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丸山委員 いろいろ巧妙なる御答弁を承りました。しかし、私が
考えておることは、結局今までの御答弁を総合いたしましても、
健康保険あるいはその他一定の経済のわくを持
つておるものには、これを
許可する場合においては、何らかのりくつをつけて相当考慮しなければならぬ必要があるということはこれは私はよくわかる。しかしその間に、私が先ほど来申し上げておるような具体的な困難が起
つています、こういう事態が始終起り、その事例が多く
なつて来ますと、
医者も
健康保険医たることをいやがり、被
保険者は健康保險の被
保険者たることをいやがるようになります。そういう事態が多く
なつて来ますと これは
健康保険の普及徹底あるいは発達ということに対して阻害になる。私はそれを心配する。今実際問題として
医者がどういうふうに取扱
つているか、私はせんだ
つて二、三まわ
つてみたのでありますが、結局、
医者が全部ただでこれをや
つてやることは、経済上の
負担に自分でも耐えられぬから、処方箋のような紙に書いたものを持
つて行
つて薬店からそれを買わせまして、そのびんのレツテルに、これはだれだれ用という名前を書いて薬局に並べておいて、
患者が
自費で買
つて来たものを調剤してや
つている。つまり調剤手数料その他のものは無料で、本人がか
つてに薬店から買
つて来たものでやる。これが実情なんです。実情を申し上げますと、こういうことで糊塗しているのですが、こうい巨とがこれからもどんどん起る。医学というものはどんどん進歩しおりますから、これはこの問題だけではない。今後またどんなものが出て来るかわからない。そのときに、一々こういう事例が起
つて来ますと、常に
健康保険の医療は一歩一立ち遅れた医療になる。すでに今の日進月歩の医療から、実は一歩ずつ遅れている。それはどういうわけか。一々りくつはおつけになるけれ
ども、経済的の理由があるということはいなめない。また経済的理由を無視してそういうことを許すべきでないことはわかる。しかしそういうことの
処理は、ただ表面のりくつを糊塗することだけで納まるものではない。実際の国民の感情、
医者の感情というものも
考えて、その間に無理のない人情味のある
処理というものがとられて行きませんと、
健康保険制度そのものに疑義が持たれて来るという危険がある。だから、私はそういうことに関して今具体的な御答弁を求めることは無理だということも
承知して言
つていることなんです。ですから、
健康保険の給付には、一歩ずつ立ち遅れる面は始終ある。それはいろいろの理由がある。経済的の理由も一つはある、そのほかの理由もありましよう。しかし、これに対する
処理の
方法は、ある部分はやはり自由診療、
保険外の診療というものも一応承認する形で参りませんと、これは
健康保険そのものの進歩発達を阻害します。私はさように信じております。私はそれだけ申し上げておきたい。
これは水かけ論になりますから、それ以上のことを申してもしかたがないのですが、これは私の信條なんです。
健康保険制度を愛し、これを発達、普及させたいと思うのです。それには今のやり方では少し無理がある。そういうやり方であまりに官僚的なデスク・プランではならない。人の感情を無視したものであ
つてはいかぬと思います。これだけを申しておきます。
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