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1952-06-02 第13回国会 衆議院 厚生委員会 第36号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十七年六月二日(月曜日) 午前十時五十九分
開議
出席委員
委員長
大石 武一君
理事
青柳
一郎君
理事
丸山
直友君
理事
金子與重郎
君 新井 京太君 高橋 等君 堀川 恭平君 松永
佛骨
君
松谷天光光
君 堤 ツルヨ君
苅田アサノ
君 福田 昌子君 寺崎 覺君
委員外
の
出席者
参 考 人 (
日本赤十字本
社理事
)
松井
義重
君 参 考 人 (元
日本赤十字
本社外事顧問
)
蜷川
新君 参 考 人 (元
日本赤十字
本部職員組合
長)
瀬尾
正吉
君 專 門 員 川井
章知
君 專 門 員
引地亮太郎
君 專 門 員 山本 正世君
—————————————
五月三十一日
委員岡良一
君辞任につき、その補欠として三宅 正一君が議長の指名で
委員
に選任された。
—————————————
六月二日
医師国家試験予備試験
の
受験資格
の
特例
に関す る
法律等
の一部を改正する
法律案
(
丸山直友
君 外一名
提出
、
衆法
第六三号) 五月三十一日
栄養改善法制定
に関する
請願
(
星島二郎
君紹 介)(第三二七一号) 同(
多田勇
君外一名
紹介
)(第三三二二号) 同(
松尾トシ子
君外一名
紹介
)(第三三二三 号) 同(
山口シヅエ
君外一名
紹介
)(第三三二四 号) 同(
戸叶里子
君外一名
紹介
)(第三三二五号) 同(
岡良一
君外一名
紹介
)(第三三二六号)
母子福祉法制定
の
請願
(
越智茂
君
紹介
)(第三 三〇六号) の審査を本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した
事件
医師国家試験予備試験
の
受験資格
の
特例
に関す る
法律等
の一部を改正する
法律案
(
丸山直友
君 外一名
提出
、
衆法
第六三号)
日本赤十字社
に関する件
—————————————
青柳一郎
1
○
青柳委員長代理
これより
会議
を開きます。 都合によりまして
委員長
が不在でございますので、私が
委員長
の職を勤めます。 本日は
日本赤十字社
に関する件について、元
日本赤十字本社外事部顧問蜷川新
君、元
日本赤十字本部職員組合長
、元全
日赤職員組合
副
組合長瀬尾正吉
君及び
日本赤十字本社理事松井義重
君の三君に
参考人
として御
出席
を願
つて
おります。 本件につきましては、御存じの
よう
に、現在当
委員会
におきまして
日本赤十字社法
の
立案
をや
つて
おるのでございますが、その間におきまして、
従前日本赤十字社
に関しまして各種の問題が起つた。この問題につきまして
はつ
きりさせておくことが、この
立案
に必要であるという観点から、三君に
参考人
として御足労を願
つて
おる次第でございます。 それでは元
日本赤十字本社外事部顧問蜷川新
君より、ただいま申し上げましだ
よう
な点につきまして、御
意見
をお聞きしたいと存じます。
蜷川新
2
○
蜷川参考人
私
蜷川
であります。問題は
赤十字社
のことでございますから、きわめて
中立
的、公平に、少しも感情的でないことを申し上げなければならないと思います。その意味で私も申し上げます。 ただいま私の見ておりますところでは、
日本赤十字社
の
幹部
が、
定款
に反することをや
つて
おり、
従つて国際法
に
違反
していることをや
つて
おられると、かたく信じます。それにつきまして、私は
専門家
ですから、
自分
としてはむろん間違いなしと信じておるところを申し上げます。
日本赤十字社
の
定款
第四條には、
ジユネーヴ條
約の
原則
を掲げてございますが、同時に一九一九年にできました
赤十字社連盟
、すなわちリーグ・オブ・レッド・クロス・ソサイエテイーズというもの、その
原則
を尊重することが、特に
定款
に述べてあります。これが
国際法
上の
見地
から最も大切なところであります。それに
違反
しておるという点を私はこれから順次申し上げてみます。
赤十字社連盟
というものにつきましては、私
自身
がそれに初めから
関係者
であり、その
提案者
でありまして
十分責任
も持
つて
おります。私以外に、現在ヨーロッパにいた者はないものですから、
従つて
、
日本赤十字社
の
幹部
もまつたく知らぬ、
役人
も知らない、
国民一般
も知らないし、
学者
も知らないのです。決して私は
自己
のために何も言うのでないことは、あらかじめ冒頭に申し上げました
よう
な次第です。そして
赤十字社連盟
の
原則
と申しますのは、一々読み上げるにも及ぶまいと思いますが、
りつぱな定款
ができておるのです。その要点につきまして特に申し上げると、
赤十字社連盟
は、
政府
、
政治
、種族、
宗教
から超越したるものとすということにな
つて
おります。すなわち純
中立
でありまして
政府
に
関係
がなしに、
政治
にも
関係
なしに、人種にも
関係
なし、
宗教
にも
関係
なし、こういうことでできております。この
原則
を守らなくては、
日本
の
赤十字社
というものは何をや
つて
おるのだかわからないことになる。 そこで、まず第一に、私
ども日本人
の面前に浮んでおる大きな問題は、
朝鮮
の
事変——
これは
国際的事変
であります。さつき申しました
よう
に、
りつぱな災害
であります。これに関して、
日本赤十字社
も手を下された。それは
けつ
こうであります。しかしながら、両軍相闘
つて
おるところに
——
その両軍は、一方は御
承知
のごとく
共産軍
であります。しかしながら、
共産軍
は
世界
から認められないのじや断じてない。
世界
の九億の
人間
はむろん認めておる。決して
不法
なものじやない。ただ
日本
だけ、
アメリカ
だけ、これを
ばか
にきら
つて
おるのですが、これは理由のないはずである。いわんや
赤十字
としては、その
朝鮮
の動乱に
南北軍
があるときには、両方に向
つて救援
をなす、これは
けつ
こうであります。ところが、
日本赤十字社
は南だけや
つて
おる。これは御
承知
でございまし
よう
、
ラジオ
でうるさいほど宣伝しておられた。他方に向
つて
は、何にもしておられない。
救援
を申し込んで断られたという事実もないのです。南の一方のみに
日本人
の生血を与える。これで何で
中立
になりまし
よう
か、
へんぱもへんば
、ひどいへんぱです。
アメリカ
はこれを望みます。それは
アメリカ
のか
つて
です。
政府
はこれをやらせます。それは
政府
は
政治
ですから、おか
つて
です。
赤十字社
に
至つて
は、断じてそういうことは許せない、
中立
でなくてはならない。これは私やかましく
島津
君に
意見
を申してや
つたの
ですけれ
ども
、取入れないのです。私としては、親切の限りを盡したつもりです。私はこういう問題について、特に
研究者
であるところから、こういうことについて、特に長く
意見
を書いてあげたのですけれ
ども
、け
つて
しまつた。
責任
は彼にあります。これが
一つ
。 次には、
外国
から帰
つて
来ない例の
捕虜抑留者
の問題であります。
俘虜
に関する
救血
というものは、
赤十字
でもやるのです。
救血
とは、その人の精神的、身体的に慰めを与えるだけのことです。
日本
の
赤十字
の
定款
にも、第九條に書いてあります。しかしながら、
俘虜
何十万
——
たとい一人にせよ、
俘虜送還
ということは
政治
問題である。国の問題である、外交問題です。
赤十字
が
関係
すべきものでは断じてない。
ひとり赤十字国際委員会
、すなわち
フランス
語にいうコミテ・アンテルナシヨナル・ドウ・ラ・クロア・ルージユ、これは一九一九年以来、特に
俘虜
の問題について
権限
を有しております。
世界
が認めております。けれ
ども
、
国際赤十字社連盟
は、これには
関係
ない。各国の
赤十字
も、かかる
政治
問題には
関係
すべきものではないのです。
さき
に申し上げました
定款
第四條、
赤十字社連盟
の
原則
に従うというのは、そのことであります。しかるに、
日本
の
赤十字社
はそれを骨折
つて
おるのです。遠くモナコまで
社長
は出かけております。き
よう
の
新聞
を見ると、またここでそういうことを
伊藤
副
社長
がやると書いてあります。
ほんとう
か
うそ
か知りませんが、しかしながら
捕虜
というものは、
国そのもの
の問題であ
つて
、これは
国際法
上きま
つて
おりますし、
ジユネーヴ條
約にもありますけれ
ども
、へ
ーグ條
約に特に明記してありまして、
捕虜そのもの
は軍の
仕事
でもない、
国そのもの
の
仕事
なんであります。送還するのは
重大事業
である。これをやるのですからして、
赤十字
は越権です。
定款違反
です、
国際法違反
です。これについても、
ちよ
つとつけ加えて申し上げますが、
俘虜送還
ということは、
ジュネーヴ條
約にありますし、
俘虜條
約というものも別にありますが、平和が回復したときに返すということにな
つて
おる。今度の
ポツダム宣言
におきましても、返すということは断じて書いてないのです。ただ時期が来たならば、生産上の業務につかすことを許すとはある。ですから、
日本
がこれをやたらに要求した
つて
、私
ども専門家
には、それは
不法
の要求であります。しかし、こういうことを言うと、皆の評判が悪くなりますから、
政治家
は言えないでし
よう
。たとい言おうと
思つて
も、そう言うだけの
法律
上の根拠を知らない
よう
です。ですから、
赤十字
のごときは、
国際法
が許さない。
ポツダム宣言
が許さない。それに口を出すなんて、そんなことはよけいなことです。よけいのみならず、害を及ぼす。
定款違反
です。 次に、
原則
として必要なことは、健康の
増進
、
疾病
の
予防
及び苦痛の軽減という、この三つである。健康の
増進
ということを、今日の
赤十字社
はあまりや
つて
いない、ほとんどや
つて
いないとい
つて
いい。
病院
というものはあります。
全国
に二百もありますけれ
ども
、それは
病院
の
治療
です。
健康増進
ではなくて、
治療
である。本来
病院
を建てたる趣意は、
平時治療
の
目的
ではないのです。あれはアンリ・デユナンが始めましたときから、一朝事あるときに、
看護婦
をつくること、材料を準備すること、そのためにふだんからやらせてある
準備行為
にすぎない。戦争の
準備行為
です。ただ、
日本
の
赤十字
は、今日は非常にふやしておりますけれ
ども
、初めは
一つ
しかない。
列国
だ
つて
、
赤十字病院
というものはそうつく
つて
おりません。ことに
フランス
、
イタリア
その他は
——アメリカ
は相当ありますけれ
ども
——
今どういうことを健康の
増進
及び
疾病
の
予防
について重んじているかというと、一九一九年に私
ども
がこの
連盟
をつくつた際に、
列国
へと強く唱えたことは、
少年赤十字
というものをつくりまして、
少年
の頭に平和をさとらしめる。
少年
をしていかに健康を
増進
するか、いかにして
疾病
を
予防
するかを十分に覚えしめる、これが
少年赤十字
をつくるゆえんである。しかるに、この
少年赤十字
を
日本
につくることについて、最初私が
全国
をまわりましたが、初めは非常に熱心でありました、
平山
の
社長時代
には
——
近来はまつたくや
つて
はしない。これは
アメリカ
のやつが品を出したということを聞いております。しかし、
アメリカ
はよけいな世話です、そんなことを言う
権利
は彼にない。
アドヴアイザー
ですから、アドヴアイズした
つて
、こつちは聞く必要はない。何も
学者
でも何でもない。
赤十字
というものは純
中立
でありまして、戰場においても、何人もそれをすることを許さない。
日本
が降参した
つて
、それは軍隊の降参であ
つて
、
赤十字
に彼らが口を出す
権利
は断じてない。マッカーサーはよく知
つて
るはずでし
よう
、軍人ですから。それで、
アドヴアイザー
を入れておりますけれ
ども
、そいつらは
少年赤十字
を今中止するという
よう
なことを
言つた
ということを聞いております。そんなことを聞くのは間違
つて
おる。それじや
赤十字
の
人間
じやない。
少年赤十字
を怠
つて
いるということは、これは確かに
赤十字
の
目的
に反し、
さき
に申し上げました
定款
第四條に反してをる。 その次には、
博物館
です。わが
赤十字社
において、御
承知
と存じますけれ
ども
、小さいながら
博物館
ができております。これは
平山
さんが主としてつくりましたが、むろん私
ども
は
関係
しております。何
ゆえ博物館
というものをつくつたか。それは広く
人民
をして、健康の
増進
、
疾病予防
に関して知識を与えしめるために、どうして
人間
は暮して行くか、何を食うべきか、いかにして
努むべ
きか、そういうことを実際に教えるために、
博物館
をつく
つたの
です。同時に、あそこに図書館もできておりまして、図書によ
つて
みんなの頭を養おうというのが
目的
であります。学校の生徒なんかも、そのためにあそこへ行かせる
よう
にしてある。この
博物館
は、今の
社長
、副
社長
はどうしておるか。その一部をいい加減に
取扱つて
、そこに
外国
の
会社
を入れています。
赤十字
をして
商売
をやらせています。そこに何らかの
関係
があるでし
よう
。それは秘密だから、
ちよ
つとわからぬです。しかし想像できます。とにかく
赤十字社
の構え内に
外国
の
会社
を入れて
商売
をさせておる。そんなことは許すべきことではないでし
よう
。断じて
定款
に書いてないです。あろうはずがない。これをや
つて
います。 その次は、去る五月一日の
メーデー
です。
メーデー
は、国に反逆するためじやない。知れ切つたことです。
列国
どこにもある。私
ども
古くから十分見ております。たまたまここに衝突が起つた。朝から晩までけんかしていた。私
ども
は
ラジオ
で
知つたの
です。そんなら
赤十字社
も知
つて
いなくてはならぬ。内乱に近い
よう
な大騒ぎ、何十万の
人間
が集ま
つて
おる。巡査とそれと闘
つて
おる。血を流しておる。死んだ者がある。こういう
事件
には、
赤十字
は救助しなければならぬはずです。救助とは、ただ天災とか地変とかいうだけのものじやない。もしそれだけに限られるなら、
赤十字
は、なぜ
北鮮
において手を出していますか。同じことです。こういうものがあつたときに、生命をなげう
つて
も人類を救うのが、
赤十字
の
任務
です。しかるに、何もや
つて
いませんよ。その
あと
からも何もや
つて
いません。それで、なんで
赤十字
の
任務
が済みまし
よう
か、
定款違反
です。これほどの
違反
がある。 まだ小さいことを申せばありますけれ
ども
、まずそれだけ大きなことが目の前にあるときに、それを私は親切丁寧に、昔から知
つて
いますから、
島津
君に注意してあげるのですけれ
ども
、決して取上げない。そうして何も
定款違反
なんかないといつた
よう
な、傲慢な手紙を私によこす。それだからこんなことにな
つて
しまう。私は何らの悪意もない。彼が
惡い
。
責任
は彼にある。そんなものを
社長
に置いて、
人民
から金をしぼる。一年に五億も六億もと
つて
おる。断じていかぬことです。千三百万余の
社員
がある。これはみな
ばか
を見ています。
社員
千三百万に一家五人をかければ六千五百万人、一国をなしております英国よりも、
イタリア
よりも、
フランス
よりも多い人口です。こんな大きな
社団
、このものは、
臨時総会
を開く
方法
がないがために、黙
つて
おるよりし
よう
がない。彼らは、若干のお取巻きの
理事
、
評議員
をこしらえて、それで何でも議決して行くのです。不都合きわまる。それではいけません。これは何ら個人の憎怨から申すのではありません。これでは社会の
福祉
に反します、公共の秩序に反します。私はその点で申し上げるのです。 その以外に最もいけないことが
一つ
ありますけれ
ども
、これは
国際法
じやなくして、ただ單に
定款
の上から言うことですが、
一つ
だけ申し上げて終ります。それは、今の
伊藤
さんは、
自分
の
任期
が一昨年六月にりつぱに切れているのです。それを
選挙
をやらせれば、当時なかなか
職員
の
批判
多うございまして、おそらく
先生
は落ちたでし
よう
。それですから、それをごまかすために引延ばしているのです。これは
権限
なくして地位にいるのです。
詐欺
です。そういうことをや
つて
おられる。それを
島津
は平気で見ている。共犯です。この行いは二年た
つて
も三年た
つて
も、時効にかかるべきものではないのです。これはどこまでも追究さるべきものです。それも実に
ばか
ばか
しい
詭弁
を彼は弄している。
選挙
と
決定
ということは違うと言うのです。それは
定款
にそういう
二つ
の字が書いてある。けれ
ども
、
民主主義政治
にな
つたの
ですし、民法による
社団
でありますから、
総会
において
選挙
するのはさまつた話で、何も
詭弁
の
はさみよう
もなし、
定款
の
解釈
に
二つ
出
よう
はずはないのです。
総会
において
決定
するとは
選挙
することです。
選挙
することは、きめることだ。みなの声において、みなの投票において、それでよろしいということを
決定
するのが
選挙
。その
選挙
という
文字
と
決定とい文字
は違うから、おれは
決定
で出て来ているのだ、
従つて
おれの
任期
はまだ切れていないというのは、当時彼の言うことで、それがまたついこの間
自治体関係
の
新聞
によ
つて
、やはり麗々と出ていました。そんな
詭弁
を弄して、
自分
の
利益
をはかる、すなわち人を欺いて
自己
の
利益
をはかるということは、
刊法
の二百四十六條に該当する
詐欺行為
です。これは
法律学者
として、私は少しも間違いない
解釈
だと思います。 その以外に、
ちよ
こ
ちよ
こありますけれ
ども
、これは私
自身
は見ていないのでして、これは
職員
の
組合長
をしていた
瀬尾
君がよく知
つて
いる。
瀬尾
君は正直な人ですから、私も尊敬しておるのですが、その問題については、
瀬尾
君がお述べになるかと存じます。私の申し上げるのは、ただいまの
よう
に
国際法
上の
見地
から論ずることと、
刊法
上から論ずること、この
二つ
だけでございます。 これでごめんをこうむります。
青柳一郎
3
○
青柳委員長代理
それでは次に
瀬尾参考人
の御陳述を願います。
瀬尾正吉
4
○
瀬尾参考人
私、
瀬尾
でございます。 ただいま
蜷川先生
がお述べになりました
よう
に、
定款
を無視しまして、
日本赤十字社
は
昭和
二十二年の一月から
定款
を改正しまして、
民主
を唱えながら、
赤十字
の美名に隠れて、今の
理事者
であるところの
島津社長
、
伊藤
副
社長
は、
自分
の
私利私欲
を追
つて
いるのであります。口に
民主
を唱えて専制を行い、多額の金を
募金
して、その金を
宴会
、娯楽、あるいは
私利私欲
のために使
つて
いるのであります。これは、私が
昭和
二十年の八月から二十六年の九月まで
日本赤十字社
の
本部職員
として、
現実
にこの目で見、この耳で聞いて来た実際のことであります。そうしてこのことをわれわれとしては看過できないのであります。それで当時私は、
赤十字社
の
職員組合長
、並びに全
日赤職員組合
の副
組合長
をや
つて
おりましたので、その事実を
組合
の
機関紙
によりまして
全国
の
職員
にお知らせしたのであります。ところが、
全国
の
職員
はどうですか。これに対しまして、
赤十字社
の
ほんとう
のことを知られてしまうと、われわれは
募金
することができない。
募金
が入らなければ、われわれは食
つて
行けないのだ。
本部
の
組合
の
事務局
で、こういう
新聞
を出されちや困る。こういう
よう
な声が、
全国
から投書によ
つて
私のところへ来たのであります。それで、
職員
の方の自覚を促すとともに、私はさらに
日本赤十字社
の
理事
、
評議員
の方に、この事実を再三にわたり文書をつく
つて
配付したのであります。ところが六十五人の
評議員
、十二人の
理事
、監事の中で、私にこれに対して返事をくれたのは、たつた一人の
評議員
しかありません。その
書類
は、私は持
つて
おります。それは一応は
理事会
、
評議会
で、この問題は問題にな
つたの
でありますが、
本社
の
社長
、副
社長
は、両回ともこの
評議員
、
理事
を欺彌しまして、そうしてあくまでこの
不法
を通そうとしているのであります。 その
社長
、副
社長
の
不法
というものは、どういうものであるかといいますれば、先ほど
蜷川先生
が申し上げました
よう
に、まず
伊藤
副
社長
は、
自分
の
任期
が切れたのにもかかわらず、これを強行したのであります。どうして強行したかというと、当時の
評議員
の中には、
中村評議員
と、ここにおいでになります
松井評議員
、この二人が
評議会
の双璧として、そうして
日本赤十字社
の
ほんとう
の
事務
をやるために、タイアツプしてや
つて
来たのであります。ところが、不幸にして
中村評議員
は、
昭和
二十四年の五月一日かと思いますが、なくなりました。それで
自分
の頭の上のおもしがなく
なつ
たために、こういう横暴をきわめているのであります。
定款
にも、
はつ
きりと副
社長
は二名と書いてあります。ところが一名しか置きません。
自分
が一人でや
つて
おります。そして副
社長
の
仕事
が煩雑で忙しいというために、また規定を改正しまして、
常任理事
というものを置くことにしました。それほど副
社長
の
責任
が重く忙しいなれば、なぜ副
社長
を二名置かないのでし
よう
か。どうして
常任理事
を置くのでし
よう
か。いわゆる
常任理事
は、
自分
の情実でも
つて
腹心を持
つて
来てすえて、そして彼は独裁をや
つて
来ているのであります。これが
現実
の
赤十字社
の状況であります。私は何も感情にとらわれたりして、人を
批判
するものではありません。そうして
職員時代
よりずつと、
昭和
二十二年以来、
日本赤十字社
の
民主化
のために、あらゆる
方法
をも
つて
闘
つて
来たのでありますが、遂に実現できなか
つたの
であります。 それで先ほ
ども
申し上げました
よう
に、
職員
の方、または
評議員
、
理事
、それに話しても取上げられない。やむを得ない、これは
日本赤十字社
の
総会
において、
ほんとう
の
赤十字
の内容をお話しまして、
社員
の皆様に聞いていただいて、
日赤
の
民主化
をはかりたい。こう考えまして、昨年の九月二十六日の
総会
に
出席
したのであります。ところがどうでし
よう
、
日本赤十字社
においては
——
これは
赤十字
でやつたかどうかわかりませんけれ
ども
、
愛宕署
の警察を動員しまして、私を検束する。何たる
不法
でありまし
よう
。こういう手を打
つて
、そうして昨年の
総会
は、
自分
らに有利にや
つて
しまつたの
であります。そのために、私は昨年の
総会
で議決されたことは無効であるという問題で、裁判所に民事の訴えを起したのであります。これがたまたま各
新聞紙上
に伝えられたので、いろいろと問題を起しているわけであります。かくしてこの
総会
においての発言は封じられ、あるいはいろいろな問題で警察官を使
つて
弾圧して来るので、どうにもできない。幸い
新聞
で取上げていただき、また本日この
委員会
で述べさしていただく。これは私は
ほんとう
に感謝しております。それでありますから、
ほんとう
に私はここで、ただ私が
意見
を述べるだけでなく、
本社
の
理事者
を連れて来て、ここで対決したいと思います。
はつ
きりと対決をして、ここで白黒をつけたい。そうして
赤十字
の行き方というものについて、
皆さん
に
批判
をしていただきたい、こう思うのであります。それがここで対決できないというのは、残念でありますけれ
ども
、これはやむを得ないと思います。 それでは、
赤十字
はどういうことをしているか、その具体的な例を申し上げますと、
赤十字
は、御
承知
の
よう
に、本年度は五億四千万円
募金
をする目標で進んでいるのでありまして、昨年は四億五千万円
ばか
りできています。その前は約三億八千万円であります。それで、その
募金
の使途は、
昭和
二十三年度は八件費が四六%であります。それから
本社
への送
納金
が二〇%、
募金費
が一五%、そのほかが
赤十字
の
事業費
であります。それから二十四年度におきましては、
人件費
が五三%、
本社
への送
納金
が一六%、
募金費
が一五%、その残額が
赤十字
の
費用
であります。しからば、実際に
あと
に
残つた費用
で
赤十字事業
を推進しているのでありまし
よう
か。その金の中から
宴会
、会食あるいは麻雀、こういうところに使
つて
いるのであります。これは私はちやんと記録を持
つて
いますので、一切
うそ
は申し上げません。
ほんとう
は
皆さん
の方にも
募金
の
書類
をお上げできたら納得行くと思いますが、ここの資料にもありますが、みなここに一々書いてあるのは、何が何十万円、何が何十万円とありまして、
人件費
が
一つ
もありませんでし
よう
。これがごまかしの
予算
なのであります。カムフラージした
予算
であります。これが
赤十字
であります。そういうふうにして、それでもあきたらないで、
赤十字社
においては、コーヒーの問題、あるいは砂糖の問題、また
監督官庁
であります
厚生省
の
役人
を篭絡しまして、幸い
伊藤
副
社長
は
厚生次官
の出でありますので、そうしてや
つて
おるのであります。その事実も、何月何日に何万円、
厚生省
のだれに送つたということは、みんな私書いて持
つて
おります。あるいは
伊東温泉
の
東光園
に年に三回も招待しております。これも
収支伝票
で
赤十字
の
主計課
でや
つて
おります。こういう
よう
にして、
募金
されたものは、全部
本社
の
首脳部
、
幹部
がみな私腹を肥やしておる。また
厚生省
とも、そういうことをや
つて
おる。最もひどか
つたの
は、
昭和
二十五年九月十三日でありますが、午前二時に、
厚生省
の
役人
が八人自動車で
本社
の宿直室へ来まして、宿直者をたたき起して、酒、ビールを持ち込んで麻雀をや
つて
おる。この麻雀の
費用
は私は全部と
つて
あります。
昭和
二十四年四月から七月まで、六万円麻雀の
費用
を出しております。 こういう
よう
な
赤十字
を、われわれとしては看過することはできない。ぜひ
皆さん
において、
ほんとう
に
赤十字
の内情を知
つて
いただきまして、
赤十字
の
民主化
をはか
つて
いただきたい。そうして真に国民の
赤十字
として、われわれが
ほんとう
に安心して
募金
を出し、その
募金
されたものが、またわれわれに還元されまして、苦痛の軽減、健康の
増進
に役立たせる
よう
な
赤十字
にしたいと思います。 なお具体的ないろいろこまかいことがありますが、あまり長くなると思いますから、このくらいで私は陳述を終りたいと思います。
青柳一郎
5
○
青柳委員長代理
それでは、次に
松井
参考人
の御陳述をお願いいたします。
松井義重
6
○
松井
参考人
私は
赤十字
理事
の
松井
でございます。
蜷川先生
なり
瀬尾
さんのおつしやること
——
元来
蜷川先生
は、
赤十字
というものについて、国際的に非常に明るい方でおありになり、また
日本赤十字
というものを愛され、また
瀬尾
君も、
赤十字
という点については、眞劍な純情な人で、すべてや
つて
おられるので、私はその間の氣持はよくわかります。 〔
青柳委員長代理
退席、
委員長
着席〕 つきましては、
蜷川先生
は、特に
伊藤
副
社長
が就任する前の原泰一氏、赤木朝治氏時代に、非常にこれではいけないということで、これをもう少し浄化するために、やめさせたらどうかという
よう
なことを、
職員
組合
あたりにお話にな
つて
、それが原因になりましたかどうか知りませんが、去られた。その
あと
へ
伊藤
謹二氏が入
つて
みえたという
よう
なことにな
つて
いる
よう
なわけです。それから、今のお話を伺
つて
おると、われわれの立場といたしまして、非常によくない立場でや
つて
おるという
よう
なお話でございますが、
理事会
は毎月一回必ず開きまして、われわれとしまして、その
赤十字
の盲点について研究もし、各支部の全面的なものが寄
つて
参りますので、そういう点について、忌憚なく
職員
並びに
責任
者に進言をしてや
つて
来ております。今伺いますと、私も聞かない
よう
なこともお話にな
つて
おりました
よう
ですが、こういう事柄が、一般国民、また皆様の上に、誤解であるか事実であるかということにつきまして、もし事実であれば、これはもうたちどころに処理しなければならぬ。また誤解であるとすれば、これを誤解ない
よう
に
はつ
きりして、そうして、国際的に
日本赤十字
としてりつぱな行き方をしなければならぬと、私は
理事
として考えております。
大石武一
7
○大石
委員長
この問題に関しまして、
委員
より発言を求められております。これを許可いたします。高橋等君。
高橋等
8
○高橋(等)
委員
私は
瀬尾参考人
に、お伺いをいたしたいのであります。本日配付の
書類
の中に、
瀬尾
正吉
さんから
島津
赤十字社
社長
あてに、陳謝書というものが出て曲るものが入
つて
おります。これは
昭和
二十六年十月二十日付であります。内容は読まなくてもわか
つて
いると思いますが、
参考人
の方に聞いていただくために朗読いたしますと、 陳謝書 客年九月休職以来地労委に提訴致し、あるいは文書の配布等により紛糾して今日に至りましたが今般
松井
理事
の斡旋により円満解決の運びとなりました。 ついては共の間私の誤解あるいは感情問題等により
本社
に対して御迷惑を御掛け致しました事は誠に遺憾に存じます。 依て茲に陳謝書を
提出
して御詫び申上げます。
昭和
二十六年十月二十日 右
瀬尾
正吉
日本赤十字社
社長
島津
忠承殿 それからもう
一つ
——
これはあて名がわからないのですが、これはどこへ出されたかということを伺
つて
みたいと思います。 謹啓 秋冷の候愈々御健祥の程御喜び申します。陳者私儀客年九月以来再度に亘り
日本赤十字
の事に関して文書を配布致しましたが当該文書は私の誤解あるいは感情問題に基くものであつたことが、此の度反省されましたので取消し致します。 右取消しの挨拶を申します。 敬具
昭和
二十六年十一月一日
瀬尾
正吉
そこで、
瀬尾参考人
にお伺いいたしたいのですが、
あと
で朗読いたしました
書類
というか手紙の
よう
なものですが、これはどこへお出しにな
つたの
でし
よう
か、それをまず伺
つて
おきたいと思います。
瀬尾正吉
9
○
瀬尾参考人
それは
全国
の
評議員
、
理事
、監事であります。
高橋等
10
○高橋(等)
委員
そうすると、十一月一日付の書簡は、
赤十字
関係
の
幹部
の方にお出しに
なつ
たと拝承してよろしゆうございますか。
瀬尾正吉
11
○
瀬尾参考人
はい。
高橋等
12
○高橋(等)
委員
そこでこの陳謝書及びこの手紙をお出しに
なつ
たというのは、事実お出しに
なつ
たものと確認いたしますが、この陳謝書も、あなたがこういうことをなさつたということを確認されますか、どうですか。
瀬尾正吉
13
○
瀬尾参考人
確認します。
高橋等
14
○高橋(等)
委員
そこでお伺いをいたしたいのですが、この文書の配付等により粉砕して今日に至るというのはいかなる文書をお配りになりましたか、その文書の内容等を詳細に承りたいと思います。
瀬尾正吉
15
○
瀬尾参考人
その問題につきましてはだだ一片の陳謝書だけでは納得行きませんので、その点を申し上げて、それから内容を申し上げたいと思います。 私は
昭和
二十五年の参議院
選挙
の際に、
選挙
運動をいたしました。そのために就業規則によりまして、
昭和
二十五年の九月七日に無給休職を仰せつか
つたの
であります。それで私としましては、この問題は、私が
組合
運動をやつおつたために就業規則を適用したのであるから、公平に就業規則というものを全
職員
に適用されたい、こう申入れまして、事実を申し上げたのであります。それは当時の
日本赤十字社
の報道課長古田博之氏が、
新聞
紙の横流し、あるいは架空な原稿料をつく
つて
着服した、その問題を
本社
側に申し入れまして、こういうことをしたにもかかわらず、私にだけ就業規則を適用するというのは、あまりに不公平じやないかというわけで、
本社
に申入れをしたのであります。
本社
では、
主計課
長の小林陽治氏がそれを調査しましたところ、間違いない、こういう話で、古田君も退職させるから、君もこの休職に納得してもらいたい、こういう話でありました。それで古田君が退職になるべきものを、いつまでた
つて
も退職をしないので、私はやむを得ず地労委に提訴したのであります。それで地労委でいろいろやりまして、地労委のあつせんによりまして、それで地労委の方では、いつまでや
つて
もらちが明かないから、君も毎日の生活に困るだろうから、この話を円満に解決したらどうかというので、地労委が中に入
つて
提訴した問題を取下げ、辞表を
提出
して円満に退職する、こういうふうな話でありましたので、私は地労委に一切を委任しました。ところが
本社
は、その提訴したのを取下げさせてしま
つて
、そして円満なる退職はやらないのであります。こういう
よう
な卑屈なことをや
つて
おるのであります。そして昨年の九月に、ここにおいでになります
松井
さんといろいろ話をいたしましたところ、
松井
さんは、何もここでは言うな、君も困
つて
おるのじやないか、その通りであります。私は二箇年間一銭の収入もありませんと言うと、私の目の前に退職金をぶら下げておきまして、どうだ、君も一札書きなさい、書いたならば退職金をやるよと言われる。私は退職金も何もいりません、辞職もしません、あぐまで鬪いますと
言つた
のです。それで地労委の審査係長の大野主事を連れて
本社
と対決したのであります。ところが
本社
では、その問題についてまつたく後藤
常任理事
と塚原政繁主幹は、顔も上らなか
つたの
であります。これは大野主事を証人に出しても
はつ
きりします。そしてその退職金を目の前にぶら下げてこれを書け、書けば退職金を出してやろう、書かぬか書くかと言うのです。そこでここにおいでになる
松井
理事
さんも、何も言わずに、一切は
あと
で
はつ
きりするから、ここで書いて退職金だけもらつたらどうかと、こう言われたので、私は書いたのであ
つて
、
不法
にもその間に
松井
さんを入れて、私を退職金でつ
つたの
がこの問題であります。 なお配付した問題について申し上げます。この配付した問題は、
伊藤
副
社長
の
不法
な留任、それから社宅購入の
不法
、それから
本社
の物資の買入れの
不法
、会計規則の
違反
、
本社
社長
、副
社長
の脱税問題、それから後藤総務部長の居残りの問題、コーヒーの問題、砂糖の問題、情実人事の問題、機構改革の規定
違反
の問題、こういう問題を十四項目あげて出してあります。以上であります。
高橋等
16
○高橋(等)
委員
松井
さんにお伺いいたしたいのでありますが、ただいま
参考人
瀬尾
さんのおつしやいましたことは相違ありませんかどうですか。
松井義重
17
○
松井
参考人
それではお答え申し上げますが、
ちよ
うど
瀬尾
君が、今話しをされました
よう
に、
組合長
をやり、
瀬尾
君の立場からいえば、社内の粛清というふうに考えてや
つて
おられるのですが、たまたま
選挙
がありまして、
選挙
違反
という
よう
な線にひつかかられた。これはやはり社則といたしまして休職ということになり、そして
選挙
が六月四日で、起訴されましたのが八月三十一日、休職になられたのが九月八日、
ちよ
うど一年間しますとこれは全部退職となる。そこで都労委提訴とかいろいろ問題ありまして、そういう
よう
にごてごてすること全くない。一ぺん私が会
つて
よく話をし
よう
とい
つて
、
瀬尾
君に、
赤十字
をよくや
つて
行く上については、急激にやる面もあれば、よく修理を毒してやる面もあるという話をいたしまして、
瀬尾
君もよくわかつたということで、それならばぼくが連れて行
つて
あげるからというので、総務部長、副
社長
、
社長
のところに行
つて
、よく
瀬尾
君が話をいたしました結果その文書が出たと思いますが、その文書は
赤十字社
の部内で書いたものを
瀬尾
君に署名させましたのか、
瀬尾
君自体が自発的にそれをお書きになりましたのか、お尋ね願えれば
けつ
こうだと思います。
高橋等
18
○高橋(等)
委員
瀬尾参考人
に二点にわ
つて
お伺いいたしますが、この陳謝書は、あなたがこの文章もお書きにな
つたの
かどうか。それとも書いてあつたものに判をつかれたのかどうか。 もう
一つ
、陳謝書が十月二十日に出ておりまして、役員あての手紙は十一月一日に出ております。この役員あての手紙はやはりあなたの筆に
なつ
たものであるかどうか。また陳謝書だけでなしに、役員あてのこうした手紙を出されたこの間のいきさつについても、あわせて承りたいと思います。
瀬尾正吉
19
○
瀬尾参考人
お答えいたします。この問題は、最初私は單なる誤解その他に基くものであるというふうに書いて出しました。ところが
本社
では、それではいけない、どうしても取消せ、そう書かなければ、あなたに退職金を上げられない。それから
本社
だけでやつたところが、それではいけない、今
赤十字
がこれを君にやられてしまつたならば、
赤十字
は今後立
つて
行けないから、各
委員
の方にぜひ出してほしい、それで十一月一日になると切手の値段も上るから、君たいへんだろう、なるべく早く今月中にやりなさいというふうに言われて、向うでその文句は指示されました。間違いありません。
高橋等
20
○高橋(等)
委員
もう一点伺いますが、陳謝書の文句も、書いたものをやられたのですか。書いたものへあなたが判をつかれたのか、それとも
自分
で書かれたのかどうか。それから、ただいま指示されたという
よう
なことをおつしや
つて
いますが、指示とは、どの程度の指示をされたか、
はつ
きりおつしや
つて
いただきたい。
瀬尾正吉
21
○
瀬尾参考人
一番最初、私が書いて出しました。そうしたら、それに対して、
本社
で筆を入れてよこしました。そのことについて、私は地労委の
委員
を連れて行きまして、陳謝状は書かないと
はつ
きり断りました。それは地労委の審査係長の大野主事を呼んでいただけばわかります。そうしておつたけれ
ども
、先ほど
松井
さんのお話もありました
よう
に、いつまでも長引いておりまして、私も二年間一銭の収入もありませんので、私は妻きました。それは私の書いたものであり、私が判を押したものに間違いありません。
高橋等
22
○高橋(等)
委員
この手紙に書いてある当該文書云々
——
ただいま文書の話の内容を聞いてみますと、大体本日問題にな
つて
おる
よう
なことが文書にな
つて
おる
よう
に、私は聞くのであります。その文書について、私の誤解あるいは感情問題に基くことであつたということが書かれてあります。これはどういう意味なのですか。一応どういう点が誤解であり、どういう点が感情問題であるかをお伺いしたい。
瀬尾正吉
23
○
瀬尾参考人
それは、私の意思にないことを私が書いたにすぎません。事実であります。ただ私は、先ほどから申し上げておる
よう
に、あなたたちも御
承知
かもしれませんが、退職金を一銭もやらないで、目の前にぶら下げておいて、書け書けと言われれば、だれ
ども
貧すれば鈍するで、これは書かざるを得ません。そのために私は書いたので、それは私の意思でありません。そのことを申し上げます。
高橋等
24
○高橋(等)
委員
退職金をつるしたとおつしやるのは、天井からでもつるしてお
つたの
ですか、どうしたのですか。そのつるしたという状況を知りたいものです。
瀬尾正吉
25
○
瀬尾参考人
先ほ
ども
申し上げました
よう
に、
本社
の退職金規程から行きますと、退職後二箇月以内に支払わなければならなくな
つて
おります。それを
本社
では一銭も支払わないのです。それを支払わないので、私は労働省にも行きました。あるいは三田の監督署にも行きました。そしてあらゆる方面から手を打ちました。それで三田の千葉という監督官が
本社
の北原さんを呼び出して、すぐにやれ、こういうふうに言われましたので、私も行きました。ところが、どうしても一札書かなかつたならばやれない、いくら三田の監督署で何と言おうと、君が書かなければやれない、こういう事情であります。それで私は、心ならずも書いたのであります。以上であります。
高橋等
26
○高橋(等)
委員
最後に一点。そうすると、
参考人
の方では退職金がもらいたい余りに、心にもないことをごうや
つて
書いた、こういう御陳述の
よう
に思うのです。すべてこうした重大な行動を起され、大きな組織に迷惑がかかる
よう
な問題を取扱われる
責任
者の立場として、見れば元
日本赤十字本部職員組合長
、元全
日赤職員組合
副
組合長
の地位にあられた方であります。まあ退職金がいるからこれを書いたと言われるのですが、もしこれが事実そうであるとすれば、そうお信じになるとすれば、もう少し毅然たる態度であるべきじやないかと私は思うのです。本日ここで
参考人
の御証言をなさ
つて
おりますが、その信憑力につきましても、従来そういう
よう
な態度でお臨みにな
つて
おられる性格から行きますと、何かあぶ
なつ
かしい
よう
な気持が実はいたす。なお私は発言を留保いたしまして、次の方に譲りたいと思います。
大石武一
27
○大石
委員長
松谷天光光
君。
松谷天光光
28
○松谷
委員
瀬尾参考人
にお尋ねしたいと思います。先ほど初めに御説明いただきました中に、
本社
は
愛宕署
を動かして検束その他というお話がございましたが、ただいままた高橋
委員
の御質問に対する
松井
参考人
の御答弁の中に、
選挙
違反
その他の問題が出て参りましたが、その
愛宕署
の検束は、
選挙
違反
による場合の検束であ
つたの
でございまし
よう
か、それとも
選挙
問題とはまつたく別に、先ほどの御説明の
よう
に、
本社
が
愛宕署
によ
つて
検束したという
よう
な問題であ
つたの
でございまし
よう
か。
瀬尾正吉
29
○
瀬尾参考人
この検束の問題は、九月二十六日朝の十時ごろ、
本社
で
総会
があるということを朝日
新聞
の公告を見て知
つて
、向うへ行きました。そうしますと、
愛宕署
員がおりまして、
総会
に入る入場証のバツジがあるそうで、それがないから君らは入れられないというわけで、六人か七人で取巻きました。それで私は、き
よう
は
赤十字社
の
社員
総会
である、私は怪しい者ではない。
赤十字社
の特別
社員
であるとい
つて
、特別
社員
証を提示しました。それでもバッジがないために入れられないという話でありましたので、それではバツジをもら
つて
来
よう
というので受付べ行きました。ところが受付では、どうぞお持ちなさい、とい
つて
よこしましたので、そのバツジを持ちまして中へ入りました。中へ入りましたところが、
本社
の係の人が来まして、何かき
よう
発言がありますが、こういう話でありました。それで私は、発言ありますと申し上げましたところが、何とかしてき
よう
は発言をやめてもらいたい。どういう理由ですかとお聞きしましたら、理由も何も言わないで発言をやめてもらいたい、こういう話でありました。ところが、そういう話をしているうちに、その人は向うに
——
向うとい
つて
も
本社
側の
社長
、副
社長
の方面に参りまして、常務
理事
、副
社長
と何か耳打ちをしていた
よう
であります。そうしてまた今度は上の係の人、係長
——
当時この
総会
の係長がや
つて
来まして、それで別室に私を呼んだのであります。そうして、今お聞きすると、君は発言があるそうだが、き
よう
は発言をやめてもらいたい。それですから、理由はと言うと、理由は何も言わないで、やめてもらいたい。そういう話を二人でしておつたところに、
愛宕署
の警察官が三名で入
つて
来まして、何も言わせずに、私の両の手をとりまして、そうして一人はうしろからからだをかかえたのであります。それでありましたので、どうしてあなたたちはそういうことをするのか、私は
政治
問題、思想問題を論じるのじやない
社員
として
社員
総会
に
出席
して発言するのである、こう言いましたら、いや君が発言するならどうしても検束する。検束するというのなら、それでは逮捕状を示してもらいたい。そこまでやつだのでありますが、まだそこにおつた鹿田一郎という、私を別室に呼び込んだ当日の係長の人が、まあそう荒立てないでもいいじやないかという
よう
なことを言いましたけれ
ども
、どうしても警察官は、何も言わずに、しやにむに私のからだをドアの外にかかえ出したのであります。ぼくはふりほどいたのでありますが、そこまでや
つたの
であります。そうして、君が発言するなら、どうしてもこのまま連れて行く、こう言うのであります。それで私も、としても発言させないのか、発言させないなら、お
つて
もおらなくても同じだ、こういうわけになりまして、私は発言をやめたのであります。それで
総会
にそのまま残
つて
おりましたところが、
愛宕署
のおまわりが今度は二人ふえまして、五人で私のまわりを取巻いておりまして、絶対に発言させないのであります。それですから、この
選挙
とは一切
関係
ありません。以上が
総会
の当日の実情でありました。
松谷天光光
30
○松谷
委員
そのときに
総会
においでにな
つたの
は、お一人でいらつしや
つたの
でございますか、あるいは何人かでおいでにな
つたの
でございまし
よう
か。
瀬尾正吉
31
○
瀬尾参考人
二人でおいでになりました。(笑声)二人で行
つて
、出まして
——
一人は大原正緒といいまして、これも
赤十字
の
社員
であります。
松谷天光光
32
○松谷
委員
その同道なさいました大原さんでございますか、その方はやはり現
社員
でいらつしやいますか。
瀬尾正吉
33
○
瀬尾参考人
そうであります。
松谷天光光
34
○松谷
委員
その当日は、発言をなさらなかつた
よう
に伺
つたの
でございますが、そういたしますと、先ほど
愛宕署
に検束その他のお話がございましたが、検束ということはなかつたと了承してよろしゆうございますか。
瀬尾正吉
35
○
瀬尾参考人
検束はされませんでした。ただ暴行脅迫だけは受けました。
松谷天光光
36
○松谷
委員
先ほど
選挙
運動のお話があ
つたの
でございますが、
瀬尾
さんから、
選挙
違反
の問題についてはお話がなかつた
よう
でございます。この点、たいへんこまかい点かもわかりませんが、
選挙
違反
当時のことを、
ちよ
つと伺
つて
おきたいと思います。
瀬尾正吉
37
○
瀬尾参考人
選挙
違反
の問題は、当時六月四日に参議院
選挙
が施行されますので、そのときに自由党の公認候補として立候補しました谷本利千代氏の
選挙
活動を依頼されまして、その運動をいたしました。その
選挙
の買収という
よう
な被容疑にとらわれまして、起訴されたのであります。その額はここに起訴状も
はつ
きり持
つて
来ておりますが、五万五千円いただきまして、そのうちの一万円を岡山の知人に送り、二万円を静岡の知人に送りまして、
あと
の二万五千円を私が使
つて
、大阪、静岡、福島、宮城、岩手、この出張旅費に充当したのであります。それでありますから、私はあくまでも無罪を信じておりましたが、つい起訴されてしまつた、これが事実であります。
松谷天光光
38
○松谷
委員
そういたしますと、その
選挙
違反
については、もう
はつ
きりと判決が済んだのでございますか。
瀬尾正吉
39
○
瀬尾参考人
去る五月八日に公判が開廷されまして、先般の講和大赦令によりまして、免訴ということの判決を受けまして、現在されいにな
つて
おります。
松谷天光光
40
○松谷
委員
先ほどの高橋
委員
の御質問のときに、私まだその御答弁の中で、どうも納得できなか
つたの
でございますが、この陳謝書というのは、最初
瀬尾
さんがお書きにな
つて
、それを
本社
に出したところが、それに筆る入れられた。そこで
瀬尾
さんが、も
うそ
れでは陳謝書は書かないというふうに言われておつたが、やはり退職金その他の問題があ
つて
、遂に
自分
は書いた。ここに私
ども
に示されておりますこの陳謝書は、
瀬尾
さん御
自身
が筆をと
つて
お書きに
なつ
たと
解釈
してよろしゆうございますか。これは重なりますが、向うから出された文書に判を押されたのではなくして、この「誤解あるいは感情問題」というこの辞句も、御
自身
でお書きに
なつ
たというふうに
解釈
してよろしゆう。ございまし
よう
か。
瀬尾正吉
41
○
瀬尾参考人
その通りであります。
松谷天光光
42
○松谷
委員
全国
の
理事
、
評議員
にお出しになられた文書の中に、先ほ
ども
局橋
委員
が取上げておられました当該文書とございます。この文書、この十四項目でございますか、それを先ほど御説明があつたと思うのでございますが、
あと
で簡單な項目だけで
けつ
こうでございますから、文書にして
ちよ
うだいしたいと思いますが、これは
委員長
できますでございまし
よう
か。
大石武一
43
○大石
委員長
それは
あと
から出していただきます。
——
松谷さん、よろしゆうございますか。
松谷天光光
44
○松谷
委員
はあ、一応あれいたしまして、
あと
でまた……。
大石武一
45
○大石
委員長
堤君。
堤ツルヨ
46
○堤
委員
瀬尾参考人
にお尋ねいたしますが、あなたは先ほど、
蜷川参考人
から御説明がありました通り、
赤十字
の
定款
というものは、やはり超党派的であり超
宗教
的であり超種族的であり、いろいろな方面から
中立
であらねばならぬということが
原則
にな
つて
おるわけでございますが、あなたが
日赤
の
職員
でありながら、参議院議員の自由党の
選挙
の応援をなさつたということは、あなた
自身
正しいことであると考えておられるか、または正しくないと考えておいでになりますか、その辺のあなたの御見解を
ちよ
つと承
つて
おきたい。あなたのせられたことに対して……。
瀬尾正吉
47
○
瀬尾参考人
私は正しかつたと
思つて
おります。それは
赤十字
の
職員
としてや
つたの
でなくて、
瀬尾
個人としてや
つたの
であります。それで、この問題につきましては、
本社
の
日本赤十字社
の
社長
は、
日本赤十字社
社長
として、
はつ
きりと公文書をも
つて
、参議院議員の推薦状まで出しておられるのであります。それでおりますので、私は間違
つて
おらないと思います。谷本氏は
赤十字
のために非常に盡力してくれた方でありますので、この人を応援したなれば、
赤十字社
としてプラスになる、こう思いまして、私個人としてや
つたの
であります。そういう考えでおります。
堤ツルヨ
48
○堤
委員
あなたの正しかつたという御認識に対して、御
批判
は
ちよ
つとここで避けます。 それでは、
蜷川参考人
にお尋ねいたしますが、
日赤
の
島津社長
が、そうした公人として、
選挙
に対して推薦状をお出しにな
つて
おる。それから社の
組合長
であつた
瀬尾
さんが、
選挙
運動に
全国
をまたにかけて東奔西走されたということに対しては、
一つ
の
日赤
に対する
批判
が生れて来ると思うのでありますが、これに関連いたしまして、
全国
の都道府県に参りますと、支部長は、
全国
の知事がや
つて
おる。これも嚴密に言いますと、非常に民間団体としては、逸脱して、おると思うのであります。
従つて
、これもまた
選挙
と関連することにな
つて
参りますが、この辺に関して、あなたはどういうお考えを持
つて
おいでなりますか、ひとつ承りたい。
蜷川新
49
○
蜷川参考人
私は
赤十字社
の
定款
に
一つ
いて、幾多の欠点あることを、かねてから指摘しておりますから、それを一々ここで申し上げる必要はなかろうと思いますが、ただいまおつしやる通り、従来の
赤十字
は特別法人でありました。そうして皇室に
関係
あり、宮内省に
関係
あり、陸海軍に
関係
あり、特別の官庁みたいなものであつた。そういうふうに
日本
はこしらえておりまして、
全国
の知事をみな支部長にしておりました。私はいけないと信じてはおります。けれ
ども
、新たに
定款
をつくるときに、その問題は、
赤十字
の
定款
そのものには、支部長に知事がなるというふうには書いてない、ですから、論議に上らなか
つたの
です。いけないと今でも
思つて
おります。どういう点が悪いとおつしやれば、
惡い
点は幾らでも述べることはできる。四つも五つもある。それが混乱を生ぜしめるゆえんである。ことに今度の法案、あなた方のお手元にまわ
つて
いる法案、これははなはだけしからぬ。別問題ですけれ
ども
、述べろとおつしやるならば、いつでも述べます。
堤ツルヨ
50
○堤
委員
今私の手元にある原案ですね、この問題に関しましては、これについてはまだ白紙ですから、そこのところはひとつ……。 そこで、
瀬尾
さんにもう一度お尋ねしておきたいのでありますが、これは
日赤
の参考
書類
としていただいておりますが、非常に問題点とされておりますところの第五十九回通常
総会
無効に関すること、それから副
社長
の
不法
留任に関すること、砂糖横流しに関すること、それから
新聞
用紙横流しに関すること、
関係
官庁に対する饗応贈賄に関すること、
募金
材料の不正購入に関すること、コーヒーの収益金処分に関すること、それから国連軍に対する供血協力に関すること、
博物館
貸付に関すること、家庭看護法の普及対象が上層階級に限られておるということに関すること、それから巡回診療の実施に関すること、奉仕団と町会との
関係
に関すること、それから副
社長
用社宅に関すること、第六十回通常
総会
に関すること、それから
昭和
二十五年度の
募金
の使途に関すること、これらはあなたが
日赤
の
民主化
を片方で唱えられて、具体的な問題をついておいでになるのであろうと思うのでありますが、私が今申し上げました諸問題に関しましては、あなたはこれを認めるものであ
つて
、やはり退職金ほしさにこういう陳謝状とか、また
幹部
だとか、それから
評議員
、
理事
、監事等に、十一月一日にこういう
書類
をお出しになり、前言をお取消しに
なつ
たけれ
ども
、この議会の
委員会
では、それは退職金との
関係
があ
つて
言つた
ことであ
つて
、決してあなた方が指摘しておられる事実に間違いはないというお考えを持
つて
おいでになるということ、そういうふうに了承してよろしゆうございますか。
瀬尾正吉
51
○
瀬尾参考人
そう了承してよろしゆうございます。
堤ツルヨ
52
○堤
委員
それでは、あなたにもう
一つ
聞いておきたいのであります。あなたの二年近い無一文の生活のお苦しさは推察いたしますが、その收入がなくて生活に困
つて
おるから、だれでも貧すれば鈍する、
従つて
ぼくがこれを書いたのも無理はなかろうという御陳述でありましたが、男子として、少くともこうした行為について、あなたはどういう反省をしておられるか。これは少くとも国会にあなたが
参考人
としてお出ましにな
つたの
でありますから、この
委員会
であなたがおつしやることは、私たちは信用しなければならない。しかし、ああ言われればあの道をとる、こう言われればこの道をとるというところの便乗主義、これをなさろうという性格がおありになるとするならば、あなたがただいま
日赤
の
幹部
を糾弾しておいでになりますこの問題に対しても、そのときによ
つて
、どういう色合いであなたが御判断して御答弁になるかわからないという考えを、私たちは持たなければならない。
従つて
、高橋
委員
も御指摘になりましたが、あなたに対して私は少しふしぎに思うのでありますが、男ともあろうものが、退職金ほしさにこれを書いたということに対して、これをどうお考えになりますか。
大石武一
53
○大石
委員長
瀬尾
君に
ちよ
つと申し上げておきますが、この
委員会
は、決してあなた方を糾弾し
よう
とか、糾明し
よう
とかいう
委員会
ではございませんから、答弁したくなければ御答弁しなくても
けつ
こうです。
瀬尾正吉
54
○
瀬尾参考人
お答えをいたします。その御
批判
はもつともだと思います。しかし私は、便乗主義とか、そういうものではありません。その証拠に、私は
はつ
きりと、これは法廷鬪争をやろうと思いまして、民事まで訴えてあります。なおこれはほしい、ほしい、それ
ばか
りではありません。ここにおります
松井
理事
、この人がぜひや
つて
くれよ、ここは何でもやりなさいよということで、やはりその人の顔も立てなければならないじやないですか。それで私もそちらの顔も立て、そうすることが、
自分
も助かるのですから、一石二鳥。それはずるいかもしれませんが、そういうわけで、
松井
さんからその点の事情はお聞きにな
つて
いただけばよくわかると思います。とにかく
本社
は、地労委に提訴したやつを取下げさせて、提訴を取下げたならばやると言
つて
お
つて
、つかまるところがなくしてしまつたじやないですか。そういうわけで、私は御
批判
の点はもつともだと思いますが、法廷まで持ち出してやるわけでありますから、單なる便乗とか、そのとき限りではございません。
堤ツルヨ
55
○堤
委員
今
委員長
からお言葉がありました通り、
日赤
の内部のいろいろな紛争に関しましては、私たちが一々これを取上げて黒白を明らかにする
委員会
ではありません。ただ、あなたの御認識を承
つて
いるのですから、誤解のない
よう
にしていただきたいと思います。 そこで
松井
理事
にお伺いしたいのですが、私たちはき
よう
参考人
に来ていただきます前に、案は
伊藤
副
社長
当人をお呼びしたわけでございます。理路整然と、私は官僚生活二十年、愚直と言われたことはあるけれ
ども
、いやしくも身に疑いを受けたことはない、それをも
つて
誇りとする。
従つて
参考
書類
も出し、データも出していろいろ指摘されておる十四項に対しては、数字的にも正しいことを申し上げるということまで、
はつ
きりおつしや
つて
おる。それから、今ここにお呼びいたしました
蜷川先生
並びに元の
委員長
、この二人の方も、おそらくこの
委員会
で
うそ
を言
つて
おいでにはならないと思います。
従つて
、私たちが両方の
意見
を聞きますれば、まつこうから黒と白にわかれるのでありますが、
理事
といたしまして、これに対しましてどういう蹄考えを持
つて
おいでになりますか。 それから参考のために申し上げておきますが、私たちは
伊藤
副
社長
の次に、赤い羽根の中央共同
募金
委員会
の
事務局
長の青木
先生
に来ていただきまして、同様赤い羽根、白い羽根の
募金
の間におもしろからぬいきさつがあつた
よう
に、またこの
募金
問題に対しましては愼重でなければならないというので、この赤い羽根の方からも
参考人
として承りまして、やはり
日赤
の性格、組織、運営のあり方に対しましては、その方々からも
意見
を承りました。私たちから申せば、現在社会
福祉
事業をや
つて
おいでになります
日赤
に対しては、相当の
批判
があつた
よう
に思うのでありますから、それをつけ加えておきます。
松井義重
56
○
松井
参考人
お答えを申し上げます。先ほど申し上げましたが、
理事会
は、
全国
的な
書類
が寄
つて
参り、また
出席
理事
が非常によく検討いたしましてすべてや
つて
おりますので、
瀬尾
君のああいう問題が出ましたときに、私自体が非常につつ込んで
事務
当局に追究もいたしました。それから
伊藤
副
社長
の住宅問題は、あれは次官時代からの官舎売つたそうで、これは早く出なければいかない、そうして各支部
病院
にも
病院
長社宅があつたりいたしましたので、あれが百二、三十万円かと心得ておりますが、それと合せて、副
社長
だけではいかぬというので、
職員
寮、
職員
の住宅も何する
よう
に買い求めたはずでございます。それから今
蜷川先生
なり
瀬尾
君がるるあげましたが、もし事実とするならば、これはゆゆしい問題であり、検察及び警察当局が默
つて
おいでにならず、手を入れられておるはずだと思いますから、
瀬尾
君があの、パンフレツトを
全国
の
評議員
に出し、われわれの手元にも参りましたとき
——
これは
全国
的に
評議員
の手元に行
つて
おるはずでありますが、相当時日が経過いたしておりますが、官憲当局が、いまだそれを見ても手をお入れにな
つて
おらないことをごらんくださいましても、お察しができると思います。 それから共同
募金
と
赤十字
の面が出ましたが、
赤十字
の面は、何を申しましても絶対に
福祉
に
関係
ができ得ないのではなく、やはり一部分を
関係
して、といいますか、本事業をやるについては一割とかいう
よう
な面があることがやはり
仕事
が都合よく参ります。たとえば
看護婦
の養成にしてみても、これは教育の面でありますけれ
ども
、やはり学院制度でやる、つまり教育の専門の面だけでやるということよりも、やはり
病院
において三年の期間を通じて
看護婦
を養成して行くという
よう
な面がございまので、われわれの方の立場といたしましては、共同
募金
さんの方がいろいろお考えがおありになりましても、そのお問いに対しましては、事実をありのままお答えをいたしますけれ
ども
、やはり先ほど
蜷川先生
もおつしやいました博愛、奉仕、教育の面からい
つて
、他のことはあまり言わない方がいいと
思つて
差控えておりました
よう
な次第であります。
堤ツルヨ
57
○堤
委員
それで私は、
理事
でおいでになるあなたに
ちよ
つとお願いをしておきたいのでありますが、私昨日も地方へ参りましたが、今年五億四千万円
募金
なさいます目標額は、いなかの零細な農山村におきましても、やはり役場が協力をいたしまして、戸ごと三十円くらいの割当にな
つて
おる。人をして言わしむれば、これは税金にひとしいものであるという
よう
な感じを持
つて
おる者もあるのでございます。街頭にげたをすり減らして
募金
に奉仕される末端の零細な人たちの協力は、非常に貴重なものであります。高邁な
赤十字
の理想と照し合せて、
ほんとう
に美しい行為てございますが、
日赤
の
幹部
自体に、いやしくもこういう風評を立てられる
よう
な方がおありになる、しかもその組織性格または運営に対して、第三者の
批判
が相当にあるというに至りましては、私たちは、やはり大衆を代表いたします選良といたしまして、
はつ
きりと特別法人にあらためてするならば、そのする機会に、この盲点を十分つきまして、そうして高邁な理想に沿い、
民主
的な運営をされる、しかも
社員
を尊重し、社費を建前とした
日赤
本来の姿に立ち返
つて
もらいたいということは、おそらく
皆さん
同様に考えておられるのでありまして、
理事
といたしましては、非常にたいへんな
責任
を持
つて
いらつしやると思いますので、
幹部
の
理事
といたしましては、とやかく言われております
幹部
の方々と十分御協議になりまして、今後こういう風評の立つことのない
よう
に、気をつけていただきたいということを、最後に希望申し上げておきます。
大石武一
58
○大石
委員長
苅田アサノ
君。
苅田アサノ
59
○苅田
委員
私はまず
蜷川参考人
にお聞きしたいのですが、
蜷川参考人
は、冒頭のお話の中で、現在の
日本赤十字社
は、国際的な
赤十字社
の
定款
に
違反
しておる。その証拠には、非常に
日本
政府
の意向で動かされて、そういう
政府
とか
政治
とかにかかわらないという
定款
に
違反
しておるとおつしや
つたの
でありますが、私はこの点をお聞きしたいのであります。今の
日本赤十字社
は、非常に国の委託事業をたくさん扱
つて
おりまして、見方によりますと、
政府
の
一つ
の出先機関に近い
よう
な活動をしておるのでありますが、これはそもそもの
日赤
のやり方としては、たいへん方向が違つたやり方であるのかどうかということです。たとえば、
朝鮮
の
救援
にいたしましても、南鮮だけをいたしまして、
北鮮
を全然別個にしておる、こういう点を先ほど御指摘にな
つたの
でありますが、そうすれば、国の委託事業でや
つて
いることと別個な事業を両立してやるのか、それとも国の委託事業をやるということはいけないのか、そういう点を、もう少し具体的にお話願えればたいへん参考になると思うのです。
蜷川新
60
○
蜷川参考人
さき
に申し上げました
よう
に、
日本赤十字社
には、国際
赤十字
委員
と
赤十字社連盟
と
二つ
あるので混同するのです。従来あ
つたの
が国際
赤十字
委員
、新しくできたのが
赤十字社連盟
、
二つ
あるのです。要するに本山が
二つ
ある。一は戰時事業をや
つて
おる、つまり戰時救難です。それをはなはだおこがましいですが、私が主唱して施療事業をやる
よう
にな
つて
できたのが
赤十字社連盟
で、一九一九年五月五日に初めてできたのです。この規則にノン・ガヴアメンタリーということをやかましくい
つて
、一切
政治
に
関係
することはならぬ、そういう趣意でできたのですが、やはり時を経て来ますと、占領中に、マツカーサーは、
赤十字
を
救援
事業、例の水難なんかに使
つて
、水難救助法の
よう
なものの中に
赤十字
を入れてしまつちやつた。それで、今おつしやる
よう
な問題が出て来る。出て来るのですけれ
ども
、
定款
そのものは純粋の民法法人にな
つて
しまつたの
です。過去には勅令でできておる。
列国
とも、実は勅令みた
よう
な特別法です。それを
日本
は、戦争はやめて、一切兵を置かない、全部軍隊を廃するとい、うことで戰時法はなく
なつ
たから、そこであたりまえの民法上の私法人に
なつ
ちやつた。それで押し通す必要があるのです。けれ
ども
、おつしやることに少し混同があるのは、
定款
によるべきか、マッカーサーが占領中にやつたことによるべきかということにひつかかるのです。私は今
定款違反
ということを唱えておるのですから、主として
定款
を基礎としてお話をしておる。
——
これでいけませんか。
苅田アサノ
61
○苅田
委員
私は国際
赤十字
運動の権威者としての
先生
に、純粋な立場から、ひとつ今の
赤十字
運動の
批判
を伺いたいと
思つて
おるのであ
つて
、別に私は、
赤十字
運動はこうなきやならないという見解に立
つて
話しておるのではないのでありますから、その点は自由に御答弁をお願いしたいと思います。 それからもう
一つ
、現在の
赤十字病院
は、健康の
増進
とか苦痛の減退とかいう本来の事業から逸脱しているとおつしやるのでございますが、私はその今の
赤十字
の内容と、
先生
の理想としておいでになる形とが、どういう点で
はつ
きり違うかということを、もう
一つ
具体的にお示し願いたいと思うのです。
蜷川新
62
○
蜷川参考人
従来のは、今申し上げました通りに、
赤十字
なるものは、戰時に働くためにできたものです。これはジユネーヴのアンリ・デユナンの発案です。それを第一次大戦争以後ひつくり返して
——
ひつくり返してと言うといけませんが、それはそれでそのまま存在しているのですが、平時としてやろうというのがまた
一つ
できた。そこに問題があるのです。今の
日本
の
赤十字
は、軍に
関係
は絶対にない、憲法がそうなりましたから。それで
定款
も
従つて
改正されまして、純平和時だけなんです。今
病院
でや
つて
おりますあれは、一方から見ますれば、平時事業でありますが、けれ
ども
、さつき申し上げました
よう
に、本来何ゆえに
赤十字病院
をつくり、
看護婦
をたくわえるかといえば、これは戦時に救護をやるための準備なんで、これで多年来たものであります。だから、今のはそれをただ受継いでおります。過去には
赤十字病院
というものは少かつた。ところが今はすべての救護班はみな
病院
にしてしまつた。だから二百幾つもできた。だから、今のは
病院
営業者みたいなものであります。これは健康の
増進
といえば、言えますけれ
ども
、これは従来からあるのでありまして、医学上からも、これは事業でして
予防
衛生じやない。事業であ
つて
、
健康増進
、
疾病予防
という方には本来はまらないのです。そこにそういうごちやごちやしたものがありますから、
ラジオ
で人がしやべるのでも、朝日
新聞
が書くのでも、
赤十字
の本質というものをちつともとらえていない。知らないのです、やつらは。これは事実なんです。これは無理もないのです。私
ども
は
専門家
だから、一生懸命や
つて
いますが、知らない方は、
赤十字
、あれは
病院
だろう、あれは華族、貴族のものだろうという一般の頭がまだあります。これをひつくり返して
民主
主義にし
よう
というのが、
ほんとう
の
赤十字
の理論です。
苅田アサノ
63
○苅田
委員
病院
のことに関しまして、もう
一つ
お尋ねしたいのです。
日本
は今
先生
もおつしやいました
よう
に、平和憲法なので、戰争の準備をするということは、憲法
違反
のわけなんです。そういたしますと、
赤十字事業
が、今の憲法下において、そうした本来の戦戰準備の事業活動をするということは、私はそういうふうなことはしてはいけないことだというふうに
先生
も曲考えになるだろうと思いますのですが、その点いかがですか。 それから、き
よう
私五十九回の通常
総会
における
社長
演説なんかを見ますと、二十五年から始まりました
朝鮮
事変に対しまして、
日赤
看護婦
の派遣の要求があ
つたの
で、
本社
はこれに全面的に協力し、九州地方の各支部から第一次五十四人、第二次二十五人、第三次十七人を交替派遣し、現在六十三人が国連軍
病院
に勤務いたしております、と書いてございますが、こういうことも、
先生
のお考えからすれば、どういうふうな御判断にな
つて
おりますか、この点もひとつお伺いしたいと思います。
蜷川新
64
○
蜷川参考人
それにつきましては、
定款
改正のとき、すなわち二十一年の暮に、私も当時まだ
関係者
でして、
定款
改正に参加していたのです。それで
俘虜
の救恤なんということは省いてしま
つて
、全然平和事業なんです。ところが私の方は多数で負けちや
つたの
です。あの
定款
には、そういうこともありまして、これはいけないのです。今おつしやつたことはまた別ですが、ほかから要求があつたなら何でも出すというのでは、し
よう
がない。平和事業とは一体何だ。だれでも救
つて
くれと
言つた
ら、すぐ出す、それじやだめなんです。戰争しているのですから…。すなわち国際的の大事変なんです。だから、どつちに加勢するかについて、十分研究しなければいけない。これを研究しないで、今おつしやつた演説の
よう
に、向うから要求したから出した、それじや
赤十字
というものは何も心棒がない。そんなものには、
社員
は大不賛成、それは
社長
の
違反
行為、こうまあ見るべきでし
よう
。
大石武一
65
○大石
委員長
残余の質疑は午後にいたします。
大石武一
66
○大石
委員長
次に日程を追加して、先刻当
委員会
に付託されました
医師国家試験予備試験
の
受験資格
の
特例
に関する
法律等
の一部を改正する
法律案
を議題とし、審査に入ります。まず
提案者
より趣旨の説明をお聞きいたしたいと存じます。
提案者
丸山直友
君。
医師国家試験予備試験
の
受験資格
の
特例
に関する
法律等
の一部を改正する
法律案
医師国家試験予備試験
の
受験資格
の
特例
に関する
法律等
の一部を改正する
法律
第一條
医師国家試験予備試験
の
受験資格
の
特例
に関する
法律
(
昭和
二十四年
法律
第二百七十二号)の一部を次の
よう
に改正する。 本則中但書を削る。 第二條 歯科
医師国家試験予備試験
の
受験資格
の
特例
に関する
法律
(
昭和
二十五年
法律
第二百四十六号)の一部を次の
よう
に改正する。 本則中但書を創る。 附 則 この
法律
は、公布の日から施行する。
丸山直友
67
○
丸山
委員
ただいま議題となりました
医師国家試験予備試験
の
受験資格
の
特例
に関する
法律等
の一部を改正する
法律案
の提案理由を御説明申し上げます。 医師または歯科医師になるためには、国家試験に合格しなければならないことは申すまでもないことでありますが、従前大陸等に満州方面向けの医師の養成を
目的
とした学校を卒業した者、正規の
日本
の医学校または歯科医学校を出てはいないが、
朝鮮
、中華民国、蒙疆、マライ、シンガポール等の現地において免許を受けて医業を営んでいて、終戰により引揚げた者のためには、国民医療法施行令
特例
の試験による救済等が講ぜられたのでもりますが、この試験を受けて二度とも合格しなかつた者、または
朝鮮
及び満州国におきまして、医師または歯科医師試験の第一部の試験に合格した者に対しましては、それぞれ
医師国家試験予備試験
、または歯科
医師国家試験予備試験
に合格し、さらに所定の実地修練を行つた上で、国家試験を受けて医師または歯医科師になる道が開かれているのであります。 しかしながら現在、
医師国家試験予備試験
及び歯科
医師国家試験予備試験
の受験回数はいずれも二回に限られており、この試験に二度とも合格しなかつた者は、永久に試験を受けることができなくなるのであります。しかも、これらの者の多くは引揚者であ
つて
、経済的にも同情すべき立場にあり、年齢的にも転業を困槫とする者も少くないので、
医師国家試験予備試験
の
受験資格
の
特例
に関する
法律
及び歯科
医師国家試験予備試験
の
受験資格
の
特例
に関する
法律
による国家試験予備試験の実施期間中は、その受験回数の制限を撤廃して、将来に希望を持たせるということが適宜であると存じまして、提案した次第であります。何とぞ愼重審議の上、すみやかに、御可決あらんことを、お願い申し上げます。
大石武一
68
○大石
委員長
本案について、御質疑はありませんか。
堤ツルヨ
69
○堤
委員
ちよ
つとお尋ねしておきたいのですが、外地から帰
つて
来られて試験を受けられる方で、二回試験を受けてみて受からぬ
よう
なお医者さん並びに歯医者さん、これは危険きわまるお医者さんであり、歯医者さんと言えるのであ
つて
、二回で受からぬ
よう
な人は、もう医者としては、その資格を持たないという
よう
な判断をすることは、早計でございますか。
丸山直友
70
○
丸山
委員
お答えいたします。堤
先生
の御
意見
、でもつともと存じますが、堤
先生
は、この試験に合格さえすれば、ただちに医師の免許証がもらえるという誤解のもとにお考えに
なつ
た言葉だと思います。これは予備試験でございまして、その試験を通過した者は、さらに一年間インターンをやりまして、
日本
の大学を出た者と同列の国家試験を受けて、それに及第して初めて免許証が与えられる。しかるに、これはサムス准将の言葉だと思いますが、予備試験に二回も落第する
よう
な考は、もう試験を受けさせるほどの値打はないという御意向であつた
よう
であります。しかし、この試験左通遇いたしますれば、この
法律
の有効期間は五箇年間でございますので、国家試験に五箇年の間に持
つて
行かれる
よう
に、その回数にかかわらず、予備試験を受けることぐらいは許してや
つて
もよいのではなかろうか、こういう趣旨であります。
大石武一
71
○大石
委員長
他に御質疑はありませんか。 他に御質疑もない
よう
でありますから、お諮りいたします。本案についての質疑は終了したものと認めるに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大石武一
72
○大石
委員長
御異議なしと認め、その
よう
に決します。 次の本案の討論に入りますが、本案の討論につきましては別に通告もございませんので、これを省略し、ただちに採決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大石武一
73
○大石
委員長
御異議ない
よう
でありますから、本案の討論を省略し、これより本案の採決に入ります、 本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔総員起立〕
大石武一
74
○大石
委員長
起立総員。よ
つて
本案は原案の通り可決いたしました。 なお本案に関する
委員会
の報告書につきましては、
委員長
に御一任願いたいと思いますが御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大石武一
75
○大石
委員長
御異議なしと認め、その
よう
に決します。これにて休憩いたします。午後は一時二十分より再開いたします。 午後零時四十二分休憩
——
——
◇—
——
——
午後一時五十四分
開議
大石武一
76
○大石
委員長
休憩前に引続き
会議
を再開いたします。
参考人
に対する質疑を、順次許可いたします。
苅田アサノ
君。
苅田アサノ
77
○苅田
委員
蜷川参考人
に引続いてお伺いしたいのですが、
参考人
は、冒頭の公述の際に、
メーデー
に対して
日本赤十字社
が救護活動をしなかつたことは、やはり
赤十字社
の精神に
違反
している、あるいは
定款
に
違反
しているというお話でありました。私はその説を拝聽しておるものでありますが、一応お聞きしたいのです。
政府
は、今回の
メーデー
の、警官に対して衝突をいたしました相手方を、暴徒だ、こういう
よう
な表現をしておるのであります。私はこの暴徒だということに対しましては、異議があるのでありますが、これはしばらくおきまして、もしも暴徒だという判定をいたしましたならば、そこに血を流して倒れておりましても、救護しないのが
日赤
の精神でありまし
よう
か。それとも、そういうことにかかわらず、やはり救護活動をするのが、
日赤
の精神でありまし
よう
か。この点も、たいへんくどくなるかもしれませんが、あわせてお伺いしたいと思います。
蜷川新
78
○
蜷川参考人
暴徒ということにつきまして、御異議があるのはごもつともでありまして、私も大いに賛成でございますが、これは
あと
といたしまして、もしもここに内乱が生ずれば、
政府
としては、相手を暴徒と言うでありまし
よう
。しかしながら、内乱にも、
赤十字
は必ず救護を出さなければならぬものです。内乱ならうつちや
つて
おけという
赤十字
は断じてない。国際間の紛争でも同じことでして、共産主義だから助けないなんて、そんなへりくつはないです。どんな主義でもかまわない、人類がもとでして、人類を救うのですから。ですから、朝から晩までけんかしておるときに、ぼんやり見ているというのは、ほとんど人類の何ものたるかを知らぬ思想です。これを暴徒と言うに
至つて
は、
新聞
も悪いのです。何ゆえに暴徒か。乱暴する者がみな暴徒なら、片方でこん棒を振うのも暴徒でし
よう
。私はそういう間違つた形容詞はいかぬと思うのです。これをも
つて
私の回答といたします。
苅田アサノ
79
○苅田
委員
さらに
蜷川参考人
にお尋ねしたいのでありますが、き
よう
瀬尾
元
職員
組合
の
組合長
が、
日赤
の不正
事件
につきまして、いろいろ御陳述にな
つたの
であります。また先日の
委員会
では、当の
日赤
副
社長
の
伊藤
氏が、この
瀬尾
氏の陳述は真実性がまつたくないものだとい
つて
、ことごとく反対しておいでになるのでありますが、創立当時から
日赤
に御
関係
をお持ちになり、つい最近まで渉外部の顧問をしておいでになりました
蜷川
氏が、この間の事情につきまして、もし御存じでありましたならば、簡単で
けつ
こうですが、御
意見
をお漏らし願えれば幸いだと思うのです。
蜷川新
80
○
蜷川参考人
お答えいたします。私はむろん何も
うそ
をつく必要はないのでありまして、
伊藤
さんのいろいろ言われている
不法
行為については、直接存じません、現場にいないのですから。
職員
組合
はよく知
つて
いる。しばしば報告されましたけれ
ども
、一方だけで
言つた
ものは、信用できません。信用しません。しかし、
法律
の問題となれば、私の頭で判断する。それは何だといいますと、
伊藤
さんが、
自分
は
選挙
ではないのだ、ただ
決定
されたのだ、であるから、
定款
にはまらないので、
自分
の留任は適法だと言
つて
いる。今でも言
つて
るそうです。しかしながら、そんなことは断じて許されない。何となれば、
定款
改正以後の第一回の
総会
で、すなわち
昭和
二十二年一月にこの
総会
において
赤十字社
から
総会
次第書というものを私
ども
に配
つて
います。今でも私は保存している、一般の人はなくしたかもしれませんが。何と書いてあるかというと、
社長
、副
社長
の
選挙
とりつばに書いてある。それを時が経たからとい
つて
、
伊藤
氏は抹消したり、かえたりする
権利
は断じて持ちません。
社長
でもそうです。その当時の
社長
は
島津
です。けれ
ども
、
島津
はいい加減に片づけることはできません。そんなことをすれば、公文書の偽造になります。ですから、
伊藤
君がいくら
言つた
つて
、私の持
つて
る材料によ
つて
、たちまち消えてしまう。
島津
君は次の候補者を立てることに苦心しているということを聞いている。ちやんと持
つて
いる。ですから、あれは補欠です。補欠であり、
選挙
である。たといいかなる文句にせよ、それは法理上きま
つて
いるのです、
社団
法人ですから。それを逃げるためにごまかしているのですけれ
ども
、許されない、それはだめです。証拠があります。いわんや、法の上から、
定款
の
解釈
の上から間違いないのです。それをも
つて
自白と正しいということは断じて許しません。裁判所でも、一審でも二審でも、そんな間抜けな判事はいないと私は信じます。法理ですよ。これだけお答えしておきます。 もう
一つ
知
つて
いることは、
赤十字
というものは、金を非常に節約して来たものです。何となれば、
人民
の、浄財を集めて
仕事
をするから。ですから、すべて名誉職です。私
ども
多年いましたけれ
ども
、何ももら
つて
いはしません。石黒さんは、あの人は賢明な人ですが、私に向
つて
、
蜷川
さん、
赤十字
へ来たらば、うどん以上食
つて
は行かれないとよぐ言いました。そのくらいです。その名誉職に、労働問題の盛んに
なつ
た今日ですから、
昭和
二十一年の
定款
改正のときに、向うでも
つて
社長
、副
社長
に限り少し報酬を与えることということが出て来ましたから、まあ感心しませんけれ
ども
遂に賛成したのです。しかし、それは非常な例外です。ほかの人は、無給でなければいけないのです。しかも薄給でいいわけです。それをや
つて
おるその人が、社宅を百何十万円で買
つて
おる。そんなことは
定款
に反するのみならず、
赤十字社
として許すべきものじやない。それをごまかすために
職員
の社宅をつくつた。
職員
は有給で、片方は無給です。その無給の者が社宅を百何十万円出してつくらせるということは、許すべきことじやないのです。これは
解釈
の相違じやないのです。多年の
赤十字
の歴史から見て、確かです。これは、実に儉約して来たのです。
日本
ばか
りじやない、どこだ
つて
、
赤十字
というものは無給にな
つて
おる。そういう次第ですから、その二点については、一昨年から私は耳に入れられて承認しております。その以外のことは、どうも片方の話で、対立させてみなければわからない。ですから、
自分
は承認するというわけには行きません。その点だけお答えしておきます。
苅田アサノ
81
○苅田
委員
次に
日本赤十字社
の
理事
の
松井
参考人
にお聞きしたいのですが、私も
ちよ
うどあなたにお聞きしたいと
思つて
いました問題を、今
蜷川参考人
がお話に
なつ
たわけですが、百三十万円で副
社長
の社宅をこさえたということでありますが、これは当然
本社
会計の中から出ておると思うのであります。これには、もちろん
赤十字
の事業をするのに必要なために集めた
募金
等の金が入
つて
いるかもしれませんし、そういう百三十万円もの金を使
つて
副
社長
の社宅をつくるのだという
よう
なことは、これはどこで
決定
されて、そういう
よう
なことがどんどん進められているのか。そういういろいろな事業計画、多額な金を使う
決定
がどこでなされるかということを、ひとつお聞きしたいのと、それから、社宅のつくられました当時、私が仄聞しておるところによりますと、
日赤
本社
は非常に財政上困
つて
お
つて
、たとえば、
本社
の倉庫あたりが非常に雨漏りや何かいたしまして、当然修繕しなければならない。しかも、十何万という金でそれが直るところも、財政上の都合でできない
よう
な状態にあつたときに、百三十万円の社宅ができたという
よう
な話も聞いているのですが、そういう金のまわし方というものは、
日赤
の
理事
として、どういうふうにお考えにな
つて
おるかということもあわせてお聞きしたい。
松井義重
82
○
松井
参考人
今の社宅問題ですが、午前中にも申し上げました
よう
に、
伊藤
副
社長
は、副
社長
にな
つて
参りまして、
厚生省
の官舎に住んでおつたらしいのです。そこでどう言いますか、やはり赤貧的な立場でや
つて
おられたということで、たくわえもなし自宅もないというので
——
しかし、それは
募金
やそういう
よう
な面からは、全然出ておりません。それは
理事会
の方へ出て来ましたのは、コーヒーを売却しましたお金のうちからそれをするということで、
理事会
の承認も経て、
職員
寮と副
社長
の社宅を買い、そうして二千円だと
思つて
おりますが、家賃を二千円ずつ支払
つて
おる
よう
に存じております。
苅田アサノ
83
○苅田
委員
そうしますと、
理事会
としては、そういうふうにお金をおまわしになりますことは、
赤十字
の運営としてはあたりまえのことで、そういうふうにまわすことは、決して問題にならないというお考えをお持ちにな
つて
おりますかどうか、それが
一つ
。 あわせて私が先ほどお伺いいたしますときにも、当時
赤十字
は、あり余つた金を使
つて
いるのではなく、
本社
の倉庫なんかも、火急に手入れしなければならないものができなくて、
あと
まわしにして、まずそういう社宅をつくることに金を使われたということを聞いておりますのですが、そういうことはなくして、
赤十字
としては非常に資力も潤沢にあ
つて
、そういう問題ができたのかどうかということをお伺いしたわけなんです。
松井義重
84
○
松井
参考人
それはおつしやいますまでもなく、
募金
によ
つて
すべてや
つて
おります。ですから、あれは
厚生省
の官舎だということで、そういうこともしばしば
理事会
で問題になりましたので、
募金
という
よう
な面からは、全然これはタツチしてはいけないというので、今お話のあります金の運営といいますか、すべてそういう
よう
な面は、
事務
当局の方で、総務
理事
の方でよく練
つて
も参りますし、われわれの方でも、是非曲直を判断いたしまして、これならばさしつかえないということで、
理事会
の決議で、すべて処理してや
つて
おる
よう
な次第であります。
苅田アサノ
85
○苅田
委員
どうも私のお尋ねしたことが、十分に答えていただけないのですが、それではこうお尋ねしてみまし
よう
。今度新しい
定款
でも
つて
新しい
社長
が選ばれることになるのですが、もしこの
社長
がまた
厚生省
からでもお迎えする
よう
になりまして、家がない方であれば、また
社長
の社宅という
よう
なことも、当然あなた方の方ではお建てにな
つて
もさしつかえない
——
つまり私が申しましたのは、そういうふうに
赤十字
の金を、今
蜷川
さんもおつしやいました
よう
に、有給の
職員
でなくて、名誉職である
社長
や副
社長
の社宅を建てる
よう
なことに使うということが、普通なお金の使い方であるのかということをお聞きしたわけです。
大石武一
86
○大石
委員長
松井
さんに申し上げますが、
瀬尾
君にも申したと同じ
よう
に、この
委員会
は査問
委員会
ではございませんので、御答弁なさらなくても一向御自由でございますから、どうぞ……。
松井義重
87
○
松井
参考人
これは常識の問題でありまして、今の
社長
なり副
社長
が社宅がない、それで困
つて
いる。しかし金の出どころがない、一方は返さなければならぬ。さしあたり
——
これは見方によりますと、一個の財産ということにな
つて
参りますわけで、浪費したという面におとりくださると、非常に遺憾に思います。そうして家賃もと
つて
、それがやはり
本社
の収益といいますか、その面を半面役立てておる
よう
な点もございますので、その場合と環境によ
つて
、
赤十字
の金自体をそういうものに出すのはいいか悪いか、こうおつしやられると、これは常識問題で考えて行かなければならぬ。そこで
募金
とかすべての点からこれを判定いたしまして、これは
募金
という面からでしたら、われわれは絶対に、出しません。けれ
ども
、コーヒーという
よう
な特殊のあてがわれた面からでありますし、そこでゆつたりして参りましたから、その点から出したということであります。これは
理事会
で相当練られた問題でございます。ですから、一応お尋ねになるのはごもつともだと思いますけれ
ども
、そういう程度でお答え申します。
苅田アサノ
88
○苅田
委員
ただいま
参考人
がおつしやいましたコーヒーの問題ですが、このコーヒーは、何でも海外の方から
赤十字
の事業に使
つて
くれる
よう
にとい
つて
渡されたコーヒーであ
つて
、このコーヒーの問題にからみ、何か不正の
事件
があつたというふうに聞いておるのでありますが、どういうふうな径路でそのコーヒーは
——
このコーヒーもやはり私が今申しました
よう
に、
赤十字事業
に使
つて
くれる
よう
にというので渡された物資である
よう
に
承知
しでおりますが、この点は違いございませんか。
松井義重
89
○
松井
参考人
コーヒーにつきましては、共同
募金
と売上げの面につきまして、
利益
をわけましで、そうしてそれを共同
募金
なら共同
募金
、
赤十字
は
赤十字
の方で使
つて
おります。お手元に差上げてあります中に、詳しく書いてあると思いますから、ごらんくださいまして御
承知
を願いたいと思います。
苅田アサノ
90
○苅田
委員
それでは大体
赤十字
理事
のお方の財政的な問題に対するお考え方というのがわかりましたから、この問題は
あと
でまた
委員会
で問題にいたすことにいたしまして、次に
瀬尾
副組会長にお聞きしたいのですが、ただいま私が
松井
理事
との間に話しました問題につきまして、もし御感想がありましたら、なるべく簡単にここでお話を願いたいと思います。
瀬尾正吉
91
○
瀬尾参考人
ただいまの社宅の問題でありますが、あの社宅を購入しましたのは
昭和
二十五年の五月であります。それで、そのときに、先ほど
委員
の方からお話がありました
よう
に、
日本赤十字社
の救護の医療材料その他の消耗品の入
つて
いる倉庫二棟、また
本社
の正面玄関の上つたところ、これが雨漏りしておりました。倉庫の方はひどい雨漏りだつた
よう
な現状でありました。それでこれを何とかしなくてはならぬというので、
関係者
の営繕課長の方から見積りをとりまして、申請を出したところが、その見積額が十九万円でありました。それは二十五年の三月であります。ところが
本社
においては、今金がないから、何とかそこをがまんできないかという
よう
なわけで、全然その修理はやりませんでした。そうしておりまして、次にすぐに社宅を百三十万円で買う、こういう話がありましたので、われわれは、それはも
つて
のほかだというわけで、それで
組合
も大会を開きまして、それに反対をしたのであります。ところが、
本社
においては、
本社
の塚原人事課長が私のところへ五回ほど来まして、何とかしてこの反対を撤回してくれ、こういう話でありましたので、私は
自分
でや
つたの
ではない、
職員
の
組合
大会の方で
決定
したのであるからというわけで、断りました。それで最後には、この家を買
つて
やらないと、
伊藤
副
社長
やめるかもしれない。そう
なつ
たときに、社としてはプラスかマイナスか、そこまで考えて、何とかこれを承認してもらいたい。こういうふうにして、塚原人事課長は泣きついて来ました。そういう
よう
な事情がありまして、十九万円の金を出して、
本社
の倉庫、本館を直すことができないでおるにもかかわらず、百三十万円を出して家を買つたという実情であります。 そうして、これは余談になりますが、その家を買
つて
喜んで引越したわけです。先ほど
松井
理事
さんの方からもお話がありました通り、それで一家みな、その同士の人を集めて引越して行つたところが、そのうちは驚くなかれあの大正末期の世の中を震骸させた鈴弁殺しで有名なそのうちを買
つて
しまつたわけです。そのために
関係者
の方では、警視庁あるいはその他へ行
つて
、確かにそのうちかどうかということを確かめたところが間違いなかつた。それで、われわれ
職員
の間では、それごらんなさい、天罰てきめんではないかと申したわけです。副
社長
みずからがその部屋に寝て体験した。女、子供がやられたのじやない、三晩泊
つて
毎晩それをやられて寝ていられない。私まで体験したのである。これが自動車の運転手の告白でありますが、なお近所で聞いたところが、あのうちは鈴弁殺しのうちだよ
——
これは落し話じやありません、実際の話であります。こういうわけで、
赤十字
の金を使つたために、そういう天罰があつたということは争えない事実であります。それが当時の実情であります。
苅田アサノ
92
○苅田
委員
それからもう
一つ
瀬尾
さんにお聞きしたいのですが、私はこの前の
委員会
で、昨年の九月の
社員
総会
で、
瀬尾
さんが入場を拒まれて
愛宕署
員に検束されたということが出ましたときに、そここおられました
伊藤
副
社長
、後藤眞三男
——
これは総務局長ですが以下四人ほど
日赤
の
幹部
がおいでになりましたのですが、そういうことを知らないという
よう
な御答弁で、なお確かめたのでありますが、だれも知らないとい
つて
おいでになるのであります。あなたは検束されて連れて行かれはしなかつたけれ
ども
、最初は三人の警官に手とり足とりで追い出されかけて、とにかく黙
つて
いるということで残つたけれ
ども
、五人もの警官がつき添
つて
おつたということは、相当
総会
の場所をごたごたさせておつたに違いないと思うのですが、そういうことについては、
日赤
の
本社
の
幹部
としては全然御存じない
よう
な状況のもとに行われたのでございまし
よう
か。あなたの御判断で、それは
本社
の
責任
のある
幹部
の人が確かに知
つて
いなければならなかつたはずの事実があれば、それをひとつお話願いたいと思うのですが……。
瀬尾正吉
93
○
瀬尾参考人
最初この問題は、先ほ
ども
お話しました
よう
に、私がそういう妨害を受けまして、
よう
やく入れましたところが、その
事件
当日の
総会
の会場の副係長、それは
日本赤十字社
の参事で監査室の係長でありました。その人が来まして、先ほどお話申しました通り、発言がある、やめてもらいたい理由という
よう
なことを押問答しまして、どうしても私がやめないので、
本社
側の後藤常務
理事
が副
社長
と耳打ちして
——
私はここから向うの壁ぐらいの距離で見ておりました。そうしましたら、その次の上の人ですが、監査室の主幹であります鹿田一郎という人がや
つて
来ました。これは当日の会場係長でありますが、その人が来ましてやはり森田さんと同様なことを言
つて
、それでその人が、
——
愛宕署
の警察の人は広瀬という警部補以下三名であります。その人たちに名前を聞きましたら、私は広瀬警部補だ、こういう話でありました。それですから、
本社
の当日の整理係は知
つて
いるわけであります。また
社長
、副
社長
がそれを知らないということは、司会者として怠慢である。私はそのために、今民事で争
つて
いるわけであります。
苅田アサノ
94
○苅田
委員
前回の
委員会
に御
出席
にな
つて
おつた後藤常務
理事
が、そういう態度をおとりに
なつ
たということが、もし
はつ
きりいたしますれば、私はやはり
委員会
でお話に
なつ
たことは、事実に相違する話がされたというふうに考えるのですが、これはなお
はつ
きりいたしまして、その
責任
——
少くともこれは
委員会
では
ほんとう
の話をしていただかなければ、私
ども
は何のために
参考人
をお呼びしているかわからないのですから、
あと
で問題になろうと思います。 それから、もう
一つ
松井
理事
にお聞きしたいのですが、ただいま
瀬尾
さんの話では、社宅を買
つて
あげないと
伊藤
副
社長
がやめられる、
伊藤
副
社長
にやめられると、
本社
の事業がプラスかマイナスかという
よう
な大きな
関係
を持
つて
いるというのでありますが、なぜ
伊藤
副
社長
一人を引きとめなければならないのか。百三十万円もの社宅を建てても、
伊藤
副
社長
に留任していただかなければならない
よう
な理由が、当時の
日本赤十字社
にあ
つたの
かどうか。私は、当時の
日本赤十字社
といたしましては、百三十万円の支出は、相当大きな支出であると思うのです。この点は、
瀬尾
さんの話が間違
つて
おれば、間違
つて
おるとおつしや
つて
よろしい。そうでなければ、それほどまでにしても
厚生省
から迎えた
伊藤
副
社長
は重要な人物であつたかという、その理由をお話し願いたいと思います。
松井義重
95
○
松井
参考人
今
瀬尾
君からそういう話を聞いて、塚原君やみながそういう話をしたという
よう
なことは、初耳なんです。われわれの方としては
厚生次官
の官舎を明けなければならぬ。早く返さなければならぬ。また各
病院
にも院長社宅があるし、
伊藤
副
社長
は非常に清貧な人で、たくわえもなしという
よう
な面を聞き、というて、この金を
赤十字
の
募金
の方方ら持
つて
行く
よう
なことは、とてもできないというので、時期を待
つて
おりましたら、先ほど申しましたコーヒーの問題がありましたので、そこでそれではひとつ何し
よう
ということで、
理事会
できめた
よう
なわけであります。
苅田アサノ
96
○苅田
委員
もう
一つ
、
松井
理事
にお聞きしたいのは、
瀬尾
さんのき
よう
の陳述でも、
日赤
と
厚生省
とは非常に深い
関係
があ
つて
、始終
厚生省
の
役人
たちが
日赤
に来て、飲んだり食つたり、麻雀をしている。特に一昨年の九月十三日でしたか、夜半の二時ごろにや
つて
来て、八名でたたき起して、食堂からいろいろな飲みものをとらせてビールを飲んで、そうして麻雀のかけ代だけでも、ある期間をお限りに
なつ
た
よう
ですが、二十四万円も
日赤
本社
が負担しているという
よう
な、重大な発言があつたわけなんですが、こういう事実を、
理事
としてお認めになるでし
よう
か、どうでし
よう
か。
松井義重
97
○
松井
参考人
これを聞きますのは、今初耳でありまして、これは
瀬尾
君が私の性格をよく知
つて
おります。こういう問題を聞いて、私は黙
つて
おりません。帰りましたら、さつそく調査いたします。
大石武一
98
○大石
委員長
青柳
一郎君。
青柳一郎
99
○
青柳
委員
赤十字社
の非違をいたずらに摘発して、これを審査し、あるいはこれを検討するという
よう
なことは、われわれの
委員会
では、取上ぐべき問題ではないと私に思うのであります。従いまして、私は本日は
参考人
の方々が御陳述になりました内容のうち、
赤十字社
のあり方についての問題をめぐりまして、三、四簡單に御質問をいたしたいと存じます。 まず第一に、私が取上げなければならない問題と考えますことは、現在の
朝鮮
事変におきまして、先ほど
蜷川先生
の御陳述に、国連軍であると
共産軍
であるとを問わず、いずれの軍に対しても救恤を行うべきであるというお話でありました。いかにも私
ども
もさ
よう
には考えるのでございますが、まず第一番目に
松井
参考人
に承りたいのは、現在国連軍に対して、
日本赤十字
はいかなる救恤を行
つて
おられます。か、その点につきまして承りたいと存じます。
松井義重
100
○
松井
参考人
救恤と申しますと…。
青柳一郎
101
○
青柳
委員
救恤という言葉が悪いかどうかは、私はわからぬのでございますが、先ほど
蜷川先生
の御陳述の中には、
救援
という言葉を使われたのであります。たとえば国連軍の将兵について、その傷病の手当をするとか、あるいは血液の問題、いろいろあると思うのでございますが、どの程度のことを打
つて
おられるかを伺いたいのであります。
松井義重
102
○
松井
参考人
これは
本社
及び
全国
の合支部に、昨年も国連軍を慰問するという
よう
なぐあいで、お金を集めまして、そうして傷病兵の慰問に対してあらゆる面から、たとえば
病院
慰問であるとか、あるいは病人をある一定のところに招待をして慰安をするとかいう
よう
な建前で、そういうことを
全国
各文部を通じていたしております。
青柳一郎
103
○
青柳
委員
ただいまは慰問だけについてお話がありましたが、慰問だけでございまし
よう
か。
松井義重
104
○
松井
参考人
その他いろいろや
つて
おりますので、その点につきましては、文書をもちましてお答えしてはいかがかと思います。
青柳一郎
105
○
青柳
委員
けつ
こうでございます。
日本赤十字社
で国際連合軍に対して行りておると同様なことを、
北鮮
軍すなわち
共産軍
に対して行うべきであるかこうかということにつきましても、御
意見
を承らせていただきたいのと、実像にそういう努力をしても、それは
現実
に行い得ないのであるかどうかという
よう
な点につきましても、承りたいこ存じます。
松井義重
106
○
松井
参考人
実はあの勃発当時、
赤十字
はすべてをやらなければならぬ、南の方はもちろん、北の方もあらゆる手を養してやらなければならぬということは、われわれの
理事会
でも決議いんしております。決議文に
はつ
きり出しおります。
青柳一郎
107
○
青柳
委員
私も南北両軍を問わず、
赤十字
の本来の事業を一律平等に行うべきであると存ずるのでございますが、私客観的に国際的の情勢を観察するのに、
共産軍
に対してその手を伸ばそうとしても、伸ばし得ない事情にあるのではないか、こう思うのでありますが、その点についての実情を
承知
いたしたいのであります。
松井義重
108
○
松井
参考人
お説ごもつともであります。南の方へはずいぶん参りました。北の方についてどうしたらいいか
赤十字
本来の使命としてはほう
つて
おくわけには行かぬ。では中共や満洲に行くか、中共、満洲はぐあいが
惡い
、こういうことで、
理事会
でしばしば慰問ということについて、等閑に付してはいないので、
赤十字
本来の使命としてやらなければならぬということで、論議されておる。その
方法
、手段については考究しました。しかし、万策を養して行
つて
届かないということならば、われわれの方では、氣持だけでも
赤十字
はや
つて
いるということが表現できるのじやないか。これも
理事会
のたびに話題になり、議事録にも載
つて
おる。そうして
理事会
の議事録はちやんとございますから、もしその部分が御必要であるならば、提供してもいいと思います。
青柳一郎
109
○
青柳
委員
どうも
松井
参考人
は、私の申し上げることを慰問だけに限
つて
、お答え願
つて
おるのでございますが、慰問だけでなくて、血液の提供にいたしましても、傷病者の看護にいたしましても、ただいま
松井
参考人
は、慰問という言葉で表現せられましたが、全部それを含むものと
解釈
してよろしいのでございまし
よう
か。
松井義重
110
○
松井
参考人
精神上よりも、また物質上よりも、あらゆる面において、
赤十字
としては手の及ぶ限りや
つて
参
つて
おるはずでございます。
青柳一郎
111
○
青柳
委員
次に、これは共産党の苅田君は触れなかつた問題ですが、未復員者の帰還促進に関する問題でございます。先ほど
蜷川参考人
は、
捕虜
救恤という言葉を使われました。
捕虜
救恤をやるのは
日本赤十字
の本来の
任務
だ。しかし
捕虜
の送還を促進する
仕事
を
赤十字
がやるのは、それは
政治
的な問題であ
つて
、
赤十字
本来の
任務
を逸脱する
不法
行為である、こう言われたと私は思うのであります。私はこの点につきまして、まず
松井
参考人
はどういうお考えを持
つて
おられるかにつきまして、承らせていただきたいと思います。
松井義重
112
○
松井
参考人
これは実際問題におきまして、戦争に出ております
赤十字
の
看護婦
で、まだ帰
つて
いないのは、数は約三百何ぼと思いましたが、的確な数字はわかりません。これすらわれわれといたしましては、完全に帰
つて
来てもらうということがまず第一。ひいて、やはりそういう面につきまして、昨年でしたか、
社長
がジユネーヴの会合に行きまして、あらゆる連絡をと
つて
帰還し、また向うに抑留されておられる人の手紙の取次ぎという
よう
なものも、これは
赤十字
の当然なすべきことだということで、あらゆる面でや
つて
おるはずでございます。
青柳一郎
113
○
青柳
委員
社長
が、
日本赤十字社
の
看護婦
のうち、まだ中共あるいはソ連に抑留せられておる気の毒な人々の帰還を促進するという働きを行うことは事の当然であると私は存じます。先ほど
蜷川先生
の言われた問題は、その他の中共、ソ連に抑留せられておる
日本人
の帰還促進を行つたことがけしからぬ、こう言うのであります。この点について御
意見
を承らせていただきたい。
松井義重
114
○
松井
参考人
赤十字
は博愛、奉仕、協力という建前で、当然手を伸ばすべきものは、一個の自我の立場でなくて、あらゆる面に手を伸ばしてやるべきが当然でないかと考えます。
青柳一郎
115
○
青柳
委員
私は、それでは次の問題に移ります。先に
蜷川参考人
にお尋ねいたします。先ほどこういうお言葉があ
つたの
であります。
看護婦
の養成、あるいは
病院
をも
つて
看護婦
の養成をする、あるいは必要な材料を準備するのは戦争の
準備行為
である、こう言われました。共産党の苅田君はこれをとらえて、それは憲法
違反
である、こう言われておるのであります。
先生
は、そういう
準備行為
を行うことが、
日本赤十字
の
仕事
を非常に逸脱して、しかも戦争の準備であるという点から、憲法の第九條に
違反
すると思われますか。
蜷川新
116
○
蜷川参考人
お答えいたします。アンリ・デユナンが一八六三年に
赤十字
を提唱しました時分に、ジユネーヴへ帰
つて
いろいろ
言つた
中に、お互いに将来ヨーロツパにおいては、また戦争があり得ると思う。そのときにソルフエリーノの戰いの
よう
な悲惨事が起
つて
はいかぬ、だから、ふだんから何か衛生員の養成をし
よう
じやないかというのが彼の打出しであります。そのことか今日までずつと博わ
つて
来たのです。ですから、本来の
目的
は、
病院
を置いて
看護婦
を養成して物品を整備するということは、戦時のときの準備であるということは明白であります。それが
日本
の憲法が改正されましたから、
日本
の
赤十字
は全然戰争に
関係
はない。その点については改正時分に相当に私の
意見
を述べたものです、俘慮に関してもやらなくちやいけないとまで一時は
言つた
くらいです。とにかく、ただいまは惰勢で
病院
ができております。その
病院
でや
つて
おるのは、必ずしも戦争の準備だと私は断言することはできぬと思います。それは
病院
経営で、
病院
はやりそこな
つて
はいけないのでして、収支決算が償わなくちやいけないのです。
看護婦
も置かなければならず、薬品も置かなければならぬ。それは
病院
そのものの経営であ
つて
、戦争の準備ではないと言うことができる。だから、それだけのことで憲法
違反
となる理由はありません。
青柳一郎
117
○
青柳
委員
今のお答えによりまして、結論的にお尋ねいたします。
日本
の
赤十字社
は、将来あるかもしれない戰争の際に、その戦争で倒れた傷病兵などを戦地において
治療
するという
よう
なことは、いけないという御
意見
でございまし
よう
か。
蜷川新
118
○
蜷川参考人
それは国際的に国内的に、災害があれば救
つて
やる。これも一種の苦痛の軽減でありまして、これはむろんやらなければいけない、やつちやいけないなどと言
つて
は、私は
赤十字
の
原則
を知らない
人間
にな
つて
しまう。まさか私はそんなことはできないと思います。
青柳一郎
119
○
青柳
委員
そうなりますと、結局
日本赤十字社
が
病院
を持ち、
看護婦
を養成し、また必要な資材を整えるということは、平時において事態に即応し得る態勢も整えるし、戰争の際には国のいかんを問わず、その戰傷者に対してあたたかい手を伸ばすべきである、こういう
仕事
を現在も準備し用意することは適当である、こういうお考えであると存じますが、よろしゆうございますか。
蜷川新
120
○
蜷川参考人
それはよろしいのです。けれ
ども
、
一つ
答えたいのは、戰争をするとは私は
思つて
いない。どこで戦争をするのですか、私の方から逆襲しなければならない。
青柳一郎
121
○
青柳
委員
私は
日本
が再び戦争すると申したのではありません。どこの国で戦争がありましても、
日本
の
赤十字社
は行き得る態勢を整うべきである、こう述べたか
つたの
であります。そういたしますと、
先生
の御所見によりますと、
看護婦
の養成、
病院
の設置、あるいは必要なる資材を整えておくことは、憲法
違反
でなしということは
はつ
きりするのでございますね、よろしゆうございますか。
蜷川新
122
○
蜷川参考人
はい、よろしゆうございます。
青柳一郎
123
○
青柳
委員
次に、
メーデー
におきまして、
メーデー
が騒擾
事件
であつたということにな
つて
おります。この
メーデー
につきまして、
日本赤十字社
が発動をしなかつた点を、
蜷川先生
は鋭くつかれたのであります。発動すべきであ
つたの
に、発動しなかつたとなりますれば、これは
赤十字社
の
責任
であると存ずるのであります。
松井
参考人
の御
意見
を承らせていただきたいと思います。
松井義重
124
○
松井
参考人
これは五月一日は私はこちらにおりませんでして、午前中も述べられましたが、こういうことを
赤十字
が知
つて
おつたならば等閑に付してはいないだろうと申しますのは、数日前の
理事会
でも、災害とかいろいろなことが生じたときに
——
これは二時間に一回ぐらいの割合で災害が生じて来て、おるということでございますので、これは
赤十字
が知
つて
おつたならば、決して等閑に付してはいないということを申し上げます。もし等閑に付している
よう
なことがありますれば、これは
赤十字社
の立場として、当然処置をとらなければならぬ。
青柳一郎
125
○
青柳
委員
そういたしますと、この
事件
が発生しましたことは、その当時の
赤十字社
は知らず、また何らの通知、要求もなかつた、こういうふうにと
つて
よろしゆうございますか。
松井義重
126
○
松井
参考人
私はこの件については、冬部門から詳しく聞いておりません。ですけれ
ども
、もしあるいはこれで出ているかもわかりませんので、それは局部々々の
病院
の近くでやりましても、どこでやりましても、こういう
よう
な面について関知しておりましたら、等閑に付していないということを
はつ
きり重ねて申し上げます。
青柳一郎
127
○
青柳
委員
最後に
瀬尾参考人
に承りたいのであります。
瀬尾参考人
は、先ほど
募金
のことにつきましてお触れになりまして、二十三年におきましては、
募金
した金のうち、
赤十字
本社
に納められた金は、その金のうちのたつた二〇%にすぎなかつた。二十四年におきましては、たつた一六%にすぎなかつたと言われたのであります。これらの点につきましては、いずれ機会を見て調査の資料をお出しになるということに相な
つて
おりますが、何とぞ調査を出されます際には、その調査の根拠を
はつ
きりと明示していただきたいと思いますが、いかがでございまし
よう
。
瀬尾正吉
128
○
瀬尾参考人
その点は、
はつ
きり明示して
提出
したいと思います。
大石武一
129
○大石
委員長
金子与重郎君。
金子與重郎
130
○金子
委員
先ほど来各
委員
から、いろいろ
参考人
に対して質問があ
つたの
でありますが、私は本
委員会
が、本日
参考人
に御苦労願いまして、
赤十字
の各般の、主として過去の問題につきまして陳述していただくという、その
目的
といたしましては、今ここに
日本赤十字社法
というものを制定すべきかいなか、どういうふうにすべきかという
よう
な段階に入りまして、今後の新しい法人をつくる、その参考としての御
意見
、そういう意味から私は聞いておると思います。そこで、私は今までの陳述の諸点は、各
委員
からお伺いがありましたから、その点には触れませんが、各
参考人
から、この問題はお答え願いたいのであります。皆様方は、過去労組の立場で働かれた人、あるいは顧問の立場、あるいは現職の立場、こういう
ちよ
うど三つの立場から
参考人
がおいでになるのであります。そこで、今後
日本赤十字社
というものは、その性格として、どういうふうな形の法人として将来進むことが一番いいか。これを註釈いたしますと、たとえば、社会
福祉
事業を主体にやるならば、今は社会
福祉
法人という
一つ
の
法律
がある。その上に
赤十字
独特の事業があるとするならば、現在は
社団
法人ですが、それをどういうふうな特殊法人の方向に持
つて
行つたらいいかという、概念でよろしゆうございますが、まず第一にそれを各
参考人
の方からお聞きしたい。 それから第二には、ただいまるる陳述がありました中の、問題点をお聞きいたしますと、役員の人格の問題にも非常に、影響を持つ
よう
でありますし、あるいは経理の運び方にも問題がある
よう
でありますし、あるいは組織の面にも問題があると思うのであります。そういう
よう
な問題をひつくるめて、今後
赤十字社
という法人を新たに国家が制定するならば、どういう点とどういう点にどうしても考慮を払わなければならないかということについて、今ここでお気きにな
つて
いる範囲で、簡單でよろしゆうございますが、要点だけを箇條的にお述べ願いたいと思います。そして私
ども
が今後この
法律
審議、あるいは制定する上にあた
つて
の参考にさせていただきたいと思います。こういうことを、まず
松井
さんから順次御
意見
を伺いたいと思います。
大石武一
131
○大石
委員長
ごく簡單に要点だけお述べ願います。
松井
君。
松井義重
132
○
松井
参考人
申し上げれば非常に長くなりますが、今お尋ねの点は、
ちよ
うど法案
提出
の理由の説明書と、それから
赤十字
法案として出ておりますから、それをごらんくださいましたら、非常に
けつ
こうだと思います。
蜷川新
133
○
蜷川参考人
私の
意見
は、憲法がこのままである間は、今の
定款
でたくさんだと思います。
定款
は戦争はないというところからかえて来たのです。今にな
つて
特別法人にする何の理由もないのです。今
ちよ
つと読んでみますと、役員を任命式にし
よう
というだけの話です。それはいけません、専制主義にもどるのです。そんなことは、今はよけいなことでして、いよいよ
日本
が軍備をや
つて
、憲法を改正するそのときに
なつ
た場合に伴
つて
赤十字
の改正は必要でし
よう
。しかし今はその必要は絶対にない。中に欠点のあることは、申し上げれば長くなりますから、御要求があれば申し上げてもいいですが、それはよろしゆうございますか、いかがですか。
金子與重郎
134
○金子
委員
そう長いことはいりませんが、現行法の欠点の一番大きなものに対して、二、三お述べ願いたいと思います。
蜷川新
135
○
蜷川参考人
それでは申し上げます。
赤十字社
の一番の欠点は、臨時給会を開くことができないという点です。それは千三百万人という多数の
社員
があるにかかわらすその十分の一を集めて来なければ、
臨時総会
の要求ができないのです。だからこれはできつこないのです。ですから、どうしても、万分の一くらいにかえる必要があります。これはデモクラシーにするための最も要点であります。かえる時分に、私はむろん異議を
言つた
のですが、つぶされて
しまつたの
です。もう
一つ
は、
評議員
、
理事
とかいうものの数が多い。しかもその
評議員
の多数は、議長が選定するのでして、御用議員です。これは旧憲法の勅選議員のまねなんです。これじやとうていだめなんです。議長、副議長はか
つて
なことができる。ですから、初めからこれも不賛成でしたが、やはり通してしまつた。この二点が最も欠点です。そのくらいでよろしいですか。
瀬尾正吉
136
○
瀬尾参考人
現在の
日本赤十字社
の
定款
で、たくさんだと思います。ただこれを運営する人にあると思いますから、この人の問題を
はつ
きりと、この
定款
に
従つて
民主
的にや
つて
いただきたい。それで先ほ
ども
申し述べました
よう
に、字句の問題ですが、
社長
、副
社長
は
総会
において
決定
するという
よう
な
文字
を使
つて
ありますが、これを
はつ
きり
選挙
という
よう
に改正していただいて、それで
民主
的に運営して行つたならば、現在の
赤十字
でたくさんだと思います。
大石武一
137
○大石
委員長
それでは
委員長
から
参考人
にお願いがございます。
松井
参考人
に対しては、麻雀
事件
の真相を御報告願いたいと思います。それから
瀬尾参考人
に対しては、松谷議員より要求がありました十四箇條の問題、それから
募金
の費途に関する
書類
での御報告を願いたいと思います。
参考人
にはまことに御苦労様でした。 本日はこれにて散会いたします。 午後二時四十九分散会