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山口(正)
政府委員 先般来
神戸市中
日本重工業株式会社の
工場におきまして
発生いたしました
集団赤痢につきまして、御
報告を申し上げたいと存じます。
発生当時の
従業員の
状況は、総員が九千七百十三名でございます。そのうち通勤着が約七千四百名でございます。
あとは寮におります者、あるいは近くの社宅におります者でございます。
発生当初の
状況を簡單に御
報告申し上げますと、三月二十三日、四十三名の者が
工場病院で
診断を受けたのでございますが、そのうちに六名の者が嘔吐あるいは粘
結便を有する者でございまして、うち五名を
赤痢疑似として入院させたのでございます。
病院といたしましては、
赤痢と食中毒の二つの疑いをもちまして、保健所に届け出たのでございます。翌日の三月二十四日に、
市当局から
局長以下係官が
現地におもむきまして認否の結果、なお多数の
赤痢様の
患者が発出している
状況を知りまして、
欠勤者及び
従業員の
健康診断を始めたのでございます。その後の
患者発生の
状況を申し上げますと、三月二十四日
初発患者の届出以後、四月二十二日までの
患者、
疑似患者及び
保菌者の合計が二千六百四十四名でございます。そのうち
直性患者が九百七名、
疑似患者が八百十七名、
保菌者が九百二十名でございます。ただいままでの死者は二千六百四十四名のうちで四名でございます。なお症状を持
つております、すなわち
患者は、四月十一日をも
つて大体終息しております。十一日以後といたしましては、十二日と十五日、二十二日に各一名が
発生しておりますが、新
患者の
発生は大体終息している、そういうふうに考えるのでございます。
保菌者検索につきましては、全員につきまして三回実施いたしたのでございますが、まだ
保菌者が潜伏しているような
状態がございます。すなわち第三回目におきましても、一、ニパーセントの
検出率がございますので、なお
保菌者検索は続行いたしております。
発生いたしました
患者並びに
保菌者の
収容の
状況でございますが、
神戸市におきましては、東山の
伝染病院及び本山の
病院の
ニ箇所の
病院を持
つておりまして、
収容能力はわずか四百床でございますので、県下の他の
伝染病院あるいは市内の他の難物を利用いたしまして、約千八百床を確保いたしまして、
患者の
収容をはか
つたのでございます。総計二千六百四十四名でございましたけれども、そのうち最初に出ました
患者は退院し、また
あとから入
つて来るというような
状態でございましたので、この千八百床で大体うまく
収容を
行つて行つたのであります。
感染系統の
調査を、いろいろ実施いたしましたのでございますが、大体今までの結果では、三月二十日の晝食が
原因のように思われるのでございます。どうしてそういうふうな
食事が
原因に
なつたか、つまり
食事がそういうふうによごされたかということにつきましては、
市当局あるいは
県当局はもちろんのこと、
厚生省からは
公衆衛生院の
疫学部長を一名
現地へ派遣して、約一週間にわた
つて応援させましたし、また数日前より
予防衛生研究所から
細菌部長、また
公衆衛生院からも出張させまして
調査中でございますが、三月二十日のその
食事がどういう経路でよごされたかということにつきましては、現在までのところまだはつきりはいたしておりません。いろいろな
状況が推定はされるのでございますが、ここで確定的に御
報告申し上げる
段階までは至
つておりません。現在鋭意これを追究中でございます。
これらの
発生に対しまして、
防疫活動といたしましては、
市当局、
県当局並びに
厚生省からは三月三十日から係官を駐在させまして、いろいろ指導させましたし、また四月二日には、防疫課長を
現地に派遣いたしまして、
防疫活動の指導をやらせておるのでございます。本省の係官並びに防疫課長は、しばらく滞在いたして指導いたしまして、こちらに帰
つて来ておりますが、現在は
市当局並びに
県当局及び
工場当局が、力を合せてその後の処置を実施いたしております。とりあえず給食を中止いたし、それから
工場内の飲料水の塩素滅菌を従来の量より強化いたしまして—水によ
つてよごされたという疑いも一部ございましたので、そういう点特に重点を置きまして
防疫活動を実施いたしております。先ほど御
報告申し上げましたように、四月十一日以後は、
患者の
発生は三名ございましただけで、大体終息しているような
状況でございます。なお先ほども申し上げましたように、
保菌者が隠れていることが推定されますので、
保菌者の発見に努めておる次第でございます。
以上簡単でございますが御
報告申し上げます。