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1952-02-22 第13回国会 衆議院 決算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月二十二日(金曜日)     午後一時五十一分開議  出席委員    委員長 中垣 國男君    理事 大上  司君 理事 三宅 則義君       田中 角榮君    高橋 權六君       多武良哲三君    渕  通義君       船越  弘君    竹山祐太郎君  出席政府委員         総理府事務官         (大臣官房会計         課長)     齋藤 常勝君         運輸事務官         (大臣官房会計         課長)     辻  章男君         経済安定事務官         (総裁官房長) 平井富三郎君  委員外出席者         大蔵事務官         (管財局公団清         算室長)         大蔵事務官         (船舶公団清算         人)      辻畑 泰輔君         文部事務官         (管理局教育施         設部教育用品課         長)      宮川 孝夫君         通商産業事務官         (通商振興局経         理部長)    石井由太郎君         検  査  官 下岡 忠一君         会計検査院事務         官         (検査第四局         長)      大澤  實君         鉱工品貿易公団         清算人     齋藤 大助君         鉱工品貿易公団         経理部長    鈴木順之助君         繊維貿易公団経         理部決算課長  片桐誠一郎君         元船舶運営会監         事       南  通次君         元持株会社整理         委員会経理部長 土井 良一君         專  門  員 大久保忠文君         專  門  員 岡林 清英君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  昭和二十四年度一般会計歳入歳出決算昭和二  十四年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十四  年度政府関係機関収入支出決算     ―――――――――――――
  2. 中垣國男

    中垣委員長 ただいまより委員会を開会いたします。  昭和二十四年度政府関係機関収入支出決算を議題とし、本日は公団等決算中、鉱工品貿易公団以下のものにつき、審議をいたします。審議時間の関係上、その順序はまず持株会社整理委員会から始め、船舶公団繊維貿易鉱工品貿易公団船舶運営会の順で進めて参る予定でありますので、御了承を願います。また政府当局並びに関係者に申し上げますが、報告説明にあたつては、審議促進上、報告書に記載の分の重複を避けていただきたいと思います。特に説明を要する事項について詳細説明されるよう、この際希望しておきます。  それではまず報告書二百三十一ページ、持株会社整理委員会不正行為報告番号七五〇、職員不正行為に因り持株会社整理委員会損害を与えたもの――本件説明当該委員会から聴取いたします。元持株会社整理委員会経理部長土井説明員
  3. 土井良一

    土井説明員 私お呼び出しにあずかりました元持株会社整理委員会経理部長をいたしておりました土井と申します。何とぞお見知りおきを願います。  本件昭和二十四年六月に水野という経理部会計課職員が、会計課長職印を盗用し、預金払いもどし請求書偽造し、合計二百十万円を詐取し、委員会損害を与えました職員不正行為でありまして、当時の責任者といたしまして、はなはだ申訳なく存ずるものであります。  本件につきましてとりました処置について申し上げますと、犯人水野につきましては、ただちにその職を免じ、責任者たる経理部長、同次長、会計課長及び会計課長代理の四名につきましては、それぞれ懲戒減給処分を行いました。それから被害金額回収につきましては、事件発生後ただちにこれに着手いたしまして、鋭意努力いたしました結果、昭和二十四年九月末までに百十万七千円を回収いたしました。残りの金額分につきましては、損害賠償請求民事訴訟を提起いたしましたところ、昭和二十六年三月三十日に和解が成立いたしまして、その翌月より三回にわたりまして四十五万円の回収を見ました。合計いたしまして百五十五万七千円を回収いたしました次第であります。  なお犯人委員会の告訴によりまして、東京検察庁において公文書偽造行使詐欺罪として起訴され、東京地方裁判所において昭和二十六年七月三十日懲役一年、執行猶予五年の判決の言い渡しがありました。  以上はなはだ簡単ではございますが、事件内容及びこれに対する措置等につき、概略御説明申し上げた次第でございます。何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  4. 中垣國男

  5. 齋藤常勝

    齋藤(常)政府委員 本件はまことに遺憾な事件でございまして、監督官庁といたしましても、申訳なく存じておる次第でございます。平素十分に気をつけるように申しておつたのでありますけれども、このような事件発生いたしまして申訳ない次第であります。発生後ただちに当方といたしましては、その事情をこまやかに調査いたしましたところが、犯人出納係職員でございまして、会計課長及び会計課長代理が席をはずしておりましたときに、その機会をねらつて職印を盗用したというような事情がございました。こういう点から考えまして、職印に対する監督を十分に励行すると同時に、支払い事務につきまして改善すべき点かあるかと考えまして、細部にわたつてこれを改正いたしました。その結果職員の監視であるとか、あるいはまた戦務の配分であるとかいうことを十分に研究し、是正いたしました結果、昨秋解散に至るまで、このような事件発生を再び繰返すことなしに、無事にその任務を完了したような次第でございます。重ね重ね申訳ない事件と考えております。何分よろしく御審議のほとをお願いしたいと思います。
  6. 中垣國男

    中垣委員長 この際質疑があれは……。
  7. 田中角榮

    田中(角)委員 ありません。
  8. 中垣國男

    中垣委員長 それでは船舶公団関係者がまだ出席いたしておりませんので、次に移ります。     ―――――――――――――
  9. 中垣國男

    中垣委員長 報告書二百二十七ぺ一ジ、繊維貿易公団物件報告番号七四四、商品売渡に当り処置当を得なもの――本件説明公団関係者から聴取いたします。繊維貿易公団経理決算課長片桐説明員
  10. 片桐誠一郎

    片桐説明員 七四四号の繊維貿易公団の件について説明申し上げます。  昭和二十四年の七月に、繊維貿易公団手持ち絹織物を放出するために、一般競争入札によつてこれを処分いたし、その際に塚越金属興業なるものが、その入札に参加して落札した品物引取資金に窮した結果、公団職員柴原外一名に対し、あとでもつて金を払うからと、うまいことを言い寄つた結果、無料で品物を受取つてしまつた。爾後柴原及び千葉は、これの収拾がつないたために上司に申し出て、その結果公団としてはその二名をすぐに懲戒免職し、一方塚越金属に対しましては、ただちに債権回収に努力いたしました。その結果第一段階としましては百四十一万四千余円の回収を見、残額百五万二千余円の債権額となりました。これにつきましてさらにこの回収を確実にするために、塚越金属の全財産を仮差押えをなし、爾後の回収をはかつたのでございますが、何分にも塚越金属資産が貧弱で、これを全部処分したところで、とても回収はおぼつかない。またこれを係争を続けたところで、とても先の回収見込みがなし、裁判をもつてつても、いたずらに経費ばかりかかつて実質が伴わない。いろいろな事情から推しまして、裁判による和解によつて塚越金属が払い得る金額、当時の算定によりまして五十万円をもつて債権額を確定いたしまして、残額につきましては当時の公団当事者つた二人、それに対して連帶責任をとらせまして月賦返還を誓約させました。塚越の五十万円につきましては、和解調書に従いまして、昨二十六年の十二月末日をもつて全額完済になりましたが、柴原及び千葉の公団職員二名の債権額に至りましては、いまだに三回にわたり合計二千円の入金を見ただけでありまして、なお公団はこれに関して回収に努力しておる次第でございます。  はなはだ遺憾な事件でございますが、原因並びに経過について以上御説明申し上げました。
  11. 中垣國男

    中垣委員長 ただいまの説明に対し直接監督責任に当られた通産省当局から、現在までに同公団監督された大要につきその説明を求めます。石井説明員
  12. 石井由太郎

    石井説明員 公団に対しましては、常にその荷渡し売渡し等につきましては周密なる注意を払わせまして、当時現金前払い制度によつて売渡しを督励いたしておつたのでありますが、本件の場合は、担当いたしておりました比較的若年の職員が、相手方から欺罔されまして荷渡しをいたしたという案件になつております。平素このようなことの絶無を期しておつたのでございまして、公団職員といたしましても、深くその疎漏をわびまして、返金を誓約いたさせておるのでございますが、何分にも一名は所在不明、他は現在病気でございまして、入金不如意のような状況と聞いております。繊維貿易公団におきましては、比較的荷渡しその他が周密に行われたにもかかわりませず、整理段階におきましてこのような事件を起しまして、返す返すも申訳ないと考えております。
  13. 中垣國男

    中垣委員長 会計検査院当局に特に説明があれば伺います。
  14. 大澤實

    大澤会計検査院説明員 特にございません。
  15. 中垣國男

    中垣委員長 質疑を願います。
  16. 田中角榮

    田中(角)委員 七四四は、詐欺にかかつたわけでありますが、特別詐欺事件としては取扱わなかつたのですか。
  17. 石井由太郎

    石井説明員 当時の情状を判断いたしてみますと、政府から売り渡しましたものは二百四十六万数千円でございますが、業者が転売し得たものは、はるかに少い金額でございます。それはもちろん返還させますことはもとより、さらに他の財産にまで及びまして差押えをいたしました事案でございますので、情状上特にさような扱いはいたしておりません。
  18. 田中角榮

    田中(角)委員 この塚越金属興業株式会社ばかりでなく、一切のかかる品物入札に対しては、入札保証金を徴収しなかつたのですか。
  19. 石井由太郎

    石井説明員 保証金は徴収いたしまして、もちろんこれは損失補填に充てました。残額がただいま申し上げました金額の始末となつておるわけでございます。
  20. 田中角榮

    田中(角)委員 そうすると五分にしても、二百万円の五分で約十万円、一割にして二十万円、その程度保証金をとられたのですか。
  21. 片桐誠一郎

    片桐説明員 当時、絹織物人絹織物入札保証金といたしましては、五分以上を要求しまして、大体記憶しておるところですと、その際に二十五万円入つていたと思います。
  22. 田中角榮

    田中(角)委員 繊維貿易公団清算段階は、今どの程度に進んでおるのですか。
  23. 石井由太郎

    石井説明員 繊維貿易公団は、大体において所有品払下げ等処分は全部完了いたし、また売掛金等もほとんど全部回収いたしております。ただ御承知のごとく繊維貿易公団は、国有綿委託加工のきわめて複雑な輸出事務を取扱つておりましたので、その関係事務整理いたしておる段階であります。現在バランス・シート面におきましては、約四十億の債権債務を残しておりますが、その四十億は、政府、すなわち貿易特別会計に対する債権四十億と、剰余金として貸方に上る、四十億近いものがあるという状況でございます。
  24. 田中角榮

    田中(角)委員 清算結了見込み期において、赤字が出るのですか、出ないのですか。もし出るならばその見込みを伺いたい。
  25. 石井由太郎

    石井説明員 三十六、七億の剰余金を生ずる見込みでございます。
  26. 田中角榮

    田中(角)委員 綿布は一時非常に上つたのでありますから、そういうふうな数字になるかもしれませんが、今前段において御説明になつた通り委託加工せしめたものが、現在まだ手持が相当額ある。ある説によつては時価二十数億に上るものがあるというようなお話があるのですが、これはどういうのですか。
  27. 石井由太郎

    石井説明員 前段お話で、公団剰余金を生じましたのは、主として綿等の値上りによるものでございましたが、これはそのようではございませんで、綿等委託加工でございますので、公団はほぼ通り抜けであつたものでございます。それで、これから生じたものはございません。主として絹織物あるいは国内の産出品剰余金でございます。なお二十数億のものがありますと言います意味は、あるいは概算の請求ないしは為替換算レートの当時の計算等を精密にいたしますと、まだ全部数字が出て参らないのでございますが、何がしかの徴収すべきものが出て参ることになると思います。
  28. 田中角榮

    田中(角)委員 二月二十一日付夕刊日本経済に出ておる記事は、御承知だと思いますが、この内容はどういうのですか、ちよつとお聞かせ願いたい。
  29. 石井由太郎

    石井説明員 昭和二十四年の八月と申しますと、ただいま御報告のございました塚越金属等事件がございました若干あとでございますが、司令部の命令によりまして公団が保有いたしておりました絹織物を、一般競争入札をもつて販売いたしたのであります。この当時四国海産物会社と申します資本金二十万円の会社入札保証金を納めまして、約五万ヤール、二億四千万円ほどのものを落札いたしました。公団会社の性格並びに資本力等から、きわめて危ぶみまして、会社にもしばしば念を押したのでありますが、りつぱにある銀行保証手形を持つて参りましたので、延納の許可をいたしたのであります。爾後この手形満期日に至りましたころに、会社から、品物予想外に悪かつたからこれを解約する云云の通告があつたのでございます。しかしながらこの事実は、当時シヤウプ勧告案によりまして、織物消費税撤廃云々ということのための絹織物の暴落を根拠としたものと思われますので、私どもといたしましては、支払いの上の保証人でありまする某銀行と、もつぱら交渉いたすことにいたしまして、資力その他から見まして全然相手にならない四国海産物とは、多く争わずして解決しておる次第であります。
  30. 田中角榮

    田中(角)委員 二十万円の会社に二億の入札をさせたということについては、いろいろお聞きしたいことがありますが、時間の関係もありますし、もうすでに既成事実でありますので省きますが、この代金は全部回収なされますか。
  31. 石井由太郎

    石井説明員 ただいま、四国海産物会社に売り渡した分については、爾後調査いたしましたが、会社が一部処分してしまつたものにつきましては、黒白を論ずる余地がなかつたのでありますけれども、残存いたしました物件について、確かに見本その他と違う分があつたということを確認された分につきましては、常識的な値引きをしてもらつたことはございます。そのようにいたしまして、当該銀行との間に和解を進めまして、現在一回払い三千万円の分割払いとして取立てをいたしております。
  32. 田中角榮

    田中(角)委員 そうすると、私たちから考えまして二十万円の会社の連中が二億の品物を買おうというのですから、難くせをつけるということは一応わかりますが、これによつて今のお話ですと、まだ代金は全部回収しておらぬ、こういうわけですか。
  33. 石井由太郎

    石井説明員 昭和二十六年九月に第一回三千万円余、十二月に三千万円余入つておりまして、爾後の分割払いをもつて二億余の支払いをいたすことになつております。
  34. 田中角榮

    田中(角)委員 どうもはつきりしないのですが、金額で二億何千万円、そのうち現在幾ら残つているのですか。その残つている額は大体いつごろ回収見込みでありますか。そうでないと、七千万円の賠償請求訴訟を起されると、この訴訟が解決しないうちは払わないでよろしいということになります。  最後にお聞きしたいことは、結局あなた方が国損を来すと、いわゆる見込み通りの金かとれるのかとれないのか、七千万円の請求訴訟には勝つ自信があるのかないのかということが結論になるのですが、こういう問題に対してどうですか。
  35. 石井由太郎

    石井説明員 ただいままで入つておりますのは六千万円でございます。なお某銀行からの保証手形額面は二億四千万円余になつてつたのでございます。先ほど申し上げましたように、品物の相違といつたような面から約四千万円の値引きを行つておりますので、二億の額面におきまして、銀行との間に裁判上の和解をいたしておるのでございます。と同時に、当事者でありました四国海産物会社云々が、訴訟その他を持つて参りましても、これはすべて銀行責任を負いまして処理をするということをも、裁判上の和解條項にいたしておる次第でございまして、これによつて銀行との間に和解條項は変更を受けないことになつております。
  36. 田中角榮

    田中(角)委員 その事情はわかりしたが、銀行裁判上の和解はなつておりますが、現金収納は行つておらぬということです。もし行つておらなかつたならば、現金収納を行える時期はいつでありますか。
  37. 石井由太郎

    石井説明員 最後分割払いの年月が昭和二十九年九月三十日、二千六十九万三千円を支払うことによつて完済ということになつております。
  38. 田中角榮

    田中(角)委員 結論に入りますが、七千万円の賠償請求には勝つ自信がございますか。
  39. 石井由太郎

    石井説明員 私どもは、買受人であります四国海産物から、今まで一文の支払いも受けておらないのでございまして、損害ありということは争い得ないと考えております。
  40. 中垣國男

    中垣委員長 それでは繊維貿易公団はこの程度で審査を終ります。     ―――――――――――――
  41. 中垣國男

    中垣委員長 次に鉱工品貿易公団に移ります。前回鉱工品貿易公団については、公団側及び通産当局より説明を聴取いたしておりますので、この際会計検査院当局におかれましてこの批難事項を提起するにあたり、いかなる程度検査を実施されたか、その実態について説明を伺います。大澤説明員
  42. 大澤實

    大澤会計検査院説明員 鉱工品貿易公団検査報告に上つております点の補足の説明を一応いたさせていただきたいと思います。  七三八号から七四一号までの件で、物資管理当を得ないものとして掲げてあります分は、公団がその商品を普通の営業倉庫ではなくて、その商品を買い受けた業者、あるいはこれから売り渡す予定業者、これに保管を委託しておる。こういう状態のものでありますので、いわばねこにかつおぶしを預けてあるようなものでありますので、公団としましてもこれの管理在庫調査ということは、相当十分にやつてもらわなければならないと考えておりましたが、今の会計検査院人員数をもつては、この厖大物資のいわゆる個々の在庫調査を行うことは、せいぜい拔検査ぐらいしかできないから、これはひとつ何とか公団監事室の方で人員をつくつてこの在庫調査をやつてもらいたいということを、絶えず前から申入れて参つたのでありますが、これも予算の関係といいますか、監事室の方で人員の都合もありまして、十分な在庫調査が行われてなかつたということが、ここに掲げましたようないろいろな事件を生じた原因であろう、こう考えております。会計検査院といたしましても、さらにこの在庫調査をもつと早くから十分にしておけば、こうしたことがもう少し未然に防げたのではなかろうかという点におきまして、はなはだ遺憾に存じておる次第であります。  それから次の七四二号の商品の売払い――自転車の売払いでありますが、これは契約現金引きかえで引渡すとわざわざ契約をしておきながら、現金引きかえでなくて、代金後納で渡しているものがある、あるいは初めから代金後納契約をしておるものがある。こうしたことで契約をされて売り渡されたために、厖大売掛金が残つてしまつた。この契約処置が妥当ではない、こう考えておる次第であります。  次に七四三号の不正行為の中の――これは一括して書いてありますので、検査報告に掲げてありますものが三億五千六百万円と掲げてありますが、その内訳は鉱産部早船外六名の分が三億五千二百万円、それから農水産部の田代某らの分が二百九十四万円、軽工品部渡邊某の分が七十九万円、物資処理部の山内某外一名の分が四十七万円、こうなつております。  このうちの最も大きな鉱産部の件でございますが、これは昭和二十四年五月ごろから始められた事件でありまして、会計検査院がこの鉱産部検査をいたしましたのが、二十四年の十月でございました。これは財務諸表の整理関係上、六月までの分を一応検査の対象にして検査をしたわけであります。でありますから早船某の大きな事件の当初の発端におきまして、会計検査院検査が、今にして考えますれば、もう一歩進めばよかつたと思われる点があるのであります。と申しますのは、この早船事件の中に、産業復興公団支払うべき小切手を、産業復興公団経理局長領収証書、印鑑を偽造しまして、産業復興公団支払つたものというように書類整理いたしました。そしてそれを途中でほかの銀行に持つてつて預託して、それを融資しておつた。正確な数字はちよつと今記憶いたしませんが、一億七千万円ぐらいあつたと思います。これはわれわれが鉱工品貿易公団鉱産部検査に参りますと、ちやんと証拠書類は、れつきとしたといいますか、偽造でありますが、あとから実物と対照しましても、寸分たがわないような偽造領収証書をつくつてつた。それで、いわば一応認めたわけでありますが、そのときにさらに進んで、同じ公団でありますから、産業復興公団の方に話して、入金しておるかということをそのときに見れば、このうちの一部分が入金してないということがわかつたはずであつたのであります。この点に関しまして、検査が徹底していなかつたということは、私、当時出資検査課長をいたしておりまして、責任を痛感しておる次第でございます。そのほかの件は、売掛金の入つて来たのを、まだ入つて来ないようにして、相手方にはその公団領収証書を発行して、その金をただでまわしておつた。これが多いのでありまして、これも厖大売掛金のうち、相手方支払つたかどうかを克明にただしてみれば、あるいはこれが、もう少し早期に発見できたのではなかろうかというように考えます。しかし、当時におきましては、相手方公団の帳簿に基いて検査をするということを中心といたしまして、その取引先――これは直接の検査の権限はないわけでありますが、この取引先の方に対して、検査といいますか、もう少し調査を行えばよかつたのではないかということを非常に痛感いたしました。そしてこれを痛感いたしました結果、その後におきましては、公団経理当局の方にも協力を要望しまして、できるだけ広汎に、各取引先入金状況を克明に調べ上げた次第でございます。その結果、酒戸産業の方の分に相当な違いがあるというようなことが、調査の結果判明したものもありますし、またほかの公団検査におきまして、これが非常に役立ちまして、すでに御審議になりました肥料配給公団大阪支部不正行為というようなものが、各方面をそれぞれ調べ上げた結果、判明したような次第でございます。この大きな事件をもう少し未然に、最小限度に食いとめ得なかつたということに対しましては、はなはだ検査が徹底を欠いておつたということを、つくづく反省いたしました次第でございます。  ただいま一応この鉱工品貿易公団についてここに掲げてありますことに対する検査の概要を申し上げた次第でありますが、なおつけ加えて申し上げたいと思いますのは、公団が二十二年に発足しましてから、二十三年、二十四年という期間におきまして、公団経理がどういうものになるのかという最高方針といいますか、これがなかなか決定していなくて、簡單な例を申しますれば、人件費というものは公団自身のかせぎで払うのか、別に国からそれだけの経費を交付されるのかということも、当初においては判明してなく、また公団固定資産を持ち得るかどうかという点も判明していない。公団職員の給与というものが、公団発足のときの閣議決定によりますと、いわゆる会社員としての前給は保証するという決定があつたのでありますが、公団が発足しても、なかなかこの給料の基準が決定しないというようなことで、この公団経理というものが、なかなか軌道に乗つて来ないという点が非常に痛感されました。当時経済安定本部に、公団指導部というのがございまして、これを中心として、そうしたことを企画され、指示されておつたのでありますが、これに関しまして、早くそうした点を軌道に乗せなければいかぬということを院長名をもちまして、注意改善の措置を要求いたしまして、そうした基本的な点に相当な力が注がれました。また公団というものが、例を鉱工品貿易公団にとりますと、たしか二十数個の当時の貿易組合――いろいろな輸出入の組合であります。これが統合されてでき上つたものでありまして、事務所もそれぞれ別々の事務所にあり、経理機構も、それぞれ昔の組合当時の経理機構を踏襲しており、これの統轄がなかなか困難な状況であつた。これを何とか早くまとめて行かなければいかぬ。また同時にこの公団のバランス・シートも、別に当初はきまつたフオームがなかつたので、それぞれの公団において、まちまちなバランス・シートになつてつた。これも何とか統一しなければならないというような、いろいろな点に相当な力が注がれまして、実体的ないわゆる不正の摘発、これに関する検査が多少ゆるやかと申しますか、おろそかになつていたという感じが、今になつて顧みますと、非常に痛感される次第であります。  一応補足して御説明申し上げました。
  43. 中垣國男

    中垣委員長 質疑を許します。
  44. 田中角榮

    田中(角)委員 ほかの委員会がありますので、少し質問したいと思いましたが、ただ一つだけに限定して申し上げます。七四二号の売渡しの相手方が、文部省、通産省、厚生省と、こうなつているのですが、この国会に対する決算報告説明書を見ますと、その下は文部省は教育施設局長でありますが、通産省は富士機械その他、厚生省は関東産業その他――こういう業者の仲介をやつておられるのですか。
  45. 石井由太郎

    石井説明員 ただいま御質問の点は、文部省及び厚生省は、それぞれ役所が契約担当者となりまして契約いたしております。通産省は、当時これは主として傘下の労働団体に配給する予定をもちましてあつせんをいたしただけでございまして、あと会社との契約というふうに相なつております。
  46. 田中角榮

    田中(角)委員 そこに問題があるのであります。どうも二十四年、五年当時は、労働組合が非常に強いときでありまして、こういう問題が各所に起つております。私たちが非常に困つているのは、農業協同組合であります。当時の農業協同組合の幹部は、はつきり申し上げると、社会党の系統の方、またそういう思想の方でありました。労働組合にこういう点でいろいろな問題がありますのは、当時の状況として、組合活動がはげしいときで、やむを得なかつたとは思いますけれども、いわゆる労働組合やそういうものに渡すということが、はつきりわかつているのに、通産省、厚生省が契約担当者になつて、しかもこの結果は、私たちが考えたように、結論的にマイナスを来しているということを追究しなければならぬと私は思います。これを率直に言いますと、まつたく厚生省、通産省、文部省の名儀を利用して国損を来さしめたといつても過言ではありません。  委員長に申し上げますが、七四二号の承認はこれを延期し、文部省、通産省、厚生省の当時の責任者を本委員会に呼ばれることを要請します。
  47. 中垣國男

    中垣委員長 田中委員に申し上げますが、文部省関係は本日出席いたしております。
  48. 田中角榮

    田中(角)委員 文部省は案外金を納めておられる。これは責任者田中さんだと思います。私が今端的に申し上げたのは、厚生省の分が一億一千一百万円のうち、一番大きく残つておる。それで申し上げたのですが、文部省の説明員の方がおいでになつておりましたら、残額をいつごろお納めになる御予定でありますか、一言だけ伺つておきます。
  49. 中垣國男

    中垣委員長 文部省だけでいいのですか。
  50. 田中角榮

    田中(角)委員 文部省以外は、一応報告書でもいいからとつてください。
  51. 宮川孝夫

    ○宮川説明員 配給の時期その他が予定と大分狂いまして、こういう結果を生じましたことは、まことに申訳なく思つております。その後、これは大体小学校の理科教材用として配給をいたしましたので、現在九百五十台分が残つておることに相なつております。これは関係の教育委員会を督励いたしまして、目下配給辞退の学校からの返品の回集をいたしております。私どもの考えとしては、何とかこの三月末までには片をつけたいという意図のもとに、努力をいたしております。
  52. 田中角榮

    田中(角)委員 文部省の関係では、一時教育公務員も行き過ぎた運動をしたことがあつたのでありますが、こういう国家の品物を自分で承知をしてお買いになつたら、月給を上げることだけをぎやんぎやん言わないで、こういう義務も完全に遂行せられたい、こういうことを、はつきりとあなた方の方から要求せられることが正しいと私は思かます。ただすべきは、たださなければいかぬ。こう思うのは、文部省教育施設部長の名でもつて、配給を受けたのは学校である、学校であれば先生でしよう。その先生が、ただの自転車に乗つて共産党の選挙運動などをやつておられたのでは、これはかなわない。これは時間がありませんので、あまりはつきり申し上げるのではありませんが、大体厚生省の方々や、通産省の方方が来られれば、この程度の私の発言がきつと続くだろうと思います。ちようど時間がないのでげつこうでありますが、この問題は早急に御解決願いたい。特に文部省は、こういうことに対しては潔癖でなければならないわけでありますから、どうぞうまく御解決願いたい。
  53. 高橋權六

    ○高橋(權)委員 関連して――。この報告書によりますと、約一億円の大金です。九千幾らだろう。私は間違つているかもしれませんが、こういう金は、私は金のことはあまり言いたくないが、文部省の当局にお願いしたいのは、こういうふしだらなことをすることも間違いであるが、先ほど田中委員も言つているように、賃金のベース・アップというようなことばかり唱えてわれわれのところにはがきで陳情文が、大きく言つたら山ほど来ているのだが、そのはがきを見ると、一枚のはがきに十幾つもうそ字を書いている。こういううそ字を書くような先生が教えるからでしよう、このごろの学生は文字を知らぬ。実に心細い。私らのあとを引継ぐところの国民を教える先生がうそ字を書くくらいだから、私は自転車よりもまだ大切な精神的から考えなければならぬ。そう思う。私はいつもはがきにこれは幾字うそ字があるか、ずつと表をつくつておる。あの狭いはがきの中に、数百字にすぎないその文章の中に、うそ字が十幾つもある。昔から、なかでは何か集合の際には、一番上座に庄屋どんか先生かというようにして、床の間の柱をあとにすえたものだ。その時分の先生は、そんな俸給のことなんか言わなかつた。教えるにしても、他人の子をおのれの子供のように教育した。もし失敗するときには、ともに腹でも切るくらいな先生であつた。ところが今日の先生は、そういううそ字で教えるから、うそ字で習つた大学生たちがまた騒ぎ出す。実に心細い。私ら学生時代は、七尺下つて師の影を踏まず――先生はそんなにありがたいものであるとともに、先生はまたわれわれ子弟に対しては忠実にして精神的な教育をしておつたのであります。そういうことから考えて、今後教育の任に当るところが、こういう、しかもわれわれ国民の血税であるところのこの税金でいろいろ購入した品物である。それをあまりにも無責任きわまることではないかと思う。当局はそういう点についても大いに全国の教育家に対して、こういうことをしないように通知するとともに、精神的教育をひとつやつていただきたいのであります。こういうときにお願いしないと、あなた方は高官だからお目にかかることはできない。しかし一番大切なのは何であるか。物質の富、すなわち邸宅宏壯にして、女中もたくさん置き、下男も置いて、そうしてつまらない、奥さんのほかに何か物品にひとしいようなものまで置いているようなのは、これは物質の富だ。しかし人間はこの物質の富だけではいけない、身の富が大事だ。昔から命あつてのものだねと言つておる。すなわち人間が無事であつて、それで満足か。そうではない、一番大切なのは精神の富である。富に三等あり、うち一番大切なるものは精神の富である。であるから、私はこの金銭上のことを拔きにして、ひとつそういう方面までたたき込んでもらつたら、こういうことがなくなりはせぬかと感ずるのであります。どうか当局においては、こういうことのないように導くとともに、そういう精神的の教育も、ひとつ全国の教育家に対してたたき込んでいただきたいのであります。それについていかなる考えを持たれているか、今私が申し上げたことについてちよつと御答弁願います。
  54. 宮川孝夫

    ○宮川説明員 私、教育用品課長でございまして、物ばかり扱つておりますので、先生の今おつしやいましたことは、ごもつともと思いますが、文部省を代表して私意見を述べる立場でございませんので、さよう御了承願います。
  55. 高橋權六

    ○高橋(權)委員 今答弁なされて、自分は物品係だと言われるが、あなたは人間じやないだろうか。そのくらいな精神でいらつしやるから、こういうことになつた。物品は人間が使うものである。物品が大切であるか、人間が大事であるか。いかにこういう白堊館とあだ名がついている衆議院でも、りつぱな代議士が出て来なければ値打がないのと同じである。自分は物品の係だからと言われるが、私はあなたがりつぱなお頭を持つていらつしやる方で、緻密な頭と音楽美術に趣味を持つておることもちやんと知つておる。お顔もお父様に似ていらつしやることもわかつておる。私はそういう意味から人間が大事だ。自分は物品係だから代表の話はできないと言われるが、文部省内におる皆様は、ただちに日本国の文教の任に当つておる方だから、大臣の了解を得なくてもよろしゆうございますというくらいな答弁があつてほしい。そういうことであるからでしよう、このごろの新聞なんかに対して、私は近いうちに弁護士きんから訴訟もうんと出してもらおうと思つておる。「おいか予算」も言わなければ「片山おりぐち」も言つていないのに、和服を着ているから私であるかのように、この間のサンデー毎日、またここに持つておる東京日日にも出ておるが、旗を立てて演説した代議士、わずか三万二千幾らで当選した代議士は私一人だ。しかも私は三十年前から県会議員に出、犬養木堂先生に十五のときから鍛えられておつて、県会議員時代に「ついか予算」と言つそのて、いまさら何のために「おいか予算」とか片山哲を「片山おりぐち」と言うか。私は片山なんかきらいだから、言つたこともない。そういうことで精神的に私は当選した男だ。何のために東京に勉強しに来ておつたか、そういうことを知らない。和服を着て白たびをはいておるのは、私一人だ。家に帰つて白たびをはくのは総理大臣くらいだ。しかしそうじやない。私はこの東京日日も相手にやるつもりだ。私の言うことは、あなた方が人間らしくしていただきたいことをお願いしておる。ただ自分は物品係だから――文部省というところは何をするところか。文教の任に当るその最高の官吏でいらつしやるところのあなたを、私は攻撃するのじやない、すべてがそうじやないかと思う。もう一ぺんあなたも私の今尋ね申し上げたことについて、自分が上司に対して済まぬというお考えであつたか、事実物品よりほかのことは知らないお方であるか。その御答弁のいかんによつては、私はひとつ文部省内のメゾタルテストをして、そういうことのわからない人間は、ちようど今行政整理をやろうというところだから、ぜひそういうことに私は片つぱしからつつ込んで行きたい。もう一ぺん御答弁を願います。――大臣がこわいのですか。どなたでもいいです。
  56. 宮川孝夫

    ○宮川説明員 先生のおつしやいましたことは、私も心から賛成であります。但し、これは私の個人的意見として御了解を願いたいと思います。私長く文部省に勤めておりまして物の関係を扱つておりますが、あくまでこの物の扱いは教育的な見地から扱わなければいけない、そういう気持を絶えず持つておりますので、この問題ができましても、実は三省ございますが、最もこの問題の解決にほんとうの努力をしたのは、またしつつあるあるのは文部省である、私はそういう確信を持つております。
  57. 高橋權六

    ○高橋(權)委員 あなたを私は決して攻撃する意味ではありません。あまりあなたが穏健であられるから、いかに上司に局課長、大臣ありといえども、私は大いに、今後あなたからでもいいから、ひとつ文部省内のそういうことについての改革をしていただいて、どうかうそ字で陳情書を出すような教育家ができないように教えていただくことをお願いして私の質問を打切ります。
  58. 大上司

    ○大上委員 本日の委員会は野党諸君が一人も出ていない、きわめて不勉強であると思いますが、どうもやおちよう質問になりかねないと思いますけれども、二、三お尋ねいたします。  まず先回の委員会におきまして要求しておきました資料が出て参りましたが、本資料を見てきわめて不満であるという意思表示をしておきます。  そこでまず、ただいま議題となつておりますところの鉱工品貿易公団の問題ですが、この資料によりますと「一般状況」、その次に(一)と書きまして「引継状況」とあります。そこでこの資料に基いてお尋ねしたいと思うのですが、その三行目に「同公団末期における物資の大量処分実施により、帳簿整理が追付かず」ということが出ておる。そこで公団の運営等は、いわゆるこの解散命令が出ると同時に、経理はどうなつてもいい、国損はどうなつてもいいのだ、とにかく帳簿が全然整理が追いつかぬ――こんなばかな書きようはない。しかも赤字が出たら国民の血税で補うて行かなければならない。このようなことが当局から出た資料に堂々と出ておるということに、われわれは唖然とせざるを得ないのです。そこでどのような方法でこの大量処分をしなければならなかつたか、この一番大きな理由を簡単に聞きます。  なおつけ加えて申し上げますが相当質問がたくさんありまので、きわめて簡単に答弁を願います。
  59. 石井由太郎

    石井説明員 原材料貿易公団は、御承知のごとく輸出原材料品、あるいは梱包資材でありますとか、あるいは加工原料というものを扱つてつたのでございますが、公団の廃止にもかかわらず、その業務を一日も停止することなく、鉱工品貿易公団に引継ぐという方針をもつて処理いたしましたゆえに、あるいは業務をストップして、たなおろしをする等のことがなかつた、このような意味でございます。  なお大量のものが不法処分でもされたかという御懸念は、ごもつともでございますけれども、これにつきましては、処分の経過は、すべて会計検査院御当局から精密なる検査を受けまして、あるいは価格、相手方等の適否を御審査願つておる次第でございます。
  60. 大上司

    ○大上委員 そこで、昭和二十四年三月三十一日をもつて原貿は解散したところが、同年の七月末に来てやつとこさ引継ぎ目録を受取ることができた――、こんな緩慢な仕事があつてよかろうか。どこまでも公団それ自体の目的から見まして、赤字は補填しないとは言わないのだけれども、あまりにも問題がわれわれとして了解に苦しむ。このような引継ぎの場合、なぜ目録がふえて行くのか、これをお尋ねいたします。
  61. 石井由太郎

    石井説明員 当時、原材料貿易公団は、約千名近い人員を擁しておつたのでございますが、それを四月以降結局六十人の人員をもつて整理するということに予算上の措置が行われたわけでございまして、この人員をもつていたしましては、三月三十一日ぎりぎりまで整理いたしましたものを、あるいは簿票の振りかえ、あるいは金の徴収その他の整理をいたしまして、在庫を出しますには、このくらいの日数がいつたものと考えております。
  62. 大上司

    ○大上委員 ただいまの説明で、千名のところが六十名になつたというのですが、しかも石井さんの言葉の中に、予算上とあつたのですが、大蔵省の方は来ておりませんか。――それでは次にお尋ねしたいと思います。同問題の終りから五行目「この不確定な引継目録に基き当公団において在庫確認を行い」――そこでこのような不確定な在庫目録を、なぜお引継ぎになつたか。引継ぎをしなければならぬ命令があつたのか。命令があるなら、法律の名前を伺いたい。なぜ引継ぎを拒絶しないか。そこで受けたるところの階級は、いろいろな課長、部長がおると思いまするが、処置としましては上級官庁、いわゆる上級官に対して稟議をしたか、あるいはこれを受けていいという決裁をもらつたか、もらわないか、この二つをお尋ねします。
  63. 鈴木順之助

    ○鈴木説明員 御説明申し上げます。原材料貿易公団の解散は、ただいま石井経理部長から御説明がございましたように、スキヤツプの命令によりましてメモランダムが出まして――、多分三月二十九日のメモランダムだと思うのでありますが、それによりまして、在庫物資は全部鉱工品貿易公団に引継げという命令がありまして、私どもの方はさつそくその手配をいたしました。ところがただいまお話がございましたように、予算措置等において清算公団の方の人員が少かつたために引継目録が遅れましたが、私どもの方は、さつそくそれによつて在庫調査を実施いたしまして、その当時の状況は逐一検査院並びに主務官庁の方に御報告を申し上げている状態であります。
  64. 大上司

    ○大上委員 ただいまの説明者からも、いわゆる予算上の問題ということが出て来たのですが、そこで先般大蔵大臣に当委員会に出ていただきまして質問したのはこの点なんです。さすれば、ただいま答えていただいた方にさらに再質問したいと思いますが、それではいわゆる予算の交渉経過を聞かせてもらいたい。その予算の交渉は、あなたが公団としてお当りにならなかつたら、いわゆる当局者の石井さんがお当りになつたのだろうと思いますが、その交渉経過を承りましよう。
  65. 石井由太郎

    石井説明員 原材料貿易公団を廃止いたしまして、爾後の整理を三箇月間に六十人の人数をもつてやりますということは、当時の状態といたしまして、公団の業務ということに対する評価が、非常に甘かつたというように考えられるのでございます。当時、ちようどドツジ公使の第一回の御来朝の時分でございまして、きわめて厳格に、このような公団はただちに廃止するということで、三月の二十九日にメモが出まして、三十一日早々の間に解散した。そうして六月の三十日にすべての清算を結了すると、このような決定が下されたのでございまして、現在から考えますれば、予算上見ます所要人員、あるいは清算期間というようなものに対する考え方が少し甘かつた。このように考える次第でございまして、予算の折衝過程で、六十人では足りぬとして、あるいは三百人程度の人聞を要求したことは、事実あつたのでございますけれども、結果といたしましては、ただいま申し上げましたような人数と日限を切られて、整理をいたす状況に追い込まれた次第でございます。
  66. 大上司

    ○大上委員 そこで委員長にお願いしたいのですが、どうも石井さんでは、現在の役職名から見て十分なるお答えを得られませんので、次の委員会に通産大臣の喚問を要求します。  その次の質問をいたします。今は概論的なことを聞いたのですが、時間がないらしいので、今度は結論に入つて参ります。その資料の最後のページの結論といたしてまし、いろいろな批難事項が出ておりまするが「本件の如き事態の発生した原因は次の点にあると認められる」。そこでいわゆる原貿が「収支面より自家保管制度によつたこと」ということを認めておられる。これは予算がないので、いわゆる生産者に保管をさせておつたのか、どういう理由のもとにこの制度をおとりになつたのか。  その次に、この制度をおきめになつた――おそらくこれは法律事項じやございません、行政事務的なものと私は認めます。そこでこれをおきめになつた制度者と言うか、決裁を最終的にした方のお名前を承りたい。  次は、第二項に入りまして「経済界の変動により、保管者の経営状態並に資力の関係から自家保管制度を悪用したこと」――。そこで、この自家保管制度を立案した、あるいはこれをきめた当時は、ちようどその時代ですが、もう立案当時に、自家保管制度を悪用するというようなことが、大体察知できておつたのじやないか。あまりにも行きつきばつたり的な行政的なやり方じやないか。だからその点の考え方を伺いたい。  それから「原貿から当公団に対する引継書の提出が遅れたため管理上空白を生じたこと。」――これはさいぜんも聞きましたが、どうもこういうふうに空白ができるというのは――なるほどいろいろの命令が発せられたことは了承しますが、いわゆる善良なる国民の官吏とし、また官吏に準すべき公務員となるような場合に、こういうふうなあと国損ができるということがわかり切つておりながら、なぜこの管理をお引受けになつたか、なぜこれを反駁なされなかつたか、こういうふうな点を聞きたいと思います。それだけを聞いた上で再質問したいと思います。
  67. 石井由太郎

    石井説明員 自家保管制度というものをどうしてとつたのか、このようなことをいたせば相手方がはなはだ不都合なことを起すだろうことは、予想されたのじやなかろうかというお話でございますが、当時原材料貿易公団の扱いました品物は、木材、鋼材、銑鉄、非鉄金属類、染料といつたような、染材を別にいたしますれば、大体がいわゆる轄大品、動かしにくい品物、値段り割合にほかの運搬等の費用のよけいかかるものが多かつたのでございます。そのような点からいたしまして、鉄につきましては、たとえば指定鉄鋼問屋とか、木材につきましても当時は国内に配給統制制度がしかれておりまして、それらの業者は信用してよろしいというような経済状況にありました関係上、これらの業者の倉庫に保管をいたさせたということでございまして、一面は経費の節減の見地から、他側は当時の経済情勢、すなわち統制経済が行われまして、木材の指定問屋なり鉄鋼、非鉄金属の問屋なりというもりが、経済配給段階で自立し行けるようになつておりますれば、信用するに足るだけの状況があつたということが原則であります。  第二の「経済界の動向により」という点は、これもそのようであつたのでございますが、昭和二十四年の四月以降、いわゆるドツジ・ラインによりまして経済界がずつとかわつて参りました当時に、鉄についても、木材その他ものにつきましても、次々と統制が撤廃されまして、従来指定問屋なり、あるいは物調法その他によります何とか配給機関という地位にありました会社が、続々と転落して参るというような経済界の実態があつたわけでございます。このようなために、相手方業者といたしましても、好んでこれらのものを横領しようという気があつたのではないと思いますけれども、おそらくはこのようなことに相なつたのであると考えております。  それから第三番目の「引継書の提出が遅れた」と申します点は、これはもつばら事務的な手続がはかどらなかつたということにございますけれども、この背景にありますものは、将来就職口を心配せなければならぬために、千人余りの者が六十人に落ち、その六十人だけが、しかも三箇月後には馘首される、あるいは失職するということを前提といたしまして、とにもかくにも七月ごろまでに提出することは、相当の努力であると、私は当時の事務量から考えまして考えております。なお公団の清算廃止等の場合に、整理機関を非常に甘く見るということは、いずれにしましても、国損を多からしめて損であるというところからいたしまして、御承知のごとく鉱工品貿易公団の場合は、今となりますれば、一昨年の一月に解散いたしたのでございますけれども、これをこの三月末日までの、割合長い期間にわたつて正確なる清算をいたすように、政府といたしましては方針をかえているような事情でございます。
  68. 大上司

    ○大上委員 ただいまのお答え、わかつたようなわからぬような、さらに私勉強したいと思います。という理由は、先般資料を要求して、ただいま頂戴し、田中委員の質問中にちよつと読んだだけでございますので、もうしばらく勉強して再質問したいと思います。従つて前の資料については質問留保。  次にいろいろありますが、検査番号七三八、金木商店です。私先般も申し上げたのですけれども、国会議員の議席を得て、国民の代表として、本委員会にはずつと足かけ六年いる一番古だぬきです。年度々々において会計検査院報告書を見せてもらい、なおかつ勉強しておりますが、その中にこの検査番号七三八のような、しかもこのあとの方ですよ、「公団職員によりほしいままに処分され」というような表現の方法を、私あまり見たことはございません。そこでいかに本公団が乱脈しておつたか、その現われとして、早船事件じやないが、ちよつとつまみ食いといつて、三億五千万円に上るところの不正行為が出て参つたのです。そこであまたある公団の中に、当然本件についたは、いろいろな方法もあるだろうし、なおかつ会計検査院として、当時調査なさつた大澤局長から、いろいろの話も出ておりましたが、そこでなぜこのような方法になつたのか。いまさらせんさくしても、せんかたないと思いまするが、そうじやない。いやしくもこれは国家機関でございます。このような公団職員にほしいままにさせるということは、業者と役人が結託したら、何をさらすやらわからぬ、これははつきりしておるのです。なぜこのような機構をやらせたか。そこで最終的にお尋ねしたいのは、通産省の監督者は一体何をしておつたのか。悪い言葉で言いますと、これは禄盗人ではないか。むろんこの現われとして前の通商振興局長の岡部さんが首を切られたことは、よくわれわれは知つておるが、どのような監督をなさつてつたか、これは局長が一々出張つてつて監督できないことはわかつているが、末端においてどういう監督をなさつてつたか、その点をまずお伺いします。
  69. 石井由太郎

    石井説明員 鉱工品貿易公団内容はきわめて乱脈であつた、そのために非常に不都合を生じたという点の御指摘でございまして、これは事実政府といたしましても、公団経理内容についての監督に不十分なところがあつたということは、率直に認めざるを得ないところでございまして、制度的にもあるいは機構的にも、これに対して十分な手が打たれていなかつたという点を、深く反省させられる次第であります。しかし、この点については、先ほど大澤局長からもお話がありました通り、公団経理というものを、いかようにしてやつて行くかというような方針、あるいは制度的なものというものが確立していなかつたのであります。つまり経済安定本部総務長官が、公団というものについては最終的な監督権があり、通商産業大臣ないしは当時の商工大臣は、いわば業務上の、仕事の上の監督権があるといつたようなのが、大体の当時の観念でございまして、これに対して強い監査権を行使いたしまして、監査機構といつたようなものを内部機構としてつくるかどうかというような点が、一応公団設立の過程において論議はされたのでありますけれども、これらがそれぞれの方面からの強い反対――それぞれの方面と申しますのは、担当いたして悪いことをいたそうとした部面じやございません、関係方面等から、そのようなものは屋上屋を架するものであるというような御意見がございまして、遂に、公団内部におきましても、監査課をつくるとか、監事としての形式的な組織上の役員がおりましても、そのような十分な機構等がつくられずして、例の早船事件に至つたのでございます。役所といたしましても、なるほど貿易特別会計は、公団に対しましてあるいは金を貸す、あるいは物を管理させておるという関係にあつたのでございますけれども、ただこの関係が、公団貿易特別会計との間の会計上の関係でございまして、業務上のそれぞれの業務担当局が監督をいたすということになつておりまして、組織的にははなはだ不十分であつたという状況でございました。これはもちろん制度として非難すべきことでございますので、早船事件発生にかんがみまして、通産省は、爾後私の担当いたしております振興局経理部に監査の一課を設けまして、それぞれの監査を厳重にいたし、また会計検査院等におかれましても、先ほどもお話のございました通り、この種事件発生によりまして、いわばほぞをかみまして、ただちにそれぞれの部面にわたつて適切な手を打つて、爾後の不祥事の発生を防ぐに努めた、このような関係と相なつておるわけでございまして、制度的にも不十分な点のありましたことと、また公団職員におきましても、これらの二、三の者は、確かにあるいはルーズな態度をもつて職務に当つたのでございますが、爾余の職員は、大部分というものはそれぞれ精励いたしまして、現在に至るもなお周密なる清算あるいは決算をいたそうと努力しているような状況でございまして、早船等の例は、非常な異例な例外であると自分は考えております。
  70. 大上司

    ○大上委員 そこで今度は各検査番号の議題になつておるものだけをお尋ねいたしますが、七三八にいたしましても、最終結論においては国損が出ておるにもかかわらず、現在全然補填されていない。その次の七三九号、これは木材ですが、これも全然補填されていない。その次の七四〇号も、これはみつまたですが、六百三十万八千円がほしいままに使用されて、その損害がまだ二十五年十月現在補填されていない。その次も補填されていない。ようこれだけ補填されていないものだと思う。その後これに対して一体どのような措置をとつておられるのか。しかもあなた方が会計検査院の指摘なさつたところに対する報告書または説明書の七四〇の最後を読んでみますと、いろいろ結論が出ておりますが、「回収の見込あればこれを追求することも考慮している」――そこでどのようにこれを考慮なさつて、どのように今日結末をつけておられますか。たくさん問いたいけれども、特に掩査番号七四〇についての結末をお尋ねしたいと思います。
  71. 石井由太郎

    石井説明員 酒戸産業――これは事務所等の抵当権を設定いたしまして、これの実施をいたしますれば、相当分は回収に相なるわけです。しかしながら、政府が抵当権を執行して参りますと、酒戸産業は、今後商売をやつて行きます種がなくなつて、ただちに二百万円程度のものは返りますけれどもあとの一千万円が入らなくなるという点で、これを速急にいたすことなく、回収をはかろうといたしておる次第であります。  中部森林は、報告書に書いてございました通り、これは重役その他の詐害行為と認められるのでございますけれども、第二会社をつくりまして、政府に対する債務を除いて全部第二会社が引受け、政府の債務だけは残して自己破産をやつてしまうというような状況になつておりますので、これは重役に対しまして追究いたすのみならず、刑事的な扱いも考えておるわけでございまして、告訴をいたしております。  高陽製紙につきましては、みつまたの領得によりまして、政府損害を及ぼしているわけでございますけれども、国税庁の税金滞納というのが大きく響いておりまして、これによつて全部とられてしまつた、いわば政府からの保管品を横流しした分で税金を納めたといつたような形になつておりまして、とりようがなくなつてしまつたわけであります。もちろん重役個人の分に対しましては、若干でございますけれどもこれを追究しております。  それから金木商店は、契約に従つて払うべきもの八百万円が、今日に至るまでも回収されていないという報告でございましたが、千七百万円を回収いたしまして現在残つておりますのは、損害賠償金、違約金の千二百五十万円――これはまだこの三月末という期限でございます。それから月々払いの百万円分が八百万円たまつておるという状況でございますが、この会社も、一ぺんに取立てますれば、破産のほかはない状況でありまするので、会社の業績の将来と見合いながら、回収して参ろうと考えておる次第でございます。
  72. 大上司

    ○大上委員 次にお願いしておきます。検査番号七三八、これに対してどういうふうな処置をとられたか、年月日はいつか、だれが担任官かという、今日までの資料をちようだいしたいと思います。  そこでいろいろお尋ねしたいのですが、最後に七四二号の、田中委員がお聞きになつたのを聞きたいと思うのですが、それに入る前に、まずさいぜんの御説明によりますると、七四〇におきまして、税金を滞納したからその処分を受けた。そこで大体皆さん方が誠意をもつてお議しになるならば、いかなる債務でも――その当時国税は優先するということは、徴収法にはつきり出ておる。こういうふうな経理のわからぬお方が、まさか経理部長じやなかろうと思うのです。そこで当然公団がとらなければならないものを、税金にとられてしまつているのですが、これをほんとうに整理する意思があるのかないのか、これをひとつお尋ねしておきます。  その次に七四二号です。これは高橋委員からいろいろお話が出ておりましたが、私は会計検査院に対する皆さん方の説明書に対して、これはまた唖然とするわけです。この第四行目に「配給統制の撤廃と市価暴落により実需者の配給辞退続出し」ということになつております。これは最初に契約書をお組みになつたのと違うのですか。もしも契約書が組まれておるならば、こんなばかな話はない。その次に持つて参りまして「各関係省及び取扱業者の申出もありこれが内容調査をなし配給辞退分は公団において現物の引取りをなすと共に」とあります。この項から見ますると、契約内容がわれわれには察知できる。そこで公団がこれを引取つたというのですが、そんなばかな話なら、だれでも商売できますわ。そこでこれを明らかにしてもらいたい。それだけで打切ります。
  73. 石井由太郎

    石井説明員 物品の保管品の横領等に対しまして、相手方に対しまして、将来十分に追求をして行くのか行かないのか、はなはだ怠慢ではないかというお話でございましたが、これは十分いたしております。鉱工品貿易公団では、有能な訟務委員会といいます、その方の専門家だけを集めた委員会をつくつておりまして、十分な弁護士等もついておりまして、訴訟により、あるいはその他の手続によりまして、一意回収をはかつておるのでございます。もし御疑念でございますれば、訴訟その他の進行状況、訟務取扱いの件数といつたようなものをも、御報告申し上げたいと考えております。  それから第二点の、自転車は契約がなかつたかという御質問でございまするが、これは文部省、厚生省、両方とも十分りつぱな契約ができて、大きな判こを押したものに相なつておるのでございますが、その公団から買いました先の文部省なり厚生省なり、あるいはそれの下請をやりましたものと、文部省、厚生省等で当初予定しました相手方との間に配給辞退がありまして、そうして代金がとれなくなつたものがあるのであります。その原因は配給統制の撤廃等にあるわけでございまして、経済情勢の変化も、この種契約につきましては一応入れなければならぬのではないかと考えまして、返品を認めることといたしたいということを申しておるわけでございます。契約を通じて夢渡しその他をいたしておることは、もとよりであります。
  74. 大上司

    ○大上委員 質問をもうやめようと思いましたけれども、そうなると、もう一ぺん突つ込んで聞きたいと思います。契約書に大きな判こが押してあるという言葉がありましたが、判こをついてあれば、公団の方では何もそうする必要はない。契約ができておつて相手方が配給辞退したということになれば、一般商行為それ自体と同じような慣例によりまして、なぜこれを強硬に各省へ申し込んで行かれないか。何も公団がこれを引取る必要はない。特に引受けるという言葉が出ているのだから、あながち品物がなかつたわけじや在。われわれは了解に苦しむのですが、この項は私も勉強しますから、もう少し質問を留保しておきたいと思います。
  75. 田中角榮

    田中(角)委員 次に船舶公団のことがありますので、簡単に御質問というよりも意見を申し上げておきます。  第一点は、この種のものが非常にたくさんあるのでありますが、やればやりどくというふうに実際はなります。現在の裁判状況から行つたら、三年も五年もかかるのでありまして、早船某などは早く服罪をいたしましたが、これが、二審、あるいは上告審ということになると、世人の感覚も消えてしまつたころに判決を受ける、こういうふうになるわけでございますので、私は一つの方法として、やはりこういうものは何とかしてとらなければいかぬ。昔でしたら、こういう悪いことをすると、一家春属からみなとつたわけであります。しかし、そういうことは、新憲法に反する、私も反対でありますが、悪いことをした者からは、とつた方がいい。これは相当苛酷なくらいな処置をしないと、なかなかとれません。今の法律上上、いろいろ問題がありますが、大体悪いことをやつた者はやりどくだということになるようでありますから、こういうものは絶えず続くわけであります。その意味で、私は、会計検査院は、違法性を指摘するだけでなく、実効を上げるような方法をひとつ研究願いたい。それは越権行為じやない、ほめられるような会計検査院になつてもらいたい。こういうものに対して新刑事訴訟法を改正するとか、具体的なものを毎日お手がけになつておるのだから、ひとつ検察庁とも十分連絡されたらどうですかということを、口をすつぱくして申し上げておるわけであります。これは普通の商行為においてもそうですが、どうも相手が国ですから、国のものはなるべくひつぱれば人間がかわるから、これはひつぱつた方が得なんです。これは一般個人間の裁判とは違いまして――特に大蔵省では、国有財産の払下げや、物納財産払下げ等を早くやるために、下請にまかせておるのであります。この委員会においては、まかせておらないようなことを言つておりましたが、実際はまかせております。早くこの程度以上に売れるなら売つてもよろしい、こういう便法もあるのですが、こういうものも一つの新しい方法で、あなた方がとりに行つて、鋭意回収中であるというよりも、とることに非常にうまい人がおります。私もとられたことがありますが、非常にうまい人がおります。機構をつくればうまく行くわけです。こういうものに対して、私は新憲法のもとにおいていいか悪いかわかりませんが、何か国損を少くし、早く事件を解決して、早くこういうものを結論づける、こういう一つの処置が講ぜられないか。これは私は大蔵大臣に対する質問が適当だと思いますから、また別の機会に大蔵大臣においで願つて意見を申し上げるつもりでありますが、いわゆる清算の事務に任じておられる直接の責任者とされまして、相当迷惑をかけたのだし、私がかけたのではなく人がかけたのだからといつても、ちようど清算の事務に当られる悪い時期にぶつかつたのですから、これはひとつ大いに国民のためにやつていただかなくてはならない。そういう意味では、勇敢にそういう新しい方法を考えていただきたい。  もう一つは、七四三号でありますが、これは早船君に一ぱい食つたというのが、一番至当だと思います。裁判などは実際早船某が領得をした不正金額の全部を追究してはおりませんでしよう。いろいろ新聞、ラジオ等によりますと、新築の家をつくつたなどといつておりますが、もう大体こんなものは見込みをつけて、金額は三億五千万円だ、おれの月給がいくら値上りしたところで一生や二生では働けないものだ。せいぜいこれは最高刑は十五年だ、十五年井戸の中へ入つたと思えば、これはやりどくである――こういう官吏はないと思いますけれども、こういうものになられたのでは、これはいかにいい政治をやつても、もうだめです。ここが法の盲点なのです。これは検査官がおいででございますから、特に申し上げますが、こういういわゆる涜職の金額と同じ額はこれを追徴する、こういうふうな方向に持つて行くようにお考えになつたことがあるかないか。そうすれば、これを追徴するということになると、返す気があろうがなかろうが、三億何千万円が十分の一の三千万円になつても、これは一生入つておらなければいけません。だから、この判決がこの金額に対してどういうふうになつておるか。私もよく読んでおりませんので、ただ端的にお聞きをするわけであります。大体こういうものは、みな一札をとつておりますが、五年間で二千円しか入らない、みんな和解しております。事実入らないうちにみんなどこかに行つてしまう。ちようど罰金で――罰金ですと強制収容ができるのですが、裁判に負けた被告に、訴訟費用を裁判所から告知書を発行して要求しております。ところが、全然財産がない、財産はあるけれども、全部他人名義だ、こういうことになりますと、差押えする物件は何もない。そういうことになると、みな国損です。こういうものを、自分は一万円ずつで年額十二万円だから、百二十万円やると十年かかる。こういうふうに頭からぱつぱつとそろばんがされるようですと、こういうことも少くなると思います。私自身立法の責任者で、これを研究しなければならない立場にあるので、まるで逆のようなことをお聞きするようで申訳ありませんが、こういう問題はしよつちゆうお手がけになつておれば、やはり会計検査院がこの種事件を絶滅するために、何とかうまい方法をお考えになつておられると思うがを読んでおりませんが、どういうふうにこれが回収されるか、これが百万円や二百万円だつたらいいのでありますが鋭意回収中でありますとか言つても、三億五千万円じや、どうしようもない。国民の方があきらめてしまう現状でありますから、どういうふうに御回収になる見込みであるか。これが回収見込みないということになりますと、国民は納得いたしません。その意味において、この種のものに対して総括的に御意見を伺いたい。
  76. 下岡忠一

    ○下岡会計検査院検査官 お答え申し上げます。予算執行職員等の責任に関する法律、あれは会計検査院の権限も多少加わつたものとして、私非常に喜んでおるのでありますが、その以前においては、この種の事件は、私どもの権限で十分に追究できないことを、非常に遺憾に思つております。もし個人的な意見をお許し願えるならば、私実は会計検査の方のしろうとで検査院に入つて来たものでございますが、こういう形式的なことばかりでは、ほんとうに田中委員のおつしやるように、非常に物足らぬといつた感じを率直に受けております。予算執行職員等の責任に関する法律が出たのを、非常に喜んでおりますが、アメリカあたりの法制も――私よく存じませんが、検査院の名前で、検査院長がどんどん告発もでき、責任も相当追究できるような――現にアメリカでも、何かやはり食糧の委託の機関でしたか、ちようどこれと同じような事件で、政府が買いました穀物を民間の会社に委託しておりましたが、それが知らぬ間に五百万ドルとか何百万ドルとかなくなつておるという事件がありまして、これを会計検査院が矢表に立つて追究しておりますから、どういうふうな権限をいただいたらいいか、具体的なことは差控えますけれども、そういうようなふうに法制化していただくのも、一つの方法ではないかと、私個人としては考えております。
  77. 齋藤大助

    齋藤説明員 ただいま田中委員から、現在清算に当つております者に対しまして、非常に御激励なり御理解のある言葉をいただきましたことは、われわれの方としては、大いに感激にたえない次第でございます。田中さんがおつしやいましたような線に沿いまして、私たちは過去に起りましたことは過去に起りましたことといたしまして、今後の実損をできるだけ回収いたしまして、実損を少なからしめるようにして行きたいと今努力中でございます。それにおきまして、早船その他の一連の連中におきましては、その貸先につきまして、それぞれ更正契約その他によりまして、毎月金額をきめまして取立てるとともに、さらに二月の十五日、早船その他につきまして認諾判決を得まして、各人別の割当額をきめまして、それによつて余裕が出る場合にはこれを追究して行くというようなことになつた次第でございまして、われわれとしても手をゆるめたわけではございません。刑事事件と並行しまして、各人の民事的な責任をあくまで追究したいと考えております。
  78. 田中角榮

    田中(角)委員 ちよつとくどいようでありますが、これは国民的に非常に大きな問題でありますから、私は特にはつきりしておきたいと思つて質問するのですから、ちよつと時間をお許し願いたい。  早船の問題では、早船の十三年というのは、ある意味では、戦後非常に強い判決だと思つております。と同時に、ある意味では三億五千万円のうち一億五千万円くらいまだ隠しているだろう、十三年たつて出て来て豪奢な生活をやるだろう――これは、私のただここにおける思いつきだけではなく、大衆が皆こういう軽い感覚でものを判断するのであります。私たちが選挙区に行つても、早船などを、ただぶち込むだけで、一体どうしてこういう事件が解決できると思うか、それは吉田内閣の責任だ、お前の責任なんだ、こういうふうに言うのです。私たちは、弁解してもしようがありませんから、以後気をつけます。こういうふうに申し上げておるのですが、三億五千万円の追徴、これを取上げるということは、実際上の問題においては不可能であります。ほとんど不可能だと思いますが――これは検察庁の判決を承つてつたのでありますが、明確なお答えはなかつたようでありまして、いつ早船が何々会社に二千万円ずつ貸した、こういうようなものは完全に承知をした実際の詐欺です。心証的に考えれば、確実な詐欺です。旧刑事訴訟法の感覚からいえば、もちろん起訴します。ところが新刑事訴訟法は、証拠がなければだめだ、早船はうまくのらりくらりとやるので、なかなかうまくいかぬようであります。そういう意味で、新刑事訴訟法も一部改正しなければならぬ、こういう声が――時代逆行的な声が出て参つておるのでありますが、こういうふうなものに刑事的な責任を追究する、これは検察庁が独自の立場でやるのですが、会計検査院は、この人たちに対して全部刑事責任を追究せられましたか。これは普通の物品でいうと完全なる故買です。悪いことをしたものを買つたんだから取上げる、取上げるものが全然なければ取上げられないから、協定を行うということになるのですが、これも刑事的な責任を追究してぶち込めるのではありませんか。私はこの事件を追究しておるのではありません。若い連中は、どうせまたいつ戰争が始まるかもしれぬ、爆撃にでも会つてはかなわぬ、今のうちだから、うまくやればやりどくだというので、課長、係長、局長のいないときばかりねらつてつて、盗印できる時間を始終ねらつておられるのでは、日本の行政機構というものは処置なしだと思うのです。ところがこういう問題がひんぴんとして起つております。これは官庁だけではなく、戰後の各事業官庁においても、こういう問題がたくさん起きておる。全然取締役も何も知らないものを、社印をぽんぽんついて融通手形を発行するとか、こういうものが全部裁判事件になつておるのです。私は将来の立場から考えて申し上げておるのですが、こういう問題は最後まで追究する、悪いことをしたらその金額を働いて返す――昔でしたら、人質にとつて金が返るまで働いた。その当時の日本人がなつかしい。今のようなこんな感覚を続けておつて、どうして祖国の再建ができるのですか。働かざる者ばかり、まつたく知能犯だけです。あぶら汗をたらすことがきらいな連中が、ああいう悪いことをする。私は一時人事院とけんかしたことがあります。片寄つた日本人ばかり取上げるような人事院の試験はやめろ、こういうことを言つたんですが、私の言い方が非常に辛辣というよりも、どうも今の人事院を田中はよく理解しない。こういうふうな見解がありましたが、人事院のあの方法をとつてつたならば、課長でも、局長でも、みんなこういう片寄つた法律解釈をするようになります。私はそういう意味において、ひとつ徹底的に日本人的な感覚で、追究するものは追究する。これはまさに一罰百戒であります。一罰百戒の意味においてこの事件を解決する。こういうものは絶対にやれない。ひとつこういうふうにやつていただきたいと思うのでありまして、今あなた方がすぐ答弁ができなかつたら、これは決算委員会で、与党の議員が顔を赤くして言つているのだから、ひとつ専門的に研究しよう。この委員会だけ終ればいいのであるということではなく、またすぐに二十五年度の批難事項が出るそうでありますから、私は特に申し上げておきますが、国民にいろいろな迷惑はかけたけれども、万遺憾なきを期しておる。しかも前車のくつがえつたのを見て後車の戒めとしておるのです。こういうふうに言い得るだけやつていただきたい。それは私たちからのお願いでもあります。
  79. 中垣國男

    中垣委員長 鉱工品貿易公団の審査につきましては、大上委員より通産大臣の出席が要求され、なお田中委員より報告書七四二号について、厚生省、通産省、文部省の各関係者の出席が要求されていますから、次会に延期することにいたします。     ―――――――――――――
  80. 中垣國男

    中垣委員長 次に、報告書二百二十八ページ、船舶公団不正行為報告番号七四五、職員不正行為に因り公団損害を与えたもの――本件説明公団関係者より聴取いたします。元船舶公団清算人辻畑説明員。
  81. 辻畑泰輔

    ○辻畑説明員 船舶公団の七四五号の、職員不正行為に因り公団損害を与えたものについて、御説明申し上げます。  本件は、公団職員でありました大橋某がしでかしました事件でありまして、本人は昭和二十五年五月二十九日に起訴されて、現在に及んでおるのであります。これは船舶公団が丸の内商事に委託いたしまして、産業設備営団時代からの材料を持つてつた。その検収に際して、四回にわたりまして不正に八十万四千円を使い込んだのでありますが、本件につきましては、私、清算人といたしましていろいろ講じまして、また検査院の御意向等もございまして、丸の内商事に対します公団の手数料支払いがありましたので、この同額について手数料を支払いまして、それ以上九万余円を向うに払うということにいたしましたところが、丸の内商事ではそれに不服で――この事件とは別個であるということでありましたが、公団といたしましては、本件は丸の内商事に仕事を取扱わせておつたという事実もあるのでありまして、九万円は供託いたしまして、八十万を相殺ということで向うに通知をやりまして、その後公団といたしましては、大橋五郎の不正事件関係いたしまして、大橋五郎外関係者の丸の内商事の課長であります林某というものを含めまして、損害賠償の訴訟を提起いたしたのでありますが、これと数日置きまして、丸の内商事の方から船舶公団に対しまして、反対の損害賠償の請求が提起せられておるのでありまして、裁判所におきましては、この事案の審議をするに当りましては、公団提訴の分は、丸の内商事に対するものと大橋五郎自身に対する分とが一括されておるのでありまして、丸の内商事対公団両方だけの審議を先にして、その余を全部あげて大橋五郎に持つて行くということが当然であるというふうなことで、丸の内商事から提訴されたものについて審議がありまして、昭和二十六年十二月十二日に、公団が六十四万四千九百五十円――公団側にも落度があるから、公団側が全体の四分の三を丸の内に払い、丸の内の方は全体の四分の一程度を負担すべきものであるという判決があつたのでありますが、その判決自体につきまして、弁護士の方から申し立てておる全面的理由について判決を下していないという事実もありましたし、われわれといたしまして全体の三分の一、いわゆる四対三の比率でこの過失を見るということはいかがかと思われましたので、昭和二十六年十二月二十四日に控訴いたしまして、目下審理を続行中であります。これが済みまして丸の内との関係を済まし、それからその以後におきまして、大橋について追究いたしたいと考えておる次第でございます。
  82. 中垣國男

    中垣委員長 会計検査院より何かございませんか。
  83. 下岡忠一

    ○下岡会計検査院検査官 特にございません。
  84. 中垣國男

    中垣委員長 それでは船舶公団はこの程度といたします。     ―――――――――――――
  85. 中垣國男

    中垣委員長 次に、報告書二百二十九ページ、船舶運営会審議に移ります。未収金、報告番号七四六、運送契約及び運賃回収に当り処置当を得ないもの並びに予算経理報告番号七四七、よう船料の支払に当り処置当を得ないもの、財務諸表、報告番号七四八、計理処置当を得ないもの及び不正行為報告番号七四九、職員不正行為に因り船舶運営会損害を与えたもの、右四件を一括して船舶運営会関係者から説明を聴取いたします。元船舶運営会監事南説明員。
  86. 南通次

    ○南説明員 御説明を申し上げます。七四七号、用船料の支払いにあたり、事務処理上の遺漏によりまして、過払い未回収額を生じたことにつきましては、説明書百九十ページの通りであります。本件昭和二十四年度末決算時における八百総トン以下の小型船主フアーストサルベージ外十数社に対する用船料過払い分として回収すべき金額でありますが、これは昭和二十四年九月一日八百総トン以下の小型船舶の民営還元に際して、各船舶運営会支部出張所からの報告が著しく遅延したために、本部において正確にオフ・ハイヤーの状況を把握できませんでしたので、かかる結果となつて、まことに遺憾でございます。その後極力回収に努めました結果、昭和二十七年一月末までに四百二十一万五千六百三十円九十八銭を回収いたしまして、残額百四十七万八千三百七十六円二銭となりました。そのうち四十一万九千八十八円は調停示談により打切りまして、現在残五十万円とフアーストサルベージ会社の五十五万九千二百八十八円二銭とであります。なお右残額中近藤平四郎に対する五十万円は来る四月末に完済させ、フアーストサルベージ会社に対しては、神戸市にございます木造二階建事務所一棟を強制執行いたしまして、その競売は三月十一日の予定になつております。  次に七四八号でございますが、本件につきましては、検査院の検査報告の通りでございまして、まことに申訳ないことと存じております。今後かかることのないように、十分に注意をいたさせます。なお昭和二十六年六月三十日までに回収すべきものは全額回収し、訂正すべきは訂正いたしましたから御了承願います。  次に七四九号でございますが、本件会計検査院検査報告の通りで、まことに遺憾であります。将来この種事故の絶滅を期するよう厳重注意いたしました。宮本は昭和二十五年六月八日休職、安達は同年六日二十日解職し、また両名に対し昭和二十六年四月二日横浜地方裁判所において刑法第二百五十三條の業務上横領のかどにより、懲役二年に処せられました。なお横領消費した百七十八万三千百八十八円十五銭に対しては、右両名が無資力のため、ただちに賠償はさせ得ない状態でありますので、将来のためその確保の手続はとつてありますから御了承願います。
  87. 中垣國男

    中垣委員長 ただいまの説明に対しまして、直接監督責任に当られた運輸当局の説明を求めます。
  88. 辻章男

    ○辻(章)政府委員 御説明申し上げます。ただいまの船舶運営会の御説明の中で七四六号に対します説明がございませんでしたので、先にこれについて私から御説明申し上げたいと思います。  七四六号の運送契約及び運賃回収に当り処置当を得ないものとして指摘されました点でございますが、元来船舶運営会の運送契約におきましては、積切りの際に運賃をとるという海運界の商習慣を原則としておつたのでございますが、船舶運営会の活動しておりました当時の海上輸送の状況は、御承知のごとく、いわゆる配給統制の時代でございまして、大体配給統制に即応しまして、政府監督のもとに計画配船をしておりました関係上、積切りと同時に運賃をとるという趣旨を徹底いたしますと、市場おきまして非常に物質の配給に困乱が起ることも予想せられましたので、ある程度そういう実情を加味いたしまして、運賃はあとでとるというふうな措置をとつた次第でございます。もつとも配給物資の配給統制を乱さない限度におきまして、積荷引受けの拒否でありますとか、あるいは配船の停止等の措置は講じて参つたのでありますが、遺憾ながら十分効果がありませんで、ここに御指摘のような結果に相なつた次第でございます。特に北海道の移出木材林産組合は支払いが不良でありまして、船舶運営会におきましても、種々その手段を講じまして、これが回収に努力したのでございますが、かかる結果に相なつておるのであります。本年の一月三十一日現在におきまして残額一千二百七万七千円が未回収になつております。この北海道移出木材林産組合と申しますのは、林業会法によつて設立せられました自治的統制団体でございますが、これは林業会法の廃止とともに廃止になりまして、現在は個々の組合に対しまして、運営会としては、債権の追求をいたしておる次第でございますが、組合員は大体無資力者が多うございまして、四百万円程度回収の目途がついておりますが、それ以上は困難ではないかというふうに考えております。  それから七四七号の件でございますが、これは運営会の監事から御説明がございましたように、事務処理の粗漏からこういう結果を来しまして、まことに遺憾でございますが、今後も極力回収に努力いたしたいと存じます。  七四八号の件でございますが、これも担当者の事務粗漏によりまして、こういう結果を来したわけでございますが、これは現在においては、すでに回収すべきものは全部回収済みに相なつております。  なお七四九号の件でございますが、これも監督不行届きによりましてかかる結果に相なつたわけでございまして、なおこの犯罪を犯しました当人に対しまして、何とか回収したいということで、八方手を盡し、専門家の弁護士等にも差向いていただきまして、いろいろ調査をいたしたのでございますが、遺憾ながら本人に支払いの能力がないということで、なお今のところ回収の目途が立ちませんことは、はなはだ遺憾に存じております。
  89. 大澤實

    大澤会計検査院説明員 七四六と七四七について、多少補足させていただきたいと存じます。七四六の案件は、積切り同時払いという、いわゆる運賃支払いの原則を、米国極東海軍日本商船管理局が配給指令をするために、いわゆる荷主の自由でなくて、船の方がいわば割当てられて来るから、それでどうも横切り同時払いという方法がとれない、こういう御説明なのでありまして、多少事情としては了とするところがあると思われるのですが、この配船指令も、決してきよう配船になるものが、きようわかるというものではなくて、少くとも十日前とか一週間前には配船が予定され、それぞれ荷主はその積荷準備をするのであります。商習慣に従いまして、当然この積荷に対する運賃というものは、積切り同時払いで準備しておくべきじやないか。また船舶運営会としても、そうしたものは契約に従つてとり得るように努力されるべきではなかろうか。また一回そうした、ことになかなか払わないというのがあれば、相当強硬な手段を講ずべきではなかろうか。それが、事情はあつたといたしましても、多少その間の措置が手ぬるかつたのではなかろうかと考えられますので、その結果こうした多額な未収金が出たのではなかろうか、こう考えるのであります。  次の七四七の用船料の問題でありますが、これは二十四年の九月に、いよいよ八百トン以下の小型船が船主に還付される、こうしますと、今までオフ・ハイヤーで運賃、用船料の多少過払いになつてつた分を精算して返さなければならぬ、こういうことになるわけであります。そのために運営会の御当局でも、八月の下半期分は一応返すのだ、返す分があるからというので留保されておつたのでありますが、留保されておつたのを、後になつてほうつてしまつた。こうした過払いは、今日は相当回収になつておりますが、その結果、現在においてもまだ多少未回収になつておるものがある。こういうことになつたのでありまして、せつかく保留されたのでありますから、精算結了まで保留されておくべきではなかつたか。こういう趣旨で検査報告に掲げてある次第でございます。
  90. 高橋權六

    ○高橋(權)委員 ちよつと会計検査院並びに船舶運営会関係者の方から教えていただきたいと思います。第一番に契約をしておられるが、この契約はお座なり式の契約であるか、契約したならば必ずそれを履行するお考えであるか、ちよつとそれをお伺いしたいと思います。
  91. 南通次

    ○南説明員 契約は、むろんお座なりではございません、やるつもりでいたすのでございます。
  92. 高橋權六

    ○高橋(權)委員 大蔵省にも関係しておることで、私は前に保留しておきましたが、船舶の関係で、何か船を払い下げるような場合、契約をしておつてあとから追加するようなことをなさるお考えがありますか。契約を履行すると言われるならば、売り払つたものを、価格の変動があるからというようなことで、あとでまた請求なさるというようなことをなさるお考えがあるかどうか。
  93. 南通次

    ○南説明員 今のお話のような事例は、今までございませんでした。
  94. 高橋權六

    ○高橋(權)委員 あります。
  95. 南通次

    ○南説明員 ちよつと私、記憶にないのでございますが……。
  96. 高橋權六

    ○高橋(權)委員 私この前保留しておつたのですが、九州商船に払下船を契約して払い下げておいて、あとから請求しておることが、ちやんとこの大蔵省関係にも載つております。そんなばかげたことをなさるのならば、契約はお座なりだと思う。あとからとられはせぬかと思うと、あぶなくて買えない。九州商船に船を払い下げて、あとから催促しておる。そういうばかげたことをやつておる。私はこの前皆さんが出ていらつしやらないから保留しておいたのでありますが、きようは委員長さんにお願いして、関係者を呼んでおるからしつかりやれと言われて、私は言うのですが、契約がお座なりでないならば、契約した通りやつていただきたい。先ほどお伺いしておると、船舶の関係者は千五百万円とおつしやつたが、片方の運輸関係の方は千七百万円とおつしやる。私の聞きそこないかもしれませんが、このプリントによると千五百万円で、二百万円も違つておるのです。どうも私たちは安心して皆さんの説明を聞かれないのです。
  97. 辻章男

    ○辻(章)政府委員 七四六号に関しまして、お手元に差上げております政府説明書では、終りから二行目の下の方にございますが、残額が千五百五十二万五百八十八円五十五銭となつておりますが、私が先ほど申し上げましたのと、この説明書に出しましたのとには、時期のずれがございますので、私が先ほど残額一千二十七万七千九百七十五円と申し上げましたのは、本年の一月三十一日現在でございまして、一千五百万円から一千万円まで、五百万円はその期間において回収した数字でございます。
  98. 高橋權六

    ○高橋(權)委員 先ほど、そういうことはないとおつしやつたが、九州商船に対して、今、鉄導その他いろいろな交通機関に対しては補助さえ与えておる今日、一応契約して払い下げた品物を、価格の変動によつてまた請求する。そういうことをされれば、政府詐欺になりはしないかと思う。私はそういうことはひとつ打切つていただきたい。しかも船舶がなかつたならば、交通ができないのであります。多数の人間が便宜を与えられている船なんです。
  99. 中垣國男

    中垣委員長 高橋委員に申し上げますが、ただいま御質問の内容の点は、大蔵省管財局の管轄になつておりますから……。
  100. 高橋權六

    ○高橋(權)委員 だれでも呼んでやるとおつしやつたから、私は安心して保留しておつたのです。いつも私のははぐらかされてしまう。だから私は怒り出すのです。
  101. 中垣國男

    中垣委員長 次会に関係者は必ず呼びます。
  102. 高橋權六

    ○高橋(權)委員 しかしちようどここに運輸関係者もおいでになるのですから、ひとつ私はあとから追究するようなことをやめて、よかつたらうんと補助でももらつてやろう――九州の人間は、その船がなかつたら行き来できないのです。潜水艦みたいなからだを持つておりませんから、やはり船に乗つて行かなければならぬ。よかつたら運輸当局から、あれは打切つてつてもらいたい。私は会社から何も頼まれたわけでも何でもないのですが、契約を履行するというならば、打切つてはどうです。そうして金を一千万円も二千万円も、何億万円も、ばかげたことをしておるのですから、こういうところこそ熱心にやつて、積み出すときにとれば、ひつかからないのです。それをあとでとれるだろう。そのだろうが間違いです。人間というものは、当てごとと約束は向うからはずれるのです。特に私ごとき正直な人間は、こつちははずさないが、先方からはずす。私はいつも皆さんにお気に入らぬことを言うけれども、私はあなた方に言うのじやない。この衝に当つている皆さんが、そういう意思になつていただきたいということであります。運輸関係もおられるし、船舶公団関係者もいらつしやるから、それを催促するよりも、この際補助でももらつてやろうというくらいな気持になつて、そうしてこういう方面のぬかりのないように、ひとつ考えていただきたい。そういうお考えがあるかないか、もう一ぺん御答弁を願います。
  103. 辻章男

    ○辻(章)政府委員 今高橋委員から、九州商船の問題についているく御質問がございましたが、どうもその問題は、運輸省といたしましては、九州商船の航路その他を考えまして、あの船を九州に商船払い下げるにつきましては、大蔵省当局とも交渉したのでございますが、会計検査院から国会の方に出ておりますように、検査院としてああいつた措置はよろしくないという御指摘を受けておりましたので、政府といたしましては、国有財産の払下げに関しましては、大蔵省の管財局が所管されておりましてちよつと私から御意見を申し上げる立場にないので、御了承願いたいと思います。
  104. 高橋權六

    ○高橋(權)委員 私は、それは会計検査院にも非常にきびしくやつていただいてよろしいが、きびしくするところと、きびしくしないところと誤つておる。私は諧謔的に言うのだが、会計検査院の「かい」の字はおかしいの「怪」じやないか。そういうことに目を通されるときには、これは一千万円とか何千万円、片方は三百万円とか何百万円――会計検査院の方は、計数的な頭は、より以上の方々だと思う。ひとつどうでしようか、大蔵省と運輸省当局と会計検査院と――人の助かること、人間を助けることをしないしでいいことはない。人間は金を散らさないから金が入つて来ない。とることばかり考えているから、金の方があいそをつかして逃げるのであつて、これは理外の理というものですな。私はちよつと諧謔を含めて言うけれども、人間はほんとうに人情味がなければだめだ。会計検査院は、すべての民衆が助かるところの交通機関とかいうようなことを、より以上に考えてもらいたい。私はそういう意味から考えているのでありまして、会計検査院もそういうところを考えてやらなければいかぬと思う。ひとつどうですか、九州人もやはり納税はしております。また九州男子が一番命を捨てて、皆さんが今日こう安楽に過させていただけるようにしたのであります。大西郷でも、大まかになれと言つた、大まかさんの言うように国のために働いて来た人間もおる。――しかもそれは島でありまして、長崎の港から歩いて行くことができない。必ず船によつて行き来しなければならぬ。交通機関は、今日では自動車やその他――軍の自動車を盗んだやつでも平気でやつておる、そういうことになつておるのであります。会計検査院は、そういうものこそ、より以上に金をとるようにしていただきたい。これは材料が、人の名前も言わなければならぬようになるから申し上げませんが、まだ実例は全国にたくさんある。いずれまた自動車の問題については、あと委員長さんがせつかく呼んでくださるそうですから、その際にもつと申し上げますが、ひとつどうでしよう、会計検査院としての御所見は。人を助けるためならば、千を捨てて方を助けるということは考えるべきことだ。しやくし定規のようなことばかり言つてつてもいかぬ。どうぞもう一ぺん会計検査院も御考慮なさつたことを、ここでははばかるとおつしやるならしかたがないが――相当の頭でなければ、われわれの金を預けることはできない。どうぞひとつ御答弁願います。
  105. 下岡忠一

    ○下岡会計検査院検査官 お答え申し上げます。ただいまの御質問は、三二七号の処理についての御質問だと思うのでございますが、きようは手元に材料もございませんし、その後大蔵当局でどういう御処置をしているか、実は私も記憶にございませんから、なお調べます。その御意見は承つておきます。御了承願います。
  106. 高橋權六

    ○高橋(權)委員 いつもお気に入らぬことを申し上げますけれども、どうぞお願いいたします。私、地元じやない、選挙区じやないのです。私とはとんでもない遠いところではあるが、やはり決算委員としてまわつたり、いろいろまわつたりいたしまして、痛切に感じたから申し上げるのです。これは私の選挙区のことではない。日本国中、北海道から鹿児島のことを言うのが衆議院議員であり、自分の選挙区であるから言つてやる、選挙区でないから言わぬというような、けつの穴の狭い人間ではない、大所高所から言うのです。われわれは国民の代表であります。どうかしかるべく関係当局がお打合せくださいまして、ひとつ補助金を出したと思つて打切つていただくように御協議くださることをお願いして、私の今日の質問を打切ります。いずれ自動車問題なんかは、またあらためて呼んでいただくそうですから、その際にお伺いいたします。
  107. 大上司

    ○大上委員 ただいま議題になつておりますうち、特に委員長にお許しを得たいのですが、船舶公団について二、三質問を許していただきたいと思います。
  108. 中垣國男

    中垣委員長 さしつかえありません。質疑を許します。
  109. 大上司

    ○大上委員 船舶公団につきまして、まず七四五号の批難事項に関連性はあると思うのでありますが、幸い運輸当局からお見えになつておりますので、かつてわれわれの記憶に、船舶公団の総裁の谷口さんの、刑事事件と申しますか、そういうふうなことを新聞紙上で拝見したのですが、いわゆる当該審査対象になつておりますところの昭和二十四年度のこの会計検査報告に該当するかいなかの、年度区分をはつきり記憶はいたしておりませんけれども、そのいきさつをお尋ねいたします。
  110. 辻章男

    ○辻(章)政府委員 今大上委員のお尋ねの件につきましては、実は私どもよく伺つておらないのであります。
  111. 辻畑泰輔

    ○辻畑説明員 今大上委員から御質問のありました船舶公団の前の谷口総裁にかかわる事件は、この七四五号とは全然別個な事案として清算いたしております。
  112. 大上司

    ○大上委員 ただいまの御説明はわかりましたが、いわゆる不正行為という大きな項目の中に包含せられておるのではなかろうか、従つて船舶公団の運営責任者たる総裁にそのような事件があるということは、すでに清算は結了しておるけれども、われわれとしてはさらに追究する必要があると思う。そこでもう少し詳しく辻さんに申し上げてみますが、船舶公団が船舶会館を建てたとか建てないとか、それが経理上行かなかつたとか行くとか、あるいは背任的な行為があつたとかなかつたとかいうような、ごく概略的なことしか記憶にございませんので、おわかりになつたならば――海運局当時の監督者がおわかりだと思いますので、これは次の機会に呼んでいただきまして、この問題は徹底的に掘り下げてみたい、このように思います。  次に船舶運営会の問題についてお尋ねいたします。まだ清算結了に至つておらないので、まずこの批難事項につきましての概括的な問題について、第一行目に「船舶運営会の会計経理に関しては、収入の面において運賃等の回収処置当を得ないため」云々と書いてあるのですが、これは大体どこの船主が悪かつたのか、あるいは運営の指令方法が悪かつたのか、あるいはどこに原因したのかということの、もつと詳しい資料をちようだいしたいと思います。  その次に、これも資料をお願いしたいのですが、同じく七四六の批難事項の件におきまして、これは運送契約及び運賃回収に当り処置当を得ないもの―その運営会の方または政府委員、またはこれに対する会計検査院の補足説明を十分伺つたのですが、一體こういう問題はだれが監督に当つておるのか。もちろん運輸省だと思うのですが、そこで監督指令、またはこういうような運賃の積切り同時払いというようなものについては、特に大澤局長が補足説明を加えておられる。運輸当局の会計検査院批難事項に対する説明書等から見ると、非常に矛盾しておるように思う。そこでこれは一体だれが監督者であつて、だれが最終の責任者であるか。従つて、これに対する処置を省議その他でおとりになつたと思いますが、その模様を承知したい。その当時のいわゆる御処置なさつたところを資料で頂戴したいと思います。  それからもう一つは、同じく資料を要求するのですが、七四八の計理処置当を得ないもののうち、ちよつとこれを読んでみますると「昭和二十四年度の国庫の補助を五百五十五万八千五百一円だけ余分に受けたこととなつている」こう書いてある。これはまつたくどろぼう的な行為である。しかも船舶運営会の偉い人は、元の海運総局長官であつたり、いわゆる役人上りであつたりだから、予算の折衝その他は御存じのはずです。しかも末端機構ならともかくも、こういうふうな補助をたくさん持ち帰るということは、総体的な運営面から見て、必ずこの運営会の会長があずかる事項と思います。そこでその当時予算折衝なさつた当局の模様を、同じく書類をもつて提出してもらいたい。これだけ資料要求をいたしておきまして、出ましたら質問に移りたいと思います。
  113. 辻章男

    ○辻(章)政府委員 ちよつとお伺いいたしますが、今の補助金の点の資料の要求がございましたが、何年度の点でございましようか。
  114. 大上司

    ○大上委員 当然、今、会計横査院の批難事項の該当の審査でありまするから、七四八の批難事項に対してであります。
  115. 中垣國男

    中垣委員長 三宅則義君。
  116. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私は本日大蔵委員会の方で質問する番になつておりましたので、まことに失礼いたしました。あとから参りましたので、多分前にも質問があつたかと思いますが、船舶公団並びに船舶運営会、これは巨大なる資本をもつて運営に当られたものと考えるのでございまして、この問題について、あるいは説明があつたかと思いまするが、こういうような大企業の運営を命ずるのは、やはり運営委員会ということになつてつたかもしれませんが、運輸大臣はどの程度まで監督権があつたものでございましようか、その辺承りたいと思います。
  117. 辻章男

    ○辻(章)政府委員 お答え申し上げます。船舶公団に関しましては、船舶公団法によりまして、経済安定本部長官の定められました、何という言葉を使つておりましたか、一般的な経済政策の範囲内におきまして運輸大臣が監督するという建前になつておりまして、いわゆる大きな政策の面につきましては、経済安定本部長官の政策に沿つたわけでございますが、船舶公団のその範囲内におきましての個々の業務につきましては、全面的に運輸大臣が監督をいたしております。それから船舶運営会、今は商船管理委員会と言つておりますが、現在の商船管理委員会につきましては、性格がちよつと特殊な関係がございまして、これは御承知のように総動員法に基きまする戦時海運管理令という総動員勅令によりまして根拠を与えられておりまする団体でございまするが、終戦後連合軍が進駐して参りまして進駐軍が日本の船舶を管理する使命を、メモランダムによりまして船舶運営会に付与されましたので、船舶運営会は、戦時海運管理会の面におきましては、運輸大臣が全面的に監督の権限を持つておりますが、進駐軍の商船管理委員会としての制限につきましては、運輸大臣は権限がないというかつこうになつております。
  118. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 あまり詳しいことを本日聞いてしまうわけではございませんが、私はこういうことを直感的に思うわけでございまして、もし間違つておりましたら、その弁明を求めたい、こう思うのです。船舶運営会というのは、非常に大規模なものでありまして、またこれを利用せられる者、あるいは運賃の契約をせられる者等も、相手方もまた相当な者がやつておる、こう考えるのでありまして、食糧の配給のごとく末端にまで行くというわけではなくして、相当大がかりで、これを契約される方もする方も、相当人格もあり、経験もありまた大がかりにやつておるものと思いますが、その辺どんなでありますか、ちよつと承りたい。
  119. 辻章男

    ○辻(章)政府委員 おつしやる通り、非常に大がかりでございます。と申しますのは、たしか百総トン以上の鋼船は、原則として船舶運営会が船主より船を借り上げまして運営に当つておりましたので、ほとんど海上輸送におきまする一手独占の供給のかつこうになつております。
  120. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 今お話になりましたように、独占事業であり、強力なる権力のもとにやるというふうなものの中において、たまたままたこうした種々なる問題が起るという事柄は、一体会計経理面のやり方がまずいのでありますか、携わつておりまする当事者の人格が悪いのでありますか、どういうふうに考えますか、この際承りたいと思います。
  121. 辻章男

    ○辻(章)政府委員 総体論といたしまして申し上げますと、ここに載つておりますように、いわゆる内部手続といたしまして会計上の処理を誤つたものにつきましては、これは政府といたしまして、まつたく購督の不行届きでございます。また船舶運営会といたしましては、各担当者の手落ちでございます。ただここにも事項があがつておりますので、これを例にあげて申し上げますと、七四六号の運賃未収の事態を引起したという点につきましては、これは一面回収のやり方の良否の問題もあるかと思いますけれども、厳格に積切りと同時に運賃を払わなければ船を敵船しないということを徹底いたします上におきましては、先ほど申し上げましたように、一手に輸送をしておつたことから申しまして、しかも当時は今のように物資が豊富ではない、いわゆる配給統制の時代でございましたので、そうすると運賃の回収は確実にできたかもしれませんが、一面物資の需給というものを非常に乱すおそれがあつたわけでありまして、政府といたしましても、全面的にそれを強行いたしまして、ただ運賃の回収のみにとらわれるということもできかねた事情もあつたわけでございます。
  122. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私、下岡検査官にお尋ねいたしたいと思うのですが、これを検査なさつて、こういうような船舶運営会とかあるいは船舶公団というような、大規模にいたしまして日本を独占するような企業体を監督し、あるいは経営に当つた者は、船舶運営会の総裁であるとか、あるいはそういうような立場におる人であろうと思いますが、こういうことにつきまして、ただ実業人という頭でやつておるのか。やはり日本の経済の一環といたしまして、国家行政機関の一員としてやるというような意味でやつてつたのでありますか。そこに運営の開きもあろうと思いますが、下岡検査官はどういうふうに考えられましてこれを監督されましたか、承りたい。
  123. 下岡忠一

    ○下岡会計検査院検査官 お答え申し上げます。公団の運営について、前にも申し上げたことがあつたと思いますが、その組織が純然たる民間の組織で、規則が何であろうと総裁に全部一任して、全責任を負わせて運営させるような形式であれば、それで徹底いたしますし、また純然たる官庁組織にいたしまして、それぞれの責任を法規で縛るということも――これは官庁組織についていろいろ欠陷もございますが、これでもある程度責任の限界ができて来まして、間違つた運営はできないで済むという利点もあるのだろうと思いますが、この船舶公団船舶運営会に関する限り、私が実際に検査をやつたものの程度では、船舶公団の方は、事務所がたしか一つでございまして、割合にまとまつておりまして、割合にきちんとした経理ができておつたようであります。船舶運営会公団の初めのできたてと同じように、実際の経理の運営用をどうしていいかというようなことが、設立当初はつきりしておらなかつたという関係で、ちやんとした帳簿の整理さえよくできていないというようなことから、いろいろ会計検査をいたしましても、検査が手につかないというような状態もあつたようであります。しかし、何しろ業界の相当エキスパートの方が入つておられますので、割合その混乱も早く済みまして、後には帳簿整理もきちんとして来たようであります。業界のりつぱな人が入つており、また特殊の経理をよくこなしてしまわれれば、その運営もよくできたかと思うのでございますが、そういう点で私遺憾だつたと思つております。
  124. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 政府委員にお尋ねするわけで――むしろ運輸大臣もしくはその他の係の方に伺うわけでありましようが、本日は便宜上お伺いいたします。船舶、電力、こういうものは重点産業であります。私どもは大蔵委員会で、すでにそういうものについては、なるべく多くしなければならぬというような意味で、審議を進めておるわけでございまして、私どもも日本の経済の復興にはそういうような基礎産業、あるいは基礎運輸というものについては、十分理解を持つておるつもりであります。ところが、普通の商売人と違つて、相当統制もりつぱにできるはずのものでありまするが、中にこうしたような問題をたびたび引起すという事柄は、やはり政府自身の中にも監督不行届きの点があり、また運営の面におきましても、業者もしくは総裁等において誤りがあつただろうということになるわけでありますが、私どもは、今後もあることでございますから、そういうような基礎産業、重点産業については、十分監督面あるいは経理面等を審査しなければならぬと思います。これに対して、政府はどう考えておりますか、承りたい。
  125. 辻章男

    ○辻(章)説明員 お答え申し上げます。お説の通り海運、船舶というものは、日本におきましては特に重要な基礎産業でございまして、国会におきましても、いろいろと御同情ある御審議を願つておるわけでありますが、元来船舶運営会と申しますのは、先ほど申し上げましたように戦時海運管理令という、総動員法に基きました戦時統制の遺物でございまして、運輸省の方針といたしまして、戰争が終ればできるだけ自由潤達な運営をやらせたい、事情が許せばやらせたいということで、徐々に経済力の回復とともに、また物資の出まわりとともにしたいという意図を持つてつたのでございますが、これも先ほど申し上げましたように、終戰直後、連合軍の商船管理という機関の二重性格を持つた関係上、日本政府の政策だけで、船舶運営会という組織をすぐさまやめるというわけには行かなかつた事情がありまして、漸進的にこれを解除いたしまして、船舶の統制というものは二十四年の三月三十一日をもちまして完全にいわゆる民営還元という姿になつた次第でございます。それ以後の商船管理委員会としての船舶運営会の使命は、もつぱら連合軍との関係におきまする商船管理の仕事をして、今日に至つた次第でございます。
  126. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私どもは大蔵委員会で、企業合理化法案、特に船舶に対しましては、過分な償却を認めて運営をはかりたい、こういう法案を審議いたしました。その経験からいたしますと、日本の基礎産業であり、重点産業の最重点であるということに相なるわけでございますから、この運営にあたりましては、運輸大臣並びに係官等は、相当厳重にこれをやつて、そして日本の信用を回復する。ことにアメリカその他からも、船につきましては相当信頼を置ける程度まで技術面においても発達しておると聞いておるわけでございまするが、今後の方策もありまするから、この際政府の方針を簡單に承りたい。――それでは時間が参りましたからこの程度にいたしますが、下岡検査官に私の希望を申し上げますから、お考えを承りたい。  たびたび私がここで発言いたしました通り、電力、運輸、船舶、あるいは超重点諸機械等につきましては、私どもは日本の経済の復興のために万全の対策を講じまして、その経営の成り立つようにいたしたい、そして一日も早く世界経済の水準に持つて行きたい、こういうのが国会議員の使命であります。つきましては、会計検査院を背負つてつておられます下岡検査官といたしまして、この運営並びに国家経済の運用等については、いやしくもあやまちがあつたり、おろそかなことがあつては断じて相ならぬ。かように考えますから、一段とこういうような超重点産業を監査するときにおきましては、エキスパートを総動員いたしまして、あやまちのない、国損の起らないように監督してもらいたいと思いますが、下岡検査官のお考えを承りたい。
  127. 下岡忠一

    ○下岡会計検査院検査官 ただいま三宅委員のおつしやつたことは、まことにごもつともでありまして、御意見の通り私もかねがねそう考えておるのでございますが、せいぜい努力いたすつもりでございます。     ―――――――――――――
  128. 大上司

    ○大上委員 動議を提出いたします。大体もう検査番号七五〇号で大略済むのでございますが、そこで昭和二十四年度決算につきましては、各委員から相当の質問の留保があり、なおかつ未提出の資料等もありますので、これは理事会等に諮られまして、どれを選考すべきやということをおきめになつて、後日審議を進められんことを動議として提出いたします。
  129. 中垣國男

    中垣委員長 大上委員の動議を採決いたします。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  130. 中垣國男

    中垣委員長 御異議ないと認め、さよういたします。  委員長から申し上げますが、以上をもちまして本日の予定いたした審議は大体終了いたしました。なお先ほど大上委員から動議が提出されまして採決されました通り、二十四年度決算の各項にわたりまして、各委員から資料の提出並びに質問の留保がされておりますので、それは次の理事会におきまして付議したいと思います。それによりまして引続き審議を続行したいと思います。  次会は二十七日、水曜日に行います。本日はこれにて散会いたします。     午後四時三一分散会