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1952-02-01 第13回国会 衆議院 厚生委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月一日(金曜日)     午後一時五十九分開議  出席委員    委員長代理 理事 青柳 一郎君    理事 丸山 直友君 理事 亘  四郎君    理事 岡  良一君       高橋  等君    寺島隆太郎君       中川 俊思君    堀川 恭平君       松永 佛骨君    清藤 唯七君       柳原 三郎君    堤 ツルヨ君       苅田アサノ君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 吉武 惠市君  出席政府委員         厚生政務次官  松野 頼三君         厚生事務官         (大臣官房会計         課長)     太宰 博邦君         厚生事務官         (薬務局長)  慶松 一郎君         厚生事務官         (社会局長)  安田  巖君         厚生事務官         (児童局長)  高田 正己君         厚生事務官         (保険局長)  久下 勝次君         厚 生 技 官         (公衆衛生局         長)      山口 正義君  委員外出席者         厚生事務官         (医務局次長) 高田 浩運君         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君         専  門  員 山本 正世君     ――――――――――――― 一月三十一日  日本医療団の解散に伴う清算剰余金還元配付に  関する陳情書外一件  (第二四七号)  同外一件(第二  四八号)  未亡人のための授産業供與に関する陳情書  (第二四九号)  厚生省兒童局の存置に関する陳情書外五件  (第二五〇号)  児童福祉関係費特別補助に関する陳情書外五  件  (第二五一号)  兒童福祉施設の広範な設置に関する陳情書  (第二五二号)  国民健康保険給付費国庫負担に関する陳情書  (第二五三号)  生活保護費市負担割合の是正に関する陳情書  (第二五四号)  理容師美容師試験及び免許制存続に関する  陳情書外二件  (第二五五号)  あん摩、はり、きゆうに関する現行法存続等に  関する陳情書外一件  (第二五六号)  食品衛生法に関する陳情書外六件  (第二五七号)  浴場法廃止反対に関する陳情書  (第二五八号)  遺族補償に関する陳情書  (第二五九号)  未帰還者及び留守家族国家補償に関する陳情書  外九件(第  二六〇号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  昭和二十七年度厚生省関係予算に関する件     ―――――――――――――
  2. 青柳一郎

    青柳委員長代理 都合によりまして委員長が不在でございますので私が委員長の職務を勤めます。  これより会議を開きます。  本日は前会に引続き、昭和二十七年度厚生省関係予算について、各局別に特に重要な箇所についての説明聴取、並びにそれに関する質疑を続けて行くことにいたします。高田医務局次長
  3. 高田浩運

    高田説明員 私先日医務局次長を拝命いたしました高田でございます。これからいろいろお世話になることが多いと思います。たいへん未熟でございますけれども、よろしく御指導をいただきたいと存じます。  それでは医務局関係の、昭和二十七年度予算のおもなる事項につきまして、簡略に御説明申し上げたいと思います。  第一に、一般のいわゆる医務行政関係でございますが、お手元に差上げてあります資料は、あれこれまじつているようでございますし、ごらんになりにくいかと思いますので、一応大きな項目について、必ずしもそれによらないで、申し上げさしていただきたいと思います。第一は医療費調査でございますが、これを二十七年度におきましては薬一千三百万円をかけまして、病院診療所、薬局、約二百箇所を対象といたしまして、個々医療行為に伴います医療費の実態を、精密に調査いたしたいと考えます。これは御承知單価問題ないし点数等の問題にも関連するここでございますし、その辺の関係を考慮いたしまして調査の具体的な方法を決定いたしたいと、かように考えております。  それからこれは金額としては大きいものではございませんが、診療エツクス線技師制度が定まりましたので、これに伴います国家試験費用新規に約百五十万円計上いたしました。次に、歯科衛生関係でございますが、妊産婦及び乳幼見につきまして、兒童福視法に基きまして、生活困窮者に対する検診並びに保健指導を行うことといたしました。これは妊産婦十一万人、乳幼兒二十六万人を大体対象といたしまして、十分の八を府県補助として実施しようという考えになつております。  次に看護課関係でございますが、先般の保健婦助産婦看護婦制度改正に伴いまして、認定講習に要しまする費用が、いわば不要になりましたので、これを削りまして、保健婦助産婦看護婦の再教育に要しまする経費を、前年の約三倍程度に増額いたしました。その額は約五百六十万円でございます。  次に国立病院国立療養所関係について申し上げさせていただきたいと思います。第一に国立病院の問題でございますが、これはすでに本委員会についても論議のありましたいわゆる国立病院移管に関することでございますが、医療体系整備一環といたしまして、二十七年度において六十箇所の国立病院を、いわば地方に移譲するという計画のもとに、経営費につきましは、これらの病院につきまして九箇月分を計上いたしておるわけでございます。なお建物その他の改修等に要しまする補助金として約六億四千万円を計上しておりまして、これは移管伴つて府県なり、その他の引受先に配賦する、そういう予定になつております。なおこの移管につきましては、大体根本の考え方につきましては、先日厚生大臣が参りまして申し上げたところで御承知と思いますが、私たち気持といたしましては、どこまでも国立病院をいわゆる医療機関整備一環といたしまして医療機関としての機能をますます発揚するということを目途として考えておりますし、同時に、相手方のある問題でございますので、十分関係者の御了解をいただくと同時に、府県その他いわゆる相手方となるところと十分協議を遂げまして、協議のととのいましたところについて移管をする、かように考えておるのでございまして、俗つぽく申し上げれば、決して無理押しをしようという考えはないということを申し上げておきたいと思います。  なお職員の問題でございますが、申し上げるまでもなく、病院建物であるとか、あるいは器具、機械だけで成立するものではなくして、お医者さんその他医療関係の方々が最も重要な要素でございますし、この人たちを無視してこういう問題を考えるということは、もちろんできもしないし、われわれにはそういう意思もないのでございます。現在国立病院で一生懸命に働いておられる職員身分等につきましては、十分親身になつて考えて行きたいつもりでございまして、この点はいろいろ職員の方でも心配している向きもなきにしもあらずのようでございますが、私たちとしてはそういう気持でおるということをお含みおきいただきたいと思います。  次に金額の問題としまして年々国立病院特別会計に対しまして、一般会計からいわゆる赤字繰入れと称する繰入れをやつてつたのでありますが、これが二十七年度におきましては、かなりの減少を来しておるのでございまして、計上いたしましたのは約五億八千七百万円程度でございます。減少いたしました理由は、單価引上げ、あるいは点数改訂等に伴いまして、収入が増になります。従つて全体としては赤字が少くなる、そういう見通しのもとに、この繰入れは少くなつている次第でございます。  次に療養所関係でございますが、まず新規増床という点から申し上げますと、結核につきましては千五百床、それから癩につきましては千五百床、精神が二百床、脊髄が十床、大体そういつたように増床いたす計画のもとに計上いたしておる次第でございます。それから療養所准看護婦養成所を二十箇所、人数にしまして約四百名でございますが、これを新設いたす計画になつております。  そのほか予算面の上におきましては国立病院療養所燃料費でありますとか、あるいは医療費等單価引上げ等が含まれておりますし、さらに癩療養所患者被服寝具が相当いたんで参りまして、見るにたえないようなところもなきにしもあらずという状況でございますので、これに新たに約千八百万円計上いたしておる次第でございます。それから癩患者作業用品買上げ等も計上いたしておりますし、なおストマイの購入費につきましては、従来薬務局予算に組んであつたと思うのでございますが、これをこちらの方に転換いたしまして振りかえたのであります。その他はおおむね前年通りでございますので、説明を省略させていただきます。なお御質疑によりお答えいたしたいと思います。
  4. 丸山直友

    丸山委員 精神病病床の増加のことでございますが、この前四十八時間問題を緩和するために、東京都等においても実情調査はしたのであります。現在精神病患者を収容しておる病床は百パーセントを越しておる、つまり収容定員を越しておるのは精神病である。全国的に見ましても、精神衛生法が制定されてから、自宅監禁ができなくなつたために、精神病患者を収容する施設というものが非常に不足を告げておる。また各府県必ず一つつくらなければならないのに、代行機関というものが現在非常に多い。私設増床等もうまく行つていないような状況でございます。精神病患者収容施設が非常に少い場合には、各府県において実際上非常に困る場面が起るであろうと思うのでありますが、その場合に私設の、つまり代行病院、ああいう方面に対して融資その他の方法をもつてこれを奨励する、増床計画がありますか、ありませんか。またこういう事態をどういうふうにして行かれる御意向であるか、その心持を承りたい。
  5. 高田浩運

    高田説明員 ただいま精神病院ベッド不足状況についてお話がございました。まさしくその通りでありまして、ベッドの増設は焦眉の急でございます。この点につきましては、実は所管という点から申し上げれば、公衆衛生局の方の関係でございまして、私の医務局の方におきましては国立関係を扱つておりますが、一般の都道府県その他の精神病院増床につきましては、公衆衛生局の方から補助金を出してベッド増床方策をとつているということになつております。その辺の関係は、ほかの局でございますので、私間違うと困りますから、別途に公衆衛生局の方にお尋ねを願います。
  6. 堤ツルヨ

    堤委員 少し国立病院のことについて大臣がおりませんから、事務局お困りの部類に入つておるらしいのですが、持参金付お嫁入りを国立病院が今年なさるらしいのであります。この間、大臣は、決して一方的に押しつけるものではない、話合いの上で話ができたらこれをもろうてもらうのだということをおつしやるけれども、これはきのうの吉田さんの防衛隊問題で口をすべらしたのと一緒で、これは再軍備しない、憲法は改正しないと言つても、防衛隊に編成がえやるのだと言つて、うつかり馬脚を現わしておるわけですが、これと一緒で、決して押しつけがましいことはしないのだと言つておりながら、押しつけがましいことをする前に持参金付予算を組んでしまつておる。これは一体押しつけがましいことをなさらないで、両方の話合いで解決つけようとなさる場合に、途中でもらつてくれないことができたら、この予算並びにこれの始末はどうなさるつもりか。事務局の方ではお困りになるかもしれませんが、次長などどういう考えを持つているか。大臣閣議考えているのと実際とは、予算は間違いがあります。予算の中にはその点が組んである。その矛盾です。
  7. 高田浩運

    高田説明員 御心配ごもつともだと思います。予算は先ほど申し上げましたように九箇月組んであります。そのあと当初予算としては、お話のように全部が全部計画通りに行くことに私たち努力はいたしたいと思つておりますが、これも相手のある話でございますので、こちらが思う通りにばかり行かないということも十分考えられますし、そうなつた場合に、いわゆるこれだけの金で全部をまかなつて行くということが不可能になる事態ということは、これは避けなければならないと思いますけれども、もしかりにそういう事態が起りました場合には、予算の補正というような措置をお願いしなければならないかと思います。
  8. 堤ツルヨ

    堤委員 それでひとつ問題はこまかいのですが、たとえば新築、改築移転をしておるというような国立病院があると思います。さしあたり私の県にもこれはあるわけですが、そういうものは何もきめないでおつぱなしておいて、中途建てかけのままで府県に渡してしまおうというお気持ではないのでしようか、そこをちよつと確かめておきたいのですが、どうですか。
  9. 高田浩運

    高田説明員 これは改修でありますとか、それに関連したいわゆる政府予算従つてやるわけでありますが、しかし改修といいましても、いわば千差万別、程度の差というものが非常にございます。その辺のところは、現状に即して移管すべきものについては移管するということになると思います。従つてその辺の現状について、金額その他については相手方と交渉して行く、そういうことになると思います。改築中だから移管しないというふうには一概に考えておりません。
  10. 堤ツルヨ

    堤委員 どうも次長の御答弁は少しおかしいのですが、わかりません。と申しますのは、改築をしておるとか、移転をするとかいうものは、そうすると、うんと金がいるものでありますから、そのまま捨ててしまつて、中途半端にしてやるとか、もう少しの金で済むのなら、ちよつと手をつけかけてこれを売れやすいものにしてもらつてもらうとか、そういう虫のいいことを考えているのじやないんですか、そこのところを聞きたい。かんじんのところがぼやけている。
  11. 高田浩運

    高田説明員 私どもの方といたしましては、別に取引ではございませんので、何と申しますか、その辺の金額等の点については別にこだわらずに、これは現状に即して考えなければならないと思つておる次第でございます。
  12. 堤ツルヨ

    堤委員 次長の御答弁はつきりしないから、もう一度聞きますが、九十九箇所のうち六十箇所が地方移譲になると、閣議の決定では御予定なつたんでしよう。そうすると私たちが、たちの悪い目ではないんですけれども、普通の目で見て、成績のよいモデル・ホスピタルとして面子のよいものは国立で持つて行こう、それから国立にしては貧弱な、とうてい救がたいものはこれを地方移管して行こうというような、はなはだ虫のいいお考えでおいでになるわけです。ですから、地方といたしましては、国立病院をもらうにしても、何が一番問題かというと、はたして国立病院を県立とか、村立とか、市立とかいうようなものにもらつて、大衆の要望にこたえるだけの病院経営がして行けるかということで、やはり経営の問題と結びついて、経済的な問題も結びつくわけです。そういたしますと、虫のいいものだけを国立にお残しになつて、非常に歩の悪いものを地方に御移管になるというようなことになつて参りますと、その中でも歩の悪いものは金を二千万円も三千万円もかけてやらなければならぬ。中途半端の工事をほつぼらかして、それを市に持つて行く、県に持つて行くというようなことをおつしやりかねないような問題でありますから、私はそこをお聞きしておるわけです。
  13. 高田浩運

    高田説明員 いわゆる国立として残す病院につきましては、いわば立地條件といいますか、たとえばブロックの中心の都市にあるとか、ないしは特殊の目的を持ち、特殊の任務を持つておる、そういうことを主眼にして選んでおるわけでございまして、いわば個々病院自体経営上のよしあしであるとか、あるいは建物上のよしあしであるとか、そういうことではなしに、今申し上げましたような立地的な関係を、あるいは特別の任務ということを重視して考えておるわけでございます。従つて建物等よしあしということから申し上げれば、国立として残す予定になつておるもののうちにも、相当貧弱な建物もございますし、そうではない、移譲するというふうに考えているもののうちにも、必ずしも貧弱でない建物の設備の整つているところもございますし、その辺は見方でございますけれども、私たちとしては、ボロ病院だからやつてしまうというような考え方でやつているわけではないつもりでございます。
  14. 堤ツルヨ

    堤委員 次長はこまかいことまでお知りにならないから、お答えにならないのじやないかと思いますが、ひとつそこのところを御調査になりまして、中途半端に建てかけのものを、空地に外来診療所を建てたものを、ぽいと町や県にもらうことになつているかいないか、そこのところをひとつ御調査になつて、あすでもけつこうでございますからお答え願いたい。  それからもう一つ、今年に転換予定されておるところの三千ベッドの十五箇所は、予算を見ますと、独立採算制になつておる。私たちはこれを特別会計にいたしますときに、これが患者負担になつていろいろな面で迷惑をかけはしないだろうかというような質疑応答を、ずいぶん重ねまして——これは速記録を見てもわかるのですが、この国立病院支出を見てみますと、うんと支出を押えて行つているというようなことが、どこへ行きましてもはつきりいたすのです。国会では支出を押えるような方面に持つて行かないで、そうして患者に迷惑をかけないようにして、十分今まで通り運営をやつておるということを御答弁になるわけですけれども、なるべく黒字になるように、黒字になるようにというような一つの圧迫が、国立病院会計本省からかけられておつたような気がするのですが、これについての率直な御意見は、いかがですか。
  15. 高田浩運

    高田説明員 お話の点は繰入れの会計の問題になると思いますが、これにつきましては、歳入の方につきましては、これは保険單価点数によつて計算をいたしておるつもりでございますので、いわば取過ぎになるということはないと思います。歳出の方につきましては、先ほど申し上げましたように、医療費でありますとか、あるいはその他の燃料費でありますとか、そういつたことにつきましては、むしろ二十六年度よりも多く組んでおるつもりでございます。従いまして別につじつまを合せるために、あるいは歳入を過大にし、あるいは歳出を従来よりも切り詰めるというようなことは、今度の予算から見ますと、そういうふうにはなつていないと私は承知をいたしております。
  16. 堤ツルヨ

    堤委員 本省ではそうお答えになりますけれども一般国立病院行つて庶務課長などの意見を伺つてみますと、本省の言い分と異なつた意見を相当開陳しておるようでございます。あなた方の前では、本省べ出て来てはおとなしい顔をしておるかもしれませんけれども、われわれには実際のことをおつしやつておられますから、そこのところをひとつ……。それから特別会計のものを独立採算にして組みかえをした。これは議会できまつたものに対する違反であると思いますが、この三千ベットの問題に対してどうでありますか。
  17. 高田浩運

    高田説明員 繰入れは多少減額いたしましたけれども、繰入れするようになつておりますし、それから今お話の三千ベッドというお話はどういうことでございましようか。
  18. 堤ツルヨ

    堤委員 結核療養所に転換された十五箇所です。
  19. 高田浩運

    高田説明員 これにつきましては、二十八年度から転換をする予定でございまして、従つて二十七年度におきましては国立病院として運営をして行くような考え方になつておる次第でございます。
  20. 苅田アサノ

    苅田委員 議事進行について……。ただいま問題になつております国立病院地方移管の問題は、これは今全国で、ただ病院の中に入つておる患者だけでなく、これを押しつけられる地方の方から見ましても、相当大問題になつておりますので、ただいまの御答弁では私どもとしてもどうもはつきりしない、満足できないわけなのであります。この問題につきましては、やはり主務大臣が御出席にならなければ解決しないと思いますので、どうか至急に大臣にこの席に来ていただきますように、委員長の方から御手配を願いたいと思うのでございます。
  21. 岡良一

    ○岡(良)委員 大臣がお見えになるまで、ただいま御説明医務局予算の積算の基礎となつ数字について承りたいと思います。看護婦講習ということが御説明にありましたが、看護婦法改正でもつて国家試験も一応はないというふうなことにはなりましたけれども、しかし日進月渉の医学の発展に伴つて看護婦技術等もやはりそれに遅れないように、再教育と申しましようか、講習には十分な力を入れてもらいたいということは、看護婦の方でも強く要求しておるようであります。そこで一体来年の計画としては、どういう方法看護婦講習をなさるのか、またそれによつて教育を受け得る看護婦は、大体何万客という一応の基礎的な数字を持つておられるのかということを承つておきたいと思います。
  22. 高田浩運

    高田説明員 先ほど申し上げましたように、看護婦等の再教育に要します経費は、前年に比べますと相当増額いたしておるのでございますが、これにつきましては、県に対して二分の一の補助というふうに考えておりますので、従つて実際に使われる金は倍額ということになると思います。それから実際の人数でありますが、各府県ごとに、すなわち一県当り平均いたしまして、保健婦につきましては三百人、助産婦につきましては百五十人、看護婦につきましては百五十人でありまして、そういつた人数につきまして、保健婦助産婦につましては一回十日、年六回というつもりでおります。看護婦につきましては一回一月で年三回、かように考えておるような次第であります。
  23. 岡良一

    ○岡(良)委員 私ども聞いておるところでは、大体看護婦の免状を持つておられる御婦人が十六、七万ある。現在稼働しておる看護婦さんがその半分と見ても七、八万あるわけですが、今のお話ですと、一県平均として百五十、百倍にしてみたところで一万五千しかやらないということになりますが、そういうことで看護婦の再教育ができますか。
  24. 高田浩運

    高田説明員 お話のように、現実に稼働している人間と、それから講習対象となり得る数の間に相当開きがございますことは、お話通りでございますが逐年こういうふうにして少しずつ積み重ねて行つて成果をあげたい、かように考えておる次第であります。お話のように財政上の関係が許しますれば、もつと大がかりにやることもできるかと思うのでございますが、来年度につきましては、さしあたつてこの程度でやつて行きたいと考えておる次第であります。
  25. 岡良一

    ○岡(良)委員 しかし、これではまことに手ぬるいことで、看護婦の個人的な資質の向上ということは、やはり何といつて医療行政のにない手ですから、もう少し政府としてはがんばつて十分再教育の実をあげしめるように、広汎な看護婦がその教育を受けられるようにがんばらなければいかぬと思う。  それから、先ほどの御説明にあつた国家試験についてちよつとお伺いいたしますが、今年からインターン諸君国家試験を受けるときには、何か手数料が五千円に上るということで、非常に心配しておるようですが、これはどうですか。
  26. 高田浩運

    高田説明員 五千円の話、実は私の方も承知いたしていないのであります。御承知のように、現在国家試験を受けますにつきましては八百円、それから登録料三千円という次第であります。
  27. 岡良一

    ○岡(良)委員 インターン諸君も、非常に苦しい中からあの期間をやつておるわけなので、それが国家試験が八百円、一方三千円のものが五千円に上るということで、不満やら憤慈やらいろいろ申し述べておりますが、しかしながらやはりこれは当然厚生省としても十分関心を持つてもらいたい問題ですから、大蔵省がやるのだからこつちの方は知らないというわけには行かぬと思うのでして、ぜひともそういうことのないように、これは後手を打たないように、大蔵省あたりとも交渉なり何なりをしてもらいたいと思います。インターン諸君はそう思い込んでおります。  それから今年は療養所のベットを千五百新設されるということになつておりますが、その看護婦なり医師の定員の予算を、一体どういうところからおとりになるのか。そこに従事する医師なり看護婦なり職員というものを、何か多少配置転換するような含みもあろうかと思いますが、具体的な数字として、かりに六十箇所は移譲する、残り二十九箇所のうち二十四箇所は存置する、十五箇所を転換するということになれば、なるほど予算定員として療養所の方は病院に比べて少くて済むというようなかつこうでありますが、一体そこからどれだけの人間が出て来て、それから千五百の増床の部分に合わさつて来るのかという、この数字をお示し願いたい。
  28. 高田浩運

    高田説明員 増床につきましては、二十八年度から動かすという計西になつておりますので、従つてこれに関する定員は含まれてないかつこうになつておるような次第でございます。
  29. 岡良一

    ○岡(良)委員 しかしこの公衆衛生局予算には、五百五十二ページに非営利法人結核療養所千五百床の建設費等であるということが出ておるのであります。従つてこの建設費は建設費であつて、そこに配置される人員の予算は出ておらない。また、たとえば病院療養所に転換するという場合に、多少予算定員上の余剰が出て来るのでしようが、どの程度出て来て、それをどのようにやればちやんと行くのだというはつきりした数字をお示し願いたい。
  30. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 今、岡委員の御質問の五百五十二ページの結核ベッド千五百床というのは、そこに書いてございますように、非営利法人で地方施設でございます。今まで御質問のありましたのは、国立病院から国立結核療養所に転換した場合のお話であつたように思いますが、その点いかがでしようか。
  31. 岡良一

    ○岡(良)委員 それでは私の考え違いですから、あらためて伺いますと、公立結核療養所を新設しようということになつておりまして、その建設費が含まれておりますが、そうするとそれに伴う人件費は一体どこの項目に出ているのですか。
  32. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 これは地方施設でございますので、前の五百五十一ページの一番上、結核予防費補助に必要な経費の中に入つておるわけでございます。その説明の二の方に、経営費に対する補助であるということが書いてございます。
  33. 岡良一

    ○岡(良)委員 どうもはつきりわかりませんので、ガリ版でけつこうですから、納得の行くように、何か数字の上の御説明を資料としていただきたいと思います。  それから療養所の方では、特にカロリーを必要とする患者であるために、どちらかというと、まかないの問題には非常に神経質でもあるし、実際神経質というよりも、当然だというような事実もあるように想像するのですが、この食糧の費用は一体昨年に比べて今年はどれくらい引上げられることになつておりますか。
  34. 高田浩運

    高田説明員 二十七年度におきましては八十二円という單価になつております。従いまして、前年度と金額の上で多少の違いはありまするが、大体達観して同じようなものというふうに考えております。
  35. 岡良一

    ○岡(良)委員 療養所患者は必ずしも国保あるいは健保の患者には限りませんが、しかしどちらかといえば、主としてこういう社会保険患者なり医療扶助の患者が多いのです。そこで保険單価も上り、完全看護をモットーとしている国立療養所としても、入院料の点数が上つているのです。ただ上つているのではなしに百円足らず上つている。そういうふうに上りながら、その食費においては、特にカロリーを必要とする結核療養所において、食費が全然上らないということでは、現在それで満ち足りておるならばよいけれども、その点療養所患者諸君にすれば、当然な要求としてもう少しやつてもらいたい。ないものだから、その入つておる患者の家庭から事実補給しておるというのが実情です。そういうような状況を御存じないこともないと思うが、それだけに一点單価が上り、入院料も上つておりながら、まかない費という、特に結核療養所にいる療養患者にとつて、一番大事なカロリー補給の面においては、前年と同じ取扱いをするということでは——われわれとしては、特に結核予防については大きな国の問題としてお互いに努力しているが、厚生省の取扱い方は非常に冷淡だと私は思う。これはもう少しカロリーを引上げるように、食糧費等もできませんか。
  36. 高田浩運

    高田説明員 お話のように、まかない費の問題は前々から本委員会においてもいろいろお話が出ておりましたし、私たちとしては、できればもう少し上げたいという気持はあつたのでありますが、いろいろな事情から大体今お話申し上げたようなことにおちついたのでございます。気持は、できるだけ患者に充実した食糧をやつていただくという気持でおりますので、仕入れでありますとか、あるいは加工でありますとか、そういつたことに関する経営をできるだけ合理化しまして、最も栄養的に効率の高い食糧によるように十分努力いたしたいと思つております。
  37. 岡良一

    ○岡(良)委員 それでは昨年度における一日の入院料と入所料と、今年度における一点単価が引上げられた場合における療養者一人当りの入院料、及び昨年度における入所料の中で、国として予算を組まれた中で、患者の光熱費、食糧費、被服費、事務費等を、本年度の分と項目的に対比できるように、そういつた数字をここで御発表できれば、ひとつしていただきたい。
  38. 高田浩運

    高田説明員 今お話の点につきましては、詳細な数字をたまたま持ち合せておりませんので、追つて資料を差上げるなり、あるいはお話を申し上げるなりさせていただきたいと思います。
  39. 岡良一

    ○岡(良)委員 ぜひ資料として、これもガリ版でけつこうでありますから、近い将来にいただいて、そしてわれわれも療養所運営について意のあるところをお互いに申し述べさせてもらいたいと思います。  それから、先ほど次長の御説明では、国全体の観点から、医療機関の整備の一環として、国立病院地方へ移譲するというふうな御説明でありましたが、そこで結核療養所のベットに転換する十五箇所は、一体どことどことを予定されておりますか。
  40. 高田浩運

    高田説明員 今お話の件につきましては、なお関係の向きとも十分検討しなければきまらない点もございますし、従いまして、ただいまかくかくの通りきまつておりますというような状況には参つておりませんので、この点ひとつ御了承をいただきたいと思います。
  41. 岡良一

    ○岡(良)委員 しかし、次長お話では、国としての医療機関の整備という観点から、国立病院地方移讓もやる、あるいはベット転換もやるという以上は、その前提となるべき国あるいは公共医療機関は、どういう具体的な体系であるべきかという基礎的なものがはつきり出てそこで初めてどの病院とどの病院はベットを結核病床に転換するということが出て来なければならぬわけであります。何かわからない、今後相談した上でということで、その病床転換の病院が今のところ予定されていないでは、先ほど御説明なさつたような国の立場における国立なり、あるいは地方公共団体の経営の公共的な医療機関の整備というものはできないと思います。そうすると、あなたの御説明は、非常に矛盾しているというふうな印象を受けざるを得ない。やはり厚生省としては、国なり地方公共団体の公共医療機関というものを総合的に見て、ここに御説明にあるように、またあなたの御説明なさつたように、たとえばあるものはこれをモデル病院としてセンターとする。次位に位するのは地方公共病院、その次は国保の直診所がある、保健所がある。一応そういうような直診的な公共的医療機関の整備の体系というものがあつて、そこでこの国立病院結核療養のベットに転換するということが出て来なければならぬのではないですか。その点であなたの御説明は非常に矛盾しているように感ぜられるのです。一応ちやんとおきめになつているのだが、発表をはばかられるというならば、またあとでお聞きしてもよろしいのですが、そういうあいまいなことでは困ると思います。まだほんとうにわかつておらないのですか。
  42. 高田浩運

    高田説明員 事務的に申しますれば、実際に現在結核患者が入つております状況でありますとか、その他立地條件等を考えまして、検討はいたしておるのでございますが、先ほど申し上げましたような事情もございまして、まだ最終的にこれこれでございますというふうに申し上げる段階に至つておりませんことを、ひとつ御了承いただきたいと思います。
  43. 岡良一

    ○岡(良)委員 国立病院地方移管ということで、昨年度来起債の問題なり交付金の問題なりで、それぞれ増額を要求されておつたが、あえなく地方としては敗退しておるという実情でありますが、一体こういう国立病院地方移譲という問題について、地方財政委員会あたりと何らか御相談になりましたか。
  44. 高田浩運

    高田説明員 国立病院移管の問題につきましては、地方財政あるいは地方行政の機関であります地方自治庁ないし地方財政委員会、そういつたところとは緊密に連絡をとつている次第であります。
  45. 岡良一

    ○岡(良)委員 地方財政委員会の方では、了承を與えましたか。
  46. 高田浩運

    高田説明員 先ほど来この移管について申し上げました根本的な建前のもとに、お互いに協力し合うということになつておる次第でございます。
  47. 岡良一

    ○岡(良)委員 この国立病院も、やはり予算定員に対して医師なり看護婦の充足率が百パーセント行つていないというようなことは、現地の諸君からよく聞くことなんですが、あなたの方へ集まつている資料で、一体各国立病院ごとに、あるいは全体として国立病院看護婦なり医師の予算定員というものは——全日本の現在ある九十九箇所の国立病院で一体予算定員と、そして実人員とのずれ、医師と看護婦についてどういう数字が出ておりますか。
  48. 高田浩運

    高田説明員 全体として申し上げれば、医師につきましては大体百パーセント近く充足されておる状況であります。看護婦につきましては、多少医師よりも落ちますけれども、約九割以上は充足されておる状況になつております。
  49. 岡良一

    ○岡(良)委員 私どもの耳にする数字は、そんなに充足されておらないのですが、その辺はもう一度私どもも調べてみたいと思います。  それでは、さつき堤委員の言われたいわゆる持参金ですが、これはどういうふうな形で今度地方へ渡されるのですか。たとえばどういう基準でこれを分配されるわけなんでありますか、いざというときに……。
  50. 高田浩運

    高田説明員 ちよつとさつきの御質問に関連すると思いますが、病院につきましては、今申し上げましたような充足率になつておりますが、療養所につきましては、これよりも多少落ちるわけでございますし、その辺のところがお耳に入るんじやないかとも思います。この点念のために申し上げておきます。
  51. 岡良一

    ○岡(良)委員 六億九千万円はどうですか。
  52. 高田浩運

    高田説明員 これの補助金の実際のやり方、具体的な措置につきましては、なお検討中でございますが、施設の譲渡の価格なり、あるいは整理を要する状況なり、そういつたところを十分しんしやくいたしまして配分いたしたい、かように考えております。
  53. 岡良一

    ○岡(良)委員 しかし、それはおかしな話で、六億九千四百万円という、百万単位まで数字が出ておるのだが、一応もらうものはもらつておいて、やおら受取つたときから分配しようというのでは、予算編成というものの筋道からいつて、非常にあいまいなかつこうだと思うのです。しかしそれはそれとしまして、さつき堤君も言いましたが、国立病院独立採算というような話も出たときに、これを特別会計ということで、初年度はたしか二五%ほどですか、去年は二〇%で、ございましたか、一般会計から繰入れておりますね。そこで去年が十二億九千万円、今年は五億八千七百万円ということになつて七億から違つておるわけです。これは地方移管というようなものを前提としての組み立て方かもしれませんが、御説明で、一点單価が上つて、入院料が上つた。そういうことで大体一人前でやつて行けそうな形になつて来たから、一般会計からの繰入れは少しずつ減らしてもいいんだ、こういう考え方一つ問題だと思うのです。われわれが、独立採算ではいけない、特別会計という取扱いをしてもらいたいということは、あくまでも国の名を冠した医療機関として、その内容なり運営なりが、ほんとうに十分なものでなければならぬということから、国が当然責任を持つんだという考え方を、一般会計からの繰入れという措置をもつてつてもらいたいというのが、当時の要求でもあり、またそういうようなことで政府の方でも特別会計にされた。ところが今度は保険料が上つた、入院料が上つた、一点單価が上つた、そこで少し経営が楽になつた、こう言われますが、しかし現に国立病院経営している庶務課長あたりの意見でも、地方でやはり健康保険單価問題は、みんな来ておる。あるいは全国的な会をやつても、やはりみんな来ておる。そうしてやはり医師会が十八円四十銭を言つておるときに、国立病院にしつて十五円という線を言つておるのです。そうでなければ十分な経営はできないということを言うておるのです。従つて十円が十一円五十銭になつたからといつて、とたんに国の一般会計からの補助をごそつと切り捨てなければならないほど、決して、病院経営というよりも、病院としての運営なり、内容の充実というものは、ちつともそういうことでは期待できないようなわずかな單価の値上りにすぎない。国立病院の庶務課長あたりの意見では大体十五円はほしいと言つておる。それが十一円五十銭と、一円五十銭の値上りでは、とうていできない。ところがそういうものが入つて来たから、従つて国の方の一般会計からの繰入れは、それだけ減額をしようという考え方であるならば、大体特別会計ということで、それは国の責任において、国の名を冠する医療機関の充実というものを、運営の万全を期するというところから、われわれとしては特別会計ということをその当時強く要求し、政府も同意されたのであるが、全然これとは違つて来るという行き方になろうとしておるのであります。その点で、一体あなたは保険單価が上つた、あるいは一点單価が上つたから、国立病院経営はそれだけゆとりができたので、国の方で一般会計からの繰入れというような措置でめんどうを見なくてもいい、そういう考えでおられるとするならば、これはあまりにも現実からかけ離れた考え方ではないか。その点、もう一ぺんあなたの御見解を伺つておきたいと思います。
  54. 高田浩運

    高田説明員 お話のようになるべく、いわば歳出の方をふやしてやつて行くことが、経営上楽なことは言うまでもないことでございますし、これは病院のみならず、すべての活動分野についてそういうことが希望されることも、言うまでもないところでありますけれども、しかし財政上の関係も十分考慮いたさなければなりませんし、病院経営というものにつきましても、十分合理化その他の措置も考えなければなりませんし、少くとも来年度におきましては、先ほど来申し上げましたような計画でやつて行こう、かように考えておる次第でございまして、漸次減らして最後にはゼロにするというふうには、必ずしも考えていないのであります。
  55. 岡良一

    ○岡(良)委員 やはり医務局の立場からは、池田大蔵大臣の言い訳をなさる必要はないので、もう少しあなた方のお考えを強くわれわれに聞かせていただくというふうにした方が、将来われわれがそれぞれの党などで問題を検討する場合にもいいのですが、それはそれとして、何か適正な医療費を算定するために調査費用を計上されたということを言われておりました。そこでこれは小山課長に聞きたいと思いますが、一昨年の八月の初めにサムス准将の示唆によつて、日本における医療費の適正化を期するということで、臨時医療制度調査会というようなものが発足して、ようやく七、八箇月かかつて、きわめてたわいのない結論であるが、一応結論を出しておるのである。この医療費の問題は、やはり日本の医療行政上重要な根本問題の一つであつて、しかも現在の日本の医療費ないし医療費の体系というものには、いろいろな点で非常な矛盾があるわけなんです。従つて当然臨時医療制度調査会というものが、総務課長の所管の会として開かれておつたので、それが昨年の三月に一応の結論を出したが、その後一体この問題をどういうふうに厚生省としては具体的に進められようとせられるのか、本年の予算の計上等についても、具体的にどういう方向に——厚生省としては医療費の適正化の方針とは一体どういうものであるかという点、何か具体的なお考えを承りたい。
  56. 高田浩運

    高田説明員 小山総務課長への御質問でございますが、あの当時から私総務課長としてこの問題に関係いたしておりましたので、便宜私から答弁をさせていただきたいと思います。お話のように新しい診療費の体系を確立するというふうな考え方になつて、あの調査会が終結いたしておる次第でございます。その辺の実際上の調査ないし立案等をいたしますにつきましても、これはかなり費用の要することでもございますし、たまたま昭和三十年ということになつておりまして、きようあすの問題というふうには必ずしも考えられない点もございます。従いまして、二十六年度において特別に補正予算を組んでどうこうするということは、これはいたしてなかつたのでございますが、先ほど御説明申し上げました約千三百万円の医療費調査ということは、必ずしもそのためにというわけではございませんが、十分それらの材料にも使えるようにというふうな心組で計上いたしておる次第でございます。
  57. 青柳一郎

    青柳委員長代理 先ほど苅田委員からの大臣に対する出席要求がございましたが、今から三十分ぐらい前に連絡がありまして、大臣は連合軍司令部に行つておる、三、四十分たつてつて来たら出席するということでございます。従いまして医務局関係の問題で、大臣説明を求めることは、大臣出席されたあとにまわして、次に進んだらどうかと思います。よろしゆうございますか。
  58. 岡良一

    ○岡(良)委員 その点は、ぼくがお尋ねしたのは大体この予算の積算の基礎となる数字について承つたので、別途医務行政については、あらためて大臣にお尋ねするということを留保いたしまして、一応これで打切りたいと思います。なお先ほど来お願いいたしました資料、これはぜひ近いうちに出していただきたいと思います。
  59. 苅田アサノ

    苅田委員 大臣が御出席になつて答弁を願えば、もちろんよろしいのですけれども、おそらく時間も限られておりますので、大臣にぜひお聞きしなければならない問題以外のことで、少しお尋ねしたいと思います。これは政務次官に大臣のかわりにお答えつてもいいのじやないかと思うのですが、それは今実施されておりますインターン制度の問題でございます。インターンの問題では、先ほど当委員会にも、インターン生並びに医学生の陳情がありまして、そうして大体この陳情を聞いていた委員考えも、現状のようなインターン制度は、決して医者としての医学の上の向上にもならないし、また現在のようなインターンの身分が保障されない事態におきましては、結局経済的にも非常な生活の圧迫となつているという実情で、むしろ現状のような状態が改善されないならば——これはすでに二年も、三年も同じような陳情が出て来て、改善されなかつたのですから、今日のいわゆる財政状態、始終おつしやるこの状態では、とても従来以上の改善は見込まれないわけなんで、これの陳情はもちろん厚生当局にも来ておると思うのですが、このインターン制度をやめて、そうして全部現状の大学制度の中で、医学科の中で臨床までも十分にやるというようなことをするのでありましたら、新学期を前にしまして、相当急がなければできない問題だと思いますけれども、これにつきまして厚生当局はどういうふうにお考えになつているかということを、ここで次官でもおわかりになるのだと思いますが、お聞きしたいと思います。
  60. 松野頼三

    ○松野政府委員 先日の陳情、私も拝聴しまして、なかなか苦労の多い制度だと思いますが、これは一厚生省のみならず、文部省とも深い関係がございまして、学制制度の改革にも触れて来る問題だと思いますので、厚生省だけでなしに、広い意味で根本的に考えをいたさなければいけない、こう考えております。
  61. 苅田アサノ

    苅田委員 そのことはわかつている話なんですけれども、しかし問題は五年先、十年先の問題ではなくて、来年度からやめてもらいたいという陳情なんですから、これはもうよその省と関係があるのだからといつて厚生省がほうつておいたのでは、一歩も進まない問題なんですが、その点はどういうふうに厚生省としては問題が進められているか、決定はどういうふうになつているか。それは廃止というふうに決定されておるのかどうか、それとも今これは手がつけられないというふうに考えておいでなのか、そういうことからまずお伺いしたいと思います。
  62. 松野頼三

    ○松野政府委員 今年は特に早急にかえるというわけにも参りませんので、本年は現在の制度を採用する、こう考えております。
  63. 苅田アサノ

    苅田委員 それでは、もう一度お伺いいたしますが、現状はこれでよろしいという御判断の上で、今年度実施しないのですか。それともこれは困るけれども、今年度は何らかの障害があつて実施できないというのか。障害があればどういう障害があるのか、この点もひとつお聞きしたいと思います。
  64. 松野頼三

    ○松野政府委員 もちろん今までの制度が完全無欠とは思つておりませんので、現在の制度の中でぐあいの悪いところ、あるいはインターン生の講習にしましても、設備のいいところを選ぶとか、充実した教育をするとか、現行制度内で改善して行きたいと思つております。
  65. 苅田アサノ

    苅田委員 これは政務次官でも、医務局次長でも、適当な方からお答えしていただければけつこうだと思いますが、そういたしますと、政府としては現状は欠陷はあるけれども、これはなお改善が可能なものとして、なお来年度も引続いて実施する、こういう御決定のように解釈してよろしいのですか。
  66. 松野頼三

    ○松野政府委員 現状は必ずしもこれが完全無欠とは考えておりません。陳情の趣旨もありましたし、そういう現行制度内において、改善できる余地があるところはどんどん改善して行きたい。なおかつ、どうしてもいろいろの場合に障害が起るならば——これは大きな医学教育制度自身にも改善の余地があるならば、本年は間に合いませんから、そのときになつて考えて行きたい。
  67. 苅田アサノ

    苅田委員 この陳情は、今年初めて出たわけじやなくて、今言いましたように二年も三年も、ほぼ同じような内容の陳情が出ているわけです。もし厚生省の方で、ほんとうにそれが何とかかえなければならないような欠陷だというように御認識になるならば、この二、三年のうちにでも、多少なりとも、これは改善されていなければならないと思うのです。それが、今日なおそういうふうなお話であれば、結局ほんとうに改善しようという努力がないとしか考えられないのですが、どういうことになるのでしようか。厚生省の方は、これからどういう欠陷があるということを御調査になる段階なんですか、お伺いしたいのです。
  68. 高田浩運

    高田説明員 インターンの問題につきましては、御質問のように、いろいろ御異議があることを承知いたしております。何しろ現在までにおきましては、いわゆる戰時中に医専等を増設いたしましたあおりを食つて、非常にたくさんの医学部の卒業生が出て参りましたために、これをインターン生として受入れをするについては、いろいろ施設その他の関係から不備の点があり、あるいはインターン生においても、不満があつたことは、これはやむを得なかつたところもあろうかと思うのでございます。だんだん数の上においてもおちついて参りましたし、そういたしますと、施設についても、いわゆる厳選主義で、真にインターンをやるに適当な施設にこれをやつてもらうということも可能だと思います。同時に、インターン生自身も、ほんとうに一年間のインターンを生かして、将来の優秀な技術者としての土台にするという心構えでやつていただけば、このインターンという制度は、非常に有意義なものであると考えておりますし、現在のところといたしましては、その線で努力をいたしたいと考えておる次第であります。
  69. 苅田アサノ

    苅田委員 今のような御答弁を聞きますと、私はお伺いしたいのですが、医務局長はせんだつて参りました医学生からの訴えをお開きになつて、お調べになつた上、今のような御返答があつたのですか、どうでしようか。
  70. 高田浩運

    高田説明員 私、実は最近医務局の方に参りましたばかりでございまして、私の従前医務課長をやつてつた経験、また一般の経験に基いて御答弁申し上げた次第でございます。
  71. 苅田アサノ

    苅田委員 ただいまの御答弁では、そうだろうと思います。インターン制度については、全国のインターン生の組織が決議いたしまして、いろいろな要望書、陳情書を持つて来ているのですけれども、それとはまつたく食い違つた答弁で、私はこの問題に対して、厚生当局、医務局が実に怠慢で、そういう学生の陳情に対して一顧も與えていないというような事実がここにわかりまして、非常に遺憾に思うのです。やはりほんとうに、国民の声をもう少し真剣に取上げられなければ、私は日本の医療制度の改善ということはできないと思います。そういうものを見ないで、とにかくいい加減な答弁をするということでは、実際驚き入る次第で、全然その様子のわかつていない人に何と言つてもわかりませんから、きようはこの問題は問題にならないと思います。しかしこの問題は非常に大きな問題で、学生とすれば、ただインターン生だけではなく、医科大学に学んでおる学生も一緒になつて大勢で陳情に来て、取上げてもらいたいということを言つておるわけですから、至急に私はこの問題に対して、よくその陳情をごらんになつた上で具体的に対策を考えて至急にこの委員会で御答弁願無いたい。それによつてども委員会として意見を述べ、態度もきめたいと思いますから、このことはぜひ近いうちにこの委員会で、厚生省としてのきまつた態度を発表していただくことをお願しておきます。
  72. 松野頼三

    ○松野政府委員 ただいま苅田さんの発言の中に、厚生省は陳情を聞いておられないということでありましたが、私は全部聞いております。医務課長も、その席に出て全部聞いております。たまたま畜さんが、その席におりませんで、陳情を聞かなかつたのでありますが、厚生省が、全然陳情を聞いていないということは、ございません。どうかこれだけは御了承願います。
  73. 苅田アサノ

    苅田委員 それでございましたら、よく陳情を聞いておいでになり、十分関心を持つておいでになる次官から、はつきりこの問題について、厚生省としてはどういつたふうに態度をきめておるか伺いたい。今お伺いしますれば、この問題については、改善の余地はあるけれども、ということですし、さつき局長からお答えになりましたのは、全然厚生省としてのお考えとは違うと私は思います。それでしたらどういうふうにきまつておるかということを明確に御答弁願いたいと思います。
  74. 松野頼三

    ○松野政府委員 私は陳情を聞きまして、ごもつともだと思うとともに、これは一厚生省ばかりでなしに、非常に文部省に関係の多い点が多かろう。厚生省よりも、どちらかというと、文部省の方の関連事項が多いように感じたのでありますから、なおこれは文部省とさつそく打合せして研究すべき問題だ、こう考えております。
  75. 苅田アサノ

    苅田委員 政務次官がどうお考えになるかということだけでは、ちつともこの問題は進まないので、あの陳情がありましてからすでに一週間以上たつておるのですから、その間どういうふうに文部省と交渉なさつていらつしやるか。新学期は目前に迫つているので、その点どういうふうに、あなたの御心配が実現されているか。その改善すべくどういうふうに動いているかということをはつきりお聞きしないと、どうも……。
  76. 松野頼三

    ○松野政府委員 あの翌々日でしたか、政務次官会議もありまして、その趣旨を私も話しておきました。それから文部省としても、全然無関心で私の話を聞いておるのではない。これは他の省ですから、何々局長がどうした、こうしたということはわかりませんが、私のところでは、さつそくこの問題は、私自身においても、私の権限内でできる範囲の努力をいたしております。
  77. 苅田アサノ

    苅田委員 もしそれだけで厚生省としての責任が済むというふうにお考えになつていれば、結局インターンの問題は、今年もやはりほうりつぱなしにされているということを私は確言いたします。それでなくてなぜ今まで同じような陳情が重ねられていても改善できなかつたかということを、はつきりその理由をえぐり出して、それを一つ一つ解決しなければ、やはり同じような欠陷が毎年生まれて来て、毎年学生がいたずらに陳情々々といつて騒ぐだけになつてしまうと思います。ですから、ほんとうに解決なさるおつもりがあるならば、もう少し誠実に、まじめに改善するような努力をひとつ見せていただかないと、いかに誠意を持つているということをお答えになりましても、私どもはそういう善意の希望だけでは、どうもあなたがおつしやつたように、厚生省がこの問題について真剣に取組んでいるということは考えられないと思います。
  78. 松野頼三

    ○松野政府委員 私は言葉ばかりじやありません、一生懸命に考えておるわけであります。それからその会議のときも、これは国会でも、非常に大事だから、文部委員会と連合審査でもして、また公聴会でも開いて進行させようじやないか、こういう動きも伺つております。そうなりますと、厚生省と文部省の交渉も、もつとはかばかしく行くのではなかろうか、こう考えて、実は私も心ながら非常に喜んでおつたわけであります。何もないがしろにしておるのではありません。当時の一言一句をよく覚えております。私も就任後わずかでありますが、私のできるだけのことは、この問題について必ずやります。どうぞ委員会の方々も、よろしく御協力願います。
  79. 岡良一

    ○岡(良)委員 関連して……。厚生次官はそれではまだまだ学生の陳情をのみ込んでいないと思います。文部省に関連するところが多いというのですが、あの学生の陳情した中で文部省に関連するところは、現在の医科大学は、国家試験のための予備校のようなものであるという点だけです。しかしインターン諸君が重点的にうたつているところは、そういうことではないので、やはり彼のインターンとしての修練期間における身分の保障、同時に名実ともに実地に修練を受けるがごとき、そういう教育的な処遇、環境を與えられたい。ところが、そういう施設を指定したり、国家試験を実際にやるというようなことは、文部省がやつていることなんで、文部省に関係するところはきわめて小部分です。問題は、私はインターン制度というものは、あながち否定すべきものではないと考えております。ただ彼らがうたつておるところの、血球計算機もないところや、あるいはエレクトロツク・カルジオ・グラフというような、そういう施設もないところでやつてつて国家試験でそういう問題を出されたのでは、これはインターンはかわいそうだ。あるいはインターンとして修練の期間中、その病院で病気になつた。ところが、それについて、最近は全額自己負担というような処置を受けているというようなことになつておると、これはインターンとして、なかなか耐えられないと思う。これは全部厚生省が具体的に問題を解決すれば、このインターン制度というものを生かし得る余地はあると思う。そういう点は、具体的にどういうことをやるべきかということを、今後研究しなくても、こうやつてくれと向うは言つておるのだから、そこのところは、厚生省の方としてどういうふうにすべきだとうようなことについて、具体案を用意されてしかるべきだと思います。何かそういう点について、ひとつ具体案があつたらお聞かせ願いたい。
  80. 青柳一郎

    青柳委員長代理 ちよつと速記をとめて……。     〔速記中止〕
  81. 青柳一郎

    青柳委員長代理 速記を始めてください。
  82. 苅田アサノ

    苅田委員 インターン制度の問題については、今日すぐどういう形でこれをきめるかというようなことは、もちろん不可能なんで、今後必ず今学年度中において、このインターンの問題を改善することについて、この委員会で責任を持つて機会をつくるということについて、この委員会の承認を求めておいて、今日の質疑は打切ります。なおこの問題について、厚生省側は非常に研究が不十分だと思いますから、もつと熱意を持つてこの点を研究してもらつて、次会には十分な御答弁をいただけるようにお願いいたします。
  83. 青柳一郎

    青柳委員長代理 承知いたしました。  それでは次に薬務局予算についての発言を許します。慶松薬務局長
  84. 慶松一郎

    ○慶松政府委員 薬務局予算といたしまして、特に本年度と来年度との違つておる点を申し上げたいと思います。  その第一は、従来ストレプトマイシンの買上費九億なる金額がございましたが、これが明年度におきましては、まつたくなくなつておるのでございます。これが薬務局予算といたしましては、一番大きな点でございまして、その理由は、ストレプトマイシンにつきましては、御存じの通り、一昨年からぼつくぼつ国産が出るようになりまして、これが昨年におきましては、まだ国の要求いたしておりますだけのものが出ませんことと、またこの金額が非常に高うございましたために、国産品と輸入品とを買い入れまして、そしてその値段をプールいたしまして比較的安い値段、すなわち消費者の手に渡ります際には、一本三百三十円という値段で渡るような手だてを講じたわけであります。すなわち昭和二十五年度におきましては、約六億の金額がそれに見込まれておりまして、さらに本年度、すなわち昭和二十六年度におきましては、九億なるものが見込まれたのでございます。ところが最初予定いたしましたよりも、ストレプトマイシンの国産化ということが非常に順調に進みまして私昨年の予算説明におきましては、大体本年度におきまして、供給し得るストレプトマイシンの量は、二十三万五千人分を予定いたしたのでございますが、まずその量を上まわりまして、三月までに供給できまず量、すなわち昨年の四月から本年の三月一ぱいまでに供給できます量は、輸入品、国産品をまぜまして、大約二十九万五千人分という見通しがつきました。かつ国産品の買上げも、すでに本年の一月半ばをもつて終るだけの量が出た次第でございます。そうしてその価格にいたしましても、すでに本年の一月におきまして一本三百五十円の値段で大体ペイできるということになりましたので、明年度におきましては、一切国産品と輸入品との値段がまつたく同じでも引合うということになりましたので、九億の予算が全然打切られておる次第でございます。なお明年度におきまして供給し得るストレプトマイシンの量は、国産、輸入を合せまして、人数にいたしますと約五十万人分という見通しでございます。なおストレプトマイシンの配給につきましては、従来配給統制をやつておりましたが、その供給が十分になりましたので、本年の二月一日、すなわち本日からこの配給統制を緩和いたしまして、地方庁に対しましては一応割当をいたしますが、さらにこれを患者等が使います際には、自由に購入ができるという措置をとつた次第でございます。従いまして、従来結核だけに使われておりましたストレプトマイシンは、結核以外の疾患、すなわち赤痢その他の疾患に対しましても、これを使つても十分であるという見通しがつくに至つたことは喜ばしい次第でございます。  次に、薬務局予算といたしまして、昨年と違つております点は、薬事工業生産動態調査に必要な経費三百五十万円が見込まれたのでございまして、この金額は昨年度にはございません。その理由は、本年度まではいわゆる物調法に基きまして、薬の生産動態等を調査することができたのでございますが、大体物調法関係の統制もほとんど終りますので、従いまして、その意味におきまして新しく統計法に基きまして製薬事業をその指定に充てることになつた次第でございます。なお国全体といたしまして、工業生産の動態調査に関しましては、ほとんどこれが通産省等におきまして、統計法によりまして指定されておるのでございますが、今回製薬関係の動態調査も統計法によつて指定いたしまして正確な状態を把握いたし、もつて公衆保健あるいは医療等に寄與せんとする次第でございます。  なお、従来の項目といたしましては、ワクチンの買上げという項目がございます。これはごくまれにしか出ない伝染病、あるいは予定されますけれども、しかしいつこれが発生するかわからないというような伝染病に対しまするワクチン類を、国家で買い上げて備蓄いたしておきまして、そうしてそういう事態が発生いたしました際にこれを放出することのために買い上げておるものでございます。と申しますわけは、申すまでもなくワクチンと類は、これが使用のための期限がございますから、従いまして、あらかじめ生産者につくらせておきましても、その期限切れになりますと、使うことができません。その意味をもちまして、特に必要なワクチン、すなわちコレラあるいはインフルエンザあるいは発疹チフスのごときワクチンは、国でもつて買い上げることにいたしております。本年におきましては、以上申し上げました三品目のワクチンがあげられておるのでございますが、明年度におきましては以上の三品目に痘苗及び狂犬病のワクチンを加えることにいたしたのでございます。その理由は、昨年の初めでございますか、朝鮮から疱瘡がはやつて参りまして、一時痘苗の配給につきまして混乱を来した等の事態もございますので、それに対処いたしますために痘苗を買い上げることにいたしました。なお狂犬病ワクチンにつきましては、狂犬病のワクチンは、あまり方々でつくつておりません。しかもこれは必ず狂犬にかまれる人は日本中で出るわけでございますから、その際に備えまして、政府で買つて地方に幾らかずつ保管させておきまして、ただちにその際に対処するという措置を講じた次第でございます。ちなみに狂犬病と申しますか、狂犬にかまれます人員は、二十五年におきまして一年間に千八百人余でございました。今回買上げの対象になりましたのはその一割増、すなわち二千人分を買い上げるということにいたした次第でございます。  その他の項目につきましては従前通りでございますが、たとえば薬の品質を保持いたしますために、医薬品の国家検定あるいは生物学的製剤、すなわち血清ワクチン等の国家検定に要します費用をある程度増額が認められておるというような点等は、これは別に費目として加わつておるわけではございませんが、増額されております。  なお薬剤師の国家試験あるいはその他一般的な薬務行政に要します費用につきましては、従前とあまり違つた点はございませんし、また麻薬の取締りに関しましても従前と特にかわつた点はございません。人員につきましては、本年度薬務局本省分といたしましては百七十五人が、例の整理によりまして百五十三人、また地方に置いてあります麻薬取締官が本年度は約三百二十名が来年は三百六名に減じておるという次第でございます。  以上はなはだ簡單でございますが、薬務局関係の明年度の予算の概略をお話申し上げた次第でございます。
  85. 青柳一郎

    青柳委員長代理 ただいまの御説明に対し、御発言はございませんか。
  86. 岡良一

    ○岡(良)委員 ストレプトマイシンの国産品がだんだんできるようになつて、けつこうですが、われわれ臨床家の立場から、国産品はあまりきかぬ、外国製のものを使つてくれというような無理な注文をかなり受けるのです。薬務局の方でいろいろ効力検定をしておられ、また臨床の実験等の報告も集めておられるでしようが、あなた方の御判断ではどうでしようか。
  87. 慶松一郎

    ○慶松政府委員 ただいまの点でございますが、これは輸入品にいたしましても、国産品にいたしましても、薬事法に基きまして、すべで抗菌生物製剤は、国家検定を受けたものでなければ、市販することができないようになつております。従つて、その意味におきましては、まつたく効力その他につきましては違つておらないと、私どもは信じておるのでございます。しかしながら、輸入品は大部分アメリカから来るわけでありますが、アメリカは日本よりもはるかに早くからストレプトマイシンをつくつておりまして、日本はその技術を受けまして国産を始めた次第でございますから、国産の当初におきましては、アメリカ品と日本品とは相当違いがあつたということは、これは私といたしましても認めるのでございますが、幸いなことに昨年来日本の二、三の業者はアメリカの会社と技術提携をいたしまして、こちらから技術者をアメリカに派遣いたし、さらに現在アメリカから技術者がこちらに参りまして、工場の施設あるいは品質の向上等についての指導をやつております。それからもう一つは、技術提携に基きまして、従来日本でつくることができませんでしたジヒドロ・ストレプトマイシン等のごとき、さらにまたいろいろかわりました塩類のごときものも、国産することができるようになりましたので、その意味におきまして、まつたくアメリカ品にと申しますか、外国品とひとしいものが国産でできるように、今日ではなつておる次第でございます。
  88. 岡良一

    ○岡(良)委員 五十万人分のマイシンが一応供給できるという見通しが立てられたということでありますが、日本の結核に対して、最も大なるわれわれの武器であるマイシンは、五十万人分あればそれでいいと思われますか。
  89. 慶松一郎

    ○慶松政府委員 これは一昨日でございましたか、山口公衆衛生局長からも答弁があつたのでございますが、実際結核症におきまして、ストレプトマイシンを必要とする患者の数を推定することのきわめて困難なことは、専門家であらせられる岡委員も、よく御存じの点でございまして、その意味におきまして、はたして五十万人分で十分であるかどうかということは、これは私も断言できません。できませんが、大体統計によりますれば、日本の結核患者は百五十万と考えられておりますし、その意味におきまして、先日の山口公衆衛生局長の話では、結核患者の中の二五%ないし三〇%くらいは、ストレプトマイシンがそれらの患者に対して有効であるということを申しておつた次第もございますし、その意味におきまして、私どもといたしましては、まず五十万人分あれば大体足りるのではなかろうかと思つております。しかしながら、ただいま申しましたように、ストレプトマイシンは結核以外にも有効な点がたくさんございますから、その意味においてあるいは五十万人分ではなお不足するかもしれません。しかし大体ただいまの設備で、かつただいまの技術で、それくらいの量を供給し得るだけになつたという次第でございますが、しかしながらこれは今日の設備でも、技術さえ上りますれば、よりたくさんのものをつくることができることはペニシリンにおいても同じような例がございますので、その意味においても、もしも需要がふえますならば、現在の設備だけでも、もつと増産し得るという見通しを、私どもでは立てておる次第であります。
  90. 岡良一

    ○岡(良)委員 マイシンは、先ほど局長も言われたように、消費者へのコストが三百三十円くらいになつております。ペニシリンなんかも、御存じのように当初は十万単位で千円を越えておつたのであるが、最近は大体三百円前後になつております。製薬は大体生産が軌道に乗ると非常にコストが安くなつて来るというのが実例のように、われわれは承知しておるのですが、一体マイシンの生産コストというのは、薬務局あたりではどういうふうにつかんでおられますか。
  91. 慶松一郎

    ○慶松政府委員 これは国産品が最初に出ました昭和二十五年の七月でございましたか、六月でございましたか、その当時におきましては、一本一グラム千五百円ばかりにつくという見当がついておりましたが、それが約九箇月後の昨年の五月におきましては、七百円ぐらいまで、原価計算上、下つてつたのでございます。それがさらに本年の一月におきましては、三百五十円でまずペイできるというところに至つたことは、ただいま申し上げた通りでございまして、そういう意味で、ここ一年半くらいの間に、五分の一近く下つて来ております。もちろんこの金額は、アメリカにおきまするストレプトマイシンの金額に比べますれば、まだいささか高いのでございますが、私どもの見込みでは、ただいまは配給統制が非常に楽になつたと申しましても、なお地方までへの配給統制をやつておるのでございますが、これがそう遠くない将来におきましては、供給が十分になりますれば全然自由な販売にいたします。そうしますと、これはもう経済の原則によりまして価格の競争が起りまして、ペニシリンにおきまして非常に安くなりましたと同じように、値段もより下つて、しかもペイできるようになると私は見ておるのでございます。しかしながら、ストレプトマイシンにおきましては、これはペニシリンと違いまして、その工場の施設に非常に設備費がかかるのであります。それは大きなタンクを必要といたしますので、現に各社とも開発銀行その他から借り入れております金額だけでも、一社一億数千万円という金額でございますので、この償還その他も、価格の中には当然見込まれなければならないと考えておる次第でございます。
  92. 岡良一

    ○岡(良)委員 大体ぼくのいつも言う言葉ですが、新聞をあとでごらんになればわかるように、最近パスの広告なんか盛んにやつております。オリザニン・レッドとかパスのごときものは、やはり医師が適当な適応症をきめ、またその人の消化機能の状態などを判定して適当に投興するということが、常識上妥当なもので、ああいうものをどんどん新聞に広告する。そうしてパスが依然として非常に高い。これがひいては保険財政にも、患者負担にも転嫁されておるという事情があるのです。たしか薬事法では、ああいう広告については相当な制限が設けられておるようであるが、にもかかわらず、製薬会社の方では、それを無視して非常に新聞広告をはでにやつている。雑誌やアド・バルーンまであげておるようなかつこうですが、ああいう点はもう少し厳重に取締らなければならぬと思います。何かそういう根拠法規もあると思いますが、どういうふうにお取扱いになつておられるでしようか。
  93. 慶松一郎

    ○慶松政府委員 薬事法におきまする広告の取締りは、あくまで公衆衛生、公衆保健の立場から行われておるものでございまして、すなわち虚偽誇大な広告等につきましては、厳重な制肘がある次第でございますが、経済的な面からは、薬事法で取締ることができないことは、これは御説明するまでもない次第でございます。しかしながら、公衆保健的な意味での取締りということは、やはり経済的な面に対します制肘にもなると考えておりますので、私どもの方では、広告に対しましては、虚偽その他の点については相当厳重な取締りをやつております。また日々の新聞その他につきましても、出ましたものを一々見まして、時々取締りをやつておる次第でございます。  なおパスの値段の点について、お言葉があつた次第でございますが、これはなかなか追つかけごつこになりまして、すなわち薬というものは、たくさん売れれば従つて値も安くなる。と申しまして、もちろん適当な指導のもとに適当な服用が守られなければなりませんけれども、たとえばパスのごときものも、出ました当初一グラム三十五円いたしておりましたものが、今日におきましては七円余り、あるいは七円前後で売られておるというように、非常に値が下つておりますような点も、また御了解願いたいと存ずる次第であります。
  94. 岡良一

    ○岡(良)委員 この広告も、ひとつできるだけ引締めていただいて、やはり患者なり医師にしても、自分が製薬会社の広告料を拂わされるようなことのないように、今後ともできるだけ取締つていただきたいと思うのであります。  なお、これは私が間接に聞いたことですが、例の受胎調節のお薬です。あれが昨年いつごろか、総司令部の関係か何かで、抽出検査というか、店頭からさらつてつて、殺虫試験などをやつてみた結果、非常に効力が不確定であつたというようなことで、物議をかもしたということを聞いておるのですが、事実そういうことがあつたのかどうか。もしあつたとすれば——ないにしても、そういう問題が巷間にも伝えられておるようでありますが、ああいうお薬の取扱いを具体的にどういうふうにやつているか、やろうとされているのか、伺いたい。
  95. 慶松一郎

    ○慶松政府委員 一昨年、すなわち昭和二十五年の春に、わが国におきます薬全部を集めまして、これを国の機関におきまして検査をやつたのでございます。その際に、トータルといたしましては、非常に多数の薬でございますが、その約八割ぐらいはいいものがあつたのでありますが、二割ぐらいが試験に通らなかつたものがございます。これは四千何件のうち、それだけございまして、その効率はかなり憂慮すべき点があつたのであります。その中には、ただいまお話の受胎調節に使われますいわゆる避妊薬があつたのでございます。そこでその後私どもの方では、これではいけないというので、非常に重要な品目につきましては、一製造工程ごとに、これを国家で検定をいたしまして、そうして検定票紙の張つたものでなければ売ることはできないという措置をとつております。なお、そのほかの品目につきましては、流通の点をいろいろ、考えまして各製造番号ごとに国家で試験をいたしますが、しかしこれはどんどん売らしまして、そうして悪いものがあつたならばただちにそれを回収させるという方法を一面においてとつておるのでございます。ところで、ただいまお話の避妊薬につきましては、これは国家で検定をいたしまして、そうして国家の検定票紙を張つたものでなければ、売ることができないという措置を講じたのでございまして、その試験方法は、ひとり化学的な試験方法だけでなく、殺精子すなわち精子を殺す力も合せて検定いたしておりますので、今日市販されております避妊薬につきましては、十分効力のあるものと私ども考えておる次第でございます。
  96. 岡良一

    ○岡(良)委員 覚醒剤の取扱いについても、この前の前の国会で、一応取締り法規も改正して、その世間に対する害毒をできるだけ防禦しようというような取扱いをいたしましたが、あの法律の改正後において、ヒロポンないしその類似の覚醒剤に基く犯罪、ないしは中毒患者の数などについて前後比較して御統計がありましようか。
  97. 慶松一郎

    ○慶松政府委員 前後の比較と申しますとちよつとむずかしい点があるのでございまして、ただいま実は資料を持ち合せておらないのでございますが、あの法律が出ます前におきましては、これらを的確につかむことができなかつたのでございます。と申しますわけは、あの法律前におきましては、実は個人が覚醒剤を持つておりましても、それを処罰するというようなことができなかつたのでございまして、従いまして、その点については実は正確な統計がございません。しかし、あの法律が出ましてからは、非常によく検挙がなされておりますが、取締りの目をくぐりまして、いわゆるやみでこそこそつくつておりますような事例はまだ相当ございまして、なかなかそれを絶やすことが困難であるような状態であります。
  98. 丸山直友

    丸山委員 今、岡さんからもちよつと御質問があつたことでありますが、妊娠調節のために二千二百六十五万九千円の予算が納まれて保健所に避妊に関係した器具、模型あるいは薬品等を配付して、妊娠調節の指導を今年からやるということですが、その場合、薬務局として避妊薬を各保健所に備えつけて、それを妊娠調節の指導に使うということになりますと、その商品は宣伝価値もよけいに得ることになりますし、相当に競争も起つて来るかもしれませんし、またその間にいろいろな問題が起る可能性があると考える。今いろいろたくさんの製品ができておると思うのでありますが、ただ票紙を張つてあるということだけでおつぱなされている場合と、今申し上げましたように、公の機関が公に取上げて、それを妊娠調節の教育に使うということになると、よほど問題があると思うのです。その際にどういう製品をこれに使うかというようなことに対して、何か公衆衛生局と御連絡をとつておやりになる御意思史あるいはある票紙をやらせておやりになる意思か、その辺のお心構えを承りたい。
  99. 慶松一郎

    ○慶松政府委員 たいへんいい御注意でございまして、私ども実はそこまでは考えておりませんでしたが、これは薬品等を政府ないしは保健所で買い上げまして、そうしてそれを使わせるというような方法はとらないような予算でございます。ただ指導でやるのでございます。しかし、指導におきましては、やはり何々の避妊薬を使つたらよかろうということになりますが、これはただひとり避妊薬ばかりではございませんで、たとえばコンドームであるとか、あるいはペッサリーあるいはスポンジであるとか、いろいろございまして、しかも受胎調節の問題がやかましくなつて参りますと、そういうものを売ろうとする人々も出て来る傾向にならないとは言えません。その意味におきまして、私どもといたしましては、十分ひとつ公衆衛生局とも連絡をいたし、商社の宣伝にならない、公平な意味においてこれらのものが使われますような方法を講じたいと存じております。  なお、先ほど私は避妊薬だけについて申し上げましたが、これは避妊薬のみならず、いわゆる衛生サックのたぐいも国家が検定をやつたもののみが市販されておるということだけをつけ加えておきます。
  100. 丸山直友

    丸山委員 それから予算の中で、生物学的製剤等対策に必要な経費、この対策でございます。今度はストレプトマイシンも自由販売になるということでありますが、対策というのは、一体どういうふうな意味にお使いになるのですか。生物学的製剤といえば、もちろんストレプトマイシンのみならず、ほかにぺニシリンとかテラマイシンその他もあるわけでありますが、ああいうふうなものについてはこれからどんなふうにお取扱いになるお考えですか、お伺いしたい。
  101. 慶松一郎

    ○慶松政府委員 生物学的製剤等対策に必要な経費と申します意味は、第一は、国家で生物学的製剤を検定いたします際の検定に要します事務的な費用、すなわち係官が現場に参りましてサンプルをとります費用、あるいはこれを輸送いたします費用でございます。また一方いま一つは、それらの製造所に係官が参りまして、十分清潔を保たしめるとか、そういう点におきまして指導をするための経費でございます。
  102. 丸山直友

    丸山委員 新しい生物学的製剤に関する研究あるいは奨励あるいは補助というようなものは、別に組まれておりませんでしようか。
  103. 慶松一郎

    ○慶松政府委員 これはいわゆる行政的な面の中には入つておりませんで、別に官房の方におそらく研究費なるものが組まれてあると存じますが、その中に相当な金額が組まれておるものでございます。
  104. 苅田アサノ

    苅田委員 先ほど薬務局長から、ストレプトマイシンの生産価格が、昨年はどれだけであつたものが、今年はどれだけになつたというふうな御説明があつたと思うのですが、私聞き落した点もありますので、もう一ぺんそれを聞きたいのです。
  105. 慶松一郎

    ○慶松政府委員 お答えいたします。この生産価格は急に下つておるのではございませんで、順次下つて来ておるわけでございます。一番最初に出ましたものは、私の記憶では昭和二十五年の七月だつたと思つておりますが、その際は、私は先ほど千五百円と申しましたが、千三百円でございまして、それが昨年の四月には八百円に下げることができました。本年の一月には三百五十円に下げることができるようになつた次第でございます。この意味で、もちろん生産の量が非常にふえて参りました。従いまして單位当りが安くなつたことと、また生産技術がすぐれて参りましたので、従つて同じ原料に対しましてたくさんのものができるようになつた、こういう次第でございます。
  106. 苅田アサノ

    苅田委員 本年度九億円を廃止されたということは、大体今後三百五十円の値段で続けて行く、あるいはもつと安くなるというような、何かそういう予測のもとに、この九億円の買上費というか、補給金のような性質を持つておるものをおやめになつたものかということをお聞きしたいのです。
  107. 慶松一郎

    ○慶松政府委員 二十六年におきましては、大体国産のストレプトマイシンにつきましては、まだ工業化の試験中と考えていいと私は存じます。それが先ほど御説明いたしましたように、大規模な設備がぼつぼつできて参りまして、一部においてはすでに動いておるものもございますし、また目下建設中のものもございますが、大体四月以降におきましては、それらの施設が全部動くということになります。そうしますと相当な量、すなわち工業的生産の規模においてストレプトマイシンが生産されます。従つて生産コストもそれに伴つて、單位当りが安くなると思うという見通しから、私どもはそう考えておるのでございまして、大体三百五十円というのは、今日の市販品と申しますか、マル公における市販品ですね、それよりも高いのです。直接患者に使いますのが三百三十円でございますから、従いまして製造業者としてはどうしても三百三十円以下でなければ損であります。損と申しますか競争になりませんから、そういう見通しが大体今のところではついておる、こういう意味でございます。
  108. 苅田アサノ

    苅田委員 昨年度は大体何万人分ぐらいの予定の製造をなすつたわけなんですか。
  109. 慶松一郎

    ○慶松政府委員 二十六年におきましては——これは二十六年の四月から本年の三月一ばいの見通しでございますが、これが国産といたしましては三トン八百となります。三トン八百でありますから九万人余、約十万人分でございます。これが国産でございまして、それから八トンというものがすでに輸入されたもの、ないしは見込みでございます。そうしますと、これが二十万人分であります。それを合せますと、二十六年度におきましては二十九万人余供給されるということでございます。もちろん個人によつて使用される量が違いますから、約でございますね。明年におきましては輸入品はきわめてわずかでございまして、すなわちニトンと申しますと、これは五万人分で、あとのほとんど四十何万人分というものは国産でまかない得る、こういう見通しでございます。
  110. 苅田アサノ

    苅田委員 昨年度のストマイの買入れの九億の中には、外国からのマイシンの買入れが、大体どのくらい入つておるわけなんですか。
  111. 慶松一郎

    ○慶松政府委員 外国品は入つておりませんで、全部国産品だけであります。
  112. 苅田アサノ

    苅田委員 私は、この方面でまつたくしろうとなんですけれども、九億円というふうな、しかもこれが国内産だけの薬品につきまして、買上げ補助金的なものが出ておりましたのが、本年度になりまして一銭もいらなくなるということが、私のようにしろうとにはあまりはつきりしないわけなんです。それでひとつ啓蒙のために、この九億円がどういうふうに使われたかということの詳細を、少しわかりやすい資料としてなるべく早く出していただきたい。
  113. 慶松一郎

    ○慶松政府委員 承知いたしました。
  114. 苅田アサノ

    苅田委員 それから次に、昨日私は、公衆衛生局のときに、BCGについてお伺いしましたが、なおこれは薬務局のときにお伺いするつもりで質問を打切つておりましたので、その点お伺いしたいと思うのですが、BCGの製造は、従来も決して結核予防会が独占事業でやつていたわけじやなくて、製造に対するいろいろな設備その他の関係から、結核予防研究所が従来はやつてつたのだから、今後は——今後と申しますか、従来もそうだつたのでしようが、一般の製造は決して禁止していないのだというお話のように伺つたのですが、その通りでございますか。
  115. 慶松一郎

    ○慶松政府委員 仰せの通りでございます。
  116. 苅田アサノ

    苅田委員 そういたしますと、さらにお伺いしたことは、予防会のBCGというものが、今度WHOの指定になつたといううわさも聞いておるわけですが、この件はいかがですか。
  117. 慶松一郎

    ○慶松政府委員 その件につきましては、別にまだ指定になつているわけではございません。ただ、ごく近い将来だと私は思うのでございます。よく知りませんが、WHOからこの関係の専門家が参りまして、日本のBCGの施設その他を見まして、そして適当ならばあるいはそういうことになるかと存じております。
  118. 苅田アサノ

    苅田委員 それではさらにお聞きいたしますけれども、BCGがすでに南朝鮮の方へ出ているというようなうわさを聞くわけですが、こういう事実がございますでしようか。
  119. 慶松一郎

    ○慶松政府委員 今年の一月の初めでございますか、二十五万人分くらいのものが出ておるそうであります。
  120. 苅田アサノ

    苅田委員 そういたしますと、これに伴います支拂いの関係とか、そういう手続のようなものは、一体どういうふうに、どういうところでやつているのでしようか。
  121. 慶松一郎

    ○慶松政府委員 これは国連関係のそういうものを買い入れるところがございましてそこで買つているようでございます。直接私どもはタッチいたしておりませんが、いわゆるJLCというのがございまして、そこで買い上げておるのでございます。
  122. 苅田アサノ

    苅田委員 それも厚生省の管轄の中に入つていないのかもしれませんが、それを詳しくお聞きしますには、どういう方法でお聞きしたらよろしいのですか。
  123. 慶松一郎

    ○慶松政府委員 これは朝鮮その他に対しまする——薬に限らずいろいろなすべての物資は、直接厚生省がタッチしているわけでございませんで、まつたくそれを買入れるのはJLCであります。そういうBCGワクチンに限らず、すべての薬にいたしましても、あるいはその他の物資にいたしましても、そこで製造者を直接呼びますとか、あるいは販売業者を呼びまして、そこから注文をいたしておりますので、まつたくこれにつきましては、厚生省としてはタッチしておらないのであります。
  124. 苅田アサノ

    苅田委員 これは現在は南朝鮮だけで、ほかの方には出ておりませんですか。
  125. 慶松一郎

    ○慶松政府委員 将来はあるいは出るかもしれませんが、今のところは、それが国外に出ました最初であります。
  126. 青柳一郎

    青柳委員長代理 それでは次に社会局の予算についての説明を……。
  127. 堤ツルヨ

    堤委員 ちよつと議事進行について……。社会局の説明をお聞きするわけですけれども、非常に大切な社会局の説明を聞きますのに、與党がお一人と、野党が三人というようなことでは、これは権威あるものではないと思います。委員長はどうしてもお進めになる御計画、心中まことによくわかりますけれども、しかしこの状態はいかがかと思いますので、これは常識で考えていただきたい。予算審議をしなければならないということがわかつておるのに——私は何も與党を攻撃するのではないけれども、一番闘つてもらわなければならぬ與党の議員諸公が、定員に対してわずか一名、これだけの出席しかないということになると、私はちよつと納得が行かない。局長などはわざわざお見えになつておるけれども、こういうふまじめな態度で厚生委員会の審議が続けられる。しかも大切な遺家族援護を含むところの社会局の問題を、與党はどなたもお聞きにならないで済まされる。(「逃げているのだ」と呼ぶ者あり)逃げているといえば、逃げているので、厚生大臣もあるいは司令部に行つでおるというが、逃げて今ごろはこたつにあたつておるかもわからない。まあその辺は疑わしいと思いますけれども議事進行をここで待つたといわざるを得ない。
  128. 青柳一郎

    青柳委員長代理 三日間も引続いて予算の問題を聞いておるので、できるだけ先に進みたい、こう思つて急いでおるのです。今お話のありました遺家族援護は、引揚援護庁の問題でございまして、社会局の問題ではございませんから、それは本日は出ないことになつておるわけです。厚生大臣は今予算委員会出席しておられまして、労働関係の質問があるそうで、これが済んだらこちらに出席する、こういうことに相なつております。
  129. 堤ツルヨ

    堤委員 だから労働大臣厚生大臣の兼撮はいかぬというのですよ。
  130. 青柳一郎

    青柳委員長代理 ちよつと速記をやめてください。     〔速記中止)
  131. 青柳一郎

    青柳委員長代理 速記を始めてください。  それでは本日はこの程度で散会いたします。次会は追つて公報をもつて御通知いたします。     午後四時十九分散会。