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1952-05-23 第13回国会 衆議院 厚生委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十三日(金曜日)     午前十一時五十三分開議  出席委員    委員長代理理事 青柳 一郎君    理事 丸山 直友君 理事 亘  四郎君       新井 京太君    田中  元君       寺島隆太郎君    中川 俊思君       堀川 恭平君    松永 佛骨君       松井 豊吉君    松谷天光光君       堤 ツルヨ君    苅田アサノ君  出席政府委員         厚生政務次官  松野 頼三君  委員外出席者         厚生事務官         (大臣官房総務         課長)     小山進次郎君         専  門  員 引地亮太郎君     ————————————— 本日の会議に付した事件  厚生省設置法の一部を改正する法律案修正に  関する件     —————————————
  2. 青柳一郎

    青柳委員長代理 これより会議を開きます。  委員長が所用でございますので、私がかわつて委員長の職務を代行いたします。  現在、内閣委員会において審査中の、厚生省設置法の一部を改正する法律案について、まず政府側より法案の要旨の説明をお願いしたいと存じます。
  3. 小山進次郎

    小山説明員 今回御審議を願つております厚生省設置法の一部を改正する法律案の概要について御説明を申し上げます。  今回の改正の第一点は、引揚援護庁廃止して、これを内局とすることでございます。御承知のように、現在の引揚援護庁は、昭和二十三年の五月に設置されまして、内部組織といたしましては、長官官房援護局復員局構成を持つているのでありますが、今回の改正におきましては、これを内局といたしまして、局に次長二名を置くということにいたしております。  改正の第二点は、現在厚生省内部部局になつておりますところの統計調査部国立公園部及び環境衛生部廃止することであります。これらの部は、いずれも国家行政組織法上は一年間だけを限り——具体的に申しますと、昨年の六月一日から今年の五月末日までということで設けられておるのでありますが、今回の行政機構改革の機会に、かかる過渡的組織を解消するという考えのもとに、これらの三部を廃止することにしたわけでございまして、必ずしもこれらの部が、全然必要がないということよりも、むしろさような過渡的な組織を、この際国家行政組織上からなくするという方針に基いて行われることになつたのであります。  ただいま申し上げましたように、これらの部の廃止が、いずれも一つ方針に基くものでありますので、これらの部で処理しておりました事務が一体的に、かつ能率的に行われますことを助けまするために、特に統計調査部に属しておりました仕事を統轄する責任者として統計調査監を置き、国立公園部で所管しておりました事務を統轄する者として国立公園監を置くという措置がとられておるのであります。環境衛生部につきましては、これが公衆衛生局にあります関係上、これらの事務をあげて公衆衛生局長をして直接に統轄させるということにいたすわけでございまして、この結果、機械的に申し上げますと、公衆衛生局長は十一課の事務を直接処理するということに相なるわけでございます。  改正の第三点は、厚生省地方支分部局でありますところの駐在防疫官事務所廃止することにいたしておることであります。駐在防疫官事務所は、御承知のように、終戦直後、交通の不便であり、かつ通信も思うにまかせなかつた時代に、防疫官対策を能率的に行う必要上設けました組織でありますが、今日におきましては、通信も敏活に動きまするし、交通も容易に運ぶようになりましたので、この際駐在防疫官事務所廃止することが適当であるという考えに基いて行われるものでございます。これは、ただいま申し上げましたような條件が備わつておりますので、駐在防疫官事務所廃止いたしましても、防疫対策の実施には、いささかの支障もございません。  改正の第四点は、現在引揚援護庁という外局地方支部部局になつております地方引揚援護局復員連絡局地方復員残務処理部を、それぞれ厚生省地方支分部局にするということであります。これは引揚援護庁廃止して厚生省内局にいたしまする当然の帰結でございます。  改正の第五点は、引揚援護庁内局といたしますることに伴いまして、引揚援護庁組織の一部を整理するために、現在引揚援護庁で行つております仕事のうち、現業的色彩の強い仕事は、これを引揚援護局という内部部局で直接に処理するということをせず、附属機関処理させるということにいたしまして、援護局の一部に含まれております横浜援護所事務、及び復員局事務の一部に、含まれております留守業務部事務を、それぞれ援護所及び留守業務部という附属機関を設けまして、これを処理することにした次第でございます。  以上申し上げました五点が、今回の改正の要点でございます。
  4. 青柳一郎

    青柳委員長代理 本件につきまして、御発言はございませんか。
  5. 丸山直友

    丸山委員 このたびの政府考えております行政機構を簡素化するという精神は、私ども全面的にこれを支持するものでございますが、しかし、その結果事務支障を生じましたり、あるいは遅滞を生じたりするようなことが起りましては、これは国民として黙過することのできないこととも考えられますので、そういう意味でお伺いしたいのでございます。  御承知のように、先般戰傷病者並び戦没者遺家族等援護法が通過いたしまして、これに関しまするあとの処理、すなわちこれらの者の権利の裁定事務あるいはその他の事務は、非常に輻湊するものと、私どもとしては考えられるのであります、この複雑厖大なる事務を早急に処理するために、この際急いで引揚援護庁内局にするというような編成がえをするということが、はたしてこの事務を完全にさばくのに、支障を生じないかどうかということに対して、私どもは多少の心配を持つておるのでありますが、この点に関して、政府はどういうふうにお考えになりますか、なるべくならば、私ども政府のこの方針を支持したいと考えますので、しばらくこの事務処理の終るまでというような期間、すなわち本年度内というような期間は、これをいじりたくないような気分を持つて、私ども考えておるのであります、これに対して政府所見を承りたいと思います。
  6. 松野頼三

    松野(頼)政府委員 引揚援護庁は、御承知のように遺家族戰傷病者援護法案が予定よりもやや遅れて成立しまして、ことに相当厖大修正も出まして、政府が提案した法案よりも大分かわつて通過しましたので、当然これによつて行う行政措置も、実は法案が通過してから新しく準備するというものも相当出て来ました、何といいましても、今まで前例のないことでありますし、相当推定的な数字を基礎とした部分もありますので、ただちにできるかできないかと言われれば、現在の機構でできないことはございません、もちろん最善の努力をしてやります、しかし、法案の通過の遅れたことと、修正点が相当厖大なものでありますから、万全を期してやるつもりでありますけれども、相当事務予想以上に幅湊することは間違いないのではないかと考えております。
  7. 丸山直友

    丸山委員 責任の地位にある方としては、一応努力してやりたいというふうに御答弁にならなくちやならぬことであろうと、私どもとしては想像できるのであるが、しかし、事実上事務処理において困難を生ずるものと考えられますので、私ども委員会としても、何らかこれに関する意表示をしたいと考えておるのであります。  次に、医務局の問題でありますが、医務局が所管しております事務は、公衆衛生医務薬務、これら三局の接触の中心となるものであつて日本医療行政中心になる部門であります。従つて、この所管しております事務は、単に事務的な考え方だけでなく、法制的な考え方だけでもなく、医師であるところの知識も必要であると考えられる。これらの技術と事務と両方の面を調整するためには、とうてい一人の局長をもつてこれをさばき切るということは困難であると考えられるのであります。その所管事務の非常に多岐多様にわたつておるという点と、広汎であるという点と、それに統轄しておりますものが非常にたくさんありまして、たとえば国立療養所国立病院、その他たくさんのものがあつて、これらの事務処理する上においても、やはり次長が必要であるというふうに私どもとしては考えられるのでありますが、これを廃止するというように原案はなつておるようであります。これを廃止することによつて事務処理に困難を感ぜられることがないかどうか。私どもとしては、困難を感ぜられるものであるように想像できるのでありますが、その点に対する御所見を承つておきたいと思います。
  8. 松野頼三

    松野(頼)政府委員 お説のように、ことに丸山委員は、その方面の長年の御経験で、よく御承知と思いますが、現在の国立療養所国立病院につきましては、大体現業員として三万人くらいの勤務員を有しておる厖大なものであります。ことに厚生省としての一番中軸的な局でありますし、現在医務局次長が遊んでおるわけじやありませんで、実は現在でも非常に忙殺されており、ことに本年は国立病院地方移管の問題だけでも、各委員諸君から御質問を受けて、日夜奮闘しておる現状で、全然私の方でいらないという意味行政機構ではなしに、内閣方針に合せて、厚生省としての一応の案を立てたもので、これでやれるかと言われますと、もちろん私ども提案しました者としては、やるように最大な努力をし、万遺憾なきを期しております。ということは、医務局次長が全然いらないのだということでもございません。ことに長い間の御経験のある丸山さんのことですから、医務局次長については相当なる御関心をお持ちのようでございますが、やれるかやれぬかと言われますれば、政府としては、責任を持つてやる。医務局次長がいるかいらないかと言われれば、それは現在相当仕事が混雑しておる。こういうようなわけであります。
  9. 丸山直友

    丸山委員 御答弁を承つておりますると、政府責任のある位置におられる方ですから、そういうふうに答弁せざるを得ないものと、私どもそのお立場は了解するのであります。しかし、実際私どもが、今まで長い間厚生行政を見て参りまして、これに対しては無理があるように感ぜられます。委員長におきましては、本日われわれの意思内閣委員会の方に通じまするように、適当な御処理を願いたいと思います。
  10. 堤ツルヨ

    堤委員 ただいまの丸山委員の御質問に対して、なるほど厚生省政務次官としては、そういう御答弁は無理からぬことと思いますが、おそらくここにおいでになる委員は、全部、この問題に対しては、こうした政務次官立場におられる方よりも、日常机の上で仕事をなさつておられる方に、はたしてこの行政改革に伴うところのこの変更によつて、たとえて言えば、遺家族援護が実際になし得られるかどうかというような面、それから今の医務局次長の問題でも、これはほんとうに机の上で仕事をしていらつしやる方に御答弁をお伺いしないと、政務次官としては、何とかやりたいという御希望以外に御答弁はできないのではないかと思いますから、私はむしろ、たとえば援護庁長官であるとか、医務局において、今後次長がなくなつてからおやりになる方か、そういう人たちに来ていただいて、つぶさに今後そうなるであろうところの予想などを承つて、しかる後に、委員会としての意思表示をしなければ、何にもならないと思いますので、ただいま丸山委員は何だか御納得になつたようですけれども、私たちとしては、ここでこの形において質問を終るということはどうかと思うのです。他の委員にお諮りになりまして、援護庁自体医務局自体に来てもらつて、御答弁なり、詳しいことを承りたいと思います。もちろん大臣だとか、上の方がございますから、うつかり官僚が答えたら首になるというような御心配があつて、虚心坦懐にお答えになれないだろうかとも思いますけれども、それはいすの問題でなしに、いかに大衆を擁護して行くかという大衆立場に立つての問題でありますから、ここで正しい理論がお互いに闘わされることが国会の当然のあり方だと考えますので、委員長におかれては、この問題については慎重に取扱われて、参考人として政府側から御出席になる方を選考し直していただきたい、こういうふうに提案いたします。
  11. 丸山直友

    丸山委員 ただいまの堤委員の御発言、非常にごもつとものように感ずるのでございますが、実はこういうことは、私どもにはわかり切つたことなんでありまして、当然必要であるというふうに感ずるのであります。これに対して、委員のうちで反対意見を持つておられる方があるならば、実情を調査してということもありますが、ほとんどこれは輿論として盛り上げて行つてさしつかえないものじやないかと私ども考える。そういうふうな末端の人たちをつるし上げるような形で無理な答弁を求めるというようなことに日を送るよりは、厚生委員会としての意思が決定する以上は、すみやかにこれを決定すべきだと思います。しかも一方においては、厚生省設置法というものが、もう内閣委員会にかかつてつて、本日のうちにも決をとられるような場面に差迫つておるのですから、その意味において、早急に厚生委員会意思をとりまとめて、委員長から内閣委員会の方に通ずるようにしていただきたい。これが私の希望であります。
  12. 青柳一郎

    青柳委員長代理 速記をとめてください。     〔速記中止
  13. 青柳一郎

    青柳委員長代理 速記を始めてください。  他に御発言はありませんか。
  14. 苅田アサノ

    苅田委員 引揚援護庁のことについても、さらに一、二お伺いしたいのですが、これは援護庁内局として移されることになるのですか。従来の構成長官官房復員局援護局と、この三つの局は、やはり内局の中にそのままの形で引継がれるのですかどうですか。こういうことによつて人員整理というようなことは、どういうふうに考えておられるか、その点をひとつお聞きしたいと思います。
  15. 小山進次郎

    小山説明員 引揚援護庁は、先ほど申し上げましたように内局になるわけでございますから、内局を全部一局にまとめます。従つて長官官房援護局復員局がなくなりまして、全部これが引揚援護局という一つの局の内部の課になるわけです。先ほど申しましたように、今回局と課との中間的の単位としての部というものは廃止されることになつておりますから、現在引揚援護庁の中にあります資料整理部経理部法務調査部復員業務部、第二復員局残務処理部といつたような部が、一切廃止されて課になりますと、内部組織は非常に混雑するといいますか、そういつたことはあり得るわけであります。
  16. 苅田アサノ

    苅田委員 課は一課ですか、それとも今おつしやいました、つまり復員課とか援護課とかいうような別々の課として残り得ることになるの零しようかということです。それからさらに人員等整理ですが、予算定員が何人減るかということも、おわかりになつていたら、ついでにお聞きしたいのです。
  17. 小山進次郎

    小山説明員 人員整理には、この結果一名減るだけでございます。引揚援護庁での長官次長援護局長復員局長という四名のポストが、内局になりますと、局長次長二名で三名になりますから、一名減るだけで、あとそれ以外の人員整理は、この結果直接には生じて参りません。問題は、むしろそういつた人員整理よりも、内部組織が非常にかわつて来るという点でございます。課をどの程度置けるかという問題は、今のところどれだけにしぼらなければならぬという制約はございますんから、必要なだけは置けるということになるわけであります。
  18. 苅田アサノ

    苅田委員 ただいまのお話を伺つておりますと、結局予算定員もほとんど減らない。結局人件費や、その他の仕事もそのままにしなければならぬということで、経費は減らないで、ただ機構をかえて、外局から内局に持つて来るだけということに対して、どういうような意味が認められて、こういうようなことができておるか。その点、どうも私どもは納得できないのですが、どういう趣旨なんですか。
  19. 小山進次郎

    小山説明員 政府の示す一般方針によりますと、この際外局というのは、行政組織を非常に複雑にしておるから、これは原則として廃止するという原則によつて行われるというだけのことでございます。
  20. 苅田アサノ

    苅田委員 次に統計調査部のことをお聞きしたいのですが、統計調査部が、今度部としては存置しなくなつてお話によりますと、大臣官房統計調査監というものを置くというふうに伺つたのです。具体的に申しますと、厚生省の中で、統計調査部というものが一部を構えて存在していて、ここで厚生統計に関して、相当権威ある資料を出しておるわけなんですが、こういう仕事はどういう点が今度違つて来るようになりますか。そういう点を、もう少し具体的にお聞かせ願いたいと思うのです。
  21. 小山進次郎

    小山説明員 この点は、非常に複雑でございまして、統計調査部という組織は一応解消させることになつておるわけでありますが、先ほど申しましたように、この部の解消は、これがいらないということではなくて、そういう単位をなくそうというだけのことでありますから、それで部としてはなくなりますが、部で処理しておつた仕事、相互の結びつきというものはかえるわけにはいかぬ、これは何とかして一体的に処理しようということで、統計調査監というものを置きまして、その人が——統計調査部の中に課が今三つございますが、おそらくこれは今後も三つは必要だろうと思いますが、この三つの課を統轄して行くということになるわけであります。
  22. 苅田アサノ

    苅田委員 これは国家行政組織上から言えば、そういうように一時的になくすというよりか、これをそのまま恒常的の組織にするということの方が、むしろ実際からいえば、何か機構いじりみたいなものにならないと思います。一時的な部の制度であつたものを、今度は恒常的な制度として認めるということにすることと今度のことと、実際どういうふうに違つて来るのですか。実際上の仕事の部面も違わないし、部がなくなつても、統計調査監というものを置いて、今までと同じように、組織的な、命令系統なんかも同じで、従前の仕事をするということであれば、今までの部をむしろ恒常化してやることの方が、私は何もごたつかなくて、自然の形で納まるのではないかと思います。それをわざわざ部を解消する、そうして統計調査監を置いて、今までと同じような仕事をさせるというのは、どういう意味があるのでしようか。その点をちよつとお聞きしたい。
  23. 小山進次郎

    小山説明員 理想的な姿において考えますれば、おそらくこれはまつたく一つの好みの問題だと思います。局、課という制度とするか、局、部、課という立て方をするかというのは、一つ制度上の問題でありまして、どちらでなければならぬということはないだろうと思います。ただ、今回政府が部の廃止考えられましたゆえんのものは、とかく組織段階が多いと、そういうことによつて行政組織が実際上複雑になる傾向がある。従つて、努めてそういう段階は単純にしておいた方が、複雑になる危険が少いという考え方だと思います。これもやはり一つ考え方であり、態度であると思います。先ほどから繰返し申し上げておるように、実際上の問題としては、この部という行政単位には、なかなか捨てがたい味わいがあるわけでありまして、局にするにはやや小さ過ぎる、しかし一課にするには何といつて責任も重過ぎる、事務分量も多過ぎる、そういう実際上の必要があつて生じて来たという事情があるわけであります。そういつた事情に応じて、部は廃止するけれども統計調査監は、これは單に厚生省だけでなく、今回の行政機構改革を通じて、各省とも置かれることになつておるはずですが、そういう事情にあるわけであります。
  24. 苅田アサノ

    苅田委員 それで、統計調査部廃止の問題に対しては、ずつと前から、厚生省だけでなくて、農林省、労働省あたり統計部の形もそういうようなことをやられる。科学的な行政をやるには、どうしても統計が必要になつて来るということは、私もそうだと思う。今でも私は厚生省統計調査部のやつておる仕事は、目に見えないけれども、やはりそれが日本厚生行政を運営して行く上に、大きな仕事をしておると思うのです。今度そういうような統計調査部がなくなるということは、一つは今の政府のもとでいたしますと、統計調査部というような、ほんとうに直接に目に見えないけれども、実際からいえば、政府の施策に対しても、あるときにはこれが批判の対象となるような仕事をやつてのけるような統計調査部機構が、だんだん重要性を認められなくなつて、縮小して来るのではないかという心配がある。これはやはり統計に携わつておる人たちにもあるわけです。率直にいつて、そういう統計調査部を縮小する一つの処置として、こういうような段階がとられるのではないかとも、私ども考えるのですが、その意いかがですか。
  25. 小山進次郎

    小山説明員 この点については、現在のところ、そういつた考え方は全然ございませんしたまたそういう危険もないと思います。先ほど申しましたように、統計調査監を置いて、指導、計析、製表という三課を統轄させて行くという立場は、今後も続けますし、しかもこれを一体的に運営するという方針もとり得るわけでありますから、実際上は、大体従来やつて来たと同じやり方ができようと思つております。ただ立場をかえて申しますれば、それならば同じじやないかという議論はあり得るわけでありまして、これは政府部内でも幾たびか議論されました。ただ、やはり大きい流れとして、単純化しようじやないかという結果、こういうことになつて部は一切廃止するということになつたわけでございます。
  26. 苅田アサノ

    苅田委員 私は今のお話を聞いてみましても、やはり部を解消して、部長のかわりに統計調査監を置くわけでしようが、この人の身分というものは、従来の部長ほど独立した権限を持ち、部内を指導し、あるいは立案し企画しというようなことが許されるかどうかということも、一つの問題になるわけです。もしそれと同じようなことをするなら、別にこういう機構いじりをする意味はない。統計調査部内部がうまく行かないというのでないのに、外部からそういう機構いじりをするということならば、私はこういうことはなきにしかず、従来通りやつてもらいたいと考える。特に統計調査部によつて統計活動が十分になされておるというならば、非常にこの点推奬していいと思う。もしきよう引揚援護庁とかあるいは医務局について要望をするならば、その要望の中に、この統計調査部も同じように存続したいということを、委員会意見として加えてうらいたいと思うのです。そういうように、いろいろ外からいじくりまわされて、結局統計説査部というものがほんとうに科学的な仕事をしても、実際すぐ外に目に見えて来ないし、あるいはじやまになることもあるかもしれないが、そういうものをだんだん片すみに追いやるというやり方は、どうも私どもとしては不安だし、反対するわけです。これも必要だから、要望したいと思います。他の皆さん方の御意見も、この点について伺いたいと思います。  それから、総務課長に私がお尋ねしたいことは、統計調査監部長権限に関して、どういうように違うか、全然同じか、この点もひとつお聞きしたいと思うのです。
  27. 小山進次郎

    小山説明員 実質的な権限は、まつたく同じであります。この改正案におきましても、統計調査監は、命を受けて、これこれの事務を掌理するという規定が置かれております。従つて、どれだけの範囲の事務を掌理するということがはつきりしておりますから、実質的には、権限の内容及び強さは同じであります。
  28. 苅田アサノ

    苅田委員 次に私は、駐在防疫官事務所廃止のことについてお聞きしたいのです。これは従来どういう場所に、どの程度の数が置かれておつて、これが今度全然廃止されるのかということをお聞きしたいのです。
  29. 小山進次郎

    小山説明員 従来は、全国八地区の——普通幹事県といつておりますが、東北地方で申しますと宮城県とか、関東地方では東京都とか、そういつた選び方でありますが、そこに置かれまして、全国を通じまして三十一人ばかり置かれております。
  30. 苅田アサノ

    苅田委員 その八地区の三十一人の人は、厚生省から地方駐在官となつて、今まで交通も不便であつた、通信なんかもあまり自由に行かないところに単身出かけて行つて、直接調査したり、防疫上の指導をしたりするというような仕事をしておられたわけですか。
  31. 小山進次郎

    小山説明員 直接みずから調査するというより、その方の仕事は、各都道府県におります防疫官吏というものがやるわけでありますが、各府県相互の応援とか、あるいは協力ということのあつせん、指示というようなことをしたわけであります。従つて三十一名のうち、大部分は相当年功を経た職歴の高い人たちがなつておつたわけであります。
  32. 苅田アサノ

    苅田委員 そうしますと、單に交通が不便だとか、通信が不便だとかいうような、僻地とかなんとかいうことを私は考えておつたのですが、厚生省の地方防疫駐在官として、各府県の連絡にも当つたり、あるいは救急なんかの場合の仕事にも直接その人が専心ぶつかつたりというようなことができたとすれば、そういう地方に起つた防疫上の問題を処理するのに、この人たちがいなくなるということは、やはりいろいろ事務を促進したりすることの上において、落度になるんじやないかということも考えられるのですが、そういう点どうですか。特に昨日あたりの新聞を見ましても、日本では現在伝染病の流行というようなことが、一方ではどんどん解決されているのですが、赤痢などは非常にその反対の面が出ておりますし、昨年などは五百人に一人の保菌者だといつていたのが、今年は百人に一人の保菌者があるというので、東京都あたりでも、あらためて予防対策を講じなければならぬといつている。これは東京ばかりではなく、全国的な問題だと思います。そういう際、これを廃止するというのではなくて、むしろ人手を増強しなければならぬというように、私ども単純に考えますが、この点どうですか。
  33. 小山進次郎

    小山説明員 これは私が裏のことをあわせて御説明しなかつたので、非常に手落ちだつたと思いますが、これは組織としての駐在防疫官事務所廃止するだけでありまして、従来駐在防疫官事務所で働いておつた人を全部東京に集めるわけであります。そうして一体的に運用して、必要な場合には、ぱつと従来よりもつと増強した人間を派遣する。これがすぐ電話で連絡できるようになつたことと、遠くの場合、飛行機で出かけることができるようになりましたので、その方がより効果的にできる、そういうことでございます。
  34. 松谷天光光

    ○松谷委員 私は環境衛生部のことについて、ちよつとお伺いしたいと思います。この環境衛生部廃止するということも、おそらく先ほどの総務課長お話によりますと、この際部をなくするという建前からだけ、ここに出て来たものと解釈いたしますが、さようでございましようか。他に特に環境衛生部廃止するという理由がございましたら、お伺いしたいと思います。
  35. 小山進次郎

    小山説明員 おつしやつた通りの理由でございます。
  36. 松谷天光光

    ○松谷委員 先ほど統計調査部について、苅田委員からるる述べられておりましたように、この環境衛生部においても、また私は同じような意味のことがいえると思うのでございます。ことに環境衛生につきましては、ますます公衆衛生の面において、私どもが最も進歩した衛生状態に保持されなければ、文化国家とは言いかねると思いますが、そういう点、総務課長は十二分に御承知であり、またその御意見だろうと思いますが、この環境衛生部廃止することによつて、従来の環境衛生部においてなされておつたその内容に、いささかでも変化がございましようか、あるいは従来通り行われることになりましようか、その点伺つておきたいと思います。
  37. 小山進次郎

    小山説明員 先ほど申し上げました統計調査部なり国立公園部は、御承知のように大臣官房にありまして、次官の統轄下にありますので、次官がこれらの部に所属しておりました課を直接指揮監督することが、いろいろな点から見て不都合が多いので、統計調査監なり国立公園監を置くということが承認されたのであります。環境衛生部の方は、公衆衛生局の中にありますので、環境衛生部廃止した後の課は、直接局長が指揮監督をするということにすれば、できないことはないという考えから、ほかの統計調査部あるいは国立公園の場合と違つて、この場合、環境衛生部廃止に対応した措置は、特に考えられていないわけであります。それで問題は、その結果、日本の環境衛生行政の推進の上に、何か支障になることはないかというお尋ねでありますが、一般論から申しまして、環境衛生という仕事は、ほうつておけば、幾らでもほうつておける、というと少し言い過ぎでありますが、手を抜けば抜けぬことはないような感じの行政であります。従つて、だれか絶えずそういうことに注意を向ける人間があつて、むしろ積極的に問題を見つけ出して行くということでないと、進みがたいということはいえるだろうと思います。この点は、たとえば伝染病というようなものは、いくらほうつておこうとしても、出て来ればほうつておけないという意味で、だれがやつても同じでありますが、環境衛生の方は、そういうわけに参らぬという特性があると思います。従つて支障があるかないかというような議論とは別いたしまして、廃止することが日本の環境衛生行政を推進する上に非常に貢献するかというと、おそらくそれは逆だというように申し上げざるを得ないのであります。
  38. 松谷天光光

    ○松谷委員 けつこうな御答弁をいただいたと喜んでおりますが、私も総務課長さんのお考えになる通り、機構改革を政府がなさるということならば、どうもこれはむしろ逆じやないかと思います。少くとも独立ができるなどという時期に、少くもこの環境衛生部が、公衆衛生局の中でほうつておけば、幾らでもほうつておける問題ではあるが、ここに一つ注意を向けて、より衛生的な文化国家を建てようというのが私は当然のことであろうと思うのでありますが、その逆を行つている、これは終戦後公衆衛生の面については、私は二度目の縮小であると記憶いたします。現在の公衆衛生局になります前の機構改革の際にも、私どもは、反対しながら、遂に公衆衛生局ということで、私どもあの二つの局が一つに合併されたという記憶を今思い出すのでありますが、今またこの重要な、しかも従来の二つの局をになつている公衆衛生局、そうしてまた、今総務課長が言われたように、重要な、目に見えないけれども疾病の予防に特に当らなければならない、あるいは直接国民生活の衛生に重要な部署を占めている環境衛生部廃止するというようなことは、私はまつたく時代に逆行した、これは改革とかいう言葉では言い表わせないものだと思います。先ほど苅田委員お話もございまして、統計調査部についても、存置方を要望したいというお話がありましたが、この環境衛生部についても、あえてここに政府はこれを廃止する必要はないのではないか。廃止することによつて、かりに政府のいわれる立場に立つてみたとしても、どどれだけの予算的な余裕がこれで生じて来るのか、一体予算的に見た改革の理由があるのかどうか、その点を伺つてみたいと思います。
  39. 小山進次郎

    小山説明員 予算的には、先ほど申し上げましたように、今回の行政改革の結果。引揚援護庁において一名、医務局次長一名、公衆衛生局環境衛生部長一名、三名の人件費が減るということでございます。
  40. 松谷天光光

    ○松谷委員 お話のような三名の予算が浮くというだけならば、ひとつこの際、大世帶を張つておられる内閣は、それほどけちなことをなさらないで、やはりよりいい行政が行われるように、ことに厚生の面においては、足りない予算をやつとやりくりしてやつているというときですから、重要なこの部署を持つその部を削るという必要は、私はさらにないと思いますし、厚生省側も、私は同意見のようにお見受けいたしますので、こういう点も、さらに加えて主張したいと思います。  それから、これは委員長にお願いでございますが、先ほど回覧させていただきました内閣委員会への申入れの文書の件につきまして、その中にございました引揚援護庁廃止を来年四月までこれを延期するという希望の、その時期の問題でございます。これをひとつ委員長は、再度委員の方々にお諮りいただきたいと思います。私は先ほど政務次官お話のように、相当事務は輻湊する、これは私どもしろうとが考えましても想像できることで、実際事務に携わられる方々の立場になれば、その事務の輻湊は、私どもが想像する以上のものがあるだろうと思います。そういう重要な事務に携わられているこの引揚援護庁は、来年四月ということを区切らないで、もう少しこれは廃止をさらに延期することにいたしたいものと思いますので、他の委員の方々の御意見も伺つていただきたいと思います。
  41. 丸山直友

    丸山委員 ただいまの松谷委員の御意見、非常にごもつとものように考えられますが、私先ほど発言いたしました引揚援護庁をこの年度内、来年四月に至るまでということをちよつと申し上げた理由は、先般も小委員会あるいは委員会等におきまして、引揚げ援護問題、あるいは遺家族援護に関する件等々を討議いたしました。それから得たわれわれの知識によりますと、大体において公債の交付は本年八月に行われる、その後の遺家族の権利の裁定等は、ほぼ本年度内において完了するだろうということであります。ただ、今後残される問題は、非常に複雑になりまして、裁判を必要とするような事件も起つて来るかもしれませんので、若干そういう事務が残るのじやないかと思うのでありますが、そういうものは、どちらかというと、全体の遺家族等の数から見れば、比較的少数であつて、しかもむずかしいことはむずかしいが、それは裁判を要するようなものだと思いますし、直接厚生省仕事としては、確定した者に対して支給するというようなことが行われると思います。実際の事務処理は、大体この十二月までに仕事が終るのじやないかという見通しを持ちましたので、私がかつてに来年三月までということを申し上げた理由は、そこにあつたのであります。おそらくその線でできるのじやないかと思います。私の申し上げた理由は、そういうわけであります。  それから、環境衛生部の問題に私が触れなかつたのは、環境衛生部については、先ほど御答弁がありましたように、動けだ動く、動かなければ動かないものであるということでございましたが、要するにこれは人の問題であると思います。その人を得るかいなかによつて、その運営がうくま行くか行かぬかということで、機構の問題よりその人を得るということだろうと思います。従つて、その意味において、私は組織を変更するということに対しては、大して怪しまないで、そのことを申し上げなかつたのであります。あまり政府の代弁をいたしたいとは思いませんが、行政機構改革というものは、常に摩擦を生ずるのが今までの例で、完全に成功した例は、ないといわれておるのであります。大体へ員整理の場合は、下級官吏を整理するより、上級官吏を整理する方が、私は正しいと思います。そういう意味において、局長部長というような方面、大きな頭の方を整理して、末端人員整理することは望ましくないという、これが私の信念でございます。そういう意味から、こういうように二人か三人でも、各省で減らして行つたならば、やはりその目的を達するのじやないかというような考えから、これに触れなかつたのでありますから、御了承を願いたいと思います。
  42. 青柳一郎

    青柳委員長代理 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止
  43. 青柳一郎

    青柳委員長代理 速記を始めて。
  44. 苅田アサノ

    苅田委員 ただいま総務課長は、今度の行政機構の改革によつて厚生省で出血するのは、頭株の三人だというお話伺つたのですが、それは今年は予算定員がきまつてつて、それについての予算がとつてあるのであります。これは、おそらく将来の見通しから考えれば、今の環境衛生部にしても、統計調査部にしても、引揚援護庁にしても、そうかもしれませんが、そういうところはそのままで行くという方針ではないと思います。やはりこれは、今年はこれで置くが、来年からの予算などにもこれは関係して来るのじやないかと考えますが、その点、率直にいつて、どう考えていらつしやいますか。
  45. 小山進次郎

    小山説明員 その点は私どもとしては、全然今回の行政改革で手を触れられなかつたほかの部局と、まつたく同様だと考えております。従つて、ほかの部局についても、方針として、今後それだけの事務をこなすのに、現在の人間が最大限度努めて、もつと能率的にやつて行くことが望ましいというのが、今のところ国民の声になつておるようでありまして、これは行政庁側としても、つとめて少い人員で同じだけの仕事をやつて行けるようにしたいという考えでやつておるわけであります。そういう意味において、まつたく同じ問題だと考えております。特に今回触れられることになつた部局だけがしぼられるということは、ないはずだと考えております。
  46. 青柳一郎

    青柳委員長代理 ちよつと速記をやめて。     〔速記中止
  47. 青柳一郎

    青柳委員長代理 速記を始めて。  それでは、本法案についての内閣委員会に対する申入れの件についてお諮りいたします。本法案は、内閣委員会に付託され、審査中のものでありますが、当委員会とも密接な関係にあるのでありますから、当委員会の意向をまとめて内閣委員会に申入れたいと存じます。つきましては、その文案を委員長におまかせ願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 青柳一郎

    青柳委員長代理 異議なしと認め、そのように決します。  本日はこの程度で散会いたします。次会は公報でお知らせいたします。     午後零時五十四分散会