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1952-02-15 第13回国会 衆議院 厚生委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月十五日(金曜日)     午後一時五十四分開議  出席委員    委員長 大石 武一君    理事 青柳 一郎君 理事 丸山 直友君    理事 金子與重郎君 理事 岡  良一君       高橋  等君    寺島隆太郎君       堀川 恭平君    松井 豊吉君       松永 佛骨君    清藤 唯七君       柳原 三郎君    堤 ツルヨ君       苅田アサノ君  出席政府委員         厚生政務次官  松野 頼三君         厚生事務官         (大臣官房会計         課長)     太宰 博邦君         厚生事務官         (保險局長)  久下 勝次君  委員外出席者         厚生事務官         (保險局健康保         險課長)    牛丸 義留君         厚生事務官         (保險局国民健         康保險課長)  山本 正淑君         厚 生 技 官         (保險局医療課         長)      五十嵐義明君         專  門  員 川井 章知君         專  門  員 引地亮太郎君         專  門  員 山本 正世君     ――――――――――――― 二月八日  委員平島良一辞任につき、その補欠として首  藤新八君が議長指名委員選任された。 同月十一日  委員小平久雄辞任につき、その補欠として吉  武惠市君が議長指名委員選任された。 同月十三日  委員首藤新八辞任につき、その補欠として根  本龍太郎君が議長指名委員選任された。     ――――――――――――― 二月七日  兒童福祉及び青少年問題に関係ある官公吏を行  政整理から除外する陳情書  (第三一一号)  国立病院及び国立療養所等地方移讓反対に関  する陳情書  (第三一二号)  療術師法制定反対に関する陳情書  (第三一三号)  入院患者に対する三点未満の処置薬価料請求に  関する陳情書  (第三一五号)  社会保險医療強化に関する陳情書外四件  (第三一六号)  同(第三一七号)  社会保險制度の改善に関する陳情書  (第三一八号)  健康保險診療費單価値上げに伴う差額全額国  庫負担に関する陳情書  (第三一九号)  健康保險直営診療施設等国庫補助に関する陳情  書  (第三二〇号)  国民健康給付費国庫負担に関する陳情書外二  件(第三二一号)  医療保險制度確立に関する陳情書  (第三二二号)  遺族補償に関する陳情書外二十六件  (第三  二三号)  同外二十件  (第三二四号)  同外四件(  第三二五号)  同外一件  (第三二六号)  戰歿者遺族補償に関する陳情書  (第三二七号)  戰争犠牲者に対する援護策に関する陳情書  (第三二八号)  戰争犠牲者に対する援護に関する陳情書  (第三二九号)  戰争犠牲者救護に関する陳情書  (第三三〇号)  遺族並びに傷い者等救護施策実現に関する陳情  書(第三三一号)  未帰還者及び留守家族国家補償に関する陳情書  外十件  (第三三二号)  同  (第三三三号)  同(第三三四号)  同外二十八件  (第三三五号)  未帰還者及び留守家族に対する国家補償法制定  に関する陳情書(  第三三六号)  未帰還者及び留守家族国家補償等に関する陳情  書(第三三  七号)  原爆犠牲者遺族援護に関する陳情書  (第三三八号) 同月九日  国立下関病院存置請願坂本實紹介)(第  五五九号)  あんま、はり、きゆう及び柔道整復師免許制  度存続等請願小林運美紹介)(第五六三  号)  同(岡良一君外一名紹介)(第五六四号)  同(坂田英一紹介)(第五六五号)  同(岡良一紹介)(第六〇八号)  同外一件(大石ヨシエ紹介)(第六〇九号)  同(河原伊三郎紹介)(第六三八号)  国民健康保險再建整備に関する請願圓谷光衞  君紹介)(第五六六号)  戰傷病者国家補償強化等に関する請願(金塚  孝君紹介)(第五六七号)  日本住血吸虫防除対策確立に関する請願(龍野  喜一郎紹介)(第五六八号)  上水道敷設費国庫補助に関する請願圓谷光衞  君紹介)(第五八六号)  母子福祉法制定請願外三十一件(堤ツルヨ君  紹介)(第五九〇号)  同(上林與市郎紹介)(第六四〇号)  同(稻村順三君紹介)(第六四一号)  同(成田知巳紹介)(第六四二号)  同(福田昌子紹介)(第六四三号)  土建及び日雇労働者等に対する健康保險全面  適用に関する請願寺島隆太郎紹介)(第五  九一号)  国立鈴鹿病院存置請願山手滿男紹介)(  第六一〇号)  福岡市に国立光明寮設置請願池見茂隆君紹  介)(第六三三号)  戰争犠牲者援護措置に関する請願池見茂隆  君紹介)(第六三四号)  遺族援護強化に関する請願西村英一紹介)  (第六三五号)  兒童福祉司制度廃止反対請願山本久雄君紹  介)(第六三六号)  伝染病院隔離病舎整備拡充に関する請願(池  見茂隆紹介)(第六三七号)  国立鈴鹿病院存置請願山手滿男紹介)(  第六三九号)  公衆浴場法廃止反対請願大西弘紹介)(  第六四四号)  戰病死者としての確認に関する請願大石ヨシ  エ君紹介)(第六四九号) 同月十三日  土建及び日雇労働者等に対する健康保險全面  適用に関する請願前田榮之助君紹介)(第六  六四号)  アフター・ケア施設確立に関する請願稻村順  三君紹介)(第六七八号)  母子福祉法制定請願辻寛一紹介)(第六  七九号)  同(門脇勝太郎紹介)(第六九三号)  同外四外(辻寛一紹介)(第六九四号)  療術師法制定反対等請願江花靜君外一名紹  介)(第六九〇号)  同(川端佳夫紹介)(第七三三号)  あんま、はり、きゆう及び柔道整復師免許制  度存続等請願外一件(山本猛夫紹介)(第  六九一号)  同(江花靜君外一名紹介)(第六九二一号)  遺族援護強化に関する請願外一件(小川平二君  紹介)(第七二二号)  同外九件(吉川久衛紹介)(第七二三号)  妊娠中絶に関する請願菊池義郎紹介)(第  七二四号)  広島市における原爆犠牲者遺族援護に関する  請願山本久雄紹介)(第七二五号)  栄養士法廃止反対請願福田昌子紹介)(  第七二六号)  公衆浴場法廃止反対請願福田昌子紹介)  (第七二七号)  新潟県下の結核病床増設等に関する請願(猪俣  浩三君紹介)(第七二八号)  医療従業員増員等に関する請願福田昌子君  紹介)(第七三一号)  国立山口病院存置請願坂本實紹介)(第  七三二号) の審査を本委員会に付託された。 同月十二日  国民健康保險法強化に関する陳情書  (第四一四号)  国民健康保險事業再建整備強化に関する陳情  書  (第四一五号)  看護婦養成施設の充実に関する陳情書  (第四一六  号)  母子福祉法制定に関する陳情書  (第四一七号)  社会福祉事業法の運用に関する陳情書  (第四一八号)  新潟県民医療保障に関する陳情書  (第四一  九号)  日本医療団の解散に伴う清算剰余金還元配付に  関する陳情書外三件  (第四二〇号)  災害救助法並びに同法施行令改正に関する陳情  書(第四二一号)  未帰還者及び留守家族国家補償に関する陳情書  外九件(第  四二二号)  同外一件(  第四二三号)  同外三件  (第四二四号)  同(第四  二五号)  戰争犠牲者並びに遺家族に対する補償援護確立  に関する陳情書(  第四二六号)  遺族補償に関する陳情書外三十八件  (第四二七号)  遺族援護に関する陳情書  (第四二八号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  小委員及び小委員長選任  昭和二十七年度厚生省関係予算に関する件     ―――――――――――――
  2. 大石武一

    大石委員長 これより会議を開きます。  まず小委員及び小委員長選任の件についてお諮りいたします。一昨日の理事会において国民健康保險に関する小委員会並びに医療体系に関する小委員会を設置されたいという御要望が強かつたのでございますゆえに、小委員十名よりなる国民健康保險に関する小委員会及び医療体系に関する小委員会を設けることとし、小委員及び小委員長選任に関しましては、委員長指名することに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大石武一

    大石委員長 御異議がなければ、国民健康保險に関する小委員には    青柳 一郎君  大石 武一君    松永 佛骨君  丸山 直友君    亘  四郎君  金子興竜郎君    柳原 三郎君  岡  良一君    苅田アサノ君  福田 昌子君以上の十君を、医療体系に関する小委員には    青柳 一郎君  大石 武一君    高橋  等君  堀川 恭平君    丸山 直友君  金子與重郎君    松谷天光光君  岡  良一君    苅田アサノ君  福田 昌子君の十君をそれぞれ指名し、国民健康保險に関する小委員長には亘四郎君を、医療体系に関する小委員長には堀川恭平君をそれぞれ指名いたします。     —————————————
  4. 大石武一

    大石委員長 次に小委員補欠選任の件についてお諮りいたします。人口問題に関する小委員会において高橋等君が張る二月四日に、岡良一君が去る昭和二十六年十二月十五日に、それぞれ委員辞任されたのに伴い二名の欠員を生じ、戦争犠牲者補償に関する小委員会において、去る二月四日に高橋等君及び岡良一君が委員辞任されたのに伴い二名の欠員を生じ、母子福祉対策に関する小委員会においても、同じく高橋等君の辞任に伴いまして一名の欠員を生じておりますので、この際その補欠選任を行いたいと存じますが、辞任された諸君はすべて厚生委員に再び選任されましたので、それぞれ辞任される以前の各小委員の職に再びつかれることとし、人口問題に関する小委員岡良一君の補欠に関してのみは、同君のかわりに堤ツルヨ君を選任することに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 大石武一

    大石委員長 御異議がなければ、そのように決します。  なお母子福祉に関する小委員金子與重郎君が小委員辞任を申し出ておられますが、これを許可し、その補欠選任に関しましては、委員長より指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 大石武一

    大石委員長 御異議なければ、同君辞任を許可し、その補欠には清藤唯七君を指名いたします。  なお高橋等君は辞任戰争犠牲者補償に関する小委員長であつたのでございますが、これも辞任前の通り委員長の職に再び選任することに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 大石武一

    大石委員長 御異議なしと認め、そのように決します。     —————————————
  8. 大石武一

    大石委員長 次に小委員追加選任の件についてお諮りいたします。去る一月二十九日、小委員十名よりなる戦争犠牲者補償に関する小委員会を設けたのでございますが、同小委員会の小委員の数を十一名とし、松永佛骨君を同小委員選任することに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 大石武一

    大石委員長 御異議がなければ、そのように決します。     —————————————
  10. 大石武一

    大石委員長 次に、前回の当委員会において水道に関する小委員会を設け、その小委員及び小委員長選任に関しましては、委員長代理を勤めていただいた青柳委員指名されるよう御一任願つておりましたようですが、ただいま委員長から指名することに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 大石武一

    大石委員長 御異議がなければ   大石 武一君  高橋  等君   堀川 恭平君  松井 豊吉君   松永 佛骨君  亘  四郎君   柳原 三郎君  堤 ツルヨ君   苅田アサノ君  福田 昌子君以上の十君を水道に関する小委員に、小委員長には亘四郎君をそれぞれ指名いたします。
  12. 大石武一

    大石委員長 次に、前会に引続き昭和二十七年度厚生省関係予算に関する件につきまして、保險局長から説明を聴取いたしたいと思います。久下保険局長
  13. 久下勝次

    久下政府委員 厚生省予算に関しましては、先般会計課長から御説明を申し上げたのでありますが、その際お配りをいたしました社会保障経費内訳というのがあるはずでございます。便宜これを材料といたしまして、そのうち保険局に関するおもな項目につきまして、御説明を申し上げたいと存じます。  まず第一は、昨年度来やつておりまする結核療養所整備関係でございます。これは厚生省全体の結核対策の一環といたしまして政府管掌健康保険組合管掌健康保険等におきまして、引続き結核療養ベッド整備をいたしたいという考え方のもとに、来年度におきましては、政府管掌健康保険におきまして九百五十床、組合管掌健康保険におきまして二千床、さらに本年は新しく船員保険施設といたしまして、五十床の増床をいたすように、予算が計上せられておる次第でございます。  次に、健康保険に関する事務費関係を御説明申し上げます。政府管掌組合管掌並びに船員保険中の健康保険に関する事務費につきましては、従来国庫負担は、事務総額の八割であつたのでございまするが、昭和二十七年度から補助率が十割に引上げられました。さらに単価も昨年より増額になりまして、被保険者一人当り百三十七円五十銭というふうに増額になりまして、それぞれが一般会計から各保険特別会計に繰入れをされることに相なつておるのであります。お手元の資料厚生保険の中の健康保険事務費と申しますのがその分でございまするし、また船員保険に関します事務費も同様でございまするし、また最後にあります健康保険組合事務費につきましても、その次のページの最初にございますが、これも今申したような計算で計上されておる次第でございます。厚生年金保険並びに船員保険中の年金保険に関しまする部分につきましては、従前事務費は十割国庫負担でございましたが、そのまま従来の方針を踏襲せられておる次第であります。  健康保険給付費関係でございますが、国会におきましても、また各方面からの御要望の強かつた給付費に対する国庫負担の問題でございますが、厚生省といたしましては、そうした各方面の御要望に沿いまして努力を重ねたのでございまするが、本年度財政の都合によりまして、給付費国庫負担実現を見ることができませんでしたことを、はなはだ遺憾に思つておる次第であります。厚生年金保険並びに船員保険につきましては、この資料数字があがつておるのでありますが、今申し上げましたこと以外には、特別に事新しいこともございませんので、説明を省略させていただきたいと思います。  なお今後の問題でございまするが、船員保険につきましては、近く船員保険法改正法律案を御提案申し上げて、御審議をいただく予定になつております。そのうち予算関係のあります部分につきましては、すでに事務当局との話合いがつきまして、ここに計上してありまする予算の中に含まれておるわけであります。その一、二を申し上げますと、まず第一は船員保険の方の櫻準報酬月額改正をいたしたい。実情に沿いまするように、最低五千円、最高三万六千円の間を、十九段階にわけました改正をいたしたいと思つておる次第であります。さらにまた船員に対する失業保険につきましては、すでに陸上の失業保険におきまして、昨年三百円から三百七十円に増額をせられておりますので、これと同様に三百七十円の給付をいたしますように、近く法律改正をいたしたいと思つております。予算もその趣旨で計上せられておる次第でございます。  次に健康保険組合でございますが、これも組合管掌保険につきましては、結核増床の分と事務費につきまして先ほど申し上げた以外には、特段に申し上げることもないのでありまするが、最後国民健康保険に関する事柄を御説明申し上げたいと思います。  まず第一は、保険者に対する事務費補助でございますが、従来通り十割の国庫補助をすることにいたしております。その単価も昨年に比しまして相当な増額を見まして、被保険者一人当り五十三円ほどに相なります。これを被保険者総数に乗じましたものが事務費補助として計上せられておる次第であります。国民健康保険につきましても、また国会決議によりまして給付費に対する二割の国庫負担をするようにというような御要望が強かつたのでありますけれども、先ほど健康保険につきまして申し上げましたと同様な事情でそれだけの実現を見ることができませんでしたことを、はなはだ遺憾に思つておる次第であります。但し、これにかわるものとは申せないのでありますが、ここにございますように、一つは国民健康保険再建整備に必要な貸付金として四億五百四十三万八千円、それから国民健康保険奨励交付金として四億六百五十六万二千円という新しい費目が計上されたのでございます。前者の貸付金につきましては、予算の積算の基礎のおもな点を申し上げますと、前年度における保険料徴収割合が七割以上のしのにつきましてその赤字の半分を三箇年にわけて貸付をするという考え方でございます。あとの半分は保険者努力によつて何とかくふうをする。たとえば一般会計の繰入れその他の方法によりまして、保険者努力によつてまかなつていただきたいというような考え方で、昭和二十六年度末に存在をいたすであろうという全国の各国民健康保険組合のうち、ただいま申し上げた要件に該当する保険者の分を積算いたしまして、その半額、これは大体六億五千万円くらいに相なりますが、これを三箇年間にわけまして貸付をするつもりでおります。これは五箇年すえ置きで五箇年償還ということに相なつております。大体すえ置き期間中は無利子で貸し出しますように、話合いを進めておる次第でございます。五箇年たちまして、すえ置き期間を過ぎましたとき、一応事務的な話では六分五厘の利子ということに相なつておるのであります。一方の奨励交付金の方でございますが、これまた同様に七割以上の保険料徴収成績を持つておりますもの、これをおもなもの——そのほかにも附幣的な要件がございますが、こういうものに、その七割を超過する徴収額に対して、一割から二割五分の比率で徴収成績によつて奨励金を交付したいというものでございます。これは昭和二十七年度以降五箇年間、一応そういう方針奨励金を出したいという考えでございます。従いまして、その金額個々保険者にとつてみますれば、大したものではないとも申せるのでありますけれども、少くとも国民健康保険再建のために、相当な効果を収め得るものと期待をいたしておるのでございます。  なお衆議院の御決議にございました国民健康保険直営診療施設設置費補助金でございますが、御決議の中にはこれを増額するようにということがございましたけれども折衝の結果本年は昭和二十六年度と同額の四億円が計上せられることに相なりました次第でございます。  保険局関係で、おもな項目といたしますると、大体以上申し上げたものでございます。説明が簡単で御了解を得にくかつたと思いますが、なお御質問に応じましてお答えを申し上げたいと思います。
  14. 大石武一

    大石委員長 ただいまの説明について、委員より発言の通告がありますので、順によりましてこれを許可いたします。丸山直友君。
  15. 丸山直友

    丸山委員 二、三の点についてお伺いしたいと思います。健康保険事務費が、八割のものが全額になりましたことは、たいへんけつこうなことで、政府行政費でございますから、全額政府負担するということは、当然なことであろうと考えておつたのであります。ただその金額でございますが、私ども最初承知しておりました厚生省から要求せられました健康保険補助費全額と申しますものは八億二千三百五十七万円になつておつたはずであります。それが全額であるというふうに一応御説明を承つておつたのでありますが、ところがそれが五億七千四百万幾らになつておるように思います。それでも全額だとおつしやるのでありますか。全額というものに二色あるように思われるのでございますが、その辺はどんな計算でございますか。計算基礎がかわつたのでありますか。
  16. 久下勝次

    久下政府委員 前に申し上げました数字は、予算要求いたしますときの数字でございまして、財政当局折衝いたします間に査定を加えられまして、かような金額なつた次第であります。
  17. 丸山直友

    丸山委員 査定前に御要求になつたのは、その当時としては、これが事務費全額であるという計算基礎が一応出たわけですが、ところが査定を加えられて減らされた。減らされてもやはり全額ということになると、何か事務費單価がかわつて来たとか、どこかに違いがなければ、全額がかわることはないはずです。それでなければ、全額でなくなつたはずだ。何かそこに食い違いが出て来たはずなんですが、これはどういうわけでそういう結果が出て来たのですか。
  18. 久下勝次

    久下政府委員 従来は財政当局折衝いたしまして、一応基礎單価をきめまして、それに対して八割というような予算の計上になつておるのであります。本年度はそうした折衝をいたしました結果、百三十七円五十銭が事務費として必要であるということが一応話合いがつきまして、その金額をまるまる出すということでございまして、これは他の予算でも同様でございますが、要求單価というものは、いろいろと折衝の結果削られることが常例でございますので、御了承願いたいと思います。
  19. 丸山直友

    丸山委員 要求する単価がかわつたためにという御説明で、了解ができるのであります。  それからこの再建整備費でございますが、これも最初のときには二十年償還でやりたいというような御希望であつたようでございますが、これがやはり大蔵省の方から五年すえ置き、五年償還にしたいということで、初めから見れば十年間の償還になりましたのですが、これは何か財政的の理由だけでございましようか。あるいはその再建整備費をもらう方の側が、十年くらいで十分に立ち直り得るというお見通しのもとにそうなつたのでございますか、お伺いいたしたいと思います。
  20. 久下勝次

    久下政府委員 これは私どもといたしましては、できるだけ長い期間償還するようにすることを希望いたしまして、折衝いたしたのでございますが、折衝の結果五年すえ置き、五箇年償還ということになりました。それでもつて国民健康保険組合が完全に弁済がなし得るというような見通しがあるわけではないのであります。折衝の結果、もつと長いことを希望いたしましたけれども話合いがこの程度におちつかざるを得なかつたということであります。
  21. 丸山直友

    丸山委員 そういたしますと、五年すえ置き、五年償還ということは、必ずしも可能であるとはお信じになつておらないようでありますが、それが償還し得ない場合には、どういうふうな処置をおとりになるつもりでございましようか。
  22. 久下勝次

    久下政府委員 個々国民健康保険保険者に貸し付けられます金額計算してみますと、実はそう多額ではございませんので、先ほど私は、各保険者ともに、確実に五箇年間で償還できるという確信を積極的に持つた意味ではございませんと申しましたが、また逆に金額関係からいえば、これは大体償還できるであろうという程度見通しは持つておつたのでありますが、具体的に償還ができなかつた場合にどうするかということにつきましては、これは今後の問題として研究さして善処したいと思つておる次第であります。
  23. 丸山直友

    丸山委員 償還し得ないような場合が必ず生ずると思う。その場合には組合財政を育成するという親心で御処置くださるように、特に希望したいと思います。  それからこの予算面には載つていないのでありますけれども、社会保険の支拂基金の方の事務費は、どういうぐあいになつておるのでありますか。その点もあわせてお伺いしたいと思います。
  24. 久下勝次

    久下政府委員 支拂基金の事務費は、各保険者から一件当り十円八十銭の割合で徴収いたしてまかなうことになつております。
  25. 丸山直友

    丸山委員 御承知でもございましようが、ただいま大蔵委員会の方にかかつております所得税法の一部を改正する法律案で、支拂基金を通じて支拂う金額の中から、源泉的に予納の形をもつて所得税を徴収するという法律が、ただいま付議せられておりまして、その徴収事務は支拂基金がやることになつております。これはすでに専門家でいらつしやるから、よくおわかりでございましようが、支拂基金が拂い出す事務というものは、そう簡単な、米代を拂うというようなものと違いまして、一応拂いましても、後に調整が加えられましたり、返付金が出て来たり、あるいは再徴収するとか、増徴するというような場合が出て来ましたり、いろいろなことが起つて来ると思うのであります。それらの税金面等との事務の煩雑が起つて来ると考えられるのでありますが、これを人間をふやさずに、支拂基金の経費でまかない得るというようなお考えでございましようか。あるいはその法律が決定した場合には、特別な事務費でも政府からお出しになる御意向であるか。聞くところによると、大蔵省としては、特別な事務費というものは支拂基金には出さない方針であると承つておる。そうしますと、当然これは支拂基金自身の負担における事務分量の増加が加わることになる。これをどうなさるつもりでありますか。
  26. 久下勝次

    久下政府委員 所得税の源泉徴収に必要な事務費につきましては、確かにお話の通り、私どもも非常に心配をいたしておるのであります。一般的には源泉徴収のための費用を出さない建前であることも、私ども承知いたしておるのでありますが、しかし何分にも、先ほど来申しておりますように、支拂基金というものは、一件当り十円八十銭という金額保険者からとつてやつて、きゆうくつな財政でもございますので、めんどうな仕事を負担するということにつきまして、何とかこれは考慮してもらいたいという申入れをいたしておるようなわけであります。まだ正式ではございませんけれども、厚生事務次官と大蔵事務次官との話合いでは、何とか考慮しようというような言質を得ておりますので、これはただいまのところどの程度の費用が必要であるかということは、まだ確実な案が出ておりませんので、今後折衝いたしたいと思つております。
  27. 丸山直友

    丸山委員 近日中に私も大蔵委員の方にかわりまして、この問題をもう少し追究してみたいと考えておるものでございますが、どうも出そうもないような様子なんです。被保険者が自分の健康を守るためにかけておる保険金の中から、十円八十銭という金をさいて、金をただ拂うとか、勘定するということだけのためにそれだけの事務費を被保険者負担しておる。その被保険者負担しておる金の中から、ただ医者の税金をとるという、被保険者と全然無関係なことのためにその事務費が使われるということになりますと、これは問題でございます。私はまずこの点を明らかにしたいと思いまして、そういうことを主張してみたいと考えておるものでございます。これに対して将来よく御善処願いたいと考えております。  それから予算関係いたしまして、保険給付の状況及び保険料の徴収状況等も、あわせてこの際現在までの様子を伺つておきたいと思います。
  28. 牛丸義留

    ○牛丸説明員 私から御説明申し上げます。健康保険の現在の給付では、医者の診療費の安排いにつきましては、大体年末に十月分を完納いたしまして、十一月分を一部支拂いをいたしましたし、それから一月になりまして十一月分を支拂つてしまつて、十二月分の支拂いを一部やつているような状況でございます。現金給付につきましては、地方の支拂い承認の要求通りに、確実に毎月支拂つておるような状況でございまして、今年は先年と比較にならない程度に、支拂いの方は成績がいいと私ども思つております。徴収はそういう支拂いがいいのを裏づけしたわけでありまして、大体いいところは年末においてすでに九〇%を突破しておるところもありますし、十二月末の大体の徴收の見通しは八割程度なつております。この調子で行きますと、大体去年が九割一分一厘でございましたが、年度末には前年度以上の成績を収め得るのじやないか、こういう予想を立てております。
  29. 大石武一

    大石委員長 次に岡君。
  30. 岡良一

    ○岡(良)委員 健康保険の審査ですが、この社会保険の審査に必要な経費に関連して、医療内容の審査を相当嚴重にやつておられますが、大体どういう方針でこの医療内容というものの規格を維持し、あるいはまた向上させようとしておられるのか、保険局なり厚生省の基本的な考えを承りたい。
  31. 五十嵐義明

    ○五十嵐説明員 私から御説明申し上げます。社会保険の診療の方針をどういうふうに決定するかということは非常にむずかしい問題でございますが、私ども保険診療に携わつておる者としましては、適正な診療を実施いたしたいという考え方で、適正診療というような言葉を使つております。その適正診療の方針を定めます場合には、医学的に適正である、また経済的にも社会的にも適正であるというようなことを一つの要件といたしまして、そういつた観点から正しい診療の方針を求めたいと努力いたしております。具体的に申し上げますと、医学的に適正な診療方針を求めますために、学会に御相談いたし学会から御意見をちようだいいたしまして、それを医療協議会にお諮りをして、その御決定によつて厚生大臣がこれを社会保険に取上げまして実施をするというような手続をふんで、診療方針の方向を定めておるわけであります。その方向に従いまして診療の指導なり、あるいは監査なり、審査なりが行われておるわけでございます。もちろん非常に多岐にわたります診療内容でございますので、その個々につきまして一々こまかく基準をつくるということは、非常にむずかしゆうございますが、そういう気持で、大きな問題あるいは頻度の多い問題を取上げまして方針をおきめ願つて、細部にわたりましては審査委員の医学的常識に御依頼して審査をやつていただいておるような状況でございます。
  32. 岡良一

    ○岡(良)委員 それでは具体的にお尋ねしますが、たとえばここに結核の患者がいる。そこで許可を得てストレプトマイシンを注射しておる。ところがはげしくせき込んでおるので、夜も十分眠れない。しかし鎮咳剤や去痰剤等の水散薬をのますことは、審査ではのませてはならないという取扱いを受けて、これを手控えている。あるいはその患者が脚気を併発しておる。そこでビタミンBの注射をした。しかしそういうものは不用であるというので、請求したけれども削られた。こういう事例が各地方に非常に多いのですが、一体こういうふうな取扱いを厚生省としてやつておられるのかという点です。
  33. 五十嵐義明

    ○五十嵐説明員 すべての場合に、画一的にそういうものを査定してしまうという方向はとつておりません。医学常識から見まして、先ほど申し上げましたような方針で、必要であるものはこれを認めております。またたとい御請求がありましても、医学常識から考えまして不必要だと認められるものにつきましては、査定をいたしておらないのでありますが、一律にすべてを認めないということはいたしておりません。
  34. 岡良一

    ○岡(良)委員 それではストレプトマイシンを注射しておる患者に対して、ビタミン等の注射というものが全国的に認められた例がありますか、最近結核治療方針が出てからあとの請求の中に……。
  35. 五十嵐義明

    ○五十嵐説明員 毎月何万件とある件数でありますので、個々にわたりまして私検討いたしておりませんが、絶対にないということは言えません。
  36. 岡良一

    ○岡(良)委員 それではストレプトマイシンをやつておる場合に、御存じのように、最近の結核治療の常識から、パスの併用というものがある場合においては、非常によく効果を奏するのですが、ストレプトマイシンを注射しておるときには、パスの併用はいけないというようにお考えのようですが、厚生省の方のお考えはどうですか。
  37. 五十嵐義明

    ○五十嵐説明員 パスとマイシンの併用につきましては、昨年三月に結核の治療方針を結核病学会からおきめ願いまして、これを医療協議会にはかつて保険治療に採用いたしましたときから、実は問題であつたのであります。学会の御意見としては、パスとマイシンを併用することが正しい。しかし、すべての場合にこれを併用する必要はないので、その間に医学的、特に臨床的に個々の場合を十分検討する必要がある、こういうことで、なお今後の研究にまかされておつたわけであります。私どもは貴重な保険料を使うことでございますので、それではどういう場合に併用したらよろしいかということを、学会でおきめ願いたいということでお願いいたしまして、なおその研究を続けていただいておるわけであります。最近に至りまして、その併用の問題についての御意見が、学術的にもかなり的確になつて参つたようでありまして、近い機会に結核の治療指針を、そういつた面で学問の進歩に合うように改めて参りたい、かように考えております。
  38. 岡良一

    ○岡(良)委員 とにかく、極端な例はこういうのがあるのです。それは精神病院を経営しておるある病院で、精神病の患者にストレプトマイシンを注射したら、精神病の患者は、かりに結核になつても、結核の治療なんかする必要はない。それをやつているのは濃厚診療である、こういう目安で監査を受けた。なぜ監査を受けたかという理由を調べてみると、そういう取扱いである。こういうような事例を見ると、どうも現在の保険の審査というものの基準は、医学的に適正である、社会的に適正であるというよりも、保険財政という観点にあまり偏し過ぎておるのじやないか。保険財政としては、なるべく支拂いを少くしたいという、保険というよりもむしろ一種の営利的な考え方から、できるだけ支出を押えたいというので、保険診療の内容というものが故意に低下せしめられておるのじやないかという懸念を、現害われわれ医師としても感じておるわけです。そういうことでなく、ほんとうにからだ一つが元手でお国の再建に働いておる日本の労働者なり農民諸君の、その元手であるからだを守つてやる健康保険制度というものは、やはり何としても、日本の医学の最高水準の医療内容を與えてやるのだというくらいの気持で、課長は良心的にやつておられるのだろうが、今後ともそういう点で大いにがんばつてもらわなければならぬ。今のようなことでは、保険担当医が納得し得ない、自己の良心を曲げなければならないような診療が実際起つているということをよく銘記せられて、今後ともこの審査というもの、医療内容の基準というものについては、相当高邁な勇気を持つて対処していただきたいと思うのであります。  それから特別会計の予算書ですが、百億ほど保険料収入がふえておる。給付費もふえておるのですが、これは一体どういう積算の基礎でふえておるのですか。
  39. 牛丸義留

    ○牛丸説明員 私から御説明申し上げます。給付費の増は、主として被保険者の増が一番大きな要素になつております。それから診療費の一点当り単価なりあるいは受診率の増も若干の影響があるけれども、一番大きな原因になつておりますのは、被保険者が二十六年の当初と二十七年の当初では相当数の増加が見込まれますので、その点の積算が増加して来るわけであります。
  40. 岡良一

    ○岡(良)委員 これはあとの機会でけつこうですが、数字的に資料としていただきたいと思います。  それから先ほど久下局長から事務費の問題がありましたが、この特別会計の予算書について、事務費を健康勘定について調べてみると、大体一四%ぐらいが事務費に使われておるようだが、あなた方の方で何かこういうことを少し勘定されたことがあるかどうか。あつたらそのパーセンテージを知らせてもらいたい。
  41. 久下勝次

    久下政府委員 お尋ねのパーセンテージにつきましては、実はパーセンテージで計算をしておるのではないのでございまして、実際に必要だと認められます事務費の実績をとりましてそれを積算をして被保険者一人当り幾らになるかという計算をしておるのでありますが、御要望でありますれば、後ほどパーセンテージを出しましてお日にかけたいと存じます。
  42. 岡良一

    ○岡(良)委員 実はぼくが健康勘定で計算をしてみると、大体事務費とおぼしきものが総支出の一四%を占めておると思われるのです。社会保障制度を運営しておる国、イギリスあるいは西ドイツ、あるいはベルギーなどでは、事務費は四%を越えておりません。そういうところを見ると健康保険勘定で一割四分という事務費というか、浪費があるのではないか。国で全額持つてもらえばけつこうだが、それにしても非常な浪費があると思うのだが、そういう点局長は何か考えられたことはないか。
  43. 久下勝次

    久下政府委員 先ほど申し上げました通り、私もまだ就任早々でありまして、その辺まで勉強いたしておりませんが、せいぜい勉強いたしまして節約をいたしたいと思います。
  44. 岡良一

    ○岡(良)委員 それでは話をかえまして、これは昨年の秋大分問題になつておつたので、その後どういうふうに解決がついたかと思うのですが、大学病院の場合は、健康保険の被保険者の請求点数は、全部査定しないで支拂つてもらいたいという大学病院側の要求があつた。これについては、どういうふうに解決しましたか。
  45. 五十嵐義明

    ○五十嵐説明員 大学病院は、一般保険医と違いまして、保険者の指定するものということで、特別の契約をいたしております。従いまして請求も、一般の保険医と同じような内容も中にはございますが、そうでないものもございます。また料金も慣行料金で行つておるところも多いようであります。しかし査定につきましては、これは一様に基金を通して査定をいたしておりますので、全然無査定で支拂つておるということはございません。
  46. 岡良一

    ○岡(良)委員 いろいろな意見もありますが、しかし実際問題として、大学病院としては普通一般の病院ないし診療所よりは、検査なり治療なりについては、いわば研究と言つては悪いが、しかし何といつてもそういう含みを持つた診療が與えられることは当然なので、またそういう機能を大学病院としては持つておるのであります。こういう点は厚生省として十分考慮して——というのは、大学病院の会計は決して楽でないのですが、そういう点で、十分研究機関としての機能をも、被保険者の診療の報酬請求点数を査定する場合には、考慮して取扱うという御方針なのかどうかという点です。
  47. 久下勝次

    久下政府委員 私からお答え申し上げます。その問題につきましては、大学側からも非常に熱心な御要望がございまして、私就任以来この話を伺つております。私どもといたしましても、確かに大学病院というものは、単純な一般の医療機関というのみでなしに、研究教育の機関という特別な任務があることは承知いたしております。その辺のことにつきまして大学側の要望もございますので、近い機会に懇談をしてみたいと思つております。
  48. 岡良一

    ○岡(良)委員 それから健康保険の請求点数の支拂いで、国立医療機関はこれまで割引しておるが、今後どう扱われますか。
  49. 久下勝次

    久下政府委員 これは医務局の問題になるのでありますが、私は前任の関係でもありますから、私の承知しております限りにおいて申し上げたいと思います。お話の通り国立医療機関のうち、いわゆる療養所につきましては、全部医療費の二割の割引をいたしております。これは結核その他特殊の社会的な疾病を取扱つておりますので、昭和二十七年度予算におきましても、従来の方針が踏襲されるように計上されておるはずでございます。私の承知しております限りでは、そうした特殊な医療施設につきましては、今後ともその方針はとられて行くものと思つております。なお最近国民健康保険に関する医療費につきましても、医務局と私の方と話合いをいたしまして、地方の実情に応じまして、一割ぐらいまでは割引をして、一般の診療機関と調子の合うようにするというような了解もできております。
  50. 岡良一

    ○岡(良)委員 ぼくは、それは非常にロジツクの合わぬ話だと思います。大学病院が特殊な研究的機能を持つておるので、請求点数については、やはりそういう機関であるということを含んで適当に取扱うことは適当だろうが、しかし国立の病院が保険料を割引する。それは保険者である政府に割引する、そういうかつこうだが、そんな必要はごうもないのではないか。国立の医療機関であろうとも、法律でちやんときまつている保険なら、保険のその通りなものは抑うべきだし、またちようだいすべきだと思う。久下さんにすれば、今度はもらう方から拂う方べ来られて、なおさらはつきりけじめがつくはずだと思いますから、ちやんとしなければいかぬと思いますが、どうですか。
  51. 久下勝次

    久下政府委員 どうも私からお答え申し上げる筋合いではなくなつてしまいましたので、控えさせていただいた方が適当かと存じますが、私が承知しております一月の十六日までの状況におきましては、何分結核を主とした療養所におきましては、もちろん保険の患者は相当多数を占めてはおりまするが、なお相当にいわゆる自費患者の方々があります。しかも長い疾病でございますので、そうでなくてさえ医療費の負担にはみな困つておる状況でありまして、二割引という大幅の割引をしておりますものを、筋からいいますと、確かにおかしいといえばおかしいのでありますが、これは国家全体の財政支出によりまして、個人的な負担を増さないで行くことが、実際問題としては結果において適当ではないかというふうに、おそらく現在も考えておるだろうと思います。
  52. 岡良一

    ○岡(良)委員 ぼくが申し上げるのは、被保険者でない一般の患者が国立病院を訪れて、必要があつて入院をした、手術を受けた。これは大いに公共性を発揮して、一般の開業医の慣行料金から見て安いものでやつてやるのはさしつかえない。だが、被保険者である者が、診察を受け入院をし、手術を受けあるいは治療を受けつつある。この場合は、保険の金庫が国立病院に支拂うべきものについて、国立病院が一割なら一割割引をして、その料金を受け取るということは、保險というものの建前から見て、非常な逸脱であると思うが、その辺を久下さんはどう考えられるかということです。
  53. 久下勝次

    久下政府委員 保険の立場から申しますると、保険経済の面から考えましても、なるべく安排いをする金額の低い方がありがたいのであります。それを割引することが適当であるかどうかは、医務局の問題でありまするし、またもつと大きな問題であるかもしれませんが、ひとり保険の立場からのみ申しますれば、なるべく保險給付費を少くして、保険財政を安定させる方が適当でありまするので、そういう意味合いにおきましては、私ども保険を扱つておる者の立場といたしましては、この二割割引をやめられますると、たいへんな財政負担になりまして、おそらく健康保険はますます危機に瀕するおそれもありますから、そういう意味の立場からは、現状を続けていただくことを望んでおります。
  54. 岡良一

    ○岡(良)委員 これは議論になりますから、この程度でやめたいのですが、その久下さんの考えの頭の置きどころが、ぼくは納得ができない。社会保障給付費の二割国庫負担とか、こういう大筋で通さないで、保険財政が苦しいからといつて、国立病院の入院料には、保険の支拂いを二割引にする。そういうふうにしわ寄せをそこへ持つて来る。あなたは医務局次長をしておられたので、おわかりになつておると思いますが、国立病院自身が特別会計で、一般会計から二割五分を繰入れておつたのが、今年はそれの半分以下になつて、ほとんど独立採算制になつた。そういう公共性のないところへ国立病院が追い込まれておるときに、なお保険の方の支拂いほ二割引きを要求する。これは保険の性質からいつて、額が少くない方がいいというようなそういう小乗的な考え方で、あなたが保險局長として重要な保険行政をあずかられることが、どうもわれわれには納得できないわけなんだが、これはこの程度にしておきましよう。  次に、看護婦あるいは付添婦をつけることについて、最近制限が非常にやかましい。われわれも遠慮するということに、医者の立場からは実際になつて来ておるのですが、五十嵐さんどういうふうな方針で、基準があるのですか。
  55. 五十嵐義明

    ○五十嵐説明員 昨年の秋に付添看護の承認の基準につきまして、従来のまちまちに出ておりました考え方を踏襲いたしましてそれをまとめたような通牒を出しております。その考え方は、従来とかわつておらないのでありまして、一定の症状の患者に付添婦を認めるという内容の通牒ですが、その大体の承認の基準は、病が危篤である、医者が常時監視をする必要がある、絶対安静が必要であつて、看護婦の随時適切な処置が必要であるというものについて付添婦、付添看護を認める、また重篤な場合だけでなく、そのほか手術の前後に、それに準ずるような場合には付添看護を認める、こういう方針をとつて、従来とも来たわけです。これについて最近この承認の基準が苛酷でないかという御意見があるのです。これは私どもといたしましては、従来ともその考え方で行われておつたのです。その考え方をあの通牒によつて改めたわけでもございません。また現在の單価あるいは入院料の点数から見まして、少くとも四人なり五人なりに一人の看護婦を置けるだけの人件費を保険者は支拂つております。従いまして病院の職員でまかない切れない範囲を、付添看護として保険者の立場から承認して行く、こういう方針でおるわけであります。
  56. 岡良一

    ○岡(良)委員 この問題はあとでまた堤さんや苅田さんからいろいろお話が出ると思いますから、この程度にしておきます。  今度一点単価が上つた、あるいは入院料が上つた。そこで国保と政府管掌の健保と組合管掌の健保と、この三者について、来年度はどの程度財政上の負担増加が予想されますか、数字をちよつと承りたいと思います。
  57. 久下勝次

    久下政府委員 まず政府管掌健康保険につきまして申し上げてみたいと思いますが、昭和二十七年度におきましては、單価引上げによる支出増は、二十八億円ぐらいになると予想しております。また国民健康保険につきましては、同じく昭和二十七年度におきまして、約三十一億円の財政負担の増加になる見込みでございます。政府管掌健康保険におきましては、二十八億円の財政負担の増加が予想せられるのでございますが、これは主として標準報酬月額が、自然的に従来の実績から見ましても、上つて参ります。それに伴う収入増が相当額見込まれますので、私ども計算としては、そういう收入増によりまして、十分にバランスがとれる、保険料増額等、被保険者負担に転嫁しなくて済むものと考えておる次第であります。国民健康保険につきましては、先ほど申し上げましたように、三十一億円の財政負担の増加になりますが、これは健康保険とはやや事情をことにいたす点もありまして、まず第一に申し上げたいと思いますことは、従来とも国民健康保険につきましては、保険者個々の診療担当者がそれぞれ契約をして、單価をきめることになつております。相当多数の保険者が、国民健康保険におきまして、一般の健康保険よりも低い單価で契約をとりかわしておる実情でもございますので、私どもは従来のこういつた実情も考え合せまして、先ほどもちよつと申し上げましたように、診療担当者の協力を得まして、できるだけ安い単価で契約ができるように、先般も通牒をいたしましたような次第でございます。こういうことによりまして、先ほど申し上げました財政負担を若干でも減少したいと思いますし、また先ほど御説明で申し上げた貸付金でありますとか、奨励交付金でありますとか、総額ではわずかでございますけれども、これまたそうした財政負担増に対する若干の緩和剤になろうかとも思つているのであります。いずれにいたしましても、国民健康保険財政は、全般的には幾分困難な状況にありますが、以上申し上げたような施策と相まちまして、各市町村におきまして、自主的に改善をする余地も若干あるようにも考えられますので、それらの総合的な措置をとることによりまして、何とか困難な時期を切抜けるように、指導をして行きたいと思つておるような次第であります。  組合管掌健康保険につきましては、御承知の通り標準報酬も非常に高うございます。財政的には政府管掌健康保険以上に、経済が楽でございます。健康保険について申し上げました以上に、この問題は大なる影響はないものと考えておる次第であります。
  58. 岡良一

    ○岡(良)委員 この政府管掌の方は、大体二十八億の負担増になる。これは標準報酬が上つておるから、その方から増徴できるというお考えが一つあるわけですが、しかし御存じのように、日本の健康保険保険料というものは、国際的に異例といつてもよいくらい高い保険料を拂つておるわけであります。しかも標準報酬は上つた。名目的にはそれは上つておるかもしれないが、しかし人事院の勧告にも行つておられないという実情でもあり、名目的な賃金は上つても、実質的な生活そのものは低下しているというのが、現状といわなければならぬ。そこへ追いかけてさらに千分の六十、三十をひつかけて行つて、保険料がよけいとれるというよりも、考え方からいえば——筋の通つた方向からいえば、むしろ保険料を引下げるというところへ持つて行くのがほんとうなのです。それが標準報酬の値上りで、従つて多少保険料の収入もふえて来るから、カバーできるという考え方も、ぼくは納得できないのですが、それはそれといたしまして、国民健康保険はその地域の保険担当医との間に協力を期待する、こうおつしやいますが、協力するかしないか、わからぬわけです。医者の方で協力しなかつたら、一体どうしますか。
  59. 久下勝次

    久下政府委員 実は協力を得られることを期待しておるのでありまして、協力を得られません場合にどうするかということは、結局は国民健康保険保険者財政上の赤字が累積して参るという結果になると思います。そういうものの一部を解消して行くのが、今回の貸付金の制度でございますけれども、これとても昭和二十六年までの赤字の解消に役立つにすぎません。今後の問題として、協力が得られなかつたらどうするかという問題でありますが、この場合、そういうような一般的な情勢であるといたしますれば、私どもとして、また来年度におきまして、新たなる構想で対策を立てなければならぬと思つております。
  60. 苅田アサノ

    ○苅田委員 二十七年度予算を審議していて、そしてその次の予算にというような保険局長のお考え方は、たいへん違うのじやないか。先ほど岡さんもおつしやいましたように、大体今年度国民健康保険の赤字が二十七億くらい出る。これは数字が違つていたらあとで御訂正願いたいのですが、それに対して四億ぐらいの再建整備貸付金というようなことでは、私どうにもならないと思います。結局そのしわが医者や一般被保険者の方に寄つて来ることは歴然としているのです。私はひとつお考えを願いたいために、北海道の方から来ている具体的な事実がありますから、これをそちらの方で聞いていただいて、これはやはり局長としてのお考えが非常に足りないということを再検討していただきたいと思います。北海道では冬の期間十一月から四月まで、医療機関の支出する暖房費、ボイラー、ストーブなどは莫大なもので、道医師会の調べによると、二十七年——というのは、昨年の冬から今年の四月までですが、外来一件当り百十一円、入院一床一日当りが百四十円となつておりますが、道では保険組合の意見をうのみにして、外来五十七円五十銭、入院八十円五十銭で告示を強行しようとしている。これは昨年までの六十円、八十円より実質的にはるかに安いというべらぼうなもので、石炭の価格が三度の値上りで昨年の倍になつている。物価も三割高、人件費もベース・アップなどを無視したものであり、道医師会、札幌保険医協会、厚生農協連等の公的医療機関協議会は一致してこれに反対、もし道が無理押しをするならば、一点単価問題の二の舞をするといつて、成行きが注目されている。こういうような状態があるわけであります。これは今保険局長がお考えになつているような簡単なものでなくて、そういうような国保の赤字を、診療費を国庫負担にしなかつたという来年度予算が、来年度国民健康保険行政に、昨年の秋から暮れにかけて健康保険の場合にあつたと同じような大きな問題が、必ず起きるのじやないかという気がするのです。一体こういうことでどうしてこれをやつて行くおつもりですか。岡さんの御質問と重ねて、こういう現状を知らせて、局長の御意見、御決心を聞きたいと思うのです。
  61. 久下勝次

    久下政府委員 ただいまの苅田委員のお話は、北海道地区の特別な冬期の燃料のことであると思います。この問題につきましては、実は数日来私も状況を聞いておりますし、北海道民生部長も参りまして、いろいろ打合せをいたしておるわけであります。私どもが承知いたしております限りにおきましては、この燃料費の特別加算の問題につきまして、北海道において実績を調査いたしました。その実績に基きまして、点数の点においては昨年度の点数をやや下まわるような結果になりますが、実績上それで十分であるということで、関係方面とも話し合いをしておるということでございます。しかし民生部長には私自身も強く念を押しておいたのでありますが、ただいまお読み上げになつたような対立、抗争を生じないように、十分関係者の了解をつけるようにしてもらいたいということを、要望しておきました。民生部長といたしましても、その点は大体そういう見込みであるということで帰りました。その問題はさように処置をいたしておりますので、御了承いただきたいと思います。ただ、だたいまのお話はそうした一例をお話になつて、全般の問題をどうするかというようなお話でございました。確かにその点から見ますると、全般的に私としても十分実は確信を持つておるとは申せないのでございます。しかしながら、それは確かに岡先生も御指摘のように、医師会の協力がそんなに得られるかどうかということは、必ずしも私も楽観はいたしておりません。ただそういうふうに期待をしておるということを申し上げるにすぎないのであります。どうも私どもとして今お答えできますことは、すでに予算折衝も済んで、国会に提案になつておるような段階でもございまするし、私どもとしては、確かに四億円ぐらいの貸付、四億円ぐらいの奨励金で足りるかといえば、その通りであります。この点につきましては、診療費の単価の契約の問題なり、また市町村における一般会計繰入れ等の余地もございまするし、いろいろな方面等におきまして、国民健康保険の危機を突破できるように指導もし、協力もしてもらいたいと思つておるようなわけです。それ以上のことを申し上げられないのは、はなはだ遺憾に思いますが、そういたしましても、なおかつ非常な赤字が生じまして国民健康保険の破綻を来すようなことでありますれば、これは国家としても当然根本的に考えて、万全の対策を立てていただかなければならないものと思つておる次第であります。
  62. 岡良一

    ○岡(良)委員 とにかく実際問題として、来年度は三十一億赤字が出て来る。そうでなくとも相当赤字が出て来るところへ、単価値上げで三十一億赤字である。現在二十七億ある。そうして八億かりに加えてみたところで、五十億足らず残る。さらにまた来年ふえる。それを四億ずつ足してみたところで、ほんとうにこれは焼け石に水のようなかつこうで、国保自身とすれば、年年刻々財政的に窮地に陥つて行くという現状にあることを、よくひとつ御認識してもらわなければならぬ。あとでこの点は大臣でも来られたら、またお尋ねしたいと思いますが、それで一体社会保障制度審議会は医療給付国庫二割負担を二度もうたつている。去年衆議院でも各党一致して、国保の財政の危機を突破するには、やはり給付費の二割国庫負担——二割とはつきり数字を入れてうたつておるのだが、一体こういう決議なり勧告なりを、ほとんど尊重された跡を見ない。一体どういうかうに厚生省としては大蔵大臣と折衝され、その結果どういう理由をもつて拒否されたのか、この折衝の経過をこの際ひとつはつきり聞かせていただきたい。
  63. 久下勝次

    久下政府委員 私予算折衝当時に、保険局に在任しておりませんでしたので、正確なお答えはできないかと思いますが、私の知る限りを申し上げますれば、厚生省といたしましては、御要望の趣旨に沿い得るような予算を積算いたしまして、強く大蔵省に要求し、最後までがんばつて来たのであります。なお最後の段階といたしましては、閣議におきまして厚生大臣から主張してもらつたのでありますけれども財政の都合ということで、実現を見なかつたように記憶いたしております。
  64. 岡良一

    ○岡(良)委員 これは非常に重大な問題なので、もう少し責任のある御答弁を伺わせていただかなければ、われわれも納得できないので、これは後刻またこの席上べ大蔵大臣に来てもらつて、われわれとしても十分に政府の意のあるところを聞くということに、ぜひひとつ理事会等でおとりはからい願いたいと思います。  それから国民健康保険を大きな都会にも普及させたいというので、たしか名古屋市がそのお手本になつて、そして一応調査研究等も始めておられますが、その結果はどういうことになつておりますか。
  65. 山本正淑

    山本説明員 大都市といたしましては、現在五大都市は実施いたしておりません。一昨々年来名古屋市におきまして、市全体を保険区域といたしまして、国民保険を実施するという一応の方向をきめまして、諸般の調査の手続を終了いたしまして、昨年の十月から実施するという段階までごぎつけておりましたが、ちようど実施の直前になりまして、単価の引上げられる可能性があるというふうな時期に相なりまして、単価がきまつてから再検討するということで、そのまま中止になつております。それからなお横浜市におきましても、昨年から市の一部を限つて実験的に実施して、全市に普及して行きたいという方針で進んでおりましたが、これも昨年の選挙の時期に市長さんがかわつた関係等から、中止になつて、今日のところ進歩的な動きを見ておりません。
  66. 岡良一

    ○岡(良)委員 単価の引上げがすぐ理由になるが、医者が單価を引上げろと言つたのが、悪いというのではないので、国ががんばつてもらわないと、なかなかできないと思うのです。それはそれとして、関連して、今、日雇い労働者、あるいはいわゆる健康保険法の適用を除外されている、日々雇われている者、大工とか、左官とか、壁屋とか、こういうのが百七十万ばかり健保の適用から除外されている。なかなか大都市へ国保も行き渡りにくいということになると、こういう諸君に対しては、やはり何か適当な手を打たなければならぬと思うのだが、こういう点について、健康保険課なり、あるいは国民健康保険課なり、また両者なりで、何か少し御意見あるいは御抱負があるのかどうか、こういう点をひとつ承つておきたい。
  67. 牛丸義留

    ○牛丸説明員 日雇い労務者の健康保険問題は、天体三年ほど前から、そういう団体の非常に強い要望がございまして、厚生省の方へたびたび陳情その他で要求がございますし、また国会でも一昨年か昨年あたりに請願が受理されたというふうに聞いております。それで私どもといたしましては、これを現在の健康保険で救済できるかどうかというふうな見地から、一応検討してみたわけでございますが、これは通常の労働者と労働形態が違いますし、また明確な事業主の観念も浮んで来ませんし、就労日数も大体月平均二十日ぐらいでございますので、どうしてもこれは別個に健康保険制度を考えなければならないというふうに、事務的には考えておるわけでございます。それでこれを今後どういうふうにしてやつたらいいかということで、いろいろ検討してみたわけでございますが、どうしてもその標準報酬なり、そういうものが非常に低いということと、それから一箇月完全に就労しないというふうなことから、収支のバランスが絶対的にとれないわけでございますので、相当多額の国庫補助がなければ、この保険制度は成立しないというふうな計算が成り立つわけであります。それで一つの方法としては、今日労働省でやつております日雇い労務者の失業保険が、一つの制度としてすでに実施されておりますが、そういうふうにして、政府が三分の一の補助給付費に出す、あとは本人が三分の一、それからその日の雇いをした雇い主が三分の一、こういうふうな考えで——日雇い労務者の現在職安に登録をしておりますのは、予算上約七十万というふうに言われておりますが、これだけで現在の健康保険の諸給付の発生率で計算してみますと、大体総額が三十億程度給付費になりまして、それが保険料とどういうふうに見合うかという計算をしますと、その職安登録の日雇い労務者だけでも約十五億程度の収入の不足が生ずるような計算になるわけでございます。それでさらにそういう職安関係に登録された以外の大工とか左官とかいうような日々雇われる職人、あるいは土建の労働者、こういうものまでこれを拡大いたしますと、相当の国庫補助が必要じやないかと思いますので、まずこの点が解決されなければ、事務的には不可能じやないかと思います。しかし、そういう問題を一応除外して、どういうふうに健康保険制度として考えていいかということを申し上げますと、大体私どもといたしましては、大都市にそういう人たちが集中している現状からいたしまして、都道府県なり、あるいは市あたりに保険者なつてもらつて、それに国庫が相当多額の補助をやるというふうになれば、大体制度としても実現し得る可能性があるのじやないかというふうに考えまして、ただいまいろいろな準備を調査している次第でございます。
  68. 岡良一

    ○岡(良)委員 その問題はわれわれも小委員会等を持つた場合に十分検討して行きたいと思うが、政府の方でも一つできるだけ急速にその資料等もお集めいただいて、予算の伴うことではありますが、何とか実現したいと思うので、ぜひとも善処方をお願いしたいと思います。  それから、さつき久下局長のお話で、組合経営の方の健康保険は、割合に財政が楽なようだというお話がありましたが、これは実はきのう組合の責任者からいただいたのですが、川南工業は、健康保健組合をかつて持つておつたし、現在も持つているわけなんですが、ここで昨年、昭和二十五年の六月から二十六年の十一月までで、人間にして三千百名、金額にして二百六十六万円——これは療養、医療給付は全然除外されているのですが、分娩費だとか、あるいは埋葬料だとか、出産手当だとか、特に傷病手当、これは全然未拂いになつておるわけです。こういうわけで組合管掌は必ずしも経営が楽でない、この場合そこに働いている労働者諸君が組合に行けば、いやおれたちの方は金がないから県へ行つてくれ、県の保険課へ行けば、いやまだ引継いでいないから抑えない、こういうことで今日まで未拂いになつているのだが、こういう事態は決して川南工業だけではなく、今後かなりこういうことも起つて来るのじやないかという心配もあるのですが、これは急速に処理しなければいかぬと存じます。多分お聞きだろうと思いますが、現に今申し上げました川南工業に対しては、どういうふうな処理をしようとされるか、その辺はつきりと聞かせていただきたいと思います。
  69. 牛丸義留

    ○牛丸説明員 ただいま例になりました川南工業の問題は、これは一つは川里工業の内部的ないろいろな事情で、急速に非常に事業が悪化したという一つの例でございまして、先ほどの単価問題とは必ずしも関連しない、それ以前の問題でもございます。こういうふうなものが、今大体八百近くの組合がございますが、そのうち約十足らずのものが、私どもの方で解散寸前のものとしてブラツク・リストに載つておるのでございます。それで川南工業の点でございますが、結局その各被保険者の請求権と申しますものは、今日のところでは川南の健康保険組合にあるわけでございますので、ただいまのところ、県に請求しても県がそういう返事をするのはやむを得ないことだと思います。しかしこれを解散の手続をとるためには、現在川南薬のいろいろな財産が、これは健康保険のそういう保険給付だけの滞納じやなく、所得税その他の税金の方の滞納も相当ございますので、まずそちらの方で差押えされておるというふうな実情でございます。それでこれはうまく両者の解決をつけませんと、解散をするとしても、その債権債務の引継ぎが非常に大きな問題でございますので、これは長崎の保険課並びに県当局で、今どういう処置をするかという協議をしておるというふうに私ども聞いておりますが、いずれ解散になりましたら、政府管掌が全部それを引継ぎますので、解散の手続がとれましたら、その債務は全部保険課の方で給付できるような措置になると思います。
  70. 岡良一

    ○岡(良)委員 問題は、こうして一年半ばかり、もらうものももらえずにということで、戸惑いをしておるという実情でありますので、解散の手続をとつたらというので受身で待つているというには、問題が少し深刻じやないかと思う。こういう事例がたまたまありましたので、これは監督指導の立場も持つておられるわけだから、何とか早く解決をしてやらるべきじやないかと思うのです。  それから健康保険の一点単価は、われわれが前の橋本厚生大臣に会つたときには、暫定的の措置である、こういうふうに言つておられましたが、この暫定とは、一体いつまでの暫定なのか。またこれをさらに改訂されるとすれば、どういう機関がこの改訂をなさるのか。医療協議会等がありますが、橋本厚生大臣は審議会を設けるというふうなことを言つておられたが、何かそういう特定の機関を設けて改訂されるのか、その方針を承りたいと思います。
  71. 久下勝次

    久下政府委員 健康保険、社会保険関係単価の引上げに伴いまして、医師会からの申入れもございましたし、また厚生省といたしましても、この問題につきましては、さらに根本的な、全般的な立場から検討を加える必要があるということで、閣議の決定を経まして、臨時医療保険調査委員会というものを設ける予定にいたしておるのであります。しかしながら、医師会の方の代表の委員が、役員の総辞職の関係から今日まで推薦がございません。それに関連をして歯科医師会、薬剤師協会の方も推薦をして来るのをためらつておるような現状でございます。しかし御承知の通り医師会の役員もきまりましたので、おそらくは近く代表になるべき委員を推薦して来られると思います。そういたしましたならば、全体の委員の人選も至急進めまして、この委員会におきまして、医療保険に関する基本的な問題を検討して参りたいと思います。
  72. 大石武一

    大石委員長 大臣は今参議院の労働委員会に行つているそうです。それで、それが終つたら今度は衆議院の予算委員会に出まして、石野君の質問に答弁することになつておりますので、それが終つてからこちらに来られることになつているので、少し遅れると思います。
  73. 岡良一

    ○岡(良)委員 承知しました。それではあと二、三点でけつこうです。  ただ、ぼくは取扱いが非常に納得できないのです。何かといえば審議会をこしらえる、委員会をこしらえる。医療協議会というふうにやはり法律に基くちやんとした機構があつて、この機構が当然この問題と取組まなければならぬ任務を帯びているのに、そういうお手盛りの委員会をつくつてやる、これは非常に筋違いじやないかと思うのです。特に単価問題というようなものは、單に医師会の利害というものじやなく、保険財政にも根本的な影響を與える問題であるが、こういう重要な問題をお手盛りの委員会が何とか結論を出すだろうというような形でそこに——こう言つては悪いが、逃げておられるというような行き方は、ぼくは非常に納得ができないのです。むしろ医療協議会そのものの人的構成が悪ければ、もつとそれを納得の行く構成にする。そういう正規の法律に基いた機関、あるいは法律に基いたと言い得るような、それに準ずる機関の決定というもので問題を処理するということが、ぼくは新しい民主主義のルールだと思うので、これは当然そういう機関がやるべきものだと思うのですが、久下さんは何とかその委員会で結論を出させようとするのですか。
  74. 久下勝次

    久下政府委員 お話の通り私も、法律に基く協議会もあることでありますから、正式な決定はそういうもので行いますのが適当であると考えております。ただ、今申し上げました審議会は、医師会からの要望でもございまして、昨年来の単価問題におもな役割を演じました医師会から、特に厚生大臣が告示をいたしました単価を承認する條件としての申入れでもございました。厚生省といたしましてもその方針を是なりとして、さような方針にして現在まで進んで来ておるわけであります。従つてこの審議会におきましては、正当に法律上の権能を持つておりまする協議会で決定することまでも決定するという考え方ではないのでございまして、大体の話合いといたしましては、いわゆるグランド・ルールとでも申しまするようなことを、臨時に設けます審議会において話合いをいたしまして、そうした意見に基いて本来の各協議会または審議会におきまして検討を加えて行くというような行き方をとるつもりでおるのであります。
  75. 岡良一

    ○岡(良)委員 まことにまわりくどい話です。それから医師会の方から審議会を設けてくれとは言つておりません。これは厚生大臣の橋本さんから設けようということを言われたので、医師会からそういうようなものを設けてくれとはお願しておらぬ。しかしそれはそれでいいでしよう。  それでは話をかえまして、厚生年金の支拂いも大分追つておるようですが、養老年金は現在のところ月額百円というようなことになつておるので、こういうことではとうてい済まされまいと思うのでありますが、これをどういう程度に引上げられるのか、何かそういう構想を持つておりましたらお聞かせ願いたいと思います。
  76. 久下勝次

    久下政府委員 厚生年金保険法による養老年金並びに船員保険法の養老年金につきましては、確かにお話の通り現在の額は非常に低額でございます。これは根本的に検討をして是正をしたいと思つております。ただ厚生年金の給付が、本来のものが来年の昭和二十八年の十二月ごろに始まりますので、私の方としてはそういうふうな意味合いから、どうしても本年中には何らかの確固たる結論を得なければならないと思つておるのであります。これには申すまでもなく財源措置計算等の非常にめんどうな仕事もからみ合つて参りまするので、厚生年金、船員保険等を通じました全般的なベース・アップの問題を至急にとつ組んできめて参りたいと思つております。これはいずれ国会の御審議をいただくことになろうかと思つておりますが、ただいまのところとしては、本年中に成案を得るようにするというところまで行くというような段階であります。
  77. 岡良一

    ○岡(良)委員 船員保険は、先ほどちよつとお漏らしになつたのでは、最高限度を三万六千円に引上げるということでありますが、そうすると月三千円ということですね。そういうことで養老年金は、相当苛烈な労働をやつておる、しかもおかに上つてはまつたくかつぱのような船員だが、これが三千円ぐらいの養老年金では、まことにお気の毒だと思われるのですが、そういう御方針ですか。
  78. 久下勝次

    久下政府委員 先ほど三万六千円と申しましたのは、標準報酬月額の最高限度でございます。これは障害保険等の関係もございますので、保険給付の額を引上げたいということ、一方におきましては保険料収入を上げたい、そういう面から実情に即しまして標準報酬月額を上げたいというのであります。船員保険法に基く年金の額につきましては、一般の厚生年金と同様な立場で総合的に検討して参りたいというのであります。
  79. 岡良一

    ○岡(良)委員 厚生年金の積立金は、今年度一つぱいではどれくらいになりますか。運用部資金の方に入るのは……。
  80. 久下勝次

    久下政府委員 去る一月末現在で、積立金は総額四百五十二億円に相なつております。大体毎月十一、二億ぐらいの増加の見込みでございますので、四百七十億ぐらいに今年度末にはなるのであります。
  81. 岡良一

    ○岡(良)委員 これはいつも問題になるのですが、保険財政はずいぶん苦しいし、赤字補填にまるまる使うわけにはとうてい行きますまいが、利子にしたつて相当なものだろうと思います。これは財政法によつても、保険勘定の会計法によつても、やはり被保険者の福祉に用いることができるというふうにちやんとなつておる。それが運用部資金の方にほうり込んでおいて、向うの方の思うがままに使われるということでは、これは被保険者のためにも、また国の福祉行政のためにも、厖大な金額のものがまことに活用されないままに放置されているというような感がするのですが、これは何か交渉されたことがありますか。それともまたどういう理由でそういうふうに行かないのか。あるいはまたこれが活用できれば、どういうようにまわした方がいいと思われるか。そういう点で何かお考えがあつたら……。
  82. 久下勝次

    久下政府委員 厚生年金保険の積立金を、労働者の福祉のために還元して使うことにつきましては、終戦直後関係方面の指令に基きまして、ああいうようなわくをはめられまして以来、常に間断なく折衝を続けて参つておるようなわけであります。しかし今日では御承知の資金運用部資金法によりまして、今御指摘のような方面にまでこれをまわしますことが許されておりませんものですから、折衝を続けてはおりますものの、そこまではまだ話が進んでおりませんわけでございます。ただ、ただいま話をいたしておりますのは、せめてこれを不動産化いたしまして、しかもその不動産が労働者の福祉になるようなもの、具体的には社会保険関係の病院をつくるというような方面に何とか少しでも使えるようにしてもらいたいということを話合いをいたしまして、ただいままでの大蔵省当局との話合いでは、非常に見通しがよくなつて参つておるような状態であります。金額は大したことはございませんけれども、少しでもそういう方面にまわして、いずれはまた資金運用部資金法の改正等によつてもつと全般的に、しかも堂々とそういう方面に使えるようにしたいと引続き努力をいたすつもりであります。
  83. 岡良一

    ○岡(良)委員 いろいろ問題もあるのでありますけれども、いずれ大臣が来られてから——特に委員長にもお願いしたいので、やはりこれは財政にかかわる問題でもあり、相当責任のあるお考えも聞きたいので、適当な機会に大蔵大臣にぜひ出てもらつてわれわれの納得が行くまで審議を進めたいと思います。それを希望いたしまして、一応私の質疑は打切りたいと思います。
  84. 大石武一

    大石委員長 次にちよつとお諮りいたしますが、なお質問は金子さん、苅田さん、堤さん、青柳さん、たくさん残つております。ところがきようは厚生大臣がこちらに出席されるのが遅れるような状態で、ありますので、きようはこれで散会して来週あらためて大臣の出席を求めてこれを続行したいと思いますが、いかがですか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 大石武一

    大石委員長 本日はこれにて散会いたします。次会は来る十九日、火曜日の午後一時より開会する予定であります。     午後三時三十分散会