○高橋(權)
委員 いかだで流木したということは、私は幼いころから知
つております。それが今できなく
なつたということは、あまりにも濫伐に次ぐ濫伐の結果、水勢が鈍く
なつた結果であります。ダムを建設するにつきまして、は、ダムの上流と下流は必ず埋ま
つて行くものであります。いつも私は東海道からずつと九州に帰るのに列車の窓から見ましても、河川底がだんだんと浅くな
つて、川の中央の方が堤防の高さになるくらい埋ま
つている。それは何のためであるか。常日ごろダムなんかの建設されなかつた当時は、水の力によ
つてだんだんと深くな
つて行つた。まして山林が欝蒼としておれば濁流にならないから、川というものは深くなるものである。ところが山林を濫伐すれば濁水がとうとうとして流れ、そのために砂土が流れる結果が、河川底の浅くなるということの事実である。人間の力よりも強いところの水勢によ
つて、あのかたい岩板をだんだんと削りと
つて行
つて、川の底が青々としておつたところが、今日では幼稚園の子供が遊んでいいようなところにな
つていることは、もう局長様方がよく知
つているはずだ。ただ私は今おつしやるところの自動車道路の建設のためとかなんとか、こういうことも、地元に土木
事務所がありまして駐在官がおるはずです。そういう人聞が、どのあたりの流域は、どのくらいの雨が降
つてどのくらいの水量に
なつた場合は、どのあたりが川に無理が行くか行かないかということを十分研究して、自然の力の及ぼすところを研究してつくる自動車道路なら、それはいい。それを無視し、かつまた、今当局から言われたそういうことには賛成できないというようなことも取消して研究してもらいたい。私が例を申すならば、前にも申し上げたことがあります。あなたには申し上げていないと思うが、大阪城のあの大きなる石をどうして運んだかということは、学校の生徒に聞いても知らない、私は教えてやりました。靖国神社で四、五人の大学生に教えたが、そういうふうにして高等数学も物理も科学も知らない加藤清正などが、四国からあの大きい数十疊藪の岩石のごときを運んで、起重機も何もないときに、大阪城の高いところに運んで築城したのが、地震があ
つてもびくとも動かない。今日の高等数学を知
つている技師たちのつくつた堤防のごとき、その他いろいろな建築のごときは、地震その他の災害において、すぐこわれてしまう。これは人間が自然の力に打勝つことのできない証左である。それと同様、この植林をむちやくちやに、ここいらはどうだろうと、ただ数学その他によ
つてのみやることは、私は反対である。そういうことを知らない連中が、ただ電気を起せば、下流の方に非常に有利になる、産業は盛んになると言う。ただ机上の空論のみによ
つて賛成さしてダムを建設しようとしておるところが、ある元の商工大臣のごときがそういうことをや
つているところもある。私はこれについては絶対反対するものでありますが、そういうことが全国に数えるほど今後起
つて来る問題だと思う。たとえて言うならば、
日本国民の女がパーマネント・ウェーヴをやるために、あの電気の使用量というものは大したものである。こういうことをやめたら、産業も
相当できるが、
日本人は何でも悪いことはまねて、いいことはまねしない。私はパーマネントなんかはやめてしまう方がいいと思うが、そういうことから早くかたすといい。ネオン・サインがなければ商売ができないのではない、そういういらない電燈こそ私は禁止して使わせないようにすべ選だ一思う。この植林ということについては、私らはみな親類が森林を愛護しておる立場でありますから、ちやんと研究しておるのであります。今後当局では、そういうふうな意味から、このダム建設については、山にひびが入
つているかいないか、ここは火山地帯であるか火山地帯でないか、赤土であるか火山灰であるかというようなことまで研究して、ダムを建設すべきものである。か
つてあのアメリカのロスアンゼルスの飲料水を送るところのあの理想のダムが、どうですか、最近決壊して、どれだけの損害をアメリカの
国民に対して与えたか、人畜に被害を及ぼしたかということを
考えたときにおいて、
日本あたりの少しばかりの金でつくつたダムは、よほど考慮すべきことだと思うのであります。その点もう一ぺん伺いたいのであります。これは反対しないわけに行かないところがありますということでは、私は
承知ができません。