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野田国務大臣 先般の
鳥取大火につきましては、私は
建設大臣といたしまして、罹災されました
市民諸君に対しましては、衷心より御同情申し上げる次第であります。
私はできるだけ早くみずから
現地におもむきまして、皆さんを御慰問申し上げ、また御
相談に乘りたいというふうに考えてお
つたのでありますが、いろいろなことの
ためにどうしても手が放せなか
つたのであります。そのことが一応片づきました去る四月二十六日に東京をたちまして、日
帰りの旅行でありましたが、
現地に参りまして、いろいろと見せていただいたのであります。
災害の
状況等は、
県庁からの
報告、あるいは
写真等によ
つて大体
承知いたしてお
つたのでありますが、現場に行
つて見ますと、駅の近所からながめますと、ほとんど無一物の焼け野原にな
つておる姿を見まして、
災害のいかにも痛々しいのに驚いた次第であります。しかるにもかかわらず、
市民諸君が雄々しく立ち上られまして——私の着きましたの
はちようど災害の後十日目でありますが、十日目にはすでに五、六百戸の新しい
バラツクが
市民の手によ
つて建てられてお
つたのであります。県、市が共同して建てております
仮設住宅五百戸のほかに、
市民自体の手によ
つて、五、六百戸の新しい家が建
つておる、こういうわけで、その雄々しい
立ち上り振りにま
つたく心強さを感じた次第であります。
私は
市内各所をまわ
つて歩きましたが、特に力を入れましたのは、
市内の燒け
残つた小学校に収容されておる
罹災民の
方々でありました。
小学校並びに
寺院等におられましたが、非常にさんたんたる
状態でその日その日を送
つておられるというような
状態でありましたので、でき得る限り家の問題を考えて上げねばならぬということを痛切に感じたのであります。それからまた家が建ちましても、その後仕事を始められる金にお困りであるということが目に見えておるのでありまして、その
生業再開に要する
資金の手当という問題に対しましても、
政府としては十分あたたかい心でも
つて御
相談に乘り、迅速なる
措置を講ずる必要があるということを痛感いたした次第であります。
現地ではいろいろと
要望もございまして、その中にはすでに
中央において着手しておるものもあり、また今後着手すべきものも、いろいろあ
つたのでありますが、内容は
財政上の問題と
金融上の問題にわかれるように認められました。法制的な問題につきましては、
借地借家につきまして、
罹災地の
借地借家の問題を解決する
ために
立法的な
措置がいるのでありますが、これはすでに先月二十八日に
衆議院におきまして
議員提案でも
つてそのことがまとまりかけておるのでありまして、これを急速に通過させていただくことによりまして対処し得るものと考えるのであります。
財政上の問題につきましては、御
承知のように
災害が起きました直後の四日に、とりあえず
つなぎ資金として二億円出したのでありまして、これを大体市と県で半分ずつ、一億ずつわけ
合つてお使いにな
つておるような
状況でありました。この二億円の
つなぎ資金ではとても足らないからというわけで、さらに六億ないし八億
程度の
つなぎ資金が必要である、こういう
申出がありまして、ただいまその問題を
大蔵省と協議中であります。それから住宅問題につきましては、
災害救助法に基きます
仮設住宅一千四十四戸でありますが、大体一千戸余を建てることにいたしまして、すでに五百戸につきましては
建築中であ
つたのでありますが、おつかけてまた五百戸
程度を増加いたしまして、
予定通りに一千戸以上建てたい、こういうふうに考えておるわけでございます。それから
公営住宅法による第二種の
公営住宅、要するに
罹災者を入れる
ために必要な
公営住宅につきましては、
法律上におきましても
罹災住宅の三割に当るものを建て、またその建てた場合には三分の二の
国庫補助ということにきま
つておりますので、その戸数は一応一千五百六十六戸というふうに見積られておりまして、この点につきましては、
政府の三分の二の
負担は、御
承知のように八十億の
災害復旧費が本年度の
予算に計上されておるのでありますから、そこから出したい、こういうふうに考えておる次第であります。それからまた
融資住宅、すなわちまた
住宅金融公庫からお金を貸しまして家を建てる、
罹災者に家を建てる金を貸し付けるという問題につきましては、すぐに二億円という
わくを
設定いたしたのであります。これは十八日に
設定をいたしましたが、
現地の
実情は二億円では足りないので、これを四億円にしてもらいたいという御
希望がありました。私は二億円では六、七百戸しか建たないと考えておりますが、
現地では千戸以上建てたいから四億にしてもらいたい、こういう御
要求でありりして、この点につきましては、まず二億
わくをつくりましたが、これを必要に応じて三億でも四億でもふやすように目下
建設省としては手配をいたしておる、こういうふうな
実情であります。こういうわけで、
仮設住宅、あるいは
公営住宅、あるいは
融資住宅というふうな
方法をも
つて進んで参ります。そのほかに
市民自体が
自分の自力によ
つてお建てになるものも相当ありますので、こういうものをかれこれ取合せますと、五千戸以上燃えたのでありますが、そのほぼ大部分のものが目鼻がつくことに相なるのではなかろうか、こういうふうに考えております。
それから
都市計画の問題でありますが、
都市計画は去る
昭和十八年に御
承知のように
鳥取大地震がありまして、それに
伴なつて
火災が起り、当時の
鳥取市はほとんど
鳥取に帰したのであります。その直後に
都市計画が施行されまして建て直しをしたのでありますが、それが徹底を欠いてお
つたという点があるのであります。今回は
火災の経験に照しまして、できるだけ
りつぱな、理想的というと言葉があまりりつぱ過ぎますが、要するにしつかりした、
りつぱな都市計画を実行したいというわけで、この点につきましては何よりも
まつ先に着手をいたしまして、ただちに図面を引きまして、まず
建築線を
設定する必要があるというわけで、
建築線の
設定に着手しておりました。私が参りましたときには、
建設省の役人が十数人と、それに学生の
応援隊が四十何名一緒になりまして、
市内に旗を立てまして、線を引いて盛んに
杭打ちをいたしてお
つたのであります。その作業が大体五月の二日ごろに終
つておるはずであります。遅くとも五日ごろには終るというような
予定を聞いて参りました。それがきまりますと
あとは
換地処分でありますが、
換地処分を五月中には完了したいというようなことを申しておりました。あの分で行けば、
現地の人々の非常に御熱心なる御
努力によれば、これも実行ができるのではないかというふうに考えておるのでありまして、この
都市計画の
事業を遂行する
ためには、大体四億円くらいの金がいるのではなかろうかと見積られておりますが、これに対しましても、
財政をやりくりまして、何とか支弁いたしたいというふうに考えておるのであります。それから
都市計画に次ぎまして、今回の
火災は、
鳥取市には木造の家屋ばかりであ
つて、
不燃建築が少か
つたということが一つの大きな原因にな
つておりますので、
不燃建築の町をつくりたい、もちろん全部を
不燃建築にするということはとてもできませんので、いわゆる
防火帶地区につきましては
不燃建築をいたすと
いうことに指定をいたしまして、それが
ために若
桜通りという駅前から
県庁に至るメイン・ストリートを
防火帶に指定いたしまして、おそらく
事業費は四億円くらいかかると思いますが、これによりまして今後の
火災防止に十全の備えをしたいというふうに考えております。これにつきましては、
議会で御審議中の
耐火建築促進法が
通りますればただちにこれを発動したいというふうに考えておる次第であります。それからその他
公共建物、たとえば
小学校であるとか、中学校であるとか、盲学校であるとか、あるいは
病院であるとか、保健所とか、いろいろなものが燒けておりますが、こういうものにつきましても、今後はでき得る限り
不燃建築にいたしたい。今は金がなくて困
つておる
県財政でありますけれども、
火災を再び繰返さないという
意味におきまして、ぜひとも
不燃建築にいたしたいと考え、また
中央官庁の
出先がありましたり、あるいは
会社銀行等の
出先、あるいは本店もありますが、そういうものにつきましても、今後は
不燃建築を原則としてや
つて行くように、あるいは勧奨し、あるいはその方針で臨みたい、こういうふうに考えておる次第であります。
それから
あとの
生業等に関する
資金の問題でありますが、これにつきましては、県、市におきまして保証をいたしまして、
一般銀行から
罹災者が
自分の
生産資金を借入れることができるような
措置を講じておりますので、きわめてこれは機宜を得た
措置だと考えます。その他
預金部資金の転貸というような
方法も考えられておりますが、これにつきましてはまだ結論を得ておりません。ただいまわれわれの方から案を示しまして、
大蔵省で検討をいたしておるという
実情であります。
政府といたしましては、その他いろいろな
方法を講じまして、できるだけ早く
鳥取市の
復興がなり、
市民の
方々が再び安んじて
生業に従事されることができますように、最善の
努力をいたしたい、こういうふうに考えておる次第であります。簡単でありますが、一応御
報告といたします。