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1952-04-22 第13回国会 衆議院 建設委員会 第22号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月二十二日(火曜日)     午後二時九分開議  出席委員    委員長 松本 一郎君    理事 田中 角榮君 理事 村瀬 宣親君    理事 前田榮之助君       淺利 三朗君    宇田  恒君       上林山榮吉君    小平 久雄君       高田 弥市君    西村 英一君       三池  信君    増田 連也君       池田 峯雄君  出席国務大臣         建 設 大 臣 野田 卯一君  出席政府委員         特別調達庁長官 根道 廣吉君         総理府事務官         (特別調達庁管         理部長)    長岡 伊八君         法務府事務官         (法制意見第二         局長)     林  修三君         建設事務官         (管理局長)  澁江 操一君  委員外出席者         議     員 鍛冶 良作君         総理府事務官         (特別調達庁管         理部不動産補償         課長)     鈴木  昇君         建設事務官         (管理局建設業         課長)     水野  岑君         専  門  員 西畑 正倫君         専  門  員 田中 義一君     ————————————— 四月二十一日  委員篠田弘作君辞任につき、その補欠として内  藤隆君が議長の指名で委員選任された。     ————————————— 四月十九日  宅地建物取引業法案瀬戸山三男君外十一名提  出、衆法第三一号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員及び小委員長選任に関する件  小委員補欠選任  公共工事の前拂金保証事業に関する法律案(内  閣提出第一五〇号)  日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約  第三條に基く行政協定の実施に伴う土地等の使  用等に関する特別措置法案内閣提出第一六四  号)  道路法案田中角榮君外二名提出衆法第二七  号)  道路法施行法案田中角榮君外二名提出衆法  第二八号)  宅地建物取引業法案瀬戸山三男君外十一名提  出、衆法第三一号)     —————————————
  2. 松本委員長(松本一郎)

    松本委員長 ただいまより建設委員会を開会いたします。  本日の日程に入ります前に小委員補欠選任についてお諮りいたします。すなわち去る二月二十三日、内藤隆君が委員を辞任され、昨二十一日再び本委員となられたのでありまするが、内藤君は道路に関する小委員でありましたので、これが補欠選任を行わねばなりません。つきましては前例によりましてその補欠委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松本委員長(松本一郎)

    松本委員長 御異議なしと認めます。それでは路道に関する小委員には内藤隆君を指名いたします。     —————————————
  4. 松本委員長(松本一郎)

    松本委員長 この際お諮りいたします。請願及び陳情書審査のために小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 松本委員長(松本一郎)

    松本委員長 御異議なしと認めます。請願及陳情書審査小委員会を設置することに決定いたしました。  次に小委員の数及び小委員並びに小委員長選任についてお諮りいたします。小委員の数は十三名とし、小委員及び小委員長はこれを委員長において指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 松本委員長(松本一郎)

    松本委員長 御異議なしと認めます。それでは小委員には    逢澤  寛君  宇田  恒君    内海 安吉君  小平 久雄君    瀬戸山三男君  田中 角榮君    内藤  隆君  西村 英一君    中島 茂喜君  増田 連也君    村瀬 宣親君  前田榮之助君    池田 峯雄君 以上十三名を指名いたします。小委員長には内藤隆君を指名いたします。     —————————————
  7. 松本委員長(松本一郎)

    松本委員長 次いで本日の議題に基き、宅地建物取引業法案瀬戸山三男君外十一名提出衆法第三一号を議題といたします。まず提案者より提案理由の説明を聴取いたします。淺利三朗君。
  8. 淺利委員(淺利三朗)

    淺利委員 ただいま議題となりました宅地建物取引業法案提案趣旨内容概要を御説明申し上げます。  宅地建物取引業の規制は、一九一七年にアメリカ、カリフオルニヤ州で制定された不動産ブローカー免許法を初め、諸外国におきましても種々制定されておりますし、わが国におきましても旧憲法第九條に基き、各地方庁令をもつて業者取締りを行つて来たのでありますが、これらの命令も新憲法の制定によりその効力を失うに至つたのであります。  今次大戦によりまして、戦災、強制疎開等のため、多大の損害を受けた多数の都市においては、建物、特に住宅需給がきわめて逼迫し、従つて土地建物取引は、戦前にも増していよいよ頻繁となり、これが取引を業とする者が激増して、悪質業者の不正が頻発していることは、戦前の比でないのであります。このような事態を招来するに至つたことは、斯業に対する取締法規が廃止せられて、宅地建物取引に対して、何らの善後措置がとられず、任放の状態に置かれているため、従来は就業上不適当と認められる者も本業を営み、その取引にあたつては、詐欺に類似する不在行為がしばしば行われているためであります。  このような事態に対しましては、一般利用者の間においてはもちろん、業界の内部においても、正常な業者の多くはこれらの弊害を認め、事業の健全な発展を期するためにも、これらを規制する立法措置を強く要望しておりまして、一方また現在の住宅事情にかんがみ、公共の福祉のため当然にとられなければならない施策であります。ここにおきまして、宅地建物取引業を営む者の登録を実施し、その事業取締りを行うことによつて、その業務が適正に行われ、宅地または建物需給両者ともに、安んじて利用できる業者を育成し、宅地及び建物利用を促進することを目的として本法案立案提出するに至つた次第であります。  次に本法律案内容概要を簡単に申し上げます。第一に宅地建物取引業を営もうとする者は、都道府県知事登録を受けなければならないものとし、かつ登録は二年ごとに更新しなければその効力を失うものとしたことであります。なおこれに関し、都道府県知事がその登録を拒否しなければならない事項、また拒否することができる事項規定し、登録の適正をはかつております。  第二に、宅地建物取引業を営む者が、その業務に関して受けることのできる報酬の額は、都道府県知事が定めるものとし、この額を越えて報酬を受けてはならないものといたしました。  第三には、宅地建物取引業を営む者のなしてはならない行為をこまかく規定し、違反者に対しましては都道府県知事業務停止処分、または登録取消処分等処分を行うことができるものとし、取締りに留意いたしました。  第四には、この法律違反に対する罰則を書高が三年以下の懲役もしくは三十万円以下の罰金、またはその併科とし、以下四種類にわかち最低が二万円以下の罰金といたしました。  以上が本法律案提案趣旨内容概要でございます。何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたす次第でございます。
  9. 松本委員長(松本一郎)

    松本委員長 本案に関する質疑次会に讓ります。     —————————————
  10. 松本委員長(松本一郎)

    松本委員長 次に道路法案田中角榮君外二名提出衆法第二十七号及び道路法施行法案田中角榮君外二名提出衆法第二八号を一括して議題といたします。  質疑に入ります。質疑通告順にこれを許します。西村英一君。
  11. 西村(英)委員(西村英一)

    西村(英)委員 逐條的にはいろいろ法律條文が長いのでこまかくなりますから後ほどに讓りたいと思いますが、大体道路法改正主眼要点は、戦後自動車交通が最も発達した。それ  に応ずるために道路整備したいということが第一の観点でなければならぬと思うのであります。しかしながらまたそのためにいろいろなものとの支障が起るのでありまするが、私が第一番にお尋ねいたしたいのは、道路道路法として整備されるけれども、道路を使用するものは自動車であり、また道路と兼用しているものは軌道法によりまするところの鉄道である、そういうふうに思われるのですが、道路法も大正八年ですか、軌道法もほぼ時を同じくして制定されたのでありますが、この法文の全部にわたりまして道路法改正すれば、それと時を同じくして軌道法改正いたさないといろいろ不都合な点が起るような條項がたくさんあるのであります。その点につきまして提案者はどういうふうなお考えを持つているのか、まず第一にその点をお聞きしたいと思う。
  12. 田中(角)委員(田中角榮)

    田中(角)委員 お答えいたします。ただいま西村君の発言の通り、当然軌道法が同時に改正せらるべきであります。本法案議員立法でありますので、軌道法改正につきましては議員立法を促すか、もしくは政府をして改正案提出せしむるつもりであります。
  13. 西村(英)委員(西村英一)

    西村(英)委員 軌道法改正をするというような提案者のお話であります。次に道路鉄道交叉するという点が非常に問題になるわけであります。大体道路鉄道との交叉は、これはもう立体交叉をすることが一番いいわけでありますが、なかなか立体交叉というものは金がかかる。この法律で  は、一級国道と二級国道原則として立体交叉をする、その他のものはそうでないような條項であつたと思いますが、今後は、交叉の点につきましてはこの法律によるのでありましようが、既設のものにつきましてこの法律適用交叉の点についてはどうなるのでありましようか、その辺をお尋ねしたいと思います。
  14. 田中(角)委員(田中角榮)

    田中(角)委員 お答えいたします。この法律案の新しい改正要点一つとして、第三十一條国有鉄道鉄道または地方鉄道道路との交叉の場合を規定してあるのでありますが、これからの交通様式考えます場合、当然立体交叉でなければならないという基本的な理念に立ちまして、三十一條規定したわけであります。もちろん施行法第十條第一項に規定してある通り本案は現在までに平面交叉をしておるものについては適用しないのであります。
  15. 西村(英)委員(西村英一)

    西村(英)委員 この法律案立案のときに、私たちも多少審議にあずかつたのですが、道路占用ということにつきます思想が非常にきびしくなつてつたようでありますが、この占用概念は、私の考えで行けば、占用料をとることはさしつかえありませんけれども、その占用料をとる範囲は道路目的を損しないところの程度にとればよかろう。道路占用ということは、道路地下及ど地上に及ぶんだという、これは概念的にはそうなるかもしれませんけれども、たとえば現在道路の上に橋がかかつておる、そういうような場合にも占用料をとつております。また立案の当初におきましては、地下鉄のようなものには、やはり道路の下部を使つておるから占用料をとろうというような思想もあつたようでありますが、現に道路支障していなければその占用料をとるのはあまり酷じやないか、道路の上に橋がかかつておるというようなものについて、それは道路の上部を占用しておるのだから占用料をとるというような概念は私はどうかと思われるのでありまして、現に路踏がその目的を達しておると思われるような程度のものについては、占用料をとらなくてもいいんじやないか、かように私は考えておるわけでありますが、それらの点につきましてはどういうふうにお考えになりますか。ことに地下鉄のごときは道路の下を通つておるんだが、そのような場合には地下鉄はやはり道路占用になるかならないか、このようなことについてお尋ねしたいと思います。
  16. 田中(角)委員(田中角榮)

    田中(角)委員 お答えいたします。道路占用につきましては、今までは道路は国のものでありまして、占用するものは当然これが占用できる。なお道路管理者占用料をとることは現在規定してあるのでありますが、新しく法文を起算するにあたりまして、第三十九條に規定してあります通り、新しい概念から、国の事業からは一切占用料を徴放しないという原則を改めまして、国の事業でも支拂う意思がある者からはとつた方がよろしい。もう一つは、今まで原則的にとるというような状態にありました地方公共団体事業でも、公営のために行う事業以外は一切とらないことができるというように、非常に新しい立場から規定をしたわけであります。もちろん地下鉄道等に対しては占用料を徴放しないという考えであります。
  17. 西村(英)委員(西村英一)

    西村(英)委員 さいぜん私が申しましたように、道路目的支障を及ぼさなければ、なるべく占用料はとらない方がいいんじやないか。たとえば、道路の上に橋がかかつてつたというようなものも、その占用概念のうちには入つても、しかしそういうものはとるべきじやない、現に道路支障を與えておるようなものに占用料適用をしてもらいたいという話に対しまして、提案者もそういうような趣旨にお答えいただきましたから私は了承いたします。  それからこの法案で、従来の法律とは最もかわつたところでは、道路種別について、二級国道というものを入れたわけであります。また現在の一級国道を擴充したいからという一つの要求がありまするが、一級国道を擴充いたしましても、なかなか財政が続きそうにないから、その府県道一級国道との間の中間的なものを二級国道にした、こういうふうに大体考えられるのでありますが、一級国道は、現在の状態では約八千キロですか九千キロですか、そのくらいあるかと思いますが、二級国道を入れ、この道路種別を変更したということによつて一級国道の現在のキロ数をどういうふうに擴充して行くのか、二級国道の方に一部分移すのか、あるいはまた二級国道はこの法律によつてやれば全国どのくらいなキロ数になるのか、これは政府の方でもいいですが、一級国道から二級国道に移すものがあるのか、あるいは二級国道はそうではなしに、府県道から二級国道にしようとするのであるか、その辺のことを私は聞きたいのであります。
  18. 田中(角)委員(田中角榮)

    田中(角)委員 お答えいたします。ただいまの御質問要点は、本法改正のうちの最も重要な問題の一つになつておるわけでありまして、この法律立案趣旨が、わが国道路整備ということにありますので、現在の国道から二級国道に転落をせしむるというのが本立法趣旨ではありません。ただ現在国道として指定されておりますものは、御承知のように旧憲法下において旧憲法思想によつて現行道路法建前から指定せられたものでありまして、現在国道の総延長は九千三百キロ余りあるのでありますが、これが全部無條件新法による一級国道に編入せられるとは申し上げられないのでありますが、大体は現行法による国道一級国道となる、こう考えてさしつかえがないと考えるわけであります。二級国道に対しましては、現在府県道の中で特に重要府県道から八千キロないし九千キロの二級国道を指定いたしたいという考えを持つておるわけであります。結論的に申し上げますと、一、二級合せますと、現在の国道の約八〇%ないし一〇〇%の全長におきまして指定せられる部分がふえる、こう考えるわけであります。
  19. 西村(英)委員(西村英一)

    西村(英)委員 第何條だつたわかりませんが、一級国道、二級国道をつくつて、そうしてもう一つ概念は、従来の道路府県知事管理者であつた。このたびの法律によつて管理者一級国道、二級国道についてもやはり府県知事になるかどうか、この点をお聞きしたい。
  20. 田中(角)委員(田中角榮)

    田中(角)委員 お答えいたします。ただいまの御質問の点も道路法改正点の重要な点でありますが、今までの道路観念は、道路は全部、国道府県道市町村道を問わず国の所有物である、国の営造物であるという観念であつたのでありますが、新しい憲法建前から、しかも管理制度を確立いたすためにも、一、二級国道は国の営造物である、それから府県道都道府県営造物である、こういうふうにはつきりいたしましたので、今までは国道に対しましての管理者府県知事でありましたが、これは、府県知事市町村長は国の一つ出先機関である、いわゆる旧憲法下における思想そのもの建設大臣の代行を行うというような立場から管理者選任せられておつたのでありますが、今度の改正法によりましては、国道に対しましては都道府県知事がこれを管理する、しかし都道府県道に対しましては都道府県がこれを管理する、こういうふうにはつきりその責任を明確に区分いたしたわけであります。
  21. 西村(英)委員(西村英一)

    西村(英)委員 第十二條でありますが、一級国道新設改築の場合のことが書いてあります。それからその次に二級国道新設改築のことが書いてありますが、どうも同じような事柄を文句をかえて書いてあるのです。この條項からいいますと、気持はわかるのですが、一級国道新設改築原則として建設大臣がやるのであるか。あるいは原則としては府県知事がやるのであるか。特別な條項——高度の技術を要するとかあるいは経費がよけいかかるという特別なときに建設大臣がやるのであるか。新設改築原則大臣であるのか知事であるのか。その辺のことが非常にあいまいになつているのであります。つまり私は十二條からいえば建設大臣は結局より食いをすると申しますか、自分つてなときは自分直営工事をやり、自分が好まないときは府県に押しつける、こういうような傾向があるように見受けられるのですが、その辺は一級国道新設改築原則はどちらでやるのか。
  22. 田中(角)委員(田中角榮)

    田中(角)委員 これは現行法では旧憲法時代思想を非常にはつきり現わしておりまして、府県知事がこれを行う。しかも国道に対しましては特に必要と認める場合においては建設大臣がこれを取上げて直轄工事で行うことができる、こういう身がつて法律規定でありましたのを、今度はそうではなくて、国が工事を行うということに、国の責任をはつきりとしたわけであります。但しこの問題に対して府県知事が行いたい場合は行わしめる、こういうふうに現行法新法とでは非常に進歩を現わしているわけであります。
  23. 西村(英)委員(西村英一)

    西村(英)委員 その他の條項につきましても非常に質問事項が多いのでありまするが、他の委員質問もありましようから私はこの程度でとどめまするが、最後に、これは運輸省との合同審査のときに私は言つた方がいいかと思われるのでありますが、この際ちよつと触れておきたいのは、道路行政の問題であります。道路行政とその道路を使うところの自動車行政との関連の問題でありまするが、運輸委員会におきましては、運輸省道路行政をやつているために道路もやはり運輸省一貫行政をやることがいいのだということを常に言われる。そのときの政府答弁等は、これは非常にはつきりした答弁もありませんが、一元的にやつた方がいいんだ、こういうふうにまあ申しているわけでありますが、提案者田中さんは、現在道路行政建設省がやつており、その道路を使うところの自動車行政運輸省がやつているということについて、この行政一元化と申しますか、そういうことについてはどういうふうにお考えになるか。参考のために聞いておきたいと思うのであります。
  24. 田中(角)委員(田中角榮)

    田中(角)委員 私は道路行政に対しましては現在の日本の国情及び行政制度の面から見まして、道路建設維持改修補修等建設省でこれを分担する現行通りでよろしい。なお道路行政の面は運輸省が所管をしておりますが、現在の状態では現状通りでいい、こう考えております。運輸委員会及び運輸省当局が主張いたしますように、建設省道路局を当然道路行政一元化建前から運輸省もしくは交通省の名  において統合することが賢い、こういう論がありますが、私はこの意見に対しては反対であります。なぜならばこの意見を認めるということになりますと、現在の建設省は不要のものになるのでありまして、これはわれわれ委員会考えております通り水道行政公衆衛生の面から見まして厚生省にあるべきである、林道関係は林野の開拓  のために設けられる道路であるから道路法適用を受けずして農林省に所属すべきであるというがごときことは建設行政を分断するものでありまして、行政機構の改革及び行政簡素化建設行政一元化に逆行するものであつて、私たちは当然これを採用しがたいという観点に立つているわけであります。現在の事情においては建設部門建設省に置いてしかり、道路一般行政はいろいろの隘路もありますが、現在の状態においては運輸省がこのまま所管することが適当であると考えております。
  25. 西村(英)委員(西村英一)

    西村(英)委員 もら一つ最後に最も重大なことを。と申しますのは、道路法はこの法律によつて整備されましようが、道路整備は別であります。と申しますのは、終戦後のわが国の変革として最も変革したものは自動車交通であらうと思いますが、しかも現在四十数万の自動車があり、なおそれがおそらく四、五年のうちには百万からの自動車になろうとしているときに、道路整備ということは最も必要なことだろうと思うのでありますが、この道路整備するところの財源の問題であります。国家財政をこれに向ければ一番いいわけなんでしようけれども、それにも限度がある。また地方財政は非常に困窮いたしている。占用料その他軌道からとるところの維持費等についても微々たるもので、とうてい今後の自動車行政にマツチするような自動車道路というものはなかなかできがたいと私は思うのでありますが、財政面について別個の考え方をしないというと私は非常にちんばになると思うのであります。本年度有料道路をつくつて特別会計から道路整備しようということはいろいろな問題がありますようけれども、これも一つの方法であろうと私は非常に喜んでいるのでありますが、その他この自動車交通にマツチする今後の、なお今回自動車法整備した目的に沿うように道路整備するための財源の問題をどういうふうにお考えになるか。これは非常な違つた観点からこの財政考えないといけないと思うのでありますが、参考のために提案者からお聞きいたしておきたいと思います。
  26. 田中(角)委員(田中角榮)

    田中(角)委員 道路法整備されても道路整備されない、まさにその通りであります。しかしわれわれの究極の目的道路整備を行いたい——現行道路法においては道路整備がしがたいという観点から、新しい道路法に切りかえたいというので本道路法案提案したわけであります。本道路法案目的とするところは、先ほど申し上げました通り管理が不徹底であつたり、道路整備するのに支障のあるいろいろなことを改正いたしたいというために出したわけでありまして、これも道路整備一つの段階であると考えております。ただこの法律ができましても、道路自体整備することはまだまだほど遠いのでありまして、われわれが二十七年度予算編成の当初にあたりまして、少くとも三箇年ないし五箇年計画で日本道路整備するためには、二百五十億ないし三百億ぐらいの予算を要求しておつたのであります。ところがわずか百億にも満たない道路予算が確定したのであります。これは乏しい、また限られた、過渡的な二十七年度の予算編成にあたつてはやむを得ないと考えておるのでありますが、財源問題としてはわれわれが過去から叫んでおりましたガソリン税目的税として使用することも、一つの案として考えられておるわけであります。ただその前に本法規定するところは、六十二條におきまして今まで一定の基準もなく各府県が適当に徴収しておりました負担金制度に対しましては、一定の率をきめて、新築、改築等の場合この徴収した金をすぐ道路に還元をし、道路利用者にすぐに復元せしめたいということを目的として六十二條を規定しておるわけであります。なお本法立案の最初におきましては、六十三條に少しきつ過ぎるほどの特別負担金制度を設けておつたわけでありますが、現在の実情にそぐわないというのでいろいろ修正をし、現在のような條文になつたのでありますが、私はこの程度のもので道路整備されるとは思つておりません。ただガソリン税目的税に使うということに対しては、われわれ自体も真剣にこれを考えておるのでありますが、現行税法の建前からいいますと、ガソリン税目的税に使用することがはたして可能かどうかという問題は、多少法律的な疑義があると考えるわけであります。アメリカ等におきましては、州において各自ガソリンの目的税を徴放しておりますが、これは財源が非常に豊富にある国において各州々々適当にやつておるのでありまして、ただ道路整備しなければならないというためにガソリン税目的税に切りかえてやる場合は、日本の現在の税法上の建前からいいますと、あらゆるものがみんな目的税に切りかえられるおそれがある。そうすると社会保障的な性質の財源がほとんど得られなくなるというようなことが考えられますので、現在のところではガソリン税目的税に変更することに対しては、もう少し慎重に考慮を拂わなければならない。しかしただガソリン税目的税にせしめるだけでなく、要は二十七年度、二十八年度、これからずつとわれわれの手で審議をしなければならない予算を組む場合には、道路整備に向けられる額は、少くともガソリン税として徴収せられる年度予算の税の総額よりも下まわつてはならないというくらいな、強い予算要求をしなければならない、こういうふうに考えておるわけであります。二十七年度は百億にも満たない非常にわずかな道路予算でございますので、これが一端を補う意味におきましても、政府は過日本委員会通りました有料道路整備考えられたのであります。われわれ委員会も古くから考えておつたのでありまして、あの問題が憲法上のいろいろの問題を起しつつも出されたことは、いかなることをしても道路整備しなければならないという考えの現われであつたと思つております。
  27. 西村(英)委員(西村英一)

    西村(英)委員 私、もう少し質問がありますが、また合同審査もありますから、この辺で私の質問を打切りたいと思います。
  28. 池田(峯)委員(池田峯雄)

    池田(峯)委員 道路法を新しくつくり直すというからには、そうしなければならない原因がたくさんあつてのことであろうと思うのであります。そこで最初に本法案とは直接関係のない、いわゆる彈丸道路と称するものについて提案者に御質問したい。つまり本年度の予算に二千万円かの調査費が組まれておる東京・神戸間の彈丸道路自動車で五時間でもつて達することができるというこういうすばらしい道路の計画があるようであります。これは一級国道で、しかも高度の技術を要するという国道になるのでありましようか、それとも別な範疇に属する道路になるのでありますか、この点をお伺いしたいと思います。
  29. 田中(角)委員(田中角榮)

    田中(角)委員 私は建設大臣でも道路局長でもありませんので、政府考えておることを推しはかつて答弁するわけには行かないのでありますが、われわれが本法案提案したのは、日本道路網の整備という大きな目的に沿つて立案しておるのでありまして、私たちは俗に吉田道路といわれたり、いろいろなことをいわれておる彈丸道路を本法案や何かによつて実現せしめたいということを考えておるのではないのであります。もう少しはつきり申しますと、私はあの彈丸道路整備しなければならないということも一面には考えられますが、日本はこういう道路につぎ込める財源があるならば、もう少し国土開発、資源開発といつた面に必要な道路整備を行うべきだと考えておるのであります。
  30. 池田(峯)委員(池田峯雄)

    池田(峯)委員 しかしながら政府としては、そういう計画を持つておることは、予算の中にはつきり現われておるのであります。従つて道路法案をつくられた提案者としては、こういつた道路がいいか悪いか、これは促進すべきか阻止すべきか、こういう問題を多少なりとも頭の中に入れてこの法案をおつくりになられたのではないかと思うわけであります。従いましてあの彈丸道路政府の方で実行しておるとすれば、この法律ができた場合に、あの道路はどういう道路に該当することになるのであろうか、こういうわけでございます。
  31. 田中(角)委員(田中角榮)

    田中(角)委員 彈丸道路の建設の可否に対しましては、私はまだ十分研究しておりませんし、しばらく時をかしていただいて研究しなければならない。ただこれは私の問題だけでなく、政府がかような意見を持つておる場合には、建設委員会としてもいろいろな意見が出さるべきでありますので、私としては答弁できないわけでありますが、弾丸道路と俗にいわれておるあの線は、現在の国道としては日本では最重要な路線の一つであります。その意味におきまして、本法律案が通過をしたあかつきには、もちろん一級国道に編入せられると予想をいたしております。
  32. 池田(峯)委員(池田峯雄)

    池田(峯)委員 そういうような、提案者もその可否を論ずるところにまではまだ至つていないといつたような、こういう莫大な経費を要するところの弾丸道路が、政府によつて計画されておる。そういたしまして、これが一級国道になりますと、その経費の分担が、この法律によりますと、やはり都道府県、あるいは町村、あるいは受益者、こういつたようなものがそれぞれこの経費を負担しなければならないというようになるのでありますが、たとえば山梨とか長野とか岐阜とかでは、こういう弾丸道路なんというものは通してもらいたくないと思つていても、そういう道路建設大臣の認定によつてつくられて行きますと、この費用の分担をしなければならなくなつて来る。こういつた点は非常に矛盾でありまして、これをこの法律において、何とかそういうことでないように、地元民が犠牲をこうむらないようにするような、そういう考えはなかつたかどうか、現在はどうであるか。
  33. 田中(角)委員(田中角榮)

    田中(角)委員 池田君は弾丸道路はもうじきできるんじやないか、こういうふうな前提のもとに御質問をしておられるようでありますが、本法律案日本道路網の整備ということが主眼でありまして、弾丸道路の促進法ではありません。ただこの法律案が通るために、当然指定せられるであろう一級国道と肩を並べて、俗に言われる東京神戸間の道路も、一級国道に編入せられるでありましようが、これを優先的に行うなどということは、これは政府考えておるかもわかりませんが、立法者としての私は、全然そういうことを考えておりません。しかも先ほど申し上げました通り、私は弾丸道路に対して一つの私見を持つておるのでありまして、そのような莫大な経費が、現在の日本財政事情のもとにおいて、簡單に捻出できないであろうという現実的な考えと、もう一つは、そのようなものが現実的に実施に移される場合には、もう少し全国の道路整備の面から秤検討を必要とするのではないかという意見を持つておりますので、私は本法律案が通ることによつて、彈丸道路が促進されるであろうというようなことは、もう全然考えておりません。
  34. 池田(峯)委員(池田峯雄)

    池田(峯)委員 弾丸道路の点は、またそういう問題が全貌が明らかになつたときに讓るといたしまして、一級国道の意義及びその路線の指定でありますが、「都道府県庁所在地その他政治・経済・文化上特に重要な都市を連絡する道路で、政令でその路線を指定したものをいう。」——政令一に讓つてあるのでありますが、政府の政策いかんによりまして、その路線指定の基準といつたようなものは、場合によつては相当かわつて来るのではなかろうか、こういうふうに考えられるわけであります。すなわち現在の吉田内閣にとつては、警察予備隊であるとか、アメリカの飛行場であるとか、こういつたようなものの所在地が、これが相当重要だということになつて、これを結ぶ道路が政令で一級国道として指定されるというようなことになるのではあるまいか、こういうふうに考えられるので、当然この政令で指定するにいたしましても、その限界をこの法律の中できめておく必要があるのではあるまいか、こういうふうに考えられるのでありますが、この点いかがでありましようか。
  35. 田中(角)委員(田中角榮)

    田中(角)委員 どうも池田さんは私の立法の趣旨を逆に逆にとおとりになつておるようでありますが、私がこの法律案を立法いたす一番の初めは、現行道路法は、御承知の通り大正八年、約三十年前の立法であります。しかも三十年間ほとんど改正らしき改正を加えられないで、現在の日本道路行政の根幹をなす基準法となつておるのでありますが、その最も大きな障害は、旧憲法観念によつてつくられた法律であるということを考えておるわけであります。もちろん当時の国道は、私が申し上げるまでもなく、賢明な池田君はよく御存じである通り、当時の国道の指定の一つの大きな要件は、師団司令部と師団司令部の間をつなぐようなものを国道と指定する、こういうふうなものであり、しかも天皇の補弼の大任に任じておつたところの大臣が、一人の考えでもつて指定できたわけであります。そういうものが新憲法下においてうまくないという観点から、建設大臣一級国道、二級国道の指定を一人で行つてはならない。もちろん議会内閣制でありますので、議会の信任の上に立つておる内閣でありますから、国民の輿望をになつておる内閣が、国民に反対をせられるような道路建設大臣が指定するとは思いませんが、われわれはなおそれでも間違いがあるということをおもんぱかつて、政令に讓つたわけであります。もちろん建設大臣の一人の考えだけで行わしめないように、関係各大臣等の意見を十分取入れて、政令をもつて決定ができるというふうにしたのでありまして、これは現行憲法から飛躍的に進歩したものである、こう考えるのであります。現行法によつて憲法思想そのままで指定せられて来た国道を、一応御破算にして、新しい観点に立つた日本の経済再建という立場から、一、二級国道の指定をして行きたい。しかもそれに対しては、政令によつて、一、二級国道の指定の審議をする場合に、道路審議会をつくりまして、二十人以内の審議委員によつて十分調査を行つた後、これが指定に対しては万遺憾なきを期したい、こういう考えでありますので、立案者の意図をくまれんことを希望するわけであります。
  36. 池田(峯)委員(池田峯雄)

    池田(峯)委員 どうしても机上の論議になりますので、後日また政府の出席を求めて、問題を具体的に、どことどこを結ぶ道路が一番重要な道路なのかという点について、論議してみたいと思つております。  次に道路の構造の基準、三十條でありますが、戦後連合軍が日本に進駐して来てからというものは、日本の在来の橋梁あるいはその他の道路、こういつたものが、重量運搬物が頻繁に通るので、狭くなつたり、あるいは破壊されたり、非常な変更を余儀なくされておるような実情があるのでありますが、そういつた点を考えて、現在の道路の構造上の基準というものは、これは戦前道路の基準と現在の基準とでは、非常な変化を来しておるのではないか。この点は提案者も認められると思うのであります。しかしそのために日本道路費というものが非常に多額の費用を要するようになつて道路整備が遅れるような結果になつておるのではなかろうか、こういうふうに考えられると思いますが、これはいかがでありますか。
  37. 田中(角)委員(田中角榮)

    田中(角)委員 お答えいたします。第三十條に規定いたします道路の構造、技術的基準というような問題に対しましては、池田君の言われた通り、古い観念においてつくられた基準が、現在の道路整備の基準に合わないということは、これは文化が非常に進展をしておりますので、もちろんその意味においては、基準が違うということはその通りであります。ただ占領軍が三十トン戦車を走らせるから、五十トン戦車が来るであろうからというので、橋を整備道路整備するというために、一般道路経費が食われて道路整備がかえつて遅れるというようなことは、予算編成建前上全然ありません。八十数億の予算の面からは、そのような目的のために道路を補強し、整備鋪装をしなければならないというような支出には使つておりません。ただ二十年前、三十年前、戦前と戦後を比べましても、交通量は非常にふえておる。それから自動車数も十倍、二十倍になつておる。それから道路利用状態というものは、昔は足でありましたのがかごになり、自転車になり、オートバイになり、自動車になる。その上にだんだんかわつて参りまして、現在では雪の上でも自動車が走ろうというような状態になりましたので、自転車当時の道路基準ではどうにもならないので、二十年ないし三十年後の新しい日本の経済文化の向上という一つの目標に沿つて道路整備せられますので、道路基準はおのずからかわつて行くだろう、こう考えるわけであります。なお駐留軍が駐留のために必要なる橋梁、道路整備等は、これは私が申すまでもなく、一般道路費から出るのではなく、行政協定による負担金の中から出るのでありまして、これは私が今ここで御答弁する限りではありませんが、本法律案提案することによつて、またそういう事態によつて一般道路費が食われ、道路整備に阻害を来すというようなことは全然ないと確信をしております。
  38. 池田(峯)委員(池田峯雄)

    池田(峯)委員 駐留軍の道路というようなものに対しましては、この法律では、どの項でそういう規定が設けられておりましようか。
  39. 田中(角)委員(田中角榮)

    田中(角)委員 駐留軍に関係する法律ではありませんので、国内の一般法規でありまして、全然規定がありません。
  40. 池田(峯)委員(池田峯雄)

    池田(峯)委員 そういたしますと、駐留軍の通過し利用する道路、それから駐留軍が通過し利用するために莫大な経費を新たに必要とするというようなそういう道路に対しまして、どこからそういう費用が出ることになつておりますか。
  41. 田中(角)委員(田中角榮)

    田中(角)委員 これも私の答弁外だと思います。私は国務大臣ではありませんので答弁外だと思いますが、これは賢明な池田君が反対をせられた予算をよく見られればおわかりになる通り、二十七年度の予算には講和関係費というのがありまして、あなた方が御反対になつた講和関係費の中から、駐留軍が必要な道路の費用は当然支出をせられる。こう考えております。
  42. 池田(峯)委員(池田峯雄)

    池田(峯)委員 たとえば東海道に例をとりましても、相当アメリカの軍用自動車通ります。それから甲州街道にいたしましても、相当アメリカの軍用車が通ります。「母なれば女なれば」という映画の冒頭に出て来るところが甲州街道でありますが、一時などは非常な混雑をして、横切ることができないという場面が出て来ております。ところが、しからば甲州街道あるいは東海道に対しまして、アメリカの方から特別の経費の支出があつたかどうかというと、なるほど見返り資金が出て来ております。しかし見返り資金は日本の金であります。決して終戦処理費あるいはアメリカの方から特別な支出はなかつたのではなかろうか。従つて今後もやはり東海道とか甲州街道とかいうような一級国道あるいは二級国道等に指定されるであろう国道、これを米軍がかつて気ままに通過するであろうということは、当然想像されるところであります。しかしながらこの金まで安全保障諸費、あるいは防衛分担金の中から出るかどうか。あるいは防衛分担金、安全保障諸費から出すとしても、日本の金なのでありますが、道路費でないことは事実であります。そういうところから出すのかどうか。こういう点でありますが、これはこの法律外だといたしましても、提案者にちよつとお聞きしておきたいと思います。
  43. 田中(角)委員(田中角榮)

    田中(角)委員 それはかえつて私が御答弁するよりも池田君の方がエキスパートであると思いますので答弁の限りではないと思いますが、ただ私は将来アメリカ軍が通過するため等によつて橋梁が損傷したりするような場合はいろいろな折衝があるのでありまして、まだ行政協定が締結せられて細目協定は行政協定によるか、北大西洋條約第二項でありますか、いわゆる駐留軍の地位に関する協定ができた場合それによるか、いずれかわからないという場合において、私のごときが論じ得られない問題であると思います。この問題に対しては行政協定の締結の衝に当つた岡崎君にでも御質問願えれば幸甚だと思うわけであります。
  44. 池田(峯)委員(池田峯雄)

    池田(峯)委員 行政協定ではアメリカの兵隊が自由自在に通れることになつておりますから、おそらくこうした費用というのは向らが拂うというようなことはしないだろうと思うのでありますが、この問題はあとで政府の方から聞きたいと思います。  費用の分担でありますが、たとえば一級国道建設大臣が新設または改築するという場合に、建設大臣がみずからこれを行つて、そうして都道府県がその三分の一を負担しなければならぬ、こういうことになつておりますが、この点は国道という概念からいえば国が全額を負担するのが正しいのではなかろうか、最初全額負担して、だんだん分担金を拂わすようになつておるようでありますが、とにかく都道府県は負担しなければならない。それから市町村が利益をする場合には市町村も分担する、こういうような法律になつておるようであります。維持管理都道府県にまかせるということはなるほど民主的だといえば言えないことはないと思うのでありますが、管理都道府県にまかせる、そのかわり費用も三分の一出ぜ、こういうことになりますと、国道という概念から言いますと、そうしてこの法律が一歩前進したのだという観念から申しますと、むしろ都道府県の負担をなくして、国道一級国道も二級国道も国費でもつて全額負担するというのが正しいのではあるまいか、こう思うのでありますが、その点いかがですか。
  45. 田中(角)委員(田中角榮)

    田中(角)委員 御説の通り国の財政が許すならば道路のうち国道は全部国がやるべきであると私は原則的には賛成であります。ところがそうであるならば、現在の財政上からいつて、それはほとんどむずかしいという問題と、もう一つ自分が負担をしないために道路の維持管理に対して熱意が欠けるという原則的な問題も起きて参ります。と同時に国道に対しては、二分の一ないし三分の二という現行よりも上まわつて、特に長大橋、トンネル等地方負担ができない場合は四分の三まで上げ得るというこの改正法の飛躍的な段階があるわけであります。だから現行法よりもよくなつたということだけは間違いありません。現行法でもつておやりになるものでしたら二分の一、三分の二でもつておやりになるのを、四分の三まで出し得る、こういうのでありますから、現行法よりも退歩でなく進歩であることは間違いありません。と同時に原則論からいいますと、国の道路だから国がやれ、こわれてもかまわぬ、こういうのでありますが、国道であつてもその府県を縦貫する国通はどうしてもその府県利用度が多いわけであります。だから利用者原則的に負担をするということは当然であろうと思いますし、国道だから国がやれということを裏から見ますと、府県道であつたならば府県がやれ、町村道だつたら町村がやれ、こういうことになりますと、町村道や府県道は、財力を持たざるものは、ほとんど道路整備が行えないという状態になりますので、国道に対しても、一定の率において地元負担を要請するだけに、府県道においても国が補助をなす、こういうことになつておるわけであります。なお町村道の補助は、本法律案には除いてありますが、私も提案者の一人として、この問題は現行では道路の修繕に関する法律で、国が補助できることになつておりますので、これも場合によつては、現行通りにした方がいいのではないか。ただ本法律案によつて益すところは、建設大臣が特に必要と認める場合、いわゆる地元負担ではやり得ないという長大橋なり、及び特殊の構造物をつくらなければならないという場合に、四分の三まで上げ得たというプラス面だけを、ひとつ御承知になつていただきたいと思うのであります。
  46. 松本委員長(松本一郎)

    松本委員長 それでは道路法案に対する質疑はこの経度にとどめまして、次会に継続して審議をすることにいたします。     —————————————
  47. 松本委員長(松本一郎)

    松本委員長 次に公共工事の前拂金保証事業に関する法律案内閣提出第一五〇号を議題とし、前会に引続き質疑を続行いたします。質疑の通告があります。順次これを許します。高田弥市君。
  48. 高田(弥)委員(高田弥市)

    ○高田(弥)委員 公共工事の前拂金保証事業に関する法律案につきまして、簡單に御質問いたします。本法律案趣旨は、公共工事に関して前拂金の道を開き、積極的に建設工事の適正な施行に寄與させるために、公共工事の前拂金に対する保証事業を営む会社の制度を確立するというのでありまして、金融難のため工事の適正な遂行が阻害されている現状にかんがみまして、その趣旨には賛成するものでありますが、まずお伺いしたいことは、本法律案立案にあたつて、その前提となりますところの予算決算及び会計令臨時特例は、どのように改正することになつておりますか。さらにそれは閣議において了承されたものでありますか。お伺いいたします。
  49. 澁江政府委員(澁江操一)

    ○澁江政府委員 お答え申し上げます。御承知のように前拂金の制度は、法規的には、先般も御説明申し上げたかと思いますが、国の会計におきましては、予算決算及び会計令の臨時特例の規定によつて運用されておりますし、それから地方公共団体の前拂金につきましては、地方自治法の施行令に規定しておるのでございますが、御質問がありました通り、この法律と前拂金制の全面的な道を聞くこととは、相関連いたしておりますので、この法律案が幸いにいたしまして、可決制定と相なりますれば、これに伴います政令の改正が行われる予定でございます。もちろんこのことは、この法律案提案の際において閣議等においても、了承せられたと了解いたしておる次第でございます。
  50. 高田(弥)委員(高田弥市)

    ○高田(弥)委員 次に第三條についてでありますが、前拂金保証事業会社は登録を受けなければならないことになつておりますが、この事業公共性にかんがみて、これを免許制にする必要があるのではないかと考えますが、どのように考えておられますか、伺いたいのであります。
  51. 澁江政府委員(澁江操一)

    ○澁江政府委員 この保証事業会社を一応登録制にいたしまして、その上に立つて事業内容についての監督を別途行うという建前になつておるわけでございますが、この登録制を採用いたしました点につきましては、もちろん免許制にすべきであるか、この法律登録制をとるべきであるかという点がかなり問題になつたわけでございますが、しかしながら免許制をとりますことは、一面憲法上に規定してございます営業自由の原則から申しますと、相当の問題となるおそれがございます。登録制につきましては、他の立海例等を参酌いたしますと、証券取引法、あるいは証券投資信託法、公認会計士法というような他の立法例もございますので、むしろこの方法をとることがよりいい方法ではないかというように考えまして、登録制を採用することにいたしたのでございます。
  52. 高田(弥)委員(高田弥市)

    ○高田(弥)委員 次に第四條三項についてお尋ねいたします。事業の方法書に記載される保証の目的の範囲については、中小業者のことを考慮して、相当低いところまでねらう必要がありますが、どの程度考えておりますか。また保証限度、保証金額、保証期間はどの程度に定めるつもりでありますか。伺いたいのであります。
  53. 澁江政府委員(澁江操一)

    ○澁江政府委員 保証の対象になります範囲でございますが、お説のように中小建設業者の健全な発達ということは、もちろんこの法律の念願いたしておるところでございまして、従いまして、おおむね一件五十万円以上の建設工事に対しましては、この保証制度を活用いたす考え政府としてはおるわけでございますが、できますればこの保証の対象になる工事の範囲をできるだけ広めて、この制度の恩典と申しますか、利益をあらゆる工事面に伸ばすべきだとも考えますけれども、一面この保証事業会社自体の信用を確保するということは、絶対に必要でございますので、そういう面を考えつつ、ただいま申し上げましたような五十万円以上の金額のものについての保証を考えて行く、こういう建前をとつておるのでございます。  それからもう一点の保証限度の問題でございますが、保証限度は、これもこの保証事業会社の信用保持という点から割出されて来るわけでありまして、保険会社の場合等を参酌いたしますと、やはりこの場合にこうした保証事業を成り立たして行くためには、この保証すべき債務額と保証会社の保有しております自己資本、あるいは保証債務に流用せらるべき保証基金制度をこの法律では規定してございますが、そういう自己資本ないしは保証債務に充てらるべき保証基金、これと保証の対象にございます債務との比率をおおむね二十倍程度で運営せられるのが適当だというふうに考えておりますので、保証限度といたしましても、おおむね二十倍の範囲内に保証債務を負担する、こういうことに事業方法書等において定められることを、実は期待いたしておるのでございます。
  54. 高田(弥)委員(高田弥市)

    ○高田(弥)委員 次に第五條についてでありますが、建設大臣登録を拒否する一つの要件として、資本の額が三十万円以上の株式会社でない場合がありますが、これは少数の人によつて会社が壟断される心配がないように株式組織としたことと思うのでありますが、これが大業者に利便を與え、中小業者を圧迫するような結果を生じないとは決して言い切れないのであります。この点に関しましては十分なる監督を必要とするものでありまして、この点に関しては第二十一條事業改善の命令の規定があるのでありますが、十分なる監督と指導が絶対に必要でありますので、この際保証事業会社の適正なる運営について政府の見解をただしたいのでございます。
  55. 澁江政府委員(澁江操一)

    ○澁江政府委員 この資本金の額ないしはその資本が一部の業者等によつて壟断せられる結果、それが中小の建設企業者に対する非常に不利益な取扱いという点については、私どももきわめて心配をいたしておるのでございますが、この法律といたしましても、そういう点をおもんばかりまして、すでに登録條件といたしまして、この事業の適正な運営を確保するに十分でないという事実が、この登録の際の事業報告書等によつて確認せらるる場合等におきましては、この登録の拒否ができ得る建前になつておりますし、それからまた二十五條をごらんいただきますと、保証事業会社が請負業者の利便を不当に阻害しておるという事実があると認められるときにおいては、建設大臣に対して当該業者からこの審査請求をすることができる建前になつております。すなわちことが一部の業者の利益保護にとどまりまして、中小企業者の利便を非常に阻害しておるという不公正な取扱いがあるという事実があつた場合におきましては、その事実をもつて、当該建設大臣に対して、審査請求をして、その公正な判定を求める。その結果は、建設大臣において、事業の改善命令なりあるいは登録の取消し処分という監督方法もできる建前になつておりますので、これらの規定の運用によりまして、ただいま御質問のありました中小企業者の保護については、十分遺憾のない運営をいたす考えでございます。
  56. 高田(弥)委員(高田弥市)

    ○高田(弥)委員 次に第十二條の保証約款についてでありますが、第二項一号の保証料の料率はどの程度に定める予定でありますか。さらにその算定の根拠についてお伺いいたします。すなわち今日まで一部を除いて前拂金の制度がなかつたので、どの程度の資料に基いて事故率を判定したかという点であります。これとあわせて第十七條において、保証契約をした業者から保証基金を積立てさせることになつておりますが、この金額はどの程度でありますか。あわせてお伺いいたします。
  57. 澁江政府委員(澁江操一)

    ○澁江政府委員 この保証料の算定積算の根拠でございますが、この保証料を算定いたしますためには、この保証すべき前拂金によります工事につきまして、どの程度の危険率があるか、事故率があるかということがまず一つ條件になつて参ります。二十五年度の主として国、公共団体の工事について調査いたしました結果を見ますと、事故率は〇六八%という結果になつております。そこでこれを一%程度に、むしろ確実に保証債務を確保し得る建前考えまして、一%といふ事故率をー応想定いたしてはじいて参りますと、保証金額に対しまして日歩一銭、期間にして最大五箇月という一応の保証料の金額が出て参るのでございます。  それから保証基金でございますが、保証基金は御承知のように、保証事業会社の信用というもの、あるいは先ほど申し上げましたように、保証限度、つまり保証債務と、それに対します事業会社の自己資本、さらにプラスさるべき基金という形で、一応実はこれを信用を附加するために予定いたした制度でございますが、これもおおむね今の保証料率と同額のものを、各契約の対象になります請負業者から支拂われることによつて、先ほど申し上げました保証限度の二十倍という線が大体確保せられる結果になるのでございます。従いまして建設業者としては、この保証を受けることによつてどれだけの負担をするかと申しますと、保証債務額の保証金額に対する日歩一銭と、それからそれと同額の保証基金、すなわち通じまして日歩二銭の負担をする結果になるのでございます。
  58. 高田(弥)委員(高田弥市)

    ○高田(弥)委員 以上で質問を終りますが、この保証事業会社の事業運営にあたつては、中小企業者の利便を阻害することのないよう、十分監督をなし、公共工事の円満なる施工をなすように希望しておきます。
  59. 松本委員長(松本一郎)

  60. 西村(英)委員(西村英一)

    西村(英)委員 建設大臣がお見えですから、この際私はこの法律案と密接不可分の他の問題をお尋ねしてみたいと思います。と申しますのは、この法律案の所期する目的も、公共事業の円滑なる遂行にある、こう思うのですが、公共事業を円滑に遂行するには、これらの前渡金問題以外に、幾多の要素があると私は思うのであります。その中で私は第一番に、金もかからず、政府の心がけだけでもつて公共事業の円滑なる遂行をし得る道といたしまして、現在の公共事業予算の執行方について、幾多の欠点があるのじやないか、この問題が私は公共事業の遂行上一番大きいのじやないかと思う。それは国家予算が国会を通過してきまつて、それが地方に配付され、現地でもつて請負工事になるまでには、相当な事務的な手続を要しまするためでもありましようが、相当長期にわたつて、現場にはなかなか到着しない、現場の工事になるまでには非常に日にちがかかる。ことにまた現在では地方負担、金、地元負担金、そういうようなものが全部出そろわないと、なかなか工事にならないというようなこともありまして、実際一年は十二箇月でありまするけれども、工事をやる期間といたしまては、きわめて短かい期間において工事を仕上げなければならない。直轄工事もそうでしようが、直轄工事でなくて地方工事になるとその弊ははなはだしいのあります。私が地方で聞きましたところでは、二十六年度の地方の公共事業につきましては、地方起債が遅れたのか、あるいは地元負担金が遅れたのか知りませんが、わずかの期間にこれをやるように請負者は命ぜられるのであります。その期間でやらなければもう予算はやらないというような極端なことまでやつて、その年度の予算を消化しなければならぬ、官庁の年度末工事ということがよく言われますが、これはそういうところから起つたのでしようが、最近の実情はその弊害が非常に願誓になつておるのでありまして、この点が公共事業の円滑なる遂行に非常に支障になつておると思うのであります。私はそういうことも大臣公共事業を遂行する上においては、この法律を出したくらいでありますからおそらく御関心を持つておられると思う。それで前金拂いをやらなければならぬ、しかしてこういうような保証会社も考えなければならぬということは、工事が集中されるからであります。工事が集中されると請負者は金に苦しむのであります。同じ一億の請負をやる場合にも、十二箇月で請負をやるのと四箇月で請負をやらなければならぬのとは、自分の負担能力というものが非常に違うのであります。それでその点につきましては、私は大臣といえども名案がないと思います。思いますが、これは行政をやるところの中央官庁の心がけ一つで、金も何準正らずにできることであろうと私は思いますが、大臣がせつかく公共事業の円滑なる遂行に御関心がありますから、この点についてこの際お聞きしておきたいのであります。
  61. 野田国務大臣(野田卯一)

    ○野田国務大臣 西村委員のただいまの御質問はまつたく肯繁に当つた質問だと存じます。その点につきましてはわれわれのでも日ごろ頭を使つておるわけでありますが、特に二十七年度の予算につきましては、御承知のように従来安定本部の認証という制度がありまして、予算をもらいましてもそれを使う場合になりますと、一々事こまかに安定本部に裏書きをしてもらわなければならないという制度がありましたが、その制度を二十七年度から撤廃をすることにいたしました。従つて建設省予算であれば、建設省限りにおいて執行できるということに相なりまして、これは前年度に比べますと一つの大きな進歩であろうと存じます。それからまた時期的に申しまして、四月の月に入りましたならばすぐに必要な金が出せるようにというわけで、予算の配付の問題でありますが、今年は三月の半ばから準備をいたしまして、四月になりましたら早々予算の地方に対する配付ができるように、特に繰上げて処置をいたしております。こういうことをいたしまして、でき得る限りただいまのお話のような御趣旨に沿いたい、こういうふうに努めておる次第であります。
  62. 西村(英)委員(西村英一)

    西村(英)委員 この点は私の感想を申し上げましたので、今数字を持ちませんが、特に二十六年度の公共事業の行われ方につきまして私はいろいろ聞くのですが、大臣もひとつ二十六年度の事業がどういうふうに行われておるかよく調べになつていただきたいと思います。  それからもう一つ、これは工事の遂行上必要なことでありますが、請負の建設業者の質を向上せしめる目的で例の建設業法という法律ができたのでありますが、地方をまわつて見ますのに、建設業法ができてどれだけ建設業者の質が向上されたか、私が聞く範囲におきましては、むしろ建設業法ができたために請負工事がやりにくくなつたという声を聞くことが多いのであります。もちろん私は建設業法ができて、全然効果がなかつたということは申しませんが、せつかく請負業者の質を向上するためにできました建設業法も、あまりルーズに行われますと請負業者をふやすのみである。請負業者をふやしますれば、やはり工事の配分についていろいろなことが行われまして、それが積り積つて公共事業の満足な遂行にならぬのであります。本省で建設業者の質的向上をはかる目的をもつて施行したこの建設業法が、どういうふうに建設業者の質を向上せしめておるか、私が地方で聞きます評判では、向上せしめていないのみならず、建設事業の円滑なる遂行に、かえつてこんな法律ができない方がよかつたのだという声を聞くのであります。これは一部分の声かもしれませんが、それらの点についてどういう御感想を持つておられますか伺いたいと思います。
  63. 野田国務大臣(野田卯一)

    ○野田国務大臣 一応監理局長から答弁いたしまして、それから私御答弁いたします。
  64. 澁江政府委員(澁江操一)

    ○澁江政府委員 この建設業法の施行状況につきましては、その年次々々の一年間の建設業法の運営ということを私ども十分全国的に調べておりまして、その結果法律の運営に支障のないようにということを実は心がけておるのでございますが、御承知のように建設業法では一応登録という制度をとつております。これによりまして大臣登録あるいは知事登録という形において各業者登録をしております。登録制度の主たるねらいは、業者の信用その他をインフオーメーシヨンして、発注者との関係を円滑にするというのがねらいでございます。そこでこれによりましてできるだけ業者の信用状況を的確に把握せしめる仕組みによつて業者の選定を誤らない、こういう建前に一応いたしておるのでありますが、もう一つ法律の運用として今まで私どもがやつておりましたのは、これは府県におきましても、あるいは中央におきましても扱つておりますが業者と発注者との間の契約上の紛争の調停ということを実はいたしております。これは相当業者にもまた発注者側においても喜ばれております。この紛争の調停によりまして当事者間のめんどくさい問題がかなり解決されておるというふうなことになつておるのでございます。  それからなおこれもお聞及びかと思いますが、現在入札の合理化対策というものを実は実施いたしております。これは業者間の不当なダンピングあるいは不公正な競争をできるだ避ける意味におきまして、業者の能力を客観的な基準によつてはじき出しまして、能力の上においてある程度匹敵し得るものの自由な競争によつて入札を行う、こういうことによつて不当なダンピングあるいは不当な競争を避けまして、堅実な運営をはかりたい、かような試みをいたして実行に移しつつあるのであります。そこで今までのこの業法かち実は一つの中央建設業審議会ないしは地方にそれぞれ地方建設業審議会という審議会が設置されておりますが、ここに御提案いたしております信用保証会社制度も、実はこの中央建設業審議会等において盛んに論議されました金融対策の一環でございまして、実は現在の建設業法自体では、かなりそういう業者の助長方面的の仕組みが乏しいのでございまして、そういつたような観点におきまして、この新しい信用保証会社制度法律が建設業審議会等においても論議され、ここに御提案できる運びになつたのでありますが、そういつたふうな意味合いにおきまして御趣旨の点はごもつともな点がございますので、できるだけそういう助長行政的な方向に運営せられるように持つて行きたい、かように考えておるのでございます。
  65. 西村(英)委員(西村英一)

    西村(英)委員 一言にして建設業法が所期の目的を達したか満しないかということはなかなか言えないと思いますが、私はそれで現在の状態大臣登録府県登録というような、業者参考資料も出していただいて、また行政処分も、これは私はなかなかできがたいと思うのですが、実際数箇年やつても私どもそういうことが行われようとは考えておらないのでありますが、それらの点につきましてもどういうような行政処分が行われるかというようなことも、後ほど参考資料として出していただきたいと思うのですが、要は私は建設業法によつて質問向上をはかろうとしたことが一部分は目的を達したかもしれませんけれども、公共事業を円満にまかしておくだけの業者の質的面上は、私は期待することはできない、そういう点につきましてひとつ大臣も御関心を持つていただいて、よくお調べにならんことを私は希望するものであります。  私の質問は大体それだけでありますが、もう一つ最後質問いたしたいのは、この法案それ自身の問題といたしまして、この前拂金の保証をするということはこれは金だけの保証であろうと思うのですが、ここまで行けば、どうしてこの完全保証をするという考え方ができなかつたのであろうか。つまりある請負人がその工事を食い散らして、そうして解約しなければならない、前渡金を抑えぬからそれは困るから、保証会社をつくつてやろうということにもなるわけでありますが、金だけもらつたらいいということなんですが、あとの工事はどうするか、あとの工事はやはり公共事業としてやらなければならぬことなのでありまして、それを他の業者にやらせるということは、これはまたなかなか余分な経費もかかるし、またあまり好ましくないと思うのですが、同じ保証をするならば前拂金を保証するとともに、工事それ自身も全部保証会社にやらせる。保証会社がいかなる方法をとつてもいい、保証会社にやらせる。つまり完全保証にどうしてしなかつただらうか、こう私は思うのであります。  ついでにもう一つ私は続けてお尋ねしたいのは、これは銀行等もやれる、その他大臣の指定されたところもやれるということになつておりますから、三千万円の資本金をもつてやろうと思えばかつてにできる事業でありますが、おそらくこれは内面指導があろうと思うが、どういうふうに内面指導をされておるか、あるいは全然内面指導をしていないで、かつてにこういうような資本金で会社をつくつてやるものを許そうとしているのか、もう一つの点はこの保証事業会社というものは大きい工事をやる場合に必要なのか、あるいは地方の小さな工事をやる場合にそういうことが必要なのか、つまり前渡金はどういうような方面に出さなければならいか、こういうことでありまして、大きい業者にやらせる場合ならば中央に二、三の保証会社があればいいでしよう。むしろ中小の業者に前渡金を與えて工事を円滑に遂行して行くということになれば、これは府県ごとに保証会社というものがいるというようなことにもなるわけでありますが、その三点、完全保証の問題と、内面指導の問題、それからどこにそういう保証会社の必要ありや、こういう点につきましてお尋ねしたいのであります。
  66. 澁江政府委員(澁江操一)

    ○澁江政府委員 まずお尋ねの第一点の完全保証の問題でございますが、実はこの前の国会におきまして保険業法の改正がございまして、請負保険制度というものが実は開かれたのであります。これは請負保険と申しましても内容はいろいろにわかれております。その一つに履行保証保険制度という制度が実は開かれておりまして、現に保険会社の中の数社がこの制度を採用いたしまして、すでに保険約款等をつくりまして、業界と契約をし得る直前の段階に来ておるのでございます。この履行保証保険制度は、ただいま西村委員の御指摘になりました完全保証の制度でありまして、業者工事の途中におきまして工事放棄、契約の解除というものが業者の責めに帰すべき理由によつて起きたような場合におきましては、これをこの保険会社が保証するという仕組みになつておるのであります。そこでこの法律といたしましては現在保険業法で行われ、しかも保険会社がすでに実行の段階になつております今の履行保険制度とタイアツプいたしまして、むしろ前拂金保証にこの道を開く措置をとつたのでございます。従いまして御質問ご出ました完全保証の仕組みは今の請負保険による履行保証保険がこれを十分カバーする、こういう建前になつておるので御了承願いたいと思うのでございます。ございますが、実は私ども聞いておりますところではこの法案立案の過程におきましては、もちろん業界方面の意向を打診いたしております。打診しております過程におきまして、業界方面におきましても、この法律の通過を待つて会社を説立する企画もいろいろ考えられつつあるように承知いたしておるのでございますが、それによりますと、おおむね全国に一社の保証事業会社を設立するという計画のように聞いておるのでございます。ただいま西村委員の御指摘になりましたような業者の対象といたしましては、これはもちろん中小業者も対象といたしておるのでございますから、従いましてそのために全国的な業者の信用調査を東京とか大阪の一箇所の営業所を持つ機関が、それだけで完全な調査ができるはずはございません。それぞれ本社はかりに東京ないし大阪にあつた場合におきましても、その信用調査をいたすことも関連いたしますし、それから業界等の便宜、利便ということも考えつつ、各府県にそれの機関といたしまして、あるいは出張所あるいは営業所といつたような仕組みが設立されるのではないかというふうに考えているのでございます。  それから大業者中心か小業者あるいは小工事が中心かという問題も、今の私の申し上げました点で御了解いただけたことと思いますが、先ほど来申し上げておりますように、現在の金融に依存する状況におきましてはどうしてもやはり大業者中心にならざるを得ない。これは金融機関等の信用を見る見方からいいますと、どうしても大業者偏重主義にならざるを得ない。むしろこの保証事業会社というものが生れることによりまして、前金拂い制はこれは先ほど申し上げましたように、五十万円以上の工事であればいかなる場合といえども国、公共団体としては出し得る仕組みが考えられますが、その場合において保証すべき対象は、これはこの事業会社の運営、信用がくずれない限りにおいてはできるだけ広く活用すべきものであると私どもは考えているのであります。そういつたような意味におきまして、中小工事の場合といえどもこの信用を保証するという運営にむしろだんだん進んで行くようになつてほしいというふうに考えているの皆ございます。
  67. 西村(英)委員(西村英一)

    西村(英)委員 私はこまかい点についてまだ多少の質問がありますが、他の委員もおりますからそれは保留いたしましてこれで終ります。
  68. 上林山委員(上林山榮吉)

    ○上林山委員 本法案の前後の取扱いについては私は納得の行かない点のあることをこの前申し上げましたが、その点は他日に讓りまして、一、二質問してみたいのであります。  まず第一点は保証事業会社は法的に見て法人格はどういうふうになつているのか。保証事業会社という名目をただ使つているだけでありまして、その性格がよくわからないのでありまするが、法人格で言うならばどういう法人格に当るか。この点をまず伺つておきます。
  69. 澁江政府委員(澁江操一)

    ○澁江政府委員 この保証事業会社は、この法律によつて監督を受ける点につきましては別といたしまして、会社そのものは商法上の株式会社というふうに考えられるのでございます。
  70. 上林山委員(上林山榮吉)

    ○上林山委員 保証事業会社は法人格は商法上の株式会社に当る、これはもしそういう性格であるとするならば、なぜ保証事業株式会社と明記しないのか。この点を伺つておきたい。
  71. 澁江政府委員(澁江操一)

    ○澁江政府委員 この法律の上における定義といたしてまして保証事業会社というふうに規定いたしております。もちろんこれはこの法律用語としての保証事業会社という字句を使つているのでありまして、登録の要件をごらん願いますれば、第六條に規定してありますように、資本の額が三千万円以上の株式会社でない場合には登録の否定をされるということになつておりますので、保証事業会社は当然株式会社であるということが言えるわけであります。
  72. 上林山委員(上林山榮吉)

    ○上林山委員 そういう点が、一方には保証事業会社と言い、一方にはその会社の成立の要件として株式会社であるというようなことを書いているところを見て私も質問したのでありまするが、これは保証事業株式会社と言うことは法律用語として何か不便であつたのか。それとも何も意味はないのか。もし意味がないとするならば、はつきりと保証事業株式会社と言つた方が法人格としてのあいまいさを明瞭にするものだ、こういうふうに考えるのでありますが、これに対して何かこうしなければならなかつたという積極的な根拠があるのかどうか。
  73. 澁江政府委員(澁江操一)

    ○澁江政府委員 これは別に保証事業会社でなければいけないという積極的な理由はございません。法律用語としてはできるだけ簡潔な用語を使うことを便利とするという建前もございまして、保証事業会社あるいは保証事業会社登録簿、こういう用語を実は使つているのでございます。
  74. 上林山委員(上林山榮吉)

    ○上林山委員 保証事業会社と言わなければならな、という積極的な現任はないと、こういうふうに承知していいのでありまするか。もしそうであるならば、これは民法上の会社といい、商法上の会社といい、あるいはその他の法人格を持つた会社といい、明瞭にすることが国民にわかる法律になるのだ、こういう私どもは考えを持つのでありまするが、これは立法上の技術的な統一という意味からもそういうふうにあいまいな名目をできるだけ使わない方がよろしい、こういうふうに考えるのであるが、これに対して何ら積極的な、かくしなければならぬという理由を、ただいまの政府委員の説明ではわれわれは納得行かないのでありまするが、この点を明瞭にせられたいのであります。
  75. 澁江政府委員(澁江操一)

    ○澁江政府委員 登録の一條件規定いたしておりまする通り、これは株式会社でなければいけないという建前を堅持いたしております。従いまして、この保証事業を営みます会社の法人格は、ただいま私が申し上げた通り商法上の株式会社ということに限定いたして考えているのでございます。ただそういう点につきまして、趣意を明らかにする意味において、保証事業株式会社という用語がむしろしかるべきであるという御趣意でございますが、他の立法例等も参酌しつつ一応事業主体を対象とする法律用語として簡潔をたつとぶという趣意によりまして、保証事業会社という字句を使つた、それ以外に他意はないのでございます
  76. 上林山委員(上林山榮吉)

    ○上林山委員 今の説明であればあるほど、保証事業株式会社とすることがわれわれに適当だと考えるであります。書案を簡潔にしてわからない規則をつくることは、国民にわからせる法律をつくるという趣旨からいつてわれわれは賛成できないのでありますが、これは意見になりますから、委員会委員会としての考えを協議したいと思うわけでありますので、これ以上申し上げません。  第二点は、三千万円以上の株式会社でなければ保証事業会社として認めないということでありまするが、政府考えておる三千万円以上の会社は幾つぐらいできる見通しであるのか、この点を伺つておきます。
  77. 澁江政府委員(澁江操一)

    ○澁江政府委員 この会社設立を企図しております業界等の意見を聞きまして大体判断いたしておるのでございますが、ただいまのところ全国に二社設立される見通しでございます。
  78. 上林山委員(上林山榮吉)

    ○上林山委員 業界方面との相談によればという前提でありまするが、業界の人たちというのはどういう人たちであつたのか、この点を伺つておきたいのであります。
  79. 澁江政府委員(澁江操一)

    ○澁江政府委員 大体この保証事業会社の事業目的が建設業者に対する前拂金の保証をやる関係上、主として建設業者が中心でございます。それ以外に保険会社ないしは金融機関、これらの関係者という範囲に承知いたしております。
  80. 上林山委員(上林山榮吉)

    ○上林山委員 抽象的と業界という説明がありましたが、何か具体的に、たとえていえば全国建設業協会というようなものでもあるのかよくわからないが、そうしたような団体の代表者を招致して意見を徴したものであるのか、ただ個々のそうした関係者の意見を総合してのお話であるのか、この点をもう少し明確にしてもらいたということ。もう一つは、何がゆえに二社にしなければならないのか。われわれの考えるところ中小企業者のこともあるし、あるいは全国的になかなか下部に浸透しない、目の届かない点もあるので、これは数ブロツクにわけてもいいんじやないかという考えを持つのでありまするかたとえば州地区あるいは関東地区、こういうとうな意味の事業会社をつくつてもいいんじやないかという考えもあるのでありまするが、この二点について伺つておきたいのであります。
  81. 澁江政府委員(澁江操一)

    ○澁江政府委員 建設業界方面としてどういう具体的な関係者との意見によつてこの問題を取上げたかということでございますが、御承知のように現在全国建設業協会という一つの団体がございます。これと東京土木工業協会——これは土木建設業者の比較的有力なメンバーで構成しております団体でございますが、この一社等におきまして寄り寄り相談された結果、そういう全国二社という案が一応出ておるのでございます。  第二点の、しからば全国二社に限定するのがいいかどうかという問題でございますが、法律上はこの登録の拒否條件に該当しない限りは、信用保証事業を営もうとする会社は、いずれも設立されることを何ら拒む理由はないのでございまして、ただいま御説のようにできるだけ多くのものがあつて、できるだけ多くの業者を信用保証ができる仕組みがある、これもまことにけつこうなことでございまして、そういう設立を企図されるならば、あえて法律上はこれを拒む必要はない、多々ますます弁ずるというふうに考えておるのでございます。
  82. 上林山委員(上林山榮吉)

    ○上林山委員 一社に限定するのではなくて、法律趣旨からいつても幾らでぎてもよろしいんだ、こういう答弁でありますのでこれ以上お尋ねをいたしませんが、第二條に「この法律において『公共工事』とは、国、日本国有鉄道日本専売公社又は地方公共団体その他の公共団体の発注する十木建築に関する工事をいい」とこういうふうになつておりますが、ここで「その他の公共団体」というのは、どういう種類のものを具体的にさすのか、それの説明が願いたいのであります。
  83. 澁江政府委員(澁江操一)

    ○澁江政府委員 ここにあげてございます「その他の公共団体」として考えられますのは、土地改良区とかあるいは水害予防組合、すなわち府県、市町村以外のそうした公共団体がこれに包含されるものと考えております。
  84. 上林山委員(上林山榮吉)

    ○上林山委員 ただいま御説明になつたような団体が加えられているだろうと思うというような少しあいまいな御答弁でありますが、これは現実にそうした種類のものをさしておるのかどうか、はつきり御答弁願いたいと思います。
  85. 澁江政府委員(澁江操一)

    ○澁江政府委員 重ねて申し上げます。土地改良区、水害予防組合がこの「その他の公共団体」、その他この法律では府県あるいは市町村以外にこの土地改良区に相当すべき事業団体、こういつたものを含むというふうにいたしております。
  86. 西村(英)委員(西村英一)

    西村(英)委員 ちよつと関連して……。私もその点に触れてみたかつたのですが、この法律において公共事業とは云々ということは、何のためにうたつたのであるか。この公共事業には前拂金を出そうということなのか。もしそうだとすると、国有鉄道、専売公社等は、この法律改正をまたなくても前拂金が出せると思う。ことに「その他の公共団体」といつて今あげたようなものは、この法律をまたなくても前拂金が出せるのではないか。また公共事業というのはそういう目的ではないのだ、保証会社で扱わせる事業でなければ受付けないのだ。つまり保証会社はできておつても、今言われた公共事業以外には保証しない、民間のものは保証会社に扱わせない、こういうことなのかどうか。民間の会社、たとえば私鉄等の工事をやる場合に、請負業者と発注者との間に前拂金の問題があります。その場合に保証会社に頼んでもこれはいいのかどうか。そういう点に公共事業という定義がかかつて来るわけです。だから前渡金を出させるために、こういう公共事業をうたうのであるかどうか、もしくは保証会社で扱うところの事業は、公共事業——ここにうたう公共事業でなければいけない、民間のものではいけない、こういうことなのかどうか、この点を関連いたしまして御質問申し上げます。
  87. 澁江政府委員(澁江操一)

    ○澁江政府委員 ここにいつております公共工事を前拂金保証事業の対象にするという意味は、むしろただいま西村委員から仰せになりました後者の意味でございます。
  88. 上林山委員(上林山榮吉)

    ○上林山委員 たくさんありまするが 号の機会に讓りまして、私は最後にお尋ねいたしたいことは罰則についてであります。第二十九條に、「保証事業会社の役員又は職員がその職務に関して、賄賂を牧受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、これを二年以下の懲役に処する。」こういう規定がありまするが、これは刑法上の「公務員又ハ仲裁人其職務ニ関シ賄賂ヲ牧受シ又ハ之ヲ要求若クハ約束シタルトキハ三年以下ノ懲役一処ス請託ヲ受ケタル場合二於テハ五年以下ノ懲役ニ処ス」こういう規定がありまするが、これとの関連性はどうなるのであるか、まずこの点を伺います。
  89. 水野説明員(水野岑)

    ○水野説明員 お答え申し上げます。ただいま御指摘になりました刑法の規定は、公務員に関する規定でございまして、本会社の、すなわち保証事業会社の役職員は公務員ではございませんので、刑法の収賄罪の規定適用はございません。しかしながらこの事業の重大な職責にかんがみて、本法におきまして牧賄罪の規定を設けて、そうして適正な運営をさせようというふうに考えまして、この規定を設けた次第でございます。
  90. 上林山委員(上林山榮吉)

    ○上林山委員 もちろん刑法にいう牧賄罪が、公務員またはその仲裁人に限つておることは私も承知しておるから質問しておるのでありまするが、そこでお伺いいたしたいことは、株式会社の役員または職員が、その職務が重大であるからという理由によつて、刑法上の罰則と同様なものをここに規定するということが妥当であるのかどうか、いわゆる指導、監督、あるいは役員の解任、こうしたようなことは、これは監督上必要な行政処置であるが、行政処置でも、もちろん場合によつては、刑法に準じてある程度の罰則のあることを私ども承知しておりますけれども、しかしこういうような重い規定をつくるということがはたして妥当なやり方であるのかどうか、この点について、これと匹敵する事業で、そういうような重大な事業で、立法例として最近立法した例があるならばお示しを願つておきたいと思います。
  91. 水野説明員(水野岑)

    ○水野説明員 たとえば金融業につきましては同じような収賄罪の規定が設けられておりまして、この保証事業会社におきましては、金融に非常に相似ました信用保証事業を営む会社でございますので、その事業の重大性にかんがみまして、収賄罪の規定を設けた次第でございます。
  92. 上林山委員(上林山榮吉)

    ○上林山委員 金融業に関する法律條文を、今すぐ見つからぬのでありますが、最近金融業に対して収賄罪の規定をどういうふうに設けられたか、その立法例を具体的に示していただきたいと思います。
  93. 水野説明員(水野岑)

    ○水野説明員 経済関係罰則の整備に関する法律という法律がありまして、その法律の中に、別表甲号と別表乙号とありまして、その別表乙号に、銀行がいろいろと規定されております。たとえば商工組合中央金庫なんかそこに入つております、漁業会、製造業会、そういうようないろいろな事業者が別表乙号の中で収賄罪の規定をされております。
  94. 上林山委員(上林山榮吉)

    ○上林山委員 収賄罪の規定があるという説明を今聞きましたが、比較して、たとえば二年の懲役というのに匹敵する條又があるのかどうか、伺いたいと思います。
  95. 水野説明員(水野岑)

    ○水野説明員 ただいま別表乙号で申し上げました事業者につきましては、経済関係罰則の整備に関する法律におきまして、「三年以下ノ懲役ニ処ス」こういうような規定になつております。従いまして本法におきます収賄罪は二年でございますので、金融業等よりは軽くこれをいたしております。
  96. 上林山委員(上林山榮吉)

    ○上林山委員 建設大臣政府側の意見を聞きたいのでありますが、もちろん立法府であるわれわれが考えるべき問題でありますけれども、参考に伺いたいのは、経済関係罰則の整備に関する法律、これは昭和十九年二月十日にできて、施行は昭和十九佃四月二十日、こういうようになつておりますが、これは占領下における一時的な統制という意味から、連合国最高司令部等の示唆に基いてできた法律であるのか、——改正が昭和二十二年に改正され、二十四年にも改正されている点からそういう疑いを持つのでありますが、これは十九年の困難な時期の経済統制という一連の法律であるのか、こういう点についてお伺いいたしたいと同時に、将来もこういうようなものは続けてやつて行くのだという、政府側の方針を持つているのかどうか、この点を承つておきたいのであります。
  97. 野田国務大臣(野田卯一)

    ○野田国務大臣 上林山委員からお尋ねの経済関係罰則の整備に関する法律の制定のいきさつを、ただいまつまびらかにいたしておりませんので、調べましてお答えいたしたいと思つております。
  98. 松本委員長(松本一郎)

    松本委員長 本案に関しまする質疑はこの程度で本日はとどめ、次会に讓ることにいたします。     —————————————
  99. 松本委員長(松本一郎)

    松本委員長 この際日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法案内閣提出第一六四号を議題とし、前会に引続き質疑を続行いたします。  ただいま鍛冶良作君より委員外の発言を求められましたが、これを許すに御異議ありませんか。     〔「異議ねし」と呼ぶ者あり〕
  100. 松本委員長(松本一郎)

    松本委員長 御異議なしと認め、それでは鍛冶君の御質疑を願います。鍛冶良作君。
  101. 鍛冶良作君(鍛冶良作)

    ○鍛冶良作君 この法案についての特別調達庁側の意見を昨日承つたのでありますが、これにもつとも関連の深い法務府側の意見を承りたいと思うのであります。この提案理由を承り、また法案を見ますると、主として使用をすることを目的とし、收用をなるべく避ける方針であると承つております。これは私は所有権を剥奪するということよりも、さしあたたつて必要なものを使用するということが最も適当だからという意味であろうと思いますので、これはいいことだと思う。ただその上において特に注意せなければならぬのは、この使用及び収用は、永続的のものというよりも、駐留軍の駐留中だけということに限定されておりまするがゆえに、所有権の収用よりか使用をとる、こういうことも入つておると思われるのでありまするが、この点は法務府ではどうお考えになつておりますか。
  102. 林政府委員(林修三)

    ○林政府委員 法務府といたしまして、この法案の立法審議についてとりました態度について、お答え申し上げます。これはただいま鍛冶議員からお話がございました通り、土地収用法は御承知のように、大体土地の収用ということを原則といたします。使用は特に例外的な規定といたしております。ところがこの駐留軍関係の用に土地を提供いたすということは、これは駐留軍の存在がもとより條約上も恒久的ではございません。そういう意味におきましては、一時的のものが多かろうということが第一点。またもちろんその所有権の方の制限ということは、非常に重大なことでございまして、やはりその所有権の制限は、その目的の範囲内に限らるべきである、こういう考え方から、やはりどうしてもそこを収用しなければその目的は達せられないという場合を除いては、法律的には使用というのが原則ではなかろうか。こういう二点を考えて、土地収用法では收用または使用となつておりますが、この法律では使用または収用と、それをひつくりかえしまして、その気持を現わしておるわけであります。ただそれにつきましては、駐留軍関係に土地を提供いたします場合に、その提供されます土地をどう使われるか。たとえば農地が飛行場のような半永久的な土地の形質の変更がある。従いまして、将来これは相当長い期間にもわたると思われますし、またそれがかりに使用が解除されました場合においても、容易に原状回復ができそうもない。そういうようないろいろの事情がございまして、むしろこの際は土地の所有者の利益を考えれば、あるいは所有者の希望を考えれば、収用の方がいいという場合もあろうかと思います。そういう意味で、使用または収用と書きまして、必ずいかなる場合には使用、いかなる場合には収用とまでは書かなかつたのであります。大体の気持は、今鍛冶議員の仰せられたことを根拠といたしております。
  103. 鍛冶良作君(鍛冶良作)

    ○鍛冶良作君 そうだとしますと、駐留軍の必要の場合だけにその権利を剥奪というよりか、押えておくと見てよい。従つて駐留軍が不要になつた場合は、元の通りにもどしてやるということが原則ではなかろうかと一思いますが、これはいかがですか。
  104. 林政府委員(林修三)

    ○林政府委員 これはこの法案をごらんになればわかりますように、この第十一條に駐留軍の用に供しておりました土地を返還する場合の措置が書いてあるわけでございますが、この書き方から考えまして、あるいは土地収用法の原則から考えましても、その点はお説の通りでございます。ただいろいろの駐留軍の使用の関係におきまして、普通の土地収用法の使用であれば、その使用はもとより收用を必要としない場合の使用が多いわけでありまして、収用はもう権利をすつかりとつてしまうわけでございますから、そこにいかような土地の形質の変更ということも当然考えられるわけでありますが、土地収用法の上で使用の場合には、当然その土地をそのままに使用するのが大体原則だと思います。ところが駐留軍関係につきましては、同じ使用と申しましても、相当そこに土地の形質の変更ということが考えられるわけであります。たとえば相当建物を模様がえするとか、あるいは土地をすつかり掘り返して別の用途に供してしまうとか、そういう場合がありまして、そういう原状回復の原則で参りましては、やはりそこに経済上非常に問題がある場合が起るわけであります。そういう場合には、その原状のまま返還できぬということも、この法案では特に規定いたしておるわけでございます。原則は、もちろん原状回復ということが使用した場合の原則であるということは当然であろうと思いますが、そういういろいろの理由がございまして、この第十一條では、原状回復をしない場合のことを規定しておるのでございます。
  105. 鍛冶良作君(鍛冶良作)

    ○鍛冶良作君 いや、ものの形でなく、私は権利のことを言つておる。具体的に例を一つ申しましよう、土地でも家でもよろしいのでございますが、所有者と賃借人と違つておる。そこでその土地の使用だけをとろうとするときに、賃借権なり使用権なりをなくしてとられるのか、賃借権は賃借権のあるままで、賃借権者から使用をとられるのか、この点なんです。法律の権利関係を聞いておる。
  106. 林政府委員(林修三)

    ○林政府委員 この点はこの新しいただいまの法案におきましても、大体いろいろの権利関係の処置つきましては、土地収用法を準用いたしております。大体土地収用法の原則によつておるわけでおります。土地収用法の第百一條第二項に規定があるわけでございますが、土地に使用権を設定いいしました場合、その場合におきましては、その使用期間中はそこの土地を使用する権利等は、使用権を設定した場合に取得するわけでございます。その他そこにございます権利は、その使用を妨げる範囲内におきましては、行使ができないわけでございます。しかしその間そういうことができないというだけでありまして、これを権利がどうなるというものではございませんで、その権利は本来もとありました権利のまま続いておるわけでございます。ただ使用が制限されておる。こういうことでございます。
  107. 鍛冶良作君(鍛冶良作)

    ○鍛冶良作君 そうすると、もつと具体的に承りますと、家の場合を言いましよう。所有者があつて、借家人がおる。その家を使う。こうしますと、借家人からまた借りせられるのですか。それとも所有者から面接に借りて、その占有をとられるのですか。
  108. 林政府委員(林修三)

    ○林政府委員 これはやり方としては、両方可能であろうと存じます。しかしやはりこれを土地なり建物を使う者の立場から言えば、やはり権利の確実なものから借りるということが、どうしても必要だろうと思います。権利関係のはつきりしたものと契約するということが、これが普通の考え方ではなかろうかと思います。方法としては両方あり得ると思います。
  109. 鍛冶良作君(鍛冶良作)

    ○鍛冶良作君 私の聞くのは、一時やむを得ざるがゆえに駐留軍の必要な間だけその権利を押えようとするのですから、それがなくなつたら元へもどすのだ、こうすれば、元の借家人へもとしてやるというのが本則でなければならぬ、その点を言つておるのです。だから、そのときは借家人から借りられるのだろうと思うのだが、それが借家人から借りられるものとすれば、借家人からまた借りして、そして借家権があると認めて、借家人へ代償の賃料、損害金を渡すのがほんとうじやないか、こういうふうな具体的なことを聞いているのです。
  110. 林政府委員(林修三)

    ○林政府委員 おつしやることはわかりましたが、かりに建物の場合でも、建物をたれか借りておる場合、その建物を使用いたしたいという場合には、その建物の所有権者と契約いたしまして、そこに使用権を設定するということが当然一つの方法として考えられるわけであります。そういたしますれば、それは別に建物の賃借人とは別に直接の契約はしてないわけでありますが、ただ土地収用法の適用の効果といたしまして、その借家人はその使用権を設定してあります間は当然借家の権利を履行することが制限されるわけであります。しかしそれは所有者とその借家人との間の契約には直接触れておりませんから、その契約の存続をする間にその建物が本人に返されれば、本人と借家人との間の契約上の効果といたしまして、当然またそこに本人と借家人との関係ができて来ると考えるわけであります。それからもう一つ、あとの場合でおつしやいましたその借家人から転借りする場合でありますが、これは借家人対政府の関係になります。もちろんこれは民法の借家法の関係でございまして、所有者から黙つて直接借りられるかどうかという問題はあると思いますが、一応契約としてそういうことが成立いたしますれば、政府は借家人対転借人の立場に立つわけであります。もちろんそれは初めの借家人と所有者との間の賃借契約の範囲内でなければ当然できないことだろうと思いますが、その間に返還されれば、それは借家人に返すことになる。転借契約であれば、当然そういうことに相なろうかと存ずるわけであります。ただ先ほどちよつと申しましたように、使用権の期間がはつきりしておればいいわけですが、それがはつきりしておりませんと、元の賃貸借関係の範囲でまかなえるかどうかということはまた相当問題があるので、やはりそういう場合には、先ほど申しましたように、政府としては権利関係のはつきりしたものとの間に契約を結ぶのが一応の措置であろうと思います。やはり所有者と結ぶことが一番確実な措置であろうと思います。
  111. 鍛冶良作君(鍛冶良作)

    ○鍛冶良作君 どうも私の言う趣旨があなたの方に徹底せぬようだが、私は元へもどさなければならぬものだと考えるのです。その間に権利がなくなれば問題はありません。あつたら、元へもとしてやるというのが本則だと思う。一時押えておくというのは問題だろうと思います。権利を剥奪してしまう意味じやなかろうということが根本さんです。してみると、原状で持つておる権利だけをなるべく押えておいて、駐留軍がいらないようになつたら、元の通りにしてやろうという本則はかわらないのではないかということを一番聞きたい。またそうでなかつたらなかなかやれぬと思うから申し上げるのです。
  112. 林政府委員(林修三)

    ○林政府委員 今おつしやいます点はその通りだと思います。たとえばそこに建物の所有者と借家人がおりまして、その建物の賃貸借契約がなお続いておる期間内に建物が返されるという場合は、賃貸借契約というものは別に無効になつたわけでも何でもないのでありまして、賃貸借契約が続いておる間は賃借人は所有者に対して権利を主張することができるということは当然のことだろうと思います。
  113. 鍛冶良作君(鍛冶良作)

    ○鍛冶良作君 これは現在の権利者を保護する意味におきましても、あなた方が使用、収用する上においてもまた将来のことを考えましても、やむを得ざるものはしかたがありませんが、できる限り現在の権利を生かしてやる。それは形の原状回復だけではありません。一時やむを得ず押えたんだから、それがなくなれば元へもどすという本則で行つてもらいたいと思いますが、この点は大体よろしいならそれだけにしておきます。そこで聞きたいのは、今まで進駐軍の使用しておつたものです。これは方々からわれわれの方へ陳情なり請願を頼みに来ているのですが、特調関係の方に聞いてみますと、戰後のどさくさに、何だかわけがわからんで取上げたものがたくさんある。そのときは泣寝入りしておつたが、今度は進駐軍がいらなくなつてもどされると問題が起つて来る。今申しましたように、借家関係、もつとひどいのになりますと、一間を間借りしておつた者などが、進駐軍が来たからこそおつばらわれた、進駐軍がいらないようになつたら、元へもとしてくれと言つているが、これはなかなかうまく行かないようです。このことを知つているから、私は今申し上げた。かような事実に対して、あなた方の方で何か考えておいでになりませんか。
  114. 林政府委員(林修三)

    ○林政府委員 この措置はあるいは民事局の方からお答えした方がいいかもしれませんが、きようは民事局長がおいでになつておりませんので、私から純粋の法律立場でお答え申し上げますれば、今の進駐軍関係の接収の契約はおそらく所有権者との間に行われているものが多かろうと思いますので、法律建前といたしましては、所有権者に返すのが建前でありますから、政府といたしましては、本人に返せばいいわけであります。ただそこで接収当時におきましてその所有者との間に賃貸借関係にあつたものがあるわけであります。その権利については直接それを押えているわけではありませんので、その賃借権なり借地権なりの賃貸借契約上の権利関係のなお存続しているものにつきましては、もとよりその当時の所有権者との契約関係はまだ続いているわけであります。そこで行政措置といたしまして、所有権者と賃貸借契約を結んでいる者との間をあつせんして、どちらに返すかということがもちろん起り得るわけであります。純粋に法律的に言えば、本人に返すということで一応の責任はなくなるわけでありますが、ただ先ほど申しましたように、そういう関係がはつきりしていれば、もちろんそこで行政措置はとり得ると思うのであります。ただ問題は政府が借りている間にその借地権が消滅してしまつたり、あるいは賃借権が消滅してしまつたという場合、あるいはその所有権が移転したという場合にはいろいろ問題があろううかと思います。これにつきましては、今の純粋の法律的に申せば、それは所有者対従来の借地権者の関係でございまして、政府といたしましては、今のところ直接それに対してまでどうこうするということの措置は法律的にただいまとつておらないわけであります。
  115. 鍛冶良作君(鍛冶良作)

    ○鍛冶良作君 村上君がいた方がかえつてよかつたのですが、私はどういうことがあるから、この前提でやかましく言つておるのです。元の権利者の権利を保護してやるという頭でやられるとこんなことは起らない。それをもう何でもかんでもいる者をおつぱらつてしまつた。そうして直接所有権者と契約をしておる。実質上は所有権者に所有権をもどしてやる。入つていた者は納得ずくで立つてつたと言われるでしようけれども、そんなことはありはしません。あした立つて行かなければならぬといつて、おつぱらつちやつた。何のことはない、みな逃げて行つちやつたんです。そこでそれがなくなつたら元へもとしてやれというわけです。もどす義務があると思う。それを考えずに、何でもかんでもおつばらつてしまつて、そして所有権者から、賃借権を持つておる者で現在立ちのかされた者は、元へもどせるならもとしてくれということで問題が起つて来る。だから、今後はそういうことのないよう、前もつて前提としてくぎを打つた。どさくさまぎれにおつぱらつたものなら、できるだけ元へもとしてやるというお考えはありませんか。あれは所有権者と契約をしたのだからということで済みますか。
  116. 林政府委員(林修三)

    ○林政府委員 今後の問題といたしましては、そこの土地なり建物の所有権者と折衝して使用権を設定する、あるいは收用いたすということになれば、参当然補償の処理は土地収用法上考えられると思います。それは関係をつけておけばはつきりいたすと思います。ただ現在の進駐軍との間のことにつきましては、何分その間の事情を私も実は存じません。昭和二十年当時にこういうことでおやりになつたのか、これはその当時の事情で、いろいろそこにいきさつがあつたかと私どもは存ずるわけであります。一応大体所有権者と結局契約はできておるのです。そこで政府といたましては、一応納得ずくでやつたということになつておると考えるわけでございますが、その間においてはいろいろ問題が、あるいは残つておるかもわかりません。しかし一応今純粋に、冷やかに法律的にみますれば、一応そこに賃借人なり、借地権者の権利が残つておるならば問題はありません。それがなくなつておるということになれば、それをさかのぼつてなおそこに賃借権、借地権を回復させるということは、また別の面から見ました、公共の福祉とか、あるいは所有権の侵害というような問題が起るのですが、そこまでの立法措置をやる点につきましては、相当問題があろうと考えております。過去のものについて、今度はそこまでは触れておらないわけであります。
  117. 鍛冶良作君(鍛冶良作)

    ○鍛冶良作君 これはそこまで思いやりがないというと、今後の取扱いがたいへん違つて来る。今後も同じことで、それはめんどうくさいからとおつしやつて、直接所有権者にもどせばいいというのでは楽でしようが、それではいかぬ。それと同様に前においてもこういうような法律でやつたとか、何か法律的の基礎があるならいいけれども、そうじやない。お前がんばつてつても、あした入るのだからというので、みなおつばらつてしまつた。これは法律によらざる強制収用をしておる。これは何か考えてやらなければならぬと思うのです。現在はあなた方一応平穏に法律関係が進んでおると思うかもしれないが、平穏ではありません。元へもどれば、法律上の基礎なくしてとられたと主張したときに、あなた方はどうこれに対してお答えになるか。なるほど一応は当事者が納得してやつたんだと言われるが、決して納得しておりません。これらの点はもつと深い思いやりがあつてしかるべきものだと思います。
  118. 林政府委員(林修三)

    ○林政府委員 今後の問題につきましては、これはもちろん契約ができればその契約でいたしますが、この法案によりまして強制的に使用する。あるいは強制的に收用いたすという場合、所有権者との間に、強制使用を所有権に対して適用して、そこに使用権を設定するという場合に、たとえば借家人がおる、あるいは借地権者がおるという場合には、かりに借地権が十年残つておるならば、二年なら二年の借地権がそれで減るわけでございますから、そういう強制的にとります場合には、土地収用法上の補償ということがあるわけです。件意契約であります場合には、もちろん行政当局におきまして関係の借地権者は立ちのかせるわけです。あるいは借家人を立ちのかせる。それは相当の措置をして立ちのかせるという措置はとられるだろうと考えるのであります。二十年当時におきましても、今契約上考えれば、それは無理やりに立ちのかされたのかもしれませんが、一応はそこに納得があり、あるいは多少の措置がされてやつたものと、こういうふうに相なつておるのじやないかと思います。もちろん問題は残つておるとは思いますけれども……。  それからもう一つ考え願いたいのは、結局その七年の間の法律関係が、一応借地権が存続しておれば問題はないわけでありますが、途中で切れたというような場合に、そこで切れた土地の使用権を第三者が取得しておるというような場合に、さらにあとから法律を出して、それは前の借地権者のものであるというようなことを法律的にするということは、また別の面におきましての、所有権の安全を害する問題でございます。やはりこれは憲法上相当問題のあるところでありまして、そこまでの立法はちよつととり得ないのではないか、こう考えまして、その立法措置はとつていないわけであります。結局元の所有権者と借地人なり借家人との関係は、その間の契約関係が窺いているか続いていないかということによつて処置をしていただく、一応こういうことになつておるのであります。
  119. 鍛冶良作君(鍛冶良作)

    ○鍛冶良作君 第三者がとつておるような場合を私は言うのじやないのです。進駐軍に使用されておつてもどつたときを言うのです。それは、戦争中強制疎開をさせた後において、臨時処理法が出ました。これと理論としては同じじやありませんか。今進駐軍が来るのだといつて強制疎開させたのです。もう少しお考えになつてしかるべきものじやないかと思われます。やればめんどうくさいといえばめんどうくさいには違いなかろうが、そんなことを言つてつたら承知いたしません。
  120. 林政府委員(林修三)

    ○林政府委員 その当時疎開地であるとか、焼け跡につきましては、例の罹災都市の借地、借家の臨時処理法がございまして、借地権の確保というような臨時的な方法がとれたのでございます。これは御承知のように、昨年をもつて一応期限が切れておるのであります。あの当時において、それを延長するかどうかという問題もあつたわけでございますが、やはり権利関係を不明確にするということは、あまり長くすることはどうかということで、あの当時期限を延長しないで一応来ているわけでございます。そういうような関係でございまして、この際そこをもう一ぺんさかのぼつて、権利関係まではつきりさせることは、先ほどもおつしやつたように、元の所有権者がまだそこに所有権を持つておりまして、そこで借家人なり借地権者がなお契約上の権利を持つておる、こういう場合におきましては、もちろん当事者の話合いでつくことでありますし、行政府としても、行政措置でその間に入つてあつせんをするということは、当然に考えられることであろうと思います。そこで間に入つてどちらにお返しするかということは、当然その措置はとらるべきものであろうと考えるのであります。ただ先ほど申しましたように、すでに借地権者の権利がなくなつておる、こういう場合につきましては、どうも法律的にはちよつと問題にならにならないのではなかろうかと思います。その場合に行政措置として、多少何らかの補償をなすべきかなすべからざるかという問題は、財政当局としての関係としてはあるかと思います。その点につきましては、私どもの方は、まだどういう措置をとるかという、予算上の措置については、実は存じないわけでございます。そういうような問題もあるいは残つておるかもしれません。しかし法律的に申せば、先ほど申しましたように、元の借家人なり借地権利が残つておれば、これは所有者との話合いで処置がつくのでございまして、行政当局としても、その間に入つてあつせんをすることもでき得ることだと思いますが、元の権利がなくなつているというような場合には、これはどうもしようがない。  元の権利が第三者に対抗できないようなものになつているというような場合には、ちよつとこれはしようがないじやないか。そこまでここで法律を新しくつくりまして、元の借地権なり賃借権を回復する措置をとることは、また別の面からいつて、権利の安全を害するということになつて来るのではないか、こう考えるのであります。
  121. 鍛冶良作君(鍛冶良作)

    ○鍛冶良作君 それ以上議論してもしようがありませんが、これはとくと考えてもらいたい。権利はなくなつているから、それでいいのだというので済むなら、こんな質問はしやしません。戦争のときの強制疎開と同じ意味で考えてもらつたらわかる。  ついでですから伺いますが、本法の第三條の、「駐留軍の用に供することが適正且つ合理的」と書いてあるが、これはどういうものを適正かつ合理的といわれるのか、私にはちよつとわからないのですが、どうお考えになつておるのですか。
  122. 長岡政府委員(長岡伊八)

    ○長岡政府委員 この点につきましては、すでにお答えしたことがあるかと思いますが、「適正且つ合理的」という言葉は、土地収用法の規定をこれに転用いたした次第でございますが、国防上から見まして、進駐軍が駐賢いたしまして、その土地なり建物を使うということが、平たく申しますならば、これは無理からぬことだ、これは必要であろうという判断をいたしましたときに、この法律によりまして使用なり、収用の措置をとりたいという考えでおります。
  123. 鍛冶良作君(鍛冶良作)

    ○鍛冶良作君 これがおそらく駐留軍から、ここを使わしてくれ、そこで合同委員会にかかるのでしよう。合同委員会から申し込んで来るのでしよう。そのときにその申出が適正であるとか不公正であるとかいうことが言えますか、実際において。そこで私はこの疑問を持つて質問するのです。
  124. 長岡政府委員(長岡伊八)

    ○長岡政府委員 現在におきましても、予備作業班におきまして、向うの要求と日本側の希望とをつき合せまして、どの建物を使うか、どの土地を使うかということを協議いたしておる次第でございまして、單に駐留軍側からこれを使う、かしこまりましたといつて、そのまま引下るわけではございません。ただここに三條を設けましたのは、合同委員会なり作業班で決定いたしますのは、その土地を使うことが妥当だという決定をいたしますけれども、これを実際に所有者から借り春なり用いたしますにつきまして、強制力まで用いるべきかどうかということは、合同委員会で決定いたす筋合いでございません。従いまして、実際の措置といたしましては、さような事情が判明いたしますならば、事務当局といたしましては、所有者なり権利者と相当の折衝を重ねまして、しかもその同意が得られないということができますならば、強制力を用いなければなりません。その際に強制力まで用いてこの建物なり土地をとることが妥当であるかどうかということは、さらに検討いたしたい、こういう考えでおる次第でございます。
  125. 鍛冶良作君(鍛冶良作)

    ○鍛冶良作君 そうすると、ここを使わしてくれと、こう言うて来ますね。そうすると所有者なり使用者なりが、これは困る、何かはかにいいところはありませんかと、こう言うたときに、考えてみるということなんですか。それとも、いや、お前の申出は不合理である、不公正である、こういうりくつで言う意味ですか。これはどうも今私の言うこと以外には考えられないのですが……。
  126. 長岡政府委員(長岡伊八)

    ○長岡政府委員 合同委員会でこの土地が適当だという決定をいたしましたのと、政府が見まして決定いたしますこととは、おそらく一致する場合が多いとは思いますけれども、ただいま御指摘のように、もう一ぺん考え直してもらえぬかということだけではございません。相当の理由のあるものにつきましては、現在とても作業班におきまして、十分その主張をいたしておる次第でございますから、今後とてもこの方針によりまして、でき得る限り所有者に迷惑のかからぬ措置を講じたい考えから、さような規定を設けておる次第でございます。
  127. 鍛冶良作君(鍛冶良作)

    ○鍛冶良作君 これはきのうも言つたのですが、この第十一條を読みますと、土地を「原状に回復しないでもこれを有効かつ合理的に使用することができると認めるときは、」とあるのですが、これはまた原状回復の義務を原則とするかどうかということにひつかかつて来るのですが、これは何ですか、原状に回復しないでも、有効かつ合理的に使用することができるとは、これは内閣総理大臣の認定なんですか。
  128. 林政府委員(林修三)

    ○林政府委員 これは先ほどちよつとお答えいたしました通りに土地収用法の建前から申しましても、使用の場合に、あと原状に回復することが、当然これは原則であろうと思います。土地收用法の場合は。但しその使用の場合に、特別な補償をしております場合には、原状回復の請求はできないことになつておりますが、もちろんそういう制限はございますけれども、一応そういうことを前提といたしましても、原状回復は一応の原則であろうとは存じます。ただそこに書いてございますのは、先ほど申しましたように、駐留軍関係の使用におきましては、相当その普通の場合の使用と違いまして、原状を変更することが予想されるわけでございます。そういう場合におきまして、そこで特にその土地がよくなつておる、建物がよくなつておる——よくなつたかどうかということは、もちろん客観的に判断すべきものでありまして、主観的な判断じやないのでございますが、客観的に判断いたしましてよくなつておる、それをわざわざこわして元通りにして返すということは、国民経済的に見ても、もちろんとるべきことじやないと思われます。たとえば焼けビルがすつかり回復されている場合に、それをまた焼けビルにして返すということは、これは国民経済的にそういう必要はなかろうと思います。そういうふうふうに原状に回復しないでも、有効かつ合理的にそれを新しい形で、使用されたときの形で使い得るというふうに認められる、これはもちろん総理大臣の一方的な判断ではございませんで、客観的にそういう判断ができ得る状態にあるという場合にはできるということでございます。従いまして、たとえば政府といたしまして、これは有効かつ合理的であると認めてそれをとりましても、それに対して異議があれば、もちろん法律に基く異議の申立もできますし、あるいは訴訟で法律問題として争うことも、もちろんできると思います。これは客観的な判断の基準をここに書いておるつもりでございます。
  129. 鍛冶良作君(鍛冶良作)

    ○鍛冶良作君 まあそれはその程度でやめましよう。この附則の第二の終りの方に、九十日の間に話ができなかつた場合には、「所有者及び関係人に通知して、六月をこえない期間においてこれを一時使用することができる。」、これはどうもわれわれ法律家にとつては納得の行きかねる規定なんですが、かようなことはどういう法理をもつておつくりになつたのでしようか。
  130. 林政府委員(林修三)

    ○林政府委員 これはまあ九十日間は現在使つておりますものについて使う根拠があるということを、一応前提といたしておるわけでございます。第一におきましては今要求物資使用収用令、土地工作物使用令というものがございますが、これを現実に使つた例があるかないか、これはまた別問題でございますが、この土地工作物使用令に基きまして、現在連合国最高司令官の要求に基いて、この土地等を使用しておりますが、この場合はその使用は、土地工作物使用令によつて使用しておりますものは、先日来ポツダム命令の措置に関する法律案が国会に出まして、土地工作物使用令に基くものにつきましては、一応これは平和條約の発効とともに廃止いたしますけれども、平和條約の第五條の趣旨によりまして、なお九十日間は進駐軍及び連合軍がおるということが前提になつております。なお九十日間は使わせることができるという規定が入つております。そういうことによりまして、九十日間はなお使わせ得るという根拠規定があるわけでございます。  もう一つは今度民事上の契約によりまして、進駐軍に使わせるために使つておるものがあるわけでございます。これは契約上で使つておるものがある。これにつきましては、その契約の解釈上、やはり平和條約の第五條でございますか、大條でございましたか、九十日間いちれるという根拠から申しまして、やはり九十日間は一応、いわゆる占領軍が、もちろん日本に対して占領管理はいたしませんけれども、いわゆる占領軍がいられる間の状態である。こういうことでその契約の解釈上なお九十日間は続く、こう考えて、それを前提といたしましてこの條文ができております。
  131. 鍛冶良作君(鍛冶良作)

    ○鍛冶良作君 私はこれ以上ここで議論をしても切りばないが、はなはだおもしろからざる答弁であるということだけ申し上げておきます。そんなことじや通りませんよ。もつとお考えにならぬと、納得行かざる答弁であると申し上げるよりほかはありません。占領軍でないものが占領しておるというりくつはありませんが、まあこの程度にしておきましよう。
  132. 松本委員長(松本一郎)

    松本委員長 本日はこの程度で散会いたします。次会は追つて公報で申し上げます。     午後五時散会