○寺島
委員 ただいま提案せられました
戰傷病者戦没者遺族等援護法案についての
審議は、あげて十八日以降に愼重
審議せられるという
委員長のお言葉に対しまして、私どもはただいま引揚
援護庁から参考資料として提出せられました厖大なものをよく熟読いたしまして
検討いたしたいと思うのでありますが、このほかに四つの資料を十八日までに提出願いたいと思うのであります。結局のところは、第一点といたしまして
日本の国家
財政の現状から見て二百三十七億円という大わくの中で、結局この両
法案を動かさなければならぬ。言いかえますならば、二百三十七億円という
財政が、もろもろの庶民、
遺家族援護者の希望を、こつちに持
つて行つたり、あつちに持
つて行つたりする改正でしかないというまで、私たちは極論できるのであります。橋本前
大臣が、橋
本案なるものをひつさげまして、三百五十億の
厚生省案なるものを
政府に提出いたし、閣議において敗れ去つたという明々白々たる事実があるのでありますが、これまた先般の厚生
委員会において、松野政務次官は、該案はすなわち橋本個人の案であり、
厚生省の関係し、タッチせられざる案であるかというような
委員会の同僚の御
質疑に対して、さようお答えあつたのでありますが、来る十八日以降これを
検討するに際しまして、該橋本前
厚生大臣の持
つておつたものは、ほんとうのプライベートな橋本個人の案であつたものなりや、あるいはまた引揚
援護庁の官僚諸君と談じてできたものであるか、あるいは厚生事務次官等省議を開いてできたものであるかという関係を明らかにした上における天下周知の事実である橋
本案なるものの骨格、系統を——明細にとは申しませんが、大体三百五十億から、片や二百三十七億に圧縮されましたこの事態を明らかにせられまするところの経緯を、文書によ
つて参考資料の中にお示しを願いたい。これがお願いいたす第一点。これなくしては、のれんに腕押しにな
つてしま
つて結局
財政の圧迫が、政策というものを浸透させることができない、すなわち政策のマンネリズムに陷るということが事実にな
つて受取られますゆえをも
つて、私どもはせつかく御苦心になる本
法律案を積極的に支持いたすのゆえをもつ
立場からも、この参考資料ははなはだデリケートな点もございましようが、ぜひいただきたい。
第二点、さらに
本案は、昨年大体こういう形によ
つて引揚者並びに
遺家族に対して
援護をしてもよろしいという関係方面からのオーケーが出ました際に、
恩給局と
厚生省の両者が、それぞれ別個の案を閣議に持ち込んで、今日は
厚生省案なるものによ
つてこの恩典に浴せられることに
なつたのでありますが、それまでの間にマイヤース勧告団が
日本に参りましてマイヤース勧告等をいたして、別途
恩給法につきましては相当なる改廃が行われるものであり、純粋なる
恩給理論から申しまするならば、これまたただいまの
大臣の
説明の「
国家補償の観念に立脚して」という言葉から、すなわちかかるものが抽出されたものであろうと思いますが、すなわち
恩給局案をしりぞけて
厚生省案に行かれたのは、それぞれの資料と、それぞれの
立場をも
つて行かれたのでありましようから、これに対する資料を、十八日までにぜひお出しいただきたい。
第三点、この
法案によりますと、本日は
大臣限りの御
説明でございまするが、
身体障害者その他に対しては、
身体障害者等を
一定の事務所に雇用させる等の
措置をとる云々のこともございました。そのことももとより必要でございますが、それに関して、どうしてもこういう科学的社会主義としての政策を実現するのではなくて、社会政策主義の幅においてこれをするという以上においては、結局優先主義というようなことをある
程度考えて行かなければならない。現在の
吉武大臣が、本
委員会において御所論を御解明になりましたあかつきにおいては、全面的に優先購買の件は賛成である、さりながら民業を現実に圧迫するというようなものであ
つては困るという明快なる、また私どもをしてすこぶる心強からしむる御答弁をいただいておつたのでありますが、
大臣の答弁の後、すでに一箇月有余を経たる今日において、厚生事務当局においては、現実において、その物品購入等に対して、優先購買をどのくらいにいたしておるかという現実の数字をお示し願いたい。現実の数字がなくんば、すなわちこれは結局抽象論に堕するのゆえをも
つて、ぜひこれは現実の数字をお出し願いたい。
次は第四点になるのでありますが、農地調整法及び自作農創設
特別措置法の両法におきましては、未復員者のために別途の
措置を講じておるのであります。言いかえれば、未復員の明確なる場合においては、国家が農地を買い上げる等の
措置を一時停止しておりまするが、今や
日本の農業政策も、土地の生産性向上の方向に向けて展開せられなけばならない現状におきましては、今日まで行われた全体農地改革のもとにおける、別途に
措置せられておる未復員者のために残されておるものはどのくらいのものであるか、それは全体の場合においてどのくらいのウエートを占めるものであるかという点についての資料を、これは農林省の平川農地局長のものでありますが、ごめんどうでも御提出願いたい。
それから私どもの先輩、この厚生
委員会においての畏敬すべき同僚であります岡君等から、しばしば啓発的な御議論を私たちここに拝聴いたすのでありますが、どうもわれわれにとりましては、資料収集等の困難もございますので、われわれのような者でもわかりますような、西独におきますところのいわゆる
戦没者の
遺家族等の
援護が、
わが国に比して著しく厚いということを言われておりますが、一、二の答弁を聞いてみますと、そうでもないような意味の答弁のもとに、これまたあいまい模糊のうちに看過せられておるの現状にかんがみまして、西独における国家
財政の中に占めるところの、戰没者の
遺族援護の
財政的
措置のバランス、個人の全体収入に対する
援護費、
援護者のバランス、この両案を対照的になるようにして、十八日までには五日間も日がございますから、御提出願いたい。そういうふうに
委員長を通じてお願いいたします。