これがあなたの與えられた権限でしよう。全然かつてに人がやつてしまつて、かつてに人が買つてしまつたやつを、まあ契約せいと言われて、あなたに権限がなかつたら、私は権限がないということは言えないのですか。まだこれは調達庁の本庁の方へ連絡されないのですか、この点はどうです。
  757. 栗本秀顯

    ○栗本証人 先ほども申し上げましたように、軍が特命いたしました場合でも、有資格者の場合でなければ、これは拒否するわけでございます。
  758. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それはわかつておるのです。あなたはそう言われますけれども、そういうことがずさんであつて、でたらめであるということは、先ほどの議事録を調べたらわかります。それははつきり出ている。それはあなたの権限外なんです。あなたは私の質問に対して、少くとも契約部長として向うから命ぜられて、命ぜられたらそれは有資格者であるかどうかを前から調査しておくし、また契約しても、相手が仕事を忠実にやるということを調査した上であなたは契約をする権限がある、こう言つておるのだが、しかしその調査もでき得ない者に契約せよと言われることは、あなたの権限外です。調査して初めてあなたは契約する権限があるけれども、人がやつたのをあとから追いかけて契約するという権限は與えられていない。その場合に調達庁の方に、こういうように進駐軍は言つて来るが、本庁の方でしかるべくやつてくれという稟申をしたのですか。
  759. 栗本秀顯

    ○栗本証人 この問題でございますか。
  760. 竹村奈良一

    ○竹村委員 この問題でも何でも、この問題以外のときでも、かつてに使つてしまつて、あとから契約せよと言つて来る場合があるのですから、権限外のことをあなたがやられたということは越権なんです。そんなことは命ぜられていない。本庁に対して、こういうことを言つて来るのだが、私の権限外だから、本庁の方で処理してくれということを言うたことがありますか。
  761. 栗本秀顯

    ○栗本証人 そういうクレームが起りました場合は、本庁へ報告をいたします。
  762. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それではあなたに聞きますが、京都、あるいは現在の地位になつたときに、本庁へそういう稟申をしたことは何回くらいありましたか。
  763. 栗本秀顯

    ○栗本証人 覚えておりません。
  764. 竹村奈良一

    ○竹村委員 回数を覚えていなかつたならば、やつたということだけはわかりますね。
  765. 栗本秀顯

    ○栗本証人 口頭もしくは文書をもつてつた記憶はございます。
  766. 竹村奈良一

    ○竹村委員 本庁に稟申をやつた、それに対して本庁から返事が参りましたか。
  767. 栗本秀顯

    ○栗本証人 それは個々の問題について記憶いたしておりませんが、その都度指示を得たわけでございます。
  768. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それは本庁の方で、それをよろしいという指示をされてやられたというふうに考えてよろしいのですか。
  769. 栗本秀顯

    ○栗本証人 本庁の指示に基いてやつたわけです。
  770. 竹村奈良一

    ○竹村委員 その指示をする人はだれですか。
  771. 栗本秀顯

    ○栗本証人 それは業務々々によつて違います。
  772. 竹村奈良一

    ○竹村委員 あなたは契約部長として指示を受けるのですが、そのよろしいという指示をする人は本庁のだれですか。
  773. 栗本秀顯

    ○栗本証人 私がいなければ、業務部長でございます。
  774. 竹村奈良一

    ○竹村委員 もうよろしいです。
  775. 浦口鉄男

    ○浦口委員 一体促進監督部長というのはどういうことをやるのか、ちよつと説明していただきたい。
  776. 栗本秀顯

    ○栗本証人 それは業者契約に基きまして仕事をいたしますときに、現場についてその仕事を促進をさせ、また工事の場合ならば、そのやつている工事が仕様書通り進んでおるかどうかというようなことを監督する、この役目でございます。
  777. 浦口鉄男

    ○浦口委員 福岡特別調達局で、促進監督部長のもとに部員が何人くらいおりますか。
  778. 栗本秀顯

    ○栗本証人 ただいま局に六十名くらいおります。
  779. 浦口鉄男

    ○浦口委員 相当の数がいるように思うのですが、先ほどのお話で、とにかく実トンが三十七トンしかないのに、五十トンのものとして支払つた。もつとも仕事が終つたあとだという御説明があつたわけですが、その後違算があつたということが昨年の暮れ当委員会の調査員が行くまでわからなかつたという事実があるのですが、それほどのたくさんの人がいて、なぜわからなかつたのですか。
  780. 栗本秀顯

    ○栗本証人 福岡のあれは、こういうことを申し上げましては非常に相済まぬと思うのでありますが、非常に事務多忙なんであります。しかしそれは理由にはならないと思うのでございまして、十分なあれをやつていなかつたことは、非常に申訳がないと思つておるのであります。
  781. 浦口鉄男

    ○浦口委員 先ほどは、現場を監督して促進するのが役目だとおつしやつているのですが、半年もたつてわからないということは、われわれ常識としてもどうも考えられないのであります。まあしかしそれはそれとして、次に入札の方法ですが、先ほどから承つておりますと、たとえばこの問題では、港湾のサービスは山九運輸にまかした。この山九運輸にまかせるには、いろいろ資格を調査して、その資格の中から抽籤で決定したということは、港湾サービスの中にいろいろな部門が六通りくらいあるので、一つでやるという会社がないので、それを代表するものとして山九運輸にまかしたということも一応わかるのですが、具体的な一つ一つの問題についての入札というのはやつていないのですか。
  782. 栗本秀顯

    ○栗本証人 この場合やつておりません。
  783. 浦口鉄男

    ○浦口委員 それではほかの場合はどうですか。たとえば家具なら家具を納める場合に、ある会社に、——先ほど話が出ておりましたが、われわれの方でもトンネル会社というふうな感じがするのですが、まあ名前が商事会社なら商事会社でもよろしいですが、その会社に家具を注文した場合に、今のお話を聞いている感じでは、これはもう單価とか品質というようなものは無條件で納めさしているような感じがするのです。ということは、その商事会社なら商事会社の資格を決定するときに、入札あるいは資格を審査したが、具体的な問題については、その価格とか品質を全然考慮していないというふうに考えられるのですが、その点いかがですか。
  784. 栗本秀顯

    ○栗本証人 今家具の例が出ましたが、家具の場合は、家具を製作する業者を調査した書類があるのでございます。その中から適当な業者を選びまして、入札に参加さすわけであります。入札の際は、入札條件でもつて、納期であるとか、いろいろなことを定めて入札するのであります。
  785. 浦口鉄男

    ○浦口委員 それはやはり現場とか現物について、促進監督部員と申しますか、そういう人がいて現実にやるのですか。
  786. 栗本秀顯

    ○栗本証人 さようであります。
  787. 浦口鉄男

    ○浦口委員 そうなりますと、今度のクレーンの問題も、どうしてそういうことをやらなかつたのですか。いろいろクレーンを持つている会社が三つないし四つあるのですが、この場合にどうしてそれをやらなかつたのですか。
  788. 栗本秀顯

    ○栗本証人 お答えします。この場合は、港湾サービスは、先ほども申し上げたように六つの種類にわかれております。しかし、これは入札にいろいろと困難があるのでしにくいわけなんでございます。ところがこれにまた荷役があるのであります。軍から要求された港湾荷役がある。その荷役にはマル公がございますので、それにつきまして入札をいたしまして、その港湾荷役の落札業者と今度の港湾サービスの契約をする、こういうのがこの港湾荷役の入札の際の入札條件になつてつたのです。それで港湾荷役の入札をした結果山九へ落ちたわけであります。従つて、その山九とこの港湾サービスの方を契約した、こういうことになつたわけであります。
  789. 浦口鉄男

    ○浦口委員 先ほど家具の例について御答弁があつたのですが、われわれそういうことから考えられることは、五十トンの船を使うとすれば、現地に行つて実際の能力がどうかというようなことを調べられるのが当然のように考えられるのですが、そういうことをやられないで、しかも支払いのときも無條件で五十トンの能力のものと認めて払つた。今度の行政監察委員会から調査員が行くまでわからなかつたというようなお話を聞くと、どうしてもわれわれとしては納得が行かないので、結局特調と山九運輸会社との間に、そこに何か納得の行かない疑惑をわれわれは非常に感ずる、こういうふうになるのですが、その点はどうですか。
  790. 栗本秀顯

    ○栗本証人 ただいま特調と業者との間に何か疑惑があるとおつしやいましたけれども、私はそういうことは絶対にないと信じております。
  791. 高木松吉

    ○高木(松)委員 われわれは国家のためにこの問題を扱い、また公務員であるあなたも国家のために考えなければならぬ問題だと思うのです。元来この問題をわれわれが国民を代表して疑い出したのは、とにかくこの第五号起重機というものが、現在の価格にすると何億という大きな国家の財物だからです。それを国と国と関係のある福岡財務局から第四港湾建設部無償で貸し渡すことについては、それ相当の手続をすれば問題はないのです。ところがこれが桝谷組に行き、桝谷組はこれを利用して山九の下請をやつて、そうしてあなたのところの仕事をしていた、こういうわけですね。
  792. 栗本秀顯

    ○栗本証人 ええ。
  793. 高木松吉

    ○高木(松)委員 ところがこれは、法理的にも無償では貸し與えることのできないものを民間の者に貸し與えた、こういう事実である。一方あなたの方の特調は、いわゆる国家の金を支払うのに、善良なる注意を怠つているような状態を伺つた。こういうことで調べているのですから、そこで一番重要な問題は、先ほどあなたがお話になつたところの、無償でこれを使つていたということだ。そうしてあなたの方の支払つた金は、その無償のものに付属したいろいろのものの原価計算であつて、いわゆる起重機自体無償であるという断定をあなたは下して証言されているのです。その点はどうなんですか。
  794. 栗本秀顯

    ○栗本証人 あるいは誤解を招いたかとも思いますが、山九が四種から借りましたときば、借料はゼロになつているのですが、この費用としまして三千二百四十円というものを支払つております。
  795. 高木松吉

    ○高木(松)委員 どこからどこへ。
  796. 栗本秀顯

    ○栗本証人 私の方は、契約は山九といたしますが、これは桝谷組が四建の方へ支払つておるのであります。
  797. 高木松吉

    ○高木(松)委員 だれからだれへ支払つているのですか。第四建設部に払つているというのですか。
  798. 栗本秀顯

    ○栗本証人 はあ。
  799. 高木松吉

    ○高木(松)委員 だれから。
  800. 栗本秀顯

    ○栗本証人 山九からですね。
  801. 高木松吉

    ○高木(松)委員 山九から直接ですか。
  802. 栗本秀顯

    ○栗本証人 山九から四建へ三千二百四十円を支払い、そうしてそれに対して、私の方はその金を山九へ支払つているわけであります。
  803. 高木松吉

    ○高木(松)委員 こうじやないのですか。これは事実あなたが一番よく知つているが、第四港湾建設部から桝谷組無償で貸し渡して、桝谷組が山九の下請をするので、いろいろの付属物とが人間とかいうものをつけて持つて来て、あなたの方の仕事をしているとわれわれはとつてつたが、そうではないのですか。
  804. 栗本秀顯

    ○栗本証人 そうではありません。四建の起重機を桝谷が借りて、その起重機で軍の仕事をした。
  805. 高木松吉

    ○高木(松)委員 いや、軍の仕事をしたというよりか、この仕事は山九運輸の仕事でしよう。山九運輸があなたの方から請負つておるのでしよう。
  806. 栗本秀顯

    ○栗本証人 そうです。
  807. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そうするとあなたが、さいぜん鍛冶委員から言つたときに、この何とかいう第五号起重機の全然対価なしに来たものに対して、その他のものの原価計算をして、この計算を出したんだ、こういつたのはどうなんですか。
  808. 栗本秀顯

    ○栗本証人 一緒くたに申し上げたので誤解を招いたと思いますが、起重機の金、これは四建の起重機のことを言いますが、それは三千二百四十円、それから起重機を動かすために……。
  809. 高木松吉

    ○高木(松)委員 いや、今その三千何ぼというのは、時間的に見て一日なのか。
  810. 栗本秀顯

    ○栗本証人 一時間であります。
  811. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そうすると、第四港湾建設部に大金が払われているわけですね、一時間三千何ぼずつのものを払つているというのは。
  812. 栗本秀顯

    ○栗本証人 私の方の計算ではそうなつております。
  813. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それではもう一ぺん聞き直しますけれども、そうすると、あなたが契約するときの原価計算の中には、第五号起重機使用対価として三千幾らというものを入れて、それから人夫だ、油だ、船だ——さいぜんあなたが言われたようないろいろな小さな船、そういうものを入れて総計八千幾らというものを出した。
  814. 栗本秀顯

    ○栗本証人 そうです。
  815. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それなりわれわれ明らかに納得する。さいぜんそういうことを言つていない。その点を委員長から明瞭に念を押して、はつきりさせておきたい。われわれの疑点はそこにある。
  816. 内藤隆

    内藤委員長 もう一度明瞭にしますが、八千何百円というこの一時間の單価の中には、三千幾らという四建に払う起重機の借料が入つておるんですな。
  817. 栗本秀顯

    ○栗本証人 入つております。借料といいますので、ちよつとわかりにくくなるのですが、私の方の調べは、借料はゼロとなつておるのでございます。そのほか今の修繕費代として幾ら、何何が幾ら、これが三千二百四十円となるわけでございます。
  818. 内藤隆

    内藤委員長 それはおかしいですな。
  819. 栗本秀顯

    ○栗本証人 ですからその分は特調から山九を通じて支払つております。
  820. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、四建からのやつに支払うということは、初めからあなたの方でわかつていますね。一時間八千四百八十一円という單価をきめるときに、それはわかつていなくちやならない。
  821. 栗本秀顯

    ○栗本証人 はあ、わかつております。
  822. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると初めからわかつているのですか。
  823. 栗本秀顯

    ○栗本証人 初めからではありません。十二月の第二單価の更改のときにわかつたのであります。
  824. 内藤隆

    内藤委員長 私の方の事務局の資料では、九月の十七日の契約書の内容に、すでに使用料の三千二百四十円というものがここへ出ております。
  825. 栗本秀顯

    ○栗本証人 九月の十七日の契約でございますか。
  826. 内藤隆

    内藤委員長 そう。あなたは十二月の勘定するときにわかつた、こうおつしやるけれども、すでに契約の中に出ておるじやないか。
  827. 栗本秀顯

    ○栗本証人 七月十二日ではございませんか。
  828. 内藤隆

    内藤委員長 いや、九月十七日……。
  829. 栗本秀顯

    ○栗本証人 九月十七日のそういう單価の更改というのはございません。
  830. 内藤隆

    内藤委員長 念のためにあなたに言いますよ。これは四建と山九との契約に出ておるんですよ。そうすると、これはもうわかつていなければならぬわけでしよう。四建と山九の契約に、使用料として一時間につき三千二百四十円というのが明記されておる。
  831. 栗本秀顯

    ○栗本証人 そうです。
  832. 内藤隆

    内藤委員長 そうすれば、もうわかつていなくちやならぬ。
  833. 栗本秀顯

    ○栗本証人 そうです。
  834. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、あなたのさいぜんからの証言というものは、もうまるきり根拠を失つてしまうじやないか。
  835. 栗本秀顯

    ○栗本証人 私は全体の原価計算のことを申上げておつたのです。
  836. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 実際こういう者を相手にしておつてもばかばかしい話だが、私が最初聞いたときに、どこのものであるか、何であるか全然知りませんでした、ただ軍から命令を受けて金を払いました、こう言つたんだぜ、君は。
  837. 栗本秀顯

    ○栗本証人 いいえ……。
  838. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そう言つたんだよ。それでぼくは裏から聞いて、国家のものを四建が預かつておるのだ。——これは速記録を見れば、はつきりそう書いてある。国家のものであるといつ知つたと言つたら、金を払つたときに知つた、こう言つた。そうするとあなたは九月十七日に知つたんですか。
  839. 栗本秀顯

    ○栗本証人 九月十七日には知りません。あとになつてから知つたんです。九月十七日の山九と四建の契約でございましよう。その当時は私の方はわかつていないのです。
  840. 内藤隆

    内藤委員長 しかし原価計算を出すときには、こういう契約があるということがわからなければ出ないでしよう。
  841. 栗本秀顯

    ○栗本証人 前にそういう契約があつたということは、十二月になつてわかつて、原価計算はそれによつてつたわけであります。
  842. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それじやもう一ぺん。あなたも官吏だが、国家のものを四建が預かる以上は、無料で来ておるということは知つておるだろう。こう言つたら、あなたは知つておると言つた。そういう無料のものにお前はどうしてそういう大金を払つたんだ、こう言つたら、そんな対価は払つておりませんと言つた
  843. 栗本秀顯

    ○栗本証人 借料というのでちよつと行き違いがあつたのではないかと思いますが、四建から山九へのあれによると、借料はゼロになつておるわけでございます。そしてその費用が三千二百四十円となつております。
  844. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 四建へ費用を払うのですか。四建へ何の費用が行つたのですか。
  845. 栗本秀顯

    ○栗本証人 今の修繕費であるとかいろいろ載つておるわけなんです。それが三千二百四十円です。
  846. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 一時間……。
  847. 栗本秀顯

    ○栗本証人 一時間です。
  848. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると一日十時間働けば三万何ぼ、約四万だな。そういう大きな費用を四建が出しておるとあなた考えましたか。
  849. 栗本秀顯

    ○栗本証人 四建に対してですか。
  850. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 だつて四建がそういう費用を出しておると言うから払うのだろう。あなたはそんなにたくさんの金を出していると信じておりましたか。
  851. 栗本秀顯

    ○栗本証人 それは信じておりました。
  852. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 信じておる、四建が……。
  853. 栗本秀顯

    ○栗本証人 四建にでありましよう。
  854. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 どういう金かね。
  855. 栗本秀顯

    ○栗本証人 信じなければ、私にはそんな金は払えませんから……。
  856. 内藤隆

    内藤委員長 どういう根拠で……。
  857. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 四建は毎日二万何千という金をどうして払つているか。
  858. 栗本秀顯

    ○栗本証人 山九が四建に払うのです。
  859. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 だつて四建にと言つておるから。そういう金を払つておるとあなたは言つておるでしよう。ただ借料として払つているということなら、われわれは聞かない。修繕費その他の費用がかかつておると言うから聞くんです。
  860. 栗本秀顯

    ○栗本証人 四建にですか。
  861. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 四建が毎日三万何千という大金をどういうふうに支払つておりますか。
  862. 栗本秀顯

    ○栗本証人 毎日ではなく 一時間に割当てるとそうなるというわけです。
  863. 内藤隆

    内藤委員長 今の答弁で、あとで積つたものを一時間に割るとこうなるとあなたはおつしやるのでしよう。けれども契約書はきちつとここへ書いてあるではないか。あとで積つたものではないでしよう。
  864. 栗本秀顯

    ○栗本証人 はあ、そうです。
  865. 内藤隆

    内藤委員長 そうでしよう。そうすると今のあなたの答弁というものは、でたらめじやないか。これは貸借期間というものの中へ、一、貸借期間昭和二十五年九月十八日から昭和二十五年十月七日まで、二、使用料、一時間につき金三千二百四十円となつている。
  866. 栗本秀顯

    ○栗本証人 ちよつと申し上げます。四建の見積り書をここに記録しておるのでございます。昭和二十五年九月十八日から十月七日まで一時使用、これは一日二十四時間就航としまして、貸付使用料ゼロ、定期的修理費分担金二万二千円、運転材料費二万六千七百四十五円、定例用品費七千六百八十六円、乗組員給料五千四百円、超勤手当、夜勤手当を含む一万六千円、計七万七千八百三十一円、これを二十四時間、一時間当りに割りますと、三千二百四十円、こう出ておるわけでございます。
  867. 内藤隆

    内藤委員長 あなたの今おつしやつた三千二百四十円の計算の基礎は、そういうまた別種の何か計算から出ておるのですね。そこから割出したものがこれだとおつしやる。しかし契約の請書の中へ明瞭にこう書いてあるのですから。私の言うのは、そういうものがあるかないかは別だ。そういうものを知つてつたかおらぬかに問題がある。八千幾らという一時間の單価に、三千二百四十円というものが加わつておることを事前に知らなければならない。こういうところなんです。
  868. 栗本秀顯

    ○栗本証人 まことに申訳ありません。これはもちろん知つてつたわけであります。これに曳船とかいろいろ加わつて八千なんぼになつておるのです。
  869. 高木松吉

    ○高木(松)委員 あなたこつちへ来られるとき、出頭するについて技術部長や促進監督部長と問題を検討して来たと言うが、われわれはあなた方の問題の検討の結果を聞きたいのではない。きよう、あるいはあなたはこのときの検討の結果をしやべつてつて、事実と食い違つたことをしやべつておるのではないか。何の検討をしたのです。われわれはありのままの事実を聞きたいのであつて、こう聞かれたらああ言おうとか、ああ聞かれたらこう言おうという、検討の結果を聞いているのではない。その結論をわれわれに聞かされたのでは、われわれとしては迷惑千万だ。そこでこんな検討にとらわれずに、その当時の事実そのままを言えば、あなたがさいぜんからしやべつておるように、結論が二、三になつて現われて来るはずはないと思うのです。人間の記憶は、多少の記憶違いはありますが、あなたのように白と黒とほどの結論の違う結果が生れて来ると、その検討というものを私どもとしては疑わざるを得なくなつて来るのであります。何か検討をして、こうしやべろう、ああしやべろうと、過去の事実と違つたような結論をつくつて来たのではありませんか。
  870. 栗本秀顯

    ○栗本証人 そんなことはございません。
  871. 高木松吉

    ○高木(松)委員 ほんとうですか。
  872. 栗本秀顯

    ○栗本証人 はい。
  873. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それなら今までのあなたの陳述は、まつたく不可解千万です。そういう事実があれば、ははあと常識上納得できるが、その事実なしでは、どうもあなたの供述は不可解千万で納得できません。
  874. 内藤隆

    内藤委員長 委員長から申しますが、大体当委員会に出頭する前に何を一体検討したのか。もしこちらが必要ありとすれば、あなたを呼び得るごとく、技術部長も呼べば、促進監督部長も呼ぶのですから、そういう事前の打合せをするというところに、また一つの大きな疑惑を生じて来る。ことに今高木君の言つたごとく、ここの委員諸君の質問なり私の質問に対するあなたの答弁はしどろもどろ、何だかわけがわからない。そういう答弁を聞いておると、頭が混乱しておるとしか考えられない。もつと悪く言えば、この問題を検討して来たということ自体、あなたは良心を失つておる。だからここにおける陳述は信を置けないと思うが、どうです。
  875. 栗本秀顯

    ○栗本証人 いろいろ誤解を生じたようでございますが、私は促進に関しましては、自分の所管でなく、間違えてはいけないので……。
  876. 内藤隆

    内藤委員長 特に特調には横割りシステイムというものがある。横の関係において、おのおのが責任を持つておるのでしよう。そうすれば技術部長とか、促進監督部長なんかと何も打合せて来る必要はないではないですか。
  877. 小松勇次

    ○小松委員 大分証人も長い間のことでお疲れでしようが、ひとつ冷静に……。港湾サービスの目的をもつて山九運輸とあなたの方は御契約なさつたのですが、一体港湾サービスの内容はどういう仕事なんですか。いろいろあるでしようが、おもな仕事は何ですか。
  878. 栗本秀顯

    ○栗本証人 十トン・クレーン、五十トン・クレーンを運営すること、それから船舶に給水すること、こういうようなことでございます。
  879. 小松勇次

    ○小松委員 そこで今山九運輸とあなたの方と御契約なさるにあたつては、随意契約ではなくして入札によつて契約したというお話であつたのですが、それは間違いありませんか。——そうすると公入札ですか。業者を指名して、その人ちたの入札でやつたのですか。
  880. 栗本秀顯

    ○栗本証人 指名競争入札によつております。
  881. 小松勇次

    ○小松委員 そうすると、その資格はどういう標準を設けられたのでありますか。
  882. 栗本秀顯

    ○栗本証人 それは資金的にも業務的にも、この会社ならばやり得るということが標準になります。
  883. 小松勇次

    ○小松委員 そうすると、山九運輸はあなたの方の港湾のサービスの仕事をざせるのに、それだけの能力を持つておる会社だということを確認されたわけですね。
  884. 栗本秀顯

    ○栗本証人 さようでございます。
  885. 小松勇次

    ○小松委員 どういう点で確認されました。あなたの方の仕事をさせるための器具その他いろいろの業務上の必要な器具等、みんな機械類を持つておるのですか。
  886. 栗本秀顯

    ○栗本証人 この港湾サルヴエージの方は、先ほど申したように六つの種類にわかれておりますが、これは入札がしにくいので、それで荷役の方のサルベージを入札しまして、そうしてその落札業者とこの港湾サルヴエージについては随分契約するということで山九がきまつたわけです。
  887. 小松勇次

    ○小松委員 ちよつとわからなくなつた、これは荷役だけですか、この山九との契約は。
  888. 栗本秀顯

    ○栗本証人 競争入札したのは荷役です。
  889. 小松勇次

    ○小松委員 今問題になつておる山九との契約は、荷役の仕事だけなのですか。
  890. 栗本秀顯

    ○栗本証人 港湾サルヴエージのことですか。
  891. 小松勇次

    ○小松委員 ええ。
  892. 栗本秀顯

    ○栗本証人 お答えします。港湾サルヴエージは十トンの走行移動起重機の運営でございますね。それから五十トンの起重機の運営、それから曳船、それから水先案内、それから岸壁の使用、それから船舶の給水、こう六つにわかれております。
  893. 小松勇次

    ○小松委員 それはもういいんです。この荷役の方の仕事は入札であつたか随意契約であつたか、今一度私は念を押しておきたい。山九との契約だね。
  894. 栗本秀顯

    ○栗本証人 この五十トンの運営でございますか。これは随意契約でございます。
  895. 小松勇次

    ○小松委員 私どもは先ほどのあなたのお話によると、これは入札によつてきめた、こういうぐあいに聞いたのですが。
  896. 栗本秀顯

    ○栗本証人 いえ、違います。
  897. 小松勇次

    ○小松委員 それでは私の聞き違いかもしれませんが、速記録をよく見て……。
  898. 栗本秀顯

    ○栗本証人 この五十トンの荷役の方ではないのであります。荷役の方は荷物何トン積めば幾ら、これが荷役でございます。これは別個にあるのです。
  899. 小松勇次

    ○小松委員 ではこれは、五十トン・クレーンを使用する目的仕事契約ですね。
  900. 栗本秀顯

    ○栗本証人 さようでございます。これは運営の仕事でございます。
  901. 小松勇次

    ○小松委員 そうするとこの山九会社は、資金においても、業務上の実績においても、その資格あるものと認めてあなたの方で随意契約をされた。そうするとこの五十トン・クレーンを使用する仕事について五十トン・クレーンを持つていないという会社がその資格がありますか。
  902. 栗本秀顯

    ○栗本証人 いや、それはそう申しますと、給水の場合は市役所が給水するわけであります。いろいろの仕事がございまして、元請としてこれをまとめる必要がございますので、山九にしたわけでございます。
  903. 小松勇次

    ○小松委員 では山九が一切のことをまとめるのでありますか。
  904. 栗本秀顯

    ○栗本証人 さようでございます。
  905. 小松勇次

    ○小松委員 給水から何から全部やるのですか。
  906. 栗本秀顯

    ○栗本証人 さようでございます。この六つの仕事は山九との契約に入つておるわけでございます。
  907. 小松勇次

    ○小松委員 しかしながら山九との仕事には、五十トン・クレーンを必要とする仕事があるのでしよう。
  908. 栗本秀顯

    ○栗本証人 それはございます。
  909. 小松勇次

    ○小松委員 その必要とする仕事を随意契約するのに、機械器具を持つていない会社と、これがりつぱな資格があるといつて契約ができるのですか。
  910. 栗本秀顯

    ○栗本証人 しかし……。
  911. 小松勇次

    ○小松委員 あなたの方では、およそ五十トン・クレーンというのは数ないでしよう。
  912. 栗本秀顯

    ○栗本証人 はい。
  913. 小松勇次

    ○小松委員 私どもの調べによると、三つしかないと思う。それはあなたの方でも、これだけの仕事をさせるには、どういう会社がこういう機械を持つておるかということをお調べになつて、そうしてその資格をきめると思う。これを持つているのは西日本重工とそれから四建、日本サルヴエージ、この三つくらい。——二つでしたが、五十トンのは数ないですね。
  914. 栗本秀顯

    ○栗本証人 はい。
  915. 小松勇次

    ○小松委員 あなたの方じやこれはあると認めて契約したのですか。
  916. 栗本秀顯

    ○栗本証人 必ずしもそうでございません。
  917. 小松勇次

    ○小松委員 ではどこから借りて来て使つてもいいんだからといつてつたのですか。
  918. 栗本秀顯

    ○栗本証人 さようでございます。
  919. 小松勇次

    ○小松委員 そうすると入札のときには、五十トン・クレーンで一時間幾らという單価を先にきめるのですか。入札のときにそういうことはしないのですか。
  920. 栗本秀顯

    ○栗本証人 これは随意契約でございますから、相手方の協議の上できめるのでございます。
  921. 小松勇次

    ○小松委員 ではこれは入札ではなくして、随意契約であつたということなのですね。
  922. 栗本秀顯

    ○栗本証人 そうでございます。
  923. 田渕光一

    ○田渕委員 大分時間も長くなりましたので、お疲れだろうと思いますが、簡單にお聞きいたします。どうも私の合点の行かぬのは、契約部長であります。経理部長とか、あるいは横のシステムの促進、技術、管財、こういうような部長さんに聞くならこれはわからぬかもしれませんが、少くとも契約を担当するところの契約部長が、その荷役をさすところの起重機の船籍、あるいはこれは何年何月につくられたところの船であつて、どのくらいの機械装備を持つておるか、これを動かすところの船長はだれであるか、機関番号は何号であるか、あるいは所有者はだれであるか、こういうのはわれわれが、一台の自動車を買うについても調べて来るのであります。こういうようなことを、私が常識から考えて、少くとも契約部長ともあろう者がそれを調べなかつたということは、何かわれわれは解せないのであります。これをお調べになりましたか、どうですか。
  924. 栗本秀顯

    ○栗本証人 これは事後において取調べたのであります。
  925. 田渕光一

    ○田渕委員 契約をするのに事後で調べるということでは——ものを契約する上においては、契約するときにすでに調べなければならぬのであります。それをお調べになりましたか、どうですか。
  926. 栗本秀顯

    ○栗本証人 これは仕事をしておるときにはわからなかつたわけですが、その後に至つて支払い問題が出ましたときに、これが初めてわかつたわけでございます。それは、料金を調べまして、これを積算をして、單価を更改して支払つたわけであります。
  927. 田渕光一

    ○田渕委員 私たちの聞かんとするのは、別にあなたの犯罪行為でも何でもありませんけれども、いかに特調が乱れておるか、その乱れておる原因がどこにあるかということを見出す、全国の特別調達庁でこういうようなことをしておつたならば、実際のところわれわれとして黙視できません。ところが契約部長としてあとから調べてわかつた。私がかりに九州の特別調達局の契約部長となつてつたならば、一件書類が出て来れば、一体この船はだれが持つておるのだ、確かに契約しても、これをやるだけの能力があるかないかということを部下に聞きます。ところがそれをあなたが御自分でなさらぬでも、契約部の都下の担当官にこれをおただしになりましたか、いかがでございますか。
  928. 栗本秀顯

    ○栗本証人 これは書類によつて私は承認をいたしております。
  929. 田渕光一

    ○田渕委員 その書類には、この第五号起重機国有財産であるということが、はつきり書類に現われて来ておりましよう。
  930. 栗本秀顯

    ○栗本証人 四建のものと思つております。
  931. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 四建のものと思つてつたのか、国家のものと思つてつたのか、どつちだね。
  932. 栗本秀顯

    ○栗本証人 四建のものと思つていたのです。
  933. 田渕光一

    ○田渕委員 これはますます奇々怪々であります。そこで四建は運輸省の管轄でありまするが、少くとも運輸省というものは陸運海運、これに向つて船籍、その他自動車の車籍までやかましいところなのです。この書類を出すについて、この船のそもそも造船所はどこであるか、製作所はどこであるか、何年何月にできたものであるかという、船の経歴というものがついて来なければならぬと私は思う。これは御存じないのですか。
  934. 栗本秀顯

    ○栗本証人 存じません。
  935. 田渕光一

    ○田渕委員 どうも知らぬ存ぜぬで、この国会の行政監察委員会を、一福岡の契約部長あたりにごまかされて通されたのじや、国民は何と思いましようか。私はあなたが無能力者か白痴ならいざ知らず、少くとも福岡の特別調達局の契約部長というような、部長会議に出る人だ。あなたばかりじやない。私が聞きたいのは、契約あるいは管財、その他の部長会議においてこれを吟味されるときに、あなたはただ黙つてつて盲判を押した、こういうようなところにあるのじやないですか、どうですか。率直にいつて、実際は知らぬが、担当官が持つて来た、これを局の会議に付した、各部長もこれでよかろう、まあ君これでいいじやないかというような式で盲判を押されたのか、あるいは忙しくてしようがないので、知らず知らずに判を押してしまつたというのか、それはどうです。われわれはこんなことでは納得できませんよ。
  936. 栗本秀顯

    ○栗本証人 これはもう一年有余を過しておりますので、そのときの状況を私実はしかとは覚えておらないのであります。責任上もちろんこれに目を通しまして、判を押したものと思います。
  937. 内藤隆

    内藤委員長 ちよつとこの際委員諸君にお諮りしますが、どうでしよう、いくら聞いても、知らぬ、記憶がない、そういうことでこのままのらりくらりやつておるより、もう少しこの証人に対して、どういう態度をとるかを一ぺん検討したらどうでしよう。
  938. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 ちよつと一言。今あなたは容赦のならぬことを言つているのだが、今あなた四建の所有物だと思つてつたと言つたね。先ほど私が、これは国家のものを四建が預かつてつたということをいつ知つたと言つたら、金を払うとき知つたと言つたが、どうだね。ところが今国有財産であるということを知つてつたろうと言つたら、知つてましたと言つたろう。
  939. 栗本秀顯

    ○栗本証人 四建のもの、すなわち国有財産考えておつたわけです。
  940. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 国有財産無償で四建が預かつておるということも知つてると言つたろう。
  941. 栗本秀顯

    ○栗本証人 無償と申しますのは、先ほど申しました借料がゼロになつているので……。
  942. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 国家のものだからだろう、国家のものだから無償ということを知つてつたというのでしよう。
  943. 栗本秀顯

    ○栗本証人 借料がゼロということになつておりますから、申し上げたのです。
  944. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それなら四建のものだというのはどういうわけだ。でたらめを言つてはいかぬ。
  945. 小松勇次

    ○小松委員 委員長
  946. 内藤隆

    内藤委員長 小松さん、どうでしよう、もう少し冷静にさして、それから……。
  947. 小松勇次

    ○小松委員 それでは簡單に聞きます。あなたの方ではこういう契約をなさいまして、その仕事監督をすることがありますか。
  948. 栗本秀顯

    ○栗本証人 一般的な問題でございますか。
  949. 小松勇次

    ○小松委員 今のような、港湾サービスの山九あたりにまかした仕事を、監督することがありますか。
  950. 栗本秀顯

    ○栗本証人 契約をしまして仕事をする場合は、促進監督部で監督しているわけです。
  951. 小松勇次

    ○小松委員 監督しておれば、監督者は、これは五十トン・クレーンを使つているか、二十五トン・クレーンだかということはわかるはずだと思う。そういう報告は受けておりませんか。
  952. 栗本秀顯

    ○栗本証人 それは五十トンとして契約部は受取つたわけでございます。
  953. 小松勇次

    ○小松委員 契約は五十トン・クレーンとしての契約であるかもしれないが、実際に二十五トンを使つているという場合に、監督しておればそれは明らかだと思う。そういうことはなかつたですか。
  954. 栗本秀顯

    ○栗本証人 それは促進監督部の問題で、私はちよつと……。
  955. 小松勇次

    ○小松委員 促進監督部の問題でありましようけれども、あなたの方にそういう話はなかつたですか、今までそういうことはなかつたですか。促進監督部でもそういう問題は出なかつたか。部が違うから、全然そういうことは門外漢でわからないのですか。これは重要な問題ですよ。監督しておつて、それを知らないで見のがすということは、もつてのほかだ。そうすると、あなたの方では、今度金を払うのはどこが払うのですか。
  956. 栗本秀顯

    ○栗本証人 経理部です。
  957. 小松勇次

    ○小松委員 あなたの方の手を経ないで、直接経理部が払うのですか。
  958. 栗本秀顯

    ○栗本証人 促進監督部の方へ、軍の承認を得たインヴオイスが来る、それによつて経理部が支払うのです。
  959. 小松勇次

    ○小松委員 あなたの方には、その書類はまわつて来ないのですか。
  960. 栗本秀顯

    ○栗本証人 インヴオイスはまわつて来ております。
  961. 小松勇次

    ○小松委員 そうなると、これはどうも監督してもしなくても同じようだ。今のような話を伺うと、ただ書類が出て来れば、それでいくらでも払うということですね。そういう機構になつているのですか。
  962. 栗本秀顯

    ○栗本証人 それは促進監督部でチエツクしているはずでございます。それを促進監督部で承認して、まわして来たときはですね。
  963. 小松勇次

    ○小松委員 もうむちやくちやにやつているわけですね、そうすると、あなたの方でこういう仕事をなさるのに、第四港湾建設部とか、こういう方面の人たちと常に連絡をとつてつているのですか。
  964. 栗本秀顯

    ○栗本証人 これはあとで知つたわけでございますから。
  965. 小松勇次

    ○小松委員 連絡していることはあとで知つた……。
  966. 栗本秀顯

    ○栗本証人 いいえ、この仕事がなされたことをあとで知つたわけでございます。
  967. 小松勇次

    ○小松委員 この仕事がなされた。こういう仕事をあなたの方で請負に出すのでしよう。そうしてその仕事を進めて行く上においては、こういう四建あたりと常に連絡をとつて、そうして仕事がうまく行くようにやつているのですか。
  968. 栗本秀顯

    ○栗本証人 一般的にはもちろんそうでございます。
  969. 小松勇次

    ○小松委員 常にやつているのですか。
  970. 栗本秀顯

    ○栗本証人 それはもちろんそうです。現場監督がちやんとついて見ているわけでございます。
  971. 小松勇次

    ○小松委員 それなら、現場監督と常に連絡をとつて行けば、五十トン・クレーンだか、二十五トン・クレーンだか、わからないはずはない。それがわからないというのはどういうわけです。いよいよもつて不可解です。これは重大問題です。
  972. 内藤隆

    内藤委員長 お諮りいたします。栗本証人証言はますますしどろもどろをきわめて参りますので、もう大分時間もかかりましたが、この栗本証人証言に対する検討あるいは再喚問の要否等につきましては、理事会において協議の上決定することといたしまして、栗本証人に対する尋問は、本日は一応この程度において中止いたしたいと思いますが、いかがですか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  973. 内藤隆

    内藤委員長 それではさよう決定いたします。証人には御苦労さまでした。  次会は明三十日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時四十九分散会