○堤
委員 私は全国百万の一般未亡人母子世帯というものは、御存じの
通りか
つての
日本の政治、
社会制度の中に、
社会人として育てられなか
つた日本の女の実に実力のない悲しい結果が、今日の未亡人問題にな
つて現われておると思うのであります。男女同権だから、男が後家さんにな
つても、女が後家さんにな
つても同じじやないか、だから、両方ながら子供をかかえて食
つて行くべきであるというような御議論があるかもしれませんけれ
ども、これはやはり過去の
日本の政治の欠陷並びに
社会制度の欠陷の中から生れました生活能力のない
日本の母というものに対しましては、子供の基本的人権を守る
立場から、当然私は法的保護がなされなければならない、かように
考えて今日まで参りました。それが今日戦争によるところの未亡人、老人世帶は、やがてお燈明料ながらも、何かの手を差延べられようとしておりますけれ
ども、大きな
社会問題であるところの百万未亡人母子世帶は、ここに捨てられた形になるということを私思いますときに、
大臣は未亡人だけ特別に救えないというようなりようけんをひ
とつお捨てにな
つて、子供の基本的人権を守らなければならない国の建前から、母子のつながりというものを特別にお
考えにな
つて、ひ
とつ現在の生活保護法、兒童福祉法、また今の
予算において守れないものならば、單独立法をも
つてしてでも、この未亡人母子に今後の施策を強く打出していただくように方針を立てていただきたい、かように存するのであります。実は地方をまわ
つておりましても、いろいろと、税金に悩む母子世帶、また子供の育英に暗澹たる母子世帯、それから農家におきましては、人を雇
つて牛を借りてたんぼを耕しておきながら、一人前の供出をしなければならない母子世帯、幾多の問題がころが
つておりまして——近き将来におきましては、男の方々と同様に、子供の二人や三人はかかえて食
つて行ける女として成長いたします日は近いのでございますけれ
ども、今の
段階におきましては、過去の政治の貧困、封建
制度の欠陷に対する補いとして、早急に策を立てられたいということを、私は
大臣が就任早々でございますので、特に未亡人母子にかわ
つてお願いをしておきたいと思います。