○
三浦法制局参事 それでは私から
便宜今回の
公職選挙法正案要綱の概要を御説明申し上げます。お
手元に差上げてございまする
公職選挙法改正案要綱をごらん願いたいと思います。
大体ここに掲げてございますることは、別途皆様の
手元に上げてございまする
公職選挙法の一部を改定する
法律案の中に織り込んであるわけでありますが、
要綱で御説明をいたす方が便利かと考えますので、さようにいたしたいと思います。
一は
選挙に関する
区域の問題でありますが、これは
町村の
区域につきましても、
開票区を設定し得るような道を開きましたことであります。一の二は
補充選挙人名簿につきまして従来の
調整の
期日を改めまして、
補充選挙人名簿調整の場合の
選挙人の
年齢及び住所、
期間につきましては、
補充選挙人名簿調整の
期日によ
つて算定する。従来は
選挙の
期日によ
つてしたわけであります。これは
選挙の
期日等が
短縮されました結果、また
同時選挙等が
地方選挙にございますので、そういうことの
便宜のためにかように
改正するわけであります。
その次は、二の
選挙期日の
公示または
告示のことでありますが、これは
衆議院の
選挙について申し上げますると、従来の
告示は三十日前に行
つておりましたのを、五日間
短縮いたしまして、二十五日前にやるということにな
つております。その他
地方選挙等につきましても、それぞれの何に応じまして、多少の
短縮をいたしてございます。
それから次は、三の
代理投票でございまするが、
代理投票につきましては、往々にして不正が行われる場合等もありまするので、
法律の上ではつきりその点を
規定いたしまして、
補充者二人ということにきめまして、一人は
候補者の
氏名を書き一人がこれに立ち会うということにいたしまして、それらの不正に対する罰則の
規定を新たに設ける、こういうことにいたしたのであります。
四は、
不在者投票でありまして、
不在投票は御
承知の
通り、この前の
地方選挙におきまして、いわゆる
在宅投票制度に対しましてこれを悪用せられました結果、その間に
不正投票が行われたような現状でありまするので、この際これをやめまして、特別の
投票管理者を置きまする
病院等につきまして、この
不在者投票制度を認めるということにいたしたのであります。従いまして従来の医師の
証明書というようなこと、あるいは
在宅投票でだれかが代理して
投票する、こういう問題はなくなることになりまして不正が防止せられる、こう考えております。
五は、
開票立会人及び
選挙立会人でありますが、これは十人の定数を越えました場合におきましては、
互選によ
つてきめるということにな
つておりましたが、
互選はおのおの
利害関係がありますので、なかなかきめにくい場合もありますから、くじによ
つてきめる、こういうことにするわけであります。
六は、
投票の効力の問題でありまして、これは従来
同一氏名とか、
同一氏、または
同一の名の
候補者が二人以上いる場合におきましては、その
投票につきましては、これは有効にするか無効にするかいろいろ問題がありますので、この際
法律上明らかにいたしまして、これらを一応有効といたしまして、そうしてこれは、
開票区
ごとのこれらの
同一氏名等の
人たちの他の
有効投票数に比例して、これを按分してほかの
投票に加える。こういうことにいたすわけでありまして、有権者の意思をできるだけ有効に認めて行く、こういう
改正であります。
七は、
立候補の
届出であります。
立候補の
届出につきましても、ここにあげてありまするように、
選挙告示の
期間の
短縮等に伴いまして、それぞれ変更を加えたわけでありまするが、たとえば
衆議院議員の
選挙につきましては、
選挙期日前十五日に
立候補の
届出を締め切ることにいたしておるのであります。従来は
選挙期日前十日とな
つております。その他ここにあげてございまするような
改正を行うわけであります。
それから八は
供託金及び
公営分担金の問題でありますが、
供託金の没収につきましては、従来は
選挙期日前十日以内に
立候補を辞退した場合におきましては、これは没収いたしますが、十日以前に
立候補を辞退した場合には没収しないことにな
つておりましたのを、すべて
期間のいかんを問わず
立候補を辞退した場合は、
原則として
供託金を没収するように改めたわけであります。
次は、
公営分担金制度を廃止いたしまして、
供託金の額を
引上げるわけでありまするが、大体
公営分担金制度、いわゆる
公営をいたしておりまするものにつきましては
公営分担金を課しておりまするが、その
公営分担金と
現行の
供託金との額を加えました大体二倍
程度に
供託金を
引上げることにいたしまして、その限りにおいて
分担金制度はやめることにいたしたわけであります。たとえば
衆議院について申し上げますと、
供託金は従来は三万円でありまして、
分担金は二万円であります。この
分担金を廃止いたしまして、十万円の
供託金にするということにしたわけでありますが、
供託金は
法定得票数以上をとればまた
候補者に返
つて来る。こういうことにな
つております。
次は九で、
地方議会の
議員の再
選挙及び
補欠選挙の問題でありますが、これは縦の
同一選挙等がありました場合において、
市町村と
都道府県と一緒にいたしまして
選挙をやるということにな
つておりましたけれども、再選な、
補欠選挙につきましては、横の
同一範囲の
地方公共団体の
選挙に
限つてそれを認めるということにするわけであります。これは
事務的な
改正であります。
次の十は、
在任期間を異にする
教育委員の
選挙の場合の
当選人についてでありますが、これも
事務的の
改正でありまして、法文上多少欠けております点を明瞭にするというわけであります。
十一は、長の
決選投票でありますが、これは
公職選挙法の各条項にまたが
つておりまして、下に順次それを示してありますが、そういう
條項にまたがるわけであります。この際長の
決選投票を廃止いたしまして、そのかわり
法定得票数を
現行八分の三から引下げまして、四分の一にすることにいたしまして、もしそれに達する者がない場合は再
選挙をするということになるわけであります。この前の
地方選挙の状況にかんがみましてこの
改正要綱を
適用いたしますと、
決選投票をやる場合はないということになる見込みであります。
十二は、
同時選挙の場合の
選挙期日の
告示であります。これも
選挙期日はいろいろ
告示期間が異なりますので、それに伴いまして
事務上の整理をするわけであります。
十三は、
同時選挙の場合の
立会人でありますが、これにつきましては、特殊の
規定を各
選挙を通じて定めること、
開票立会人及び
選挙立会人につきましては、各
選挙を通じてそれをきめることにな
つて、一本でや
つておりましたのを、それぞれの
選挙区
ごとに
開票立会人、
選挙立会人をきめるという
ことであります。これも実際の
便宜に適応するように改めました。
十四は
選挙運動の
期間でありますが、これは十四に図示してございまするように、
選挙期日の
公示または
告示、それから
立候補締切、それから
届出期間等がかわ
つて参りまするので、
選挙運動の
期間が、一番下欄に書いてございまするように、
短縮されて
現行とかわ
つて来るわけでございますが、これはさつきの
期日の
短縮、結局
選挙費用の節約というようなことから、
選挙運動の
期間の
短縮を行うことになるわけであります。
それから十五は、
選挙事務所の問題でございますが、(1)は
参議院全国選出議員の
選挙事務所に関します
届出は、
当該事務所を設置しました
都道府県の
選挙管理委員会にも
届出をいたしませんといろいろ不便がありますので、そういう
規定を設けるわけであります。
それから(2)は、
衆議院議員とか
参議院議員及び
都道府県知事の
選挙におきます
選挙事務所は、従来二
箇所とな
つておりましたのを、
原則として一
箇所、特に交通不便の
箇所、その他指定いたしましたところにつきましては、五
箇所以内設けるということは従来とかわりはございません。
それから十六は、
未成年者使用の
選挙運動の
禁止でありまして、これは「
何人も、
年齢満二十年未満の者を
使用して
選挙運動をすることができない。」ということを法定するわけであります。但し
選挙運動のための労務に
使用します場合は、これを認めるというわけであります。
それから十七は、
戸別訪問でありまして、
戸別訪問は御
承知の
通り百三十
八條の但書におきまして、親戚その他の
知己等につきまして特別の
例外規定を設けてあつたわけでありますが、この際その
例外規定を認めないことにいたしまして、一切
戸別訪問は
禁止するということにいたすわけであります。それからこれに伴いまして、
選挙期日後の
あいさつ行為としての
戸別訪問も、同様に全面的に
禁止するわけであります。
それから十八は、
署名運動の
禁止でありまして、これは「
何人も、
選挙に関し、
投票を得若しくは得しめ又は得しめない
目的をも
つて、
選挙人に対し
署名運動をすることができない。」ものとすることでありまして、
選挙に関しましてこういうことを行いますることは、
投票の
公正等を害し、あるいはまた
選挙の公正を害する弊害がありますので、これを
禁止するわけであります。
それから十九は、
飲食物の
提供の
禁止でありまして、従来
飲食物の
提供は
禁止されておりまして、「
湯茶」に限りこれを認めてお
つたのを、「
茶菓」ということにいたして、多少幅を広げ緩和するわけでありますが、ただ
茶菓と申しますると、また無
制限に濫用されても困りますので、
茶菓の下に示してございまするように、「
湯茶及びこれに伴い通常用いられる
程度の菓子をいう。」こういうことにいたして、その取締りの限界を一応明らかにすることにいたしました。
二十は、
自動車、
拡声機及び
船舶の
使用でありまして、これにつきましては、ここに大体書いてあります
通りでありますが、
自動車等につきましては、従来
通り一台でありますが、
拡声機につきましては、
衆議院の
選挙運動につきましては従来二そろいでありましたのを、一そろいにすることになるわけであります。その他
自動車と
船舶につきましては、これはいずれか同時には一台または一隻、
参議院の
選挙の場合におきましては、通じて三台または三隻、こういうことにするわけであります。それから
市町村の
選挙等につきましても、
拡声機は一そろい認めまするが、
自動車、
船舶等はこれを
禁止することといたしまして、これは従来法定してなか
つたのをこの際法定いたしまして、その
禁止を明らかにするわけであります。
それから次は、
自動車または
船舶につきましては、
両者に共通する
証明書及び表示を用いるように
規定を設けます。
それから(3)は、
都道府県並びに五大市の
議員及び
教育委員の
選挙に
使用します
所定の
選挙運動用自動車の
費用につきましては、従来
衆議院の
選挙につきまして認められておりましたと同様に、
選挙運動の
法定費用に加算しないことを明らかにするわけであります。
次に、二十一の
無料葉書でありますが、
衆議院議員の
選挙の
特例といたしまして、
選挙公報の字数を従来の五百字を千五百字に増加することといたしますので、
費用の
関係等も考慮いたしまして、
無料葉書の枚数を
現行三万枚を一万枚に減ずることになるわけであります。これは
衆議院の
特例として認めることにいたします。ほかの
選挙における
無料葉書は、一応従来
通りということにしてございます。
二十二は、
文書図画の
掲示の問題でございますが、(1)は
文書図画のうち、
選挙運動用ポスターの
掲示は、
参議院全国選出議員の
選挙の場合を除き、全面的に
禁止するというのであります。従来のいわゆる
選挙運動用ポスターは
原則として
禁止いたしまして、
あとで申し上げまするが、特に
選挙告示用の四百枚に
限つて、
衆議院の
選挙について認める、こういうことにするわけであります。それから(2)は、
参議院全国選出議員の
選挙運動用ポスターについては、
原則として
現行通りとしますけれども、
掲示の
箇所とか、あるいは
掲示の
責任者及び
印刷者の
氏名等の
印刷等につきまして多少の
改正を加えまして、(2)の(イ)(ロ)に書いてございますように改めるわけでございます。
(3)は、
連呼行為に
——あとで
連呼行為については申し上げますが、
使用されます諸軍につきましては、
ポスター、
立札及び
ちようちんの
掲示を認めることにするわけであります。
(4)は、
立札及び
看板の類の
規格を定めることにいたしまして、従来
選挙事務所等にありました
立札、
看板等につきましても、
規格を設けることにするわけであります。大体尺で申しますと、
立看板等は縦九尺、横二尺というようなことになります。
それから(5)は、
ちようちんの類についてでありますが、
ちようちんの類はそれぞれ一箇といたしまして、これも同様、その
規格を定めることにいたしてあるわけであります。
二十三は、
新聞紙、
雑誌の
報道及び
評論等の自由の問題でございますが、これは現在の
公職選挙法の百四十
八條の一項、二項に
規定してあるわけでありますが、前々から
新聞雑誌等につきましては、いわゆる
選挙目当の
新聞雑誌等が、往々にして
選挙に関します
記事等におきまして、
選挙の公正を害し、あるいは、特殊の
候補者等と結びつきまして、適正でないようなこともございますので、それを抑制する、規制する
意味におきまして、新たに
規定を設けるわけであります。百四十
八條に第三項を設けまして、そこの中に3と書いてございまするような
規定を設けまして、「前二項の
規定の
適用について
新聞紙及び
雑誌とは、
選挙運動の
期間中に限り、左の
條件を具備するものをいう。」ということにいたしまして、
選挙運動の
期間中に限りましては、こういう一、二、三、四号に該当するものでなければ、
選挙に関する
報道及び
評論を掲載できない、かようにいたしまして、その
規定を設けるわけであります。そのうちの一号は、「
新聞紙にあ
つては毎月三回以上、
雑誌にあ
つては毎月一回以上、号を
逐つて定期に有償頒布するものであること。」定期的に有償頒布するものと申しますのは、もちろん定価をつけて販売するのも入りますし、
会員制度によりまして、会費を納めて頒布するものも含まれるわけであります。二号は、第三種
郵便物の認可を有するものであります。三号は、
「
当該選挙の
選挙期日の
公示又は
告示の日前一年以来、前二号に該当し、引き続き発行するものであること。」こういう
條件を具備しておりまして、しかもその
新聞が、四号に書いてございますように、「
新聞紙にあ
つては
社団法人日本新聞協会その他
社団法人たる
新聞協会の
会員、
雑誌にあ
つては
社団法人日本出版協会、
社団法人全国出版協会その他
社団法人たる
出版協会の
会員であること。」ということによりまして、自主的な、これらの設立されました
協会に加入しておるその
会員であるということにいたしたわけであります。
次は(ロ)でありますが、これはやはり
新聞紙雑誌等に対する規制であります。いわゆる従来の
買収犯に対しまして、
言論買収とでも申しますか、さような
意味における不正を取締るための
規定であります。その
規定の
内容は、「
何人も、
当選を得若しくは得しめ又は得しめない
目的をも
つて新聞紙又は
雑誌の
編集その他
経営を担当する者に対し金銭、物品その他財産上の利益の
供輿、その
供與の
申込若しくは
約束をし又は
饗応接待、その
申込若しくは
約束をして、これに
選挙に関する
報道及び
評論を掲載させることができない。」ということが一項の
規定でありまして、「
新聞紙又は
雑誌の
編集その他
経営を担当する者は、
前項の
供與、
饗応接待を受け若しくは要求し又は
前項の
申込を承諾して、
選挙に関する
報道及び
評論を掲載することができない。」というのが二項であります。
三項は、
新聞紙、
雑誌等に対する特殊の
地位を有する者の
地位利用に対する
制限規定でございまして、その
内容は、「
何人も、
当選を得若しくは得しめ又は得しめない
目的をも
つて、
新聞紙又は
雑誌に対する
編集その他
経営上の特殊の
地位を利用して、これに
選挙に関する
報道及び
評論を掲載し又は掲載させることができない。」という
規定であります。
次は(2)でありまして、これは百四十
八條の三として新しく設ける
規定でありまするが、「
新聞紙及び
雑誌が
選挙に関し、
公職に就くべき者を予想する
人気投票の
経過又は結果を掲載する
行為は、これを
禁止する」という
規定を設けるわけであります。この場合の
新聞紙、
雑誌は、先ほど申し上げました百四十
八條の三項の
條件に該当する
新聞紙に限らず、すべての
新聞紙について
適用いたします。
次は、二十四の
放送の問題でありますが、
放送は
政見放送と
経歴放送とございます。まず
政見放送につきましては、従来
日本放送協会について
公営放送を認めてお
つたのでありますが、
民間放送が新しくできまして、これをどういうように利用するかということは、小
委員会におきましてもいろいろ御議論がありまして、実はきようの午前中の小
委員会におきまして、やつと
民間放送側からの意見の提示がありまして、それによ
つて決定いたしたのでありますが、
政見放送につきましては、
日本放送協会のほかに、
民間放送も利用し得る道を開くことにいたしまして、そうしてどういう
程度にやるかということにつきましては、政令の定めるところにまかせまして、この
放送の
区域その他料金、
條件等につきましては、大体
民間放送でいたします場合につきましては、
日本放送協会と同じような
條件においてであれば認める、こういうような取扱いにするわけであります。なお
政見放送につきましては、
録音によ
つて放送することを認めまして、
録音による
放送はそのままそれを
放送するという
規定を設けることにいたしまして、
候補者の
便宜に供するわけであります。その(2)は、
放送におきましては
——これは
日本放送協会及び
民間放送をひつくるめまして、「虚偽の事項を
放送し又は事実を歪曲して
放送する等表現の自由を濫用して
選挙の公正を書してはならない」という
規定を設けることでありまして、これは
新聞雑誌について設けたものと同様な
規定を設けるのであります。
次は、
放送につきましては、「
何人も、この
法律に
規定する場合を除く外、
放送設備(
有線電気通信整備を含む。)」ということにいたしまして、そういう「
放送設備を
使用して、
選挙運動のために
放送をし、又はさせることができない」というようにいたすわけでございます。従いまして、
日本放送協会と
民間放送が
放送局として利用される、こういうことになります。
それから二十五は、
公営の
立会演説会でありまして、
公営立会演説会につきましては、その開催の主体をできるだけ拡充しようということになりまして、その(イ)、(ロ)に書いてありますように、市におきましては
人口おおむね五万
ごとに一
單位として
立会演説会を開いておりましたのを、四万
ごとに改めるわけであります。それから
町村におきましては、
人口おおむね五千以上の
町村について「
都道府県の
選挙管理委員会の指定するものはこれを行う」ということにな
つておりましたのを、四千以上というふうに、その
單位を引下げることにいたしまして、その
立会演説を行い得る
範囲を拡充することにいたしました。
それから次は(2)といたしまして、
立会演説会におきまして、
代理者の
演説回数につきましては、その性質にかんがみまして、全体の三分の一しかできないというように
制限規定を設けてあつたわけでありますが、これも
候補者のいろいろな
便宜を考慮いたしまして、その
制限を撤廃することにするわけであります。
それから二十六は、
任意制の
公営立会演説会でありまして、これは
條例の
規定によりまして、それぞれ
公営立会演説会を
地方において開く
制度を、
公職選挙法で認めておるわけでありますが、その
範囲を従来
市町村長だけに
限つておりましたのを、
都道府県及び五大市の
議員の
選挙の場合にも拡充するというわけであります。
それから二十六の二は、
個人演説会における
録音盤の
使用の問題でありまして、
個人演説会——この
公職選挙法におきまして
個人演説会と申しておりまするのは、いわゆる
公営施設の
使用のことを
個人演説会と申しておるのでありまして、それ以外にもちろんできるわけでありますが、そういう場合とそれからそれ以外、
公営施設以外の
施設を
使用してやる場合をひつくるめました広い
意味の
公営演説会におきましては、「
選挙運動のため、
録音盤を
使用して
演説をすることを妨げないものとする」ということで、これも
候補者の
便宜のために、こういう
規定を設けるわけであります。
それから二十七は、
個人演説会でありますが、これは
衆議院議員の
選挙の
特例といたしまして、特にこういうことを
規定するわけであります。その
内容は、(イ)は
候補者のためにする
個人演説会、これは先ほど申し上げましたように、
公営施設使用の場合と、その
公営施設以外の
施設を
使用する場合と、
両者ともにひつくるめて行われるわけでありますが、その
個人演説会は、
候補者一人について四十回以内という
回数の
制限を設けるわけであります。それから(ロ)は、「いかなる名義をも
つてするを問わず、
選挙運動のためにする
座談会、建物その他の
施設の構内において行う
演説会は、
前記(イ)の
個人演説会とみなす」ことにいたしまして、四十回以内の
制限の中にそういう場合を加える、こういうことにいたすわけであります。それから(ハ)は、
前記(イ)の
適用につきましては、たとえば
候補者が共同して
演説会を開催する場合、あるいは
候補者のために合同してだれかが
演説会を開催する場合等におきまして、それらに出ました
候補者の
演説の
回数をどうするかという問題でありましてこれはその都度各
候補者についてそれぞれ一回として
回数に算入する、こういうことにいたすわけであります。それから(ニ)は、
個人演説会におきましては、
候補者以外の者も自由に
演説をすることができる念のための
規定を設けるわけであります。それから(ホ)は、
個人演説会を行う場合の
手続上の問題でありまして、その
期日前二日までに一定の
手続を経て、それを
市町村の
選挙管理委員会に申出させることにいたしまして、その場合
所定の帳簿をつくりまして、それを出して、それに
回数の確認を受ける、こういうことにいたしまして、四十回の
回数というものの
制限をこういう
意味において規制する、こういうことにいたすわけであります。(へ)は、「
個人演説会の
回数には、天災その他不可抗力による場合を除く外、その実施しなかつた
回数も算入する上、これは従来もこういう
規定があつたわけであります。それから
次は、(2)
個人演説会表示のためにする
掲示の問題でありますが、その(イ)は、
個人演説会を開催する場合、
候補者一人につきまして、
前記(1)で
規定してございます
制限回数内において行うものを
限つて、
演説会開催当日、
候補者の
氏名、党派別、
演説会開催の日時及び
演説会入場を表示する
立札一箇を、会場前の公衆の見やすい場所に、見やすい方法をも
つて、公党によ
つて掲示するということにいたしまして、個人の負担でなく、
公営によ
つてこういう
演説会場の表示をいたすことにいたします。それから(ロ)は「一
個人演説会においては、
前記(イ)の
立札の外、
候補者の負担において、
演説会場を表示する
ちようちん(一箇)を
掲示し得る」、
ちようちんにつきましては、一箇に
限つて候補者自身の負担でできる、こういうことにいたすわけであります。(ハ)は、
前記の
ちようちんの大きさについては、一定の
制限を設けるということにいたします。それから(ニ)は、
個人演説会告知用の
ポスターの大きさは、タブロイド型といたしますが、これを
候補者一人について四百枚の
範囲内において認める。こういうことにいたしまして、
衆議院の
選挙におきましてその
ポスターとして認められるものが、これだけになるわけであります。
それから二十八は、
演説会の
禁止でありまして、先ほど申し上げましたように、
衆議院議員選挙の
特例といたしまして、
演説会、
立会演説会、
個人演説会等について特別の
規定を置きますので、こういう
演説会以外につきまして、
選挙運動のためにいたしまする
演説会、これは
座談会もひつくるめましての話でありますが、そういうものは、いかなる名義をも
つてするを問わず、開催することができないものとするということにいたすわけであります。
それから二十九は、街頭
演説の問題でありまするが、街頭
演説につきましては、(1)
選挙運動のためにする街頭
演説、この街頭
演説は、屋内から街頭に向
つてする
演説を含むわけでありますが、そういう街頭
演説につきましては、一定の
証明書及び標旗を所持させることによりまして、
演説者がその場所にとどま
つてする場合でなければ、街頭
演説を行うことができない、こういうことにいたすわけであります。この屋内から街頭に向
つてする
演説と申しますのは、屋内における
個人演説会の場合、そのマイクから外に向
つてその声が聞える、こういう場合のことを
意味しておるのではありませんで、初めから街頭でやらないが、そのかつこうとして、事実は屋内から街頭に向
つてや
つておる、そういう
演説を含む、こういう
意味であります。(2)は「右の
証明書及び標旗は、当該
選挙管理委員会が
候補者一人につき各一(
参議院全国選出議員については各十五)を交付する」こういうことにいたすわけでありまして、わかりやすく申し上げますれば、標旗を持
つてある場所にとどま
つてでなければ、街頭
演説ができないということになるわけであります。
それから三十の
連呼行為と街頭
演説とは多少関連がありますので、三十の
連呼行為でなおつけ加えて申し上げますが、(1)は「
選挙運動のため、特定の
候補者の
氏名若しくは政党その他の政治団体の名称の
連呼行為又は
演説会若しくは街頭
演説の告知のための
連呼行為については、街頭
演説用の標旗を掲げて、
選挙運動用自動車若しくは
船舶の上において又は
自動車以外の諸車(一台に限る、)の上においてする場合でなければ、これを行うことができない」ことにするということでありまして、
連呼行為は、いわゆる街頭
演説用の標旗を掲げまして、
自動車あるいはその他の諸車あるいは
船舶の上でする場合でなければ、これができない。こういうような
規定にするわけであります。それから(2)は「夜間の
連呼行為の
禁止事項に
演説会又は街頭
演説の告知の場合を加え」ることにいたしまして、同時に時間を、現在は午後十時から午前六時まで
禁止してありましたのを、一時間早めまして、午後九時から
禁止して、朝の午前六時まで
禁止する、こういうことにするわけであります。
それから三十の二は、標旗を要する
選挙運動の運動員でありまして、この標旗を要するというのは、街頭
演説の場合と
連呼行為の場合が標旗を要する
選挙運動になりますが、その場合の運動員について、十五名の
制限を設けるわけであります。街頭
演説及び
連呼行為においては、
選挙運動に従事するもの、これは必ずしも車に乘る場合に限らないが、とにかく乘る場合におきましては、運転手、助手その他労務を
提供する者を含めまして、
選挙運動に従事する者は、
公職の
候補者一人につきまして十五人を越えてはならないという
制限を設けまして、その
人たちには一定の腕章をつけさせる
——これは交付することにいたしますが、そういうことにするわけであります。
次は三十一、
選挙公報でありますが、
選挙公報につきましては、
條例の定めるところによりまして、すべての
地方選挙につきましても、
原則として
選挙公報を発行し得る道を開くことにいたすわけであります。
(2)は、
選挙公報は
選挙期日前三日までにその地域に配布することにな
つておりましたのを、
選挙期日前五日までに配布することにいたしまして、できるだけ有権者に早くわかるようにいたしますが、
同時選挙の場合におきましては
期間が
短縮され、かつ
條例等でいろいろ
期日を定めまするので、その場合におきましては、
條例で定める
期日までということで、そこに多少のゆとりを設けるわけであります。
(3)は
衆議院議員選挙の
特例として、先ほども申しましたが、
無料葉書を一万枚に減らしまして、そのかわり掲載文の字句を五百字から千五百字に増加する、こういうことにいたしたのであります。
三十二は、
候補者の
氏名等の
掲示でありますが、これは
参議院全国選出議員の
選挙以外の
選挙において、
選挙運動用ポスターをすべて
禁止することに伴いまして、
現行の
公営によりまする
候補者の
氏名等の
掲示制度を活用いたしまして、その
掲示箇所、
掲示方法、
掲示期間等に改善を加えまして、たとえば
投票所の入口だけでなく、
投票凶におきまして、
衆議院選挙について申しますならば、三
箇所から五
箇所くらいの
区域にして、できるだけ一般にわかりよい
掲示方法をやることによりまして、これもできれば板等に
氏名を書きまして、そういうような
掲示の方法を講じさせる、こういうことにこの立法趣旨はな
つておるわけであります。
三十三は、
投票所内の
氏名等の
掲示でありますが、
選挙当日、
投票所内の
投票記載のボツクス
ごとに、
候補者の
氏名及び党派別を
公営によ
つて掲示をする、こういうことにいたしまして、従来入口にありますけれども、中で実際の
氏名を書きます場合に、忘れたりあるいは名前を思い出せないということがありますので、その
便宜に資するためにこういう
制度を設けるわけであります。但し右の掲載いたしまする順序につきましては、
市町村の
選挙管理委員会がくじで定める、こういうことにいたすわけであります。
三十四は、
選挙運動の収支
報告書の提出でありますが、これは従来
原則として二回提出とな
つておりますのを一回といたしまして、
選挙運動の収支
報告は、中間
報告を廃止して、
選挙期日から十五日以内に精算の上、一回
報告させる、こういうことになるわけであります。精算後いろいろ寄付を受けたり支出をいたしました分につきましては、従来
通り、そのありましたことをその都度
報告させるということにつきましてはかわりはありません。
三十五は、法定
選挙運動費用でありますが、これも
衆議院議員選挙の
特例として、
選挙運動費用は経済の実状に即せしめるために、その基準額を、
現行二円でありますのを四円に
引上げまして、これを
法律で明らかにすることにいたしました。それ以外の
選挙につきましては、従来政令で定めておりまするが、この際いろいろの点もありますので、従来
通り政令で、
引上げる必要があれば
引上げさせる、こういうことにいたして、
衆議院につきましてのみ一応法定する、こういうことにいたしたのであります。
三十六は、実費弁償及び報酬の基準額でありますが、当該
選挙管理委員会は、
選挙運動に従事する者に対する交通費、宿泊費、弁当料等の実費弁償及び労務者に対する報酬についての基準額を定めることができる旨の
規定を設けまして、その基準に応じて
候補者が支払い得るということにいたしたのでありまして、往々にしてこういう者に金を出しますることは、取締りの対象となるきらいもありますので、当然のことではありますけれども、そういうことを
法律の上において一応特に明らかにしたわけであります。
三十七は、
選挙運動期間中の政党その他の政治運動でありまするが、これは
衆議院議員の
選挙の
特例としまして、政党その他の政治団体の政治活動について、次のような規正を行うことになるわけであります。
(イ)は
選挙運動の
期間中に限り、政党その他の政治団体の政治活動のうち、政談
演説会の開催、
ポスターの提示及び自動の
使用による宣伝については、次の
制限を設ける、こういうことにいたすわけであります。その(イ)は、政談
演説会の開催は、一
選挙区につき一回とする。(ロ)は、
ポスター——大きさはタブロイド型でありますが、その
ポスターの
掲示は、政策の普及宣伝用、または
演説の告知用といたしまして、一
選挙区につき千枚以内とするわけであります。この場合におきましては、
都道府県の
選挙管理委員会の検印を受けさせることにいたしまして、その
ポスターには
候補者の
氏名を記載してはならないという
制限を設けたわけであります。それから(ハ)は、政策の普及宣伝及び
演説の告知のために
使用する
自動車については、政党その他の政治団体の本部及び支部を通じて次の区分による台数とするのであります。この場合におきましては、自治庁長官から
証明書の交付を受けて、一定の表示をしなければならないことにな
つております。ここで自治庁長官と申しましたのは、全国
選挙管理委員会が機構の
改正によりましてなくなりますので、かようなことにしたわけであります。(a)は所属
議員候補者が二十五人以上百人未満の場合は三台以内、(b)は所属
議員候補者が百人以上二百人未満の場合は五台以内、(c)は二百人以上の場合は八台以内というように
自動車の
制限をするわけであります。
(2)でありますが、
前記(イ)(ロ)及び(ハ)に揚げる政治活動を行うことができる政党その他の政治団体は、全国を通じ二十五名以上の
候補者を有する政党その他の政治団体に限るものとするということでありまして、ここで政党その他の政治団体の
範囲が、一応
衆議院の
選挙の
特例としては、こういうように限定されることになるわけであります。これは
選挙運動につきまして、
候補者の運動を
制限いたしますことと相対応するわけでありまして、一人一党等の政党等がありました場合におきまして、その脱法
行為等によりまして
選挙運動を恣意にすることを規正する
意味におきまして、こういう
制限を設けることにな
つたのであります。右の
適用を受けようとする場合においては、政党その他の政治団体の本部は、所属
候補者の
氏名を連記して自治庁長官に届け出て、その確認を受けなければならない、こういうことにするわけであります。
(3)は、
前記の政治活動の規正は、
衆議院議員の総
選挙に限り
適用し、再
選挙及び
補欠選挙については
適用しないというふうにしたわけであります。今
衆議院議員選挙の
特例ということで申し上げましたが、その
特例は、
衆議院議員の
選挙の
特例と申し上げております場合におきましては、再
選挙、
補欠選挙、総
選挙、すべて含む
意味でありまして、この政治活動につきましては、総
選挙に
限つて一応こういうことにいたしたわけであります。
それから(4)は、政党その他の政治団体の機関紙誌
——機関
新聞紙、機関
雑誌の問題であります。政党その他の政治団体の発行する
新聞紙及び
雑誌については、
前記(2)に該当する政党その他の政治団体の本部において直接発行し、かつ通常の方法により頒布する機関
新聞紙または
雑誌で、自治庁長官に届け出たものいずれか一つに限り、
選挙に関する
報道及び
評論の掲載の自由を認める、こういうことにいたしたわけであります。これは先ほど百四十
八條のところ、
要綱の二十三で申し上げましたように、
新聞紙、
雑誌につきまして、一年以来それが発刊してあるというような
制限を設けましたが、政党機関紙等につきましてもそれがかぶ
つて参りますから、これをその
適用から除外することにいたしまして、それと同時に、また無数にその
新聞紙等を認めることは適当でありませんので、一種に限る、こういうことにしたわけであります。
次は三十八、
選挙または
当選の効力に関する訴願であります。これは
事務上の
改正であります。
三十九は、
当選争訟における潜在無効
投票の処理であります。これはこの前
地方選挙におきまして非常に多くの問題が起りまして、各
地方におきましてこれがための
当選争訟が無数に起
つておるわけであります。この問題につきまして、この
改正の機会に一応
法律上の解決をいたしたわけであります。この
規定は、同時にこの前の
選挙中の争訟につきましても、この
法律が公布されます場合に係属中のものについては
適用する、かようにいたすわけであります。その
内容は、
当選争訟において、
選挙の当日
選挙権を有しない者の
投票その他無効原因が表面に現われない無効
投票で有効
投票に算入されたことが明かで、かつその帰属が不明な
投票があることが判明した場合における第九十五條の
規定による有効
投票の計算については、
開票区
ごとに、各
候補者の得票数から当該無効
投票数をそれぞれ一律に差引くことであります。この場合において、
開票区における当該得票数が当該無効
投票数より少い
候補者については、当該
開票区においてはその得票数の限度において差引くことにいたすわけであります。右の
規定は、本
改正公布の日において係属中の争訟についても
適用することにするわけであります。
次は四十であります。
選挙管理
費用でありますが、
選挙公営に関する
規定の
改正に伴いまして、以上申し上げましたような事項で
公営にいたします分につきましては、
選挙管理
費用の
公営のところに所要の
改正を加えるわけであります。
四十一罰則でありますが、罰則につきましては、一は、詐偽
投票罪の未遂を罰する旨の
規定を設けること。二は、今までるる申し上げましたような
規定の新設に伴いまして、その
禁止規定に違反しましたものにつきましては、所要の罰則を設けることにいたしたわけであります。
それから四十二は附則であります。これは従来の附則の六項を
改正いたしたわけでありますが、鹿兒島県の大島支庁管内の旧十島村の復帰に伴いまして、大島支庁管内の十島村のうち黒島、竹島、硫黄島とありますのを、大島郡三島村及び十島村に改めることということでありまして、これはこちらに復帰したのに伴います所要の
改正であります。
四十三は、別表第一でありますが市の新設に伴い、
衆議院議員の
選挙区の別上表第一の整理を行うことでありまして、これは
公職選挙法の一部を
改正する
法律案の一番最後のところの附則の前の八十六をごらんになりますと、別表第一中いろいろな
改正を加えてあるわけでございます。これは
選挙区制の問題等に触れた
改正ではございませんので、従来町等が合併しまして市ができ上りました場合に伴いまするただ
事務的な整理でありまして、全体で四十二の市が新しくできたのであります。この前の
公職選挙法の別表がつくられましてから後、さような結果にな
つておるわけでありますが、そのうち三つの市はいわゆる一県一区のところでありますので、それを除きますと、三十九の、市にわたりまして別表第一の所要の
改正をいたすわけであります。
それから四十四は
改正法の附則の問題でありまして、これは
公職選挙法の一部を
改正する
法律案の最後の附則のところ五十ページをごらんになりますと、そこに書いてございますが、かような附則を設けまして、あわせて
経過措置をここで
規定いたすわけであります。
この
改正法は昭和二十七年の九月一日から施行することにいたすわけでありますが、この六月一ぱいでかりに
参議院が通るといたしますれば、七月、八月の二箇月を一応の政令その他の準備
期間、あるいは
地方の
選挙管理委員会等に対する啓蒙
期間といたしまして、九月一日から実施することにいたすわけであります。但し
衆議院議員の選不在関しましては、次の総
選挙から施行することにいたしまして、自動的に、総
選挙の時期がいかにあろうとも、早い時期あるいは遅い時期に適当にその前後において
適用する、かようなことに考えているわけであります。以上申し上げました点につきましては、
法律案の中に詳細に
規定してございますが、大体私から
改正案の要網につきまして申し述べた次第であります。
なお附則につきましては、政治資金規正法の一部を
改正することにいたしております。これは先ほど御説明いたしました
通り、
候補者の選考運動
費用の
報告を一回にいたしましたのに伴いまして、政治団体等の政治資金規正法によります
届出等につきましても、その
回数を減らし、従来年に三回
届出をしていたものを年に二回にするということであります。
以上であります。