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1952-04-26 第13回国会 衆議院 厚生委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月二十六日(土曜日)     午前十一時二十八分開議  出席委員    委員長代理理事 亘  四郎君    理事 青柳 一郎君 理事 丸山 直友君    理事 金子與重郎君    新井 京太君       高橋  等君    田中  元君       堀川 恭平君    松井 豊吉君       松永 佛骨君    柳原 三郎君       岡  良一君    苅田アサノ君  出席政府委員         厚生事務官         (保險局長)  久下 勝次君         厚 生 技 官         (公衆衛生局         長)      山口 正義君  委員外出廣者         厚生事務官         (保險局国民健         康保險課長)  山本 正淑君         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君         専  門  員 山本 正世君     ————————————— 四月二十五日  委員岡良一辞任につき、その補欠として門司  亮君が議長指名委員に選任された。 同月二十六日  委員門司売辞任につきその補欠として岡良一  君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 四月二十五日  国立秋田病院存置請願笹山茂太郎君外二名  紹介)(第二三五九号)  結核患者附添婦制限反対に関する請願(武藤  運十郎紹介)(第二三八九号)  あんま、はり、きゆう及び柔道整復師免許制  度存続等請願山口好一紹介)(第二四〇  七号)  国立函館病院存置等請願外一件(岡良一君紹  介)(第二四〇八号)  遺族等援護強化に関する請願橋本登美三郎君  紹介)(第二四〇九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  国民健康保險再建整備資金貸付法案内閣提出  第一一一号)  公衆衛生に関する件     —————————————
  2. 亘四郎

    亘委員長代理 これより会議を開きます。  都合により委員長が不在でありますので、私が委員長の職を勤めます。  まず国民健康保険再建整備資金貸付法案を議題とし、審議を進めます。  本案は、昨日質疑を終了したのでありますが、ただいま委員長のもとに、共産党を除く各派共同提案である修正案が提出されております。委員諸君のお手元にも配付しておるものであります。これについて趣旨弁明を求めます。青柳委員
  3. 青柳一郎

    青柳委員 国民健康保険再建整備資金貸付法案に関する修正案につきまして、趣旨弁明を申します。  まず修正案を朗読いたします。   国民健康保険再建整備資金貸付法案の一部を次のように修正する。   第八條第一項中「(据置期間を含む。)」を「(当該次年度から三年間の据置期間を含む。)」に改め、同條第二項を次のように改める。  2 貸付金据置期間は、貸付を受けた年度における貸付期間及び当該年度の次年度から三年間とし、据置期間中は、無利子とする。  附則第一項を次のように改める。  1 この法律は、公布の日から施行する。  現在上程されております本法案につきましては、いろいろな点から論議がされておるのでありますが、ただ一点、第八條のうちにおきまして、この長期貸付は十年間をその期間とし、その前の五年間をすえ置き期間とし、全期間を通じましての利子を六分五厘といたしておるのでございます。しかるを国民健康保険事業の現在の苦境にかんがみまして、前の三箇年間は無利子とするというのが、本修正案趣旨でございます。これによりまして、たとえば十万円の貸付を受けた国民保険事業を行う団体におきましては、十年間のうちに十七万円を返さなければ相ならぬとなつてつたものを、この修正によりまして、十二万七千円程度政府に償還すれば足るというのが、この修正趣旨でございます。これが前段の趣旨であります。  後段は事務的な修正にすぎないのであります。  大体国民健康保険事業は現在非常に苦境にあえいでおります。われわれ厚生委員会におきましても、数次努力を重ねまして、国民健康保険事業給付費について、二割の国庫負担を要請し続けておるのでございますが、われわれの希望いまだならないのであります。この法案におきましても、たとえば保険料徴収成績が七〇%以上のものにこの法案を適用するとか、あるいは従前の赤字二分の一に対して長期融資を行うとかいうような点につきましても、われわれの気持から申しますと、非常に條件が重いような気がするのであります。この條件を何とかして打開しようとしたのでありますが、今回はただいまの修正案程度にとどめて、一応事の成行きをよく観察いたしまして、この法案貸付條件が重きかゆえに、この法案が円滑に運用できないというあかつきには、この法案修正を試みるという強い希望を開陳いたしまして、この法案をただいま申し上げましたように修正せんとするものでございます。以上修正案につきましての趣旨を弁明いたしました。
  4. 亘四郎

    亘委員長代理 ただいまの趣旨弁明について、御発言はありませんか。御発言もないようですから、これより国民健康保険再建整備資金貸付法案及び国民健康保険再建整備資金貸付法修正案の両案を一括して討論に付します。討論通告順にこれを許します。金子委員
  5. 金子與重郎

    金子委員 ただいま上程になつております国民健康保険再建整備資金貸付法案並びに同法案に対する修正案に対しまして、はなはだ不満ではありますけれども、一応国保救済策の一段階といたしまして了承し、これに賛成いたすものであります。但しこの法案賛成にあたりまして、改進党は強い要望を申し上げたいのであります。  この法律は、再三この厚生委員会におきましても、また衆議院本会議におきましても、現段階国民健康保険が非常な窮地に陷つておることを理解いたして、これに対して政府は何らかの曲化策をとらなければならないということは、院議としてもきまつておるりであります。しかしながら、この問題はなかなか思うように進展して参りませんで、たまたま本国会におきまして、この法律案によつて四億の政府資金を貸し付けて、休眠状態にあるところの国保再建しようという計画でありますが、もともとこの法律が数回にわたる財政当局との折衝の結果、最後に押し詰められたわずかな涙金に近いような予算を組んでもらつた従つてその予算の範囲内から逆に法律を割出したということに解釈せざるを得ないのでありまして、そういう点から行くならば、この法律が、ないしはこの四億の金が、はたしてどれだけ国保再建に役立つかということに対しては、非常に期待薄なのでございますが、ないよりましだ、こういうふうな今の感心を持つものであります。従つて、今後政府はこの国保の現状をよく認識されまして、そうして国会院議に基いて一段とこれがますます健実な発展をすべく財政当局と強力な折衝をいたしまして、所期の目的が貫徹できるように努力していただきたいということを、まずお願いするわけであります。  それにつきましてこの国保の一問題が上るたびに、私は強くその点を指摘しておるのでありますが、政府といたしまして、厚生省大蔵省全般則に、当局社会保険に対する考え方の根本認識が足らない。と申しますのは、常に被用者であるとか、あるいは一般国民であるとか、ないしは被用者立場によつて法律が幾つかにわかれておる。その法律国民暦をわけたその法律のセクシヨンの中でどうしようかというようなことだけを考えられておつて、今憲法にうたわれておる国民の最低であり、健康の生活云々、この問題に考えるならば、むしろ現段階はこれらの自然発生的にと言うか、あるいはそのときどきの社会情勢によつて発展いたしましたまらまらであるところの保険行政というものを根本的に再検討して、そうして国民機会均等立場において、保険行政というものを考え直さなければならぬ時期に来ておるにもかかわらず、依然として国保はこういう立場にあるから、あるいは健保はこういう立場にあるからということで、区別して物を考えるというところに誤りがあるのでございます。どうぞ今後の財政当局との折衝におきましても、まず厚生省がそういうふうな観点に立つて折衝なさるということについて、つけ加えてお願いしておくものであります。  簡単でありますが、以上をもちまして本法案に対する希望を述べ、同時に賛成するものであります。
  6. 亘四郎

  7. 岡良一

    ○岡(良)委員 ただいま上程になりました国民健康保險再建整備資金貸付に関する法律案並びにその修正案に対しまして、私は日本社会党立場から、強い希望を付して賛成の意を表明いたしたいと思います。  言うまでもなく、国民健康保険制度は、現在二千四百万の国民を含み、しかもこれが主として農民であつて生産農民の健康を病気から守らんとする現在のわが国における社会保障制度の重要なる一環である。その成長は農民のみならず、福祉国家としてのあり方からも、全国民国会が待望しているものであります。ところで、特に独立に伴いまして、経済自立の最も重要なる支柱は、申し上げるまでもなく主要食糧自給態勢の確立であります。この観点から、日本農業生産というものが、主として手と足に依存する集約農業であつてみれば、農業生産の原動力は農民の健康であり、従つてこの農民の健康を守るところの国民健康保険制度を育て上げるということは、独立に伴い経済自立のために当面きわめて緊急な課題であろうと思うのであります。ところが、この国民健康保険組合が深刻なる財政赤字に悩み、崩壊に瀕しつつある。このことは農民生活生産危機を意味するばかりでなく、ひいてはわが国経済自立に対しても重大な脅威となろうとしておる。かかる観点からいたしまして、本院におきましても、政府の積極的な危機打開が、両三年来、しきりに叫び続けられて来たことは、すでに同僚委員の皆さんも御存じの通りであります。このような深刻なる国民健康保険制度危機しかも国会が超党派的に一致して要望して来ましたところのその要望が、はたして本法案によつて達せられるであろうかという点について、われわれ多少の意見を申し上げたいのであります。  現在の国民健康保険赤字は、昭和二十六年度においても三十億二千万円と言われておる。ところが、これに対してこの貸付法案によつて潤うところのものは国費貸付か四億、保険者自身負担が四億、辛うじて八億にすぎません。従つて二十億除の赤字というものは、依然として残るのであります。しかも昭和二十七年度における健康保險一点単価の引上げによつて、推定されるところの国民健康保險組合加重負担は、年間十五億と言われておる。してみれば、この程度貸付をもつてしては、一体現在の深刻なる国民健康保険組合財政に対して、どの程度の役割を演ずるかは、けだし思い半ばに過ぐるものといわなければなりません。  さらに国民健康保險制度が、経済自立一環として食糧自給態勢を確立するための不可欠な支柱といたしまして、さらにさらにすべての農民にこの制度が普及さるべきことは当然であります。しかるに本法案によれば、この貸付を受けることのできる條件といたしまして、過去における保険料収納率が七〇%以上でなければならないという、きわめて冷酷なわくが設定されております。その結果といたしまして、約一千組合、五、六百万の農民を含む被保険者というものが見殺しにされざるを得ないのである。これは明らかに政府のいうところの資本蓄積が、ひつきよう大資本本位のそれであつて勤労大衆生活と主産の基盤であるところの健康の犠牲の上に強行されんとしておる、かく申し上げても、あえて過言ではないと思うのであります。  こういう観点からいたしまして、われわれはこの法律案に対しては非常なる不満を持つものではありまするが、しかしながら一方われわれは数次国会における決議を通じて、これら医療給付費国庫負担ということを叫んで参りましたので、この貸付法案というものも、実質的には明らかにこれは医療給付費国庫負担を、おそまきながらきわめて小規模に実施したものであつて、われわれの努力はこの突破口をさらに押し広めまして、医療給付費国庫負担を、社会保障制度審議会等がしばしば強調するがごとく、大幅にこれを設定いたしまして、單に国保のみならず、健保も含めて、全国民の健康の保障を国の大きな強力な支柱によつて守らんとする制度への大きな前進という観点からいたしまして、如上の希望を付して本法案賛成の意を表するものであります。
  8. 亘四郎

  9. 苅田アサノ

    苅田委員 私は日本共産党を代表いたしまして、ただいま上程されております国民健康保険再建整備資金貸付法案に対しまして、反対を表明するものであります。  吉田内閣は、厚生行政本腰を入れてやつておらないということは、何も今に始まつたことではありません。国民一般の間の民主的な要望に対しまして、その本質的な反動性の煙幕として、いろいろな委員会をつくつたり、法案をつくつたりしておりますが、ほとんど申訳ばかりの、見せかけだけの措置でありまして、力の入らないことは実におびただしいものであります。これは、厚生大臣がこの委員会にどれだけ顔を出すかというその一事だけでも、よくわかるのでありまして、財政の裏づけなしに厚生行政がやれないということは、わかつておるのであります。厚生行政にこんな不熱心な大臣をすわらせて、どうして予算をとれるわけがありましよう。たまたま少し積極的に動こうとする大臣がおれば、大蔵大臣と衝突して大臣を棒に振らなくてはならない。それだから、故意に厚生行政関係の薄い、こういう問題がどうなつてもかまわないというような大臣をすえておるのに違いないと思うのであります。ところが、最近厚生省のやつておるところを見ますと、これはもう本腰を入れてやらない、あるいは関心が薄いというような問題ではなくなつておるわけであります。厚生省のいろいろな行政は、予算がないために、あちらもこちらもがたがたの状態になつております。厚生省と労働省を一本にしてしまえばいいというような暴論も、こういうところから頭をもたげるのであります。国立病院地方移管の問題も、結局何とかして国の支出を削ろうという立場から来ておるのでありますし、児童局なんかは、今年はひどい予算の削減で、せつかく児童福祉法というようなものをつくりましても、そのための費用平衡交付金に入りまして、どうにでもごまかされる仕組みになつておるようでは、まつた児童行政というようなことは、やれるものではないのであります。これもあれも、結局みな予算がないためなんであります。ところが予算は御承知のよりに今年は八千五百億の厖大な予算が組んである。結局再軍備の費用のために、厚生行政の金がどんどん食われておるという、これが今日厚生行政がこのようなひどい状態なつた一切の大もとなんであります。  ただいま上程されておりますところのこの国民健康保険法も、実はその例なんでありまして、国民健康保険対象は、ただいま岡委員あるいは金子委員も言われましたように、その大部分農民とそれから手工業的な、零細な商工業者と、その家族が対象になつておるのであります。そのどちらもが、今生活苦境のどん底に落ちております。これはなまけて遊んでいてそうなつたのではないということは、だれでも知つておるのであります。政府の施策が、一部の独占資本家や農村の旧大地主勢力のみを援助いたしまして、これら零細な商工業者農民生活を踏みにじつた政策を施しておるからであります。このことは、価格政策一つを見ましても明瞭なんでおりますが、私は今この点をこれ以上申し上げなくてもいいと思うのであります。政府自体自分で首を絞めて、これらの農民や零細な商工業者の生計を困難にしておるのでありますから、こういう人たちが、単に相互の助け合いで社会保険を維持発展して行くというやり方は、そもそも無理な話なんであります。ですから、社会保障制度審議会でも、あるいはこの厚生委員会自身でも、与党である自由党も含めまして、特に国民健康保険に対しましては、大幅な給付費国庫補助をしなければならないという勧告を、たびたびにわたつてしておるということは、つまりこの理由なのであります。ところが、今回も政府はこれをしておらないのであります。そうして申訳ばかりに四億ほどの再建警備費を出す。これではまつた再建にも整備にもならないわけなんであります。その上七〇%以上の徴収率でなければ、このわずかな金さえも出さないというので、税金と同じように、それでなくても困つておりますところの農民商工業者に対しまして、差押えを奨励するというような結果を来しましたり、あるいは借りた金の倍を支拂えというようなことを言つておられるわけであります。見方によつては、これは一種の医師に対するきげんとり政策とも見られないことはないのであります。単価問題で不信を買つた医師に対しまして、選挙目当ての、選挙対策とも言い得るのであります。選挙対策でもよろしいから、もつと思い切つた、医者でも、被保険者大衆でも、なるほど自由党は、いいなというような、そういう思い切つたことをやつてもらいたい、そう思うのであります。予算がないと言いますが、手取り早く申しますれば、七百五十億近いところの厚生年金保険積立てもあります。あるいは労災保険とか、失業保険とかの積立てを加えますならば、約七百億からの金があるのであります。これは労働者の掛金だと政府は言うかもしれませんが、労働者にしても、この金が大蔵省預金部資金から地方自治団体にまわりまして、警察費なつたり、防空用の水槽の金になつたりするよりは、農民の窮乏を救うために使う方が、どれだけ本旨に洽つておるかしれないのであります。そういうごまかし再建整備はひつ込めまして、もつと国費をとつて名実とも国保再建整備するたあの法律案を提出することを、私どもは要求するわけであります。  修正箇所は別に異存はないわけでありますが、以上の理由をもちまして、私は共産党を代表いたしましてこの法案反対し、政府に積極的な国民健康保険を拡充し再建するための策をさつそく立てることを要求するものであります。
  10. 亘四郎

    亘委員長代理 以上で討論は終局いたしました。  これより両案の採決に入ります。  まず青柳委員より提出された国民健康保険再建整備資金貸付法案修正案賛成諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立
  11. 亘四郎

    亘委員長代理 起立多数。よつて修正案は可決されました。  次に、本修正部分を除く残りの原案について賛成諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立
  12. 亘四郎

    亘委員長代理 起立多数。よつて本部分は原案滞り可決され、国民健康保険整備資金貸付法案修正議決いたしました。  なお、本案委員会報告書に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、そのように決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 苅田アサノ

    苅田委員 参員長報告につきまして、私委員長に対しまして、ちよつと希望をしたいのです。というのは、ただいまの意見には不賛成ではないわけでありますが、本委員会委員長報告は非常に不親切でありまして、各政党に対する意見が、ただ賛成反対だけでありまして、どういう箇所反対であるかということについて述べられていないのが常なのであります。ところが、反対には積極的な反対と、趣旨はよろしいけれども、その趣旨を実現するためにはなお不十分であるから、これはむしろ反対すべきだという反対もあるのでありまして、厚生委員会におきましては、むしろそういう反対をしなければならない場合がしばしばあるのであります。そうして私は、本問題につきまして、本会議討論は、もし委員長においてそういう点を十分委員長報告にお盛りくだされば、省略いたしてよろしいと考えておるのでありますから、どうぞその点をできるだけ親切に委員長報告に載せていただきますことを、特に要望するものであります。
  14. 亘四郎

    亘委員長代理 御極旨は了承いたしました。ただ御案内のように、いろいろ時間の関係もございますので、大体慣例といたしましてそのために議事録があるのでありますから、議員にその議事録あとでよく内容を検討していただくことによつて、あなたの御意思は十分議員各位にわかるということを信じておるのでおります。
  15. 亘四郎

    亘委員長代理 次に、神戸の三菱重工業における集団赤痢発生問題について、政府より報告を聴取したいと存じます。山口公衆衛生局長
  16. 山口正義

    山口(正)政府委員 先般来神戸市中日本重工業株式会社工場におきまして発生いたしました集団赤痢につきまして、御報告を申し上げたいと存じます。  発生当時の従業員状況は、総員が九千七百十三名でございます。そのうち通勤着が約七千四百名でございます。あとは寮におります者、あるいは近くの社宅におります者でございます。  発生当初の状況を簡單に御報告申し上げますと、三月二十三日、四十三名の者が工場病院診断を受けたのでございますが、そのうちに六名の者が嘔吐あるいは粘結便を有する者でございまして、うち五名を赤痢疑似として入院させたのでございます。病院といたしましては、赤痢と食中毒の二つの疑いをもちまして、保健所に届け出たのでございます。翌日の三月二十四日に、市当局から局長以下係官が現地におもむきまして認否の結果、なお多数の赤痢様の患者が発出している状況を知りまして、欠勤者及び従業員健康診断を始めたのでございます。その後の患者発生状況を申し上げますと、三月二十四日初発患者の届出以後、四月二十二日までの患者疑似患者及び保菌者の合計が二千六百四十四名でございます。そのうち直性患者が九百七名、疑似患者が八百十七名、保菌者が九百二十名でございます。ただいままでの死者は二千六百四十四名のうちで四名でございます。なお症状を持つております、すなわち患者は、四月十一日をもつて大体終息しております。十一日以後といたしましては、十二日と十五日、二十二日に各一名が発生しておりますが、新患者発生は大体終息している、そういうふうに考えるのでございます。  保菌者検索につきましては、全員につきまして三回実施いたしたのでございますが、まだ保菌者が潜伏しているような状態がございます。すなわち第三回目におきましても、一、ニパーセントの検出率がございますので、なお保菌者検索は続行いたしております。  発生いたしました患者並びに保菌者収容状況でございますが、神戸市におきましては、東山の伝染病院及び本山の病院ニ箇所病院を持つておりまして、収容能力はわずか四百床でございますので、県下の他の伝染病院あるいは市内の他の難物を利用いたしまして、約千八百床を確保いたしまして、患者収容をはかつたのでございます。総計二千六百四十四名でございましたけれども、そのうち最初に出ました患者は退院し、またあとから入つて来るというような状態でございましたので、この千八百床で大体うまく収容行つて行つたのであります。感染系統調査を、いろいろ実施いたしましたのでございますが、大体今までの結果では、三月二十日の晝食が原因のように思われるのでございます。どうしてそういうふうな食事原因なつたか、つまり食事がそういうふうによごされたかということにつきましては、市当局あるいは県当局はもちろんのこと、厚生省からは公衆衛生院疫学部長を一名現地へ派遣して、約一週間にわたつて応援させましたし、また数日前より予防衛生研究所から細菌部長、また公衆衛生院からも出張させまして調査中でございますが、三月二十日のその食事がどういう経路でよごされたかということにつきましては、現在までのところまだはつきりはいたしておりません。いろいろな状況が推定はされるのでございますが、ここで確定的に御報告申し上げる段階までは至つておりません。現在鋭意これを追究中でございます。  これらの発生に対しまして、防疫活動といたしましては、市当局県当局並びに厚生省からは三月三十日から係官を駐在させまして、いろいろ指導させましたし、また四月二日には、防疫課長を現地に派遣いたしまして、防疫活動の指導をやらせておるのでございます。本省の係官並びに防疫課長は、しばらく滞在いたして指導いたしまして、こちらに帰つて来ておりますが、現在は市当局並びに県当局及び工場当局が、力を合せてその後の処置を実施いたしております。とりあえず給食を中止いたし、それから工場内の飲料水の塩素滅菌を従来の量より強化いたしまして—水によつてよごされたという疑いも一部ございましたので、そういう点特に重点を置きまして防疫活動を実施いたしております。先ほど御報告申し上げましたように、四月十一日以後は、患者発生は三名ございましただけで、大体終息しているような状況でございます。なお先ほども申し上げましたように、保菌者が隠れていることが推定されますので、保菌者の発見に努めておる次第でございます。  以上簡単でございますが御報告申し上げます。
  17. 亘四郎

    亘委員長代理 ただいまの報告に関連して、何か御質疑ございませんか。
  18. 苅田アサノ

    苅田委員 こうした大量の赤痢患者発生に対しまして、これが三月二十日に発生いたしまして、今日すでに四月も終ろうとしておるわけでありますが、これは日本にも例の少い一工場発生した集団赤痢だと思うのでありまして、この発生原因、経路等につきまして、ただいまの御説明だけでは非常に不十分だと思うのであります。で、もつとこの点を突き込んで、三月二十日の晝食が原因ではないかと思われるのでありましたら、それはどういうところからそういう推定をしておられるか、少し具体的にお聞きしたいものです。
  19. 山口正義

    山口(正)政府委員 三月二十日の書食が原因であると推定されます理由は、三月二十日の午前までに、その食堂による給食を食べておりました者のうちからは発生しておりません。それから三月二十日の日に、外来者で、そこへ来て食事をした者がございます。そういう者の中から発生しております。
  20. 苅田アサノ

    苅田委員 今の説明の中で、三月二十日の朝まで、その食堂で食べた者は発生していないのですか。
  21. 山口正義

    山口(正)政府委員 おりません。つまり夜勤等で三月十九日から二十日の朝までおりまして、そうして二十日の朝まで食べて帰つて、晝は食べなかつた者、そういう者の中からは発生しておりません。三月二十日の書に食べた着の中から、非常にたくさん出ております。それから、その時にたまたま外から来ておつて、そこで食事をしたというような者からも発病しております。それから三月二十日の晝食のあとで、その朝帰つた者が翌日出て来て仕事をいたしておりますが、そういう者からは発生いたしておりません。大体三月二十日の晝食を食べた者から出ておりまして、それをたまたま食べなかつた者からは発生していないというようなところから、三月二十日の書の食事原因であろうというふうに推定いたしております。
  22. 苅田アサノ

    苅田委員 かりに三月二十日の晝食の中に赤痢菌が入つていたと仮定いたしますならば、それは会社側の手落ちいうとことになるのでありましようか、それとも会社が責任を持つて外部からこういうふうなものを仕入れているところがあるかどうか、そういう点につきましても、一応事情をつまびらかにしたいと思います。
  23. 山口正義

    山口(正)政府委員 三月二十日の晝食の食品は、主食のほかは、ソーセージ、それから野菜サラダ—野菜サラダはじやがいも、玉ねぎ、ねぎ、にんじん、その他たくあんから成り立つております。初めは外部から持ち込まれたソーセージが、よごれておつたのではないかいうとような疑いを持つて調べたのでございますが、そういう様子は、ほかの方の関係から見つからないのであります。  それからもう一つは、こういうふうに多数が一時に出ますので、水がよごされたのではないかというふうに考えまして、それの方の調査をしたのでございますが、会社の水源から、いろいろな方面に食堂がわかれてございますが、同じ水源から出ておつて、一つの炊事場から給食したものだけに出ておりますので、そのものは、水源においてよごされたのではないと、いうふうに考えられるのでございます。  それから今度は、そういうふうにたくさん一ぺんに出たのでございますから—一人二人の保菌者発生いたしますときは、このように一度にたくさんは出ないものでございますから、その食堂で水を使うときに、水源ではよごされていなかつたけれども、その途中で、パイプが便所のそばを通つておりますので、そういうところでよごれたのではないかということを調べたのでございます。途中で掘り返してみたのでございますが—そういう所では、色素を使つたりして、しみ込むかどうかというようなことを調べたのでございますが、そういう途中でよごされたというような様子は、今のところ見つからないのでありまして、炊事場へ入つて来てからよごれたというふうに推定されるのでございますが、それがはたしてその炊事場へ入つてから水がよごれたのか、あるいは中に患者がいて、中での取扱い方が悪かつたために、いろいろまぜ合わさつて広がつたのかというようなところが、まだ判然としないのであります。そういう点を今追究いたしております。  今までは外部から持ち込まれたのかどうかというようなことを調べ、また水の系統によるのではないかというようなところを調べて参つたのでございますが、大体その食堂の炊事場の中で汚染されたというふうに推定されるのであります。その点、どういうふうな座路で汚染されたかということは、まだはつきりいたしておりません。
  24. 苅田アサノ

    苅田委員 しかし、御説明を聞いておりますと、外から持ち込まれたソーセージにも別に異常がなかつたというし、水にも異常がなかつたというのに、原因を晝食だけにこだわつているということは、どうも私はまだ少し調査の方法が偏しているのじやないかというようなことも考えられるわけであります。たまたまその晝食を食べた者に発見されるということは、偶然の一致ということも考えられるわけですから、もつと原因につきましては、考えられる限りの考慮を拂つていただきたい。もう一箇月半ぐらいかかつておりまして、しかも非常に大量な—伝染徑路も不明瞭なところから、こういう大勢の発病者を出しておれば、当然工場の中でも、あるいは付近の住宅の中でも、大きな恐怖を巻き起しておると思います。非常にその点の調査が不十分であるというふうに思うのでありますが、その点はいかがでしようか。
  25. 山口正義

    山口(正)政府委員 発生以来一箇月になつておるのに、まだ原因をはつきり突きとめていないということは、調査が不十分ではないかという御指摘でございますが、私どもの方といたしましては、先ほども申し上げました通りに、報告がございましたので、ただちに防疫課の方から出張いたさせますし、それから公衆衛生院の、そういう伝染系統などを調べます専門の立場にあります疫学部の部長以下を派遣いたしまして、詳細に、あらゆる角度からの可能性を考えて調べておりますので、私どもの方といたしましては、調査が不十分だとは考えていないのでございますが、ただ、まだどこに原因があつたかということが、はつきり最後のポイントまで来ておりませんことはまことに遺憾でございます。しかしだんだん幅を狭めて参つておりますし、なお続行中でございますので、そのうちに最後の点を確かめ得るのではないか、そういうふうに考えております。
  26. 苅田アサノ

    苅田委員 神戸重工の中で発生いたしました赤痢菌は、駒込BIII、昭和菌、大原菌、こういうふうなものが発見されておるということを聞いておるのでありますが、そうでしようかどうか。なおこれ以外に、まだはつきりそうした種類にわけることのできない赤痢菌もあるというようなうわさも聞いておりますが、この点はいかがでしようか。また神戸重工に大量赤痢発生します以前に、神戸市内におきまして、赤痢患者があつたかどうか。あつたとすれば、それはどういう赤痢菌によつてつたか、こういうこともひとつ御報告願いたいと思います。
  27. 山口正義

    山口(正)政府委員 お尋ねの、今回発生いたしました患者並びに保菌者の菌型でございますが、大部分が先ほど御指摘の駒込BIII、それから昭和菌でございます。そのほかは、ごくわずか大原菌その他一般に出ます菌が発見されております。  それからこの集団発生が出ます前の神戸市内の患者発生数は、約五十名でございました。そうしてその菌型は、大部分駒込BIIIでございました。それから昭和菌が少しまじつております。
  28. 苅田アサノ

    苅田委員 それ以外に、まだはつきり日本で研究がつかないというような菌種もまじつているということを聞いておるのでありますが、それはいかがでしようか。
  29. 山口正義

    山口(正)政府委員 私どもの方には、まだそういう情報は入つておりません。
  30. 苅田アサノ

    苅田委員 神戸重工は、その扱つております仕事の関係上、こういう赤痢菌の発生に非常に都合のいいような状態が最近あるかどうか、こういうこともお聞きしたいと思いますが、いかがですか。どういうことをやつておるか、そういうようなことを聞きたいのです。
  31. 山口正義

    山口(正)政府委員 お尋ねの点は、仕事の内容でございましようが、中日本重工は現在造船作業をやつております。それで、こういう赤痢発生に特にいい條件にあるかどうかというようなことは、特別にそういう條件はない、そういうふうに考えております。
  32. 苅田アサノ

    苅田委員 單に造船だけですか。
  33. 山口正義

    山口(正)政府委員 造船だけでございます。
  34. 苅田アサノ

    苅田委員 私の聞くところによりますと、造船以外に、スクラツプあたりも扱つているということを聞いておるのであります。これは造船に附属した事業かもしれませんが、どんどんスクラップなんかを溶解いたします作業なんかもやつておると聞いておるのでありますが、そういう点はいかがですか。
  35. 山口正義

    山口(正)政府委員 造船作業に附属いたしまして、そういうスクラップなんかを取扱うこともあるかと思いますが、仕事の主体は造船作業でございます。
  36. 苅田アサノ

    苅田委員 ただいまの公衆衛生局長の御報告の中にも、まだ保菌者が相当数ある見込みであるというふうなお話であつたのでありますが、この保菌者とか、あるいは罹病者に対しまして、政府はどういうような財政的措置を講じまして、これの処置に当つておるか、そういうことにつきましても、御報告願いたいと思います。
  37. 山口正義

    山口(正)政府委員 患者並びに保菌者は—保菌者も、現在までのところでは、患者と同様に伝染病院に、あるいは隔離病室に収容して治療いたしております。これらに要します費用は、伝染病予防法に基いて費用を計上して参ることになるのでございます。すなわち患者から徴収できる面につきましては、患者から徴収いたします。ただ従業員につきましては、労災保険並びに健康保險の方でまかなうというふうになつております。
  38. 苅田アサノ

    苅田委員 伝染病予防費ですが、これは国の方から何割、あるいは県、市の方から何割というふうに出ているのだと思いますが、それはどういうふうになつておりますか。そこで神戸のこのたびの患者発生に対しまして、国としてはどの程度予算をこれに捻出しておるか、こういう点につきましても、お尋ねしたいと思います。
  39. 山口正義

    山口(正)政府委員 伝染病予防費は国が三分の一、府県が三分の一、市町村が三分の一、そういう負担になつておりまして、二十七年度予算といたしまして、伝染病予防費は国の経費といたしまして約七億計上していただいておりますが、まだ年度当初でございますので、この神戸における集団発生に要しました費用につきましては、その七億の中から、国として出さなければならない費用を出す、そういうふうに考えております。現在のところ全部で概算三千五百万円程度を考えております。
  40. 苅田アサノ

    苅田委員 県とか市の方とかで—まだ実地に私は調べておりませんから、単にうわさですけれども、こうした対策費が非常にきゆうくつで、十分なことがやれないというようなうわさも聞いておるのでありますが、この三千五百万円で十分であるかどうかということにつきまして、厚生当局の御意見を伺いたいと思います。
  41. 山口正義

    山口(正)政府委員 先ほども申し上げましたように、これは伝染病予防法に基きまして費用を出すのでございます。国におきましては、先ほど申し上げましたように、約七億計上していただいておりますし、市あるいは県におきましても、当初予算で伝染病予防費を相当計上いたしておりますので、ことにまだ現在のところ年度当初でございますから、費用にそう困るということはないというふうに、私どもの方では見通しをつけております。
  42. 苅田アサノ

    苅田委員 近年赤痢が蔓延いたしまして、毎年々々非常に狙概しているわけなんですが、今日配付されました伝染病統計月報を見ましても、赤痢は十一月に入つても二千八百四十二名の発生があり、昭和二十年、二十五年の同月の患者数と比較して見ますと、八倍及び三倍に当る増加を示している、こういう増加を示している、こういうふうに言つておるのでありますし、つい最近のラジオの発表を聞きましても、赤痢患者は東京都下だけで二千七百九十六人で、昨年同期よりも六割も増加している、こういうふうな赤痢禍と申しますか、近年非常にやかましく言われておりまして、昨年も前年に比して何倍ということでありましたのに、今年もまた、赤痢のひどく猖獗する時期を迎えない先に、こういうような全国的な蔓延の状態を見、またこうした統計にもありますように、特に工場等の集団的な生活の中に、こうした著しい蔓延状態が起るということに対しましては、私はやはりこれは公衆衛生部面におきまして、非常な手ぬかりがあるのではないか。たとえば予算等にいたしましても、二十六年度予算よりは、多少ふえておりますけれども、これは昨年公衆衛生局が大蔵当局に要求されましたところの予算額から見ると、はるかに低い予算しか計上されておりません。こういう点で、非常に防疫方面にまだ不十分な手ぬかりな状態があるのではないか。特に病気に対しまして、近ごろいろいろな新薬が発見されまして、そのために赤痢菌は、往年に比べまして、非常に強い赤痢菌になつておるのでありまして、これに対しましても、もつともつと国として十分な予防対策なり公衆衛生的な見地からの赤痢の予防ということを考えなければ、とうてい不可能ではないか。これは非常に小さいことのようでありますけれども、神戸だけでなくて、赤痢がまるでかぜのように蔓延するというので、非常に各方面の人々から恐れられておるわけであります。こういう点につきまして、責任ある厚生当局としては、どういうお考えであるかということを、お伺いしたいと思います。
  43. 山口正義

    山口(正)政府委員 ただいま御指摘のように、赤痢昭和二十三年を最低として二十四年、二十五年、二十六年と、逐年増加して来ております。他の一般の伝染病が比較的好調に順次減少しておりますのに対しまして、赤痢だけが二十四年以後こういうふうにふえておりますことは、私ども防疫を担当しております者といたしましても、非常に遺憾に考え、心痛しているのでございます、これがこういうふうに蔓延いたします原因につきましては、たびたび御指摘も受け、私もお話申し上げておるのでございますが、ただいま御指摘のように、新薬等によりまして、赤痢菌のうちで化学薬品に対して抵抗性のあるものが出現して来ておるといが多くて、医者にかからずにおる者があり、しかも菌を排泄している者があるというような場合もございまして、保菌有が現在非常にたくさんありまして、そのためにこのように広がつて来ている、そういうように考えるのでございます。私どもといたしましては、まず第一に、患者発生いたしましたならば、それに対しまして、防疫措置を講ずる。これは当然のことでございますが、そのほか特に消化器系の伝染病でありますので、食品取扱い者につきまして、保菌者検査、衛生教育というようなことを十分にやるようにいたしております。またはえ等によつて、伝播されるおそれもございますので、環境衛生の面についても、特にやかましく言つておるわけでございますが、しかし何分にも、先ほど申し上げましたように、非常に軽症患者が多く、お医者さんにかからない場合もあるし、またこれは薬事法ではとめられているのでございますが、新薬などをかつてに手に入れて、そうして自家療法をやる。そうすると、症状はよくなるが、菌は排出している。そのために、また次から次へ広がるというようなことがございます。それから食品の取扱い等につきましても、手を洗うというようなことを十分にやらなければなりません。最後のところは、これは国民一般の方々に対して、衛生教育をやるということに帰着するのでございます。この衛生教育の問題につきましては、言葉は簡単でございますが、なかなか効果のあがらないものでございます。私ども数年来赤痢対策として衛生教育に力を入れてやつておりまして、地方によりましては、この衛生教育を徹底させることによつて、ある程度効果をあげている面もございますが、今後は防疫活動、食品の衛生監視、あるいは環境衛生をやりますとともに、衛生教育に特に力を入れて行きたい、そういうに考えているわけでございます。  なお予算の点につきましては、これは伝染病予防費でございますので、一応当初予算として、一定額を計上していただいておりますが、万一伝染病が発生いたしまして、それに対して費用がよけいにいるというような場合には、追加して予算を計上していただくという措置を講ぜられることになつておりますので、予算の面から、縛られて、防疫活動に手ぬかりのあるというようなことのないように、その点は十分財務当局とも打合せて、仕事をやつております。
  44. 苅田アサノ

    苅田委員 今の政府予算は、一応七億二千万円出ておるのですけれども、決してこれに縛られていないという御答弁なんですが、それでは今回の神戸発生しました措置にいたしましても、現地当局予算の面で十分な措置が講じられないという場合には、これは当然政府としましては、そういう要求に応せられる態勢があると承知していいと思いますが、その点の御答弁が一つと、それから重工の問題は、とにかく集団的に赤痢発生しやすいような大きな集団生活ではありますが、しかしこれはまた同時に、これを終息する場合にも、蔓延を防ぐ場合にも、措置がしやすいはずであります。ところが、当初六十何名かの発生を見て、それがこの一箇月跨りのうちに、二千人を突破するほど蔓延いたしましたのは、当初からそういうような大量な赤痢菌があつて、そして一時に非常に多くの保菌者発生したのか、あるいは最初は少数の保菌者麺あつたものが、これに対する処置対策が怠られたために、あるいは見当違いの方法でやられたために、おびただしい蔓延を見たのか。実際これはちよつと類例がないほど多いと思うのでありますが、これは当局としてどういう観点に立つておられるか。つまり、最初から大量なそういう保菌者が入つてつて、そうしてこういうふうなおびただしい蔓延状況を来したか、それとも、最初は二人、三人あるいは五人、六人というような少数であつたものが、わずかの間に、これに対すを処置の手ぬかりから、こういうふうに急速な蔓延を来したか。これは二つあると思いますが、この点につきまして、お答え願いたいと思います。
  45. 山口正義

    山口(正)政府委員 伝染病予防費は、義務負担になつておりますので、もし市当局におきまして、これに要しました費用を計上して参りますときには、伝染病予防法の範囲内ならば、県もそれを負担いたしますし、国の方もそれを負担いたす予定でございます。  それから発生の模様でございますが、これは最初に非常に大きな山が出まして、あとの方の二次感染は割合少いのであります。おそらく最初に大量の菌によつてよごされ、そして多数の患者発生した。その後は防疫活動を極力やりましたので、二次感染を非常に少く食いとめた、そういうふうに考えております。
  46. 亘四郎

    亘委員長代理 本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもつて御通知いたします。     午後零時三十七分散会