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1952-05-22 第13回国会 衆議院 建設委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十二日(木曜日)     午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 松本 一郎君    理事 内海 安吉君 理事 田中 角榮君    理事 村瀬 宣親君 理事 前田榮之助君       淺利 三朗君    上林榮吉君       小平 久雄君    瀬戸山三男君       高田 弥市君    内藤  隆君       西村 英一君    増田 連也君       池田 峯雄君  出席国務大臣         建 設 大 臣 野田 卯一君  出席政府委員         建設事務官         (管理局長)  渋江 操一君         建設事務官         (住宅局長)  師岡健四郎君  委員外出席者         議     員 大矢 省三君         建設事務官         (大臣官房文書         課長)     小林與三次君         建設事務官         (住宅局住宅金         融課長)    前田 光嘉君         専  門  員 西畑 正倫君         専  門  員 田中 義一君     ————————————— 五月二十一日  道路法改正案特別負担金条項削除の請願(  塚田十一郎君紹介)(第二九九九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  住宅金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣  提出第一四九号)     —————————————
  2. 松本一郎

    松本委員長 ただいまより建設委員会を開会いたします。  住宅金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたし、前会に引続き質疑を続行いたします。通告順によりましてこれを許します。上林榮吉君。
  3. 上林山榮吉

    上林委員 住宅金融公庫法改正について総括的な質疑を二、三いたしてみたいと思います。  住宅政策を充実して行くことはもちろん賛成であるし、われわれこれを強調しておるのでありますが、その一環として住宅金融公庫運営をどうするかということが特に重大な問題であると考えます。そこで私がまず第一にお伺いいたしたいことは、貸付に対する利率の問題であります。政府においては郵便貯金利率引上げたということと関連して、五分五厘のものを六分に値下げした、こういうことでありますが、私はこの考え方は役人的な、官僚的な考え方であると考えるのであります。それならばどういうわけで官僚的な感覚による改正であるかというと、単に五分五厘を六分に引上げたからというだけではありません。今後の住宅政策というものは五分五厘で貸付をしなければならないような、あるいは公営住宅の第二種に準ずるような考えも一部は含まなければならない。あるいは普通の状態においてはこれは六分でもよろしいが、さらにたとえば工員住宅をつくるような場合、これは会社が相当資本を持つておるのでありますから、こういうものに対しては七分五厘でもよろしい。またこういう会社は七分五厘でも喜んで申込みをする状態である、こういうふうに考えるので、私は平均六分になりさえすれば収支バランスが合うのではないか、これがまた社会の実情に適するやり方じやないかと考えるのでありますが、政府はこれに対してどういう考えを持つておるか、この点をまず伺つてみたいと思います。
  4. 師岡健四郎

    師岡政府委員 六分の引上げにつきましては、先般来御説明しておりますように、公庫の現在の資金構成は、資金運用部から百八十億借りるという建前になつております。従いましてこの利子払いをいたしますると、全体に割掛けまして約二分五厘の資金コストがいるわけであります。これに対しまして公庫の経費がさらに三分若干かかりまするので、これらを加えまして六分に引上げる、つまり全体の資金構成から申しまして、財政資金が多少減少しましたので、さような措置が必要になつたわけでございます。ただいまのお話の、利率を貸し付ける対象によつて差をつけてはどうか、まことにごもつともな御意見でございまするが、今回の改正におきましてこれを採用いたしません理由は、今年度貸付計画が百五十億を全体としまして個人貸しをするというのが、予算査定のときの建前でありまするので、産業会社に貸すものがございません。ありますれば七分と五分五厘と通じて六分を保つということができまするが、産業会社方面へ貸すことが予算折衝過程において認められておりませんので、六分を確保しますのには、六分一本にすることが必要になるわけでございます。また実際の事務の取扱いからいたしまして、公庫側意見としましては、いろいろな利率にしますることは非常に事務が複雑になるという面もありましたので、一応六分一本の利率といたした次第であります。
  5. 上林山榮吉

    上林委員 きわめて常識的な御答弁であつたと思うのであります。私はただいまの御答弁の中で利率をそれぞれ貸し付ける対象によつて変更すると事務が複雑になるからやらないんだ、こういう点は問題にすべきじやないと思いますが、ただいまの百五十億の予算を組むときの考え方が、産業用住宅にはこれを流用しないことになつたから六分にしないと収支バランスが合わない、このりくつははつきりわか出るのであります。しかしおつしやるように個人住宅にこれを振り向けなければならないが、ある程度産業会社工員住宅、いわゆる労働者住宅という意味住宅問題を解決することは、大局的な住宅政策という点からいつて最も必要なことである。しかもこれをつくることによつて一般住宅も緩和されて来る結果になるので、どちらを先にしても同じではないか。但し大前提としては、おつしやるように大部分のものは個人住宅にこれを持つて行くということが、今の日本の現状からいつて間違いのない考え方であると思うのでありますが、これに対してどういうお考えを持つておるか。なおまた産業用住宅申込みとか過去における成績とかの状態はどうなつているか。あまり盛んでないのか、それとも非常に盛んに申込みがあるのか、これについて一応伺つておきたいのであります。
  6. 師岡健四郎

    師岡政府委員 産業労務者住宅がきわめて大切であることは御意見通りでありまして同感でございます。ただ非常に住宅金融公庫申込みが多くなりまして、一般のものにつきましては、一時は二十何倍というような申込みなつたわけでございます。その際に産業会社申込みも相当ございました。そこで予算の全体の量から申しまして、二十六年度からは一般個人分をまずさしあたりやろうということになりまして、産業会社の分はあとまわしになつたという事情でございます。将来にわたつてずつと産業会社住宅を認めないという趣旨ではございません。過去の申込数は今手元に資料が十分ないのですが、二十五、二十六年度について申しますと、事業生体数では二十三件、建設戸数にしまして千二百五戸という申込みがあつたのであります。
  7. 上林山榮吉

    上林委員 公庫が出発してから今日までの資金の内容、簡単に申し上げますと、財政資金をどれだけ持つて来ておるか、あるいは財政資金以外の金がどれだけであるか、その双方の利率合計はどういうふうになつておるか、これを伺つておきたいと思います。
  8. 師岡健四郎

    師岡政府委員 政府出資金は当初の二十五年度におきましては五十億、二十六年度におきましては八十億、二十七年度予算におきましては五十億、従いまして政府出資金合計は百八十億であります。それから米国の対日援助見返資金特別会計からの交付金が、初年度の二十五年度におきまして百億円、資金運用部資金からの借入れが、二十六年度におきまして最初五十億、追加予算におきまして三十億、合計八十億、本年度におきまして百億、合計借入れは百八十億になつております。
  9. 上林山榮吉

    上林委員 見込資金の二十五年度分の百億を除けば、あと利率はみな同じではないはずでありますが、どういうふうになつておりますか。
  10. 師岡健四郎

    師岡政府委員 利率公庫が貸す場合には、従来は全部五分五厘とつておつたわけでありますが、資金運用部の二十六年の五十億分につきましては五分五厘の利子を払い、その後につきましては六分五厘に相なつております。
  11. 上林山榮吉

    上林委員 これは住宅局長に対しては少し無理かと思うのでありますが、問題は建設大臣ないしは大蔵大臣お尋ねをしなければならない問題だと思うのでありますが、しかし経過とか将来の見込みとかいうものについて、いろいろ折衝過程等もあると思いますので、そういう意味からひとつお伺いをいたしたいのであります。私は六分五厘というような政府資金をこの方面に持つて来るということは、一応現段階においてはこれはやむを得ない、ことにこれが融資住宅であるという意味においてまたやむを得ないことだと考えております。この方面運用もより以上今後もやらなければなりませんが、そういうものが私は六分五厘あるいは六分の貸付利率によつて運用してもいいと考える、しかし先ほど申し上げる通り庶民住宅というような関係から考えますと、もう少し政府利子の安い金を持つて来てこれを運用する、あるいは無利子のものを持つて来て運用して行くというような私は熱意がなければならぬ、こういうふうに考える。それでそれが全体のわくの二割に当るか三割に当るかは別として、それくらいの見識を持つて日本住宅政策というものをやつて行かなければ、それこそ一部理解なき人々が、これは中産階級以上の家をつくるところの公庫じやないか、こういうような誤解に基く宣伝をするのであります。私どもはそういうような意味から考えまして、どうしても今言うように利子の安いものを持つて来て運用する、あるいは無利子のものを持つて来て運用する、こういう考えが必要だと思う。もちろん金融公庫運営によつては、坪数はこれは十坪のもつくることができるし、十五坪のもつくることができるのでありますから、これは私は運営やり方によつて庶民住宅にもなるのでありますけれども中産階級以下の住宅政策であることには間違いはないと考えておりますけれども、その中に今言うような要素をもう少し注意をして行かなければ、私はそれこそ単なる収支が合えばいいとか、ちよつとプラスになる営業政策をやらなければならぬとかいう観念に、今度はかわつてしまうと思う。私は今後こういう方針で進まなければならぬと思うが、これについて大蔵省との折衝とか、あるいは政府部内の意見とか、住宅局長として知り得る範囲の情報をここに提供してもらいたい、こういうふうに考えますので、お尋ねをいたします。
  12. 師岡健四郎

    師岡政府委員 公庫貸付方針としまして融資対象庶民階層である、従つて、できるだけ安い利率で貸し付けるようにしなければならぬという御意見につきましては、私としましては、まことに同感でございます。ただ現在の財政事情からいたしまして、財政資金初年度において五十億、二年度におきましては八十億、本年度におきましては五十億円ということになつておるのでありまするが、この間の事情につきましては住宅金融公庫としまして最大の努力を払つておるということだけを私からお答え申し上げます。
  13. 上林山榮吉

    上林委員 財政資金によらない一般会計からの住宅資金獲得、こういう問題に対して建設省としては、二十七年度にはどれだけ要求してこれだけ認められたのであるか、それから二十八年度住宅政策資金として、一般会計からどれくらいもらう覚悟で準備をしておるのか、この点を私はお尋ねしておきたい。
  14. 師岡健四郎

    師岡政府委員 予算折衝は、公庫に関しましては一応公庫大蔵省折衝することになつております。二十七年度分につきましては約三百億要求しましたのですが、五十億円ということになつたのであります。
  15. 上林山榮吉

    上林委員 私は住宅金融公庫住宅資金予算獲得資金獲得ということに努力することはこれは当然だと思いますが、建設省としてそんなにお逃げにならないで、私は局長はもちろん次官にしても大臣にしても、公庫とともに予算獲得をやるということが日本住宅政策の遂行の上において重大な役割を持つておる、こういう意味で二十八年度予算獲得に対しても、私は今まで以上の努力をされなければならぬ、こう思います。これはもう私の意見でありますから、お答えはいりませんが、新しく住宅局長なつ師岡氏は、公庫にもおられたのだから、この問題については相当に苦労されて身にしみておるだろうと私は想像する、だから今後のあなたの努力はさらにひとつ重大なものがあるということを私は申し上げてこの問題の質疑を終りますが、次にこれも大臣の方がいいのでありますけれども大臣は私の質問に対してすでに了解を与えられておるかのごとき答弁をしておりますが、さらに念のため申し上げますというと、先ほどの利率の問題で申し上げたように、貸付対象というようなものによつて利率が違わなければならぬというような意見を申し上げましたが、これと類似した感覚でありますが、貸付対象範囲をもう少しひとつ広げて行くということが実情に合うのだ、こういうふうに考えます。しかしなけなしの政府資金とか運用部資金とか、これだけでは日本住宅政策を十分にまかなつて行くことはできない、だから一応公庫から融資をするならば、その民間団体がこれを一有効に使つて、よりたくさんの住宅をつくる、そうすることが国民の要求に合うのだ、こういう考えを持つのでありまするが、これに対して大臣答弁になつたのでありますから、事務当局に重ねて聞く必要はありませんけれども、認識を深める意味において私は申し上げておるのでありまするが、新しい住宅局長はこれに対してどういう考えを持つておるか、お尋ねいたしておきます。
  16. 師岡健四郎

    師岡政府委員 貸付対象範囲をできるだけ広げる方がいいじやないかという御意見でございます。私としましても公庫の使命はまことに重大でありまするので、できるだけ手広く業務の範囲を広げた方がいいと思います。ただ現在におきましては資金量に限りがございますので、漸を追うてこの範囲を広げて行きたいというふうに考えております。
  17. 上林山榮吉

    上林委員 漸を追つて範囲を広げて行きたいと言われるが、大臣は、できるだけ早急に範囲を広げる、こう言つておられるので、ほとんど趣旨は同じと了解して、これ以上お尋ねを申し上げません。  次にお尋ねいたしたいことは、あなた方が御計画になつている、公庫住宅に対する災害保険の問題でございますが、この問題は、政府側の新しい考えというか、長所というか、そういう点から考えますと、たとえば災害住宅まで対象を広げて行く、一般保険に比べて対象を広げておる。こういう点は、私は非常に長所じやないかと考えるのでありますけれども、あなた方が提出しておられる三円五十銭見当の保険料で、十分に収支が償うとは私は考えていない。これは私がよく、官僚的感覚という言葉を使いますが、官僚的感覚に基く算定による三円五十銭、こういうことになつておるのじやないかと思うのでありますが、正確な資料を私どもは見ておりませんけれども、これに対してどういう考えを持つておられますか。三円五十銭ではとうてい収支は合わない、こういう考えを持つておりますが、これに対するお答えを願いたいと思います。
  18. 師岡健四郎

    師岡政府委員 一応の試算におきまして、大体千分の三・五、つまり千円につき三円五十銭の料率をとればいいじやないかというふうに考えております。この試算しました根拠でございますが、大体におきまして、火災あるいは災害などの統計等から推しまして、純保険料としては千円の一・五%あればいいじやないか。附加保険料としまして、約千分の二を加えたわけでございます。
  19. 上林山榮吉

    上林委員 パーセントで言わないで、金額に換算した場合どういう程度になりますか。
  20. 師岡健四郎

    師岡政府委員 ちよつと質問の要旨がわからないのですが、災害の……。
  21. 上林山榮吉

    上林委員 私の聞いているのは、保険料のことを聞いておるのであつて、三円五十銭という保険料であるという説明を聞いた記憶があるので申し上げておるのでありますが、パーセントでおつしやらずに、これを保険料に換算した場合に、合計幾らになるかという質問です。
  22. 師岡健四郎

    師岡政府委員 千円につき三円五十銭の料率でございますから、その内訳を分析いたしますと、純保険料については千円につき一円五十銭、それから事務費その他の附加保険料が千円につき二円ということであります。
  23. 上林山榮吉

    上林委員 三円五十銭ではまかないができないと、私はこう考えておるのです。ところが、あなた方の調査した資料がどういうふうになつておるか十分に知らないので、三円五十銭でまかないがつき得るのだという数字的根拠を、もう少し聞いておきたいのです。三円五十銭なんて簡単に考えておるが、それではとうていまかないができないだろう、こういうふうに言うておるわけです。そこでその答弁は、これから続いて賛同する問題と一緒にお答え願つていいのですが、三円五十銭では私はまかないはできないと考え根拠一つとして、私から提供したいことは、かりに、われわれはルース台風で経験をしたのでありますが、一府県だけで一万数千戸というようなものがやられてしまう。あるいは鳥取のように、非常なる大火が起る、こうしたような例は、今までの算定基礎であるあなた方の資料の中には入つていないじやないか、普通の状態における災害の率を考えているのじやないか、こういうふうな疑いを生ずるので私は聞いておるのでありますが、そういうことになつて来れば、三円五十銭の保険料ではまかないがつかないはずだ、こういう質問なんです。
  24. 前田榮之助

    前田説明員 かわりまして御答弁申し上げます。現在三円五十銭と一応計算しましたのは、過去の統計としまして、昭和年代からの火災及び風水害統計をもとにしまして、それと公庫の二年間の実績、そういうものを参考にして実は出したのであります。ちよつと簡単に申し上げますと、昭和十七年から昭和二十六年までの十年間の火災自然風水害の全部の統計をとつてみますと、そのときの住宅の総数に対して千分の四程度被害がございます。ところがこの被害は全部のものでございますので、公庫のように一定基準を設けまして、しかも構造がしつかりしております住宅については、その半分、もしくは六割くらいの被害を見ておけば、大体十分行くのでございます。そうしますと、公庫物件に対しては、大体被害率が千分の二・四という数字が出ております。その二・四のうち、被害のことでありますから、全焼するもの、あるいは半焼するものを適当にあんばいしますと、結局千分の一・六くらいが、支払うべき保険金額に相当する、いわゆる被害に対する保険料は千分の一・六とれば十分であろう、こういう計算をしました。それから、そのほかに異常災害先ほどお話がございました、鳥取なりあるいはルース台風というような異常災害がございます。これは毎年あるわけではございませんので、一般保険会社におきましては、その収入保険料の五%くらいを大火危険として見ておるようでございますが、公庫の場合には、それを多少多く見まして、一〇%ほど見まして、それに事務費分附加保険料を入れまして、三円五十銭とれば十体大丈夫だろう、こういう計算をしているわけであります。
  25. 上林山榮吉

    上林委員 さらにお尋ねいたしたいことは、かりに保険を五年間かける、その五年の間には償還も相当している、こういうことになると、その次の保険をかけるときにはあとの残額に対してのみかけると、こういうことになるのであつたと思いますが、そういうふうに了解してさしつかえないのであるかどうか。  それから、ただいまお答えの中で、異常災害というものの見方が少し軽いのじやないか。鳥取の場合にはほとんど公庫住宅は全焼したのじやないかと思いますが、その点はどういうふうになつておりますか。異常災害の場合のパーセント見方が非常に低いと思いますが、それは事実に違うのじやないかと思いますが、どうです。
  26. 前田榮之助

    前田説明員 異常災害と申しますのは、毎年一定の率をかけてとつておきまして、いざという場合に吊すというものであります。鳥取の場合のように一ぺんに焼ける都市は毎年ございませんので、毎年一定パーセントをとつておいて、それが十年に一ぺんとかあるいは二十年に一ぺんとかあつた場合にそれを使う。こういう意味で一応保険料のうち一〇%とつておけば過去の実績から見まして、保険会社もこうやつておりますので、大体十分であろう、こういう計算でございます。鳥取の場合におきましては公庫住宅は全焼いたしました。
  27. 池田峯雄

    池田(峯)委員 私は地代家賃統制令との関係をまず御質問したいと思うのですが、地代家賃統制令というものは、政府庶民が非常に高額な地代家賃負担に耐えかねているのでこれを何とか押えたい、こういうような意味から統制令が出ていると思うのであります。しかるに公庫の場合にはこれにかかわらずということになると、これは政府みずからが地代家賃統制を乱して行くということになる。そうして自然に地代家賃統制令が全体としてくずれて行く、こういう結果になると思うのでありますが、この関係について御説明願います。
  28. 師岡健四郎

    師岡政府委員 地代家賃統制令につきましては、現在におきましては新築貸家につきましては適用はございません。従いまして公庫の場合におきましては全部新築貸家でありまするので、その適用が当然ないわけであります。
  29. 池田峯雄

    池田(峯)委員 たとい新築の家屋には統制がないといたしましても、一応この地代家賃統制令で定められている家賃の額というもの、これが日本における家賃一つ基準になつているはずなんであります。しかるに公庫がこの基準額以上の家賃をとつて行くということになれば、当然これは全国の家賃がそれに基いて、公庫でもこのくらいとつているのだから、政府の方の家賃がこれくらいとつているのだからわしの方の家賃はこれくらいでいいというように、民間家賃がこれに伴つて上昇するというような結果を来すのではないか、こういうふうに私は考えられるのでありますが、この点はどうでしよう。
  30. 師岡健四郎

    師岡政府委員 公庫から融資を受けまして貸家を営みます場合に、その家賃の設定につきましてはもちろんいくら高くてもいいというものではございませんので、かかりました建築費原価計算その他償却を見まして、現在におきましては坪当りにおきまして二百六十円、特別の場合におきまして三百十円までとつてよろしいということを省令できめております。
  31. 池田峯雄

    池田(峯)委員 公庫家賃はそのとつてよろしいという範囲内にきめられますか。それともそれを超過いたしますか。具体的にひとつ説明願いたい。
  32. 師岡健四郎

    師岡政府委員 省令で定められた範囲内で全部定められております。
  33. 池田峯雄

    池田(峯)委員 次に提案理由の中に「住宅建設を一層促進するため」こういう語句が入つているのでありますが、今年度において、昨年に比較いたしましてどの程度住宅が増加するのか、公庫住宅がどの程度増加するのか、この点をひとつ具体的に数字的に説明願いたい。
  34. 師岡健四郎

    師岡政府委員 今年度予算におきましては百五十億によりまして五万戸の大体木造住宅ができる予定でございます。そのほか償還金によりましてなお三千戸ほどできる予定でございます。
  35. 池田峯雄

    池田(峯)委員 それでは本年度大体五万三千戸できるといたしまして、その内訳、たとえば住宅分譲事業に対する貸付であるとか、あるいは賃貸住宅建設するものに対する貸付、そういうものの内訳、あるいは耐火建築などに対する貸付の額、こういつたようなものをわけて五万戸の内訳を御説明願いたい。
  36. 師岡健四郎

    師岡政府委員 木造分が四万五千戸、それから鉄筋の分が五千戸。それから貸付対象によりましてわけますと、大体において個人対象としておりまするが、償還金の分に相当する分は、貸家アパート建設に使うという方針であります。分譲事業の分につきましては、法律改正前に全体の貸付計画が定まりましたのでまだ盛り込まれておりません。この法案が実現した上において公庫において考えることにいたします。
  37. 池田峯雄

    池田(峯)委員 住宅分譲事業に対する貸付と、それから賃貸アパートなどを建設するものに対する貸付と、それから純粋に個人個人で住むためにつくる住宅に対する貸付、この三つの内訳金額別に御説明願えないでしようか。
  38. 師岡健四郎

    師岡政府委員 個人分につきましては百四十七億千七百万円、それから賃貸分が二十億四千四百五十万円、合せまして百六十七億六千百五十万円であります。
  39. 池田峯雄

    池田(峯)委員 そういたしますと、この法律に出ております政府一般会計からの出資額百八十億並びに見返り資金からの百億、それから資金運用部からの借入れ百八十億、この出資額のうち本年度分は百五十億だけ、こういうことになるのでありますか、今年度新たに建設されるのは百五十億だけなのですか、将来もつと増額される見込みはないのですか。
  40. 師岡健四郎

    師岡政府委員 今年度の事業計画が百五十億でありまして、そのうち政府出資金が五十億円でございます。その他の資本金は、あるいは借入金はすでに二十五年度、二十六年度の事業に使われた分でございます。将来の分につきましては、今後予算を要求し、これを実現しまして、さらに将来の事業計画に充てたいと思います。
  41. 池田峯雄

    池田(峯)委員 そういたしますと、分譲事業に対する貸付予算がないということになるのでありますか。
  42. 師岡健四郎

    師岡政府委員 分譲事業は、この現在の予算ができますときには、まだ議題に上つておらなかつたわけでございます。この分譲事業は結局におきまして、個人がその譲り受けをするものでありますから、一般に貸し付ける予定の分からさいて分譲事業貸付を行いましても、効果においては同じであると考えられますので、一般分からおそらくまわすことになるのではないかと考えます。
  43. 池田峯雄

    池田(峯)委員 そういたしますと、百四十七億の中に分譲事業に対する貸付が割込んで行くわけでありますが、その割込んで行くであろう額、割合というようなものは、現在のところわからないわけですか。
  44. 師岡健四郎

    師岡政府委員 寄り寄り大体十億くらいと考えておりますが、これはまだ最終の決定ではございません。
  45. 池田峯雄

    池田(峯)委員 たとい十億くらい割込むといたしましても、住宅分譲事業に対する貸付によつて住宅が建てられて、個人がこれを譲り受ける場合には、この住宅公庫法による二十年、あるいは三十五年というような償還期限はおそらくないのだろうと思いますが、そういうことになりますと、むしろ個人住宅公庫から直接借りて住宅を建てて行つた方が、個人にとつては非常に有利になつて来る。そういう個人で建てた方が有利だという方に割込んで行くという結果になるのでありますか、この点はどうなのですか。     〔委員長退席、内海委員長代理着席〕
  46. 師岡健四郎

    師岡政府委員 分譲事業そのものに一応長期または短期で金を貸すわけでございます。この短期の場合につきましては、おそらく半年または一年で分譲事業資金を貸すわけでございますが、長期の分につきましては、結局その分譲事業を営む者に各個人が分譲金を払込みをすることによつて譲渡を受けるのでありまして、その譲り受け条件は、すべて三十六条によつて一定基準によつてやることになりますので、一般の場合よりも不利になるというようなことはないと考えます。
  47. 池田峯雄

    池田(峯)委員 その三十六条は一般償還年限とは違うと思うのですが、その点どうなつておりますか。
  48. 師岡健四郎

    師岡政府委員 一般よりも不利にならない基準をこの主務省令で定めたいと考えます。
  49. 池田峯雄

    池田(峯)委員 主務省令で定めて、一般と同じような譲り受けで償還ができるというようにするといたしましても、今度は住宅分譲事業者がその間に何らか利潤をむさぼつて、そのため自分が住宅公庫から直接借りて建てるよりも金がよけいにかかるとか、あるいは金に相応しない悪い建物であつたとか、こういう結果が往々にして生じはしないかということも考えられるのでありますが、この点をどういうふうに考えておりますか。
  50. 師岡健四郎

    師岡政府委員 この分譲事業により供して期待しておりますのは、むしろ個人々々がやる場合よりも団地計画あるいはたくさんの建設をいたすことによる建築費のコストの引下げというようなことがある程度期待されるわけでございます。一面不良な業者が非常に利潤をむさぼるような場合がありはせぬかという御心配でありますが、これはこの分譲事業を営む者に対しまして建設大臣の指定する者にのみ限るということにいたしておりますし、貸付にあたりまして、さようないわば不良な分譲事業者には事業はいたさせません。十分な監督をいたしますので、その心配はないと思います。
  51. 池田峯雄

    池田(峯)委員 なおこの提案理由の中に「住宅建設を一層促進するため住宅金融公庫の資本金を増加し、」という項目が出ておるのでありますが、この法律の中で具体的にどういうふうに資本金が増加しておるのでありますか。この点を御説明願いたい。
  52. 師岡健四郎

    師岡政府委員 第五条の第一項でございますが、従来の資本金は百三十億でございます。それと見返資金特別会計からの交付金百億でございます。本年度五十億円増加いたしまして合計二円八十億、従来の二百三十億円に対しまして二百八十億円に増加したわけでございます。
  53. 池田峯雄

    池田(峯)委員 もちろん一般会計からそれだけ出ておるわけであります。それは必ずしもこの法律を改正したから資本金が増加したのだということにはならないのであります。たとえば旧法によりましても、これはこの前も私が言いましたが、現行法によりましても、「公庫は、必要があるときは、主務大臣の認可を受けて、その資本金を増加することができる。」こういうことかがはつきり書いてあるわけでありまして、従つて現行法を改正しないでも資本金を増加することはできるはずなのであります。この改正によつて資金が増加したのだというようなことは、これは少し児戯に類するたぐいではなかろうか、こういうふうに考えますが、政府意見を伺いたい。
  54. 師岡健四郎

    師岡政府委員 この五条によりまして、ただちに資本金を増加したということには、あるいは相ならぬかと思います。しかしながら予算上五十億円の出資が定まり、この条文の改正と相まちまして、公庫の資本金が増加になつておるものと考えます。
  55. 池田峯雄

    池田(峯)委員 この点はなお大臣質問したいとこの間から考えていたのでありますが、大臣が出席したらなおその点について質問したいと思います。  なお提案理由の中に資金原価の上昇に伴いということがあります。これはこの前も社会党の前田委員からも質問がありましたけれども資金原価の上昇ということが、具体的にどういうことをさしているのであるか。この点をもう一ぺんお尋ねしたいと思います。
  56. 師岡健四郎

    師岡政府委員 公庫資金の構成におきまして、百八十億円の資金運用部からの借入れがあるわけでございます。この資金運用部からの借入率が、全体としましても少しパーセントが上りましたし、また運用部からの借入れ利率そのものも五分五厘から六分五厘に上つたわけでございます。従いまして全体としましては、四百六十億に割掛しますと、二分五厘の資金コストになつてつたのでございます。この資金コスト公庫の経費と合せまして、公庫の経済上六分の利率を必要とするということに相なつたのであります。
  57. 池田峯雄

    池田(峯)委員 一般会計から五十億新たに資本金が増加したのであります。従つて一般会計から新たに資本金が増加したということが、これが資金運用部利率が上つたことをカバーしてなお余りあるということになるのではなかろうか、こういうふうに考えられるのでありますが、その点はいかがでございますか。
  58. 師岡健四郎

    師岡政府委員 公庫計算から申しますと、つまり財政資金、交付資金はいわば五分五厘なら五分五厘がまるまる公庫のふところに入るわけでございます。ところが資金運用部から借りました分につきましては、利子を払わなければならぬわけであります。この利子を払わなければならぬ資金が、全体の比率が増大しますればただいま申したような結果になるわけでございますが、二十六年度までにおきましては、財政資金支出、その他の資本金が百八十億に対しまして、運用部からの借入れが八十億であつたわけでございます。それが現在におきましては、二百八十億円に対して借入れが百八十億でありまして、借入れの率が多くなつたのであります。五十億円の政府出資はありましたが、公庫の経済としては二十六年度よりは経営が苦しくなつたということに相なるわけであります。
  59. 池田峯雄

    池田(峯)委員 さらに一点お聞きしておきたいと思うのですが、この災害補償契約は強制いたしますか、自由な契約でありますか。この点を……。
  60. 師岡健四郎

    師岡政府委員 これは随意でありまして、災害補償契約によるか、あるいは一般火災保険によるかは、随意にしたい。
  61. 内海安吉

    ○内海委員長代理 西村英一君。
  62. 西村英一

    ○西村(英)委員 住宅金融公庫法の一部を改正する法律案について、私は池田委員質問を開きませんでしたからあるいは重複するかもわかりませんが、ごく簡単であります。  師岡さんは今度住宅局長になられました。それで私は第一に確かめてみたいことが一つあるのです。これは住宅政策でありますから建設大臣に確かめるところでありまするけれども大臣を誘導するのは局長でございますから、局長に確かめておきたい。それは、住宅政策といたしまして、あなたは住宅の増強をはかることにつきまして、住宅金融公庫法によりまして自分である程度の頭金を持つてやるという方法と、もう一つ庶民住宅によつてやるという二つの政策がとられて、住宅の緩和策をはかつておるのですが、庶民住宅に力を入れようとするか、住宅金融公庫法によつて住宅緩和をはかろうとするのか、どちらの方に、これは非常に遠き将来はわかりませんが、ここ二、三年くらいの間に、現在の住宅事情からいたしましてどちらの政策によることに重点をお置きになりまするか。その点をちよつと承つておきたいと思います。
  63. 師岡健四郎

    師岡政府委員 現在の住宅不足を解決しますために、量的な解決方策としまして、公営住宅建設と、この住宅金融公庫による融資住宅を、住宅問題の解決の二大支柱としておるわけでございます。このどちらに重点を置くかというお尋ねでありますが、現在のところ住宅局としましては、この両方ともにきわめて大切であると考えております。公営住宅建設につきましては、先般公営住宅建設三箇年計画というものをつくりまして、国会の御承認を得たわけでありまするが、この基本線に従つてこの建設を進めて行きたい。また住宅金融公庫融資住宅につきましては、過去の実績にかんがみまして、非常に国民の期待も寄せられておるのでありまするから、この線につきましても、今後十分な資金手当とともに、業務の万全な運営によつて住宅問題の解決の一端に資したい、かように考えます。
  64. 西村英一

    ○西村(英)委員 今の答弁はわかりませんけれども、これはどうも意見にわたりますから、ただ聞きおく程度にいたします。  それからこれはあるいは池田君が触れたかもしれませんが、私たちの考え方では、現在でも住宅申込みに対して公庫の金がはるかに及ばないというような状況でありまするにかかわらず、貸付対象をふやす、こういうことであります。これはわが党だけでありまして、政調のときにもちよつと申し上げたのでありますが、おそらく譲渡事業を入れないと、現在のやり方では非常にお困りになる点が多々あるのだろうと思うのですが、そのうちで「営利を目的としない法人」というものは、大臣が指定することになつておりますが、これはどういう箇所、どういう箇所ということをあらかじめもうおわかりになつておるのでありましようか。また今後こういう法人をあなた方の手でいろいろ誘導してつくろうとするのですか。具体的にどういうところにやらせるかということを、ひとつ端的におつしやつていただきたいと思うのです。
  65. 師岡健四郎

    師岡政府委員 現在賃貸住宅の経営のために、おもなる府県に、府県の出資による住宅協会あるいは住宅公社というものができております。これらは府県の支援のもとにできた団体でありまして、従来の成績によりますると、賃貸事業の経営につきまして非常に貢献をいたしておるわけでございます。それらの団体が、この分譲事業を経営する主体としましてはまことに適当ではないか、これらのものをおもなるものとして大臣の指定をして行きたいと考えております。
  66. 西村英一

    ○西村(英)委員 それらの法人は各県にあるのでありますか。またそれらの法人は、これを譲渡することによるその法人の会計といいますか、経費はどこから出るのでありますか、その点をひとつ伺いたい。
  67. 師岡健四郎

    師岡政府委員 現在までのところ、全国的に、地方公共団体が出資しました、ただいま申しましたような団体が二十四ございます。まだ全府県に及んでおるわけではございませんが、この分譲事業改正案のあることを伝えましたので、各府県におきましては、これらの団体をつくり、あるいは地方公共団体が直接この分譲事業を行おうという計画があるように聞いております。
  68. 西村英一

    ○西村(英)委員 私の記憶では、本年度はこの法案によつて建設される住宅は五万戸だつたと思いまするが、貸付対象、現在の三号のうち第一号、第二号を集めて四万七千戸、第二号の住宅組合に三千戸ということになつておる。この貸付対象第四号をふやしました結果、第四号の対象とするものについて、どういうような割当をするつもりでありますか。現在第一号、第二号の貸付に四万七千戸、第二号の貸付に三千戸、こうなつておりますが、この割振りをかえると思うのですが、一体第四号のうちでも地方公共団体に貸すものについてはおよそ何戸くらい、住宅組合、法人等に貸すものがおよそ何戸くらい、それをお示し願いたいと思います。
  69. 師岡健四郎

    師岡政府委員 現在の二十七年度の事業計画が、当初におきましてはこの法律改正予定しておりませんでしたので、一般個人分が四万七千ということになつております。しかしながらこの改正が行われましたあかつきにおきましては、そのうちからこの分譲事業資金の分が約十億程度支出されることが予想されております。ただこの分譲事業は先ほどもちよつと申し上げましたように、結局におきましては個人が譲り受けるのでありまして、個人が直接公庫から金を借りて建てる場合と結果においては同じことになるのでありまして、一般個人分融資わくの中からこの分譲資金を出しましても影響はないものと考えております。
  70. 西村英一

    ○西村(英)委員 十億というのは第四項でいう地方公共団体と法人の十億でございますか、地方公共団体だけで十億でございますか。
  71. 師岡健四郎

    師岡政府委員 四項全部につきまして大体十億ということに考えております。
  72. 西村英一

    ○西村(英)委員 よろしゆうございます。
  73. 内海安吉

    ○内海委員長代理 ちようど大臣も出席になりましたので、通告順によりまして質問を許します。村瀬宣親君。
  74. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 きわめて簡単に要点だけお尋ねいたしますが、金融公庫の金で建てた建築のその部分と自己資金で建てた部分とをどういうふうに区別なさつておるか、それを伺いたい。すなわち火災保険は三割引で現在やつておるということでありますが、そうして自己負担分については保険会社個人で契約をすればよいという御答弁であつたのでありますが、一応火事があつた場合には按分で行くのでありますか、どういう方法をとるのでありますか、この点を伺いたい。
  75. 野田卯一

    ○野田国務大臣 技術的な問題でありますので一応政府委員からお答えいたさせます。
  76. 師岡健四郎

    師岡政府委員 災害補償制度におきましては、公庫からの融資分につきまして補償契約を結ぶわけでございます。この公庫融資分と自己負担分とどういう割合になつておるかというお尋ねでございましたが、二十五年度融資分について申し上げますと、公庫融資分がざつと六五%、自己負担分が三五%くらいになつております。一戸当り平均建設費をとりますと三十四万八千円ほどになつております。これに対しまして公庫融資額が二十二万六千五百円、自己負担額が十二万千七百円という数字でございます。
  77. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 私のお尋ねは具体的な問題なんでありまして、今御答弁のような統計数字も大事でありますが、実はどういうふうに運用するかということをお尋ねするのであります。いわゆる火災保険会社と今三割引のものをもつと交渉して四割引にするとか、いろいろな方法を講ずるか、あるいはこの原案通り自己保険式なものにするかという問題が起つて来るのでありますが、どういうふうにするにいたしましても、実際火事があつたときに、かりに二十万円の家を建てた、そうして時価で値上りもあり、あるいは値下りもあつたでしよう。何年かたつた後にそこに実際火事があつた、そういう場合にやはり火事で十万円だけ焼けた場合には、最初の頭金の二割と八割の比率でその保険金は支払われるのでありますか、どういうふうになりますか。
  78. 師岡健四郎

    師岡政府委員 融資額につきまして、災害補償契約を結び、自己負担分につきましては、火災保険が付せられておりまする場合には、火事が発生した場合に、あるいは全焼、あるいは半焼という被害額に応じまして、その両方で按分して負担する、保険金額を支払うということになつております。
  79. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 実際の運用のときにどうなるのでしようか。四万円自己資金を出して十六万円借りて、二十万円の家を建てた。そうしてその十六万円の貸出し住宅金融公庫分について、原案によれば自己保険式なものになりますが、現行法によつては三割引で保険会社に引受けさす。その余分のものについては、自分でめいめいかけたらよいという御答弁が、この前淺利委員質問に対してあつた。もし二十万円で建てた家が、時価にして三十万円に上つたという場合には、その差額はめいめいかつて保険会社と契約するという御答弁があつた。そういう場合に十万円の火事があつたというときにはどうなるのでありますか。どつちがどれだけ払いどつちがどれだけ払うということになるのですか。
  80. 前田榮之助

    前田説明員 かわつてお答え申し上げますが、今御指摘の例の通り、もし保険会社に対しまして、四万円かけておる。それから公庫災害補償料が十六万円分にあつた、こういたします。そういたしますと、もしその際に十万円の損害があつた場合には、この四と十六の割合で保険会社から金をもらい、公庫の分はその割合の金を、債務の免除を受ける、そういう計算になります。
  81. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 四万円に対して自分がかけておればよいわけでありますが、かけていない。その十六万円分だけについてこの原案による自己保険によるか、あるいは現行法による三割引の保険会社との契約による保険をしておる場合、そのときにおいて十万円の火事があつたらどうなりますか。
  82. 前田榮之助

    前田説明員 家の価格が二十万円としまして、そのうち十六万円分だけ災害補償をかけておる。その場合の火事の損害が十万円としますと、損害は半分でございます。ですからその場合には公庫の債務は半分だけ免除されまして、十六万円の半分、八万円だけ免除されることになります。
  83. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 これは補償約款から考えてみぬといかんわけですが、実際十万円焼けたけれども、八万円しかその義務は免除されない、こういうのでありますか。保険にかけておる以上は十六万円以上はむろんとれないけれども、十六万円までの火事があれば、当然十六万円までは保険会社が、補償約款にもよりますが、支払われるということになりませんか。
  84. 前田榮之助

    前田説明員 損害の額の限度になりますので、この場合には損害が半分でございます。ですから免除するのも半分という計算をいたします。その場合十万円焼けましたが、本人に半分の家が残りますから、結局本人の計算上の損害としては、これだけの債務免除があれば計算が合うと思います。
  85. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 そういたしますと、今一部改正でお出しになつておるこの原案による場合、それから現行でやつておりまする三割引で保険会社に引受けさしておるようでありますが、それを四割引か、四割五分引かに交渉をしてやらす場合、いずれの場合にも異同はないとお考えでありますか。また今度の一部改正で原案としてお出しになつておるその保険率は、一体現行の普通の火災保険会社の何割引に相当しておりますか。言いかえまするならば、民営圧迫というような口実を与えないためには、原案のような考えをやめて、そのかわりに、それと同率の保険料保険会社に引受けさすということも一つの方法でありますが、その場合にはなんぼの率、いわゆる現行の保険会社の普通の保険料の何割引で引受けさすならば、この一部改正案に出ておりまする目的を達することになりますか、数字をお示し願いたい。
  86. 師岡健四郎

    師岡政府委員 現在の災害保険料率は、まだ試算の程度でありますが、千分の三・五くらいに考えております。現在の公庫の実際の保険料は三割引になつておりまして、これが約千分の六でございます。従いまして千分の二・五の開きがあるわけでありますが、公庫におきましては、この災害保全のために火災保険をつけさせるという最初のときから、大体五割引でいいではないかという交渉をしておつたわけでございます。現在三割引になつておりますので、私どもとしましては大体五割引になれば、この債務者の負担軽減という大きな目的が大体において達成できるのではないかというように考えております。
  87. 淺利三朗

    ○淺利委員 ちよつと関連して……。ただいまの村瀬委員質問に対する答弁と、過日の私の質問に対する御答弁との間に食い違いがあるように感ぜられたのであります。と申しまするのは、自己資金による部分と、公庫から借りた部分の比率の問題でありますが、さきに私の質問したときには、自己資金は三十分の一である。全体の建築の平均が三十万円で、そのうち貸付金は二十九万円というふうに承つたのであります。それで私がその当時、現在の公庫法の規定の上から見て、九割の貸付ということがない以上は、そういう数は正しくないじやないかということを申し上げたのでありますが、今日の御答弁によりますと、全体が二十五年度は三十何万円とか申しておりますが、その点はどういうふうに解釈すればいいのでありますか。前の御答弁数字が誤ちであつたかどうか。もし誤ちであるとすれば、その御訂正を願わなければならないし、また二十五年度はそうであるが、過去の分はどうなつておるか。どういう基準によつて答弁になつたのか、それを第一に伺つておきたい。
  88. 師岡健四郎

    師岡政府委員 先日お答えしましたときには手元に資料がありませんでしたので、大体のことを申し上げておいたわけでございます。従いまして、本日調べましたさらに詳細な資料によりますると、先ほど申し上げましたように、公庫融資分が二十五年度分についてはざつと六五%、それから自己負担分が三五%ということになつております。御了承願います。
  89. 淺利三朗

    ○淺利委員  一体、これだけのことを御提案になるについては、相当の資料があるはずとわれわれは思うのであります。たとえば公庫保険会社より低い料率をもつてその補償費をきめる、こういうことは何を基準とするか。一体火災の発生率というものをどういうふうに見ておるのか。保険会社においては、一定火災の発生率というものが必ず基準になつて料金が定められておるものと思います。しかるに公庫に限つて、特に低い料率で採算がとれるという根拠はどこにあるのか。公庫が貸出しをしてからの年限は短かいのでありますが、その数年間の経験によつて、その実績によつて、これを割出すのであるか。また全国全体から見れば、割合火災の率は少いということになりましようけれども、たとえば今回の鳥取災害というような場合においては、相当の比率がそこに生じて来るのじやないか、そういうことも根拠があまり明白でないようであります。火災保険における料金算定基準となるところの火災の発生率、公庫算定しておる発生率、そういうものの何か表があるならば、そういう表を御提示願わなければ、私どもは判定に苦しむのであります。もしこういう方法でやつて——住宅公庫の建物というものは、いずれも小さいもので、不燃化のものは格別といたしましても、木造が大部分であります。そういうものは最も火災にかかりやすい小住宅である。そういうふうに考えますると、もしこの建設当局の基礎とされたところの火災の発生率というものを非常に上まわつて火災でもあつた場合には、これは公庫の赤字になると思いますが、そういう場合には自然国家から補償を求めるということになると思います。これが民間の場合であれば、会社が責任を持ち、また再保険の道もある。公庫の場合においては、どこにも再保険の道もないということになりますれば、赤字を発生するということもあると思うのです。そういう場合においては、この火災の発生率というものについては相当の安全率を見なければならぬと思うのでありますが、そういう計算の基礎はどうなつておるか、できるならば、そういう構想を持つに至つた基礎となるところの数字があるならばお示し願いたい。今御答弁にならぬでも、次の委員会までの間にその資料を御提供願えれば幸いと思います。
  90. 前田榮之助

    前田説明員 かわつて説明申し上げます。火災統計は一応昭和元年からとりまして研究いたしました。大体十年くらい火災統計をとりますと、一応の傾向が出るという通説でありますので、昭和十七年から二十六年までの統計をとりますと、日本においては、火災が総住宅戸数に対しまして千分の一・一、これに対して風水害が千分の三・〇、こういう一般実情でございます。ところが公庫住宅は、こういう率では滅失はしておりません。たとえば住宅金融公庫の最近一年間の例を見ますと、八万六千戸のうちで焼けましたのがわずか七十六軒でございます。そのうち全焼が十五軒、半焼が四軒、軽微が五十七軒、八万六千戸に対しましてわずか七十六軒という被害でございます。そうすると、この火災の罹災率をそのまま適用する必要もないのであります。と申しますのは、公庫建設基準をやかましく言つておりますし、やはり自己住宅でありますので、相当みな注意をいたしております。もちろん風水害の場合は自分の注意というわけにも行きませんが、やはり構造がしつかりしておりますので、被害率は相当低いと考えられます。一応一般被害率の半分くらいをとりまして、千分の二・四という数字をとりました。千分の二・四の被害率をとつておけば十分であります。そのうち全焼と半焼の割合を一対二というふうにいたしますと、千円について一円六十銭くらいの純保険料になります。そこへ公庫の経費を大体同額、それに先ほどお話がありましたように戦後は相当火災風水害の率がふえております。しかも十年あるいは十五年に一回くらいの大火、大風水害がございます。そういう危険率を一般保険会社がとつておりますパーセンテージの倍だけ、一〇%とりまして計算して三円五十銭、こういう数を出しました。これだけとれば十分でございます。われわれはそういう計算のもとに三円五十銭という数字を一応出したのであります。
  91. 内海安吉

    ○内海委員長代理 淺利さん、野田建設大臣も見えておりますから、なるべく大臣に対して御質問してください。
  92. 淺利三朗

    ○淺利委員 これは建設大臣にお伺いしたいのでありますが、最近になつていろいろの組合において自己保険をやつておる。そういうものが各地に、見舞金あるいはその他の面でもやつておるようでありますが、政府としては、こういう、保険会社以外に組合等において自己保険をするということをお認めになる方針かどうか。また政府自体でこういうことをおやりになれば、当然これらの組合等における自己保険の組織を認めねばならぬこととなるのでありますが、それに対して政府の態度は今どうなつておるか。みずからやる以上は、そういう組合等の自己保険も認める、こういう方針になつておるかどうか、これは国務大臣としての御意見を伺いたいと思います。
  93. 野田卯一

    ○野田国務大臣 私は一般的な取扱いをどうしておるかということをよく存じませんが、私が知つております範囲におきましては、タバコの関係者の組合が相互共済的に保険制度をやつておるということは知つております。しかし大蔵省において、全般的にどういう方針をとつておるか、これは私にはちよつとお答えいたしかねるのであります。今回の法案につきましては、提案者といたしまして、大蔵省とも十分に打合せを遂げ、さらにこれに大蔵省の賛成を得て提案したというのでありますから、この方針にははつきり沿つて生れておるものと思います。
  94. 内海安吉

    ○内海委員長代理 池田峯雄君。
  95. 池田峯雄

    池田(峯)委員 大臣お尋ねしたいのですが、今度の改正法によりまして、第五条の第二項、すなわち「公庫は、必要があるときは、主務大臣の認可を受けて、その資本金を増加することができる。」こういう項を削除したのであります。そういたしまして、「公庫の資本金は、政府一般会計からの出資額百八十億円と第三項の規定により政府一般会計からの出資があつたものとされる金額との合計額とする。」こういうふうに出資額をはつきり何百何十億円というふうに法律にうたつたのであります。でありまするから、私ども考えますと、今後政府一般会計から公庫には出資しない、公庫の資本金はこれでくぎづけ、こういうふうに考えられるのでありますが、その点についての大臣の御意見、並びに住宅三箇年計画における公庫に対する一般会計からの出資の今後の予想、こういうような点を伺つておきたい。
  96. 野田卯一

    ○野田国務大臣 私は、政府は今後も住宅金融公庫に対する出資を継続して行くものと考えております。法文の問題につきましては、技術上の問題として他の同じような法文の例にならつてつくつたものと思います。別に今後政府公庫に対して一般会計から出資をしないという意味では全然ないものというように御了承いただきたい。なお今後政府住宅計画に従いまして、できる限りの予算獲得するべく努力をいたしたいと考えております。
  97. 池田峯雄

    池田(峯)委員 この前政府委員質問したことでありますけれども、なお念のため大臣に確かめまして、今後の参考に資したいと思うのであります。というのは、最近警察予備隊が各所に設置されまして、この警察予備隊の職員の住宅が不足しておる。従つてこの職員の住宅を建ててもらいたいということを、地方団体に対して予備隊の方から相当強力に要請があるそうであります。それで地方団体の方でも、警察予備隊が来ると、町の購買力が旺盛になるとかいうことで、盛んに誘致運動をやつているのであります。そこで警察予備隊の方は、その誘致運動にこたえるためには、職員の住宅を君の方で建ててくれ、そうすれば行つてやる、こういうようなことを言つておるそうであります。従いまして、茨城県の土浦市などにおきましては警察予備隊武器学校が設置されるについて、大体百戸の職員住宅が必要である。この職員住宅住宅金融公庫の金で建てて行く、こういうような計画を現に進めているのでありますが、政府としてはそれを奨励し、援助して行くのか、それともそういうことはやらせない方針であるのか、この点をはつきり承つておきたいと思うのであります。
  98. 野田卯一

    ○野田国務大臣 私は、そういう計画があるということは、直接にも間接にも今初めてお聞きするので、まだそういうことは聞いておりません。
  99. 池田峯雄

    池田(峯)委員 聞いておらないではございましようけれども、そういう事実があると仮定して、その上に立つて建設大臣の判断による意見を述べていただきたいと思います。
  100. 野田卯一

    ○野田国務大臣 そういう問題が出て参りますれば、十分検討をして、住宅金融公庫法の精神を誤らないように運用したいと思つています。
  101. 池田峯雄

    池田(峯)委員 警察予備隊ばかりではなく、今後この改正法の十七条の第一項の三号あるいは四号というものは、公務員であるとかあるいは警察予備隊の職員であるとか、真に住宅に困つている者ではない、ここらでひとつ住宅金融公庫の金を利用してうちでも建ててやろうというような、そういう特権意識を持つている者に悪用されるおそれが多分にある。もつと深く考えれば、あるいは政府の方でそういう意図でもつてこういう改正案を出したのではないかというふうにも考えられるわけなのであります。従つてこの点につきまして、さようなことはない。住宅の最も必要な者、つまり自己資金がなくて住宅が建てられない、特に戦災者であるとか、疎開者であるとか、あるいは家族がたくさんある者であるとか、あるいは家を焼かれた者であるとか、災害にあつた者であるとか、こういう者があくまでも重点であつて、警察予備隊の職員あるいは公務員、こういう者は二の次、三の次、ずつと一番びりの方の順位でしかないのだという点を、できれば大臣からはつきりこの委員会において言明願いたいと思うのであります。
  102. 野田卯一

    ○野田国務大臣 ただいまお話がありましたような特別の意図をもつて今回の改正をしておるのではないということをはつきり申し上げておきます。
  103. 内海安吉

    ○内海委員長代理 ただいま議員大矢省三君より委員外発言の申出がありましたが、これを許すに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 内海安吉

    ○内海委員長代理 御異議なしと認めます。それでは大矢省三君。
  105. 大矢省三

    ○大矢省三君 建築基準法のことで、実は大臣に地方行政委員会に来ていただくことを理事会に申し込んだのでありますが、大臣も迷惑だと思いますから、この機会にごく簡潔にお尋ねを申し上げたいと思うのであります。  第七国会を通過しました法律第二百一号、建築基準法の第四条に、市町村に建築主事を置くことができるとありますが、戦災の復興に欠くべからざる建築行政にはなはだ迷惑していることは御承知の通りであります。簡潔に事務を行うために市町村に建築主事を置く。この主事は、資格を持たなければならぬことは申すまでもないのでありますが、この主事を置く場合に、都道府県知事と協議しなければならぬということになつている。ところが協議がととのわなかつた場合にはこれができないことになつている。最近大都市が二重行政で困り、いろいろな問題をかもしており、特に戦災都市が復興の事務に支障を来していることは御承知の通りであります。しかしながら、府県との間に協議がととのつたところが相当あり、現に横浜、金沢、函館、札幌、仙台、塩釜、川崎、広島、こういうようなところはすでに協議がまとまりまして、主事をちやんと置いて建築行政を一本にして市でやつている。今自治体には消防ができまして、消防が建築の取締りは厳重にやり、敷地の明示は各市町村が行い、建築の許可願い一切の監督は府県がやるというように、ばらばらで非常に建築に支障を来しておりますが、これは協議がととのつた場合のみということになつておりますから、ととのわぬ場合はどうしてもそれができない。長年大阪、京都、神戸のような大都市が、戦災復興のために府県と協議しておりますが、府県知事がどうしても承知しない。それがために今日まで主事を置くことに非常な支障を来しております。第十四条一に、「市町村の長は、都道府県知事又、は建設大臣に、都道府県知事は、建設大臣に、この法律の施行に関し必要な助言又は援助を求めることができる。」とありまして、しばしば建設省に向つて関係都市から陳情しているのですが、今日までそれが実現しておらないので、今度の特別市制をめぐつて感情的にこれが妥結を見ないということまで現存しているのであります。大臣ははたしてここまで聞いていられるかどうか知りませんが、戦災都市の復興にこれが支障を来さしめておることは私が今申した通りであります。協議をしなければならぬということだけで、ととのわなかつた場合がないために、こういう結果を来しておる。この十四条は、大臣の権限が円滑に行くための仲裁規定ではないと思うのです。それでこれを急速にやる御意思があるのか。それは府県知事にまかして、ととのわなかつたならばいたし方がないのでばらばらにやつてつてもよいのか。現実に、特に戦災都市は二重行政で非常に不便を感じている。県庁所在の市はさほどでもないかもしれませんが、遠距離の市はこのために非常に迷惑しているので、具体的な問題について大臣の所見をお伺いし、なお今の私の説明は以前からおわかりであつたと思いますが、初めてでありますならばこの処置をいかにされるかということをお聞きしたいと思います。
  106. 野田卯一

    ○野田国務大臣 大矢さんからお尋ねの戦災都市の復興の問題につきましては、建設省として非常な関心を持つている次第でありまして、これを促進すべくできるだけの努力をいたしております。もしそれを阻害するような事柄が起りますれば、われわれは最善を尽してこの問題の解決に当りたいと考えております。なお今お示しの点につきましては、政府委員より御説明いたします。
  107. 師岡健四郎

    師岡政府委員 建築基準法第四条の建築行政の移管の問題につきまして、地方によりまして問題を起しております事実のありますことは、私どもとしてもまことに遺憾なところであります。第四条にありますように、一応移管の場合には協議をするということになつておりますが、協議がととのわない場合の措置については、一応この十四条で勧告なりいたさなければならぬかと思います。現存問題の起つております若干につきまして、目下双方の話も十分に聞きまして、何とか円滑に事の運ぶようにいたしたいと努力いたしておる次第でございますので、御了承願いたいと思います。
  108. 田中角榮

    田中(角)委員 関連して……。ちよつと政府委員に御注文申し上げておきたいと思うのであります。私たちこの建築基準法を通過せしめるときに当該委員会委員として審議に当つたのでありますが、これはちようど今期終末でありまして、懸案の大法律を短かい時間に審議をしてとかくのことを参議院にいわれた関係上、一応御注意をしておきたいと思います。私もこれが立法に対しては関係をした一員でありますが、ただいま言われた二重行政になるというお話であります。これはできるならば大阪市と大阪府というようなものは直接の方がよろしい。ただ地方財政の過重負担になつてはいかぬという問題と、もう一つ、高度の技術を要するために、建築主事を各村、各町で置くことは不可能じやないか。だからそこは財政面とにらみ合せて、本法律の精神を生かすような運用をすること、こういうような強い条件がついておるはずでありましたが、ただお互いの地方公共団体同士の権限争いというような問題で、大阪府は大阪市に対して、自分と同じような権限を持つもののできることを心よからず思う、こういうものはしかし実際問題からいつて法の精神と反するものであつて、こういう問題に対しては勧告というのでありますが、これは通報を出して法の精神を生かしてこういうような問題が起きないようにしていただきたい。法案審議当時そういう問題がありまして、私もその問題で質問もし、答弁したこともありますので、これは財政的に許して、何ら資格上技術上に疑義のないものであるならば当然設置すべきものである。協議がととなわないというのは、ただセクシヨナリズムによる権限縮小に対する反対だけであつて、これはもう建設省がこの法律を施行しておりますし、建設大臣は特に責任者でありますので、これが協調について早急に解決していただきたいと思います。
  109. 内海安吉

    ○内海委員長代理 これにて住宅金融公庫法の一部を改正する法律案に関する質疑は終了いたしました。  なお本日の日程の公共工事の前払金保証事業に関する法律案は次会において質疑を続行することとし、本日はこの程度において散会いたします。  次会の日程は公報をもつてお知らせいたします。     午後零時四十五分散会