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1952-06-17 第13回国会 衆議院 厚生委員会 第41号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十七年六月十七日(火曜日) 午後二時四十一分
開議
出席委員
委員長
大石
武一君
理事
青柳 一郎君
理事
丸山 直友君
理事
亘 四郎君
理事
金子與重郎
君 新井 京太君 高橋 等君
寺島隆太郎
君 中川
俊思君
堀川 恭平君 松井 豊吉君 松永
佛骨
君 岡 良一君 堤 ツルヨ君
苅田アサノ
君 福田 昌子君
出席政府委員
厚 生 技 官 (
公衆衛生局
長) 山口 正義君
委員外
の
出席者
参議院議員
中山
壽彦君
参議院法制局参
事 (第一部第一課 長)
中原
武夫君 專 門 員 川井
章知
君 專 門 員
引地亮太郎
君 專 門 員 山本 正世君 ――
―――――――――――
六月十六日
委員根本龍太郎
君辞任につき、その補欠として
首藤新八
君が議長の指名で
委員
に選任された。 ――
―――――――――――
六月十四日
栄養改善法制定
に関する
請願
(
門脇勝太郎
君紹 介)(第三七一八号)
社会保障制度強化
に関する
請願
(
安部俊吾
君紹 介)(第三七四六号)
大学病院
の
看護婦増員
に関する
請願
(
片岡伊
三 郎君
紹介
)(第三七四七号)
母子福祉法制定
の
請願
(
長野長廣
君
紹介
)(第 三七七〇号) 北山田村に
上水道敷設
の
請願
(
金光義邦
君紹 介)(第三七七六号) の
審査
を本
委員会
に付託された。 同日
結核対策
に関する
陳情書
(第二四〇七 号)
災害救助法並び
に同
法施行令改正
に関する
陳情
書 (第二四〇八号) を本
委員会
に送付された。 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した事件
栄養改善法案
(
参議院提出
、
参法
第一一号) ――
―――――――――――
大石武一
1
○
大石委員長
これより
会議
を開きます。
栄養改善法案
を議題とし、
審査
を進めます。まず
中原参議院法制局
第一部第一課長より、本案の
逐條説明
を聴取いたします。
中原
君。
中原武夫
2
○
中原参議院法制局参事
條文
を追いまして、
栄養改善法案
の
内容
を御説明申し上げます。 先般
提案理由
で述べられました通り、この
法案
は、大体大きくわけまして、
四つ
のことを規定しております。その
一つ
は、
国民栄養調査
の
実施
に関する
條項
、第二は、
栄養審議会
の
設置
に関する
條項
、第三には、
栄養相談所
と
栄養指導員
の
設置
に関する
條項
、第四には、
集団給食施設
における
栄養管理
と
特殊栄養食品
の品質の
確保等
に関する
措置
であります。この
四つ
の
條項
を
内容
に持ちますこの
法案
の
目的
が、第
一條
に掲げてあります。すなわち第
一條
は、
国民
の
栄養改善思想
を高めることを
前提
といたしまして、
国民
の
栄養状態
を明らかにすること、それに基いて
国民
の
栄養改善
について、国の方途あるいは地方自治体においてとるべき
措置
を規定することを掲げております。 その大きな
考え方
といたしましては、
国民
の
栄養状態
に非常に
欠陷
があるという
原因
は、必ずしも
国民
が
食糧
をとり足りないということではなくて、合理的な
食事
のとり方を知らないということに大半の
理由
があるのであります。ただいまお手元に差上げてあります
栄養補給食品
の
一覧表
をごらんになりますと、わかりますように、現在の
栄養欠陷
を補う
食品
といたしましては、非常に安価なものが多数ころがつているのであります。これらを合理的に調理すること、これらの取捨選択を科学的に行うことによ
つて目的
が達せられる。 しからば、どういう
栄養欠陷
が
国民
の間に存しておるかということを、まず第一につかみ、それを
国民
に周知させることが必要であります。このことは
栄養改善
に関する
思想
を高める大きな
前提
であります。そのために、
国民栄養調査
を国の
費用
において
実施
するということにいたしております。この
国民栄養調査
は、新たにこの
法案
によりまして新設されるものではありません。これは、
司令部
の
指示
に基きまして、
昭和
二十一年から毎年四回、今日まで合計二十四回やつて来ておるのであります。当時は、
司令部
の
指示
がありましたので、これに対する
国民
の
協力
の
気持
というものもわいて参りました。ところが、そういう
指示
がなくなりますと、一応法的な根拠を與えておきませんと、この
国民栄養調査
は、国勢
調査
と違いまして、
特定
の選択された
人たち
が被
調査者
になるわけでありまして、全部が一律に
協力義務
を負うのではなくて、選ばれた
特定
の者が
義務
を負うことになるわけであります。その
協力義務
を一応果してもらわなければ、完全な結果が得られないような
国民栄養調査
を
実施
するためには、今後は法的な裏づけがいるということで、この
法案
の中に取入れたのであります。一部の者が
協力義務
を負うことになりますので、その
選定方法
につきまして、
選定者
の作為的な意思が入りますと、惡用されるおそれがありますので、この
法案
で、その
選定
は
統計法
にいう
無作為抽出法
、すなわち選び出すについて作為的なものを加えない
方法
によるということを明らかにしておるのであります。
国民栄養調査
の
費用
は、全部国庫が負担をいたしまして、現実の執行は
都道府県知事
がやる。その
調査事務
に実際に従事する職員としまして、
国民栄養調査員
を
都道府県
に置くことにしてございます。 六條におきまして、この
国民栄養調査
の結果でき上りました
調査票
は、
栄養改善
その他直接
国民
の
福祉
の向上をはかる
目的
にしか使わない。これが税金を課する
資料
にされたり、供米を促進するための
資料
にされることはないということを、約束しておるわけであります。
国民栄養調査
の結果によりまして、
国民
の
栄養状態
が明らかになるわけでありますが、今日まで二十四回の
調査
をした結果が、いかに
栄養改善行政
の上に反映して行つたかと申しますと、残念ながら、必ずしも十分な
成果
をあげておらないのであります。それはどこに
原因
があつたのか、探究してみますると、
栄養改善
の問題は、單に局部的な技術的な
指導
だけでは、十分にできないのであります。それは根本的には、
国民食糧
の
生産計画
にも反映をさせる必要がある。また
生活
の様式、
生活
の
あり方全般
に対する科学的な合理的な
改善
が
前提
として必要である、また経済との
関連
も考慮しなければならないというように、非常に多
方面
に
関連
を有するのであります。これを実際に
実施
いたします場合にも、
関係行政機関
としましては、農林省も
関係
を持ちますし、教育の
方面
における文部省も
関連
を持ちますし、特殊な
方面
としましては、刑務所を担当しております法務府も
関係
して来るというように、受ける
国民大衆
の面から見ますと、
生活全般
に
関連
を持つものであるし、
施策
を行う
行政機関
の面から見ましても、方々に
関連
を有している。そういうようなことを、
施策
の面において
効果
をあげて行くためには、総合的な
協力態勢
というものが必要なのであります。これが欠けておるために、厚生省なりその末端である
保健所
だけが
やつき
になりましても、十全の
効果
をあげることができないのであります。その欠陥を補う最善の
方法
は、内閣に
一つ
の
栄養改善行政
をつかさどる
直属機関
を置くことでございますが、今日ただちにそれを
実施
することが困難でありますので、一応
関係各省
が
協力態勢
をつくるための橋渡しをする
審議会
を置いたのであります。この
審議会
は、現在、
栄養士
の
試験
だけをつかさどつております
栄養士試験審査会
というものがございますが、この組織を
栄養審議会
に振りかえまして、
試験
をやるだけでなく、
栄養改善
についての
施策全般
を討議し、
意見具申
をするという機構にかえたのであります。これが十三條以下にございます
栄養審議会
でございます。今の
国民栄養調査
の
実施
と
栄養審議会
の
設置
による
関係行政機関
の
総合態勢
、この
二つ
が国が
栄養改善
の
行政
に対してとるべき
措置
でございます。
栄養改善
の
行政
は、
国民大衆
の
生活
と結びついて、初めてその
成果
があがるわけであります。ここで
国民生活
と結びつく場合に、
二つ
の
考え方
の上に立ちまして、その
一つ
は、
国民
の
日常生活
における食の
生活——
それは究極においては、自由にまかさるべき事柄であります。
従つて
、いかなる
食事
をとれ、いかなる食べ方をせよということを、直接
法律
で規正することはできません。ただ、非常にこういつた
欠陷
があるから、
改善
の必要があるという認識を持つた
国民
が、しからば
自分たち
の食
生活
を
改善
して、
栄養改善
の実をあげるためには、どうすればいいのかという積極的な
気持
を持つたときに、いつでも
相談
に行ける場所をつくる。それからそういつた具体的な
指導
をする職責を
特定
の者に與えるという
二つ
の
方法
を置いたのであります。その
一つ
は、
保健所
の
附属機関
といたしまして、
栄養相談所
を
設置
して、懇切に
栄養相談
に応ずる。それから一方におきましては、
栄養改善行政
のケース・ワーカーとしては、
栄養指導員
を置いて、これに
栄養指導
についての
実施
上の責任を持たせるということにいたしたのでございます。 それか、いま
一つ
の
考え方
は、
他人
に対して
食事
を供給することを業としている者、また
他人
に対して、これは
栄養補給
ができる
食品
であると
言つて
、販売を業としている者、これらの者につきましては、先ほど申し上げました自由にまかさるべき本質のものとは、多少異なる性質を持つておるのではないか。
従つて
これらに対しては、
法律
をもつてある程度の直接的な
義務
づけ、あるいは規制を加えるということにいたしたのであります。その
一つ
は、
集団給食施設
においては、医師が
管理
するか、
栄養士
が
管理
をするかしておらないその他のものについては、定期的に
栄養指導員
の
指導
を受けることによ
つて栄養効果
の十分な
給食
をするという
義務
づけをしたのでございます。 それから
特殊栄養食品
、すなわち
栄養補給
ができる旨の
標示
、あるいは
乳兒用
、
幼児用
、
病人用等
の特別の用途を
標示
する
食品
、そういつた
食品
につきまして
標示
する場合には、
厚生大臣
の
許可
を受ける。
標示
についての
許可
がありますことは、裏から申しますと、この
食品
は大丈夫だという
厚生大臣
の推薦があつたのだという
制度
をとりまして、
特殊栄養食品
という
標示
があるものについては、
標示
と
内容
とが一致するような
措置
をとつだのでございます。もつとも、
特殊栄養食品
の
標示
の
許可制
は、新たにつくつたものではなくて、従来
食品衛生法
の中にこの
制度
がございまして、これは
食品衛生
の立場から取締りがなされておりましたが、その実績を見ますと、ほとんど大部分は栄養的な見地から行わるべきものでございますので、この
栄養改善法案
の中に移したのであります。 以上申し上げました
四つ
の事項を
内容
にいたしまして、そのほかにこの
法案
が完全に
実施
されるための監督的な若干の規定を置いております。 この
法案
は、公布の日から
施行
をいたしますが、ただ
栄養審議会
に関する
條項
だけは、十二月一日から
施行
することにいたしております。と申しますのは、
栄養士
の
試験
がやがて行われることになつておりますので、現在
栄養士試験審査会
の
委員
が任命され、その
委員
が問題の
作成等
に当つております。この
事務
が終了いたしますのが、大体十一月一ぱいでございますので、その期間は
委員
の任命がえ等の煩瑣な手続を省くために、
施行
を十二月一日に延ばしたのでございます。 以上がこの
法案
の
内容
でございます。
大石武一
3
○
大石委員長
本日は本
会議開会
中でありまして、重要な
法案
がありますので、これにて散会いたします。明後十九日、午前十時より開会いたします。 午後二時五十九分散会