○
田中(角)
委員 私は
簡單に
住宅金融公庫の総裁と
住宅局長に、
質問ではなく、希望を兼ねて申し上げておきたいと思います。本日は
参考人の御
意見を聽取する会でございますので、こういう発言はどうかと思いますが、私はこの次の機会に出席できないかと思
つておりますので、私の
意見を申し上げておきたいと
考えます。
いろいろと御議論がありますが、私はこの
法律案につきましては、
公庫住宅の利用者の
負担を軽減したいために
補償制度を設けるという原則的理論には賛成であります。しかし、
住宅金融公庫の現在の
状況において、
補償制度をつく
つて、
保險の加入を解消するということに対しては、全面的に賛成をするわけには行かない。そう申し上げるよりも、時期尚早であるというふうに
考えております。私は自由党の議員でありますので、党の意向も十分くみ、しかも私の理論と一致をする観点から申し上げるのでありますが、現在
日本に
住宅政策というものが非常に貧困であるために、適切なる
住宅政策をとらねばならぬということは、申すまでもありません。
住宅が拂底しておることも、私が言わなくてもその通りでありますが、その
方法としては、いわゆる
住宅が不足だから国の
一般財政から金を入れて、幾らでも
住宅をつくるのだという
考えには反対であります。理論的に
考えても、国家予算というものは、無料公開の原則に立つものに対して費消せらるべきが原則であります。その
意味において、私たち自身も、
住宅対策に対しては過去長いこと苦心をし、しかもこれに対して献策も行い、
立法もして参
つたのでありまして、
住宅金融公庫法の成立に対しても、当
委員会は相当な努力を
拂つたのであります。
住宅が少いから、今までの貧困な
住宅行政の面のみでは、この問題を解決することはできない。その
意味においては、第一種公営
住宅、第二種公営
住宅のごとき
法律案を通したり、また
住宅金融公庫法のごとき
法律案も通して、
住宅拂底を緩和しなければならぬ、こう
考えておるのでありますが、普通の原則論から言いますと、
一般の
国民から吸い上げた
一般会計の歳出金をも
つてまかなうものは、こういう特殊な、嚴密に言いますと、ある一部の
人たちが利益を得るための支出には、なるべく使わないことが原則でなければならぬ。現在道路にしても、あらゆる面に対して不足でありますが、ただ大きなわくからい
つて、
住宅問題を解決するためには、そんな理論は言
つておれないのだということで、
一つの便法とし、まだ理論的のもいろいろな議論があるにもかかわらず、
住宅というものに対して、
一般公共
事業費の中で相当大きなわくをと
つておる。これは現実的な問題としてやむを得ないことであります。
住宅は、少くとも利用する
人たちが自分の資力でつくることが理想であります。もちろん高度の社会保障
制度をやらなければならない現在の社会情勢として、こういう理論的にのみ終始するのでなく、第一種公営
住宅、第二種公営
住宅をあわせて公営
住宅法を制定し、しかも現在
住宅金融公庫法を制定しておるのでありますが、いわゆる国家
補償の
立場から、当然引揚者あるいは要保護者に対して與えられる
住宅に対しては、これはもう無條件に
負担軽減というものを第一義に掲げなければなりません。しかしその
ような問題に対しては、現在府県営の国庫補助公営
住宅に対しては地方自治法による共済
制度が設けられておるのでありまして、その通り
住宅金融公庫法によるところの
住宅に対してもやろうという
政府の御
提案でありますが、これは少し
考えなければならぬと思う。
住宅金融公庫というものは中産階級のうちをつくるのではないかということをいろいろな議論として言われてますが、これは当然なことであります。厚生省が
考えました第一種、第二種公営
住宅というものは、これは要保護者のためにつくる、そのため法律を制定したのであります。それと
住宅金融公庫を使うものの中間的なものに対して、現在の公営
住宅法が適用されておるわけであります。それと自費でも
つてつくれない人の中間層をねら
つたものが
住宅金融公庫法であらねばならない。もちろん国家投資をする場合には、
住宅が必要であるために国家投資をしなければならないと同時に、この回收は確実でなければならぬ。そういう二つの相反する面を同時に行おうとするところにいろいろな問題があるのでありますが、
住宅金融公庫もその
意味において公営
住宅法による公営
住宅と一律に論ずることはいけないと私は
考えております。だから私は将来の問題としては、先ほど
上林山
委員も言われましたが、
住宅金融公庫法による
住宅を現在つくろうとしておる
人たちは、できるだけ自分の資力をあげてこの公営
住宅を買收する
ような方向に進んで行かなければならぬと思います。しかもその回收せられた金は、再びこの種の
住宅建設資金に投資をせられて、
一般会計からの支出の金は、なるべく小さく圧縮をして行かなければならないということは、私は原則論であろうと思います。それは理想に走るものであるというならば、私は今そこに大蔵省の
保險課長がおいでになりますので——今金融統制をや
つておりますことはやむを得ませんけれ
ども、こういうものこそ金融統制をはずした第一段の処置として、これは
保險会社の
方々にお聞きするということではなく、われわれ自体の力でやらなければならないと
考えております。金融統制が、国家
資金もそうでありますが、今いろいろな問題を起しておる。金融統制のわくははずすべきだ。なお預金部
資金問題等もいろいろ問題がありますが、私は金融統制をはずすということを前提にした場合、
火災保險の余剰金は当然
住宅投資に振り向けられるべきだ、これは法律をも
つて行うべきだと
考えております。その
意味において今
住宅金融公庫を使
つておられる
ような
方々は、将来
火災保險会社の余剰金の
対象になる
住宅を借りて、それよりも一歩進んだ場合には、前に
日本勧業銀行がつく
つてお
つたようなものまで進歩しなければだめだ、こういうふうに
考えておりますので、今
住宅金融公庫法による何万戸の
住宅に対して
保險料率が高いから、しかも、この間
政府の言われた
ように、三円何十銭でや
つて行けるということを言
つておりますが、こういうことをや
つておると、
住宅政策に対する
一般の不信が起きて来る。これは働いたものの中からまず第一番にうちをつくるという進取な気象をつくる
意味においても、ただ現実のみにこだわ
つて高い利子を掲げると、私は
住宅政策に対して破綻が来ると
考えておりますので、その
意味においても、現在の
住宅金融公庫法の
改正案から強制加入
保險というものを取除いたということは反対であります。ただ
料率の問題に対してはいろいろありますが、これは
保險会社とそれから
住宅金融公庫との間で十分検討せられて、妥結点を見出せるわけでありますので、これはわれわれが関知しなくても、あなた方が本法の精神を十分理解せられておるのでありますから——運用の上において
保險会社は当然三五%限でなければならないというのか、五〇%といわれるのか、それはあなた方は利害が相反する
立場でありますので、これは両者で十分妥結ができる。ただ大本を間違
つてもらいたくないということだけを申し上げてみたいのであります。
もう
一つ、この間、
住宅局長が発言せられておりましたが、私はそのときに反問し
ようと思
つたのですが、時間もありませんでしたのでそのままにな
つておりましたけれ
ども、
補償制度という問題に対して、自由党やその他の政党が、
民間企業が圧迫せられるからということを言
つておられます。私は、そういうふうな
意味で申し上げておるのではありません。
政府企業というものは、大体結末はうまく行かないのです。本
委員会で取上げた一番大きな問題の中で
住宅営団の
建物がありますが、これのしまいというものも、ま
つたく安かろう悪かろうに
終つてしま
つたわけであります。三円何十銭で
政府が十分
補償制度をつく
つてやれるというけれ
ども、その
補償額を越える災害が起きた場合はいかにされるか。こういう問題に対しては、必ず国家が
政府損失として欠損処分にする以外にないのです。欠損処分にして行くと、
政府の金はもら
つたものだ、復興金融金庫から借りたものはもら
つたものだ、こういう税金は納められない、私たちはこういうところに線を引きたい。
住宅金融公庫の選に当
つて金を借りたものは、
一般の財源の中から出してもら
つておるだけに、
一つの恩典に浴しておるのだという感情だけは捨てたくありません。私たちは
住宅金融公庫法を制定した当時、そういうきつい
意見を出しております。これはうちがないのですから、選に当
つた、うちができた、税金も拂わぬでよい、
保險料も安い方がいい、なお燃えたら国家
補償をしてくれるのなら、これはまことにいいのです。これはソ連へでも行
つてやらなければこういうことはできない。私はこういうふうに
考えております。このたびの
状況においては、少くとも
住宅金融公庫法のほかに公営
住宅法があるのでありますから、特に
住宅金融公庫法のねらうところをお間違いにならないで、将来
火災保險会社の余剰金は
住宅建設に振り向けられるべきであり、究極の目的としては、特別な人の利益を目標とした
住宅政策は変更せらるべしという結論から、この
火災保險の小さな問題を論ずるよりも、大きな問題を論ずる方がよい。特に
保險課長がおいでになりますので、この
資金統制のわくがはずれた場合は、大蔵省がみずからこれを買
つて出て、
住宅政策を立案せられることを希望します。非常にはげしい言葉になりましたが、時間がありませんのでこんな強いことを申し上げたのでありまして、私の意のあるところをくまれることを希望します。