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1952-05-31 第13回国会 衆議院 厚生委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月三十一日(土曜日)     午前十一時二十二分開議  出席委員    委員長 大石 武一君    理事 青柳 一郎君 理事 丸山 直友君    理事 金子與重郎君 理事 岡  良一君       新井 京太君    堀川 恭平君       松井 豊吉君    松永 佛骨君       松谷天光光君    堤 ツルヨ君       苅田アサノ君    寺崎  覺君  出席政府委員         厚 生 技 官         (公衆衞生局環         境衞部長)  楠本 正康君  委員外出席者         厚生事務官         (公衆衛生局検         疫課長)    輕部彌生一君         專  門  員 川井 章知君         專  門  員 引地亮太郎君         專  門  員 山本 正世君     ————————————— 本日の会議に付した事件  外国軍用艦船等に関する検疫法特例案内閣提  出第二〇四号)     —————————————
  2. 大石武一

    大石委員長 これより会議を開きます。  最初に御相談申し上げたい事項がございます。それは、仄聞するところによりますと、地方自治法改正案が今地方行政委員会に上程されておりますが、これが修正されるという情勢にあるようでありまして、その修正の中に、東京都の特別区に福祉事務所を設けるという事項がございます。御承知のようにこの福祉事務所は、昨年の十月、生活保護法並びに社会福祉事業法改正によりまして、全面的に区より都の方へと事務所を移管することになりまして、その後それによつていろいろな実績をあげて参つたのでありますが、改正後わずか半年足らずして、これをまた元の区にもどすという事態になりますと、生活保護法の適正その他からいつて、不都合な点が出て参ることが多いと思われますので、一応このような修正をされないように、厚生委員会より地方行政委員会の方へ申入れをしたいと思いますが、いかがでございましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大石武一

    大石委員長 御異議ないと認めますので、そのように委員長よりとりはからいます。なお文書の作成手続等に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じます。     —————————————
  4. 大石武一

    大石委員長 次に、外国軍用艦船等に関する検疫法特例案を議らとして審査を進めます。  本案は、前会において質疑を終了いたしておりますので、ただちに討論に入ります。通告順によりまして松谷天光光君。
  5. 松谷天光光

    松谷委員 私は改進党を代表いたしまして討論をいたします。改進党は、本案に対しまして条件をつけて賛成をいたしたいと思います。  本法案は、検疫法の二十二條に基いて、国際慣習を尊重しての特例でございます。今日世界各国実情を見ますと、すべての国において、特に軍用艦船は、通告をもつてすれば自由に出入を認めるということになつておるようではございますが、外国開港場には、すでに検疫所の完備がなされているようでございまして、これに比較いたしまして、日本開港場五十八の中において、検疫所はいまだわずかに二十四港場にとどめられているというような実情でございます。説明によりますと、いわゆる出張検疫をなすということでございますが、しかし、でき得るならば、今後日本においても、五十八開港場にはすべて検疫所設置するというところに、ぜひ参らなければならないと考えるものでございます。今後日本は、文化国家として進まねばならないのですから、国民衛生に必要なこの検疫の問題、あるいは重要視されなければならないこの検疫所増設の問題については、特に当局の絶大なる御努力希望してやまないものでございます。特に最近検疫所設置を必要といたしており、当局にも再三陳情をなされておるところの、釧路、塩釜、岩国、新潟、二見、敦賀、伏木、七尾、唐津、三角、厳原、日南、細島、津久見、今治、このような開港場には、より可及的すみやかに検疫所設置希望してやみません。特にこの点についての当局の御努力をお願いしたいと思う次第でございます。  次に、この際なおつけ加えてお願いしたいことがあります。最近いろいろ実情を見ますと、検疫所検疫所医官欠員が相当数出ているのでありますが、検疫所の性格から申しまして、医官欠員ということは検疫業務の執行上非常にさしさわりが出て来ると考えますので、特にこの点について当局の絶大なる御配慮をいただかなければならぬと思います。ことに、欠員の原因が給与に関係することではないかと私どもは考えるのですが、この開港場等の地方的な実情、ことに、僻地であるにもかかわらず、地域給その他の問預においてこれが冷遇されておるというような点につきましては、官庁別指定か何かひとつお考えくださいまして、すべての職員についてももちろんそうでありますが、特に医官等につきましての御配慮を煩わしたいと思います。そうして一日も早く欠員を満たし、ことに現在の二十四検疫所をもつて五十八の開港場に入る軍用艦船検疫をなす上において、特別の御配慮を願わなければ、十分な検疫ということはなされないと考えます。  あるいはまた、質疑において再三申し述べましたように、今日は非常事態をも、なお一応勘案しなければならないと考えますので、非常事態に備えての検疫の問題も、当局においては特に御配慮を願いたいと思います。  以上の條件を付しまして、検疫が十分に実施されることに当局が十二分に御配慮くださることを希望いたしまして、本案賛成をいたします。
  6. 大石武一

  7. 堤ツルヨ

    堤委員 私は日本社会党の立場から、本法案に対して、二、三の希望を付して賛成をするものでございます。  ただいま改進党の松谷委員が御指摘になりましたように、外国軍用艦船検疫にあたりましての日本施設につきましては、非常に不満足でございます。しかし、軍用艦船の場合は、他の商船と異なりまして、伝染病であるとか、悪質な病魔のために職方を消耗するというようなことがありましては、電力に非常に影響いたしますので、いろいろな防疫に関しましては、軍艦内において特定の注意が払われておるのが当然でございます。私は、この点において、商船よりもきびしい防疫体制にある軍用艦船ということを一応信用いたしまして、その上に立つて、今の設備の十分でないこの外国軍用艦船検疫に関するところの特例案に対しましては、そういう見地から一応賛成をいたしたいと存ずるのでございます。但し、ただいま改進党から御希望がありました通り、幾多の港から陳情いたしております。これらの港に対しましても、わが日本社会党といたしましては、早急にその施設を完備されんことをお願いするものでございます。  なお、次にもう一つお願いをしたいのは非常事態の問題でございます。朝鮮動乱の問題、また今日日本アメリカと結んでおります行政協定の問題と関連いたしましてでございますが、一朝非常事態が起りました場合に、その力関係におきましても、非常に日本は今日薄弱でございまして、日本主権を無視して、この防疫が一方的な主張によつて行われ得るということは、非常事態に十分考え得られるのでございます。この問題につきましては、一国の主権にも及ぶことでございますから、十分協議をして、共同の力においてなされんことを、特に要望しておきたいと思うのでございます。  なお、質疑応答のときに問題になりました空港の問題でございます。三十近くの空港を、行政協定によつてアメリカ側指定希望しており、目下交渉中のこの空港の問題につきましては、当然これも海港と同じく完全な設備をいたさなければならないのでございまして、どうか大蔵当局と御交渉の上、空港につきましても、完全な施設を要望するものでございます。  以上三点を強く当局に要望いたしまして賛成するものでございます。
  8. 大石武一

  9. 苅田アサノ

    苅田委員 私は日本共産党を代表いたしまして、外国軍用艦船等に関する検疫法特例案に対しまして、反対の意見を表明するものであります。  政府は、外国軍用艦船及び飛行機等に対しまして検疫手続を簡略にし、先方の自主的な検疫を認めることは、国際的な慣例であるという理由で、この特例を認めておるのであります。ところが、このような慣例は、平時おいで外国軍艦が年に一ぱいか二はい入港する場合のとりきめでありまして、政府答弁もその通りだということであります。しかるに、そういう平時状態を目標としたこの特例法をつくるといいながら、日本が今当面しておる状態、すなわち占領下に引続いて安全保障條約によつて行政協定がつくられ、国内米軍港ができ、また三十箇所もの飛行場ができ、毎日何台かの軍艦飛行機が出入りしておる状態のもとで、この軍用艦船あるいは飛行機に対する検疫をどうするのかという問いに対しまして、やはりこの特例を準用するということを答弁しておるのであります。外國艦船が決して防疫上完全なものでないということは、特に米軍は、自国の文化を誇り、日本野蠻国と思つておりますから、日本のものには神経過敏でありますが、逆に自分たちの側の安全感から、手ぬかりが多くて、占領下におきましても、たとえば神戸において、洗濯物から日本人の中に天然痘が流行しましたことや、博多へ上陸いたしました外国兵隊が連れました婦人に天然痘がうつりまして、それが自動車運転手とか、旅館の人にまでも伝播したというように、米国軍艦から日本悪疫が感染して流行したことは、決して例のないことではないのであります。特に米国内で勉強いたしましたところの医者は、伝染病についての経験が乏しいところから、病菌の発見ができない例がしばしばあるのでありまして、検疫外国の手にゆだねることの不安であるということは、伝染病研究所国立公衆衛生院の專門家が言つておるところであります。また直接検疫事務に携わつておりますところの横浜や横須賀の検疫医は、明告書だけ見せられて防疫責任を負うということは、神様でなければとてもできないと、率直に言つておるのであります。こういうふうに、直接検疫に携わつている人たちが、このようなやり方では、とても責任が負えないと言つておるのに、本委員会におきまして、環境衛生部長責任を負うということを言われることは、まつたくどういう根拠に基くか、私どもははなはだ疑わしいと思うのであります。非常に無責任であると思うのであります。なお占領下でも、従来二十四の検疫港に限つて入港を許しておりましたのに、講和回復後の今日になりまして、かえつて検疫施設のないところの三十四の港を加えまして、五十八の開港場のどこでもが、外国軍用艦船の出入りを許可するというのは、まつたくわけがわかりません。政府は、一応行政協定によつて米軍艦検疫港に入れるというとりきめができておると言つておりますが、こういう除外規定は、何ら本法の中に明記されていないのであります。米軍は、従来でも熱海とか、小田原沼津等の開港されていない港のどこでも、かつてに入港していた事実から推しまして、強権を持つている米軍が、單なる約束だけで、どれだけの責任のある行動をとれるかということは、私どもは十分戒心しなければならぬと思うのであります。また、それらの何万人という米国兵隊やその家族は、かつて日本中どこでも歩きまわつておるのでありまして、年に一ぱいや二はい、ちよつとだけ来まして、すぐ出て行くような外国艦船の場合とは、そういうことでもまつた條件が違うのであります。こういうような、まつた先方まかせのやり方で、政府は、はたして国民悪疫から守る責任が果せると思つておるかどうか、私は非常にこれは無責任処置であると断定せざるを得ないのであります。  日本は敗戦し、戦後七年にも及ぶ占領制度のもとと、これに屈服した吉田政府のもとで、国民生活水準は、政府の発表によりましても、まだ戦前の水準にも達しておらないのであります。特に悪は労働條件や住宅その他の悪環境のもとで、いつでも国民の健康は脅かされておる次第であります。これは近年のあの赤痢蔓延状態を考えてみましても、よくわかるのであります。昨年は五百人に一人の赤痢保菌者であつたにもかかわらず、今年はもうすでに百人に一人の赤痢保菌者があるために、東京都でも、積極的な伝染病対策に乗り出さなければならない。こういう処置が考えられておりますやさきに、こうした外国からの防疫状態の大きな穴をそのままにしておくということは、どう考えても、私どもは納得できないと思うのであります。こういう状態であれば、何とかして病気を国に入れないで、国内で流行させないようにすることは、日本では、ほかの国よりも一層真剣に考えなければならないことにもかかわりませず、戦地との間を行き来する飛行機軍用艦船が、日々日本海星港を出入りしているのに、日本検疫は手をこまぬいて報告を待つだけだということは、国民防疫上きわめてゆゆしい問題だと、私どもは断定せざるを得ないのであります。政府自身もこの点を気づかないわけではなくて、それであればこそ、行政協定のとりきめに際しまして、日本検疫所をつくらせてもらいたいということを要求しまして、先方の軍医との了解はできましたが、米軍作戦見地から拒絶されたということを、厚生当局も、かつてこの席上で言明をしたことがあるのであります。政府は、軍事基地ができた以上、しかたがないと言つておりますが、こういう基地ができることに賛成した国民は、一人もないのでありまして、基地を返させるということが根本的な問題でありますが、それまでは、少くとも日本のちやんとした検疫所をつくつて、その費用は当然アメリカに出させて、防疫上万全の策を講じなければならないのでありまして、これは一国としては最低の当然の要求であると信ずるものであります。  さらにまた、従来の日本検疫所では、これまでまつたく総司令部管理下にありまして、責任のなかつた場所が、今度の特例法によりまして、実権の伴わない責任だけを日本が引受けることになるのでありまして、手数だけはさらにふえて来るのにかかわりませず。検疫所増設とか、設備改善、人員の増加、待遇の改善等は、まつたく実質的には用意されておらないのであります。従来の予算定員さえも一割近く欠員になつておる状態でありまして検疫担当者をいたずらに奔命に苦しめるだけでなくて、こんなことでは、すべての検疫はまつたく室文に帰してしまうおそれがあると思うのであります。当然政府は十分な予算措置を講じまして、こういう状態に対する万全の策を火急にしなければならないと信ずすものであります。  要するに政府が以上の処置をとらないということは、アメリカ軍事作戦の前に、日本国民の健康を犠牲にすることもやむなしということでありまして、少くとも公衆衛生上、日本国民は大きな不安を感じるということは事実であります。私ども日本共産党は、こういう法律には絶対に賛成することができません。
  10. 大石武一

    大石委員長 以上で討論は終了いたしました。  これより外国軍用艦船等に関する検疫法特例案の採決に入ります。本案原案通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立
  11. 大石武一

    大石委員長 起立多数。よつて本案原案通り可決いたしました。  なお本案に関する委員会報告書作成に関しましては、私に御一任願いたいのでありますが、そのように決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 大石武一

    大石委員長 御異議なしと認め、そのように決します。     —————————————
  13. 大石武一

    大石委員長 次に、松谷天光光君の質疑に対する政府委員答弁がありますので、これを許可いたします。楠本政府委員
  14. 楠本正康

    楠本政府委員 調査方について御專求のありました点につきまして、結果を御報告申し上げます。  占領期間中におきまして、熱海小田原沼津等には、米軍保養施設がございました。この保養施設に所要の保養者を輸送するにあたりまして、船によつて輸送をした事例があつたそうであります。従いまして、おそらくかような事例が問題を生んだのではなかろうかと考えております。しかしながら、保養を要する者を輸送いたしますには、船を用いましても、あるいは汽車で運びましても、これはまつたく同様でありまして、特に占領治下でもおつたことでありますので、かような事例でありますれば、おそらくこれは問題にする必要もなかろうと考えておる次第であります。
  15. 松谷天光光

    松谷委員 ただいまの御説明によりまずと、その上陸は内航による上陸と解釈いたしますが、それでよろしゆうございますか。
  16. 楠本正康

    楠本政府委員 もちろん外地、アメリカ等から病人を運んで来ることはございません。従いまして、内地の病院でなおりかけて保養する人たちが集まつたのでありまして、当然内航と考えております。
  17. 松谷天光光

    松谷委員 内航であるということがはつきりいたしますれば、一応了承いたします。
  18. 苅田アサノ

    苅田委員 熱海沼津小田原に着きました外国艦船からは、事前にもよりの検疫所なり、あるいはほかの着任のある場所なりに通告なくして、この船は入つて来たのであります。そして日本監視所か何かから発見されたものだということを、私は直接聞いたのでありますが、そういたしますと、そういう保養地に着けます船は、事前に何ら検疫所とか——これは検疫は浩んでいるのでしようから、検疫はなくてもいいでしようが、日本側通告なく、そういう開港されてないところにどんどん船を着けてもいいのでありますか、この点をひとつお聞きしたいと思います。
  19. 楠本正康

    楠本政府委員 ただいま申し上げましたように、これは占領治下特例でございまして、今後はかようなことは考えられぬのであります。
  20. 苅田アサノ

    苅田委員 そうしますと、占領治下では、こういう例はその三港だけでなくて、特例といたしまして日本全国各所にあつた。しかし今度は占領治下でないのだから、そういうことはなくして、もしそういう場合があれば、これは外交折衝で問題をしかるべく解決する、こういうような御回答と解してよろしゆうございますか。
  21. 楠本正康

    楠本政府委員 そういう意味を申し上げているのではないのでございまして、戰争中さような事例があつた。しかし、この事例は、あたかも汽車病人を輸送するなり——病人と申しますか、保養を要する人間を輸送するなり、自動車で運ぶなりと、まつたく同様に占領治下においては考えておる、こういうことを申し上げておるわけであります。
  22. 苅田アサノ

    苅田委員 私は病人汽車で運ぶよりも、船で運ぶ方が便利だから、使うのをいけないといつているのじやないのでありまして、そういうふうに開港場でなくても、占領下では日本中どこの港でもそういう船がまわることを許されておつた状態であるかということをお聞きしているわけなんです。
  23. 楠本正康

    楠本政府委員 検疫が済んでおりますれば、どこの港に行つても、どこに着けても一向さしつかえないのであります。
  24. 苅田アサノ

    苅田委員 それはつまり、開港場と一応指定された港があるわけですが、そういうところにもかまわず、どこでも船を着けてよろしいという解釈なんですね。しかし今度、講和後は開港場だけしか船はまわせないというのですか。それとも講和後も、一ぺん検疫しておる船ならば、日本中どこの港に入つてもいいという御意見なんですか。もう一ぺんその点を……。
  25. 楠本正康

    楠本政府委員 船が入りまして上陸するにあたりましては、検疫は、なるほど一つの要件にすぎないのでありまして、そのほか関税法もありますれば、あるいは出入国管理令というようなものがありまして、それぞれ規制があるわけであります。従いまして、全部の規制に触れないものであるならば、これは当然だろうと存じます。
  26. 苅田アサノ

    苅田委員 その場合に、事前にどこにも通知なく、どこの港にでも入つていいということになつているわけですね。私はそのことも了解しておきたいのです。
  27. 楠本正康

    楠本政府委員 さような点は、後ほどよく運輸省等意見も聞きまして、お答えをいたしたいと思います。     —————————————
  28. 大石武一

    大石委員長 本日はこれにて散会いたします。     午前十一時五十一分散会