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山口(正)
政府委員 接種の方につきましては、先般厚生次官から
都道府県知事に依命通牒を発しまして、また、二十一日に開きました
衛生部長
会議でも、厚生当局として各
衛生部長に指示したのでございますが、接種の点につきましては、二つの点が
考えられるのでございます。第一が技術の向上の点でございまして、第二は今後研究をどういうふうにしてや
つて行くかということでございます。技術の向上ということにつきまして、これはツベルクリン反応の検査あるいはBCGの接種というその技術だけで、潰瘍のような副反応が起るとか、あるいは陽転率が悪くなるというようなことは
考えられないかもしれないのでございますが、しかし正しくツベルクリン液を皮内に接種して正しく判定して、そうしてその陰性者あるいは疑陽性者と正しく判定した者に対して、今度はBCGを正しく皮内に接種するということは、当然必要なことでございます。そうすれば、理論上BCG接種に上
つて一〇〇%皮膚に副反応のような変化が起るのでございますが、それを比較的少くすることができる、あるいはまた陽転率を確実にすることができるというのは、当然
考えられることでございます。従来往々にしまして、現場で実施されます場合に、インターンの学生を使うとか、あるいはそのほかの方を使つたりしますために、正しくその接種が行われないという声を、しばしば聞くのでございまして、そういうことのために副反応が多く起つたり、あるいは効果が確実に現われないというようなことがあ
つてはいけないというので、今後は特にそういう点について注意をして、正しく接種を行い、正しく判定をするということを、より徹底させるようにするということを指示しておるのでございます。そのためには、大体
保健所で、管内の接種に携わる
人たちを常によく把握しておいて、そうして機会あるごとに医師会あるいは医務機関等と連絡をと
つて、その
人たちの技術がよくなるように、あるいはまたそれが統一されて正しくできるようにというふうに
指導してほしい、そういうことを指示しておるのでございます。皮内接種というのは、簡単なようでもあり、また実際にやります場合にとかく皮下に入りやすいものでございますので、なれた人にその接種をや
つてほしいというふうに私
どもは
考えております。そういう点について
指導してほしいということでございます。
それからツベルクリン反応の検査、BCGの接種の研究の方面でございますがこの
一つは、BCGの接種のやり方でございます。これは現在は皮内接種法が用いられておりますが、従来一部には経皮接種、つまり植疱瘡のように針でつつつくとか、あるいは皮膚を切るというような
方法でやつた方が陽転率が比較的よいし、しかも潰瘍のでき方が比較的少いから、その方を推奨するというようなことを言われておるのでございますが、これは現在まだそのやられております数が十分たくさんございませんので、これを早急に相当広い
範囲に各研究機関と連絡をと
つてや
つてもら
つて、はたしてその方がいい
方法であるということになれば、
行政的にそれにかえて行きたい。それはその研究した結果に基いて措置をと
つて行きたい、そういうふうに
考えております。
それからもう
一つの問題は、ツベルクリン反応の、実施いたします場合の稀釈液の問題でございます。従来本
委員会におきましても、しばしば丸山委員、岡委員から御
指摘を受けたのでございますが、現在は二千倍の稀釈液を使
つて実施いたしております。それだけでは不十分であるから、二千倍を使
つてやつたものの陰性者に対してさらに千倍あるいは百倍の液を使
つて、より正確に陰性者、つまり未感染者を選び出してや
つてはどうだというふうな御意見をしばしば承
つておるのでございますが現段階におきましては、千倍あるいは百倍を用いました場合の判定基準が、まだ正確にでき上
つておりませんので、それを研究していただきたい。それからさらに濃いツベルクリン液を用いました場合に、万一その注射されました人間が既感染者であります場合には、病巣にある
程度の変化を起す可能性もございますので、そういう点も考慮いたして、千倍あるいは百倍等の濃い稀釈液を使
つて未感染者を選び出すという
方法につきましては、今後研究を進めてもら
つて実際に用い得るようになりますれば、それを実施して行きたい、そういうふうに
考えております。
それから乾燥BCGワクチンの製造、あるいはその効力の確保というような御
質問でございますが、乾燥BCGの効力の確保の点につきましては、これもしばしば本
委員会でも御
指摘を受けたのでございますが、末端において保存が正しく行われていないという場合もなきにしもあらずでありたのでございまして、そういう点は液体ワクチンのときには、はつきり接種
計画を立てて、手に入ればすぐ接種するというような
方法を実施してお
つたのでありますが、乾燥BCGになりまして、保存がきくということに安心して、それを少し長くいろいろ
計画を立てたというきらいもあ
つたのでございます。これは、早ければ早いほどいいのでございますから、接種
計画をはつきり立てて、入手後すみやかに接種を行うよう現場で
指導するように、そういうふうなことを指示いたしたのでございます。
それから保存施設の
整備。これは
保健所における電気冷蔵庫などがやかましく言われましたが、昨日も御
説明申し上げましたように、全
保健所に電気冷蔵庫を
整備するというような
予算を今度計上していただいております。
保健所に電気冷蔵庫を
整備するだけでは、決して十分とは申せませんが、従来七割
程度整備されておりました
保健所の電気冷蔵庫を、この際早急に全部に
整備するという
方法をと
つて行きたいと
考えております。
なおBCGワクチンの保管につきまして、効力を確保するという点、あるいはそのほかいろいろな問題がございますので、保存責任者を
都道府県あるいは
保健所において設定して、保存を確実にや
つて行くようにという指示をいたしたのでござ心ます。
それから基準の改正につきましては、これは
薬務局長から御
説明が当然かと存じますが、近いうちに乾燥BCGワクチンの基準を改正したいというふうに
考えておるのでございます。大体の案ができ上
つております。
それから製造施設につきましては、従来財団法人
結核予防会が、
もつぱらそれに当
つて来たのでございますけれ
ども、最近希望の向きも出ておりますので、実際にその希望しているところの施設とかあるいはそこの
指導者の技術というものが優秀なものであれば、許して行きたいというふうに
考えているのでございます。大体以上であります。