○三橋
政府委員 私、お教えするような資格もありませんが、私の
意見を申させていただきます。その前に、統計のことにつきましての御希望でございます。統計の資料につきましては、私はでき得るだけ御希望に沿うような資料を差上げたいと思うのでございますが、実は今御要求のありました資料は、非常に確信を持
つてお手元に差上げるのには、私は躊躇せざるを得ないような状態なのでございます。と申しますのは、今もあれこれと
調査をしておるわけでございますし、なおこの四月からも、私、各府県に依頼をいたしまして、私は私としての
立場から、なお正確を期したところの統計の資料を求めんとしつつあるような
実情でございます。そこで今
お話になりましたような将官何人、佐官何人、尉官何人、特務曹長何人というような正確な資料を差上げることができないことを、私今非常に申訳ないと思うのでございます。もちろん、大まかな大体何人ぐらいということは、申し上げられるのでございますが、非常にやかましく統計と仰せられると、困るのでございます。ひ
とつその点を御了承願いまして、なおあとでよくお打合せをいたしまして出ささせていただくことにしたいと思います。
それから、今の恩給法の性格というか、理念の問題についての私の
意見を求められたわけでございますが、今のお言葉にありました
社会保障的な性格というお言葉につきましては、どういうふうにそれを解してよいか、それをまず私は疑問に思
つております。巷間
社会保障とか
社会保障的とか、いろいろな言葉を耳にするのでありますが、そのたびに、私が
社会保障というものについて、はつきりしたものをつかんでおればよいが、いろいろな人によ
つていろいろなことが言われておりまして、ある場合においては、私の
考えているようなことと同じような意味で言われている場合もあるのでありますが、そうでない場合もあります。しかし、それはそれとして、一応現在の恩給
制度が制定されました時から今日まで、
政府責任者においてどういうふうに説明して来ているかというようなことを簡単に申し上げまして、御参考に供しておきたいと思います。
恩給の
考え方は、法理的と申しますか、申し上げますれば、
国家公務員が公務に従事したために、その在職中に受けた
経済的な獲得能力というか、稼働能力というか、その減耗に対する補償として出されているものと私たちは
考えております。
従つて、たとえば
国家公務員が右の腕なら右の腕をなくしたときにおきましては、これは右腕がなく
なつたために、急激に
経済的な獲得能力が減耗するのであります。それを補償するのには、そこに傷病恩給というものが
考えられている。これは急激に
経済的な獲得能力の減耗を来した場合でございます。それから、長年在職しておりまして、
国家に使い古されてしまつたというような場合におきましては、
経済的な獲得能力が長期間に徐々に減耗して
行つてしまつた、こういうふうに一応理論的には
考えるのでありまして、長年在職によ
つて退職する場合におきましても、また傷病者が急激に
経済的獲得能力が減耗した場合におきましても、一貫した
一つの
考え方に基いて補償的な
制度として恩給
制度を立てておるものと
考えております。