○慶松
政府委員 薬務局の
予算といたしまして、特に本年度と来年度との違
つておる点を申し上げたいと思います。
その第一は、従来ストレプトマイシンの買上費九億なる
金額がございましたが、これが明年度におきましては、ま
つたくなくな
つておるのでございます。これが
薬務局の
予算といたしましては、一番大きな点でございまして、その理由は、ストレプトマイシンにつきましては、御存じの
通り、一昨年からぼつくぼつ国産が出るようになりまして、これが昨年におきましては、まだ国の要求いたしておりますだけのものが出ませんことと、またこの
金額が非常に高うございましたために、国産品と輸入品とを買い入れまして、そしてその値段をプールいたしまして比較的安い値段、すなわち消費者の手に渡ります際には、一本三百三十円という値段で渡るような手だてを講じたわけであります。すなわち
昭和二十五年度におきましては、約六億の
金額がそれに見込まれておりまして、さらに本年度、すなわち
昭和二十六年度におきましては、九億なるものが見込まれたのでございます。ところが最初
予定いたしましたよりも、ストレプトマイシンの国産化ということが非常に順調に進みまして私昨年の
予算の
説明におきましては、大体本年度におきまして、供給し得るストレプトマイシンの量は、二十三万五千人分を
予定いたしたのでございますが、まずその量を上まわりまして、三月までに供給できまず量、すなわち昨年の四月から本年の三月一ぱいまでに供給できます量は、輸入品、国産品をまぜまして、大約二十九万五千人分という見通しがつきました。かつ国産品の買上げも、すでに本年の一月半ばをも
つて終るだけの量が出た次第でございます。そうしてその価格にいたしましても、すでに本年の一月におきまして一本三百五十円の値段で大体ペイできるということになりましたので、明年度におきましては、一切国産品と輸入品との値段がま
つたく同じでも引合うということになりましたので、九億の
予算が全然打切られておる次第でございます。なお明年度におきまして供給し得るストレプトマイシンの量は、国産、輸入を合せまして、
人数にいたしますと約五十万人分という見通しでございます。なおストレプトマイシンの配給につきましては、従来配給統制をや
つておりましたが、その供給が十分になりましたので、本年の二月一日、すなわち本日からこの配給統制を緩和いたしまして、
地方庁に対しましては一応割当をいたしますが、さらにこれを
患者等が使います際には、自由に購入ができるという措置をと
つた次第でございます。従いまして、従来
結核だけに使われておりましたストレプトマイシンは、
結核以外の疾患、すなわち赤痢その他の疾患に対しましても、これを使
つても十分であるという見通しがつくに至
つたことは喜ばしい次第でございます。
次に、
薬務局予算といたしまして、昨年と違
つております点は、薬事工業生産動態
調査に必要な
経費三百五十万円が見込まれたのでございまして、この
金額は昨年度にはございません。その理由は、本年度まではいわゆる物調法に基きまして、薬の生産動態等を
調査することができたのでございますが、大体物調法
関係の統制もほとんど終りますので、従いまして、その意味におきまして新しく統計法に基きまして製薬事業をその指定に充てることに
なつた次第でございます。なお国全体といたしまして、工業生産の動態
調査に関しましては、ほとんどこれが通産省等におきまして、統計法によりまして指定されておるのでございますが、今回製薬
関係の動態
調査も統計法によ
つて指定いたしまして正確な状態を把握いたし、も
つて公衆保健あるいは医療等に寄與せんとする次第でございます。
なお、従来の項目といたしましては、ワクチンの買上げという項目がございます。これはごくまれ
にしか出ない伝染病、あるいは
予定されますけれ
ども、しかしいつこれが発生するかわからないというような伝染病に対しまするワクチン類を、国家で買い上げて備蓄いたしておきまして、そうしてそういう
事態が発生いたしました際にこれを放出することのために買い上げておるものでございます。と申しますわけは、申すまでもなくワクチンと類は、これが使用のための期限がございますから、従いまして、あらかじめ生産者につくらせておきましても、その期限切れになりますと、使うことができません。その意味をもちまして、特に必要なワクチン、すなわちコレラあるいはインフルエンザあるいは発疹チフスのごときワクチンは、国でも
つて買い上げることにいたしております。本年におきましては、以上申し上げました三品目のワクチンがあげられておるのでございますが、明年度におきましては以上の三品目に痘苗及び狂犬病のワクチンを加えることにいたしたのでございます。その理由は、昨年の初めでございますか、朝鮮から疱瘡がはや
つて参りまして、一時痘苗の配給につきまして混乱を来した等の
事態もございますので、それに対処いたしますために痘苗を買い上げることにいたしました。なお狂犬病ワクチンにつきましては、狂犬病のワクチンは、あまり方々でつく
つておりません。しかもこれは必ず狂犬にかまれる人は日本中で出るわけでございますから、その際に備えまして、
政府で買
つて地方に幾らかずつ保管させておきまして、ただちにその際に対処するという措置を講じた次第でございます。ちなみに狂犬病と申しますか、狂犬にかまれます人員は、二十五年におきまして一年間に千八百人余でございました。今回買上げの
対象になりましたのはその一割増、すなわち二千人分を買い上げるということにいたした次第でございます。
その他の項目につきましては従前
通りでございますが、たとえば薬の品質を保持いたしますために、医薬品の国家検定あるいは生物学的製剤、すなわち血清ワクチン等の国家検定に要します
費用をある
程度増額が認められておるというような点等は、これは別に費目として加わ
つておるわけではございませんが、増額されております。
なお薬剤師の
国家試験あるいはその他
一般的な薬務行政に要します
費用につきましては、従前とあまり違
つた点はございませんし、また麻薬の取締りに関しましても従前と特にかわ
つた点はございません。人員につきましては、本年度
薬務局本省分といたしましては百七十五人が、例の整理によりまして百五十三人、また
地方に置いてあります麻薬取締官が本年度は約三百二十名が来年は三百六名に減じておるという次第でございます。
以上はなはだ簡單でございますが、
薬務局関係の明年度の
予算の概略を
お話申し上げた次第でございます。