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1952-01-28 第13回国会 衆議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年一月二十八日(月曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 松本 一郎君    理事 内海 安吉君 理事 田中 角榮君    理事 村瀬 宣親君 理事 前田榮之助君       逢澤  寛君    淺利 三朗君       上林山榮吉君    篠田 弘作君       瀬戸山三男君    高田 弥市君       内藤  隆君    西村 英一君       三池  信君    増田 連也君       池田 峯雄君  出席国務大臣         建 設 大 臣 野田 卯一君  出席政府委員         総理府事務官         (特別調達庁長         官官房長)   辻村 義知君         総理府事務官         (特別調達庁財         務部長)    川田 三郎君         総理府事務官         (特別調達庁         管理部長)   長岡 伊八君         建設事務官         (大臣官房会         計課長)    植田 俊雄君         建設事務官         (管理局長)  澁江 操一君         建設事務官         (都市局長)  八嶋 三郎君         建 設 技 官         (河川局長)  目黒 清雄君         建 設 技 官         (道路局長)  菊池  明君         建 設 技 官         (住宅局長)  大村巳代治君  委員外出席者         専  門  員 西畑 正倫君         専  門  員 田中 義一君 昭和二十六年十二月十五日  委員西村英一辞任につき、その補欠として本  間俊一君が議長指名委員に選任された。 昭和二十七年一月二十四日  委員小平久雄辞任につき、その補欠として篠  田弘作君が議長指名委員に選任された。 同月二十六日  委員本間俊一辞任につき、その補欠として西  村英一君が議長指名委員に選任された。 同月二十八日  委員寺崎覺辞任につき、その補欠として河口  陽一君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 昭和二十七年一月二十二日  ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する  件に基く特別調達庁関係命令廃止に関する  法律案内閣提出第九号) 昭和二十六年十二月二十日  南郷あらいぜきの改修に関する請願河原伊三  郎君紹介)(第一八号)  北上川中流地帯国直轄河川改修区域編入等  の請願淺利三朗君外三名紹介)(第二四号)  琵琶湖総合開発に関する請願河原伊三郎君紹  介)(第二六号)  国道一号線中袖師町、清水間改修工事施行の請  願(西村直己紹介)(第二七号)  篠路村地内豊平川に架橋の請願小川原政信君  紹介)(第六二号)  別山川に改修工事施行請願田中角榮君紹  介)(第六八号)  小坂、鷺之島両橋を永久橋架替え請願(田  中角榮紹介)(第六九号)  澁海橋を半永久橋架替え請願田中角榮君  紹介)(第七一号)  瑞穂橋半永久橋架替え請願田中角榮君  紹介)(第七二号)  山園、川湯間道路開設請願伊藤郷一君紹  介)(第八四号)  及位地内塩根川砂防工事施行請願池田正  之輔君紹介)(第一〇五号)  有屋地内金山川砂防工事施行請願池田正  之輔君紹介)(第一〇六号)  法田地内白川砂防工事施行請願池田正之  輔君紹介)(第一〇七号)  金山地内上台川に砂防工事施行請願池田正  之輔君紹介)(第一〇八号)  市野々地内赤井川砂防工事施行請願池田  正之輔君紹介)(第一〇九号)  湯野沢地内千座川砂防工事促進請願池田  正之輔君紹介)(第一一〇号)  立谷沢村地内立谷沢川砂防工事促進請願(  池田正之輔君紹介)(第一一一号)  大網地内大網川に砂防工事施行請願池田正  之輔君紹介)(第一一二号)  松沢地内松沢川に砂防工事施行請願池田正  之輔君紹介)(第一一三号)  大沢山地内下有無川に砂防工事施行請願(鹿  野彦吉君紹介)(第一一四号)  東根町等地内村山野川砂防工事施行請願(  池田正之輔君紹介)(第一一五号)  日塔地内日塔川に砂防工事施行請願池田正  之輔君紹介)(第一一六号)  泉郷地内白水川砂防工事施行請願池田正  之輔君紹介)(第一一七号)  下萩野戸地内正法寺川に砂防工事施行請願(  池田正之輔君紹介)(第一一八号)  東郷村地内乱川砂防工事施行請願池田正  之輔君紹介)(第一一九号)  日向村地内日向川砂防工事施行請願池田  正之輔君紹介)(第一二〇号)  楯岡地内大沢川砂防工事施行請願池田正  之輔君紹介)(第一二一号)  大倉地内大旦川に砂防工事施行請願池田正  之輔君紹介)(第一二二号)  熊出地内水無川砂防工事施行請願池田正  之輔君紹介)(第一二三号)  月光川上流砂防工事施行請願池田正之輔  君紹介)(第一二四号)  豊牧地内赤松川砂防工事施行請願池田正  之輔君紹介)(第一二五号)  柳渕地内銅山川砂防工事施行請願池田正  之輔君紹介)(第一二六号)  萩野地内泉田川砂防工事施行請願池田正  之輔君紹介)(第一二七号)  高瀬村地内洗沢川砂防工事促進請願池田  正之輔君紹介)(第一二八号)  角川村地内角川砂防工事施行請願池田正  之輔君紹介)(第一二九号) 昭和二十七年一月二十一日  県道金華山線改修工事促進請願内海安吉君  紹介)(第一四八号)  永山村地内導水門改修費国庫補助請願河口  陽一紹介)(第一四九号)  只見川総合開発に関する請願塚田十一郎君外  五名紹介)(第一八八号)  防火地域内耐火構造建築物補助法制定等に関す  る請願野村專太郎紹介)(第一九〇号)  建築基準法の一部改正に関する請願野村專太  郎君紹介)(第一九一号)  大槌町地内大槌川砂防工事施工請願(鈴木  善幸紹介)(第一九二号)  千徳、山田間の道路県道編入請願)(鈴  木善幸紹介)(第一九三号)  吉井川下流改修工事促進請願(逢澤寛君外二  名紹介)(第一九四号)  菅沼地内白川砂防工事施行請願  (松浦東介紹介)(第一九五号)  東沢村等地内馬見ケ崎川砂防工事施行請願  (松浦東介紹介)(第一九六号)  山寺村地内立谷川砂防工事施行請願松浦  東介紹介)(第一九七号)  中川村地内蔵王川及び酢川に砂防工事施行の請  願(小野孝君外一名紹介)(第一九八号)  上東山地内高瀬川砂防工事施行請願松浦  東介紹介)(第一九九号)  上宝沢地内馬見ヶ崎川砂防工事施行請願(  松浦東介紹介)(第二〇〇号)  大曽根村地内出来沼沢川及び内手沢川に砂防工  事施行請願松浦東介紹介)(第二〇一  号)  荻地内吉野川砂防工事施行請願松浦東介  君紹介)(第二〇二号)  谷地町地内滝の沢川砂防工事促進請願(松  浦東介紹介)(第二〇三号)  小湯地内屋代川に砂防工事施行請願松浦東  介君紹介)(第二〇四号)  道路改修費増額請願外四件(前田正男君外三  名紹介)(第二一五号)  指定府県道小千谷柏崎線道路改修工事施行の請  願(田中角榮紹介)(第二三一号) の審査を本委員会に付託された。 昭和二十六年十二月二十六日  国道第十二号線敦賀、武生市間の改良に関する  陳情書(第九三  号)  布施田橋架替えに関する陳情書  (第九四号)  公営住宅建設費国庫補助算定基礎改正に関す  る陳情書(第九五  号)  都市計画戦災事業等に対する国庫補助及び起  債の増額に関する陳情書  (第九六号)  都市計画促進に関する陳情書  (第九七号)  舗装道新設事業国庫補助事業としての予算措  置に関する陳情書(第  九八号)  住宅金融公庫の二十六年度融資わく拡大に関す  る陳情書(第九九号)  災害復旧事業財政措置に関する陳情書  (第一〇〇号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する  件に基く特別調達庁関係命令廃止に関する  法律案内閣提出第九号)  昭和二十七年度建設省関係予算に関する説明聴  取。     ―――――――――――――
  2. 松本一郎

    松本委員長 これより建設委員会を開会いたします。  日程に従いまして、建設行政に関する件について調査を進めます。発言通告がありますからこれを許します、内海安吉君。
  3. 内海安吉

    内海委員 われわれは過去六年間にわたつて建設関係法案を、あるいは政府提出の形をもつて、あるいは議員立法の形をもつてつて参つたのであります。なかんずく今十三国会において問題として取上げられる法案のおもなるものは、第一に、田中君が委員長なつてやつておられる道路法であります。第二の法案は、不肖私が小委員長としてやつておる河川法である。第三の問題は、わが委員会において過去四年間にわたつて審議を尽し、しかも私やあるいは現在委員なつておられる淺利前委員長あたりが最も熱心に審議いたしました水道法案というのがあるのであります。この問題は第十国会においても第十一国会においても、小委員長としてまつたく完膚なきまでに審議を尽したはずであります。この問題の審議中途にいたしまして、あるいは厚生委員会連合討議をはかり、あるいは内閣委員会とも連合審議を重ねました結果、いろいろまた議論もあつたのでありまして、不肖私が、前国会においては委員長会議にまでも出、あるいは総務会にも出て、どうあつてもこれは建設省主管事務であつて建設大臣が主体となつて一元化して行くことこそ、この水道行政というものの完璧を期することができるものであるという結論に達しておつたのであります。たまたま第十二臨時国会においてこの議案をすみやかに成立させたいという関係から、とりあえずわれわれは、土地収用法案というものは建設行政の上において最も重要な法案であるから、まずもつてこの土地収用法審議すべきであるというので、十二国会においてはともかく議員提出として、一方の土地収用法のみを通過させたのでありましたが、参議院の怠慢か、あるいは故意にわれわれの審議をさえぎるためのいたずらなる謀略かわかりませんけれども、十二国会の終末においても、何らわれわれに対してはこの案の審議の経過並びに結果について報告がないのであります。この意味において、われわれが過去四年間にわたつて審議して参りましたところのこの水道法案は、河川法運営から見ても、道路法運営から見ても、都市計画法運営から見ても、どこから見ても、まず主管事務としてこれを行うべきものは建設大臣をおいて他にないということは、およそ厚生省の諸君といえども、また厚生委員会といえども参議院といえども、正面から議論したならば断じてわれわれは負けないという自信を持つておるのであります。しからば十二国会において結論を出し得なかつた参議院の人々の力を借りてやるまでの必要はない。もちろんあれは十二国会だけの問題であつて、先般われわれが理事会において承りました建設省の諸法案を見ますると、第一に私が主管しておる河川法、第二には海岸保全法、第三には田中君が主管しておられる道路法、その次には道路整備特別法都市計画法土地整備法公園法水道法その他四つばかりありますが、少くともこの十三国会においては河川法道路法並びに水道法はこの衆議院建設委員会において堂々と闘つて、しかも多年の問題であるこの三大法案はわれわれ建設委員会の名において本国会を通したいという信念にはかわりないのであります。委員長におかれましても、ぜひこの委員会の過去における伝統の精神と信念を重んじ、また野田建設大臣におかれても、この間のいきさつはよくおわかりのはずと考えますから、建設大臣として本然の姿におかえりになつて、特に行政機構改革についても野田建設大臣は有力な立場に置かれておられる方でありますから、われわれは建設省よりさらに国土省に発展せんとする今日の立場から見ましても、どうあつてもこの水道法というものは建設委員会において、しかも建設大臣によつて水道行政運営完璧が期せらるべきものであるという信念のもとに、十三国会において、どうしてもこの委員会の名において通過されることを希望し、あわせて建設大臣にこの法案に対する御意見がありますればこの際承つておきたいと思います。
  4. 野田卯一

    野田国務大臣 水道法案につきましては、私が最近得ております情報では、参議院においては大体成案を得まして、これをどう取扱うかということについて至急態度をきめたいというところまで来ております。私もゆうべ水道法案ざつと目を通しましたが、あれだけの法律でありましたならば、まず再開国会において提出しましても、本国会において成立を見るのではないか。こういうふうに考えております。これを推進して行きたいと思つております。  なおこの法案は一応参議院から議員提出でもつて審議が進められるごとに今まではなつておりましたが、担当しております石原幹市郎君が、先般外務政務次官になられまして、担当者が今いなくなつているわけで、それにつきましてこの建設委員会の方でもやりたいという申出が昨年ありまして、いろいろと石原君とも相談したいきさつもありますので、参議院議員提出で行くか、あるいはこれを衆議院にまわして衆議院建設委員会で取上げていただくかということについては十分相談をいたしたいと考えております。
  5. 内海安吉

    内海委員 大臣のお話で大体参議院の動きはわかりましたが、この機会委員長においてこの委員会に諮られ、水道法案についての審議をする小委員会を設けられて、そうしてこの機会にすみやかにこの法案審議を進められんことを私どもは特に望むものであります。
  6. 松本一郎

    松本委員長 ただいま内海委員の御発言によります水道法案につきまして、本委員会に小委員会を設けて審議するということにつきましては私どもももとより同感でありますが、次の委員会日に御協議を煩わしたいと存じます。  なお内海委員の先ほど来のいわゆる道路法案、あるいは河川法案あるいは公園法案等重要法案につきまして、従来の国会において御審議を願い、各委員の御苦労にはまことに感謝をいたします。なおこれらに関しましてわが日本独立の第一歩としまして、新しい日本再建に関するこの重要なる法案を、この第十三回国会において、ことにわが建設委員会において審議をいたしてこれを立法化したい。かように私ども強く考えておりますので、他の委員会とも調整をはかりまして最善の努力をいたしたいと考えております。委員会各位にもよろしく今後の御努力を切にお願い申し上げます。     —————————————
  7. 松本一郎

    松本委員長 つきましては昭和二十七年度の予算のうち、建設省関係について政府側より説明をこの機会に聴取することといたしたいと思います。野田建設大臣
  8. 野田卯一

    野田国務大臣 昭和二十七年度建設省所管歳入歳出予算概要を御説明申し上げます。  まず一般会計歳入について申し上げます。建設省昭和二十七年度歳入予算額は、約四十二億二百万円でありますが、そのうち直轄工事地方分担金は約四十一億になつております。  次に一般会計歳出は、建設省計上いたしました金額が約六百六十億三千六百万円でありますが、北海道開発庁計上されておる建設省関係事業費が約五十二億七千四百万円でありますので、両者を合計いたしますと、約七百十三億一千万円であります。これを前年度の予算補正後五百七十一億三千九百万円になつておりますが、これと比較いたしますと、約百四十一億七千百万円の増額に相なつておるのであります。なお二十六年度の当初予算の五百六十七億七千三百万と比較いたしますと、百四十五億三千七百万円の増額なつておるのであります。従来行政部費として計上いたしました分のおもなるものについて申し上げますと、約三十八億四千六百万円でありまして、前年度に比べ約二億二千六百万円の増額なつております。この事務的経費の内訳のおもなるものについて申し上げますと、重要なものといたしましては、高速自動車道路調査経費が二千万円、防火建築帯造成経費が二億円あります。そのほか二十六年度に行われたベースアツプが平年化されたための人件費増額であります。その内容行政整理の人員が六百二名、通年の定員が一万百五十二名に相なつております。官庁営繕費につきましては増額約十二億六千四百万円でありまして、前年度に比べまして約二億一千万円の減額となつております。  次に従来公共事業費と称せられた経費について申し上げます。河川事業費百六十七億六千九百万円でありまして、うち北海道十八億六千八百万円で、前年度との比較におきまして二十億七千二百万円の増加なつており、うち北海道一億八千六百万円の増加なつております。鬼怒川ほか三河川総合開発事業費は、十九億七千八百万円でありまして、うち北海道五億円、前年度に比し五億八千七百万円の増加になり、うち北海道が二億七百万円の増加なつておりまして、国が直轄施工する総合開発事業として、堰堤築造継続事業を行うため本年度別事項として計上したものであります。砂防事業費四十億千六百万円でありまして、うち北海道四千万円で、前年度に比し五億八千七百万円の増加になり、うち北海道千五百万円の増加なつております。道路事業費八十六億二千五百万円でありまして、うち北海道二十億九千三百万円で、前年度に比し十八億六千百万円の増加になり、うち北海道が五億千九百万円の増加なつております。都市計画事業費四十億九千三百万円でありまして、うち北海道三千九百万円でありまして、前年度に比し九億千八百万円の増加になり、うち北海道千四百万円の増加なつております。住宅施設費五十億でありまして、うち北海道二億八千七百万円で、前年度に比し六億五百万円の増加になり、うち北海道八千六百万円の増加なつております。建設機械整備費十七億四千万円でありまして、うち北海道四億四千七百万円で、前年度に比し五億三千七百万円の増加になり、うち北海道三億七百万円の増加なつております。  次に河川災害復旧事業費二百四十一億三千七百万円で、前年度に比し五十八億八千九百万円の増加なつております。都市災害復旧事業費二億三千六百万円で、前年度に比し千百万円の増加なつております。住宅施設災害復旧事業費八億七千万円で、前年度に比べ八億七千万円の増加なつております。   以上事業費の総額は、六百七十四億六千四百万円となりまして、うち北海道五十二億七千四百万円で、前年度に比し百三十九億三千七百万円の増加になり、うち北海道十三億三千四百万円の増加なつております。  なおこのほかに特定道路整備事業特別会計がありまして、資金運用部特別会計より十五億円を借入れ、有料道路整備運用を行うものであります。  以上が昭和二十七年度建設省関係歳入歳出予算概要であります。よろしく御審議のほどお願いいたします。なお詳細につきましては、私かあるいは所管局長等より御説明をいたします。
  9. 植田俊雄

    植田政府委員 ただいま大臣から説明を申し上げました内容につきまして、本日お配りしました資料との関係につきまして簡単に御説明申し上げたいと存じます。  前の国会までにおきましては、予算説明は、この予算書をはなれまして、ガリ版刷り等説明申し上げておつたのでございます。今回は建設省関係のものを抜き刷りいたしましてお手元に差上げまして、一応建設省概略を知つていただくことに相なつたので、この資料をまず当初に差上げた次第でございます。この資料は、大蔵省の方からお手元に配られております一般会計の大部のもののただ拔き書にすぎないのでございます。  二十七年度の予算の最も大きな特徴は、ただいま参議院継続審議なつております財政法会計法等改正によりまして、予算の科目に従来ありました部款というのがなくなりまして、項一本で編成することになつておるのでございます。従いまして建設者につきましては、建設本省という項と、そのほか事業費関係河川事業費道路事業費というような項がございまして、合せて十四の項が出ているわけでございまして、従来の公共事業費という款がなくなつた次第でございます。従いまして従来経済安定本部計上されておりました公共事業費という部がなくなりまして、従来公共事業費と称しておりました事業費がそれぞれ建設省その他関係の各省に計上に相なつております。この点が今度の予算の形式的な大きな変動でございます。従いまして二十七年度からは例の安本による工事認証という制度がなくなることに相なつております。予算書をごらんいただきますと、事務費事業費とが並んで計上に相なつております。  簡単に申し上げますと、この刷りものでは一ページ、通し番号では千三ページに組織として建設本省というのがございます。その次に建設本省という項がございましてこれが従来の事務費の系統のものでございます。それでは事業費と従来の事務費とがどういうふうになつているかと申しますと、千十一ページの河川局の方をごらん願いますと、項で建設本省というのがありますが、これが従来行政事務費と称せられました人件費その他の事務費、水防、河川水理調査、こういつた従来行政部費でまかなつた経費でございます。一枚めくつていただきまして千十二ページに参りますと、項で河川等事業費というのがございます。この等と申しますのは、海岸堤防を含めましたから河川等と申しておりますが、河川等事業費というのは、従来公共事業費として見ておつた分でございます。それを概括してごらん願いますには、千十四ページを見ていただきますと、初めのうちは建設本省という項の従来の行政部費的なものでございますが、中ほどになりまして、河川等事業費鬼怒川外河川総合開発事業費砂防事業費河川等災害復旧事業費というふうに、従来の公共事業費が現われて来るごとになつております。それから北海道開発等につきましては、別個北海道開発庁の方に計上に相なつているわけでございましてこの増し刷りにおきましては、北海道開発庁分だけをつけ加えております。このうちの先ほど申しました河川事業費道路事業費に相当するものが建設省所管予算であるということになるわけでございます。予算概略につきましては、後ほど各局の方から説明があると思いますから、予算書の大きくかわりました点だけを申し上げました次第でございます。
  10. 松本一郎

    松本委員長 政府の各局長より予算の詳細について説明をいたさせるはずでありますが、先ほど大臣説明で一応大略を御了承願つたと思います。つきましては、質問を通じてさらに詳細な説明をさせることにいたしたいと思います。  これより質疑に入ります。質疑通告順によつて許可することにいたします。田中角榮君。
  11. 田中角榮

    田中(角)委員 ただいまの建設大臣の二十七年度予算概略説明に対して、二、三簡単に御質問を申し上げたい。まず第一に質問申し上げたいことは、数字の点においては二〇%以上二十六年度予算よりふえてはおりますが、実際上は、物価の値上りその他によつて事業量が二十六年度よりもふえない、こういうふうに見えるのでありますが、これに対しては、限られた国家財政の中で、これ以上望むことは不可能であることも承知するのでありますが、国土再建整備という重任をになつておられるだけに、事業内容の改善、実施上の方途等について、具体的に二十七年度に炭をあげるべく建設大臣の御抱負があられましたらお聞きしたい。  第二は、道路局予算でありますが、私たちの考えといたしましては、道路予算二百億を要求いたしておつたわけであります。少くとも百五十億程度を予算計上せられるべく考えておつたのでありますが、ふえたりといえど、わずかに二十億足らずであります。この問題に対しては、一つの便法として、労働省所管予算として計上されております失業対策事業のうち、実施事業費の何十パーセントかを道路費に限つて使用できるような方途を講じ得るかどうかということを考えておるのでありますが、この問題に対しては、建設大臣が音頭をとられて、大蔵大臣との協議によつて、十分その道が開けるのでありまして、私たちの考えでは、二十七年度失業対策事業費のうち六〇%ないし七〇%は、道路補修改善等に限つてこれを使用すべしという考えを持つておるのでありますが、これに対しての見通し及び建設大臣の決意のほどをお聞かせ願いたいと考えておるわけであります。以上二点に対して御答弁をいただきたいと思います。
  12. 野田卯一

    野田国務大臣 二十七年度予算を編成いたしますにつきましては、物価の点につきましては大体横ばいで進むものという想定をいたしまして予算が編成されておるのであります。実際の物価の状況がはたして横ばいになるか、下るかあるいは上るかということについては、いろいろな見解があるだろうと思いますが、政府といたしましては、極力物価を横ばいに持つて行くという考えで進んで参りたいと思つております。なお物価がかりにその意図に反しまして上るような場合についてはもちろんでありますが、そうでなくても、われわれといたしましては、いろいろと技術の点あるいは経理の点等につきまして、十分合理化、能率化をはかりまして、この金を極力有効に使つて行きたいと考えております。先ほどちよつと会計課長から申し上げましたが、御承知の工事の認証の制度が従来あつたのでありますが、安定本部において工事認定の制度の手続が非常に煩瑣でありまして、あれがあるために工事が遅れる。その結果金がついむだに使われるというような場合も相当あつたのであります。今回あれを改めまして、金をできるだけ有効に使いたいという方向にも進んでおるわけであります。なお継続事業費の制度も昭和二十七年度から認められまして——全面的ではありませんけれども相当の部面に認められて、この制度を通じましてもやはり金を生かして使うという方向に進みたいと考えております。  第二点の道路の問題につきましては、お説ごもつともでありまして、私は前々から労働大臣とこの失業対策事業はできるだけたくさんのものを道路につぎ込むべきである。道路と申しましても、単に道路の上をほうきで掃きまわるというような清掃的な道路でなしに、建設的な面にこれを積極的に使つてもらいたいということを申し入れておりまして、労働大臣も十分その趣旨を了承しております。今後は緊密に主務大臣同士及び事務当局が打合せまして、御趣旨の線に沿うように極力進みたいと考えております。
  13. 田中角榮

    田中(角)委員 ただいまの建設大臣の御発言で大体了承できますが、御承知の通り二十六年度事業から、失業対策事業に対しては、継続事業も大体事務当局としては考えておられるわけでありますから、これが予算審議の過程におきまして、労働省当局がすでに二十七年度第一・四半期の工事をあまり終らないうちに、ぜひともこれが、道路補修、改善等に使用する分野を明確に御協定願いたいという希望を申し上げておきます。     〔委員長退席、内海委員長代理着席〕  もう一つ簡単にお願いしたいのでありますが、建設大臣昭和二十七年度の建設に関する予算を有効適切にお使いになるという面に対しまして、なお具体的な問題としていろいろな問題を起しておりますところの直営形体の問題でありますが、これは一に建設省だけの問題ではなく、農村省においてもしかり、郵政、電通等の特別会計においてもそうでありますが、とかくの風評を生むところの直轄工事形体に対する、何か二十七年度の新しい御方策があつたらお聞かせ願いたい、こう考えるわけであります。  もう一つは、監理局長の方からでもけつこうでありますが、二十七年度予算で相当ふえておりますところの機械費の問題であります。この機械の問題に対しましては、当建設委員会としてはときどき建設省の意見もただし、またこれが能率的な運用に対して意見も述べておるのでありますが、どうもその実効が上つておらないようであります。私はこの機械主管というものをはつきりした方がいいのではないかという従来の考えをいまだ堅持しておるわけでありまして、監理局機械課でこれが保管の責に任じておられるごとにいなと申し上げるのではありませんがこれをもう少し効率的に使用せしむるためには、場合によつては機械部ないし機械局を設けたら一大進歩ではないかと考えておるのであります。これからの予算に対しては機械費というものがだんだん大きくなるのでありますが、現在のような状態では、各地方建設同等のセクシヨナリズムによりますのか、ほとんどその実効を上げておらない。一例を申し上げると、機械のごとき特殊なものに対しては、ある地方建設局において買い込んで、いまだ一度も使つたことがないにもかかわらず、別の建設局工事においては全然別の省からこれを借り入れなければならないというような現実が多々あることを私は指摘できるのであります。こういう問題はすでに三箇年、四箇年以前から当委員会として注意を喚起しておる問題であつて、この機械器具の問題に対してはただに建設省だけではなく、各省の現業官庁間における機械器具をフルに運用する方途を特別に考えなければならないのではないか、こうさえ言つておるのでありますから、この新しい予算を執行するにあたつて、特別な御配慮及び方途があるならばお聞かせ願いたいと考えるわけであります。
  14. 野田卯一

    野田国務大臣 工事執行の方法といたしまして、直轄工事についての特別な考えがあるかというお話でありますが、直轄工事につきましては、私建設大臣としては請願で十分できるものは請負にした方がいいと思つております。そうしてどうしても直轄工事を必要とするものはやはり直轄工事にし、また直轄工事には建設省としても全力をあげて完全なものにして行きたいというふうに考えております。また金の支払い等の方法につきましても、今年からは四月一日から金が自由に払えるような体制にかわつて参りますので、直轄工事をやる場合においても非常にぐあいよく行くのではないかと考えております。  なお機械の点でありますが、この機械をもつて建設をし、また補修をするということは、これは徹底的にやつて参りたいと思つております。昭和二十七年におきましては、さらに一段と機械化を推進して行きたいと思つております。しかし機械を買いましても、それをただいま御指摘のように寝かしておくとか、あるいはそれを十分利用できないということではいかぬと思つておるのでありまして、この点につきましては、建設省といたしましては今後大いに研究をいたしたい。現に研究を始めておりますが、特に力を入れて行きたいと思つております。局と局との間の彼此融通をどうするか、あるいは局の中の現場と現場の間の彼此融通をどうするか、あるいは民間にこれを貸与してどうして合理的な結果を得るかということにつきましても、今現場に人をやつたりいたしまして、十分研究いたしております。御趣旨ごもつともでありまして、格段の努力をいたして行きたいと思つております。
  15. 田中角榮

    田中(角)委員 関連しまして、そこにちようど特別調達庁の官房長官がおられますので、あまり申し上げたくない言葉かもしれませんが、特別調達庁もいよいよ衣がえをしなければならないような状態であり、建設省としてもこれから機械器具を大きく買い込まなければならないというときであります。このときにあたり、現在の日本の組織の中で一番新しい機械を持つておられるのは特別調達庁でありますが、建設省特別調達庁と十分御連絡をおとりになつて、将来これが両者の建設機械の交流等をおはかりになつていただきたいという希望を申し上げておきます。  もう一つ、これは河川局長でもけつこうでありますが、特に大臣に申し上げたいのは、建設予算執行の面にあたつて日本におきましては、大体都道府県のうち半数が予算年度が暦年度と同一でないために、非常に不都合な面があることは御承知であると思います。これは新年度予算が四月の初めから始まりまして、三月三十一日に終る。しかも実際の現場の計画査定等が遅れ、加えて今までは資金の認証がありましたために、第三・四半期、第四・四半期は、ほとんど降雪期間において工事が認証せられるというような状態であります。これは北海道、東北、北陸等、降雪地帯はほとんど全部がそうでありまして、事実上繰越し予算を認められなかつた当時としては、書類と実際が合わないことは当然でありまして、第四・四半期の工事は年度を過ぎてからこれを行わなければならないというような状態があつたわけであります。建設省としましては、二十七年度予算執行にあたつて、このような特殊な地帯に対しては特別早急に予算を決定交付せられたい。配分は早急に決定せられたい。今までは三月三十一日に予算が通過いたしましても、現地との折衝等によつて大体六月ないし七月でありまして、河川工事等において、六月、七月、八月の最も農閑期であり、水の少い、労力豊富なときに工事が行えず、特に農村等においては九月、十月の農繁期に対して工事が発注せられ、そうして最後の工事等は、降雪前に工事を行う場合二〇%ないし四〇%も低廉に行えるものが、降雪後において工事を施行せなければならないというような事態が、全国の約二分の一の地帯において行われておるのであります。これの根本的の問題は、いわゆる予算年度を暦年度に変更する以外にないのでありますが、現在それを行えないような状態において、しかも第二の原因であつた予算認証制度が取除かれ、しかも繰越し予算、継続費も認められた現在でありますが、どうしてもそのような地帯においては一年間ずつ予算がずれておるというような状態もありますので、これを年度内に行うために格段の実施方策をお考え願いたい、こう考えておるのであります。以上で私の質問を終ります。
  16. 植田俊雄

    植田政府委員 ただいまお話になりましたことは従来とも努力して参つたのでありますが、御承知の通り、経済安定本部が初めスタートした際におきましては、事業認証は四半期ごとに認証する、こういうことでありました。また予算措置の方から申しますと、支出負担行為計画は四・四半期ごと、支払計画は四・四半期ごと、しかも当初公共事業費という制度が設けられました場合におきましては、この四半期ごとというのが年間の四分の一ずつというふうな観念からスタートをいたしましたために、どうしても現場で事業をやつておる者に対しましては、四分の一ずつ仕事をしなければならぬかのような印象を与えておつたのでございます。しかしこの事業認証にいたしましても、大蔵省のもとでつけます支払計画にいたしましても、逐次事情がわかつて参りまして、逐次予算のつけ方を事業の進行にマツチするようにつけるということになつ参つたのでございます。従いまして東北、北海道等につきましては、二十五年度ごろより逐次暖かいうちに予算をよけいつけるという傾向に持つて参つたのでございますが、何にいたしましても当初四分の一ずつつけるという観念が、現場におきましてもまた会計をやります当局におきましても頭にあつたものでございますから、三・四半期までに予算をよけいつけることがいかにも恩惠であるかのような印象を与え、また現場から申しますと、そういうふうにお願いすることが何か無理を頼んでおるかのような印象がございまして、とかくその点の交渉が十分に行かなかつたことは事実でございます。しかしながら二十六年度につきましては、この点は大分改善されたとは私どもは思つておりますけれども、ただいまのような観念からスタートをしておりますために、やはり無理は相当起つておるのではないかと思います。幸い二十七年度からは、従来の公共事業につきましては予算明許、繰越し明許ということに相なつておりますので、明許があれば安心して翌年度まで仕事を延ばしていいわけでございます。しかし予算明許があるからといいまして、一旦国会で議決成立いたしました予算を漫然と後年度に繰越すべき性質のものではございません。年度間に完結すべきことを目標としておるのでございます。ただいまのお話の点は今後とも特に注意いたしまして、また私どもとしましては、事業をやります場合におきまして金をどう使うかということは現場機関の工事をやる者なり、あるいは建設省なりにまかせてくれればいいじやないかということを、たびたび大蔵省に申すわけでございますが、何分にも事業費は六百億に上る大きな金でございますので、この金の使い道を建設省限りの判断にまかす、すなわち支払い計画を年間一本にするということまではどうも大蔵省も承知してくれませんし、私の方も歳入と見合う支出の問題でございますから、そこまで申すわけには参らぬという事情でございます。しかしながら財務当局におきましても十分事情はわかつてくれておりますので、また私どもも現場に対しましては、事業にマツチするような予算をつけるから遠慮なしに支出の繰上げを要求するように注意いたしまして、できるだけ事業と支払いとのギヤツプのないように注意して参りたいと考えております。
  17. 田中角榮

    田中(角)委員 ただいまの会計課長のお話に対して補足希望を申し上げておきますが、今までは建設行政に対する干渉といいますか、非常に複雑多岐であります。これが一つ一つ取除かれて行くことは当然でありますが、わが党年来の主張であるところの行政の簡素化という意に沿つても、これだけの大きな予質要求に対してその十分の一に満たない金を出しておるのでありますから、建設省予算執行に対しては、建設大臣にまかすことが至当であるという程度の強硬なる御主張を建設大臣はしていただきたい。特に建設大臣は大蔵省の出身でおありになるので、これが事情の説明に対しては適役であると思いますから、その程度にはしていただきたい。そのかわりに法できめられたところの監査の方法は徹底的にこれを行つてけつこうである、しかし一々これが予算執行に対して経済安定本部の干渉を受け、大蔵省の予算執行に関する調査を受けるということは、あたかも企画官庁であり、しかも予算編成の衝に当つておらるる方々が、実施官庁と大いに混淆せらるるような向きがありまして、さなきだに工事は遅滞するという状態であります現在としては、なるべく年度予算をきめられた以上、国会の議決に基く執行の権限は建設大臣一本にせらるるように将来御勘考を願いたい、これは希望であります。
  18. 内海安吉

    内海委員長代理 田中さんのただいまの御希望なり、あるいは御意見というものは最も妥当だと私ども考えるのでありますが、大体建設省の独立の尊厳から見ましても、ほんとうに企画官庁でありながら、常に運営の面において安本や大蔵大臣の干渉を受けるというがごとき態度だけは改めてもらいたいと思います。  これは同感であります。  次に村瀬宣親君。
  19. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 建設大臣にお尋ねをいたしたいのでありますが、本年度の建設省関係予算審議するにあたりまして、総合的に公共事業費全般の、各省にわたつて予算とのつり合いを定めてみなければならないと思うのであります。大蔵大臣予算関係の演説を拝聴いたしましても、特に食糧増産の観点から苦心して予算を編成したと言つておるのでありますが、その跡は一応認められないこともないのでありまするけれども、はたして一貫性があるかどうかという点について、建設大臣として黙つておれない部面があるのではないかという点を私は感ずるのであります。シカゴ大学の教授アツカーマン博士は、日本の将来に対する明るい見通しの唯一の根拠として、日本の灌漑組織の立地的好條件と、豊富な水資源の利用とをあげておるのであります。しかし自然の一体性を無視した跋行的な計画というものは、とうてい有終の美を収めるものではありません。この意味から本年度予算を通覧いたしましてみますると、なるほど用排水施設等の農地改善による増産計画は、一応大幅に増額なつておるようでありまするが、それは究極において当然治水問題と結びつくものでありまするから、その方面の予算を大幅に増額する以上は、その結末として当然到達せねばならない河川総合開発関係、いわゆる治水の点につり合つた予算が組まれにおらなければ、それは片寄つた予算になるという点を感ぜずにおれないのであります。この点に対し建設大臣はどういうお考えをもつて総合的に本年後の公共事業費をお考えになつておるか。その点につきましてまず伺いたいことは、行政機構の改革はどういうふうに進んでおるか。これは建設大臣の管轄でないとおつしやるかもしれない、しかし今申した一貫性のある予算の編成並びに運用という点になりますると、当然問題はそこまでさかのぼつて来なければならないのでありまして、省の統廃合とか行政機構の改革というものは今どういうふうに進められておるのであるか。これは建設行政をあずかる建設大臣としては当然お考えにならねばならないのであつて、あるいは閣議においてこういう方向に進んでおるから、こういう予算でも関連して運用はうまく行くのであるとか、この点についてまず第一にお伺いをしたい。  第二番目には本年度の予算河川総合開発関係として、特にピツクアツプしてみて、どういう特殊な予算があり、またいわゆる食糧増産計画の一環として最後のつじつまがよく合つておるかおらないか、その二点からまず伺つてみたいのであります。
  20. 野田卯一

    野田国務大臣 行政機構の改革の問題につきましては、私も片棒かつがされておるわけなのであります。まだ審議中でありまして、今どういうふうになつておるかということを申し上げる段階に至つておりません。この間総理大臣は施政方針演説の中にも、できるだけ早く成案を得まして、この国会に出したいということを言つておられますが、その線に沿いまして準備を進めておるという段階であります。  それから食糧増産と河水統制あるいは河川の改修等の問題でありますが、これにつきまして御承知の通り本年度予算編成にあたりましては、食糧増産ということと電源開発を中心と申しますか、電源開発に関連して河水統制という、この二つの問題が大きくクローズ・アツプされております。そのほかには道路の問題があります。食糧増産ということと、電源開発と河水の問題と道路の問題、この三つが大きな重点をなしておるわけなのであります。その間に、食糧増産に伴つて土地改良とか開拓というものをやるわけでありますが、それと川の治水の関係がうまく行つているかどうかということにつきましては、全体といたしまして電源開発に相当力を入れておる。われわれから言えば、電源開発は同時に河水——特に河水だけ地方団体が行つておりますが、電源開発は多目的ダムでありまして、同時に治水に役立つ、それに重点が注がれておりまして、大体バランスをとつて全体的な考えでやつている、こういうことが申し上げられると思い事。それからいろいろな予算の点におきましては、河川局関係予算につきましては河水統制の方に相当重点が置かれており、また地方団体のものにつきましては、御承知の地方団体が多目的ダムを建設するためには大体起債によつているわけであります、資金運用部の資金にたよつているわけでありますが、この方面におきましては、大体において二十六年に比べまして二十七年は約三倍くらいの金額を増額いたしております。そういうわけで中央と地方とをよく結びつけまして、河水統制をやつて行きたい、それから片方の食糧増産の方とマツチして行きたい、こういうふうに考えております。
  21. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 食糧増産の目的を達するために本年度予算はつり合いがとれておるという建設大臣の御意見でありますが、この「治水」という全水連機関紙の両面どちらを読んでみてもとれていないという意見が多いのであります。つまり食糧増産をするための用排水施設等の農地改良関係予算は相当にふえたけれども、それの当然の帰結となるべき河川関係の費用はそれに比例してふえていないと、四箇所ばかりその道の専門家が述べておるのであります。建設大臣はそれがとれておる、こう言うのでありますが、私たち本年度予算書を一見いたしまして、やはりこれはとれていない、一貫性がないというふうに感じさせられる点が非常に多いのであります。ここにもこういうことが書いてあります。「結局事務当局案は至つて総合性のないものであつて、さつそく某県から何々川の流域で大々的に土地改良事業が実現するそうであるが、その流末処理に必要な河川費はどうなつたかという痛い質問があつてその返答に窮したとかのうわさがある。」これは単なる一例でありますが、とにかく全体的に考えてみて、食糧増産を急ぐのあまり、いわゆる純土地改良費は相当ふえたけれども、それのしり始末をすべき河川関係の費用はそれに比例してふえていないということが、われわれにも十分感じられるのであります。そこでそういう欠点を補うために省の統廃合をやつて、もつと建設省の事業範囲が多くなるような点から、その欠点を防ぐつもりであるか、その御方針を伺つたのであるが、それにはまだ何とも明確な御答弁がないので、私はこの点非常に不安を感ずるのであります。ただいまの建設大臣の御答弁では十分了解が行かないのであります。建設大臣のもう一つの御答弁は、起債によつてそういう跡始末をやる。前年度の三倍ぐらいを見込んでおるというような御答弁がありました。これは一つの新しい行き方でありますが、そういう方針に転換されるということになりますと、これまたそこにいろいろな問題を蔵して参ると思うのであります。原則として私たちが今まであまりに起債をきゆうくつにし過ぎるので、工事並びに必要な事業が起らないと思つてつたのでありますから、起債のわくを大幅にふやすことは大賛成であります。しかし今後建設行政を起債第一主義に転換するといたしますと、これは建設公債を発行するのと同様な組織になるのでありまして、一般の消費面にまでインフレ的な傾向を醸成する原因になるので、慎重な考慮の上でそういう方面に転換をして行かなければならない。なぜそう言うかと申しますと、この予算書を通覧いたしますと、かねて本委員会で論議の的になつておりました関門トンネルなどの予算は一向出ておらない。これはいわゆる建設起債によるのだろうというようなことを聞くのであります。それも一つの方法でありましよう。しかしそういうふうに大きな工事をすべて起債でやるのだという方針に転換するとなりますと、その善悪について今私はここでただちに結論は出しませんけれども、これには慎重なあらゆる準備と調査の上でなければ、日本経済に及ぼす影響は非常に大きいものであると思うが、かつて大蔵省におられた野田建設大臣の御方針を承りたいと思います。
  22. 野田卯一

    野田国務大臣 先ほど田中委員が御指摘になりましたように、二十七年度の予算は内政費としては御承知のようにあまり増額なつておらないのであります。しかしながら公共事業費だけは二割何分という相当大幅な増額なつておるのであります。これは皆さんの御努力によるのだと思いますが、公共事業費を重要視してこの部分に対して相当ふやしておるということは皆さんもお認めになつておると思います。しかしそれでもなかなか足りないところがある。そこわれわれとしてはそれでは満足できないので、やはり起債による国家資金、財政資金を何らかの形で公共事業に導入し得る場合には、できるだけその方法によつて少しでも全体の金額をふやして行きたいそうして国民全体をうるおす建設事業を推進して行きたい、こういう気持でおるわけであります。予算としても二割何分ふえたのでありますが、それで満足できない部分がありますので、国家財政資金を使つてさらにその規模を広めて行きたい、こういうことで進んでおるのでありまして、何でも公共事業費は起債でやるのだという方針をとつておるわけではないのであります。起債でやる方がよい部分もあり、一般予算でもつてやる方がよい部分もあります。その点は財政状況並びに予算全体の規模等とにらみ合せてやつて行きたいと思います。
  23. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 一つずつもう少しはつきりしてから次に進みたいと思いますが、第一には関門トンネルには政府は幾ら起債をお認めになつておるのですか。二十七年度では幾らの工事をやろうという考えでありますか。それからその償却等もどういう方法でやるか、ついでに伺つておけたらよいと思います。     〔内海委員長代理退席、委員長着席〕  それから第二は、本年度の公共事業費全体がつり合いがとれておる、こう建設大臣はおつしやるのであるが、私の見方では土地改良の純粋な部分、つまり土地改良の用排水を主とした部分は予算が相当増額なつておるが、それの当然の帰結となるべき灌漑水、最後にまた川に流れて来るわけでありますが、そういう河川関係の費用が少な過ぎる。その少な過ぎる上に、計画の一貫性に齟齬を来して効果を上げることができないというようなことを生ずるおそれはあると思うか、ないとお考えでありますか、まずこの二点をお伺いいたします。
  24. 野田卯一

    野田国務大臣 関門トンネルの問題は、御承知のように今度有料道路の新しい施設ができますので、その中に織り込んでやつて参りたいと考えております。国の直轄でやつておる仕事でありますので、二十七年度におきまして一は約五億七千万円程度をつぎ込む予定でおります。従来は大体年間九千万円をつぎ込んでおつたわけであります。これは起債と申しますか、資金運用部資金から繰入れて使いたいと考えております。  それから農地改良の問題と河川の問題とは非常に密接な関係があると思います。御指摘のような点を心配しておる向きのあることも事実でありますが、その点につきましては私現地にも行きまして十分に考慮して参りたい。農地改良といいましても、その末端の河川改修ができなくて問題を起すような土地に力を注ぎますとそういうことになります。しかしそいうう問題のない土地改良部門がたくさんありますから、そういうところとよくあんばいして、土地改良をやつたけれどもうまく行かなくてかえつて問題を起すようなやり方の絶対ないようにということを、私は閣議でも話しておりますし、また現地に行きましてもその点は十分指導して全きを期して参りたいと考えております。
  25. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 次へ進みますが、その前に五億七千万円の資金運用部資金の関門トンネルヘの投入でありますが、これはまだ二十億くらいかかるはずでありますから、四、五年計画でありましようが、資金運用部資金を完成まで使つて行く御方針であります。また関門トンネルは特別だからということも言えるけれども、これが一つの先例ということになりますと、いわゆるこういう方法でならば工事は幾らでも進められるというような点も考え得られるのであります。見方によれば一種の赤字公債の変形したものというようにとれぬこともないのであります。これが一つの新しい例でありますから、十分当局の御意見を聞いてから他にまた転用のできるものならば、そういう方法でもやれるのではないかという感じもいたすのでありますが、これは全部完成まで資金運用部資金をお使いになればその償還等については、どうせ通行料をとるにしたところが、そんなにたくさんな使用料はとれるものではないのでありますが、大体どういう御計画でありますか。
  26. 野田卯一

    野田国務大臣 この問題の詳細につきましては、これまた法律が出まして、この委員会で御審議願う機会がございますので、一々の問題、幾ら料金をとるか、何年かかつて償却するか、免許の点はどういうふうになつているかということは十分研究いたしておりますので、その機会にお讓りを願いたいと思います。考え方といたしましては資金運用部の金を使いまして完成するか、あるいは一般会計から繰入れてこれを完成しまするかという問題でありますが、私は今年は資金運用部の金だけでやつて行きたいと思いますが、財政の余裕かなければ一般会計から繰入れた金と、資金運用部から借入れた金と合せてやつたらいいじやないかと考えているわけであります。なお地方にあるものにつきましては、地方団体の金も場合によつては入れたらいい。国庫の一般会計の金、資金運用部の金、地方団体の金などを合せてやつてもいいのではないかというふうに、決して固定的には考えていないのであります。
  27. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 関門トンネルについては当委員会でいろいろ存続その他産婆役を勤めた関係もありますし、また今まで福岡県、山口県等、非常に苛酷な負担金を出させている事情もありますし、当委員会としてもこれは放任しておけない問題でありますので、また追つて慎重に研究をしたいと思うのでありますが、これはこの程度にとどめておきます。  次にお尋ねいたしたいことは、電源開発とここに示された建設省所管予算との関係でありますが、二十七年度建設省所管予算として盛られておりまする中で、電源開発の進捗の上にどの程度まで貢献し得る御確信がおありでありますか。またここに示されましたほかにどういうふうな方法で電源開発をやる予算を組んでいるか、その点をお伺いいたします。
  28. 野田卯一

    野田国務大臣 電源開発につきましては、建設省としてはこういう考えで政府部内で話を進めているのであります。それは御承知のように、今政府は電源開発のために特別の法人をつくるという考えをしているのでありまして、その資金は一般会計から五十億出す、それから資金運用部資金から六十億出しまして、合計百十億円の資金をもちまして、二十七年度においてはこれでもつて電源の開発をして行きたい、こういうふうに考えておるわけであります。その特殊法人がどこの電源開発をするかということが今問題になつておるのでありますが、それにつきましては、私どもといたしましては、政府が今まで直轄でやつて来ました多目的のダムがあるわけです。たとえば北上川の猿ケ石とか、胆沢とか、あるいは関東地方では五十里のダムとか、いろいろあるわけですが、そういう多目的なものに附属してなされる電源開発、水力発電事業は、この新しい特殊法人にやつてもらいたい、こういう考え方をもつて進んでおるわけであります。とにかく百十億の資金を持つておりますので、この会社にやつてもらえば、相当の金がそこからさき得るのじやないか、そういたしまと、われわれが今までやつて参りましたような一般会計から金を出すという行き方よりも、資金的な余裕があるのじやないか、そうすれば相当電源開発が進むのじやないか、こういう考え方で今進んでおるわけであります。それでは幾らつぎ込むかということは、政府部内でも意見が確定しておりませんから、申し上げられません。そういう考え方で、できるだけその会社の金を使つて電源開発をやつて行きたいと考えております。  なお地方の団体のやつております多目的のダムがありまして、それに伴う電源開発がありますが、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、起債と資金運用部資金を極力活用いたしまして推進して行きたい、こういうふうに考えております。
  29. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 そういたしますと、結局二十七年度建設省所管予算六百六十億円の中には、電源開発に貢献し得べき金はない、すべて公社というか、何か一つのものができる、その自己資金と、今言つた百十億のうちからそちらにまわす分とによつて日本の電源開発はやるのであつて、この中にはそういうものは全然含んでいない、こういう意味でございますか。
  30. 野田卯一

    野田国務大臣 その点につきましては、多目的ダムをつくる経費は入つておるわけであります。多目的ダムをつくるから電源開発ができるというふうに、一つのダムをつくつたのが多目的に使われるのでありますから、電源開発に使われるという意味において非常に貢献をする、こう思います。
  31. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 それは一々私が調べてもわかるでありましようが、一応そこに河川局長がいらつしやるから伺うのでありますが、その多目的ダムに、六百六十億のうちどのくらい充てておりますか。
  32. 目黒清雄

    ○目黒政府委員 ここに公共事業費としは載つておりまするのは、ダムの一部の公共性を持つた予算だけが載つております。直轄河川総合開発が六億、それから補助費が九億、そのほかに継続費が十四億七千八百万円、こういうのが載つかつております。そこで今大臣のお話のように、これ以外の金が今の地方起債のわくのうちに大きく含まれておるということと、もう一つは、将来できるだろうと思われる特殊会社のうちから数十億が入つて来るだろう、こういう見方をしておるのであります。こういうダムの建設は、これを分析して行きますと、河水調節、灌漑用水あるいはその他公共的な目的を持つてやる、その目標に従いましてダムの建設費を区分しなくちやならぬ。その区分した公共性を持つた部分だけが公共事業費として載り、あるいはそれ以上の金が電気事業の費用から加算されなければならぬという形になつて参ります。それで表には非常に少いのであります、裏から見ますと、相当な電源開発費用が入つておる。これが電源のみではありません。農業用水にも補給できる、こういう形になつております。
  33. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 電源開発についてなおお尋ねしたいのでありますが、これはまたの機会に讓ります。  その次にお伺いたしたいことは、先ほど食糧増産には、河川だけではなく道路の新設改修等も必要だという大臣の御答弁がありましたが、この六百六十億円の中に道路局関係予算も出ておりますけれども、一体二十七年度中に、この建設省で引受けてやらねばならない道路工事というものは、どういうふうにお見込みになつておりますか。と申しますのは、この間の大蔵大臣説明にもありました通り、内政費以外の二千二百九十億円の中に、五百六十億円という講和関係費とかなんとかいうものがあつたようであります。この五百六十億円というものは、いわゆる駐留軍の移転とか、いろいろな関係に使われるのでありましようけれども、それにはやはりいろいろな道路とか、その他建設省において仕事をせねばならぬ分が相当あるのではないかという感じがいたすわけでありますが、そういう点はどういうふうになつておりますか。
  34. 野田卯一

    野田国務大臣 今御審議願おうとしているこの予算のほかに、今お示しになつたような安全保障諸費という金が五百六十億あります。あの中から道路建設に向けらるべきものが若干あると思いますが、それをどれだけ向けるかということにつきましては、まだ内容はきまつておりません。これは日本側だけではきまらないわけでありまし  て、今後順次にきまつて行くが、その場合にはもちろんわれわれといたしましては、建設省でそういうものは請負つてやるべきものだというふうに思つております。
  35. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 五百六十億の中で、道路費に相当使われるが、まだ額はきまつていないということでありますが、現在地方建設局その他で営繕関係などでも相当量を請負われているような情勢にあると聞くのでありますが、道路建設その他営繕関係、この五百六十億の中の何ぼを使うことになるか知りませんけれども、はたして十分処理できる量のものであるかどうか、そういう見当はおつきだろうと思いますが、それは道路だけではありません。営繕その他すべてにわたつて、そういう関係大臣はどういうふうにお考えになつておりますか。
  36. 野田卯一

    野田国務大臣 どれだけの仕事を請負うことになるかまだはつきりいたしませんが、極力仕事を合理化し、また請負を活用できるものは請負を活用し、その他の方法によりましてやつて行きたいというふうに考えております。
  37. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 最後に災害復旧の問題についてお尋ねをいたしたいのであります。この間の大蔵大臣の演説の中に、繰越し災害額の三分の一を本年度は施工するつもりだというふうな大見得を切られた文句があつたと思うのでありますが、一体繰越し災害額は現在幾らになつておりますか。そのうち幾らを二十七年度でやろうとなさるのでありますか。
  38. 目黒清雄

    ○目黒政府委員 二十七年度に残るだろうと思われるものは千百億あります。それで私のところが二百数億でありますから、約三百億の災害復旧費ができる、事業量にいたしまして結局来年度においては大体残りの三分の一近くができるだろう、こういう見通しであります。
  39. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 繰越し災害といわず、大体初年度に三〇%、次年度に五〇%、第三年目に二〇%でやりたいということは、野田建設大臣が当委員会でもたびたび言われたことでありますが、二十七年度はその御方針を堅持されておるかどうか。つまり繰越災害については、今言つた事業最にして約三百億円ほどできる予定だ、しかるに繰越災害額は千百億あるということでありますから、三分の一には達しませんが、二十七年度に生ずるであろう災害についてはどういうふうにお考えになつておりますか。
  40. 野田卯一

    野田国務大臣 二十七年度の災害に対しては、全体で建設省その他の災害費は八十億円とつてありますが、八十億円で治まるかどうかということについては、治まらなければ補正予算という問題が起つて来ると思います。それから当該年度に三割やりたいという希望は今も捨てておらないのであります。これはルース台風から、三割、五割、二割でやりたいと思つております。ざつくばらんに申し上げますと、ルース台風につきましては、二十六年度中に二十二、三パーセント行くのではないかと思います。これは私が理想としておりました三〇%から大分離れておりますが、従来十二、三パーセントあるいは一七%というような過去の実績があるものですから、一生懸命三割にしたいと骨折りましても、実績の力にひつぱられてそこまで政府部内でもおちつかなかつた。しかしこれは一歩一歩進めて行くよりしようがないと思つて、今後も努力を続けたいと思います。  その次に翌年の、たとえばルース台風としまして二十七年度にどれくらいつぐか。これは五〇%を理想としております。繰返して申し上げますが、これは確保しようと思いますが、ルース台風以前の過年度の災害が累積しておるわけであります。金から申しますと、ルース台風だけの分について五割直すということはできるわけであります。そういたしますと、それ以前のものが手薄になるということで大分御反対があるわけであります。ルース台風からやりたいと思つておりますが、いろいろな方面から御要求があつて、全部五割ということですと、大きくなりまして、今日の財政ではまかなえないということで、結局妥協みたいなことになつたのでありますが、過年度のものは三割程度を二十七年度でやりたい、こういうふうにおちついたという実情であります。私は災害はできるだけ早期に復旧しなければならぬという方針で今後も努力して行きたいと思つております。
  41. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 建設大臣の御方針はわれわれも大賛成でありまして、できればさらに二年で直せば一番いいことでありますが、少くとも三割、五割、二割というふうに、三年間には必ずやつてしまうという御方針を堅持されれば、日本の繰越災害というものも逐次減少して、災害亡国という大きな困難が防げると思うのでありますから、せつかく御努力をお願いしたいと思うのであります。  そこでルース台風は二三%ばかり復旧になつたと言われますが、去年八十億くらいのものでは当然足らぬから、災害が起れば補正予算を組むという了解のもとにわれわれ建設委員会は進んでおつたのであります。しかしあれだけ災害があつたのに補正予算も組んでくれぬというので地方は何かルース台風がのけもの扱いにされたように一時非常に心配をしたのでありますが、八十億で足りたのでありますか、あるいは二十六年度の災害について補正予算を組むおつもりなんでありますか。どういう方法で二三%が出て来たのであるか。またあれは途中で、一般の方で二十五億を流用するとか、あるいはGHQがさせぬとかいろいろなことがあつたようでありますが、結論においてルース台風はどういう処理をされるおつもりでありますか。
  42. 野田卯一

    野田国務大臣 概数を申し上げますと、昭和二十六年の当年度災害復旧費八十億の中からルース台風に二十五億程度出す、これはきまつております。そのほかに二十七年度予算の中に、二十六年度に出すべかりしものが別に計上してあるわけであります。全体の災害費が御承知のように五百億あるのですが、その中に四十一億、ルース台風分として二十六年度に出すべかりしものとして二十七年度の中に入れてあるそういうものを合せまして計算いたしますと今の程度のものになるわけであります。  なお資金の点につきましては、三十五億の予算が出ます。それからそのほかに五十億円のつなぎ融資が出る。それからなお二十六年の起債のわくの中から八億前後と思いますが、そのくらいの起債が認められておる。資金量といたしましては、一般会計から出る金、預金部資金から出る金を寄せますと、二十五億プラス五十億プラス八億くらいになるかと思います。
  43. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 ルース台風は八十三億出しただけで二三%の処理ができる程度の災害であつたものか、私たちはもつと大きい災害であつたと考えておりますが、計数は合いますかどうか、局長に伺いたい。  それから二十六年度に出すべかりし分として四十一億計上してあるというのは、二十七年度のこの予算に、ひもつきでとつてのける分がそれだけあるという意味でございますか。
  44. 野田卯一

    野田国務大臣 その中にあるのでございます。
  45. 目黒清雄

    ○目黒政府委員 災害のうち、本年度分の災雲は総計いたしますと四百六十億であります。そのうちルース台風分が二百七、八十億程度でありますから、今の数字で二三%程度に相なると思います。     —————————————
  46. 松本一郎

    松本委員長 本日の質疑はなお前田榮之助君、池田峯雄君、瀬戸山三男君とお三方残つておりますが、本日の質疑はこの程度で打切りまして、明日あらためて会議を開き、その節は河川局並びに道路局政府委員、また大臣の御出席を願い、引続きこれらに関する質疑を続行いたしたいと考えます。つきましては、本・日公報で御案内いたしました議題のうち、ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く特別調達庁関係命令廃止に関する法律案を議題といたします。政府側より提案理由の説明を聴取ずることにいたします。
  47. 辻村義知

    ○辻村政府委員 ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く特別調達庁関係命令廃止に関する法律案概要を御説明いたします。  日本国との平和條約の効力発生に伴なつて、ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件は廃止され、これに基く諸命令についてはその効力関係を明確にする必要があるのでありまして、慣例調達庁関係の要求物資使用収用令、土地工作物使用令に関しましては、日本国との平和條約の効力発生と同時に、連合国軍最高司令官の要求に基いて日本政府としては物資並びに土地及び工作物を提供する義務がなくなるのでありますから、当然に連合国最高司令官のなす要求を充足するための要求物資使用収用令、土地工作物使用令は廃止することが妥当であると考えられます。本法律案は右の命令廃止を規定いたしますとともに命令廃止に基いて所要の経過規定を規定しております。  すなわち日本国との平和條約第六條の規定により、占領軍は條約の効力発生後なお九十日間は日本に滞留し得るようになつておりますので、本命令によつて使用しまたは収用した物資並びに土地及び工作物についてはなお九十日間引続き効力を有することといたすとともに、損失補償についても法律施行後もなお従前の例によることといたしました。  また法律施行前にした違反行為に対する罰則の適用は従前の例によつて罰することといたしました。  本法案概要は以上御説明いたしました通りでありますのでよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  48. 松本一郎

    松本委員長 これにて提案理由の説明は終りました。なお本法案に関する質疑は次会にこれを行いたいと存じますので、御了承をお願いいたします。次会は公報で御案内いたしますが、明日の予定でございます。  本日はこれをもちまして散会いたします。     午後零時十五分散会