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1951-12-15 第13回国会 衆議院 厚生委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十二月十五日(土曜日)     午前十時五十七分開議  出席委員    委員長 大石 武一君    理事 青柳 一郎君 理事 丸山 直友君    理事 亘  四郎君 理事 金子與重郎君    理事 岡  良一君       高橋  等君    田中  元君       松永 佛骨君    柳原 三郎君       堤 ツルヨ君    苅田アサノ君       福田 昌子君  出席政府委員         厚生政務次官  松野 頼三君         厚生事務官         (保險局長)  安田  巖君  委員外出席者         專  門  員 川井 章知君         專  門  員 引地亮太郎君         專  門  員 山本 正世君     ――――――――――――― 十二月十二日  松永佛骨委員長辞任につき、大石武一君が議  長の指名委員長補欠選任された。 同月十三日  委員亘四郎辞任につき、その補欠として井上  知治君が議長指名委員補欠選任された。 同日  委員井上知治辞任につき、その補欠として亘  四郎君が議長指名委員補欠選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事互選小委員及び小委員長選任に関する  件  国政調査承認要求の件  委員派遣承認申請の件  社会保險に関する件     ―――――――――――――
  2. 大石武一

    大石委員長 これより会議を開きます。  この際簡単にごあいさつ申し上げます。不肖今回はからずも議院において委員長選任された次第でございます。これはまことに身に余る光栄でございますとともに、微力はたしてその責務に耐え得るかいなか、非常に心配でございますが、皆様の御協力を得て、何とか無事円満にこの委員会を運営して参りたいと念願いたしております。  御承知のように、このたびの国会は、わが日本にとりまして、最も重大な転換期であろうと思うのでございます。この際この厚生委員会の持つ使命も、最も異なものの一つであると存じますので、皆様の御鞭撻、御援助を得まして、りつぱにこの委員会使命を果しますように、心から皆様にお願いを申し上げる次第でございます。  簡単でございますが、ごあいさつにかえます。  次にこのたび新しく就任されました松野厚生政務次官を御紹介申し上げます。
  3. 松野頼三

    松野政府委員 はからずも厚生政府次官を拝命しました。私の所管事務としましては、まことに多難な問題がたくさん山積しておりますが、せいぜい全力を注いで努力いたします。どうか各委員の方も、よろしく御指導、御協力を賜わらんことを切にお願いいたしまして私のごあいさつにかえます。     ―――――――――――――
  4. 大石武一

    大石委員長 本日はまず国政調査承認要求の件についてお諮りいたします。  今国会におきましても、委員会の活動を円滑ならしめるために、国政調査承認を得ておきたいと存じますが、前国会と同様、公衆衛生医療制度社会保障、婦人、児童保護に関する事項について、小委員会の設置、関係方面よりの説明聽取、資料の要求等の方法によつて要求書を提出することとし、その他の手続に関しましては委員長に御一任願いたいのでございますが、そのように決するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 大石武一

    大石委員長 御異議がなければそのように決します。     ―――――――――――――
  6. 大石武一

    大石委員長 次にただいま決定しました国政調査承認要求の件に関連して小委員会を設置しなければならないこともあろうかと存じますが、次回の委員会に間に合わない場合も考えられますので、とりあえず人口問題に関する小委員会を設置しておきたいのでありますが、本件につきましては国政調査承認を得たあとでなければ決定できませんので、小委員、小委員長選任等に関しましては委員長に御一任願つておくことに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 大石武一

    大石委員長 異議なければ、そのように決定いたします。
  8. 岡良一

    ○岡(良)委員 議事進行について。――ただいま人口問題に関する小委員会の件をお諮りでございましたが、御存じのように、先々の通常国会から引続いて遺家族援護に関する小委員会が開かれて、無慮二十六回、きわめて格勤精励委員会自他ともに許されておつたのであります。この問題が、いよいよ政府の方においても法律的にも予算的にも具体化しようとするときに、われわれ委員会といたしましては、従来の関係もあり、重大な責任を感じ、また関心を持つておるわけですが、これが先般、引揚促進の特別委員会の中に、遺家族援護に関する委員会というものが一緒になつた特別な形の委員会が本会議決定されております。そこで当時この引揚げ促進並びに遺家族援護に関する特別委員会を設定するに至りました議院運営委員会の経過を聞きますると、引揚特別委員会に関しては、遺家族援護のための調査をするにすぎない、この法律的、予算的な問題は当然やはり厚生常任委員会所管であるということが、当時すでに議運において確認されたということを承知しておるのであります。もしそうであるならば、当然政府の方においても、法律的にも予算的にも遺家族援護の問題をこの通常国会再開明けまでにいろいろと準備をされるならば、われわれ厚生常任委員としても、その都度政府についていろいろ情勢も聞き、またわれわれの意のあるところも申し述べるような機会を持つことが、当然小委員会を設置して従来数十回にわたつて検討しておる責任上も、必要であると思うのであります。その点について、要するに引揚げ並びに遺家族援護に関する特別委員会は、遺家族調査のみに限定されたものであるか、それともまた遺家族援護についての法律的、予算的、措置についても、この引揚特別委員会かこれを関係し、取上げるのであるか。もし、それでなかつたならば、当然この機会遺家族援護に関する小委員会は、当厚生常任委員会として存続する必要があると思うのでありますが、その点についての委員長の御見解を承りたいと思います。
  9. 大石武一

    大石委員長 岡委員の御発言ごもつともと思います。これにつきましては、どういういきさつがありましたか、わかりませんけれども国会において特別委員会の方にこの仕事が移りましたことは、決定したわけですから、一応その調査はそもらの方でやるべきであろうと思いますが、このあれを見ますと、今の特別委員会の方は遺家族援護に関する調査ということでありまして、傷痍者という点も脱けております。その他もちろんこの国会で新しい法案ができることと思うのでありますが、そのようなことに関しましても、どうしても本国会においてこの問題を取扱わなければならぬことは当然であります。それでやはり小委員会をつくりたいという私の希望でありますが、一応皆さんに御相談申し上げまして、その結果つくるべきかどうかということを今御相談しようと思つております。
  10. 岡良一

    ○岡(良)委員 ぜひひとつそういうふうにおとりはからい願いたいと思います。     ―――――――――――――
  11. 大石武一

    大石委員長 次に委員派遣承認申請の件についてお諮りいたします。災害救助法施行状況調査のため、西部日本九州方面に、委員派遣承認申請をすることにいたしたいと存じますが、本件に関しましても寸派遣地派遣委員派遣期間等細部の点につきましては後刻協議してきめることにいたしまして、委員長に御一任願つておきたいのでございますが、そのように決するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 大石武一

    大石委員長 御異議なしと認め、そのように決します。     ―――――――――――――
  13. 大石武一

    大石委員長 次に社会保險に関する件について、過般来問題になつております点について政府より説明を聽取いたしたいと存じます。安田保険局長
  14. 安田巖

    安田政府委員 社会保険の診療単価問題につきましては、大分前からもめておつたのでございますが、ちようど九月の六日から小委員会を開きまして、十一月の二十九日に最後小委員会終つたのであります。その間ちようど十一回小委員会で愼重審議されましたけれども、結局案がまとまりませんでした。それまでは大体医師会の方から一点単価が十八円十七銭という案が出ております。歯科医師会の方から十三円と十八円、二十二円、それから健康保險組合連合会の側からは、上げる必要なし、国民保險の側からも、現在のままでよかろうというようなことでございまして、だんだん押しつめて行きまして、最後のときに出しました案は、医師会が十七円十八銭と十四円十八銭という案であります。保険者の側は十円、十一円、十二円くらいということで、いくらやつてもきりがございませんので、ちようど中立委員の、前の大蔵省の給與局長を長くやられまして、こういつた問題につきましては、現在もいろいろな機関で御活躍願つております今井さんを煩わしまして今出ておる各関係団体の案でありますとか、あるいは厚生省で旧しました幹事案でありますとかいうものを、専門家にひとつよく検討し直してもらつて、どこが間違つてつて、どこが正しいのだということを当つてもらおうじやないかということで、実は当つてもらつたわけであります。そういたしますと、大体そうかけ離れた単価は出なくて、ほぼ似通つたものが出て来たわけであります。しかし、それでも各団体の方が御承認にならないので、まあ会議進行というようなことを考えまして、今井さんが良心的に見てこれならよかろうという案を一本にまめてもらえないだろうかということで、最後委員会で十一円七十七銭という平均値を出していただいたわけであります。これについて各団体の意見を徴しましたが、どうもやはり納得いただけないということでございます。  最後総会を開きましたときには、その十一円七十七銭を、地域差をつけたならば具体的にはどういうことになろうかということで、それを今井さんの案を中心にいたしまして中立委員にお願いいたしましたところが、甲地が十二円五十銭、乙地が十一円五十銭、内地が十円五十銭という三本建の案が出たわけであります。これもいろいろ審議をいたしましたけれども最後に至りましてやはり皆さんの御同意を得られない。やむを得ませんので、社会保険診療協議会といたしましては、そのまとまらないままの状況厚生大臣に答申するということで一応幕を閉じたわけでございます。  今度は厚生大臣今井さんの案の十一円七十七銭を中心にして、自分で判断をしてきめるということになつたので、結局御承知のように八日に、甲地十二円五十銭乙地が十一円五十銭というふうに、一円五十銭上げということになりまして、前の今井さんの十一円七十七銭に比べて、十一円八十三銭と、一点単価六銭ばかり上まわつておる案が出まして、八日にきまりましたけれども官報の都合で十一日の官報に掲載された、こういう次第でございます。
  15. 大石武一

    大石委員長 次に、本件について御発言があれば、この際承ります。
  16. 岡良一

    ○岡(良)委員 ひとつ政務次官にお尋ねしたいと思います。この単価引上げ告示は、十二月十一日付官報に載つておりますが、これによれば、厚生省告示第二百八十号は、昭和二十六年十二月十一日、厚生大臣橋本龍伍となつております。ところがこの問題については、日本医師会で、先般十日の日に総会を開きましたときに、非常な紛糾を来したのが、実はこの問題にかかつておるのであります。と申しますのは、政府の方では、與党側の議員の方もお立会いの席上で、どうしても今度引上げ単価についてはこれを十二月八日の午後五時までに了承してもらいたいという強い申入れがありました。そこで日本医師会といたしましても、理事会を開き、また他の関係者をも加えて、結局何とか十日の日には日本医師会としての最高意思決定機関である代議員会が招集されるのであるから、全医師会の重大な関心を注いでいる問題については、何とか十日の代議員会において、政府の提案を諮つて善処するということで、この告示は待つてもらいたいということを懇請いたしたことは御存じ通りであります。ところが、何としてもこれは閣議においても決定しておることであるから、十二月八日に告示する、であるから午後八時まで待つからぜひとも返答しろという強い要請がありまして、余議なく医師会理事会はこれをのみました。その結果、十二月十日の日本医師会代議員会は、御存じのように流会なつた、この流会の根本の原因は、全国からはせ参じた各府県代議員諸君が、最高意思決定機関である代議員会が翌々日開かれるということが、もう事前にはつきりわかつておるにもかかわらず、われわれの重大な関心を注いでいる問題についての決定について、なぜ一日早く八日の日にのんだのか、いかに政府からそういう強い要求があつたとしても、これは当然事情を話せば、政府も納得の行くことだから、明後日まで待つて、よく代議員を納得させた上で、正規な姿で臨みたいということを、なぜ強く政府に言つてくれなかつたかということで、いわゆる取運びの手順の上において、民主主義ルールというものから逸脱した越権行為であつたということが、実はあの流会の大きな原因であつたのであります。ところが、この官報を見ますと、昭和二十六年十二月十一日、厚生大臣橋本龍伍ということになつております。この問題は單に医師会内部混乱というような問題ではないのでありまして、当然十二月八日の午後七時四十分にわれわれは了承したということを、日本医師会は伝えて、ただちにそれでは告示をするということを、大臣は確約をされておる。しかも大臣の言明によれば、その八時にはすでに決裁を了しておるということを言つておられる。一体国政最高意思決定が、すでに八日の午後八時になされておるというならば、当然この官報における十二月千一日、厚生大臣橋本龍伍という表現は、私ども大臣決裁ということは、もうすでに意思発動ということを含む行為であると思うのであるが、にもかかわらずこれが十二月十一日になつておる。そうなりますると、それでは再び、たとえば医師会代議員会を開きましても、代議員会に対する理事会答弁というものが、まつたくうそを言つたということになり、ひいては、政府日本医師会理事者に対して食言したということにもなり、重大なる不信行為ということになるのであります。一体厚生省として、そういう最高意思決定というものは、私の考えではただちに意思発動を含むものであつて、その手続において、あるいは十二日の官報発表されようが、十三日に発表されようが、あれは技術上、印刷上の、あるいはまたそれぞれの係の方のはんこをもらう関係もあろうと思いますが、少くとも大臣意思決定決裁という行動は、ただちにその意思そのもの発動を意味するものであると私ども思うのであります。そういう点について、この十二月十一日厚生大臣橋本龍伍というのは、一体厚生省の方では、従来ともこういう慣例でやつておられるものなのか。少くとも一国の厚生行政責任者である大臣決裁というものは、私の考えによれば、ただちにその国政に関する意思発動を含むものと私ども考えておるのであるが、そうではなく、決裁はしても手続上遅れて発表したときには、その発表日付ということに従来なつてつたのかという点、特にまたそういう問題を、先ほども説明いたしましたように、日本医師会としての運営上、重大な混乱を来すことになつた点をあわせ考えますときに、はたしてこういうふうな取扱いが妥当であるのかどうか。こういう点について、大臣がおられれば大臣の御答弁を得たいと思うのでありますが、大臣もおられないからして、次官でもけつこうでありますから、ひとつ責任ある所信をお伺いしたいと思います。
  17. 松野頼三

    松野政府委員 大臣意思決定が、あるものは同時に発効するものもありましようし、あるものはさかのぼつて数箇月前に発動いたすものもありましようし、あるものは何箇月かあとに発効されるものもあると思います。本日もこの問題につきましては、なかなかたくさんな論議があるやに存じますが、一応いきさつを、政府委員より答弁いたします。
  18. 安田巖

    安田政府委員 私も、大臣がどういうことをお話になりましたか、よくは存じませんけれども、大体八日にとにかく事態を安定させたいということは、一番大事な問題であつたと思うのであります。そこで八日におそらく告示をすると言われれば、告示決定をすることだと思うのでありまして、今、岡委員が言われましたように、八日に医師会側から回答がありましたので、即座に大臣決裁をいたされました。そこでどういうことをやつたかと申しますと、決裁されて、事態を早くおちつけなければならぬ。そこで新聞記者に対しまして、その経過なり、どういうふうにかわつたかということをただちに発表いたしまして、同時にまた都道府県知事に対しまして、こういうふうに落着した、ついては医師が出しております辞退届は、何とかひとつ返してもらいたいというふうな措置をその晩ただちにとつたわけでございます。これは私は実質的には一番大事な問題だと思うのでありまして、大臣が八日にきめ、また医師会が八日にその回答をしたということに対する一番大きな影響を持つ行為であつたと私は思つております。  それから、告示の問題でございますけれども告示は八日の告示とは申しましても、八日の八時過ぎ――私はもう九時であつたと思つておりますけれども、その時刻になりまして決裁がありましても、八日の官報は、もう朝出ておるのでありますから、これに載らないことは確かだと思います。また最近の官報告示の例を見ますと、大体一週間ぐらい前から準備をいたしておきませんと、官報の記事が輻湊もいたしておりますし、なおまた英文官報と並行して出す関係もあり、事務的の問題は私ども最善の努力をいたしまして、かねて早く出してもらうように、ずつと毎日々々官報課と打合せをいたしております。版組み関係もございますので、実はその晩すぐ手続をいたしましたけれども、翌日九日が不幸にして日曜でございます。十日の官報には出ないで十一日の官報に出た、これも非常に異例の取扱いでございまして、私どもが言うと変でございますけれども、特に便宜をはかつていただきまして、早く出してもらつた、こういうようなわけでございます。従いまして官報告示されますと、告示性質上、告示の日の日付になるのであります。しかし八日に約束通り告示決定をいたしまして、同時にまた、いろいろなそういつた措置をとつたということも、ひとつ御了承願いたいと思います。
  19. 岡良一

    ○岡(良)委員 官報を見ますと、どれもこれも大体やはり十二月十一日付に、他の大臣告示もなつております。そうすると結局十二月八日には、各都道府県知事その他に対して一応単価決裁意思のもとに通牒は出されたのであつて、いつでも官庁の手続としては、この官報に登載する印刷手続等の理由から、二、三日ずれがあつて、二、三日後に発表になるときは、やはりその日付官報発表するという慣例になつておるのでございますか。
  20. 安田巖

    安田政府委員 そういう慣例でございますし、また告示性質から、その日に一般の人に知らせるということでありますから、それを何日に告示したといつて告示日付と違えることは無意味になる。また同時に、それをさかのぼつて適用するためには、さかのぼつて適用するといつてそこへ書けばよい。さかのぼつて適用するということを知らせるものはその日の日付なんですが――今度の場合も十一日の告示で十一日の日付になつておりますが、十二月一日にさかのぼつて適用する、こういうことになつておりますので、医師会にとりましては、非常な御迷惑をかけているのでございますけれども法律上の効果及び実際上の問題といたしましては、十二月一日にさかのぼる関係上、大した影響がない。医師会に御迷惑をかけたことについては、非常に残念に思つております。
  21. 岡良一

    ○岡(良)委員 ぼくは別にかど立てて申し上げておるわけではありませんが、そういう点は、医師会としては、そういうふうな事情を申し上げて、十日に代議員会があるのだから、何とかそれまで返事を待つてくれ。ところが、どうしても八日一ぱいに返事をくれ、それも時間を限定して、五時、六時ということで、結局七時四十分に御返事申し上げて、大臣は八時に決裁された。そこで要するに厚生大臣としての最高意思決定はなされたのであり、その意思決定は、同時にその意思発動を意味する。しかしそれが技術的に十二月の一日にさかのぼるとか、さかのぼらないとか、あるいはそれが官報に幾日に載せられるとか、組版の関係がどうだとかいう技術的の面は別として、実質上はその瞬間に同時に国の意思発動がされておるものであるというふうに理解していいのでございますか。
  22. 安田巖

    安田政府委員 いろいろ法律上の論議はあるかと思いますが、実際問題といたしましては、そういうふうにいたしまして、そうして新聞発表いたし心して、同時に地方庁にそれに基いて辞退届も返してもらいたいということにいたしました。同時に、それに基いて十二月一日にさかのぼつて軍側が適用になりますので、実際問題といたしましては、その瞬間に事態が一応安定する措置をとられております。私は今際大臣がおそらく八日から十一日まで、たびたび申されましたことについは、あるいは閣議の了解で、今週中片づけるという問題は、ああいうふうに医師の総辞退というような問題になりまして、いろいろ被保険者にも不安を與えておるというような問題でございますので、何とか早くそういう事跡を片づけたいという御意思であつたのではなかつたかと私は思つております。その限りにおきましては、一応医師会の方の御協力によりまして、八日晩にその問題が片づいて来た、こういうふうに思つております。  なお、この官報登載につきましては、二日遅れるということは、これはきのうも官報課長の方にもよく話したのでありますが、今の場合としては時間的に最短距離だ、こういうことをはつきり申しておりまして、もしどなたかそういうことについて、御質問があるならば、公文書でその事情を御説明してもいい、こういうふうに申しております。
  23. 岡良一

    ○岡(良)委員 その手続の問題については、ひとつ厚生省としても、公文書で、この間の事情医師会あて、ぜひともいただきたいと思います。しかしながら、それにもかかわらず、実は先ほど来、るる申し述べましたように、医師会代議員会としては、そのことが大きな原因となつて非常な混乱を来した。従いまして、年内に代議員会を招集いたしましても、やはりこの問題がすでに大きながんとなつて、その上に立つて府県医師会意向をとりまとめて来ます関係上、非常な混乱が危惧されるのでありまして、万一そういう事態が起るといたしますれば、これは医師会理事諸君にも、重大な責任があろうかと思いますが、しかし何と申しましても、われわれが最高意思決定機関である代議員会意向に供するところの余裕を與えてもらえなかつたために、われわれこの日本医師会理事会が、非常に民主主義ルールからは、機関決定を無視するような運び方をしなければならなかつたということが、すなわち政府のいわば強制によつてそういう事態を惹起したということについても、政府責任は十分にあろうと思います。  なおこれに関連してお尋ねをいたしたいのでありますが、そういうふうな形で、一応単価決定された。告示によれば、甲地にありては十二円五十銭、乙地にありては十一円五十銭ということに算定されておりますが、一体この甲地乙地地域差は、保險局長として、あるいは厚生大臣として妥当な、取扱いであると思われますかどうか。もし妥当であるとすれば、どういう根拠においでこういう取扱いが妥当であると思われるのか、その点いわゆる地域差というものについての厚生省の御見解を承りたいと思います。
  24. 安田巖

    安田政府委員 地域差は従来の甲地乙地の差をそのまま踏襲いたしたわけでございます。地域差をどうきめるかということにつきましては、理論的にも実際的にも、いろいろ問題がございます。私どもが最初これを三地域というようなことで、今井委員の案でできましたものを、医師会に相談いたしましたときに、三地域にするならま、たとえば公務員の給與についての地域差であるとか、あるいは物価指数でありますとか、あるいは市とか、六大都市とか、町村とかいろいろのわけ方がありますから、これはひとつ医師会とゆつくり御相談してきめたいと思つてつたのです。しかし地域を動かしますことについては、いろいろと御意見もあつたようでございますし、とりあえずああいつたような前のままの地域差を用いたのであります。今後ひとつ十分検討してみたいと思います。
  25. 岡良一

    ○岡(良)委員 おそらく現在の公務員その他に関する例の給與については、地域差というものがありますが、この地域差というものは、大体個人ないしその個人を中心とする世帶のCPSが基準となつて求められておるようであります。しかしながら、医療経営の実態から見て、一体この地域差というものが、都会においては厚く、あるいは農村においては薄いということが、はたして正しいのかどうか。現に公務員の給與においても、寒冷地給というものが認められておりますし、あるいは農村行政においても、積雪寒冷単作地帯振興計画において、相当に国家予算が、特にそうした自然的な立地條件を考慮して、むしろそこに厚く報いられようとする傾向さえもあるときに、医療経営の実態というものを拔きにして、単にそこに生活する個人なり、世帯なりの生活水準というものから地域差が出て来る。診療保険の報酬の単価の中に、この地域差を取入れて来るという考え方は、私はどうも妥当ではないと思うのです。今後検討すると保険局長は言われますが、保險局長の率直な御意見としては、この地域差というものをこういうふうな形でとどめることが妥当なんですかどうですか、承りたい。
  26. 安田巖

    安田政府委員 地域差をつけることがいいかどうかということについて、岡委員のお考えは、地域差をつけない方がいいというふうに私は承つたのであります。実は十円五十銭、十一円五十銭、十二円五十銭という三段階の案を、中立委員の側から出されましたにつきましては、二十四年の九月の医療経営調査の資料に基きまして、市部でありますとか、郡部でありますとか、あるいは都市の関係をわけて、内容を検討してみたわけであります。そういたしますと、やはり郡部の方が負担がかからないという数字が出て来たのでありまして、その結果そういうわけ方をいたしたわけでございます。現在の点数単価制度におきまして、医者の生計費というものをCPSの二割増しというような形で見ておりますと、結局その生計費が安くかかるか、高くかかるかというようなことは、やはり一つの地域差を設けるりつぱな理由になり得るのじや告ないかというふうに思います。現に各地方におきますところの国民健康保険の単価のきめ方等におきましても、十円ときめられましても、いなかでは七円であり八円であり、あるいは九円でやつておるところもございます、これらはやはり医者の生活と申しますか、そういつた面におきまして、都市の生活と若干違つたものがある。詳しく申しますと、あるいは目に見えぬいろいろなものがあるかと思いますけれども、そういつたものがありまして、そういつた差が実際上出てきておるのではないか、こういうふうに私ども考えております。それから物価指数なんかを見ましても、大体第一段階を九五から一〇〇までの間とし、第二段階を九〇から九五までとするというように考えてみましても、あの物価指数は、町村はほとんど入つていなかつたと思いますけれども、それでも六〇幾つから一〇〇までの差があるのであります。そういつたような関係から、きわめて正確にいえば、地方々々によつて違うのがいいかと思うのでありますが、しかしいろいろ事務の関係その他からいいまして、そうやたらに地域差を設けられても困りますので、せいぜい二段階か三段階が適当ではないかと思つております。
  27. 岡良一

    ○岡(良)委員 地域差の方のことは、そういう御意見も成立し、また実際地方で厚生寮あたりの病院を経営しておる場合に、積雪寒冷地帶なんかにおける施設の維持、あるいはそこに勤務する医者が、患者の請いに応じてする往診なんかの場合におけるいろいろなロスというものは、これは都会の人の考え及ばない点がたくさんあるので、やはりそういう点を、医師個人の生計費以外の要素として、十分考える必要があろうと思いますので、とにもかくにも今日のように、大体経営者としても、担当者としても、十分ではない單価というふうなことで、いろいろな條件からこういうかつこうの結論が出て来るという場合には、これをしもなお無理に二割以上の地域差を設けるというふうな取扱いは、私は妥当でないと考えておるのでありますが、これ以上は意見の相違になりますからやめておきます。  そこで、只今告示されたように、一点単価引上げられるということになると、これは言うまでもなく、保険財政に対して大きな負担過重になつて参ります。そこで政府管掌の負担過重部分については、ただでさえ困難な保険財政の現段階において、厚生省はこの負担過重部分をいかなる方法で切り拔けようとしておられるのか、具体的な御方針をひとつ承りたいと思います。付らかの具体的な方針なしに引上げられたということもなかろうと思うのだが、はつきりしたところをひとつ聞かせて低しいと思います。
  28. 安田巖

    安田政府委員 政府管掌の保険の経済におきましては、一点単価を一円五十銭上げましても、二十六年度におきましては若干黒字が出るような計算になつております。二十七年度におきましては、上げた分だけの増加額というものが大体二十八億ばかりになり、そり他入院料の増加であるとか、あるいは受診率の向上というようなことを見込みますと、四十億ばかりの赤字が出はしないかというふうに計算をいたしております。もう少したつて見ませんと、一体被保険者の標準報酬の額がとり程度上るかということを、はつきり見込むわけにも参りませんが、私どもといたしましては、来年度の予算には国庫負担をともかくもいただきたいという要求を出しております。その後の予算の問題とも関連がございますので何とかそれが片づくごろまでには、対策も立てたいというふうに思つております。
  29. 岡良一

    ○岡(良)委員 そうすると、政府管掌の赤字は、現在大体六億ほどあるというお話を、先般臨時国会のいつの日かの委員会で聞いたように記憶しておりますが、二十六年度において若干黒字になるというのは、標準報酬が引上げられるので、従つて千分の六十で自然増収というような形における増収が黒字を生んで来るわけでありますか。
  30. 安田巖

    安田政府委員 お話の通りであります。
  31. 岡良一

    ○岡(良)委員 保険局長ばかりにお話をするのではなく、大臣から聞きたいのだが、一体こういう千分の六十とか六十五まで上げてもいいというふうな、国際的にも異例な、日本としても不面目な高率保険料を課しておつて黒字になるというようなことでは、これはまつたく被保険者も納得しないと思うので、黒字部分があれば、むしろ保険料率の引下げに充てたいというところなんですが、それはそうといたしましても、来年度はこのまま千分の六十で行つても、やはり四十億ほど赤字が予想されるのでございますれば、組合管掌の場合には、保険局長としてどういうふうに負担過重の部分を推定するのかという点を承りたいと思います。
  32. 安田巖

    安田政府委員 組合管掌は、御承知のように現在七百五、六十の数になつておるかと思いますけれども、保険経済の内容は千差万別でございます。私どもも監督をいたしておりまするから、支払いができないような悪いものはございませんけれども、しかし町村組合というようなもの――町村吏員の組合がございますが、こういうのは割に弾力性のない組合であります。しかし一方から申しますと、まだまだ標準報酬が非常に高く、弾力性があるということもございますから、正確な推計というのはできかねております。いずれ十二月一日にさかのぼつて単価が適用されるということにきまりましたので、個々のものについてどの程度の赤字が出、あるいはどの程度切り詰められるかということは、逐一調査して行きたいと考えております。
  33. 岡良一

    ○岡(良)委員 国民健康保険組合団体中央会の資料によると、一円五十銭引上げになると、二十六年度十一億、二十七年度では二十八億の増額となるということを承つております。一体この二十六年度十一億とされているこの赤字は、確かな数字であるかどうかは別といたしまして、厚生省としては、現在でも経営に非常に苦難な国保は、引上げになるとさしあたり十一億赤字が出ると言つておられますが、これに対して何か有効適切な措置について自信を持つておられましようか。
  34. 安田巖

    安田政府委員 今、岡委員のお話にもありましたように、二十七年度が大体二十億くらいの増加になるのでありますから、二十六年度はそれの三分の一と申しますか、四箇月分でございますから、もつと少くなるのではないかと思います。今のところは私ども年度内において組合に対してどういう手を打つということは考えておりません。大体大まかに申しますと、健康保険組合は、政府管掌の中に入つておる事業場に比べますと、標準報酬がずつと高いものばかりでございますから、それだけ政府管掌よりは弾力性があるというふうに私どもは見ております。しかし今申しましたように、それでは個々の組合でぐあいの悪いところがあるのではないかと言われますと、それもまたごもつともなことでございますが、一つ一つ全部当つてみないことには、何とも申し上げかねます。
  35. 岡良一

    ○岡(良)委員 私が申し上げたのは国保です。国民健康保険組合団体中央会のいただきました資料によれば、一円五十銭の引上げとなると、本年度は十一月から三月までに十一億の赤字になり、二十七年度は二十八億の増額となると言つておられるのであります。ただでさえも赤字に悩んでおる国保が、単価引上げによつて、これだけの赤字が予想されるということに対して、それだけに、また当事者も非常な心配をしておると思うのでありますが、これに対して政府としては何らか納得の行く具体的な、責任ある施策を用意しておられるかどうか、予算措置について自信があるのかどうかということをお聞きしているのです。
  36. 安田巖

    安田政府委員 私は健康保険組合と間違えておりましたが、国民健康保険は、御承知のように、これまた各市町村によりまして、内容が千差万別でございますので、どの程度のものが、これによつてつぶれるかということも、まだ予測するだけの十分な資料を持つておりません。ただ一円五十銭上りますことによつて、二十七年度において十一億、二十七年度において二十七億九千万円ばかりというのは、私は正しい数字だと思つております。これにつきましては、国庫の負担もできるだけ考慮してもらいますし、なおまた国民健康保険の方にも、料率の引き上げと申しますか、保険料の増徴と申しますか、そういつたようなことも考えて、両々相まつて、何とかひとつきめて行きたいと思います。なおまた医療担当者の方にも十一円五十銭、十二円五十銭ときまつておりますけれども、しかしながら、非常にその村が貧しいというような事情もございましようし、あるいは従来安くしておつたというような事情もございましよう。そういうところでは、なるべくひとつ勉強して安く契約していただくと、非常にありがたいと思つております。
  37. 岡良一

    ○岡(良)委員 しかし、そうなると、結局単価引上げられれば、国保も右へならえするというような従来の取扱いになつておるのだが、いろいろ除外例も考えなければならぬことは当然考えなければならぬと思うのであります。しかしそれにしても、それは厚生省として漠然たるというか、きわめて無責任取扱いだと思うので、やはりばたばたと倒れる所もできはせんかと考えられるのであります。そうするとおそらく二千七百万ですか、この日本の農民が、そのただ一つの元手は健康である。これを病気から守ろうとする国保が、今国の補助があればもう少し普及しようというところで、単価引上げ――健保の単価引上げられるから、国保も右へならえで、さなきだに赤字にあえいでいるのが、とうとう機能を停止するというようなことになる、あるいはそういうおそれが十分あるのに、医療担当者の方で考えてもらいたいというような――それも当然必要なことだと思いますが、その辺きわめて政府として、私の考えでは、無責任考え方のように思います。一体こういうことは、国民健康保険中央会理事長の青柳一郎先生として、一体どう考えられるかお聞きいたします。
  38. 青柳一郎

    ○青柳委員 お名指しでございますので、私から答弁いたします。国民健康保険中央会といたしましては、現在厚生省の方針といたしておられる単価は、九円、十円ということに相なつておりますが、これを一円引上げることを大体了承したのであります。と申しますのは四、五府県におきましては、九円以下のところがありまするが、大体他府県におきましては十円であります。非常に赤字で困つておりまするが、お医者さんの協力を得なくては、ことに経済力の弱い国民健康保険はやつて行けません。従いまして、谷底におつこちるような気持をもつて一円程度の引上げ、すなわち甲地十二円、乙地十一円、丙地十円の線をきめてわれわれの態度としておるのであります。これ以上ふえます際には、お話のように、現在国保をやつておりまする市町村も、経済的にあえいでおるので、やめる時期を待つておるという市町村もあるのであります。従いまして、やめるようになるものも出て来る。また現在国民健康保険事業の貴重な性格を認めまして、だんだん普及しようとする傾向がありますのを、とめられてしまうというおそれもあるのであります。従いまして、経済力の弱い国保といたしましては、本年並びに来年におきまして、その経済力の足らぬ部分は、どうしても国庫の助成を仰がざるを得ないという窮地に陷つておるのであります。ただ、いま御論議がかわされた中にもございましたように、国保の経済力というものを、医療担当者におきましても、お認め願いまして、ことに本年度につきましては、もう来年の三月までの契約はできておるのでありまして、そこら辺を考えていただきまして、政府の方にもお願いすると同時に、医療担当者の方につきましても、本年度につきましては、ことに強力にお願いいたそう。来年度につきましては、お話のように、何らかの措置政府からなければ、国保はつぶれて行くし、また国保の事業が進展を阻害されるということは必然であると存じております。
  39. 岡良一

    ○岡(良)委員 とにかく先般の臨時国会でも、われわれも十分に青柳先生の立場を尊重して、国保強化に関する決議案にも賛同しておるのであり、かたがた長く保険行政にも堪能な青柳さんを初め、絶対過半数以上の與党が、なおこの給付の国庫負担について、十分われわれの納得の行く解決をもたらさないということについては、ほんとうにわれわれも不満を持つておるわけですが、それはさておきまして、それでは安田保険局長に私ども特にお願いしたいのですが、今青柳氏も指摘されましたように、国保としては、やはり非常に経営が困難であり、單価引上げ問題等もからんで、やめようというところも出て来るようなことになる。それでは――先ほどお説のように、国保は一部負担についても五割のところもあり、七割のところもある、保険料の徴収率のいいところもあれば、悪いところもある、受診料においては率もさまざまであり、包含する人口数においても、ユニツトとして維持できるところもあるし、しがたいところもあるというような関係もありますが、大体やはりこの程度の保険料の徴収率をもつて、この程度の受診率をもつて、この程度の人口をもつて、大体この程度の一部負担であるならば、一応日本の現段階における国民健康保険の経営単位として成立する、こういうところが、單価引上げによつてやむなく店を閉じなければならぬということは、これは国家的にも非常に不幸なことだと思うのですが、こういうところに対して、今大蔵省は頑強に、どうも医療給付費の国庫負担ということは考えていないような言い分を言つておられるようですが、何らか健全なる国保の運営を奨励するというような費目ででも、何とか今年度内に手が打たれぬのですか、現に打つておられないのでしようか。そういう点の何か御構想があれば、率直に承りたいと思います。
  40. 安田巖

    安田政府委員 岡委員の今お述べになりました御意見は、まことに適切な御意見でありまして、私もまつたく同感でございます。そういうような措置をいたしたいと思いまして、現在努力いたしております。明年度の予算には、そういう形ででも予算をもらいたいと思つて、せつかく努力いたしておる次第であります。
  41. 岡良一

    ○岡(良)委員 それから、なお附帶的にお尋ねしたいのですが、單価引上げに伴つて、これは私、決して医師会の代表として申し上げるのではありません、その点をひとつ曲解なくお聞きとり願いたいのですが、たとえば審議会を設けて、医療担当者をできるだけたくさんその審議会の構成メンバーにとらえて来て、社会保険制度、特に医療保険制度についての改善をはかるということを約束しておられるということを聞いておるのですが、そういうことがあるのでしようか。これは保険局長なり次官から聞きたいと思います。
  42. 安田巖

    安田政府委員 仰せの通りでございまして、厚生大臣としては、なるべく早くそういうふうな新しい審議機関を設けまして、医療保険のことにつきまして根本的に考えてみたい、またその結論をなるべく早く出したい、こういう御意思でございます。私どももその新しい機関を早急につくるように、特に厳命を受けておるような次第であります。
  43. 岡良一

    ○岡(良)委員 日本における社会保障制度の最も大きなウエートを持つておる一環というのは、何と申しましてもこれは医療保険の問題だろうと思いますが、それではそういう審議会と社会保障制度審議会との関連性は一体どういう関連性を持つておるのか。あるいは社会保険医療協議会との関連性、あるいは社会保険に関する審議会がまた別途ありますが、その審議会との関連性等はどういうことになつておるのですか。
  44. 安田巖

    安田政府委員 今の御質問の関係は、これは非常にむずかしい問題だと思います。しかし新しい機関というものは、医療の担当者なりあるいは保険者側とよく話合いをいたしまして、そしてお互いの納得の上で、その機関の構成なりあるいは性格というものをだんだんきめて行きまして、たとえば單価の問題、点数の問題等をきめるにいたしましても、まず第一に調査をしなければならぬ、資料を求めなければならぬ。そういつたような調査にいたしましても、資料にいたしましても、そのやり方自体にまた争いがあるようでございますと、これまた先に行つてまとまらないのであります。そういつたルールをきめるというようなことも、そういうところでやつていただきますと、公の機関でいろいろ御議論なさる場合にも、もつと正確な資料も出、そして円滑に話が進んで行くのではないか、そういつた点をねらつておられるのではないかと、私はそんたくいたしておるのであります。そこで先日も医師会歯科医師会、健康保険組合連合会、それからここにいらつしやいます国民健康保険中央会の青柳先生にお集まりを願いまして、その問題について御協議申し上げたのであります。いろいろ相反するような点もございますけれども、しかし何しろ早急なことで、たとえば医師会等におきましても、まだ具体的な意見をお持ちにならないようでございます。引続いて私どもの方からも、ある程度の案も考え、また皆さんの方からも案をいただきまして、何とか早くまとめて行きたい、こういうふうに思つております。
  45. 岡良一

    ○岡(良)委員 一体社会保障制度審議会というものは、社会保障制度審議会設置法に基いてちやんとできて、内閣と同等な権威に立ち、内閣総理大臣に勧告をするという相当高い機能を持つておることに一応なつておる。その他の審議会にしても協議会にしても、やはり法律に準拠して――われわれが国会において議決した法律に準拠してできておるものである。ところが、今プライヴエートにまたそういうものをつくる、一体そういうものの決議が、あるいは厚生省なり内閣なり、あるいは国会なりを拘束する力のあるようなことを、結果として期待するということ、そのことが、ぼくは非常に国会の審議権なり、法律なり、法治国としてのあり方から見て、きわめて奇怪な行き方だと思うのだが、本気でそういうものをつくる気でおられるのですか。
  46. 安田巖

    安田政府委員 まことにどうもごもつともな御意見でございますが、社会保障制度審議会と申しましても、これは設置法にもありますように、社会保障の立案、企画、運営の大綱となつております。そういつた大きな問題も去ることながら、そのもとになりますような問題につきまして、もつと円滑に取運んで行くために、懇談会と申しますか、打合会と申しますか、そういうものがあつても、別に悪くもないではないか。これで別に国会の、最高機関の御意志を無視するようなつもりは毛頭ないのでありまして、何とかそういつたようなことで話合いがつきますれば、問題は医療担当者と保険者の側にあるのでありますから、そこはまたやり方でうまく行くのではないか、こういうふうに思つております。
  47. 岡良一

    ○岡(良)委員 結局いろいろ申し上げたいこともありますが、大臣もおられないし、局長の気持は、われわれもかねがね十分わかつておるので、これ以上いろいろ申し上げたところで際限のない話ですが、何とかひとつ医療給付については、何も悪平等に補償しようというわけではないが、国法などは健全なものは何とかこれを育成しようという手をこの際やられるように、與党の皆さんにもくれぐれもお願いをしますから、二十七年度の予算に間に合せるようにぜひともやつてもらいたい。くれぐれも懇請をいたしまして、一応私は質問をやめたいと思います。
  48. 苅田アサノ

    ○苅田委員 岡委員の御質問の中で、私の聞きたい点も大分明らかにされておりますので、重複を避けますけれども、これは岡委員も特に最後に強調されたところなんですが、今をおいて二十七年度の予算のとれる時期はないわけで、そのときにあたつて何らかの費目で予備的な形ででもこの増加部分について予算をとつておきたいということでは、私どもはこれでは非常に不安な気がするわけなんです。やはりこの際は、この単価引上げの経過につきまして医師会側発表するところによりますと、與党である自由党の政務調査会あたりでも、少くとも十三円はぜひ出したいというような強い要求まであつたというような話を聞いておるのでありますから、そうしたことまで自由党で話があるとすれば、やはりこの引上げた部分をどういうふうな形で支払うかということは、当然問題になるはずなんです。これは医師会としても強い要望の一つになつております。また被保険者がそろつて要望しておる国家負担という点につきまして、厚生省としましては、今のような御返答では、非常に不十分なんです。局長としては、厚生委員会でそういう答弁をした場合の責任についての顧慮がおありになるのであれば、秘密会にしてでも、もつと予算折衝について、具体的な、直接なお話が聞きたいと思うのですけれども、その点はいかがなものか、お伺いしたいのです。
  49. 安田巖

    安田政府委員 予算を要求いたして、どの程度とれるかということでございますけれども、これはなかなかむずかしゆうございまして、先般この委員会でたびたび私が申し上げたように、実はまだ第一回の査定が、内示がないのであります。毎年でございますと、今ころはもうきまつておるのでございますが、本年はその第一回もないということでございまして、私どもはその点ではちよつと相手の出方がわからなくて困つておる点なのですが、いずれにいたしましても、たびたび先ほどからもお話がございましたように、給付に対する国庫負担、あるいは岡委員のおつしやるように、何らかの形における国庫負担ということも、私ども本気で要求いたしておるわけでありますから、どうかひとつお力添えを願いたいと思います。
  50. 苅田アサノ

    ○苅田委員 お力添えということなんですが、どういうふうに力添えをしていいかということを、もう少しはつきりお請いただかないことには、どういうふうに力添えをしていいかわからない。これは自分にまかせれば必ずとるというような確信がおありになれば、おまかせして行つてもいいわけですが、そうでない以上は、やはり何らかの機会をつくつてもらつて、私どもが力添えをする機会を與えてもらいたいと思う。
  51. 松野頼三

    松野政府委員 私も就任早々でございますが、さつそく予算のことには、一生懸命やつております。ことに所属の與党も、幸いにして政調会の、厚生委員会の諸君を含めたメンバーが――昨年も同様だつたのですが、大いにやつていただきまして、結核ですか、初めての予算が成立したという効果も現われておりますので、今後とも私どもは大蔵当局と事務的に交渉しますし、與党諸君は、政調会から交渉していただき、なお皆様方は、この委員会を通じて大蔵当局、主計局長、大臣次官をぜひとも御督促をいただき、三者一体となつてつていただく、これが私は一番具体的に今後の委員会の御協力をいただきたし点だと存じております。
  52. 苅田アサノ

    ○苅田委員 この予算の問題については、この席できようこれ以上の誠意のある御答弁がいただけると思えないので、非常に残念です。ただ厚生大臣も前々回から主張しておられるのでありますが、口では、決して今度の値上げは一般被保険者に負担をかけないようにしたいということを言つておられたのですが、いずれこの結果はすぐわかることなんで、もしもその結果、制限診療という形なり、あるいはほかの形でなり、直接間接に被保険者に負担がかかるということであれば、今日でも生活が、経済的にも、あるいは健康の方面からでも、非常に破綻している国民生活の上に、どんな重大な結果が起るかということは、私が申し上げるまでもなく、わかつていることなんで、私はこういう点を警告いたしまして、今日はこれ以上国庫の負担についての確約が得られないということは非常に残念ですが、いたし方ありません。この点の質問はこれで打切ります。  次に私のお伺いしたいのは、さつき岡委員もお話になつたように、今度の告示に対しましては、医師会の中におきましても、たとえば大阪などのような有力な府県支部におきましても、これを拒否しているわけなんです。これも大阪だけではなくて、北海道とか、九州とか、相当広範囲に、この告示につ、て反対の意向発表する医師会があろうと思うのです。もし予定通りこういう人たちが診療の拒否というようなことになるといたしますならば、これに対しまして、厚生省としましてはどういう処置をおとりになるかということを、ちよつと参考までにお伺いしておきたいと思います。
  53. 安田巖

    安田政府委員 私どもは、先般の告示が大体うまく運営されるのではないかと思つておりますので、それが拒否された場合に、どういうふうな対策を立てるかということにつきましては、具体的にはまだ考えていないのでありますが、しかし普通に常識的に考えられますことは、辞退届を出さないお医者さんがあれば、そこへ行くとか、あるいは公的な医療機関があれば、それを国で動かして行くとか、あるいはまた各職場で持つております診療所を開放させるとか、なおまた普通のお医者さんのところに行きましても、療養費払いで、あとから被保険者に金を払うというような方法が、普通に常識的に考えられることなのであります。
  54. 苅田アサノ

    ○苅田委員 告示の線で大体納まるだろうというのは、厚生省のお考えかしれませんが、十日の代議員会を見ております者には、またその後の各府県医師会について、多少なり情報を得ておる者につきましては、私どもは、その考えは非常に甘いと思う。診療の拒否というようなことは、非常に重大な問題なんで、厚生省がこの点について、そういうふうな簡単な見通ししかお持ちにならないということは、私にとりましては非常に意外だと思います。もう少しこの問題につきましては、慎重に各方面協力されて進めていただきたい。そのためには、先ほど言いましたように、医師会側も、あるいは被保険者側も極力主張しております国保の負担という点と、制限診療をしないという、こういう点につきまして、もつと具体的に真剣な研究を進めながら交渉に当つていただきたいということをお願いする次第です。
  55. 堤ツルヨ

    ○堤委員 ただいま岡委員の御質問、なお苅田委員の御発言などで、ここにおいでになる委員の方々は、與野党のいかんを問わず、御同感であり、なお非常に緊急に対処しなければならない追つた問題であり、衆議院厚生委員会といたしましては、今これを云々していることが、むしろ遅いのでございまして、何とか厚生委員会としても、委員長のおとりはからいで具体的な手を打つて行くべきではないか。きようをもちまして議会は自然休会に入りますけれども、この問題は、暮れだから、または正月の休みだからといつて、なおざりにすることは許されない状態に各府県の状態はあると私は存じます。さようでございますから、できれば一度、医療担当者、それから保険団体、被保険者、これらの人々にお寄りいただきまして、公聴会をこの委員会で持つて、そしてあらゆる角度から公述をしてもらい、その結論に基きまして、われわれ委員会としましては、大蔵省に予算措置責任をとらせるというところへ持つて行かなければならないと思いますので、できればこの委員会で公聴会を来年の開会前に、正月の十日過ぎから二十日ごろまでの間に、休会中といえども持ちまして、そして早々に大蔵省と厚生委員会との連絡会を開いて、どうしても今度は、大蔵省に、こちらの委員会といたしまして、責任ある、先の見通しのつく予算措置をとらせるというところへ持つて行くのが当然ではないか、かように思います。ですから、これを私、動議として提出いたしますから、委員長のおとりはからいによつて、かようにしていただきたいと思います。皆さんにお諮りを願います。
  56. 大石武一

    大石委員長 堤委員の御発言ごもつともと思いますが、これはいずれこの委員会が終了後、理事会を開いて御相談してきめたいと思います。ほかに御発言はございませんか――なければ次に進みます。     ―――――――――――――
  57. 大石武一

    大石委員長 次に理事補欠選任の件についてお諮りいたします。理事の直四郎君が委員辞任されたのに伴い、理事が一名欠員になつておりますが、本件につきましては、先例により委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 大石武一

    大石委員長 御異議がなければ、再び委員選任されました直四郎君を理事指名いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時一一分散会