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1952-02-22 第13回国会 衆議院 厚生委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月二十二日(金曜日)     午後二時十一分開議  出席委員    委員長 大石 武一君    理事 青柳 一郎君 理事 丸山 直友君    理事 金子與重郎君       田中  元君    寺島隆太郎君       堀川 恭平君    松永 佛骨君       松井 豊吉君    清藤 唯七君       堤 ツルヨ君    苅田アサノ君       八百板 正君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 吉武 惠市君  出席政府委員         引揚援護庁長官 木村忠二郎君  委員外出席者         厚生事務官         (大臣官房総務         課長)     小山進次郎君         厚生事務官         (医務局次長) 高田 浩運君         專  門  員 川井 章知君         專  門  員 引地亮太郎君         專  門  員 山本 正世君     ――――――――――――― 二月二十日  委員丸山直友君及び岡良一辞任につき、その  補欠として島村一郎君及び水谷長三郎君が議長  の指名委員に選任された。 同月二十一日  委員島村一郎辞任につき、その補欠として丸  山直友君が議長指名委員に選任された。 同月二十二日  委員福田昌子辞任につき、その補欠として八  百板正君が議長指名委員に選任された。 同日  委員丸山直友君が委員長指名理事補欠選  任された。     ――――――――――――― 二月二十一日  国立病院存続に関する陳情書  (第五九七号)  らい研究所の設立並びに患者作業慰労謝金の増  額等に関する陳情書  (第五九八  号)  国立旭川病院存続に関する陳情書  (第五九九号)  病院経営施設改善等に関する陳情書  (第六〇〇号)  国民健康保險事業を国営に移管陳情書  (第六〇一号)  遺族補償に関する陳情書  (第六〇二号)  戰沒船員遺族、援護に関する陳情書  (第六〇三号)  国民健康保險法による国庫補助の増額に関する  陳情書(第  六〇四号)  生活保護法による生活保護費全額国庫負担の  陳情書(第  六〇五号)  遺族補償に関する陳情書  (第六〇六号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  小委員及び小委員長補欠選任の件  児童保護費に関する件  昭和二十七年度厚生省関係予算に関する件  戰争犠牲者補償に関する件     ―――――――――――――
  2. 大石武一

    大石委員長 これより会議を開きます。  まず理事、小委員及び小委員長補欠選任についてお諮りいたします。  丸山直友君が一昨二十日に委員辞任されたのに伴い、理事が一名欠員になり、人口問題に関する小委員会戰争犠牲者補償に関する小委員会母子福祉対策に関する小委員会国民健康保険に関する小委員会医療体系に関する小委員会においても、それぞれ小委員が一名ずつ欠員を生じており、また人口問題に関する小委員会においては、小委員長欠員になつておりますが、昨日丸山君は本委員に再び選任いたされましたので、辞任される以前についておられましたそれぞれの職に再び選任いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大石武一

    大石委員長 御異議がなければそのように決します。     —————————————
  4. 大石武一

    大石委員長 次に児童福祉に関する件に関し、予算委員会申入れをする件についてお諮りいたします。前回の当委員会において、児童保護費に関し、当委員会において決議をされたいとの堤委員からの御発言があり、委員長においてしかるべくとりはからうことと相なつておりましたが、本日の母子福祉対策に関する小委員会において、大体その構想がまとまり、予算委員会に当委員会意見申入れようと存じますので、一応同小委員長青柳一郎君に案文の朗読をお願いいたします。青柳一郎君。
  5. 青柳一郎

    青柳委員 母子福祉に関する小委員会は、その後三回にわたつて委員会を開きました。そうして児童保護費地方財政平衡交付金制度から、国庫補助金制度へ切りかえのために、本日決議案文を作成いたしたのであります。これを朗読いたします。    児童保護費地方財政平衡交付金制度から国庫補助金制度の下へ切換えることに関する件   児童福祉法による児童保護費は、昭和二十五年度以降、地方財政平衡交付金制度によつて取り扱われてきたのであるが、その実施後僅か二年足らずして、既に或いは新しく必要な保護増加が抑えられ、或いは現に必要な保護差控え又は打切られる等各地における弊害は目に見えて顯著になつてきた。そのため児童福祉施設に入所させ又は里親に委託された児童保護に要する費用、即ち、「児童保護費」の支弁が確保されない実情にある。この児童保護費生活保護法による保護費と同じ性質であり、憲法第二十五條の保障する児童の生命の維持に要する費用を内容としているもので、国の要請する最低限度費用であるが、わが国の現段階における都道府県、市町村は財政的にも弱体であつて児童福祉に対する理解が未だとしく、施設に収容されている児童保護のように、仕事も新しくその利益も住民の一部にしか関係せず、又地味政治的発言力の弱い行政政治的発言力の強い人々に利害関係を有する土木、産業等行政に圧迫されて閑却されがちである。特に平衡交付金の算定が年度当初の施設収容児童数に基いてなされ、年度中途に新設された施設収容児童増加分については平衡交付金は見込まれていないこと、及び富裕地方については全然平衡交付金交付を受けていないとの理由児童福祉事業の適正なる運営を期しがたい現況である。   即ち、現在までの調査によると次の弊害が発生している。   1、児童福祉施設に対して児童保護費支払が非常に遅れたり、全然支払われなかつたりしている。   2、児童保護費支払が国の定める最低限度の額を下廻る傾向がある。   3、措置児童を解除したり、新たに児童措置することをさける傾向がある。   4、児童保護費の徴収が不当にきつくなつたり、又は措置富裕児童に限定する傾向が発生し、ために本当に施設に収容しなければならない要保護児童が巷に放置されつつある。   5、自県で措置すべき児童を他県に追いやろうとし、ために要保護児童がいつまでも措置されずに宙にまよつている。   6、施設新規設置認可がはばまれ、ために施設を設置してほしいという住民の切実な要望に応ずることができない。   これ等の実例は枚挙に暇がなく、児童福祉行政は今や後退の危機に迫られているといつても過言ではない。   若く、しかも地味で即効的でない児童福祉行政の如きに対しては、国の特別の保護がなされねばならない。   以上のような理由に基き、その弊害を除去し、児童福祉事業の適正なる運営を期するために、生活保護費同様児童保護費を速やかに当初の如き国庫補助金制度に還元することを適当と認める。 以上であります。  よろしく委員長におかれまして、予算委員会に申し入れられて、これが実現をはかられたいと、こう存じます。
  6. 大石武一

    大石委員長 以上の案文を当委員会意見として、予算委員会申入れをなすことに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 大石武一

    大石委員長 御異議なしと認め、そのように決します。     —————————————
  8. 大石武一

    大石委員長 次に、昭和二十七年度厚生省関係予算に関する件について、大臣に対し委員から発言の通告がございますので、順次これを許可いたします。金子與重郎君。
  9. 金子與重郎

    金子委員 厚生大臣質問申し上げます。この間の予算説明過程において出ました現在国が持つておりますところの国立病院の九十九病院のうち、二十二病院を残してあと地方自治体移管するというような予算が組まれておるのでありますが、この問題は単なる行政処置として処理されてよろしいものであるか、それに対して大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  10. 吉武恵市

    吉武国務大臣 この前申し上げましたごとく、今日国で九十九の国立病院を持つております。これの移讓についての理由は、この前ちよつと申し上げましたから、くどく申し上げる必要はないと思いますが、この九十九は、国が必要に応じて徐々に増設したものではなくて、実は御承知のように終戦直後において従来陸海軍が持つておりました病院を、一応国が引取つて今日に来ておる、こういう状態でございまするので、この際この九十九の病院を、一部結核療養所にした方がいいと思われるもの十五ほど、これを国に残して療養所としてやつて行く。また地方地方には、やはり総合的な病院として国が指導する上において残しておく方がいいのじやないか、こう考えまして二十四ほど残す。そうして六十ほどは府県その他の公共団体移譲しよう、こういうような状態で来ております。しかしこれも相手方のある話でありまして、法律でもつてこれを無理やりに強制をすると申しましても、相手が自治体でございますから、この問題につきましては、話合いの上で進めて行きたい、かように存じております。
  11. 金子與重郎

    金子委員 実はぎよう私が質問申し上げることは四点でありまして、きわめて簡単に申し上げまするので、もし大臣の御答弁がはつきりいたしておらないような場合がかりにあつたときには、厚生委員会としてまた別な考え方をいたしたいと思います。  ただいまのお話によりまして、相手方のあることであるから、一応予算計画のような形において組んであるけれども地方自治体移譲を受けることにさしつかえのあるような場合に、行政的な面から強引な進め方をするようなことがあるかないかということでありますが、その点はいかがですか。
  12. 吉武恵市

    吉武国務大臣 先ほど申しましたように、強制をするつもりはございません。
  13. 金子與重郎

    金子委員 そういたしますと、政府は、予算計画のような形において組んだけれども地方自治体に対して強制はしないということに了承いたします。  それから第二には、そういうふうな形でこの計画を進めて行つたときに、ある病院地方センター病院なり、あるいは県営病院として移譲を受けたいというような希望もあるかもしれませんが、またそうではない場合も起ると考えます。そうでない場合が起つたときには、残された病院は他の病院と同じように予算措置をとつて経営を続けて行かれるかどうかという点であります。
  14. 吉武恵市

    吉武国務大臣 もちろん、できなければそうしなければならぬと思いますが、私どもとしては、まあ地方と話し合えば、了解がつくものだということで進めております。
  15. 金子與重郎

    金子委員 了承しました。  第三にお尋ねしたいことは、地方移譲過程におきまして、これは相当大きな問題でございまして、この問題が発表されましてから、各国立病院等におきましても、非常に不安の念にかられております。こういうことは、患者立場から申しましても、あるいはこうした医療方面に働く人たち立場から見ましても、重大な問題でありまするから、この地方移譲の決定される際には、一応本委員会に報告なり、諮つていただきたい、こういうことをお願いいたします。その点はいかがでございましようか。
  16. 吉武恵市

    吉武国務大臣 移譲につきまして委員会了解を得るということは、ちよつとむずかしいかと思いまするが、大体の話の経過は御報告をいたしたいと思います。それから今お話になりましたように、現に勤めておる職員につきましては、不安を持たれるのももつともだと思います。私どもとしては、現に勤めておられる者が、移譲によつて全部職を失うなどということは、これはできることでもございませんし、また私どももするつもりはございません。そうかといつて、その病院移譲になつて過剰になる、過剰になつて政府がかかえて置いておく、こう言われましても、それは行政簡素化一般に関することでございまして、そこはできぬと思いますけれども職員を整理するというつもりで移譲するわけではございませんから、移譲される方へ引継がれて行くことに努力をいたしたい、かように存じております。
  17. 金子與重郎

    金子委員 ただいまの質問といいますか、お願いといいますか、これを繰返すのでありますが、行政措置としておやりになるとするならば、これを委員会決議あるいは委員会に諮つて、それにまつてやれという、その段階にまでは行けないと思いますが、この問題は、将来の医療体系の根本問題にも関係する問題でもありますし、一応私ども委員会も、この問題を真剣に取上げておりますから、こういう決定になつたという、單なるあとの結果だけでなく、こういうふうなことになるという成行きに対しては、この委員会に諮つていただきたいということをお願いいたします。  それから最後に、これも質問というか、大臣に対する私ども意見になりますが、今回この移譲問題が突如として起りましてから、本委員会におきましても、かねがね社会保険に関する小委員会等におきまして、そういうような面の研究をいたしておりますと同時に、社会保障制度審議会におきましても、日本医療体系というものが非常にまちまちな形にある、これを何とか再検討すべきだという意見も出ておりましたように、本委員会といたしましても、この厚生行政審議過程におきまして、各委員からときどきこの医療体系の問題が出ておるのであります。ことに現在の医療体系を見まするならば、国立病院のもの、あるいは地方病院のもの、あるいは保険病院、あるいは逓信病院であるとか、あるいは鉄道病院であるとかいうような、今の病院全体から見れば、むしろ特権階級の形にあるような病院、あるいは無医村の形、あるいは現段階一般の開業医の形というようなもので、非常にまちまちでありますので、日本医療体系はどうあるべきかというこの問題に対して、本委員会で小委員会を設けまして熱心に審議し、なるべく近い機会に結論を得たいと思つておりますので、国立病院のみならず、あるいは結核病院にいたしましても、その他の公共機関の持つ半国営的な形にある病院もございますが、今後そうした病院に対してどういうふうな方針をとつて行くかということに対し、今度のように本委員会考え方というものをまつたく無視いたしまして、そうして單なる予算的処置から形をかえて行くというようなことに対しては、しばらく待つていただきたい。そうして一応国会意見というものを中心にし、今後はお考え願いたいということをお願いしたいのでございますが、それに対して大臣はどうお考えですか。
  18. 吉武恵市

    吉武国務大臣 実は金子さんも御承知でございましようが、この移譲の問題は、政府が突如として考えついたわけではございませんで、実際の実情がそうであつたと同時に、社会保障制度審議会または医療制度審議会でも、政府に対して、国立病院については、残すべきものは残し、移譲すべきものは移譲したらどうかという勧告もあり、またそれが今日の日本実情においても常識であろう、こう考えまして実は案を立てたようなわけであります。それから今お話のように、日本医療制度について計画的なものがなければならぬということは、ごもつともだと思います。実はまだ私の方も具体的なこまかい計画は立てておりませんで、これはまた皆さん方の御意見をも十分聞きたいと思いますが、今度の移譲についても、ただ無計画に幾つかを移譲してしまえばいいんだということではなくて、相当実は計画的と申しまするか、考えてはおるわけであります。というのは、二十四残して地方々々の総合病院をつくるというのは、やはり九州なら九州に何箇所ぐらい、あるいは北海道に何箇所というふうに、各地域センダーにそういう国の総合病院を置いそこを中心として指導的なものに当らせる。そうしてそれと関連して府県々々に府県病院を持ち、その下にまた国民健康保険病院でありますとか、あるいは療養所とかいうものを勘案して、そうして結核療養所についても十五ほどやはり国が地方的な分布を見て残そう、こういう一応の考えがあるわけであります。これは人口何ぼに病院が何ぼというふうに、こまかく数字的な上の計画は立たぬことはございませんけれども、なかなかそういう計画だけですぐやれるかというと、今の状態ではなかなか行かないわけであります。でありまするから、大ざつぱな大筋計画に基いて今度の計画を立てておる、こまかい点はお話のようにだんだんと掘り下げて行くべきだと思います。それは将来の結核のベッドにつきましても同様であります。それから国民健康保険の持ちまする療養所といいますか、病院というものを、今後政府が助成して行く上においても必要なことでありますから、その点は十分気をつけるつもりであります。
  19. 金子與重郎

    金子委員 今度の地方移譲が相当計画的だ、もう一つ社会保障制度審議会の中にも、確かにそういう項目はあつたことは私も承知しておりまするが、しかし今度のものを私どもの目から見ますと、医療そのものの本質から、そうせざるを得ないというよりか、むしろ予算的な国家支出を減少するという面が非常に強く働いて、窮余の策のような感を委員たちは受けておるのであります。従つて、そういう感じを受けるような形においてこうなされることは遺憾だということを、私は表明しておきます。  それからもう一つ、今度の地方移譲理由といたしまして、社会保障制度審議会にそういうふうな意見があつたということでございます。これはこの前の大臣の時代であつたの御存じないと思いますが、多少関連いたしますが、この厚生行政に関して、政府が非常に多くの委員会であるとか審議会というものを持たれておる。このあり方につきまし実はこの前の看護婦制度審議会のごときもそうでありまするが、政府その道エキスパートと称するような方々を選んで、これが最高の権威のある審議機関であり、意見を具申する機関であるという形において、その審議会意見がこうだからこうしたということでは、それでは一体国会は何のためにあるのだ。国会こそ国民を代表して一つ意見を出すべきところであり、ものを決すべきところであるのに、この国会委員会が右だと言い、審議会が左だと言つたときに、いつも、審議会意見が左でありますから政府は左に方向をとりましたということでは、国会の威信というものはまつたくなくなる。こういうことは常に言われておることでありまして、ことにこの前の看護婦制度審議会のときには、それと正面衝突をいたしまして、この委員長までが、そういうふうな形であるならば、われわれ厚生委員会というものはないと同じだということで、それならやめてもいいのだというところまで行つたことがあるのであります。従つて、今後もそうでありますが、とかく政府方針をとられるときに、この国会與野党というふうな立場にある関係上、非常にやりにくいという点から、自分でかつて指名した與党的な委員というものを任命して、その意見によつて政治的な方向をとられる、行政的な方向をとられるということに対しては、私は非常に疑問を持つものでありますし、また一面から言うならば、そういうふうな専門的な人たちが、国全体のいろいろな立場から見てエキスパートだとは言われないのでありましその仕事に専門にかかつているから、その人たち意見が専門的なりつぱな意見だとは言われない。むしろ政治は国全体のあらゆる階層からにらんだときに、初めて公正な結論が出るのだと思います。審議会のごときは、常にその道エキスパートというものを選ぶ。従つてそのかたまりというものは国家最高意見だ、国中のあらゆる階層からの最高意見だというふうな見解を私はとりたくないのであります。たまたま大臣の方から審議会お話が出ましたので、今後もこの問題は必ず出て来る問題だと思いますから、審議会のような形のものがこうだからといつもしこの国会委員会意見と対立したときに、その審議会の方を重視するというふうなことは困るということは、前から言つておりますことで、大臣がおかわりになりましたから、この際その点をつけ加えて申し上げておきたいと思います。  それから最後に、今計画的に残されたとおつしやいましたけれども、しかし病院あり方は、かりにセンターだと申しましても、センター病院末端病院との組織なり、あるいは何らかの上に連繋がなければ、ただ大きいものが配置されたということがセンターにはなりません。ことに、これは私ども実際にやつておりまして、非常に困ることでありますが、今の国保の診療所のごときも、各無医村につくつておりますけれども、あれはほんとうに血のつながつたセンター病院がないから、医局の充実ができないということもありますので、そういう点を一つ取上げましても、私どもが今考え計画しておりますところの、本委員会における日本医療体系の根本的な考え方に対して、私どもも懸命に努力いたしますから、どうか大臣政府自体といたしまして、それに相協力していただきまして、一日も早くりつぱな医療体系社会保障の基盤になるような形をつくりたいと思いますので、この際お願いしておきます。
  20. 大石武一

  21. 苅田アサノ

    苅田委員 ただいま同僚の金子議員が、大臣に対して答弁を要求されました四項目は、これは金子議員一人のお考えではなくて、本委員会の大多数の委員要望であつたのであります。私どもは、それとはもつと別個な意見を持つてつたのでありますけれども、もし本日大臣がこの席におきまし金子議員から述べられました以上四項目に対しまして満足の行く御返答をいただくならば、われわれはそういう処置ででも何とか方法を講じて行つてみようというふうな考えを持つてつたのでありますけれども、たいへん残念ですが、ただいまの大臣答弁は、金子議員の指摘いたしました要求に対しまして、まあ考えておくという程度の御答弁くらいなところであつて、決してはつきりしたそのような処置をとるという御返答でないので、私はこれ以上黙つてひつ込んでおることができないので、重ねて私の方から御質問申したいと思うのです。  第一番には、大臣はこの国立病院地方移管は、あくまで強制はしない、これは地方実情を尊重して、あくまて強制はしないというふうなことを、何べんも何べんも言つておいでになりますが、それではひとつお聞きいたします。この地方移管の問題は、将来のことではなくて、すでに交渉が始められておると思うのでありますが、その結果におきまして、非常にけつこうですというような府県ばかりでしようか、どうでしようか。あなたは、話合いで行けば必ず話がつくと言つておいでになりますが、現状をひとつお聞きしたいと思います。
  22. 吉武恵市

    吉武国務大臣 まだこれば予算に出したばかりでございまして、折衝を始めておりません。ただ空気としては、一部には移譲されては困るという方もありますし、それはよかろうという方もあります。まだこれからの問題でございまして、一年間かかつてやろうというのですから、今ここですぐどうだこうだと言われても困ります。
  23. 苅田アサノ

    苅田委員 一部では反対空気があるということは、大臣御存じと思いますが、私の方に参つております資料によりますと、国立地方移譲に対しまして、はつきりとこれは反対だということを府県議会で、つまり府県行政について最高決議権を持つております府県議会でもつて反対決議をいたしましたところが、新潟、奈良、長崎、熊本、宮崎、京都、福岡、山口の以上八県があります。これはすでに県議会、府議会において、移譲に対しては反対を表明しておるのであります。それから北海道、岩手、千葉、富山、愛知、三重、岐阜、静岡、福井、長野、兵庫、和歌山、滋賀、佐賀、大分、鳥取、島根、愛媛、東京、茨城、こういうふうなものは、近くこの問題に対して反対決議しようと考えておる府県であるわけであります。こういう全国にわたつての情報、あるいは確定いたしました決議等を見ますと、とうてい今大臣がお考えになつておるように、話合いをすれば了解がつくといつたような、なまぬるいものでないということは明らかであります。この場合に、もしも了解をつけようとすれば、それでなくても政府に対しまして非常にたくさんの請願があつて、何とかしてもらいたいといつておる弱みのある知事さんに対しまして、この問題をおつかぶせるという傾向が、必ず出て来ると思うのです。ですから、こういうふうに反対の非常に多い問題だということに対しまして、厚生大臣に、これは地方実情考えて行われたものでないということに対する再認識をしていただく必要があるんじやないかと思うのでありますが、この点に対しまして、いかがお考えでございましようか、お伺いしたいと思います。
  24. 吉武恵市

    吉武国務大臣 まだ地方も、どういうわけで移譲するかということを知りません。知らないでただ困るといつて騒いでいるのもある。また中には、病院職員で、移譲されるとおれたちは困りはしないかというので、職員立場から反対されておるのもある。しかしこういう問題というものは、国全体から考えて、国策的にものを考えなければならぬ。御承知でありましようが、現在、府県でも自治体でも、一方に病院を建てたい、従つてその資金を心配してくれないかと申し込まれておるのもたくさんある。片一方には、病院があるから、もし必要なら差上げようといつておるときに、片一方に新しく病院を建てよう。いずれにしても出す者は国民であります。府県の税金でお建てになろうと、国のままで残しておこうと、いずれにしても国民から見れば同じことだ。片方では国の持つておるものはごめんこうむりたい、そうして片一方は新しい病院を金をかけてつくる、こういうことでは、国はなかなかやつて行けません。現在でさえ、国民は税金の負担で悩んでおるときであります。今度の処置は、大体時価の三割で差上げる、時価の三割で建つものならば、県民から見れば、新しくまるまるの金を負担をして建てるよりは、よほどいいに違いありません。ですから、そういう事情で、一部には反対があるでありましよう、何事だつて全然反対のない問題なんてありはしません。ですから、国策の線に沿つて常識的にものを考える。そこで私は無理をしない、かように言つておるのであります。
  25. 苅田アサノ

    苅田委員 国民が税金の負担で悩んでおるということを、大臣みずから言われたことは——今の大臣からそういうことをお聞きしようとは思いませんでした。私の第一番にお聞きしたいのは、大臣は新潟初め八県でもつて、いやしくも府や県の議会反対決議をしておるのが、まつたく実情を知らないで、何もわからない、やみくもの決議だというふうに言われたことは、これは大きな問題だと思います。府県議会決議をするのに、あなたがおつしやつたように、内容を何も知らないでするというふうなことは、私は常識として考えられないのでありますが、しかしあなたはそういうふうにお考えになつておる。これはすぐその府県実情がわかるのですから、まあそれでよろしいと思います。ただこういうふうな府県がこぞつて反対しておるのは、あなたがお考えになるようなそんなものでは決してない。国といたしまして、その府県に出されましても、ちやんと経営が成り立つて行くような、そういうりつぱな施設のある病院を、どんどん地方財政に無理をしないでも、そのままでもけつこうなんだから出すというのであれば、もちろん今各府県とも総合病院等に対しましては要求が多いのでありますから、受取ると思います。私は岡山県で知つておるのですが、岡山県の国立病院というものは、非常にりつぱな病院なんです。こういうりつぱな病院はちやんと国立で今のまま残しておいでになる。そうしてどつちかというと、ほんとうにどこから手をつけてよいか、手のつけようもないような昔の軍病院とか、設備の改造もしておらないような、そういう病院が、むしろどんどん地方移譲ざれるというのが実情である。従来からそういう病院に対しましては、国で二割五分の補助金を出してやつと経営をやつておつた。そういう病院を持ち込んで、そうしてそれでなくても窮乏しておる地方財政の中から、いろいろと費用を捻出して病院を維持するということは、非常に困難だからこそ、こうした地方の自治体や、あるいは関係のある団体が、これに対して反対をしておるのです。これは机の上で計画される人よりも、直接その地方にあつてこれをよく知つておる人たちの言うことの方が、むしろ実情に合つておるのですから、こういうふうな地方からの声に対しましては、こちらから出そうとしておる條件を知らないから、いいかげんな決議をしておるんだ、こういう独断的な考えでなしに、厚生大臣が始終言つておられるように、地方の現状からにらみ合せて、ほんとうに病院をそういうふうにやつた方が、病院にとつてもいいし、地方住民にとつてもいいんだというふうな要素が今度の移讓の趣旨だとすれば、もう少し地方の声を率直に聞いてからこの問題を解決されてもおそくない。あなたの方で、まだ趣旨が徹底していないと思われるならば、こういう條件で譲ろうと思つているんだということをよく聞いてもらつて地方からそれに対する十分な検討をしてもらつた上で来年度予算なり、再来年度予算なりに組んでもらつてもおそくないと思う。地方の意向をはつきり確かめないで、いきなり予算に組んでしまつて、しやにむに今年のうちにこれをやつてしまおうとなさるようなやり方自体が、私は厚生大臣の言われておる御趣旨に合わないことであるというふうに考えるのでありますが、この点はいかがですか。
  26. 吉武恵市

    吉武国務大臣 私はいいと信じたことは、できるだけ早いがいいと思います。
  27. 苅田アサノ

    苅田委員 それは厚生大臣が、いいことだと信じたことは、できるだけ早いがいいというのでは、私は困るのです。実際に病院に入るのはその土地の住民であり、病院を経営するのは各府県の自治体になつて来るのですから、そちらから十分それがいいんだということがはつきりされないでは——私はもうすでに相当そういうことについては、地方実情も調べ上げ、地方からの話も聞かれたと思つていたのですが、まだまるでそのことを聞いてない。政府考えだけで予算を組んだと言われても、これは厚生大臣、しかも最近おなりになつ厚生大臣の独断たということになるのです。そうではなくて、もう少し地方実情を聞いた上で、いよいよこの問題を予算化してもおそくないと思うのですが、これをどうしても今年のうちにしてしまわなければならないという義理合いか條件か、何かあるのではないか。そうでなければ、先ほどから金子委員も言われたように、厚生行政の円滑をほんとうに期するためじやなくて、予算を縮小する手段としてこういうものを地方におつかぶせて、国としてはほおかむりしておる処置だといわれても、言いのがれはないと思う。どうですか、どうしても今年のうちにこれをやつてしまわなければならぬ、実行しなければならないというような特別の事情があるのですか。あれば、そのこともお聞かせ願いたいのであります。
  28. 吉武恵市

    吉武国務大臣 何べん言つても同じですが、いいことはできるだけ早くやりたい、かように存じております。国が経営していいものであれば、それを府県が経営して悪いという根拠が私にはわからない。国で経営していいものだつたら、府県知事だつてつていいですよ。こういう一般国民の医療というものは、府県知事がやつてはいけない、やるべきでないのだ、こういうのなら別ですけれども、これは府県知事だつて当然やるべき仕事です、やつていい仕事です。
  29. 苅田アサノ

    苅田委員 私はちつとも府県がやつてはいけないとは言つていないのです。ただ、今府県がやることについては、この国立病院の経営に対して、建前としては従来からこれは独立採算制になつていないわけです、とにかく足らない分は国から補助を出してやつているわけなんです。ところが今度地方移譲されますれば、なるほど今年の分には化粧料として幾ばくかのものがついているのです。しかし来年度からは完全に各府県の中でまかなつて行かなければならなくなるならば、それでなくとも府県では財政が窮乏しているのですから、どうしてもこの国から譲り受けた病院をやつて行くのには独立採算制を強行する以外に、今の地方の財政の実情としてはやる方法がないから、めんどうを見たくても、今の地方の情勢ではめんどうが見られないような実情にあるということを、厚生大臣はどうしておわかりにならないか。私は何も国がやることを地方でやつていいか悪いかを言つているのじやないのです。地方財政の余裕があれば、むしろそれは地方でやつた方がいいかもしれません。しかし今の地方の財政がそういうものでないということは、これは私が申し上げるまでもなく、大臣は十分知つておいでになるのだから、そういう中にこれをやれば、病院自体をどういうものにするかということを、なぜおわかりにならないのかと思うのです。そういうことがおわかりになりませんですか。
  30. 吉武恵市

    吉武国務大臣 病院が独立採算制でやるべきことは、府県でやつても国でやつても同様であります。今のあなたのお話を聞いていると、国でやる場合は国民が負担してもよろしい、府県でやる場合は国民が負担できない。ふところから出る金は、国民から見れば同じことです。国が持つてつて国で損していたつて、その損したものはだれが負担します、国民が負担するのですよ。府県つて同じことでしよう。国だから、何か天からお金が降つて来るようにお考えなつたら、たいへんな間違いです。国民から見れば同じことです。
  31. 苅田アサノ

    苅田委員 そういう財政問答をしてもきりがない、幾らでも言いのがれは、なさればできるのであります。それならば、地方から平衡交付金を増額しろと言つているわけでしよう。十分に地方が要求するだけのものが増額されたならば、あなたがおつしやるような議論は成り立つかもしれないけれども、そういうことが今できないような実情にあるのたから、それなら自分たちの方から移譲したいなら、平衡交付金で何億か府県の方に特別な分としてわけるとか、その措置みあつての話なら、今あなたの言つておいでになる話はわかるのですけれども、そうではないのでしよう。結局国からもらうところの平衡交付金のわくはさまつておる。そうして地方で取立てる税金の額もきまつておる。こういうふうになつて来れば、これは結局お世話の見様がないということは当然だと思うのです。ですから、そういうことがわからないで大臣が言つておられるとは思えない。これはやはりどうしても今年のうちに、地方が承諾する、しないということを無視して、こういうやり方を強行なさるというおつもりか。形の上では、地方が納得しないものは押しつけないと言つておいでになりますけれども、きようの御答弁でも、地方は納得するものと、こういう前提條件に立てておいでになるのですから、私はそういう点で、もう一ぺん大臣に、あなたの今の考え考え直していただくことができるかどうか。できないというのならば、これはもう大臣の側からはそういう処置はお願いできないのだということがはつきりするばかりで、それではもう必要ないと思います。あなたは地方が受けようと受けまいと、地方は必ず受けるという前提のもとに立つて、今考えておいでになる国立病院移譲ということは、実行なさるおつもりと解してよろしゆうございますね。
  32. 吉武恵市

    吉武国務大臣 何度申し上げましても同じでございます。
  33. 八百板正

    ○八百板委員 今のお話を伺つていますと、よいと信じたことはやるべきだというお話であります。ごもつともでございまして、国がやるものが、地方がやつて悪いということはないじやないか、これもまたごもつともだと思うのであります。国がやるか自治体がやるかということについては、論議をいたしましたら、いろいろ問題があるだろうと思うのでございますが、やはり問題は、地方に移して、その機能が低下するかしないかという点が、問題の中心だろうと思うのです。今日の地方財政の実情から申しますならば、地方移譲によつて、その厚生的機能が低下するおそれがあるということは、一応だれでも考えられることだと思うのです。従つて、そういう場合に、地方移譲しても、なおかつ今までよりももつとよくなる、低下しない、こういうふうな点について、一応そういう見通しを立てておられての話だと思うのですが、そういう点を少し具体的、こういう理由から地方に移してもその機能は低下しないのだ、かえつてよくなるのだ、またそれに伴つてどういう処置考えておるのだ、こういうふうな点を聞かせていただきたいと思うのであります。
  34. 吉武恵市

    吉武国務大臣 これは先ほど申しましたように、必要に応じて自然に国立病院ができて来れば、その必要性があるのですから、うまく行くと思うのです。ところが現在持つている九十九というのは、終戰直後に陸海軍が持つていたものを一応みな引受けたというかつこうなんです。ですから、すみずみまで全部国がほんとうに行き届いた世話をやつて行けるかどうかということは、私は疑問に思うのです。それよりも、府県が地元において知事がひざ元で見るならば、その方が世話が行き届きはしないか。ですから、負担がどつちが得するかというそろばんをはじけば、それはいろいろの意見が出るでしよう。しかし、こういう病院というものは、そこに住んでおる国民に、ほんとうにあたたかいというか、行き届くというか、それで初めて効用をなし遂げるのです。現にそれじや府県では病院という仕事はしないのだ、自治体というものは道路や橋をつくるというだけだということなら、これは別です。しかし府県知事だつて、みなそういう土木の仕事もやれば、衛生やそういうふうな仕事もやりたいといつてまた努力している。現に結核療養所つて、国だけが結核療養所を建ててはおりません、府県つて、自治体だつて、必要があれば負担をしてでも結核療養所をつくつておる実情です。それだつたら、国が全部直轄で九十九のものを全国に持つているよりも、国がめんどうの見得る範囲のものは国がこれを見るだろうし、府県府県で、地元において見て行くということはこれは常識だと思う。むしろ私はその方が常識的にいつていいのじやないかという気がするのです。
  35. 八百板正

    ○八百板委員 私はそういうふうな意味のお尋ねではないのです。今のお話によりますと、心ならずも引受けたやつかいな存在なので、これを地方移譲するというふうにも聞き取れるのですが、やはり問題は、財政上の負担の問題だと思のです。自治体がやるか、国がやるかということについては、しばらく別といたしましても、これをやるからには、やはり相当の赤字を覚悟で行かなければ、今まで母上の成果を上、げて行くことは困難だろうと思う。そういうことになりますと、今おつしやるように、政府一つ方針によつて引受けた仕事ではなくて、心ならずもこういう国営の状態になつておるのだからこれを整理する、そういうような意味で、これを地方に引受けてもらうのだというようなことになりますと、結局財政上の負担というものは、地方にまかせるということにならざるを得ないと思うのです。もちろん、それは事情のわかつている自治体がこれを運営した方がよくやれる、そういう事情も当然あり得るわけです。そういう点は、事情を知つている地方自治体がやつた方が、能率が上がる場合も、仰せの通りあり得るわけでありますが、問題はそれを国の負担によつてつても、自治体の負担においてやつても、どつちにしろ国民の負担だ、それもその通りであります。しかし、事実上の自治体が今日財政窮迫に陷つてつて地方自治の財源の確保が困難だというような今日の状態においては、自治体の赤字負担というものが困難になつて、その結果は実質的に厚生機能の低下になる。この点について、どういう具体的な措置考えておられるか、こういうことをお聞きしたいのです。
  36. 吉武恵市

    吉武国務大臣 先ほど申しましたように、地方においても、財政的な負担の問題も起つて来るでありましよう。しかし、大体は独立採算制の建前で行くわけでありますから、国がやりましても、府県がやりましても、私はそう大差はないと思うのです。そこで問題は、地方自治体が、先ほども申しましたように、多少の負担になつても、負担になることはやむを得ないんだという前提に立てば、お話の通りです。しかし今日は府県知事といえども府県内における行政については、一般の庶民についてのいろいろな施設もやりたがるし、またやつておられます。先ほど申しましたように、結核療養所つて、これは相当の負担になるのです。国がやるべきものだといえば、国がやるべきものとも考えられる。しかし、国だけでは行き届かないから、府県でもやつてもらつている。あるいはまた各部落でも国民健康保険をつくつてつているんです。ですから、そういう問題というものは、ただ負担になる、ならぬで、おれはいやだ、いやでないということだけで考えるべきでないと私は思う。だから府県知事と話合いをして行けば、私は話がつくと考えております。これは悪い仕事であるということなら、悪い仕事府県知事に押しつけるなんていうことを考えてはいけませんしかし、これはいい仕事だし、国でもやらなければならない、府県でもやらなければならないことなんです、またやろうとしているのです。現に、別に病院を建ててやりたいと言つて来られているところもたくさんある。それならばそれで話合いの上で進めて、これを強制して押しつけるというのでも何でもないのですから、私はそれがおわかりにならないのが、どうも私の方でふしぎに感ずるのです。
  37. 八百板正

    ○八百板委員 どうもおわかりにならないと大臣がおつしやるのは、私は大臣がおわかりにならないような気がするのですが、要するに負担を地方財政の上によけいかけるということにならずして、この機能を高める方法があると考えておられるかどうか。結局地方財政の負担になるということになれば、今日地方財政の窮乏している折柄、その分だけ低下する結果になる、こうわれわれは考えている。この点が何か十分にのみ込んでいただけないように思うのですがね。
  38. 吉武恵市

    吉武国務大臣 国立病院は、先ほど申しましたように、国が経営しましても、県が経営しましても、独立採算制で行くべきものです。また国もその方針で参ります。ですから、その点については……(「それがおかしいんですよ」と呼ぶ者あり)おかしくはないですよ、どうしておかしいんですか。それから、国であつたならば、独立採算制でなくつて、負担してよろしい。府県ではいかぬといつたつて、税金を出しておる国民から見れば同じことですよ。国がやつたら、国はどこかよそからお金が出て来るくらいにお思いになつておつたら、たいへんな間違いで、国民の負担から見れば同じことです。
  39. 八百板正

    ○八百板委員 問題は、地方財政の上に中央財政のしわ寄せを持つてつてはいけない。そういう点から機能の低下と関連してお尋ねしておるのであつて、だれが出すのでも、税金であれば同じじやないかと言つたつて、ない方が負担するということになれば、貧乏な方が負担するということになれば、どうしても結果としては、低下せざるを得ないのであつて、そういう点で、地方財政について、厚生の機能を低下させないような具体的な処置を用意せられておるかどうか、こういう点であります。
  40. 吉武恵市

    吉武国務大臣 私は実際地方庁にも勤めておつたこともございますが、国がやつたら国の方がいいんだとお思いになつておることが、たいへんな間違いだと思います。これは自治体がやつて、自治体の方が能率も上げれば内容もよくなる仕事がたくさんあります。国がやつたら、いかにも国というものは財政的なバツクがあるから、何もかもよく行くようにお考えになつておるけれども、たいへんな間違いで、自治体でやつた方が非常によくなつておることもたくさんあるのです。
  41. 堤ツルヨ

    堤委員 ちよつと私遅れて参りましたけれども、議事進行に関して——この国立病院移管の問題は、非常に皆さんの御質問もおありになり、御意見もおありになると思うのです。それで今日はすぐに質問に入られたようでございますけれども大臣としましては、当面の責任者として国立病院九十幾つのうち六十までこうした状態に持つて行かれようというのにつきましては、非常に大きな現在の医療体制というものに対する批判、それから今後の御計画というようなものを全般にお持ちになつて、しかる後にこういうものを予算の中に、また実行の上に移そうとしていらつしやると思うのでありますから、まず枝葉末節的な質問は後にいたしまして、今後の日本の国の医療体制全般に対する大臣の抱負の終始一貫したものを聞いて、その上で納得の行かない場合にはまた質問なりをするとして、一貫した大臣の医療体制に対する御所見をまとめて全部聞かせていただきたい。それでわれわれが納得が行けば、これは大所高所に立つて異議なく賛成いたします。現在の国立病院には、もちろん検討を要すべき幾多のものがあつたのでございますから、私は目の届かない中央が、地方のお力をお借りになつてはどうかということを申し上げたことも、過去においてはあるのであります。しかしそれは地方移譲の問題とは別でございます。ですから、この検討を要する時期にあたつて大臣も何かお考えがあつて、大所高所に立つて考えであろうと思いますから、医療体制全般に対する今後の抱負、それからこれはどこの先進国の例を見ましても、はつきりしておりますように、社会保障制度というものと国の医療体制というものに対する全般的な御識見をまず承つてから、質問に入るのが、やはり順序じやないかと思いますので、ここで大臣の医療体制に対する遠大な抱負と今後の企画を、われわれの納得の行くように話していただきたい。しかる後質問を展開していただきたい、さようにおとりはからい願いたい。
  42. 吉武恵市

    吉武国務大臣 それはむずかしい問題で、簡單に十分や二十分でというわけのものではなくて、相当深く研究しなければならぬと思います。それは机の上のプランは幾らでも立ちます。机の上で人口が何ぼで、それには病院が何ぼいる、ベッドが何ぼいるということを書くことでしたら、すぐきようにと言われても困りますけれども、立てようとしたら、そう私はむずかしくないと思う。しかしそう簡単に机の上でプランを立てて、それで満足すべきものではない。私は根本的には、地方地方にはやはり一つの総合的な病院を持つて、医療についての総合指導をやるところがあつてほしい、かように思います。ただ都会地だけに偏在するというようなことでなく、地方心々に相当中心になるべき総合病院があつて、むずかしい病気はそこへ行けば、そこで相談に乗つてもらえるとかなんとか、そういうものがあつてほしいと思います。それから国が全部の医療の機関を持つということには、私は賛成いたしません。それは、そういう国もありますが、それではそれがほんとうに行き届く行政であるかと言うと、私はそうは思わない。やはり医療の関係は、国も中心的な指導のところを持つでありましようが、各府県の自治体は各府県の自治体で、一般県民の総合的な病院というようなものをお持ちになる方が私はいいと思う。県もお持ちになる。それじやその県内の医療というものは知事が全部県立でもつて引受けて行つたらどうかという意見もあるでありましようが、私はこれもあまり賛成しない。それはやはりその末端の部落々々には国民健康保険という組織があつて、そうしてそれによつて医療をやつて行くでありましようし、それを各町村町村で病院を持つと言つたつて、簡單にできませんから、地方の各町村が一緒になつて病院を持つて行くということも必要であろうし、また現にそういう方向で進んでおります。  それから開業医というものも、物の考え方によると、医療というものは営業でやるべきものではないのだ、これは全部国立あるいは公立の公共的なものでなければいかぬ、一応こういうりくつは言えましようが、決してそうじやない。やはり開業医のものは開業医にやらせて、初めて私は能率も上ると思う。ですから、そんな点は一片の理論やイデオロギーでものを考えて行くことは、私は誤りを犯しやすいと思う。ですから、その点は全体を常識的に考えて行く。私はほつておくつもりはございません。  それから結核の問題にいたしましても、そうであります。現に国立療養所もつくると同時に、県立の療養所もつくり、各府県の組合立の療養所もつくつて、それが双方相まつてつて、初めてだんだんとこの医療網というものが私は発達すると思う。机の上で人口が何ぼについて何ぼという計画は立ちますけれども、これはそう簡単に財政が行くわけではありませんから、だんだんと国力の充実にまつて医療制度というものも普及して行くわけであります。  それから、よく社会保障制度と結びつけてお考えになる方がありますが、社会保障の制度は国がもちろん生活保護法等において責任を持つてつて行きます。しかし社会保障の制度は、すべて国立病院国立施設でやらなければならないとお考えになるところに、私はまた誤りがありはしないかと思う。それはその費用の負担という点においては、国はもちろんその責任を持たなければなりません。しかしそれによつて療養を受ける場合、療養機関国立のものに入ることがよければ国立のところに入るし、府県立のものに入るのがよければ府県立に入るし、また開業医のものだつてずいぶん入つております。それを全部イデオロギーで、社会保障は国がやるからこういうものは、国が直接やらなければいかぬ、全部国立でやつて行くなんということを考えますると、往々にして間違いを起しやすいのであります。こまかい計画になりますれば、これはそう簡単には行かぬでありましよう。緻密に見なければならないと思いますけれども、大体私の基本的な考え方はそういうつもりであります。
  43. 堤ツルヨ

    堤委員 ただいまの大臣の御意見、決してわからないこともございません。それで今後の医療体制に対して国がいかにあるべきか、また三府四十二県がいかにあるべきか、また市町村の体制がどうあるべきかということについて、一応の縦の連繋ということをまじめに考えておいでになるという点は、私了承いたします。そういたしますならば、具体的な例は、非常にこまかくなつて来て、机の上のプランに終りがちだということをおつしやいますけれども、今度の九十幾つのものの中から、六十のものを地方移管なさろうという前提に立つて、こういう結果が生れますには、その前提になるべき全国的な計画表が一つ一つ具体的に、たとえば神奈川県の何はここに国立を持つて行く、そうして県立をここに配置して、将来市町村をどういう体制に持つて行くかという、また兵庫県においてはしかそれぞれであるとか、また東京都においてはかくかくしかじかというところの案が大体立つて、初めてその九十余の中から六十というものが生れて来るという結論になるのではないかと思いますので、当然この委員会にそうしたこまかに御計画が、やはり一応理論の裏づけとともにはつきりされましたならば、われわれは反対のための反対をするのじやございませんから、ある程度納得が行つて、また質問だとか、論戦だとか、まじめに検討すべき今後の医療体制への協力なども、私はできると思うのでありますが、その点がはなはだ遺憾ながら政府側から事つまびらかにわれわれに示されておらないというところに、少々今度の政府のやり方に無理なところがあるんじやないか、私はかように考えるのでございますが、大臣はいかがでございますか。
  44. 吉武恵市

    吉武国務大臣 お話の通りであります。それはできぬこともございませんし、私どもももちろん考えております。しかしながら、そういう計画を立てて、計画通りにやろうと思えば、これは強制する方法をとればできます。机の上で、どこにはどういうふうな配置をして、そうして行けるという計画を立てて、その計画で地元のものの反対があつてもなくても、この計画はいいのだから、この計画の通り実行するということであれば、容易にできます。しかしながら、今言いましたように、それをやれば、相手方強制するようになるから、相手方の納得をまたなければならない。ですから、相手方が引受けるか引受けぬかということの見通しがつきませんと、なかなか簡單に行かない。それじや相手が引受ければ、一箇所に全部かたまつて移讓をし、片一方の方は全部残すかというふうな無計画なことはできぬですから、先ほどあなたはおいでになりませんでしたが、金子さんのお尋ねのときに、大体私は構想は申し上げておる。そういう方針のもとに折衝をいたします。ですから、今きちつと全部を細胞組織のように組み立てたプランがほしい、——これは実は私ども考えたいのでありますけれども、それをやつて、それじやその上でこれをやれ、こう強制してよろしい、このプランがいいからこのプラン通りにやつたらよろしいということで、相手がいやでもおうでもやりなさいと言われれば別ですが、それは私は必ずしも賛成しがたい。こういう問題というものは、そう強制してやるべきものではない、かように考えまして、実はそういうきちつと組み立てたプランは立てていない。     〔「委員長」「委員長」と呼ぶ者あり〕
  45. 大石武一

    大石委員長 ちよつと待つてください。——厚生大臣は、予算委員会に行く時間が追つて来たようです。それで大体きようは、皆さんの御質問によつて、この国立病院地方移管の問題は、決して強制するものではない、話合いによつてやるものだということ、それから厚生委員会を無視しないで、ここと協調して計画を進めて行くという収獲があつたと思うのです。大体きようはそういうような収獲がありましたから一応打切ります。最後金子君にちよつと質問を許します。
  46. 金子與重郎

    金子委員 ただいまの大臣の御答弁の中で、いろいろな問題があると思いますけれども、そういうふうな長いことはやめまして、ただ、ただいま大臣答弁なさつたような御趣旨であるならば、はなはだ遺憾であるけれども予算措置あとにして、一応今年発表して、しかる後に予算措置をしていただければ、予算関係から来た圧力を受けたというような感じを受けなかつた。しかるに予算措置が先に出て来たために、われわれはそういう疑問を持つたわけであります。そこで先ほど大臣の御答弁がありました通り、今度そういう計画は立てたけれども、決してこれは強引に地方強制するものじやない。それからまた、幾つかはできても、不幸にしてできなかつたものに対しては、予算措置をとつて、次の段階が来るまで国立病院としての置き方をするのだ、それが第二。それから第三と第四の私の質問をいたしましたところの、その過程において本委員会に一応報告なり、はかつていただきたいということに対しては、これは考慮するということであります。それから今度の医療体系に対する小委員会結論を、今後医療体系をかえる上には相当尊重していただきたいということをお願いしたわけでありますが、はつきりいたしませんのは第三と第四であります。この問題は、また後ほど本委員会決議なり何なりの形式をとりまして、あなたにお願いしたいと思つております。  ただ最後に申し上げますが、ただいま大臣の御答弁を聞いておりますと、厚生大臣である以上、そうなくてはならぬと思いますけれども、あまりに自信満々でありまして、われわれはとりつく島がないのであります。あなたは本委員会は新しいのでありますが、この委員会は、ほかの委員会と違いまして、そう與野党の形において喧々諤々、議論の上に議論を積み重ねるという形はなるべく避けるという方針でやつております。ほんとうに国民のためにどうすればいいかということを話合うということを、野党におりますわれわれも真剣にその面で考えて、今日まで運営したほどであります。ほかの委員会と違うのだということを、大臣は初めてでありますから、ひとつ私から申し上げておきまして、今後ひとつせつかくの御努力を願いたと思います。
  47. 苅田アサノ

    苅田委員 私は、ただいま厚生大臣から御高見をいろいろ伺いまして、それにつきましても、いろいろ申し上げたいと思うのですけれども、時間がないとおつしやるので、ただ一点だけ御答弁願いたいのです。厚生大臣は、国立病院であつても、これは独立採算制を建前としておるのだ。医療の問題は、社会事業じやないのだから、独立採算制だとおつしやいましたが、いつ厚生省の方針が、国立病院は独立採算制だというふうにかわつたかということを、私はお聞きしたいのです。というのは、この前国立病院に対しまして、これを独立採算制にするんじやないかという疑問が出ましたときに、林厚生大臣発言なさつたのですか、それともあるいは医務局長だつたかしりませんが、日本の現状で、今完全な独立採算制にするということは、医療の現状に即しないから、独立採算制にはしないということをはつきり御答弁なつた。そのために毎年国費の中から二割なり三割なりの補助が出ているのです。それだからこそ、今の日本のように、保険料が全部納められない人がたくさんいましたり、生活保護患者がいたり、減免の患者がいたりするのですが、国立病院がそれでやつて行けるのです。ところが、今のあなたのお話を聞くと、国立病院は独立の採算制が建前だとおつしやるのですが、私はどうもそれは厚生省の方針としては、いつそういうふうにかわつたか、疑問が起るわけです。その点につきまして、大臣の御答弁を願いたいのです。
  48. 吉武恵市

    吉武国務大臣 大体国家及び公共団体の公営事業は、本来独立採算制であるべきもので、ただそれを文字通りやるかやらぬかだけの問題であります。
  49. 苅田アサノ

    苅田委員 それは速記録を見ればわかります。この前の国立病院の同様の問題が起つたときには、はつきりそうでないという御答弁があつたのですが、それがいつからそういう、つまり厚生省としての御方針におかわりになつたのか、その点を私はお伺いしたいのです。それは本来はそうであつても、日本の今の現状からできないという建前から、それが行われていないのだと思うのです。国立療養所であつても、全然そういうことはやつていないわけです。いつからそういうふうになつたのですか。
  50. 高田浩運

    ○高田(浩)政府委員 大臣からお話があつた通りでございまして、大臣としては、現在国立病院の特別会計について、現在の制度がどうである、こうであるということでなくて、本来そうあるべき性質のものである、そういうふうな趣旨で御答弁になつておると思います。
  51. 苅田アサノ

    苅田委員 それでは、本来そうであるけれども、今度からは独立採算制にするということなんですか。大臣ははつきり国立病院は独立採算制であるべきだというふうにおつしやつたのですが、それはそうじやなくて、独立採算制であるけれども、現状ではそれがやむを得ないから、特別会計にしておることを認めるとおつしやるなら、将来国立病院地方移管されるときには、やはり同様な措置が講ぜられなければ、国立病院としての役目を私は果せないと思うのです。その点につきまして、私はどうも大臣の本来のお考えに食い違いがあるように思うのですが、その点いかがですか。
  52. 吉武恵市

    吉武国務大臣 特別会計だから独立採算制でないというわけのものではございませんで、公企業的なものは、独立採算制を建前にするのです。ただ現実の場合において、それがすぐ減額できるかできぬかということであつて、やむを得ぬときには、一般財政からの繰入れをすることもあります。それはたくさんあります。しかし本来公営事業というものは、もうける性質のものじやないのですから、料金をよけいとつて、そしてもうけるというはずのものでもない。同時にまた、企業でありまする以上は、やはり収入によつてまかなつて行くという建前をとりませんければ、やつて行けません。ですから、そのときその年の実情によつて、公共的なものでありますから、無理はいたしません、従つて毎年若干の繰入れはいたしております。しかし繰入れもできるだけ減少して行くべきだと、私は思つております。
  53. 苅田アサノ

    苅田委員 そうしますと、地方移管なつた場合には、この国立病院の特別会計というものは、やはり独立採算制に移るということになるだろうと思うのです。そうなつた場合には、やはりそこで現状と違つたような情勢の中に、この国立病院自体が経営をされなければならないということが、私はわかつていただけると思うのです。それはどうでしよう。
  54. 吉武恵市

    吉武国務大臣 それは地方移譲された場合も同様であります。先ほど申しましたように、府県の知事、府県の自治体は、つまり採算のとれぬ仕事は一切やりませんということになつておれば、これは格別です。しかし府県には、結核療養所でも府県の負担で繰入れてやつているのがたくさんあるのです。ですから、こういう仕事府県に適当でない仕事である、府県はやつてはならないということであれば、それを無理に移譲するということは、われわれが考えるのは無理ということが言えます。しかしそういう府県立の一般庶民の病院というものは、あつてしかるべきです。それであるならば、現在やつておりますと同様な方法で府県がやつて、どこが悪いか、私はどうも悪いという原因がわからないのです。負担の点から言うならば、国民の負担は同じことです。負担から言うならば、府県税で納められようと、国税で納められようと、国民から出す税金はみんな同じことです。国におんぶさえすれば、いかにも得するようにお考えになつているけれども、国におんぶしても、国民がみんな負担するのです。
  55. 大石武一

    大石委員長 本日の厚生大臣に対する質疑はこれで打切ります。     —————————————
  56. 大石武一

    大石委員長 次に、戦争犠牲者補償に関する件について発言を求められておりますので、順次これを許可いたします。苅田委員
  57. 苅田アサノ

    苅田委員 質問をいたします前に、こちらの委員会といたしましては、今度の政府の案につきまして、何一つ政府から現状についての御報告がないわけです。御報告のないままに、二十六日には予算委員会でもつて、この援護に対するかんじんの財政的措置がきまつてしまう、そういう状態になつておるのでありますから、この際決定しておりませんでも、援護局ではどういう方針でもつて、今法律を準備しておるかということを、ひとつここにできるだけ詳細にお話願いたいと思います。その上で質問をさせていただきます。
  58. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 遺族、傷痍軍人に対しまする援護の法律につきましては、今般閣議でもつて予算が決定いたしました。その予算の範囲内におきまして、いかに中を組み立てるかということについて、目下検討中でございます。従いまして、われわれといたしましては、まだこまかい問題がきまつておりませんので、ここでもつて御説明申し上げる資料がないことを遺憾に思います。
  59. 苅田アサノ

    苅田委員 本日の読売新聞を見ますと、逐次政府の援護に対する法案の、現在進んでいる状態が出ているわけです。われわれ当委員会委員に対しましては、新聞によつてつてくれというような政府の御意向であるということは、はなはだこの委員会を侮辱しておられると思います。少くともあれだけの用意が進んでおるというものであれは、当然経過の発表ても、——それがもし記録にとどめることが不適当であれば、速記はとめてでも、当委員会に対しまして、今政府はこういうことを考えておるのだということを発表なさるのが、昨年来から三十数回の小委員会を持つて、この問題に協力しておる当委員会に対する、政府の当然あるべき態度だと思うのです。そういうふうな御答弁に対しては、私は非常に遺憾に感じます。どうぞ現状進んでおるところを、もし速記が不適当であれば、速記をつけるということを私はやめてもよろしゆうございますから、もつと虚心坦懐に、今進んでおる状況についてお話を願いたいと思います。
  60. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 きよう新聞に出ておりましたのは、私の方は何ら関知しておらないのであります。あの新聞はどこからああいうものをお書きになりましたか、私ども厚生省としては、厚生省案があるというようなことは申したこともございません。現在としては、閣議その他各方面でおきめになる方針に従いまして、何と申しますか、技術的に案をこしらえるという事務をいたしておるのでございます。まだ若干きまらぬ分がございますので、完全な成案になつておらないことを申し上げておきます。
  61. 苅田アサノ

    苅田委員 私はきようは完全な厚生省としての御意見を伺いたいということを言つておるわけじやないのです。ですから、私は決して無理を言つていないと思います。今準備になつておられるところを、もしも速記をとられることが都合が悪いというなら、速記をやめてもよろしいから、この委員会にその内容を発表していただきたい。政府の言われるところによれば、今月末までにはできるというのだし、しかもその前に予算委員会の方では、予算のわくがきまつてしまうのですから、委員会としては、当然の要求だと思います。もしそれがおできにならないというなら、私は次の処置考えますが、今の政府当局としてはこの委員会に対してそういうことさえもおできにならないということですかどうですか、お聞きしたいと思います。
  62. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 私の方といたしましては、いろいろな方針がございまして、そのいろいろな方針があるものでございますから、どの方針にも合うようなことで準備いたしております。従つて、どれを申し上げていいのか、厚生省でもつて原案をつくつて出すというのではなしに、ある一つのきまつた方針に基いて、原案をつくるという形になるわけでございますので、ここで私が責任を持つて申し上げるわけには行かないということを申し上げておきます。
  63. 大石武一

    大石委員長 速記をやめて……。     〔速記中止〕
  64. 大石武一

    大石委員長 速記を始めてください。  本日はこれにて散会いたします。次会は来る二十六日火曜日の予定であります。     午後三時五十三分散会