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佐藤会計検査院長 法律上の点については、先ほど申しました
通り、
会計検査院法とか、
予算執行職員等の
責任に関する法律とか、あるいは
政府契約の
支拂遅延防止等に関する法律とか、そういうようないろいろな法律がありまして、それによ
つてわれわれの方から
関係者の懲戒を
政府に
要求する、
政府がその
要求に基いて懲戒するということはあります。それからまた、
検査院法なり
予算執行職員等の
責任に関する法律におきまして、違法なる
支拂いをした人、要するに国に損害を與えた者に対しては、その損害を與えた限度におきまして弁償
責任を、
会計検査院がその権限で検定する、あるいは弁償を直接命ずるという二つの制度があります。それから、たとえばある売買
契約をやつたという場合、国の物を売つたという場合、あるいは
民間から物を買つたという場合は、その
契約が法律上正式に結ばれている以上は、重大な錯誤があるとか、詐欺があつたとかいう
関係がない限りはその
契約は有効にな
つている。ただ、不当に高い物を買つたとか、あるいは不当に安く売つたということになると、これは事後に直すことはできないので、これは結局そういうことをやつたことが非常な不
注意かどうかということを、身分権のある各省の大臣その他がその官吏に対しまして、あるいはその
監督者に対しまして懲戒するかどうかという問題であります。それから次に、もつと大きな見地から申しますとこれはあるいは私の方から言う必要のない、
政府から言われるべきことかと思いますが、これは結局、今申しました
通り、
決算はこれで済んでいるのでありますから、いくら批難しても元にもどるものではない—もどるものもあります。たとえば
契約違反で、まだ物が入
つていないのに金を拂つたのを金を返してもらうとか、あるいは入
つて来ない物を、履行を請求するという限度において
是正することはあるけれども、大部分のものは済んでしまつたものであるから、いまさらどうにもできないので、結局その
責任をどうするかという問題で—これは結局政治
責任の問題と思うが、これは
政府がそれを感ずるかどうか。ことに
国会においては、
検査院がせつかくこういうふうな報告を出しておるのでありますから、それを十分御審議にな
つて、
政府のやり方が悪いというならば、十分
政府に政治
責任を追究していただきたい、こう思うわけであります。